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技術 熱可塑性樹脂用帯電防止剤及び非帯電性樹脂組成物

出願人 ソニー株式会社
発明者 脇山悟稲垣靖史
出願日 2008年8月12日 (10年11ヶ月経過) 出願番号 2008-208138
公開日 2010年2月25日 (9年4ヶ月経過) 公開番号 2010-043185
状態 拒絶査定
技術分野 帯電防止物質 高分子組成物 ポリエーテル 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード 実施サンプル 帯電樹脂 粉塵対策 含有硫黄分 自動車製品 粉末状熱可塑性樹脂 回収材 実施例サンプル
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重要な関連分野

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図面 (6)

課題

帯電防止効果に優れたものとする。

解決手段

芳香族環を有する熱可塑性樹脂からなる内層部2の表層にのみ、スルホン酸塩基を導入し、表層部3を形成する。

概要

背景

一般に、プラスチック材料は、その優れた特性によって広い分野で使用されているが、電気絶縁性であり、静電気により帯電しやすいという性質がある。このため、プラスチック成型品に埃が付着してその外観を損ねる、又電気電子機器等のケース部品に使用した場合は、静電気の放電により機器誤動作やIC等の電子部品故障原因となる場合がある。そのため、プラスチック帯電防止について従来から様々な技術が開発されている。例えば、界面活性剤型の帯電防止剤をプラスチックに添加することが一般的に行われている。しかしながら、この方法では、短期的な帯電防止性には優れるものの、長期的に帯電防止性を維持できず、耐久性に課題がある。

また、持続的な帯電防止性を付与するために、プラスチック材料にカーボン繊維カーボンブラック等の導電性無機物質練り込む方法がある。この方法では、前記カーボン繊維等の黒色によりプラスチック材料が着色するため、使用できるプラスチック材料の色調が黒色に限定されるという課題がある。

この他に、下記の特許文献1乃至特許文献7には、スルホン化ポリスチレン、及び有機塩基シリコーンと併用する方法が開示されている。この方法で用いられているスルホン化ポリスチレンは、帯電防止効果面で充分満足できるとは言えず、且つスルホン基樹脂全体に導入されており吸湿により樹脂同士のブロッキングが発生しやすいという欠点を有している。

特開平9−188873号公報
特開平10−140142号公報
特開平10−231328号公報
特開平10−316960号公報
特開平11−189769号公報
特開平11−23655号公報
特開平2003−41133号公報

概要

帯電防止効果に優れたものとする。芳香族環を有する熱可塑性樹脂からなる内層部2の表層にのみ、スルホン酸塩基を導入し、表層部3を形成する。

目的

そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、帯電防止効果に優れ、且つ帯電防止性を長期間発現することが可能で、かつ耐久性に優れた熱可塑性用帯電防止剤及びこの熱可塑性樹脂用帯電防止剤を含有する非帯電性樹脂組成物を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

上記スルホン酸塩基が、硫黄分として0.6重量%〜6.0重量%含有されている請求項1記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。

請求項3

上記芳香族環を有する熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が10万〜30万である請求項1記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。

請求項4

上記芳香族環を有する熱可塑性樹脂が、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレンHIPS:スチレンブタジエン共重合体)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート共重合体(ASA)、アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレン樹脂AEPDMS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェにレンオキシド(PPO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)の少なくとも1種類以上を含む請求項1記載の熱可塑性樹脂用帯電防止剤。

請求項5

芳香族環を有する熱可塑性樹脂の表層部にスルホン酸塩基が導入された熱可塑性樹脂用帯電防止剤が熱可塑性樹脂に添加された非帯電性樹脂組成物

請求項6

上記熱可塑性樹脂用帯電防止剤は、上記スルホン酸塩基が硫黄分として0.6重量%〜6.0重量%含有されている請求項5記載の非帯電性樹脂組成物。

請求項7

上記熱可塑性樹脂用帯電防止剤の上記芳香族環を有する熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が10万〜30万である請求項5記載の非帯電性樹脂組成物。

請求項8

上記熱可塑性樹脂用帯電防止剤が、該熱可塑性樹脂用帯電防止剤が添加される上記熱可塑性樹脂に3.5重量%〜80重量%含有されている請求項5記載の非帯電性樹脂組成物。

請求項9

上記熱可塑性樹脂用帯電防止剤が添加される熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、ポリ塩化ビニルPVC)、ポリフェにレンオキシド(PPO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスルホン(PSF)、ナイロンポリ乳酸PLA)、液晶ポリマ(LCP)の少なくとも1種類以上である請求項5記載の非帯電性樹脂組成物。

請求項10

上記熱可塑性樹脂用帯電防止剤が添加される熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスルホン(PSF)、ナイロン、ポリ乳酸(PLA)、LCP(液晶ポリマー)の少なくとも1種類以上と、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンゴム(EPDM)、シリコーンゴム(Q)、熱可塑性エラストマTPE)の少なくとも1種類以上との混合物である請求項5記載の非帯電性樹脂組成物。

技術分野

0001

本発明は、熱可塑性樹脂組成物に対して導電性を付与する熱可塑性樹脂用帯電防止剤及びこの熱可塑性樹脂用帯電防止剤を含有する非帯電性樹脂組成物に関する。

背景技術

0002

一般に、プラスチック材料は、その優れた特性によって広い分野で使用されているが、電気絶縁性であり、静電気により帯電しやすいという性質がある。このため、プラスチック成型品に埃が付着してその外観を損ねる、又電気電子機器等のケース部品に使用した場合は、静電気の放電により機器誤動作やIC等の電子部品故障原因となる場合がある。そのため、プラスチック帯電防止について従来から様々な技術が開発されている。例えば、界面活性剤型の帯電防止剤をプラスチックに添加することが一般的に行われている。しかしながら、この方法では、短期的な帯電防止性には優れるものの、長期的に帯電防止性を維持できず、耐久性に課題がある。

