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技術 非調質鋼材の製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 長谷和邦上井清史日野善道木村秀途
出願日 2008年3月21日 (13年7ヶ月経過) 出願番号 2008-073989
公開日 2009年10月8日 (12年0ヶ月経過) 公開番号 2009-228051
状態 特許登録済
技術分野 鋼の加工熱処理
主要キーワード 省コスト化 圧延棒鋼 機械構造部品 非調質鋼材 機械構造用 析出強化量 強度調整 製鋼プロセス
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年10月8日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

フェライトパーライト非調質鋼における、特に低い降伏比の問題を有利に解決する方途について提供する。

解決手段

C:0.30〜0.55質量%、Si:0.01〜1.2質量%、Mn:0.2〜2.0質量%、P:0.040質量%以下、S:0.040質量%以下、Al:0.005〜0.06質量%およびV:0.05〜0.30質量%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、1050℃以上に加熱し、粗圧延した後、フェライト−パーライト−オーステナイト3相域において、少なくとも減面率が15%以上の仕上げ圧延を行う。

概要

背景

従来、建築機械産業機械および船舶の分野において、高強度と高靭性を要求される部品は、S45Cに代表される機械構造用炭素鋼や、これにCr、Moを含有した機械構造用低合金鋼焼入れ焼戻し処理材が用いられてきたが、省コスト化CO2排出量削減の観点から焼入れ焼戻し処理を省略可能な非調質鋼の開発が積極的に進められてきた。

代表的な非調質鋼としては、フェライトパーライト型非調質鋼がある(例えば、特許文献1参照)。これは、圧延後の冷却過程において、フェライト−パーライト変態とほぼ同時に析出する、V炭化物によりフェライトを強化して焼入れ焼戻し材並みの強度を得ているものであるが、焼入れ焼戻し材に比べて降伏強さ並びに靭性が低いという問題があった。

このような問題を克服するために、例えば特許文献2、特許第3214731号では、オーステナイト域での圧延温度を制御することにより、低温靭性に優れた非調質鋼の製造を可能にしている。しかし、降伏強さの向上については全く考慮されておらず、その点の課題は残されたままである。
一般的に、機械構造部品は降伏強さを基準に設計されているため、非調質鋼も焼入れ焼戻し材並みの降伏強さを有することが求められている。
特許3528923号公報
特許3214731号公報

概要

フェライト−パーライト型非調質鋼における、特に低い降伏比の問題を有利に解決する方途について提供する。C:0.30〜0.55質量%、Si:0.01〜1.2質量%、Mn:0.2〜2.0質量%、P:0.040質量%以下、S:0.040質量%以下、Al:0.005〜0.06質量%およびV:0.05〜0.30質量%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、1050℃以上に加熱し、粗圧延した後、フェライト−パーライト−オーステナイト3相域において、少なくとも減面率が15%以上の仕上げ圧延を行う。

目的

そこで、本発明は、上記したフェライト−パーライト型非調質鋼の課題である、特に低い降伏比の問題を有利に解決する方途について提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

C:0.30〜0.55質量%、Si:0.01〜1.2質量%、Mn:0.2〜2.0質量%、P:0.040質量%以下、S:0.040質量%以下、Al:0.005〜0.06質量%およびV:0.05〜0.30質量%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、1050℃以上に加熱し、粗圧延した後、フェライトパーライトオーステナイト3相域において、少なくとも減面率が15%以上の仕上げ圧延を行うことを特徴とする非調質鋼材の製造方法。

請求項2

前記鋼素材は、さらにCr:1.0質量%以下、Cu:1.0質量%以下、Ni:1.0質量%以下およびMo:1.0質量%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の非調質鋼材の製造方法。

請求項3

前記鋼素材は、さらにTi:0.15質量%以下およびNb:0.15質量%以下の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の非調質鋼材の製造方法。

請求項4

前記鋼素材は、さらにPb:0.01〜0.40質量%、Bi:0.01〜0.40質量%およびCa:0.0005〜0.0100質量%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1、2または3に記載の非調質鋼材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、非調質鋼材の製造方法に関し、詳しくは圧延後に焼入れ焼戻し等の熱処理を行うことなしに、高い強度及び降伏比と優れた靭性を得ることができる、圧延非調質鋼材の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、建築機械産業機械および船舶の分野において、高強度と高靭性を要求される部品は、S45Cに代表される機械構造用炭素鋼や、これにCr、Moを含有した機械構造用低合金鋼焼入れ焼戻し処理材が用いられてきたが、省コスト化CO2排出量削減の観点から焼入れ焼戻し処理を省略可能な非調質鋼の開発が積極的に進められてきた。

0003

代表的な非調質鋼としては、フェライトパーライト型非調質鋼がある(例えば、特許文献1参照)。これは、圧延後の冷却過程において、フェライト−パーライト変態とほぼ同時に析出する、V炭化物によりフェライトを強化して焼入れ焼戻し材並みの強度を得ているものであるが、焼入れ焼戻し材に比べて降伏強さ並びに靭性が低いという問題があった。

