図面 (/)

技術 電力変換装置及びそれを搭載した空気調和装置

出願人 ダイキン工業株式会社
発明者 日比野寛関本守満巴正信前田敏行
出願日 2008年4月30日 (13年9ヶ月経過) 出願番号 2008-119083
公開日 2009年11月19日 (12年2ヶ月経過) 公開番号 2009-273197
状態 特許登録済
技術分野 不可逆サイクルによる圧縮式冷凍機械 インバータ装置 電動機の制御一般
主要キーワード 位相部分 振幅部分 スイッチングレグ 増加状態 コンデンサ回路 最大電圧値 ゼロベクトル マトリックスコンバータ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年11月19日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (13)

課題

正弦波状の交流電圧よりも大きな実効値出力可能に構成された電力変換装置において、過変調領域入力電圧急増した場合でも、インバータ回路での過電流の発生を抑えることのできる低コストで且つ簡単な構成を得る。

解決手段

正弦波状の交流電圧よりも大きな実効値を出力する、いわゆる過変調制御を行うように、インバータ回路(4)内のスイッチング素子(4a)を制御手段(10)によって駆動制御する。この制御手段(10)が、上記過変調制御を行っているときに、インバータ回路(4)の入力電圧が増加しても該インバータ回路(4)で過電流が発生しないように、交流電圧の瞬時値最大値の増加を制限する出力制限手段(12,13)を備えている構成とする。

概要

背景

従来より、入力電圧交流電圧に変換する電力変換装置として、例えば特許文献1に開示されるような構成のものが知られている。この電力変換装置は、検出される入力電圧と与えられる電圧指令とに基づいてPWM信号を生成し、該PWM信号に応じてスイッチング素子駆動制御することで、所定の出力電圧が得られるように構成されている。

なお、上記特許文献1の従来技術にも開示されているように、一般的な電力変換装置では、入力電圧が変動しても出力電圧が変動しないように電圧指令が補正されている。

また、モータ等の負荷運転範囲を拡大するために、出力電圧の実効値を増大させる方法として、電圧指令値を、入力電圧によって決まる電圧出力可能な範囲よりも大きくする、いわゆる過変調制御を行う方法が従来より知られている。このような過変調制御を行う場合、出力電圧の瞬時値最大値は、入力電圧によって決まる出力可能範囲により制限されるため、正弦波状の波形を有する電圧指令に対して、出力電圧の波形は、一部が切り欠かれたような形状になる。
特開昭62−203567号公報

概要

正弦波状の交流電圧よりも大きな実効値を出力可能に構成された電力変換装置において、過変調領域で入力電圧が急増した場合でも、インバータ回路での過電流の発生を抑えることのできる低コストで且つ簡単な構成を得る。正弦波状の交流電圧よりも大きな実効値を出力する、いわゆる過変調制御を行うように、インバータ回路(4)内のスイッチング素子(4a)を制御手段(10)によって駆動制御する。この制御手段(10)が、上記過変調制御を行っているときに、インバータ回路(4)の入力電圧が増加しても該インバータ回路(4)で過電流が発生しないように、交流電圧の瞬時値の最大値の増加を制限する出力制限手段(12,13)を備えている構成とする。

目的

本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、正弦波状の交流電圧よりも大きな実効値を出力可能に構成された電力変換装置において、過変調領域で入力電圧が急増した場合でも、インバータ回路での過電流の発生を抑えることのできる低コストで且つ簡単な構成を得ることにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

入力電圧を所定の周波数及び電圧値交流電圧に変換可能なように複数のスイッチング素子(4a)によって構成されるインバータ回路(4)と、上記スイッチング素子(4a)を駆動制御して、正弦波状の交流電圧よりも大きな電圧実効値が得られる過変調制御を実行可能に構成された制御手段(10)とを備えた電力変換装置であって、上記制御手段(10)は、上記過変調制御を行っているときに上記入電圧が増加しても上記インバータ回路(4)で過電流が発生しないように、交流電圧の瞬時値における最大値の増加を制限する出力制限手段(12,13,22,33)を備えていることを特徴とする電力変換装置。

請求項2

請求項1において、上記出力制限手段(12,13)は、上記交流電圧の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量が、上記インバータ回路(4)で過電流が発生する所定値よりも小さくなるように、上記交流電圧の瞬時値の最大値を制限するよう構成されていることを特徴とする電力変換装置。

請求項3

請求項2において、上記所定値は、上記入力電圧によって決まる出力可能な交流電圧の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量であることを特徴とする電力変換装置。

請求項4

請求項1から3のいずれか一つにおいて、上記インバータ回路(4)で過電流が発生するような上記入力電圧の増加を急増状態として検出する急増検出手段(21)をさらに備えていて、上記出力制限手段(22,13)は、上記急増検出手段(21)によって上記入力電圧の急増状態が検出されたときに、交流電圧の瞬時値の最大値に対する制限値を、上記急増状態の検出前における最大値に対する制限値よりも低下させるとともに、その後は、増加量を制限しながら上記制限値を増加させるように構成されていることを特徴とする電力変換装置。

請求項5

請求項1から3のいずれか一つにおいて、上記インバータ回路(4)で過電流が発生するような上記入力電圧の増加を急増状態として検出する急増検出手段(21)をさらに備えていて、上記出力制限手段(22,13)は、上記急増検出手段(21)によって上記入力電圧の急増状態が検出されている間は、交流電圧の瞬時値の最大値に対する制限値を、上記急増状態の検出前における制限値のまま維持し、若しくは上記急増状態の検出前における制限値よりも小さな値に変更してその値を維持し、上記急増検出手段(21)によって上記入力電圧の急増状態が検出されなくなった後は、増加量を制限しながら上記制限値を増加させるように構成されていることを特徴とする電力変換装置。

