図面 (/)

技術 安定性が改良されたトリフェニルボロン化合物含有漁網用クリヤー型防汚塗料組成物

出願人 中国塗料株式会社
発明者 政岡滋田中秀幸大多和泰雄
出願日 2008年9月18日 (10年9ヶ月経過) 出願番号 2008-239621
公開日 2009年10月15日 (9年9ヶ月経過) 公開番号 2009-235373
状態 特許登録済
技術分野 塗料、除去剤 流動性材料の適用方法、塗布方法 農薬・動植物の保存 他類に属さない組成物 繊維製品への有機化合物の付着処理 漁撈(II)(漁網)
主要キーワード 検出器電圧 長期継続的 選択イオン検出 ジフェニルボロン 塗布硬化後 引き上げ乾燥 船底防 イオン化電流
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年10月15日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

トリフェニルボロン化合物テトラエチルチウラムジスルフィドとを含有する防汚塗料組成物であって、沈殿物を生じない手段によりトリフェニルボロン化合物の分解が抑制され、長期保存時にも防汚活性が維持される漁網クリアー型防塗料組成物

解決手段

(A)塗膜形成性樹脂と、(B)防汚剤としての(b1)トリフェニルボロンアミン錯体(たとえばトリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロンおよび/またはトリフェニル(n−オクタデシル)アミンボロン)と(b2)テトラエチルチウラムジスルフィドとに加えて、上記トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)の分解抑制剤としての(C)イソチアゾール化合物(たとえば4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン)を含有することを特徴とする漁網用クリアー型防汚塗料組成物。

概要

背景

従来、漁網防汚塗料組成物にはトリフェニルボロンジフェニルメチルボロン等のボロン化合物防汚剤として幅広く使用されている。これらのボロン化合物はキシレントルエン等の有機溶剤に溶解しやすく、網染め作業前の攪拌が不要で容易に網染め作業を行うことができる、沈殿物の無いクリヤー型の漁網用防汚塗料組成物を製造するために用いられるという特徴がある。

ボロン化合物のうち、防汚効果については、ジフェニルメチルボロン系である4−イソプロピルピリジン錯体が最も良好であるが、この化合物はキシレンへの溶解度が低いため、防汚塗料組成物をクリヤー型とする場合には防汚性が十分に発揮されるだけの量を配合できない。そのため、クリヤー型の防汚塗料組成物には、キシレン等の有機溶剤への溶解度が高い、トリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロン及びトリフェニル(n−オクタデシル)アミンボロンが最も幅広く使用されてきた。

さらに、上記の2種のトリフェニルボロン化合物だけでは高汚損海域における防汚性が不十分であるため他の防汚剤が併用されることも多く、そのための防汚剤としてテトラエチルチウラムジスルフィドが広く使用されてきた。テトラエチルチウラムジスルフィドも有機溶剤への溶解度が高く、アルキルチウラムジスルフィドの中では安全性が高く、水中生物への付着防止効果も良好であり、さらにボロン化合物と併用することで相乗効果により防汚効果が高まるという性質を有する。

このように、トリフェニルボロン化合物とテトラエチルチウラムジスルフィドを併用したクリヤー型の漁網用防汚塗料組成物が広く使用されている。しかしながら、詳細は後述するが、しばらく貯蔵した後にこのような防汚塗料組成物を使用すると、得られる防汚塗膜の防汚活性が低下する傾向にあり、本来の防汚性能が充分に発揮されないという問題を抱えていた。

これまで、トリフェニルボロン等の防汚剤を含有する防汚塗料組成物としては、たとえば以下のようなものが提案されている。
特開平08−295608号公報(特許文献1)には、トリフェニルボロンアルキルアミン錯化合物を含有し、さらにテトラアルキルチウラムジスルフィドを含有していてもよい有機溶剤溶解型の漁網防汚剤が開示されている。

特開平11−199414号公報(特許文献2)には、トリフェニルボロンロジンアミン塩又はトリフェニルボロンアルキルアミン塩、所定のポリエーテルシリコーン樹脂および有機溶剤を含有し、さらにテトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等の有機防汚剤を含有することもある漁網防汚剤が開示されている。

特開平11−322763号公報(特許文献3)には、トリフェニルボロン・アルコキシ基含有アミン錯体化合物トリフェニルボラン・3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン錯体等)を含有する海中防汚剤が開示されており、これにテトラアルキルチウラムジスルフィドをさらに配合すると防汚性が飛躍的に高まることも記載されている。また、この組成物に適宜併用することができる防汚成分としてイソチアゾロン系防汚剤等が例示されている。

特開平10−182322号公報(特許文献4)には、トリフェニルボラン又はその水酸化アルカリ金属付加物と高級脂肪族アミンとをあらかじめ反応させ、その反応物を防汚塗料に配合して防汚性の向上を図ることが記載されている。また、この組成物に適宜併用することができる防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。

特開平10−182323号公報(特許文献5)には、トリフェニルボラン又はその水酸化アルカリ金属付加物と、特定の高級脂肪族二又第三アミン或いはそれらの塩とを防汚有効成分として含有する海生付着生物防汚剤(漁網防汚剤用、防汚塗料用)が開示されており、この防汚剤はいわゆる相乗的な防汚効果を発揮し、かつその防汚効果を持続させることができると記載されている。また、この組成物に適宜併用することができる防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。

しかしながら、これら特許文献1〜5に記載のいずれの発明においても、ボロン化合物(トリフェニルボロン等)とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した場合に、貯蔵中にボロン化合物の分解が進んで防汚活性が低下し本来の防汚性能が充分に発揮されなくなるということは認識されておらず、この問題を解決するための手段も何ら具体的に提示していない。

また、特開平10−077202号公報(特許文献6)には、ピリジン−トリフェニルボランと、アミノ基を有する高級脂肪族モノもしくはポリアミンとからなる防汚有効成分が有機溶媒に溶解されてなる海生付着生物防汚組成物(漁網防汚剤用、防汚塗料用)が開示されている。そして、この防汚組成物は安定性が良く析出物(トリフェニルボロンの沈殿物)を生じないことや、ピリジン−トリフェニルボランの有機溶媒に対する溶解度が向上するため、漁網用防汚剤として使用した場合に染付け槽内で網地に均一に染付けることができることが記載されている。なお、この組成物に適宜併用することができる公知の防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。また、上記アミノ基を有する高級脂肪族モノもしくはポリアミン(ジアミントリアミン等)は、式R1−[N(R2)(CH2)a]b−NH2[式中、R1はβ−ヒドロキシ基置換されていてもよい炭素数8〜28の
飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基アルコキシ基を有していてもよい)、R2は水素原子
または−(CH2)a=1-6NH2、aは1〜6の整数、bは0〜4の整数。]で表される化
合物である。

