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課題

波面測定方法および装置において、被測定面および参照面相対移動位置決め精度による測定誤差を低減して、波面測定測定精度を向上することができるようにする。

解決手段

被測定面および参照面の光軸方向の相対位置を測定基準位置が含まれる範囲で、一定の位相増分よりも細かいピッチで変化するように移動させて、相対位置の情報とn個の干渉縞画像の候補となるm個(mはnより大きい整数)の候補画像とを取得する候補画像取得工程(ステップS1)と、m個の候補画像のうちから解析候補画像群として、一定の位相増分を有すると見なすことができるn個の候補画像の組を複数選出する解析候補画像群選出工程(ステップS2〜S4)と、各組の解析候補画像群に応じた波面を算出する波面算出工程(ステップS5)と、各解析候補画像群取得位置位置ずれ量が最小となる波面を選択する波面選択工程(ステップS6)とを備える波面測定方法とする。

概要

背景

従来、光学素子レンズ面、反射面、透過面などの曲面形状を測定したり、光学素子の波面収差を測定したりするために、干渉計を用いて、被測定面と参照面とに光束を照射しそれぞれを反射または透過した測定光参照光とにより干渉縞画像を形成し、この干渉縞画像を解析して測定光の波面を測定する波面測定方法および装置が種々知られている。
このような波面測定方法としては、被測定面と参照面とを相対移動することで測定光と参照光との位相をずらして複数の干渉縞画像を取得し、各干渉縞画像の同一位置における輝度変化から位相シフト量位相変化)を求め、測定光の波面を算出するフリンジスキャン法が知られている。例えば、各干渉縞画像の位相シフト量が、0、π/2、π、3π/2、2πである5個の干渉縞画像を用いて測定光の波面を求める解析方法および解析式は、5バケット法として知られている。この他にも、解析に用いる干渉縞画像の個数に応じて、7バケット法、9バケット法、13バケット法などが知られている。
例えば、特許文献1には、マイクロメータヘッドを用いた粗動機構圧電素子で構成される微動機構とによって、被検レンズ光軸方向に移動可能に保持し、参照レンズに対して被検レンズを、π/2の位相シフト量に相当するλ/8(λは光源波長)ずつ移動させ、それぞれの移動位置で、干渉縞撮像ユニットによって干渉縞画像を撮像し、これにより得られた干渉縞画像データ干渉縞解析装置取込むことを5回繰り返し、得られた5個の干渉縞画像から5バケット法により波面を求めることができる干渉計(波面測定装置)が記載されている。
特許文献1に記載の干渉計によれば、まず、粗動機構によって、干渉縞画像が取得できる位置に被検レンズを位置合わせし、5個の干渉縞画像を取得して5バケット法により波面を測定し、この波面の情報と被検レンズのレンズデータとを用いて、波面の測定誤差が最小となる位置からの被検レンズの光軸方向の位置ずれ量を求める。そして、この位置ずれ量に基づいて微動機構を駆動し、同様にして波面および位置ずれ量を求め、位置ずれ量が許容範囲となるまでこれを繰り返し、位置ずれ量が許容範囲となったときの波面からレンズ面の面形状を算出する。
特開2005−265586号公報

概要

波面測定方法および装置において、被測定面および参照面の相対移動の位置決め精度による測定誤差を低減して、波面測定測定精度を向上することができるようにする。被測定面および参照面の光軸方向の相対位置を測定基準位置が含まれる範囲で、一定の位相増分よりも細かいピッチで変化するように移動させて、相対位置の情報とn個の干渉縞画像の候補となるm個(mはnより大きい整数)の候補画像とを取得する候補画像取得工程(ステップS1)と、m個の候補画像のうちから解析候補画像群として、一定の位相増分を有すると見なすことができるn個の候補画像の組を複数選出する解析候補画像群選出工程(ステップS2〜S4)と、各組の解析候補画像群に応じた波面を算出する波面算出工程(ステップS5)と、各解析候補画像群取得位置の位置ずれ量が最小となる波面を選択する波面選択工程(ステップS6)とを備える波面測定方法とする。

目的

本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、被測定面および参照面の相対移動の位置決め精度による測定誤差を低減して、波面測定の測定精度を向上することができる波面測定方法および装置を提供することを目的とする。

効果

実績

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請求項1

同一の光束を、曲面からなる被測定面で反射または透過される測定光と、該測定光と干渉させる参照光とに分割し、曲面からなる参照面によって前記参照光および前記測定光のいずれかの波面を変換して、前記測定光と前記参照光とにより干渉縞を形成し、前記被測定面と前記参照面とを光軸方向に相対移動して、一定の位相増分を有すると見なすことができるn個(nは3以上の整数)の干渉縞画像を取得し、該n個の干渉縞画像を用いて前記測定光の波面を測定する波面測定方法であって、前記被測定面および前記参照面の光軸方向の相対位置を、前記干渉縞の縞本数が最小となる光軸方向の測定基準位置が含まれる範囲で、前記測定光および前記参照光の位相差が前記一定の位相増分よりも細かいピッチで変化するように移動させて、前記相対位置の情報と前記n個の干渉縞画像の候補となるm個(mはnより大きい整数)の候補画像とを取得する候補画像取得工程と、該候補画像取得工程で取得された前記m個の候補画像のうちから、前記測定光の波面を算出するための解析候補画像群として、前記一定の位相増分を有すると見なすことができるn個の候補画像の組を複数選出する解析候補画像群選出工程と、該解析候補画像群選出工程で選出された前記複数組の解析候補画像群をそれぞれ解析して、各組の解析候補画像群に応じた波面を算出する波面算出工程と、該波面算出工程で算出された各波面の情報から、前記各解析候補画像群取得位置の前記測定基準位置からの光軸方向の位置ずれ量を評価し、該位置ずれ量の評価値が最小となる波面を、前記測定光の波面として選択する波面選択工程とを備えることを特徴とする波面測定方法。

請求項2

前記波面選択工程では、前記波面算出工程で算出された前記各波面を次式で表される2次式で近似し、該2次式の2次項係数の大きさから、前記位置ずれ量を評価することを特徴とする請求項1に記載の波面測定方法。Z(X,Y)=C0+C1・X+C2・Y+C3・(X2+Y2)・・・(1)ここで、(X,Y,Z)は、光軸方向をZ軸方向とするXYZ直角座標系における波面の座標値であり、C0は定数項、C1、C2は1次項、C3は2次項の近似係数である。

請求項3

前記候補画像取得工程では、前記光軸方向の相対位置を一方向に向けて変化させつつ、一定のサンプリング周期で時系列の前記候補画像を取得し、前記相対位置の情報は、前記時系列上の位置情報として取得し、前記解析候補画像群選出工程では、前記一定の位相増分を有すると見なすことができる複数の候補画像を、前記時系列の候補画像の一定位置の干渉縞の輝度変化から前記時系列上の位置情報と位相との関係を推定する演算を行って選ぶようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の波面測定方法。

請求項4

前記候補画像取得工程では、前記光軸方向の相対位置を変化させつつ該光軸方向の相対位置を測定することにより、前記相対位置の情報および前記候補画像を取得し、前記解析候補画像群選出工程では、前記一定の位相増分を有すると見なすことができる複数の候補画像を、前記測定された相対位置の情報に基づいて選ぶようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の波面測定方法。

請求項5

前記一定の位相増分はπ/2、前記nは5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の波面測定方法。

請求項6

同一の光束を、曲面からなる被測定面で反射または透過される測定光と、該測定光と干渉させる参照光とに分割し、曲面からなる参照面によって前記参照光および前記測定光のいずれかの波面を変換して、前記測定光と前記参照光とにより干渉縞を形成させ、一定の位相増分を有すると見なすことができるn個(nは3以上の整数)の干渉縞画像を取得する干渉計を有し、該干渉計で取得された前記n個の干渉縞画像を用いて測定光の波面を測定する波面測定装置であって、前記被測定面および前記参照面の光軸方向の相対位置を、前記干渉縞の縞本数が最小となる光軸方向の測定基準位置が含まれる範囲で、前記測定光および前記参照光の位相差が前記一定の位相増分よりも細かいピッチで変化するように移動させる相対移動機構と、該相対移動機構から、前記相対位置の情報を取得する相対位置情報取得部と、前記干渉計から、前記n個の干渉縞画像の候補となるm個(mはnより大きい整数)の候補画像を取得する候補画像取得部と、前記相対位置情報取得部および前記候補画像取得部によって取得された前記相対位置の情報および前記m個の候補画像を互いに関連づけて記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された前記相対位置の情報および前記m個の候補画像のうちから、前記測定光の波面を算出するための解析候補画像群として、前記一定の位相増分を有すると見なすことができるn個の候補画像の組を複数選出する解析候補画像群選出部と、該解析候補画像群選出部で選出された前記複数組の解析候補画像群をそれぞれ解析して、各組の解析候補画像群に応じた波面を算出する波面算出部と、該波面算出部で算出された各波面の情報から、前記各解析候補画像群の取得位置の前記測定基準位置からの光軸方向の位置ずれ量を評価し、該位置ずれ量の評価値が最小となる波面を、前記測定光の波面として選択する波面選択部とを備えることを特徴とする波面測定装置。

