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技術 樹脂被覆アルミニウム合金板およびその樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたHDDケース,HDD及び樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法

出願人 株式会社UACJ
発明者 加藤治斎藤正次
出願日 2008年7月11日 (12年4ヶ月経過) 出願番号 2008-182069
公開日 2010年1月28日 (10年10ヶ月経過) 公開番号 2010-017979
状態 特許登録済
技術分野 被包材 流動性材料の適用方法、塗布方法 特殊記録再生装置の構造 積層体(2) 動的記録再生装置のキャビネット
主要キーワード ヘキサデカン換算 市販塗料 HDDケース 素地金属板 樹脂被覆材 樹脂皮膜表面 ハードディスクドライブケース 後洗浄液
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年1月28日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

DD高密度化,小型化に対応し,充分な成形性を確保しながら,良好な汚染性アウトガス性を備えた樹脂被覆アルミニウム合金板およびその樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたHDDケース,HDD及び樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法を提供する。

解決手段

MEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤1a、1b、1cが脱落して樹脂層表面3aに形成される,直径Hが樹脂層厚さtの2倍以上である穴の個数を100個/平方mm以下にすれば,樹脂層表面3aにおける直径の大きな粒状潤滑剤が過剰に存在するのを防止して,表面の粒状潤滑剤1a、1b、1cがプレス後洗浄時に脱落して生じる汚染物質を十分少なくでき,同時に成形性の観点,特に高さが高い形状に深絞り成形する場合の成形性を確保することができる。

概要

背景

DDケースには樹脂被覆アルミニウム合金板が用いられており,主な要求性能としては成形性,汚染性アウトガス性がある。HDD内部のデータアクセスのための機構は非常に精密であり,微小汚染物質も問題となる場合がある。
汚染性とはプレス成形後洗浄時に成形したケースから発生する汚染物質の量の多少である。汚染物質の量が多いとケース内面再付着した汚染物質によってHDDの機構に悪影響を及ぼす場合がある。

アウトガス性とはHDDが実際に使用される際,器機温度上昇によってケースの樹脂層から発生するガス量の多少である。成形性の点からは樹脂層をアルミニウム合金板の両面に塗装した方がよい。しかし,樹脂層をアルミニウム合金板の両面に塗装した場合,ケースの内面にも樹脂層が存在し,この樹脂層からのアウトガスがHDDの内部機構に悪影響を及ぼす場合がある。特にケース内部の容積が小さい2.5インチ以下のHDDにおいて顕著である。

特許文献1にはアルミニウム合金素板の片面に,摩擦係数が0.3以下,表面粗度Raが1.0〜30μmの有機樹脂皮膜が6μm以上の厚さに形成されていることを特徴とするHDDケース用アルミニウム合金板が提案されており,摩擦係数を低下させて成形性を向上させる方法としてワックス添加が提案されている。

特許文献2には素地金属板の表面に樹脂皮膜被覆されると共に,該皮膜上に固体潤滑剤が固着されたものであり,前記固体潤滑剤は樹脂皮膜表面からの突出高さが0.01〜1.5μmであり,且つ固体潤滑剤の平面視において占める面積率が1〜15%未満であることを特徴とする耐型かじり性および耐食性に優れた樹脂被覆金属板が提案されている。

特許第3234541号公報
特開平10−052881号公報

概要

HDDの高密度化,小型化に対応し,充分な成形性を確保しながら,良好な汚染性,アウトガス性を備えた樹脂被覆アルミニウム合金板およびその樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたHDDケース,HDD及び樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法を提供する。MEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤1a、1b、1cが脱落して樹脂層表面3aに形成される,直径Hが樹脂層厚さtの2倍以上である穴の個数を100個/平方mm以下にすれば,樹脂層表面3aにおける直径の大きな粒状潤滑剤が過剰に存在するのを防止して,表面の粒状潤滑剤1a、1b、1cがプレス後の洗浄時に脱落して生じる汚染物質を十分少なくでき,同時に成形性の観点,特に高さが高い形状に深絞り成形する場合の成形性を確保することができる。

目的

本発明は以上の問題に鑑み,HDDの高密度化,小型化に対応し,充分な成形性を確保しながら,良好な汚染性,アウトガス性を備えた樹脂被覆アルミニウム合金板およびその樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたHDDケース,HDD及び樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
0件

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請求項1

アルミニウム合金板の少なくとも片面に厚さが0.1μm以上22μm以下の樹脂層を形成してなり,MEK(メチルエチルケトン,以下同じ。)による超音波洗浄によって粒状潤滑剤脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mm以下であり,樹脂層のMEK抽出率が5%以上40%以下であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板

請求項2

樹脂被覆アルミニウム合金板において,樹脂層が主にエポキシ系樹脂あるいはポリエステル系樹脂よりなることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆アルミニウム合金板材。

請求項3

樹脂被覆アルミニウム合金板において,樹脂層中にS化合物を0.1重量%以上10重量%以下含み,200℃で30分加熱したときに発生するアウトガスGC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)にて分析したときに,S化合物がnヘキサデカン換算で5ppm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂被覆アルミニウム合金板材。

請求項4

樹脂被覆アルミニウム合金板において,樹脂層中にSn化合物を0.1重量%以上10重量%以下含み,200℃で30分加熱したときに発生するアウトガスをGC−MS(ガスクロマトグラフ−質量分析装置)にて分析したときに,Sn化合物がnヘキサデカン換算で5ppm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一に記載の樹脂被覆アルミニウム合金板材。

請求項5

樹脂被覆アルミニウム合金板において,樹脂層中にSi化合物を0.1重量%以上10重量%以下含み,200℃で30分加熱したときに発生するアウトガスをGC−MS(ガスクロマトグラフ−質量分析装置)にて分析したときに,Si化合物がnヘキサデカン換算で5ppm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一に記載の樹脂被覆アルミニウム合金板材。

請求項6

樹脂被覆アルミニウム合金板において,用いるアルミニウム合金板材表面粗度がRa(中心線平均粗さ)で0.1μm以上0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一に記載の樹脂被覆アルミニウム合金板材。

請求項7

樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法において,平均粒径塗装にて形成される樹脂層厚さの2倍以下である粒状潤滑剤を固形分に対して0.1重量%以上5重量%以下添加した塗料を,(T2−T1)が20秒以下となるように焼き付けることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法。T1:粒状潤滑剤の融点を基準として6度高い温度に焼き付け温度が到達する時間T2:最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間

請求項8

樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法において,固形分に対して0.1重量%以上10重量%以下のS化合物を含む塗料を,T2が10秒以上になるように焼き付けることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板材の製造方法。T2:最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間

請求項9

樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法において,固形分に対して0.1重量%以上10重量%以下のSn化合物を含む塗料を,T2が10秒以上になるように焼き付けることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板材の製造方法。T2:最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間

請求項10

樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法において,固形分に対して0.1重量%以上10重量%以下のSi化合物を含む塗料を,T2が30秒以下になるように焼き付けることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板材の製造方法。T2:最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間

請求項11

請求項1〜請求項6のいずれか一に記載の樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたハードディスクドライブケース

請求項12

請求項1〜請求項6のいずれか一に記載の樹脂被覆アルミニウム合金板をケースに用いたハードディスクドライブケースを用いたハードディスクドライブ

技術分野

0001

本発明はハードディスクドライブ(以下HDDと略す。)のケースに用いられる樹脂被覆アルミニウム合金板およびその樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたHDDケース,HDDに関する。

