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技術 毒素に対する電気移動による遺伝子免疫法および前記方法によって得られる抗血清

出願人 サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィクアンスティテュ・パストゥールアンスティテュナショナルドゥラサンテエドゥラルシェルシュメディカル(インセルム)ユニヴェルシテルネデカルト
発明者 シェルマン,ダニエルビジェ,パスカルトロレ,キャピュシーヌポポフ,ミシェルエール.ペレラ,ヤニック
出願日 2006年7月28日 (14年9ヶ月経過) 出願番号 2008-523373
公開日 2009年1月29日 (12年3ヶ月経過) 公開番号 2009-502880
状態 拒絶査定
技術分野 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 増加係数 流体静力学的 限定因子 アナトキシン 電気移動 追加実験 矩形パルス ボツリヌス菌毒素
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図面 (17)

課題・解決手段

本発明は、タンパク質毒素免疫原断片をコードする遺伝子構築物を含んだ溶液動物投与し、続いて投与区域に電界印加し、そして血清を分離することによる、タンパク質毒素に対する抗血清を得る方法を対象としている。該方法によって得られる抗血清、ならびに、哺乳動物における毒素の吸収に関わる毒作用を予防または治療することを目的とした医薬品を製造するための溶液の利用方法も本発明に含まれ、該溶液の利用方法は、前記医薬品が電気移動によって患者に投与されることを目的として製剤されることを特徴としている。

概要

背景

今日最もよく使われている、タンパク抗原、たとえば毒素または毒物に対する抗血清を得ることを可能にする手段は、動物において免疫応答を誘発するために組換えタンパク質または精製した天然タンパク質の注射を繰り返し行う方法である。あるいは、ウイルスカプシドまたはエンベロープ上、またはVirosomeタイプの粒子の中にタンパク質発現させることもできる。ボツリヌス毒素またはその他の致死毒素については、毒素全体を用いて免疫付与することができない。従来的には、細菌から毒素を産生し、該毒素を精製し、そして抗原性を保持しながら、致死性不活性化するようにそのタンパク質を修飾する必要がある。これは、たとえば、毒素のサブユニットを精製することで得られ、したがって毒素は全体が機能的であるわけではない。また、たとえば大腸菌において、このような組換えサブユニットを産生することもできる。これは、毒素を不活性化するための信頼できる手段がない場合には必要不可欠である。不活性化した天然タンパク質の産生または組換え断片の産生のいずれの場合にも、技術は面倒なものであり、コストのかかるものである。このことは、たとえば、これまでボツリヌス毒素のさまざまな血清型に対して多価血清の一つのストックのみが作られてきたことの理由である。

抗血清を得るためのもう一つの方法は、遺伝子免疫法であり、該免疫法においては、毒素をコードするDNAが免疫付与する動物に投与される。コード遺伝子に適切なプロモーター続きポリアデニル化配列を備えているコードDNAは、ウイルスベクターアデノウイルス、AAV、レトロウイルスレンチウイルスなど)あるいは細菌のプラスミド担持させることができる。また、該コードDNAは、たとえばPCRによるインビトロでの無細胞合成によって産生することもできる。

プラスミドDNAの注射により免疫付与を得る可能性は、およそ10年前に初めて示された(Tang et al.,Nature.1992 Mar 12;356(6365):152−4;Ulmer et al.,Science.1993 Mar 19;259(5102):1745−9)。遺伝子免疫法は、骨格筋または皮膚、あるいはその他の組織に、抗原タンパク質をコードし、細菌の環状DNA断片(プラスミド)に挿入された遺伝子を直接注射することからなる。生物体自体が抗原を産生し、該抗原が免疫応答を誘発することになる。現在では、DNAによる免疫付与が長期的な細胞性応答と体液性応答を共に誘発することは十分に確立されている(Gurunathan et al.,Annu Rev Immunol.2000;18:927−74.Review;Quinn et al.,Vaccine.2002 Aug 19;20(25−26):3187−92)。

近年の多くの刊行物がこの体液性応答を援用して体液性応答のいくつかの例を挙げることができる。
HBVウイルス(B型肝炎)のエンベロープタンパク質をコードするプラスミドのみを筋肉内注射することで、少なくとも74週の間、効果的な防御適合する力価で、抗体の産生が引き起こされる(Davis et al.,Gene Ther.1997 Mar;4(3):181−8)。
−クンジンウイルスの突然変異ゲノムをコードするプラスミドがマウスに筋肉内注射されると、抗体は10〜40で変動する力価で産生される。これらのマウスが野生型クンジンウイルス、または西ナイルウイルスに非常に似ているウイルスにかかると、該マウスは防御される(0〜20%の致死率)(Hall et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2003 Sep 2;100(18):10460−4.Epub 2003 Aug 13)。
ヒトタンパク質膜部分のPSMA(前立腺特異的膜抗原)をコードするプラスミドをマウスに筋肉内注射することにより、このタンパク質に対する抗体が産生される(Kuratsukuri et al.,Eur Urol.2002 Jul;42(1):67−73)。

これらのいくつかの例は、DNAによる免疫付与によって、動物において満足のいく力価を有する中和抗体を得ることが可能であることを示している。これは特にマウスにあてはまり、該方法はより大型の動物では少し効果が低い(Babiuk et al.,Vaccine.2003 Jan 30;21(7−8):649−58.Review;Depuis et al.,J Immunol.2000 Sep 1;165(5):2850−8)。

最も効果的な遺伝子の導入は、物理的技術を用いることで行うことができる。たとえば、DNAで覆われた金の粒子を用いた「遺伝子銃」という衝撃による方法であり、該粒子は非常に早い速度で動物の皮膚または粘膜に発射され、これらの組織の細胞核にDNAが投与されることになる。もう一つの技術は超音波を用いるものである。「流体力学的または流体静力学的」な方法と呼ばれるDNA注入のもう一つの技術は、コードDNAを含む大量の液体静脈内または動脈内への高速注入を用いたものであり、これによって、細胞内、たとえば、肝細胞内皮細胞または筋肉細胞の中にDNAが入ることが可能となる。DNA投与の非常に効果的な最後の物理的方法は電気移動であり、該方法は本発明者が研究所で開発したものである。電気移動は遺伝子導入の単純で効果的な技術であり、DNA溶液を筋肉内注射し、続いて発電機に接続された電極を用いて一連電気パルス印加することからなる(Aihara et al.,Nat Biotechnol.1998 Sep;16(9):867−70.;Mir et al.,C R Acad Sci III.1998 Nov;321(11):893−9.;Mir et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.1999 Apr 13;96(8):4262−7)。これによって、タンパク質の発現をおよそ数倍に向上させることが可能となっている(Lee et al.,Mol Cells.1997 Aug 31;7(4):495−501;Kirman et al.,Curr Opin Immunol.2003 Aug;15(4):471−6.Review)。

近年の複数の研究では、DNAによる免疫付与の際の電気移動技術の効果が示されている。たとえば、HBVウイルスの表面抗原をコードするプラスミドの電気移動後、産生された抗体の力価はマウスにおいて係数100ほど増加する(Widera et al.,J Immunol.2000 May 1;164(9):4635−40)。この増加係数は、ウサギまたはモルモットの場合にはおよそ10である。また、高い抗体力価は、C型肝炎ウイルスのエンベロープの糖タンパク質をコードするプラスミドを筋肉内で電気移動したマウスおよびウサギにおいても(Zucchelli et al.,J Virol.2000 Dec;74(24):11598−607)、結核菌のタンパク質をコードするプラスミドを電気移動したマウスにおいても得られている(Tollefsen et al.,Vaccine.2002 Sep 10;20(27−28):3370−8)。この技術はまた、ヤギまたはウシのようなより大型の動物にも適用することができる(Tollefsen et al.,Scand J Immunol.2003 Mar;57(3):229−38)。本発明者自身も、研究所において、インフルエンザ血球凝集素をコードするプラスミドの電気移動によって、単なる筋肉内注射よりも、マウスにおいてより良好な免疫応答が誘発されることを示している(Bachy et al.,Vaccine.2001 Feb 8;19(13−14):1688−93)。最後に、電気移動によるマウスの免疫付与によってダニアレルゲンに対するモノクローナル抗体を生成することも可能であることに留意することができる(Yang et al.,Clin Exp Allergy.2003 May;33(5):663−8)。

電気移動の技術は単純で、実施するのが容易であり、従来の免疫付与の際に必要な、一般的に時間がかかり面倒でコストの高い過程である、組換えタンパク質の精製を必要としない。したがって、該技術によって素早く複数のエピトープ試験することが可能である。

