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技術 カーボンナノチューブからなる立体構造物とその製造方法

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 大嶋哲斎藤毅湯村守雄飯島澄男
出願日 2008年4月24日 (12年8ヶ月経過) 出願番号 2008-113270
公開日 2009年11月12日 (11年1ヶ月経過) 公開番号 2009-263156
状態 特許登録済
技術分野 ナノ構造物 原子、分子の操作により形成されたナノ構造物 炭素・炭素化合物
主要キーワード 高熱電導性 折り鶴 半円球形状 柱状面 双曲放物面 半楕円球形 平面多角形 可展面
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図面 (6)

課題

軽量かつ機械的強度の求められる立体構造物等として有用なカーボンナノチューブからなる立体構造物と、それを流動気相法により直接製造する方法を提供する。

解決手段

流動気相法によるカーボンナノチューブの製造方法において、加熱炉を備えた反応器内に触媒を含む炭素原料を霧状にして同伴ガスと共に導入し、流動する気相中でカーボンナノチューブを生成させ、生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガスを、反応器下流に備えられ少なくとも構造の一部として曲面を有する通気性構造体に通過させることで、該構造体上に、該曲面を表面形状の少なくとも一部として有するカーボンナノチューブからなる立体構造物を得る。

概要

背景

カーボンナノチューブ新素材として多くの分野から注目を集めている材料であり、導電性および熱伝導性に優れることなどから、たとえば、フィールドエミッターヒートシンク透明導電性電極などの電子材料として利用されている。また更に、カーボンナノチューブの軽量かつ機械的強度に優れた特性を活かし、立体構造を有する素材が製造されてその利用が期待されている。これらの立体構造物の製造方法として、たとえば、特許文献1には、テンプレートとなる構造体触媒担持させて、該テンプレート上にカーボンナノチューブを生成させて立体構造物を製造する方法が開示されている。しかしながら、この特許文献1の方法では、テンプレート上にばらつき無くカーボンナノチューブを生成することが極めて困難であることに加え、カーボンナノチューブ同士が有効に絡み合わずテンプレートのみで立体構造物の形状を保持しているため、テンプレートをはずした状態では立体構造を保持することが困難であるという問題があった。さらに高温反応器内部にテンプレートを入れる必要があるため、テンプレートの材質が高温に耐久性があり、且つ反応に影響しない材質に制限されるという問題もあり、具体的に製造可能な立体構造物やその利用分野は極めて制限されていた。

また、あらかじめ得られた粉末ないし綿状のカーボンナノチューブを用いて立体構造物を作製することも知られている。多くの場合、カーボンナノチューブを溶媒に分散した後、塗布、加工または成形して製造されるバッキペーパーとも呼ばれるカーボンナノチューブのシートリボン等の2次元形状の素材を利用し、これを加工することによって曲面を有する3次元の構造体、すなわち、立体構造物の作製が行われている。しかしながら、その立体構造物は、直線エレメントをもつ線織面の中でも平面への展開が可能な可展面と呼ばれる曲面で構成されるごく一部の構造体、すなわち、折り鶴紙飛行機といった折り紙に代表される限られた一部の立体構造体しか作れなかった。

また、たとえば、特許文献2には、請求項141に「誘導された単層カーボンナノチューブ分子から自己集合を行う三次元構造物」が開示されている。これは予め得られた単層カーボンナノチューブ分子のエンドキャップ単機能修飾体を付加し、それら分子を同一方向に自己整列させたものであって、微視的に非平面を構成する、三次元単層ナノチューブナノ構造体である。しかしながら、このナノ構造体は巨視的には粒状物として得られるものであって、巨視的な立体構造物を得ることは不可能である。

このように、従来のカーボンナノチューブからなる立体構造物は、巨視的には直線エレメントをもつ構造物に限られており、たとえば、形状および厚みを任意に変化させた立体構造物についてはほとんど知られていなかった。従って、たとえば、軽量かつ機械的な強度が求められる部材や部品をカーボンナノチューブで構成しようとすると、平面的な構造物に限られるか、または、予め用意したカーボンナノチューブシート等を更に成形加工する必要があった。

