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技術 アルミナ繊維の製造方法、繊維化装置、ブランケット及びブロック

出願人 株式会社ITM
発明者 寺田浩之
出願日 2008年5月16日 (12年1ヶ月経過) 出願番号 2008-129409
公開日 2009年11月26日 (10年7ヶ月経過) 公開番号 2009-275321
状態 特許登録済
技術分野 無機繊維 紡糸方法及び装置 不織物
主要キーワード 有機長繊維 薄層シート 高圧気流 集綿装置 アコーディオン状 落下移動 収れん 炉壁材
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

本発明の目的は、目地開きを防ぐための更なる改善のため復元性に優れたアルミナ繊維の製造方法、繊維化装置ブランケット及びブロックを提供することである。

解決手段

PVAを含む原料溶液スピニング法によってアルミナ前駆体繊維とし、アルミナ前駆体繊維を延伸、乾燥させた後、900℃以上で焼成することで結晶化させて、アルミナ含有率70重量%以上のアルミナ繊維を製造方法するにおいて、第1段階と、その後の第2段階とを含む少なくとも2段階の高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させることを特徴とするアルミナ繊維の製造方法。 第1段階の気流の吹き出し方向と原料溶液の吹き出し方向とのなす角度が80°以上110°以下であり、第2段階の気流の吹き出し方向と繊維の流れ方向とのなす角度が10°以上80°以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ繊維の製造方法。

概要

背景

従来から、工業炉炉壁材として、マットブランケットを積層して作られた無機繊維ブロックが多く使用されている。

この種のブロックを構成する無機繊維としては、非晶質のアルミナシリカ繊維結晶質アルミナ繊維が使用されている。アルミナ繊維はアルミナシリカ繊維よりも高温で使用される。この用途で主に使用されているアルミナ繊維はアルミナを70重量%以上含有する多結晶短繊維である。

アルミナ繊維は、通常、ゾルゲル法によって生産される。一般的なセラミック製品セラミック粉末原料とするのに対して、ゾル−ゲル法では溶液原料を使用する。この原料溶液はAl(アルミニウム)やSi(珪素)などの金属元素を含んだ有機金属化合物(例えばアルコキシド)やコロイドからなる液体(ゾル)である。この液体原料加水分解や乾燥によって柔らかい固体状態ゲル)となる。その後、乾燥工程と焼成工程を経ることで最終的にセラミック製品となる。

繊維状の製品を得るためには、PVA(ポリビニルアルコール)や乳酸のような有機助剤を添加することで粘性を最適化した原料溶液に、圧力や遠心力を加えて細いノズルを通過させ、その後、温度・湿度を管理した空気中にさらすことで原料溶液中の水分を蒸発させる。この水分の蒸発が十分に早ければ、原料溶液は表面張力によって液滴状(球状)にならずに、ノズルを通過した直後の繊維形状のままゲルとなり、水分を加えたりしない限り繊維形状を保つことができるようになる。このゲル状のアルミナ前駆体繊維を焼成することで有機添加剤脱脂し、結晶化させることで、コランダム(α−Al2O3)、ムライト(3Al2O3・2SiO2)、γ−アルミナ(γ−Al2O3)を主成分とした繊維を得ることができる。結晶化させるために、900℃以上で焼成する。一般に、このアルミナやムライトを主成分とした繊維をアルミナ繊維と呼ぶ。

原料溶液を繊維化しアルミナ前駆体繊維を集綿する段階において、繊維の集合状態のものをシート状にしておくことで、焼成後にもシート状を保った製品が得られる。このシート状に加工された製品をマットと呼ぶ。ブランケットは、強度向上や高密度化を目的としてマットにニードリング処理を施したものを指す。

無機繊維ブロックは、主に次の方法で製造されている。ブランケットを同じ大きさに切断して小片とし、これらの小片を積層し、積層体とする。また、細長いブランケットを折りにして積層体とする。このようにして得られた積層体を圧縮しつつ、バンド締めや縫製によって所定の形状に固定してブロックとする。ブランケットの代わりにマットも使用できる。