上記で引用した遺伝子免疫法の技術(衝撃による方法、超音波方法、流体力学的方法、流体静力学的方法または電気的方法)は、タンパク質による従来の免疫付与の方法と組み合わせることができる。たとえば、第一の遺伝子免疫法を実施し、続いて数週間後に1〜2回の遺伝子免疫法、そして最後に、数週間または数ヶ月後に同一の抗原に対するタンパク質による複数の免疫付与を実施することができる。また、その他に、最初にタンパク質に対するワクチン接種をし、次に遺伝子免疫法を実施することもできる。

ボツリヌス神経毒素(Clostridium botulinum:ボツリヌス菌)および破傷風神経毒素(Clostridium tetani:破傷風菌)は共通の組成を有している。該神経毒素は単一のタンパク質鎖の形で合成され(〜150kDa)、該タンパク質鎖は二つのタンパク質鎖を規定するタンパク質分解的切断によって活性化される。二つのタンパク質鎖とは、N末端における軽鎖すなわちL鎖(〜50kDa)と、C末端における重鎖すなわちH鎖(〜100kDa)であり、これらはジスルフィド結合によって一つになっている。これらの神経毒素について三つの機能領域が決定されている。H鎖のC末端側の半分(Hcと呼ぶ)は、ニューロンの表面にある特異的な受容体を認識する領域である。H鎖のN末端側の半分(H−N)は、ニューロンにおけるL鎖の内在化関与するものである。後者は、SNAREタンパク質に対するタンパク質分解酵素部位を含み、また、神経のエクソサイトーシス遮断をもたらす神経毒素のニューロン内活性の原因である。これら三つの機能領域のそれぞれは、特徴的な三次元構造に関連づけられている。Hc領域はβシートに富んだ二つの構造を含み、H−N領域は二つの非常に長いαヘリックスで形成され、そしてL鎖はβシートに富んだ小型の構造を形成している(Kozaki et al.,Infect Immun.1986 Jun;52(3):786−91;Kozaki et al.,Infect Immun.1987 Dec;55(12):3051−6)。

ボツリヌス神経毒素および破傷風神経毒素の全遺伝子がシーケンシングされ、ボツリヌス神経毒素AおよびBならびに破傷風神経毒素についての結晶構造が明らかにされている。

これら神経毒素の免疫原断片を明らかにするためにさまざまな研究が行われている。パパインによるタンパク質分解によって得られ、クロマトグラフィーによって精製された破傷風毒素のHc断片が非毒性であり、そして抗Hc免疫付与をすることで試験用量の毒素からマウスが防御されることが最初に示された(Kozaki et al.,Infect Immun.1989 Sep;57(9):2634−9.)。そして、この断片は大腸菌における組換えタンパク質として産生されており、優れた免疫原であることも明らかになっている(Halpern et al.,Infect Immun.1989 Jan;57(1):18−22)。

試験されたボツリヌス神経毒素Aのすべての組換え断片のうち、マウスの完全な防御をもたらす唯一のものは重鎖のC末端領域であり、該領域は破傷風神経毒素のHc領域に対応している(Clayton et al.,Infect Immun.1995 Jul;63(7):2738−42;Dertzbaugh and West,Vaccine.1996 Nov;14(16):1538−44;Kubota et al.,Appl Environ Microbiol.1997 Apr;63(4):1214−8;LaPenotiere et al.,Toxicon.1995 Oct;33(10):1383−6.Review)。免疫原としてボツリヌス神経毒素Aの全体を用いて得られた中和モノクローナル抗体はすべて、Hc断片に対するものである。ヒトにおけるホルマリン処理されたボツリヌス神経毒素の全体を用いたワクチン接種によって生成された抗体の分析は、抗体の大半が軽鎖に対するものでありHc断片に対するものがほとんどないことを示している。この研究は、Hc断片に基づくワクチンが、毒素全体によって調製したワクチンより防御能が高いと結論付けている(Brown et al.,Hybridoma.1997 Oct;16(5):447−56)。したがって、USAMRIIDによって開発された抗ボツリヌスワクチンの第二世代は、組換えられ精製された、ボツリヌス神経毒素A、B、C、D、E、FおよびGという七つの毒素型のHc断片から成っている。

組換えHc断片の方が、従来の仕方で調製された対応するアナトキシンよりも効果的となることが指摘されている。神経毒素の中和抗体を用いた防御は、本質的にはHc断片による細胞受容体の認識を遮断することから成る(Brown et al.,1997)。

また、ボツリヌス神経毒素に対する中和モノクローナル抗体を得るために多くの研究が行われている。ボツリヌス神経毒素Aの全体を用いて行われた実験が実りの少ないものとなったことが多いのに対し、組換えHcタンパク質を用いてマウスに免疫付与することで産生されたものは、相当数の中和モノクローナル抗体を得ることを可能にした(Amersdorfer et al.,Infect Immun.1997 Sep;65(9):3743−52;Middlebrook,Adv Exp Med Biol.1995;383:93−8)。このように、Hc断片は、中和抗体をもたらすための、無毒化された神経毒素全体よりも優れた免疫原であることが明らかとなっている。
Brown et al.,Hybridoma.1997 Oct;16(5):447−56
Amersdorfer et al.,Infect Immun.1997 Sep;65(9):3743−52;Middlebrook,Adv Exp Med Biol.1995;383:93−8

概要

本発明は、タンパク質毒素の免疫原断片をコードする遺伝子構築物を含んだ溶液を動物に投与し、続いて投与区域に電界を印加し、そして血清を分離することによる、タンパク質毒素に対する抗血清を得る方法を対象としている。該方法によって得られる抗血清、ならびに、哺乳動物における毒素の吸収に関わる毒作用を予防または治療することを目的とした医薬品を製造するための溶液の利用方法も本発明に含まれ、該溶液の利用方法は、前記医薬品が電気移動によって患者に投与されることを目的として製剤されることを特徴としている。

目的

また、該方法によって得られる抗血清、ならびに、哺乳動物における毒素の吸収に関わる毒作用を予防または治療することを目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
1件

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請求項1

少なくとも一つのタンパク質毒素に対する抗血清を得る方法であり、a)前記毒素の少なくとも一つの免疫原断片をコードする核酸を含んでいる少なくとも一つの遺伝子構築物を含む溶液を得る過程、b)過程a)で得られた溶液を動物に注射によって投与する過程、c)注射区域電界印加する過程、そして、d)後に血液全体を採取し、血清を分離する過程、を含んでいる方法。

請求項2

電界が、100マイクロ秒を越える長さで、そして0.1ヘルツと1000ヘルツの間に含まれる周波数の1〜100000矩形パルスの形で、1V/cmと800V/cmの間に含まれる電界強度を有していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

請求項3

電界が、1ミリ秒と50ミリ秒の間に含まれる長さで、そして1ヘルツ〜10ヘルツの周波数の1〜20の矩形パルスの形で、80V/cmと250V/cmの間に含まれる電界強度を有していることを特徴とする、請求項2に記載の方法。

請求項4

注射が皮内注射または筋肉内注射であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の方法。

請求項5

溶液の投与過程b)が、ヒアルロニダーゼのような細胞外基質分解酵素を含有する溶液を注射する過程の後に行われることを特徴とする、請求項4に記載の方法。

請求項6

0.1U/μl〜2U/μlのヒアルロニダーゼを含有する、5μlと200μlの間に含まれる溶液を注射することを特徴とする、請求項5に記載の方法。

請求項7

毒素が、ボツリヌス菌毒素破傷風菌毒素、炭疽菌毒素リシンジフテリア毒素およびコレラ毒素で構成されるグループから選択されることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の方法。

請求項8

前記毒素の免疫原断片が、配列SEQIDNo.1である血清型Aのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQIDNo.2である血清型Bのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQIDNo.3である血清型Cのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQIDNo.4である血清型Dのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQIDNo.5である血清型Eのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQIDNo.6である血清型Fのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQIDNo.7である血清型Gのボツリヌス菌毒素のHc断片、および配列SEQIDNo.8である破傷風菌毒素のHc断片ならびにそれらの変異体で構成されるグループから選択されるC末端断片(Hc)であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

請求項9

遺伝子構築物が、前記毒素の少なくとも一つの断片をコードする核酸の5’にサイトメガロウイルス(CMV)のプロモーターを含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の方法。

請求項10

遺伝子構築物が、細胞外分泌シグナルをコードする配列を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の方法。

請求項11

細胞外分泌シグナルをコードする配列が、マウスエリスロポエチンの細胞外分泌シグナルをコードする配列SEQIDNo.9、およびヒトのアルカリフォスフォターゼの細胞外分泌シグナルをコードするSEQIDNo.10、ならびにそれらの変異体の一つから選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。

請求項12

遺伝子構築物が、プロモーターの5’に、KOZAK配列と呼ばれる、配列SEQIDNo.11である翻訳開始部位の核酸配列を含んでいることを特徴とする、請求項9〜請求項11のいずれか一つに記載の方法。

