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技術 高強度浸炭部品用継目無し鋼管の製造方法

出願人 山陽特殊製鋼株式会社
発明者 常陰典正江島優
出願日 2008年8月14日 (11年8ヶ月経過) 出願番号 2008-208813
公開日 2010年2月25日 (10年2ヶ月経過) 公開番号 2010-043331
状態 特許登録済
技術分野 管の製造;マンドレル 鋼の加工熱処理
主要キーワード 形状係数α 素材状態 継目無し鋼管 再加熱前 素材硬度 部品強度 切欠き試験片 面圧強度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年2月25日)のものです。
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課題

曲げ疲れ強さ異物混入環境での転がり疲れ寿命に優れる部品素材となる継目無鋼管表面疵脱炭による品質を損なうことなく安価に製造する方法を提供する。

解決手段

質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1.00%、Mn:0.20〜0.60%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.50〜3.00%、Al:0.005〜0.050%、Nb:0.01〜0.10%、N:0.003〜0.025%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材を、加熱温度1240℃以上として穿孔圧延を行なって鋼管とし、この熱間により穿孔圧延した鋼管を仕上げ圧延する前に、Ar1点以下に0.05℃/s以上の速度で冷却した後、900〜1080℃に再加熱して仕上げ圧延を行なうことからなる曲げ疲れ強さおよび異物混入環境下での転がり疲れ寿命に優れた高強度浸炭部品用継目無し鋼管の製造方法。

概要

背景

自動車等速ジョイント構成部品である保持器などの用途に使用する高強度高靭性肌焼鋼は、成分や不純物を最適化することにより浸炭中に発生する表面異常層を減らし、曲げ疲れ強さの向上を図って製造されている。また、軸受のように軌道表面研磨仕上げして使用される転動部品において、特に異物混入する環境や潤滑油膜厚さが十分でない状態で使用される場合では、鋼材表面起点型はく離形態を示す。このため、そのはく離を防止する対策として、浸炭や浸炭窒化による残留オーステナイト量の適正化や成分の調整による転がり疲れ寿命の向上や面圧疲れ強さの向上が図られている。さらに、これらの鋼材からなる部品高清浄度操業による非金属介在物の低減と相俟って長寿命化指向されている。

さらに、出願人は冷間加工性および結晶粒度特性に優れた高強度肌焼鋼としてTiを0.15%程度添加した高清浄度鋼を開発しており、その特性を引出すための棒鋼鋼管の製造工程も開発している(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。しかし、これらの特許文献は、高強度肌焼鋼の冷間加工性や結晶粒度特性の改善に着目した材料とその製造方法である。しかしながら、対象としている曲げ疲れ強さや異物混入環境下での転がり疲れ寿命に重点を置いた要求を満足させるためには、異なった成分系の鋼種を用い、かつ工業的に高い品質の材料を低コストで供給できるように、それに適した製造方法を開発する必要があった。

特開平11−92824号公報
特開2005−105379号公報

概要

曲げ疲れ強さや異物混入環境での転がり疲れ寿命に優れる部品の素材となる継目無鋼管表面疵脱炭による品質を損なうことなく安価に製造する方法を提供する。 質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1.00%、Mn:0.20〜0.60%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.50〜3.00%、Al:0.005〜0.050%、Nb:0.01〜0.10%、N:0.003〜0.025%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材を、加熱温度1240℃以上として穿孔圧延を行なって鋼管とし、この熱間により穿孔圧延した鋼管を仕上げ圧延する前に、Ar1点以下に0.05℃/s以上の速度で冷却した後、900〜1080℃に再加熱して仕上げ圧延を行なうことからなる曲げ疲れ強さおよび異物混入環境下での転がり疲れ寿命に優れた高強度浸炭焼部品用継目無し鋼管の製造方法。

目的

本発明が解決しようとする課題は、曲げ疲れ強さや異物混入環境での転がり疲れ寿命に優れる部品の素材となる継目無鋼管を、表面疵や脱炭による品質を損なうことなく、安価に製造する方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1.00%、Mn:0.20〜0.60%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.50〜3.00%、Al:0.005〜0.050%、Nb:0.01〜0.10%、N:0.003〜0.025%を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材加熱温度1240℃以上として穿孔圧延を行なって熱間圧延鋼管とし、この熱間圧延鋼管を仕上げ圧延する前に、Ar1点以下に0.05℃/s以上の速度で冷却した後、900〜1080℃に再加熱して仕上げ圧延を行なうことを特徴とする曲げ疲れ強さおよび異物混入環境下での転がり疲れ寿命に優れた高強度浸炭部品用継目無し鋼管の製造方法。