0003

また、持続的な帯電防止性を付与するために、プラスチック材料にカーボン繊維カーボンブラック等の導電性無機物質練り込む方法がある。この方法では、前記カーボン繊維等の黒色によりプラスチック材料が着色するため、使用できるプラスチック材料の色調が黒色に限定されるという課題がある。

0004

この他に、下記の特許文献1乃至特許文献7には、スルホン化ポリスチレン、及び有機塩基シリコーンと併用する方法が開示されている。この方法で用いられているスルホン化ポリスチレンは、帯電防止効果面で充分満足できるとは言えず、且つスルホン基樹脂全体に導入されており吸湿により樹脂同士のブロッキングが発生しやすいという欠点を有している。

0005

特開平9−188873号公報
特開平10−140142号公報
特開平10−231328号公報
特開平10−316960号公報
特開平11−189769号公報
特開平11−23655号公報
特開平2003−41133号公報

発明が解決しようとする課題

0006

そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、帯電防止効果に優れ、且つ帯電防止性を長期間発現することが可能で、かつ耐久性に優れた熱可塑性用帯電防止剤及びこの熱可塑性樹脂用帯電防止剤を含有する非帯電性樹脂組成物を提供することを目的とする。

0007

また、本発明は、従来の樹脂用帯電防止剤に比べて、ハンドリング面や帯電防止性能の両方で優れた熱可塑性樹脂用帯電防止剤及びこの熱可塑性樹脂用帯電防止剤を含有する非帯電性樹脂組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上述した問題を解決するために、発明者は、鋭意検討を重ねた結果、高分子重合体熱可塑性樹脂粒子表層部に、所定量のスルホン酸塩基を導入することで、帯電防止効果を保有し、且つ、ハンドリング面や長期帯電防止性能で優れた熱可塑性樹脂用帯電防止剤が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0009

すなわち、上述した目的を達成する本発明に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤は、芳香族環を有する熱可塑性樹脂の表層部にスルホン酸塩基が導入されたものである。

0010

また、上述した目的を達成する本発明に係る非帯電性樹脂組成物は、芳香族環を有する熱可塑性樹脂の表層部にスルホン酸塩基が導入された熱可塑性樹脂用帯電防止剤が熱可塑性樹脂に添加されたものである。

発明の効果

0011

本発明に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤は、熱可塑性樹脂の表層部のみに、帯電防止因子のスルホン酸塩基を有しているために粒子全体としての吸湿性は低く抑えられている。このため、本発明に係る熱可塑性樹脂用帯電防止剤は、粒子間のブロッキングが無く、且つ、熱可塑性樹脂へのブレンド性を低下させることがなく、この熱可塑性樹脂用帯電防止剤が添加される熱可塑性樹脂に帯電防止性を付与することが可能となる。

0012

この熱可塑性樹脂用帯電防止剤及びこの帯電防止剤が添加された非帯電性樹脂組成物は、帯電防止効果に優れ、且つ帯電防止性を長期間発現することが可能で、かつ耐久性、ハンドリング性に優れたものである。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明を適用した熱可塑性樹脂用帯電防止剤及び非帯電性樹脂組成物について、図面を参照して詳細に説明する。

0014

本発明を適用した非帯電性樹脂組成物は、例えば家電製品自動車製品事務機器文具雑貨建材、繊維等に用いられる樹脂材料であり、帯電性樹脂である樹脂組成物に帯電防止剤が含有されることで非帯電性が付与されたものである。

0015

非帯電性樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂用帯電防止剤1は、高分子重合体の粒子表層部にスルホン酸塩基が所定量導入されているものである。熱可塑性樹脂用帯電防止剤1は、具体的に、図1に示すように、内層部2と表層部3とから形成されている。内層部2は、粒子状の高分子重合体によって形成されている。表層部3は、スルホン酸塩基が結合した高分子重合体を含んで構成されている。表層部3の高分子重合体は、内層部2に含まれる高分子化合物と同様のもので構成されている。すなわち、表層部3は、粒子状の高分子重合体からなる内層部2の表面、表層にスルホン酸塩基を結合させることにより、形成されたものである。

0016

具体的に、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1を構成する高分子重合体としては、熱可塑性樹脂において分子内に芳香族環を含有するポリマである。

0017

分子内に芳香族環を含有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレンHIPS:スチレンブタジエン共重合体)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体(ASA)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンジエンスチレン樹脂AEPDMS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等を挙げることができ、これらのうち何れか一種若しくは複数種を混合して用いることができる。

0018

また、スルホン酸塩基を導入する熱可塑性樹脂としては、上記高分子重合体と他の高分子重合体等を混合した混合物アロイ)を用いてよい。具体的に、ABS/PCアロイ、PS/PCアロイ、AS/PCアロイ、HIPS/PCアロイ、PET/PCアロイ、PBT/PCアロイ、PVC/PCアロイ、PLA(ポリ乳酸)/PCアロイ、PPO/PCアロイ、PS/PPOアロイ、HIPS/PPOアロイ、ABS/PETアロイ、PET/PBTアロイ等の少なくとも1種類以上を挙げることができる。これらの高分子重合体の中では、特にPS、AS、HIPS、ASA、PC、PPE、PET、ABSが好適である。

0019

該高分子重合体としては、例えば使用済みとなった回収材工場内で排出された端材を用いることもできる。すなわち、回収材を原料として使用することで、資源の有効利用や低コスト化を図ることができる。

0020

以上の高分子重合体は、分子内に芳香族環を有しているため、後述のスルホン酸塩基を導入することが容易である。

0021

高分子重合体中に構成(含有)される芳香族環の含有量としては、1モル%〜100モル%、好ましくは、20モル%〜100モル%、より好ましくは、50モル%〜100モル%である。芳香族環の含有量を1モル%〜100モル%とすることによって、スルホン酸塩基の導入率が少なすぎず適切であり、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1としての帯電防止効果が十分に得られるようになる。