請求項13

前記毒素の少なくとも一つの断片をコードする核酸配列の少なくとも一つの開始コドンが、同一のアミノ酸をコードしている異なったコドンで置き換えられ、真核細胞における該コドンの頻度が、表1で定義しているように、ボツリヌス菌における頻度よりも高いことを特徴とする、請求項1〜請求項12のいずれか一つに記載の方法。

請求項14

遺伝子構築物がさらに、少なくとも一つのサイトカインをコードする核酸を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項13のいずれか一つに記載の方法。

請求項15

過程(a)の溶液が、サイトカインをコードする核酸を含むもう一つの遺伝子構築物を含んでおり、前記二つの遺伝子構築物が過程(b)で同時投与されることを特徴とする、請求項1〜請求項13のいずれか一つに記載の方法。

請求項16

サイトカインをコードする核酸の配列が、造血成長因子GMCSF)をコードするSEQIDNo.12、マウスのインターロイキン12のp35サブユニットをコードするSEQIDNo.13、マウスのインターロイキン12のp40サブユニットをコードするSEQIDNo.14、マウスのインターロイキン4をコードするSEQIDNo.15およびヒトのインターロイキン10をコードするSEQIDNo.16で構成されるグループから選択されることを特徴とする、請求項14または請求項15に記載の方法。

請求項17

遺伝子構築物がさらに、グアニン塩基シトシン塩基に富んだ、10ヌクレオチドと10000ヌクレオチドの間に含まれるサイズを有するメチル化していない免疫活性化配列を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項16のいずれか一つに記載の方法。

請求項18

抗血清が少なくとも二つのタンパク質毒素に対するものであり、過程a)の溶液が少なくとも二つの遺伝子構築物の混合物を含み、前記構築物のそれぞれが、前記毒素の少なくとも一つの免疫原断片をコードする核酸を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項17のいずれか一つに記載の方法。

請求項19

動物が、マウス、ウサギウマおよびブタから選択されることを特徴とする、請求項1〜請求項18のいずれか一つに記載の方法。

請求項20

過程b)および過程c)が過程d)の前に少なくとも一回繰り返されることを特徴とする、請求項1〜請求項19のいずれか一つに記載の方法。

請求項21

過程c)が、前記毒素の組換え免疫原断片を動物に投与する前に行われることを特徴とする、請求項1〜請求項20のいずれか一つに記載の方法。

請求項22

抗毒素抗体の力価が100以上であり、中和力が100以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項21のいずれか一つに記載の方法によって得ることのできるタンパク質毒素に対する抗血清。

請求項23

哺乳動物における毒素の吸収に関わる毒作用を前記哺乳動物において中和することを目的とした予防血清または解毒剤として利用するための、請求項22に記載の抗血清。

請求項24

哺乳動物における、ボツリヌス菌毒素、破傷風菌毒素、炭疽菌毒素、リシン、ジフテリア毒素およびコレラ毒素で構成されるグループから選択される毒素の吸収に関わる毒作用を予防または治療することを目的とした医薬品を製造するための、請求項1および請求項7〜請求項18で定義した少なくとも一つの遺伝子構築物を含有する溶液の利用方法であり、前記医薬品が電気移動による投与を目的として製剤されることを特徴とする利用方法。

請求項25

溶液がさらに免疫活性化アジュバントを含んでいることを特徴とする、請求項24に記載の利用方法。

技術分野

0001

本発明は、タンパク質毒素免疫原断片をコードする遺伝子構築物を含んだ溶液動物投与し、続いて投与区域に電界印加し、そして血清を分離することによる、タンパク質毒素に対する抗血清を得る方法を対象としている。また、該方法によって得られる抗血清、ならびに、哺乳動物における毒素の吸収に関わる毒作用を予防または治療することを目的とした医薬品を製造するための溶液の利用方法も本発明に含まれ、該溶液の利用方法は、前記医薬品が電気移動によって患者に投与されることを目的として製剤されることを特徴としている。

背景技術

0002

今日最もよく使われている、タンパク抗原、たとえば毒素または毒物に対する抗血清を得ることを可能にする手段は、動物において免疫応答を誘発するために組換えタンパク質または精製した天然タンパク質の注射を繰り返し行う方法である。あるいは、ウイルスカプシドまたはエンベロープ上、またはVirosomeタイプの粒子の中にタンパク質発現させることもできる。ボツリヌス毒素またはその他の致死毒素については、毒素全体を用いて免疫付与することができない。従来的には、細菌から毒素を産生し、該毒素を精製し、そして抗原性を保持しながら、致死性不活性化するようにそのタンパク質を修飾する必要がある。これは、たとえば、毒素のサブユニットを精製することで得られ、したがって毒素は全体が機能的であるわけではない。また、たとえば大腸菌において、このような組換えサブユニットを産生することもできる。これは、毒素を不活性化するための信頼できる手段がない場合には必要不可欠である。不活性化した天然タンパク質の産生または組換え断片の産生のいずれの場合にも、技術は面倒なものであり、コストのかかるものである。このことは、たとえば、これまでボツリヌス毒素のさまざまな血清型に対して多価血清の一つのストックのみが作られてきたことの理由である。

0003

抗血清を得るためのもう一つの方法は、遺伝子免疫法であり、該免疫法においては、毒素をコードするDNAが免疫付与する動物に投与される。コード遺伝子に適切なプロモーター続きポリアデニル化配列を備えているコードDNAは、ウイルスベクターアデノウイルス、AAV、レトロウイルスレンチウイルスなど)あるいは細菌のプラスミド担持させることができる。また、該コードDNAは、たとえばPCRによるインビトロでの無細胞合成によって産生することもできる。

0004

プラスミドDNAの注射により免疫付与を得る可能性は、およそ10年前に初めて示された(Tang et al.,Nature.1992 Mar 12;356(6365):152−4;Ulmer et al.,Science.1993 Mar 19;259(5102):1745−9)。遺伝子免疫法は、骨格筋または皮膚、あるいはその他の組織に、抗原タンパク質をコードし、細菌の環状DNA断片(プラスミド)に挿入された遺伝子を直接注射することからなる。生物体自体が抗原を産生し、該抗原が免疫応答を誘発することになる。現在では、DNAによる免疫付与が長期的な細胞性応答と体液性応答を共に誘発することは十分に確立されている(Gurunathan et al.,Annu Rev Immunol.2000;18:927−74.Review;Quinn et al.,Vaccine.2002 Aug 19;20(25−26):3187−92)。

0005

近年の多くの刊行物がこの体液性応答を援用して体液性応答のいくつかの例を挙げることができる。
HBVウイルス(B型肝炎)のエンベロープタンパク質をコードするプラスミドのみを筋肉内注射することで、少なくとも74週の間、効果的な防御適合する力価で、抗体の産生が引き起こされる(Davis et al.,Gene Ther.1997 Mar;4(3):181−8)。
−クンジンウイルスの突然変異ゲノムをコードするプラスミドがマウスに筋肉内注射されると、抗体は10〜40で変動する力価で産生される。これらのマウスが野生型クンジンウイルス、または西ナイルウイルスに非常に似ているウイルスにかかると、該マウスは防御される(0〜20%の致死率)(Hall et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2003 Sep 2;100(18):10460−4.Epub 2003 Aug 13)。
ヒトタンパク質膜部分のPSMA(前立腺特異的膜抗原)をコードするプラスミドをマウスに筋肉内注射することにより、このタンパク質に対する抗体が産生される(Kuratsukuri et al.,Eur Urol.2002 Jul;42(1):67−73)。

0006

これらのいくつかの例は、DNAによる免疫付与によって、動物において満足のいく力価を有する中和抗体を得ることが可能であることを示している。これは特にマウスにあてはまり、該方法はより大型の動物では少し効果が低い(Babiuk et al.,Vaccine.2003 Jan 30;21(7−8):649−58.Review;Depuis et al.,J Immunol.2000 Sep 1;165(5):2850−8)。

0007

最も効果的な遺伝子の導入は、物理的技術を用いることで行うことができる。たとえば、DNAで覆われた金の粒子を用いた「遺伝子銃」という衝撃による方法であり、該粒子は非常に早い速度で動物の皮膚または粘膜に発射され、これらの組織の細胞核にDNAが投与されることになる。もう一つの技術は超音波を用いるものである。「流体力学的または流体静力学的」な方法と呼ばれるDNA注入のもう一つの技術は、コードDNAを含む大量の液体静脈内または動脈内への高速注入を用いたものであり、これによって、細胞内、たとえば、肝細胞内皮細胞または筋肉細胞の中にDNAが入ることが可能となる。DNA投与の非常に効果的な最後の物理的方法は電気移動であり、該方法は本発明者が研究所で開発したものである。電気移動は遺伝子導入の単純で効果的な技術であり、DNA溶液を筋肉内注射し、続いて発電機に接続された電極を用いて一連電気パルスを印加することからなる(Aihara et al.,Nat Biotechnol.1998 Sep;16(9):867−70.;Mir et al.,C R Acad Sci III.1998 Nov;321(11):893−9.;Mir et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.1999 Apr 13;96(8):4262−7)。これによって、タンパク質の発現をおよそ数倍に向上させることが可能となっている(Lee et al.,Mol Cells.1997 Aug 31;7(4):495−501;Kirman et al.,Curr Opin Immunol.2003 Aug;15(4):471−6.Review)。

