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技術 導電性粒子及びその製造方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 大麻正弘伊藤研哉岡田修二
出願日 2008年7月2日 (12年0ヶ月経過) 出願番号 2008-173245
公開日 2010年1月21日 (10年5ヶ月経過) 公開番号 2010-015756
状態 未査定
技術分野 粉末冶金 非絶縁導体 電線ケーブルの製造(1)
主要キーワード ニッケル当量 ニッケル合金粒子 微細金属粉末 防塵シート レーザー粒度分布測定 水酸化皮膜 二次粒子形状 塩化ニッケル水溶液
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課題

高い導電性耐酸化性を有する導電性粒子及びその製造方法を提供する。

解決手段

二次粒子の形態を有するニッケル粒子あるいはニッケル合金粒子水素還元処理エッチング処理した後に、酸素含有気流中において温度200〜500℃で10〜60分保持して酸化処理する。水素還元処理では、水素含有気流中において温度200〜600℃で熱処理することが好ましく、エッチング処理では、温度15〜60℃の鉱酸溶液に10〜60分間接触させることが好ましい。また、酸化処理では、酸素含有気流中の酸素濃度を1〜30体積%にすることが好ましい。

概要

背景

多くの金属粉末が様々な用途に用いられており、それらの用途の各々に応じた金属粉末の開発がなされている。それら金属粉末の用途の1つとして導電性ペースト導電性樹脂がある。導電性樹脂は、硬化後に得られる成形体電気抵抗が低いこと、耐マイグレーション性が高いこと、粘度が安定していること等を特徴としており、半導体用素材防塵シート帯電防止フィルム除電マット帯電防止床材等の導電性シート電子写真式プリンターや複写機導電性ロール帯電ロール現像ロール転写ロール等)、磁気記録媒体用基材等として用いられている。

導電性ペーストや導電性樹脂は、各種の樹脂導電性粒子とを混合して得られるものであり、ここで用いられる導電性粒子には、粒子そのものの導電性が高く、耐酸化性に優れ、樹脂への分散性が高いことに加えて、目的に応じた粒子形状や粒度粒度分布嵩密度充填密度等を有していることが求められる。

そのため、導電性粒子としては、現在、金属粉末が用いられている。金属粉末のうち貴金属粉末は、導電性が高く電気抵抗が低いが、高価であるという問題がある。一方、ニッケルあるいは銅などに代表される卑金属粉末は、コスト的に安価であり且つ高い導電性を有しているが、耐酸化性に劣るため、導電性ペーストや導電性樹脂として長期にわたり使用すると、電気抵抗が上昇するという問題がある。

この問題点を解決するため、ニッケル粒子銅粒子の表面にAg等の貴金属被覆する方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。これらの方法によって得た粒子粉末は、貴金属でニッケル粒子や銅粒子が被覆されているため、耐酸化性等の特性的な面は改善されるが、コスト的にはニッケル粉末銅粉末より高価となる。加えて、Ag被覆した粉末は、導電性ペーストや導電性樹脂に耐マイグレーション性が求められる使用環境下での使用には適さない。

また、良好な分散性と導電性ペーストの粘度安定性を得るために、乾燥条件を調整しつつニッケル粉末を減圧乾燥することにより、X線光電子分光分析(XPS分析)法で計測したときの表面の成分組成を、Ni5〜20モル%、Ni(OH)225〜75モル%、NiO15〜65モル%とする技術が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、かかるニッケル粉末では、分散性と粘度安定性とは確保できるものの、耐酸化性に難がある。

更に、耐酸化性を向上させるために、ニッケル粒子やニッケル合金粒子表面全体酸化皮膜で覆う方法が提案されている(特許文献4参照)。この方法は、微細金属粉末反応容器装入し、200℃以上500℃以下の温度において、反応容器中の酸素分圧を10−50気圧以上10−15気圧以下に制御した雰囲気とし、微細金属粉末の表面を10オングストローム以上100オングストローム以下の緻密な酸化物層で被覆するものである。