請求項7

前記波面選択部は、前記波面算出部で算出された前記各波面を次式で表される2次式で近似し、該2次式の2次項の係数の大きさから、前記位置ずれ量を評価することを特徴とする請求項6に記載の波面測定装置。Z(X,Y)=C0+C1・X+C2・Y+C3・(X2+Y2)・・・(1)ここで、(X,Y,Z)は、光軸方向をZ軸方向とするXYZ直角座標系における波面の座標値であり、C0は定数項、C1、C2は1次項、C3は2次項の近似係数である。

技術分野

0001

本発明は、波面測定方法および装置に関する。

背景技術

0002

従来、光学素子レンズ面、反射面、透過面などの曲面形状を測定したり、光学素子の波面収差を測定したりするために、干渉計を用いて、被測定面と参照面とに光束を照射しそれぞれを反射または透過した測定光参照光とにより干渉縞画像を形成し、この干渉縞画像を解析して測定光の波面を測定する波面測定方法および装置が種々知られている。
このような波面測定方法としては、被測定面と参照面とを相対移動することで測定光と参照光との位相をずらして複数の干渉縞画像を取得し、各干渉縞画像の同一位置における輝度変化から位相シフト量位相変化)を求め、測定光の波面を算出するフリンジスキャン法が知られている。例えば、各干渉縞画像の位相シフト量が、0、π/2、π、3π/2、2πである5個の干渉縞画像を用いて測定光の波面を求める解析方法および解析式は、5バケット法として知られている。この他にも、解析に用いる干渉縞画像の個数に応じて、7バケット法、9バケット法、13バケット法などが知られている。
例えば、特許文献1には、マイクロメータヘッドを用いた粗動機構圧電素子で構成される微動機構とによって、被検レンズ光軸方向に移動可能に保持し、参照レンズに対して被検レンズを、π/2の位相シフト量に相当するλ/8(λは光源波長)ずつ移動させ、それぞれの移動位置で、干渉縞撮像ユニットによって干渉縞画像を撮像し、これにより得られた干渉縞画像データ干渉縞解析装置取込むことを5回繰り返し、得られた5個の干渉縞画像から5バケット法により波面を求めることができる干渉計(波面測定装置)が記載されている。
特許文献1に記載の干渉計によれば、まず、粗動機構によって、干渉縞画像が取得できる位置に被検レンズを位置合わせし、5個の干渉縞画像を取得して5バケット法により波面を測定し、この波面の情報と被検レンズのレンズデータとを用いて、波面の測定誤差が最小となる位置からの被検レンズの光軸方向の位置ずれ量を求める。そして、この位置ずれ量に基づいて微動機構を駆動し、同様にして波面および位置ずれ量を求め、位置ずれ量が許容範囲となるまでこれを繰り返し、位置ずれ量が許容範囲となったときの波面からレンズ面の面形状を算出する。
特開2005−265586号公報

発明が解決しようとする課題

0003

しかしながら、上記のような従来の波面測定方法および装置には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、フリンジスキャン法によって波面を算出するとともに、波面の測定誤差が最小となる位置からの、参照レンズに対する被検レンズの光軸方向の位置ずれ量を算出して、この位置ずれを補正するため、位置ずれを補正しない場合に比べて波面測定測定精度を向上することができる。ところが、微動機構として用いる圧電素子は、非線形特性ヒステリシス特性とを有しており、参照レンズと被検レンズとの間の距離を十数ナノメートル以下の位置決め精度で光軸方向に位置合わせすることは難しい。そのため、圧電素子の位置決め精度よりも高精度には波面測定を行うことができないという問題がある。

0004

本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、被測定面および参照面の相対移動の位置決め精度による測定誤差を低減して、波面測定の測定精度を向上することができる波面測定方法および装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、同一の光束を、曲面からなる被測定面で反射または透過される測定光と、該測定光と干渉させる参照光とに分割し、曲面からなる参照面によって前記参照光および前記測定光のいずれかの波面を変換して、前記測定光と前記参照光とにより干渉縞を形成し、前記被測定面と前記参照面とを光軸方向に相対移動して、一定の位相増分を有すると見なすことができるn個(nは3以上の整数)の干渉縞画像を取得し、該n個の干渉縞画像を用いて前記測定光の波面を測定する波面測定方法であって、前記被測定面および前記参照面の光軸方向の相対位置を、前記干渉縞の縞本数が最小となる光軸方向の測定基準位置が含まれる範囲で、前記測定光および前記参照光の位相差が前記一定の位相増分よりも細かいピッチで変化するように移動させて、前記相対位置の情報と前記n個の干渉縞画像の候補となるm個(mはnより大きい整数)の候補画像とを取得する候補画像取得工程と、該候補画像取得工程で取得された前記m個の候補画像のうちから、前記測定光の波面を算出するための解析候補画像群として、前記一定の位相増分を有すると見なすことができるn個の候補画像の組を複数選出する解析候補画像群選出工程と、該解析候補画像群選出工程で選出された前記複数組の解析候補画像群をそれぞれ解析して、各組の解析候補画像群に応じた波面を算出する波面算出工程と、該波面算出工程で算出された各波面の情報から、前記各解析候補画像群取得位置の前記測定基準位置からの光軸方向の位置ずれ量を評価し、該位置ずれ量の評価値が最小となる波面を、前記測定光の波面として選択する波面選択工程とを備える方法とする。
この発明によれば、候補画像取得工程において、干渉縞の縞本数が最小となる光軸方向の測定基準位置が含まれる範囲で、測定光および参照光の位相差が一定の位相増分よりも細かいピッチで変化するように移動させて、n個の干渉縞画像の候補となるm個の候補画像とを取得し、解析候補画像群選出工程において、m個の候補画像のうちから解析候補画像群として、一定の位相増分を有すると見なすことができるn個の候補画像の組を複数選出し、波面算出工程で各組の解析候補画像群に応じた波面を算出し、波面選択工程では、これら算出された波面の情報から、各解析候補画像群の取得位置の光軸方向の測定基準位置からの位置ずれ量を評価し、この位置ずれ量の評価値が最小となる波面を、測定光の波面として選択する。
このように、被測定面および参照面との光軸方向の相対位置を移動する際の、位置決め精度が低精度であっても、位置決め精度よりも高精度となる移動送り量の精度の範囲で、m個の候補画像の中から測定基準位置にもっとも近い候補画像およびこの候補画像を中心として一定の位相増分を有するn個の解析候補画像群を選出することができるので、精度よく波面測定を行うことができる。

0006

請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の波面測定方法において、前記波面選択工程では、前記波面算出工程で算出された前記各波面を次式で表される2次式で近似し、該2次式の2次項係数の大きさから、前記位置ずれ量を評価する方法とする。
Z(X,Y)=C0+C1・X+C2・Y+C3・(X2+Y2) ・・・(1)
ここで、(X,Y,Z)は、光軸方向をZ軸方向とするXYZ直角座標系における波面の座標値であり、C0は定数項、C1、C2は1次項、C3は2次項の近似係数である。
この発明によれば、光軸方向の測定基準位置からの位置ずれ量と式(1)の2次項の係数C3で表される波面のパワー成分との関係から位置ずれ量を評価することができる。

0007

請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の波面測定方法において、前記候補画像取得工程では、前記光軸方向の相対位置を一方向に向けて変化させつつ、一定のサンプリング周期で時系列の前記候補画像を取得し、前記相対位置の情報は、前記時系列上の位置情報として取得し、前記解析候補画像群選出工程では、前記一定の位相増分を有すると見なすことができる複数の候補画像を、前記時系列の候補画像の一定位置の干渉縞の輝度変化から前記時系列上の位置情報と位相との関係を推定する演算を行って選ぶようにした方法とする。
この発明によれば、候補画像取得工程において、光軸方向の相対位置を一方向に向けて変化させつつ、一定のサンプリング周期で時系列の候補画像を取得し、解析候補画像群選出工程では、一定の位相増分を有すると見なすことができる複数の候補画像を、時系列の候補画像の一定位置の干渉縞の輝度変化から時系列上の位置情報と位相との関係を推定する演算を行って選ぶので、例えば、圧電素子のように、非線形特性やヒステリシス特性を有する移動機構を用いても、制御が容易となり、かつ正確な測定を行うことができる。

0008

請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載の波面測定方法において、前記候補画像取得工程では、前記光軸方向の相対位置を変化させつつ該光軸方向の相対位置を測定することにより、前記相対位置の情報および前記候補画像を取得し、前記解析候補画像群選出工程では、前記一定の位相増分を有すると見なすことができる複数の候補画像を、前記測定された相対位置の情報に基づいて選ぶようにした方法とする。
この発明によれば、候補画像取得工程において、光軸方向の相対位置を変化させつつこの光軸方向の相対位置を測定することにより、相対位置の情報および候補画像を取得し、解析候補画像群選出工程では、一定の位相増分を有すると見なすことができる複数の候補画像を、測定された相対位置の情報に基づいて選ぶので、例えば、圧電素子のように、非線形特性を有する移動機構であっても、移動量の校正などの手間をかけることなく、正確な測定を行うことができる。