請求項6

請求項1から5のいずれか一つにおいて、上記出力制限手段(12,33)は、交流電圧の瞬時値が正弦波状に変化するように該交流電圧の振幅を制限するよう構成されていることを特徴とする電力変換装置。

請求項7

請求項1から6のいずれか1つの電力変換装置(1)を搭載しており、該電力変換装置(1)で変換した交流電圧によって圧縮機の電動機(5)を駆動するように構成されていることを特徴とする空気調和装置

技術分野

0001

本発明は、正弦波状の交流電圧よりも大きな電圧実効値出力可能に構成された電力変換装置に関し、特に、出力電圧の制御に係るものである。

背景技術

0002

従来より、入力電圧を交流電圧に変換する電力変換装置として、例えば特許文献1に開示されるような構成のものが知られている。この電力変換装置は、検出される入力電圧と与えられる電圧指令とに基づいてPWM信号を生成し、該PWM信号に応じてスイッチング素子駆動制御することで、所定の出力電圧が得られるように構成されている。

0003

なお、上記特許文献1の従来技術にも開示されているように、一般的な電力変換装置では、入力電圧が変動しても出力電圧が変動しないように電圧指令が補正されている。

0004

また、モータ等の負荷運転範囲を拡大するために、出力電圧の実効値を増大させる方法として、電圧指令値を、入力電圧によって決まる電圧の出力可能な範囲よりも大きくする、いわゆる過変調制御を行う方法が従来より知られている。このような過変調制御を行う場合、出力電圧の瞬時値最大値は、入力電圧によって決まる出力可能範囲により制限されるため、正弦波状の波形を有する電圧指令に対して、出力電圧の波形は、一部が切り欠かれたような形状になる。
特開昭62−203567号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、上述のような過変調制御を行っているときに、例えば瞬時停電からの復帰や、瞬時の電圧低下からの復帰等によって商用電源の電圧が急増すると、電力変換装置に過電流が流れる。その原因については、従来、知られていなかったが、発明者らの鋭意努力の結果、次のようなメカニズムであることが分かった。

0006

すなわち、上述のような過変調制御では、電圧指令値が入力電圧によって決まる電圧の出力可能範囲よりも大きい区間では、該電圧指令値に対応する電圧が出力されず、該出力可能範囲によって出力電圧が制限されてしまう。この状態で、上述のような理由によって商用電源の電圧が急増すると、インバータ回路の入力電圧が急増するため、電圧の出力可能な範囲が急激に拡大し、上記出力可能範囲によって出力電圧が制限された区間の出力電圧の瞬時値も急激に増大することになる。そうすると、電力変換装置に過電流が発生して、該装置内の構成部品や該装置に接続された負荷が損傷を受ける可能性がある。なお、当然のことながら、上記過変調制御を行っていない場合や、出力電圧の瞬時値が正弦波状の場合には、上述のような現象は生じることなく、電力変換装置で過電流は発生しない。

0007

ここで、従来の一般的な電力変換装置のように、入力電圧が変動しても電圧指令どおりの出力電圧を出力するような電圧指令の補正は、上記出力可能範囲により出力電圧が決まる過変調制御の状態では、電圧指令どおりの出力電圧を出力できないため、入力電圧の変動による出力電圧への影響を無くすことができない。また、上述のような従来の電圧指令の補正では、入力電圧の急増によって上記出力可能範囲が急増すると、電圧指令どおり、または電圧指令により近い出力電圧を出力できるようになるが、該入力電圧の急増によって出力電圧の瞬時値の最大値も電圧指令値に従って増大してしまうため、該出力電圧の瞬時値における最大値の急増による過電流の発生を避けることができない。

0008

これに対し、上記電力変換装置を過電流から保護するための保護回路を設けたり、過電流に耐えられるような構成部品を使用したり、制御帯域を拡げて高速の制御を可能にすることにより過電流の発生を防止したりすることなどが考えられるが、上記保護回路によって電力変換装置の運転が頻繁に停止したり、許容電流の大きな構成部品や高速な制御器が必要になってコストアップになるなどの新たな問題が生じることになる。

0009

本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、正弦波状の交流電圧よりも大きな実効値を出力可能に構成された電力変換装置において、過変調領域で入力電圧が急増した場合でも、インバータ回路での過電流の発生を抑えることのできる低コストで且つ簡単な構成を得ることにある。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するために、本発明に係る電力変換装置(1)では、過変調領域で入力電圧が急増した場合に、インバータ回路(4)で過電流が発生しないように出力側の交流電圧の瞬時値における最大値の増加量を制限した。

0011

具体的には、第1の発明は、入力電圧を所定の周波数及び電圧値の交流電圧に変換可能なように複数のスイッチング素子(4a)によって構成されるインバータ回路(4)と、上記スイッチング素子(4a)を駆動制御して、正弦波状の交流電圧よりも大きな電圧実効値が得られる過変調制御を実行可能に構成された制御手段(10)とを備えた電力変換装置を対象とする。

0012

そして、上記制御手段(10)は、上記過変調制御を行っているときに上記入力電圧が増加しても上記インバータ回路(4)で過電流が発生しないように、交流電圧の瞬時値における最大値の増加を制限する出力制限手段(12,13,22,33)を備えているものとする。

0013

以上の構成により、過変調領域で運転している場合に入力電圧が増加しても、出力側の交流電圧の瞬時値における最大値の増加が制限されるため、該入力電圧の急増に伴う交流電圧の瞬時値における最大値の急増を防止することができ、これにより、上記入力電圧の急増に起因するインバータ回路(4)での過電流の発生を防止することが可能となる。

0014

したがって、保護回路や許容電流の大きな構成部品、高速な制御器などを設けることなく、簡単且つ低コストな構成により、入力電圧の急増によってインバータ回路(4)に過電流が流れるのを防止することができる。