しかしながら、ニッケル粒子やニッケル合金粒子の作製時及び保管時に形成された制御されていない不均一な酸化皮膜(以下、「自然酸化皮膜」と称する)や水酸化皮膜(以下、「自然水酸化皮膜」と称する)を残したまま酸化皮膜の形成を行うため、新たに形成される酸化皮膜の厚さや組成の制御が困難となり、電気抵抗が不均一で高くなるという問題がある。

特開2002−025345号公報
特開2002−075057号公報
特開2004−330247号公報
特開2001−049301号公報

概要

高い導電性と耐酸化性を有する導電性粒子及びその製造方法を提供する。二次粒子の形態を有するニッケル粒子あるいはニッケル合金粒子を水素還元処理エッチング処理した後に、酸素含有気流中において温度200〜500℃で10〜60分保持して酸化処理する。水素還元処理では、水素含有気流中において温度200〜600℃で熱処理することが好ましく、エッチング処理では、温度15〜60℃の鉱酸溶液に10〜60分間接触させることが好ましい。また、酸化処理では、酸素含有気流中の酸素濃度を1〜30体積%にすることが好ましい。 なし

目的

このような事情から、安価で且つ耐酸化性に優れ、導電性ペーストや導電性樹脂にした状態のときに導電性が高く、長期間にわたり安定して使用できる導電性粒子の提供が望まれている。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

二次粒子の形態を有するニッケル粒子あるいはニッケル合金粒子水素還元処理及び/又はエッチング処理した後に、酸素含有気流中において温度200〜500℃で10〜60分保持して酸化処理することを特徴とする導電性粒子の製造方法。

請求項2

前記酸化処理において、酸素含有気流中の酸素濃度が1〜30体積%であることを特徴とする、請求項1記載の導電性粒子の製造方法。

請求項3

前記水素還元処理として、水素含有気流中において温度200〜600℃で熱処理することを特徴とする、請求項1または2記載の導電性粒子の製造方法。

請求項4

前記エッチング処理において、鉱酸溶液を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法。

請求項5

前記エッチング処理として、希硫酸希塩酸、及び希硝酸の内から選ばれる少なくとも1種の鉱酸溶液に、温度15〜60℃で10〜60分間接触させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法。

請求項6

前記水素還元処理及び/又はエッチング処理の際に、定期的あるいは任意の時間間隔でニッケル粒子あるいはニッケル合金粒子の表面状態分析し、該表面状態が金属状態になった後に前記酸化処理を行うことを特徴とする、請求項1〜5記載のいずれかに記載の導電性粒子の製造方法。

請求項7

平均一次粒子径が0.5〜3μmの一次粒子で構成される平均二次粒子径8〜50μm、タップ密度0.5〜3g/mlの二次粒子の形態を有するニッケル粒子あるいはニッケル合金粒子の表面に、平均厚さ5nm以上15nm以下の酸化皮膜が設けられていることを特徴とする導電性粒子。

技術分野

0001

本発明は、高い導電性耐酸化性とを有する導電性粒子及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

多くの金属粉末が様々な用途に用いられており、それらの用途の各々に応じた金属粉末の開発がなされている。それら金属粉末の用途の1つとして導電性ペースト導電性樹脂がある。導電性樹脂は、硬化後に得られる成形体電気抵抗が低いこと、耐マイグレーション性が高いこと、粘度が安定していること等を特徴としており、半導体用素材防塵シート帯電防止フィルム除電マット帯電防止床材等の導電性シート電子写真式プリンターや複写機導電性ロール帯電ロール現像ロール転写ロール等)、磁気記録媒体用基材等として用いられている。

0003

導電性ペーストや導電性樹脂は、各種の樹脂と導電性粒子とを混合して得られるものであり、ここで用いられる導電性粒子には、粒子そのものの導電性が高く、耐酸化性に優れ、樹脂への分散性が高いことに加えて、目的に応じた粒子形状や粒度粒度分布嵩密度充填密度等を有していることが求められる。

0004

そのため、導電性粒子としては、現在、金属粉末が用いられている。金属粉末のうち貴金属粉末は、導電性が高く電気抵抗が低いが、高価であるという問題がある。一方、ニッケルあるいは銅などに代表される卑金属粉末は、コスト的に安価であり且つ高い導電性を有しているが、耐酸化性に劣るため、導電性ペーストや導電性樹脂として長期にわたり使用すると、電気抵抗が上昇するという問題がある。

