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技術 ワイヤーグリッド偏光子およびその製造方法

出願人 シャープ株式会社
発明者 東田恭子藤井暁義
出願日 2008年3月25日 (12年9ヶ月経過) 出願番号 2008-079028
公開日 2009年10月15日 (11年2ヶ月経過) 公開番号 2009-236945
状態 未査定
技術分野 回折格子、偏光要素、ホログラム光学素子 液晶4(光学部材との組合せ) 偏光要素 液晶4(光学部材との組合せ)
主要キーワード メタル比 二光波 シミュレーションソフト リブ構造 光硬化前 回折理論 金属ワイヤー 集光フィルム
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題

高精度に作製された高性能ワイヤーグリッド偏光子を提供する。

解決手段

本発明によるワイヤーグリッド偏光子(100)は、主面(111)を有する透明基材(110)と、透明基材(110)の主面(111)上に、互いに平行に配列された複数の金属ワイヤー(120)とを備える。透明基材(110)の主面(111)は、複数の溝(111a)のそれぞれを規定する底部(112a)および側部(112b)と、複数の溝(111a)のうちの隣接する2つの溝の間に位置する上部(112c)とを有している。複数の金属ワイヤー(120)のそれぞれの少なくとも一部は、透明基材(110)の主面(111)の上部(112c)によって規定される平面から突出しており、複数の金属ワイヤー(120)は、透明基材(110)の底部(112a)および上部(112c)の一方の上に設けられている。

概要

背景

液晶表示装置は、軽量、薄型および低消費電力等の利点を有している。このため、液晶表示装置は、テレビコンピュータ携帯端末等の表示部に利用されている。液晶表示装置の液晶パネルは、ブラウン管(Cathode Ray Tube:CRT)やプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)などの自発光型パネルとは異なり、それ自体は発光しない。このため、透過型液晶表示装置および透過反射両用型液晶表示装置では、液晶パネルの裏面にバックライトを配置し、バックライトから出射して液晶パネルを通過した光により、表示が行われる。バックライトから出射される光は非偏光であり、透過型液晶表示装置および透過反射両用型液晶表示装置には、液晶層を挟むように偏光板が設けられている。

一般的な偏光板は、二色性ヨウ素をポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)のフィルム吸着させた後、一方向に延伸して分子配向を一定にそろえることによって形成され、透過軸に平行な偏光方向の偏光成分を透過し、透過軸に直交する偏光方向の偏光成分を吸収する。このような偏光板は耐熱性が十分でなく、また、紫外線によって劣化してしまう。さらに、このような偏光板では、バックライトから出射された光のうち略半分は吸収されてしまい、利用されない。

そこで、選択反射偏光板を用いることにより、光の利用効率を増大させることが知られている。選択反射偏光板は、偏光方向の直交する2つの偏光成分のうちの一方を透過し、他方を反射する。選択反射偏光板は、例えば、バックライトの出射面に配置される。選択反射偏光板は、透過軸に平行な偏光方向の偏光成分のほとんどを透過するが、一般的な偏光板では吸収される偏光成分のほとんどをバックライトに向けて反射する。バックライトに戻った光の一部は、バックライトにおいて反射されるとともに偏光状態が変化し、再びバックライトの出射面から選択反射偏光板に向かって出射される。バックライトの出射面から出射された光の一部は選択反射偏光板を透過する。このように、選択反射偏光板を設けることにより、光利用効率が増大し、液晶表示装置の輝度が1.2〜1.4倍ほど増加する。

耐熱性に優れた選択反射偏光板としてワイヤーグリッド偏光子が知られている。ワイヤーグリッド偏光子では、金属ワイヤーが等間隔に配列されている。金属ワイヤーの長手方向と平行な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子において反射され、垂直な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子を透過する。

液晶表示装置に用いられるワイヤーグリッド偏光子では、可視光波長よりも短いピッチで金属ワイヤーが配列されており、金属ワイヤーの形成には短い数十nm〜数百nmレベルの加工が必要である。しかしながら、一般的なフォトリソグラフィ工程ではこのような加工は困難である。このため、金属ワイヤーの形成は、ナノレベル凹凸形状のパターンの設けられたモールドを用意し、モールドのパターンを転写することによって行われている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。このようなナノレベルのパターンの転写はナノインプリントとも呼ばれている。

以下、図10を参照して、特許文献1に開示されているワイヤーグリッド偏光子700の製造方法を説明する。

図10(a)に示すように、透明基材710の上に金属層Mおよびフォトレジスト層Rを形成する。透明基材710はガラスから形成されている。

また、モールド750を用意する。モールド750の主面751には複数の溝751aが設けられている。主面751は、隣接する2つの溝751aの間に位置する上部752aと、各溝751aを規定する側部752bおよび底部752cとを有している。複数の上部752aおよび底部752cが互いに平行に延びており、主面751には、凹凸形状のパターンが形成されている。

次に、図10(b)に示すように、モールド750のパターンをフォトレジスト層Rに転写する。これにより、モールド750の上部752aおよび底部752cに対応してフォトレジスト層Rに薄部Raおよび厚部Rcが形成される。このようなモールドのパターンの転写はインプリントとも呼ばれる。その後、加熱または紫外線の照射等を行い、フォトレジスト層Rを硬化させる。

次に、図10(c)に示すように、フォトレジスト層Rからモールド750を剥離する。

次に、図10(d)に示すように、フォトレジスト層Rをエッチングする。これにより、フォトレジスト層Rの薄部Ra部分が除去され、フォトレジスト層Rに覆われていない金属層Mが露出される。この工程はエッチバックとも呼ばれる。

次に、図10(e)に示すように、フォトレジスト層Rをマスクとしてフォトレジスト層Rに覆われていない金属層Mをエッチングする。これにより、金属ワイヤー720が形成される。

次に、図10(f)に示すように、フォトレジスト層Rを除去して金属ワイヤー720を露出させる。このようにして、金属層Mから形成された金属ワイヤー720を有するワイヤーグリッド偏光子700が作製される。以上のように、特許文献1の製造方法によれば、モールド750のパターンの転写されたフォトレジスト層Rが金属層Mに対するマスクとして利用され、金属ワイヤー720は、モールド750のパターンの転写されたフォトレジスト層Rに対応して形成される。

