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技術 動脈圧の伝搬時間および波形を用いた心血管パラメータの継続的評価のための方法および装置

出願人 エドワーズライフサイエンシーズコーポレイション
発明者 ハティブ,フェラスエス.ムーニー,チャールズアール.ロテリューク,ルシーディー.
出願日 2007年7月11日 (13年7ヶ月経過) 出願番号 2009-519648
公開日 2009年12月10日 (11年2ヶ月経過) 公開番号 2009-543609
状態 拒絶査定
技術分野 脈拍・心拍・血圧・血流の測定
主要キーワード 物理的容積 圧力加重 信号調整ユニット 圧力関数 流量測定デバイス 統計モーメント 時間モジュール 三パラメータ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題・解決手段

少なくとも一つの心周期カバーする間隔にわたる動脈圧測定値に対応する入力信号を受け取るステップと、入力信号の伝搬時間を決定するステップと、入力信号の少なくとも一つの統計モーメントを決定するステップと、伝搬時間と少なくとも一つの統計モーメントとを用いて心血管パラメータ推定値を決定するステップとを含む、心血管パラメータを決定するための方法および装置。一実施形態において、心血管パラメータは、動脈コンプライアンス血管抵抗心拍出量および一回拍出量からなる群より選択される。

概要

背景

心拍出量(CO)は、病気診断だけではなく、患者を含むヒトおよび動物の両対象の状態を持続的にモニタリングするための、重要な指標である。したがって、心拍出量をモニタするための何らかの形の従来装置を備えていない病院はほとんどない。

COを測定する一方法は、周知の公式
CO=HR*SV、(式1)
の使用であり、式中、SVは一回拍出量を表わし、HRは心拍数を表わす。SVは通常リットルで測定され、HR通常は一分あたりの脈拍で測定されるが、その他の体積および時間の単位が使用されてもよい。式1は、単位時間(例えば一分)に心臓送り出す血液の量が、脈拍(拍動)毎に送り出す量に単位時間あたりの脈拍数掛けたものに等しいことを表わす。

HRは様々な機器を使用して容易に測定されるため、COの計算は通常、SVを推定するための技術によって決まる。逆に、COの直接値を出す任意の方法を用いて、HRで割ることによりSVを決定できる。そして、COまたはSVの推定値を用いて、これらの値のいずれかから導出できる任意のパラメータを推定し、または推定するのを助けることができる。

CO(または同等にSV)を決定するための一侵襲的方法は、カテーテル流量測定デバイスを装着してから、対象にカテーテルを通し、デバイスが対象の心臓内また付近にくるように操作することである。このような流量測定デバイスの一つは、例えば右心房等の上流位置でボーラスの材料またはエネルギー(通常は熱)を注入し、肺動脈等の下流位置での注入された材料またはエネルギーの特性に基づいて流量を決定する。このような侵襲的技術(特に熱希釈)の実施を開示する特許には、以下が含まれる。

特許文献1(Newbower等、1980年12月2日);
特許文献2(Yelderman、1985年4月2日);
特許文献3(McKown等、1992年9月8日);および
特許文献4(McKown等、1997年11月18日)。

さらに他の侵襲的デバイスは、公知のフィック法に基づく。これによれば、COが動脈および混合静脈血酸素化関数として計算される。ほとんどの場合には、右心カテーテル法を用いて酸素化が感知される。しかし、特に複数の波長の光を使用して、動脈および静脈酸素化を非侵襲的に測定するシステムの提案もなされているが、現在まで、実際の患者の満足なCO測定を可能とするのに十分に正確になっていない。

侵襲的方法は、明らかな不都合を有する。そのような不都合の一つは、特に実行対象(特に集中治療患者)が現実または潜在的に重篤な状態にあるために既に入院している場合が多いことを考えると、心臓のカテーテル処置が潜在的に危険であることである。侵襲的方法には、見えにくい不都合もある。そのような不都合の一つは、熱希釈が、達成度よって測定値の精度に影響する、注入された熱の均一な分散等の仮定に依存することである。さらに、血流への機器の導入により、機器が計量する値(例えば流量)が影響を受けうる。したがって、非侵襲的(または少なくともできる限り侵襲性が低い)かつ正確なCO決定方法が長らく必要とされている。

COを低侵襲的または非侵襲的に決定するために特に有望であることが分かっている一つの血液性状は、血圧である。ほとんどの公知の血圧ベースのシステムは、脈拍から脈拍の動脈圧波形の特徴からCOの推定値を計算する、パルス輪郭法(PCM)である。PCMにおいては、「ウインドケッセル」(ドイツ語の「空気室」)パラメータ(大動脈特性インピーダンスコンプライアンスおよび全末梢抵抗)を用いて、大動脈の線形または非線形血液動態モデルが構成される。本質的には、血流が、抵抗キャパシタンス(コンプライアンス)が並列接続され、インピーダンスがこれと直列である回路電流の流れに類推される。

モデルの三つの必要パラメータは、通常、複雑なキャリブレーションプロセスを経て実験的に、または他の患者または被験対象年齢性別身長、体重等についてのデータであるコンパイルされた「人体測定」データから、決定される。特許文献5(Wesseling、1995年3月28日)および特許文献6(Petrucelli等、1996年7月16日)が、ウインドケッセル回路モデルを使用してCOを決定するシステムの代表である。

単純な二要素ウインドケッセルモデルの多くの延長が、精度を高めることを期待して提唱されている。そのような延長の一つは、スイス生理学者BroemserおよびRankeにより1930年の論文非特許文献1)において開発された。本質的に、Broemserモデル−別名三要素ウインドケッセルモデル−は、大動脈弁または肺動脈弁による血流に対する抵抗をシミュレートするために、基本的な二要素ウインドケッセルモデルモデルに第三の要素を加える。

PCMシステムは、患者内にカテーテルを残すことを必要とせずに、COを多少持続的にモニタできる。実際に、いくつかのPCMシステムは、指カフを使用した血圧測定を利用して機能する。しかし、PCMシステムの一つの欠点は、それらが導出されるやや単純な三パラメータモデルと正確性が変わらないことである。一般に、例えば動脈の枝分れにより生じる複数のインピーダンス不整合による圧力波反射の複雑なパターン等の他の事象を正確に把握するために、はるかに高次のモデルが必要とされる。したがって、複雑度が様々な他の改善が提唱されている。

例えば、特許文献7においてSalvatore Romanoにより開示される“Method and Apparatus for Measuring Cardiac Output”は、全圧力曲線下の面積と様々なインピーダンス成分線形結合との比の関数として、侵襲的または非侵襲的にSVを推定することによりPCM法を改善するための、別の試みである。Romanoシステムは、圧力反射を考慮する試みにおいて、固有ノイズが多い圧力関数導関数の正確な推定値だけでなく、平均圧力値に対する一連の実験的に決定される数値補正に依存する。

COを推定するためのいくつかの方法の中心は:
CO=HR*(K*SVest) (式2)
という形の式であり、式中、HRは心拍数であり、SVestは推定一回拍出量であり、Kは動脈コンプライアンスに関連したスケーリング係数である。例えば、RomanoおよびPetrucelliは、特許文献8(Band等、2000年6月6日)および特許文献9(Band等、2002年2月19日)に開示される装置と同様に、この式に依存する。

COを決定するために使用されることの多い別の式は:
CO=MAP*C/tau (式3)
であり、式中、MAPは平均動脈圧であり、tauは指数圧力減少定数であり、CはK同様、動脈コンプライアンスKに関連したスケーリング係数である。特許文献10(Campbell、2002年11月26日)は、このような式を使用する装置を開示する。

これらの方法の精度は、スケーリング係数KおよびCの決定方法に依存しうる。換言すれば、コンプライアンス(またはコンプライアンスに機能的に関連した他の値)の正確な推定が必要となりうる。例えば、Langwouters(非特許文献2)は、ヒト大動脈における単位長さあたりの血管コンプライアンスの測定を議論し、それを患者の年齢および性別と関連づける。大動脈の長さは、患者の体重および身長に比例するものと決定される。そして、この患者情報に基づくノモグラムが導出され、コンプライアンス係数の推定を改善するために、動脈圧波形から導出された情報とともに用いられる。