0022

そして、上述したスルホン酸塩基が導入される高分子重合体の重量平均分子量は、100,000〜300,000の範囲であることが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量を100,000〜300,000の範囲とすることによって、スルホン酸塩基が導入された熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が添加された熱可塑性樹脂の機械的特性耐熱性が低下せず、熱可塑性樹脂に対して熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が均一分散し、すなわち相溶性が低下せず、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が添加される被非帯電性樹脂(熱可塑性樹脂)に対して適切に帯電防止性を付与することができる。

0023

高分子重合体の粒子径については、60メッシュパス品の重量が30重量%以上、かつ80メッシュパスが10重量%以上であることが好ましく、60メッシュパス品の重量が50重量%以上、かつ80メッシュパスが30重量%以上であることがより好ましく、60メッシュパス品の重量が70重量%以上、かつ80メッシュパスが50重量%以上であることが更に好ましい。

0024

高分子重合体の粒子径を60メッシュパス品の重量が30重量%以上、かつ80メッシュパスが10重量%以上とすることによって、高分子重合体へのスルホン酸塩基の導入率が低くなることを防止でき、また、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の粒子が大きくなり過ぎず、非帯電性樹脂組成物を構成する非帯電性樹脂(熱可塑性樹脂)への分散が均一となる。また、高分子重合体の粒子径をこの範囲とすることによって、スルホン化反応に特に問題が生じることなく、反応後のスルホン化物粒子系が小さくなり過ぎず、粉塵対策を行う必要がない。

0025

以上のような粒子径の高分子重合体を得るには、該高分子重合体を粉砕(例えば、液体窒素を用いた凍結粉砕等)してもよいし、高分子重合体をモノマーから製造する際に種々の重合方法(例えば、懸濁重合塊状重合パール重合等)を用いて、重合段階の条件で粒子径を調整しても良い。

0026

高分子重合体中に含まれる水分は、該高分子重合体の乾燥(減圧乾燥、循風加熱乾燥等)前後の重量を測定することや、カールフィッシャー水分測定法等を用いることで確認することができる。そして、該高分子重合体中の水分としては、3.5%以下、好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である。

0027

高分子重合体の水分を3.5%以下とすることによって、高分子重合体粒子の表層をスルホン化する際、粒子表層部に含有された水分と後述のスルホン化剤が先に反応することなく、該高分子重合体そのもの(芳香族環)とスルホン化剤との反応が阻害されることを防止できる。つまり、該高分子重合体へのスルホン酸塩基の導入率が大幅に低下することを防止できる。

0028

上述した高分子重合体は、表層の芳香族環にスルホン酸塩基が所定量導入されることで、被非帯電性樹脂にブレンドした際に、高い帯電防止性を付与できる熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が得られる。すなわち、高分子重合体からなる内層部2の表層にスルホン酸塩基を導入して形成された表層部3を有する熱可塑性樹脂用帯電防止剤1を被非帯電性樹脂にブレンドすることで、高い帯電防止性を付与することができる。

0029

該高分子重合体からなる内層部2の表層にスルホン酸塩基を導入する方法としては、例えば該高分子重合体を所定量のスルホン化剤でスルホン化処理する方法がある。

0030

この場合に、該高分子重合体をスルホン化処理するのに用いるスルホン化剤としては、例えば、無水硫酸発煙硫酸クロルスルホン酸ポリアルキルベンゼンスルホン酸類濃硫酸等を挙げることができ、これらのうち何れか一種若しくは複数種を混合して用いることができる。

0031

なお、シアノ基等の特に加水分解されやすい置換基が該高分子重合体中に含有されている場合は、スルホン化剤中に水分が含まれていると副反応の加水分解が促進されることになるため、極力含有水分量の少ないスルホン化剤を用いることが好ましい。含有水分量が少ないスルホン化剤としては、具体的に、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、ポリアルキルベンゼンスルホン酸類を用いることが望ましい。更に好ましくは、硫酸や発煙硫酸である。スルホン化剤中の含有水分量の目安としては、3重量%以下、好ましくは1重量%以下である。スルホン化剤中に含まれる水分量を3重量%以下とすることによって、該高分子重合体の種類(例えばニトリル基を含むもの)であっても加水分解反応が起こりにくく、スルホン化反応が阻害されることを防止できる。したがって、内層部2の高分子重合体粒子表層へのスルホン酸塩基の導入率が低下することを防止できる。

0032

内層部2の高分子重合体粒子表層にスルホン酸塩基を導入する方法としては、例えば該高分子重合体粒子を直接スルホン化剤中に投入して反応させる方法がある。この他にも、高分子重合体粒子を有機溶剤中に分散させた状態で(溶解しない)スルホン化剤を液状、もしくは、ガス状で添加する方法がある。または、高分子重合体粒子にSO3ガスを直接吹きかけて反応させる方法もある。これらの方法の中では、該高分子重合体を直接スルホン化剤と反応させるか、または、ガス状で直接反応させる方法がより好ましい。

0033

そして、高分子重合体からなる内層部2の表層には、スルホン酸塩基の状態で導入される。具体的に、スルホン酸塩基としては、例えば、スルホン酸Na塩基、スルホン酸K塩基、スルホン酸Li塩基、スルホン酸Ca塩基、スルホン酸Mg塩基、スルホン酸Al塩基、スルホン酸Zn塩基、スルホン酸Sb塩基、スルホン酸Sn塩基等のスルホン酸金属塩基を挙げることができる。なお、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1においては、スルホン酸K塩が好適である。

0034

熱可塑性樹脂用帯電防止剤1は、高分子重合体の粒子からなる内層部2の表層にスルホン酸塩基が導入されて形成される表層部3の厚さは、高分子重合体粒子、すなわち熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の直径に対して1/2以下、好ましくは、1/5以下、更に好ましくは、1/10以下であることが望ましい。

0035

スルホン酸塩基が導入された表層部3の厚さを高分子重合体粒子(熱可塑性樹脂用帯電防止剤1)の直径に対して1/2以下とすることによって、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の吸水性が高くならず、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1間でブロッキングが発生することを防止でき、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が添加された被帯電性樹脂の機械的特性や経時安定性(特に高温高湿下)、リサイクル性が低下することを防止できる。