無機繊維ブロックは高温炉断熱材として使用されるため、その断熱性が重要となる。一般に、無機繊維ブロックは嵩密度が高くなるほど高温での熱伝導率が低くなる。そのため、無機繊維ブロックは高密度であることが好ましく、特許第3432996号公報にはアルミナファイバーブランケットを積層し、嵩密度を190〜300kg/m3とした無機繊維ブロックが開示されている。

また、無機繊維ブロックは、長時間高温にさらされると収縮するため、徐々にブロックの継目目地)が開いて断熱性能が低下する。目地開きを防ぐ手段としては、復元性に優れた嵩密度60〜200kg/m3のアルミナ繊維ブロックを使用することが特開2002−105823号公報に開示されている。復元性に優れたアルミナ繊維は特開2003−278062号公報にも開示されている。

従来例によっても断熱性向上に対する一定の効果は得られていた。しかし、断熱材として断熱性の改善が常に要求されている。

改善のために、一応、特開2003−278062号公報に記載のような復元性に優れたアルミナ繊維を使用して、特許第3432996号公報に記載の嵩密度200kg/m3以上の高密度ブロックとすることが考えられる。しかし、復元性に優れたアルミナ繊維は、高密度化のためにニードリング圧縮加工を施すと、繊維が折れてしまう。その結果、復元性が失われてしまうことになり、高密度と高復元性の両立は不可能である。

そのため、高復元性のアルミナ繊維を使用したブロックでは、従来、嵩密度は200kg/m3が限界であった。嵩密度200kg/m3以下のブロックでは、断熱性が不足していた。

また、特許第3432996号公報に示されているように200kg/m3以上のブロックの場合には復元性が不足しているため、目地開きに対する指標である収縮率は、1400℃、24時間の加熱において0.1%程度(特許第3432996号公報の実施例4を参照)が限界であった。
特許第3432996号公報
特開2002−105823号公報
特開2003−278062号公報

概要

本発明の目的は、目地開きを防ぐための更なる改善のため復元性に優れたアルミナ繊維の製造方法、繊維化装置、ブランケット及びブロックを提供することである。PVAを含む原料溶液をスピニング法によってアルミナ前駆体繊維とし、アルミナ前駆体繊維を延伸、乾燥させた後、900℃以上で焼成することで結晶化させて、アルミナ含有率70重量%以上のアルミナ繊維を製造方法するにおいて、第1段階と、その後の第2段階とを含む少なくとも2段階の高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させることを特徴とするアルミナ繊維の製造方法。 第1段階の気流の吹き出し方向と原料溶液の吹き出し方向とのなす角度が80°以上110°以下であり、第2段階の気流の吹き出し方向と繊維の流れ方向とのなす角度が10°以上80°以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ繊維の製造方法。

目的

本発明の目的は、目地開きを防ぐための更なる改善のため、復元性に優れたアルミナ繊維の製造方法、繊維化装置、ブランケット及びブロックを提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

PVAを含む原料溶液スピニング法によってアルミナ前駆体繊維とし、アルミナ前駆体繊維を延伸、乾燥させた後、900℃以上で焼成することで結晶化させて、アルミナ含有率70重量%以上のアルミナ繊維を製造する方法において、少なくとも2段階の高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させることを特徴とするアルミナ繊維の製造方法。

請求項2

まず第1段階で高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させ、その後、第2段階で、高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させ、第1段階の気流の吹き出し方向と原料溶液の吹き出し方向とのなす角度が80°以上110°以下であり、第2段階の気流の吹き出し方向と繊維の流れ方向とのなす角度が10°以上80°以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルミナ繊維の製造方法。

請求項3

原料溶液が、繊維ノズルから押し出された直後に、第1段階の気流の吹き付けによって延伸され、その直後に、下流で、第2段階の気流の吹き付けによって更に延伸されることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミナ繊維の製造方法。

請求項4

スピニング法により原料溶液からアルミナ繊維を製造する繊維化装置であって、繊維化ノズルから押し出された原料溶液に高圧気流を吹き付けるために、繊維化ノズルに隣接して設けた第1吹き出し手段と、その第1吹き出し手段の下流に設けた第2吹き出し手段とを設け、少なくとも2段階の高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させることを特徴とする繊維化装置。