上に特定した様々な従来技術の装置は、それぞれ一つ以上の欠点をもつ可能性がある。例えばBand装置は、COの計算に使用される血管インピーダンスに関連した係数を決定するための独立したCOの測定を用いた外部キャリブレーションが必要である。特許文献11(Joeken等、2001年11月13日)は、同じ欠点を伴う別のデバイスを説明する。

Wesseling(特許文献12、1995年3月28日)は、患者の身長、体重、性別、年齢等の人体測定データから、血管コンプライアンスに関連した係数を決定することを試みる。この方法は、ヒトの名目測定値から決定される関係に依存し、様々な患者に確実に適用できない。

Romanoは、動脈圧波形の特徴のみから血管インピーダンスに関連した係数を決定することを試み、したがって、患者特性とコンプライアンスの既知の関係を利用できない。換言すれば、Romanoは、システムの人体測定データの必要をなくすことにより、そのようなデータに含まれる情報も失う。さらに、Romanoは、圧力波形微分値にいくつかの中間計算基礎をおく。しかし、周知のように、このような微分の推定値は、固有のノイズが多い。従って、Romanoの方法は信頼できない。

動脈コンプライアンス(KまたはC)または抵抗、血管緊張度、tau等の心血管パラメータ、またはSVおよびCO等、これらのパラメータから計算される値を、より正確かつ確実に推定するためのシステムおよび方法が必要である。

本発明の発明者の一人は、SVが、動脈圧波形P(t)、またはそれ自体がP(t)に比例する他の信号の標準偏差に比例するものとして近似されうることを以前に公開した:特許文献13(Luchy Roteliuk等、2005年6月09日、“Pressure based System and Method for Determining Cardiac Stroke Volume”)を公開した。したがって、SVを推定する一方法は、関係:
SV=Kσ(P)=Kstd(P) (式4)
を適用することである。

式中、Kはスケーリング係数であり、そこから:
CO=Kσ(P)HR=Kstd(P)HR (式5)
が続く。

SVと動脈圧波形の標準偏差の間のこの比例は、圧力波形の拍動性が、血管緊張度(すなわち、血管コンプライアンスおよび末梢抵抗)の関数として、動脈樹への心臓のSVにより生み出されるという観察に基づく。式4および5のスケーリング係数Kは、血管緊張度の推定値である。

近年では、本発明の発明者の一人が、圧力に依存する血管コンプライアンスの測定値および年齢、性別、身長、体重および体表面積BSA)等の患者の人体測定データと組み合わせて動脈圧波形の形状特性を用いて、血管緊張度を確実に推定できることも公開した:特許文献14(Luchy Roteliuk、2005年6月09日、“Arterial pressure−based automatic determination of a cardiovascular parameter”)。動脈圧波形の形状情報定量化するために、新たに導出された圧力加重統計モーメントに加えて、動脈圧波形の高次時間領域統計モーメント(例えば度および歪度)が使用された。したがって、血管緊張度は、以下の一般形態の多変量回帰モデルを用いて、パラメータの組み合わせの関数として計算される:
K=χ(μT1,μT2,・・・μTk,μP1,μP2,・・・μPk,C(P),BSA,Age,G・・・) (式6)
式中、
Kは、血管緊張度(式4および5のキャリブレーション係数)であり;
Xは、重回帰統計モデルであり;
μ1T・・・μkTは、動脈圧波形の1次からk次の時間領域統計モーメントであり;
μ1P・・・μkPは、動脈圧波形の1次からk次の圧力加重統計モーメントであり;
C(P)は、Langwouters等1984(非特許文献3)により提唱される方法を用いて計算される、圧力に依存する血管コンプライアンスであり;
BSAは、患者の体表面積(身長と体重の関数)であり;
Ageは、患者の年齢であり;
Gは、患者の性別である。

多変量モデルχを用いて血管緊張度係数Kを計算するために設定される予測変数は、熱希釈および動脈圧により測定されるCOの関数として決定される、テストまたは基準対象集団の「真の」血管緊張度測定値に関連づけられた。これにより、各々がχの成分パラメータの関数である血管緊張度測定値組が作られる。そして、公知の数値的方法を用いて、χのパラメータを所与のCO測定値組に所定の意味で最適に関連づける多変量近似関数が計算される。多項式多変量フィッティング関数を用いて、各予測変数組にχの値を与える、多項式の係数が得られる。したがって、多変量モデルは、以下の一般形態を有する:

式中、A1・・・Anは、多項式重回帰モデルの係数であり、Xはモデルの予測変数であり:

上に記載された方法は、単一の動脈圧測定のみに依存する。その単純さと、キャリブレーションを必要としないという事実が、この方法の利点である。しかし、血管緊張度を評価する関係の経験的性質により、この方法の精度は、モデルの基本的経験的関係が有効でない極端臨床的状況において低くなりうる。そのため、第二の独立した測定値が基本的な重回帰モデルに加えられれば、有益でありうる。

概要

少なくとも一つの心周期カバーする間隔にわたる動脈圧測定値に対応する入力信号を受け取るステップと、入力信号の伝搬時間を決定するステップと、入力信号の少なくとも一つの統計モーメントを決定するステップと、伝搬時間と少なくとも一つの統計モーメントとを用いて心血管パラメータの推定値を決定するステップとを含む、心血管パラメータを決定するための方法および装置。一実施形態において、心血管パラメータは、動脈コンプライアンス、血管抵抗、心拍出量および一回拍出量からなる群より選択される。

目的

CO(または同等にSV)を決定するための一侵襲的方法は、カテーテルに流量測定デバイスを装着してから、対象にカテーテルを通し、デバイスが対象の心臓内または付近にくるように操作することである

効果

実績

技術文献被引用数
7件
牽制数
1件

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請求項1

心血管パラメータを決定する方法であり、少なくとも一つの心周期カバーする間隔にわたる動脈圧測定値に対応する入力信号を受け取るステップと;該入力信号の伝搬時間を決定するステップと;該伝搬時間を用いて、該心血管パラメータの推定値を決定するステップとを含む、方法。

請求項2

記入力信号の少なくとも一つの統計モーメントを決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記伝搬時間を用いて、前記心血管パラメータの推定値を決定する前記ステップが、前記少なくとも一つの統計モーメントを用いて、該心血管パラメータの推定値を決定するステップを含む、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記入力信号の前記少なくとも一つの統計モーメントが、該入力信号の標準偏差および二次より高次の統計モーメント、該入力信号の度および該入力信号の歪度からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。

請求項5

前記心血管パラメータが、動脈コンプライアンス血管抵抗心拍出量および一回拍出量からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記入力信号の伝搬時間を決定する前記ステップが、対象の心臓付近で検出される基準信号と、該対象の動脈付近で検出される末梢動脈信号との間の経過時間を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記基準信号が、心電図測定値、中心大動脈圧測定値、経胸壁生体インピーダンス測定値およびドップラー超音波血液速度測定値からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記末梢動脈信号が、動脈圧測定値、前記対象の血液の酸素飽和度を測定する光学式酸素測定値、末梢生体インピーダンス測定値、およびドップラー超音波血液速度測定値からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。

請求項9

前記伝搬時間を用いて、前記心血管パラメータの推定値を決定する前記ステップが、該心血管パラメータの推定値を決定するために、前記入力信号の標準偏差を使用するステップも含む、請求項1に記載の方法。

請求項10

前記対象の人体測定パラメータを受け取るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記伝搬時間を用いて、前記心血管パラメータの推定値を決定する前記ステップが、該心血管パラメータの推定値を決定するために、前記人体測定パラメータを使用するステップも含む、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記伝搬時間と前記人体測定パラメータとを用いて、動脈コンプライアンス値を推定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。

請求項13

前記動脈コンプライアンス値と前記入力信号の標準偏差とを用いて、一回拍出量を推定するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。