これに対して、特許文献2には、ワイヤーグリッド偏光子の別の製造方法が開示されている。以下、図11および図12を参照して、特許文献2に開示されているワイヤーグリッド偏光子800の製造方法を説明する。

図11(a)に示すように、シリコン基板860上にフォトレジスト層Rを形成する。その後、電子線を用いてフォトレジスト層Rに描画する。

次に、図11(b)に示すように、フォトレジスト層Rを現像液浸すことにより、フォトレジスト層Rをパターニングする。これにより、フォトレジスト層Rには、複数の溝が設けられる。

次に、図11(c)に示すように、フォトレジスト層Rをマスクとして用いてドライエッチングを行い、シリコン基板860の主面に上部860a、側部860bおよび底部860cを形成する。シリコン基板860は金型として用いられる。

次に、図11(d)に示すように、透明基材810を用意し、シリコン基板860の上に紫外線硬化樹脂870を塗布した後で透明基材810を押し当てる。これにより、透明基材810とシリコン基板860の主面との間に紫外線硬化樹脂層870が形成される。透明基材810は合成石英から形成されている。

次に、図11(e)に示すように、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂層870を硬化する。紫外線硬化樹脂層870の表面には、シリコン基板860の上部860a、側部860bおよび底部860cに対応して底部870a、側部870bおよび上部870cが形成されている。

次に、図12(a)に示すように、透明基材810および紫外線硬化樹脂層870からシリコン基板860を剥離する。

次に、図12(b)に示すように、ドライエッチングを行い、紫外線硬化樹脂層870の表面の凹凸形状を透明基材810の主面に転写する。これにより、紫外線硬化樹脂層870の底部870a、側部870bおよび上部870cに対応して、透明基材810の主面811に底部812a、側部812bおよび上部812cが形成される。透明基材810の主面811には、側部812bおよび底部812aによって規定される溝811aが設けられている。

次に、図12(c)に示すように、透明基材810の主面811を覆う金属層Mを形成する。金属層Mにより、透明基材810の主面811の底部812aだけでなく上部812cも覆われる。

次に、図12(d)に示すように、金属層Mをエッチバックする。透明基材810の上部812cが露出されるまで金属層Mは除去され、透明基材810の上部812cと金属ワイヤー820の表面とが平坦化される。これにより、透明基材810の溝811aに設けられた金属ワイヤー820が形成される。さらに分断することにより、図12(e)に示したワイヤーグリッド偏光子800が作製される。以上のように、特許文献2の製造方法によれば、金属ワイヤー820は、シリコン基板860の押し当てられた紫外線硬化樹脂層870の底部870aに対応して形成される。
特開2005−316495号公報
特開2004−271558号公報

概要

高精度に作製された高性能なワイヤーグリッド偏光子を提供する。本発明によるワイヤーグリッド偏光子(100)は、主面(111)を有する透明基材(110)と、透明基材(110)の主面(111)上に、互いに平行に配列された複数の金属ワイヤー(120)とを備える。透明基材(110)の主面(111)は、複数の溝(111a)のそれぞれを規定する底部(112a)および側部(112b)と、複数の溝(111a)のうちの隣接する2つの溝の間に位置する上部(112c)とを有している。複数の金属ワイヤー(120)のそれぞれの少なくとも一部は、透明基材(110)の主面(111)の上部(112c)によって規定される平面から突出しており、複数の金属ワイヤー(120)は、透明基材(110)の底部(112a)および上部(112c)の一方の上に設けられている。

目的

本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、高精度に作製された高性能なワイヤーグリッド偏光子およびその製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

主面を有する透明基材と、それぞれが、前記透明基材の主面上に互いに平行に配列された複数の金属ワイヤーとを備える、ワイヤーグリッド偏光子であって、前記透明基材の前記主面には互いに平行に配列された複数の溝が設けられており、前記透明基材の前記主面は、前記複数の溝のそれぞれを規定する底部および側部と、前記複数の溝のうちの隣接する2つの溝の間に位置する上部とを有しており、前記複数の金属ワイヤーのそれぞれの少なくとも一部は、前記透明基材の前記主面の前記上部によって規定される平面から突出しており、前記複数の金属ワイヤーは、前記透明基材の前記主面の前記底部および前記上部の一方の上に設けられている、ワイヤーグリッド偏光子。

請求項2

前記複数の金属ワイヤーのそれぞれは、前記透明基材の前記主面の前記底部の上に設けられており、前記複数の金属ワイヤーのそれぞれの厚さは、前記透明基材の前記主面の前記上部と前記底部との高低差よりも大きい、請求項1に記載のワイヤーグリッド偏光子。

請求項3

前記複数の金属ワイヤーのそれぞれは、前記透明基材の前記主面の前記上部の上に設けられている、請求項1に記載のワイヤーグリッド偏光子。

請求項4

主面を有する透明基材を用意する工程と、凹凸形状のパターンの設けられたモールドを用意する工程と、前記モールドの前記パターンを前記透明基材の主面に転写する工程と、前記モールドを前記透明基板から剥離した後に、前記透明基材の主面を覆う金属層を形成する工程と、前記金属層をエッチングする工程であって、互いに平行に配列された複数の金属ワイヤーを形成する工程と、前記複数の金属ワイヤーをマスクとして前記透明基材をエッチングする工程であって、前記透明基材のうち前記複数の金属ワイヤーの設けられていない部分の一部を選択的に除去する工程とを包含する、ワイヤーグリッド偏光子の製造方法。

請求項5

前記透明基材をエッチングする工程において、前記透明基材のうち、前記複数の金属ワイヤーの設けられた部分と、前記複数の金属ワイヤーの設けられていない部分との高さを異ならせる、請求項4に記載のワイヤーグリッド偏光子の製造方法。

請求項6

前記高さを異ならせる工程において、前記透明基材のうち前記複数の金属ワイヤーの設けられていない部分を前記複数の金属ワイヤーの厚さよりも浅く除去する、請求項5に記載のワイヤーグリッド偏光子の製造方法。