特開平10−167914号公報(特許文献7)には、ピリジン−トリフェニルボランと、高級脂肪族第二又は第三アミン或いはそれらの塩を防汚有効成分として含有させた海生付着生物防汚組成物が開示されている。そして、この防汚組成物を漁網、船底等に塗布して使用すると、いわゆる相乗的な防汚効果が発揮され、その防汚効果を持続させることができると記載されている。なお、この組成物に適宜併用することができる公知の防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。また、上記高級脂肪族第二又は第三アミンは、式N(R1)(R2)(R3)[式中、R1、R2、R3は、1つの水酸基またはアルコ
シ基で置換されていてもよい炭素数1〜28の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、但しR1〜R3の1つは水素原子でもよい。]で表される化合物であり、具体的には、ジ−n−椰子アルキルアミン、ジメチル牛脂アルキルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジメチルヘキサデシルアミンなどが用いられている。

しかしながら、これらの発明は、キシレン、トルエン等の汎用的な有機溶剤に溶解しないピリジン−トリフェニルボランをこれらの溶剤に溶解させるためにアミン化合物を併用したり(特許文献6)、ピリジン−トリフェニルボランによる防汚性をさらに相乗的に向上させるためにアミン化合物を併用したりするものであって、前述のようなボロン化合物(トリフェニルボロン等)とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した場合の問題およびこれを解決するための手段については何ら具体的に開示していない。

さらに、特開2004−244395号公報(特許文献8)には、(4−イソプロピル
ピリジニオ)メチルジフェニルボロンIPMB)及び炭素数8〜18の第一級アルキル
アミンを含有する組成物(水中防汚組成物)が開示されている。IPBMは通常、溶剤に溶解した状態での、また塗料等の混合系での安定性が低いが、上記の組成物中では安定性に優れ、長期間貯蔵しても効果が持続し、防汚塗料として使用したときに長期に亘り生物の付着を防止できることが記載されている。なお、この組成物に適宜併用することができる公知の防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。

また、上記第一級アルキルアミンとしては、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミンなどが例示されており、これらのアミンはIPMB1モルに対して通常0.5〜2モルの割合で添加され、この割合が0.5モル未満では長期保存後の防汚効果が低下し、2モルを超えても安定性、防汚性のそれ以上の向上は期待できないことが記載されている。

しかしながら特許文献8に記載の発明は、特に漁網用防汚剤としての用途を考慮して網染め前の攪拌を不要とするために、ジフェニルボロン化合物の有機溶剤への溶解性を高めることを目的とし、アミン化合物を添加することにより長期間にわたり沈殿のない性状が安定した防汚組成物としたものであって、やはり、前述のようなトリフェニルボロン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した場合の問題およびこれを解決するための手段について何ら具体的に開示していない。

特開2000−143417号公報(特許文献9)には、トリフェニルボロン骨格を持つ化合物を含有する水中防汚塗料(漁網防汚剤、船底防汚塗料など)に、−CONH−構造を分子内に持つ化合物および3個以上の窒素原子を持つ複素環を分子内に持つ化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(例えば、トリルトリアゾール、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール)が配合されたものが開示されている。そして、このような水中防汚塗料においては、さらに亜酸化銅やロダン銅が配合され、トリフェニルボロン化合物がこれらと接触しても、上記所定の化合物の作用によりトリフェニルボロン骨格が殆ど分解せず、長期保存後も水中防汚塗料は優れた防汚効果を発揮できることが記載されている。なお、この組成物に適宜併用することができる公知の防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。

しかしながら、特許文献9に記載の発明は、銅化合物を併用した塗料組成物におけるトリフェニルボロン化合物の安定化を図ることを目的としたものであり、やはり、前述のようなトリフェニルボロン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した場合の問題およびこれを解決するための手段について何ら具体的に開示していない。

要するに、上記いずれの特許文献に記載された発明も、トリフェニルボロン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した防汚塗料組成物において、保存中にトリフェニルボロン化合物が分解し防汚性能が損なわれる問題を解決することは目的とされておらず、イソチアゾール化合物をその防汚塗料組成物に添加することにより、漁網を網染めする際に支障をきたす沈澱を生じることなく上記の問題を解決することができ、長期防汚性に優れた防汚塗膜を形成できるようになるという特異な技術的思想は開示されていない。
特開平08−295608号公報
特開平11−199414号公報
特開平11−322763号公報
特開平10−182322号公報
特開平10−182323号公報
特開平10−077202号公報
特開平10−167914号公報
特開2004−244395号公報
特開2000−143417号公報

概要

トリフェニルボロン化合物とテトラエチルチウラムジスルフィドとを含有する防汚塗料組成物であって、沈殿物を生じない手段によりトリフェニルボロン化合物の分解が抑制され、長期保存時にも防汚活性が維持される漁網用クリアー型防汚塗料組成物。(A)塗膜形成性樹脂と、(B)防汚剤としての(b1)トリフェニルボロン・アミン錯体(たとえばトリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロンおよび/またはトリフェニル(n−オクタデシル)アミンボロン)と(b2)テトラエチルチウラムジスルフィドとに加えて、上記トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)の分解抑制剤としての(C)イソチアゾール化合物(たとえば4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン)を含有することを特徴とする漁網用クリアー型防汚塗料組成物。 なし

目的

さらに本発明者らは、上記トリフェニルボロン化合物の分解を抑制する複素環式アミン類は沈殿を発生するという問題に気付いた。
このような状況の下、本発明は、トリフェニルボロン化合物とテトラエチルチウラムジスルフィドとを含有する防汚塗料組成物であって、沈殿物を生じない手段によりトリフェニルボロン化合物の分解が抑制され、長期保存時の防汚活性の安定性が改善された、漁網用に好適なクリアー型防汚塗料組成物を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

(A)塗膜形成性樹脂と、(B)防汚剤としての(b1)トリフェニルボロンアミン錯体および(b2)テトラエチルチウラムジスルフィドに加えて、上記トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)の分解抑制剤としての(C)イソチアゾール化合物を含有することを特徴とする漁網クリヤー型防塗料組成物

請求項2

上記トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)1モルに対してイソチアゾール化合物(C)を0.01〜10モルの割合で含有する、請求項1に記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物。

請求項3

上記トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)がトリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロンおよび/またはトリフェニル(n−オクタデシル)アミンボロンである、請求項1または2に記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物。