請求項14

対象の心拍数測定値を受け取るステップと;該心拍数測定値と前記一回拍出量とを用いて、心拍出量を推定するステップとをさらに含む、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記動脈コンプライアンスと前記標準偏差とを用いて、心拍出量を推定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。

請求項16

キャリブレーション心拍出量値を受け取るステップと;該キャリブレーション心拍出量推定値と、前記心拍数、前記動脈コンプライアンス、および前記標準偏差の積との間の商として、キャリブレーション定数を計算するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。

請求項17

動脈コンプライアンス値を推定するステップが、動脈コンプライアンスの複数の基準測定値に関する近似関数を決定するステップであって、該近似関数が、前記入力信号の前記伝搬時間と前記人体測定パラメータの関数である、ステップと、該入力信号の該伝搬時間と該人体測定パラメータにより該近似関数の値を求めることにより、前記対象の該動脈コンプライアンス値を推定するステップとをさらに含む、請求項12に記載の方法。

請求項18

前記複数の心周期の各々につき伝搬時間の成分値を計算するステップと、該伝搬時間の成分値の平均として、該伝搬時間の複合値を計算するステップと、前記心血管パラメータの推定値を計算する際に、該伝搬時間の複合値を使用するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項19

心血管パラメータを決定するための装置であって、少なくとも一つの心周期をカバーする間隔にわたる動脈圧測定値に対応する入力信号を受け取り、該入力信号の伝搬時間を決定し、該伝搬時間を用いて該心血管パラメータの推定値を決定するための、処理ユニットを備えている、装置。

請求項20

前記処理ユニットが、前記入力信号の少なくとも一つの統計モーメントを決定する、請求項19に記載の装置。

請求項21

前記処理ユニットが、前記少なくとも一つの統計モーメントを用いて、前記心血管パラメータの推定値を決定する、請求項20に記載の装置。

請求項22

前記入力信号の前記少なくとも一つの統計モーメントが、二次より高次の統計モーメント、該入力信号の尖度、該入力信号の歪度、および該入力信号の標準偏差からなる群より選択される、請求項20に記載の装置。

請求項23

前記心血管パラメータが、動脈コンプライアンス、血管抵抗、心拍出量および一回拍出量からなる群より選択される、請求項19に記載の装置。

請求項24

前記処理ユニットが、対象の心臓付近で検出される基準信号と、対象の動脈付近で検出される末梢動脈信号との間の経過時間を決定することにより、前記入力信号の伝搬時間を決定する、請求項19に記載の装置。

請求項25

前記基準信号が、心電図測定値、中心大動脈圧測定値、経胸壁生体インピーダンス測定値およびドップラー超音波血液速度測定値からなる群より選択される、請求項24に記載の装置。

請求項26

前記末梢動脈信号が、動脈圧測定値、対象の血液の酸素飽和度を測定する光学式酸素測定値、末梢生体インピーダンス測定値、およびドップラー超音波血液速度測定値からなる群より選択される、請求項24に記載の装置。

請求項27

前記処理ユニットが、前記入力信号の標準偏差を用いて、前記心血管パラメータの推定値を決定する、請求項19に記載の装置。

請求項28

前記処理ユニットが、対象の人体測定パラメータを受け取る、請求項19に記載の装置。

請求項29

前記処理ユニットが、前記伝搬時間と前記人体測定パラメータとを用いて、前記心血管パラメータの推定値を決定する、請求項28に記載の装置。

請求項30

前記処理ユニットが、前記伝搬時間と前記人体測定パラメータとを用いて、動脈コンプライアンス値を推定する、請求項28に記載の装置。

請求項31

前記動脈コンプライアンス値と前記入力信号の標準偏差とを用いて、一回拍出量を推定するステップをさらに含む、請求項30に記載の装置。

請求項32

対象の心拍数測定値を受け取るステップと;前記心拍数測定値と前記一回拍出量とを用いて心拍出量を推定するステップとをさらに含む、請求項31に記載の装置。

請求項33

前記動脈コンプライアンスと前記標準偏差とを用いて、心拍出量を推定するステップをさらに含む、請求32に記載の装置。

請求項34

キャリブレーション心拍出量値を受け取るステップと;該キャリブレーション心拍出量推定値と、前記心拍数、前記動脈コンプライアンス、および前記標準偏差の積との間の商として、キャリブレーション定数を計算するステップとをさらに含む、請求項33に記載の装置。

請求項35

動脈コンプライアンス値を推定するステップが、動脈コンプライアンスの複数の基準測定値に関する近似関数を決定するステップであって、該近似関数が、前記入力信号の前記伝搬時間および前記人体測定パラメータの関数である、ステップと;該入力信号の該伝搬時間および該人体測定パラメータにより該近似関数の値を求めることにより、前記対象の該動脈コンプライアンス値を推定するステップとをさらに含む、請求項29に記載の装置。

請求項36

前記複数の心周期の各々につき伝搬時間の成分値を計算するステップと;該伝搬時間の成分値の平均として、該伝搬時間の複合値を計算するステップと;前記心血管パラメータの推定値を計算する際に、該伝搬時間の複合値を使用するステップとをさらに含む、請求項19に記載の方法。

請求項37

命令を提供する機械可読媒体であって、プロセッサによって実行されると、少なくとも一つの心周期をカバーする間隔にわたる動脈圧測定値に対応する入力信号を受け取るステップと;該入力信号の伝搬時間を決定するステップと;該伝搬時間を用いて該心血管パラメータの推定値を決定するステップとを含む、心血管パラメータを決定するステップを、該プロセッサに行わせる、機械可読媒体。

技術分野

0001

優先権の主張)
本出願は、出願人に譲渡された米国仮特許出願第60/830,735号(2006年7月13日出願、名称「METHODANDAPPARATUS FOR CONTINUOUS ASSESSMENT OF A CARDIOVASCULAR PARAMETERUSING THEARTERIAL PULSE PRESSURE PROPAGATIONTIME AND WAVEFORM」)に基づく優先権を主張し、該出願は、本明細書において参照により明示的に援用される。

0002

(技術分野)
本発明は、一般に血液動態モニタリングためのシステムおよび方法に関する。特に本発明は、動脈圧伝搬時間および波形測定値を用いて個人血管緊張度動脈コンプライアンスまたは抵抗一回拍出量SV)、心拍出量(CO)等、少なくとも一つの心血管パラメータ推定するためのシステムおよび方法に関する。

背景技術

0003

心拍出量(CO)は、病気診断だけではなく、患者を含むヒトおよび動物の両対象の状態を持続的にモニタリングするための、重要な指標である。したがって、心拍出量をモニタするための何らかの形の従来装置を備えていない病院はほとんどない。

0004

COを測定する一方法は、周知の公式
CO=HR*SV、(式1)
の使用であり、式中、SVは一回拍出量を表わし、HRは心拍数を表わす。SVは通常リットルで測定され、HR通常は一分あたりの脈拍で測定されるが、その他の体積および時間の単位が使用されてもよい。式1は、単位時間(例えば一分)に心臓送り出す血液の量が、脈拍(拍動)毎に送り出す量に単位時間あたりの脈拍数掛けたものに等しいことを表わす。

0005

HRは様々な機器を使用して容易に測定されるため、COの計算は通常、SVを推定するための技術によって決まる。逆に、COの直接値を出す任意の方法を用いて、HRで割ることによりSVを決定できる。そして、COまたはSVの推定値を用いて、これらの値のいずれかから導出できる任意のパラメータを推定し、または推定するのを助けることができる。

0006

CO(または同等にSV)を決定するための一侵襲的方法は、カテーテル流量測定デバイスを装着してから、対象にカテーテルを通し、デバイスが対象の心臓内また付近にくるように操作することである。このような流量測定デバイスの一つは、例えば右心房等の上流位置でボーラスの材料またはエネルギー(通常は熱)を注入し、肺動脈等の下流位置での注入された材料またはエネルギーの特性に基づいて流量を決定する。このような侵襲的技術(特に熱希釈)の実施を開示する特許には、以下が含まれる。