0009

請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の波面測定方法において、前記一定の位相増分はπ/2、前記nは5である方法とする。
この発明によれば、位相がπ/2ずつずれていると見なすことができる5個の干渉縞画像を用いるので高精度かつ迅速な測定を行うことができる。

0010

請求項6に記載の発明では、同一の光束を、曲面からなる被測定面で反射または透過される測定光と、該測定光と干渉させる参照光とに分割し、曲面からなる参照面によって前記参照光および前記測定光のいずれかの波面を変換して、前記測定光と前記参照光とにより干渉縞を形成させ、一定の位相増分を有すると見なすことができるn個(nは3以上の整数)の干渉縞画像を取得する干渉計を有し、該干渉計で取得された前記n個の干渉縞画像を用いて測定光の波面を測定する波面測定装置であって、前記被測定面および前記参照面の光軸方向の相対位置を、前記干渉縞の縞本数が最小となる光軸方向の測定基準位置が含まれる範囲で、前記測定光および前記参照光の位相差が前記一定の位相増分よりも細かいピッチで変化するように移動させる相対移動機構と、該相対移動機構から、前記相対位置の情報を取得する相対位置情報取得部と、前記干渉計から、前記n個の干渉縞画像の候補となるm個(mはnより大きい整数)の候補画像を取得する候補画像取得部と、前記相対位置情報取得部および前記候補画像取得部によって取得された前記相対位置の情報および前記m個の候補画像を互いに関連づけて記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された前記相対位置の情報および前記m個の候補画像のうちから、前記測定光の波面を算出するための解析候補画像群として、前記一定の位相増分を有すると見なすことができるn個の候補画像の組を複数選出する解析候補画像群選出部と、該解析候補画像群選出部で選出された前記複数組の解析候補画像群をそれぞれ解析して、各組の解析候補画像群に応じた波面を算出する波面算出部と、該波面算出部で算出された各波面の情報から、前記各解析候補画像群の取得位置の前記測定基準位置からの光軸方向の位置ずれ量を評価し、該位置ずれ量の評価値が最小となる波面を、前記測定光の波面として選択する波面選択部とを備える構成とする。
この発明によれば、相対移動機構および干渉計によって、干渉縞の縞本数が最小となる光軸方向の測定基準位置が含まれる範囲で、測定光および参照光の位相差が一定の位相増分よりも細かいピッチで変化させつつ干渉縞を発生させ、候補画像取得部によってn個の干渉縞画像の候補となるm個の候補画像とを取得し、相対位置情報取得部によって被測定面および参照面の光軸方向の相対位置の情報を取得し、それぞれによって取得された相対位置の情報およびm個の候補画像を互いに関連づけて記憶部に記憶する。そして、解析候補画像群選出部によって、記憶部に記憶された相対位置の情報およびm個の候補画像のうちから、解析候補画像群として、一定の位相増分を有すると見なすことができるn個の候補画像の組を複数選出し、波面算出部によって各組の解析候補画像群に応じた波面を算出する。そして波面選択部では、これら算出された波面の情報から、各解析候補画像群の取得位置の光軸方向の測定基準位置からの位置ずれ量を評価し、この位置ずれ量の評価値が最小となる波面を、測定光の波面として選択する。
このように、被測定面および参照面との光軸方向の相対位置を移動する際、相対移動機構の位置決め精度が低精度であっても、位置決め精度よりも高精度となる移動送り量の精度の範囲で、m個の候補画像の中から測定基準位置にもっとも近い候補画像およびこの候補画像を中心として一定の位相増分を有するn個の解析候補画像群を選出することができるので、精度よく波面測定を行うことができる。
また、請求項6に記載の波面測定装置は、請求項1に記載の波面測定方法に用いることができる装置となっている。

0011

請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の波面測定装置において、前記波面選択部は、前記波面算出部で算出された前記各波面を次式で表される2次式で近似し、該2次式の2次項の係数の大きさから、前記位置ずれ量を評価する構成とする。
Z(X,Y)=C0+C1・X+C2・Y+C3・(X2+Y2) ・・・(1)
ここで、(X,Y,Z)は、光軸方向をZ軸方向とするXYZ直角座標系における波面の座標値であり、C0は定数項、C1、C2は1次項、C3は2次項の近似係数である。
この発明によれば、光軸方向の測定基準位置からの位置ずれ量と式(1)の2次項の係数C3で表される波面のパワー成分との関係から位置ずれ量を評価することができる。

発明の効果

0012

本発明の波面測定方法および装置によれば、m個の候補画像のうちから複数組の解析候補画像群を選出して各波面を算出し、この各波面の情報によって測定基準位置からの光軸方向の位置ずれ量の評価値が最小となる波面を求めるので、測定面および参照面の相対移動の位置決め精度による測定誤差を低減して、波面測定の測定精度を向上することができるという効果を奏する。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下では、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。

0014

[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る波面測定装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る波面測定装置の概略構成を示す模式構成図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る波面測定装置の制御手段の機能構成を示す機能ブロック図である。

0015

本実施形態の波面測定装置50は、フィゾー型の光学系を有する干渉計51を用いて被測定面5での反射光の波面を測定し、被測定面5の面形状を測定することができるものである。波面測定装置50は、本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法を実施することができる装置である。
波面測定装置50の概略構成は、図1に示すように、レーザー光源1、コリメートレンズ2、ビームスプリッタ3、フィゾーレンズ4、ピエゾ素子8(相対移動機構)、およびピエゾ素子コントローラ9、調整ステージ12、集光レンズ6、CCD7、測定制御部10からなる。測定制御部10には、形状測定に必要な操作入力設定情報の入力を行うため、例えば、キーボードマウス等からなる操作部13と、CCD7によって撮像された画像や形状測定結果などを表示するためモニタ等からなる表示部11とが電気的に接続されている。
ここで、レーザー光源1、コリメートレンズ2、ビームスプリッタ3、フィゾーレンズ4、および集光レンズ6は、干渉計51を構成する。
被測定面5としては、適宜の形状を測定できるが、以下では、凹面形状を測定する場合の構成例を用いて説明する。

0016

レーザー光源1は、干渉縞を形成するためのコヒーレント光を発生する光源で、本実施形態では、一例として、波長λ=632.8(nm)のレーザー光発散光として発生する光源を採用している。
レーザー光源1によって発生された発散光は、コリメートレンズ2によって平行光30a(同一の光束)とされ、ビームスプリッタ3に入射される。
ビームスプリッタ3は、平行光30aを反射してフィゾーレンズ4の光軸上に導くとともに、フィゾーレンズ4側から入射する後述の被測定面反射光30c、参照面反射光30dを透過する光分岐素子である。

0017

フィゾーレンズ4は、光軸上に入射された平行光30aの一部をフィゾー面4a(曲面からなる参照面)で反射して、参照面反射光30d(参照光)を形成し、光軸上に入射された平行光30aの他の部分を透過光30bとして透過し、透過光30bを集光するレンズである。
フィゾー面4aの形状は、被測定面5の理想的な形状に併せて精度よく仕上げられている。このため、フィゾー面4aは、被測定面5で反射された被測定面反射光30cの波面を変換して参照面反射光30dとの干渉縞を形成するための参照面を構成している。

0018

ピエゾ素子8は、フィゾーレンズ4を光軸に沿う方向に移動可能に保持し、調整ステージ12によって位置が固定された被測定面5に対するフィゾー面4aの光軸方向の相対位置を変化させる相対移動機構である。これにより、フィゾー面4a上における被測定面反射光30cと参照面反射光30dとの間の光路差を波長λに比べて十分小さな微小量ずつ変化させることができるようになっている。
ピエゾ素子8の移動可能範囲は、λ/2以上あればよいが、調整ステージ12による測定開始前位置調整を簡略化するためには、できるだけ広いことが好ましい。例えば、2λか3λ(または、1.2μmから1.9μm)程度の移動が可能であることが好ましい。
ピエゾ素子8の移動量は、ピエゾ素子8に電気的に接続されたピエゾ素子コントローラ9によって印加電圧を変化させることで制御される。