請求項4

上記イソチアゾール化合物(C)が4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンである、請求項1〜3のいずれかに記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物。

請求項5

上記成分(A)、(b1)、(b2)および(C)に加えて、さらに、(b3)トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)およびテトラエチルチウラムジスルフィド(b2)以外の有機防汚剤、(D)オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン、および(E)ポリブテン類、パラフィン類ワセリン類、またはジアルキルスルフィド化合物のいずれか1種以上の可塑性樹脂、からなる群より選ばれる1種以上の成分を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物。

請求項6

上記有機防汚剤(b3)として、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノトリアジンクロロメチル−n−オクチルジスルフィド、N,N'−ジメチル−N'−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N'−ジメチル−N'−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2,3−ジクロロ−N−(2',6'−ジエチルフェニル)マレイミド、および2,3−ジクロロ−N−(2'−エチル−6'−メチルフェニル)マレイミドからなる群より選ばれた少なくとも1種を含有する、請求項5に記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物。

請求項7

上記オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン(D)として、下記式[Ia]で表され、親水性親油性バランスHLB:オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン中のオキシエチレンの重量%を5で割った数値)が2〜12であるオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサンを、塗膜形成性樹脂(A)(固形分換算値)100重量部に対して0.5〜200重量部の割合で含有する、請求項5に記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物。(式[Ia]中、X1、X2、X3はそれぞれ独立にポリエーテル基:-R-A-(R3O)n-R4[Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Aは単結合または酸素原子、R3は炭素数1〜5のアルキレン基、R4は炭素数1〜5のアルキル基または水素を示し、nは繰返し単位数を示す。]または炭素数1〜5のアルキル基を示し、これらX1、X2、X3のうちの少なくとも1個は当該ポリエーテル基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基を示し、rおよびmはそれぞれ繰返し単位総数を示し、繰返し単位[−Si(R2)2O−]および[−Si(R2)(X1)O−]の結合順序は任意である。)

請求項8

上記成分(E)として、ポリブテン類、パラフィン類、ワセリン類、または式(VI)で表されるジアルキルスルフィド化合物のいずれか1種以上の可塑性樹脂を、塗膜形成性樹脂(A)(固形分換算値)100重量部に対して5〜100重量部の割合で含有する、請求項5に記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物。R3d−(S)n−R3e・・・・・・(VI)(式(VI)中、複数のR3d、R3eは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20の直鎖または分枝状のアルキル基を表し、nは1から20の整数を示す。)

請求項9

溶剤成分としてアルコール系溶剤および/またはエステル系溶剤を1重量%以上含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物。

請求項10

請求項1〜9のいずれかに記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物中に漁網を浸漬し、当該防汚塗料組成物を漁網内部に含浸させ、そこに付着させる、漁網の防汚処理方法

請求項11

請求項1〜9のいずれかに記載の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物を使用した防汚処理が施された漁網。

技術分野

0001

本発明は、トリフェニルボロン化合物トリフェニルボロンアミン錯体)およびテトラエチルチウラムジスルフィドを含有し、漁網用として好適なクリヤー型防塗料組成物に関する。より詳しくは、本発明は、安定性が改良された(貯蔵時におけるトリフェニルボロン化合物の分解が抑制された)上記成分を含有する漁網用クリヤー型防汚塗料組成物に関する。

背景技術

0002

従来、漁網用防汚塗料組成物にはトリフェニルボロンやジフェニルメチルボロン等のボロン化合物防汚剤として幅広く使用されている。これらのボロン化合物はキシレントルエン等の有機溶剤に溶解しやすく、網染め作業前の攪拌が不要で容易に網染め作業を行うことができる、沈殿物の無いクリヤー型の漁網用防汚塗料組成物を製造するために用いられるという特徴がある。

0003

ボロン化合物のうち、防汚効果については、ジフェニルメチルボロン系である4−イソプロピルピリジン錯体が最も良好であるが、この化合物はキシレンへの溶解度が低いため、防汚塗料組成物をクリヤー型とする場合には防汚性が十分に発揮されるだけの量を配合できない。そのため、クリヤー型の防汚塗料組成物には、キシレン等の有機溶剤への溶解度が高い、トリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロン及びトリフェニル(n−オクタデシル)アミンボロンが最も幅広く使用されてきた。

0004

さらに、上記の2種のトリフェニルボロン化合物だけでは高汚損海域における防汚性が不十分であるため他の防汚剤が併用されることも多く、そのための防汚剤としてテトラエチルチウラムジスルフィドが広く使用されてきた。テトラエチルチウラムジスルフィドも有機溶剤への溶解度が高く、アルキルチウラムジスルフィドの中では安全性が高く、水中生物への付着防止効果も良好であり、さらにボロン化合物と併用することで相乗効果により防汚効果が高まるという性質を有する。

0005

このように、トリフェニルボロン化合物とテトラエチルチウラムジスルフィドを併用したクリヤー型の漁網用防汚塗料組成物が広く使用されている。しかしながら、詳細は後述するが、しばらく貯蔵した後にこのような防汚塗料組成物を使用すると、得られる防汚塗膜の防汚活性が低下する傾向にあり、本来の防汚性能が充分に発揮されないという問題を抱えていた。

0006

これまで、トリフェニルボロン等の防汚剤を含有する防汚塗料組成物としては、たとえば以下のようなものが提案されている。
特開平08−295608号公報(特許文献1)には、トリフェニルボロンアルキルアミン錯化合物を含有し、さらにテトラアルキルチウラムジスルフィドを含有していてもよい有機溶剤溶解型の漁網防汚剤が開示されている。

0007

特開平11−199414号公報(特許文献2)には、トリフェニルボロンロジンアミン塩又はトリフェニルボロンアルキルアミン塩、所定のポリエーテルシリコーン樹脂および有機溶剤を含有し、さらにテトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等の有機防汚剤を含有することもある漁網防汚剤が開示されている。

0008

特開平11−322763号公報(特許文献3)には、トリフェニルボロン・アルコキシ基含有アミン錯体化合物トリフェニルボラン・3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン錯体等)を含有する海中防汚剤が開示されており、これにテトラアルキルチウラムジスルフィドをさらに配合すると防汚性が飛躍的に高まることも記載されている。また、この組成物に適宜併用することができる防汚成分としてイソチアゾロン系防汚剤等が例示されている。

0009

特開平10−182322号公報(特許文献4)には、トリフェニルボラン又はその水酸化アルカリ金属付加物と高級脂肪族アミンとをあらかじめ反応させ、その反応物を防汚塗料に配合して防汚性の向上を図ることが記載されている。また、この組成物に適宜併用することができる防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。