請求項2

質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1.00%、Mn:0.20〜0.60%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.50〜3.00%、Al:0.005〜0.050%、Nb:0.01〜0.10%、N:0.003〜0.025%を含み、さらに、B:0.0003〜0.0050%、Ti:0.01〜0.05%を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材を加熱温度1240℃以上として穿孔圧延を行なって熱間圧延鋼管とし、この熱間圧延鋼管を仕上げ圧延前に、Ar1点以下に0.05℃/s以上の速度で冷却した後、900〜1080℃に再加熱して仕上げ圧延を行なうことを特徴とする曲げ疲れ強さおよび異物混入環境下での転がり疲れ寿命に優れた高強度浸炭焼部品用継目無し鋼管の製造方法。

請求項3

請求項1または請求項2の成分に加え、質量%で、Ni:0.10〜2.00%、Mo:0.05〜0.50%の2元素のうち1種または2種を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材を加熱温度1240℃以上として穿孔圧延を行なって熱間圧延鋼管とし、この熱間圧延鋼管を仕上げ圧延前に、Ar1点以下に0.05℃/s以上の速度で冷却した後、900〜1080℃に再加熱して仕上げ圧延を行なうことを特徴とする曲げ疲れ強さおよび異物混入環境下での転がり疲れ寿命に優れた高強度浸炭焼部品用継目無し鋼管の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、例えば自動車等速ジョイント保持器軸受軌道輪のような継目無鋼管を用いて切削もしくは冷間鍛造で製造されるリング形状の浸炭部品の製造や、継目無鋼管を用いた冷間圧延もしくは冷間引抜き鋼管の製造に関する。

背景技術

0002

自動車の等速ジョイントの構成部品である保持器などの用途に使用する高強度高靭性肌焼鋼は、成分や不純物を最適化することにより浸炭中に発生する表面異常層を減らし、曲げ疲れ強さの向上を図って製造されている。また、軸受のように軌道表面研磨仕上げして使用される転動部品において、特に異物混入する環境や潤滑油膜厚さが十分でない状態で使用される場合では、鋼材表面起点型はく離形態を示す。このため、そのはく離を防止する対策として、浸炭や浸炭窒化による残留オーステナイト量の適正化や成分の調整による転がり疲れ寿命の向上や面圧疲れ強さの向上が図られている。さらに、これらの鋼材からなる部品高清浄度操業による非金属介在物の低減と相俟って長寿命化指向されている。

0003

さらに、出願人は冷間加工性および結晶粒度特性に優れた高強度肌焼鋼としてTiを0.15%程度添加した高清浄度鋼を開発しており、その特性を引出すための棒鋼鋼管の製造工程も開発している(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。しかし、これらの特許文献は、高強度肌焼鋼の冷間加工性や結晶粒度特性の改善に着目した材料とその製造方法である。しかしながら、対象としている曲げ疲れ強さや異物混入環境下での転がり疲れ寿命に重点を置いた要求を満足させるためには、異なった成分系の鋼種を用い、かつ工業的に高い品質の材料を低コストで供給できるように、それに適した製造方法を開発する必要があった。

0004

特開平11−92824号公報
特開2005−105379号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明が解決しようとする課題は、曲げ疲れ強さや異物混入環境での転がり疲れ寿命に優れる部品の素材となる継目無鋼管を、表面疵脱炭による品質を損なうことなく、安価に製造する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1.00%、Mn:0.20〜0.60%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.50〜3.00%、Al:0.005〜0.050%、Nb:0.01〜0.10%、N:0.003〜0.025%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材を、加熱温度1240℃以上として穿孔圧延を行なって鋼管とし、この熱間により穿孔圧延した鋼管を仕上げ圧延する前に、Ar1点以下に0.05℃/s以上の速度で冷却した後、900〜1080℃に再加熱して仕上げ圧延を行なうことを特徴とする曲げ疲れ強さおよび異物混入環境下での転がり疲れ寿命に優れた高強度浸炭焼部品用継目無し鋼管の製造方法である。