背景技術

0002

HDDのケースには樹脂被覆アルミニウム合金板が用いられており,主な要求性能としては成形性,汚染性アウトガス性がある。HDD内部のデータアクセスのための機構は非常に精密であり,微小汚染物質も問題となる場合がある。
汚染性とはプレス成形後洗浄時に成形したケースから発生する汚染物質の量の多少である。汚染物質の量が多いとケース内面再付着した汚染物質によってHDDの機構に悪影響を及ぼす場合がある。

0003

アウトガス性とはHDDが実際に使用される際,器機温度上昇によってケースの樹脂層から発生するガス量の多少である。成形性の点からは樹脂層をアルミニウム合金板の両面に塗装した方がよい。しかし,樹脂層をアルミニウム合金板の両面に塗装した場合,ケースの内面にも樹脂層が存在し,この樹脂層からのアウトガスがHDDの内部機構に悪影響を及ぼす場合がある。特にケース内部の容積が小さい2.5インチ以下のHDDにおいて顕著である。

0004

特許文献1にはアルミニウム合金素板の片面に,摩擦係数が0.3以下,表面粗度Raが1.0〜30μmの有機樹脂皮膜が6μm以上の厚さに形成されていることを特徴とするHDDケース用アルミニウム合金板が提案されており,摩擦係数を低下させて成形性を向上させる方法としてワックス添加が提案されている。

0005

特許文献2には素地金属板の表面に樹脂皮膜被覆されると共に,該皮膜上に固体潤滑剤が固着されたものであり,前記固体潤滑剤は樹脂皮膜表面からの突出高さが0.01〜1.5μmであり,且つ固体潤滑剤の平面視において占める面積率が1〜15%未満であることを特徴とする耐型かじり性および耐食性に優れた樹脂被覆金属板が提案されている。

0006

特許第3234541号公報
特開平10−052881号公報

発明が解決しようとする課題

0007

近年のHDDの高密度化,小型化に伴い,汚染性およびアウトガス性の要求が厳しくなってきている。このような状況の中で,これらの樹脂被覆したアルミニウム合金板材金属板材では,十分な汚染性やアウトガス性が得られない場合があった。
特許文献1に開示される技術ではケースに成形後プレス油を洗浄した際,樹脂層中のワックスや樹脂ビーズ洗浄液中脱落し,ケース内面に再付着してHDDの内部機構に影響を与える場合があった。特許文献1に開示される技術は片面のみに樹脂層を形成する技術であるが,成形性が不足する場合,この皮膜を両面に形成することは有効である。しかし,両面に形成すると,樹脂層の硬化状態や含有する添加物によってはケース内面の樹脂層からアウトガスが発生し,HDDの内部機構に影響を与える場合があった。

0008

特許文献2に開示される技術では,樹脂層表面の固体潤滑剤の脱落を防止するため,固体潤滑剤の突出高さと面積率を規定している。しかし,HDDケースに用いる場合はこの規定でも汚染性が不十分な場合があり,樹脂層の硬化状態や含有する添加物によってはアウトガス性にも問題がある場合があった。

0009

本発明は以上の問題に鑑み,HDDの高密度化,小型化に対応し,充分な成形性を確保しながら,良好な汚染性,アウトガス性を備えた樹脂被覆アルミニウム合金板およびその樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたHDDケース,HDD及び樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

以下のような樹脂被覆アルミニウム合金板を用いることにより,汚染性,成形性,アウトガス性に優れるHDDケースを得ることができる。
(1)アルミニウム合金板の少なくとも片面に厚さが0.1μm以上22μm以下の樹脂層を形成してなり,MEK(メチルエチルケトン,以下同じ。)による超音波洗浄によって粒状潤滑剤が脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mm以下であり,硬化後の樹脂層のMEK抽出率が5%以上40%以下であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板。

0011

(2)さらに,樹脂被覆アルミニウム合金板において,樹脂層が主にエポキシ系樹脂あるいはポリエステル系樹脂よりなることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板材。

0012

(3)さらに,樹脂被覆アルミニウム合金板において,樹脂層中にS化合物を0.1重量%以上10重量%以下含み,200℃で30分加熱したときに発生するアウトガスをGC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)にて分析したときに,S化合物がnヘキサデカン換算で5ppm以下であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板材。

0013

(4)さらに,樹脂被覆アルミニウム合金板において,樹脂層中にSn化合物を0.1重量%以上10重量%以下含み,200℃で30分加熱したときに発生するアウトガスをGC−MS(ガスクロマトグラフ−質量分析装置)にて分析したときに,Sn化合物がnヘキサデカン換算で5ppm以下であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板材。

0014

(5)さらに,樹脂被覆アルミニウム合金板において,樹脂層中にSi化合物を0.1重量%以上10重量%以下含み,200℃で30分加熱したときに発生するアウトガスをGC−MS(ガスクロマトグラフ−質量分析装置)にて分析したときに,Si化合物がnヘキサデカン換算で5ppm以下であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板材。

0015

(6)さらに,樹脂被覆アルミニウム合金板において,用いるアルミニウム合金板材の表面粗度がRa(中心線平均粗さ)で0.1μm以上0.5μm以下であることを特徴とする樹脂被覆アルミニウム合金板材。

0016

本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法は,樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法において,平均粒径が塗装にて形成される樹脂層厚さの2倍以下である粒状潤滑剤を固形分に対して0.1重量%以上5重量%以下添加した塗料を,(T2−T1)が20秒以下となるように焼き付けることを特徴とする。
T1:粒状潤滑剤の融点を基準として6度高い温度に焼き付け温度が到達する時間
T2:最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間

0017

また本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板材の製造方法は,樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法において,固形分に対して0.1重量%以上10重量%以下のS化合物を含む塗料を,T2が10秒以上になるように焼き付けることを特徴とする。
T2:最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間

0018

さらに本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板材の製造方法は,樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法において,固形分に対して0.1重量%以上10重量%以下のSn化合物を含む塗料を,T2が10秒以上になるように焼き付けることを特徴とする。
T2:最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間

0019

加えて本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板材の製造方法は,樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法において,固形分に対して0.1重量%以上10重量%以下のSi化合物を含む塗料を,T2が30秒以下になるように焼き付けることを特徴とする。
T2:最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間

0020

本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたハードディスクドライブケース及び本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板をケースに用いたハードディスクドライブケースを用いたハードディスクドライブが好適である。

発明の効果

0021

本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板およびその樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたHDDケース,HDD及び樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法によれば,HDDの高密度化,小型化に対応し,充分な成形性を確保しながら,良好な汚染性,アウトガス性を実現することができる。

発明を実施するための最良の形態

0022

以下,本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。
(1)表面潤滑剤の規定
HDDはデータアクセスのために非常に精密な機械部品を有することから,ケース内面への汚染物質付着には非常に厳しい要求がある。
一方,樹脂被覆アルミニウム合金板にあっては,その成形性を向上させるために樹脂層に潤滑剤を添加することが行われ,この表面の粒状潤滑剤が樹脂層表面の潤滑性を向上させることによって成形性を向上させる。また,添加する粒状潤滑剤は粒径が大きい方が,さらに添加量が多い方が成形性向上効果が高い傾向がある。

0023

しかし,同時にこの表面の粒状潤滑剤がプレス後の洗浄時に脱落して汚染物質になってしまう場合がある。洗浄液が脱落した粒状潤滑剤によって汚染されると,その汚染物質が樹脂被覆アルミニウム合金板に再付着し,これをハードディスクドライブを収納するケースとして用いた場合には,ケース内面に付着した汚染物質がHDDの内部機構が機能する際に悪影響を及ぼす可能性が否定できない。