0019

ピエゾ素子コントローラ9は、測定制御部10からの制御信号に基づいて、ピエゾ素子8に印加する電圧を制御し、ピエゾ素子8の伸縮量を制御し、これによりフィゾー面4aの被測定面5に対する光軸方向の相対位置を制御するものである。
ピエゾ素子コントローラ9の概略構成は、図2に示すように、演算部35、タイマー36、D/A変換部37、およびアンプ部38からなる。
演算部35は、測定制御部10から送出される立ち上がり時間、指令電圧の制御信号に応じて、立ち上がり時間内に印加電圧を0Vから指令電圧まで直線的に増大する印加電圧データを生成し、測定制御部10からの移動開始信号によって、印加電圧データを順次D/A変換部37に供給するものである。
タイマー36は、演算部35から適宜周期で印加電圧データをアンプ部38に送出するための基準クロックを供給するものである。
D/A変換部37は、演算部35によって供給される印加電圧データを電圧信号に変換するものである。この電圧信号は、アンプ部38により増幅されて、ピエゾ素子8を駆動する印加電圧としてピエゾ素子8に出力される。
このように、本実施形態のピエゾ素子コントローラ9によれば、測定制御部10からの移動開始信号に応じて、ピエゾ素子8を一定方向に連続的に駆動する印加電圧が供給することができるようになっている。

0020

調整ステージ12は、被測定面5の光軸を干渉計51の光軸に合わせるとともに、フィゾー面4aに対する光軸方向の距離を、初期設定するものであり、本実施形態では、例えば、干渉計51の光軸方向、光軸に直交する方向の相対位置を調整するXYZステージ、および干渉計51の光軸に対する傾斜角を調整する2軸のゴニオステージからなる。
調整ステージ12に支持された被測定面5は、少なくとも面形状の測定を行う際には、被測定面5の光軸がフィゾーレンズ4の光軸に一致されるとともに、被測定面5の曲率中心が、フィゾーレンズ4による透過光30bの集光位置の近傍に位置するように配置される。
被測定面5の曲率中心の光軸方向の位置が、フィゾーレンズ4による透過光30bの集光位置に一致する位置関係にあることを、以下では測定基準位置にあると称する。測定基準位置では、後述する干渉縞の縞本数が最小になる。

0021

被測定面5に入射された透過光30bは、被測定面反射光30cとして反射される。このとき、被測定面5、フィゾーレンズ4の光軸が一致するとともに、被測定面5の曲率中心がフィゾーレンズ4の集光位置の近傍に位置しているため、透過光30bの光線が被測定面5の法線に沿って入射し、被測定面反射光30cは、透過光30bと略同一の光路逆進して、フィゾーレンズ4に再入射し、フィゾー面4aで参照面反射光30dと干渉縞を形成して、ビームスプリッタ3に向けて透過される。
したがって、被測定面反射光30c、参照面反射光30dは、いずれも、同一の光束である(すなわち、元来同じ1つの光束である)平行光30aがフィゾー面4aによって分割されて形成された光束である。そして、被測定面反射光30cは、被測定面5で反射されることで被測定面5の形状に応じて波面が変化した測定光となっている。一方、参照面反射光30dは、フィゾー面4aで反射されることでフィゾー面4aの形状に対応した波面を有する参照光となっている。また、被測定面反射光30cは、被測定面5で反射されて略同一光路を逆進することで、参照面反射光30dに対して、フィゾー面4aと被測定面5との間の光路長の略2倍の光路差を有している。

0022

集光レンズ6は、被測定面反射光30c、参照面反射光30dによる干渉縞を、CCD7の撮像面7a上に投影する光学素子である。
CCD7は、撮像面7a上に投影された干渉縞画像を所定のビデオレート光電変換する撮像素子である。ビデオレートとしては、必要に応じて適宜の値を採用することができるが、例えば、30fpsのものを好適に採用することができる。
CCD7は、測定制御部10に電気的に接続されており、測定制御部10によって撮像動作を制御され、CCD7で撮像した画像信号は測定制御部10に送出される。

0023

測定制御部10の機能ブロック構成は、図2に示すように、画像取得部20、候補画像取得部21、移動制御部22、記憶部23、解析候補画像群選出部24、波面算出部25、波面選択部26、および表示制御部27からなる。

0024

画像取得部20は、CCD7から送出される画像信号を、候補画像取得部21から指示されたタイミングで画像フレームごとに取り込んで、輝度データに変換し、2次元の画像データとして候補画像取得部21に送出するものである。

0025

候補画像取得部21は、操作部13の操作入力に基づいて画像取得部20の画像取り込みのタイミングを制御するとともに、予め操作部13から設定された移動開始位置および移動終了位置の情報に基づいて移動制御部22の移動動作の条件を設定し、操作部13の操作入力に基づいて移動開始信号を送出するものである。
そして、候補画像取得部21は、画像取得部20による画像取り込みが開始されると、画像取得部20からフィゾー面4aの一定方向への移動に対応して時系列での位相変化を伴って順次に送出される各画像データ(以下、時系列画像と称する)をそれらの各移動位置における位相に対応する取り込み順序の情報(以下、時系列上の位置情報と称する)に関連づけて記憶部23に記憶させる。例えば、時系列上のi番目に取得された時系列画像をFi(ただし、i=1,…,m)としたとき、候補画像取得部21は、iの値に応じて、時系列画像Fiを呼び出せるようになっている。
ここで、iは時系列上の位置情報であり、iに対応する時系列画像Fiは一定の位相増分を有すると見なすことができるn個の干渉縞画像の候補となる候補画像を構成している。
候補画像取得部21が移動制御部22に設定する移動動作の条件は、本実施形態では、測定基準位置を含む光軸方向の移動範囲Lにおいて、m個(ただし、mは4以上の整数)の候補画像を取得するため、一定の立ち上がり時間T内で、ピエゾ素子8に対する指令電圧を一定速度で変化させる、といった条件を設定する。このため、候補画像取得部21のサンプリング周期ΔTは、ΔT=T/(m−1)である。

0026

本実施形態の候補画像取得部21は、上記のように、ピエゾ素子8の移動動作の条件設定を行うことで、時系列上の位置情報iが被測定面5およびフィゾー面4aの光軸方向の相対位置の情報となるようにしている。そのため、候補画像取得部21は、ピエゾ素子8(相対移動機構)から相対位置の情報を取得する相対位置情報取得部を兼ねている。

0027

移動制御部22は、候補画像取得部21からの移動動作の条件の設定値および移動開始信号に基づいて、ピエゾ素子コントローラ9を制御し、ピエゾ素子コントローラ9の制御によるピエゾ素子8の移動が終了したことを検知すると候補画像取得部21に通知し、その後、ピエゾ素子8を初期状態復帰させる制御を行うものである。
これにより、本実施形態では、ピエゾ素子8が、一定時間T内に一定方向に向けて連続的に伸長されることで、フィゾーレンズ4が、距離Lだけ移動されるようになっている。
記憶部23は、候補画像取得部21から送出された時系列画像Fiおよび時系列上の位置情報iを記憶するものである。

0028

解析候補画像群選出部24は、記憶部23に記憶された時系列上の位置情報i、およびiに対応する時系列画像Fiのm個のうちから、被測定面5の形状を算出するための解析候補画像群として、一定の位相増分Δφを有すると見なすことができるn個(ただし、nは、3≦n<mの整数)の解析候補画像群の組を複数選出するものである。例えば、k番目の解析候補画像群Gkを、Gk={Fk,Fk1,…,Fk(n−1)}(ただし、各添字の大きさは、1以上m以下であり、大きさの順序は、k<k1<…<k(n−1))と表すことにする。
本実施形態では、一例として、Δφ=π/2、n=5の例で説明する。このΔφ=π/2は、フィゾーレンズ4の移動距離としてはλ/8に対応する。また、画像データの個数mは、n個の候補画像の間の位相差のΔφに対する誤差が十分小さくなるように選定する。本実施形態では、一例としてm=40の場合で説明する。

0029

波面算出部25は、解析候補画像群選出部24によって選出された解析候補画像群Gkから、それぞれの各時系列画像の波面hkを算出するものである。本実施形態では、一例として、P・ハリラン(P.Hariharan)、B・F・オレブ(B.F.Oreb)、T・エイジュ(T.Eiju)、「アプライオプティックス」("Applied Optics")、(米国)、1987年、26巻、pp.2504−2506、に開示されている、いわゆる5バケット法から算出している。
例えば、解析候補画像群Gkから、それぞれの時系列画像Fk、Fk1、Fk2、Fk3、Fk4の一定位置(座標(x,y)で表す)での輝度をそれぞれ位置強度データgj(x,y)(ただし、j=1,…,5)と表すと、座標(x,y)における位相θk(x,y)は、次式(2)から算出することができる。ただし、式(2)では、簡単のため、θk(x,y)、gj(x,y)を、それぞれ、θ、gjで表している。
ここで、座標(x,y)は、光軸に直交する平面内で光軸位置原点(0,0)とするxy座標系での座標を意味する。なお、このxy座標系は、測定制御部10の内部では、集光レンズ6の投影倍率などによって、干渉縞画像上の位置と対応づけられているので、以下では、画像上の位置も単に(x,y)で表すものとする。

0030

0031

すなわち、解析候補画像群Gkから算出される各時系列画像の波面hk(x,y)は、式(2)で表される位相θk(x,y)を用いて、次式(3)で表すことができる。なお、以下では、誤解のおそれのない場合には、(x,y)を省略して、単に波面hk、位相θkと称する場合がある。

