図面 (/)

技術 水性ニス組成物

出願人 DIC株式会社
発明者 中嶋豊小林健作渡邉俊郎
出願日 2008年3月31日 (12年8ヶ月経過) 出願番号 2008-090449
公開日 2009年10月22日 (11年2ヶ月経過) 公開番号 2009-242561
状態 拒絶査定
技術分野 流動性材料の適用方法、塗布方法 塗料、除去剤
主要キーワード 機械調整 油性ニス スポットコーティング インラインコーター 攪拌ユニット 水性ニス 皮膜強化 赤外線乾燥装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年10月22日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

油性インキ絵柄印刷された印刷物の表面に部分的または全面に、オフセット印刷撥液成分を含む油性ニスを用いて下刷り層を印刷し、この上に全面に塗布してスポットコーティング効果を得るのに適した水性ニス組成物であって、加熱することなく常温で使用できるものを提供することを課題とする。

解決手段

メタアクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル、並びにこれらと共重合可能モノマー成分を共重合させて得られる水性アクリル樹脂を含有し、前記水性アクリル樹脂が、特定のコアシェル型エマルションから成るか、及び又は特定の水溶性樹脂から成るか、これらコアシェル型エマルションと水溶性樹脂の混合物から成り、前記水性アクリル樹脂のガラス転移点が、−10℃〜120℃の範囲であり、その酸価が、エマルションに於いては40〜200、水溶性樹脂に於いては100〜300である水性ニス組成物。

概要

背景

スポットコーティングとは印刷物の表面に部分的にニスを塗布し、光沢部、マット部または着色部を形成することを言う。ニスは全面に塗布される場合もある。

スポットコーティングは主として印刷物の美粧性を高めることを目的として行われる。
その方法の一つとして、樹脂版グラビア版を用いてニスを部分的に塗布する方法がある。この方法ではスポット言葉通り、ニスは限定された部分にのみ塗布される。
印刷物の表面に樹脂版やグラビア版でニスを塗布しようとすると、印刷方式が異なるので、オフセット印刷機に専用の設備を付加するか、または別工程でニス加工のみを行うことが必要となる。

別の方法として、印刷物表面に部分的または全面に、オフセット印刷撥液成分を含むニス若しくはインキを用いて下刷り層印刷し、この上に、印刷機付設したインラインコーターを使用して紫外線硬化型上刷りニスを全面に塗布する方法が挙げられる。
この方法では下刷り層に重なった部分のみ上刷りニスが弾かれて粒々となり、マット感のある表面になる。また下刷り層の無い部分は弾かれずに光沢のある面となる。上刷りニスは実際には全面に塗布されているが、弾かれる部分があることにより、例えば光沢部分にのみニスが塗布されているように見える。これはスポットコーティング効果とも呼ばれている。この方法では、上刷り層紫外線硬化型ニスである為に皮膜ボリューム感があり過ぎ、光沢面が過剰にギラギラとする傾向がある。またニスが高価であることも問題である。

特許文献1には、市販の水性光沢ニスを用いてスポットコーティング効果を得る印刷方法が記載されている。該ニスは粘度が高く、容器壁への付着防止目的に掻き取り刃の付いた攪拌ユニットを備えた容器を使用し、ニスを加熱して用いることが好ましいと記載されている。水性ニス
加熱すると機上で乾燥し易くなり、洗浄が困難となったり、チャンバーアニロックスロール目詰まりや、使用中に粘度が上昇する等の問題があると考えられる。また同文献では、下刷りの油性マットニスマット剤ケイ酸塩等)を含有しており、水性ニスが弾かれた部分がマット部となる。一般的にマット剤を含有する油性ニス印刷適性が損なわれ易いという問題がある。

特許文献2には、電離放射線硬化性樹脂反応性を有する撥液剤を添加した撥液性インキ上に、電離放射線硬化性塗料を塗工してはじかせ、印刷物の表面に凹凸を得るものである。撥液性インキは前記の上刷り層に相当する。本発明を実施するには、印刷設備には電離放射線照射する設備が必要であり、また撥液性インキは前記の紫外線硬化型ニスと同じく、過剰な光沢感や高価なニス価格の問題があると考えられる。

