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課題・解決手段

小細胞肺癌(SCLC)を検出及び診断する方法が本明細書において記載される。一つの態様において、この診断方法は、SCLC細胞と正常細胞判別するSCLC関連遺伝子の発現レベルを決定する段階を含む。別の態様において、本診断方法は、肺癌の2つの主要な組織型である非小細胞肺癌(NSCLC)及びSCLCを識別するSCLC関連遺伝子の発現レベルを決定する段階を含む。最後に、本発明は、小細胞肺癌の治療に有用な治療剤スクリーニング方法、小細胞肺癌の治療方法、及び対象に小細胞肺癌に対するワクチン接種を行う方法を提供する。さらに、本発明は、化学療法抵抗性肺癌診断マーカーとして及び/又はこれらの癌に対する治療剤の分子標的としての、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子又はSCLC関連遺伝子を提供する。これらの遺伝子は化学療法抵抗性肺癌又はSCLCにおいて上方制御される。従って、化学療法抵抗性肺癌又はSCLCは、これらの遺伝子の発現レベルを診断マーカーとして用いることで予測できる。その結果、非効果的な化学療法に起因するいかなる有害作用も回避することができ、より適切かつ効果的な治療ストラテジーを選択することができる。

概要

背景

発明の背景
肺癌は最も一般的な致死的ヒト腫瘍の一つである。肺癌の発症及び進行に関連する多くの遺伝的変化報告されているが、その正確な分子機序は明らかにされていない(Sozzi, (2001) Eur J Cancer;37 Suppl 7:S63-73(非特許文献1))。小細胞肺癌(SCLC)は全ての肺癌の15〜20%を占める(Chute JP et al., (1999) J Clin Oncol.; 17:1794-801(非特許文献2), Simon GR et al., (2003) Chest; 123(1 Suppl):259S-271S(非特許文献3))。患者多剤併用療法に対して良好な反応を示すことが多いが、すぐに再発する。進展型(Extensive-disease)(ED)患者の5%未満が最初の診断後5年以上生存し、限局型(limited-stage disease)(LD)患者の20%のみが集学的療法(combined modality therapy)によって治癒する(Chute JP et al., (1999) J Clin Oncol.; 17:1794-801(非特許文献2), Albain KS et al., (1991) J Clin Oncol.; 9:1618-26(非特許文献4), Sandler AB et al., (2003) Semin Oncol.; 30:9-25(非特許文献5))。SCLCは、特定の形態学的、超微細構造的免疫組織化学的、及び分子的な特徴を共有する神経内分泌腫瘍を含む、肺腫瘍の特別なクラスに分類される。特定の新生物随伴症候群、例えば、抗利尿ホルモン不適当分泌異所性クッシング症候群、及びイートン‐ランバート症候群は、SCLCと特有の関連を有するが、神経内分泌腫瘍の詳細な分子的特徴は現在まで十分に理解されていない。とはいえ、SCLCの化学療法に対する比較的高い初期応答率は、効果的な新規の化学療法アプローチ及び標的化アプローチの開発の可能性を示唆している(Sattler M & Salgia R, (2003) Semin Oncol.; 30:57-71(非特許文献6), WolffNC, et al., (2004) Clin Cancer Res. 10:3528-34(非特許文献7))。

cDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイル分析は、癌細胞における遺伝子発現包括的分析を実現し、それらに関する詳細な表現型情報及び生物学的情報を明らかにすることができる(Golub TR et al., (1999) Science; 286:531-7(非特許文献8), Pomeroy SL et al., (2002) Nature; 415:436-42(非特許文献9), van't Veer LJ et al., (2002) Nature; 415:530-6(非特許文献10))。数千の遺伝子間発現レベルの体系的分析もまた、肺の発癌経路関与する未知の分子を同定するのに有用なアプローチであり(Kikuchi T et al., (2003) Oncogene;22:2192-205(非特許文献11), Kakiuchi S et al., (2004) Hum Mol Genet.;13:3029-43(非特許文献12)および (2003) Mol Cancer Res.;1:485-99(非特許文献13), Zembutsu H, et al., (2003) Int J Oncol.;23:29-39(非特許文献14))、それらの発見は、新規の抗癌薬及び/又は診断マーカーの開発の標的を示し得る(Suzuki C et al., (2003) Cancer Res.;63:7038-41(非特許文献15), Ishikawa N et al., (2004) Clin Cancer Res.;10:8363-70(非特許文献16))。

Sozzi, (2001) Eur J Cancer;37 Suppl 7:S63-73
Chute JP et al., (1999) J Clin Oncol.; 17:1794-801
Simon GR et al., (2003) Chest; 123(1 Suppl):259S-271S
Albain KS et al., (1991) J Clin Oncol.; 9:1618-26
Sandler AB et al., (2003) Semin Oncol.; 30:9-25
Sattler M & Salgia R, (2003) Semin Oncol.; 30:57-71
WolffNC, et al., (2004) Clin Cancer Res. 10:3528-34
Golub TR et al., (1999) Science; 286:531-7
Pomeroy SL et al., (2002) Nature; 415:436-42
van't Veer LJ et al., (2002) Nature; 415:530-6
Kikuchi T et al., (2003) Oncogene;22:2192-205
Kakiuchi S et al., (2004) Hum Mol Genet.;13:3029-43
(2003) Mol Cancer Res.;1:485-99
Zembutsu H, et al., (2003) Int J Oncol.;23:29-39
Suzuki C et al., (2003) Cancer Res.;63:7038-41
Ishikawa N et al., (2004) Clin Cancer Res.;10:8363-70

概要

小細胞肺癌(SCLC)を検出及び診断する方法が本明細書において記載される。一つの態様において、この診断方法は、SCLC細胞と正常細胞判別するSCLC関連遺伝子の発現レベルを決定する段階を含む。別の態様において、本診断方法は、肺癌の2つの主要な組織型である非小細胞肺癌(NSCLC)及びSCLCを識別するSCLC関連遺伝子の発現レベルを決定する段階を含む。最後に、本発明は、小細胞肺癌の治療に有用な治療剤スクリーニング方法、小細胞肺癌の治療方法、及び対象に小細胞肺癌に対するワクチン接種を行う方法を提供する。さらに、本発明は、化学療法抵抗性肺癌の診断マーカーとして及び/又はこれらの癌に対する治療剤の分子標的としての、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子又はSCLC関連遺伝子を提供する。これらの遺伝子は化学療法抵抗性肺癌又はSCLCにおいて上方制御される。従って、化学療法抵抗性肺癌又はSCLCは、これらの遺伝子の発現レベルを診断マーカーとして用いることで予測できる。その結果、非効果的な化学療法に起因するいかなる有害作用も回避することができ、より適切かつ効果的な治療ストラテジーを選択することができる。

目的

これらのデータは、この類型の癌に対する新規の診断システム及び治療標的分子を同定するための価値ある情報を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
6件

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請求項1

患者由来生物学的試料における小細胞肺癌関連遺伝子の発現レベルを決定する段階を含み、該試料における発現レベルが該遺伝子の正常対照レベルと比較して増加又は減少していることが、対象が小細胞肺癌を患っているか又は小細胞肺癌を発症する危険があることを示す、対象における小細胞肺癌又は小細胞肺癌を発症する素因診断する方法。

請求項2

小細胞肺癌関連遺伝子がSCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択され、さらに、試料における発現レベルが正常対照レベルと比較して増加していることが、対象が小細胞肺癌を患っているか又は小細胞肺癌を発症する危険があることを示す、請求項1記載の方法。

請求項3

試料の発現レベルが正常対照レベルよりも少なくとも10%高い、請求項2記載の方法。

請求項4

小細胞肺癌関連遺伝子がSCLC No. 1〜776の遺伝子からなる群より選択され、さらに、試料の発現レベルが正常対照レベルと比較して減少していることが、対象が小細胞肺癌を患っているか又は小細胞肺癌を発症する危険があることを示す、請求項1記載の方法。

請求項5

試料の発現レベルが正常対照レベルよりも少なくとも10%低い、請求項4記載の方法。

請求項6

複数の小細胞肺癌関連遺伝子の発現レベルを決定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。

請求項7

遺伝子の発現レベルが、(a)小細胞肺癌関連遺伝子のmRNAの検出、(b)小細胞肺癌関連遺伝子によりコードされるタンパク質の検出、及び(c)小細胞肺癌関連遺伝子によりコードされるタンパク質の生物学的活性の検出からなる群より選択される方法により決定される、請求項1記載の方法。

請求項8

検出がDNAアレイを用いて行われる、請求項7記載の方法。

請求項9

生物学的試料が上皮細胞を含む、請求項1記載の方法。

請求項10

生物学的試料が小細胞肺癌細胞を含む、請求項1記載の方法。

請求項11

生物学的試料が小細胞肺癌細胞由来の上皮細胞を含む、請求項1記載の方法。

請求項12

SCLC No. 1〜1555の遺伝子からなる群より選択される二つまたはそれ以上の小細胞肺癌関連遺伝子の遺伝子発現パターンを含む、小細胞肺癌の基準発現プロファイル

請求項13

SCLC No. 1〜776の遺伝子からなる群より選択される二つまたはそれ以上の小細胞肺癌関連遺伝子の遺伝子発現パターンを含む、小細胞肺癌の基準発現プロファイル。

請求項14

SCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択される二つまたはそれ以上の小細胞肺癌関連遺伝子の遺伝子発現パターンを含む、小細胞肺癌の基準発現プロファイル。

請求項15

(a)SCLC No. 1〜1555の遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド試験化合物を接触させる段階、(b)該ポリペプチドと試験化合物の間の結合活性を検出する段階、及び(c)該ポリペプチドに結合する試験化合物を選択する段階、を含む、小細胞肺癌を治療又は予防するための化合物スクリーニング方法

請求項16

(a)SCLC No. 1〜1555の遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子発現する細胞候補化合物を接触させる段階、及び(b)候補化合物の非存在下で検出される発現レベルと比較して、SCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを減少させる候補化合物か、又はSCLC No. 1〜776の遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを増加させる候補化合物を選択する段階、を含む、小細胞肺癌を治療又は予防するための化合物のスクリーニング方法。

請求項17

該細胞が小細胞肺癌細胞を含む、請求項16記載の方法。

請求項18

(a)SCLC No. 1〜1555の遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと試験化合物を接触させる段階、(b)段階(a)のポリペプチドの生物学的活性を検出する段階、及び(c)SCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの生物学的活性を、試験化合物の非存在下で検出される該ポリペプチドの生物学的活性と比較して抑制する試験化合物か、又はSCLC No. 1〜776の遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの生物学的活性を、試験化合物の非存在下で検出される該ポリペプチドの生物学的活性と比較して増強する試験化合物を選択する段階、を含む、小細胞肺癌を治療又は予防するための化合物のスクリーニング方法。

請求項19

(a)SCLC No. 1〜1555の遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子の転写調節領域及び該転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と候補化合物を接触させる段階、(b)レポーター遺伝子の発現又は活性を測定する段階、及び(c)試験化合物の非存在下で検出される該レポーター遺伝子の発現レベル又は活性レベルと比較して、マーカー遺伝子がSCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択される上方制御されたマーカー遺伝子である場合は、該レポーター遺伝子の発現又は活性を減少させる候補化合物、又は該マーカー遺伝子がSCLC No. 1〜776の遺伝子からなる群より選択される下方制御されたマーカー遺伝子である場合は該レポーター遺伝子の発現レベル若しくは活性レベルを増強する候補化合物を選択する段階、を含む、小細胞肺癌を治療又は予防するための化合物のスクリーニング方法。

請求項20

(a)SCLC No. 1〜1555の遺伝子からなる群より選択される二つまたはそれ以上の核酸配列又は(b)それらによってコードされるポリペプチドに結合する検出試薬を含むキット

請求項21

SCLC No. 1〜1555の遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数の核酸配列に結合する二つまたはそれ以上の核酸を含むアレイ

請求項22

SCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択されるコード配列相補的ヌクレオチド配列を含むアンチセンス組成物を対象に投与する段階を含む、対象における小細胞肺癌を治療又は予防する方法。

請求項23

SCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択される核酸配列の発現を減少させるsiRNA組成物を対象に投与する段階を含む、対象における小細胞肺癌を治療又は予防する方法。

請求項24

SCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択される任意の一つの遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する薬学的有効量の抗体又は免疫学的に活性なそれらの断片を対象に投与する段階を含む、対象における小細胞肺癌を治療又は予防する方法。

請求項25

(a)SCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択される核酸によりコードされるポリペプチド、(b)該ポリペプチドの免疫学的に活性な断片、又は(c)該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むワクチンを対象に投与する段階を含む、対象における小細胞肺癌を治療又は予防する方法。

請求項26

ポリペプチド、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は該ポリヌクレオチドを含むベクターと抗原提示細胞を接触させる段階を含み、該ポリペプチドが、SCLC No. 777〜1555からなる群より選択される遺伝子によりコードされるか又はその断片である、抗腫瘍免疫誘導する方法。

請求項27

抗原提示細胞を対象に投与する段階をさらに含む、請求項26記載の抗腫瘍免疫を誘導する方法。

請求項28

請求項15〜19のいずれか一項記載の方法により得られる化合物を投与する段階を含む、対象における小細胞肺癌を治療又は予防する方法。

請求項29

(a)SCLC No. 1〜776の遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチド、又は(b)それらにコードされるポリペプチドを含む薬学的有効量の薬剤を対象に投与する段階を含む、対象における小細胞肺癌を治療又は予防する方法。

請求項30

SCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチドに対する薬学的有効量のアンチセンスポリヌクレオチド又はsiRNAを含む、小細胞肺癌を治療又は予防するための組成物。

請求項31

SCLC No. 777〜1555の遺伝子からなる群より選択される遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する薬学的有効量の抗体又はそれらの断片を含む、小細胞肺癌を治療又は予防するための組成物。

請求項32

有効成分として請求項15〜19のいずれか一項記載の方法により選択される薬学的有効量の化合物、及び薬学的に許容される担体を含む、小細胞肺癌を治療又は予防するための組成物。

請求項33

(a)診断対象から採取した検体における、SCLC No. 1556〜1589の遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを検出する段階、及び(b)一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルと非小細胞肺癌の発現レベルとを比較する段階であって、非小細胞肺癌と比較してマーカー遺伝子の発現レベルが高いことが小細胞肺癌であることを示す段階、を含む、小細胞肺癌と非小細胞肺癌を判別する方法。

請求項34

ZIC5の発現を阻害する低分子干渉RNA(siRNA)を含む組成物を対象に投与する段階を含む、対象における小細胞肺癌を治療又は予防する方法。

請求項35

siRNAがセンス核酸配列及びZIC5由来の配列に特異的にハイブリダイズするアンチセンス核酸配列を含む、請求項34記載の方法。

請求項36

siRNAが標的配列としてSEQID NO:171からなる配列に対応するリボヌクレオチド配列を含む、請求項35記載の方法。

請求項37

siRNAが一般式5'-[A]-[B]-[A']-3'を有し、式中、[A]はSEQID NO:171のヌクレオチドからなる配列に対応するリボヌクレオチド配列であり、[B]は3〜23個のヌクレオチドからなるリボヌクレオチドループ配列であり、[A']は[A]の相補配列からなるリボヌクレオチド配列である、請求項36記載の方法。

請求項38

該組成物がトランスフェクション促進剤を含む、請求項34記載の方法。

請求項39

センス鎖がSEQID NO:171からなる標的配列に対応するリボヌクレオチド配列を含み、アンチセンス鎖がセンス鎖に相補的なリボヌクレオチド配列を含み、センス鎖及びアンチセンス鎖が互いにハイブリダイズして二重鎖分子を形成し、該二重鎖分子がZIC5遺伝子を発現する細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害する、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む二重鎖分子。

請求項40

標的配列がSEQID NO:175のヌクレオチド配列由来の少なくとも約10個の連続するヌクレオチドを含む、請求項39記載の二重鎖分子。

請求項41

標的配列がSEQID NO:175のヌクレオチド配列由来の約19〜約25個の連続するヌクレオチドを含む、請求項40記載の二重鎖分子。

請求項42

単鎖リボヌクレオチド配列を介して連結されたセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む単一のリボヌクレオチド転写物である、請求項41記載の二重鎖分子。

請求項43

約100ヌクレオチド長未満のオリゴヌクレオチドである、請求項40記載の二重鎖分子。

請求項44

約75ヌクレオチド長未満のオリゴヌクレオチドである、請求項43記載の二重鎖分子。

請求項45

約50ヌクレオチド長未満のオリゴヌクレオチドである、請求項44記載の二重鎖分子。

請求項46

約25ヌクレオチド長未満のオリゴヌクレオチドである、請求項45記載の二重鎖分子。

請求項47

二重鎖分子が約19〜約25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである、請求項46記載の二重鎖ポリヌクレオチド

請求項48

請求項40記載の二重鎖分子をコードするベクター。

請求項49

二次構造を有する転写物をコードし、かつセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む、請求項48記載のベクター。

請求項50

転写物がセンス鎖とアンチセンス鎖を連結する単鎖リボヌクレオチド配列をさらに含む、請求項49記載のベクター。

請求項51

センス鎖核酸及びアンチセンス鎖核酸の組み合わせを含むポリヌクレオチドを含むベクターであって、該センス鎖核酸がSEQID NO:171のヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖核酸がセンス鎖に相補的な配列からなるベクター。

請求項52

前記ポリヌクレオチドが一般式5'-[A]-[B]-[A']-3'を有し、式中、[A]はSEQID NO:171のヌクレオチド配列であり、[B]は3〜23個のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり、[A']は[A]に相補的なヌクレオチド配列である、請求項51記載のベクター。

請求項53

有効成分としてZIC5の発現を阻害する薬学的有効量の低分子干渉RNA(siRNA)、及び薬学的に許容される担体を含む、小細胞肺癌を治療又は予防するための薬学的組成物