0008

近年の複数の研究では、DNAによる免疫付与の際の電気移動技術の効果が示されている。たとえば、HBVウイルスの表面抗原をコードするプラスミドの電気移動後、産生された抗体の力価はマウスにおいて係数100ほど増加する(Widera et al.,J Immunol.2000 May 1;164(9):4635−40)。この増加係数は、ウサギまたはモルモットの場合にはおよそ10である。また、高い抗体力価は、C型肝炎ウイルスのエンベロープの糖タンパク質をコードするプラスミドを筋肉内で電気移動したマウスおよびウサギにおいても(Zucchelli et al.,J Virol.2000 Dec;74(24):11598−607)、結核菌のタンパク質をコードするプラスミドを電気移動したマウスにおいても得られている(Tollefsen et al.,Vaccine.2002 Sep 10;20(27−28):3370−8)。この技術はまた、ヤギまたはウシのようなより大型の動物にも適用することができる(Tollefsen et al.,Scand J Immunol.2003 Mar;57(3):229−38)。本発明者自身も、研究所において、インフルエンザ血球凝集素をコードするプラスミドの電気移動によって、単なる筋肉内注射よりも、マウスにおいてより良好な免疫応答が誘発されることを示している(Bachy et al.,Vaccine.2001 Feb 8;19(13−14):1688−93)。最後に、電気移動によるマウスの免疫付与によってダニアレルゲンに対するモノクローナル抗体を生成することも可能であることに留意することができる(Yang et al.,Clin Exp Allergy.2003 May;33(5):663−8)。

0009

電気移動の技術は単純で、実施するのが容易であり、従来の免疫付与の際に必要な、一般的に時間がかかり面倒でコストの高い過程である、組換えタンパク質の精製を必要としない。したがって、該技術によって素早く複数のエピトープ試験することが可能である。

0010

上記で引用した遺伝子免疫法の技術(衝撃による方法、超音波方法、流体力学的方法、流体静力学的方法または電気的方法)は、タンパク質による従来の免疫付与の方法と組み合わせることができる。たとえば、第一の遺伝子免疫法を実施し、続いて数週間後に1〜2回の遺伝子免疫法、そして最後に、数週間または数ヶ月後に同一の抗原に対するタンパク質による複数の免疫付与を実施することができる。また、その他に、最初にタンパク質に対するワクチン接種をし、次に遺伝子免疫法を実施することもできる。

0011

ボツリヌス神経毒素(Clostridium botulinum:ボツリヌス菌)および破傷風神経毒素(Clostridium tetani:破傷風菌)は共通の組成を有している。該神経毒素は単一のタンパク質鎖の形で合成され(〜150kDa)、該タンパク質鎖は二つのタンパク質鎖を規定するタンパク質分解的切断によって活性化される。二つのタンパク質鎖とは、N末端における軽鎖すなわちL鎖(〜50kDa)と、C末端における重鎖すなわちH鎖(〜100kDa)であり、これらはジスルフィド結合によって一つになっている。これらの神経毒素について三つの機能領域が決定されている。H鎖のC末端側の半分(Hcと呼ぶ)は、ニューロンの表面にある特異的な受容体を認識する領域である。H鎖のN末端側の半分(H−N)は、ニューロンにおけるL鎖の内在化関与するものである。後者は、SNAREタンパク質に対するタンパク質分解酵素部位を含み、また、神経のエクソサイトーシス遮断をもたらす神経毒素のニューロン内活性の原因である。これら三つの機能領域のそれぞれは、特徴的な三次元構造に関連づけられている。Hc領域はβシートに富んだ二つの構造を含み、H−N領域は二つの非常に長いαヘリックスで形成され、そしてL鎖はβシートに富んだ小型の構造を形成している(Kozaki et al.,Infect Immun.1986 Jun;52(3):786−91;Kozaki et al.,Infect Immun.1987 Dec;55(12):3051−6)。

0012

ボツリヌス神経毒素および破傷風神経毒素の全遺伝子がシーケンシングされ、ボツリヌス神経毒素AおよびBならびに破傷風神経毒素についての結晶構造が明らかにされている。

0013

これら神経毒素の免疫原断片を明らかにするためにさまざまな研究が行われている。パパインによるタンパク質分解によって得られ、クロマトグラフィーによって精製された破傷風毒素のHc断片が非毒性であり、そして抗Hc免疫付与をすることで試験用量の毒素からマウスが防御されることが最初に示された(Kozaki et al.,Infect Immun.1989 Sep;57(9):2634−9.)。そして、この断片は大腸菌における組換えタンパク質として産生されており、優れた免疫原であることも明らかになっている(Halpern et al.,Infect Immun.1989 Jan;57(1):18−22)。

0014

試験されたボツリヌス神経毒素Aのすべての組換え断片のうち、マウスの完全な防御をもたらす唯一のものは重鎖のC末端領域であり、該領域は破傷風神経毒素のHc領域に対応している(Clayton et al.,Infect Immun.1995 Jul;63(7):2738−42;Dertzbaugh and West,Vaccine.1996 Nov;14(16):1538−44;Kubota et al.,Appl Environ Microbiol.1997 Apr;63(4):1214−8;LaPenotiere et al.,Toxicon.1995 Oct;33(10):1383−6.Review)。免疫原としてボツリヌス神経毒素Aの全体を用いて得られた中和モノクローナル抗体はすべて、Hc断片に対するものである。ヒトにおけるホルマリン処理されたボツリヌス神経毒素の全体を用いたワクチン接種によって生成された抗体の分析は、抗体の大半が軽鎖に対するものでありHc断片に対するものがほとんどないことを示している。この研究は、Hc断片に基づくワクチンが、毒素全体によって調製したワクチンより防御能が高いと結論付けている(Brown et al.,Hybridoma.1997 Oct;16(5):447−56)。したがって、USAMRIIDによって開発された抗ボツリヌスワクチンの第二世代は、組換えられ精製された、ボツリヌス神経毒素A、B、C、D、E、FおよびGという七つの毒素型のHc断片から成っている。

0015

組換えHc断片の方が、従来の仕方で調製された対応するアナトキシンよりも効果的となることが指摘されている。神経毒素の中和抗体を用いた防御は、本質的にはHc断片による細胞受容体の認識を遮断することから成る(Brown et al.,1997)。

0016

また、ボツリヌス神経毒素に対する中和モノクローナル抗体を得るために多くの研究が行われている。ボツリヌス神経毒素Aの全体を用いて行われた実験が実りの少ないものとなったことが多いのに対し、組換えHcタンパク質を用いてマウスに免疫付与することで産生されたものは、相当数の中和モノクローナル抗体を得ることを可能にした(Amersdorfer et al.,Infect Immun.1997 Sep;65(9):3743−52;Middlebrook,Adv Exp Med Biol.1995;383:93−8)。このように、Hc断片は、中和抗体をもたらすための、無毒化された神経毒素全体よりも優れた免疫原であることが明らかとなっている。
Brown et al.,Hybridoma.1997 Oct;16(5):447−56
Amersdorfer et al.,Infect Immun.1997 Sep;65(9):3743−52;Middlebrook,Adv Exp Med Biol.1995;383:93−8

発明が解決しようとする課題

0017

今日利用されている方法は天然タンパク質または組換えタンパク質の産生を必要とするものであり、これは時間がかかりコストの高い過程である。さらに、天然タンパク質または組換えタンパク質が毒性であれば、該タンパク質は動物に注射する前に変性させなければならない。これは、エピトープに対する抗体だけが得られるために、中和力が弱い抗血清が得られるという結果になりうるものである。

0018

したがって今日では、とりわけバイオテロの場合に、ボツリヌス毒素(またはその他の毒素)に対して防御する抗血清を有しておく現実的な必要性がある。

課題を解決するための手段

0019

本発明者は、タンパク質毒素に対する抗血清を得る新たな方法を開発し、この方法で得られる抗血清は、ボツリヌス毒素に対する中和抗体の力価が高いものである。さらに、この新たな方法は、実施しやすくコストがほとんどかからないという利点も有している。

