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技術 多重浴槽式温泉設備

出願人 有限会社桐島屋旅館
発明者 中沢芳章
出願日 2008年6月9日 (13年6ヶ月経過) 出願番号 2008-150933
公開日 2009年12月17日 (12年0ヶ月経過) 公開番号 2009-291559
状態 特許登録済
技術分野 浴槽の付属品
主要キーワード 温泉効果 温泉成分 露天風呂 供給湯量 物理的効果 吐出端 入浴法 真空断熱層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

湯に水を加えることなく、また極力付帯設備を使用することなく、温泉湯温を安全かつ確実に調節することができる多重浴槽式温泉設備を提供する。

解決手段

複数の浴槽Y1,Y2,Y3を仕切仕切壁S1,S2の下部位置であってかつ湯の供給部から反時計方向下流側となる位置に連通部Rを設け、浴槽Y1,Y2,Y3に流入した高温の湯が浴槽Y1,Y2,Y3内を循環しつつ冷却され、次第に密度が高くなって下降し、連通部Rより次の浴槽Y2,Y3に移動させ、複数の浴槽Y1,Y2,Y3の湯温に差をつけることを特徴とする。

概要

背景

医学的にみた温泉の効果は、水圧浮力温熱などの物理的効果酸性アルカリ性、含有成分など質による化学的効果、温泉地に行くことによる環境変化に伴う気分がリフレッシュする転地効果などがあるといわれている。

特に、湯温は、人体に直接的な影響があることから、従来から着目されている。例えば、酸性・含硫黄アルミニウム硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)である草津温泉では、高温の湯(47℃〜48℃)では、皮膚病などの痒みの軽減が顕著であり、中温の湯(45℃〜47℃)では、糖尿病などに有効であり、低温の湯(43℃〜45℃)では、リュウマチ心臓疾患などに有効であることが判明している。

ところが、湯温の調節を、湯に水を加えることにより行うと、簡単に温度調節できるが、温泉成分希釈化され、温熱効果的には問題はないものの、他の温泉効果が低下する虞がある。

水を加えることなく湯温を調節する方法としては、例えば、下記特許文献1に示すような、空気を利用する方法がある。この方法は、ポンプ空気導入管、制御手段などを使用し温泉の湯に空気を注入し、湯温を空気により調節するものである。しかし、この方法では、ポンプ、空気導入管、制御手段などを使用しなければならず、設備コストがかかる虞がある。

他の方法としては、下記特許文献2に示すような、温泉水と一般の水とを熱交換する方法である。しかし、この方法では、熱交換器などを使用するので、温泉に含まれる成分により配管が頻繁に詰まる虞があるのみでなく、設備コスト、ラニングコストがかかることにもなる。
特開2006−207907(要約、図1など参照)
特願2007−93061(要約、図10など参照)

概要

湯に水を加えることなく、また極力付帯設備を使用することなく、温泉の湯温を安全かつ確実に調節することができる多重浴槽式温泉設備を提供する。 複数の浴槽Y1,Y2,Y3を仕切仕切壁S1,S2の下部位置であってかつ湯の供給部から反時計方向下流側となる位置に連通部Rを設け、浴槽Y1,Y2,Y3に流入した高温の湯が浴槽Y1,Y2,Y3内を循環しつつ冷却され、次第に密度が高くなって下降し、連通部Rより次の浴槽Y2,Y3に移動させ、複数の浴槽Y1,Y2,Y3の湯温に差をつけることを特徴とする。

目的

本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、湯に水を加えることなく、極力付帯設備を使用することなく、複数の浴槽の湯温がそれぞれ異なるように、温泉の湯温を安全かつ確実に調節可能な多重浴槽式温泉設備を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

仕切壁により仕切られた複数の浴槽と、前記仕切壁に開設され、前記浴槽相互を連通する連通部と、前記複数の浴槽の内の最上流浴槽に、源泉から導かれた湯を供給する源泉供給部と、前記浴槽の最下流浴槽に設けられ、外部に排出する湯量を制御する排出制御部と、を有する源泉かけ流し式の温泉設備であって、前記源泉供給部から前記浴槽に注湯された湯の内、低温になり下降した湯が次位の下流の浴槽に導入されるように前記連通部を前記仕切壁の下部位置に少なくとも1つ設けたことを特徴とする多重浴槽式温泉設備