0007

特許文献1(Newbower等、1980年12月2日);
特許文献2(Yelderman、1985年4月2日);
特許文献3(McKown等、1992年9月8日);および
特許文献4(McKown等、1997年11月18日)。

0008

さらに他の侵襲的デバイスは、公知のフィック法に基づく。これによれば、COが動脈および混合静脈血酸素化関数として計算される。ほとんどの場合には、右心カテーテル法を用いて酸素化が感知される。しかし、特に複数の波長の光を使用して、動脈および静脈酸素化を非侵襲的に測定するシステムの提案もなされているが、現在まで、実際の患者の満足なCO測定を可能とするのに十分に正確になっていない。

0009

侵襲的方法は、明らかな不都合を有する。そのような不都合の一つは、特に実行対象(特に集中治療患者)が現実または潜在的に重篤な状態にあるために既に入院している場合が多いことを考えると、心臓のカテーテル処置が潜在的に危険であることである。侵襲的方法には、見えにくい不都合もある。そのような不都合の一つは、熱希釈が、達成度よって測定値の精度に影響する、注入された熱の均一な分散等の仮定に依存することである。さらに、血流への機器の導入により、機器が計量する値(例えば流量)が影響を受けうる。したがって、非侵襲的(または少なくともできる限り侵襲性が低い)かつ正確なCO決定方法が長らく必要とされている。

0010

COを低侵襲的または非侵襲的に決定するために特に有望であることが分かっている一つの血液性状は、血圧である。ほとんどの公知の血圧ベースのシステムは、脈拍から脈拍の動脈圧波形の特徴からCOの推定値を計算する、パルス輪郭法(PCM)である。PCMにおいては、「ウインドケッセル」(ドイツ語の「空気室」)パラメータ(大動脈特性インピーダンスコンプライアンスおよび全末梢抵抗)を用いて、大動脈の線形または非線形血液動態モデルが構成される。本質的には、血流が、抵抗とキャパシタンス(コンプライアンス)が並列接続され、インピーダンスがこれと直列である回路電流の流れに類推される。

0011

モデルの三つの必要パラメータは、通常、複雑なキャリブレーションプロセスを経て実験的に、または他の患者または被験対象年齢性別身長、体重等についてのデータであるコンパイルされた「人体測定」データから、決定される。特許文献5(Wesseling、1995年3月28日)および特許文献6(Petrucelli等、1996年7月16日)が、ウインドケッセル回路モデルを使用してCOを決定するシステムの代表である。

0012

単純な二要素ウインドケッセルモデルの多くの延長が、精度を高めることを期待して提唱されている。そのような延長の一つは、スイス生理学者BroemserおよびRankeにより1930年の論文非特許文献1)において開発された。本質的に、Broemserモデル−別名三要素ウインドケッセルモデル−は、大動脈弁または肺動脈弁による血流に対する抵抗をシミュレートするために、基本的な二要素ウインドケッセルモデルモデルに第三の要素を加える。

0013

PCMシステムは、患者内にカテーテルを残すことを必要とせずに、COを多少持続的にモニタできる。実際に、いくつかのPCMシステムは、指カフを使用した血圧測定を利用して機能する。しかし、PCMシステムの一つの欠点は、それらが導出されるやや単純な三パラメータモデルと正確性が変わらないことである。一般に、例えば動脈の枝分れにより生じる複数のインピーダンス不整合による圧力波反射の複雑なパターン等の他の事象を正確に把握するために、はるかに高次のモデルが必要とされる。したがって、複雑度が様々な他の改善が提唱されている。

0014

例えば、特許文献7においてSalvatore Romanoにより開示される“Method and Apparatus for Measuring Cardiac Output”は、全圧力曲線下の面積と様々なインピーダンス成分線形結合との比の関数として、侵襲的または非侵襲的にSVを推定することによりPCM法を改善するための、別の試みである。Romanoシステムは、圧力反射を考慮する試みにおいて、固有ノイズが多い圧力関数導関数の正確な推定値だけでなく、平均圧力値に対する一連の実験的に決定される数値補正に依存する。

0015

COを推定するためのいくつかの方法の中心は:
CO=HR*(K*SVest) (式2)
という形の式であり、式中、HRは心拍数であり、SVestは推定一回拍出量であり、Kは動脈コンプライアンスに関連したスケーリング係数である。例えば、RomanoおよびPetrucelliは、特許文献8(Band等、2000年6月6日)および特許文献9(Band等、2002年2月19日)に開示される装置と同様に、この式に依存する。

0016

COを決定するために使用されることの多い別の式は:
CO=MAP*C/tau (式3)
であり、式中、MAPは平均動脈圧であり、tauは指数圧力減少定数であり、CはK同様、動脈コンプライアンスKに関連したスケーリング係数である。特許文献10(Campbell、2002年11月26日)は、このような式を使用する装置を開示する。

0017

これらの方法の精度は、スケーリング係数KおよびCの決定方法に依存しうる。換言すれば、コンプライアンス(またはコンプライアンスに機能的に関連した他の値)の正確な推定が必要となりうる。例えば、Langwouters(非特許文献2)は、ヒト大動脈における単位長さあたりの血管コンプライアンスの測定を議論し、それを患者の年齢および性別と関連づける。大動脈の長さは、患者の体重および身長に比例するものと決定される。そして、この患者情報に基づくノモグラムが導出され、コンプライアンス係数の推定を改善するために、動脈圧波形から導出された情報とともに用いられる。

0018

上に特定した様々な従来技術の装置は、それぞれ一つ以上の欠点をもつ可能性がある。例えばBand装置は、COの計算に使用される血管インピーダンスに関連した係数を決定するための独立したCOの測定を用いた外部キャリブレーションが必要である。特許文献11(Joeken等、2001年11月13日)は、同じ欠点を伴う別のデバイスを説明する。

0019

Wesseling(特許文献12、1995年3月28日)は、患者の身長、体重、性別、年齢等の人体測定データから、血管コンプライアンスに関連した係数を決定することを試みる。この方法は、ヒトの名目測定値から決定される関係に依存し、様々な患者に確実に適用できない。

0020

Romanoは、動脈圧波形の特徴のみから血管インピーダンスに関連した係数を決定することを試み、したがって、患者特性とコンプライアンスの既知の関係を利用できない。換言すれば、Romanoは、システムの人体測定データの必要をなくすことにより、そのようなデータに含まれる情報も失う。さらに、Romanoは、圧力波形微分値にいくつかの中間計算基礎をおく。しかし、周知のように、このような微分の推定値は、固有のノイズが多い。従って、Romanoの方法は信頼できない。

0021

動脈コンプライアンス(KまたはC)または抵抗、血管緊張度、tau等の心血管パラメータ、またはSVおよびCO等、これらのパラメータから計算される値を、より正確かつ確実に推定するためのシステムおよび方法が必要である。

0022

本発明の発明者の一人は、SVが、動脈圧波形P(t)、またはそれ自体がP(t)に比例する他の信号の標準偏差に比例するものとして近似されうることを以前に公開した:特許文献13(Luchy Roteliuk等、2005年6月09日、“Pressure based System and Method for Determining Cardiac Stroke Volume”)を公開した。したがって、SVを推定する一方法は、関係:
SV=Kσ(P)=Kstd(P) (式4)
を適用することである。

0023

式中、Kはスケーリング係数であり、そこから:
CO=Kσ(P)HR=Kstd(P)HR (式5)
が続く。

0024

SVと動脈圧波形の標準偏差の間のこの比例は、圧力波形の拍動性が、血管緊張度(すなわち、血管コンプライアンスおよび末梢抵抗)の関数として、動脈樹への心臓のSVにより生み出されるという観察に基づく。式4および5のスケーリング係数Kは、血管緊張度の推定値である。