一方で、カーボンナノチューブを単体で製造させる方法の1つとして、流動気相法が知られている。この流動気相法は、化学気相成長法CVD法)の1種であって、キャリアガスと共に触媒を含む炭素原料を高温の加熱炉に霧状にして導入し、流動する気相中で単層カーボンナノチューブを製造する方法であり、カーボンナノチューブの量産および連続的運転が可能なことが特徴とされている。そしてこの出願の発明者らは、流動気相法によるカーボンナノチューブの製造について研究を重ねており、反応条件などを精密に制御することにより、得られるカーボンナノチューブの純度および結晶性グラファイト化度)の飛躍的な改善を実現したり、またその直径を制御することなどを可能としてきた(たとえば、特許文献3)。
特表2004−241295号公報
特表2002−515847号公報
特開2006−213590号公報

概要

軽量かつ機械的強度の求められる立体構造物等として有用なカーボンナノチューブからなる立体構造物と、それを流動気相法により直接製造する方法を提供する。流動気相法によるカーボンナノチューブの製造方法において、加熱炉を備えた反応器内に触媒を含む炭素原料を霧状にして同伴ガスと共に導入し、流動する気相中でカーボンナノチューブを生成させ、生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガスを、反応器下流に備えられ少なくとも構造の一部として曲面を有する通気性構造体に通過させることで、該構造体上に、該曲面を表面形状の少なくとも一部として有するカーボンナノチューブからなる立体構造物を得る。

目的

本発明は、以上の通りの実情に鑑みてなされたものであり、軽量かつ機械的強度の求められる立体構造物等として有用なカーボンナノチューブからなる立体構造物と、それを流動気相法により直接製造する方法を提供することを課題としている。

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

流動気相法によるカーボンナノチューブの製造方法において、加熱炉を備えた反応器内に触媒を含む炭素原料を霧状にして同伴ガスと共に導入し、流動する気相中でカーボンナノチューブを生成させ、生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガスを、反応器下流に備えられ少なくとも構造の一部として曲面を有する通気性構造体に通過させることで、該構造体上に、該曲面を表面形状の少なくとも一部として有するカーボンナノチューブからなる立体構造物を得ることを特徴とするカーボンナノチューブからなる立体構造物の製造方法。

請求項2

通気性構造体は、金属、ガラスセラミックスおよび有機高分子のいずれかからなることを特徴とする請求項1記載の製造方法。

請求項3

通気性構造体は、網状体多孔質体およびフィルターのいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。

請求項4

通気性構造体が、ステンレススチール金網であることを特徴とする請求項2または3記載の製造方法。

請求項5

通気性構造体が、物理的、化学的又は熱的処理によって除去可能な材料からなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法。

請求項6

通気性構造体の前後での圧力損失を測定することによってカーボンナノチューブからなる立体構造物の厚さを監視することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の製造方法。

請求項7

生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガスを、メッシュフィルターを通してから通気性構造体に通過させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法。

請求項8

カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の製造方法。

請求項9

カーボンナノチューブが密に集合されてなる構造物であって、表面形状の少なくとも一部として曲面を有することを特徴とするカーボンナノチューブからなる立体構造物。

請求項10

上記の曲面が、柱面,錐面,接線曲面からなる可展面双曲放物面らせん面,錐状面,柱状面からなるねじれ面、円弧回転面からなる回転面、自由曲面、またはこれらの2以上の曲面を組み合わせた立体形状からなるグループから選ばれる1以上の曲面であることを特徴とする請求項9記載のカーボンナノチューブからなる立体構造物。

請求項11

カーボンナノチューブが、全体の70重量%以上100重量%未満であることを特徴とする請求項9または10記載のカーボンナノチューブからなる立体構造物。

請求項12

通気性構造体上に一体的に形成されていることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載のカーボンナノチューブからなる立体構造物。

請求項13

カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載のカーボンナノチューブからなる立体構造物。

請求項14

該構造物の厚みが部分的に異なるよう制御されていることを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載のカーボンナノチューブからなる立体構造物。