請求項5

繊維化ノズルが数多くカップの側面に形成されており、そのカップの側面に数多く形成された繊維化ノズルの周囲に隣接して、第1のリングノズルが第1吹き出し手段として設けられており、その第1吹き出し手段の下流に、第2のリングノズルが第2吹き出し手段として設けられていることを特徴とする請求項4に記載の繊維化装置。

請求項6

第1段階の気流の吹き出し方向と原料溶液の吹き出し方向とのなす角度が80°以上110°以下であり、第2段階の気流の吹き出し方向と繊維の流れ方向とのなす角度が10°以上80°以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の繊維化装置。

請求項7

請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたアルミナ繊維にニードリング処理を施して嵩密度を130kg/m3以上としたことを特徴とするアルミナ繊維ブランケット

請求項8

請求項7に記載のアルミナ繊維ブランケットを使用して形成したアルミナ繊維ブロックであって、1600℃で30日加熱後の目地開きが0.1%以下で、嵩密度が200kg/m3以上であることを特徴とするアルミナ繊維ブロック。

技術分野

0001

本発明は、アルミナ繊維を製造する方法及び装置(繊維化装置)、ブランケット並びにブロックに関するものであり、例えば、高温耐断熱材等に使用されるアルミナ繊維の製造方法、繊維化装置、ブランケット及びブロックに関するものである。

背景技術

0002

従来から、工業炉炉壁材として、マットやブランケットを積層して作られた無機繊維ブロックが多く使用されている。

0003

この種のブロックを構成する無機繊維としては、非晶質のアルミナシリカ繊維結晶質のアルミナ繊維が使用されている。アルミナ繊維はアルミナシリカ繊維よりも高温で使用される。この用途で主に使用されているアルミナ繊維はアルミナを70重量%以上含有する多結晶短繊維である。

0004

アルミナ繊維は、通常、ゾルゲル法によって生産される。一般的なセラミック製品セラミック粉末原料とするのに対して、ゾル−ゲル法では溶液原料を使用する。この原料溶液はAl(アルミニウム)やSi(珪素)などの金属元素を含んだ有機金属化合物(例えばアルコキシド)やコロイドからなる液体(ゾル)である。この液体原料加水分解や乾燥によって柔らかい固体状態ゲル)となる。その後、乾燥工程と焼成工程を経ることで最終的にセラミック製品となる。

0005

繊維状の製品を得るためには、PVA(ポリビニルアルコール)や乳酸のような有機助剤を添加することで粘性を最適化した原料溶液に、圧力や遠心力を加えて細いノズルを通過させ、その後、温度・湿度を管理した空気中にさらすことで原料溶液中の水分を蒸発させる。この水分の蒸発が十分に早ければ、原料溶液は表面張力によって液滴状(球状)にならずに、ノズルを通過した直後の繊維形状のままゲルとなり、水分を加えたりしない限り繊維形状を保つことができるようになる。このゲル状のアルミナ前駆体繊維を焼成することで有機添加剤脱脂し、結晶化させることで、コランダム(α−Al2O3)、ムライト(3Al2O3・2SiO2)、γ−アルミナ(γ−Al2O3)を主成分とした繊維を得ることができる。結晶化させるために、900℃以上で焼成する。一般に、このアルミナやムライトを主成分とした繊維をアルミナ繊維と呼ぶ。

0006

原料溶液を繊維化しアルミナ前駆体繊維を集綿する段階において、繊維の集合状態のものをシート状にしておくことで、焼成後にもシート状を保った製品が得られる。このシート状に加工された製品をマットと呼ぶ。ブランケットは、強度向上や高密度化を目的としてマットにニードリング処理を施したものを指す。

0007

無機繊維ブロックは、主に次の方法で製造されている。ブランケットを同じ大きさに切断して小片とし、これらの小片を積層し、積層体とする。また、細長いブランケットを折りにして積層体とする。このようにして得られた積層体を圧縮しつつ、バンド締めや縫製によって所定の形状に固定してブロックとする。ブランケットの代わりにマットも使用できる。