請求項7

前記高さを異ならせる工程において、前記透明基材のうち前記複数の金属ワイヤーの設けられていない部分を前記複数の金属ワイヤーの厚さよりも深く除去する、請求項5に記載のワイヤーグリッド偏光子の製造方法。

請求項8

前記金属層のエッチングおよび前記透明基材のエッチングはドライエッチングで行われ、前記透明基材をエッチングする工程は、前記金属層をエッチングする工程において用いられたエッチングガス切り換える工程を含む、請求項4から7のいずれかに記載のワイヤーグリッド偏光子の製造方法。

技術分野

0001

本発明はワイヤーグリッド偏光子およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

液晶表示装置は、軽量、薄型および低消費電力等の利点を有している。このため、液晶表示装置は、テレビコンピュータ携帯端末等の表示部に利用されている。液晶表示装置の液晶パネルは、ブラウン管(Cathode Ray Tube:CRT)やプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)などの自発光型パネルとは異なり、それ自体は発光しない。このため、透過型液晶表示装置および透過反射両用型液晶表示装置では、液晶パネルの裏面にバックライトを配置し、バックライトから出射して液晶パネルを通過した光により、表示が行われる。バックライトから出射される光は非偏光であり、透過型液晶表示装置および透過反射両用型液晶表示装置には、液晶層を挟むように偏光板が設けられている。

0003

一般的な偏光板は、二色性ヨウ素をポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol:PVA)のフィルム吸着させた後、一方向に延伸して分子配向を一定にそろえることによって形成され、透過軸に平行な偏光方向の偏光成分を透過し、透過軸に直交する偏光方向の偏光成分を吸収する。このような偏光板は耐熱性が十分でなく、また、紫外線によって劣化してしまう。さらに、このような偏光板では、バックライトから出射された光のうち略半分は吸収されてしまい、利用されない。

0004

そこで、選択反射偏光板を用いることにより、光の利用効率を増大させることが知られている。選択反射偏光板は、偏光方向の直交する2つの偏光成分のうちの一方を透過し、他方を反射する。選択反射偏光板は、例えば、バックライトの出射面に配置される。選択反射偏光板は、透過軸に平行な偏光方向の偏光成分のほとんどを透過するが、一般的な偏光板では吸収される偏光成分のほとんどをバックライトに向けて反射する。バックライトに戻った光の一部は、バックライトにおいて反射されるとともに偏光状態が変化し、再びバックライトの出射面から選択反射偏光板に向かって出射される。バックライトの出射面から出射された光の一部は選択反射偏光板を透過する。このように、選択反射偏光板を設けることにより、光利用効率が増大し、液晶表示装置の輝度が1.2〜1.4倍ほど増加する。

0005

耐熱性に優れた選択反射偏光板としてワイヤーグリッド偏光子が知られている。ワイヤーグリッド偏光子では、金属ワイヤーが等間隔に配列されている。金属ワイヤーの長手方向と平行な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子において反射され、垂直な偏光方向の偏光成分はワイヤーグリッド偏光子を透過する。

0006

液晶表示装置に用いられるワイヤーグリッド偏光子では、可視光波長よりも短いピッチで金属ワイヤーが配列されており、金属ワイヤーの形成には短い数十nm〜数百nmレベルの加工が必要である。しかしながら、一般的なフォトリソグラフィ工程ではこのような加工は困難である。このため、金属ワイヤーの形成は、ナノレベル凹凸形状のパターンの設けられたモールドを用意し、モールドのパターンを転写することによって行われている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。このようなナノレベルのパターンの転写はナノインプリントとも呼ばれている。

0007

以下、図10を参照して、特許文献1に開示されているワイヤーグリッド偏光子700の製造方法を説明する。

0008

図10(a)に示すように、透明基材710の上に金属層Mおよびフォトレジスト層Rを形成する。透明基材710はガラスから形成されている。

0009

また、モールド750を用意する。モールド750の主面751には複数の溝751aが設けられている。主面751は、隣接する2つの溝751aの間に位置する上部752aと、各溝751aを規定する側部752bおよび底部752cとを有している。複数の上部752aおよび底部752cが互いに平行に延びており、主面751には、凹凸形状のパターンが形成されている。

0010

次に、図10(b)に示すように、モールド750のパターンをフォトレジスト層Rに転写する。これにより、モールド750の上部752aおよび底部752cに対応してフォトレジスト層Rに薄部Raおよび厚部Rcが形成される。このようなモールドのパターンの転写はインプリントとも呼ばれる。その後、加熱または紫外線の照射等を行い、フォトレジスト層Rを硬化させる。

0011

次に、図10(c)に示すように、フォトレジスト層Rからモールド750を剥離する。

0012

次に、図10(d)に示すように、フォトレジスト層Rをエッチングする。これにより、フォトレジスト層Rの薄部Ra部分が除去され、フォトレジスト層Rに覆われていない金属層Mが露出される。この工程はエッチバックとも呼ばれる。

0013

次に、図10(e)に示すように、フォトレジスト層Rをマスクとしてフォトレジスト層Rに覆われていない金属層Mをエッチングする。これにより、金属ワイヤー720が形成される。

0014

次に、図10(f)に示すように、フォトレジスト層Rを除去して金属ワイヤー720を露出させる。このようにして、金属層Mから形成された金属ワイヤー720を有するワイヤーグリッド偏光子700が作製される。以上のように、特許文献1の製造方法によれば、モールド750のパターンの転写されたフォトレジスト層Rが金属層Mに対するマスクとして利用され、金属ワイヤー720は、モールド750のパターンの転写されたフォトレジスト層Rに対応して形成される。

0015

これに対して、特許文献2には、ワイヤーグリッド偏光子の別の製造方法が開示されている。以下、図11および図12を参照して、特許文献2に開示されているワイヤーグリッド偏光子800の製造方法を説明する。

0016

図11(a)に示すように、シリコン基板860上にフォトレジスト層Rを形成する。その後、電子線を用いてフォトレジスト層Rに描画する。

0017

次に、図11(b)に示すように、フォトレジスト層Rを現像液浸すことにより、フォトレジスト層Rをパターニングする。これにより、フォトレジスト層Rには、複数の溝が設けられる。