特許文献3には、部分的にはじかせる下刷り層を印刷し、その上に紫外線硬化型オーバーコーティング剤を設け、はじかせる下刷り層の部分のみ凹凸感のあるマット部と、他の部分を工部分とする事を特徴としている。上刷り層が電子線若しくは紫外線硬化型ニスの場合は、過剰な光沢感やコスト等前記と同様の問題があると考えられる。

特表2007−518594号公報
特開平06−8391号公報
特開2003−181370号公報

概要

油性インキ絵柄が印刷された印刷物の表面に部分的または全面に、オフセット印刷で撥液成分を含む油性ニスを用いて下刷り層を印刷し、この上に全面に塗布してスポットコーティング効果を得るのに適した水性ニス組成物であって、加熱することなく常温で使用できるものを提供することを課題とする。 (メタアクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル、並びにこれらと共重合可能モノマー成分を共重合させて得られる水性アクリル樹脂を含有し、前記水性アクリル樹脂が、特定のコアシェル型エマルションから成るか、及び又は特定の水溶性樹脂から成るか、これらコアシェル型エマルションと水溶性樹脂の混合物から成り、前記水性アクリル樹脂のガラス転移点が、−10℃〜120℃の範囲であり、その酸価が、エマルションに於いては40〜200、水溶性樹脂に於いては100〜300である水性ニス組成物。 なし

目的

本発明は、油性インキで絵柄が印刷された印刷物の表面に部分的または全面に、オフセット印刷で撥液成分を含む油性ニスを用いて下刷り層を印刷し、この上に全面に塗布してスポットコーティング効果を得るのに適した水性ニス組成物であって、加熱することなく常温で使用できるものを提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

印刷物表面に部分的または全面に、オフセット印刷により撥液成分を含む油性ニスを用いて下刷り層印刷し、この上に全面に塗布してスポットコーティング効果を得るのに適した、次のa)〜d)の条件をすべて満たす水性ニス組成物。a)(メタアクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル、並びにこれらと共重合可能モノマー成分を共重合させて得られる水性アクリル樹脂を含有する。b)前記水性アクリル樹脂は次のイ)〜ハ)の条件をすべて満たす。イ)重量平均分子量100,000〜500,000のコア部と、重量平均分子量5,000〜30,000のシェル部を有するコア/シェル型エマルションであるか、重量平均分子量5,000〜30,000の水溶性樹脂であるか、又はこれらの混合物である。ロ)そのガラス転移点が、−10℃〜120℃の範囲である。ハ)その酸価が、エマルションに於いては40〜200、水溶性樹脂に於いては100〜300である。c)水性ニス組成物の最低造膜温度が−5℃〜40℃である。d)炭素原子数1〜20のアルキル基リン酸エステルを含有する。

請求項2

オフセット印刷機付設したインラインロールコーターでの塗布用途に適し、その粘度がザーンカップ4番で10〜22秒である請求項1に記載の水性ニス組成物。

請求項3

オフセット印刷機に付設したインラインのチャンバーコーターであってそのアニロックスロールセル容積が18cm3/m2以下であるコーターでの塗布用途に適し、その粘度がザーンカップ4番で12〜25秒である請求項1に記載の水性ニス組成物。

請求項4

オフラインフレキソコーターでの塗布用途に適し、その粘度がザーンカップ4番で12〜20秒である請求項1に記載の水性ニス組成物。

請求項5

オフラインのグラビアコーターでの塗布用途に適し、その粘度がザーンカップ3番で15〜25秒である請求項1に記載の水性ニス組成物。

技術分野

0001

本発明は、オフセット印刷機印刷胴油性ニス印刷し、インラインまたはオフラインコーターにより全面に水性ニスを塗布することにより、印刷物の表面にスポットコーティング効果を付与するのに適した水性ニス組成物に関する。