0008

無機繊維ブロックは高温炉の断熱材として使用されるため、その断熱性が重要となる。一般に、無機繊維ブロックは嵩密度が高くなるほど高温での熱伝導率が低くなる。そのため、無機繊維ブロックは高密度であることが好ましく、特許第3432996号公報にはアルミナファイバーブランケットを積層し、嵩密度を190〜300kg/m3とした無機繊維ブロックが開示されている。

0009

また、無機繊維ブロックは、長時間高温にさらされると収縮するため、徐々にブロックの継目目地)が開いて断熱性能が低下する。目地開きを防ぐ手段としては、復元性に優れた嵩密度60〜200kg/m3のアルミナ繊維ブロックを使用することが特開2002−105823号公報に開示されている。復元性に優れたアルミナ繊維は特開2003−278062号公報にも開示されている。

0010

従来例によっても断熱性向上に対する一定の効果は得られていた。しかし、断熱材として断熱性の改善が常に要求されている。

0011

改善のために、一応、特開2003−278062号公報に記載のような復元性に優れたアルミナ繊維を使用して、特許第3432996号公報に記載の嵩密度200kg/m3以上の高密度ブロックとすることが考えられる。しかし、復元性に優れたアルミナ繊維は、高密度化のためにニードリング圧縮加工を施すと、繊維が折れてしまう。その結果、復元性が失われてしまうことになり、高密度と高復元性の両立は不可能である。

0012

そのため、高復元性のアルミナ繊維を使用したブロックでは、従来、嵩密度は200kg/m3が限界であった。嵩密度200kg/m3以下のブロックでは、断熱性が不足していた。

0013

また、特許第3432996号公報に示されているように200kg/m3以上のブロックの場合には復元性が不足しているため、目地開きに対する指標である収縮率は、1400℃、24時間の加熱において0.1%程度(特許第3432996号公報の実施例4を参照)が限界であった。
特許第3432996号公報
特開2002−105823号公報
特開2003−278062号公報

発明が解決しようとする課題

0014

本発明の目的は、目地開きを防ぐための更なる改善のため、復元性に優れたアルミナ繊維の製造方法、繊維化装置、ブランケット及びブロックを提供することである。

課題を解決するための手段

0015

本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。

0016

(1)PVAを含む原料溶液をスピニング法によってアルミナ前駆体繊維とし、アルミナ前駆体繊維を延伸、乾燥させた後、900℃以上で焼成することで結晶化させて、アルミナ含有率70重量%以上のアルミナ繊維を製造する方法において、少なくとも2段階の高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させることを特徴とするアルミナ繊維の製造方法。

0017

(2)まず第1段階で高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させ、その後、第2段階で、高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させ、第1段階の気流の吹き出し方向と原料溶液の吹き出し方向とのなす角度が80°以上110°以下であり、第2段階の気流の吹き出し方向と繊維の流れ方向とのなす角度が10°以上80°以下であることを特徴とする前述のアルミナ繊維の製造方法。

0018

(3)原料溶液が、繊維ノズルから押し出された直後に、第1段階の気流の吹き付けによって延伸され、その直後に、下流で、第2段階の気流の吹き付けによって更に延伸されることを特徴とする前述のアルミナ繊維の製造方法。

0019

(4)スピニング法により原料溶液からアルミナ繊維を製造する繊維化装置であって、繊維化ノズルから押し出された原料溶液に高圧気流を吹き付けるために、繊維化ノズルに隣接して設けた第1吹き出し手段と、その第1吹き出し手段の下流に設けた第2吹き出し手段とを設け、少なくとも2段階の高圧気流によってアルミナ前駆体繊維を延伸させることを特徴とする繊維化装置。

0020

(5)繊維化ノズルが数多くカップの側面に形成されており、そのカップの側面に数多く形成された繊維化ノズルの周囲に隣接して、第1のリングノズルが第1吹き出し手段として設けられており、その第1吹き出し手段の下流に、第2のリングノズルが第2吹き出し手段として設けられていることを特徴とする前述の繊維化装置。

0021

(6)第1段階の気流の吹き出し方向と原料溶液の吹き出し方向とのなす角度が80°以上110°以下であり、第2段階の気流の吹き出し方向と繊維の流れ方向とのなす角度が10°以上80°以下であることを特徴とする前述の繊維化装置。