0024

塗料に粒状潤滑剤を添加してアルミニウム合金表面の樹脂層に粒状潤滑剤を存在させる。個々の粒状潤滑剤は粒状潤滑剤と樹脂層、あるいは空気との界面の面積がもっとも小さい形状つまり球形になると考えられ,樹脂層内のさまざまな深さ,さまざまな大きさで存在する。

0025

図1に示される様に塗料に粒状潤滑剤1を添加してアルミニウム合金層2表面の樹脂層3に粒状潤滑剤1を存在させる場合,樹脂層3内に分布する粒状潤滑剤1は,2t(樹脂層厚さの2倍)>直径であり樹脂層3最表面3aより水平方向に引いた直線hに対して,粒状潤滑剤1の水平方向で球の中心を通る水平に引いた直線Hが,内側(アルミニウム合金層2側)になる粒状潤滑剤1aであれば強固に樹脂層3に保持され脱落し難い。一方,2t<直径であり,Hがhよりも外側(空気層4側)にある粒状潤滑剤1cは樹脂層3に保持されず脱落し易くなる。
つまり,樹脂層厚さ(t)の2倍を越える直径の粒状潤滑剤1cはいかなる深さにおいても脱落し易いこととなり,2倍を越える粒状潤滑剤1cを制御すれば汚染性に優れた樹脂層3を得ることが可能となる。

0026

このためには塗料に粒状潤滑剤を添加するときの粒径を制御することが考えられる。しかし,潤滑剤の融点は樹脂が硬化する温度に比較して低いので,塗料焼付中に液体となり,塗料の対流にともなって表面で濡れ広がるものや,塗料中で他の潤滑剤と結合して大きく成長するものも存在し,塗料中に存在するときの形状そのままに樹脂層中に存在するわけではないと考えられる。そこで,汚染性に優れるように表面の粒状潤滑剤を規定するには,樹脂層形成後に存在する粒状潤滑剤で規定する必要がある。

0027

ここで,樹脂層中の粒状潤滑剤は以下のように調査する。すなわち,常温のMEKを用いて樹脂被覆アルミニウム合金板材を10分間超音波洗浄し,SEM走査型電子顕微鏡)にてその超音波洗浄した樹脂被覆アルミニウム合金板材の二次電子像を観察する。MEKにて超音波洗浄することにより,樹脂層がわずかに溶けるとともに膨潤して軟化することから粒状潤滑剤が脱落し,脱落によってできた穴が観察される。SEMによって加速電圧5〜10kVで傾斜をかけずに観察したときに穴に見えるもの(コントラストを高くしたとき,穴の周囲がエッジ効果で白くなり,その中は黒く,穴と明確に認識できるもの)が粒状潤滑剤が脱落した穴である。これによって,粒状潤滑剤の樹脂層表面における存在状態を知ることができる。

0028

ところで,粒状潤滑剤が脱落してできた穴の直径は,そこに存在していた粒状潤滑剤の直径以下である。つまり,粒状潤滑剤の中心より水平方向に引いた直線と樹脂層表面が一致していた場合,穴の直径と粒状潤滑剤の直径が同じになり,一致しない場合は粒状潤滑剤が存在していたときの穴の直径より粒状潤滑剤の直径は大きい。
したがって,上記方法で観察される穴の数を測定することにより,その穴の直径以上の直径を有する粒状潤滑剤の数を見積もることができる。

0029

種々の潤滑剤を厚さを変化させた樹脂層に添加して樹脂被覆アルミニウム合金板材を製造し,上記の方法にて,直径が樹脂層厚さ以上の穴の数を測定した。この樹脂被覆アルミニウム合金板材をプレス成形し,プレス油を洗浄した後の洗浄液中の汚染物質の個数を調査した。その樹脂層表面に観察された穴の数と汚染性の関係を調査した結果,相関があることが確認された。具体的には,MEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤が脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mm以下になるように粒状潤滑剤を制御すれば,洗浄液の汚染物質を十分少なくできることを見いだした。好ましくは50個/平方mmである。
一方,直径が樹脂層厚さの2倍未満の穴の個数は比較的小さい粒状潤滑剤の個数に関連しており,この穴の個数が著しく少ないと成形性が不足する場合がある。具体的には直径が樹脂層厚さの2倍未満の穴の個数は10個以上が好ましい。

0030

平均粒径が樹脂層厚さの2倍以下になるように,カルナバワックスポリエチレンワックスマイクロワックスラノリン等を塗料固形分に対して0.1wt%以上5wt%以下添加し,これが小さい粒径のままで樹脂層に分散するように焼付を実施する。
粒状潤滑剤の粒径が大きくなってしまうのは,粒状潤滑剤が溶融した状態である時間が長すぎると潤滑剤と樹脂層の主たる樹脂の界面エネルギーが小さくなるように,個々の潤滑剤が結合して粒径が成長してしまう。同一体積であれば,粒径が大きいほど表面積が小さくなり,界面エネルギーが小さくなるからである。

0031

そこで,焼付時に潤滑剤の融点を超えて主たる樹脂の硬化がある程度すすむまでの時間を規定することによって,十分な成形性を有して,汚染性にも優れる樹脂被覆アルミニウム合金板材を得ることができる。
具体的には粒状潤滑剤の融点を基準として6度高い温度に焼き付け温度が到達する時間をT1とし,最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間をT2とした場合に,潤滑剤の焼き付け工程を(T2−T1)が2秒以上20秒以下になるように焼き付けることが好ましい。2秒未満では塗料が沸騰して樹脂層に欠陥が発生し,成形性が低下する場合があり,20秒を超えると直径が樹脂層厚さの2倍以上のMEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)が100個/平方mmを超える場合がある。

0032

(2)アウトガス量を少なくするための規定
HDDの内部機構に悪影響を及ぼすアウトガスとは,HDDそれ自体やコンピュータ基盤などが発生する熱によって樹脂層が加熱されたときに発生するガスである。
HDDケースに樹脂被覆アルミニウム合金板材を用いる場合,ガス源となるのは,
(i)樹脂層中に架橋せずに低分子量で存在しているモノマー残留溶剤である。
この(i)がガス源となるのは,HDDの実使用時に,集積回路発熱等によって加熱されると前記モノマーや添加物が昇華したり,溶剤蒸発してアウトガスになることによるものと推定される。

0033

またその他にガス源となるものとして,
(ii)S(硫黄)化合物(スルホン酸系触媒など)あるいはSn(錫)化合物(有機Sn系触媒など)やSi(シリコン)化合物(シリコーン系消泡剤シリコーン系潤滑剤シリコーン系防汚性添加剤親水化剤),シランカップリング剤など)がある。
この(ii)に示すガス源は微量でもHDDの内部機構に悪影響を及ぼすことが知られている。
(ii)に示すS化合物あるいはSn化合物は塗料を硬化させるために市販塗料に広く用いられている。この様な市販塗料を用いればHDDケース用樹脂被覆アルミニウム合金板材に用いる開発コストを抑えることができる。しかしその場合には,S化合物あるいはSn化合物からアウトガスを発生させないように塗装する必要がある。