請求項2

前記連通部は、各浴槽における湯の供給部から反時計方向下流側となる位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の多重浴槽式温泉設備。

請求項3

前記連通部は、上流側浴槽の底面に形成された凹状湯溜り部内と連通するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の多重浴槽式温泉設備。

請求項4

前記仕切壁は、上下方向中間位置に1つ若しくは複数のサブ連通部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多重浴槽式温泉設備。

請求項5

前記連通部若しくは前記サブ連通部の少なくとも1箇所に、連通を遮断する蓋体を設けたことを特徴とする請求項4に記載の多重浴槽式温泉設備。

請求項6

前記源泉供給部は、前記最上流の浴槽の底部近傍まで垂下されたパイプを有することを特徴とする請求項1に記載の多重浴槽式温泉設備。

請求項7

前記浴槽の内の最下流浴槽は、上流側浴槽との連通部から最も離れた位置に排出口が設けられ、当該排出口に前記源泉供給部からの供給湯量と同程度の排出湯量となるように制御する操作部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多重浴槽式温泉設備。

請求項8

前記複数の浴槽は、浴槽の深さが前記最上流浴槽から徐々に深くなるように構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の多重浴槽式温泉設備。

請求項9

前記各浴槽は、前記底面の外周部に溝部を形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の多重浴槽式温泉設備。

請求項10

前記溝部は、前記凹状湯溜り部と連通させたことを特徴とする請求項9に記載の多重浴槽式温泉設備。

請求項11

前記複数の浴槽は、下流側の浴槽の少なくとも1つに、高温水吐出し局部を加熱する焼き部を有することを特徴とする請求項1に記載の多重浴槽式温泉設備。

技術分野

0001

本発明は、多数の浴槽上流側から高温源泉を順次流し、各浴槽の湯温がそれぞれ異なるようにした多重浴槽式温泉設備に関する。

背景技術

0002

医学的にみた温泉の効果は、水圧浮力温熱などの物理的効果酸性アルカリ性、含有成分など質による化学的効果、温泉地に行くことによる環境変化に伴う気分がリフレッシュする転地効果などがあるといわれている。

0003

特に、湯温は、人体に直接的な影響があることから、従来から着目されている。例えば、酸性・含硫黄アルミニウム硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)である草津温泉では、高温の湯(47℃〜48℃)では、皮膚病などの痒みの軽減が顕著であり、中温の湯(45℃〜47℃)では、糖尿病などに有効であり、低温の湯(43℃〜45℃)では、リュウマチ心臓疾患などに有効であることが判明している。

0004

ところが、湯温の調節を、湯に水を加えることにより行うと、簡単に温度調節できるが、温泉成分希釈化され、温熱効果的には問題はないものの、他の温泉効果が低下する虞がある。

0005

水を加えることなく湯温を調節する方法としては、例えば、下記特許文献1に示すような、空気を利用する方法がある。この方法は、ポンプ空気導入管、制御手段などを使用し温泉の湯に空気を注入し、湯温を空気により調節するものである。しかし、この方法では、ポンプ、空気導入管、制御手段などを使用しなければならず、設備コストがかかる虞がある。

0006

他の方法としては、下記特許文献2に示すような、温泉水と一般の水とを熱交換する方法である。しかし、この方法では、熱交換器などを使用するので、温泉に含まれる成分により配管が頻繁に詰まる虞があるのみでなく、設備コスト、ラニングコストがかかることにもなる。
特開2006−207907(要約、図1など参照)
特願2007−93061(要約、図10など参照)