0022

(7)前述の製造方法によって製造されたアルミナ繊維にニードリング処理を施して嵩密度を130kg/m3以上としたことを特徴とするアルミナ繊維ブランケット

0023

(8)前述のアルミナ繊維ブランケットを使用して形成したアルミナ繊維ブロックであって、1600℃で30日加熱後の目地開きが0.1%以下で、嵩密度が200kg/m3以上であることを特徴とするアルミナ繊維ブロック。

発明を実施するための最良の形態

0024

本発明者らは、原料溶液の繊維化のしかたを改良することによって、とくに繊維に対する高圧気流の吹き付けを2段階以上で行うことによって、復元性に優れた嵩密度130kg/m3以上のアルミナ繊維ブランケットが生産可能になることを見出した。このブランケットを使用することで、目地開きの少ない嵩密度200kg/m3以上の無機繊維ブロックを作製することができる。

0025

以下、本発明の最良形態による繊維化方法を説明する。

0026

アルミナ繊維の原料溶液を繊維形状に保持するための繊維化助剤にはPVAのみが最適なものとして使用できる。乳酸やポリエチレンオキシドなどの他の助剤では繊維化は可能であるが、所望の特性は得られない。

0027

原料溶液の繊維化方法としてはスピニング法を採用する。

0028

図1図2は、本発明の最良形態の1つによる繊維化装置の概略を示す。

0029

繊維化装置は、スピニング法を採用しており、原料供給管1を通してカップ2に原料溶液を供給し、カップ2を垂直方向軸心を中心にして回転させることにより、カップ2の側面に設けた複数の繊維化ノズル3から遠心力で原料溶液を押し出し、繊維化ノズル3から押し出された原料溶液に少なくとも2段階にわたって高圧の気流を吹き付けて、乾燥・延伸し、コレクター11(集綿装置)に堆積させる。

0030

多数の繊維化ノズル3がカップ2の周面に一定の間隔で形成されている。各繊維化ノズル3の内径は、製造しようとする製品の繊維径に影響する。通常、アルミナ繊維の繊維径は1〜20μmであり、その場合の繊維化ノズル3の内径は0.1〜0.5mmである。

0031

カップ2のサイズや回転数、繊維化ノズル3の数は、生産量に応じて任意に設定する。一般に、カップ2のサイズを大きくすると、繊維化ノズル3の数を多くすることができるため、生産量を増加させることができる。通常、カップ2の直径は100〜500mmであり、側面に設ける繊維化ノズル3の数は10〜300個とする。カップ2の回転数は、繊維径を含めた繊維の特性や生産量などに影響する。通常、500〜5000rpmの範囲で任意に設定する。

0032

高圧気流は2段階に吹き付けるのが好ましい。1段階のみでは優れた復元性と高密度化の両立ができない繊維となる。3段階以上に気流を増やしてもよいが、製品特性は2段階の場合と大きな違いがない。

0033

高圧気流の第1及び第2吹き出し手段は、カップ2と同心円状に配置した多数の丸穴スリットを有するリングノズル等で構成する。

0034

図示例においては、第1及び第2吹き出し手段として2つのリングノズル5、8が設けられている。リングノズル5、8は1本の連続したスリット7a、7bを有するリング状のノズルであり、スリット7a、7bから気流が吹き出すことによってエアーカーテンを発生させるものである。多数の丸穴を設けるよりも、リングノズル5、8にスリット7a、7bを設ける方が、均一な気流が得られやすいため好ましい。以下、スリット7a、7bを有するリングノズル5、8を使用した実施形態について説明する。

0035

繊維化ノズル3からの原料溶液の吹き出し直後に第1段階の気流を吹き出すノズルが第1リングノズル5であり、その直下で、第2段階の気流を吹き出すノズルが第2リングノズル8である。

0036

第1リングノズル5は繊維化ノズル3よりも少し高い位置に隣接して配置されており、しかも、カップ2の円筒面と同心円状に設置する。

0037

図2に示すように、気流の吹き出し方向9aと、水平方向に沿った原料溶液の吹き出し方向4とが成す角度6、すなわち、第1リングノズル5の気流吹き出し角度6は、80°以上110°以下であることが好ましい。この範囲では復元性に優れた繊維となる。第1リングノズル5のスリット7aをそのように構成することによって、繊維化ノズル3から吹き出した原料溶液を第1リングノズル5の気流吹き出しにより所定の繊維径まで延伸し、同時に乾燥する。このことで原料溶液は柔らかいゲル状の繊維となる。