0034

また,アウトガス量は樹脂被覆アルミニウム合金板材を加熱したときに発生するガスをGC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)にて分析することによって,定量することができる。このガスの定量は得られたトータルイオンクロマトグラムピークをnヘキサデカン検量線を用いて定量化するnヘキサデカン換算値にて行うことができる。 また,S化合物,Sn化合物,Si化合物の定量もGC/MSにて検出される物質のみを対象とし,定量はnヘキサデカン換算値にて行うことができる。

0035

(i)樹脂層中に架橋せずに低分子量で存在しているモノマー,残留溶剤から発生するアウトガス低減方法
(i)のモノマーと残留溶剤については,硬化を十分促進することによって,アウトガスを低減することができる。しかし,一方で硬化が進みすぎると樹脂層の伸びが小さくなり,十分な成形性が得られない。樹脂層中のモノマーや残留溶剤の量を直接測定することは困難であるが,MEK抽出率を測定することによって,硬化の促進の程度を計測し,間接的な測定を行うことができる。

0036

種々の塗料を用いて塗料を調合し,焼付条件を変化させて塗装することによって樹脂層を形成し,沸騰条件下でのMEK抽出率を測定した結果,抽出率が40%以下であれば,HDDケース材として十分なアウトガス性を有することがわかった。好ましくは,20%以下である。

0037

一方,樹脂層の硬化が進みすぎると樹脂層の伸びが小さくなり過ぎ,抽出率が5%未満では十分な成形性が得られない。したがって,抽出率は5%以上40%以下でなければならない。好ましくは10%以上20%以下である。塗装にてこのような抽出率を有する硬化状態を得るには,焼付における最終硬化温度を規定すればよい。

0038

(ii) S化合物,Sn化合物,Si化合物から発生するアウトガス低減方法
S化合物,Sn化合物,Si化合物は特に微量でも悪影響が大きいので,2.5インチ以下のケース内容量の小さいHDDに使用する場合は,前記のように抽出率の規定だけでは不十分な場合がある。したがって,これらの化合物を添加した樹脂層を有する樹脂被覆材を使用する場合には,以下のようにしてS化合物,Sn化合物,Si化合物を規定することが好ましい。

0039

前述のように市販塗料には触媒として有機スルホン酸などのS化合物や有機錫などのSn化合物が添加されている場合がある。また,HDDケースの形状によっては十分な成形性を得るために両面に樹脂層を形成する。この場合,ケース内面の樹脂層からS化合物やSn化合物がアウトガスとなって発生する場合があり,ケース内部の精密部品に悪影響を及ぼす場合がある。
したがって,200℃で30分加熱したときに樹脂層から発生するS化合物ガスやSn化合物ガスはアウトガスをGC/MSにて分析したときに,nヘキサデカン換算で5ppm(ガス量5μg/樹脂被覆アルミニウム合金板1g,以下同様)以下が好ましい。そのためには塗料固形分中のS化合物量やSn化合物を0.1重量%以上10重量%以下にすることが好ましい。
0.1重量%未満では触媒として十分な効果が得られず,10重量%を超えると以下に示す方法にて焼き付けてもS化合物ガスやSn化合物ガスを5ppm以下にすることが困難だからである。

0040

S化合物としては,ドデシルベンゼンスルホン酸,ジノニルナフタレンジスルホン酸ジノニルナフタレンスルホン酸パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸が一般的である。
また,Sn化合物としては,オクチル酸錫ジオクチルオキサイドモノブチルトリオクテートなどが使用可能である。

0041

種々の添加量,焼付条件とアウトガス量の関係を調査した結果,樹脂層表面のS化合物濃度やSn化合物濃度がアウトガス量に大きな影響を及ぼしていることがわかった。つまり,S化合物やSn化合物の樹脂層中濃度が同じでも,それぞれ表面の濃度が低くなるようにすれば,アウトガス濃度を低くできることがわかった。

0042

具体的には,塗料をアルミニウム合金板に塗布後,焼付炉に入るまでの時間を1秒以上にする。このようにすると,S化合物やSn化合物は比較的比重が大きいことから最表面の濃度が減少し,アウトガス量が低下するものと推測される。
例えばロールコーターを有する塗装ラインで塗装するような場合,コーターと焼付炉の距離を変えることは困難なので,ライン速度を遅くする。しかし,これでは生産性が低下するので,焼付時における塗料が流動している時間を長くすることが好ましい。具体的には,図2に示す様に最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間をT2とした場合に,T2は10秒以上40秒以下が好ましい。10秒未満ではS化合物の表面濃度が十分低下しない場合があり,40秒を超えると表面近傍のS化合物が不足して硬化が十分進まず,成形性が低下する場合があるからである。

0043

前述のように市販塗料には密着性向上のためのシランカップリング剤や耐汚染性や潤滑性向上ために,あるいは消泡剤としてシリコーン樹脂などのSi化合物が添加されている場合がある。
また,HDDケースの形状によっては十分な成形性を得るために両面に樹脂層を形成する。この場合,ケース内面の樹脂層からSi化合物がアウトガスとなって発生する場合があり,ケース内部の精密部品に悪影響を及ぼす場合がある。
したがって,200℃で30分加熱したときに樹脂層から発生するSi化合物ガスはアウトガスをGC−MSにて分析したときに,nヘキサデカン換算で5ppm以下が好ましい。

0044

Si化合物を添加する場合は塗料固形分中の0.1重量%以上10重量%以下にすることが好ましい。0.1重量%未満では効果が不十分であり,10重量%を超えると以下に示す方法にて焼き付けてもSi化合物ガスを5ppm以下にすることが困難だからである。シランカップリング剤の例をあげれば,3−アミノプロピルトリエトキシシランアミノシラン,3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが使用可能である。

0045

種々の添加量,焼付条件とアウトガス量の関係を調査した結果,樹脂層表面のSi化合物濃度がアウトガス量に大きな影響を及ぼしていることがわかった。つまり,Si化合物の樹脂層中濃度が同じでも,表面の濃度が低くなるようにすれば,アウトガス濃度を低くできることがわかった。この点で,Si化合物は比較的表面エネルギーが小さいので,塗料の焼付けを行うまでに長時間流動させると,樹脂層表面エネルギーが低下してより安定な状態となる様に樹脂層表面のSi化合物濃度が増大する。
そこでこれを防止するために,具体的には,塗料をアルミニウム合金板に塗布後,焼付炉に入るまでの時間を5秒以下にする。
この様にすると,樹脂層最表面のSi化合物濃度が減少し,アウトガス量が低下するものと推測される。

0046

そのためにはロールコーターを有する塗装ラインで塗装するような場合,コーターと焼付炉の距離を変えることは困難なので,ライン速度を速くして焼付炉に入るまでの時間を短縮することが考えられる。しかし,ライン速度を速くしすぎると,樹脂層に筋や素地露出といった欠陥が発生する。したがって,その問題の発生を防止するために,焼付時における塗料が流動している時間を短くすることが好ましい。具体的には最終硬化温度を基準として100度低い温度に焼き付け温度が到達する時間をT2とした場合に,T2は10秒以上30秒以下とするのが好ましい。10秒未満では塗料が硬化前に沸騰してしまい,樹脂層に欠陥が発生して成形性が低下し,30秒を超えると表面のSi化合物濃度が十分低下しない場合があるからである。