0032

hk(x,y)=λ・θk(x,y)/4π ・・・(3)

0033

波面選択部26は、各波面hkの情報から、解析候補画像群Gkの各時系列画像の取得位置の光軸方向の測定基準位置からの位置ずれ量ΔZを評価し、この位置ずれ量ΔZの評価値が最小となる波面hkを、被測定面5の形状を表す波面hとして選択するものである。
本実施形態のΔZは、波面hkを下記式(1)で近似したときのパワー成分である係数C3を用いて、下記式(4)から算出する。

0034

Z(X,Y)=C0+C1・X+C2・Y+C3・(X2+Y2) ・・・(1)
ここで、(X,Y,Z)は、光軸方向をZ軸方向とするXYZ直角座標系における波面の座標値であり、C0は定数項、C1、C2は1次項、C3は2次項の近似係数である。

0035

0036

ここで、Fnoは、被測定面5のFナンバーである。式(4)は、被測定面5の曲率半径がΔZに比べて十分大きい場合に、ΔZの良好な評価値を与える。

0037

表示制御部27は、画像取得部20から送出される画像データを、例えば、NTSC信号などに変換し表示部11に送出して、表示部11に干渉縞画像を表示したり、波面選択部26によって選択された波面hなどの測定結果画像情報および文字情報を表示部11に表示させたりするものである。

0038

測定制御部10の装置構成は、上記各機能を専用のハードウェアを用いて実現してもよいが、本実施形態では、CPU、メモリ入出力インターフェース外部記憶装置などからなるコンピュータで構成され、このコンピュータにより適宜の制御プログラムを実行することでこれらの機能を実現している。

0039

次に、波面測定装置50の動作について、本実施形態の波面測定方法を中心として説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の測定フローを示すフローチャートである。図4は、本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の候補画像取得工程の動作について説明するフローチャートである。図5は、本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の候補画像取得工程で取得された候補画像の模式図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の候補画像取得工程における近似曲線の一例を示す模式的なグラフである。ここで、横軸は時間、縦軸は輝度を示す。図7(a)、(b)は、それぞれ本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の解析候補画像群選出工程の解析候補画像群の一例および他例の選出方法について説明するための模式的なグラフである。ここで、横軸は時系列上の位置情報i、縦軸は位相変化量p(i)を示す。図8(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、解析候補画像群ごとに算出され、表示部に表示された波面の例を示す。図9は、光軸方向の位置ずれ量ΔZを説明するための模式図である。

0040

波面測定装置50に用いるフィゾー型の光学系では、図1に示すように、レーザー光源1を発振させると波長λの発散光が発生し、コリメートレンズ2によって平行光30aが形成され、ビームスプリッタ3で反射されてフィゾーレンズ4の光軸上に入射する。
平行光30aは、フィゾー面4aによって分割され、一部はフィゾー面4aによってビームスプリッタ3の側に反射されて参照面反射光30dとして進む。その他の光は、透過光30bとして透過し、フィゾーレンズ4のレンズ作用により集光され、1点に集光されてから、被測定面5に導かれ、被測定面5の法線方向に入射することにより、被測定面反射光30cとして反射される。そして、被測定面反射光30cは、透過光30bと同一光路を逆進し、フィゾーレンズ4を透過して、ビームスプリッタ3側に出射される。その際、フィゾー面4a上には、被測定面反射光30cと参照面反射光30dとの光路差に応じた干渉縞画像が形成される。
この干渉縞画像は、集光レンズ6によりCCD7の撮像面7a上に投影される。そして、この干渉縞画像は、CCD7で光電変換されて画像信号として測定制御部10に送出され、表示制御部27を介して表示部11に表示される。

0041

まず、測定者は、表示部11に示される干渉縞画像を見ながら、調整ステージ12を駆動し、被測定面5を干渉計51の光軸に直交する方向の位置および光軸に対する傾斜角を調整する。そして、光軸方向に移動させて、干渉縞画像が取得される範囲を確認し、測定開始位置を設定する。

0042

この初期調整により、フィゾーレンズ4および被測定面5が測定基準位置に位置する場合には、フィゾー面4aと被測定面5との間の形状誤差のみによる干渉縞が観察される。一方、フィゾーレンズ4の光軸方向の位置が測定基準位置から位置ずれ量ΔZだけずれている場合には位置ずれによる光路差が発生するため、干渉縞の本数が多くなりこの干渉縞画像から算出される波面には、形状誤差に加えて、位置ずれ量ΔZに由来する測定誤差が重畳されることになる。
例えば、Fナンバーが0.6のレンズの面形状を、0.01λ以下の精度で測定するには、位置ずれ量ΔZを14nm以下に調整する必要があるが、従来の微動機構によって、このような位置決め精度を得ることはきわめて困難であった。

0043

本実施形態の波面測定方法では、この測定基準位置を含む範囲において、フィゾー面4aと被測定面5との間の光軸方向の位置を変化させて干渉縞画像を取得し、波面の算出結果から位置ずれ量ΔZを評価して、|ΔZ|が最小となる波面の算出結果を被測定面5の面形状を表す波面として選択する。
そのため、図3に示す測定フローに沿って、候補画像取得工程、解析候補画像群選出工程、波面算出工程、および波面選択工程を順次行う。

0044

候補画像取得工程は、被測定面5およびフィゾー面4aの光軸方向の相対位置を、干渉縞の縞本数が最小となる光軸方向の測定基準位置が含まれる範囲で、被測定面反射光30cおよび参照面反射光30dの位相差がΔφよりも細かいピッチで変化するように移動させて、時系列上の位置情報iとm個の時系列画像Fiとを取得する工程である。
本工程は、図3の測定フローのステップS1に対応する。

0045

ステップS1は、図4に示すフローにより実現されるもので、ピエゾ素子8によって予め設定された立ち上がり時間Tの間に、フィゾーレンズ4を距離Lだけ一定方向に連続的に移動し、予め設定されたサンプリング周期ΔTごとに、m個の干渉縞画像を順次取得し、記憶部23に、それらの取得順序を表す時系列上の位置情報iとともに、時系列画像F1、F2、…、Fm(図5参照)として記憶する。
本実施形態では、一例として、L=1.3λ/2、T=1.3(s)の場合で説明する。サンプリング周期ΔTは、本実施形態のCCD7のビデオレート30fpsに合わせて、ΔT=1/30(s)としている。すなわち、時間Tの間の各フレーム画像を取り込んで、m=40の時系列画像を取得する場合の例になっている。

0046

まず、図4に示すように、ステップS11では、移動制御部22からピエゾ素子コントローラ9の演算部35に対して、立ち上がり時間Tでピエゾ素子8をLだけ伸長または収縮させる指令電圧(コントローラ動作命令)を送出してから、移動開始信号100を送出する。そして、測定制御部10側では、ステップS12に移行する。
ピエゾ素子コントローラ9側では、移動制御部22から立ち上がり時間T、指令電圧の情報を受け取ると、ステップS20を実行する。
ステップS20では、演算部35によって、立ち上がり時間T内に、0Vから指令電圧まで時間に比例する印加電圧データを出力する設定を行う。そして、移動開始信号を受信すると、タイマー36を初期化し、ステップS21を実行する。
ステップS21では、タイマー36の値に応じて、印加電圧データをD/A変換部37により電圧信号に変換し、アンプ部38で適宜増幅して、ピエゾ素子8に印加する。
ステップS22では、タイマー36の値が、立ち上がり時間Tを超えたかどうか判定し、立ち上がり時間Tを超えていない場合は、ステップS21に移行する。
立ち上がり時間Tを超えた場合は、移動制御部22に、移動終了信号101を送出して移動終了を通知し、電圧出力を停止して、ピエゾ素子8の位置を初期状態に復帰させる。

0047

ステップS12では、候補画像取得部21は、サンプリング周期ΔTに同期して、CCD7から干渉縞画像を取得し、画像取得順序を表すカウンタiの値とともに、記憶部23に記憶する。
ステップS13では、ピエゾ素子コントローラ9からの移動終了信号101の有無を判定し、移動終了信号101が受信されていない場合は、ステップS12に戻る。
移動終了信号101が受信されている場合は、図3のステップS1の動作を終了し、図3のステップS2に移行する。すなわち、候補画像取得部21は、解析候補画像群選出部24にステップS1が終了したことを通知する。
このようにして、ステップS12を繰り返すことにより、フィゾーレンズ4がピエゾ素子8によって移動されている間に、時系列上の位置情報であるカウンタiの値とともに、m個の時系列画像F1、F2、…、Fmが、記憶部23に順次記憶されていく。

0048

ステップS2〜S4は、解析候補画像群選出工程を構成している。
本工程は、候補画像取得工程で取得されたm個の時系列画像Fiのうちから、被測定面5の形状を算出するための解析候補画像群Gkとして、位相増分Δφを有すると見なすことができる5個の時系列画像Fk、Fk1、Fk2、Fk3、Fk4の組を複数選出する工程である。