0005

この問題点を解決するため、ニッケル粒子銅粒子の表面にAg等の貴金属被覆する方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。これらの方法によって得た粒子粉末は、貴金属でニッケル粒子や銅粒子が被覆されているため、耐酸化性等の特性的な面は改善されるが、コスト的にはニッケル粉末銅粉末より高価となる。加えて、Ag被覆した粉末は、導電性ペーストや導電性樹脂に耐マイグレーション性が求められる使用環境下での使用には適さない。

0006

また、良好な分散性と導電性ペーストの粘度安定性を得るために、乾燥条件を調整しつつニッケル粉末を減圧乾燥することにより、X線光電子分光分析(XPS分析)法で計測したときの表面の成分組成を、Ni5〜20モル%、Ni(OH)225〜75モル%、NiO15〜65モル%とする技術が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、かかるニッケル粉末では、分散性と粘度安定性とは確保できるものの、耐酸化性に難がある。

0007

更に、耐酸化性を向上させるために、ニッケル粒子やニッケル合金粒子表面全体酸化皮膜で覆う方法が提案されている(特許文献4参照)。この方法は、微細金属粉末反応容器装入し、200℃以上500℃以下の温度において、反応容器中の酸素分圧を10−50気圧以上10−15気圧以下に制御した雰囲気とし、微細金属粉末の表面を10オングストローム以上100オングストローム以下の緻密な酸化物層で被覆するものである。

0008

しかしながら、ニッケル粒子やニッケル合金粒子の作製時及び保管時に形成された制御されていない不均一な酸化皮膜(以下、「自然酸化皮膜」と称する)や水酸化皮膜(以下、「自然水酸化皮膜」と称する)を残したまま酸化皮膜の形成を行うため、新たに形成される酸化皮膜の厚さや組成の制御が困難となり、電気抵抗が不均一で高くなるという問題がある。

0009

特開2002−025345号公報
特開2002−075057号公報
特開2004−330247号公報
特開2001−049301号公報

発明が解決しようとする課題

0010

このような事情から、安価で且つ耐酸化性に優れ、導電性ペーストや導電性樹脂にした状態のときに導電性が高く、長期間にわたり安定して使用できる導電性粒子の提供が望まれている。

0011

本発明は、上記の従来の事情に鑑み、高い導電性と耐酸化性を有する導電性粒子及びその簡易な製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

上記課題を解決すべく、本発明者は種々の検討を行った結果、ニッケル粒子やニッケル合金粒子の表面に酸化処理を施して酸化皮膜を形成する前に、粒子作製時及び保管時に形成された制御されていない不均一な自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜を除去することによって、前記課題が解決できることを見出して本発明に至った。

0013

即ち、上記目的を達成するために本発明が提供する導電性粒子の製造方法は、二次粒子の形態を有するニッケル粒子あるいはニッケル合金粒子を水素還元処理及び/又はエッチング処理した後に、酸素含有気流中において温度200〜500℃で10〜60分保持して酸化処理することを特徴とする。

0014

上記本発明の導電性粒子の製造方法においては、酸化処理において、酸素含有気流中の酸素濃度が1〜30体積%であることが好ましい。また、水素還元処理としては、水素含有気流中において温度200〜600℃で熱処理することが好ましい。更に、エッチング処理においては、鉱酸溶液を用いることが好ましく、希硫酸希塩酸、及び希硝酸の内から選ばれる少なくとも1種の鉱酸溶液に、温度15〜60℃で10〜60分間接触させることがより好ましい。

0015

上記本発明の導電性粒子の製造方法においては、水素還元処理及び/又はエッチング処理の際に、定期的あるいは任意の時間間隔でニッケル粒子やニッケル合金粒子の表面状態を分析し、該表面状態が金属状態になった後に酸化処理を行うことが好ましい。この表面状態の分析には、例えば、XPS法や粉体抵抗計を用いることができる。