0025

近年では、本発明の発明者の一人が、圧力に依存する血管コンプライアンスの測定値および年齢、性別、身長、体重および体表面積BSA)等の患者の人体測定データと組み合わせて動脈圧波形の形状特性を用いて、血管緊張度を確実に推定できることも公開した:特許文献14(Luchy Roteliuk、2005年6月09日、“Arterial pressure−based automatic determination of a cardiovascular parameter”)。動脈圧波形の形状情報定量化するために、新たに導出された圧力加重統計モーメントに加えて、動脈圧波形の高次時間領域統計モーメント(例えば度および歪度)が使用された。したがって、血管緊張度は、以下の一般形態の多変量回帰モデルを用いて、パラメータの組み合わせの関数として計算される:
K=χ(μT1,μT2,・・・μTk,μP1,μP2,・・・μPk,C(P),BSA,Age,G・・・) (式6)
式中、
Kは、血管緊張度(式4および5のキャリブレーション係数)であり;
Xは、重回帰統計モデルであり;
μ1T・・・μkTは、動脈圧波形の1次からk次の時間領域統計モーメントであり;
μ1P・・・μkPは、動脈圧波形の1次からk次の圧力加重統計モーメントであり;
C(P)は、Langwouters等1984(非特許文献3)により提唱される方法を用いて計算される、圧力に依存する血管コンプライアンスであり;
BSAは、患者の体表面積(身長と体重の関数)であり;
Ageは、患者の年齢であり;
Gは、患者の性別である。

0026

多変量モデルχを用いて血管緊張度係数Kを計算するために設定される予測変数は、熱希釈および動脈圧により測定されるCOの関数として決定される、テストまたは基準対象集団の「真の」血管緊張度測定値に関連づけられた。これにより、各々がχの成分パラメータの関数である血管緊張度測定値組が作られる。そして、公知の数値的方法を用いて、χのパラメータを所与のCO測定値組に所定の意味で最適に関連づける多変量近似関数が計算される。多項式多変量フィッティング関数を用いて、各予測変数組にχの値を与える、多項式の係数が得られる。したがって、多変量モデルは、以下の一般形態を有する:

0027

式中、A1・・・Anは、多項式重回帰モデルの係数であり、Xはモデルの予測変数であり:

0028

上に記載された方法は、単一の動脈圧測定のみに依存する。その単純さと、キャリブレーションを必要としないという事実が、この方法の利点である。しかし、血管緊張度を評価する関係の経験的性質により、この方法の精度は、モデルの基本的経験的関係が有効でない極端臨床的状況において低くなりうる。そのため、第二の独立した測定値が基本的な重回帰モデルに加えられれば、有益でありうる。

0029

米国特許第4,236,527号明細書
米国特許第4,507,974号明細書
米国特許第5,146,414号明細書
米国特許第5,687,733号明細書
米国特許第5,400,793号明細書
米国特許第5,535,753号明細書
米国特許第6,758,822号明細書
米国特許第6,071,244号明細書
米国特許第6,348,038号明細書
米国特許第6,485,431号明細書
米国特許第6,315,735号明細書
米国特許第5,400,793号明細書
米国特許出願公開第2005/0124903号明細書
米国特許出願公開第2005/0124904号明細書

先行技術

0030

“Ueber die Messung des Schlagvolumens des Herzens auf unblutigem Wegf,”Zeitung fuer Biologie 90(1930)467−507
“The Static Elastic Properties of 45 Human Thoracic and 20 Abdominal Aortas in vitro and the Parameters of a New Model,”J. Biomechanics,Vol.17,No.6,pp.425−435,1984
“The Static Elastic Properties of 45 Human Thoracic and 20 Abdominal Aortas in vitro and the Parameters of a New Model,”J. Biomechanics,Vol.17,No.6,pp.425−435,1984“The Static Elastic Properties of 45 HumanThoracic and 20 Abdominal Aortas in vitro and the Parameters of a New Model,”J.Biomechanics,Vol.17,No.6,pp.425−435,1984

発明が解決しようとする課題

0031

上に示したとおり、SVおよびCOを測定するため、特に血管コンプライアンス、末梢抵抗および血管緊張度を検出するための、非侵襲的および侵襲的な、多くの技術が考案されている。当然のことながら、COまたは、COを用いてまたはCOから導出できる任意のパラメータを推定するための、確実かつ正確で、キャリブレーションおよび計算誤差に影響されにくいシステムおよび方法が必要とされている。

課題を解決するための手段

0032

本発明の一実施形態は、少なくとも一つの心周期カバーする間隔にわたる動脈圧測定値に対応する入力信号を受け取るステップと、入力信号の伝搬時間を決定するステップと、入力信号の少なくとも一つの統計モーメントを決定するステップと、伝搬時間と少なくとも一つの統計モーメントとを用いて心血管パラメータの推定値を決定するステップとを含む、心血管パラメータを決定する方法を提供する。

0033

本発明の一実施形態は、少なくとも一つの心周期をカバーする間隔にわたる動脈圧測定値に対応する入力信号を受け取り、入力信号の伝搬時間を決定し、入力信号の少なくとも一つの統計モーメントを決定し、伝搬時間と少なくとも一つの統計モーメントとを用いて心血管パラメータの推定値を決定するための、処理ユニットを含む、心血管パラメータを決定するための装置を提供する。

図面の簡単な説明

0034

図1は、本発明の実施形態による、対象から受け取った二つの異なる動脈圧測定値を表わす二つの血圧曲線の例である。
図2は、本発明の実施形態による、対象から受け取った心電図測定値(ECG)および血圧測定値の例である。
図3は、本発明の実施形態による、動脈圧伝搬時間と動脈コンプライアンスの関係を示すグラフである。
図4は、本発明の実施形態による、心停止から回復する患者の脈圧伝搬時間と血管緊張度の関係を示すグラフである。
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、対象の異なる血液動態状態の、脈圧伝搬時間と血管緊張度の相関関係を示すグラフである。
図6は、本発明のいくつかの実施形態による、対象の異なる血液動態状態の、脈圧伝搬時間と血管緊張度の相関関係を示すグラフである。
図7は、本発明のいくつかの実施形態による、対象の異なる血液動態状態の、脈圧伝搬時間を用いて計算されたCOと、連続心拍出量(CCO)と、熱希釈ボーラス測定(TD−CO)により測定されたCO値との相関関係を示すグラフである。
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、対象の異なる血液動態状態の、脈圧伝搬時間を用いて計算されたCOと、連続心拍出量(CCO)と、熱希釈ボーラス測定(TD−CO)により測定されたCO値との相関関係を示すグラフである。
図9は、本発明のいくつかの実施形態による、対象の異なる血液動態状態の、脈圧伝搬時間を用いて計算されたCOと、連続心拍出量(CCO)と、熱希釈ボーラス測定(TD−CO)により測定されたCO値との相関関係を示すグラフである。
図10は、本発明のいくつかの実施形態による、動脈圧伝搬時間を用いて推定されたCOと、動脈圧信号を用いて推定されたCOの関係を示すグラフである。
図11は、本発明のいくつかの実施形態による、本明細書に記載の様々な方法を実行するために用いられるシステム例を示すブロック図である。
図12は、本発明の実施形態による方法を示す流れ図である。

実施例

0035

次に、本発明の様々な特徴の実施形態を実行する方法およびシステムを、図面に関して説明する。図面および関連する記載は、本発明の実施形態を示すために提供され、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明される特定の機能、構造、または特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態」または「実施形態」というは、全て同じ実施形態をさすものとは限らない。図面の全体において、参照番号は、参照された要素間の対応を示すために再使用される。

0036

広義においては、本発明は、動脈圧伝搬時間を用いた、一回拍出量(SV)、および/または心拍出量(CO)等のSVから導出される値等の、心臓の値の測定に関する。動脈圧伝搬時間は、動脈圧波形または動脈圧に比例するか動脈圧から導出される波形、心電図測定値、生体インピーダンス測定値、他の心血管パラメータ等を用いて測定されうる。これらの測定は、侵襲的、非侵襲的、最小限侵襲的機器または機器の組み合わせにより行われうる。

0037

本発明は、ヒトでも動物でも、任意の種類の対象に用いられうる。本発明の最も一般的な使用は、ヒトの診断の場合であることが予想されるため、以下では本発明の「患者」への使用が主に説明される。これは例にすぎないが、「患者」という用語には、状況に関わらずヒトおよび動物の両方の全対象が含まれることが意図される。