0020

したがって、第一の態様によると、本発明は、少なくとも一つのタンパク質毒素に対する抗血清を得る方法を対象としており、該方法は、
a)前記毒素の少なくとも一つの免疫原断片をコードする核酸を含んでいる少なくとも一つの遺伝子構築物を含む溶液を得る過程、
b)過程a)で得られた溶液を動物に注射によって投与する過程、
c)注射区域に電界を印加する過程、そして、
d)後に血液全体を採取し、血清を分離する過程、
を含んでいる。

0021

タンパク質毒素とは、動物、植物または細菌に由来する、毒作用を生み出し、一般的に抗原性の、あらゆる物質を意味する。「タンパク質毒素の免疫原断片」とは、免疫反応または免疫応答を誘発する能力を有する前記毒素のあらゆる断片を意味する。

0022

タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドという用語は本明細書において区別なく用い、アミノ酸配列、またはアミノ酸配列を含む誘導体を指す。

0023

本出願の意味における「後の採取」(過程(d))とは、免疫付与を得るために必要不可欠な過程(c)(電界の印加)の後、最少の経過時間で行われる採取を意味する。一般的には、この経過時間は電界の印加の少なくとも15日後である。

0024

本発明を実施するため、分子生物学微生物学および遺伝子工学における多くの従来技術が用いられる。これらの技術はよく知られており、たとえば、Current Protocols in Molecular Biology,Volumes I,IIおよびIII,1997(F.M.Ausubel編);Sambrook and coll.,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes IおよびII、1985(D.N.Glover編);Oligonucleotide Synthesis,1984(M.L.Gait編);Nucleic Acid Hybridization,1985(Hames and Higgins);Transcription et Translation,1984(Hames and Higgins編);Animal Cell Culture,1986(R.I.Freshney編);Immobilized Cells and Enzymes,1986(IRL Press);Perbal,1984,A Pratical Guide to Molecular Cloning;Methodsin Enzymologyシリーズ(Academic Press,Inc.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells,1987(J.H.Miller and M.P.Calos編、Cold Spring Harbor Laboratory);およびMethods in Enzymology Vol.154およびCol.155(それぞれ、Wu and Grossmann,Wu編)で説明されている。

発明を実施するための最良の形態

0025

過程c)による注射区域に電界を印加する条件は、現在では当業者によく知られており、とりわけ、国際公開第99/01157号および国際公開第99/01158号の番号で1999年1月14日に公開された国際出願に記載されている。当業者であればそれぞれのケースに応じてこれらの条件を適合できるものである。

0026

好ましくは、電界は、100マイクロ秒を越える長さのパルスで、0.1ヘルツと1000ヘルツの間に含まれる周波数の1〜100000の矩形パルスの形で、1V/cmと800V/cmの間に含まれる電界強度を有している。より好ましくは、電界は、1ミリ秒と50ミリ秒の間に含まれる長さで、1ヘルツ〜10ヘルツの周波数の1〜20矩形パルスの形で、80V/cmと250V/cmの間に含まれる電界強度を有している。

0027

有利には、注射は皮内注射または筋肉内注射である。

0028

好ましい実施態様によると、溶液の投与である過程b)は、ヒアルロニダーゼのような細胞外基質分解酵素を含有する溶液を注射する過程の後に行われる。実際この酵素は、筋肉の細胞外基質の主要な構成要素であるヒアルロン酸の分解を担う。したがって、ヒアルロニダーゼは、筋肉細胞に対するプラスミドの接近可能性を高めることを可能にする。好ましくは、0.1Uμl〜2Uμlの間に含まれるヒアルロニダーゼを含有する、5μlから200μlの間に含まれる溶液が注射される。より好ましくは、NaCl中に0.4U/μlのヒアルロニダーゼを含む約25μlの溶液が注射される。

0029

有利には、毒素は、ボツリヌス菌、破傷風菌、炭疽菌(Bacillus anthracis)の毒素、リシンジフテリア毒素およびコレラ毒素で構成されるグループから選択される。

0030

より有利には、前記毒素の免疫原断片はC末端断片(Hc)であり、該断片は、
配列SEQID No.1である血清型Aのボツリヌス菌毒素のHc断片、
配列SEQ ID No.2である血清型Bのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQ ID No.3である血清型Cのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQ ID No.4である血清型Dのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQ ID No.5である血清型Eのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQ ID No.6である血清型Fのボツリヌス菌毒素のHc断片、配列SEQ ID No.7である血清型Gのボツリヌス菌毒素のHc断片、および
配列SEQ ID No.8である破傷風菌毒素のHc断片
ならびに
それらの変異体
で構成されるグループから選択される。

0031

好ましくは、ボツリヌス菌毒素AのHc断片をコードする核酸は配列SEQID No.17のもの、あるいはその変異体の一つである。

0032

より広い意味では、タンパク質配列の「変異体」という用語は、アミノ酸またはヌクレオチドのレベルでのみ修飾を有している配列を意味し、機能に影響を与えて免疫原性を低下させることはない。同様に、「変異体」とは、本明細書でヌクレオチド配列について用いた場合、基準となるヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列を意味し、対応する配列は、基準となるヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドとほぼ同一の構造および機能を有しているポリペプチドをコードしている。このほぼ同一のヌクレオチド配列が、基準のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドをコードしていることが望ましい。ほぼ同一のヌクレオチド配列と基準のヌクレオチド配列の間における同一性の割合は、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは、少なくとも99%であることが望ましい。配列の比較は、Smith−Watermanの配列アラインメントアルゴリズムを用いて行われた(たとえば、Waterman,M.S.Introduction to Computational Biology:Maps,sequences and genomes.Chapman & Hall.London:1995.ISBN 0412−99391−0またはhttp://www−hto.usc.edu/software/seqaln/index.htmlを参照)。以下のパラメータで、バージョン1.16のローカルプログラムSを用いた。「マッチ」:1、「ミスマッチペナルティー」:0.33、「ギャップ開始ペナルティー」:2、「ギャップ伸長ペナルティー」:2。
基準となるヌクレオチド配列と「ほぼ同一の」ヌクレオチド配列は、
50℃の、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTAの中で基準のヌクレオチド配列とハイブリダイズし(50℃の、2×SSC、0.1%のSDSにおいて洗浄)、
より好ましくは、50℃の、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTAの中で基準のヌクレオチド配列とハイブリダイズし(50℃の、1×SSC、0.1%のSDSにおいて洗浄)、
またさらに好ましくは、50℃の、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTAの中で基準のヌクレオチド配列とハイブリダイズし(50℃の、0.5×SSC、0.1%のSDSにおいて洗浄)、
好ましくは、50℃の、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTAの中で基準のヌクレオチド配列とハイブリダイズし(50℃の、0.1×SSC、0.1%のSDSにおいて洗浄)、
さらに好ましくは、50℃の、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5MのNaPO4、1mMのEDTAの中で基準のヌクレオチド配列とハイブリダイズし(65℃の、0.1×SSC、0.1%のSDSにおいて洗浄)、
また、機能的に等価な遺伝子産物をコードする。

0033

もう一つの好ましい実施態様によると、遺伝子構築物は、前記毒素の少なくとも一つの断片をコードする核酸の5’にサイトメガロウイルス(CMV)のプロモーターを含んでいる。

0034

CMVのプロモーターの構造は、特にHennighausen et al.(EMBO J.5(6),1367−1371,1986)に記載されている。

0035

もう一つの好ましい実施態様によると、遺伝子構築物は細胞外分泌シグナルをコードする配列を含んでいる。

0036

これらの細胞外分泌シグナルは、当業者にはよく知られたものであり、該シグナルによって、高い抗体力価を得ることが可能となる。

0037

好ましくは、細胞外分泌シグナルをコードする配列は、マウスのエリスロポエチンの細胞外分泌シグナルをコードする配列SEQID No.9、およびヒトのアルカリフォスファターゼの細胞外分泌シグナルをコードするSEQ ID No.10、ならびにそれらの変異体の一つから選択される。

0038

さらにもう一つの好ましい実施態様によると、遺伝子構築物は、プロモーターの5’に、KOZAK配列と呼ばれる、配列SEQID No.11である翻訳開始部位の核酸配列を含んでいる。

0039

もう一つの新たな好ましい実施態様によると、前記毒素の少なくとも一つの断片をコードする核酸配列の少なくとも一つの開始コドンは、同一のアミノ酸をコードしている異なるコドンで置き換えられ、真核細胞における該コドンの頻度は、表1で定義しているように、ボツリヌス菌における頻度よりも高い。