0016

また、本発明が提供する導電性粒子は、平均一次粒子径が0.5〜3μmの一次粒子で構成される平均二次粒子径8〜50μm、タップ密度0.5〜3g/mlの二次粒子の形態を有するニッケル粒子あるいはニッケル合金粒子の表面に、平均厚さ5nm以上15nm以下の酸化皮膜が設けられている。

発明の効果

0017

本発明によれば、平均膜厚5nm以上の均質で且つ厚みの均一な酸化皮膜を、自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜が除去されたニッケル粒子やニッケル合金粒子の清澄な表面上に直接設けることができるため、ニッケル粒子やニッケル合金粒子に対して、高い導電性を確保しつつ高い耐酸化性を付与することができる。よって、導電性ペーストや導電性樹脂にした状態のときに導電性が高く、長期間にわたり安定して使用することができる。

発明を実施するための最良の形態

0018

前述したように、ニッケル粒子やニッケル合金粒子は、作製時あるいは作製後の保管時に、その表面に自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜が形成される。これら自然に形成される皮膜は、その膜厚やどの程度粒子表面を覆っているのかといったことは、ニッケル粒子やニッケル合金粒子の作製条件保管条件に依存するが、一般にはニッケル粒子やニッケル合金粒子表面は、金属ニッケル面、酸化ニッケル皮膜面、水酸化ニッケル皮膜面が混在する状態となっており、かつ酸化ニッケル皮膜や水酸化ニッケル皮膜の厚さは様々となっている。

0019

このようなニッケル粒子やニッケル合金粒子の全表面に、均質で且つ厚さの均一な耐酸化性を有する酸化皮膜を形成するには、上記自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜を除去した後、制御された条件下で緻密な酸化皮膜を新たに形成することが必要である。なぜなら、自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜といった既存の皮膜を除去せずに、その上に新たに酸化皮膜を積層すると、耐酸化性の向上は図れるものの、表面に導電性の低い酸化皮膜や水酸化皮膜の厚い部分を増やすことになるため、導電性が低下するからである。

0020

このため、本発明においては、酸化皮膜の形成に先立って、ニッケル粒子やニッケル合金粒子に対して水素還元処理及び/又はエッチング処理を施して、これらの粒子表面に存在する不均質で且つ厚みの不均一な自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜を除去している。尚、本発明が対象としているニッケル粒子やニッケル合金粒子は、当該粒子を構成する最小粒子(一次粒子と称する)が複数個凝集してなる二次粒子の形態を有している。

0021

水素還元処理を施す場合は、ニッケル粒子やニッケル合金粒子を水素含有気流中において温度200〜600℃、望ましくは300〜500℃の温度で熱処理すればよい。この水素還元処理に必要とされる時間は、自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜の厚さや粒子表面における被覆の程度により異なるため、水素還元処理の際、定期的あるいは任意の時間間隔でサンプリングし、サンプリングした粒子の抵抗率を粉体抵抗計で測定して抵抗率が下げ止まったところで還元処理を終了することが好ましい。これにより、粒子のサイズを殆ど変えることなく粒子表面を自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜のない金属状態にすることが可能となる。

0022

また、エッチング処理を施す場合は、鉱酸溶液にニッケル粒子やニッケル合金粒子を接触すればよい。鉱酸としては、硫酸塩酸、及び硝酸の内から選ばれる少なくとも1種を用いることが出来る。好ましくは温度15〜60℃の鉱酸溶液中にニッケル粒子やニッケル合金粒子を浸漬して10〜60分攪拌しながら接触させる。この場合も、上記水素還元処理の際と同様に、定期的あるいは任意の時間間隔で粒子をサンプリングし、サンプリングした粒子の抵抗率を粉体抵抗計で測定して抵抗率が下げ止まったところで還元処理を終了することが好ましい。これにより、粒子のサイズを殆ど変えることなく粒子表面を自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜のない金属状態にすることが可能となる。