0038

図1は、対象から受け取った二つの異なる動脈圧測定値を表わす、二つの血圧曲線の例を示す。上の曲線は、対象の大動脈から検出された中心動脈圧測定値を表わし、下の曲線は対象の橈骨動脈から検出された測定値を表す。脈圧伝搬時間(tprop)は、二つの動脈圧測定値の間の経過時間として測定できる。

0039

血液動態測定に脈圧伝搬時間を使用する理論的根拠は、心血管バイオメカニクス基本原理に基づく。すなわち、対象の心臓が完全に硬直した血管を通して血液を輸送した場合には、心臓の収縮時には、対象の体内における任意の遠位の動脈の場所に圧力波形が即座に現れるはずである。しかしながら、対象の心臓が、弾力性のある血管を通して血液を輸送した場合には、心臓の収縮時には、対象の体内の遠位の動脈の場所で心臓が収縮した後若干時間をおいて波形が現れる。

0040

脈圧伝搬時間は、圧力波形(または圧力波形に関連した任意の他の波形)についていくつかの異なる場所で、侵襲的または非侵襲的に測定されうる。図1に示される例においては、例えば大動脈からの一つの基準測定値と橈骨動脈からの一つの末梢測定値の、二つの異なる動脈圧測定値を用いて、脈圧伝搬時間が測定されうる。

0041

図2は、伝搬時間測定のための基準信号として心電図信号を使用する例を示す。上の曲線は、対象の心臓の近くに配置された電極により検出された心電図(ECG)信号を表し、下の曲線は、対象の末梢血管から検出された動脈圧測定値を表す。この例においては、ECG信号末梢動脈圧との間の経過時間を用いて、動脈圧伝搬時間(tprop)が測定されうる。同様に、経胸壁生体インピーダンス測定を基準点として使用してもよく、動脈圧から導出されるか動脈圧に比例する末梢測定に対する経過時間として伝搬時間が測定されうる。

0042

動脈圧伝搬時間は、二つの記録部位間の血管セグメント物理的(すなわち機械的)特性の間接尺度を提供する。これらの特性には、主に動脈壁弾性的および幾何学的特性が含まれる。厚みや管腔直径等の動脈壁の特性は、動脈圧伝搬時間のいくつかの主な決定要素である。その結果、脈圧伝搬時間は、主に動脈のコンプライアンスに依存する。

0043

図3は、動脈コンプライアンス(C)の増加と共に脈圧伝搬時間が増加する例を示す。したがって、脈圧伝搬時間(tprop)は、動脈コンプライアンス(C)の関数、すなわち、
tprop=f(C) (式9)
として表わせる。

0044

したがって、動脈圧伝搬時間を、動脈コンプライアンスを推定するための簡単な尺度として使用できる。伝搬時間は、患者の血管の状態を評価するための別個の尺度として使用されてもよいし、血管コンプライアンス、血管抵抗および血管緊張度を考慮するために、他のパラメータとともにパルス輪郭心拍出量アルゴリズムにおいて使用されてもよい。一実施形態においては、動脈圧伝搬時間は、比較的大きな動脈(例えば橈骨大腿等)からの動脈圧信号を用いて測定され、したがって末梢抵抗の影響は最小限である。また、この測定には測定部位間の平均の動脈コンプライアンスを含み、動脈コンプライアンスの圧力依存性を反映しないことがあり得る。

0045

脈波伝播速度(PWV)を計算するために用いられる、周知のBramwell−Hillの公式から、基本的関係が導出されうる:

0046

式中、
dPは、圧力の変化であり;
dVは、容積の変化であり;
pは、血液密度であり;
Vは、ベースライン容積である。

0047

動脈コンプライアンス(C)は、圧力の増分変化(dP)から生じる容積の増分変化(dV)の比として定義でき、すなわち、

0048

式(11)を式(10)に代入すると、次の式が得られる:

0049

一方で、PWVは以下のように定義される:

0050

式中、Lは二つの記録部位間の血管長であり、tpropは動脈圧伝搬時間である。

0051

式13を式12に代入すると、以下により動脈コンプライアンスが得られる:

0052

γを以下のように定義すると:

0053

動脈コンプライアンスは、次のように表わせる:
C=γ・t2prop (式16)
式中、スケーリング係数γは、血液密度、二つの記録部位間の有効血管距離、および基本的容量に依存する関数である。すなわち、γは、二つの記録部位間の物理的血管容量および血液粘度(すなわちヘマトクリット等)に依存する。

0054

上の式に基づいて、動脈圧伝搬時間を多様な方法で使用できる。

0055

1.動脈コンプライアンスを推定するための動脈圧伝搬時間の使用。心収縮期駆出により生じる動脈圧の動力学変化を評価するための、動脈圧の標準偏差に基づく血液動態モデルへの入力として、脈圧伝搬時間を使用できる。COを、以下のように動脈圧の標準偏差の関数として表わせる:
CO=K*std(P)*HR (式17)
式中、Kは上で示したように動脈コンプライアンスに比例するスケーリング係数であり、std(P)は動脈圧の標準偏差であり、HRは心拍数である。

0056

さらに、以下も理解される:

0057

式中、MAPは平均動脈圧であり、τは指数圧力減少定数であり、CはK同様に動脈コンプライアンスに関連したスケーリング係数である。

0058

式17および18から、スケーリング係数Kは、血管コンプライアンスに等しい尺度である。式17のスケーリング係数Kを式16で与えられるコンプライアンスに代入すると、動脈圧波形の標準偏差と動脈圧伝搬時間を用いてCOが計算できる。

0059

CO=γ・t2prop・std(P)・HR (式19)
式中、動脈圧の標準偏差は、以下の式を使用して計算できる:

0060

式中、nは全サンプル数であり、P(k)は瞬間脈圧であり、Pavgは平均動脈圧である。平均動脈圧は、以下のように定義できる:

0061

図4は、心臓バイパス手術から回復中の患者の、動脈圧伝搬時間の二乗とスケーリング係数Kの関係を示すグラフである。図4は、十(10)人の異なる患者からの、十(10)の平均データポイントプロットする。図4の例においては、動脈圧伝搬時間が、ECG信号と橈骨動脈圧の間の経過時間として計算されている。図4に示されるデータは、式16により与えられる動脈圧伝搬時間を用いて、式17のKスケーリング係数が有効に推定されうることを示す。

0062

図5および6は、二つの対象の異なる血液動態状態の、動脈圧伝搬時間と式17のKスケーリング係数の間の相関関係を示すグラフである。両傾向は、ブタ動物モデルを使用した実験からとった動物データに対応する。これらの図は、スケーリング係数Kと脈圧伝搬時間の二乗の、同一の傾向を示す。図5および6のデータは、動脈圧伝搬時間を用いて、式17および18のKまたはCスケーリング係数が効果的に推定されうることを示す。

0063

式19のスケーリング係数γは、伝搬時間と圧力P(t)の任意の所定の関数を用いて決定されうる。したがって、
γ=Γ(tprop,P) (式22)
式中、Γは、γを推定するための計算法展開するために用いられる、伝搬時間と圧力の所定の関数である。

0064

熱希釈等侵襲的であるか、経食道心エコー法(TEE)または生体インピーダンス測定等非侵襲的であるかを問わず、任意の公知の独立したCO技術を用いて、この関係を決定しうる。本発明は、TDまたはTEE等の断続的測定の間の、COの連続的傾向を提供する。

0065

カテーテル法等の侵襲的技術を用いてγを決定する場合でも、通常は、後のCO−モニタリングセッションの間にカテーテルを患者内に残す必要はない。さらに、カテーテルベースのキャリブレーション技術を用いてγを決定する場合であっても、心臓の中または付近で測定がなされる必要はない。むしろ、大腿動脈内でキャリブレーション測定が行われうる。したがって、侵襲的技術を用いてγが決定される場合でも、本発明は全体として、いずれのカテーテル処置も末梢または一時的でよいという点でなお最小限侵襲性である。