背景技術

0002

スポットコーティングとは印刷物の表面に部分的にニスを塗布し、光沢部、マット部または着色部を形成することを言う。ニスは全面に塗布される場合もある。

0003

スポットコーティングは主として印刷物の美粧性を高めることを目的として行われる。
その方法の一つとして、樹脂版グラビア版を用いてニスを部分的に塗布する方法がある。この方法ではスポット言葉通り、ニスは限定された部分にのみ塗布される。
印刷物の表面に樹脂版やグラビア版でニスを塗布しようとすると、印刷方式が異なるので、オフセット印刷機に専用の設備を付加するか、または別工程でニス加工のみを行うことが必要となる。

0004

別の方法として、印刷物表面に部分的または全面に、オフセット印刷撥液成分を含むニス若しくはインキを用いて下刷り層を印刷し、この上に、印刷機付設したインラインコーターを使用して紫外線硬化型上刷りニスを全面に塗布する方法が挙げられる。
この方法では下刷り層に重なった部分のみ上刷りニスが弾かれて粒々となり、マット感のある表面になる。また下刷り層の無い部分は弾かれずに光沢のある面となる。上刷りニスは実際には全面に塗布されているが、弾かれる部分があることにより、例えば光沢部分にのみニスが塗布されているように見える。これはスポットコーティング効果とも呼ばれている。この方法では、上刷り層紫外線硬化型ニスである為に皮膜ボリューム感があり過ぎ、光沢面が過剰にギラギラとする傾向がある。またニスが高価であることも問題である。

0005

特許文献1には、市販の水性光沢ニスを用いてスポットコーティング効果を得る印刷方法が記載されている。該ニスは粘度が高く、容器壁への付着防止目的に掻き取り刃の付いた攪拌ユニットを備えた容器を使用し、ニスを加熱して用いることが好ましいと記載されている。水性ニスを
加熱すると機上で乾燥し易くなり、洗浄が困難となったり、チャンバーアニロックスロール目詰まりや、使用中に粘度が上昇する等の問題があると考えられる。また同文献では、下刷りの油性マットニスマット剤ケイ酸塩等)を含有しており、水性ニスが弾かれた部分がマット部となる。一般的にマット剤を含有する油性ニスは印刷適性が損なわれ易いという問題がある。

0006

特許文献2には、電離放射線硬化性樹脂反応性を有する撥液剤を添加した撥液性インキ上に、電離放射線硬化性塗料を塗工してはじかせ、印刷物の表面に凹凸を得るものである。撥液性インキは前記の上刷り層に相当する。本発明を実施するには、印刷設備には電離放射線照射する設備が必要であり、また撥液性インキは前記の紫外線硬化型ニスと同じく、過剰な光沢感や高価なニス価格の問題があると考えられる。

0007

特許文献3には、部分的にはじかせる下刷り層を印刷し、その上に紫外線硬化型オーバーコーティング剤を設け、はじかせる下刷り層の部分のみ凹凸感のあるマット部と、他の部分を工部分とする事を特徴としている。上刷り層が電子線若しくは紫外線硬化型ニスの場合は、過剰な光沢感やコスト等前記と同様の問題があると考えられる。

0008

特表2007−518594号公報
特開平06−8391号公報
特開2003−181370号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、油性インキ絵柄が印刷された印刷物の表面に部分的または全面に、オフセット印刷で撥液成分を含む油性ニスを用いて下刷り層を印刷し、この上に全面に塗布してスポットコーティング効果を得るのに適した水性ニス組成物であって、加熱することなく常温で使用できるものを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0010

発明者らは、次のa)〜d)の条件をすべて満たす水性ニス組成物を、後述するように塗布の方式に応じた粘度にすることによって良好なスポットコーティング効果が得られることを見出した。
a)(メタアクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル、並びにこれらと共重合可能モノマー成分を共重合させて得られる水性アクリル樹脂を含有する。
b)前記水性アクリル樹脂は次のイ)〜ハ)の条件をすべて満たす。
イ)重量平均分子量100,000〜500,000のコア部と、重量平均分子量5,000〜30,000のシェル部を有するコア/シェル型エマルションであるか、重量平均分子量5,000〜30,000の水溶性樹脂であるか、又はこれらの混合物である。
ロ)そのガラス転移点が、−10℃〜120℃の範囲である。
ハ)その酸価が、エマルションに於いては40〜200、水溶性樹脂に於いては100〜300である。
c)水性ニス組成物の最低造膜温度が−5℃〜40℃である。
d)炭素原子数1〜20のアルキル基リン酸エステルを含有する。