請求項54

siRNAが標的配列としてSEQID NO:171からなるヌクレオチド配列を含む、請求項53記載の薬学的組成物。

請求項55

siRNAが一般式5'-[A]-[B]-[A']-3'を有し、式中、[A]はSEQID NO:171のヌクレオチド配列に対応するリボヌクレオチド配列であり、[B]は3〜23個のヌクレオチドからなるリボヌクレオチド配列であり、[A']は[A]に相補的なリボヌクレオチド配列である、請求項54記載の組成物。

請求項56

患者由来の生物学的試料における、表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子の発現レベルを決定する段階を含み、該試料の発現レベルが該遺伝子の対照レベルと比較して増加していることが、対象が化学療法抵抗性肺癌を患っているか又は化学療法抵抗性肺癌を発症する危険があることを示す、対象における化学療法抵抗性肺癌又は化学療法抵抗性肺癌を発症する素因を診断する方法。

請求項57

試料の発現レベルが対照レベルよりも少なくとも10%高い、請求項56記載の方法。

請求項58

化学療法抵抗性肺癌が小細胞肺癌であり、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子が表6に列挙される遺伝子からなる群より選択される、請求項56記載の方法。

請求項59

複数の化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子の発現レベルを決定する段階をさらに含む、請求項56記載の方法。

請求項60

遺伝子の発現レベルが、(a)化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子のmRNAの検出、(b)化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子によりコードされるタンパク質の検出、及び(c)化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子によりコードされるタンパク質の生物学的活性の検出、からなる群より選択される方法により決定される、請求項56記載の方法。

請求項61

検出がDNAアレイを用いて行われる、請求項60記載の方法。

請求項62

生物学的試料が肺癌細胞を含む、請求項56記載の方法。

請求項63

生物学的試料が肺癌細胞由来の上皮細胞を含む、請求項56記載の方法。

請求項64

表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される二つまたはそれ以上の化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子の遺伝子発現パターンを含む、化学療法抵抗性肺癌の基準発現プロファイル。

請求項65

化学療法抵抗性肺癌が小細胞肺癌であり、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子が表6に列挙される遺伝子からなる群より選択される、請求項64記載の発現プロファイル。

請求項66

(a)表5に列挙される遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと試験化合物を接触させる段階、(b)該ポリペプチドと試験化合物との間の結合活性を検出する段階、及び(c)該ポリペプチドに結合する試験化合物を選択する段階、を含む、化学療法抵抗性肺癌の治療又は予防のための化合物のスクリーニング方法。

請求項67

(a)表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子を発現する細胞と候補化合物を接触させる段階、及び(b)表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを、候補化合物の非存在下で検出される発現レベルと比較して減少させる候補化合物を選択する段階、を含む、化学療法抵抗性肺癌の治療又は予防のための化合物のスクリーニング方法。

請求項68

前記細胞が化学療法抵抗性肺癌細胞を含む、請求項67記載の方法。

請求項69

(a)表5に列挙される遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと試験化合物を接触させる段階、(b)段階(a)のポリペプチドの生物学的活性を検出する段階、及び(c)表5に列挙される遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの生物学的活性を、試験化合物の非存在下で検出される該ポリペプチドの生物学的活性と比較して抑制する試験化合物を選択する段階、を含む、化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防するための化合物のスクリーニング方法。

請求項70

(a)表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子の転写調節領域及び該転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と候補化合物を接触させる段階、(b)レポーター遺伝子の発現又は活性を測定する段階、及び(c)レポーター遺伝子の発現又は活性を、試験化合物の非存在下で検出される発現レベル又は活性レベルと比較して減少させる候補化合物を選択する段階、を含む、化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防するための化合物のスクリーニング方法。

請求項71

化学療法抵抗性肺癌が小細胞肺癌であり、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子が表6に列挙される遺伝子からなる群より選択される、請求項66〜70のいずれか一項記載の方法。

請求項72

(a)表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される二つまたはそれ以上の核酸配列、又は(b)それらによってコードされるポリペプチドに結合する検出試薬を含む、化学療法抵抗性肺癌を検出するためのキット。

請求項73

化学療法抵抗性肺癌が小細胞肺癌であり、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子が表6に列挙される遺伝子からなる群より選択される、請求項72記載のキット。

請求項74

表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数の核酸配列に結合する二つまたはそれ以上の核酸を含む、化学療法抵抗性肺癌を検出するためのアレイ。

請求項75

化学療法抵抗性肺癌が小細胞肺癌であり、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子が表6に列挙される遺伝子からなる群より選択される、請求項74記載のアレイ。

請求項76

表5に列挙される遺伝子からなる群より選択されるコード配列に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス組成物を対象に投与する段階を含む、対象における化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防する方法。

請求項77

表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される核酸配列の発現を減少させるsiRNA組成物を対象に投与する段階を含む、対象における化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防する方法。

請求項78

表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される任意の一つの遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する薬学的有効量の抗体又は免疫学的に活性なそれらの断片を対象に投与する段階を含む、対象における化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防する方法。

請求項79

(a)表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される核酸によりコードされるポリペプチド、(b)該ポリペプチドの免疫学的に活性な断片、又は(c)該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むワクチンを対象に投与する段階を含む、対象における化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防する方法。

請求項80

ポリペプチド、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又は該ポリヌクレオチドを含むベクターを抗原提示細胞と接触させる段階を含み、該ポリペプチドが、表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される遺伝子によりコードされるか又はその断片である、抗腫瘍免疫を誘導する方法。

請求項81

前記抗原提示細胞を対象に投与する段階をさらに含む、請求項80記載の抗腫瘍免疫を誘導する方法。

請求項82

化学療法抵抗性肺癌が小細胞肺癌であり、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子が表6に列挙される遺伝子からなる群より選択される、請求項75〜81のいずれか一項記載の方法。

請求項83

請求項66〜70のいずれか一項記載の方法により得られる化合物を投与する段階を含む、対象における化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防する方法。

請求項84

請求項71記載の方法により得られる化合物を投与する段階を含む、対象における化学療法抵抗性小細胞肺癌を治療又は予防する方法。

請求項85

表5に列挙される遺伝子からなる群より選択されるポリヌクレオチドに対する薬学的有効量のアンチセンスポリヌクレオチド又はsiRNAを含む、化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防するための組成物。

請求項86

表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される遺伝子によりコードされるタンパク質に結合する薬学的有効量の抗体又はそれらの断片を含む、化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防するための組成物。

請求項87

化学療法抵抗性肺癌が小細胞肺癌であり、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子が表6に列挙される遺伝子からなる群より選択される、請求項85又は86記載の組成物。

請求項88

有効成分として請求項66〜70のいずれか一項記載の方法により選択される薬学的有効量の化合物、及び薬学的に許容される担体を含む、化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防するための組成物。

請求項89

有効成分として請求項71記載の方法により選択される薬学的有効量の化合物、及び薬学的に許容される担体を含む、化学療法抵抗性小細胞肺癌を治療又は予防するための組成物。

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、小細胞肺癌の予後を検出、診断、及び提供する方法、並びに小細胞肺癌を治療及び予防する方法に関する。

0002

関連出願の相互参照
本出願は、2005年7月27日に出願された米国仮出願第60/703,192号及び2006年5月11日に出願された同第60/799,961号からの恩典を主張する。これら各出願の内容は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。

背景技術

0003

発明の背景
肺癌は最も一般的な致死的ヒト腫瘍の一つである。肺癌の発症及び進行に関連する多くの遺伝的変化報告されているが、その正確な分子機序は明らかにされていない(Sozzi, (2001) Eur J Cancer;37 Suppl 7:S63-73(非特許文献1))。小細胞肺癌(SCLC)は全ての肺癌の15〜20%を占める(Chute JP et al., (1999) J Clin Oncol.; 17:1794-801(非特許文献2), Simon GR et al., (2003) Chest; 123(1 Suppl):259S-271S(非特許文献3))。患者多剤併用療法に対して良好な反応を示すことが多いが、すぐに再発する。進展型(Extensive-disease)(ED)患者の5%未満が最初の診断後5年以上生存し、限局型(limited-stage disease)(LD)患者の20%のみが集学的療法(combined modality therapy)によって治癒する(Chute JP et al., (1999) J Clin Oncol.; 17:1794-801(非特許文献2), Albain KS et al., (1991) J Clin Oncol.; 9:1618-26(非特許文献4), Sandler AB et al., (2003) Semin Oncol.; 30:9-25(非特許文献5))。SCLCは、特定の形態学的、超微細構造的免疫組織化学的、及び分子的な特徴を共有する神経内分泌腫瘍を含む、肺腫瘍の特別なクラスに分類される。特定の新生物随伴症候群、例えば、抗利尿ホルモン不適当分泌異所性クッシング症候群、及びイートン‐ランバート症候群は、SCLCと特有の関連を有するが、神経内分泌腫瘍の詳細な分子的特徴は現在まで十分に理解されていない。とはいえ、SCLCの化学療法に対する比較的高い初期応答率は、効果的な新規の化学療法アプローチ及び標的化アプローチの開発の可能性を示唆している(Sattler M & Salgia R, (2003) Semin Oncol.; 30:57-71(非特許文献6), WolffNC, et al., (2004) Clin Cancer Res. 10:3528-34(非特許文献7))。

0004

cDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイル分析は、癌細胞における遺伝子発現包括的分析を実現し、それらに関する詳細な表現型情報及び生物学的情報を明らかにすることができる(Golub TR et al., (1999) Science; 286:531-7(非特許文献8), Pomeroy SL et al., (2002) Nature; 415:436-42(非特許文献9), van't Veer LJ et al., (2002) Nature; 415:530-6(非特許文献10))。数千の遺伝子間発現レベルの体系的分析もまた、肺の発癌経路関与する未知の分子を同定するのに有用なアプローチであり(Kikuchi T et al., (2003) Oncogene;22:2192-205(非特許文献11), Kakiuchi S et al., (2004) Hum Mol Genet.;13:3029-43(非特許文献12)および (2003) Mol Cancer Res.;1:485-99(非特許文献13), Zembutsu H, et al., (2003) Int J Oncol.;23:29-39(非特許文献14))、それらの発見は、新規の抗癌薬及び/又は診断マーカーの開発の標的を示し得る(Suzuki C et al., (2003) Cancer Res.;63:7038-41(非特許文献15), Ishikawa N et al., (2004) Clin Cancer Res.;10:8363-70(非特許文献16))。

0005

Sozzi, (2001) Eur J Cancer;37 Suppl 7:S63-73
Chute JP et al., (1999) J Clin Oncol.; 17:1794-801
Simon GR et al., (2003) Chest; 123(1 Suppl):259S-271S
Albain KS et al., (1991) J Clin Oncol.; 9:1618-26
Sandler AB et al., (2003) Semin Oncol.; 30:9-25
Sattler M & Salgia R, (2003) Semin Oncol.; 30:57-71
WolffNC, et al., (2004) Clin Cancer Res. 10:3528-34
Golub TR et al., (1999) Science; 286:531-7
Pomeroy SL et al., (2002) Nature; 415:436-42
van't Veer LJ et al., (2002) Nature; 415:530-6
Kikuchi T et al., (2003) Oncogene;22:2192-205
Kakiuchi S et al., (2004) Hum Mol Genet.;13:3029-43
(2003) Mol Cancer Res.;1:485-99
Zembutsu H, et al., (2003) Int J Oncol.;23:29-39
Suzuki C et al., (2003) Cancer Res.;63:7038-41
Ishikawa N et al., (2004) Clin Cancer Res.;10:8363-70

0006

発明の簡単な概要
本発明者らは、レーザーマイクロビームマイクロダイセクション(laser-microbeam microdissection)(LMM)により精製した15例のSCLCの、32,256種類の遺伝子を含むcDNAマイクロアレイによる包括的な遺伝子発現プロファイルを用いて、肺癌の治療薬又は免疫療法の開発にとって格好の候補となる多くの遺伝子を同定した。本発明者らはまた、特定の遺伝子が、肺癌の二つの最も一般的な組織型である非小細胞肺癌(NSCLC)とSCLCの間で示差的発現されることを発見した。これらの結果は「個別療法」への応用が可能である。

0007

本発明者らは、肺における発癌に関与し、かつ新規の診断マーカーとして、並びに新規の薬物及び免疫療法の標的として有用な分子を同定するため、cDNAマイクロアレイを用いるスクリーニング系構築した。最初に、本発明者らはレーザーマイクロビームマイクロダイセクション(LMM)により精製した15例の小細胞肺癌(SCLC)の発現プロファイルを分析するため、32,256種類の遺伝子を示すcDNAマイクロアレイを使用した。本発明者らは、SCLCにおいて有意に上方制御又は下方制御された遺伝子群についての詳細な網羅ゲノムデータベース確立した。対照(ヒト肺)と比較して、50%を上回るSCLCにおいて776種類の転写物は少なくとも0.2倍低く発現し、一方779種類の遺伝子は、50%を上回るSCLCにおいて5倍高い発現を示した。本発明者らは、腫瘍組織及び正常組織におけるこれらの遺伝子発現パターンのうちの83種類を半定量RT-PCR及び/又はノーザンブロット分析を用いて確認し、これらの遺伝子が新規の治療薬又は免疫療法の開発のため及び腫瘍マーカーとして格好の候補であることを確認した。これらの遺伝子の中で、本発明者らはZicファミリーメンバー5(odd-pairedのホモログ、Drosophila;ZIC5)のさらなる特徴付けを行った。ZIC5の低分子干渉RNA(siRNA)によるSCLC細胞の治療は、癌細胞の成長を抑制した。さらに、クラスタリングアルゴリズムランダム順列試験により同定した475種類の遺伝子の発現データに適用することで、肺癌の2つの主要な組織型である非小細胞肺癌(SCLC)及びSCLCを容易に識別した。特に、本発明者らは、SCLCにおいて多量に発現された34種類の遺伝子を得、そのうちのいくつかが神経発生及び神経保護を含む特定のニューロン機能の特徴を明らかにした。本発明者らはまた、広範な化学療法を受けている患者から採取した進行型SCLC及び進行型腺癌(ADS)の両方で豊富に発現された68種類の遺伝子を同定した。例えばTAF5L、TFCP2L4、PHF20、LMO4、TCF20、RFX2、及びDKFZp547I048であるこれらの一部は転写因子及び/又は遺伝子発現調節因子として公知であり、一部、例えばC9orf76、EHD3、及びGIMAP4はヌクレオチド結合タンパク質をコードする。これらのデータは、この類型の癌に対する新規の診断システム及び治療標的分子を同定するための価値ある情報を提供する。

0008

本発明は、小細胞肺癌(SCLC)と相関関係を有する遺伝子発現パターンの発見に一部基づく。小細胞肺癌において示差的に発現する遺伝子は、本明細書において「SCLC核酸」又は「SCLCポリヌクレオチド」と総称され、その対応するコードされるポリペプチドは「SCLCポリペプチド」又は「SCLCタンパク質」と称される。

0009

従って、本発明は、患者由来生物学的試料、例えば組織試料におけるSCLC関連遺伝子の発現レベルを決定することにより、対象における小細胞肺癌の診断、予後予測を提供、又は素因を決定する方法を提供する。「SCLC関連遺伝子」又は「小細胞肺癌関連遺伝子」という用語は、正常細胞の発現レベルと比較した場合にSCLC細胞において異なる発現レベルにより特徴付けられる遺伝子を意味する。正常細胞とは、肺組織から得られる細胞である。本発明の文脈では、SCLC関連遺伝子とは、表2〜3に列挙される遺伝子(すなわち、SCLC No. 1〜1555の遺伝子)であるか、又は表2〜3に列挙される遺伝子と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%の配列同一性を有しかつ同一の機能を有する遺伝子(例えば、ホモログ、遺伝的変異体、及び多型)である。二つまたはそれ以上の核酸配列の配列同一性を決定するために、当技術分野で公知のアルゴリズムが使用され得る(例えば、BLAST、以下参照)。その遺伝子の正常対照発現レベルと比較した場合に遺伝子の発現レベルに変化又は差異、例えば増加又は減少が生じていることは、対象がSCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険があることを示す。

0010

本発明の文脈では、「対照レベル」という語句は、対照試料において検出されるタンパク質の発現レベルを意味し、正常対照レベル及び小細胞肺癌対照レベルの両方を包含する。対照レベルは、単一の参照集団由来の単一発現パターン又は複数の発現パターン由来の単一発現パターンであり得る。例えば、対照レベルは、以前に試験された細胞由来の発現パターンのデータベースであり得る。「正常対照レベル」は、小細胞肺癌を患っていないことが既知である正常、健常な個体又は個体集団において検出される遺伝子発現レベルを意味する。正常な個体とは、小細胞肺癌の臨床的症状を有さない個体である。他方、「SCLC対照レベル」は、SCLCを患った集団において見出されたSCLC関連遺伝子の発現プロファイルを意味する。

0011

試験試料において検出された表3に列挙される一つ又は複数のSCLC関連遺伝子(すなわち、SCLC No. 777〜1555の遺伝子)の発現レベルが正常対照レベルと比較して増加していることは、その対象(試料を採取した対象)がSCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険があることを示す。逆に、試験試料において検出された表2に列挙される一つ又は複数のSCLC関連遺伝子(すなわち、SCLC No. 1〜776の遺伝子)の発現レベルが正常対照レベルと比較して減少していることは、その対象がSCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険があることを示す。

0012

あるいは、試料におけるSCLC関連遺伝子パネルの発現が、同じ遺伝子パネルのSCLC対照レベルと比較され得る。試料の発現とSCLC対照との発現の類似性は、その対象(試料を採取した対象)がSCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険があることを示す。

0013

本発明によれば、遺伝子発現レベルは、遺伝子発現が対照レベルと比較して10%、25%、50%増加又は減少している場合に「変化した」又は「異なる」とされる。あるいは、発現レベルは、遺伝子発現が対照レベルと比較して少なくとも0.1倍、少なくとも0.2倍、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍又はそれ以上増加又は減少する場合に「増加した」又は「減少した」とされる。発現は、例えばアレイを用いて、SCLC関連遺伝子プローブと患者由来の組織試料の遺伝子転写物とのハイブリダイゼーションを検出することによって決定される。