0066

上述のように、動脈圧を直接測定するかわりに、血圧と比例する任意の他の入力信号が使用されうる。これは、計算の任意または全てのポイントでキャリブレーションが行われうることを意味する。例えば、動脈圧自体以外の信号が入力信号として用いられる場合には、その値が標準偏差を計算するために用いられる前、または後に、血圧にキャリブレーションがなされればよく、その場合には、得られた標準偏差の値がスケーリングされ、得られたSV値がキャリブレーションされ(例えば、γを適切に設定することにより)、またはSVの最終的関数(CO等)がスケーリングされうる。要するに、本発明が、場合によっては動脈圧の直接測定とは異なる入力信号を用いうるという事実により、正確なSV推定値を得る能力が制限されることはない。

0067

血液粘度に加えて、γは、二つの記録部位間の物理的血管容積に主に依存する。もちろん、二つの記録部位間の有効長さ(L)および有効容積(V)は、知ることができない。血管の枝分れおよび患者ごとの差異が、二つの記録部位間の有効な物理的血管容積を知りえない二つの主な理由である。しかし、この物理容積が、患者の人体測定パラメータに比例することは明らかであるため、患者の人体測定パラメータを用いて間接的に推定できる。人体測定パラメータは、二つの記録部位間の測定距離(l)、患者の体重、患者の身長、患者の性別、患者の年齢、患者のbsa等の様々なパラメータ、またはこれらのファクターの任意の組み合わせから導出されうる。一実施形態においては、全ての人体測定パラメータ、例えば、二つの記録部位間の距離(l)、患者の体重、患者の身長、患者の性別、患者の年齢、患者のbsaを用いて、γを計算しうる。他の特性を考慮するために、計算に他の値も含まれるのが好ましい。一実施形態においては、心拍数HR(または、R−波の周期)が使用されうる。したがって、
γ=ΓM (l,H,W,BSA,Age,G,HR) (式23)
式中、
lは、二つの記録部位間の測定距離であり;
Hは、患者の身長であり;
Wは、患者の体重であり;
BSAは、患者のbsaであり;
Ageは、患者の年齢であり;
Gは、患者の性別であり;
HRは、患者の心拍数であり;
ΓMは、多変量モデルである。

0068

多変量モデルΓを用いてγを計算するために設定される予測変数は、熱希釈および動脈圧により測定されるCOの関数として決定される、テストまたは基準対象集団の「真の」血管コンプライアンス測定値に関連する。これにより、各々がΓMの成分パラメータの関数である、コンプライアンス測定値組が作られる。そして、数値的方法を用いて、ΓMのパラメータを所与のCO測定値組に所定の様式で最適に関連づける多変量近似関数が計算される。多項式多変量フィッティング関数を用いて、各予測変数組にΓMの値を与える、多項式の係数が得られる。したがって、多変量モデルは、以下の一般方程式を有する:

0069

式中、a1・・・anは多項式重回帰モデルの係数であり、Yはモデルの予測変数であり:

0070

血管緊張度を推定するための動脈圧伝搬時間の使用。血管緊張度は、血管コンプライアンスと末梢抵抗の複合効果を説明するために用いられる、血液動態パラメータである。従来技術においては、患者の人体測定データおよび他の心血管パラメータと組み合わせて動脈圧波形の形状特性を用いて、血管緊張度が推定された(Roteliuk,2005,“Arterial pressure−based automatic determination of a cardiovascular parameter”を参照)。動脈圧伝搬時間を用いて、血管緊張度を推定することもできる。一実施形態においては、動脈圧伝搬時間を、多変量回帰モデルへの独立した項として用いて、血管緊張度を持続的に推定しうる。一実施形態においては、動脈圧波形の形状情報と組み合わせて動脈圧伝搬時間を用いて、血管緊張度を推定しうる。形状に敏感な高次動脈圧統計モーメント、および圧力加重時間モーメントを、動脈圧伝搬時間とともに多変量モデルの予測変数として用いうる。他の特性を考慮するために、他の値も計算に含まれるのが好ましい。例えば、心拍数HR(またはR−波の周期)、体表面積BSA、ならびに圧力に依存する非線形コンプライアンス値C(P)が、圧力波形ならびに患者の年齢および性別の多項式関数としてコンプライアンスを計算する、Langwoutersにより説明されるもの等の公知の方法を用いて計算されうる。したがって、
K=χ(tprop,μT1,μT2,・・・μTk,μP1,μP2,・・・μPk,C(P),BSA,Age,G・・・) (式26)
式中、
Kは、血管緊張度であり;
χは、重回帰統計モデルであり;
tpropは、動脈圧伝搬時間であり;
μ1T・・・μkTは、動脈圧波形の1次からkの次時間領域統計モーメントであり;
μ1P・・・μkPは、動脈圧波形の1次からk次の圧力加重統計モーメントであり;
C(P)は、Langwouters等(“The Static Elastic Properties of 45 Human Thoracic and 20 Abdominal Aortas in vitro and the Parameters of a New Model,”J.Biomechanics,Vol.17,No.6,pp.425−435,1984)により定義される、圧力に依存する血管コンプライアンスであり;
BSAは、患者の体表面積(身長と体重の関数)であり;
Ageは、患者の年齢であり;
Genderは、患者の性別である。

0071

本発明の所定の実施の要請に応じて、歪度または尖度を含まないことを選択し、または、より高次のモーメントを含むこともできる。最初の四つの統計モーメントの使用は、コンプライアンスの正確および確実な推定への寄与に成功することが分かっている。そのうえ、HRおよびBSA以外の人体測定パラメータを追加的または代替的に用い、他の方法を用いてC(P)を決定でき、これが完全に省略されてもよい。

0072

現在の血管緊張度の値を計算するための、以下に記載される例示的な方法は、増加、減少、または変更されたパラメータ組を反映するように公知の様式で調整されうる。Kを計算するためのパラメータ組が集められたら、既知の変数に関連付けられうる。熱希釈等の侵襲的技術を含む既存のデバイスおよび方法を用いて、テストまたは基準対象集団のCO、HR、およびSVestを決定しうる。対象ごとに、年齢、体重、BSA、身長等の人体測定データも記録されうる。これにより、各々がKの成分パラメータの(最初は未知の)関数である、CO測定値組が作られる。したがって、公知の数値的方法を用いて、CO測定値組を前提にパラメータをKに所定の意味で最適に関連づける近似関数が計算されうる。一つの良く理解され容易に計算される近似関数は、多項式である。一実施形態においては、標準的な多変量フィッティングルーチンを用いて、各パラメータ組tprop,HR,C(P),BSA,μ1P,σP,μ3P,μ4P,μ1T,σT,μ3T,μ4Tに対するKの値を与える、多項式の係数が得られる。

0073

一実施形態においては、Kが以下のように計算される:

0074

式中、

0075

3.COを直接推定するための動脈圧伝播の使用を、以下に論じる。

0076

脈圧伝搬時間が、COを推定するための独立した方法として使用されうる。すなわち、以下に示すように、動脈圧伝搬時間はSVに独立に比例する:

0077

式29にHRを掛け合わせると、COが推定できる:

0078

直接キャリブレーションを用いて、例えば、ボーラス熱希釈測定による既知のCO値または他のゴールドスタンダードのCO測定値を用いて、スケーリング係数KPが推定されうる。図7〜9は、式30に示される脈圧伝搬時間(COprop)を用いて計算されたCO、連続心拍出量(CCO)、および断続的熱希釈ボーラス測定(ICO)を用いて測定されたCO値の間の相関関係を示すグラフである。CCOおよびICOは、カリフォルニアアーヴィンのEdwardsLifesciencesにより製造されるVigilanceモニタを使用して測定される。動物の血液動態状態が異なるブタ動物モデルで、測定が実行された。これらのグラフは、COの変化が脈圧伝搬時間の変化に関連し、COを推定するための独立した方法として、脈圧伝搬時間を使用できることを実験的に示す。