0018

次に、図11(c)に示すように、フォトレジスト層Rをマスクとして用いてドライエッチングを行い、シリコン基板860の主面に上部860a、側部860bおよび底部860cを形成する。シリコン基板860は金型として用いられる。

0019

次に、図11(d)に示すように、透明基材810を用意し、シリコン基板860の上に紫外線硬化樹脂870を塗布した後で透明基材810を押し当てる。これにより、透明基材810とシリコン基板860の主面との間に紫外線硬化樹脂層870が形成される。透明基材810は合成石英から形成されている。

0020

次に、図11(e)に示すように、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂層870を硬化する。紫外線硬化樹脂層870の表面には、シリコン基板860の上部860a、側部860bおよび底部860cに対応して底部870a、側部870bおよび上部870cが形成されている。

0021

次に、図12(a)に示すように、透明基材810および紫外線硬化樹脂層870からシリコン基板860を剥離する。

0022

次に、図12(b)に示すように、ドライエッチングを行い、紫外線硬化樹脂層870の表面の凹凸形状を透明基材810の主面に転写する。これにより、紫外線硬化樹脂層870の底部870a、側部870bおよび上部870cに対応して、透明基材810の主面811に底部812a、側部812bおよび上部812cが形成される。透明基材810の主面811には、側部812bおよび底部812aによって規定される溝811aが設けられている。

0023

次に、図12(c)に示すように、透明基材810の主面811を覆う金属層Mを形成する。金属層Mにより、透明基材810の主面811の底部812aだけでなく上部812cも覆われる。

0024

次に、図12(d)に示すように、金属層Mをエッチバックする。透明基材810の上部812cが露出されるまで金属層Mは除去され、透明基材810の上部812cと金属ワイヤー820の表面とが平坦化される。これにより、透明基材810の溝811aに設けられた金属ワイヤー820が形成される。さらに分断することにより、図12(e)に示したワイヤーグリッド偏光子800が作製される。以上のように、特許文献2の製造方法によれば、金属ワイヤー820は、シリコン基板860の押し当てられた紫外線硬化樹脂層870の底部870aに対応して形成される。
特開2005−316495号公報
特開2004−271558号公報

発明が解決しようとする課題

0025

特許文献1に開示されている製造方法では、モールド750のパターンをフォトレジスト層Rに転写し、フォトレジスト層Rのパターンにしたがって金属ワイヤー720が形成される。このため、モールド750およびフォトレジスト層Rのパターンは金属ワイヤー720の精度に影響する。

0026

特許文献1の製造方法では、モールド750のパターンをフォトレジスト層Rに転写した後、フォトレジスト層Rのうち、モールド750の上部752aに対応する薄部Raはエッチバックによって除去される。エッチバックの前のこの薄部Raは残膜とも呼ばれる。エッチバックでは、フォトレジスト層Rの残膜とともにモールド750の底部752cに対応する厚部Rcも除去されてしまうため、残膜が厚いほど厚部Rcの多くが除去されることになる。また、エッチバック工程において複数の残膜のそれぞれが除去されるが、残膜が厚いほど、エッチバック工程において残膜の除去される量に差が生じやすく、エッチバック後に残膜が斑状に残ることがある。このため、残膜は薄いほど好ましく、また、残膜を薄くするために、フォトレジスト層Rはできる限り薄いことが好ましい。一般的に、フォトレジスト層Rをスピンコートで形成する場合、フォトレジスト層Rの厚さは1〜5μm程度である。また、フォトレジスト層Rの材料として粘度の低いレジスト材料を用いてスピンコートを行う場合、フォトレジスト層Rの厚さは0.2〜0.5μm(200〜500nm)程度となる。

0027

また、モールド750の凹凸形状のピッチが150〜200nmであり、モールド750の上部752aの幅が75〜100nmである場合、このように細い上部752aおよび底部752cの高低差を十分に大きく作製することは困難であり、モールド750によって規定されるフォトレジスト層Rの厚部Rcと薄部Raとの高低差を300nmよりも大きくすることは困難である。

0028

モールド750で厚さ200〜500nmのフォトレジスト層Rに対してインプリントを行い、フォトレジスト層Rの厚部Rcと薄部Raとの高低差を約300nmとする場合、残膜の厚さは50〜350nmとなる。エッチバック処理を考慮すると、残膜の厚さを100nm以下にすることが必要であり、そのためには、フォトレジスト層Rを厚さ0.2〜0.3μm(200〜300nm)で均一に形成することが必要となる。しかしながら、このように薄いフォトレジスト層Rを塗布で形成すると、塗布により、フォトレジスト層Rの厚さに差が生じやすい。このため、フォトレジスト層Rを高精度に加工することは困難であり、結果として、ワイヤーグリッド偏光子700の面内にばらつきが生じる。

0029

また、特許文献1に開示されている製造方法に従って薄いフォトレジスト層Rを形成する場合、透明基材710の厚さのバラツキは数μmであり、このバラツキはフォトレジスト層Rの厚部Rcと薄部Raとの高低差と比べて格段に大きいため、正確なインプリントを行うためには、インプリント時の圧力を十分高くする必要がある。一般的なフォトレジスト層に対するインプリントは2〜5MPa程度の圧力で行われるが、フォトレジスト層Rが薄い場合、10MPa以上の圧力を付与することが必要であり、場合によっては、20MPaもの圧力を付与しないと正確なインプリントを行えないこともある。このような大きな圧力を印加するとモールドが割れることがある。さらに、モールドの面積が大きくなったときの押し付け力が格段に大きくなり、大型のインプリント装置が必要となる。

0030

一方、特許文献2に開示されている製造方法では、硬化する前の紫外線硬化樹脂層に金型を押し当てており、小型のインプリント装置を用いて特許文献1よりも低い圧力で転写を行うことができる。しかしながら、特許文献2に開示されたワイヤーグリッド偏光子800の反射率および透過率は比較的低く、ワイヤーグリッド偏光子800の性能は十分ではない。

0031

本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、高精度に作製された高性能なワイヤーグリッド偏光子およびその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0032