0036

表層部3の厚さは、例えば、TOF-SIMS(Time-of-Flight-Secondary Ion Mass Spectrometry)による熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の粒子断面の測定により容易に求めることができる。

0037

具体的に、TOF−SIMSを用いて測定した場合を例に挙げて、「表層部3の厚さの割合」について説明する。図2(A)は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の略中央における断面構成を模式的に表している。図2(B)は、(A)の点線X1に沿って測定した場合の硫黄元素二次イオン強度分布を模式的に表しており、横軸走査距離(μm)、縦軸は二次イオン強度を示している。TOF−SIMSを用いて熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の断面を図2(A)の点線X1に沿って走査しながら、硫黄元素の二次イオン強度を測定すると、図2(B)に示したように、表層部3が有するスルホン酸塩基の硫黄に起因して、2つの大きなピークが検出される。この場合には、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の外縁の位置を、この2つのピークの二次イオン強度の最大値Y11における走査距離X11およびX12とし、その差(走査距離X12−走査距離X11)から熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の粒子径(μm)が算出される。また、内層部2と表層部3との境界面の位置を、走査距離X11とX12との間に存在し、最大値Y11の50%値Y12における走査距離X21およびX22とし、その差(走査距離X22−走査距離X21)から内層部2の径(μm)が算出される。この熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の粒子径および内層部2の径から、表層部3の厚さの割合(%)=[(熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の粒子径−内層部2の径)/熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の粒子径]×100を算出する。なお、表層部3の厚さの割合は、算出可能であれば、上記の測定方法算出方法に限定されないことは言うまでもない。

0038

高分子重合体からなる内層部2の表層に対するスルホン酸塩基の導入率は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤の総重量に対して、硫黄分として0.6重量%〜13重量%、更に好ましくは0.6重量%〜6重量%の範囲である。

0039

高分子重合体に対するスルホン酸塩基の導入率が0.6重量%以上とすることによって、非帯電性樹脂組成物に対して帯電防止性を付与することができる。また、該高分子重合体に対するスルホン酸塩基の導入率を13重量%以下とすることによって、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の吸水性が高くならず、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1間でブロッキングが発生せず、又樹脂組成物との相溶性が低下せず、時間経過と共に非帯電性樹脂組成物の機械的強度劣化することも防止できる。

0040

内層部2の表層に対するスルホン酸塩基の導入率は、例えばスルホン化処理された該高分子重合体中に含有される硫黄(S)成分を燃焼フラスコ法等によって定量分析することで容易に求めることができる。

0041

そして、内層部2の表層に導入されるスルホン酸塩基は、スルホン化処理時の反応温度、反応時間、反応圧力、スルホン化剤の添加量ルイス塩基の添加量、該高分子重合体の粒子径等の条件を調整することにより、該スルホン酸塩基の導入率と導入深を調整することが可能となる。これらの方法の中でも、高分子重合体の粒子径(表面積)、スルホン化剤の添加量、スルホン化剤と反応させる際の反応圧力、時間、温度で調整することがより好ましい。

0042

なお、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1において、表層部3は、内層部2の表層全面を覆うように形成されていてもよく、また、内層部2の表層の一部に形成されていてもよい。また、表層部3は、層状に形成されていなくてもよい。

0043

以上のような熱可塑性樹脂用帯電防止剤1は、図3に示す工程を経て製造することができる。

0044

先ず、ステップS101において、高分子重合体を粉砕し、粒子状とする。高分子重合体を粉砕する方法は、例えば、液体窒素を用いて凍結粉砕する方法などが挙げられる。高分子重合体の粒子径は、上述したように、60メッシュパス品の重量が30重量%以上、かつ80メッシュパスが10重量%以上であることが好ましい。

0045

なお、粒子状の高分子重合体が用意可能であれば、粉砕しなくてもよい。この場合には、高分子重合体をモノマーから製造する際に、種々の重合方法(例えば、懸濁重合、塊状重合あるいはパール重合など)において、重合段階の条件により粒子状とし、その粒子径を調整してもよい。

0046

次に、ステップS102において、粉砕された高分子重合体の水分含有量が3.5重量%以下か確認する。粉砕された高分子重合体の水分含有量が3.5重量%超の場合(S102のNo)には、ステップS103の乾燥工程に進み、粉砕された高分子重合体を乾燥させ、その後、再度、水分含有量を確認する。粉砕された高分子重合体の水分含有量が3.5重量%以下の場合(S102のYes)には、ステップS104に進み、粒子状の高分子重合体にスルホン化剤を用いてスルホン化処理する。これにより、粒子状の高分子重合体の表層にスルホン酸塩基が導入されて表層部3が形成される。

0047

次に、ステップS105において、スルホン化処理が良好に行われたか、あるいはスルホン酸塩基が所定量導入されているかを確認するために硫黄分を測定する。なお、この際、硫黄分は測定してもよいし、測定しなくてもよく、測定しない場合には、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が完成したのち測定してもよい。

0048

次に、ステップS106において、表層部3が形成された高分子重合体を、アルカリ水溶液を用いて中和処理する。これにより、スルホン化剤が中和され、スルホン化反応が停止する。

0049

最後に、ステップS107において、ろ過などにより、中和液と分離し、取り出したのちに乾燥する。これにより、高分子重合体からなる内層部2の表層にスルホン酸塩基が導入されて形成された表層部3を有する熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が完成する。

0050

得られた熱可塑性樹脂用帯電防止剤1は、高分子重合体からなる内層部2の表層のみに帯電防止因子のスルホン酸塩基が導入されていることによって、吸湿性が低く抑えられている。これにより、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1は、粒子間のブロッキングが無く、且つ、被非帯電性樹脂(熱可塑性樹脂)へのブレンド性を低下させることなく、被非帯電性樹脂(熱可塑性樹脂)に帯電防止性を付与することが可能となる。

0051

また、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1は、帯電防止効果に優れ、且つ帯電防止性を長期間発現することが可能で、かつ耐久性、ハンドリング性に優れたものである。