0015

上述の構成において、上記出力制限手段(12,13)は、上記交流電圧の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量が、上記インバータ回路(4)で過電流が発生する所定値よりも小さくなるように、上記交流電圧の瞬時値の最大値を制限するよう構成されているのが好ましい(第2の発明)。

0016

これにより、上記インバータ回路(4)で過電流が発生する所定値よりも小さくなるように、交流電圧の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量を制限することができるため、上記入力電圧が急増した場合でも上記交流電圧の瞬時値の最大値の急増を防止することが可能になる。

0017

特に、上記所定値は、上記入力電圧によって決まる出力可能な交流電圧の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量であるのが好ましい(第3の発明)。これにより、上記入力電圧によって決まる出力可能電圧の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量に対して、交流電圧の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量を小さくすることができるため、上記入力電圧が急増した場合でも上記交流電圧の瞬時値の最大値の急増を確実に防止することができる。

0018

ここで、上記所定時間は、単位時間であってもよいし、制御周期キャリア周期であってもよい。

0019

また、上記インバータ回路(4)で過電流が発生するような上記入力電圧の増加を急増状態として検出する急増検出手段(21)をさらに備えていて、上記出力制限手段(22,13)は、上記急増検出手段(21)によって上記入力電圧の急増状態が検出されたときに、交流電圧の瞬時値の最大値に対する制限値を、上記急増状態の検出前における最大値に対する制限値よりも低下させるとともに、その後は、増加量を制限しながら上記制限値を増加させるように構成されているのが好ましい(第4の発明)。

0020

これにより、入力電圧の急増状態が検出されたときに、交流電圧の瞬時値の最大値に対する制限値が検出前に比べて低下するため、入力電圧が急増したときに該交流電圧の瞬時値の最大値が急増するのを確実に防止できる。そして、その後は、上記制限値の増加量を制限しながら増加させるため、交流電圧の瞬時値の最大値の急増を確実に防止しつつ、できるだけ大きな出力電圧を得ることができる。

0021

また、上記インバータ回路(4)で過電流が発生するような上記入力電圧の増加を急増状態として検出する急増検出手段(21)をさらに備えていて、上記出力制限手段(22,13)は、上記急増検出手段(21)によって上記入力電圧の急増状態が検出されている間は、交流電圧の瞬時値の最大値に対する制限値を、上記急増状態の検出前における制限値のまま維持し、若しくは上記急増状態の検出前における制限値よりも小さな値に変更してその値を維持し、上記急増検出手段(21)によって上記入力電圧の急増状態が検出されなくなった後は、増加量を制限しながら上記制限値を増加させるように構成されているのが好ましい(第5の発明)。

0022

こうすることで、交流電圧の瞬時値の最大値に対する制限値は、入力電圧の急増が検出されなくなった後に、増加することになるため、入力電圧の急増時に交流電圧の瞬時値の最大値も急増するのをより確実に防止することができる。したがって、上記入力電圧の急増によって、電力変換装置(1)に過電流が発生するのをより確実に防止することができる。しかも、直流電流の急増が終わった後に、上記制限値を増加させるため、その分、出力電圧を大きくすることができる。

0023

さらに、上記出力制限手段(12,33)は、交流電圧の瞬時値が正弦波状に変化するように該交流電圧の振幅を制限するよう構成されているのが好ましい(第6の発明)。これにより、出力電圧の波形の歪みをできるだけ少なくすることができる。したがって、入力電圧の急増に伴うインバータ回路(4)での過電流の発生を防止しつつ、高調波の発生を抑制できる構成を得ることができる。また、過変調制御を行う場合に比べて、出力電圧の実効値を減らすことができるので、インバータ回路(4)での過電流の発生をより確実に防止することができる。

0024

第7の発明は、空気調和装置を対象とする。具体的には、請求項1から6のいずれか1つの電力変換装置(1)を搭載しており、該電力変換装置(1)で変換した交流電圧によって圧縮機の電動機(5)を駆動するように構成されているものとする(第7の発明)。

0025

この構成により、空気調和装置の圧縮機の電動機(5)を駆動する電力変換装置(1)を、入力電圧の急増の影響を受けにくい構成にすることができる。したがって、電力変換装置(1)を過変調領域で運転していても、該電力変換装置(1)に過電流の発生しにくい空気調和装置を得ることができる。

発明の効果

0026

上より、本発明に係る電力変換装置(1)によれば、過変調制御を行っているときに入力電圧が急増してもインバータ回路(4)で過電流が発生しないように、交流電圧の瞬時値の最大値の増加を制限するため、入力電圧の急増に伴うインバータ回路(4)での過電流の発生を簡単且つ低コストな構成で防止することができる。

0027

また、第2の発明によれば、交流電圧の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量がインバータ回路(4)で過電流が発生しない所定値よりも小さくなるように制限されるため、該インバータ回路(4)での過電流の発生を確実に防止することができる。特に、第3の発明によれば、上記所定値は、入力電圧によって決まる出力可能電圧の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量であるので、入力電圧が急増した場合であっても、その入力電圧によって決まる出力可能電圧の上記増加量よりも交流電圧の上記増加量を確実に小さくすることができ、インバータ回路(4)での過電流の発生をより確実に防止できる。

0028

また、第4の発明によれば、上記入力電圧の急増状態が検出されたときに、該検出前に比べて交流電圧の瞬時値の最大値に対する制限値を小さくして、その後の該制限値の増加も抑制するようにしたため、入力電圧の急増に伴ってインバータ回路(4)で過電流が発生するのを確実に防止しつつ、出力電圧をできるだけ増大させることができる。