本発明によるワイヤーグリッド偏光子は、主面を有する透明基材と、それぞれが、前記透明基材の主面上に互いに平行に配列された複数の金属ワイヤーとを備える、ワイヤーグリッド偏光子であって、前記透明基材の前記主面には互いに平行に配列された複数の溝が設けられており、前記透明基材の前記主面は、前記複数の溝のそれぞれを規定する底部および側部と、前記複数の溝のうちの隣接する2つの溝の間に位置する上部とを有しており、前記複数の金属ワイヤーのそれぞれの少なくとも一部は、前記透明基材の前記主面の前記上部によって規定される平面から突出しており、前記複数の金属ワイヤーは、前記透明基材の前記主面の前記底部および前記上部の一方の上に設けられている。

0033

ある実施形態において、前記複数の金属ワイヤーのそれぞれは、前記透明基材の前記主面の前記底部の上に設けられており、前記複数の金属ワイヤーのそれぞれの厚さは、前記透明基材の前記主面の前記上部と前記底部との高低差よりも大きい。

0034

ある実施形態において、前記複数の金属ワイヤーのそれぞれは、前記透明基材の前記主面の前記上部の上に設けられている。

0035

本発明によるワイヤーグリッド偏光子の製造方法は、主面を有する透明基材を用意する工程と、凹凸形状のパターンの設けられたモールドを用意する工程と、前記モールドの前記パターンを前記透明基材の主面に転写する工程と、前記モールドを前記透明基板から剥離した後に、前記透明基材の主面を覆う金属層を形成する工程と、前記金属層をエッチングする工程であって、互いに平行に配列された複数の金属ワイヤーを形成する工程と、前記複数の金属ワイヤーをマスクとして前記透明基材をエッチングする工程であって、前記透明基材のうち前記複数の金属ワイヤーの設けられていない部分の一部を選択的に除去する工程とを包含する。

0036

ある実施形態において、前記透明基材をエッチングする工程において、前記透明基材のうち、前記複数の金属ワイヤーの設けられた部分と、前記複数の金属ワイヤーの設けられていない部分との高さを異ならせる。

0037

ある実施形態において、前記高さを異ならせる工程において、前記透明基材のうち前記複数の金属ワイヤーの設けられていない部分を前記複数の金属ワイヤーの厚さよりも浅く除去する。

0038

ある実施形態において、前記高さを異ならせる工程において、前記透明基材のうち前記複数の金属ワイヤーの設けられていない部分を前記複数の金属ワイヤーの厚さよりも深く除去する。

0039

ある実施形態において、前記金属層のエッチングおよび前記透明基材のエッチングはドライエッチングで行われ、前記透明基材をエッチングする工程は、前記金属層をエッチングする工程において用いられたエッチングガス切り換える工程を含む。

発明の効果

0040

本発明によれば、高精度に作製された高性能なワイヤーグリッド偏光子およびその製造方法を提供できる。

発明を実施するための最良の形態

0041

以下、図面を参照して、本発明によるワイヤーグリッド偏光子およびその製造方法の実施形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。

0042

(実施形態1)
図1を参照して、本発明によるワイヤーグリッド偏光子100の第1実施形態を説明する。図1(a)は、ワイヤーグリッド偏光子100の模式的な斜視図であり、図1(b)は、ワイヤーグリッド偏光子100の模式的な側面図である。

0043

ワイヤーグリッド偏光子100は、主面111を有する透明基材110と、透明基材110の主面111上に互いに平行に配列された複数の金属ワイヤー120とを備えている。例えば、金属ワイヤー120のピッチP、幅W、および厚さHは、それぞれ、150nm、75nm、100nmである。なお、本明細書において、W/Pをメタル比と呼ぶことがある。金属ワイヤー120は例えばアルミニウム(Al)から形成される。アルミニウムは、銀(Ag)ほどではないものの反射率の比較的高い金属である。また、可視光の波長に対するアルミニウムの反射率の依存性はAgと比べて小さく、アルミニウムの反射率は経時変化しにくい(曇りにくい)。このため、アルミニウムは金属ワイヤー120の材料として好適に用いられる。

0044

ここでは、透明基材110の主面111には複数の溝111aが設けられており、主面111は、複数の溝111aのそれぞれを規定する底部112aおよび側部112bと、複数の溝111aのうち隣接する2つの溝の間に位置する上部112cとを有している。底部112aおよび上部112cは互いに平行に延びている。また、底部112aおよび上部112cの延びている方向は金属ワイヤー120の延びている方向と平行である。また、複数の金属ワイヤー120のそれぞれは、透明基材110の主面111の底部112a上に設けられており、上部112c上には設けられていない。金属ワイヤー120の幅Wは透明基材110の底部112aの幅とほぼ等しい。

0045

金属ワイヤー120の延びている方向(長手方向)に直交する偏光方向の偏光成分は主にワイヤーグリッド偏光子100を透過し、金属ワイヤー120の延びている方向に平行な偏光方向の偏光成分は主にワイヤーグリッド偏光子100において反射される。このように、ワイヤーグリッド偏光子100の透過軸は金属ワイヤー120の延びている方向と直交しており、ワイヤーグリッド偏光子100の反射軸は、金属ワイヤー120の延びている方向と平行である。

0046

上述したように、複数の金属ワイヤー120のそれぞれは、透明基材110の主面111の底部112a上に設けられており、金属ワイヤー120は埋め込まれているように見える。また、金属ワイヤー120の高さは主面111の上部112cと底部112aとの高低差よりも大きいため、金属ワイヤー120は、透明基材110の上部112cによって規定される平面から突出している。ワイヤーグリッド偏光子100の構造は、例えば、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観測することができる。

0047

本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100は、図2を参照して後述するように、モールドのパターンを透明基材110に直接的に転写して高精度に作製可能である。また、ワイヤーグリッド偏光子100は、図3を参照して詳述するが、金属ワイヤー120の一部が透明基材110に完全に埋め込まれていないので、高い反射率および透過率を有している。

0048

以下、図2を参照しながら、本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100の製造方法を説明する。

0049

図2(a)に示すように、主面111を有する透明基材110を用意する。ここで、主面111はほぼ平坦である。透明基材110は、高い光透過率および低い複屈折性を有する透明樹脂フィルムを含んでおり、透明樹脂フィルムとして、例えば、ポリメチルメタクリレート(Polymethyl methacrylate:PMMA)や、シクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer:COP)などが用いられる。