0052

このような熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が添加される被非帯電性樹脂は、両方とも熱可塑性樹脂である。この熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1との溶融ブレンド時に、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の表層に存在するスルホン基が樹脂中に分散されることで帯電性防止性が付与され、帯電性防止性を発揮する。

0053

以上の熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が含有されることで帯電防止性が付与される樹脂組成物、すなわち非帯電性樹脂組成物の原料となる被非帯電性樹脂(熱可塑性樹脂)としては、例えばポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェにレンオキシド(PPO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスルホン(PSF)、ナイロン、ポリ乳酸(PLA)、液晶ポリマー(LCP)等を挙げることができ、これらのうち何れか一種類以上を5重量%以上含有しているものを用いることができる。すなわち、これらの被非帯電性樹脂は、一種類で用いてもよいし、複数種を混合した混合物(アロイ)として用いてよい。また、非帯電性樹脂組成物へ天然ゴム(NR)、IR(イソプレンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、HNBR(水素化ニトリルゴム)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンゴム)、シリコーンゴム(Q)、TPE(熱可塑性エラストマー)の少なくとも1種類以上を混合した混合物(アロイ)として用いても良い。

0054

上述した熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が含有されることで特に効果的に帯電防止性が付与される被非帯電性樹脂(熱可塑性樹脂)としては、例えばPC、ABS/PCアロイ、AS/PCアロイ、PC/PBTアロイ、ABS、PC/(HI)PSアロイ、PC/PLAアロイ、PVC/PCアロイ、PET/PCアロイ、PPO/PCアロイ、(HI)PS/PPOアロイ、ABS、AS、HIPS/ABS/PETアロイ、PET/PBTアロイ等の少なくとも1種類以上の樹脂を挙げることができる。

0055

このように、芳香族環で構成される高分子重合体の所定の範囲の粒子表層部にスルホン酸塩基の少なくとも一種類以上が所定量導入されているものを熱可塑性樹脂用帯電防止剤1として用いることで、多くの種類の被非帯電性樹脂を帯電防止化することが可能となる。

0056

また、被非帯電性樹脂には、上述した熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の熱可塑性樹脂と同様、例えば使用済みとなった回収材や工場内で排出された端材を用いることもできる。すなわち、回収樹脂を原料として使用することで低コスト化を図ることができる。

0057

また、非帯電性樹脂組成物において、被非帯電性樹脂に対する該熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の含有量は、3.5重量%〜80重量%の範囲が好ましい。

0058

被非帯電性樹脂に対する該熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の含有量を3.5重量%以上とすることによって、非帯電性樹脂組成物に対して帯電防止性を効果的に付与することができる。また、被非帯電性樹脂に対する熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の含有量を80重量%以下とすることによって、非帯電性樹脂組成物の機械的強度が低下することを防止できる。

0059

また、非帯電性樹脂組成物においては、上述した熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の他に、さらに帯電防止性を高める目的で、例えば従来公知の帯電防止剤等を添加させることもできる。

0060

従来公知の帯電防止剤としては、例えば非イオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤カチオン系帯電防止剤両性系帯電防止剤、導電性樹脂系帯電防止剤が挙げられ、これらのうちの何れか一種若しくは複数種を混合して用いることが可能である。

0061

具体的に、非イオン系帯電防止剤としては、例えばポリ(オキシエチレンアルキルアミド、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテルグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうちの何れか一種若しくは複数種を混合して用いることが可能である。

0062

アニオン系帯電防止剤としては、例えばアルキルスルホネートアルキルベンゼンスルホネートアルキルサルフェートアルキルホスフェート等が挙げられ、これらのうちの何れか一種若しくは複数種を混合して用いることが可能である。

0063

カチオン系帯電防止剤としては、例えば第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレート等が挙げられ、これらのうちの何れか一種若しくは複数種を混合して用いることが可能である。

0064

両性系帯電防止剤としては、例えアルキルペタイン型、アルキルイミダゾリン型アルキルアラニン型等が挙げられ、これらのうちの何れか一種若しくは複数種を混合して用いることが可能である。

0065

導電性樹脂帯電防止剤としては、例えポリビニルベンジルカチオンポリアクリル酸型カチオン等が挙げられ、これらのうちの何れか一種若しくは複数種を混合して用いることが可能である。

0066

以上で説明した従来公知の熱可塑性樹脂用帯電防止剤は、その種類や必要とされる帯電防止性のレベルや被非帯電性樹脂の種類によって異なるが、その含有量は、通常、被非帯電樹脂に対して0.1重量%〜10重量%の範囲であり、より好ましくは1重量%〜5重量%の範囲である。

0067

また、非帯電性樹脂組成物においては、上述した熱可塑性樹脂用帯電防止剤の他に、機械的強度の向上を図る目的で、例えば従来公知の無機充填剤等を添加させることもできる。

0068

従来公知の無機充填剤としては、例えば結晶性シリカ溶融シリカアルミナマグネシアタルクマイカカオリンクレー珪藻土ケイ酸カルシウム酸化チタンガラス繊維弗化カルシウム硫酸カルシウム硫酸バリウム燐酸カルシウム炭素繊維カーボンナノチューブチタン酸カリウム繊維等が挙げられ、これらのうちの何れか一種若しくは複数種を混合して用いることが可能である。これらの無機充填剤の中でも、タルク、マイカ、カーボンガラス、カーボンナノチューブを用いることが好ましい。

0069

無機充填剤を添加する場合は、非帯電性樹脂組成物に対して0.1重量%〜90重量%の範囲、好ましくは0.5重量%〜50重量%の範囲、さらに好ましくは1重量%〜30重量%の範囲で含有されている。

0070

無機充填剤の含有量を0.1重量%以上とすることによって、非帯電性樹脂組成物の剛性や帯電防止性の改善効果が低下することを防止できる。また、無機充填剤の含有量を90重量%以下とすることによって、非帯電性樹脂組成物を射出成形する際に溶融した非帯電性樹脂組成物の流動性が低下したり、機械的強度が低下したりするといった不具合が起こることを防止できる。