0023

上記水素還元処理及び/又はエッチング処理が施されたニッケル粒子やニッケル合金粒子には、次に酸化処理が施されて緻密な酸化皮膜が形成される。このとき、ニッケル粒子やニッケル合金粒子の表面に形成されていた自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜は、上記水素還元処理及び/又はエッチング処理で除去されているので、金属ニッケル又は金属ニッケル合金の表面に直に酸化皮膜を設けることができる。酸化処理を行うには、ニッケル粒子やニッケル合金粒子を酸素含有気流中において加熱する処理を行えばよい。その際、酸素含有気流中の酸素濃度は、基本的には酸素が存在すれば支障はないが、1〜30体積%とすることが好ましい。

0024

また、加熱処理の温度は200〜500℃とする。200℃より低いと酸化皮膜の生成速度極端に遅くなり、500℃より高いと酸化皮膜の生成速度が速くなりすぎ、均質且つ均一な厚さの酸化皮膜を形成させがたくなるからである。また、200〜500℃で保持する時間は10〜60分とすることが好ましいが、実際には設けようとする酸化皮膜の厚さにより決まるため、粒子を適宜サンプリングして表面の酸化状態をXPS法や粉体抵抗測定で分析しながら行うことがより好ましい。

0025

上記方法により水素還元処理及び/又はエッチング処理を行った後に酸化処理を行うニッケル粒子やニッケル合金粒子は、平均一次粒子径0.5〜3μmの一次粒子で構成される二次粒子の形態を有しており、且つ当該二次粒子の平均二次粒子径が8〜50μm、タップ密度が0.5〜3g/mlであれば、導電性及び耐酸化性の点において優れた導電性粒子が形成されるため好ましい。更に、この粒子の全表面に平均厚さ5nm以上15nm以下の均質且つ均一な膜厚の酸化皮膜を形成したものは、特に導電性及び耐酸化性の点において優れているため、導電性樹脂や導電性ペースト用として最適である。

0026

尚、上記平均一次粒子径には、走査電子顕微鏡(SEM)による観察で得られた一次粒子径を平均したものを用いている。具体的には、走査電子顕微鏡の5000倍写真視野において凝集して二次粒子を構成している個々の一次粒子のうちの任意の100個の粒子径をそれぞれ計測し、それらを平均することによって平均一次粒子径を求めている。また、上記平均二次粒子径には、レーザー粒度分布測定により得た二次粒子の粒度分布の累積体積が50%となるときの粒子径(D50)を用いている。更に、上記タップ密度には、ニッケル粉末10gをストローク長20mmで500回タッピングした後にその体積を計測して求めたものを用いている。

0027

SEM観察による平均一次粒子径を0.5〜3.0μmの範囲とすることで、一次粒子が適度に凝集して鎖状などの複雑な形状の二次粒子を形成する。その結果、樹脂との混練後の導電性ペーストや導電性樹脂において、該二次粒子同士が互いに絡み合ってネットワークを構成するため、電気抵抗が著しく低くなる。しかし、この平均一次粒子径を0.5μm未満とすると、一次粒子の凝集が激しくなり過ぎ、凝集後の二次粒子形状が極めて大きな塊状もしくは球状となるため好ましくない。また、この平均一次粒子径が3.0μmを超えると、一次粒子の凝集が少なくなり、一次粒子が分散した状態に近いままとなってしまい、上記ネットワークが構成されず、電気抵抗が高くなり好ましくない。

0028

前述したように、レーザー粒度分布測定による二次粒子径は、一次粒子が凝集してなる二次粒子の粒子径を示しており、このレーザー粒度分布測定による平均二次粒子径(D50)を8〜50μmの範囲とすることで、二次粒子の形態を有する粉末同士が接触する箇所が多くなり、粉体抵抗が著しく低下する。しかし、平均二次粒子径(D50)が8μm未満では、凝集が少ないため絡み合う箇所が減少し、粉体抵抗値が高くなるため好ましくない。一方、平均二次粒子径(D50)が50μmを越えると、導電性ペーストや導電性樹脂の成形性が低下するため好ましくない。