0050

図2(b)に示すように、モールド300を用意する。モールド300の主面310には互いに平行に配列された複数の溝311が設けられており、主面310は、複数の溝311のうち隣接する2つの溝311の間に位置する上部312aと、複数の溝311をそれぞれ規定する側部312bおよび底部312cとを有しており、主面310には凹凸形状のパターンが設けられている。モールド300の上部312aおよび底部312cはそれぞれ互いに平行に一方向に沿って延びている。モールド300の凹凸形状は、ワイヤーグリッド偏光子100の凹凸形状に対応している。具体的には、モールド300の凹凸形状のピッチはワイヤーグリッド偏光子100のピッチとほぼ等しく、モールド300の上部312aの幅はワイヤーグリッド偏光子100の透明基材110の底部112a(図1(a))の幅とほぼ等しい。モールド300は、例えば、シリコンウエハー上に塗布したレジスト層電子線露光二光波干渉露光法などを用いてパターニングを行い、パターニングされたレジスト層をマスクとして用いてシリコンをエッチングすることによって作製される。

0051

次に、図2(c)に示すように、モールド300を透明基材110に押し付ける。このような押し付けは、インプリント装置(図示せず)を用いて行われる。これにより、モールド300の上部312aおよび底部312cに対応して、透明基材110の主面111に底部112xおよび上部112yが形成される。透明基材110の主面111の底部112xおよび上部112yはそれぞれ互いに平行に一方向に沿って延びている。このように、モールド300のパターンは透明基材110の主面111に直接的に転写されており、小型のインプリント装置を用いても正確な転写を行うことができる。

0052

なお、モールド300のパターンの転写は、モールド300を加熱した状態で行われる。この工程は熱インプリントとも呼ばれる。例えば、透明基材110がポリメチルメタクリレートから形成されている場合、この透明基材110のガラス転移温度は100℃であるため、120〜130℃の温度下において5MPa程度の圧力を付与した後、圧力を印加したままモールドの温度を80℃以下まで下げた後、インプリント装置から取り出す。

0053

また、透明基材110はシクロオレフィンポリマーから形成されていてもよい。この樹脂のガラス転移温度が134℃である。この場合、モールド300の温度を160℃にし、透明基材110の温度を80℃として、5MPaの圧力を1分間印加し、その後、圧力を印加したままモールド300の温度を100℃以下まで下げてからインプリント装置から取り出す。

0054

あるいは、透明基材110が支持基材に支持された光硬化性樹脂を有していてもよい。この場合、モールド300を光硬化性樹脂に押し付けた後に、紫外光を照射して光硬化性樹脂を硬化させることにより、転写が行われる。この工程はUVインプリントとも呼ばれる。なお、このときに用いられる光硬化性樹脂は、光硬化前後で体積変化が小さく、粘度の低い材料を含むことが好ましい。例えば、UVインプリントのための光硬化性樹脂として光硬化性樹脂PAK−01(東洋合成工業株式会社)が用いられる。

0055

次に、図2(d)に示すように、透明基材110からモールド300を剥離する。

0056

次に、図2(e)に示すように、透明基材110上に金属層Mを形成する。金属層Mの厚さは、透明基材110の主面111の上部112yと底部112xとの高低差よりも大きく、透明基材110の主面111は金属層Mに覆われる。金属層Mは例えばアルミニウム(Al)から形成される。

0057

金属層Mの形成は、例えば、抵抗蒸着法によって行われる。抵抗蒸着法を用いることにより、蒸着材料から透明基材110までの距離を長くし、透明基材110の主面111に到着する金属粒子発散性を極力押さえ、透明基材110の主面111を覆うように金属を堆積することができる。例えば、蒸着材料は10mmの丸いボートに入れられ、蒸着材料から透明基材110までの距離は250mmである。

0058

次に、図2(f)に示すように、ドライエッチングを行い、透明基材110の底部112x上に設けられた部分を残し、金属層Mのうち透明基材110の上部112y上に設けられた部分を除去する。これにより、金属ワイヤー120が形成される。ドライエッチングは、真空下においてCl2およびBCl3の混合ガス混入して、金属ワイヤー120の上面と透明基材110の上部112yの高さがほぼ等しくなるまで行われる。

0059

次に、図2(g)に示すように、ドライエッチングを行い、金属ワイヤー120および金属ワイヤー120によって覆われた透明基材110の底部112xを実質的に除去することなく、金属ワイヤー120の設けられていない透明基材110の上部112yの一部を除去する。このドライエッチングは、図2(f)を参照して説明した金属層Mのエッチングと同様の真空下で行われるが、混合ガスを切り換えている。ドライエッチングは、CF4およびO2の混合ガスを用いて行われる。ドライエッチングにより、透明基材110の主面111に底部112aおよび上部112cが形成される。底部112aは底部112xに対応しており、上部112cは上部112yに対応している。このようにして、金属ワイヤー120が透明基材110の上部112cによって規定される平面から突出する形状が形成される。

0060

ここで、比較例のワイヤーグリッド偏光子500と比較して本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100の利点を説明する。まず、図3を参照して、比較例のワイヤーグリッド偏光子500の構成を説明する。比較例のワイヤーグリッド偏光子500は、透明基材510の主面512の上部512bと底部512aとの高低差が金属ワイヤー520の厚さと等しい点で本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100とは異なる。ワイヤーグリッド偏光子500は、図11および図12を参照して上述した特許文献2の製造方法に従って製造されたものに相当する。

0061

図4を参照して、本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100および比較例のワイヤーグリッド偏光子500を比較する。図4(a)に、金属ワイヤーの長手方向と平行な偏光方向の偏光成分が、入射角度0°で入射したときの反射率のシミュレーション結果を示している。図4(b)に、金属ワイヤーの長手方向と垂直な偏光方向の偏光成分が、入射角度0°で入射したときの透過率のシミュレーション結果を示している。このシミュレーションでは、ワイヤーグリッド偏光子100、500が微細な構造であり、単純なスカラー回折理論による回折効率は、偏光依存性等を計算することができないので、ベクトル回折理論を適用したアルゴリズム取り入れシミュレーションソフトであるGSOLVERを用いている。