0029

また、第5の発明によれば、上記入力電圧の急増が検出されている間は、該検出前の交流電圧の瞬時値の最大値に対する制限値若しくは該検出時に小さくした交流電圧の瞬時値の最大値に対する制限値をそのまま維持し、その後の該制限値の増加も抑制するようにしたため、入力電圧の急増に伴ってインバータ回路(4)で過電流が発生するのをより確実に防止しつつ、出力電圧をできるだけ増大させることができる。

0030

また、第6の発明によれば、交流電圧の瞬時値が正弦波状になるように該交流電圧の振幅を制限することで、インバータ回路(4)の保護を図りつつ、高調波の発生を抑制することができる。

0031

さらに、第7の発明に係る空気調和装置によれば、上記第1から第6の発明のいずれか一つの電力変換装置(1)から出力された交流電圧が圧縮機の電動機(5)に供給されるため、入力電圧の急増の影響を受けにくい電力変換装置(1)を備えた空気調和装置を容易に得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0032

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。

0033

《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について以下に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る電力変換装置(1)は、コンバータ回路(2)とコンデンサ回路(3)とインバータ回路(4)とを備えている。なお、上記電力変換装置(1)は、例えば空気調和装置の冷媒回路に設けられた圧縮機の電動機(5)(以下、モータともいう)を駆動するために用いられる。ここで、空気調和装置の冷媒回路は、特に図示しないが、圧縮機と凝縮器膨張機構蒸発器とが閉回路を構成するように接続されてなり、冷媒循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルを行うように構成されている。この冷媒回路によって、冷房運転では、蒸発器で冷却された空気が室内へ供給され、暖房運転では、凝縮器で加熱された空気が室内へ供給される。

0034

上記コンバータ回路(2)は、複数のダイオード(2a)を備えていて、商用電源(6)から出力される交流電力整流するように構成されている。特に図示しないが、上記コンバータ回路(2)は、複数のダイオード(例えば三相交流であれば6個)がブリッジ状に接続されており、これにより整流回路を構成している。なお、本実施形態では、上記コンバータ回路(2)を複数のダイオード(2a)によって構成しているが、この限りではなく、スイッチング素子によって構成し、交流電力を直流電力に整流するように該スイッチング素子を駆動制御してもよい。

0035

上記コンデンサ回路(3)は、上記コンバータ回路(2)の出力側に並列に接続されるコンデンサ(3a)を備えている。このコンデンサ回路(3)を設けることによって、上記コンバータ回路(2)で整流された電圧を平滑化することができる。これにより、上記インバータ回路(4)側に直流電力を安定して供給することができる。

0036

上記インバータ回路(4)は、上記コンバータ回路(2)に対して上記コンデンサ回路(3)とともに並列に接続されている。このインバータ回路(4)は、複数のスイッチング素子(4a)(例えば三相交流であれば6個)がブリッジ結線されてなる。すなわち、特に図示しないが、上記インバータ回路(4)は、2つのスイッチング素子(4a,4a)を互いに直列接続してなる3つのスイッチングレグが並列に接続されてなるもので、これらのスイッチング素子(4a)のオンオフ動作によって、直流電圧を交流電圧に変換し、モータ(5)へ供給するように構成されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、上記各スイッチング素子(4a)は、トランジスタとダイオードとが逆並列に接続されてなるが、この限りではなく、スイッチング可能な構成であれば他の構成であってもよい。

0037

また、上記電力変換装置(1)は、上記インバータ回路(4)内の各スイッチング素子(4a)を駆動制御するためのコントローラ(10)を備えている。このコントローラ(10)は、上記インバータ回路(4)の入力電圧である直流電圧VDCと、該コントローラ(10)に入力される電圧指令とに基づいて、PWM制御のための信号を出力し、スイッチング素子(4a)を駆動制御することによって、インバータ回路(4)の出力電圧を制御するように構成されている。

0038

具体的には、上記コントローラ(10)は、PWM(パルス幅変調)制御を行うためのPWM変調部(11)を備えている。このPWM変調部(11)は、上記直流電圧VDCと電圧指令ベクトルとに基づいてPWM信号を出力する、いわゆる瞬時空間ベクトル方式変調を行うように構成されている。

0039

ここで、上記瞬時空間ベクトル方式の変調方法とは、上記インバータ回路(4)を構成する各スイッチング素子(4a)の駆動状態を変化させたときに該インバータ回路(4)から出力される電圧パターンを8つの瞬時電圧ベクトルで表し、電圧指令ベクトルに基づいて該瞬時電圧ベクトルが所定のパルス幅で出力されるように上記スイッチング素子(4a)を駆動制御して、変調を行うものである。すなわち、上記瞬時空間ベクトル方式では、2つのゼロベクトルを含む8つの瞬時電圧ベクトルのパルス幅を求めて、電圧指令ベクトルに応じて所定のパルス幅で瞬時電圧ベクトルを出力することにより、歪みの少ない正弦波状の交流電圧を出力することができる。

0040

なお、PWM制御の変調方法は、上述の瞬時空間ベクトル方式に限らず、正弦波状の電圧指令信号三角波キャリア信号とを比較して得られるスイッチング信号を用いてスイッチング素子(4a)の駆動制御を行う三角波比較方式であってもよい。

0041

また、上記PWM変調部(11)は、正弦波状の出力電圧よりも大きな電圧を出力できるように、過変調制御が可能に構成されている。すなわち、上述のようにPWM制御によって直流電圧を三相交流電圧に変換する場合、交流電圧を出力可能な範囲は、インバータ回路(4)の入力側の直流電圧VDCによって制限されるが、この出力可能範囲よりも最大値(瞬時値の最大値)の大きい電圧指令値を入力することで、出力される電圧の実効値が正弦波状の出力電圧よりも大きくなるようにしている。なお、この場合、電圧指令の波形のうち、上記出力可能範囲を超えた部分については、出力可能な電圧の最大値(入力側の直流電圧VDCによって決まる出力可能な電圧の最大値)が出力されることになるため、出力電圧の波形は正弦波状ではなくて、鋸歯状に近い波形となる(図3中の左側部分)。