0007

請求項2の発明では、質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1.00%、Mn:0.20〜0.60%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.50〜3.00%、Al:0.005〜0.050%、Nb:0.01〜0.10%、N:0.003〜0.025%を含有し、さらに、B:0.0003〜0.0050%、Ti:0.01〜0.05%を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材を、加熱温度1240℃以上として穿孔圧延を行なって鋼管とし、この熱間により穿孔圧延した鋼管を仕上げ圧延する前に、Ar1点以下に0.05℃/s以上の速度で冷却した後、900〜1080℃に再加熱して仕上げ圧延を行なうことを特徴とする曲げ疲れ強さおよび異物混入環境下での転がり疲れ寿命に優れた高強度浸炭焼部品用継目無し鋼管の製造方法である。

0008

請求項3の発明では、請求項1または請求項2の手段における成分に加え、質量%で、Ni:0.10〜2.00%、Mo:0.05〜0.50%の2元素のうち1種または2種を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材を加熱温度1240℃以上として穿孔圧延を行なって鋼管とし、この熱間により穿孔圧延した鋼管を仕上げ圧延する前に、Ar1点以下に0.05℃/s以上の速度で冷却した後、900〜1080℃に再加熱して仕上げ圧延を行なうことを特徴とする曲げ疲れ強さおよび異物混入環境下での転がり疲れ寿命に優れた高強度浸炭焼部品用継目無し鋼管の製造方法である。

0009

本願発明における鋼成分の限定理由を以下に説明する。なお、%は質量%を示す。

0010

C:0.10〜0.35%
Cは、機械構造用部品として浸炭あるいは浸炭窒化処理後の芯部強度を確保するために必要な元素である。しかし、Cが0.10%未満では、その効果は十分に得られず、0.35%を超えると、靱性が低下するとともに素材の硬度が上昇して加工性劣化する。そこで、Cは0.10〜0.35%とし、望ましくは0.13〜0.20%とする。

0011

Si:0.35〜1.00%
Siは、鋼の脱酸に有効な元素であるとともに、鋼に必要な強度および焼入性を付与し焼戻し軟化抵抗を向上して面圧強度を確保するために有効な元素である。しかし、Siが0.35%未満では、強度向上効果の確保ができず、1.00%を超えると、靱性が低下して素材硬度が上昇して加工性が劣化する。そこで、Siは0.35〜1.00%とし、望ましくは、0.40〜0.80%とする。

0012

Mn:0.20〜0.60%
Mnは、鋼の焼入性を向上させる元素である。しかし、Mnが0.20%未満では、焼入性の向上を確保することができず、また製造性を悪化し、0.60%を超えると、素材の硬度が上昇して加工性が劣化する。そこで、Mnは0.20〜0.60%とする。

0013

P:0.030%以下
Pは、粒界偏析して靱性および疲れ強さを低下させて部品強度を低下させる元素である。そこで、Pは出来るだけ少なくしてこれらの問題を解消するために、0.030%以下とする。

0014

S:0.030%以下
Sは、粒界に偏析して粒界の脆化を招き、冷間加工性および靱性を劣化させる元素である。そこで、Sは出来るだけ少なくしてこれらの問題を解消するために、0.030%以下とする。

0015

Cr:1.50〜3.00%
Crは、鋼に焼入性や強度向上を与えるために、また、焼戻し軟化抵抗を向上して面圧強度を確保するために有効な元素である。しかし、Crが1.50%未満では、その効果は十分に得られず、3.00%を超えると硬さの上昇を招き加工性を劣化する。そこで、Crは、1.50〜3.00%とし、望ましくは、1.80〜2.50%とする。

0016

Al:0.005〜0.050%
Alは、脱酸に必要な元素であり、また固溶Nと結合してAlNを形成し結晶粒の粗大化を抑制する効果を確保するために有効な元素であるが、Alが0.005%未満ではその効果は十分ではなく、Alが多すぎると効果は飽和し、さらに非金属介在物を生成して疲れ強さが低下する。そこで、Alは0.005〜0.050%とする。

0017

Nb:0.01〜0.10%
Nbは、微細NbC、微細NbCNを形成して浸炭時の結晶粒の粗大化を抑制する効果を確保するために必要な元素であるが、Nbが0.01%未満ではその効果は十分でなく、Nbが0.10%を超えるとその効果は飽和し、かつ、コストアップとなる。そこで、Nbは0.01〜0.10%とする。