技術分野

0001

本発明は、カーボンナノチューブからなる立体構造物とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、軽量かつ機械的強度の求められる立体構造物等として有用なカーボンナノチューブからなる立体構造物と、それを流動気相法により直接製造する方法に関するものである。

背景技術

0002

カーボンナノチューブは新素材として多くの分野から注目を集めている材料であり、導電性および熱伝導性に優れることなどから、たとえば、フィールドエミッターヒートシンク透明導電性電極などの電子材料として利用されている。また更に、カーボンナノチューブの軽量かつ機械的強度に優れた特性を活かし、立体構造を有する素材が製造されてその利用が期待されている。これらの立体構造物の製造方法として、たとえば、特許文献1には、テンプレートとなる構造体触媒担持させて、該テンプレート上にカーボンナノチューブを生成させて立体構造物を製造する方法が開示されている。しかしながら、この特許文献1の方法では、テンプレート上にばらつき無くカーボンナノチューブを生成することが極めて困難であることに加え、カーボンナノチューブ同士が有効に絡み合わずテンプレートのみで立体構造物の形状を保持しているため、テンプレートをはずした状態では立体構造を保持することが困難であるという問題があった。さらに高温反応器内部にテンプレートを入れる必要があるため、テンプレートの材質が高温に耐久性があり、且つ反応に影響しない材質に制限されるという問題もあり、具体的に製造可能な立体構造物やその利用分野は極めて制限されていた。

0003

また、あらかじめ得られた粉末ないし綿状のカーボンナノチューブを用いて立体構造物を作製することも知られている。多くの場合、カーボンナノチューブを溶媒に分散した後、塗布、加工または成形して製造されるバッキペーパーとも呼ばれるカーボンナノチューブのシートリボン等の2次元形状の素材を利用し、これを加工することによって曲面を有する3次元の構造体、すなわち、立体構造物の作製が行われている。しかしながら、その立体構造物は、直線エレメントをもつ線織面の中でも平面への展開が可能な可展面と呼ばれる曲面で構成されるごく一部の構造体、すなわち、折り鶴紙飛行機といった折り紙に代表される限られた一部の立体構造体しか作れなかった。

0004

また、たとえば、特許文献2には、請求項141に「誘導された単層カーボンナノチューブ分子から自己集合を行う三次元構造物」が開示されている。これは予め得られた単層カーボンナノチューブ分子のエンドキャップ単機能修飾体を付加し、それら分子を同一方向に自己整列させたものであって、微視的に非平面を構成する、三次元単層ナノチューブナノ構造体である。しかしながら、このナノ構造体は巨視的には粒状物として得られるものであって、巨視的な立体構造物を得ることは不可能である。

0005

このように、従来のカーボンナノチューブからなる立体構造物は、巨視的には直線エレメントをもつ構造物に限られており、たとえば、形状および厚みを任意に変化させた立体構造物についてはほとんど知られていなかった。従って、たとえば、軽量かつ機械的な強度が求められる部材や部品をカーボンナノチューブで構成しようとすると、平面的な構造物に限られるか、または、予め用意したカーボンナノチューブシート等を更に成形加工する必要があった。

0006

一方で、カーボンナノチューブを単体で製造させる方法の1つとして、流動気相法が知られている。この流動気相法は、化学気相成長法CVD法)の1種であって、キャリアガスと共に触媒を含む炭素原料を高温の加熱炉に霧状にして導入し、流動する気相中で単層カーボンナノチューブを製造する方法であり、カーボンナノチューブの量産および連続的運転が可能なことが特徴とされている。そしてこの出願の発明者らは、流動気相法によるカーボンナノチューブの製造について研究を重ねており、反応条件などを精密に制御することにより、得られるカーボンナノチューブの純度および結晶性グラファイト化度)の飛躍的な改善を実現したり、またその直径を制御することなどを可能としてきた(たとえば、特許文献3)。
特表2004−241295号公報
特表2002−515847号公報
特開2006−213590号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、以上の通りの実情に鑑みてなされたものであり、軽量かつ機械的強度の求められる立体構造物等として有用なカーボンナノチューブからなる立体構造物と、それを流動気相法により直接製造する方法を提供することを課題としている。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、上記の課題を解決するために、以下のようにした。