0010

特開平10−182323号公報(特許文献5)には、トリフェニルボラン又はその水酸化アルカリ金属付加物と、特定の高級脂肪族二又第三アミン或いはそれらの塩とを防汚有効成分として含有する海生付着生物防汚剤(漁網防汚剤用、防汚塗料用)が開示されており、この防汚剤はいわゆる相乗的な防汚効果を発揮し、かつその防汚効果を持続させることができると記載されている。また、この組成物に適宜併用することができる防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。

0011

しかしながら、これら特許文献1〜5に記載のいずれの発明においても、ボロン化合物(トリフェニルボロン等)とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した場合に、貯蔵中にボロン化合物の分解が進んで防汚活性が低下し本来の防汚性能が充分に発揮されなくなるということは認識されておらず、この問題を解決するための手段も何ら具体的に提示していない。

0012

また、特開平10−077202号公報(特許文献6)には、ピリジン−トリフェニルボランと、アミノ基を有する高級脂肪族モノもしくはポリアミンとからなる防汚有効成分が有機溶媒に溶解されてなる海生付着生物防汚組成物(漁網防汚剤用、防汚塗料用)が開示されている。そして、この防汚組成物は安定性が良く析出物(トリフェニルボロンの沈殿物)を生じないことや、ピリジン−トリフェニルボランの有機溶媒に対する溶解度が向上するため、漁網用防汚剤として使用した場合に染付け槽内で網地に均一に染付けることができることが記載されている。なお、この組成物に適宜併用することができる公知の防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。また、上記アミノ基を有する高級脂肪族モノもしくはポリアミン(ジアミントリアミン等)は、式R1−[N(R2)(CH2)a]b−NH2[式中、R1はβ−ヒドロキシ基置換されていてもよい炭素数8〜28の
飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基アルコキシ基を有していてもよい)、R2は水素原子
または−(CH2)a=1-6NH2、aは1〜6の整数、bは0〜4の整数。]で表される化
合物である。

0013

特開平10−167914号公報(特許文献7)には、ピリジン−トリフェニルボランと、高級脂肪族第二又は第三アミン或いはそれらの塩を防汚有効成分として含有させた海生付着生物防汚組成物が開示されている。そして、この防汚組成物を漁網、船底等に塗布して使用すると、いわゆる相乗的な防汚効果が発揮され、その防汚効果を持続させることができると記載されている。なお、この組成物に適宜併用することができる公知の防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。また、上記高級脂肪族第二又は第三アミンは、式N(R1)(R2)(R3)[式中、R1、R2、R3は、1つの水酸基またはアルコ
シ基で置換されていてもよい炭素数1〜28の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基、但しR1〜R3の1つは水素原子でもよい。]で表される化合物であり、具体的には、ジ−n−椰子アルキルアミン、ジメチル牛脂アルキルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジメチルヘキサデシルアミンなどが用いられている。

0014

しかしながら、これらの発明は、キシレン、トルエン等の汎用的な有機溶剤に溶解しないピリジン−トリフェニルボランをこれらの溶剤に溶解させるためにアミン化合物を併用したり(特許文献6)、ピリジン−トリフェニルボランによる防汚性をさらに相乗的に向上させるためにアミン化合物を併用したりするものであって、前述のようなボロン化合物(トリフェニルボロン等)とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した場合の問題およびこれを解決するための手段については何ら具体的に開示していない。

0015

さらに、特開2004−244395号公報(特許文献8)には、(4−イソプロピル
ピリジニオ)メチルジフェニルボロンIPMB)及び炭素数8〜18の第一級アルキル
アミンを含有する組成物(水中防汚組成物)が開示されている。IPBMは通常、溶剤に溶解した状態での、また塗料等の混合系での安定性が低いが、上記の組成物中では安定性に優れ、長期間貯蔵しても効果が持続し、防汚塗料として使用したときに長期に亘り生物の付着を防止できることが記載されている。なお、この組成物に適宜併用することができる公知の防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。

0016

また、上記第一級アルキルアミンとしては、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミンなどが例示されており、これらのアミンはIPMB1モルに対して通常0.5〜2モルの割合で添加され、この割合が0.5モル未満では長期保存後の防汚効果が低下し、2モルを超えても安定性、防汚性のそれ以上の向上は期待できないことが記載されている。

0017

しかしながら特許文献8に記載の発明は、特に漁網用防汚剤としての用途を考慮して網染め前の攪拌を不要とするために、ジフェニルボロン化合物の有機溶剤への溶解性を高めることを目的とし、アミン化合物を添加することにより長期間にわたり沈殿のない性状が安定した防汚組成物としたものであって、やはり、前述のようなトリフェニルボロン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した場合の問題およびこれを解決するための手段について何ら具体的に開示していない。

0018

特開2000−143417号公報(特許文献9)には、トリフェニルボロン骨格を持つ化合物を含有する水中防汚塗料(漁網防汚剤、船底防汚塗料など)に、−CONH−構造を分子内に持つ化合物および3個以上の窒素原子を持つ複素環を分子内に持つ化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(例えば、トリルトリアゾール、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール)が配合されたものが開示されている。そして、このような水中防汚塗料においては、さらに亜酸化銅やロダン銅が配合され、トリフェニルボロン化合物がこれらと接触しても、上記所定の化合物の作用によりトリフェニルボロン骨格が殆ど分解せず、長期保存後も水中防汚塗料は優れた防汚効果を発揮できることが記載されている。なお、この組成物に適宜併用することができる公知の防汚成分として、テトラエチルチウラムジスルフィド、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が例示されている。

0019

しかしながら、特許文献9に記載の発明は、銅化合物を併用した塗料組成物におけるトリフェニルボロン化合物の安定化を図ることを目的としたものであり、やはり、前述のようなトリフェニルボロン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した場合の問題およびこれを解決するための手段について何ら具体的に開示していない。

0020

要するに、上記いずれの特許文献に記載された発明も、トリフェニルボロン化合物とテトラアルキルチウラムジスルフィドを併用した防汚塗料組成物において、保存中にトリフェニルボロン化合物が分解し防汚性能が損なわれる問題を解決することは目的とされておらず、イソチアゾール化合物をその防汚塗料組成物に添加することにより、漁網を網染めする際に支障をきたす沈澱を生じることなく上記の問題を解決することができ、長期防汚性に優れた防汚塗膜を形成できるようになるという特異な技術的思想は開示されていない。
特開平08−295608号公報
特開平11−199414号公報
特開平11−322763号公報
特開平10−182322号公報
特開平10−182323号公報
特開平10−077202号公報
特開平10−167914号公報
特開2004−244395号公報
特開2000−143417号公報