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、湯に水を加えることなく、極力付帯設備を使用することなく、複数の浴槽の湯温がそれぞれ異なるように、温泉の湯温を安全かつ確実に調節可能な多重浴槽式温泉設備を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成する本発明に係る多重浴槽式温泉設備は、仕切壁により仕切られた複数の浴槽と、前記仕切壁に開設され、前記浴槽相互を連通する連通部と、前記複数の浴槽の内の最上流浴槽に、源泉から導かれた湯を供給する源泉供給部と、前記浴槽の最下流浴槽に設けられ、外部に排出する湯量を制御する排出制御部と、を有する源泉かけ流し式の温泉設備であって、前記源泉供給部から前記浴槽に注湯された湯の内、低温になり下降した湯が次位の下流の浴槽に導入されるように前記連通部を前記仕切壁の下部位置に少なくとも1つ設けたことを特徴とする。

発明の効果

0009

本発明は、複数の浴槽を仕切壁で仕切り、連通部で浴槽相互を連通した多重浴槽の温泉設備において、前記連通部を、仕切壁の下部位置に少なくとも1つ設けたので、浴槽に流入した高温の湯が浴槽内で循環しつつ冷却され、次第に密度が高くなって下降すると、連通部を通って次の浴槽に移動することになる。この結果、低温の湯のみが次の浴槽に移動し、複数の浴槽の湯温は、最上流から最下流の浴槽に至るに従い徐々に温度低下した湯となり、源泉かけ流し式に湯を流しつつ、各浴槽内の湯温を確実に最適な温度に制御することができる。したがって、湯に水を加えることなく、高価な付帯設備を使用することなく、温泉効果を保持しつつ湯温を低下させることができ、設備コスト的にも極めて有利となる。

0010

前記連通部を各浴槽における湯の供給部から反時計方向下流側となる位置に設けると、浴槽内で円滑に湯が移動し、湯温の低下を効率的に行うことができる。

0011

前記連通部を、上流側浴槽の底面に形成された凹状湯溜り部内と連通すると、温度低下した湯が集まった部分から次の浴槽に湯を供給でき、湯に水を加えることなく、高価な付帯設備を使用することなく、隣接する浴槽の湯の温度差を容易につけることができる。

0012

前記仕切壁の上下方向中間位置にサブ連通部を1乃至複数個設けると、上流側浴槽の湯であっても、完全に所定温度まで低下していない湯(中間温度)を次位の浴槽に供給でき、温度制御をより精密に行なうことができる。

0013

連通部又はサブ連通部に蓋体を設けると、温度制御をより容易にかつ精密に行なうことができる。

0014

源泉供給部を、最上流浴槽の底部近傍まで垂下されたパイプにより構成すれば、最上流浴槽の底部には低温の湯が溜まりにくく、高温の状態が維持でき、高温の湯での療養効果を高めることができる。

0015

最下流浴槽の排出口は、上流側浴槽との連通部から最も離れた位置に設け、しかもこの排出口に排出湯量を制御する制御部を設けると、最下流浴槽の湯温の大幅な低下を防止でき、しかも、源泉かけ流し式に湯を流しつつ、各浴槽の湯量は大幅に低減することがない。

0016

複数浴槽の深さを最上流浴槽から徐々に深くすると、湯の逆流を防止でき、源泉かけ流しが円滑に行われる。

0017

各浴槽の底面外周部に溝部を形成すると、湯中に混入したごみなどを、湯の流れのみで溝部に集めることができ、排水後の掃除が容易になる。

0018

このような溝部を凹状湯溜り部と連通させると、温度低下した湯の移動がよりスムーズとなり、しかも排水後の掃除もきわめて容易になる。

0019

前記複数の浴槽の内、下流側の浴槽の少なくとも1つに、高温水吐出し局部を加熱する焼き部を設けると、等の治療に有効なものとなり、しかも低温の浴槽を高温化することもできる。

発明を実施するための最良の形態

0020

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。

0021

図1は本発明に係る温泉設備を示す平面図、図2図1の2−2線に沿う断面相当図、図3は水の温度と密度の関係を示す図、図4は排出制御部の一例を示す概略図である。

0022

本実施形態の多重浴槽式温泉設備について概説すれば、図1、2に示すように、仕切壁S(S1,S2の総称)により仕切られ、複数直列的に配置した浴槽Y(Y1,Y2,Y3の総称)と、浴槽Y相互を連通するように仕切壁Sに開設された連通部Rと、最上流浴槽Y1に源泉から導かれた高温の湯を注湯する源泉供給部1と、最下流浴槽Y3に設けられ、外部に排出する湯量を制御する排出制御部2と、を有し、源泉供給部1から注湯された湯が連通部Rを通って徐々に下流側の浴槽Y2,Y3に流れるようにした源泉かけ流し式の温泉設備である。