0011

本発明の水性ニス組成物は、インラインコーター及びオフラインコーターのいずれによっても塗布できるが、コーターの方式に応じて以下のように粘度を調整することが必要である。
イ)オフセット印刷機に付設したインラインのロールコーターで塗布する場合は、その粘度がザーンカップ4番で12〜25秒とする。
ロ)オフセット印刷機に付設したインラインのチャンバーコーターで塗布する場合は、その粘度がザーンカップ4番で10〜22秒とする。チャンバーコーターのアニロックスロールのセル容積は18cm3/m2で以下が好ましく、より好ましくは6〜12cm3/m2である。
ハ)オフラインのフレキソコーターで塗布する場合は、その粘度がザーンカップ4番で12〜20秒とする。
ニ)オフラインのグラビアコーターで塗布する場合は、その粘度がザーンカップ3番で15〜25秒とする。

発明の効果

0012

本発明の水性ニス組成物は、インラインで塗布する場合の乾燥していない油性インキの絵柄の上に弾かれずに塗布でき、且つ撥液成分を含有する油性ニスによって下刷り層が形成された部分では弾かれて微粒子状となり、この微粒子の効果で該部分のみ光の乱反射により良好なマット感を得ることができる。
オフラインで塗布する場合は絵柄の油性インキも下刷り層の油性ニスも乾燥固化しているが、インラインでの塗布と同様に良好なマット感を得ることができる。
本発明の水性ニス組成物は加熱することなく常温で使用することができ、チャンバーコーターのアニロックスロールの目詰まり防止、機上での皮膜形成及び皮張りの防止、機上での粘度変化の防止が図れる等の効果が得られる。
また本発明の水性ニス組成物は赤外線熱風等による加熱によって水分が蒸発して乾燥するため、通常の赤外線乾燥装置熱風乾燥装置を用いることができる。

発明を実施するための最良の形態

0013

本発明の水性ニス組成物は、水性アクリル樹脂、皮膜強化剤(ワックス)、造膜助剤高沸点溶剤)、湿潤剤界面活性剤)、水と混ざり合う有機溶剤、水、他必要により着色剤等から成る。

0014

水性アクリル樹脂の組成モノマーとしては、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルを必須成分とし、これらと共重合可能なモノマー成分を共重合させて得られる共重合体を使用することができ、その共重合体は、エマルション型樹脂自己水分散型樹脂アルカリ可溶型樹脂及びヒドロゾル樹脂のいずれであってもよい。

0015

アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチルアクリル酸エチル、アクリル酸プロピルアクリル酸ブチルアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルカルビトール、アクリル酸エチルカルビトール等が挙げられる。
メタアクリル酸エステルとしては、例えば、メタアクリル酸メチルメタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸メチルカルビトール、メタアクリル酸エチルカルビトール等が挙げられる。

0016

カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸マレイン酸イタコン酸等が挙げられる。

0017

共重合可能なモノマーとしては、例えば、スチレンα−メチルスチレン等のスチレン系モノマーアクリロニトリル酢酸ビニル塩化ビニル等が挙げられる。

0018

水性アクリル樹脂がエマルションの場合は、その分子量は、水性ニスの粘度、不揮発分塗膜性能等の関係から、エマルションのコア部に於いては100,000〜500,000が望ましく200,000〜400,000が最も良好で、シェル部に於いては5,000〜30,000が良好で8000〜13000が最良である。