発明が解決しようとする課題

0021

本発明者らは、クリヤー型防汚塗料組成物の防汚剤としてトリフェニルボロン化合物とテトラエチルチウラムジスルフィドを併用した場合、この防汚塗料から形成される塗膜の防汚活性が低下して本来の防汚性能が充分に発揮されない傾向があるという、前述のような問題に気付いた。

0022

さらに本発明者らは、トリフェニルボロン化合物とテトラエチルチウラムジスルフィドを併用した防汚塗料組成物は貯蔵中にトリフェニルボロン化合物が分解するという問題に気付いた。

0023

さらに本発明者らは、上記トリフェニルボロン化合物の分解を抑制する複素環式アミン類は沈殿を発生するという問題に気付いた。
このような状況の下、本発明は、トリフェニルボロン化合物とテトラエチルチウラムジスルフィドとを含有する防汚塗料組成物であって、沈殿物を生じない手段によりトリフェニルボロン化合物の分解が抑制され、長期保存時の防汚活性の安定性が改善された、漁網用に好適なクリアー型防汚塗料組成物を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0024

本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、トリフェニルボロン・アミン錯体およびテトラエチルチウラムジスルフィドを含有する防汚塗料組成物に、さらにイソチアゾール化合物を配合することにより、トリフェニルボロン・アミン錯体の分解が抑制され、かつ沈澱を生じないためクリヤー性の要求を満たし、さらに防汚性の向上をも満足することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0025

すなわち、本発明の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物は、(A)塗膜形成性樹脂と、(B)防汚剤としての(b1)トリフェニルボロン・アミン錯体と(b2)テトラエチルチウラムジスルフィドとに加えて、上記トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)の分解抑制剤としての(C)イソチアゾール化合物を含有することを特徴とする。

0026

この防汚塗料組成物は、トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)1モルに対してイソチアゾール化合物(C)を0.01〜10モルの割合で含有することが好ましい。また、
トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)はトリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロンおよび/またはトリフェニル(n−オクタデシル)アミンボロンであることが好ましく、イソチアゾール化合物(C)は4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンであることが好ましい。

0027

なお、本発明の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物は、前記成分(A)、(b1)、(b2)および(C)に加えて、さらに、(b2)トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)およびテトラエチルチウラムジスルフィド(b2)以外の有機防汚剤、(D)オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン、および(E)ポリブテン類、パラフィン類ワセリン類、またはジアルキルスルフィド化合物のいずれか1種以上の可塑性樹脂、からなる群より選ばれる1種以上の成分を含有することも好ましい。

0028

たとえば、上記有機防汚剤(b3)として、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノトリアジンクロロメチル−n−オクチルジスルフィド、N,N'−ジメチル−N'−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N'−ジメチル−N'−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2,3−ジクロロ−N−(2',6'−ジエチルフェニル)マレイミド、および2,3−ジクロロ−N−(2'−エチル−6'−メチルフェニル)マレイミドからなる群より選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましく;
オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン(D)として、下記式[Ia]で表され、親水性親油性バランスHLB:オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン中のオキシエチレンの重量%を5で割った数値)が2〜12であるオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサンを、塗膜形成性樹脂(A)(固形分換算値)100重量部に対して0.5〜200重量部の割合で含有することが好ましく;

0029

(式[Ia]中、X1、X2、X3はそれぞれ独立にポリエーテル基:-R-A-(R3O)n-R4
[Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Aは単結合または酸素原子、R3は炭素数1〜5の
アルキレン基、R4は炭素数1〜5のアルキル基または水素を示し、nは繰返し単位数
示す。]または炭素数1〜5のアルキル基を示し、これらX1、X2、X3のうちの少なく
とも1個は当該ポリエーテル基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基を示し、rおよ
びmはそれぞれ繰返し単位総数を示し、繰返し単位[−Si(R2)2O−]および[−Si(R2)(X1)O−]の結合順序は任意である。)

0030

上記成分(E)として、ポリブテン類、パラフィン類、ワセリン類、または式[IV]で表されるジアルキルスルフィド化合物のいずれか1種以上の可塑性樹脂を、塗膜形成性樹脂(A)(固形分換算値)100重量部に対して5〜100重量部の割合で含有することが好ましい。

0031

R3d−(S)n−R3e [IV]
(式[IV]中、複数のR3d、R3eは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20の直鎖または分枝状のアルキル基を表し、nは1から20の整数を示す。)
また、本発明の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物に用いられる溶剤成分は、アルコール系溶剤および/またはエステル系溶剤を1重量%以上含有することが好ましい。

0032

このような本発明の漁網用クリヤー型防汚塗料組成物中に漁網を浸漬し、当該防汚塗料組成物を漁網内部に含浸させ、そこに付着させる漁網の防汚処理方法により、優れた防汚性能を発揮する漁網が得られる。

発明の効果

0033

本発明において、防汚塗料組成物に配合したイソチアゾール化合物はトリフェニルボロン・アミン錯体とテトラエチルチウラムジスルフィドを組み合わせた時の分解抑制剤として機能するため、トリフェニルボロン・アミン錯体が安定化し、貯蔵中の防汚活性の低下を抑制することができる。しかもこの際に、クリヤー型の漁網用防汚塗料組成物にとって不都合な沈殿等は生ぜず、漁網の網染め作業性にも優れている。特に、イソチアゾール化合物の分解抑制剤としての効果は、防汚剤として用いられる場合の一般的な配合量と比較して著しく低い配合量であっても発揮されることが特徴的である。このような本発明により、貯蔵後も広範な水棲生物に対して優れた防汚性能を永続的に発揮する塗膜を形成できる、漁網用に極めて有用なクリヤー型の防汚塗料組成物を製造できるようになる。

発明を実施するための最良の形態

0034

本発明において、防汚塗料組成物のそれぞれの成分として挙げられたものは、特に断りのない限り、いずれか1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、重量部ベースの配合量の規定において、塗膜形成性樹脂(A)など一般的に溶剤に溶解・分散した状態で存在する成分については、特に断りのない限り、その固形分(不揮発分)の重量を用いることとする。本発明の防汚塗料組成物には、以下に説明する成分以外にも、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じてさらにその他の成分を添加することもできる。