0071

さらにまた、非帯電性樹脂組成物においては、上述した帯電防止剤の他に、射出成形性耐衝撃性、外観、耐熱性、耐候性、剛性等の改善を目的で、例えば酸化防止剤フェノール系、リン系、硫黄系)、難燃剤紫外線吸収剤光安定化剤、可塑剤相溶化剤着色剤顔料染料)、抗菌剤加水分解防止剤表面処理剤等を添加させることもできる。

0072

そして、以上で説明した非帯電性樹脂組成物は、上述した熱可塑性樹脂用帯電防止剤1、被非帯電性樹脂、及びその他の添加剤等を、例えばタンブラーリブレンダーミキサー押出機コニーダ等といった混練装置にて略均一に分散させた後に、射出成形、射出圧縮成形押出成形ブロー成形真空成形プレス成形発泡成形超臨界成形等といった成形法により所定の形状に成形された状態で得られる。

0073

以上のような非帯電性樹脂組成物は、上述した高分子重合体からなる内層部2の表層のみにスルホン酸塩基が導入され、表層部3が形成された熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が添加されていることによって、添加された熱可塑性樹脂用帯電防止剤1の吸湿性が低く、粒子間のブロッキングが無く、且つ、被非帯電性樹脂(熱可塑性樹脂)とブレンド性が良いため、帯電防止性に優れている。

0074

また、非帯電性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤1が添加されていることによって、帯電防止効果に優れ、且つ帯電防止性を長期間発現することが可能であり、かつ耐久性、ハンドリング性に優れたものである。

0075

このような非帯電性樹脂組成物からなる成形品は、例えば家電製品、自動車情報機器、事務機器、電話機文房具家具、繊維等の各種製品の帯電防止性が付与された筐体や部品材として、種々の分野で用いられる。

0076

以下、上述した本発明を適用した熱可塑性樹脂用帯電防止剤及び非帯電性樹脂組成物の実施例、及び実施例に対して比較するための比較例について説明する。

0077

先ず、実施例及び比較例に含有される熱可塑性樹脂用帯電防止剤として実施サンプル及び比較サンプルを作製した。

0078

〔実施サンプル1〕
重量平均分子量(Mw)が28万のポリスチレン樹脂スチレン単位:100モル%)のペレットラボ粉砕機にて冷凍粉砕し(液体窒素を使用)、80メッシュスクリーンを通して粉末状とした。又、80メッシュパス品が99重量%であった。

0079

この粉末20gを、なす型フラスコに投入し、これをロータリーエバポレーター取り付けて60℃に加温して回転させた。この時、ポリスチレン樹脂粉末は、エバポレーターの回転によりフラスコ内で流動状態となった。

0080

次に、真空ポンプによりフラスコの脱気を行い(約0.1KPaまで減圧密閉した。

0081

次に、バルブの操作により、予め60℃に加熱しておいたSO3タンク(SO3を3g充填)からSO3ガスを脱気したフラスコに送り込んだ。この時、SO3ガスの注入により、フラスコ内の圧力は直ぐに常圧となったが、反応の進行と共に徐々に減圧状態に戻ったため、再度、SO3ガスを吹き込んだ。この操作を数回繰り返すことで3gのSO3ガスを全てフラスコ内に吹き込んだ。60℃で4時間反応を行った後、フラスコ内のSO3ガスを窒素置換した。

0082

次に、フラスコに水酸化カリウム水溶液を投入することでスルホン化物の中和(pH=7に調整)を行い、グラスフィルターでスルホン化物のろ過を行った。

0083

その後、ろ過物は水にて水洗された後、再度、ろ過を行った上で循風乾燥機(100℃)にて乾燥して白色の粉末:23gを得た(実施サンプル1)。

0084

実施サンプル1に関して、硫黄分の分析を行ったところ、含有される硫黄分は2.10重量%であった。また、TOF-SIMSでの測定により、スルホン酸カリウム塩が導入された層(表層部3)の厚さが該熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子の直径に対して6.7%であることが確認された。

0085

TOF−SIMSを用いて、実施例サンプル1の熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子の断面を測定したところ、図4に示した結果が得られた。図4(A)は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子の断面の写真であり、図4(B)は、(A)を模式的に表したものである。また、図4(C)は、図4(A)及び図4(B)中の線D1およびD2の間に挟まれた領域における硫黄元素の二次イオン強度の分布を表している。なお、図4(C)に示した走査距離X11およびX12は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子の外縁の位置を表し、走査距離X21およびX22は内層部2と表層部3との境界面の位置を示している。このことから、スルホン酸カリウム塩基が内層部2の表層に結合することにより、表層部3が形成されたことが確認された。また、その場合における表層部3の厚さの割合は、次のようにして求まる。表層部3の厚さの割合は、[(外周からSが検出されている深さ)/(粒径)]×100=[(2μm)/(30μm)]×100=6.7%であることが分かる。

0086

なお、上記した硫黄分の分析およびTOF−SIMSを用いた測定については、以降の実施サンプル及び比較サンプルにおいても同様に行った。

0087

〔実施サンプル2〕
実施サンプル2では、実施サンプル1と同一のポリスチレン樹脂粉末を用い、SO3ガス注入量を0.5gとした以外は実施サンプル1と同じ要領化学処理を行い、ポリスチレン樹脂粉末の表層にスルホン酸塩基を導入した。得られた実施サンプル2は、淡黄色の粉末で、含有される硫黄分は0.69重量%であった。

0088

〔実施サンプル3〕
実施サンプル3では、実施サンプル1と同一のポリスチレン樹脂粉末を用い、SO3ガス注入量を10gとした以外は実施サンプル1と同じ要領で化学処理を行い、ポリスチレン樹脂粉末の表層にスルホン酸塩基を導入した。得られた実施サンプル3は、色の粉末で、含有される硫黄分は5.80重量%であった。