0019

水性アクリル樹脂が水溶性樹脂の場合は、その分子量は、5,000〜30,000が望ましく7000〜12000が最良である。

0020

水性ニス組成物をインラインコーターに用いる場合は、該ニスに含まれる水性アクリル樹脂のガラス転移点温度(Tg)が高いと、耐ブロッキング性耐熱性等は良くなる反面、絵柄のインキ上でのクラックが発生する。

0021

この両立を図る為に本発明の水性ニスに使用するエマルションは、−10℃〜50℃の比較的低いTgのものと、50℃〜120℃の比較的高いTgのものを併用する事が望ましい。
Tg域エマルションは、0℃〜40℃が更に良好で、10℃〜30℃が最も好ましい。
高Tg域エマルションは、70℃〜110℃が更に良好で、80℃〜100℃が最も好ましい。
中でも、低Tg域のエマルション比を主体にすると前記性能面でのバランスがとり易い。

0022

水性ニスの最低造膜温度(MFT)については、−5℃〜40℃の範囲が好ましい。通常本発明のニスが使用される温度(室温、紙温度等)は15℃〜25℃程度である。IR乾燥機熱風乾燥機等で加熱乾燥される為に、紙面温度は25℃〜40℃程度になる。従ってこれらの温度域以下のMFTに、使用樹脂Tg、助剤(造膜助剤、界面活性剤等)により調整する。

0023

使用する樹脂の酸価(AV)はインキ、下刷り層に対する濡れ性及び連続被膜形成部分の光沢のとの関係で、エマルションに於いては30〜220が望ましく、50〜150が最も良好である。
水溶性樹脂に於いては、100〜300が望ましく、150〜250が更に良好で、170〜220が最良である。

0024

水性ニスの塗布量については、水性ニスが下刷り層上で弾かれて微細粒子状となり該部分が均一なマット部を形成する為に、水性ニスの塗布量を少なくする方が良好である。

0025

本発明の水性ニス組成物は、インラインコーター及びオフラインコーターのいずれによっても塗布できるが、コーターの方式、機種によって適正粘度が決まり、以下の様になっている。
イ)オフセット印刷機に付設したインラインのロールコーターで塗布する場合は、その粘度がザーンカップ4番で10〜22秒とする。
ロ)オフセット印刷機に付設したインラインのチャンバーコーターであってそのアニロックスロールのセル容積が18cm3/m2以下であるコーターでの塗布用途に適し、その粘度がザーンカップ4番で12〜25秒である請求項1に記載の水性ニス組成物。
ハ)オフラインのフレキソコーターで塗布する場合は、その粘度がザーンカップ4番で12〜22秒とする。
ニ)オフラインのグラビアコーターで塗布する場合は、その粘度がザーンカップ3番で15〜25秒とする。
以上の各種コーターの適正粘度域内に於いて、水性ニスが薄盛りとなるよう機械調整、及び、粘度の設定を行う事で、より良好な弾き状態が得られる。

0026

チャンバー方式のコーターを使用する場合は、薄盛り用のアニロックスロール即ちセル容積の小さなアニロックスロールを選定する方が、良好な弾き状態が得られるので好ましい。

0027

水性ニスの塗布時温度は、高くし過ぎると(例えば30℃以上)ニス中の水の蒸発が速くなり過ぎて、チャンバーのアニロックスロールの目詰まり、機上でのニス乾燥、循環中のニス増粘等の問題が発生し易い。加温装置付きのニスタンクに於いては20〜30℃程度、加温装置の無いニスタンクに於いては室温(15〜30℃)で使用することが好ましい。

0028

湿潤剤としては、その副作用(例:耐水性低下、耐ブロッキング性低下等)の少ない炭素原子数1〜30のアルキル基のリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステル、及びこれらの乳化物又はアルカリ中和物等が好適である。

0029

これらの中でも炭素原子数1〜20のアルキル基を有するリン酸エステルが好ましく、炭素原子数4〜13のアルキル基を有するリン酸エステルがより好ましく、炭素原子数8〜13のアルキル基を有するリン酸エステルが最も好ましい。