0009

発明1は、流動気相法によるカーボンナノチューブの製造方法において、加熱炉を備えた反応器内に触媒を含む炭素原料を霧状にして同伴ガスと共に導入し、流動する気相中でカーボンナノチューブを生成させ、生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガスを、反応器下流に備えられ少なくとも構造の一部として曲面を有する通気性構造体に通過させることで、該構造体上に、該曲面を表面形状の少なくとも一部として有するカーボンナノチューブからなる立体構造物を得ることを特徴とする。

0010

発明2は、発明1において、通気性構造体は、金属、ガラスセラミックスおよび有機高分子のいずれかからなることを特徴とする。

0011

発明3は、発明1又は2において、通気性構造体は、網状体多孔質体およびフィルターのいずれかであることを特徴とする。

0012

発明4は、発明1ないし3において、通気性構造体が、ステンレススチール金網であることを特徴とする。

0013

発明5は、発明1ないし4において、通気性構造体が、物理的、化学的又は熱的処理によって除去可能な材料からなることを特徴とする。

0014

発明6は、発明1ないし5において、通気性構造体の前後での圧力損失を測定することによってカーボンナノチューブからなる立体構造物の厚さを監視することを特徴とする。

0015

発明7は、発明1ないし6において、生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガスを、メッシュフィルターを通してから通気性構造体に通過させることを特徴とする。

0016

発明8は、発明1ないし7において、カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブであることを特徴とする。

0017

発明9は、カーボンナノチューブが密に集合されてなる構造物であって、表面形状の少なくとも一部として曲面を有することを特徴とするカーボンナノチューブからなる立体構造物であることを特徴とする。

0018

発明10は、発明9において、上記の曲面が、柱面,錐面,接線曲面からなる可展面、双曲放物面らせん面,錐状面,柱状面からなるねじれ面、円弧回転面からなる回転面、自由曲面、またはこれらの2以上の曲面を組み合わせた立体形状からなるグループから選ばれる1以上の曲面であることを特徴とする。

0019

発明11は、発明9又は10において、通気性構造体上に一体的に形成されていることを特徴とする。

0020

発明12は、発明9ないし11において、カーボンナノチューブが全体の70重量%以上100重量%未満であることを特徴とする。

0021

発明13は、発明9ないし12において、カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブであることを特徴とする。

0022

発明14は、発明9ないし13において、該構造物の厚みが部分的に異なるよう制御されていることを特徴とする。

発明の効果

0023

上記第1の発明によって、カーボンナノチューブが密に集合されてなる立体構造物を、カーボンナノチューブを生成すると同時に製造することができる。

0024

上記第2から第7の発明によって、目的に応じて立体構造物の形状を多様なものとして、また厚みを精密に制御されたものとして、実現することができるようになる。

0025

上記第8の発明によって、単層カーボンナノチューブで構成された立体構造物を直接製造する方法が提供される。

0026

上記第9から第14の発明によって、カーボンナノチューブが密に集合されてなる構造物であって、全体形状の一部ないしはすべてが曲面である立体構造物が提供される。このカーボンナノチューブからなる立体構造物は、カーボンナノチューブの生成と同時に製造されるため、簡便に、また環境による汚染を少なくすることができる。

発明を実施するための最良の形態

0027

本発明は、上記のとおりの特徴をもつものであり、以下にその実施の形態について詳しく説明する。

0028

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。すなわち、この出願の発明のカーボンナノチューブからなる立体構造物の製造方法は、流動気相法によるカーボンナノチューブの製造方法において、加熱炉を備えた反応器内に触媒を含む炭素原料を霧状にして同伴ガスと共に導入し、流動する気相中でカーボンナノチューブを生成させ、生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガスを、反応器下流に備えられ少なくとも構造の一部として曲面を有する通気性構造体に通過させることで、該構造体上に、該曲面を表面形状の少なくとも一部として有するカーボンナノチューブからなる立体構造物を得ることを特徴としている。