0089

〔実施サンプル4〕
実施サンプル4では、先ず、実施サンプル1と同一のポリスチレン樹脂粉末を用い、SO3ガス注入量を1gとした以外は実施サンプル1と同じ要領で化学処理を行い、得られたスルホン化物へ水酸化ナトリウム水溶液を投入することでスルホン化物の中和(pH=7に調整)を行いグラスフィルターでスルホン化物のろ過を行い、ポリスチレン樹脂粉末の表層にスルホン酸塩基を導入した。

0090

その後、ろ過物は水にて水洗された後、再度ろ過を行った上で、循風乾燥機(100℃)にて乾燥して白色の粉末を得た。得られた実施サンプル4は、淡黄色の粉末で、含有される硫黄分は0.69重量%であった。

0091

〔実施サンプル5〕
実施例サンプル5では、重量平均分子量(Mw)が11万(ポリスチレン換算)でアクリロニトリル単位が43モル%、スチレン単位が57モル%の使用済みの業務用ビデオカセットの透明リール廃材(AS樹脂)を原料として用いた。なお、同粉末は80メッシュパス品が98重量%であった。同粉末へSO3ガス注入量を3gとした以外は実施サンプル1と同じ要領で化学処理を行い、AS樹脂粉末の表層にスルホン酸塩基を導入した。得られた実施サンプル5は、淡黄色の粉末で、含有される硫黄分は2.20重量%であった。また、TOF-SIMSでの測定より、スルホン酸カリウム塩が導入された層(表層部3)の厚さが該熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子の直径の長さに対して8.5%であることが確認された。

0092

〔実施サンプル6〕
実施例サンプル6では、実施サンプル5と同一の樹脂粉末を用い、SO3ガス注入量を0.5gとした以外は実施サンプル1と同じ要領で化学処理を行い、AS樹脂粉末の表層にスルホン酸塩基を導入した。得られた実施サンプル6は淡黄色の粉末で、含有される硫黄分は0.63重量%であった。

0093

〔実施サンプル7〕
実施例サンプル7では、先ず、実施サンプル5と同一の樹脂粉末を用い、SO3ガス注入量を2gとした以外は実施サンプル1と同じ要領で化学処理を行い、得られたスルホン化物へ水酸化ナトリウム水溶液を投入することでスルホン化物の中和(pH=7に調整)を行いグラスフィルターでスルホン化物のろ過を行い、AS樹脂粉末の表層にスルホン酸塩基を導入した。

0094

その後、ろ過物は水にて水洗された後、再度ろ過を行った上で循風乾燥機(100℃)にて乾燥して白色の粉末を得た。得られた実施サンプル7は、淡黄色の粉末で、含有される硫黄分は1.29重量%であった。

0095

〔実施サンプル8〕
実施サンプル8では、実施サンプル5と同一の樹脂粉末を用い、SO3ガス注入量を5gとした以外は実施サンプル7と同じ要領で化学処理を行い、AS樹脂粉末の表層にスルホン酸塩基を導入した。得られた実施サンプル8は、淡茶色の粉末で、含有される硫黄分は3.26重量%であった。

0096

〔比較サンプル1〕
比較サンプル1では、市販のポリスチレンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:70000、含有硫黄分:15.3重量%)を用いた。

0097

比較サンプル1では、TOF-SIMSでの測定により、スルホン酸ナトリウム塩が導入された層の厚さが該熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子の直径の100%(全面)であることが確認された。

0098

TOF−SIMSを用いて、比較サンプル1の熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子の断面を測定したところ、図5に示した結果が得られた。図5(A)は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子の断面の写真であり、図5(B)は、(A)を模式的に表したものである。また、図5(C)は、図5(A)及び図5(B)中の線D3の間に挟まれた領域における硫黄元素の二次イオン強度の分布を表している。なお、図5(C)に示した走査距離X13、X14は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子4の外縁の位置を表し、走査距離X15、X16は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子5の外縁の位置を表するものである。比較サンプル1では、実施サンプル1等のように、内層部の表層に表層部が形成されたものではなかった。熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子4のスルホン酸ナトリウム塩が導入されている厚さの割合は、[(外周からSが検出されている深さ)/(粒径)]×100=[(16μm)/(16μm)]×100=100(%)である。また、熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子4について、スルホン酸ナトリウム塩が導入されている厚さの割合は、[(外周からSが検出されている深さ)/(粒径)]×100=[(7μm)/(7μm)]×100=100(%)である。

0099

〔比較サンプル2〕
比較サンプル2では、市販のポリスチレンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:500000、含有硫黄分:17.3重量%)を比較サンプル2として用いた。比較サンプル2においても、TOF−SIMSでの測定により、スルホン酸カリウム塩が導入された層の厚さが該熱可塑性樹脂用帯電防止剤粒子の直径に対して100%であることが確認された。

0100

以上のスルホン化サンプルをスルホン酸塩系熱可塑性樹脂帯電防止剤として、下記に示すポリカーボネート(PC)樹脂とブレンドを行い、得られた非帯電性樹脂組成物に対して下記に示す各種樹脂特性について測定を行った。結果を表1に示す。

0101

被非帯電性樹脂には、PC樹脂汎用グレード中分子量PC樹脂、重量平均分子量:43000−GPC法、ポリスチレン換算)を用いた。

0102

熱可塑性樹脂帯電防止剤の吸湿性評価は、試薬瓶の蓋を開けた状態で24時間放置後の粒子状態(流動性、大きさ等)を確認して行った。

0103

ブレンド性評価は、PC樹脂と粉末状熱可塑性樹脂帯電防止剤を一軸スクリュー混練押出機(株式会社井元製作所製)にてブレンド性を確認して行った。

0104

帯電防止性の評価は、PC樹脂と粉末状熱可塑性樹脂帯電防止剤とをブレンドして作製した非帯電性樹脂組成物で試験片(39mm×39mm×1mm)を作製し、この試験片を温度20℃、相対湿度35%の実験室に1日間保存した後、同条件下にて板状試料体積抵抗率測定を抵抗測定装置アジレントテクノロジー製、ハイレジスタントメータ4339B)を用いて印可電圧500V、印可時間60秒で板状試料の体積抵抗率X(Ω/cm)を測定した。