0029

酸化皮膜の厚さが5nmより薄くなると、現状のXPS法では酸化皮膜の組成を正確に測定することが困難になるため、均質な皮膜が形成できている保証がなくなる。従って、何らかの方法で酸化皮膜の組成を正確に測定することが可能となり、且つ所望の特性が得られるのであれば、膜厚の下限は5nmに拘るものではない。また、酸化皮膜の厚さを15nm以下とするのは、それ以上厚くしても耐酸化性の向上は見られず、導電性の悪化をもたらす虞が出てくるからである。

0030

上記説明においては、導電性粒子としてニッケル粒子とニッケル合金粒子とを用いて説明したが、本発明の方法をコバルト、銅、銀、金、白金、錫、もしくはインジウム単体、又はそれらの合金の粒子に適用しても同様の効果が得られることは明らかである。

0031

次に、本発明を実施例にそって詳細に説明する。なお、本発明はこれ等の実施例によって何ら限定されるものではない。

0032

(実施例1)
純水306リットル水酸化ナトリウムおよび酒石酸を添加し、撹拌しながら65℃まで加温した。この水溶液に、60%水加ヒドラジン39リットルと、ニッケル当量で5kgの塩化ニッケル水溶液とを加え、還元反応によりニッケルを析出させた。次に、この液をろ過および水洗してニッケル粉末を得た。このニッケル粉末を80℃で乾燥した後、解砕分級し粒子径をそろえた。

0033

得られたニッケル粉末は、SEM観察による平均一次粒子径が0.8μm、レーザー粒度分布測定による平均二次粒子径(D50)が31.7μm、タップ密度が1.35g/mlであった。

0034

次に、上記方法により得られたニッケル粉末表面の状態を評価するため、XPS分析装置(VG Scientific社製ESCALAB220i−XL)で分析した結果、金属ニッケル、水酸化ニッケルピークが強く観察された。また、導電性を評価するため、粉体抵抗計(三菱化学株式会社製MCP−PD51)でニッケル粉末の充填率パラメータとして粉体抵抗率を測定した。その結果、粉体抵抗率は充填率30%で1.2×10−3Ωcmであった。更に、耐酸化性を評価するため、TG−DTA測定装置(ブルカー社製TG−DTA2000SR)で測定した結果、400℃までの酸化に伴う重量増加率は2.7%であった。このように、上記ニッケル粉末は高い導電性を示すが、耐酸化性は小さいことがわかった。

0035

次に、上記ニッケル粉末230gを電気炉に入れ、真空ポンプ排気後、水素4体積%及び窒素96体積%の気流中において温度400℃で30分間保持して水素還元処理を行った。続けて、窒素気流中において温度400℃で30分間保持した後、酸素5体積%及び窒素95体積%の気流中において温度400℃で30分間保持してニッケル粉末表面の酸化処理を行った。

0036

上記ニッケル粉末表面の状態を評価するため上記のXPS分析装置で分析した結果、金属ニッケルのピークは検出されず、酸化ニッケルのピークが強く観察された。次に、ニッケル粉末の導電性を評価するため、上記の粉体抵抗計でニッケル粉末の充填率をパラメータとして粉体抵抗率を測定した。その結果、粉体抵抗率は充填率30%で9.4×10−2Ωcmであった。更に、耐酸化性を評価するため、上記のTG−DTA測定装置で測定した結果、400℃までの酸化に伴う重量増加率は0.5%であった。また、得られたニッケル粉末を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面には酸化ニッケル皮膜が均一な膜厚で設けられていた。

0037

この結果から、上記条件で水素還元処理した後に酸化処理を施すことによって、ニッケル粉末の導電率を高く保持したまま、耐酸化性を向上させることができることがわかった。

0038

(実施例2)
200℃で120分間保持して水素還元処理を行った以外は実施例1と同様にしてニッケル粉末の表面を処理した。得られたニッケル粉末のXPS分析結果、導電性の評価結果、及びTG−DTA測定結果は、全て実施例1と同程度であった。また、得られたニッケル粉末を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面に酸化ニッケル皮膜が均一な膜厚で設けられていた。この結果から、実施例1の代わりに上記条件でニッケル粉末を水素還元処理する場合においても、ニッケル粉末の導電率を高く保持したまま、耐酸化性を向上させることができることがわかった。