0038

第1リングノズル5の気流の吹き出し作用によって繊維はほぼ垂直に落下する。第1リングノズル5の気流の吹き出しの直下で、ほぼ垂直に落下する繊維に対して第2リングノズル8の気流吹き出しが行なわれる。第2リングノズル8と同じ高さにおける繊維の流れ方向(図1では垂直下向き)と第2リングノズル8の気流吹き出しの方向9bとの成す角度10、すなわち第2リングノズル8の気流吹き出し角度10は、10°以上80°以下となるのが好ましい。そのような気流吹き出しになるように第2リングノズル8のスリット7bの角度10を設定する。

0039

繊維の流れ13は、第1リングノズル5の吹き出し作用でほぼ垂直方向となり、その後、第2リングノズル8の吹き出し作用で内向きに傾斜して少し収れんしてから再び少し広がる。

0040

そうではなく、例えば、ほぼ垂直に落下する繊維の流れ方向と第2リングノズルの気流吹き出し方向9bがほぼ平行である場合や、角度10が10°未満である場合は所望の繊維が得にくい。80°を超えると、繊維化のときに、繊維が吹き上げられ、未乾燥の繊維同士が結合しやすくなるため、製品として好ましいものではなくなることが多くなる。

0041

第2リングノズル8によって繊維をさらに乾燥したあと、繊維化装置の下方位置に設置されているコレクター11に繊維を堆積させる。コレクター11に堆積した繊維は、薄層シート12の形にしてベルトコンベアー等によってニードリング工程に搬送する。

0042

また、高圧気流や繊維化設備内の空気の温度と湿度は、製造される繊維の特性に影響する。温度が低く、湿度が高い場合には、繊維の乾燥速度が遅くなるため、原料液が表面張力によって球状化してしまう。また、乾燥が不十分だと、繊維形状となっても、繊維同士が接着し、焼成後に結合した繊維となる。このように結合した繊維は折れやすいため、復元性の乏しい製品となる。逆に、繊維の乾燥速度が速すぎる場合には、太く短い繊維となるため、やはり復元性に乏しい製品となる。通常、リングノズル5、8が吹き出す気流の温度は20℃以上100℃以下とする。圧力、流量は、原料液を十分に延伸・乾燥できる程度であれば特に限定されない。繊維化装置内の雰囲気は、温度10℃以上50℃以下、湿度は40%以下が好ましい。

0043

上記の繊維化装置では、繊維化用のカップ2の真下にコレクター11がエンドレスベルトを1対のローラで搬送する形で設置されている。そして、カップ2に隣接して配置した第1及び第2リングノズル5、8の吹き出し気流によって重力(垂直)方向に繊維が落下移動して、コレクター11上に堆積する構造となっている。しかし、本発明は、そのような実施形態に限定されない。例えば、カップ2、リングノズル5、8、コレクター11を水平方向に順に設置し、気流によって水平方向に繊維を移動させることも可能である。このような実施形態は、設置場所に応じて選択できる。

0044

上述の繊維化工程以外の工程は従来の技術を適用できる。

0045

アルミナ繊維の原料は溶液を用いる。原料溶液はアルミナ源シリカ源、水、繊維化助剤であるポリビニルアルコールで構成する。アルミナ源としては例えばオキシ塩アルミニウム水溶液が挙げられる。シリカ源としてはコロイダルシリカが一般的である。これらの配合比は、焼成後のアルミナ繊維のアルミナ含有率が70重量%以上となるように設定する。そのように配合した原料溶液を濃縮する。そして、紡糸に適した粘度(10〜500 dPa・s程度)に調整する。調整した原料溶液は上述の方法により繊維化する。

0046

繊維化した前駆体繊維は、繊維化装置下方のコレクター11に堆積させる。コレクター11に堆積した前駆体繊維を薄層シート12としてコレクター11から引き出し、その後、この薄層シート12に減摩剤を塗布する。減摩剤としては、ニードリングをスムーズにする作用がある界面活性剤エマルションを使用する。