0035

−防汚塗料組成物の成分 −
(A)塗膜形成性樹脂
本発明における塗膜形成性樹脂(A)としては、公知の防汚塗料組成物、特に漁網用のクリヤー型防汚塗料組成物に配合されている塗膜形成性樹脂を用いることができる。たとえば、アクリル樹脂スチレンブタジエン系樹脂ポリエステル系樹脂エポキシ系樹脂フェノール系樹脂合成ゴムシリコーンゴムシリコーン系樹脂石油系樹脂ロジンエステル系樹脂ロジン石鹸、ロジン等が挙げられ、これらの塗膜形成性樹脂は、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でもアクリル樹脂は漁網に塗布した場合の柔軟性および防汚性の点から特に好ましい。

0036

塗膜形成樹脂(A)の本発明の防汚塗料組成物への配合量は、公知の防汚塗料組成物についてと同程度であればよく、たとえば固形分全体に対して20〜70重量%、あるいは溶剤を含めた防汚塗料組成物全体に対して5〜30重量%とすることが好ましい。

0037

(B)防汚剤
(b1)トリフェニルボロン・アミン錯体
本発明におけるトリフェニルボロン・アミン錯体(b1)としては、公知の防汚塗料組成物、特に漁網用のクリヤー型防汚塗料組成物に配合されているトリフェニルボロン・アミン錯体を用いることができる。

0038

ただし、本発明の防汚塗料組成物をクリヤー型にする観点からは、当該組成物に配合される有機溶媒に溶解せず沈澱してしまう化合物、たとえばキシレン、トルエン等に不溶のトリフェニルボロン・ピリジンなどを用いることは避けるべきである。このような条件を
満たす限り、トリフェニルボロン化合物における錯体を形成するアミンは、脂肪族アミン脂環式アミン芳香族アミンヘテロ環式アミン等のいずれでもよく、また、第一級アミン第二級アミンまたは第三級アミンのいずれでもよい。たとえば、下記式[II]で表される、以下のようなアミンが挙げられる;

0039

プロピルアミン、ブチルアミンヘキシルアミンオクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、3−(2−エチルヘキシル)プロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキ
シ)プロピルアミン、アニリントルイジン等の第一アミン
ジブチルアミンジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジオタデシルアミン、ジフェニルアミン等の第二アミン
トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリトリデシルアミン、トリテトラデシルアミン、トリヘキサデシルアミン、トリオクタデシルアミン、トリフェニルアミン等の第三アミン;
3−エトキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシ
ルオキシ)プロピルアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、3−ステアリルオキシ
プロピルアミン、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ブチルアミン、4−ラウリルオキシブチルアミン、8−エトキシオクチルアミン、8−(2−エチルヘキシルオキシ)オクチルアミン、2−エチルヘキシルオキシフェニルアミン、ラウリルオキシフェニルアミン等のアルコキシ基含有アミン。

0040

式[II]中、tは0、1、または2であり、Rは、直鎖状または分岐状の炭素数3〜30のアルキル基か、または式−R1−O−R2(R1は炭素数1〜8の直鎖状もしくは分枝
状のアルキレン基またはフェニレン基を表し、R2は炭素数1〜18の直鎖状または分枝
状のアルキル基を表す。)で表されるアルコキシ基である。

0041

なかでも、トリフェニルボロンと第1級アミンとの錯体は、比較的安定性が高いため好ましい。特に、本発明のトリフェニルボロン・アミン錯体(b1)としては、防汚性、安定性、キシレン、トルエンへの溶解性の面から、トリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロンおよびトリフェニル(n−オクタデシル)アミンボロンが好適である。

0042

トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)の本発明の防汚塗料組成物への配合量は、塗料の防汚性、塗膜物性などを考慮すると、塗膜形成性樹脂(A)(固形分)100重量部に対して5〜150重量部の割合で配合することが好ましく、20〜80重量部の割合で配合することがより好ましい。

0043

(b2)テトラエチルチウラムジスルフィド
本発明の防汚塗料組成物に配合されるテトラエチルチウラムジスルフィド(b2)は、防汚剤として公知の、下記式[III]で表される化合物である。

0044

テトラエチルチウラムジスルフィド(b2)の本発明の防汚塗料組成物への配合量は、塗料の防汚性やトリフェニルボロン・アミン錯体(b1)の分解に与える影響などを考慮すると、トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)100重量部に対して、30〜400重量部の割合で配合することが好ましく、0.5〜10モルの割合で配合することがより好ましい。

0045

(b3)その他の防汚剤
本発明の防汚塗料組成物には、公知の防汚塗料組成物、特に漁網用のクリヤー型防汚塗料組成物に配合されている、トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)およびテトラエチルチウラムジスルフィド(b2)以外の、有機溶剤に可溶な有機防汚剤(b3)をさらに配合してもよい。

0046

このような有機防汚剤(b3)としては、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノSトリアジン、クロロメチル−n−オクチルジスルフィド、N,N'−ジメチル−N'−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N'−ジメチル−N'−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2,3−ジクロロ−N−(2',6'−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2'−エチル−6'−メチルフェニル)マレイミドなどが、溶剤に可溶でかつ防汚効果に優れているため好ましい。なお、有機防汚剤(b3)の配合量は、公知の防汚塗料組成物についてと同程度であればよいが、たとえば塗膜形成性樹脂(A)100重量部に対して5〜100重量部の割合で配合することが好ましい。

0047

(C)イソチアゾール化合物
本発明の防汚塗料組成物に配合されるイソチアゾール化合物(C)は、トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)の分解を抑制し長期間安定させる作用を有するものであれば特に限定されないが、あわせて防汚作用を有する化合物であるとより望ましい。

0048

このようなイソチアゾール化合物としては、たとえば、4,5ジクロロ−2−n−オクチル−4イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−フェニル−1,2−ベンツイソチアゾール−3−オン、4−イソチアゾリン−3−オン、3−クロロイソチアゾール、2−フェニルイソチアゾール−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、2−フェニル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。

0049

中でも4,5ジクロロ−2−n−オクチル−4イソチアゾリン−3−オンは、安定剤としての効果と、防汚塗料組成物の防汚性を向上させる効果の両面から特に好ましい。この化合物は、たとえばロームアンドハース社より商品名「シーナイン211」として市販されている。

0050

イソチアゾール化合物(C)の本発明の防汚塗料組成物への配合量は、トリフェニルボ
ロン・アミン錯体(b1)の分解を抑制する効果や防汚性を考慮すると、トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)1モルに対して0.01〜10モルの割合で配合することが好ましく、0.04〜5モルの割合で配合することがより好ましい。イソチアゾール化合物(C)の分解抑制剤としての効果は、トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)1モルに対してたとえば0.5モル以下、さらには0.1モル以下といった少量であっても十分に発揮される。