0029

この出願の発明において、流動気相法によるカーボンナノチューブの製造方法は特に制限されることはなく、目的に応じて公知の各種の方法を採用することができる。また、生成されるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブでも多層カーボンナノチューブでもよく、それらの純度や、径の多きさ等が制限されることはない。したがって、製造するカーボンナノチューブからなる立体構造物に所望する特性に応じて、カーボンナノチューブの生成における諸条件を制御することができる。たとえば、特開2006−213590号公報に開示の極細単層カーボンナノチューブの製造方法によると、結晶性が高く、径が均一に制御された極細単層カーボンナノチューブを生成できる点で、好ましい例として示される。

0030

そこで、以下、特開2006−213590号公報に開示の極細単層カーボンナノチューブの製造方法に沿って、この出願の発明のカーボンナノチューブからなる立体構造物とその製造方法を説明する。まず、図1および図2に、カーボンナノチューブからなる立体構造物の製造に用いた装置の一例の概略図を示す。この装置は、加熱炉1、反応器2、スプレーノズル3、整流板4、第一同伴ガス流量計5、第ニ同伴ガス流量計6、第二炭素原料流量計7、マイクロフィーダー8、ガス混合器9、通気性構造体21、ゴムパッキン22、差圧測定孔23で構成されている。通気性構造体21は、図2に詳しく示したように、反応器2下流部に、通気性構造体21以外から同伴ガス13が通過しないように、たとえばゴムパッキン22等を利用して固定されている。この装置は、たとえば、公知の流動気相法による単層カーボンナノチューブ製造装置の反応器2下部に通気性構造体21を機密的に連結したものでもよい。

0031

たとえば、この製造装置において、遷移金属原子を含有する触媒と、硫黄原子を含有する硫黄化合物と、第一の炭素原料11である炭化水素からなる原料液調合してシリンジ10に貯留し、マイクロフィーダー8でスプレーノズル3に供給し、同伴ガス13と共に反応器2に導入される。第二の炭素原料12である炭化水素は同伴ガス13と混合し、800〜1200°Cの温度に維持された反応器2の反応領域に供給することで、直径が2.0nm未満の極細単層カーボンナノチューブを生成させることができる。

0032

カーボンナノチューブの製造においては、たとえば上記のとおり、(a)分解温度の異なる2種類の炭素原料11,12を使用し、それらの割合を変えたり、(b)反応器2内に導入する第一の炭素原料11である炭化水素よりも、より低い温度で熱分解する炭化水素を第二の炭素原料12として反応器2内に導入することなどが考慮される。

0033

また、触媒を使用することが好ましく、使用する触媒は金属の種類やその形態の違いに特に制限されるものではないが、公知のとおり、鉄、ニッケルコバルトスカンジウムチタンバナジウムクロムマンガン等の遷移金属化合物又は、フェロセンニッケロセンコバルトセン鉄カルボニルアセチルアセトナート鉄、オレイン酸鉄等の有機遷移金属化合物塩化鉄等の無機遷移金属化合物などに代表される遷移金属超微粒子が好ましく用いられる。

0034

また更に、上記のように、硫黄化合物を添加することも好ましい態様として考慮される。この硫黄化合物は触媒である遷移金属と相互作用して、単層カーボンナノチューブの生成を促進する作用を有する。このような硫黄化合物としては、有機硫黄化合物無機硫黄化合物を挙げることができる。前記有機硫黄化合物としては、例えば、チアナフテンベンゾチオフェンチオフェン等の含硫黄複素環式化合物を挙げることができ、前記無機硫黄化合物としては、例えば、硫化水素等を挙げることができる。

0035

このようにして、生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガス13を、反応器2の下流に予め備えられる通気性構造体21に通過させる。

0036

この出願の発明において、通気性構造体21は、通気性を有するするものであって、表面形態は、カーボンナノチューブからなる立体構造物の鋳型として所望の立体形状とすることができ、その表面形態の少なくとも一部または全体が曲面で構成される立体構造となっている。