0004

このような問題を克服するために、例えば特許文献2、特許第3214731号では、オーステナイト域での圧延温度を制御することにより、低温靭性に優れた非調質鋼の製造を可能にしている。しかし、降伏強さの向上については全く考慮されておらず、その点の課題は残されたままである。
一般的に、機械構造部品は降伏強さを基準に設計されているため、非調質鋼も焼入れ焼戻し材並みの降伏強さを有することが求められている。
特許3528923号公報
特許3214731号公報

発明が解決しようとする課題

0005

すなわち、従来用いられている焼入れ焼戻し鋼は、組織焼戻しマルテンサイトであるため、引張強さに対する降伏強さの比率(降伏比)が高いのに対して、フェライト−パーライト型非調質鋼は、軟質なフェライトと硬質なパーライトとの混合組織になっており、降伏比が低くなる。

0006

そこで、本発明は、上記したフェライト−パーライト型非調質鋼の課題である、特に低い降伏比の問題を有利に解決する方途について提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

発明者らは、フェライト−パーライト型非調質鋼に関して、降伏比を高めるための手段について鋭意検討したところ、以下の知見を得るに到った。
(i)降伏比を向上させるためには、パーライトと比較して軟質なフェライトの強度を向上させる必要がある。ここで、V添加量を増大しフェライト部の析出強化量を増大させる方法は有効であるが、フェライトと同時にパーライトラメラ間にもV炭化物が析出するため、引張強さ自体も高くなり、降伏比の大幅な上昇は望めず、また被削性が低下する問題が生じる。

0008

(ii)また、固溶強化元素の添加もフェライト相の強化には有効であるが、パーライトラメラ間のフェライトも強化されるために、析出強化の場合と同様に、大幅な降伏比の上昇は望めない。

0009

(iii)次に、鋼成分ではなく圧延条件の影響について検討した。表1に示す組成の鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造機によってブルーム(断面寸法300×400mm)を製造した。このブルームを1120℃に加熱した後、1000〜1100℃の温度範囲粗圧延を実施し、種々の圧延温度および減面率仕上げ圧延を行って、直径95mmの丸棒仕上げた。この棒鋼の1/4直径部よりJIS4号引張試験片採取し、引張特性を評価した。降伏強さは0.2%耐力で評価し、降伏強さと引張強さの比を降伏比として評価した。

0010

ここで、一般的な圧延条件である、950℃で仕上げ圧延を行った材料の降伏比と比較して、10%以上降伏比が上昇した条件を○、5%以上10%未満で上昇した条件を△、降伏比の上昇が5%未満であった条件を×とした、評価結果を、図1に示す。図1から明らかなように、フェライト−パーライト−オーステナイト3相域で減面率15%以上の仕上げ圧延を行うことで降伏比が10%以上上昇した。したがって、降伏比を上昇させるためには、フェライト−パーライト−オーステナイト3相域で圧延することが望ましい。フェライト−パーライト2相域の圧延では、降伏比は上昇したものの圧延荷重が大幅に増加するため工業的には好ましくなく、したがって、圧延条件は3相域で減面率15%以上、好ましくは20%以上とするのが適当であることが判明した。この圧延条件を経た鋼材組織観察を詳細に行った結果、この領域で圧延されたフェライト内部には高密度転位が観察されたため、軟質なフェライトに歪みが集中し加工硬化によりフェライトが高強度化し、結果として70%以上の高い降伏比が得られたものと考えられる。

0011

0012

本発明は、上記した知見に由来するものであり、その要旨は次の通りである。
(1)C:0.30〜0.55質量%、
Si:0.01〜1.2質量%、
Mn:0.2〜2.0質量%、
P:0.040質量%以下、
S:0.040質量%以下、
Al:0.005〜0.06質量%および
V:0.05〜0.30質量%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼素材を、1050℃以上に加熱し、粗圧延した後、フェライト−パーライト−オーステナイト3相域において、少なくとも減面率が15%以上の仕上げ圧延を行うことを特徴とする非調質鋼材の製造方法。

0013

(2)前記鋼素材は、さらに
Cr:1.0質量%以下、
Cu:1.0質量%以下、
Ni:1.0質量%以下および
Mo:1.0質量%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の非調質鋼材の製造方法。

0014

(3)前記鋼素材は、さらに
Ti:0.15質量%以下および
Nb:0.15質量%以下
の1種または2種を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の非調質鋼材の製造方法。

0015

(4)前記鋼素材は、さらに
Pb:0.01〜0.40質量%、
Bi:0.01〜0.40質量%および
Ca:0.0005〜0.0100質量%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)、(2)または(3)に記載の非調質鋼材の製造方法。

発明の効果

0016

本発明の製造方法を用いれば、高い強度及び靭性をそなえ、さらに高い降伏比を有する非調質鋼材を、製造することが可能であり、本発明による産業上の効果は極めて顕著である。

発明を実施するための最良の形態

0017

以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明における鋼素材について、その成分組成を詳しく説明する。
[成分組成]
C:0.30〜0.55質量%
Cは、強度を得るために必要な元素であるが、0.30質量%未満では必要な強度が得られず、一方多量に含有させると靭性が低下するため、上限を0.55質量%とした。好ましくは、0.35〜0.50質量%である。