0014

本発明の文脈では、患者由来の組織試料とは、試験対象、例えばSCLCを有することが既知の患者又はSCLCを有する疑いのある患者から得た任意の組織である。例えば、組織は上皮細胞を含み得る。より具体的には、組織は肺癌由来の上皮細胞であり得る。

0015

本発明はまた、表2〜3に列挙される二つまたはそれ以上のSCLC関連遺伝子の遺伝子発現レベルを含むSCLC基準発現プロファイルを提供する。あるいは、SCLC基準発現プロファイルは、表2に列挙されるSCLC関連遺伝子又は表3に列挙されるSCLC関連遺伝子のうちの二つまたはそれ以上の発現レベルを含み得る。

0016

本発明はさらに、一つ又は複数のSCLC関連遺伝子を発現する試験細胞試験化合物と接触させ、SCLC関連遺伝子の発現レベル若しくは活性又はその遺伝子産物の活性を決定することによる、一つ又は複数のSCLC関連遺伝子、例えば表2〜3に列挙される一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現又は活性を阻害又は増強する薬剤同定方法を提供する。試験細胞は上皮細胞、例えば、肺癌から得られる上皮細胞であり得る。上方制御されたSCLC関連遺伝子の発現レベル又はその遺伝子産物の活性が試験化合物の非存在下で検出されるレベル又は活性と比較して減少することは、その試験薬剤がSCLC関連遺伝子の阻害剤であり、SCLCの症状、例えば表3に列挙される一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現を減少させるのに使用され得ることを示す。あるいは、下方制御されたSCLC関連遺伝子の発現レベル又はその遺伝子産物の活性が試験化合物の非存在下で検出される発現レベル又は活性と比較して増加することは、その試験薬剤がSCLC関連遺伝子の発現又は機能の賦活剤であり、SCLCの症状、例えば表2に列挙される一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の過小発現を減少させるのに使用され得ることを示す。

0017

本発明はまた、一つ又は複数のSCLC核酸又はSCLCポリペプチドに結合する検出試薬を含むキットを提供する。一つ又は複数のSCLC核酸に結合する核酸アレイもまた提供する。

0018

本発明の治療方法は、アンチセンス組成物(すなわち、一つ又は複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物)を対象に投与する段階を含む、対象におけるSCLCを治療又は予防する方法を包含する。本発明の文脈では、アンチセンス組成物とは特定の標的遺伝子の発現を減少させるものである。例えば、アンチセンス組成物は、表3に列挙されるSCLC関連遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のSCLC関連遺伝子配列相補的な一つ又は複数のヌクレオチドを含み得る。あるいは、本発明の方法は、低分子干渉RNA(siRNA)組成物(すなわち、一つ又は複数のsiRNAオリゴヌクレオチドを含む組成物)を対象に投与する段階を含み得る。本発明の文脈では、siRNA組成物とは、表3に列挙されるSCLC関連遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のSCLC核酸、例えばZIC5の発現を減少させるものである。さらに別の方法において、対象におけるSCLCの治療又は予防は、リボザイム組成物(すなわち、一つ又は複数のリボザイムを含む組成物)を対象に投与することにより実行され得る。本発明の文脈では、核酸特異的なリボザイム組成物とは、表3に列挙されるSCLC関連遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数のSCLC核酸の発現を減少させるものである。従って、本発明のいくつかの態様において、表3に列挙される一つ又は複数のSCLC関連遺伝子は小細胞肺癌の治療標的である。他の治療方法には、表2に列挙されるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現、又は表2に列挙されるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数によりコードされるポリペプチドの活性を増加する化合物を対象に投与する方法が含まれる。

0019

本発明はまたワクチン及びワクチン接種方法を包含する。例えば、対象におけるSCLCを治療又は予防する方法は、表3に列挙されるSCLC関連遺伝子からなる群より選択される一つ若しくは複数の核酸によりコードされる一つ若しくは複数のポリペプチド、又はそのようなポリペプチドの免疫学的に活性な断片を含むワクチン組成物を対象に投与する段階を含み得る。本発明の文脈では、免疫学的に活性な断片とは、全長天然タンパク質よりも長さが短いが、全長タンパク質により誘導される免疫反応と類似の免疫反応を誘導するポリペプチドである。例えば、免疫学的に活性な断片は、少なくとも8残基長であり、免疫細胞、例えばT細胞又はB細胞刺激することができる。免疫細胞の刺激は、細胞増殖サイトカイン(例えば、IL-2)生成、又は抗体産生を検出することによって測定され得る。例えば、Harlow and Lane, Using Antibodies: A Laboratory Manual, 1998, Cold Spring Harbor Laboratory Press 及び Coligan, et al., Current Protocols in Immunology, 1991-2006, John Wiley & Sonsを参照のこと。

0020

本発明はまた、ZIC5の発現阻害がSCLCに関与する細胞を含む多種の癌細胞の細胞成長の阻害に有効であるという驚くべき発見に一部基づく。本出願に記載される発明は、この発見に一部基づく。

0021

本発明は細胞成長の阻害方法を提供する。そのような方法の中でも、ZIC5の発現を阻害する一つ又は複数の低分子干渉RNAオリゴヌクレオチド(siRNA)を含む組成物と細胞を接触させる段階を含む方法が提供される。本発明はまた、対象における腫瘍細胞の成長の阻害方法を提供する。このような方法はZIC5由来の配列に特異的にハイブリダイズする一つ又は複数の低分子干渉RNA(siRNA)を含む組成物を対象に投与する段階を含む。本発明の別の局面は、生物学的試料の細胞におけるZIC5遺伝子の発現の阻害方法を提供する。遺伝子の発現は、ZIC5遺伝子の発現を阻害するのに十分な量の一つ又は複数の二重鎖リボ核酸(RNA)分子を細胞に導入することにより阻害され得る。本発明の別の局面は、例えば提供される方法において有用な、核酸配列及びベクターを含む製造物、並びにそれらを含む組成物に関する。そのような製造物の中でも、ZIC5遺伝子を発現する細胞に導入された場合にこの遺伝子の発現を阻害する特性を有するsiRNA分子が提供される。このような分子の中でも、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む分子であって、該センス鎖がZIC5標的配列に対応するリボヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖がセンス鎖に相補的なリボヌクレオチド配列を含む分子が提供される。この分子のセンス鎖及びアンチセンス鎖は互いにハイブリダイズして二重鎖分子を形成する。

0022

本発明は細胞成長の阻害方法を特徴とする。細胞成長は、ZIC5の低分子干渉RNA(siRNA)の組成物と細胞を接触させることにより阻害される。細胞はさらに、トランスフェクション促進剤と接触される。細胞はインビトロインビボ、又はエクスビボで提供される。対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類マウスラットイヌネコウマ、又はウシである。細胞は肺上皮細胞である。あるいは、細胞は腫瘍細胞(すなわち、癌細胞)、例えば、癌腫細胞又は腺癌細胞である。例えば、細胞は小細胞肺癌細胞である。細胞成長の阻害とは、処置を受けた細胞が未処置細胞よりも増殖速度が低下するか又は生存度が低下することを意味する。細胞成長は当技術分野で公知の増殖アッセイにより測定される。

0023

本発明はまた、化学療法抵抗性肺癌と相関関係を有する遺伝子発現パターンの発見に一部基づく。「化学療法」という用語は、一般的に、特定の化合物薬剤を用いる疾患の治療を意味する。本発明において、化学療法の対象は、癌細胞又は癌組織、好ましくは肺癌細胞又は肺癌組織である。本明細書において、「化学療法剤」は、癌、特に肺癌を治療するために一般的に使用される薬学的薬剤を意味する。癌を治療するための化学療法剤には、例えば、シスプラチンカルボプラチンエトポシドビンクリスチンシクロホスファミドドキソルビシンイホスファミドパクリタキセルゲムシタビン、及びドセタキセルが含まれる。より具体的には、本発明の化学療法剤には、シスプラチン及びカルボプラチンを含む白金抗癌剤が含まれる。「化学療法抵抗性」という用語は特に、癌細胞又は癌組織が典型的な悪性細胞又は悪性組織を選択的に破壊する化学療法剤の影響を受けないことを意味する。

0024

化学療法抵抗性肺癌において示差的に発現される遺伝子は、本明細書中で「化学療法抵抗性肺癌核酸」又は「化学療法抵抗性肺癌ポリヌクレオチド」と総称され、対応するコードされるポリペプチドは、「化学療法抵抗性肺癌ポリペプチド」又は「化学療法抵抗性肺癌タンパク質」と総称される。従って、本発明はさらに、患者由来の生物学的試料における化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子の発現レベルを決定することにより、対象における化学療法抵抗性肺癌又は化学療法抵抗性肺癌が発症する素因の診断方法を提供する。「化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子」という用語は、化学療法感受性肺癌細胞と比較した場合に化学療法抵抗性肺癌において発現レベルが異なることにより特徴付けられる遺伝子を意味する。本発明の文脈では、化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子とは、表5に列挙される遺伝子である。あるいは、本発明において、化学療法抵抗性SCLC関連遺伝子は表6に列挙される遺伝子である。この遺伝子の対照レベルと比較して試料の発現レベルが増加していることは、対象が化学療法抵抗性肺癌若しくはSCLCを患っているか又はそれらを発症する危険があることを示す。

0025

本発明の文脈では、「対照レベル」という語句は、化学療法感受性肺癌又はSCLCを患った個体又は集団において検出される遺伝子の発現レベルを意味する。

0026

試験試料において検出される表5に列挙される一つ又は複数の化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子の発現レベルが対照レベルと比較して増加していることは、対象(試料を採取した対象)が化学療法抵抗性肺癌を患っているか又は化学療法抵抗性肺癌を発症する危険があることを示す。同様に、試験試料において検出される表6に列挙される一つ又は複数の化学療法抵抗性SCLC関連遺伝子の発現レベルが対照レベルと比較して増加していることは、対象(試料を採取した対象)が化学療法抵抗性SCLCを患っているか又は化学療法抵抗性SCLCを発症する危険があることを示す。

0027

本発明によれば、化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子の発現レベルは、遺伝子発現が正常対照レベルと比較して少なくとも約10%、25%、50%増加している場合に「増加した」とされる。発現は、例えばアレイを用いて、化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子プローブと患者由来の組織試料の遺伝子転写物とのハイブリダイゼーションを検出することによって決定される。

0028

本発明の文脈では、患者由来の組織試料とは、試験対象、例えば、化学療法抵抗性肺癌又はSCLCを有することが既知であるか又はそれらが疑われる患者から得られる任意の組織のことである。

0029

本発明はまた、表5〜6に列挙される化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子の二つまたはそれ以上の遺伝子発現レベルを含む、化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)の基準発現プロファイルを提供する。あるいは、化学療法抵抗性肺癌が小細胞肺癌である場合、化学療法抵抗性肺癌の基準発現プロファイルは、表6に列挙される化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子の二つまたはそれ以上の発現レベルを含む。

0030

本発明はさらに、化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子を発現する試験細胞を試験化合物と接触させ、その遺伝子の発現レベル若しくは活性、又はその遺伝子産物の活性を決定することによる、化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子、例えば、表5〜6に列挙される化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子の発現又は活性を阻害又は増強する薬剤の同定方法を提供する。試験細胞は、化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)から得られる細胞であり得る。上方制御された化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子の発現レベル又はその遺伝子産物の活性が試験化合物の非存在下で検出される発現レベル又は活性と比較して減少することは、試験化合物が化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子の阻害剤であり、化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)の症状、例えば、表5〜6に列挙される一つ又は複数の化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子の発現を減少させるのに使用され得ることを示す。

0031

本発明はまた、一つ又は複数の化学療法抵抗性肺癌(若しくはSCLC)核酸又は化学療法抵抗性肺癌(若しくはSCLC)ポリペプチドと結合する検出試薬を含むキットも提供する。一つ又は複数の化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)核酸に結合する核酸アレイもまた提供される。

0032

本発明の治療方法は、一つ又は複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス組成物を対象に投与する段階を含む、対象における化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)を治療又は予防する方法を包含する。本発明の文脈では、アンチセンス組成物とは特定の標的遺伝子の発現を減少させるものである。例えば、アンチセンス組成物は、表5〜6に列挙される化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子からなる群より選択される化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子配列に相補的な一つ又は複数のヌクレオチドを含み得る。あるいは、本発明の方法は、一つ又は複数のsiRNAオリゴヌクレオチドを含む低分子干渉RNA(siRNA)組成物を対象に投与する段階を含み得る。本発明の文脈では、siRNA組成物とは、表5〜6に列挙される化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数の化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)核酸の発現を減少させるものである。さらに別の方法において、対象における化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)の治療又は予防は、一つ又は複数のリボザイムを含むリボザイム組成物を対象に投与することにより行われ得る。本発明の文脈では、核酸特異的なリボザイム組成物とは、表5〜6に列挙される化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数の化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)核酸の発現を減少させるものである。従って本発明において、表5〜6に列挙される化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子は化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)の好ましい治療標的である。

0033

本発明はまたワクチン及びワクチン接種方法を包含する。例えば、対象における化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)を治療又は予防する方法は、表5〜6に列挙される化学療法抵抗性肺癌(又はSCLC)関連遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数の核酸によりコードされる一つ又は複数のポリペプチド又はそのようなポリペプチドの免疫学的に活性な断片を含むワクチンを対象に投与する段階を含み得る。本発明の文脈では、免疫学的に活性な断片とは、全長の天然タンパク質よりも長さが短いが、全長タンパク質により誘導される免疫反応と類似の免疫反応を誘導するポリペプチドである。例えば、免疫学的に活性な断片は、少なくとも8残基長であり、免疫細胞、例えばT細胞又はB細胞を刺激することができるはずである。免疫細胞の刺激は、細胞増殖、サイトカイン(例えば、IL-2)生成、又は抗体産生を検出することによって測定され得る。

0034

本明細書中で使用する全ての技術用語及び科学用語は、別段に規定されない限り、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本発明の実施又は試験においては、本明細書中に記載される方法及び材料と類似又はそれらと等価な方法及び材料が使用され得るが、以下では適当な方法及び材料を記載する。本明細書中で言及する全ての公報、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。相反する場合は、定義も含めて本明細書が優先される。さらに、材料、方法、及び実施例は解説のみを目的とするものであり、限定を意図するものではない。

0035

本明細書中に記載される方法の利点の一つは、小細胞肺癌の明白な臨床的症状を検出する前に疾患が同定されることである。本発明のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになると考えられる。

0036

発明の詳細な説明
本明細書中で使用する「一つ(a、an)」及び「その(the)」という単語は、別段に具体的に示されない限り「少なくとも一つ」を意味する。

0037

一般的に小細胞肺癌細胞は強い炎症反応を有しかつ多種の細胞成分を含む、固形の塊として存在する。従って、以前に公表されたマイクロアレイデータは異種のプロファイルを反映している可能性がある。

0038

これらの問題を考慮して、レーザーマイクロビームマイクロダイセクション(LMM)法により精製された小細胞肺癌細胞集団を調製し、32,256種類の遺伝子を示すcDNAマイクロアレイを用いて、15例のSCLCの網羅的ゲノム遺伝子発現プロファイルを分析した。これらのデータは小細胞肺癌の発癌についての重要な情報を提供するのみならず、その産物が診断マーカーとして及び/又は小細胞肺癌を有する患者の治療のための分子標的としての役割を果たす候補遺伝子の同定を容易にし、かつ臨床的に関連する情報を提供する。

0039

本発明は、SCLCを有する患者の上皮細胞と癌腫の間で複数の核酸の発現パターンが変化するという発見に一部基づく。この遺伝子発現の相違は、網羅的なcDNAマイクロアレイシステムを用いて同定した。

0040

32,256種類の遺伝子を示すcDNAマイクロアレイとレーザーマイクロダイセクションの組み合わせを用いて15例のSCLC由来の癌細胞の遺伝子発現プロファイルを分析した。レーザーマイクロダイセクションによって高純度で選択されたSCLCを有すると診断された患者由来の癌細胞と正常細胞との間の発現パターンを比較することで、776種類の遺伝子(表2に示す)がSCLC細胞において共通して下方制御されることを同定した。同様に、779種類の遺伝子(表3に示す)が、SCLC細胞において共通して上方制御されることも同定した。さらに、患者の血清又は痰中癌関連タンパク質を検出するのに有用な候補分子マーカーの選択を行い、ヒトSCLCにおけるシグナル抑制ストラテジーの開発に有用な標的をいくつか発見した。それらの中で、表2及び表3は、SCLCと正常組織の間でその発現が変化する遺伝子のリストを提供する。

0041

本発明により同定した示差的に発現される遺伝子には、SCLCのマーカーとして、及びSCLCの症状を治療又は緩和するためにその発現が変えられ得るSCLC遺伝子標的としての診断的用途が見出される。

0042

SCLC患者においてその発現レベルが調節される(すなわち、増加又は減少する)遺伝子を表2〜3にまとめ、これらを本明細書中で「SCLC関連遺伝子」、「SCLC核酸」、又は「SCLCポリヌクレオチド」と意味し、その対応するコードされるポリペプチドは、「SCLCポリペプチド」又は「SCLCタンパク質」と表す。別段に示されない限り、「SCLC」は本明細書中に開示される配列のいくつか(例えば、表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子)を意味する。以前に記載された遺伝子については、データベースアクセッションとともに示す。

0043

細胞試料における多種の遺伝子の発現を測定することで、SCLCを診断することができる。同様に、多種の薬剤に対するこれらの遺伝子の発現を測定することで、SCLCを治療するための薬剤を同定することができる。