0047

(3)樹脂層の主たる樹脂の規定
樹脂層を構成する主たる樹脂としては,エポキシ系樹脂あるいはポリエステル系樹脂が望ましい。
他の樹脂に比較して,成形性に優れるからである。エポキシ系樹脂としては,ビスフェノールA型ビスフェノールF型といったグリシジルエーテル型グリシジルエステル型などが使用できる。
硬化剤としてはメラミンホルムアルデヒド樹脂ベンゾグアナミン樹脂ユリア樹脂といったアミノ樹脂ノボラック型及びレゾール型フェノール樹脂メタクリル酸メチルアクリル酸イソプロピルアクリル酸n−ブチルといったアクリル樹脂などが使用できる。

0048

ポリエステル系樹脂としては,エチレングリコールプロピレングリコールといったポリオール類コハク酸グルタル酸アジピン酸といった脂肪酸フタル酸イソフタル酸テレフタル酸といった芳香族エステルなどが使用できる。
硬化剤としては,メラミンホルムアルデヒド樹脂,ベンゾグアナミン樹脂,ユリア樹脂といったアミノ樹脂,トレジイソシアネートジフェニルメタンイソシアネートキシリレンジイソシアネートなどのイソシアネートが使用できる。

0049

(4)アルミニウム合金板表面形状の規定
使用するアルミニウム合金板材の表面はその中心線平均粗さ(Ra)を0.1μm以上0.5μm以下とするのが好ましい。
0.1μm未満では成形が厳しい形状のケースに成形する場合,樹脂層の密着性が不足して,成形中に剥離する場合がある。また,0.5μmを超えると成形が厳しい形状のケースに成形する場合,成形時に樹脂層が破断し,潤滑が不足して成形できない場合がある。

0050

(5)樹脂層厚さの規定
樹脂層厚さは0.1μm以上22μm以下でなければならない。0.1μm未満では成形時樹脂層が伸ばされたとき破断しやすいからである。22μmを超えると,成形時にかかる樹脂層の内部応力が大きくなりすぎ,成形後に樹脂層が剥離する場合があるからである。好ましくは4μm以上12μm以下とする。

0051

[実施例1]
以下に本発明の実施例につき説明する。
JIS A5052−H34,厚さ0.75mmのアルミニウム板材塗装下地処理として,市販のアルカリ性脱脂液にて脱脂し,市販のリン酸クロメート処理液にて化成処理した。このアルミニウム板材の片面に表1〜表9に示す各種塗料を焼付け,サンプルとした。ポリエステル樹脂には,非結晶性ポリエステル樹脂を使用し,硬化剤にはポリオール変性ブロック化トリレンジイソシアネートを塗料固形分中に5wt%添加したもの(ポリエステル/イソシアネート系),ブチルフェノールを5wt%添加したもの(ポリエステル/フェノール系),ベンゾグアナミンを5wt%添加したもの(ポリエステル/メラミン系)をそれぞれ用いた。

0052

エポキシ樹脂にはビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用し,硬化剤としてはブチル化ユリア樹脂を塗料固形分中に5wt%添加したもの(エポキシユリア系),ブチルフェノールを5wt%添加したもの(エポキシ/フェノール系),メタクリル酸を5wt%添加したもの(エポキシ/アクリル系)をそれぞれ用いた。
アクリル系樹脂としてはメチルメタクリレートとメタクリル酸の混合物を使用し,硬化剤にはメラミン樹脂を固形分中に5%添加した。塩化ビニル系はオルガノゾルのタイプを使用した。これらの塗料に表1〜表9に示す潤滑剤,各種化合物を添加して使用した。

0053

これらの塗料を3ゾーンからなる焼付炉を用いて塗装した。各ゾーンの温度を制御して,表2,表5,表8に示すようにT1,T2を変化させた。T1,T2,最終硬化温度はいずれもアルミ板の温度を測定した。このようにして作製した塗装材にて,膜厚,抽出率,樹脂層表面の潤滑剤分布状況,成形性,アウトガス性,汚染性を評価した。
(膜厚)
樹脂層厚さは渦電流式膜厚計にて5箇所測定し,平均値を樹脂層厚さとした。
(MEK抽出率)
MEK抽出率は100mm角に切断したサンプルを用い,初期重量を測定後,沸騰MEKに1時間浸漬,乾燥し,MEK浸漬後重量を測定した。その後濃硫酸に5分浸漬して脱膜し,水洗,乾燥後,脱膜後重量を測定した。MEK抽出率は下記の式から算出した。(n5の平均値)
また,下層のMEK抽出率は下層形成後,上層形成前に測定し,全体のMEK抽出率は下層及び上層形成後に測定した。

MEK抽出率(%)={(初期重量−MEK浸漬後重量)/(初期重量−脱膜後重量)}×100

0054

(樹脂層表面の粒状潤滑剤分布状況
塗装材を常温MEKにて10分間超音波洗浄した後,表面をSEMにて二次電子像を観察し,粒状潤滑剤が脱落した穴の分布状況を調査した。

0055

成形性評価方法
揮発性プレス油動粘度1.6平方mm/s)を両面に塗布して,樹脂層が外面になるように,ポンチ径33mmφ,しわ押さえ力300kgfにて円筒深絞りを実施し,限界絞り比を測定した。評価基準を以下に示す。○以上であればHDDケース材として使用可能である。
◎◎:限界絞り比≧2.5
◎:2.5>限界絞り比≧2.1
○:2.1>限界絞り比≧1.9
△:1.9>限界絞り比

0056

(アウトガス性)
質量分析装置を有するガスクロマトグラフを用いて,100mm角の樹脂被覆アルミニウム合金板材を200℃×30時間加熱したときに発生した有機系ガスの量をnヘキサデカン換算にて定量した。評価基準を以下に示す(単位はサンプル1gあたりから発生したガスの重量ppmである。ガス1μg/サンプル1g=1ppm)。
○以上であればHDDケース材として使用可能である。
◎:10ppm>アウトガス量
○:100ppm>アウトガス量≧10ppm
△:アウトガス量≧100ppm

0057

また,S化合物,Sn化合物,Si化合物については,それぞれ同じ加熱条件で発生したアウトガスを質量分析装置を有するガスクロマトグラフを用い,nヘキサデカン換算にて定量分析した。評価基準を以下に示す(単位はサンプル1gあたりから発生したガスの重量ppmである。ガス1μg/サンプル1g=1ppm)。
○以上であればHDDケース材として使用可能であり,◎であればケース容積の小さい2.5インチ以下のHDDケースにも使用可能である。
◎:5ppm>アウトガス量
○:10ppm≧アウトガス量≧5ppm
△:アウトガス量>10ppm

0058

(汚染性)
揮発性プレス油(動粘度1.6平方mm/s)を両面に塗布して,樹脂層が外面になるように,幅100mm×長さ150mm×深さ15mmの角筒深絞り成形を実施し,1リットル水系洗浄液非イオン系界面活性剤を5%添加したもの)にて超音波洗浄(10分)を実施し,さらに新しい1リットルの水系洗浄液(非イオン系界面活性剤を5%添加したもの)にて超音波洗浄(10分)を実施した。
回目の洗浄後洗浄液に含まれる粒径0.5μm以上の粒子の個数をパーティクルカウンターにて測定した。評価基準を以下に示す(単位はMEK1リットルあたりの粒子個数)。 ○以上であればHDDケース材として使用可能である。
◎:500個/リットル>粒子数
○:1000個/リットル>粒子数≧500個/リットル
△:粒子数≧1000個/リットル