0037

この出願の発明において、曲面とは、たとえば図5にその概念を示したように、柱面、錐面、接線曲面などの可展面、双曲放物面、らせん面、錐状面、柱状面などのねじれ面、円弧回転面などの回転面、自由曲面、またはこれらの2以上の曲面を組み合わせたりこれらを変形させた立体形状(一般複曲面)からなるグループから選ばれる1以上の曲面とすることができ、工作機械、人間の手などにより純平面以外の形状に作製できるものである。

0038

このように通気性構造体21は、目的とする立体構造物の形状に応じた鋳型となるよう構成される。代表的には、円錐形状、円柱形状、半円球形状半楕円球形状、およびこれらを基本に変形させた立体形状のうちのいずれか1つの形状、又はそれらの組み合わせを例示することができる。なお、以上に例示された立体形状は、幾何学的に厳密に定義される形状だけでなく、それを基本に変形させた形状をも含むものとする。また、上記以外にも、文章では表現し難い各種の非平面形状が含まれることはいうまでもない。

0039

また、通気性構造体21は、通気性を有するするものであればよく、たとえば、網状体、多孔質体およびフィルターで構成することで通気性を持たせることができる。そして、後述のカーボンナノチューブからなる立体構造物の製造時に伴って増大する圧力損失に耐えるもので構成されれば通気性構造体21の素材は特に限定されることはなく、金属、ガラス、セラミックスおよび有機高分子の各種のものであってよい。このような条件を満たす通気性構造体21としては、ステンレス製金網を好ましく用いることができ、メッシュ開目は、特に制限は無いが、好ましくは5メッシュ〜500メッシュ、より好ましくは20メッシュ〜200メッシュの範囲を例示することができる。

0040

このような通気性構造体21に、生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガス13を、該曲面から通過させることで、通気性構造体21上に該立体構造を有するカーボンナノチューブからなる立体構造物を得ることができる。すなわち、流動気相法により生成されたカーボンナノチューブは、同伴ガス13と伴に反応器2内を流下して通気性構造体21に到達し、カーボンナノチューブのみが通気性構造体21上に捕捉され、同伴ガス13は反応器2の外へと排出される。ここで、
(1)通気性構造体21表面において、カーボンナノチューブを捕捉した領域は未捕捉の領域より目詰まりしていくため、カーボンナノチューブを含む同伴ガス13は流れ難くなる。したがって、通気性構造体21上に、カーボンナノチューブは所定の立体形状を有する均一な膜状の構造物として捕捉されていく。

0041

(2)さらに続けることで、カーボンナノチューブは通気性構造体21上に厚みを増していく。したがって、カーボンナノチューブからなる立体構造物の厚さは、反応時間や反応条件を調整することによって容易に制御することができる。反応時間の調整は装置や反応条件により異なるため一概には言えないが、たとえば、厚みが薄いもので1分〜15分程度、適度な厚みと強度を要するもので15分以上などのように、経験的に簡便に制御することができる。

0042

(3)ここで、通気性構造体21上のカーボンナノチューブの厚みが増すほど同伴ガス13は流れ難くなり、通気性構造体21前後で差圧が生じる。同一反応条件の場合、通気性構造体21前後の差圧と立体構造物の厚さとはほぼ直線関係があることが確認されている。したがって、立体構造物の厚さの変化は、たとえば図2に例示したように通気性構造体21前後の圧力損失を差圧測定孔23等を利用して測定することによって、より精密に監視することができる。

0043

(4)なお、均一な厚さの立体構造物を製造するには、通気性構造体21前後の圧力損失が均一で、局所的な分布が発生しないようにする。また、立体構造物の厚さを変化させるには、通気性構造体21の厚みを部分的に厚くしたり薄くしたりすることによって圧力損失を制御し、その部分を薄くまたは厚くすることができる。もちろん、連続的に立体構造物の厚みを変えることも可能である。