0018

N:0.003〜0.025%
Nは、鋼中のAlやNbとAlNやNbCNを形成して浸炭時の結晶粒の粗大化を抑制する効果を確保するために有効な元素であるが、Nが0.003%未満ではその効果は十分ではなく、0.025%を超えてもその効果は飽和し、かつ熱間加工性を劣化させる。そこで、Nは0.003〜0.025%とする。ただし、後述するがBを添加する場合は鋼中にBをフリーで存在させる必要がある。その場合は、N量を低減し、さらにTiを添加してTiNとしてNを固定することでBNの生成を抑制してBの強度および焼入性の向上効果を確保する必要がある。したがって、Bを添加する場合のNは0.010%以下とすることが望ましい。

0019

B:0.0003〜0.0050%
Bは、添加しなくても良い。しかし、固溶Bとして鋼中に存在させた場合に、強度および焼入性の向上効果が得られる。Bが0.0003%未満では、その効果は十分でなく、0.0050%を超えてもその効果は飽和する。そこで、Bは0.0003〜0.0050%とする。

0020

Ti:0.01〜0.05%
Tiは、Bを添加する場合、あるいはNbと同様に結晶粒粗大化を抑制する場合に添加する。Tiを添加すると固溶NをTiNとして固定してBN生成を抑制し、固溶Bを確保するために有効な元素であるが、0.01%未満では、その効果は十分ではない。しかし、0.05%を超えてると加工性を劣化させる。そこで、Tiは0.01〜0.05%とする。

0021

Ni:0.10〜2.00%
Niは、添加しなくても良い。しかし、鋼の焼入性および靭性の向上に有効な元素で、Niが、0.10%未満では、これらの効果は十分でなく、2.00%を超えると素材の硬度が上昇しすぎて加工性を劣化し、さらにコストアップとなる。そこで、Niは0.10〜2.00%とする。

0022

Mo:0.05〜0.50%
Moは、添加しなくても良い。しかし、鋼の焼入性および靭性の向上に有効な元素で、Moが0.05%未満では、これらの効果は十分でなく、0.50%を超えると素材の硬度が上昇しすぎて加工性を劣化し、さらにコストアップとなる。そこで、Moは0.05〜0.50%とする。

0023

NiおよびMoは上記のそれぞれの成分の範囲で1種又は2種を選択的に含有できる。

0024

さらに、製造方法における限定理由を説明する。
穿孔圧延時の加熱温度は、1240℃未満では加熱前の素材状態で存在していたNbの炭化物炭窒化物がさらに成長し、個数が減少する。その結果、部品を浸炭する際にオーステナイト結晶粒の粗大化、すなわち混粒引起こす原因となる。したがって、穿孔圧延時の加熱温度は1240℃以上とする。加熱温度が1240℃以上であれば、それ以前に存在したNbの炭化物や炭窒化物が一旦固溶し、固溶したNbは、その後の熱処理によって微細な炭化物や炭窒化物として再析出するため、浸炭時のオーステナイト結晶粒粗大化抑制に有効に働く。

0025

再加熱前冷却温度をAr1点以下とする理由は、上記の固溶したNbの炭化物や炭窒化物を析出させるためであり、望ましくは再加熱前の冷却温度をAr1点−100℃以下とする。

0026

上記の温度への冷却速度については、0.05℃/s未満とすると、Nbの炭化物や炭窒化物が再析出する際、同時に成長が進むため、析出物を微細に存在させるためには、冷却速度を0.05℃/s以上とする。

0027

仕上げ圧延前再加熱温度を900〜1050℃とする理由は、900℃以上とすることで既に析出したNbの炭化物や炭窒化物の成長を最小限に抑えて、仕上げ圧延時の変形抵抗を減少させるためであり、1050℃を超えると微細なNbの炭化物や炭窒化物の成長が進むこと、ならびに析出物の再固溶が始まるので1050℃以下とする。

発明の効果

0028

本発明は、上記のそれぞれの手段としたことで、曲げ疲れ強さや異物混入環境での転がり疲れ寿命に優れる部品の素材となる継目無鋼管を、表面疵や脱炭による品質を損なうことなく、特別にコストをかけることなく製造することができるなど、本願の各請求項にかかる発明は、従来にない優れた効果を奏する方法である。