0044

本発明は、表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子のうちの少なくとも一つ、及び最大で全ての遺伝子の発現の決定(例えば、測定)を含む。公知配列についてのGenBank商標)データベースのエントリーにより提供される配列情報を用いることで、SCLC関連遺伝子は、当業者に周知の技術を用いて検出及び測定され得る。例えば、配列データベースのエントリー内の、SCLC関連遺伝子に対応する配列が、例えば、ノーザンブロットハイブリダイゼーション分析においてSCLC関連遺伝子に対応するRNA配列を検出するためのプローブを構築するために使用され得る。プローブは典型的には基準配列の少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、又は少なくとも200ヌクレオチドを含む。別の例として、配列は、例えば増幅反応に基づく検出法、例えば逆転写に基づくポリメラーゼ連鎖反応においてSCLC核酸を特異的に増幅するためのプライマーを構築するために使用され得る。

0045

試験細胞集団、例えば患者由来の組織試料における、一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現レベルは、次いで、基準集団における同じ遺伝子の発現レベルと比較される。基準細胞集団には、比較されるパラメータが既知の複数の細胞、すなわち、肺癌細胞(例えば、SCLC細胞)又は正常肺細胞が含まれる。

0046

試験細胞集団における遺伝子発現パターンが基準細胞集団と比較した場合にSCLC又はその素因を示すか否かは、基準細胞集団の組成に依存する。例えば、基準細胞集団が正常肺細胞で構成される場合、試験細胞集団と基準細胞集団との間の遺伝子発現パターンの類似性は、試験細胞集団がSCLCでないことを示す。逆に、基準細胞集団がSCLC細胞で構成される場合、試験細胞集団と基準細胞集団との間の遺伝子発現プロファイルの類似性は、試験細胞集団がSCLC細胞を含むことを示す。

0047

試験細胞集団におけるSCLCマーカー遺伝子の発現レベルは、基準細胞集団における対応するSCLCマーカー遺伝子の発現レベルから1.1倍、1.5倍、2.0倍、5.0倍、10.0倍を上回って、又はそれ以上異なる場合に、「変化した」又は「異なる」とみなされる。

0048

試験細胞集団と基準細胞集団との間の示差的な遺伝子発現は、対照核酸、例えば、ハウスキーピング遺伝子に対して標準化され得る。例えば、対照核酸はその細胞が癌性状態であるか非癌性状態であるかに依存して相違しないことが公知の核酸である。対照核酸の発現レベルは、試験集団及び基準集団におけるシグナルレベルを標準化するために使用され得る。対照遺伝子の例には、β-アクチングリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びリボソームタンパク質P1が含まれるがこれらに限定されない。

0049

試験細胞集団は、複数の基準細胞集団と比較され得る。複数の基準集団は各々、既知のパラメータが相違し得る。従って、試験細胞集団は、例えばSCLC細胞を含むことが既知の第一の基準細胞集団、及び例えば正常肺細胞を含むことが既知の第二の基準集団と比較され得る。試験細胞は、SCLC細胞を含むことが既知であるか又はその疑いのある対象由来の組織試料又は細胞試料中に含まれ得る。

0050

試験細胞は、体組織又は体液、例えば生物学的液体(例えば、血液又は)から得られる。例えば、試験細胞は肺組織から精製され得る。好ましくは、試験細胞集団は上皮細胞を含む。上皮細胞は好ましくは、肺癌であることが既知の又はその疑いのある組織由来のものである。

0051

基準細胞集団中の細胞は、試験細胞の組織型と類似する組織型由来のものであり得る。基準細胞集団は、例えばSCLC細胞株(すなわち、正の対照)又は正常肺細胞株(すなわち、負の対照)などの細胞株であってもよい。あるいは、対照細胞集団は、アッセイパラメータ又は条件が公知の細胞由来の分子情報データベース由来のものであり得る。

0052

対象は好ましくは哺乳動物である。哺乳動物の例には、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、又はウシが含まれるがこれらに限定されない。

0053

本明細書中に開示される遺伝子の発現は、当技術分野で公知の方法を用いてタンパク質レベル又は核酸レベルで決定され得る。例えば、これらの核酸配列のうちの一つ又は複数を特異的に認識するプローブを用いたノーザンハイブリダイゼーション分析が、遺伝子発現を決定するために使用され得る。あるいは、遺伝子発現は、例えば示差的に発現される遺伝子配列に特異的なプライマーを用いる逆転写に基づくPCRアッセイを用いて測定され得る。発現はまた、タンパク質レベルで、すなわち、本明細書中に記載される遺伝子によりコードされるポリペプチドのレベル又はその生物学的活性を測定することによって決定され得る。このような方法は当技術分野で周知であり、例えば、これらの遺伝子によりコードされるタンパク質に対する抗体を用いる免疫アッセイを含むがこれに限定されない。これらの遺伝子によりコードされるタンパク質の生物学的活性は、一般的に周知である。Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, 2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, Current Protocols in Molecular Biology, 1987-2006, John Wiley and Sons; 及び Harlow and Lane, Using Antibodies: A Laboratory Manual, 1998, Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。

0054

小細胞肺癌の診断:
本発明の文脈では、SCLCは細胞の試験集団(すなわち、患者由来の生物学的試料)由来の一つ又は複数のSCLC核酸の発現レベルを測定することによって診断される。好ましくは、試験細胞集団は、上皮細胞、例えば肺組織から得られる細胞を含む。遺伝子発現はまた、血液又はその他の体液、例えば唾液若しくは痰から測定され得る。その他の生物学的試料は、タンパク質レベルを測定するのに使用され得る。例えば、診断対象の患者由来の血液又は血清中のタンパク質レベルは免疫アッセイ又はその他の従来的な生物学的アッセイによって測定され得る。

0055

一つ又は複数のSCLC関連遺伝子、例えば表2〜3に列挙される遺伝子の発現は、試験細胞集団又は生物学的試料において決定され、アッセイされた一つ又は複数のSCLC関連遺伝子と関連する正常対照の発現レベルと比較される。正常対照レベルとは、典型的にはSCLCを患っていないことが既知の集団において見出される一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現プロファイルである。患者由来の組織試料における一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現レベルの変化又は差異(例えば、増加又は減少)は、対象がSCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険があることを示す。例えば、試験集団において表2に列挙される一つ又は複数の下方制御されたSCLC関連遺伝子の発現が正常対照レベルと比較して減少することは、対象がSCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険があることを示す。逆に、試験集団において表3に列挙される一つ又は複数の上方制御されたSCLC関連遺伝子の発現が正常対照レベルと比較して増加することは、対象がSCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険があることを示す。

0056

試験集団においてSCLC関連遺伝子の一つ又は複数が正常対照レベルと比較して変化することは、対象がSCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険があることを示す。例えば、SCLC関連遺伝子(表2〜3に列挙される遺伝子)の一団の少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又はそれ以上が変化することは、対象がSCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険があることを示す。

0057

生物学的試料におけるSCLC関連遺伝子の発現レベルは、SCLC関連遺伝子に対応するmRNA、又はSCLC関連遺伝子によりコードされるタンパク質を定量することによって推定され得る。mRNAの定量法は当業者に公知である。例えば、SCLC関連遺伝子に対応するmRNAのレベルは、ノーザンブロット又はRT-PCRによって推定され得る。SCLC関連遺伝子のヌクレオチド配列は公知であるため、当業者はSCLC関連遺伝子を定量するためにプローブ又はプライマーのヌクレオチド配列を設計することができる。例えば、表1に列挙されるヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドは、SCLC関連遺伝子特異的プライマーセットとして使用され得る。

0058

SCLC関連遺伝子の発現レベルはまた、これらの遺伝子によりコードされるタンパク質の活性又は量に基づいて分析され得る。SCLC関連遺伝子によりコードされるタンパク質の量を決定する方法については後述する。例えば、免疫アッセイ法は、生物学的材料中のタンパク質の決定に有用である。マーカー遺伝子(SCLC関連遺伝子)が肺癌患者の試料中で発現される限り、任意の生物学的材料がタンパク質又はその活性の決定のための生物学的試料として使用され得る。例えば、肺組織由来の上皮細胞。しかしながら、血液及び痰を含む体液もまた分析され得る。他方で、SCLC関連遺伝子によりコードされるタンパク質の活性の決定に適した方法は、分析対象のタンパク質の活性に従って選択され得る。

0059

試験生物学的試料中のSCLC関連遺伝子の発現レベルが推定され、正常試料(例えば、疾患を有さない対象由来の試料)における発現レベルと比較される。試験試料中の遺伝子の発現レベルが正常試料における発現レベルよりも高い(表3に示されるSCLC関連遺伝子、すなわち777〜1555)又は低い(表2に示されるSCLC関連遺伝子、すなわち1〜776)ことがこのような比較から示される場合、対象はSCLCに罹患しているか又はSCLCに罹患し易いと判断される。正常対象及び診断対象由来の生物学的試料におけるSCLC関連遺伝子の発現レベルは、同時に決定され得る。あるいは、その発現レベルの正常範囲は、SCLCを有さないことが既知の個体の対照群から以前に採取した試料における遺伝子の発現レベルを分析することにより得られた結果に基づく統計的方法により決定され得る。対象の試料を比較することにより得られる結果はその正常範囲と比較され、その結果が正常範囲に含まれない場合、対象はSCLCに罹患しているか又はSCLCを発症する危険があると判断される。

0060

本発明においては、SCLCを含む細胞増殖性疾患を診断するための診断剤もまた提供される。本発明の診断剤は、SCLC関連遺伝子のポリヌクレオチド又はポリペプチドに結合する化合物を含む。好ましくは、SCLC関連遺伝子のポリヌクレオチドにハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、又はSCLC関連遺伝子によりコードされるポリペプチドに結合する抗体が、このような化合物として使用され得る。

0061

本発明のSCLC診断方法は、対象におけるSCLC治療の有効性を評価するのに使用され得る。本方法によれば、試験細胞集団を含む生物学的試料は、SCLCに対する治療を受けている対象から得られる。本評価方法はSCLCを診断する従来法に従って行われ得る。

0062

必要ならば、生物学的試料は、治療前、治療中、又は治療後の様々な時点で対象から得られる。次いで、試験生物学的試料におけるSCLC関連遺伝子の発現レベルが決定され、例えば、SCLCの状態が既知の細胞(すなわち癌性細胞又は非癌性細胞)を含む基準細胞集団由来の対照レベルと比較される。対照レベルはこの治療を受けていない生物学的試料において決定される。

0063

対照レベルが癌性細胞を含まない生物学的試料由来である場合、対象由来の試験生物学的試料における発現レベルと対照レベルが類似することは、治療が有効であることを示す。対象由来の試験生物学的試料におけるSCLC関連遺伝子の発現レベルと対照レベルが相違することは、臨床転帰又は予後が好ましくないことを示す。

0064

SCLC関連遺伝子の発現を阻害又は増強する薬剤の同定:
一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現、又はそれらの遺伝子産物の活性を阻害する薬剤は、SCLCに関連する上方制御された一つ又は複数の遺伝子を発現する試験細胞集団を試験薬剤と接触させ、次いでSCLC関連遺伝子の発現レベル、又はそれらの遺伝子産物の活性を決定することによって同定され得る。その薬剤の存在下での一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現レベル又はその遺伝子産物の活性レベルが試験薬剤の非存在下での発現レベル又は活性レベルと比較して減少していることは、その薬剤がSCLCに関連する上方制御された一つ又は複数の遺伝子の阻害剤であり、SCLCの阻害に有用であることを示す。

0065

あるいは、SCLCに関連する下方制御された一つ又は複数の遺伝子の発現又はその遺伝子産物の活性を増強する薬剤は、一つ又は複数のSCLC関連遺伝子を発現する試験細胞集団を試験薬剤と接触させ、次いでSCLCに関連する下方制御された遺伝子の発現レベル又は活性を決定することによって同定され得る。一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現レベル又はそれらの遺伝子産物の活性レベルが試験薬剤の非存在下での発現レベル又は活性レベルと比較して増加していることは、その薬剤がSCLCに関連する下方制御された一つ又は複数の遺伝子の発現又はそれらの遺伝子産物の活性を増大させることを示す。

0066

試験細胞集団は、SCLC関連遺伝子を発現する任意の細胞で構成され得る。例えば、試験細胞集団は、上皮細胞、例えば、肺組織由来の細胞を含み得る。さらに、試験細胞集団は、癌腫細胞由来の不死化細胞株であり得る。あるいは、試験細胞集団は、一つ又は複数のSCLC関連遺伝子をトランスフェクトされた細胞、又はレポーター遺伝子に機能的に連結された、一つ又は複数のSCLC関連遺伝子由来の調節配列(例えば、プロモーター配列)をトランスフェクトされた細胞であり得る。

0067

薬剤は、例えば、阻害性オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、リボザイム)、抗体、ポリペプチド、有機小分子であり得る。薬剤のスクリーニングは、マルチウェルプレート(例えば、96ウェル、192ウェル、384ウェル、768ウェル、1536ウェル)を用いて複数の薬剤を同時にスクリーニングするハイスループット法を用いて行われ得る。ハイスループットスクリーニングを自動化したシステムは、例えば、Caliper Life Sciences, Hopkinton, MAから市販されている。スクリーニングに利用できる有機小分子ライブラリーは、例えば、Reaction Biology Corp., Malvern, PA; TimTec, Newark, DEから購入できる。

0068

対象におけるSCLC治療の有効性の評価:
本明細書において同定された示差的に発現されるSCLC関連遺伝子はまた、SCLCの治療経過のモニタリングを可能にする。この方法において、試験細胞集団は、SCLC治療を受けている対象から提供される。必要ならば、試験細胞集団は治療前、治療中、及び/又は治療後の様々な時点で対象から採取される。次いで、試験細胞集団におけるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現が決定され、SCLCの状態が既知の細胞を含む基準細胞集団と比較される。本発明の文脈では、基準細胞集団は関心対象の治療を受けてないものである。

0069

基準細胞集団がSCLC細胞を含まない場合、試験細胞集団と基準細胞集団において一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現が類似することは、関心対象の治療が有効であることを示す。しかしながら、試験細胞集団と正常対照の基準細胞集団における一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現が相違することは、臨床転帰又は予後が好ましくないことを示す。同様に、基準細胞集団がSCLC細胞を含む場合、試験細胞集団と基準細胞集団において一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現の間に相違が存在することは、関心対象の治療が有効であることを示すが、試験集団と小細胞肺癌対照の基準細胞集団における一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現が類似することは、臨床転帰又は予後が好ましくないことを示す。

0070

さらに、治療後に採取した対象由来の生物学的試料において決定された一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現レベル(すなわち、治療後レベル)が、治療開始前に採取された対象由来の生物学的試料において決定された一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現レベル(すなわち、治療前レベル)と比較され得る。SCLC関連遺伝子が上方制御された遺伝子の場合、治療後試料において発現レベルが減少していることは関心対象の治療が有効であることを示すが、治療後試料において発現レベルが増加しているか又は変化がないことは、臨床転帰又は予後が好ましくないことを示す。逆に、SCLC関連遺伝子が下方制御された遺伝子の場合、治療後試料において発現レベルが増加していることは、関心対象の治療が有効であることを示すが、治療後試料において発現レベルが減少しているか又は変化がないことは、臨床転帰又は予後が好ましくないことを示す。

0071

本明細書中で使用する場合、「有効」という用語は、その治療が、対象において病理学的に上方制御された遺伝子の発現を減少させるか、病理学的に下方制御された遺伝子の発現を増加させるか、又は肺癌の大きさ、有病率、若しくは転移能力を減少させることを示す。関心対象の治療が予防的に適用される場合、「有効」という用語は、その治療が、小細胞肺癌の形成を遅らせるか若しくは妨げること、又は臨床的SCLCの症状を遅らせる、妨げる、若しくは緩和することを意味する。小細胞肺腫瘍の評価は、標準的な臨床プロトコルを用いて行われ得る。

0072

さらに、有効性は、SCLCを診断又は治療するための任意の公知の方法と関連させて決定され得る。SCLCは、例えば、異常な症状、例えば、体重の減少、腹痛背痛食欲不振吐き気嘔吐、及び全身倦怠感衰弱、並びに黄疸を同定することにより診断され得る。

0073

特定の個体に適したSCLCを治療するための治療剤の選択:
個体間の遺伝的構造の違いは、多種の薬物を代謝する能力の相対的な違いをもたらし得る。薬剤が対象において代謝され抗SCLC剤として作用することは、癌性状態に特徴的な遺伝子発現パターンから非癌性状態に特徴的な遺伝子発現パターンへの対象の細胞における遺伝子発現パターンの変化を誘導することにより明らかになり得る。従って、本明細書中に開示される示差的に発現されるSCLC関連遺伝子は、薬剤がその対象におけるSCLCに適した阻害剤であるかどうかを決定するために、選択された対象由来の試験細胞集団においてSCLCの治療的阻害剤又は予防的阻害剤が試験されることを可能にする。

0074

特定の対象に適したSCLCの阻害剤を同定するために、対象由来の試験細胞集団は治療剤に曝され、表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現が決定される。

0075

本発明の方法の文脈では、試験細胞集団は一つ又は複数のSCLC関連遺伝子を発現するSCLC細胞を含む。好ましくは、試験細胞集団は上皮細胞を含む。例えば、試験細胞集団は、候補薬剤の存在下でインキュベートされ得、次に試験細胞集団の遺伝子発現パターン(すなわち、発現プロファイル)が測定されて、一つ又は複数の基準発現プロファイル、例えば、SCLC基準発現プロファイル又は非SCLC基準発現プロファイルと比較され得る。

0076

試験細胞集団において、SCLCを含む基準細胞集団における発現と比べて表3に列挙されるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現が減少していること、又は表2に列挙されるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現が増加していることは、その薬剤が治療的用途を有することを示す。

0077

本発明の文脈では、試験薬剤は任意の化合物又は組成物であり得る。試験薬剤の例には、免疫調節剤(例えば、抗体)、阻害性オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、阻害性短鎖オリゴヌクレオチド及びリボザイム)及び低分子有機化合物が含まれるがこれらに限定されない。

0078

治療剤を同定するためのスクリーニングアッセイ:
本明細書中で開示される示差的に発現されるSCLC関連遺伝子はまた、SCLCを治療するための候補治療剤の同定にも使用され得る。本発明の方法は、試験薬剤がSCLC状態に特徴的なSCLC 1〜1555を含む一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現プロファイルをSCLC状態に特徴的な遺伝子発現パターンに変更し得るかどうかを決定するために候補治療剤をスクリーニングする段階を含む。