0039

(実施例3)
600℃で10分間保持して水素還元処理を行った以外は実施例1と同様にしてニッケル粉末の表面を処理した。得られたニッケル粉末のXPS分析結果、導電性の評価結果、及びTG−DTA測定結果は、全て実施例1と同程度であった。また、得られたニッケル粉末を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面に酸化ニッケル皮膜が均一な膜厚で設けられていた。この結果から、実施例1の代わりに上記条件でニッケル粉末を水素還元処理する場合においても、ニッケル粉末の導電率を高く保持したまま、耐酸化性を向上させることができることがわかった。

0040

(実施例4)
酸素30体積%及び窒素70体積%の気流中において温度200℃で60分間保持して酸化処理を行った以外は実施例1と同様にしてニッケル粉末の表面を処理した。得られたニッケル粉末のXPS分析結果、導電性の評価結果、及びTG−DTA測定結果は、全て実施例1と同程度であった。また、得られたニッケル粉末を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面に酸化ニッケル皮膜が均一な膜厚で設けられていた。この結果から、実施例1の代わりに上記条件でニッケル粉末を酸化処理する場合においても、ニッケル粉末の導電率を高く保持したまま、耐酸化性を向上させることができることがわかった。

0041

(実施例5)
酸素20体積%及び窒素80体積%の気流中において温度300℃で30分間保持して酸化処理を行った以外は実施例1と同様にしてニッケル粉末の表面を処理した。得られたニッケル粒子のXPS分析結果、導電性の評価結果、及びTG−DTA測定結果は、全て実施例1と同程度であった。また、得られたニッケル粉末を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面に酸化ニッケル皮膜が均一な膜厚で設けられていた。この結果から、実施例1の代わりに上記条件でニッケル粉末を酸化処理する場合においても、ニッケル粉末の導電率を高く保持したまま、耐酸化性を向上させることができることがわかった。

0042

(実施例6)
酸素10体積%及び窒素90体積%の気流中において温度500℃で10分間保持して酸化処理を行った以外は実施例1と同様にしてニッケル粉末の表面を処理した。得られたニッケル粉末のXPS分析結果、導電性の評価結果、及びTG−DTA測定結果は、全て実施例1と同程度であった。また、得られたニッケル粉末を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面に酸化ニッケル皮膜が均一な膜厚で設けられていた。この結果から、実施例1の代わりに上記条件でニッケル粉末を酸化処理する場合においても、ニッケル粉末の導電率を高く保持したまま、耐酸化性を向上させることができることがわかった。

0043

(実施例7)
実施例1と同様にニッケル粉末を作製して表面を処理したが、水素還元処理の代わりにエッチング処理を施してから酸化処理を行った。すなわち、実施例1と同様にしてニッケル粉末を作製し、その230gを20℃の0.1M塩酸溶液中で30分攪拌した後、ろ過を3回繰り返して洗浄固液分離を行った。続けて真空乾燥機によって、100℃で10hrの乾燥を行った。乾燥後速やかに電気炉に入れ、真空ポンプで排気後、窒素気流中において温度400℃で30分間保持した。その後は実施例1と同様に、酸素5体積%及び窒素95体積%の気流中において温度400℃で30分間保持して酸化処理を行った。

0044

このようにして得られたニッケル粉末表面の状態を評価するため、上記XPS分析装置で分析した結果、金属ニッケルのピークが消失し、酸化ニッケルのピークが強く観察された。また、導電性を評価するため、上記粉体抵抗計でニッケル粉末の充填率をパラメータとして粉体抵抗率を測定した。その結果、粉体抵抗率は充填率30%で9.6×10−2Ωcmであった。更に、耐酸化性を評価するため、上記TG−DTA測定装置で測定した結果、400℃までの酸化に伴う重量増加率は0.5%であった。また、得られたニッケル粒子を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面には酸化ニッケル皮膜が均一な膜厚で設けられていた。

0045

この結果から、実施例1の水素還元処理の代わりに上記条件でニッケル粉末をエッチング処理する場合においても、ニッケル粉末の導電率を高く保持したまま、耐酸化性を向上させることができることがわかった。