0051

(D)オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン
本発明におけるオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン(D)(ポリエーテル(変性)シリコーンとも呼ばれる。)としては、公知の防汚塗料組成物、特に漁網用のクリヤー型防汚塗料組成物に配合されているものを用いることができるが、たとえば下記式[Ia]で示されるものが好適である。

0052

式[Ia]中、X1、X2、X3はそれぞれ独立にポリエーテル基:-R-A-(R3O)n-R4
[Rは炭素数1〜5のアルキレン基、Aは単結合または酸素原子、R3は炭素数1〜5の
アルキレン基、R4は炭素数1〜5のアルキル基または水素を示し、nは繰返し単位数を
示す。]または炭素数1〜5のアルキル基を表し、これらX1、X2、X3のうちの少なく
とも1個は当該ポリエーテル基である。上記nは1〜30の整数である。上記ポリエーテル基としては、防汚塗料組成物の防汚性や、ポリエーテルシリコーン(D)と塗膜形成樹脂(A)との相溶性などを考慮すると、末端メトキシ基のポリエーテル基、特に-C3H6-O-(C2H4O)n-CH3、-C2H4-O-(C3H6O)n-CH3が好ましい。

0053

また、R2は炭素数1〜3のアルキル基を表す。複数のR2は互いに同一であっても異なっていてもよいが、いずれもメチル基である(いわゆるポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンである)ことが好ましい。

0054

r、mはそれぞれ繰返し単位総数を示し、rは1〜7000の整数、mは1〜50の整数である。繰返し単位[−Si(R1)2O−]と[−Si(R1)(X1)O−]との結合順序は任意である。このようなポリエーテルシリコーンの分子量は、通常1,000〜50,000であり、好ましくは3,000〜10,000程度である。

0055

このような式[Ia]で表されるオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン(D)の親水性親油性バランス(HLB:オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン中のオキシエチレンの重量%を5で割った数値)は、2〜12が好ましく、2〜7がより好ましい。HLBが小さいと防汚剤の溶出速度が少なくなり防汚効果が低くなる傾向にあり、一方HLBが大きいと溶出速度が速くなり防汚効果を長期間持続させること難しくなる傾向にある。

0056

オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン(D)の本発明の防汚塗料組成物への配合量は、得られる塗膜の防汚性などを考慮しながら調節することができるが、塗膜形成性樹脂(A)100重量部に対して0.5〜200重量部の割合で配合することが好ましい。

0057

(E)可塑性樹脂
本発明における可塑性樹脂(E)としては、公知の防汚塗料組成物、特に漁網用のクリヤー型防汚塗料組成物に配合されている、ポリブテン樹脂、パラフィン類、ワセリン類、およびポリスルフィド樹脂を用いることができる。

0058

ポリブテン樹脂としては、防汚性の面からは、40℃における動粘度(JIS K6726に適
合したオストワルド粘度計による測定値)が5〜400C・S・tであり、また数平均分子量が280〜1000のものが好ましい。このようなポリブテン樹脂は、たとえば、日本石油化学(株)より「ポリブテンLV−7」,「ポリブテンLV−10」、「ポリブテンLV−50」、「ポリブテンLV−100」などの商品名で市販されている。

0059

パラフィン類としては、たとえば、n−パラフィン塩素化パラフィン流動パラフィン(アルキルナフテン類を主成分とする液状炭化水素)が挙げられる。
ワセリン類としては、たとえば、白色ワセリン黄色ワセリンが挙げられる。

0060

ポリスルフィド樹脂は、下記式[IV]で表されるジアルキルスルフィド化合物をいう。
R3d−(S)n−R3e [IV]
式[IV]中、複数のR3d、R3eは、それぞれ炭素数1〜20の直鎖または分枝状のアルキル基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。nは1〜20の整数である。

0061

このようなポリスルフィド樹脂としては、たとえば、ジエチルペンタスルフィド、ジ-tert-ブチルジスルフィド、ジ-tert-ブチルテトラスルフィド、ジ-tert-ペンチルテトラスフィド、ジオクチルポリスルフィド、ジ-tert-オクチルペンタスルフィド、ジ-tert-ノニルペンタスルフィド、ジ-tert-ドデシルペンタスルフィド、ジノナデシルテトラスルフィドが挙げられる。

0062

可塑性樹脂(E)の本発明の防汚塗料組成物への配合量は、得られる塗膜の防汚性などを考慮しながら調節することができるが、塗膜形成性樹脂(A)100重量部に対して0.5〜50重量部の割合で配合することが好ましい。

0063

(F)溶剤
本発明における溶剤(F)としては、公知の防汚塗料組成物、特に漁網用のクリヤー型防汚塗料組成物に配合され、防汚剤(B)などの各種成分を溶解することのできる、脂肪族炭化水素芳香族炭化水素ケトン系、エステル系アルコール系、エーテル系等の有機溶剤を用いることができる。

0064

芳香族炭化水素としては、たとえば、キシレン、トルエン、トリメチルベンゼンメチルエチルベンゼンプロピルベンゼンが挙げられる。ケトン系溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトンメチルイソブチルケトンメチルエチルイソブチルケトンが挙げられる。エステル系溶剤としては、たとえば、酢酸エチル酢酸ブチルが挙げられる。アルコール系溶剤としては、たとえば、エタノールイソプロピルアルコールn−ブタノールイソブタノールが挙げられる。これらの溶剤の中では、溶解力引火点蒸発速度、臭気の点から、キシレンが好ましい。なお、トリフェニルボロン・アミン錯体がトリフェニル(n−オクタデシル)アミンボロンの場合は、アルコール系溶剤および/またはエステル系溶剤を塗料中1重量%以上含有することがさらに好ましい。これらの溶剤(F)の配合量は、公知の防汚塗料組成物についてと同程度であればよい。

0065

−防汚塗料組成物の製造方法 −
本発明の防汚塗料組成物は、それぞれ所定の量の成分を、一般的な装置および手法を用
いて混合・撹拌することにより製造できる。

0066

−防汚塗料組成物の用途 −
本発明のクリヤー型の防汚塗料組成物は漁網の網染めへの使用に好適である。この防汚塗料組成物は全て溶剤可溶性の成分で構成されるため、均一処理性(漁網を均一に網染め処理できること)および作業性に優れ、塗布硬化後は適度な防汚剤溶出速度を有し、広範な漁網付着性物に対して優れた防汚性能を長期継続的に発揮できる。

0067

本発明の防汚塗料組成物は、漁網がポリエチレンナイロン、金属、ポリエステルなど一般的な材質のものであれば良好に含浸付着する。また、すでに防汚処理等が施され塗膜が形成された漁網の表面に対しても、本発明の防汚塗料組成物を(補修用として)塗布することができる。