0059

0060

0061

0062

比較例1,比較例7及び本発明例2〜本発明例6は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),用いられた塗料が,樹脂層における主となる樹脂がエポキシ/ユリア系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点90℃),潤滑剤の添加量(wt%)が2.50,含有するS化合物がジノニルナフタレンジスルホン酸,その添加量(wt%)が1.0である点で同一である。また比較例1,比較例7及び本発明例2〜本発明例6の焼付条件もT1(s)が10,T2(s)が20,したがってT2−T1(s)が10であり,最終硬化温度(℃)が240,全焼付時間(s)が40,抽出率(%)が17〜19,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが38〜47,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが50〜57でほぼ同一である。また比較例1,比較例7及び本発明例2〜本発明例6はいずれも汚染性が◎,アウトガス性は,総量が◎,S化合物に関して◎,Sn化合物に関して◎,Si化合物に関して◎という評価が得られた。

0063

しかし比較例1は樹脂層厚さ(μm)が0.08であり,一方比較例7は,樹脂層厚さ(μm)が24.0であり,いずれも樹脂層厚さを0.1μm以上22μm以下とする本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の条件を充足しない。
そのため比較例1及び比較例7はいずれも成形性について△という評価であった。

0064

比較例8,比較例15及び本発明例9〜本発明例14は,用いた素材及び塗料の条件が,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がポリエステル/イソシアネート系,潤滑剤の種類がカルナバワックス(融点86℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が6.1,潤滑剤の添加量(wt%)が2.50,含有するS化合物がジオクチル錫オキサイド,その添加量(wt%)が2.0であり,その点では本発明の各条件を充足し同一であった。

0065

また焼き付け条件についてもT1(s)が9,T2(s)が19,したがってT2−T1(s)が10であり,全焼付時間(s)を40として本発明の各条件を充足し同一であった。
さらに得られた樹脂層も樹脂層厚さ(μm)が7.6〜8.0,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが26〜32,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが55〜68であり,厚さが0.1μm以上22μm以下の樹脂層を形成してなり,MEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤が脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mm以下であるとする本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の条件を何れも充足した。

0066

しかし,本発明例9〜本発明例14では最終硬化温度(℃)が230〜255で抽出率(%)が7〜39で硬化後の樹脂層の抽出率が5%以上40%以下とする本発明の条件を充足するのに対し,比較例8は最終硬化温度(℃)が265で抽出率(%)が4であり,一方比較例15は最終硬化温度(℃)が220,抽出率(%)が43で本発明の条件を充足しない。
その結果,本発明例9〜本発明例14については汚染性,アウトガス性総量,アウトガス性S化合物,アウトガス性Sn化合物,アウトガス性Si化合物,成形性何れについても,特に不良(△)はなかった。
しかし,比較例8は過度に硬化されて成形性が不良(△)であり,一方比較例15は硬化が不十分で抽出率(%)が高い結果,アウトガス性が総量において不良(△)であった。

0067

樹脂層における主となる樹脂がアクリル/メラミン系である本発明例16及び樹脂層における主となる樹脂が塩化ビニルである本発明例17は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),塗料中の潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点140℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が5.2,潤滑剤の添加量(wt%)が2.50であった。また塗料の固形分にS,Sn,Si何れの化合物も含有しなかった。

0068

本発明例16の焼付条件はT1(s)が11,T2(s)が18,したがってT2−T1(s)が7であり,最終硬化温度(℃)が260,全焼付時間(s)が60,樹脂層厚さ(μm)が7.2,抽出率(%)が17,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが38,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが58であった。

0069

また本発明例17の焼付条件はT1(s)が11,T2(s)が18,したがってT2−T1(s)が7であり,最終硬化温度(℃)が280,全焼付時間(s)が60,樹脂層厚さ(μm)が6.9,抽出率(%)が16,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが44,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが54であった。

0070

その結果,本発明例16及び本発明例17はいずれも,汚染性が◎,アウトガス性は,総量が◎,S化合物に関して◎,Sn化合物に関して◎,Si化合物に関して◎という評価が得られ,成形性についても○という評価であった。

0071

0072

0073

0074

本発明例18〜比較例23は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がエポキシ/フェノール系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点110℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が5.2,潤滑剤の添加量(wt%)が2.50で,塗料の固形分にS,Sn,Si何れの化合物も含有させず,同一の素材及び塗料を用いて製造された。

0075

また本発明例18〜比較例23は,その焼き付け条件も最終硬化温度(℃)を240とし,全焼付時間(s)を60として焼き付けを行った。その結果得られた樹脂層厚さ(μm)は6.8〜7.3,抽出率(%)が16〜19で,厚さが0.1μm以上22μm以下の樹脂層を形成してなり,硬化後の樹脂層の抽出率が5%以上40%以下とする本発明の条件を充足する。

0076

さらに本発明例18〜本発明例22の焼付条件はT1(s)が8〜18,T2(s)が18〜26であり,T2−T1(s)が1〜18であって,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが8〜96,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが9〜52であった。したがって(T2−T1)を20秒以下となるように行う本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法の条件を充足して製造され,MEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤が脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mm以下であるとする本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の条件を充足する。その結果,汚染性,アウトガス性総量,アウトガス性S化合物,アウトガス性Sn化合物,アウトガス性Si化合物,成形性何れについても,特に不良(△)はなかった。

0077

これに対して比較例23はT1(s)が6,T2(s)が29,したがってT2−T1(s)が23であり,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが111,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが7であった。(T2−T1)が20秒を超えて本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法の条件を充足せず,またMEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤が脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mmを超え,本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の条件を充足しない。
その結果,比較例23では汚染性が不良(△)であった。

0078

本発明例24〜本発明例27は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がポリエステル/フェノール系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点140℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が6.1,潤滑剤の添加量(wt%)が2.50,含有するSn化合物がオクチル酸錫,その添加量(wt%)が1.5である同一の素材及び塗料を用いて製造された。

0079

また本発明例24〜本発明例27は,最終硬化温度(℃)が300,全焼付時間(s)を60として焼き付けされ,その結果,樹脂層厚さ(μm)が7.1〜7.3,抽出率(%)が11〜19,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが25〜30,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが43〜54であった。したがって,本発明例24〜本発明例27は片面に厚さが0.1μm以上22μm以下の樹脂層を形成してなり,MEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤が脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mm以下であり,硬化後の樹脂層のMEK(メチルエチルケトン,以下同じ)抽出率が5%以上40%以下であるとする本発明の条件を充足する。
その結果,汚染性,アウトガス性総量,アウトガス性S化合物,アウトガス性Sn化合物,アウトガス性Si化合物,成形性何れについても,特に不良(△)はなかった。

0080

ただし,本発明例24の焼付条件はT1(s)が3,T2(s)が8,したがってT2−T1(s)が5であり,0.1重量%以上10重量%以下のSn化合物を含有させ,焼き付け工程におけるT2を10秒以上40秒以下とする条件を充足せず,Sn化合物に関して5ppm以上のアウトガス量が有り(○),2.5インチ以下のHDDケースには不適である。

0081

また本発明例27の焼付条件は,T1(s)が31,T2(s)が41,したがってT2−T1(s)が10であり,T2(s)が40秒を超えた結果,HDDケース材として使用可能ではあるもの限界絞り比が1.9以上2.1未満であった(○)。

0082

本発明例28〜本発明例31は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がポリエステル/フェノール系,潤滑剤種類がマイクロワックス(融点140℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が6.1,潤滑剤の添加量(wt%)が2.5,含有するS化合物がジノニルナフタレンスルホン酸,その添加量(wt%)が1.0である同一の素材及び塗料を用いて製造された。