0046

(実施例8)
0.1M塩酸溶液の代わりに0.1M硫酸溶液を用いてエッチング処理を行った以外は実施例7と同様にして、ニッケル粉末の表面を処理した。得られたニッケル粉末表面の状態を評価するため、上記XPS分析装置で分析した結果、金属ニッケルのピークが消失し、酸化ニッケルのピークが強く観察された。また、導電性を評価するため、上記粉体抵抗計でニッケル粉末の充填率をパラメータとして粉体抵抗率を測定した。その結果、粉体抵抗率は充填率30%で9.7×10−2Ωcmであった。更に、耐酸化性を評価するため、上記TG−DTA測定装置で測定した結果、400℃までの酸化に伴う重量増加率は0.5%であった。また、得られたニッケル粒子を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面には酸化ニッケル皮膜が均一な膜厚で設けられていた。

0047

この結果から、上記条件でニッケル粉末をエッチング処理する場合においても、ニッケル粉末の導電率を高く保持したまま、耐酸化性を向上させることができることがわかった。

0048

(実施例9)
0.1M塩酸溶液の代わりに0.1M硝酸溶液を用いてエッチング処理を行った以外は実施例7と同様にして、ニッケル粉末の表面を処理した。得られたニッケル粉末表面の状態を評価するため、上記XPS観察した結果、金属ニッケルのピークが消失し、酸化ニッケルのピークが強く観察された。また、導電性を評価するため、上記粉体抵抗計でニッケル粉末の充填率をパラメータとして粉体抵抗率を測定した。その結果、粉体抵抗率は充填率30%で9.9×10−2Ωcmであった。更に、耐酸化性を評価するため、上記TG−DTA測定装置で測定した結果、400℃までの酸化に伴う重量増加率は0.5%であった。また、得られたニッケル粒子を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面には酸化ニッケル皮膜が均一な膜厚で設けられていた。

0049

この結果から、上記条件でニッケル粉末をエッチング処理する場合においても、ニッケル粉末の導電率を高く保持したまま、耐酸化性を向上させることができることがわかった。

0050

(比較例1)
比較のため、実施例1と同様に二次粒子を作製したが、水素還元処理やエッチング処理を行わずに酸化処理を行った。すなわち、実施例1と同様にしてニッケル粉末を作製し、その230gを電気炉に入れて真空ポンプで排気後、窒素気流中において温度400℃で30分間保持した。その後、酸素3体積%及び窒素97体積%の気流中において温度400℃で30分間保持して酸化処理を行った。

0051

上記ニッケル粉末表面の状態を評価するため、上記XPS分析装置で分析した結果、金属ニッケルのピークが消失し酸化ニッケルのピークが強く観察された。また、導電性を評価するため、上記粉体抵抗計でニッケル粉末の充填率をパラメータとして粉体抵抗率を測定した。その結果、粉体抵抗率は充填率30%で6.2×102Ωcmであった。更に、耐酸化性を評価するため、上記TG−DTA測定装置で測定した結果、400℃までの酸化に伴う重量増加率は0.4%であった。また、得られたニッケル粒子を断面TEM観察した結果、ニッケル二次粒子表面に形成された酸化ニッケル皮膜の厚さが不均一であった。

0052

この結果から、水素還元処理やエッチング処理を行わずに酸化処理を行った場合は、耐酸化性は大きくなるものの、導電性が低下することがわかった。

0053

以上述べた各実施例及び比較例の結果からわかるように、自然酸化皮膜や自然水酸化皮膜が不均質にニッケル二次粒子表面に形成された状態でのニッケル粉末の粉体抵抗は1.2×10−3Ωcm、400℃までの酸化に伴う重量増加率は2.7%であり、これを酸化処理して得たニッケル粉末の粉体抵抗率は6.2×102Ωcm、400℃までの酸化に伴う重量増加率は0.4%であった。

0054

これに対して、本発明の方法に従って得たニッケル粉末では、粉体抵抗は9.4×10−2〜9.9×10−2Ωcm、400℃までの酸化に伴う重量増加率は0.5%となり、高い導電性と高い耐酸化性とが得られていることがわかる。

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