0049

ステップS2では、図5に示すように、解析候補画像群選出部24によって記憶部23から各時系列画像Fiを呼び出し、それぞれの干渉縞画像部31上の共通位置である輝度算出位置32における各輝度Piを取得する。すなわち、輝度Piは、時系列画像Fiの一定位置での時間的な輝度変化を表す。
図6に、時系列上の位置情報iと、輝度Piとの関係の一例をプロットした。時系列画像Fiは、一定のサンプリング周期ΔTで取得され、ピエゾ素子8には、時間に比例した電圧が印加されるが、ピエゾ素子8の伸縮特性は印加電圧に対して非線形であるためフィゾーレンズ4の移動ピッチ等ピッチにはならない。そのため、輝度Piのグラフは正弦波からずれることになる。

0050

次に、ステップS3では、解析候補画像群選出部24によって、輝度Piのグラフの近似曲線33(図6参照)を求める。本実施形態では、ピエゾ素子8の移動量が時間に対して線形であれば、輝度のグラフが時間に関して正弦波となることを利用して、近似曲線33を次の式(5)、(6)の組で表すことにする。
f(i)=D1・i+D2・i2+D3・i3 ・・・(5)
p(i)=A・sin{f(i)}+B・cos{f(i)}+C ・・・(6)
ここで、p(i)は輝度、f(i)はピエゾ素子8の非線形性を3次式で表したものである。また、D1、D2、D3、A、B、Cは、近似式の係数である。また、変数iは、時間に対応する時系列上の位置情報iの値をそのまま用いている。f(i)は、立ち上がり時間Tで無次元化した時間であり、時系列画像F1に対する位相変化量を表す。
係数D1、D2、D3、A、B、Cは、次式(7)のSを最小にするように、例えばニュートン法などの既知演算処理を行うことによって求めることができる。

0051

0052

なお、式(5)、(6)を用いれば、図6に示すようなグラフに近似曲線をプロットすることができるので、本実施形態では、近似精度視覚的に確認できるように輝度Piの実測値とともに、表示部11に表示するようにしている。

0053

次にステップS4では、解析候補画像群選出部24により、ステップS3で求めた式(5)を用いて、f(i)の値が、π/2、π、3π/2、2πに最も近いiの値を算出する。例えば、式(5)が、図7(a)に示す位相変化曲線41で表される場合、まず、F1を基準として、π/2ずつ位相がずれるiとして、それぞれ、i=10,16,21,26が求められる。これらのiの値から、波面算出に用いる解析候補画像群G1={F1,F10,F16,F21,F26}を選出する。
同様にして、F2、F3、…を基準として、G2、G3、…を選出していく。
本実施形態では、図7(b)に示すように、G20={F20,F25,F29,F34,F38}まで、合計20個のGk(k=1,…,20)が選出される。
選出された各Gkの情報は、波面算出部25に送出される。
以上で、解析候補画像群選出工程が終了する。

0054

本実施形態の例では、π/2、すなわちλ/8の移動距離が9〜4分割されているため、個々の時系列画像Fiの測定位置精度は、λ/8の1/18〜1/8、すなわち、4.4nm〜9.9nm程度になっており、それぞれの位置を目標位置としてピエゾ素子8を段階的に駆動する場合の位置決め精度よりも高精度が実現されている。したがって、従来に比べて高精度な測定位置精度を有している。
なお、ピエゾ素子8の伸縮特性が線形特性であれば、位置精度は5.3nm程度となり、測定位置精度は、ピエゾ素子8の非線形特性の度合いにもよる。
測定位置精度を向上するには、ビデオレートがより高いCCDを用いるか、ピエゾ素子8の駆動の立ち上がり時間Tを増加させるかして、サンプリング周期ΔTを小さくすればよい。

0055

次に、ステップS5では、波面算出工程を行う。
本工程は、解析候補画像群選出工程で選出された複数組の解析候補画像群Gkをそれぞれ解析して、各組の解析候補画像群Gkに応じた波面を算出する工程である。
波面算出部25では、Gk={Fk,Fk1,Fk2,Fk3,Fk4}を用い、5バケット法によって面形状に対応する波面を算出する。すなわち、位置(x,y)ごとに、上記式(2)、(3)を用いて、波面hkを算出し、記憶部23に記憶する。そして、波面選択部26に波面算出工程の終了を通知し、ステップS6に移行する。

0056

波面算出結果の例を、図8(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示す。これらはそれぞれ、解析候補画像G1(F1〜F26)、G5(F5〜F29)、G10(F10〜F32)、G15(F15〜F35)、G20(F20〜F38)から算出されたものである。これらの波面の(PV値RMS値)は、それぞれ(0.055λ,0.012λ)、(0.037λ,0.006λ)、(0.036λ,0.003λ)、(0.050λ,0.006λ)、(0.069λ,0.012λ)である。
このように、波面hkのPV値およびRMS値は、1≦k≦10で、kの増大とともに減少し、k=10で最小値をとり、10≦k≦20で、kの増大とともに増大する変化を示した。
これは、各波面hkが、フィゾー面4aおよび被測定面5の光軸方向の相対位置がそれぞれ異なるためである。図9に示すように、平行光30aがフィゾーレンズ4によって集光される光軸上の位置を点QRで表すと、被測定面5の曲率中心QLは、iの値に応じて、干渉計51の光軸Cの方向にΔZだけずれている。ここで、被測定面反射光30cに被測定面5とフィゾー面4aとの面形状の差に応じた光路差が発生するのは、点QRと曲率中心QLとが一致した測定基準位置のみである。
ΔZ>0(ΔZ<0)の場合、被測定面5に比べてパワーの大きな(小さな)反射面が配置されているのと同じであり、波面hkはこのような見かけ上のパワーの大きさを反映して、波面収差が大きく測定されることになる。

0057

次に、ステップS6では、波面選択工程を行う。
本工程は、波面算出工程で算出された各波面hkの情報から、各解析候補画像群Gkの取得位置の測定基準位置からの光軸方向の位置ずれ量ΔZを評価し、位置ずれ量ΔZの評価値が最小となる波面を、被測定面5の形状を表す波面hとして選択する工程である。
波面選択部26は、波面算出部25によって算出された、波面hkを記憶部23から呼び出し、波面hkを上記式(1)で表される多項式で近似する演算を行う。これにより算出された係数C3を用いて、上記式(4)から、波面hkに対応する位置ずれ量ΔZを算出する。この位置ずれ量をΔZkで表す。
すべての波面hkについてΔZkを算出した後、|ΔZk|が最小となるkをkminとして求める。図8に示した本実施形態の測定例では、kmin=10である。
波面選択部26は、|ΔZkmin|が、予め設定された|ΔZ|の許容値の範囲内かどうか判定し、範囲内であれば、波面hkminを被測定面5の波面hとして選択し、波面hkminを表示制御部27に送出して表示部11に表示させる。
なお、|ΔZkmin|が、予め設定された|ΔZ|の許容値の範囲内にない場合には、測定エラーのおそれがあるため、表示制御部27にエラーメッセージを送出し、表示部11に表示させる。
以上で、本実施形態の波面測定方法による波面測定が終了する。

0058

このように、本実施形態の波面測定装置50によれば、m個の時系列画像Fiのうちから複数組の解析候補画像群Gkを選出して各波面hkを算出し、この各波面hkの情報によって測定基準位置からの光軸方向の位置ずれ量の評価値が最小となる波面を求めるので、繰り返しの位置決め精度が劣るピエゾ素子8などの相対移動機構を用いても、高精度な面形状測定を行うことができる。
また、ピエゾ素子8を校正したり、ピエゾ素子8の移動量を計測してフィードバック制御したりすることなく、簡素な構成で、容易かつ高精度な測定を行うことができる。
また、ピエゾ素子8の校正が不要となるため、校正費用や、校正のために測定できなくなる期間も発生しないという利点がある。
また、CCD7のビデオレートに同期して候補画像を取得するので、候補画像を増やしても、短時間のうちに測定を行うことができる。
また、ピエゾ素子8は、非線形性の程度が悪いものや非線形性のバラツキが大きいものでも採用することができるので、安価な素子を採用することができる。
また、本実施形態では、ピエゾ素子8を一定方向に連続的に駆動するので、ヒステリシス特性による移動位置のバラツキや、間欠駆動のような停止時の位置振動などが発生しないため、位相シフト量に対応する移動位置が時系列に沿って単調増加する。そのため、候補画像の個数mを増やすことで測定分解能を確実に向上することができる。

0059

[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る波面測定装置について説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る波面測定装置の概略構成を示す模式構成図である。図11は、本発明の第2の実施形態に係る波面測定装置の制御手段の機能構成を示す機能ブロック図である。