0062

ワイヤーグリッド偏光子100の金属ワイヤー120のピッチ、幅および厚さはそれぞれ150nm、75nm、100nmであり、ワイヤーグリッド偏光子500の金属ワイヤー520のピッチ、幅および厚さは、同様にそれぞれ150nm、75nm、100nmである。また、金属ワイヤー120、520はいずれもアルミニウムから形成されている。なお、ワイヤーグリッド偏光子100において透明基材110の上部112cと底部112aとの高低差は10nmであり、この高低差は金属ワイヤー120の厚さよりも小さい一方、ワイヤーグリッド偏光子500において、透明基材510の上部512bと底部512aとの高低差は100nmであり、この高低差は金属ワイヤー520の厚さと等しい。なお、透明基材の上部から金属ワイヤーの上面までの高さをhとすると、ワイヤーグリッド偏光子100における高さhは90nmであるのに対して、ワイヤーグリッド偏光子500における高さhは0nmである。

0063

図4(a)から理解されるように、高さhの大きさに関わらず波長が短いほど反射率は低い。本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100の反射率は比較例のワイヤーグリッド偏光子500よりも高い。特に、短波長において、ワイヤーグリッド偏光子100の反射率は比較的高いのに対して、ワイヤーグリッド偏光子500の反射率の低下が比較的大きい。

0064

図4(b)から理解されるように、高さhに関わらず透過率は波長の変化に応じて極大をとる。ワイヤーグリッド偏光子100において透過率が極大となる波長は、ワイヤーグリッド偏光子500よりも短い。また、可視光領域全体で比較するとワイヤーグリッド偏光子100の透過率はワイヤーグリッド偏光子500の透過率よりも高い。以上のように、本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100は比較例のワイヤーグリッド偏光子500よりも高い反射率および透過率を有している。

0065

次に、図5を参照して、透明基材110の主面111の上部112cと底部112aとの間の高低差の変化に応じた反射率および透過率の変化を説明する。

0066

図5(a)に、波長に対する反射率の変化を示しており、図5(b)に、波長に対する透過率の変化を示している。ここでは、透明基材110の主面111の上部112cと底部112aとの間の高低差をhuと示しており、高低差huを0m、10nm、20nm、30nm、40nmと変化させている。高低差huは、金属ワイヤー120のうち透明基材110に埋め込まれている部分の厚さに相当する。

0067

図5(a)から理解されるように、反射率は比較的高く、高低差huの変化に関わらずほとんど変化しない。一方、図5(b)から理解されるように、透過率は高低差huの増大とともに低下する。高低差huの増大とともに金属ワイヤー120が透明基材110の上部112cから突出している部分が小さくなる。高低差huは20μm以下であることが好ましい。

0068

次に、図6を参照して、本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100を備える液晶表示装置200を説明する。本実施形態の液晶表示装置200は、ワイヤーグリッド偏光子100と、バックライト150と、液晶パネル160とを備えている。ワイヤーグリッド偏光子100は、バックライト150と液晶パネル160との間に配置されている。

0069

バックライト150は、光を出射する光源152と、出射面154aおよび裏面154bを有する導光板154と、導光板154の裏面154bと対向する反射シート156と、導光板154の出射面154aと対向する拡散シート157と、集光フィルム158とを有している。光源152は例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。光源152から出射された光は非偏光である。光源152からの光は導光板154を伝達し、導光板154の出射面154aから拡散シート157に向かって出射する。拡散シート157は導光板154の出射面154aから出射された光を拡散し、集光フィルム158は、液晶パネル160の主面に垂直な成分が増大するように光を集光する。また、導光板154の裏面154bから出射された光は反射シート156において反射され、導光板154の出射面154aから出射される。

0070

バックライト150からの光はワイヤーグリッド偏光子100に向けて出射される。この光は非偏光である。バックライト150から出射された光のうちワイヤーグリッド偏光子100の透過軸と平行な偏光方向の偏光成分のほとんどはワイヤーグリッド偏光子100を透過し、液晶パネル160の表示に用いられる。

0071

液晶パネル160は、第1偏光板172と、第1透明基板170と、画素電極174と、液晶層180と、第2透明基板190と、対向電極192と、第2偏光板194とを有している。第1偏光板172の透過軸は第2偏光板194の透過軸と直交するようにクロスニコルに配置されている。第1偏光板172の透過軸はワイヤーグリッド偏光子100の透過軸と平行である。ワイヤーグリッド偏光子100の偏光度は、例えば99.6%であり、第1偏光板172の偏光度は例えば99.9%である。

0072

出射光のうちワイヤーグリッド偏光子100の透過軸に平行な偏光方向の偏光成分のほとんどはワイヤーグリッド偏光子100を透過する。また、第1偏光板172の透過軸はワイヤーグリッド偏光子100の透過軸と平行であるので、この偏光成分は、第1偏光板172も透過する。

0073

一方、出射光のうちワイヤーグリッド偏光子100の反射軸に平行な偏光方向の偏光成分のほとんどは、ワイヤーグリッド偏光子100において反射されてバックライト150に戻る。バックライト150に戻った光は、バックライト150において反射され、ワイヤーグリッド偏光子100に向かって進行する。バックライト150において反射されワイヤーグリッド偏光子100に再び到達する光の一部はワイヤーグリッド偏光子100を透過し、液晶パネル160の表示に用いられる。このように、ワイヤーグリッド偏光子100は、最初にワイヤーグリッド偏光子100に入射したときに透過軸と直交する成分のほとんどをバックライト150に向けて反射し、最終的に、この光の一部を透過させて液晶パネル160の表示に用いている。このように、ワイヤーグリッド偏光子100を備える液晶表示装置200の光利用効率は、透過軸と直交する偏光方向の偏光成分を吸収する一般的な偏光板を備える液晶表示装置よりも向上している。

0074

なお、ワイヤーグリッド偏光子100は液晶パネル160と一体的に作製されてもよい。この場合、第1透明基板170の裏面に第1偏光板172を設けることなく、第1透明基板170が透明基材110として機能してもよい。あるいは、ワイヤーグリッド偏光子100はバックライト150と一体的に作製されてもよい。この場合、界面反射を抑制するため、集光フィルム158上にエアロゲルのような低屈折率材料(図示せず)を介してその上にワイヤーグリッド偏光子100を設けることが好ましい。