0083

また本発明例28〜本発明例31は,最終硬化温度(℃)が300,全焼付時間(s)を60として焼き付けされ,その結果,樹脂層厚さ(μm)が6.9〜7.3,抽出率(%)が11〜19,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが26〜28,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが47〜52であった。したがって,本発明例24〜本発明例27は片面に厚さが0.1μm以上22μm以下の樹脂層を形成してなり,MEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤が脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mm以下であり,硬化後の樹脂層のMEK(メチルエチルケトン,以下同じ)抽出率が5%以上40%以下であるとする本発明の条件を充足する。
その結果,汚染性,アウトガス性総量,アウトガス性S化合物,アウトガス性Sn化合物,アウトガス性Si化合物,成形性何れについても,特に不良(△)はなかった。

0084

ただし,本発明例28の焼付条件は,T1(s)が3,T2(s)が7,したがってT2−T1(s)が4であり,0.1重量%以上10重量%以下のS化合物を含有させ,焼き付け工程におけるT2を10秒以上40秒以下とする条件を充足せず,S化合物に関して5ppm以上のアウトガス量が有り(○),2.5インチ以下のHDDケースには不適である。

0085

また本発明例31の焼付条件は,T1(s)が34,T2(s)が42,したがってT2−T1(s)が8であり,T2(s)が40秒を超えた結果,HDDケース材として使用可能ではあるもの限界絞り比が1.9以上2.1未満であった(○)。

0086

比較例32は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がエポキシ/フェノール系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点100℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が14.0,潤滑剤の添加量(wt%)が2.5であった。またS,Sn,Si何れの化合物も含有していない。

0087

また比較例32の焼付条件は,T1(s)が10,T2(s)が20,したがってT2−T1(s)が10であり,最終硬化温度(℃)が240,全焼付時間(s)が60,樹脂層厚さ(μm)が6.8,抽出率(%)が16,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが163,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが11であった。
この比較例32は,粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が14.0でMEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが163に達し,洗浄液1リットルあたりの粒子個数1000個以上であり,汚染性が不良(△)であった。

0088

本発明例33〜本発明例36は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がポリエステル/メラミン系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点100℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が6.1,潤滑剤の添加量(wt%)が2.5,含有するSi化合物が3−アミノプロピルトリエトキシシラン,その添加量(wt%)を1.0として,同一の素材及び塗料を用いて製造された。

0089

また本発明例33〜本発明例36は,いずれも焼付条件を最終硬化温度(℃)が240,全焼付時間(s)60として焼き付けされて,樹脂層厚さ(μm)が7.1〜7.2,抽出率(%)が15〜16,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが33〜38,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが53〜60であった。
その結果,本発明例33〜本発明例36は,いずれも片面に厚さが0.1μm以上22μm以下の樹脂層を形成してなり,MEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤が脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mm以下であり,硬化後の樹脂層のMEK抽出率が5%以上40%以下であるとする本発明の条件を充足する。
その結果,汚染性,アウトガス性総量,アウトガス性S化合物,アウトガス性Sn化合物,アウトガス性Si化合物,成形性何れについても,特に不良(△)はなかった。

0090

ただし,本発明例33の焼付条件は,T1(s)が4,T2(s)が9,したがってT2−T1(s)が5であり,塗料の固形分に0.1重量%以上10重量%以下のSi化合物を含有させ,焼き付け工程におけるT2を10秒以上30秒以下とする条件を充足せず,HDDケース材として使用可能ではあるもの限界絞り比が1.9以上2.1未満であった(○)。

0091

また本発明例36の焼付条件は,T1(s)が24,T2(s)が31,したがってT2−T1(s)が7であり,T2(s)が30秒を超えた結果,Si化合物に関して5ppm以上のアウトガス量が有り(○),2.5インチ以下のHDDケースには不適である。

0092

本発明例37は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がポリエステル/メラミン系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点100℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が6.1,潤滑剤の添加量(wt%)が2.50であった。また本発明例33〜本発明例36とは異なりSi化合物である3−アミノプロピルトリエトキシシランを含有せず,S,Sn,Si何れの化合物も含有していない。

0093

また本発明例37の焼付条件は,T1(s)が10,T2(s)が20,したがってT2−T1(s)が10であり,最終硬化温度(℃)が240,全焼付時間(s)が40,樹脂層厚さ(μm)が7.3,抽出率(%)が17,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが35,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが55であった。その結果,汚染性が◎,アウトガス性は,総量が◎,S化合物に関して◎,Sn化合物に関して◎,Si化合物に関して◎という評価が得られた。しかし,成形性についてはHDDケース材として使用可能ではあるもの限界絞り比が1.9以上2.1未満であった(○)。

0094

0095

0096

0097

本発明例38〜本発明例41は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がエポキシ/アクリル系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点100℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が6.1,潤滑剤の添加量(wt%)が2.5,含有するS化合物をパラトルエンスルホン酸として,同一の素材及び同種類の塗料を用いて製造された。

0098

本発明例38〜本発明例41の焼付条件は,T1(s)が10,T2(s)が20,したがってT2−T1(s)が10であり,最終硬化温度(℃)が240,全焼付時間(s)が40という同一条件とされ,その結果,樹脂層厚さ(μm)が7.1〜7.8,抽出率(%)が11〜38,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが37〜40,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが51〜64であった。その結果,汚染性,アウトガス性総量,アウトガス性S化合物,アウトガス性Sn化合物,アウトガス性Si化合物,成形性何れについても,特に不良(△)はなかった。

0099

但し,本発明例38ではパラトルエンスルホン酸添加量(wt%)が0.05で,本発明例39は,パラトルエンスルホン酸の添加量(wt%)が1.2,本発明例40は,パラトルエンスルホン酸の添加量(wt%)が8,本発明例41は,パラトルエンスルホン酸の添加量(wt%)が13であった。
したがって本発明例38は塗料の固形分に0.1重量%以上10重量%以下のS化合物を含有させるという条件に達せず,その結果,成形性についてはHDDケース材として使用可能ではあるもの限界絞り比が1.9以上2.1未満であった(○)。
また本発明例41は本発明の条件を超えてS化合物を含有して,アウトガス総量が10ppm以上であり(○),S化合物に関して5ppm以上のアウトガス量が有り(○),2.5インチ以下のHDDケースには不適である。

0100

本発明例42〜本発明例45は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がポリエステル/イソシアネート系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点100℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が6.1,潤滑剤の添加量(wt%)が2.50,含有するSn化合物がモノブチル錫トリオクテートとして,同一の素材及び同種類の塗料を用いて製造された。

0101

また本発明例42〜本発明例45の焼付条件は,T1(s)が10,T2(s)が20,したがってT2−T1(s)が10であり,最終硬化温度(℃)が240,全焼付時間(s)が40,樹脂層厚さ(μm)が7.7〜7.9,抽出率(%)が18〜19,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが38〜41,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが55〜60であった。その結果,汚染性,アウトガス性総量,アウトガス性S化合物,アウトガス性Sn化合物,アウトガス性Si化合物,成形性何れについても,特に不良(△)はなかった。

0102

但し,本発明例42ではモノブチル錫トリオクテート添加量(wt%)が0.06,本発明例43は,モノブチル錫トリオクテート添加量(wt%)が1.1,本発明例44は,モノブチル錫トリオクテート添加量(wt%)が8,本発明例45はモノブチル錫トリオクテート添加量(wt%)が12であった。
したがって本発明例42は塗料の固形分に0.1重量%以上10重量%以下のSn化合物を含有させるという条件に達せず,その結果,成形性についてはHDDケース材として使用可能ではあるもの限界絞り比が1.9以上2.1未満であった(○)。
また本発明例45は本発明の条件を超えてSn化合物を含有して,アウトガス総量が10ppm以上であり(○),Sn化合物に関して5ppm以上のアウトガス量が有り(○),2.5インチ以下のHDDケースには不適である。