0068

漁網の網染めは、常法に従って行えばよく、たとえば、防汚塗料組成物中に漁網を浸漬し、漁網の繊維内または繊維間に当該組成物を浸透含浸させた後、漁網を引き上げ乾燥させればよい。なお、敷延ないし広げて吊るした漁網の表裏面に、防汚塗料組成物を静電塗装の方法で、あるいはエアガンエアレス塗装等の方法で散布してもよい。このように網染めし乾燥した後の漁網の重量増加は、漁網1kg当たり、通常80〜200g程度である。

0069

このような本発明の防汚塗料組成物を使用した防汚処理が施され、表面に防汚塗膜が形成された漁網は、アオサフジツボアオノリセルプラ、カキ、フサコケムシヒドロゾア等の広範な水棲生物の付着を長期間継続的に防止できるなど、優れた防汚性を発揮する。

0070

以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
[防汚塗料組成物の調製]
(1)実施例A−1〜A−11
表1に掲載した配合組成(単位:重量部)に従い、塗膜形成性樹脂(A):アクリル樹脂「ACP−450」/防汚剤(b1):トリフェニル[3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン]ボロンおよびトリフェニル(n−オクタデシル)アミンボロン/防汚剤(b2):テトラエチルチウラムジスルフィド/イソチアゾール化合物(C):4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−フェニル−1,2−ベンツイソチアゾール−3−オン、2−フェニルイソチアゾール−3−オン/オキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサン(D):シリコーンオイル「KF6016」/可塑性樹脂(E):ポリブテン「LV50」およびポリスルフィド「DAF−1」/溶剤(F):酢酸エチル、n−ブタノール、キシレンなどの成分を用いて、実施例A−1〜A−11の防汚塗料組成物を調製した。

0071

なお、上記成分として使用した製品の詳細は以下の通りである;
(イ)「ACP−450」:大明新化学(株)製,アクリル樹脂のキシレン溶液(固形分50%).
(ロ)「KF6016」:信越化学工業(株)製,ポリエーテル変性シリコーンオイル
(ハ)「ポリブテンLV50」:日本石油化学工業(株)製,ポリブテン樹脂.
(ニ)「DAF−1」:大日本インキ化学工業(株)製,ポリスルフィド樹脂。

0072

また、上記イソチアゾール化合物(C)として配合した化合物の構造式を以下に示す。

0073

(2)比較例B−1〜B−10
表2に掲載した配合組成(単位:重量部)に従い、イソチアゾール化合物(C)を配合しないか、または代わりにその他のアミンを配合し、それ以外は上記実施例と同様にして、比較例B−1〜B−10の防汚塗料組成物を調製した。

0074

性能評価
実施例および比較例で調製した防汚塗料組成物のそれぞれについて、密封した容器に入れて23℃の恒温室で4ヶ月貯蔵したものと、50℃の恒温室で1ヶ月貯蔵したものとを用意し、以下に示す方法に従って3項目評価試験を行った。

0075

(1)ベンゼン発生量
トリフェニルボロン化合物の分解を検証する手段として、防汚塗料組成物中のベンゼン濃度を「ヘッドスペースGC/MS」により測定した。ジメチルホルムアミド等の溶剤で希釈した組成物溶液試料とし、40mLバイアルに0.015gを超えないようにサンプリングし、密閉した。分析条件の詳細は以下の通りである;
・ヘッドスペース(HT3 Teledyne-Tekmar製)
バルブオーブン温度160℃
トランスファーライン温度 160℃
サンプルオーブン温度 50℃
サンプル加圧圧力9PSIG
サンプル加圧時間 2min
加圧平衡化時間 0.2min
ループ充填圧5PSIG
ループ充填時間 2min
注入時間 1min
・GC(GC6890N Agilent製)
カラムDB-5MS (長さ30m内径0.25mm膜厚0.25μm
J&Wサイエンティフィック製)
オーブン温度 40℃(1min)−10℃/min−200℃
キャリヤーガスヘリウム
注入方法スプリッター(GCI5010 ジーエルサイエンス製)注入
カラム流量1.5mL/min
スプリット比2:1
・MS(JMS-K9日本電子製)
測定モード選択イオン検出
モニターイオン52/77/78/79
イオン化電流200uA
イオン化エネルギー70eV
検出器電圧-1000Volt
イオン源温度 200℃
インターフェイス温度 200℃。

0076

(2)クリヤー性
防汚塗料組成物の防汚剤の沈殿の有無を検査し、以下の基準で評価した;
良好:沈殿が生じていない
不良:沈殿が生じている。

0077

(3)静置防汚性
防汚塗料組成物をポリエチレン製無結節網(7節、400デニール/50本)に浸漬塗布し、風乾した。塗膜が形成された網を、平成19年5月11日から10月12日までの5ヶ月間、高知県宿毛市海面下約2mに浸漬保持し、海中生物付着状況調査した。静置防汚性は、以下の10点基準で評価した;
10:海中生物の付着が全く無し
5:海中生物の付着がややあり、付着物の重量または面積が0点の5割
0:海中生物が網全面に付着し、ブランク(無塗布)と同程度に非常に多い
9〜6および4〜1は、それぞれ10と5、5と0を基準としたときの中間段階(間隔は均等)を示す。

0078

評価試験の結果は、表1(実施例)および表2(比較例)に示したとおりである。実施例(本発明)の防汚塗料組成物は総じて、23℃4ヶ月貯蔵後および50℃1ヶ月貯蔵後のいずれについても、イソチアゾール化合物を配合していない比較例(B−1〜3)等と比較して、ベンゼン発生量が抑制されており、トリフェニルボロン化合物が安定化されることが判る。たとえば、A−1,A−7,A−11およびB−1の対比により、トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)1モルに対してイソチアゾール化合物(C)が0.04モル程度配合されていれば、0.5モルまたは1モル配合された場合と同程度に、トリフェニルボロン・アミン錯体(b1)の分解は十分に抑制されることが示されている。しかも、これらの防汚塗料組成物はクリヤー性が保持されており、特に50℃の高温下で1ヶ月貯蔵した場合であっても、優れた静置防汚性能を発揮することが判る。これに対して比較例の防汚塗料組成物は、トリフェニルボロン化合物が不安定でベンゼンの発生量が抑制されていなかったり、トリフェニルボロン化合物は安定化されていてもクリヤー性が損なわれていたりする。そして、このような防汚塗料組成物の静置防汚性は総じて悪くなっており、特に50℃の高温下で1ヶ月貯蔵した場合は著しく静置防汚性が劣化してしまうことが判る。

0079

0080

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