0079

本発明において、SCLC 1〜1555はSCLCを治療又は予防するための治療剤のスクリーニングに有用である。

0080

一つの態様において、試験細胞集団は、一つの試験薬剤又は複数の試験薬剤に(連続して又は組み合わせて)曝され、その細胞中のSCLC 1〜1555の一つ又は複数の発現が測定される。試験細胞集団においてアッセイしたSCLC関連遺伝子の発現プロファイルは、その試験薬剤に曝されていない基準細胞集団における同一のSCLC関連遺伝子の発現プロファイルと比較される。

0081

過小発現される遺伝子の発現を刺激することができる、又は過剰発現される遺伝子の発現を抑制することができる薬剤は、臨床的利益を有する。そのような薬剤は、動物又は試験対象においてSCLCを予防する能力についてさらに試験され得る。

0082

さらなる態様において、本発明は、SCLCの治療に有用な薬剤である候補薬剤のスクリーニング方法を提供する。上記において詳述したように、一つ若しくは複数のマーカー遺伝子の発現レベル、又はそれらの遺伝子産物の活性を制御することにより、SCLCの発症及び進行を制御することができる。従って、SCLCの治療に有用な薬剤である候補薬剤は、このような発現レベル及び活性を癌性状態又は非癌性状態の指標として用いるスクリーニング方法を通じて同定され得る。本発明の文脈では、このようなスクリーニングは、例えば、以下の段階を含み得る:
(a)SCLC 1〜1555からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと試験化合物を接触させる段階、
(b)該ポリペプチドと試験化合物の間の結合活性を検出する段階、及び
(c)該ポリペプチドに結合する試験化合物を選択する段階。

0083

スクリーニングに使用されるマーカー遺伝子によりコードされる一つ又は複数のSCLCポリペプチドは、組換えポリペプチド若しくは天然由来タンパク質、又はそれらの部分ペプチドであり得る。試験化合物と接触させるポリペプチドは、例えば、精製ポリペプチド可溶性タンパク質担体結合形態、又は他のポリペプチドと融合された融合タンパク質であり得る。

0084

当業者に公知の多くの方法が、マーカー遺伝子によりコードされる一つ又は複数のSCLCポリペプチドに結合するタンパク質をスクリーニングするために使用され得る。スクリーニングは、例えば、免疫沈降法によって、特に以下の様式で行われ得る。一つ又は複数のマーカー遺伝子は、その遺伝子を外来遺伝子発現ベクター、例えば、pSV2neo、pcDNAI、pcDNA3.1、pCAGGS、及びpCD8に挿入することによって宿主(例えば、動物)細胞等において発現される。発現に使用されるプロモーターは、一般に使用され得る任意のプロモーターであり得、これには例えば、SV40初期プロモーター(Rigby in Williamson (ed.), (1982) Genetic Engineering, vol.3. Academic Press, London, 83-141)EF-αプロモーター(Kim et al., (1990) Gene 91: 217-23)、CAGプロモーター(Niwa et al., (1991) Gene 108: 193-9)、RSVLTRプロモーター(Cullen, (1987) Methodsin Enzymology 152: 684-704)、SRαプロモーター(Takebe et al., (1988) Mol Cell Biol 8: 466-72)、CMV最初期プロモーター(Seed and Aruffo, (1987) Proc Natl Acad Sci USA 84: 3365-9)、SV40後期プロモーター(Gheysen and Fiers, (1982) J Mol Appl Genet 1: 385-94)、アデノウイルス後期プロモーター(Kaufman et al., (1989) Mol Cell Biol 9: 946-58)、HSV TK プロモーター等が含まれる。外来遺伝子を発現するための宿主細胞への遺伝子導入は、任意の方法、例えば、エレクトロポレーション法(Chu et al., (1987) Nucleic Acids Res 15: 1311-26)、リン酸カルシウム法(Chen and Okayama, (1987) Mol Cell Biol 7: 2745-52)、DEAEデキストラン法(Lopata et al., (1984) Nucleic Acids Res 12: 5707-17; Sussman and Milman, (1984) Mol Cell Biol 4: 1641-3)、リポフェクチン法(Derijard B, (1994) Cell 76: 1025-37; Lamb et al., (1993) Nature Genetics 5: 22-30: Rabindran et al., (1993) Science 259: 230-4)等によって実行され得る。マーカー遺伝子によりコードされる一つ又は複数のSCLCポリペプチドは、その特異性が明らかなモノクローナル抗体エピトープをポリペプチドのN末端又はC末端に導入することにより、モノクローナル抗体の認識部位(エピトープ)を含む融合タンパク質として発現され得る。市販されているエピトープ-抗体系が使用され得る(Experimental Medicine 13: 85-90 (1995))。そのマルチクローニングサイトを使用して、例えば、β-ガラクトシダーゼマルトース結合タンパク質グルタチオンS-トランスフェラーゼ緑色蛍光タンパク質(GFP)等との融合タンパク質を発現し得るベクターが市販されている。

0085

そのポリペプチドの特性を融合によって変化させないよう数個から数十個のアミノ酸からなる小型のエピトープのみを導入することによって調製された融合タンパク質もまた報告されている。ポリヒスチジン(Hisタグ)、インフルエンザ凝集素HA、ヒトc-myc、FLAG、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSV-GP)、T7遺伝子10タンパク質(T7タグ)、ヒト単純疱疹ウイルス糖タンパク質(HSVタグ)、Eタグ(モノクローナルファージのエピトープ)等を含むエピトープ、及びこれらを認識するモノクローナル抗体が、マーカー遺伝子によりコードされるポリペプチドに結合するタンパク質をスクリーニングするためのエピトープ-抗体系として使用され得る(Experimental Medicine 13: 85-90 (1995))。

0086

免疫沈降において、免疫複合体は、適切な界面活性剤を用いて調製された細胞溶解物にこれらの抗体を添加することによって形成される。免疫複合体は、マーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチド、このポリペプチドとの結合能力を有するポリペプチド、及び抗体からなる。免疫沈降はまた、上記エピトープに対する抗体を使用する他に、マーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチドに対する抗体を用いて行うこともでき、そのような抗体は上述に従って調製され得る。

0087

抗体がマウスIgG抗体である場合、免疫複合体は、例えばプロテインAセファロース又はプロテインGセファロースによって沈降され得る。マーカー遺伝子によりコードされる一つ又は複数のSCLCポリペプチドがエピトープ、例えばGSTとの融合タンパク質として調製される場合、免疫複合体は、これらのエピトープに特異的に結合する物質、例えば、グルタチオン-セファロース4Bを用いることで、ポリペプチドに対する抗体を用いる場合と同じ様式で形成され得る。

0088

免疫沈降は、以下の通り又は例えば文献の方法(Harlow and Lane, Antibodies, 511-52, Cold Spring Harbor Laboratory publications, New York (1988) 及び Harlow and Lane, Using Antibodies, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1998))に従って実行され得る。

0089

SDS-PAGEは免疫沈降させたタンパク質の分析に一般的に使用されており、結合したタンパク質は、適当濃度のゲルを用いることでそのタンパク質の分子量により分析され得る。マーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチドに結合したタンパク質は一般的な染色法、例えば、クマシー染色又は銀染色によって検出するのが困難であるので、そのタンパク質の検出感度は、放射性同位元素35S-メチオニン又は35S-システインを含む培養培地中で細胞を培養して細胞中のタンパク質を標識し、そのタンパク質を検出することによって改善され得る。標的タンパク質は、SDS-ポリアクリルアミドゲルから直接的に精製され得、そのタンパク質の分子量が明らかな場合はその配列が決定され得る。

0090

マーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチドに結合するタンパク質をこのポリペプチドを用いてスクリーニングする方法として、例えば、ウェスト-ウェスタンブロッティング分析が使用され得る(Skolnik et al., (1991) Cell 65: 83-90)。具体的には、マーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチドに結合するタンパク質は、ファージベクター(例えば、ZAP)を用いてマーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチドに結合するタンパク質を発現すると考えられる細胞、組織、器官(例えば、精巣若しくは卵巣を含む組織)、又は培養細胞(例えば、DMS114、DMS273、SBC-3、SBC-5、NCI-H196、及びNCI-H446)からcDNAライブラリを調製し、LBアガロース上でタンパク質を発現させ、発現したタンパク質をフィルターに固定し、精製及び標識したポリペプチドを上記フィルターと反応させ、そしてその標識に従ってマーカー遺伝子によりコードされるポリペプチドに結合したタンパク質を発現するプラークを検出することによって得ることができる。マーカー遺伝子によりコードされる一つ又は複数のSCLCポリペプチドは、ビオチンアビジンとの間の結合を利用することによって、又はマーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチド、若しくはマーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチドに融合されたペプチド若しくはポリペプチド(例えば、GST)に特異的に結合する抗体を利用することによって標識され得る。放射性同位元素又は蛍光等を用いる方法もまた使用され得る。

0091

あるいは、本発明のスクリーニング方法の別の態様において、細胞を用いるツーハイブリッドシステムが使用され得る(「MATCHMAKER Two-Hybrid system」、「Mammalian MATCHMAKER Two-Hybrid Assay Kit」、「MATCHMAKER one-Hybrid system」(Clontech);「HybriZAPTwo-Hybrid Vector System」(Stratagene)」;参考文献「Dalton and Treisman, (1992) Cell 68: 597-612.」、「Fieldsand Sternglanz, (1994) Trends Genet 10: 286-92」)。

0092

ツーハイブリッドシステムにおいては、本発明のポリペプチドを、SRF結合領域又はGAL4結合領域に融合させ、酵母細胞において発現させる。cDNAライブラリは、本発明のポリペプチドに結合するタンパク質を発現すると考えられる細胞から調製され、そのライブラリは、発現される際、VP16又はGAL4転写活性化領域と融合される。次いで、cDNAライブラリを上記の酵母細胞中に導入し、このライブラリ由来のcDNAを、(本発明のポリペプチドに結合するタンパク質が酵母細胞中で発現され、これらの二つの結合がレポーター遺伝子を活性化し、陽性クローンが検出可能になった場合に、)検出された陽性クローンから単離する。cDNAによりコードされるタンパク質は、上記の単離されたcDNAを大腸菌(E.coli)に導入し、そのタンパク質を発現させることによって調製し得る。

0093

レポーター遺伝子として、HIS3遺伝子に加えて、例えば、Ade2遺伝子、lacZ遺伝子、CAT遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子等が使用され得る。

0094

マーカー遺伝子によりコードされる一つ又は複数のSCLCポリペプチドに結合する化合物はまた、アフィニティクロマトグラフィ法を用いてスクリーニングされ得る。例えば、マーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチドをアフィニティカラム担体に固定し、マーカー遺伝子によりコードされるSCLCポリペプチドに結合できるタンパク質を含む試験化合物をこのカラムに適用し得る。ここでいう試験化合物は、例えば、細胞抽出物、細胞溶解物等であり得る。試験化合物を充填した後、カラムを洗浄し、このポリペプチドに結合した化合物を調製し得る。

0095

試験化合物がタンパク質の場合、得られたタンパク質のアミノ酸配列を分析し、その配列に基づきオリゴDNAを合成し、このタンパク質をコードするDNAを得るためにこのオリゴDNAをプローブとして用いてcDNAライブラリをスクリーニングする。

0096

本発明における結合化合物の検出又は定量の手段として表面プラズモン共鳴現象を使用するバイオセンサが使用され得る。このようなバイオセンサが使用される場合、本発明のポリペプチドと試験化合物との間の相互作用は、微量のポリペプチドのみを用いることで標識せずとも表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムで観察され得る(例えば、BIAcore、Pharmacia)。従って、バイオセンサ、例えば、BIAcoreを用いることで、マーカー遺伝子によりコードされる一つ又は複数のSCLCポリペプチドと試験化合物との間の結合を評価することができる。

0097

マーカー遺伝子によりコードされる固定化したSCLCポリペプチドを、合成化学化合物、又は天然物質バンク若しくはランダムファージペプチドディスプレイライブラリに曝した際に結合する分子をスクリーニングする方法、及びタンパク質だけでなくそのタンパク質に結合する化学化合物アゴニスト及びアンタゴニストを含む)も単離するためのコンビトリアムケミストリーに基づくハイスループット技術(Wrighton et al., (1996) Science 273: 458-64; Verdine, (1996) Nature 384: 11-3)を用いるスクリーニング方法は、当業者に周知である。

0098

あるいは、本発明は、以下の段階を含む、マーカー遺伝子によりコードされる一つ又は複数のポリペプチドを用いてSCLCを治療又は予防するための化合物のスクリーニング方法を提供する:
(a)SCLC 1〜1555からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと試験化合物を接触させる段階、
(b)段階(a)のポリペプチドの生物学的活性を検出する段階、及び
(c)(i)SCLC 777〜1555からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの生物学的活性を、試験化合物の非存在下で検出される生物学的活性と比較して抑制する化合物か、又は(ii)SCLC 1〜776からなる群より選択されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの生物学的活性を、試験化合物の非存在下で検出される生物学的活性と比較して増強する化合物を選択する段階。

0099

本発明のスクリーニング方法において使用するポリペプチドは、マーカー遺伝子のヌクレオチド配列を用いて組換えタンパク質として得ることができる。そのポリペプチドがマーカー遺伝子によりコードされるポリペプチドの生物学的活性を有する限り任意のポリペプチドがスクリーニングに使用され得る。マーカー遺伝子及びそれにコードされるポリペプチドに関する情報に基づき、当業者は、スクリーニング及び選択された生物学的活性をアッセイするための任意の適切な測定法の指標として、そのポリペプチドの任意の生物学的活性を選択することができる。

0100

このスクリーニングにより単離された化合物は、マーカー遺伝子によりコードされるポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストの候補である。「アゴニスト」という用語は、そのポリペプチドに結合することによりその機能を活性化させる分子を意味する。同様に、「アンタゴニスト」という用語は、そのポリペプチドに結合することによりその機能を阻害する分子を意味する。さらに、このスクリーニングにより単離された化合物は、マーカー遺伝子によりコードされるポリペプチドと分子(DNA及びタンパク質を含む)とのインビボでの相互作用を阻害又は刺激し得る。

0101

本発明の方法において検出される生物学的活性が細胞増殖の場合、これは、例えばマーカー遺伝子によりコードされるポリペプチドを発現する細胞を調製し、その細胞を試験化合物の存在下で培養し、そして細胞増殖速度を決定すること、細胞周期を測定すること等によって、及び実施例に記載されるようにコロニー形成能を測定することによって、検出され得る。

0102

さらなる態様において、本発明は、SCLCを治療又は予防するための化合物のスクリーニング方法を提供する。既に詳述した通り、マーカー遺伝子の発現レベルを制御することにより、SCLCの発症及び進行を制御することができる。従って、SCLCの治療又は予防において使用され得る化合物は、その指標としてマーカー遺伝子の発現レベルを用いるスクリーニングを通じて同定され得る。本発明の文脈では、このようなスクリーニングは、例えば、以下の段階を含み得る:
(a)SCLC 1〜1555からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子を発現する細胞と候補化合物を接触させる段階、及び
(b)SCLC 777〜1555からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを、候補化合物の非存在下で検出される発現レベルと比較して減少させる候補化合物か、又はSCLC 1〜776からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを、候補化合物の非存在下で検出される発現レベルと比較して増加させる候補化合物を選択する段階。

0103

マーカー遺伝子を発現する細胞には、例えば、SCLCから樹立した細胞株が含まれ、そのような細胞は、本発明の上記スクリーニングのために使用され得る(例えば、DMS114、DMS273、SBC-3、SBC-5、NCI-H196、及びNCI-H446)。発現レベルは当業者に周知の方法により推定され得る。本スクリーニング方法において、一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを減少させる又は増強する化合物の、SCLCの治療又は予防における用途が見出される。

0104

あるいは、本発明のスクリーニング方法は、以下の段階を含み得る:
(a)SCLC 1〜1555からなる群より選択される一つ又は複数のマーカー遺伝子の転写調節領域及び該転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と候補化合物を接触させる段階、
(b)レポーター遺伝子の発現又は活性を測定する段階、及び
(c)一つ又は複数のマーカー遺伝子がSCLC 777〜1555からなる群より選択される上方制御されたマーカー遺伝子である場合は、レポーター遺伝子の発現レベル又は活性レベルを、候補化合物の非存在下での発現レベルと比較して減少させる、又は一つ又は複数のマーカー遺伝子がSCLC 1〜776からなる群より選択される下方制御されたマーカー遺伝子である場合は、レポーター遺伝子の発現レベルを、候補化合物の非存在下で検出される発現レベルと比較して増強する候補化合物を選択する段階。

0105

適切なレポーター遺伝子及び宿主細胞は当技術分野で周知である。本スクリーニングに必要とされるレポーター構築物は、マーカー遺伝子の転写調節領域を用いて調製され得る。マーカー遺伝子の転写調節領域が当業者に公知の場合、レポーター構築物は、以前の配列情報を用いて調製され得る。マーカー遺伝子の転写調節領域が同定されていない場合、転写調節領域を含むヌクレオチドセグメントはマーカー遺伝子のヌクレオチド配列情報に基づきゲノムライブラリから単離され得る。

0106

タンパク質を結合させるのに使用され得る支持体の例には、アガロース、セルロース、及びデキストランを含む不溶性多糖類、並びにポリアクリルアミドポリスチレン、及びシリコンを含む合成樹脂が含まれ、好ましくは、上記材料から調製された市販のビーズ又はプレート(例えば、マルチウェルプレート、バイオセンサチップ等)が使用され得る。ビーズが使用される場合、それらはカラムに充填され得る。

0107

タンパク質の支持体への結合は、慣用的方法、例えば化学結合及び物理的吸着によって実行され得る。あるいは、タンパク質は、そのタンパク質を特異的に認識する抗体を通じて支持体に結合され得る。さらに、タンパク質の支持体への結合は、アビジン及びビオチンによっても行われ得る。