0060

本実施形態の波面測定装置50Aは、図10、11に示すように、上記第1の実施形態の波面測定装置50の測定制御部10、ピエゾ素子コントローラ9に代えて、測定制御部10A、ピエゾ素子コントローラ9Aを備え、歪みゲージ8a(相対位置情報取得部)を追加したものである。
測定制御部10Aは、上記第1の実施形態の測定制御部10の候補画像取得部21、移動制御部22、解析候補画像群選出部24に代えて、候補画像取得部21A、移動制御部22A、解析候補画像群選出部24Aを備える。
ピエゾ素子コントローラ9Aは、上記第1の実施形態のピエゾ素子コントローラ9の演算部35に代えて、演算部35Aを備え、移動量測定部39を追加したものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。

0061

歪みゲージ8aは、ピエゾ素子8の伸縮方向の歪みが測定できるように、ピエゾ素子8に固定されている。
歪みゲージ8aは、歪みゲージ8aの出力から、ピエゾ素子8の伸縮量を測定するためにピエゾ素子コントローラ9A内に設けられた移動量測定部39に接続されている。
移動量測定部39は、歪みゲージ8aの抵抗変化を検出して、歪み変化を算出し、ピエゾ素子8の伸縮量を算出し、演算部35Aに送出するものである。
演算部35Aは、移動制御部22Aおよび移動量測定部39に電気的に接続され、上記第1の実施形態の演算部35と同様な機能に加えて、移動量測定部39によって測定されたピエゾ素子8の伸縮量の情報を、フィゾー面4aの移動位置の情報(以下、相対位置情報と称する)に換算して移動制御部22Aに送出できるようになっている。
移動量測定部39の測定結果は、演算部35Aによってピエゾ素子8の位置制御に用いるようにしてもよいが、本実施形態では、ピエゾ素子8の位置制御には用いないものとして説明する。

0062

候補画像取得部21Aは、操作部13の操作入力に基づいて画像取得部20の画像取り込みのタイミングを制御するとともに、予め操作部13から設定された移動開始位置および移動終了位置の情報に基づいて移動制御部22Aの移動動作の条件を設定し、操作部13の操作入力に基づいて移動開始信号を送出するものである。
そして、候補画像取得部21Aは、画像取得部20による画像取り込みが開始されると、画像取得部20から送出される各画像データ(以下、候補画像と称する)を、それらの取り込み順序の情報、および移動制御部22Aから取得される相対位置情報に関連づけて記憶部23に記憶させる。例えば、時系列上のi番目に取得された相対位置情報をqi、候補画像をHi(ただし、i=1,…,m)としたとき、候補画像取得部21Aは、iの値に応じて、相対位置情報qi、候補画像Hiをそれぞれ呼び出せるようになっている。

0063

候補画像取得部21Aが移動制御部22Aに設定する移動動作の条件は、上記第1の実施形態と同様に、一定方向に指令電圧を一定速度で変えるようにしてもよいし、方向や速度を変化させてもよい。例えば、測定開始位置を測定基準位置の近傍と思われる位置として、一方向に向けて駆動して候補画像を取得した後、測定開始位置近傍に戻って、反対方向に向けて駆動してもよい。あるいは、ピエゾ素子8の非線形特性がおよそ分かっている場合、非線形性が低減されるように、指令電圧変化の速度を変えるようにしてもよい。
このように、本実施形態では、添字iは、候補画像取得の時系列順序を表すのみであり、候補画像Hiが取得された位置関係の順序を表していない。しかしながら、相対位置情報qiの大小に基づいて、候補画像Hiを並べ替えれば、上記第1の実施形態の時系列画像Fiと同様になる。
以下では、説明を簡潔にするため、このように並べ替えられた相対位置情報および候補画像を、新たに添字j(ただし、j=1,…,m)を用いて、qj、Hjと表すことにする。具体的には、実際一度並べ替えておく、あるいは、取り込み順序を保存しておきたい場合には記憶部23に添字iから添字jへの変換テーブルを記憶しておくことが考えられる。

0064

解析候補画像群選出部24Aは、相対位置情報qjと候補画像Hjとの関係に基づいて、それぞれ位相増分Δφを有すると見なすことができるn個の候補画像Hjからなる解析候補画像群Gk={Hk,Hk1,…,Hk(n−1)}(ただし、各添字の大きさは、1以上m以下であり、大きさの順序は、k<k1<…<k(n−1))を選出するものである。本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、一例として、Δφ=π/2、n=5の例で説明する。
ただし、この場合の位相増分の判定は、候補画像Hjごとに測定された相対位置情報qjに基づいて行うため、近似曲線の算出は不要になる。

0065

次に、波面測定装置50Aの動作について、本実施形態の波面測定方法を中心として説明する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る波面測定方法の測定フローを示すフローチャートである。

0066

本実施形態の波面測定装置50Aによれば、上記第1の実施形態の波面測定方法において、時系列上の位置情報i、時系列画像Fiに代えて、相対位置情報qj、候補画像Hjを用いることで、略同様にして、候補画像取得工程、解析候補画像群選出工程、波面算出工程、および波面選択工程を順次行って、被測定面5の波面を測定することができる。以下、図12に示す測定フローに沿って、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。

0067

ステップS31(候補画像取得工程)では、上記第1のステップS1と略同様にして、相対位置情報qj、候補画像Hjを取得し、記憶部23に記憶する。ただし、候補画像Hjの取得順序は、時系列順序と一致していなくてもよい。

0068

ステップS34は、解析候補画像群選出工程を構成している。
本工程は、候補画像取得工程で取得されたm個の候補画像Hjのうちから、被測定面5の形状を算出するための解析候補画像群Gkとして、位相増分Δφを有すると見なすことができる5個の候補画像Hk、Hk1、Hk2、Hk3、Hk4の組を複数選出する工程である。

0069

ステップS34では、解析候補画像群選出部24Aにより、相対位置情報qjに係数D=4π/λをかけることで位相量に換算する。そして、解析候補画像群選出部24Aは、D・qkを位相0としたときに、D・qM(ただし、Mは、k+1≦M≦mの整数)の値が、π/2、π、3π/2、2πにそれぞれ最も近いD・qk1,…,D・qk4の値を算出し、波面算出に用いる解析候補画像群Gk={Hk,Hk1,Hk2,Hk3,Hk4}を選出する。
ここで、視覚的に確認できるように、横軸にj、縦軸にD・qjをプロットした位相変化曲線を表示部11に表示してもよい。
kは、1から順次増大させて、選出可能な解析候補画像群Gkがすべて選出されるまで繰り返す。選出された各Gkの情報は、波面算出部25に送出される。
以上で、解析候補画像群選出工程が終了する。

0070

次に、ステップS35、S36は、上記第1の実施形態のステップS5、S6で時系列画像Fiを候補画像Hjに代えた工程を行う。
以上で、本実施形態の波面測定方法による波面測定が終了する。

0071

このように、本実施形態の波面測定装置50Aによれば、m個の候補画像Hjのうちから複数組の解析候補画像群Gkを選出して各波面hkを算出し、この各波面hkの情報によって測定基準位置からの光軸方向の位置ずれ量の評価値が最小となる波面を求めるので、繰り返しの位置決め精度が劣るピエゾ素子8などの相対移動機構を用いても、高精度な面形状測定を行うことができる。
また、相対位置情報取得部である歪みゲージ8aを備え、各候補画像Hjの位相差の情報を、歪みゲージ8aによる測定値から求めることができるため、位相差が十分に小さい複数の候補画像が取得できるように駆動することができれば、駆動ピッチや、駆動順序などは変えることができる。このため、ピエゾ素子8を校正したり、ピエゾ素子8の移動量を計測してフィードバック制御したりすることなく、簡素な構成で、容易かつ高精度な測定を行うことができる。
また、ピエゾ素子8は、非線形性の程度が悪いものや非線形性のバラツキが大きいものでも採用することができるので、安価な素子を採用することができる。
また、解析候補画像群選出工程では、位相変化曲線を推定する演算を行わなくても、解析候補画像群を選出できるので、演算処理が簡素になる。

0072

[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る波面測定装置について説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る波面測定装置の概略構成を示す模式構成図である。

0073

本実施形態の波面測定装置50Bは、図13に示すように、上記第1の実施形態の波面測定装置50の干渉計51に代えて、トワマングリーン型の光学系からなる干渉計52を備え、被検査レンズ系61の透過波面を測定するようにしたものである。これに応じて、被検査レンズ系61を用い、参照面としては被検査レンズ系61のNAより大きいNAを有する参照球面62を用いる。この場合、被検査レンズ系61の被測定面は、被検査レンズ系61の全レンズ面である。したがって、本実施形態は、被測定面が複数の場合の例となっている。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。

0074

干渉計52は、干渉計51において、コリメートレンズ2で平行光とされた平行光30aのうち、ビームスプリッタ3を透過する光路上に、高精度な平面反射面からなる参照平面60を配置し、参照平面60で反射された反射光30f(参照光)が、ビームスプリッタ3で反射されて集光レンズ6に向かうようにしたものである。
一方、コリメートレンズ2からビームスプリッタ3に向かう平行光30aのうち、ビームスプリッタ3で反射された光の光路上には、ビームスプリッタ3に近い側から、被検査レンズ系61、参照球面62(曲面からなる参照面)がこの順に配置されている。
参照球面62は、調整ステージ12上に設けられたピエゾ素子8によって、光軸方向に移動可能に支持されている。