発明を実施するための最良の形態

0029

本発明を実施するための最良の形態について、表および図面を参照しながらそれぞれの発明例および比較例の各鋼成分および試験を通じて説明する。

0030

先ず、本発明の試験に適用した試験片の製造工程について説明する。1t真空溶解炉により、表1に示す発明用鋼および比較用鋼化学成分からなる鋼を溶製して鋳造により鋼塊とした。これらの鋼塊をφ120mmの棒鋼に分解圧延し、棒鋼からなる鋼管母材とした。なお、表1において、発明用鋼のNo.2およびNo.3のNiおよびMoの含有量は、工場生産する際に不可避不純物として含有されるもので、本願発明における各成分範囲に満たないものである。

0031

0032

上記で分解圧延して得られた鋼管母材を、表2に示す穿孔圧延加熱温度、再加熱前温度、冷却速度および仕上圧延前加熱温度製造条件により、穿孔して鋼管に製造した。この場合、表2における鋼種の発明用鋼および比較用鋼ならびにそのNo.は、表1における発明用鋼と比較用鋼の各No.の化学成分の鋼に対応している。すなわち、詳細には、上記の鋼管母材であるφ120mmの棒鋼を、表2に示す製造条件である各穿孔圧延加熱温度の熱間での穿孔圧延を行い、次いで、この穿孔加熱温度からAr1以下の温度に各冷却速度で冷却して各再加熱前温度とし、次いで、これらの各再加熱前温度から各仕上圧延前再加熱温度に再加熱して、仕上げ圧延を行ってφ72mmで肉厚18mmの鋼管とした。さらに、これらの鋼管を冷間圧延によりφ45mmで肉厚12.5mmの冷間圧延鋼管とした。

0033

0034

このようにして製造した鋼管から、機械加工により、焼なまし硬さ測定試験片、小野式回転曲げ疲労試験片、スラスト型転がり疲れ試験片をそれぞれ製作した。

0035

焼なまし硬さ測定試験片は、最高温度750℃で合計10時間の焼なましを行った後、試験片厚さ方向の中央部を切出し、HRBで焼なまし硬さを測定した。なお、焼なまし後の硬さは冷間加工性を評価するための一つの指標となる。

0036

小野式回転曲げ疲労試験片は、平行部がφ8mm、形状係数α=1.93の切欠き試験片であり、これらの試験片を図1熱処理パターンに示す浸炭条件浸炭焼入れおよび焼戻しを実施した後、切欠き部は熱処理のままで試験に供した。疲労限度は107サイクルにおける疲れ強さとした。

0037

スラスト型転がり疲れ試験片は、鋼管を幅9mmに切断して、図1の熱処理パターンに示す浸炭条件で浸炭焼入れおよび焼戻しを実施した後、平面研磨およびラップバフ研磨を実施して、異物混入環境におけるスラスト型転がり疲れ試験に供した。異物として100〜150μmの粉末ハイスを潤滑油1リットルあたり1gを添加した。スラスト型転がり疲れ試験における最大接触面圧は5.3GPaとした。

0038

本発明例の試験結果と比較例の結果を併せて表3に示す。本発明用鋼の成分からなる鋼を発明条件により製造した発明例の発明用鋼のNo.1〜No.5の場合、全て焼なまし硬さが85HRB以下となり、冷間加工性が優れるものと判断できた。さらに、回転曲げ107サイクルの疲れ強さは450MPa以上であり、異物混入環境における転がり疲れ寿命L10は0.30×106サイクル以上であり、これらの鋼は、本発明の対象部品用鋼として要求される曲げ疲れ強さや転がり疲れ寿命がともに良好であった。

0039

0040

一方、比較例に示すように、比較用鋼の化学成分が本発明用鋼の成分から外れるものあるいは発明用鋼の成分であるもので、鋼管の製造条件が発明条件の範囲から外れる場合には、焼鈍硬さ、回転曲げ疲れ強さ、あるいは異物混入環境でのスラスト型転がり疲れ寿命のうちの一つの項目以上の項目において、表3においてハッチングを入れて示すように、一定の値以下の劣った結果となっている。

図面の簡単な説明

0041

浸炭および熱処理のパターンを示す図である。

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