0108

タンパク質間の結合は、その緩衝液がタンパク質間の結合を阻害しない限り、緩衝液中で、例えば、リン酸緩衝液及びTris緩衝液(ただしこれらに限定されない)中で行われる。

0109

本発明において、結合したタンパク質の検出又は定量の手段として表面プラズモン共鳴現象を利用するバイオセンサが使用され得る。このようなバイオセンサが使用される場合、タンパク質間の相互作用は、微量のポリペプチドのみを用いることで標識せずとも表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムで観察され得る(例えば、BIAcore、Pharmacia)。

0110

あるいは、マーカー遺伝子によりコードされるポリペプチドは標識され得、そして結合したタンパク質の標識がその結合タンパク質を検出又は測定するのに使用され得る。具体的には、タンパク質の一方を予備標識した後、その標識したタンパク質を試験化合物の存在下でもう一方のタンパク質と接触させ、次いで洗浄後に結合したタンパク質をその標識に従って検出又は測定し得る。

0111

標識物質、例えば、放射性同位元素(例えば、3H、14C、32P、33P、35S、125I、131I)、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ西ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ)、蛍光物質(例えば、フルオレセインイソチオシアネートFITC)、ローダミン)及びビオチン/アビジンは、本発明の方法においてタンパク質を標識するのに使用され得る。タンパク質が放射性同位元素で標識される場合、その検出又は測定は、液体シンチレーションにより行われ得る。あるいは、酵素標識されたタンパク質は、その酵素の基質を添加して基質の酵素的変化を検出することによって、例えば吸光光度計を用いて発色を検出することによって検出又は測定され得る。さらに、標識として蛍光物質が使用される場合、結合タンパク質は蛍光光度計を用いて検出又は測定され得る。

0112

本発明のスクリーニング法において抗体を使用する場合、抗体は好ましくは上述の標識物質の一つで標識され、その標識物質に基づいて検出又は測定される。あるいは、マーカー遺伝子によりコードされるポリペプチド又はアクチンに対する抗体は、標識物質で標識された二次抗体で検出される一次抗体として使用され得る。さらに、本発明のスクリーニングにおいてタンパク質に結合した抗体は、プロテインGカラム又はプロテインAカラムを用いて検出又は測定され得る。

0113

本発明のスクリーニング方法においては、任意の試験化合物、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清微生物発酵産物、海洋生物由来抽出物植物抽出物精製タンパク質又は粗タンパク質、ペプチド、非ペプチド化合物、合成低分子化合物、及び天然化合物が使用され得る。本発明において、試験化合物はまた、(1)生物学的ライブラリ、(2)アドレス指定できるよう配置された並列固相又は並列液相ライブラリ(spatially addressable parallel solid phase or solution phase libraries)、(3)デコンヴォルーションを用いる合成ライブラリ法、(4)「一ビーズ一化合物(one-bead one-compound)」ライブラリ法、及び(5)アフィニティクロマトグラフィ選別を使用する合成ライブラリ法を含む当技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリ法における多くのアプローチのいずれかを使用して得ることができる。アフィニティクロマトグラフィ選別を使用する生物学的ライブラリ法はペプチドライブラリに限定されるが、その他の4つのアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマー、又は化合物の低分子化合物ライブラリに適用できる(Lam (1997) Anticancer Drug Des. 12: 145-67)。分子ライブラリの合成方法の例は、当技術分野において見出され得る(DeWitt et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6909-13; Erb et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 11422-6; Zuckermann et al. (1994) J. Med. Chem. 37: 2678-85; Cho et al. (1993) Science 261: 1303-5; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061; Gallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37: 1233-51)。化合物ライブラリは、溶液(Houghten (1992) Bio/Techniques 13: 412-21を参照のこと)又はビーズ(Lam (1991) Nature 354: 82-4)、チップ(Fodor (1993) Nature 364: 555-6)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号、同第5,403,484号、及び同第5,223,409号)、プラスミド(Cull et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865-9)若しくはファージ(Scott and Smith (1990) Science 249: 386-90; Devlin (1990) Science 249: 404-6;Cwirla et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6378-82; Felici (1991) J. Mol. Biol. 222: 301-10; 米国特許出願第2002103360号)として作製され得る。

0114

本発明のスクリーニング方法により単離された化合物は、例えば、細胞増殖性疾患、例えばSCLCに起因する疾患を治療又は予防するためにマーカー遺伝子によりコードされる一つ又は複数のSCLCポリペプチドの活性を阻害又は刺激するのに使用され得る。本発明のスクリーニング方法により獲得された化合物には、本発明のスクリーニング方法により得られた化合物の構造の一部が付加、欠失、及び/又は置換により変換されている化合物が含まれる。

0115

SCLCを治療又は予防するための薬学的組成物
本発明は、本発明のスクリーニング方法により選択された化合物のいずれかを含む、SCLCを治療又は予防するための組成物を提供する。

0116

本発明の方法により単離された化合物を医薬として、ヒト並びにマウス、ラット、モルモットウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジブタ、ウシ、サルヒヒ、及びチンパンジーを含むその他の動物に投与する場合、単離された化合物は、直接的に投与され得るか、又は公知の薬学的製剤化方法を用いて剤形に処方され得る。例えば、必要に応じて、薬物は糖衣錠剤カプセル剤エリキシル剤、及びマイクロカプセル剤として経口摂取され得、又は水若しくは任意のその他の薬学的に許容される液体を用いる無菌溶液若しくは懸濁物の注射の形態で非経口的に投与され得る。例えば、化合物は、薬学的に許容される担体又は媒体、具体的には無菌水生理学食塩水植物油乳化剤懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤賦形剤溶媒保存剤結合剤等と混合され、一般的に承認されている投薬に必要とされる単位投与形態にされ得る。このような製剤に含有される有効成分の量は、表示された範囲内の適切な投与量である。

0117

錠剤及びカプセル剤に混和され得る添加物の例には、ゼラチントウモロコシデンプントラガカントゴム、及びアラビアゴムを含む結合剤、結晶セルロースを含む賦形剤、トウモロコシデンプン、ゼラチン、及びアルギニン酸を含む膨張剤ステアリン酸マグネシウムを含む滑沢剤スクロースラクトース、又はサッカリンを含む甘味剤、並びにペパーミントアカモノ油(Gaultheria adenothrix oil)、及びチェリーを含む香味剤が含まれるがこれらに限定されない。単位投与形態がカプセル剤の場合、油を含む液体担体はさらに、上記成分を含み得る。注射用の無菌混合物は、注射に適した蒸留水を含む溶媒を用いて通常の投薬実施に従って調製され得る。

0118

生理学的食塩水、グルコース、並びにD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、及び塩化ナトリウムを含む補助剤を含むその他の等張液は、注射用水溶液として使用され得る。これらは例えばエタノールであるアルコールプロピレングリコール及びポリエチレングリコールを含む多価アルコール、並びにポリソルベート80(商標)及びHCO-50を含む非イオン性界面活性剤を含む適切な溶解剤と組み合わせて使用され得る。

0119

ゴマ油又は大豆油油性液として使用され得、安息香酸ベンジル又はベンジルアルコールと組み合わせて溶解剤として使用され得、かつリン酸緩衝液及び酢酸ナトリウム緩衝剤を含む緩衝剤、塩酸プロカインを含む鎮痛剤、ベンジルアルコール及びフェノールを含む安定剤、並びに/又は抗酸化剤と共に処方され得る。調製された注射物は適切なアンプルに充填され得る。

0120

本発明の薬学的組成物を、例えば、動脈内注射静脈内注射、若しくは経皮注射として、又は鼻腔内投与、経気管支投与、筋内投与、若しくは経口投与として患者に投与するために、当業者に周知の方法が使用され得る。投与の用量及び方法は、患者の体重及び年齢並びに投与方法によって変化するが、当業者は適切な投与方法を日常的に選択し得る。化合物がDNAによりコードされる場合、そのDNAは遺伝子療法のためのベクターに挿入され得、治療を行うためにそのベクターが患者に投与される。投与の用量及び方法は、患者の体重、年齢、及び症状によって変化するが、当業者はそれらを適切に選択することができる。

0121

例えば、本発明のタンパク質に結合してその活性を調節する化合物の用量は症状に依存するが、通常の成人(体重約60kg)に経口投与される場合の用量は一般的に、1日当たり約0.1mg〜約100mg、好ましくは1日当たり約1.0mg〜約50mg、より好ましくは1日当たり約1.0mg〜約20mgである。

0122

化合物が正常な成人(体重約60kg)に対して注射の形態で非経口的に投与される場合、患者、標的器官、症状、及び投与方法によってある程度の違いはあるものの、1日当たり約0.01mg〜約30mg、好ましくは1日当たり約0.1〜約20mg、より好ましくは1日当たり約0.1〜約10mgの用量を静脈内注射するのがよい。その他の動物の場合、適当な投薬量は、体重60kgに換算することによって日常的に算出され得る。

0123

小細胞肺癌を有する対象の予後の評価:
本発明はまた、試験細胞集団における一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の発現と、患者由来の基準細胞集団における同じSCLC関連遺伝子との発現を、広範な疾患段階にまたがり比較する段階を含む、SCLCを有する対象の予後の評価方法を提供する。試験細胞集団及び基準細胞集団における一つ又は複数のSCLC関連遺伝子の遺伝子発現を比較することにより、又は、対象由来の試験細胞集団における遺伝子発現パターンを経時的に比較することにより、対象の予後が評価され得る。

0124

例えば、表3に列挙される遺伝子を含む、上方制御されたSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現が、正常対照における発現と比較して増加していること、又は表2に列挙される遺伝子を含む、下方制御されたSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現が、正常対照における発現と比較して減少していることは、好ましくない予後を示す。逆に、表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現が正常対照における発現と比較して類似することは、対象にとってより好ましい予後を示す。好ましくは、対象の予後は、表2及び3に列挙される遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数の遺伝子の発現プロファイルを比較することによって評価され得る。

0125

SCLCとNSCLCの判別
表4に列挙される一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルを比較することによりSCLCとNSCLCを判別する方法もまた提供される。表4に列挙される一つ又は複数のマーカー遺伝子の発現レベルが、NSCLCの発現レベルと比較して増加していることは、対象がSCLCを患っていることを示す。本発明の文脈では、「NSCLCの発現レベル」という語句は、NSCLC患者由来の試料において検出される、一つ又は複数のマーカー遺伝子又はそれによってコードされるタンパク質の発現レベルを意味する。いくつかの態様において、NSCLCの発現レベルは対照レベルとして役立つ。対照レベルは、単一の基準集団由来、又は複数の発現パターン由来の単一の発現パターンであり得る。例えば、対照レベルは、以前に試験されたNSCLC対照試料由来の発現パターンのデータベースであり得る。本発明において、好ましいNSCLC対照試料は、標準的な診断方法、例えば病理組織学的試験によって同定されたNSCLC組織又はNSCLC細胞であり得る。あるいは、「NSCLCの発現レベル」は、NSCLC患者由来の試料又はNSCLCを患っていることが既知の個体集団由来の試料において検出される遺伝子発現のレベルを意味する。

0126

化学療法抵抗性に関連する遺伝子の同定
本発明においては、進行型SCLC及び進行型NSCLCにおいて上方制御された遺伝子を同定し、化学療法感受性肺癌との比較を行った。これらの化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子は表5に列挙される(SLC 1590〜1657)。SLC 1590〜1657のうちの一つ又は複数は、SCLC及びNSCLCを含む化学療法抵抗性肺癌を決定するための診断マーカーとして有用である。

0127

従って、いくつかの態様において、本発明は、対象における化学療法抵抗性肺癌又は化学療法抵抗性肺癌が発症する素因の診断方法を提供する。本方法は患者由来の生物学的試料における表5に列挙される遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数の化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子の発現レベルを決定する段階を含み、該試料の発現レベルが該遺伝子の対照レベルと比較して増加することが、該対象が化学療法抵抗性肺癌を患っているか又はこれを発症する危険があることを示す。本発明において、対照レベルは化学療法感受性肺癌試料から得ることができる。例えば、対照レベルは、化学療法感受性肺癌対象から得られた細胞又は組織におけるSLC 1590〜1657の発現プロファイルから決定され得る。あるいは、化学療法感受性肺癌から得られた細胞又は組織が対照試料として使用され得る。

0128

表5に列挙される化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子はまた、化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防するための治療標的としても有用である。従って、本発明はさらに、化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防するための化合物のスクリーニング方法を提供する。あるいは、本発明はまた、対象における化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防する方法を提供する。本発明において、本明細書中に記載されるSCLCに関するスクリーニング方法又は治療方法は、標的遺伝子としてSLC 1590〜1657の一つ又は複数を用いることで化学療法抵抗性肺癌に関しても適用され得る。

0129

例えば、本発明の治療方法は、その発現が化学療法抵抗性肺癌において異常に増加する遺伝子(「上方制御」又は「過剰発現」される遺伝子)の一つ又は複数の遺伝子産物の発現、活性、又はその両方を減少させる段階を含み得る。発現は、当技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって阻害され得る。例えば、発現は、過剰発現される遺伝子若しくは遺伝子群の発現を阻害するか又はこれと拮抗する核酸、例えば、過剰発現される遺伝子若しくは遺伝子群の発現を妨害するアンチセンスオリゴヌクレオチド若しくは低分子干渉RNAを対象に投与することによって阻害され得る。

0130

さらに、本発明において、化学療法感受性SCLCと比較して進行型SCLCにおいて上方制御された遺伝子を同定した。これらの化学療法抵抗性SCLC関連遺伝子は表6に列挙される(SCL 1658〜1663)。表6に列挙される遺伝子は、表3に列挙される上方制御された遺伝子から化学療法抵抗性SCLC関連遺伝子として選択されたものである。SCLC 1658〜1663は、化学療法抵抗性SCLC対象を決定するための診断マーカーとして有用である。

0131

従って、いくつかの態様において、本発明は、対象における化学療法抵抗性SCLC又は化学療法抵抗性SCLCが発症する素因の診断方法を提供する。本方法は患者由来の生物学的試料における表6に列挙される遺伝子からなる群より選択される一つ又は複数の化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子の発現レベルを決定する段階を含み、該試料の発現レベルが該遺伝子の対照レベルと比較して増加することは、該対象が化学療法抵抗性SCLCを患っているか又はこれを発症する危険があることを示す。本発明において、対照レベルは化学療法感受性SCLC試料から得ることができる。例えば、対照レベルは、化学療法感受性SCLC対象から得られた細胞又は組織におけるSLC 1658〜1663の発現プロファイルから決定され得る。あるいは、化学療法感受性SCLC対象から得られた細胞又は組織が、対照レベルを提供する対照試料として使用され得る。

0132

表6に列挙される化学療法抵抗性肺癌関連遺伝子はまた、化学療法抵抗性SCLCを治療又は予防するための治療標的としても有用である。従って、本発明はさらに、化学療法抵抗性SCLCを治療又は予防するための化合物のスクリーニング方法を提供する。あるいは、本発明はまた、対象における化学療法抵抗性肺癌を治療又は予防する方法を提供する。本発明において、本明細書中に記載されるSCLCに対するスクリーニング方法又は治療方法は、標的遺伝子としてSLC 1658〜1663を用いることで化学療法抵抗性SCLCに対する方法にも適用され得る。

0133

キット:
本発明はまた、SCLC検出試薬、例えば、SCLC核酸の一部に相補的なオリゴヌクレオチド配列、又はSCLC核酸によりコードされる一つ又は複数のタンパク質に結合する抗体を含む一つ又は複数のSCLC核酸に特異的に結合又は同定する核酸を包含する。検出試薬は、キット形式でまとめて梱包され得る。例えば、検出試薬、例えば、核酸又は抗体(固体マトリクスに結合されたものか又はそれらをマトリクスに結合させるための試薬と別々に梱包されたもののいずれか)、対照試薬(正の対照及び/又は負の対照)、及び/又は検出用標識は、別々の容器に梱包され得る。アッセイ法を実施するための説明書(例えば、書面、テープVCRCD-ROM等)もまたキットに含まれ得る。キットのアッセイ形式はノーザンハイブリダイゼーション又はサンドイッチELISAであり得、これらは両方とも当技術分野で公知である。例えば、Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, 2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press;及び Harlow and Lane, Using Antibodies(前出)を参照のこと。

0134

例えば、SCLC検出試薬は、少なくとも一つのSCLC検出部位を形成するよう固体マトリクス、例えば多孔性細片に固定され得る。多孔性細片の測定領域又は検出領域は、各々が核酸を含む複数の部位を含み得る。試験細片はまた、負の対照及び/又は正の対照のための部位を含み得る。あるいは、対照部位は、試験細片とは別の細片に位置し得る。異なる検出部位には異なる量の固定化核酸が含まれていてもよい、すなわち、第一検出部位により多量に含まれ、それ以降の部位にはより少ない量が含まれていてもよい。試験試料を添加した際に検出可能なシグナルを示す部位の数は試料中に存在するSCLCの量の定量的な指標を提供する。検出部位はまた、任意の適当な検出形状をとることができ、典型的には試験細片全体に広がる棒状又は点状である。

0135

あるいは、キットは、一つ又は複数の核酸を含む核酸基質アレイを含み得る。アレイ上の核酸は、表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子により表される一つ又は複数の核酸配列を特異的に同定する。表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子により表される核酸の2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、40、又は50若しくはそれ以上の発現が、アレイ試験細片又はアレイチップへの結合レベルによって同定され得る。基質アレイは、例えば、固体基板、例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,744,305号に記載される「チップ」上に設けられ得る。本発明の方法において使用するアレイ基板は、例えばAffymetrix, Santa Clara, CAから販売されている。

0136

アレイ及び複数性:
本発明はまた、一つ又は複数の核酸を含む核酸基質アレイを包含する。アレイ上の核酸は、具体的には、表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子に相当する一つ又は複数の核酸配列に対応する。アレイに結合する核酸を検出することにより、表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子に相当する核酸の2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、40、又は50若しくはそれ以上の発現レベルが同定され得る。