0040

0041

ボツリヌス毒素はクロストリジウムの生物体によって天然に産生されるため、この生物体によって用いられる遺伝子コードは哺乳動物におけるタンパク質の良好な発現には必ずしも適合していない。したがって、本発明者は、コドンの最適化の技術にしたがって設計した合成遺伝子を用いた。つまり、真核細胞で最も頻度の高いtRNA運搬RNA)に対応する同義コドンの利用である。

0042

もう一つの好ましい実施態様によると、遺伝子構築物はさらに、少なくとも一つのサイトカインをコードする核酸を含んでいる。

0043

有利には、過程(a)の溶液はサイトカインをコードする核酸を含むもう一つの遺伝子構築物を含んでおり、前記二つの遺伝子構築物が過程(b)で同時投与される。

0044

好ましくは、サイトカインをコードする核酸の配列は、
造血成長因子GMCSF)をコードするSEQID No.12、
マウスのインターロイキン12のp35サブユニットをコードするSEQ ID No.13、
マウスのインターロイキン12のp40サブユニットをコードするSEQ ID No.14、
マウスのインターロイキン4をコードするSEQ ID No.15
および
ヒトのインターロイキン10をコードするSEQ ID No.16
で構成されるグループから選択される。

0045

もう一つの好適な実施態様によると、遺伝子構築物はさらに、グアニン塩基シトシン塩基に富んだメチル化していない免疫活性化配列を含み、該配列のサイズは10ヌクレオチドと10000ヌクレオチドの間に含まれている。

0046

CpG配列と呼ばれるこのような配列は当業者にはよく知られたものである。本発明においては、免疫活性化配列は、毒素の断片をコードするプラスミドと共に投与されることになる特定のオリゴヌクレオチドでありうることも了解する必要がある(Mutwiki et al.,Veterinary Immunology and immunopathology,2003,91,89−103;R.Rankin, et al.,Vaccine 2002,20,3014−3022)。

0047

特に有利な一つの実施態様によると、抗血清は、少なくとも二つのタンパク質毒素に対するものであり、過程a)の溶液が少なくとも二つの遺伝子構築物の混合物を含み、前記構築物のそれぞれが、前記毒素の少なくとも一つの免疫原断片をコードする核酸を含んでいることを特徴としている。

0048

好ましくは、動物は、マウス、ウサギ、ウマおよびブタから選択される。

0049

特に好ましい実施態様によると、過程b)および過程c)は、過程d)の前に少なくとも一回繰り返される。一般的には、これらの過程は、少なくとも15日の間隔で、好ましくは少なくとも3週間の間隔で、特に好ましくは少なくとも一ヶ月の間隔で繰り返される。

0050

より好ましくは、過程c)は、前記毒素の組換え免疫原断片を動物に投与する前に行われる。一般的には、この投与は過程c)の少なくとも15日後に実施される。続いて、過程d)で血清が分離される。

0051

血清の分離は当業者に既知のあらゆる方法によって行うことができる。好ましくは、血清は過程d)で遠心分離によって分離される。

0052

第二の態様によると、本発明は、本発明の方法によって得ることのできるタンパク質毒素に対する抗血清を対象としており、該血清の抗毒素抗体の力価が100以上であることと、該血清の中和力が100以上であることを特徴としている。

0053

抗体の力価は、希釈、たとえば100分の1希釈からの血清の2倍希釈を行うことで判定することができ、次に、ELISAアッセイを実施し、所定の波長、たとえばペルオキシダーゼオルトフェニレンジアミン・システムを用いた場合には492nmでの、希釈に応じた光学密度を示す曲線が得られる。抗体の力価は、未処理血清で少なくとも0.2の光学密度を示す希釈係数逆数に対応している。

0054

中和力すなわち中和力価の判定では、中和抗体の存在がマウスにおける致死試験によって判定される。たとえば、A型のボツリヌス神経毒素を産生し、mlあたりでマウス致死量の10倍となるように調整する。次に、血清の希釈物を毒素の調製物と共にインキュベートし、マウスに注射する。それから、マウスの生存を数日にわたって観察する。結果はmlあたりの中和単位として表される(一中和単位はマウス致死量の10倍を中和する血清の量に対応する)。

0055

また、本発明は、哺乳動物における毒素の吸収に関わる毒作用を前記哺乳動物において中和することを目的とした予防用血清または解毒剤として利用するための、本発明による抗血清も対象としている。

0056

本出願において、毒素の吸収は前記哺乳動物における細菌による汚染の結果として生じるものである。

0057

さらに、本発明は、哺乳動物における毒素の吸収に関わる毒作用を予防または治療するための医薬品を製造するための、本発明による抗血清の利用方法も対象としており、該毒素は、ボツリヌス菌毒素、破傷風菌毒素、炭疽菌毒素、リシン、ジフテリア毒素およびコレラ毒素で構成されるグループから選択される。

0058

また、本発明は、免疫学的試験における試薬として利用するための、本発明による抗血清も対象としており、該試験とはたとえば、これらに限定されるわけではないが、ELISA酵素免疫測定法免疫ブロット、免疫発光測定法などである。これらのさまざまな免疫学的試験は当業者に既知であり、当業者は本発明による抗血清を該試験に適用することができる。

0059

最後の態様によると、本発明は、哺乳動物における、ボツリヌス菌毒素、破傷風菌毒素、炭疽菌毒素、リシン、ジフテリア毒素およびコレラ毒素で構成されるグループから選択される毒素の吸収に関連する毒作用を予防または治療することを目的とした医薬品を製造するための、本発明による少なくとも一つの遺伝子構築物を含有する溶液の利用方法を対象としており、該利用方法は、前記医薬品が電気移動による投与を目的として製剤されることを特徴としている。

0060

電気移動による投与に適用可能なエレクトロポレーションの条件、注射の方法および回数は上記で定義した通りである。

0061

医薬品は、少なくとも一つの前記遺伝子構築物を含有する溶液から調製されるものであり、電気移動を可能にするためのカチオン性脂質非存在下で製剤しなければならない。該医薬品は、当業者には既知の薬学的に許容可能なあらゆる賦形剤、たとえば、生理食塩水リン酸緩衝液グルコース緩衝液などの存在下で製剤してもよい。

0062

好ましくは、本発明による利用方法は、溶液がさらに免疫活性化アジュバントを含有することを特徴としている。免疫活性化アジュバントの例としては、これらに限定されるわけではないが、フロイントアジュバントおよびミョウバンを挙げることができる。

0063

以下の実施例および図面は本発明を例示する役割を果たすものであるが、本発明の範囲を限定するものではない。

0064

図面の説明
いくつかの図面における「*」という記号は100未満の抗体力価に対応するものである。

0065

図1:電気移動の3週間後の、血清のELISAアッセイ。100分の1希釈からの血清の2倍希釈。
図2:電気移動の70日後の、血清のELISAアッセイ。100分の1希釈からの血清の2倍希釈。
図3:電気移動の21日から70日後の、ELISAアッセイで得られた抗体力価(抗体力価=未処理血清で0.3のOD490を示す希釈係数の逆数)。
図4:プラスミドpVaxFcBoNTAおよびpVaxFc*BoNTAを用いた、注射のみ/注射+電気移動の比較。
図5:FcBoNTA配列でのコドンの最適化の効果(FcBoNTA/Fc*BoNTA)。
図6:抗体力価に対するヒアルロニダーゼの効果(プラスミドpVaxFcBoNTAおよびpVaxFc*BoNTA)。
図7:抗体力価に対するヒアルロニダーゼの効果(プラスミドpVaxFc*BoNTA−Master)。
図8:プラスミドpVaxFc*BoNTAおよびpVaxFc*BoNTA−Masterを用いた、抗FcBoNTB抗体の力価(注射+電気移動)。
図9:プラスミドpVaxFcBoNTE、pVaxFc*BoNTE、pVaxFc*BoNTE−Master、pVaxFc*BoNTE−Variantを用いた、抗FcBoNTE抗体の力価。
図10ABEにおける抗FcBoNTA、抗FcBoNTBおよび抗FcBoNTE抗体の力価(プラスミドpVaxFc*BoNTA−Master、pVaxFc*BoNTB−MasterおよびpVaxFc*NTE−Masterを用いた同時注射および電気移動:ABE多価血清)。
図11:ウサギにおける、抗FcBoNTA抗体の力価。
図12:マウスにおける、プラスミドpVaxFc*BoNTA−Masterの再注射を行う場合または行わない場合の抗FcBoNTA抗体の力価(皮内注射は「id.」、筋肉内注射は「im.」)。
図13:マウスにおける、プラスミドpVaxFc*BoNTAの再注射を行う場合または行わない場合の抗FcBoNTA抗体の力価。
図14:pVaxFcNoNTA(塗りつぶし)または血清型Aのボツリヌス毒素のHc断片のコドンが最適化された配列(プラスミドApVaxFc*BoNTA、網掛け)を用いたときの、高い血清力価を得るためのコドン最適化の効果。
図15タンパク質分泌配列と組み合わされていない(Fc*BoNTA)または組み合わされた(分泌Fc*BoNTA、網掛けのバー)、ボツリヌス毒素Aの断片をコードしている最適化された遺伝子配列を用いたときの、電気移動後の三つの時点で力価測定した、本発明の方法による抗血清の取得。
図16:タンパク質分泌配列と組み合わされていない(Fc*BoNTB)または組み合わされた(分泌Fc*BoNTB)、ボツリヌス毒素Bの断片をコードしている最適化された遺伝子配列を用いたときの、電気移動後の三つの時点で力価測定した、本発明の方法による抗血清の取得。
図17:−コドンが最適化されていない(FcBoNTE)、
−コドンが最適化され、組み合わされていない、すなわちタンパク質分泌配列と組み合わされていない(Fc*BoNTE)、
−コドンが最適化され、組み合わされた、すなわちタンパク質分泌配列と組み合わされた(分泌Fc*BoNTE)、
ボツリヌス毒素Eの断片をコードしている最適化された遺伝子配列を用いたときの、電気移動後の三つの時点で力価測定した、本発明の方法による抗血清の取得。