0105

0106

表1中の実施例1と、比較例1については、それぞれ対比する実施サンプル1と比較サンプル1を用いて同一条件で熱可塑性樹脂帯電防止剤、及び熱可塑性樹脂帯電防止剤を添加した非帯電性樹脂組成物について比較したものである。

0107

表1に示す結果から、実施サンプル1は、吸湿性が低く開放系放置しても粒子間のブロッキングは発生しないのに比べ、比較サンプル1は粒子間でブロッキングが発生した。24時間放置後の重量を測定したところ、開始時に比べて10重量%以上増加していた(実施サンプル1は1%未満であった)。これは、実施サンプル1は、スルホン酸カリウム塩がポリスチレン樹脂からなる粒子の表層にしか導入されていないため、吸水性が低く、ブロッキングが防止された。一方、比較サンプル1は、スルホン酸塩基が内部まで導入されていることから、吸水性が高くなり、ブロッキングが発生した。

0108

また、表1に示す結果から、100重量分のPC樹脂に対して実施サンプル1を3.5重量%ブレンドした実施例1と、PC樹脂単体のみの比較例2を比べると、実施例1では、実施サンプル1の添加により、体積抵抗値の低下が確認できた。又、実施例1と、比較サンプル1を3.5重量%ブレンドした比較例1を比べると、実施例1は、比較例1よりも硫黄量が低いのにもかかわらず体積抵抗値の減少が確認できた。さらに、比較例1は、実施例1と同等の添加量にもかかわらず樹脂剛性が低下した。

0109

次に、実施サンプル1〜実施サンプル4を用いた実施例2〜実施例6と、比較サンプル1及び比較サンプル2を用いた比較例3及び比較例4の各種樹脂特性の測定を行った結果を表2に示す。

0110

0111

表2に示す結果から、100重量分のPC樹脂に対し、実施サンプル1〜4を60重量%ブレンドした実施例2〜実施例4、実施例6と、実施サンプル1を80重量%ブレンドした実施例5と、比較サンプル1及び比較サンプル2を60重量%ブレンドした比較例3、比較例4とを比べると、実施例2〜4では、硫黄量が比較例3及び比較例4よりも低いのにもかかわらず、体積抵抗値の大幅な減少が確認できた。一方、比較例3及び比較例4は、実施例2〜4と同等の添加量にもかかわらず樹脂剛性が低下し、且つブレンドが困難であった。また、実施サンプル1を80重量%ブレンドした実施例5では、体積抵抗値が大幅に減少し、且つ樹脂剛性の減少も確認できなかった。これらは、特に、実施例2〜5の熱可塑性樹脂帯電防止剤が表層のみスルホン化されているため、ブレンド時の加熱により熱可塑性樹脂帯電防止剤の熱可塑性樹脂部分が溶融しブレンド性を向上させていると考えられる。

0112

さらに、導入されたスルホン酸塩基がスルホン酸ナトリウム塩である実施例6では、スルホン酸塩基導入率が、同じスルホン酸ナトリウム塩を用いた比較例3及び比較例4より低いのにかかわらず、体積抵抗値が比較例3及び比較例4と同等であった。

0113

次に、実施サンプル5〜実施サンプル8を用いた実施例7〜実施例10についても、各種樹脂特性の測定を行った結果を表3に示し、比較サンプル1及び比較サンプル2を用いた比較例3及び比較例4と比較して評価を行った。

0114

0115

表3に示す結果から、100重量分のPC樹脂に対し、実施サンプル5〜実施サンプル6を60重量%ブレンドした実施例7、実施例8と、比較サンプル1及び比較サンプル2を60%ブレンドした比較例3、比較例4とを比べると、実施例7、実施例8では、硫黄量が比較例3及び比較例4よりも低いのにもかかわらず、体積抵抗値の大幅な減少が確認できた。一方、比較例3及び比較例4は、実施例7、実施例8と同等の添加量にもかかわらず樹脂剛性が低下し、且つブレンドが困難であった。

0116

さらに、スルホン酸ナトリウム塩である実施例9及び実施例10では、スルホン酸塩基導入率が、同じスルホン酸ナトリウム塩を用いた比較例3及び比較例4より低いのにかかわらず、体積抵抗値が比較例3及び比較例4と同等であった。

0117

以上の結果より、本発明を適用した実施サンプル1〜実施サンプル8の粉末状熱可塑性樹脂用帯電防止剤及びこの熱可塑性樹脂用帯電防止剤を含有した非帯電性樹脂は、ハンドリング面やブレンド性、帯電防止性において、非常に優れていることが分る。

図面の簡単な説明

0118

本発明を適用した熱可塑性樹脂用帯電防止剤の断面図である。
図1に示した熱可塑性樹脂用帯電防止剤の断面構造と二次イオン強度の分布との関係を表す図であり、(A)は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤の断面構造であり、(B)は、二次イオン強度の分布である。
熱可塑性樹脂用帯電防止剤の製造方法を表す流れ図である。
実施サンプル1の熱可塑性樹脂用帯電防止剤における二次イオンの分布を示す図であり、(A)は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤の断面を表す写真であり、(B)は、(A)に示した熱可塑性樹脂用帯電防止剤の断面の模式図であり、(C)は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤の二次イオン強度の分布を表す図である。
比較サンプル1の熱可塑性樹脂用帯電防止剤の断面における二次イオンの分布を示す図であり、(A)は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤の断面を表す写真であり、(B)は、(A)に示した熱可塑性樹脂用帯電防止剤の断面の模式図であり、(C)は、熱可塑性樹脂用帯電防止剤の二次イオン強度の分布を表す図である。

符号の説明

0119

1熱可塑性樹脂用帯電防止剤、2内層部、3表層部、4 熱可塑性樹脂用帯電防止剤、5 熱可塑性樹脂用帯電防止剤

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