0044

(5)より厚みが均一な立体構造物を製造する場合には、生成されたカーボンナノチューブを含む同伴ガス13を、予めメッシュフィルター(図示せず)を通過させてから通気性構造体21を通過させるようにしてもよい。この場合のメッシュフィルターの目開は、特に制限は無く、カーボンナノチューブの生成速度や大きさによって適宜使い分けることができ、大抵の場合において通気性構造体21の開目よりも大きい、すなわち目の粗いものが好ましい。

0045

(6)通気性構造体21の設置については、同伴ガス13が通気性構造体21以外を通過しないようにする必要があり、1)通気性構造体21の周縁部をそのまま反応器2に固定する方法や、2)通気性構造体21の周縁部に通気性の無い素材で固定部を設け、この固定部を介して反応器2に固定する方法などが考慮される。いずれの場合も、図2に示すように、周縁部又は固定部の上下をゴムパッキン等22を介して挟み込み、フランジ部で締結するなどできる。メッシュフィルターの設置にしても同様である。また、より大きいカーボンナノチューブからなる立体構造物を製造する場合は、たとえば、図3に例示したように、反応器2の下部に大型の回収容器24を接合して、そこに通気性構造体21を設けて大型の立体構造物の製造を行うこともできる。なお、通気性構造体21が図3の例のように周縁部又は固定部から一方向に大きく突出した形状の場合、通気性構造体21の設置の向き等は任意であり、同伴ガス13の流下方向に凸または凹のいずれになるように設置しても良い。

0046

(7)以上のようにして製造された立体構造物の形態は、通気性構造体21上の立体構造物をそのまま製品として提供してもよいし、通気性構造体21を物理的、化学的又は熱的処理により除去し、立体構造物単体として提供してもよい。通気性構造体21を除去する手法の一例としては、たとえば、通気性構造体21と一体的に得られた立体構造物に、アセトンエタノールなどの有機溶剤蒸気又は液体を作用させて圧縮高密度化した後、通気性構造体21を酸やアルカリ等で溶解、加熱分解又は酸化消失などして除去し、立体構造物を単体として提供する。

0047

(8)また、流動気相法によるカーボンナノチューブの生成は、一般に反応時間や原料供給量等の条件を適切に制御することで、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブの作り分けが可能とされる。また、不純物が多いと得られる立体構造物が脆くなる傾向がある。従って、立体構造物の所望の特性に応じて、流動気相法によるカーボンナノチューブの生成の諸条件を適宜制御することができる。

0048

以上のようにして得られるカーボンナノチューブからなる立体構造物は、カーボンナノチューブが密に集合されてなる構造物であって、表面形状の少なくとも一部として曲面を有することを特徴としている。この曲面は通気性構造体21を鋳型として得られるものであって、前に詳述したとおり、柱面、錐面、接線曲面などの可展面、双曲放物面、らせん面、錐状面、柱状面などのねじれ面、円弧回転面などの回転面、自由曲面、またはこれらの2以上の曲面を組み合わせたりこれらを変形させた立体形状(一般複曲面)からなるグループから選ばれる1以上の曲面とすることができ、純平面以外の所望の形状とすることができる。たとえば、円錐形状、円柱形状、半円球形状、半楕円球形状、多角錐形状多角柱形状、およびこれらを基本に変形させた立体形状のうちのいずれか1つの形状又はそれらの組み合わせなど、様々なものが例示される。また、立体構造物の厚みについても、厚みが均一に制御されたもの、部分的に異なるよう制御されたもの、連続的に変化するよう制御されたものなど、任意の形態のものとして提供される。

0049

また、立体構造物の形態としては、通気性構造体上に形成されて一体化されているものや、通気性構造体が除去されて立体構造物単体とされているものとしても提供される。

0050

加えて、カーボンナノチューブの製造条件を適切に制御することで、カーボンナノチューブを全体の70重量%以上100重量%未満とした立体構造物を構成することが可能とされる。ここで、たとえば、カーボンナノチューブの製造において、触媒と共に硫黄化合物をもちいることや、複数の分解特性の異なる炭素源を適切な割合でもちいることで、カーボンナノチューブからなる立体構造物全体のうちの70重量%以上100重量%未満、より好ましくは80重量%以上100重量%未満の割合をカーボンナノチューブで構成することができる。