0075

このような波面測定装置50Bによれば、レーザー光源1から出射された発散光は、コリメータレンズ2により平行光30aとされ、ビームスプリッタ3によって、参照平面60に向かって透過される透過光成分と、被検査レンズ系61に向かって反射される反射光成分とに分割される。
平行光30aの透過光成分は参照平面60で反射され光路を逆進して、ビームスプリッタ3に到達する。一方、平行光30aの反射光成分は、被検査レンズ系61の焦点結像された後、発散して参照球面62に到達して反射され、被検査レンズ系61に再入射する。
ここで、測定基準位置である被検査レンズ系61の焦点位置と参照球面62の曲率中心を一致する位置では、参照球面62での反射光は光路を逆進し、被検査レンズ系61を透過してビームスプリッタ3に向かう平行光30e(測定光)として出射される。
そして、ビームスプリッタ3で反射された反射光30fと、ビームスプリッタ3を透過した平行光30eとは、干渉計52の光軸上に合成されて干渉縞を形成し、集光レンズ6によって集光されて、CCD7の撮像面7a上で干渉縞が投影される。
この干渉縞は、被検査レンズ系61を2度透過することで、波面収差を有する平行光30eと、波面収差を有しない参照光である反射光30fとによって形成されるため、被検査レンズ系61内の各被測定面の面形状の誤差等に対応した波面収差を表す干渉縞となっている。

0076

本実施形態による波面測定方法は、調整ステージ12によって、上記第1の実施形態と同様に、参照球面62と被検査レンズ系61との光軸方向および光軸に直交する方向の位置合わせを行った後、測定制御部10、ピエゾ素子コントローラ9によってピエゾ素子8を伸縮させ、参照球面62を測定開始位置から光軸方向に移動して、上記第1の実施形態と同様に、図3に示す測定フローに沿って、候補画像取得工程、解析候補画像群選出工程、波面算出工程、および波面選択工程を順次行う。
本実施形態の波面測定方法は、上記第1の実施形態が被測定面5を固定しピエゾ素子8でフィゾー面4aを移動させることで、被測定面と参照面との間の相対移動を行った例であるのに対して、本実施形態は被検査レンズ系61を固定し、ピエゾ素子8で参照球面62を移動させることで、被測定面と参照面との間の相対移動を行う例になっている点が異なるのみである。したがって、各工程の詳細は、上記第1の実施形態から容易に理解されるため説明を省略する。

0077

このように本実施形態の波面測定装置50Bによれば、トワイマングリーン型干渉計を用いて、被検査レンズ系61の透過波面を測定できる。そして、透過波面についても、上記第1の実施形態と同様に、繰り返しの位置決め精度が劣るピエゾ素子8などの相対移動機構を用いても、高精度な波面測定を行うことができる。

0078

なお、上記の説明では、干渉計として、フィゾー型干渉計、トワイマングリーン型干渉計を用いた例で説明したが、位相シフトされた干渉縞画像が取得できれば、干渉計の種類は、これらの干渉計には限定されない。例えば、マッハツェンダー型干渉計などを好適に採用することができる。

0079

また、上記の説明では、波面選択工程において、光軸方向の位置ずれ量の評価値として、式(4)によってΔZを求めるとして説明したが、この場合には、|ΔZ|は、係数C3に比例するので、位置ずれ量ΔZの値を必要としない場合には、係数C3そのものを|ΔZ|の評価値として、波面選択部26によって式(4)の演算を行わないようにしてもよい。

0080

また、上記の説明では、位置ずれ量を、式(1)で波面を近似したときのパワー成分である係数C3を用いた式(4)によって評価したが、位置ずれ量の評価はこれには限定されない。
例えば、特許第2951366号公報に開示された技術(同文献の式(1)、(2)参照)を用いて、波面を下記式(9)で近似し、デフォーカス量を表す係数である(2C3−6C8)を位置ずれ量の評価値として採用してもよい。

0081

0082

ただし、(ρ,θ)は、X=ρcosθ、Y=ρsinθと表した場合の極座標である。

0083

また、上記の説明では、波面算出工程で、n=5のいわゆる5バケット法を用いて算出する場合の例で説明したが、n=7,9,13とした7バケット法、9バケット法、13バケット法を採用してもよい。また、nが3以上であれば、フリンジスキャン法で用いられる周知の算出方法はすべて同様に採用することができる。

0084

また、上記の説明では、解析候補画像群選出工程によって、すべての解析候補画像群を選出してから、波面算出工程を行って、各解析候補画像群の波面を算出するとして説明したが、これらの工程は、一部の候補画像ごとに反復してもよい。例えば、第1の実施形態の例では、まず、k=1として、解析候補画像群G1を選出し、G1の波面h1を算出し、これを、k=2,…,20まで繰り返すことで、kごとに解析候補画像群選出工程、波面算出工程を繰り返し、最後に波面選択工程を行ってもよい。
また、波面hk(ただし、k≧2)の算出後に、ΔZk−1とΔZkとを比較して、予め設定した適宜の極小値判定基準によりΔZkまでの算出値のいずれか、例えば、ΔZK(ただし1<K<k)が極小値と判定されたら、その波面hKを波面hとするようにしてもよい。この場合、kごとに解析候補画像群選出工程、波面算出工程、波面選択工程を繰り返していることになる。

0085

また、上記の説明では、相対位置情報取得部として、歪みゲージ8aを用いた場合の例で説明したが、相対位置情報取得部は、被測定面の光軸方向移動量を検出できれば、これに限定されない。例えば、静電容量センサガラススケールレーザー測長器などを採用してもよい。

0086

また、上記の説明では、干渉計は、一例として、凹面を被測定面として用いる場合のフィゾー型干渉計の構成で説明したが、凸面や平面を被測定面とする場合の干渉計の配置、構成は周知であり、本発明の波面測定方法は、いずれの場合にも用いることができる。

0087

また、上記第1の実施形態の説明では、位相変化を算出する近似式として、式(5)、(6)を用いる場合の例で説明したが、これらは一例であり、光学素子移動機構移動特性に応じて、適宜の関数形を有する近似式を採用することができる。例えば、式(5)をiに関して2次以下、あるいは4次以上の近似式としてもよいし、式(5)、(6)を1つの近似式で表すようにしてもよい。

0088

また、上記の説明では、相対移動機構として、圧電素子であるピエゾ素子8を用いた場合の例で説明したが、少なくとも使用波長の1〜2波長程度の範囲で光学素子を微小量ずつ移動できれば、圧電素子には限定されない。

図面の簡単な説明

0089

本発明の第1の実施形態に係る波面測定装置の概略構成を示す模式構成図である。
本発明の第1の実施形態に係る波面測定装置の制御手段の機能構成を示す機能ブロック図である。
本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の測定フローを示すフローチャートである。
本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の候補画像取得工程の動作について説明するフローチャートである。
本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の候補画像取得工程で取得された候補画像の模式図である
本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の候補画像取得工程における近似曲線の一例を示す模式的なグラフである。
本発明の第1の実施形態に係る波面測定方法の解析候補画像群選出工程の解析候補画像群の一例および他例の選出方法について説明するための模式的なグラフである。
解析候補画像群ごとに算出され、表示部に表示された波面の例を示す。
光軸方向の位置ずれ量ΔZを説明するための模式図である。
本発明の第2の実施形態に係る波面測定装置の概略構成を示す模式構成図である。
本発明の第2の実施形態に係る波面測定装置の制御手段の機能構成を示す機能ブロック図である。
本発明の第2の実施形態に係る波面測定方法の測定フローを示すフローチャートである。
本発明の第3の実施形態に係る波面測定装置の概略構成を示す模式構成図である。

符号の説明

0090

1レーザー光源
2コリメートレンズ
3ビームスプリッタ
4フィゾーレンズ
4aフィゾー面(曲面からなる参照面)
5 被測定面
6集光レンズ
7 CCD(撮像部)
7a 撮像面
8ピエゾ素子(相対移動機構)
9 ピエゾ素子コントローラ(圧電素子駆動部)
10測定制御部
21候補画像取得部
22移動制御部
23 記憶部
24解析候補画像群選出部
25 波面算出部
26 波面選択部
30a 平行光(同一の光束)
30b透過光
30c 被測定面反射光(測定光)
30d参照面反射光(参照光)
30e 平行光(測定光)
30f 反射光
50、50A、50B波面測定装置
51、52干渉計
61被検査レンズ系
62参照球面(曲面からなる参照面)
Fi時系列画像(候補画像)
Gk 解析候補画像群
Hi、Hj 候補画像
h、hk 波面
ΔZ位置ずれ量

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