0066

I.材料および方法
遺伝物質
本発明者は、以下ではFcBoNTAと表記する、毒素の最も免疫原性を有する部分として知られた断片であるボツリヌス毒素AのC末端断片をコードするさまざまなプラスミド構築物を注射し、電気移動した。試験したさまざまな構築物とは以下のものである。

0067

−pVaxFcBoNTA:このプラスミドはCMVプロモーターの制御下にあるFcBoNTA断片を含む。

0068

−pVaxFc*BoNTA:このプラスミドは、タンパク質の発現がマウスにおいて最適となるように配列が最適化されているFcBoNTA断片(Fc*BoNTAと表記)を含む。実際、ボツリヌス菌およびマウスにおけるコドンの頻度は非常に異なっており、このことは、これら二種における運搬RNAのプールが異なっており、限定因子となる可能性があることを意味している。マウスにおいて最も頻度の高いコドンを用いて、最終的に同一のタンパク質をもたらすように配列を全体的に修飾した。Fc*断片はCMVプロモーターの制御下にある。

0069

−pVaxFc*BoNTA−Master:このプラスミドは、マウスのエリスロポエチンの分泌シグナルと融合した、翻訳を促進するKozak配列に後続するFc*BoNTA断片を含んでいる。

0070

−pVaxFc*BoNTA−Variant:このプラスミドは、ヒトの分泌型アルカリフォスフォターゼの分泌シグナルと融合した、翻訳を促進するKozak配列に後続するFc*BoNTA断片を含んでいる。

0071

作業方法
これらのさまざまな構築物は、注射ごとに、
前脛骨筋では150mM、30μlのNaCl内、
−皮内では150mM、100μlのNaCl内に
40μgの割合で、SWISSマウスに注射し、電気移動させた。

0072

いずれの場合にも、作業方法は次の通りである。マウスに麻酔をかけ(ケタミンキシラジン混合物の腹腔内注射)、その後肢の毛を剃り、そしてプラスミド溶液を前脛骨筋または皮膚に注射した。次に、筋肉または皮膚を、発電機Genetronics EC 830に接続した二つの平板電極を用いて、周波数2Hz、20msの矩形パルス8個の形で200V/cmの電界にかけた。必要であれば、ヒアルロニダーゼ溶液(150mMのNaCl中に0.4U/μLで25μl)を、注射および電気移動の二時間前に前脛骨筋に注射する。

0073

血液の採取(およそ150μl)は、麻酔したマウスの後眼窩穿刺によって行った。血清の力価測定のために、採取物を4℃、3000rpmで10分間遠心分離した。血漿回収し、血清を−80℃で保存した。

0074

−抗FcBoNTA、抗FcBoNTBおよび抗FcBoNTE抗体の力価測定(ELISAアッセイ)
マウスの血清において抗FcBoNTA抗体(または抗FcBoNTBまたは抗FcBoNTE抗体)を力価測定するためにELISA試験を行った。具体的には、組換えタンパク質FcBoNTA、FcBoNTBまたはFcBoNTEを96ウェルプレートの底に置き、次に、そのプレートと血清をインキュベートした。抗体が血清中に存在すれば、該抗体はタンパク質に固定される。洗浄することによって、組換えタンパク質に固定しなかったすべての抗体を取り除き、そして次に、抗Fc抗体の存在を、マウスのビオチン化した抗Ig二次抗体と、ペルオキシダーゼと結合したストレプトアビジンとの組み合わせによって検出した。続いて、ペルオキシダーゼの基質を用いて視覚化し、492nmでプレートを読み取ればよい。

0075

抗体力価を判定するために、100分の1希釈から血清の2倍希釈を行った。希釈に応じた、492nmでの光学密度を示す曲線によって、未処理血清で0.3のOD490を示す希釈係数の逆数に対応している抗体力価を判定することが可能となる。

0076

−中和抗体の力価測定(致死試験)
中和抗体の存在はマウスにおける致死試験によって判定した。A型のボツリヌス神経毒素を産生し、mlあたりでマウス致死量の10倍となるように調整する。次に、血清の希釈物を2mlの毒素の調製物と共に37℃で30分間インキュベートし、腹腔経路によってマウスに注射する(希釈ごとに2頭のマウス、マウスあたり1ml)。続いて、マウスの生存を四日間にわたって観察する。結果は、mlあたりの中和単位で表される(一中和単位は、マウス致死量の10倍を中和する血清の量に対応する)。

0077

II.追加実験
1)注射のみ/注射+電気移動の比較
本発明者は、電気移動の効果を実証するために実験を行った。そのため、本発明者は、同一のプラスミド(pVaxFcBoNTAおよびpVaxFc*BoNTA)を注射し、注射後の電気移動を行ったマウスと行わないマウスの群について得られた抗体の力価を比較した。

0078

処理の30日後に得られた抗体力価を図4に示している。

0079

この実験の後、本発明者は、注射のみまたは注射+電気移動によって得られたこれら抗体の中和力を試験した。つまり、本発明者は、マウスにおける中和試験、すなわち致死試験を行った。血清は45日目に試験し、マウスの数を抑えるために同一条件にある血清を「プール」した。

0080

表2に示した結果は、血清の各希釈と各条件について、マウスの全体数に対する生存したマウスの数を示している。ここから、マウスが生存する最も大きな希釈の逆数として中和力価が推定される。

0081

0082

このように、注射のみで得られた抗体に中和力がないのに対し、電気移動で得られた抗体では先の結果に匹敵する結果が見られる。

0083

1)さまざまな比較
a)最適化の効果
本発明者は、電気移動を伴って投与された配列(図5)と電気移動を伴わずに投与された配列(図4)でのコドンの最適化の効果を比較した。

0084

FcBoNTA配列のコドンでの最適化によって、抗体力価が大幅に上昇することが観察される(斜め線に対するグレー)。

0085

b)電気移動を用いる方法におけるヒアルロニダーゼの効果
本発明者は、抗体力価に対するヒアルロニダーゼの効果を研究した。
プラスミドpVaxFcBoNTAで得られた結果を図6に示している。
プラスミドpVaxFc*BoNTAで得られた結果を図6に示している。
プラスミドpVaxFc*BoNTA−Masterで得られた結果は図7に示している。

0086

2)毒素Bおよび毒素E
本発明者は、毒素Aと同一の手順に正確にしたがって行った。
40μgのプラスミドpVaxFc*BoNTBとpVaxFc*BoNTB−Master(BoNTBのC末端断片+Epoの分泌シグナル+Kozak配列)の注射+電気移動。

0087

採取は、注射および電気移動後の15日目、30日目および45日目に実施した。

0088

抗FcBoNTB抗体の力価について得られた結果は図8に示している。

0089

このように、プラスミドの電気移動によって抗FcBoNTB抗体を得ることが可能である。

0090

抗FcBoNTE抗体の力価
毒素E(40μgのプラスミド)について同一の手順を行った。

0091

本発明者は、
−pVaxFcBoNTE:最適化していない、非分泌型C末端断片、
−pVaxFc*BoNTE:(コドンを)最適化したC末端断片、
−pVaxFc*BoNTE−Master:最適化したC末端断片+mEpo分泌シグナル+Kozak配列、
−pVaxFc*BoNTE−Variant:最適化したC末端断片+hSeAP分泌シグナル+Kozak配列、
を比較した。