0075

(実施形態2)
図7に、本発明によるワイヤーグリッド偏光子100の第2実施形態の模式図を示す。本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100は、透明基材110の主面111の底部112aではなく上部112cの上に金属ワイヤー120が設けられている点を除いて、図1を参照して上述した実施形態1のワイヤーグリッド偏光子と同様の構成を有している。したがって、冗長を避ける目的で、重複する説明を省略する。

0076

金属ワイヤー120は、透明基材110の主面111の上部112cの上に設けられている。このようなワイヤーグリッド偏光子100の構造をリブ構造とも呼ぶ。

0077

本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100はモールドのパターンを透明基材110に直接的に転写して高精度に作製可能である。また、本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100では、金属ワイヤー120が透明基材110に埋め込まれていないので、高い反射率および透過率が得られる。

0078

図8(a)〜図8(g)に、本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100の製造方法を模式的に示している。なお、図8(a)〜図8(f)は、図2(a)〜図2(f)を参照して上述したのと同様であり、重複する説明を省略する。

0079

図8(g)に示すように、ドライエッチングを行い、金属ワイヤー120および透明基材110のうち金属ワイヤー120の設けられた底部112xを実質的に除去することなく、透明基材110のうち金属ワイヤー120の設けられていない上部112yを除去する。このドライエッチングにおいて、透明基材110のうち金属ワイヤー120の設けられていない上部112yは金属ワイヤー120の厚さよりも深く除去される。このため、この部分が底部112aとなり、透明基材110のうち金属ワイヤー120によって覆われている底部112xが上部112cとなる。ドライエッチングは、CF4およびO2の混合ガスを用いて行われる。ドライエッチングにより、金属ワイヤー120は透明基材110の上部112cの上に設けられることになり、金属層ワイヤー120が透明基材110の主面111から突出したような形状が得られる。ここで、図2(g)を参照して上述した実施形態1と比較すると、他の条件が等しい場合、図8(g)におけるエッチング時間は図2(g)よりも長い。ただし、実際には、ナノレベルの微細構造を形成するためのエッチング量の制御は困難であり、わずかなエッチング時間の違いによってエッチング量が異なることになる。本実施形態のワイヤーグリッド偏光子100は以上のように作製される。

0080

次に、図9を参照して、透明基材110の主面111の上部112cと底部112aとの間の高低差の変化に応じた反射率および透過率の変化を説明する。図9(a)に、波長に対する反射率のシミュレーションの結果を示しており、図9(b)に、波長に対する透過率のシミュレーションの結果を示している。なお、ここでは、透明基材110の主面111の上部112cと底部112aとの間の高低差をhrと示している。高低差hrを、0nm、10nm、20nm、30nm、40nmと変化させている。ここで、金属ワイヤー120のピッチは150nmであり、メタル比は50%である。

0081

図9(a)から理解されるように、反射率は比較的高く、高低差hrの変化に関わらずほとんど変化しない。一方、図9(b)から理解されるように、高低差hrの増大とともに可視光領域全体にわたる透過率は特に低波長側で低下する。また、高低差hrの増大とともに透過率の極大値は低波長側にシフトする。このように、高低差hrが増大するほど可視光領域全体にわたる透過率が低下するため、色バランスがくずれてしまう。高低差hrは20μm以下であることが好ましい。

0082

なお、上述した説明では、図4図5および図9を参照して、特定の大きさのワイヤーグリッド偏光子における透過率および反射率の波長依存性を説明したが、大きさが異なっても、透過率および反射率特性は同様の特性を示すことに留意されたい。

0083

なお、上述した説明では、透明基材110のうち金属ワイヤー120の設けられていない部分を除去する深さは金属ワイヤー120の厚さよりも小さいか、または、大きかったが、本発明はこれに限定されない。透明基材110のうち金属ワイヤー120の設けられていない部分を除去する深さは金属ワイヤー120の厚さと等しくてもよい。

0084

本発明によれば、反射率および透過率の高いワイヤーグリッド偏光子を高精度に製造することができる。このワイヤーグリッド偏光子は、液晶テレビジョンなどの液晶表示装置に好適に用いられる。

図面の簡単な説明

0085

(a)は本発明によるワイヤーグリッド偏光子の第1実施形態の模式的な斜視図であり、(b)は第1実施形態のワイヤーグリッド偏光子の模式的な側面図である。
(a)〜(g)は、それぞれ、第1実施形態のワイヤーグリッド偏光子の製造方法を説明するための模式図である。
比較例のワイヤーグリッド偏光子の模式的な側面図である。
第1実施形態および比較例のワイヤーグリッド偏光子を比較するためのグラフであり、(a)は波長に対する反射率の変化を示すグラフであり、(b)は波長に対する透過率の変化を示すグラフである。
第1実施形態のワイヤーグリッド偏光子における透明基材の上部と底部との高低差に応じた特性を説明するためのグラフであり、(a)は波長に対する反射率の変化を示すグラフであり、(b)は波長に対する透過率の変化を示すグラフである。
第1実施形態のワイヤーグリッド偏光子を備える液晶表示装置の模式図である。
本発明によるワイヤーグリッド偏光子の第2実施形態の模式的な側面図である。
(a)〜(g)は、それぞれ、第2実施形態のワイヤーグリッド偏光子の製造方法を説明するための模式図である。
第2実施形態のワイヤーグリッド偏光子における透明基材の上部と底部との高低差に応じた特性を説明するためのグラフであり、(a)は波長に対する反射率の変化を示すグラフであり、(b)は波長に対する透過率の変化を示すグラフである。
(a)〜(f)は、それぞれ、従来のワイヤーグリッド偏光子の製造方法を説明するための模式図である。
(a)〜(e)は、それぞれ、従来のワイヤーグリッド偏光子の別の製造方法を説明するための模式図である。
(a)〜(e)は、それぞれ、従来のワイヤーグリッド偏光子の別の製造方法を説明するための模式図である。

符号の説明

0086

100ワイヤーグリッド偏光子
110 透明基材
111 主面
112a 底部
112b 側部
112c 上部
120 金属ワイヤー

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