0042

すなわち、電圧指令が出力電圧の出力可能範囲内であれば、該電圧指令の波形と出力電圧の波形とが一致する一方、上記電圧指令が出力電圧の出力可能範囲外であれば、該出力電圧の瞬時値の最大値は上述のように制限されて、該出力電圧の波形は電圧指令の波形とは一致しない。ここで、上記PWM変調部(11)は、電圧指令が出力電圧の出力可能範囲内であれば、従来の制御と同様、入力側の直流電圧VDCが変化しても電圧指令と出力電圧とが一致するような補正制御を行うように構成されているが、電圧指令が出力電圧の出力可能範囲外のときには、上述のような補正制御を行うことができないため、直流電圧VDCに応じて出力電圧が変動することになる。

0043

−直流電圧急増時の出力制限−
ところで、上述のような構成を有する電力変換装置(1)を用いて過変調制御によって電力の変換を行っている場合に、瞬時停電や瞬時の電圧低下が発生すると、それらの状態から復帰するときに、商用電源(6)の電源電圧の急増に伴い、インバータ回路(4)の入力側の直流電圧VDCが急増し、該インバータ回路(4)に過電流が発生する場合がある。

0044

この原因は、発明者らの鋭意努力によって、以下のようなメカニズムであることが分かった。すなわち、上記電力変換装置(1)が上述のような過変調制御を行っている場合、過変調領域では、既述のとおり、電圧指令の値が入力側の直流電圧VDCによって決まる電圧の出力可能範囲外になるため、該出力可能範囲によって出力電圧の瞬時値は制限され、上記直流電圧VDCによって出力電圧が変動することになる。そうすると、上記直流電圧VDCの急増によって、該直流電圧VDCにより決まるインバータ回路(4)の出力可能範囲も急激に拡大して(図3二点鎖線参照)、該インバータ回路(4)の出力電圧の瞬時値の最大値が急増する。その結果、上記インバータ回路(4)に過電流が発生して、該インバータ回路(4)内の構成部品や該インバータ回路(4)から電力を供給される負荷が損傷を受ける可能性がある。

0045

このような過電流の発生を防止するため、本発明の特徴部分として、上記コントローラ(10)は、直流電圧が急増しても出力電圧の瞬時値の最大値が急増しないように、該直流電圧の増加に伴う出力電圧の瞬時値の最大値の増加を制限するように構成されている。

0046

具体的には、上記コントローラ(10)は、出力電圧の瞬時値の最大値の増加を制限するための制限値を直流電圧VDCに基づいて算出する制限値算出部(12)と、該制限値算出部(12)で算出された制限値に応じて、出力電圧の瞬時値の最大値を制限する出力制限部(13)とを備えている。なお、上記制限値算出部(12)及び出力制限部(13)が本発明に係る出力制限手段に対応する。

0047

上記制限値算出部(12)は、図2に示すようなアルゴリズムによって制限値を求めるように構成されている。すなわち、この制限値算出部(12)は、直流電圧に基づいて出力可能な電圧(出力可能電圧)の最大値(以下、最大電圧値ともいう)を算出する最大電圧値算出部(14)と、出力可能な電圧の最大値の増加量を、インバータ回路(4)で過電流が発生しないような値(所定値)に制限するリミッタ部(15)とを備えている。

0048

上記図2に示すように、上記制限値算出部(12)は、直流電圧VDCが検出されると、まず、上記最大電圧値算出部(14)で該直流電圧値に基づいてインバータ回路(4)が出力可能な電圧の最大値を算出する。そして、1制御周期前の制限値(図中のZ-1に相当)と比較し、それらの電圧差(所定時間当たりの増加量)を求める(算出された最大値から1制御周期前の制限値を減算する)。求めた電圧差を上記リミッタ部(15)によって制限し、その値を上記1制御周期前の制限値に足して、出力電圧の瞬時値の制限値を算出する。なお、算出された制限値は、次の制御周期において、1制御周期前の制限値として用いられる。

0049

上記リミッタ部(15)は、上記電圧差がインバータ回路(4)で過電流が発生する所定値よりも大きくならないように、該電圧差を所定値よりも小さい値に設定するよう構成されている。また、上記リミッタ部(15)は、上記電圧差の下限側については特に制限するように構成されていないため、算出された電圧差をそのまま電圧差として設定する。

0050

上述のように上記リミッタ部(15)を構成することにより、該リミッタ部(15)によって上記電圧差が制限されると、上記図2で算出される制限値は、入力電圧によって決まる最大電圧値よりも小さくなる。一方、上記リミッタ部(15)によって上記電圧差が制限されない場合には、上記図2で算出される制限値は、入力電圧によって決まる最大電圧値に一致する。

0051

上記出力制限部(13)は、上記制限値算出部(12)で算出された制限値に基づいて、入力された電圧指令の一部を制限するように、上記PWM変調部(11)に対して制御信号を出力する。これにより、上記PWM変調部(11)からは、出力電圧の瞬時値の最大値が徐々に増加するように該最大値を制限したPWM信号が出力される(図3参照)。すなわち、上記PWM変調部(11)からは、出力電圧(交流電圧)の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量が制限されたPWM信号が出力される。

0052

以上の構成により、図3に示すように、直流電圧が急増した場合でも、該直流電圧の急増に伴って電圧の出力可能範囲が二点鎖線のように急激に拡大することなく、破線のように緩やかに拡大するため、出力電圧の瞬時値の最大値が急増するのを防止できる。

0053

−実施形態1の効果−
以上より、この実施形態によれば、過変調制御を行う電力変換装置(1)において、直流電圧が急増した場合でも、出力電圧の瞬時値の最大値の増加を抑制することで、該最大値の急増を防止することができ、インバータ回路(4)での過電流の発生を防止できる。