0023

この温泉設備は、最上流から一の湯、二の湯、三の湯という面積が異なり、深さが段階的に深くなる3つの浴槽Y1,Y2,Y3を有している。ただし、各浴槽Yの個数、形状、大きさあるいは深さなどは、適宜選択でき、どのようなものであってもよい。

0024

各浴槽Y乃至仕切壁Sは、例えば、木、セメント、金属あるいは合成樹脂などの建築材により構成され、表面にタイルなどを貼着してもよいが、このような構成材料は、これらのみに限定されるものではなく、種々の材料を使用できる。

0025

源泉供給部1は、源泉管3によって導かれた源泉からの湯を、一旦貯留槽4に貯留し、貯留槽4に連通されたパイプ5から重力により最上流浴槽Y1に供給している。ここに、源泉管3と貯留槽4の湯面4aとの間には寸法h(図2参照)の隙間が設定されている。源泉管3と湯面4aとの接触による雑菌などの貯留槽4への流れ込みを防止でき、衛生的なものとなる。

0026

パイプ5の吐出端は、浴槽Y1の底部B1近傍まで垂下されている。これにより最上流浴槽Y1の湯が全体的に高温状態となり、高温の湯での療養効果を高めることができる。

0027

ただし、パイプ5の吐出端は、必ずしも浴槽の底部近傍まで垂下する必要はなく、最上流浴槽Y1の上部に位置するように構成してもよい。比較的高位に位置させると、一の湯から高温の湯を温度低下させて二の湯に供給することができる。つまり、高位に位置させたパイプ5から最上流浴槽Y1に供給された源泉は、一の湯の浴槽Y1内で循環しつつ連通部Rを通って徐々に下流側の浴槽Y2に流れるが、浴槽Y1内で循環して流れているとき、浴槽Y1の仕切壁S1、周囲の側壁S3あるいは底壁S4から外部へ熱放散して温度低下する。温度低下した湯は、密度が高くなり、浴槽Y1内で下降し、連通部Rを通って次の浴槽Y2に供給される。

0028

ここにおいて、水の密度は、図3に示すように、温度により変化し、3.98℃で最大密度0.999972g/cm3になるものの、これを超えて温度が上昇すると、低下することになる。したがって、例えば、源泉供給部1から供給された浴槽Y1内の湯が温度低下すると、密度が大きくなり浴槽の下方に移動する。

0029

また、浴槽Y内で湯が循環する場合、北半球にあるわが国では、湯の流れは基本的に反時計方向に流れることになる。したがって、仕切壁S1の下部位置であってかつ湯の供給部から反時計方向に循環して流れる湯の下流側となる位置に連通部Rを設けると、温度低下した湯のみが連通部Rを通って次の浴槽Y2又はY3に向かうことになり、次の浴槽には温度低下した湯が供給されることになる。

0030

この結果、源泉かけ流し式に湯を各浴槽に供給すれば、かかる原理により二の湯の浴槽Y2、三の湯の浴槽Y3には、それぞれ低温となった温度調節された湯が流入し、各浴槽Y2,Y3は、中温の湯、低温の湯となる。

0031

特に、本実施形態では、図1、2に示すように、浴槽Y1の底面B1に形成された凹状湯溜り部6内と連通するように連通部Rを形成している。浴槽Y1の底面B1に凹状湯溜り部6を形成すれば、最も温度低下した湯がここに集まることになるので、この温度低下した湯を連通部Rにより次の二の湯の浴槽Y2に供給できる。同様に、二の湯の浴槽Y2の底面B1に凹状湯溜り部6を形成し、この凹状湯溜り部6と三の湯の浴槽Y3とを連通部Rにより連通すれば、二の湯の浴槽Y2で最も温度低下した湯が集まった凹状湯溜り部6から連通部Rを介して三の湯の浴槽Y3に低温の湯を供給できる。