0079

式30のスケーリング係数KPは、伝搬時間およびCOまたはSVの任意の予め決定された関数を用いて決定されうる。熱希釈など侵襲的であるか、経食道心エコー法(TEE)または生体インピーダンス測定など非侵襲的であるかを問わず、任意の独立したCO技術を用いて、この関係を決定しうる。本発明は、TDまたはTEE等の断続的測定の間のCOの連続的傾向を提供する。

0080

カテーテル法等の侵襲的技術を用いてKPを決定する場合でも、後のCO−モニタリングセッションの間に患者内にカテーテルを残す必要はない。さらに、カテーテルベースのキャリブレーション技術を用いてKPを決定する場合でも、心臓の中または付近で測定がなされる必要はない。むしろ、大腿動脈内でキャリブレーション測定が行われうる。そのようなものとして、侵襲的技術を用いてKPが決定される場合でも、本発明は、いずれのカテーテル処置も末梢または一時的でよいという点でなお最小限侵襲性である。

0081

式30に示されるアプローチは、伝搬時間を測定するために非侵襲的技術が用いられ、KPを評価するために所定の関数または関係が用いられる場合には、COの測定が完全に非侵襲的に行われることを許容する。伝搬時間を測定するための非侵襲的技術には、ECG、非侵襲的動脈圧測定、生体インピーダンス測定、光学パルス酸素測定ドップラー超音波測定、または、それらから導出されるか、それらに比例する任意の他の測定、またはそれらの組み合わせ(例えば、心臓付近の基準信号を測定するためのドップラー超音波パルス速度測定の使用、および末梢信号を測定するための生体インピーダンス測定の使用等)等が含まれる。

0082

スケーリング係数KPは、血液粘度および二つの記録部位間の物理的血管距離および容積に主に依存する。もちろん、二つの記録部位間の有効長さ(L)および有効容積(V)は、知ることができない。血管の枝分れおよび患者ごとの差異が、二つの記録部位間の有効な物理的血管容積を知りえない二つの主な理由である。しかし、物理的容積は、患者の人体測定パラメータと比例しうるため、患者の人体測定パラメータを用いて間接的に推定できる。人体測定パラメータは、二つの記録部位間の測定距離(L)、患者の体重、患者の身長、患者の性別、患者の年齢、患者のbsa等の様々なパラメータ、またはこれらのパラメータの任意の組み合わせから導出されうる。一実施形態においては、全ての人体測定パラメータ、すなわち二つの記録部位間の距離(L)、患者の体重、患者の身長、患者の性別、患者の年齢、および患者のbsaを用いて、KPが計算される。したがって、
KP=M(L,H,W,BSA,Age,G) (式31)
式中、
Lは、二つの記録部位間の測定距離であり;
Hは、患者の身長であり;
Wは、患者の体重であり;
BSAは、患者のbsaであり;
Ageは、患者の年齢であり;
Gは、患者の性別であり;
Mは、多変量線形回帰モデルである。

0083

多変量モデルMを用いてKPを計算するために設定される予測変数は、熱希釈によりCOが測定される、伝播時間の関数として決定される「真の」テストまたは基準対象の集団のCO測定値に関連する。これにより、各々がMの成分パラメータの関数である測定値組が作られる。そして、数値的方法を用いて、Mのパラメータを所与のCO測定値組に所定の意味で最適に関連づける多変量近似関数が計算される。多項式多変量フィッティング関数を用いて、各予測変数組のMの値を与える、多項式の係数が得られる。したがって、多変量モデルは、以下の方程式を有する:

0084

式中、a1・・・anは多項式重回帰モデルの係数であり、Yはモデルの予測変数であり:

0085

図10は、一連の動物実験からの、式17を用いて推定されたCO(x軸上COstd)と、式30を用いて推定されたCO(y軸上COprop)の関係を示すグラフである。データは、合計十(10)匹のブタからのCO測定値を示す。各ブタからの三(3)つの選択されたデータポイントが、グラフに使用される。広いCO範囲をカバーするために、各選択データポイントが、それぞれ血管拡張血管収縮、および血液量減少状態の、ブタの異なる血液動態状態に対応する。図10に示される比例は、COを推定するために伝搬時間を用いることの有効性と信頼性を実験的に証明する。

0086

図11は、本明細書に記載される様々な方法を実行するために使用されるシステム例を示すブロック図である。システムは、患者100、圧力トランスデューサ201、カテーテル202、ECG電極301および302、信号調整ユニット401および402、マルチプレクサ403、アナログ−デジタル変換器405および計算ユニット500を含みうる。計算ユニット500は、患者特定データモジュール501、スケーリング係数モジュール502、モーメントモジュール503、標準偏差モジュール504、伝播時間モジュール505、一回拍出量モジュール506、心拍出量モジュール507、心拍数モジュール508、入力デバイス600、出力デバイス700、および心拍数モニタ800を含みうる。各ユニットおよびモジュールは、ハードウェアソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実装されうる。

0087

患者特定データモジュール501は、患者の年齢、身長、体重、性別、BSA等の患者データを格納するメモリモジュールである。入力デバイス600を使用して、このデータが入力されうる。スケーリング係数モジュール502は、患者データを受け取り、計算を実行して、スケーリングコンプライアンス係数を算出する。例えば、スケーリング係数モジュール502は、上で与えられた式、またはテストデータ組に最適にフィットする近似関数をつくることにより導出された他の式に、パラメータを入れる。スケーリング係数モジュール502は、各血管コンプライアンス、血管緊張度、SVおよび/またはCO推定値が得られる時間窓[t0,tf]も決定しうる。これは、格納された連続値、離散値のどれを幾つ各計算で使用するかを選択するように簡単に行われうる。

0088

モーメントモジュール503は、動脈圧の高次統計時間領域モーメントおよび加重モーメントを決定または推定する。標準偏差モジュール504は、動脈圧波形の標準偏差を決定または推定する。伝播時間モジュール505は、動脈圧波形の伝搬時間を決定または推定する。

0089

スケーリング係数、高次統計モーメント、標準偏差および伝搬時間が、一回拍出量モジュール506に入力されて、SV値または推定値が得られる。心拍数モニタ800またはソフトウェアルーチン508(例えばフーリエまたは微分解析を使用)を用いて、患者の心拍数を評価しうる。SV値または推定値および患者の心拍数が、心拍出量モジュール507に入力されて、例えば式CO=SV*HRを用いて、COの推定値が得られる。

0090

上述のように、システムがSVまたはCOを計算することは、これらの値が目的でない場合には必要ない。血管コンプライアンス、血管緊張度および末梢抵抗についても同じことが言える。そのような場合には、対応するモジュールは必要なく、省略されうる。例えば、本発明を用いて、動脈コンプライアンスを決定しうる。それでもなお、図11が示すように、SV、CO、血管コンプライアンス、血管緊張度および末梢抵抗の任意または全ての結果が、利用者提示され、解読されるように、出力デバイス700(例えばモニタ)に表示されうる。入力デバイス600と同様に、出力デバイス700は、他の目的のシステムにより使用されるものと通常同じであればよい。

0091

本発明は、本発明の方法を実行するために計算機ユニットまたは計算ユニット500にロード可能な、コンピュータプログラムにさらに関する。さらに、様々なモジュール501〜507が、本発明による様々な計算を実行し、関連した方法ステップを実行するために使用でき、また、本発明を様々な処理システムにロードして実行できるように、計算機可読媒体上の計算機実行可能な命令として格納されうる。

0092

一定の例示的実施形態が記載され、添付の図面に示されるが、当然のことながら、このような実施形態は、広い発明の単なる例示であって制限ではなく、以上の段落に記載されるものに加えて、他の様々な変更、組み合わせ、省略、修正および置き換えが可能であるため、本発明は、図示および記載される特定の構造および設定に限定されない。当業者には当然のことながら、前述の好ましい実施形態の様々な調整および変更が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく構成されうる。したがって、添付の請求の範囲において、本明細書に特に記載される以外にも本発明が実践されうることを理解されたい。

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