0054

すなわち、出力電圧の最大値(瞬時値の最大値)の所定時間当たりの増加量を制限したため、直流電圧が急増しても、該最大値の増加量を、上記インバータ回路(4)で過電流が発生しない範囲に確実に抑えることができ、直流電圧の急増によるインバータ回路(4)での過電流の発生を防止できる。

0055

そして、上述のような構成によって、インバータ回路(4)での過電流の発生を防止することにより、過電流の発生を防止するために電力変換装置(1)の駆動を停止する必要がなくなり、直流電圧が急増した場合でも該電力変換装置(1)の運転を継続することができる。

0056

さらに、上述のように出力電圧の瞬時値の最大値を制限しながらも、直流電圧の増加に伴って出力電圧の瞬時値の最大値を増加させることで、モータ等の負荷に対してできるだけ大きな電圧を出力することができる。

0057

《発明の実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係る電力変換装置について以下で説明する。この電力変換装置(101)は、図4図6に示すように、上記実施形態1とは一部の構成及び制御が異なるだけなので、以下、同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。

0058

具体的には、この実施形態2では、上記実施形態1とは異なり、直流電圧の急増を検出したときに、出力電圧の瞬時値の最大値を小さくして、その後、制限された増加量で該出力電圧の瞬時値の最大値を徐々に増加させるようにした。

0059

すなわち、この実施形態では、図4に示すように、コントローラ(20)が、直流電圧急増検出部(21)(急増検出手段)を備えていて、該直流電圧急増検出部(21)によって直流電圧の急増が検出されたときに、制限値算出部(22)が、直流電圧が急増する前の最大電圧値に対する制限値よりも小さい所定の制限値を出力するように構成されている。

0060

上記直流電圧急増検出部(21)は、直流電圧が所定時間当たり所定量以上、増加している場合に、該直流電圧の急増状態であることを検出するように構成されている。なお、上記所定時間は、単位時間や制御周期、キャリア周期など、どのような時間であってもよい。また、直流電圧が所定時間当たり所定量以上、増加している急増状態とは、インバータ回路(4)で過電流が発生するような直流電圧の増加状態を意味する。

0061

上記制限値算出部(22)は、上記実施形態1と同様、最大電圧値算出部(14)及びリミッタ部(15)を備えている。そして、上記制限値算出部(22)は、上記直流電圧急増検出部(21)によって直流電圧の急増状態が検出されたときに、出力電圧の瞬時値の最大値に対する制限値が所定量、低減されるように、上記実施形態1で求められる制限値に対して急増時低減値を減算するよう構成されている。

0062

具体的には、上記制限値算出部(22)は、図5に示すようなアルゴリズムによって出力電圧の瞬時値の最大値に対する制限値を求めるように構成されている。上記制限値算出部(22)は、直流電圧値が入力されると、上記実施形態1のように、最大電圧値算出部(14)によって出力可能な電圧の最大値を求めるとともに、1制御周期前の制限値との電圧差を算出し、リミッタ部(15)によって該電圧差を制限する。一方、上記直流電圧は、上記直流電圧急増検出部(21)にも入力され、該直流電圧急増検出部(21)によって直流電圧の急増状態が検出されると、上記制御値算出部(22)では、上記制限された電圧差に対して、直流電圧の急増時に出力電圧の瞬時値を低減するための急増時低減値を減算する。これにより、直流電圧の急増状態が検出されたときには、該検出前に比べて小さな電圧値に出力電圧の瞬時値の最大値が制限され、その後、上記最大電圧値算出部(14)及びリミッタ部(15)の出力から求められる制限値に応じて徐々に出力電圧の瞬時値における最大値の制限値が増加する。

0063

上記制限値算出部(22)によって算出された制限値は、上記実施形態1と同様、出力制限部(13)に出力される。この出力制限部(13)では、上記制限値に基づいて電圧指令を制限するように、PWM変調部(11)に対して制御信号を出力する。そして、図6に示すように、上記PWM変調部(11)は、直流電圧の急増時に出力電圧の瞬時値の最大値を低くし、その後、該最大値に対する制限値よりも電圧指令が大きい期間では、徐々に出力電圧の瞬時値の最大値を増大させるように出力制御する。すなわち、上記PWM変調部(11)からは、直流電圧の急増時に出力電圧の瞬時値の最大値を低減するようなPWM信号が出力された後、直流電圧によって決まる出力可能電圧の最大値の所定時間当たりの増加量に比べて、出力電圧(交流電圧)の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量が小さくなるようなPWM信号が出力される。

0064

以上の構成により、図6に示すように、直流電圧が急増した場合でも、該直流電圧の急増に伴って出力電圧の出力範囲が二点鎖線のように急激に拡大することなく、破線のように出力電圧の出力範囲を急増前よりも一旦、狭くした後、緩やかに拡大させることができる。

0065

ここで、上記制限値算出部(22)及び出力制限部(13)が、本発明に係る出力制限手段に対応する。

0066

−実施形態2の効果−
以上より、この実施形態2によれば、入力側の直流電圧の急増を検出したときに、出力電圧の瞬時値の最大値を急増検出前に比べて小さい値にして、その後、緩やかに増大させるようにしたため、上記直流電圧の急増に伴う出力電圧の瞬時値の最大値の急増を防止することができ、インバータ回路(4)での過電流の発生を防止できる。これにより、上記直流電圧が急増した場合の上記インバータ回路(4)の保護をより確実に図れる。

0067

しかも、上述のように、直流電圧の急増検出時に、出力電圧の瞬時値の最大値を検出前の値に比べて小さくした後、上記インバータ回路(4)で過電流が発生しないように上記出力電圧の瞬時値の最大値を徐々に増大させるようにしたため、上記インバータ回路(4)の保護を図れる範囲内で、できるだけ大きな電圧を出力することができる。