0032

この結果、湯に水を加えることなく、また付帯設備を使用することなく、隣接する浴槽の湯との温度差を容易につけることができることになる。一の湯、二の湯、三の湯のいずれの段階においても、凹状湯溜り部6を形成する位置としては、湯の供給部から反時計方向に循環して流れる湯の下流側となる位置であって、浴槽の底部であることが好ましい。

0033

また、各浴槽Yは、底面B1の外周部に溝部Mを形成し、凹状湯溜り部6と連通させることが好ましい。各浴槽Yの底面外周部に溝部を形成すると、湯中に混入したごみなどを、湯の流れのみで溝部Mに集めることができ、排水後の掃除が容易になる。また、溝部Mを凹状湯溜り部6と連通させると、温度低下した湯の移動がよりスムーズとなる。

0034

本実施形態では、1つのメインの連通部Rを通って次の浴槽Yに湯を供給しているが、このメインの連通部R以外にサブの連通部Rsを、仕切壁S1あるいはS2の上下方向中間位置に形成し、次の浴槽Yに湯を供給してもよい。

0035

仕切壁の上下方向中間位置にサブ連通部Rsを設けると、所定温度まで低下していないが、ある程度まで温度低下した湯を次位の浴槽に供給でき、次位の浴槽では、所定温度まで低下した湯と、中間的な温度まで低下した湯とをミックスでき、次位の浴槽での湯温制御をより精密に行なうことができる。

0036

サブ連通部Rsを1つのみでなく上下方向ズラして複数個設ければ、温度制御をより容易にかつ精密に行なうことができることになる。また、メインの連通部R又はサブ連通部Rsに、連通を遮断する蓋体7を設ければ、この蓋体7の開閉を選択することにより温度制御をさらに容易にかつ精密に行なうことができる。なお、サブ連通部Rsの個数や断面積は、必要に応じて適宜選択可能である。

0037

本実施形態の温度制御は、前記熱放散のみでなく、浴槽Y3に設けられた排出制御部2による浴槽Y3からの排出量と供給量とを増減させることによっても可能である。各浴槽における放熱量は、一定と考えられるので、排出量と供給量とを制御し、各浴槽の循環湯量を増減させると、増加の場合は比較的高温の湯となり、減少させると湯温が低温化することができる。

0038

排出制御部2は、排出する湯量を制御できるものであればどのようなものであっても良いが、具体例を示せば、図4に示すように、エッジ部を有する排出口10に対し開閉可能な制御弁11を、例えば、ゴムなどの弾性体により構成し、引き上げ紐のような操作部12を制御弁11の端縁部に連結したものを使用することができる。操作部12を所定長引き上げ、適当な固定部(不図示)に掛止すれば、制御弁11の一部が持ち上げられ、排出口10のエッジ部から離れ、一定の開度とすることができ、これにより定量の湯を排出することができる。

0039

他の排出制御部2の例として、図5に示すようなものも使用できる。なお、図5では図4と共通する部材に同一符号を使用する。この排出制御部2は、排出口10に対し制御弁11を近接離間させる操作部12を有するものにより構成されている。操作部12としては、例えば、一端がチェーン13を介して弁体11と連結され、他端が浴槽Y3の外部に突出された操作レバー14と、操作レバー14を支柱15に設けられたピン16を中心に傾動可能にロックするロック部17と、を有するものにより構成されている。ここに、ロック部17としては、操作レバー14に開設されたピン穴14aと、支柱15の突出部15aに設けられた複数のロック穴18とに、ピン(不図示)を挿入することにより操作レバー14を支柱15にロックするようにしたものである。なお、図中符号「13a」は、ガイド重り機能を発揮するチェーンである。