0137

本発明はまた、単離された複数の核酸(すなわち、二種類またはそれ以上の核酸の混合物)を包含する。核酸は液相又は固相に含まれ得、例えば固体支持体、例えばニトロセルロース膜に固定され得る。複数の核酸は、表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子に相当する核酸の一つ又は複数を含む。様々な態様において、複数の核酸は、表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子に相当する核酸の2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、40、又は50若しくはそれ以上を含む。

0138

小細胞肺癌の抑制方法
本発明はさらに、表3に列挙されるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現(若しくはその遺伝子産物の活性)を減少させることにより、又は表2に列挙されるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の発現(若しくはその遺伝子産物の活性)を増加させることにより、対象におけるSCLCの症状を治療又は緩和する方法を提供する。適切な治療化合物は、SCLCを患っているか又はSCLCを発症する危険のある(SCLCを発症し易い)患者に対して予防的又は治療的に投与され得る。このような対象は、標準的な臨床的方法を用いて、又は表2〜3に列挙されるSCLC関連遺伝子の一つ又は複数の異常な発現レベル若しくはその遺伝子産物の異常な活性を検出することによって、同定され得る。本発明の文脈では、適切な治療剤には、例えば、細胞周期調節、細胞増殖、及びタンパク質キナーゼ活性の阻害剤が含まれる。

0139

本発明の治療方法は、SCLC細胞における発現が、そのSCLC細胞が採取されたのと同じ組織型の正常細胞と比べて減少している遺伝子(「下方制御」又は「過小発現」される遺伝子)の一つ又は複数の遺伝子産物の発現、活性、又はその両方を増加させる段階を含む。これらの方法において、対象は、対象において過小発現された(下方制御される)遺伝子の一つ又は複数の量を増加させる有効量の化合物で治療される。投与は全身的なものでも局所的なものでもよい。適切な治療化合物には、過小発現される遺伝子のポリペプチド産物、生物学的に活性なそれらの断片、及び過小発現される遺伝子をコードしかつSCLC細胞における発現を可能にする発現制御エレメントを有する核酸、例えばSCLC細胞に内因的なこのような遺伝子の発現レベルを増加させる(すなわち、過小発現された遺伝子又は遺伝子群の発現を上方制御する)薬剤が含まれる。このような化合物の投与は、対象の肺細胞において異常に過小発現される遺伝子又は遺伝子群の効果に対抗し、対象の臨床的状態を改善する。

0140

あるいは、本発明の治療方法は、その発現が肺細胞において異常に増加する遺伝子(「上方制御」又は「過剰発現」される遺伝子)の一つ又は複数の遺伝子産物の発現、活性、又はその両方を減少させる段階を含み得る。発現は当技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって阻害され得る。例えば、発現は、過剰発現遺伝子又は遺伝子群の発現を阻害する又はこれと拮抗する核酸、例えば、過剰発現される遺伝子又は遺伝子群の発現を妨害するアンチセンスオリゴヌクレオチド又は低分子干渉RNAを対象に投与することによって阻害され得る。

0141

阻害性核酸
上記のように、表3に列挙されるSCLC関連遺伝子のヌクレオチド配列に相補的な阻害性核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、リボザイム)は、この遺伝子の発現レベルを減少させるために使用され得る。例えば、小細胞肺癌において上方制御された表3に列挙されるSCLC関連遺伝子に相補的な阻害性核酸は、小細胞肺癌の治療に有用である。具体的には、本発明の阻害性核酸は、表3に列挙されるSCLC関連遺伝子又はそれらに対応するmRNAに結合し、それによってこれらの遺伝子の転写又は翻訳を阻害し、mRNAの分解を促進し、及び/又は表3に列挙されるSCLC関連遺伝子によりコードされるタンパク質の発現を阻害することによってそのタンパク質の機能を阻害することにより作用し得る。本明細書中で使用する場合、「阻害性核酸」という用語は、その阻害性核酸が標的配列に特異的にハイブリダイズすることができる限り、標的配列にその全体が相補的であるヌクレオチド及び一つ又は複数のヌクレオチドのミスマッチを有するヌクレオチドの両方を包含する。本発明の阻害性核酸は、少なくとも15個の連続するヌクレオチの長さに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列同一性を有するポリヌクレオチドを包含する。二つまたはそれ以上の核酸配列の配列同一性を決定するには、当技術分野で公知のアルゴリズムが使用され得る。

0142

一つの有用なアルゴリズムは、Altschul et al., (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-10に最初に記載されたBLAST2.0である。BLAST分析を行うためのソフトウェアは米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通じて公開され利用することができる(www.ncbi.nlm.nih.govから入手可能)。このアルゴリズムは、まず、データベース配列中の同じ長さのワード整列させた場合に一致するか又はある正値の閾値スコアTを満たす、クエリ配列中の長さWの短いワードを同定することによって高スコアの配列対(HSP)を同定する。Tは隣接ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と称される(Altschul et al.(前出))。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを発見するよう検索を開始するための起点(seed)となる。次いで、累積アラインメントスコアが増加し得る限り、ワードヒットは各配列に沿って両方向に伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列についてはパラメータM(一致した残基の対に対する報酬スコア;常に>0)及びN(不一致の残基に対するペナルティスコア;常に<0)を用いて算出される。アミノ酸配列について、スコア付けマトリクスは累積スコアを算出するために使用される。各方向へのワードヒットの伸長は、累積アラインメントスコアがその最大到達値からX量分減少した場合、一つ又は複数の負のスコアを付けられた残基のアラインメントの蓄積により累積スコアがゼロ若しくはそれ以下になった場合、又はいずれかの配列の終点に到達した場合に中止される。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、既定値としてワード長(W)11、期待値(E)10、カットオフ値100、M=5、N=4、及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、既定値としてワード長(W)3、期待値(E)10、及びBLOSUM62スコア付けマトリクスを使用する(Henikoff& Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915を参照のこと)。

0143

有用な配列アラインメントアルゴリズムのさらなる例はPILEUPである。PILEUPは、プログレッシブペアワイズアラインメントを用いて関連する配列の一群から複数の配列アラインメントを作成する。PILEUPは、アラインメントの作成に使用されるクラスタリング関係を示す系図プロットすることもできる。PILEUPはFeng & Doolittle, (1987) J. Mol. Evol. 35: 351-60のプログレッシブアラインメント法の簡易版を使用する。使用された方法は、Higgins & Sharp, (1989) CABIOS 5:151-3に記載された方法と類似する。このプログラムは、例えば、最長5,000文字の配列を最大300個まで整列させることができる。マルチプルアラインメントの手順は、2つの最も類似する配列のペアワイズアラインメントにより2つの整列させた配列のクラスターを生成することから開始する。次いでこのクラスターは次に最も関連する配列、又は整列配列のクラスターと整列され得る。2つの配列クラスターは、2つの個々の配列のペアワイズアラインメントの単純な拡張によって整列され得る。最後のアラインメントは、一連のプログレッシブペアワイズアラインメントによって達成される。このプログラムはまた、クラスタリング関係を表示する樹状図(dendogram)又は系図をプロットするのにも使用され得る。このプログラムは特定の配列及びそれらのアミノ酸又はヌクレオチドの座標を配列比較領域として指定することによって実行される。例えば、単量体ドメインファミリーにおいて保存されたアミノ酸を決定するために、又はファミリー内の単量体ドメインの配列を比較するために、本発明の配列又はコード核酸は構造-機能情報を提供するよう整列される。

0144

本発明のアンチセンス核酸は、SCLC関連マーカー遺伝子によりコードされるタンパク質を産生する細胞に対して、そのタンパク質をコードするDNA又はmRNAに結合し、それらの転写又は翻訳を阻害し、mRNAの分解を促進し、そしてそのタンパク質の発現を阻害することによってそのタンパク質の機能を阻害することにより作用する。

0145

本発明のアンチセンス核酸は、その核酸に対して不活性の適当な基剤と混合することによりリニメント剤又は湿布を含む外用剤として製造され得る。

0146

また、必要に応じて、本発明のアンチセンス核酸は、賦形剤、等張剤、溶解剤、安定剤、保存剤、鎮痛剤等を添加することによって、錠剤、粉末剤顆粒剤、カプセル剤、リポソームカプセル剤、注射剤、溶液剤、点鼻剤、及び凍結乾燥剤として処方され得る。これらは以下の公知の方法によって調製され得る。

0147

本発明のアンチセンス核酸は、病的部位への直接塗布することによって、又は血管への注射により病的部位に到達させることによって患者に投与され得る。アンチセンス封入剤もまた、持続性及び膜透過性を向上するために使用され得る。その例にはリポソームポリ-L-リジン、脂質、コレステロール、リポフェクチン、又はこれらの誘導体が含まれるがこれらに限定されない。

0148

本発明の阻害性核酸誘導体の用量は、患者の状態に基づいて適切に調整され得、望ましい用量で使用され得る。例えば、0.1〜100mg/kg、好ましくは0.1〜50mg/kgの範囲の用量が投与され得る。

0149

本発明のアンチセンス核酸は、本発明のタンパク質の発現を阻害し、従って本発明のタンパク質の生物学的活性を抑制するのに有用である。さらに、本発明のアンチセンス核酸を含む発現阻害剤は、それらが本発明のタンパク質の生物学的活性を阻害できるという点で有用である。

0150

本発明の方法は、上方制御されたSCLC関連遺伝子の細胞中での発現、例えば、細胞の悪性形質転換から生じた上方制御を変化させるために使用され得る。標的細胞中の表3に列挙されるSCLC関連遺伝子のうちの一つに対応する転写物へのsiRNAの結合は、その細胞によるタンパク質産生を減少させる。

0151

本発明のアンチセンス核酸は、修飾型オリゴヌクレオチドを含む。例えば、オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性を付与するためにチオ酸化(thioated)オリゴヌクレオチドが使用され得る。

0152

また、マーカー遺伝子に対するsiRNAは、マーカー遺伝子の発現レベルを減少させるのに使用され得る。本明細書中、「siRNA」という用語は、標的mRNAの翻訳を妨げる二重鎖RNA分子を意味する。細胞にsiRNAを導入するために、DNAをRNAの転写の鋳型として用いる技術を含む標準技術が使用され得る。本発明の文脈では、siRNAはセンス核酸配列、及び表3に列挙されるSCLC関連遺伝子を含む上方制御されたマーカー遺伝子に対するアンチセンス核酸配列を含む。siRNAは、単一の転写物が標的遺伝子由来センス配列及び相補的アンチセンス配列の両方を有するよう、例えばヘアピンとして構築される。

0153

表3に列挙される遺伝子を含むSCLC関連遺伝子のsiRNAは、標的mRNAとハイブリダイズし、それによって通常は単鎖mRNA転写物に結合することによって翻訳を妨害すること、つまりそのタンパク質の発現を妨害することにより、表3に列挙されるSCLC関連遺伝子によりコードされるポリペプチドの産生を減少させるか又は阻害する。このようにして、本発明のsiRNA分子は、ストリンジェントな条件下で表3に列挙されるmRNA又はcDNAに特異的にハイブリダイズするそれらの能力によって規定することができる。本発明の目的上、「ハイブリダイズする」又は「特異的にハイブリダイズする」という用語は、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」下でハイブリダイズする2つの核酸分子の能力を称するのに使用され得る。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語句は、典型的には核酸の複合混合物中で核酸分子がその標的配列にハイブリダイズするが、他の配列には検出可能な程度ハイブリダイズしない条件を意味する。ストリンジェント条件配列依存的であり、環境が異なればそれらも異なる。より長い配列はより高温で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範囲手引きは、Tijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes, 「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays」 (1993)に見られる。一般論として、ストリンジェント条件は、規定のイオン強度pHで特定の配列の融点(Tm)よりも約5〜10℃低い温度となるよう選択される。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列とハイブリダイズする、(規定のイオン強度、pH、及び核酸濃度の下の)温度である(標的配列が過剰に存在する場合、Tmでは、平衡状態でプローブの50%が消費される)。ストリンジェント条件はまた、脱安定剤、例えばホルムアミドの添加により達成され得る。選択的又は特異的なハイブリダイゼーションでは、正のシグナルは、バックグラウンドのハイブリダイゼーションの少なくとも2倍、好ましくは10倍である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は次の通りであり得る:0.2×SSC及び0.1% SDS、50℃での洗浄を行う、50%ホルムアミド、5×SSC、及び1% SDS、42℃にてインキュベート、又は5×SSC、1% SDS、65℃にてインキュベート。

0154

本発明の文脈では、siRNAは、好ましくは500、200、100、50、又は25ヌクレオチド長未満である。より好ましくは、siRNAは約19〜約25ヌクレオチド長である。siRNAの阻害活性を増強するために、標的配列のアンチセンス鎖の3'末端に一つ又は複数のウリジン(「u」)ヌクレオチドが付加され得る。付加される「u」の数は少なくとも2個、一般的には2〜10個、好ましくは2〜5個である。付加された「u」は、siRNAのアンチセンス鎖の3'末端で単鎖を形成する。

0155

表3に列挙される遺伝子を含むSCLC関連遺伝子のsiRNAは、mRNA転写物に結合することのできる形態で細胞に直接的に導入され得る。これらの態様において、本発明のsiRNA分子は、典型的にはアンチセンス分子について上述したように修飾される。その他の修飾も可能であり、例えば、コレステロール結合siRNAは、改善された薬理学的特性を示した。Song, et al., Nature Med. 9:347-51 (2003)。あるいは、siRNAをコードするDNAがベクターにより送達され得る。

0156

ベクターは、例えば、SCLC関連遺伝子標的配列をその配列に隣接して機能的に連結された調節配列を有する発現ベクターに、両方の鎖の(DNA分子の転写による)発現が可能な様式でクローニングすることによって生成され得る(Lee, N.S. et al., (2002) Nature Biotechnology 20 : 500-5)。SCLC関連遺伝子のmRNAに対するアンチセンス鎖であるRNA分子は、第一プロモーター(例えば、クローニングされたDNAの3'側のプロモーター配列)によって転写され、SCLC関連遺伝子のmRNAに対してセンス鎖であるRNA分子は、第二プロモーター(例えば、クローニングされたDNAの5'側のプロモーター配列)によって転写される。センス鎖及びアンチセンス鎖はインビボでハイブリダイズしてSCLC関連遺伝子のサイレンシングのためのsiRNA構築物を生成する。あるいは、siRNA構築物のセンス鎖及びアンチセンス鎖を生成させるために2つの構築物が使用され得る。クローニングされたSCLC関連遺伝子は、単一の転写物が標的配列由来のセンス配列及び相補的なアンチセンス鎖の両方を有する二次構造、例えばヘアピンを有する構築物をコードし得る。

0157

任意のヌクレオチド配列からなるループ配列は、ヘアピンループ構造を形成するためにセンス配列とアンチセンス配列の間に配置され得る。従って、本発明はまた、一般式5'-[A]-[B]-[A']-3'を有するsiRNAを提供する。式中、[A]は表3に列挙されるmRNA又はcDNAに特異的にハイブリダイズする配列に対応するリボヌクレオチド配列である。好ましい態様において、[A]は表3から選択される遺伝子の配列に対応するリボヌクレオチド配列であり、[B]は約3〜約23ヌクレオチドからなるリボヌクレオチド配列であり、かつ[A']は[A]の相補配列からなるリボヌクレオチド配列である。領域[A]は[A']とハイブリダイズし、次いで、領域[B]からなるループが形成される。ループ配列は好ましくは3〜23ヌクレオチド長であり得る。ループ配列は、例えば、(www.ambion.com/techlib/tb/tb_506.htmlに見られる)以下の配列から選択され得る。さらに、23ヌクレオチドからなるループ配列もまた活性なsiRNAを提供する(Jacque, J.M. et al., (2002) Nature 418 : 435-8)。CCC、CCACC、又はCCACACC:Jacque, J. M. et al., (2002) Nature, 418: 435-8。UUCG: Lee, N.S. et al., (2002) Nature Biotechnology 20 : 500-5; Fruscoloni, P. et al., (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100: 1639-44。UUCAAGAGA: Dykxhoorn, D. M. et al., (2003) Nature Reviews Molecular Cell Biology 4: 457-67。

0158

例えば、本発明のヘアピンループ構造を有する好ましいsiRNAを以下に示す。従って、いくつかの態様において、ループ配列[B]は、CCC、UUCG、CCACC、CCACACC、及び UUCAAGAGAからなる群より選択され得る。好ましいループ配列は、UUCAAGAGA(DNA上は「ttcaagaga」)である。

0159

ZIC5-siRNAに関しては以下の通りである:
UCAAGCAGGAGCUCAUCUG-[B]-CAGAUGAGCUCCUGCUUGA(標的配列がSEQID NO:171の場合)

0160

適切なsiRNAのヌクレオチド配列は、www.ambion.com/techlib/ misc/siRNA_finder.htmlから入手可能なsiRNA設計用コンピュータプログラムを用いて設計され得る。このコンピュータプログラムは、以下のプロトコルに基づいてsiRNA合成用ヌクレオチド配列を選択する。

0161

siRNAの標的部位の選択:
1.目的の転写物のAUG開始コドン出発点として、その下流をAAジヌクレオチド配列についてスキャンする。有用なsiRNA標的部位として各AAの出現及び3'側に隣接する19ヌクレオチドを記録する。Tuschl, et al. (1999) Genes Dev 13: 3191-7は、5'側及び3'側の非翻訳領域(UTR)並びに開始コドン付近の領域(75塩基内)に対するsiRNAを設計するのは、これらの領域が調節タンパク質結合部位に豊富に存在し得るという理由で推奨しない。UTR結合タンパク質及び/又は翻訳開始複合体は、siRNAエンドヌクレアーゼ複合体の結合と干渉し得る。