0068

また、上述のように、直流電圧の急増検出時に、出力電圧の瞬時値の最大値を検出前の値に比べて小さくすることで、電力変換装置(1)を流れる電流値下げることができ、その分、電流の変動に対して該電力変換装置(1)内の構成部品の許容電流までの余裕を大きくすることができる。したがって、直流電圧の急増によって電力変換装置(1)の電流が急増しても、該電力変換装置(1)内の構成部品や該装置に接続された負荷が損傷を受けるのをより確実に防止できる。

0069

《発明の実施形態3》
次に、本発明の実施形態3に係る電力変換装置について以下で説明する。この電力変換装置は、図7及び図8に示すように、上記実施形態1とは制御の内容が異なるだけなので、以下、同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。

0070

すなわち、この実施形態3に係る電力変換装置は、上記実施形態2の電力変換装置(101)と同じ構成であり、直流電圧が急増している間の制限値算出部(22)による制限値の算出方法のみが異なる。詳しくは、図7に示すように、上記制限値算出部(22)は、直流電圧急増検出部(21)によって直流電圧の急増状態が検出されると、1制御周期前の制限値に対して、リミッタ部(15)で処理された後の電圧差の加算を停止するように構成されている。

0071

これにより、直流電圧が急増している間は、出力電圧の瞬時値の最大値が急増前の値に制限されることになり、該直流電圧の急増による出力電圧の瞬時値の最大値の急増を確実に防止することができる。

0072

一方、上記直流電圧急増検出部(21)によって直流電圧の急増状態が検出されていないときには、上記実施形態1、2と同様、上記リミッタ部(15)によって電圧差を制限し、この制限された電圧差を1制御周期前の制限値に加算して、新たな制限値を求める。

0073

上述のように算出された制限値は、上記実施形態1、2と同様、出力制限部(13)に出力されて、この制限値に基づいて電圧指令を制限するように、該出力制限部(13)からPWM変調部(11)に制御信号が出力される。そして、図8に示すように、上記PWM変調部(11)は、直流電圧が急増している間は出力電圧の瞬時値の最大値をそのまま維持して、該直流電圧の急増状態が検出されなくなった後、徐々に上記最大値の制限値を増大させるように出力制御する。すなわち、上記PWM変調部(11)からは、直流電圧が急増している間は、出力電圧の瞬時値の最大値をそのまま維持するようなPWM信号が出力され、その後、出力電圧(交流電圧)の瞬時値における最大値の所定時間当たりの増加量が制限されたPWM信号が出力される。

0074

以上の構成により、上記図8に示すように、直流電圧が急増した場合でも、該直流電圧の急増に伴って出力電圧の出力範囲が二点鎖線のように急激に拡大することなく、破線のように、直流電圧が急増している間は出力電圧の出力範囲をそのまま維持しつつ、急増が終わった後は、出力範囲を徐々に拡大することができる。

0075

−実施形態3の効果−
以上より、この実施形態3によれば、入力側の直流電圧の急増を検出している間は、出力電圧の瞬時値の最大値をそのまま維持して、その後、緩やかに該出力電圧の瞬時値の最大値を増大させるようにしたため、上記直流電圧の急増に伴う出力電圧の瞬時値の急増を防止することができ、インバータ回路(4)での過電流の発生を防止できる。これにより、上記直流電圧が急増した場合の上記インバータ回路(4)の保護を確実に図れる。

0076

しかも、上述のように、直流電圧の急増を検出している間、出力電圧の瞬時値の最大値をそのまま維持して、該急増が検出されなくなったら、上記インバータ回路(4)で過電流が発生しないように上記出力電圧の瞬時値の最大値を徐々に増大させるようにしたため、上記インバータ回路(4)の保護を図れる範囲内で、できるだけ大きな電圧を出力することができる。

0077

《発明の実施形態4》
次に、本発明の実施形態4に係る電力変換装置(201)について以下で説明する。この電力変換装置(201)は、図9及び図10に示すように、上記実施形態1とは一部の構成及び制御が異なるだけなので、以下、同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。

0078

具体的には、この実施形態4に係る電力変換装置(101)では、PWM変調部(31)が、出力電圧の制限値が瞬時値の最大値となり且つ正弦波状の波形になる交流電圧を出力するように構成されている。このように制限値内で正弦波状の出力電圧を出力するために、上記電力変換装置(201)では、電圧指令の振幅部分は出力制限部(33)に、該電圧指令の位相部分はPWM変調部(31)に、それぞれ入力されるようになっている。すなわち、上記出力制限部(33)では、制限値算出部(12)で算出された制限値に応じて出力電圧の瞬時値の最大値を制限するような制御信号を出力する一方、上記PWM変調部(31)では、電圧指令の位相部分に基づいて出力電圧が正弦波状になるようにPWM信号を生成し出力する。

0079

ここで、上記制限値算出部(12)及び出力制限部(33)が、本発明に係る出力制限手段に対応する。

0080

上述の構成により、上記電力変換装置(201)は、図10に示すように、電圧の出力範囲が破線のように制限された状態でも、正弦波状の交流電圧を出力することができる。したがって、直流電圧が急増した場合でも出力電圧の瞬時値の最大値が急増するのを防止しつつ、より歪みの少ない交流電圧を出力することができる。

0081

なお、この実施形態では、上記図10に示すように、上記実施形態1の場合について、出力電圧を正弦波状にするようにしているが、この限りではなく、図11及び図12に示すように、上記実施形態2、3の場合についても、上述の構成によって出力電圧を正弦波状にすることができる。