0040

このような簡単な操作部12の操作により排出口10に対する制御弁11の位置を調整すれば、排出口10を通る排出湯量を制御できる。

0041

源泉供給部1からの供給湯量と、排出制御部2による排出量制御とによる温度制御を実験により検証した。

0042

実験では、それぞれ0.6m3、1.8m3、2.4m3の各浴槽Y1,Y2,Y3を使用した。温度が略54℃の源泉の湯が源泉供給部1から供給されるとき、この供給量と排出量が等しくなるように排出制御部2を制御した。各浴槽Y1,Y2,Y3の湯量は、略満杯の状態となるようにした。これら湯の温度を測定すれば、高温の湯では47℃〜48℃、中温の湯では45℃〜47℃、低温の湯では43℃〜45℃となり、実質的に2℃〜3℃程度の温度差が生じることが判明した。

0043

このような温度差を有する高温の湯、中温の湯、低温の湯は、前述したように、酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)である草津温泉の高温の湯では、皮膚病などの痒みの軽減化、中温の湯では、糖尿病などに有効であり、低温の湯では、リュウマチ、心臓疾患などに有効となる。

0044

なお、一般的には、47℃〜48℃の風呂には容易に入ることができないが、温泉では、温泉の成分が体の表面に膜状に付着するので、体感温度は、若干これより低くなり、入浴可能である。このような高温の湯に入ることを、一般に「時間湯」と称し、47℃の湯に、3分間入ることを、1日3回、3〜6週間連日行う入浴法である。慢性疾患によるいわゆる自律神経失調症の治療に利用される。

0045

一の湯の浴槽Y1、二の湯の浴槽Y2、三の湯の浴槽Y3の各浴槽の深さD(D1,D2,D3の総称)は、D1<D2<D3の関係としている。

0046

このように最上流浴槽Y1から下流側に向けて段階的に深くなる構成にすれば、構造的な効果としては、湯の流れが一方向的になり、下流側から上流側に向けての流れ、つまり逆流を防止でき、源泉かけ流しが円滑に行われる。例えば、最上流浴槽Y1の深さD1は、62cm〜67cm、二の湯の浴槽Y2の深さD2は、68cm〜73cm、三の湯の浴槽Y3の深さD3は、72cm〜77cm程度とし、深さDの差分としては、例えば、3〜8cm程度、好ましくは5cm程度である。

0047

また、このような深さにすることにより入浴者に対して静水圧掛けることができるが、これは医学的な効果もある。医学的な効果としては、静水圧により下半身の血液が上半身押し上げられ、右心房の圧力を上昇させ、これが血中ホルモン動態に強く関係していることが、近年、明らかになったことが指摘されている(例えば、白卓夫、菅井芳郎共著「草津温泉の医学」133頁、上毛新聞出版、2008年05月発行、参照)。

0048

一の湯、二の湯、三の湯の湯温を厳格に管理する場合には、仕切壁Sは、各浴槽間の湯温の熱伝導を阻止する、例えば、グラスウールロックウール羊毛断熱材、セルロースファイバーウレタンフォームポリスチレンフォームフェノールフォームなど、一般に住宅建築において使用される断熱部材を有する仕切壁S1,S2あるいは側壁S3としても良い。一般に、仕切壁S1,S2や側壁S3は、木製、タイル製あるいは金属製などで構成されているが、このような仕切壁S1,S2や側壁S3の内部に前記断熱部材を設けたり、また、このような仕切壁S1,S2や側壁S3の内部に真空断熱層を形成すれば、広い浴槽でも温度低下を防止でき、24時間源泉かけ流しであっても各浴槽の温度を略所定の温度に維持することができ、好ましいものとなる。

0049

三の湯の浴槽Y3には、高温の源泉を流出させることができる源泉流出部20からの湯を座部21に開設された吐出穴22より吐出し、体を局部的に加熱する、いわゆる尻焼き部23を設けても良い。このような尻焼き部23を設けると、痔の治療などのような体の局部の治療を行なうことができるのみでなく、この源泉流出部20から供給される比較的高温の湯により、三の湯の温度をある程度高めることもできることになる。なお、図1において、符号24は、段部である。

0050

次に、本実施形態の作用を説明する。

0051

まず、源泉供給部1からの給湯量と排出制御部2からの排出湯量が略同じになるように排出制御部2を制御する。

0052

最上流浴槽Y1に湯を供給しているパイプ5の吐出端が、最上流浴槽Y1の上部に位置するように構成した場合には、浴槽Y1に注湯された源泉は、浴槽Y1を満たしつつ浴槽Y1内で循環する。この循環中、一部の湯は連通孔Rを通って二の湯の浴槽Y2に流入するが、大部分の湯は浴槽Y1内で循環する。