0030

リン酸エステルの含有量は、全固形分に対する質量基準で、0.01〜8%が好ましく、0.05〜6%がより好ましく、0.5〜3%が最も好ましい。
その他に、親水基疎水基の中央にある界面活性剤は湿潤作用が大きく、例としてはジアルキルコハク酸エステル硫酸化Na塩テイポール型界面活性剤、リシノール酸エステル硫酸エステル化Na塩等が知られており、これらを使用する事もできる。

0032

水性ニスの濡れ性については、未乾燥又は乾燥した油性インキ(絵柄等が印刷される)上では弾かれずに塗布でき、且つ未乾燥又は乾燥した下刷り層の油性ニス上では弾かれて微粒子状になることが必要である。
そのためには水性ニス組成物は、前記の油性インキ及び油性ニスの各表面張力の中間の表面張力を有するものでなければならない。

0033

表面張力の測定は、ニス粘度の影響をなくす目的で、水性ニス/水=50/50に希釈しJIS:K2241に準じて測定する。
水性ニスの表面張力は23〜34μN/mの範囲内が好ましく、28〜32μN/mがより好ましい。

0034

水性ニスの表面張力は、使用する樹脂の酸価、溶剤組成、その他添加剤等により異なる為に、前記リン酸エステル及び又は湿潤剤にて前記範囲に入る様調整する。

0035

水性ニスを効果的に弾かせる為には塗布量は薄盛りが良い。
使用するコーターがチャンバー方式やグラビア方式の場合には、比較的小さなセル容積のアニロックスロール、又はグラビア版が好適であり、且つ水性ニス粘度は比較的低い目が良好である。ロール方式の場合には、粘度を低い目に設定する方が良い。
この様に、水性ニスの塗布量を少なく塗布する事で、下刷り層の上に形成される水性ニスの粒子がより細かく、より均一となり、良好なマット部を得る事が出来る。

0036

本発明を実施例により説明する。
以下の実施例では、オフセット印刷機で油性インキを用いて絵柄を印刷し、引き続いてオフセット印刷で油性ニス(撥液成分を含む)を用いて下刷り層を印刷し、それに本発明の上刷り層の水性ニス組成物(実施例1〜6の6種類)をコーターで塗布している。
従って、下記実施例はウェットでのインライン加工(絵柄の印刷インキ及び下刷りニスが乾燥する前に、水性ニスをコーティングする)を想定している。
また水性ニス組成物は水性ニスとも記載している。

0037

使用材料
用紙:OKトップコート(王子製紙株式会社製)
インキ:フュージョンGプロセスN(大日本インキ化学工業株式会社製)
下刷り層用の油性ニス:スパークリスOPニス(大日本インキ化学工業株式会社製)

0038

<水性ニスの試作に使用した原料
樹脂:
E−1:ジョンクリル450(エマルション不揮発分42%、酸価100、Tg16℃)BASFジャパン株式会社製
E−2:ジョンクリル7610(エマルション 不揮発分52%、酸価50、Tg96℃)BASFジャパン株式会社製
S−1:ジョンクリル60(水溶性樹脂溶液不揮発分34%、酸価215、Tg85℃)BASFジャパン株式会社製
ワックス:ケミパールW400(三井化学株式会社製)
増膜助剤:BCA(ジ゛エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
IPA:イソプロピルアルコール(市販品)
消泡剤:DOW CORNING TORAFSアンチフォーム544(東レ・ダウコーニング株式会社製)
湿潤剤:リン酸エステル水溶液(有効成分37.8%)・・・イソデシルリン酸を48%KOH水溶液にて当量中和して調製したもの。
水:水道水

0039

<表1:実施例及び比較例の水性ニスの基本配合

0040

0041

表1において数字は質量部である。
Xは湿潤剤(リン酸エステル水溶液)の配合量であり、以下の実施例において表面張力を変化させるために調節する。
Yは水性ニスの粘度調整のために調節する水の量である。
表1に示した水性ニスの配合において、該表のX,Yの値を表2の通りにして実施例の水性ニス1〜6及び比較例1〜2の水性ニスを作製した。