0103

本発明例46〜本発明例49は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がエポキシ/ユリア系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点100℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が6.1,潤滑剤の添加量(wt%)が2.5,含有するSi化合物をアミノシランとして,同一の素材及び同種類の塗料を用いて製造された。

0104

また本発明例46〜本発明例49の焼付条件は,T1(s)が10,T2(s)が20,したがってT2−T1(s)が10であり,最終硬化温度(℃)が260,全焼付時間(s)が40,樹脂層厚さ(μm)が7.8〜8.3,抽出率(%)が13〜16,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが30〜35,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが60〜64であった。その結果,汚染性,アウトガス性総量,アウトガス性S化合物,アウトガス性Sn化合物,アウトガス性Si化合物,成形性何れについても,特に不良(△)はなかった。

0105

但し,本発明例46ではアミノシラン添加量(wt%)が0.07,本発明例47は,アミノシラン添加量(wt%)が1.3,本発明例48は,アミノシラン添加量(wt%)が7.0,本発明例49は,アミノシラン添加量(wt%)が12であった。
したがって本発明例46は樹脂層中にSi化合物を0.1重量%以上10重量%以下であるとする条件を充足せず,その結果,成形性についてはHDDケース材として使用可能ではあるもの限界絞り比が1.9以上2.1未満であった(○)。
また本発明例49は本発明の条件を超えてSi化合物を含有して,アウトガス総量が10ppm以上であり(○),Si化合物に関して,200℃で30分加熱したときに発生するアウトガスをGC−MSにて分析したときに,Si化合物の検出値がnヘキサデカン換算で5ppm以下とする条件を充足せず,5ppm以上のアウトガス量が有り(○),2.5インチ以下のHDDケースには不適である。

0106

本発明例50〜本発明例53は,樹脂層における主となる樹脂がエポキシ/ユリア系,潤滑剤種類がカルナバワックス(融点86℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が5.2,潤滑剤の添加量(wt%)が2.5,含有するS化合物がジノニルナフタレンジスルホン酸,その添加量(wt%)を1.0とする同一条件の塗料を用いた。

0107

また本発明例50〜本発明例53の焼付条件は,T1(s)が10,T2(s)が20,したがってT2−T1(s)が10であり,最終硬化温度(℃)が240,全焼付時間(s)を40として同一条件とした。その結果,樹脂層厚さ(μm)が6.9〜7.2,抽出率(%)が16〜19,MEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが36〜38,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが57〜59であった。その結果,汚染性,アウトガス性総量,アウトガス性S化合物,アウトガス性Sn化合物,アウトガス性Si化合物,成形性何れについても,特に不良(△)はなかった。

0108

但し,本発明例50は,素材の表面粗度がRaで0.04(μm),本発明例51は,素材の表面粗度がRaで0.15(μm),本発明例52は,素材の表面粗度がRaで0.40 (μm),本発明例53は,素材の表面粗度がRaで0.53(μm)であった。
したがって本発明例50及び本発明例53はアルミニウム合金板の表面粗度がRa(中心線平均粗さ)で0.1μm以上0.5μmとする条件を充足せず,その結果,成形性についてはHDDケース材として使用可能ではあるもの限界絞り比が1.9以上2.1未満であった(○)。

0109

本発明例54,比較例57及び本発明例55,本発明例56は,素材の表面粗度がRaで0.32(μm),樹脂層における主となる樹脂がポリエステル/メラミン系,潤滑剤種類がポリエチレンワックス(融点105℃),粒状潤滑剤の塗料中平均粒径(μm)が6.1,含有するSn化合物がジブチル錫オキサイド,その添加量(wt%)を2.0として,同一の素材及び同種類の塗料を用いて製造された。

0110

また本発明例54,比較例57及び本発明例55,本発明例56の焼付条件は,T1(s)が10,T2(s)が20,したがってT2−T1(s)が10であり,最終硬化温度(℃)が230,全焼付時間(s)が40とされ,その結果,樹脂層厚さ(μm)が7.4〜8.0,抽出率(%)が18〜20の被覆樹脂層を有する樹脂被覆アルミニウム合金板が得られた。

0111

本発明例55のMEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが5,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが23であった。その結果,汚染性が◎,アウトガス性は,総量が◎,S化合物に関して◎,Sn化合物に関して◎,Si化合物に関して◎という評価が得られ,成形性についても◎という評価であった。

0112

また本発明例56のMEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが87,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが106であった。その結果,汚染性が○,アウトガス性は,総量が◎,S化合物に関して◎,Sn化合物に関して◎,Si化合物に関して◎という評価が得られ,成形性についても◎という評価であった。

0113

しかし本発明例54,比較例57及び本発明例55,本発明例56は,潤滑剤の添加量(wt%)が異なり,本発明例54が0.04,本発明例55が0.2,本発明例56は4.6,比較例57が5.50であった。したがって,本発明例54,比較例57は粒状潤滑剤を固形分に対して0.1重量%以上5.0重量%以下添加した塗料によって樹脂層を形成するとする本発明の条件を充足しない。そのため本発明例54のMEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが0,直径:樹脂層厚さ×2未満であるものが9であり,限界絞り比が1.9以上2.1未満,成形性が(○)であった。

0114

比較例57のMEK洗浄後の樹脂層表面の穴の個数(個/平方mm)は,直径:樹脂層厚さ×2以上であるものが110であった。その結果,MEKによる超音波洗浄によって粒状潤滑剤が脱落して樹脂層表面に形成される,直径が樹脂層厚さの2倍以上である穴の個数が100個/平方mm以下とする本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の条件を充足せず,MEK1リットルあたりの粒子個数が1000個を超え,汚染性が不良(△)であった。

0115

以上の様に,本発明例はいずれも汚染性,アウトガス性,成形性に優れており,HDDケース材として十分な性能を有している。S化合物,Sn化合物,Si化合物のアウトガスがすべて◎のサンプルについては,2.5インチ以下のHDDにも適用可能である。一方,比較例は汚染性,アウトガス性,成形性のいずれかに問題があり,HDDケース材として不適当である。

図面の簡単な説明

0116

樹脂層内に分布する粒状潤滑剤の樹脂層最表面における存在状態を示す説明図である。
本発明の樹脂被覆アルミニウム合金板の製造方法の焼き付け工程における焼き付け温度と時間との関係を示す説明図である。

符号の説明

0117

1・・・粒状潤滑剤,1a・・・樹脂層最表面から水平に引いた直線に対して球の中心を通る水平に引いた直線が樹脂層側にある粒状潤滑剤,1b・・・樹脂層最表面から水平に引いた直線に対して球の中心を通る水平に引いた直線が重なる粒状潤滑剤,1c・・・樹脂層最表面から水平に引いた直線に対して球の中心を通る水平に引いた直線が樹脂層側にない粒状潤滑剤,2・・・アルミニウム合金層,3・・・樹脂層,4・・・空気,2t・・・樹脂層厚さの2倍,3a・・・樹脂層最表面,h・・・樹脂層最表面より水平方向に引いた直線,H・・・粒状潤滑剤の水平方向で球の中心を通る水平に引いた直線。

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