0053

湯の循環がしばらく行われると、仕切壁S1、側壁S3、底部B1を通って熱放散され、比較的低温になる。低温の湯になると、湯の密度が増大し、浴槽Y1の下方に溜まる。

0054

浴槽Y1内での湯の循環流は、北半球にあるわが国では、反時計方向に渦を巻きながら循環することになるので、連通部Rを、仕切壁Sの下部位置でかつ反時計方向に流れる湯の流れの下流側となる位置に設けると、温度低下した湯が連通部R1を通って次の浴槽Y2に流れ込む。

0055

しかも、この連通部Rが凹状湯溜り部6に連通するように設けられていると、さらに温度低下した湯が集まっている凹状湯溜り部6から連通部R1を通って次の浴槽Y2に湯を供給することができ、一層差温のある湯とすることができる。

0056

同様のことが、浴槽Y2と次の浴槽Y3との間においても行われ、さらに低温の湯が浴槽Y3に蓄えられることになる。

0057

したがって、源泉かけ流し式に各浴槽Yにしばらく湯を供給すれば、一の湯の浴槽Y1、二の湯の浴槽Y2、三の湯の浴槽Y3には、それぞれ温度調節された湯が流入し、湯に水を加えることなく、また付帯設備を使用することなく、各浴槽Y1,Y2,Y3の湯温がそれぞれ異なる、高温の湯、中温の湯、低温の湯とすることができる。

0058

また、サブ連通部Rsに設けられた蓋体7を開閉制御すれば、サブ連通部Rsからは、中間的な温度まで低下した湯が次位の浴槽に流入することになるので、メインの連通部Rからの所定温度まで低下した湯と、サブ連通部Rsからの中間的な温度まで低下した湯が次位の浴槽でミックスされ、湯温制御がより精密に行なわれる。

0059

なお、源泉供給部1において、下方部分まで垂下されたパイプを使用すると、ある程度湯が溜まっても下方から高温の源泉が上方に向かって押し出されるので、一の湯の浴槽Y1には高温の源泉のみが溜まる。したがって、一の湯はきわめて高温の療養に使用することができることになる。この場合は、二の湯の浴槽Y2で温度調整した湯が、三の湯の浴槽Y3に供給されることになる。なお、仮に、三の湯の浴槽Y3の湯温よりも低い湯温の浴槽が必要であれば、四の湯、五の湯等を形成し、上述した原理に基づく低温の湯が貯留された浴槽を形成すればよい。

0060

本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。上述した実施形態では、源泉供給部1からの給湯量と排出制御部2からの排出湯量が略同じになるように排出制御部2の操作部5を操作しているが、排出湯量は、給湯量に応じて適宜選択すればよい。

0061

また、メインの連通部Rは、必ずしも1つのみに限定されるものではなく、必要に応じて個数や断面積の大きさを適宜選択できる。

0062

上述した実施形態では、三の湯に設けた排出制御部2は、湯を廃棄しているが、これを別途貯留部(例えば、露天風呂など)に蓄えて再度使用することができることはいうまでもない。

0063

本発明は、多数の浴槽を用いて高温の源泉の温度を低下させてかけ流し式の温泉設備として利用できる。

図面の簡単な説明

0064

本発明に係る温泉設備を示す平面図である。
図1の2−2線に沿う断面相当図である。
水の温度と密度の関係を示す図である。
排出制御部の一例を示す概略斜視図である。
排出制御部の他の例を示す概略図である。

符号の説明

0065

1…源泉供給部、
2…排出制御部、
6…凹状湯溜り部、
7…蓋体、
10…排出口、
12…操作部、
23…尻焼き部、
B1,B2,B3…底部,
D1,D2,D3…深さ,
R…連通部(メイン)、
Rs…サブ連通部、
S1,S2…仕切壁、
S3…側壁、
Y1,Y2,Y3…浴槽。

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