0162

2.標的部位とヒトゲノムデータベースとを比較し、他のコード配列と有意な配列同一性を有するあらゆる標的配列を検討から外す。配列同一性調査は、NCBIサーバ、ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において見出され得るBLAST(AltschulSF, et al., (1997) Nucleic AcidsRes. 25(17):3389-402; (1990) J Mol Biol. 215(3):403-10)を用いて実行され得る。

0163

3.合成に適した標的配列を選択する。Ambionアルゴリズムを用いて、好ましくは数個の標的配列が評価する遺伝子に沿って選択され得る。

0164

標的配列、例えばSEQID NO:171のヌクレオチドの核酸配列を含む単離された核酸分子、又はSEQ ID NO:171のヌクレオチドの核酸配列に相補的な核酸分子もまた本発明に包含される。本明細書中で使用する場合、「単離された核酸」は、その本来の環境(例えば、天然に存在する場合はその天然環境)から取り出された核酸分子であり、従って、その天然の状態から合成的に変更された核酸分子である。本発明において、単離された核酸には、DNA、RNA、及びそれらの誘導体が含まれる。単離された核酸がRNA又はその誘導体である場合、塩基「t」はそのヌクレオチド配列において「u」で置換される。本明細書中で使用する場合、「相補的」という用語は、核酸分子のヌクレオチド単位間のワトソン-クリック塩基対又はフーグスティーン型塩基対を意味し、「結合」という用語は、2つの核酸若しくは化合物又は関連する核酸若しくは化合物又はその組み合わせの間の物理的又は化学的相互作用を意味する。相補的核酸配列は適切な条件下でハイブリダイズし、数個の不一致を含む又は不一致を含まない安定な二重鎖複合体(duplex)を形成する。本発明の目的上、5個又はそれ未満の不一致を有する2つの配列は相補的であるとされる。さらに、本発明の単離されたヌクレオチドのセンス鎖及びアンチセンス鎖は、ハイブリダイゼーションにより二重鎖ヌクレオチド又はヘアピンループ構造を形成し得る。好ましい態様において、このような二重鎖複合体は、10の一致につき1以下の不一致を含む。特に好ましい態様において、二重鎖複合体の鎖は完全に相補的であり、そのような二重鎖複合体は不一致を含まない。ZIC5に対する核酸分子は4612ヌクレオチド長未満である。例えば、核酸分子は、約500未満、約200未満、又は約75ヌクレオチド長未満である。本明細書中に記載される核酸の一つ又は複数を含むベクター及びそのベクターを含む細胞もまた、本発明に包含される。本発明の単離された核酸は、ZIC5に対するsiRNA、又はこのsiRNAをコードするDNAにとって有用である。核酸がsiRNA用又はそのコードDNA用に使用される場合、センス鎖は好ましくは約19ヌクレオチドよりも長く、より好ましくは21ヌクレオチドよりも長い。

0165

本発明は、ZIC5をコードする遺伝子が非癌性肺細胞と比較して小細胞肺癌(SCLC)において過剰発現されるという発見に一部基づく。ZIC5のcDNAは4612ヌクレオチド長である。ZIC5の核酸配列及びポリペプチド配列はSEQID NO:175及び176に示される。

0166

SEQID NO:171を含むsiRNAのトランスフェクションは、SCLC細胞株の成長阻害をもたらす。ZIC5は、ノーザンブロット分析及びsiRNA実験により実証されるように、SCLCにおいて上方制御された遺伝子として同定され、大部分のSCLCにおいて活性化される癌精巣抗原であり、かつ細胞の成長/生存において中心的な役割を担う。この遺伝子は、5つのC2H2 ZNFドメインを含む663アミノ酸のタンパク質をコードする。この分子は構造的には、核酸結合性亜鉛イオン結合タンパク質である。

0167

siRNA組成物の構造:
本発明はまた、ZIC5の発現を阻害することによる、細胞成長、すなわち癌細胞成長の阻害方法を提供する。ZIC5の発現は、例えば、ZIC5遺伝子を特異的に標的とする一つ又は複数の低分子干渉RNA(siRNA)オリゴヌクレオチドによって阻害される。ZIC5標的には、例えば、SEQID NO:171のヌクレオチドが含まれる。

0168

SCLC関連遺伝子配列に隣接する調節配列は、それらの発現が個別に調節され得るように、又は時間的若しくは空間的様式で調節され得るように、同一であっても異なってもよい。siRNAは、例えば、核内低分子RNA(snRNA)U6、又はヒトH1 RNAプロモーター由来のRNAポリメラーゼIII転写ユニットを含むベクターに、それぞれ、SCLC関連遺伝子の鋳型をクローニングすることによって細胞内で転写される。このベクターを細胞に導入するために、トランスフェクション促進剤が使用され得る。FuGENE(Roche diagnostics)、Lipofectamine 2000(Invitrogen)、Oligofectamine(Invitrogen)、及びNucleofector(Wako pure Chemical)がトランスフェクション促進剤として有用である。

0169

ZIC5mRNAの様々な部分に相補的なオリゴヌクレオチドを、標準的な方法に従い、(例えば、肺癌細胞株、例えば、小細胞肺癌(SCLC)細胞株を用いて)腫瘍細胞におけるZIC5の産生を減少させる能力についてインビトロで試験した。候補siRNA組成物と接触させた細胞におけるZIC5遺伝子産物が、候補組成物の非存在下で培養された細胞と比較して減少することは、ZIC5の特異的抗体又はその他の検出ストラテジーを用いて検出する。次いで、インビトロでの細胞系アッセイ又は無細胞アッセイにおいてZIC5の産生を減少させた配列を細胞成長に対する阻害効果について試験する。インビトロでの細胞系アッセイにおいて細胞成長を阻害した配列をラット又はマウスにおいてインビボで試験し、悪性新生物を有する動物においてZIC5産生が減少し、腫瘍細胞成長が減少することを確認する。

0170

悪性腫瘍の治療方法
ZIC5の過剰発現により特徴付けられる腫瘍を有する患者は、ZIC5のsiRNAを投与することによって治療される。siRNA療法は、例えば、小細胞肺癌(SCLC)を患っているか又はそれを発症する危険がある患者におけるZIC5の発現を阻害するために使用され得る。このような患者は、特定の腫瘍型についての標準的方法により同定される。小細胞肺癌(SCLC)は、例えば、コンピュータ連動断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法MRI)、内視鏡的逆行性胆道膵管造影法ERCP)、磁気共鳴胆道膵管造影MRCP)、又は超音波法によって診断される。治療は、その治療が対象におけるZIC5の発現の減少、又は腫瘍のサイズ、有病率、若しくは転移能の減少を含む臨床上の利益をもたらす場合に有効である。治療が予防的に適用される場合、「有効」は、その治療により腫瘍の形成が遅らされるか若しくは抑止されること、又は腫瘍の臨床的症状が抑止若しくは緩和されることを意味する。有効性は、特定の腫瘍型を診断又は治療するための任意の公知の方法と組み合わせて決定される。Harrison's Principles of Internal Medicine, Kasper, et al., eds, 2005, McGraw-Hillを参照のこと。

0171

siRNA療法は、本発明のsiRNAをコードする標準的なベクターによって、及び/又は遺伝子送達系によって、例えば、合成性siRNA分子を送達することによって、一つ又は複数のsiRNAオリゴヌクレオチドを患者に投与することにより行われる。典型的には、合成性siRNA分子は、インビボでのヌクレアーゼによる分解を防止するために化学的に安定化される。化学的に安定化されたRNA分子の調製方法は、当技術分野で周知である。典型的には、このような分子は、リボヌクレアーゼの作用を妨げるよう修飾された骨格及びヌクレオチドを含む。他の修飾も可能であり、例えば、コレステロール結合siRNAは、改善された薬理学的特性を示した(Song et al., (2003) Nature Med. 9:347-51)。その中でも特に、適切な遺伝子送達系には、リポソーム、受容体媒介送達系、又は疱疹ウイルスレトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルスを含むウイルスベクターが含まれ得る。治療用核酸組成物は、薬学的に許容される担体に処方される。治療組成物はまた、上述のような遺伝子送達系を含み得る。薬学的に許容される担体は、動物への投与に適した生物学的に適合する媒体、例えば、生理学的食塩水である。化合物の治療有効量は、治療対象において医学的に望ましい結果、例えばZIC5遺伝子産物の産生の減少、例えば増殖などの細胞の成長の減少、又は腫瘍の成長の減少を生じることのできる量である。

0172

静脈内、皮下、筋肉内、及び腹腔内送達経路を含む非経口投与は、ZIC5のsiRNA組成物を送達するのに使用され得る。肺腫瘍の治療については、肺動脈への直接注入が有用である。

0173

任意の一人の患者に対する用量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与される特定の核酸、性別、投与時間及び投与経路全般的な健康、並びに同時に投与される他の薬物を含む多くの要因に依存する。核酸の静脈内投与のための用量は、およそ106〜1022コピーの核酸分子である。

0174

ポリヌクレオチドは、標準的方法によって、例えば、例として筋肉又は皮膚である組織の間質空間への注射、循環若しくは体腔への導入によって、又は吸入若しくは吹入によって投与される。ポリヌクレオチドは注射されるか、又はそれ以外では水性若しくは部分的に水性の薬学的に許容される液体担体と共に動物に送達される。ポリヌクレオチドは、リポソーム(例えば、カチオン性リポソーム又はアニオン性リポソーム)と組み合わされる。ポリヌクレオチドは標的細胞による発現に必要な遺伝子情報、例えばプロモーターを含む。

0175

本発明の阻害性オリゴヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの一つ又は複数の発現を阻害し、従って本発明のポリペプチドの一つ又は複数の生物学的活性を抑制するのに有用である。また、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はsiRNAを含む発現阻害剤は、それらが本発明のポリペプチドの一つ又は複数の生物学的活性を阻害し得る点で有用である。従って、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はsiRNAの一つ又は複数を含む組成物は、小細胞肺癌を治療するのに有用である。

0176

抗体:
あるいは、SCLCにおいて過剰発現される遺伝子の一つ又は複数の遺伝子産物の機能は、遺伝子産物に結合するかそうでなければその機能を阻害する化合物を投与することによって阻害され得る。例えば、この化合物は、過剰発現される遺伝子産物又は遺伝子産物群に結合する抗体である。

0177

本発明は、抗体、特に上方制御されたマーカー遺伝子によりコードされるタンパク質に対する抗体、又はそのような抗体の断片の使用に言及する。本明細書中で使用する場合、「抗体」という用語は、その抗体を合成するのに使用された抗原(すなわち、上方制御されたマーカーの遺伝子産物)又はそれと密接に関連する抗原とのみ相互作用(すなわち、結合)する、特異的な構造を有する免疫グロブリン分子を意味する。さらに、抗体は、マーカー遺伝子によりコードされるタンパク質の一つ又は複数に結合する限り、抗体の断片又は修飾された抗体であり得る。例として、抗体断片は、Fab、F(ab')2、Fv、又はH鎖及びL鎖由来のFv断片が適切なリンカーで連結された単鎖Fv(scFv)であり得る(Huston J. S. et al., (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5879-83)。より具体的には、抗体断片は、パパイン又はペプシンを含む酵素で抗体を処理することによって作製され得る。あるいは、抗体断片をコードする遺伝子が構築され、発現ベクターに挿入され、そして適切な宿主細胞中で発現され得る(例えば、Co M. S. et al., (1994) J. Immunol. 152:2968-76; Better M. and Horwitz A. H. (1989) MethodsEnzymol. 178:476-96; Pluckthun A. and Skerra A. (1989) Methods Enzymol. 178:497-515; Lamoyi E. (1986) Methods Enzymol. 121:652-63; Rousseaux J. et al., (1986) Methods Enzymol. 121:663-9; Bird R. E. and Walker B. W. (1991) Trends Biotechnol. 9:132-7を参照のこと)。

0178

抗体は、多種の分子、例えばポリエチレングリコール(PEG)との結合により修飾され得る。本発明はこのような修飾された抗体を提供する。修飾抗体は、抗体を化学的に修飾することによって得ることができる。このような修飾方法は当技術分野において慣習的である。

0179

あるいは、抗体は、非ヒト抗体由来可変領域及びヒト抗体由来定常領域を有するキメラ抗体、又は非ヒト抗体由来の相補性決定領域(CDR)、ヒト抗体由来のフレームワーク領域(FR)及び定常領域を含むヒト化抗体を含み得る。このような抗体は、公知技術を使用して調製され得る。ヒト化は、齧歯類CDR又はCDR配列ヒト抗体の対応する配列と置換することによって実行され得る(例えば、Verhoeyen et al., (1988) Science 239:1534-6を参照のこと)。従って、このようなヒト化抗体は、実質的に一つ未満の完全なヒト可変ドメイン非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体である。

0180

ヒトフレームワーク領域及びヒト定常領域に加えてヒト可変領域を含む完全ヒト抗体もまた使用され得る。このような抗体は、当技術分野で公知の多種の技術を用いて製造され得る。例えば、インビトロ法は、バクテリオファージ表面に呈示されたヒト抗体断片の組換えライブラリを使用する(例えば、Hoogenboom & Winter, (1992) J. Mol. Biol. 227:381-8)。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座トランスジェニック動物、例えば、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的に又は完全に不活性化されたマウスに導入することによって作製され得る。このアプローチについては、例えば、米国特許第6,150,584号、同第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号に記載される。このような抗体は公知技術を用いて調製され得る。

0181

癌細胞において生じた特定の分子的変化を標的とする癌療法は、抗癌薬、例えば、進行乳癌の治療のためのトラスツズマブ(Herceptin)、慢性骨髄性白血病のためのメチル化イマチニブ(Gleevec)、非小細胞肺癌(NSCLC)のためのゲフィチニブ(Iressa)、並びにB細胞リンパ腫及びマントル細胞リンパ腫のためのリツキシマブ(抗CD20 mAb)の臨床的開発及び承認申請を通じて実証された(Ciardiello F and Tortora G. (2001) Clin Cancer Res.;7:2958-70. Review; Slamon DJ et al., (2001) N Engl J Med;344:783-92; Rehwald U et al., (2003) Blood;101:420-4; Fang G, et al. (2000). Blood, 96, 2246-53)。これらの薬物は、形質転換した細胞のみを標的とするため、従来の抗癌剤よりも臨床的に効果的であり許容性が良い。従って、このような薬物は癌患者生存率及び生活水準を改善するだけでなく、分子レベルの標的化癌療法の概念をも実証する。さらに、標的化薬物は、標準的な化学療法と併用された場合にその効果を増強し得る(Gianni L. (2002) Oncology, 63 Suppl 1, 47-56; Klejman A, et al. (2002). Oncogene, 21, 5868-76)。従って、将来的に癌治療は、従来の薬物と、腫瘍細胞の異なる特徴、例えば、血管新生及び侵襲性を対象とする標的特異的薬剤との組み合わせにより行われると考えられる。

0182

これらの調節方法は、エクスビボ若しくはインビトロで(例えば、細胞を薬剤と共に培養することによって)、あるいはインビボで(例えば、対象に薬剤を投与することによって)行われ得る。本法は、示差的に発現される遺伝子の異常な発現又はそれらの遺伝子産物の異常な活性を相殺するための療法として、タンパク質若しくはタンパク質の組み合わせ、又は核酸分子若しくは核酸分子の組み合わせの投与を含む。

0183

遺伝子及び遺伝子産物の、それぞれの発現レベル又は生物学的活性が(疾患又は障害を患っていない対象と比較して)増加したことにより特徴付けられる疾患及び障害は、過剰発現される遺伝子又は遺伝子群の活性と拮抗する(すなわち、減少させる又は阻害する)治療剤で治療され得る。活性と拮抗する治療剤は、治療的又は予防的に投与され得る。

0184

従って、本発明の文脈で使用され得る治療剤は、例えば、(i)過剰発現若しくは過小発現される遺伝子若しくは遺伝子群のポリペプチド、又はそれらのアナログ、誘導体、断片、若しくはホモログ、(ii)過剰発現される遺伝子若しくは遺伝子産物に対する抗体、(iii)過剰発現若しくは過小発現される遺伝子若しくは遺伝子群をコードする核酸、(iv)「機能障害性」の(すなわち、一つ又は複数の過剰発現される遺伝子若しくは遺伝子群の核酸への異種的挿入に起因して機能障害性である)アンチセンス核酸若しくは核酸、(v)低分子干渉RNA(siRNA)、又は(vi)調節因子(すなわち、過剰発現若しくは過小発現されるポリペプチドとその結合相手との間の相互作用を変化させる阻害剤、アゴニスト、及びアンタゴニスト)を含む。機能障害性アンチセンス分子は、相同組換えによってポリペプチドの内因的機能を「ノックアウト」するために使用される(例えば、Capecchi, (1989) Science 244: 1288-92を参照のこと)。

0185

生物学的活性の(その疾患又は障害を患っていない対象と比較した)減少により特徴付けられる疾患及び障害は、活性を増加させる(すなわちその活性に対するアゴニストである)治療剤を用いて治療され得る。活性を上方制御する治療剤は、治療的又は予防的な様式で投与され得る。使用され得る治療剤には、ポリペプチド(又はそのアナログ、誘導体、断片、若しくはホモログ)又は生物学的利用能を向上させるアゴニストが含まれるがこれらに限定されない。

0186

増加又は減少したレベルは、患者の組織試料を(例えば、生検組織から)得、これをインビトロでRNA若しくはペプチドのレベル、発現されたペプチド(若しくは発現が変化した遺伝子のmRNA)の構造及び/又は活性についてアッセイすることによりペプチド及び/又はRNAを定量することによって容易に検出され得る。当技術分野で周知の方法には、免疫アッセイ(例えば、ウェスタンブロット分析、免疫沈降及びその後のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミド電気泳動免疫細胞化学的方法等によるアッセイ)及び/又はmRNAの発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロットインサイチューハイブリダイゼーション等)が含まれるがこれらに限定されない。

0187

予防的投与は、疾患の臨床的症状がはっきりと顕れる前に、疾患又は障害が抑止されるかあるいはその進行が遅延するよう行われる。

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