0042

実験1>
ロール方式のインラインコーターを使用し、リン酸エステルの添加量及び塗布時の粘度の影響を調べた。
添加するリン酸エステル量を変えた試作水性ニス(粘度は一定値)を用意し、下刷り層のニス上での弾き効果を調べた(実施例1〜3)。比較例1の水性ニスは、粘度は実施例1〜3と同じであるが、リン酸エステルは添加していない。実施例1〜3及び比較例1の水性ニスの粘度はすべてザーンカップ4番で13秒に調製している。
また粘度を別の水準に変えて、同じく3種類の水性ニスを試作し、弾き効果を調べた(実施例4〜6)。比較例2の水性ニスは、粘度は実施例4〜6と同じであるが、リン酸エステルは添加していない。実施例1〜3の水性ニスの粘度はすべてザーンカップ4番で17秒に調製している。

0043

印刷試験条件>
印刷機:ローランド社製R−702LTV型オフセット印刷機(インラインコーター付き)。
印刷胴:1胴目でフュージョンGプロセス墨N(大日本インキ化学工業株式会社製)を用いて絵柄を印刷する。
2胴目でスパークリス用OPニス(撥液剤を含有する下刷り用ニス大日本インキ化学工業株式会社製)を部分的に印刷し、下刷り層を形成する。
インラインコーターは、ゴムロール/金ロールで水性ニスを絞りニス版に供給する2本ロール方式。
用紙:OKトップコート+(王子製紙株式会社製)57.5Kg、A全。
刷版天地方向に、a)非画線部、b)墨、c)墨+下刷り層ニス(一部網点部有り)、及びd)下刷り層ニス部分を作成した。
実施例1〜3及び比較例1の水性ニスを上刷りニスとして全ベタ樹脂凸版にて塗布する。
水性ニス版:樹脂凸版全ベタ柄(サイレル45NOWデュポン社製)。
印圧は0.03mm(樹脂版/圧胴間)。
試作水性ニスの粘度・・離合社製ザーンカップ4番、25℃で測定する。実施例1〜3及び比較例1はすべて13秒、実施例4〜6及び比較例2はすべて17秒に調製した。
希釈剤は水を使用。
乾燥機は赤外線ランプ/熱風乾燥機の併用。
水性ニスの塗布量は、試験終了後マイレージより算出した結果、粘度13秒時は4g(乾燥前)/m2、17秒時は6g(乾燥前)/m2であった。

0044

できあがった印刷物には、前記の
a)無地の紙に水性ニスのみが塗布された部分、
b)墨インキの上に水性ニスのみが塗布された部分、
c)墨インキの上に下刷り層ニスと水性ニスが重ね刷りされた部分、
d)無地の紙に下刷りニスと水性ニスが重ね刷りされた部分、
がある。

0045

0046

<実験1の結果>
前記の条件にて下刷り層ニス及び水性ニスを重ね刷りし、下刷り層ニス部分の水性ニスの弾き現象によるスポットコーティング効果について評価した。結果を表3に示す。
本発明の水性ニスは、下刷り層が無い部分(a、bの部分)では水性ニスが平滑な皮膜を形成して光沢のある部分となり、下刷り層に重なった部分(c、dの部分)の水性ニスは弾かれて微細な粒子状の皮膜を形成する。この平滑部と粒子状の部分とのコントラストによりスポットコーティングの効果を得ようとするものである。

0047

評価基準は以下の通り1〜5の5段階である。
<墨インキ上(b部分)での水性ニスの塗布状態と評価>
5:水性ニスが弾かれず平滑な連続皮膜を形成する。(最良レベル
4:水性ニスが弾かれず連続皮膜を形成するが、表面のレベリング状態が悪い。(実用可能レベル)
3:水性ニスが細かく弾かれ、連続皮膜を形成しない。
2:水性ニスが明瞭に弾かれる。
1:水性ニスを受け付けず、所々に水性ニス皮膜が点在。(最悪レベル)
<下刷り層(c及びd部分)の上での水性ニスの弾きの状態と評価>
5:水性ニスが弾かれ肉眼では確認出来ないが、25倍ルーペで水性ニスが微粒子状皮膜になっているのが見える。(最良レベル)
4:肉眼で僅かに確認できる程度の水性ニスの粒子状乾燥皮膜が見られる。(実用可能レベル)
3:肉眼で明瞭に確認できる弾かれた水性ニス皮膜が見られる。
2:比較的大きく弾かれた水性ニス皮膜が見られる。
1:水性ニスを受け付けず、所々に水性ニス皮膜が点在。(最悪レベル)