0092

採取は、15日目、28日目、42日目に実施した。結果は図9に示している。

0093

3)多価血清
本発明者は、複数のC末端断片、FcBoNTA、FcBoNTBおよびFcBoNTEをコードしている複数のプラスミドの同時注射+電気移動を試験した。

0094

三つのプラスミドは、マウスのEpoの分泌シグナルとKozak配列に後続するC末端断片をコードしている。

0095

各プラスミドを40μgずつ、すなわち、各プラスミドを20μgずつマウスの各後肢に注射することで、後肢あたり合計で60μgのDNAとした。

0096

抗FcBoNTA抗体の力価は図10(A)に示している。
抗FcBoNTB抗体の力価は図10(B)に示している。
抗FcBoNTE抗体の力価は図10(E)に示している。

0097

4)ウサギにおける試験
本発明者は、ウサギにおいて500μgのプラスミドpVaxFc*BoNTA−Masterの注射または注射+電気移動を試験した。電気移動の条件は、125V/cm、20ms、2Hzの周波数の8個のパルスで、針電極を用いるものである。

0098

結果は図11に示している。

0099

5)再注射の効果
本発明者は、マウスにおいて二回目の注射+電気移動の効果を試験した。
−プラスミドpVaxFc*BoNTA−Masterを用いた、各筋肉内における0日目での二回の注射+電気移動(注:im.80μg)(図12)、
−各回ともプラスミドpVaxFc*BoNTA−Masterを用いた、筋肉内における3週間の間隔を開けた二回の注射+電気移動(注:im.+im.40μg)(図12)、
−プラスミドpVaxFc*BoNTA−Masterを用いた、1回目の処理は皮内、2回目は筋肉内である、3週間の間隔を開けた二回の注射+電気移動(注:id.+im.40μg)(図12)、
−各回ともpVaxFc*BoNTAを用いた、筋肉内における1ヶ月の間隔を開けた二回の注射+電気移動(図13)。

0100

III−結果
本発明者は、さまざまな構築物およびさまざまな作業方法を比較した(条件ごとに4頭のマウス)。
−注射のみ(注射+電気移動)、
−40μgのpVaxFcBoNTAの筋肉内での注射+電気移動、
−40μgのpVaxFc*BoNTA(最適化した配列)の筋肉内での注射+電気移動、
−40μgのpVaxFc*BoNTA−Master(最適化した配列+マウスのエリスロポエチンの分泌シグナル+Kozak配列)の筋肉内での注射+電気移動、
−40μgのpVaxFc*BoNTA−Variant(最適化した配列+ヒトの分泌型アルカリフォスフォターゼの分泌シグナル+Kozak配列)の筋肉内での注射+電気移動、
−40μgのpVaxFc*BoNTA(最適化した配列)の皮内での注射+電気移動、
−ヒアルロニダーゼでの処理+40μgのpVaxFc*BoNTA(最適化した配列)の筋肉内での注射+電気移動、
−処理なし。

0101

電気移動の3週間後に血清のELISAアッセイを行って得られた結果を図1に示している。

0102

このように、本発明者は、説明したさまざまな条件で処理したマウスの全血清において三週間後から抗FcBoNTA抗体を検出したのだが、未処理マウスの血清では検出しなかった。しかし、条件によって抗体力価が変化することに注目することができる。ヒアルロニダーゼで処理したマウスは、その他のマウスに対して高い抗体力価を有している。この酵素は、筋肉の細胞外基質の主要な構成要素であるヒアルロン酸の分解を担っている。したがって、ヒアルロニダーゼによって、筋肉細胞に対するプラスミドの接近可能性を向上させることが可能である。また、皮内での電気移動によって抗体を得ることも可能である。

0103

次に、採取を15日間毎日実施し、注射の70日後にELISAアッセイで得られた結果を図2に示している。

0104

70日目のELISAアッセイの結果は、21日目に得られたものに似ている。しかし、皮内の条件を除いたすべての条件で抗体力価が増加したことに注目することができる。これは、本発明者による、筋肉における発現動態が一年まで継続するのに対し、皮内での電気移動後のタンパク質の発現が15日しか続かないという指摘によって説明することができる。

0105

動態に従った抗体力価についてより広く見るために、図3は、時間経過に従って、条件ごとに得られた力価をまとめてを示している。

0106

これらの結果は、それぞれの条件のマウスの血清における抗体力価に関する情報は与えてくれるが、これらの抗体の中和力に関しては情報を示していない。したがって本発明者は、マウスにおける中和試験、すなわち致死試験を実施した。40日目に採取した血清を試験し、用いるマウスの数を抑えるために同一条件の血清を一つにした。

0107

表3に示した結果は、血清の各希釈と各条件について、処理したマウスの数に対する生存したマウスの数を示している。ここから、マウスが生存する最も大きい希釈の逆数として中和力価が推定される。

0108

0109

この試験の第一の結論は、プラスミドの電気移動によって得られた抗体が中和力を持つということである。

0110

第二の結論は、一定の条件下では非常に説得力のある中和力価が得られるということであり、特にpVaxFc*BoNTA−Masterの条件では少なくとも10000の中和力価が得られる。

0111

次に本発明者は電気移動の効果を実証するための実験を行った。そのため、本発明者は、同一のプラスミド(pVaxFcBoNTAまたはpVaxFc*BoNTA)を注射し、注射後の電気移動を行ったまたは行わないマウスの群で得られた抗体力価を比較した。

0112

処理の30日後に得られた抗体力価を、図4に示している。

0113

いずれの場合にも、注射のみの群と比べて、注射+電気移動を行った群では、抗体力価の強い上昇が観察される。

0114

IV−結論
本発明者は、ボツリヌス毒素AのC末端断片、FcBoNTAをコードしているプラスミドの単純な注射および電気移動の後に、高い中和抗体力価を得た。この結果から、この単純な方法によって、治療用一価または多価の抗ボツリヌス毒素の抗血清を得ることができると考えられる。実際、多価の抗血清は、複数のプラスミドを用いた遺伝子免疫法によって得ることができるのだが、それは、コトランスフェクションと共に電気移動技術を行うことで共発現が得られることが証明されているからである。そうでない場合には、多価の抗血清は、一価の抗血清を単純に混合することによって得ることができる。

図面の簡単な説明

0115

図1:電気移動の3週間後の、血清のELISAアッセイの結果を示す図。
電気移動の70日後の、血清のELISAアッセイの結果を示す図。
電気移動の21日から70日後のELISAアッセイで得られた抗体力価を示す図。
プラスミドpVaxFcBoNTAおよびpVaxFc*BoNTAを用いた、注射のみ/注射+電気移動の比較を示す図。
FcBoNTA配列でのコドンの最適化の効果を示す図。
抗体力価に対するヒアルロニダーゼの効果を示す図(プラスミドpVaxFcBoNTAおよびpVaxFc*BoNTA)。
抗体力価に対するヒアルロニダーゼの効果を示す図(プラスミドpVaxFc*BoNTA−Master)。
プラスミドpVaxFc*BoNTAおよびpVaxFc*BoNTA−Masterを用いた抗FcBoNTB抗体の力価(注射+電気移動)を示す図。
プラスミドpVaxFcBoNTE、pVaxFc*BoNTE、pVaxFc*BoNTE−Master、pVaxFc*BoNTE−Variantを用いた抗FcBoNTE抗体の力価を示す図。
ABEにおける抗FcBoNTA、抗FcBoNTBおよび抗FcBoNTE抗体の力価を示す図。
ウサギにおける抗FcBoNTA抗体の力価を示す図。
マウスにおける、プラスミドpVaxFc*BoNTA−Masterの再注射を行う場合または行わない場合の抗FcBoNTA抗体の力価を示す図。
マウスにおける、プラスミドpVaxFc*BoNTAの再注射を行う場合または行わない場合の抗FcBoNTA抗体の力価を示す図。
pVaxFcNoNTAまたは血清型Aのボツリヌス毒素のHc断片のコドンが最適化された配列を用いたときの、高い血清力価を得るためのコドン最適化の効果を示す図。
タンパク質分泌配列と組み合わされていないまたは組み合わされた、ボツリヌス毒素Aの断片をコードしている最適化された遺伝子配列を用いたときの、電気移動後の三つの時点で力価測定した、本発明の方法による抗血清の取得を示す図。
タンパク質分泌配列と組み合わされていないまたは組み合わされた、ボツリヌス毒素Bの断片をコードしている最適化された遺伝子配列を用いたときの、電気移動後の三つの時点で力価測定した、本発明の方法による抗血清の取得を示す図。
−コドンが最適化されていない、−コドンが最適化され、組み合わされていない、すなわちタンパク質分泌配列と組み合わされていない、−コドンが最適化され、組み合わされた、すなわちタンパク質分泌配列と組み合わされた、ボツリヌス毒素Eの断片をコードしている最適化された遺伝子配列を用いたときの、電気移動後の三つの時点で力価測定した、本発明の方法による抗血清の取得を示す図。

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