0051

さらには、立体構造物を構成するカーボンナノチューブの機械的、電気的、化学的特性をも制御することができる。

0052

また、本発明によって多角錐多角柱などの平面多角形で囲まれた立体構造物など従来技術で構成可能な構造体についても、同様に極めて容易に立体構造体を製造することができる。

0053

以上のようなこの出願の発明のカーボンナノチューブからなる立体構造物は、カーボンナノチューブの軽量かつ高導電性高熱電導性、機械的強度などの優れた特性を活かして様々な分野で利用されることが期待できる。

0054

そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん、以下の例によって本発明が限定されることはない。

0055

図1に示した装置を用い、カーボンナノチューブからなる立体構造物を製造した。この装置は、4kWの電気炉1、内径5.0cm、外径5.5cmのムライト製反応器2、スプレーノズル3、整流板4、第一キャリアガス流量計5、第二キャリアガス流量計6、第二炭素源流量計7、マイクロフィーダー8、ガス混合器9、通気性構造体21、ゴムパッキン21、差圧測定孔23で構成されている。通気性構造体21は、図4に示したように、200メッシュの金網を固定部の径が5.5cmで、高さ4.0cm、直径4.5cmの半楕円球体に成型したものを用いた。この装置を用い、特開2006−213590号公報に開示の公知の方法に従って極細単層カーボンナノチューブを生成させた。なお、第一炭素原料11は、トルエン:フェロセン:チオフェンを重量比で100:2:1になるように原料液を調合してシリンジ10に貯留し、マイクロフィーダー8でスプレーノズル3に供給した。他方、第二炭素原料12にはエチレンを使用し、これを第二炭素流量計7で流量を100cc/minに制御し、同伴ガス13には水素を用い、第二キャリアガス流量計6で流量を5L/minに制御して両者をガス混合器9を介して、反応工程に供給した。スプレーノズルには流量2L/minの水素13とともに上記原料液を50μL/minの流量で供給し、1200°Cに加熱された電気炉1中の反応器2に、差圧を確認しながら、13分間スプレーすることによって、極細単層カーボンナノチューブを流動気相CVD法により生成させた。

0056

生成された極細単層カーボンナノチューブは、同伴ガス13の流れに乗って通気性構造体21に補足され、通気性構造体21前後の差圧が上昇すると共に厚みを増していき、目的の立体構造物を構成した。その表面を良く観察すると、半楕円球体の通気性構造体21は概ね約3mmで均一の厚みであったが、頂部にのみ単層カーボンナノチューブの紐状の集合体が付着しているのが見られた。また、得られた立体構造物の約80重量%が単層カーボンナノチューブで構成されているのが確認された。

0057

そこで、図3のように、反応器2下部のフランジと回収容器24上部のフランジとを接合し、回収容器24の下部において通気性構造体21としての20メッシュの金網ゴムパッキン22を挟んで同じ条件で立体構造物を製造したところ、紐状の生成物は20メッシュの金網に捕捉され、約3mmの均一な厚みの極細単層カーボンナノチューブからなる半楕円球体の立体構造物が得られたことが確認された。

図面の簡単な説明

0058

実施例において使用したカーボンナノチューブからなる立体構造物の製造装置の構成の一例を示した概略図である。
図1中の円で示した部分の部分拡大図である。
通気性構造体の設置の一例を示した断面概略図である。
実施例において使用した通気性構造体の概略を例示した図である。
この出願の発明の曲面の概念を説明する図である。

符号の説明

0059

1加熱炉
2反応器
3スプレーノズル
4整流板
5 第一同伴ガス流量計
6 第二同伴ガス流量計
7第二炭素流量計
8マイクロフィーダー
9ガス混合器
10シリンジ
11第一炭素原料(原料液)
12 第二炭素原料
13同伴ガス
21通気性構造体
22ゴムパッキン
23差圧測定孔
24 回収容器

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