0047

薄層シート12を連続的に積層装置(図示せず)に送り、所定の寸法で切断して非連続のシートとし、所定の厚さに積層する。複数枚積層したアルミナ前駆体繊維シートはニードリング工程でニードリングをすることによって高密度化する。ニードリングしたアルミナ前駆体シートは、900℃以上で焼成することで、コランダム、ムライトに結晶化し、アルミナ繊維ブランケットとする。

0048

ブロックを作製するには、好ましくは、これらのブランケットを所定の密度になるように圧縮しながら多数枚重ねて、有機長繊維で縫製する。縫製後、さらに任意の寸法(例えば300×300×300mm)に切断して所望寸法のブロックとすることができる。

0049

また、大きなブランケットを葛折状又はアコーディオン状に積層させ、その後、圧縮して、バンドなどで固定する方法も採用できる。

0050

前述のようにして製造した300×300×300mmのブロックを施工した炉を1600℃において30日間加熱した。そのような加熱後に、ブロックの収縮によってできたブロック間の距離を300mmに対する割合として、目地開きを測定した。

0051

施工方法は、隣接するブロックの圧縮方向が直角となる千鳥施工とした。

0052

実施例及び比較例の製造条件と評価結果を表1に示す。

0053

実施例1〜4と、比較例1〜5では、繊維化助剤としてPVAを使用した。

0054

実施例1は、第1リングノズル5の気流吹き出し角度6が90°、第2リングノズル8の気流吹き出し角度10が40°の例である。ブランケットの密度が130kg/m3、ブロックの密度が250kg/m3であり、目地開きは0.04%であった。

0055

実施例2は、第1及び第2リングノズル5、8の気流吹き出し角度6、10がそれぞれ90°、80°の例である。実施例1と比較して若干目地開きは大きいが、特に問題がなかった。

0056

実施例3は、第1及び第2リングノズル5、8の気流吹き出し角度6、10がそれぞれ90°、20°の例である。ブロックの密度が200kg/m3、目地開きが0.07%で、良好な結果であった。

0057

比較例1は、第1及び第2リングノズル5、8の気流吹き出し角度6、10がそれぞれ60°、40°の例である。ブロックは高密度であったが、復元性に乏しく目地開きが大きかった。

0058

比較例2は、第1及び第2リングノズル5、8の気流吹き出し角度6、10がそれぞれ120°、40°の例である。比較例1と同様、高密度だが、目地開きが大きかった。

0059

比較例3は、第1及び第2リングノズル5、8の角度6、10がそれぞれ90°、5°の例である。第2リングノズル8の吹き出し方向がほぼ垂直方向で、繊維の流れ方向とほぼ平行であるため、ブロックの復元性が不足し、目地開きは0.2%であった。

0060

比較例4は、第1及び第2リングノズル5、8の気流吹き出し角度6、10がそれぞれ90°、90°の例である。第2リングノズル8の気流吹き出し角度10が繊維の流れに対して大きすぎるために、繊維の流れが乱れやすく、繊維同士が融着してしまう。そのために評価可能な製品が得られなかった。

0061

比較例5は第1リングノズル5のみで繊維化した例である。ブロックの目地開きは0.1%であるが、嵩密度が180kg/m3であり、嵩密度が不足していた。

0062

比較例6は、繊維化助剤として乳酸を使用した例である。乳酸の場合では、PVAと比較して繊維が短くなりやすいため、高密度化は可能だが、目地開きが大きかった。

図面の簡単な説明

0063

本発明の好適な実施例による繊維化装置の全体を概略的に示す垂直断面図である。
図1に示す繊維化装置におけるカップと第1リングノズルとの関係を拡大して示す垂直断面図である。

符号の説明

0064

1原料供給管
2カップ
3繊維ノズル
4原料溶液の吹き出し方向
5 第1リングノズル
6 第1リングノズル5の気流吹き出し角度
7a、7b 気流吹き出し用のスリット
8 第2リングノズル
9a、9b 気流の吹き出し方向
11コレクター
12薄層シート
13 繊維の流れ

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