0048

実施例1〜3の水性ニスについては、湿潤剤の副作用として考えられる耐ブロッキング性の低下についても調べた。ブロッキングする下限温度(その温度より低ければブロッキングしない)は、高い方がブロッキングしにくいので好ましい。
試験機恒温恒湿槽。
試験方法:水性ニスの塗布面同士を重ね、次の条件で試験する。
条件:温度40、45、50、55、60℃の5点。湿度80%において、荷重49kPa(500gf/cm2)をかけて24時間静置する。その後重ねていた塗布面を剥がし、剥がした塗布面に跡形が付かない下限の温度を調べた。

0049

0050

0051

表3及び表4の結果より、実施例1〜6の本発明の水性ニスは良好な弾き状態を示すことがわかる。
またブロッキング性限界温度は40度以上であれば実用上問題は無い。

0052

<実験2>
チャンバー方式のインラインコーターに階調版のアニロックスロールを装着し、アニロックスロールのセル容積と、弾き効果について試験した。
印刷試験条件:
印刷機:ローランド社製R−702LTLV型オフセット印刷機(インラインコーター付き)。
印刷胴:1胴目でフュージョンGプロセス墨N(大日本インキ化学工業株式会社製)を用いて絵柄を印刷する。2胴目でスパークリス用OPニス(撥液剤を含有する下刷り層用油性ニス大日本インキ化学工業株式会社製)を部分的に印刷し、下刷り層を形成する。
コーター部はチャンバー方式。アニロックスロールが方向に、亀甲型で6.5、9、12、16、20cm3/m2 及び、斜線型で20cm3/m2の6種類のセルパターン容積を持つ階調版アニロックスロールを装着し、水性ニスをニス版に供給する。
用紙:OKトップコート+(王子製紙株式会社製)57.5Kg、A全。
刷版:天地方向に、a)非画線部、b)墨、c)墨+下刷り層ニス(一部網点部有り)及びd)下刷り層ニス部分を作成した。
水性ニス版:樹脂凸版全ベタ柄(サイレル45NOWデュポン社製)。
印圧は0.03mm(樹脂版/圧胴間)。
水性ニス:粘度 離合社製ザーンカップ4番で15秒(25℃)。前記の実施例2の水性ニスを用いる。
乾燥機:赤外線ランプ/熱風乾燥機の併用。

0053

<実験2の結果>
各部分の光沢測定及び弾き状態の目視評価を行った。

0054

0055

表5の光沢測定について:
光沢計マイクロトリグロス(BYK Gardner 社製)
条件:入反射角は60°/60°。
光沢値の単位は%。
評価:目視にて弾き状態を評価し、微粒子状に弾いている状態を良好とし、弾き状態が大きく不均一な状態のものを不良とした。表には5〜1の5段階で記載し、5が最も良い。2以上は実用上使用可能である。
表5より、チャンバー方式のインラインコーターで、アニロックスロールにより本発明の水性ニスを塗布する場合は、該アニロックスロールのセル容積が小さいほど、弾き効果が高いことがわかる。

0056

本発明の水性ニス組成物は、インラインまたはオフラインのいずれの塗布条件においても、油性インキの絵柄の上には弾かれずに塗布できて光沢のある皮膜を形成し、且つ撥液成分を含有する油性ニスによって下刷り層が形成された部分では弾かれて微粒子状となり、良好なマット感を有する仕上がりとなる。その結果、印刷物にスポットコーティング効果を付与することができる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