0082

−実施形態4の効果−
以上より、この実施形態によれば、電力変換装置(201)は、上述の実施形態1〜3のように、直流電圧が急増して出力電圧の瞬時値の最大値が制限されている場合でも、該出力電圧を正弦波状に出力するように構成されているため、直流電圧の急増による電力変換装置(201)での過電流の発生を防止しつつ、より歪みの少ない波形の電圧を出力することができる。したがって、直流電圧の急増に対する電力変換装置(201)の保護を図りつつ、高調波の低減を図ることができる。

0083

また、上述のように、出力電圧を正弦波状として、過変調制御が行われた場合の出力電圧に比べて実効値を小さくすることで、電力変換装置(1)を流れる電流値を下げることができ、その分、電流の変動に対して該電力変換装置(1)内の構成部品の許容電流までの余裕を大きくすることができる。したがって、直流電圧の急増によって電力変換装置(1)の電流が急増しても、該電力変換装置(1)内の構成部品や該装置に接続された負荷が損傷を受けるのをより確実に防止できる。

0084

《その他の実施形態》
上記各実施形態については、以下のような構成としてもよい。

0085

上記各実施形態では、直流電圧に関係なく、電圧指令を一定にした場合について説明したが、この限りではなく、従来より電力変換装置において一般的に行われている、出力電圧の実効値が一定になるように直流電圧に応じて電圧指令を変化させる場合について、上記各実施形態の構成を適用してもよい。すなわち、例えば、過変調領域において、出力電圧の実効値が電圧指令値と一致するように、若しくは該電圧指令値に近づくように、該電圧指令値を調整する場合ついても同様に適用することができる。

0086

また、上記各実施形態では、上述のような各構成を、入力電圧としての直流電圧VDCを三相交流電圧に変換するインバータ回路(4)に適用するようにしているが、この限りではなく、マトリックスコンバータなどのように、交流電圧から交流電圧に直接変換するような回路に適用してもよい。この場合には、例えば、上記各実施形態において、入力側の直流電圧を、交流電源などの入力電圧の最大電圧とすることで、上述のようなマトリックスコンバータなどにも適用することが可能となる。

0087

また、上記各実施形態では、入力側の直流電圧に基づいて出力可能な最大電圧値を求め、該最大電圧値と1制御周期前の制限値との電圧差から、新たな制限値を算出するようにしているが、この限りではなく、出力電圧の瞬時値を検出して、該瞬時値と1制御周期前の制限値との電圧差から新たな制限値を算出するようにしてもよい。なお、この場合には、演算による遅れを考慮して検出した出力電圧の瞬時値に対し、補正を行うのが好ましい。

0088

また、上記実施形態2、3では、それぞれ、直流電圧の急増を検出したときに、出力電圧の瞬時値の最大値に対する制限値を急増前よりも小さくしたり、該制限値をそのまま維持するようにしたりしているが、この限りではなく、両者を組み合わせた構成であってもよい。すなわち、直流電圧の急増を検出したときに、急増前の出力電圧の瞬時値の最大値に対する制限値よりも制限値を小さくして、該直流電圧の急増が終わるまでそのままの状態を維持するようにしてもよい。このように両者を組み合わせることで、直流電圧の急増時において、電力変換装置(1)の電流値をより低くすることができ、構成部品の許容電流までの余裕をより大きくすることができる。よって、直流電圧の急増時において、電力変換装置(1)の保護をより確実に図れる。

0089

以上説明したように、本発明は、例えば過変調領域で運転可能な電力変換装置に特に有用である。

図面の簡単な説明

0090

図1は、実施形態1に係る電力変換装置の概略構成を示す図である。
図2は、制限値算出部の概略構成を示すブロック図である。
図3は、直流電圧が急増した場合の出力電圧波形を示す図である。
図4は、実施形態2に係る電力変換装置の図1相当図である。
図5は、実施形態2に係る制限値算出部の図2相当図である。
図6は、実施形態2に係る出力電圧波形の図3相当図である。
図7は、実施形態3に係る制限値算出部の図2相当図である。
図8は、実施形態3に係る出力電圧波形の図3相当図である。
図9は、実施形態4に係る電力変換装置の図1相当図である。
図10は、実施形態4に係る出力電圧波形の図3相当図である。
図11は、実施形態4に係る出力電圧波形の図3相当図である。
図12は、実施形態4に係る出力電圧波形の図3相当図である。

符号の説明

0091

1、101、201電力変換装置
2コンバータ回路
2aダイオード
3コンデンサ回路
3aコンデンサ
4インバータ回路
5電動機(モータ)
6商用電源
10、20、30コントローラ
11、31PWM変調部
12、22制限値算出部(出力制限手段)
13、33 出力制限部(出力制限手段)
14最大電圧値算出部
15リミッタ部
21直流電圧急増検出部(急増検出手段)

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 東芝キヤリア株式会社の「 熱源システム」が 公開されました。( 2021/09/30)

    【課題】コストを低減することができる熱源システムを得ること。【解決手段】熱源システムは、液体を加熱または冷却する複数の熱源機と、前記複数の熱源機と、液体を循環させる配管で接続される複数の負荷側装置と、... 詳細

  • 正和住設株式会社の「 冷暖房供給システム」が 公開されました。( 2021/09/30)

    【課題】ユーザにとって使い易く、融雪にも使用することができ、かつ、運転コストの低減と簡易な操作性を可能にした冷暖房供給システムを提供する。【解決手段】融雪槽とヒートポンプの1次側回路とを循環状態に接続... 詳細

  • 株式会社安川電機の「 モータ制御装置、エレベータ駆動システム、及びモータ制御方法」が 公開されました。( 2021/09/30)

    【課題】モータ駆動機構のモータの回転に関わるトラブルを迅速に解決する。【解決手段】モータ4の回転量を検出するエンコーダ7から出力されたモータ回転信号を受信するモータ信号受信部51と、モータ回転信号に基... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