0018

Si:0.01〜1.2質量%
Siは、製鋼プロセスのおいて脱酸剤および強度を調整するのに有効な元素である。これらの効果を得るには0.01質量%以上が必要であり、一方1.2質量%を超えると靭性が損なわれるため、0.01〜1.2質量%の範囲とした。好ましくは、0.10〜1.0質量%である。

0019

Mn:0.2〜2.0質量%
Mnは、強度を調整するために重要な元素であるが、その効果を得るためには0.2質量%以上必要であり、一方2.0質量%を超えると靭性が損なわれるため、0.2〜2.0質量%の範囲とした。好ましくは、0.5〜1.9質量%である。

0020

P:0.040質量%以下
Pは、靭性を劣化させる元素であり、0.040質量%以下とすることが望ましい。

0021

S:0.040質量%以下
Sは、Pとともに靭性を劣化させる元素であり、0.040質量%以下とすることが望ましい。

0022

Al:0.005〜0.06質量%
Alは、脱酸剤として添加する元素であり、0.005質量%未満ではその効果が小さく、一方0.06質量%を超えて添加すると、靭性に悪影響を及ぼすため、Alは0.005〜0.06質量%の範囲とした。好ましくは、0.01〜0.05質量%である。

0023

V:0.05〜0.30質量%
Vは、Cと析出物を形成して強度上昇に寄与するため、高強度を得るために必要な元素である。その効果を得るためには、0.05質量%以上必要であるが、0.30質量%を超えて添加しても、効果が飽和するため、0.05〜0.30質量%の範囲とした。好ましくは、0.08〜0.25質量%である。

0024

Ti:0.15質量%以下
Tiは、鋼中のNをTiNとして固定し、結晶粒の粗大化を防止する効果を有するとともに、Vと同様にCと析出物を形成し、高強度を得るために有用な元素である。その効果を得るためには0.05質量%以上の添加が好ましいが、0.15質量%を超えて添加すると靭性が低下するため、0.15質量%以下の範囲とした。好ましくは、0.03〜0.12質量%である。

0025

Nb:0.15質量%以下
Nbは、炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化を防止する効果を有するとともに、VやTiと同様にCと析出物を形成し、強度を得るために有用な元素である。その効果を得るためには、0.05質量%以上の添加が好ましいが、0.15質量%を超えて添加すると靭性が低下するため、0.15質量%以下の範囲とした。好ましくは、0.03〜0.12質量%である。

0026

Cr:1.0質量%以下、Cu:1.0質量%以下、Ni:1.0質量%以下およびMo:1.0質量%以下の1種または2種以上
Cr、Cu、NiおよびMoは、固溶強化元素として強度調整に有効な元素である。必要に応じていずれか1種または2種以上を好ましくは0.3質量%以上で添加することが可能である。一方、いずれの元素も、1.0質量%を超えると靭性が低下するため、1.0質量%以下とすることが好ましい。

0027

さらに、本発明では、被削性を向上させるために以下の元素の添加が可能である。
Pb:0.01〜0.40質量%
Pbは、被削性を向上させる元素である。その効果を得るためには、0.01質量%以上必要である。一方、0.40質量%を超えて添加すると、靭性を低下させるため0.01〜0.40質量%の範囲とした。

0028

Bi:0.01〜0.40質量%
Biは、被削性を向上させる元素である。その効果を得るためには、0.01質量%以上必要である。一方、0.40質量%を超えて添加すると靭性を著しく低下させるため、0.01〜0.40質量%の範囲とした。

0029

Ca:0.0005〜0.0100質量%
Caは、被削性を向上させる元素である。その効果を得るためには0.0005質量%以上必要である。一方、0.0100質量%を超えて添加しても効果が飽和するため、0.0005〜0.0100質量%の範囲とした。

0030

以上の成分組成を有する鋼は、例えばスラブや、ブルーム、ビレットなどの鋼素材に成形され、その後、熱間圧延に供される。すなわち、鋼素材を、1050℃以上に加熱し、粗圧延した後、フェライト−パーライト−オーステナイト3相域において、少なくとも減面率が15%以上の仕上げ圧延を行う。
次に、各工程の限定理由を詳しく述べる。

0031

[鋼素材加熱温度:1050℃以上]
まず、鋼素材の加熱温度を1050℃以上とするのは、析出したV炭化物を溶体化するためである。

0032

その後の粗圧延は、一般的な粗圧延条件の範囲、例えば950〜1050℃の範囲で圧延すればよい。

0033

[仕上げ圧延:フェライト−パーライト−オーステナイト3相域において少なくとも減面率が15%以上]
上述したように、仕上げ圧延は3相域での減面率が15%以上であることが肝要である。すなわち、3相域での減面率が15%未満では、フェライトの強化が不十分となり、図1に示したように高い降伏比が得られない。

0034

表2に示す組成の鋼を転炉で溶製し、湾曲型連続鋳造機によってブルーム(断面寸法300×400mm)を製造した。このブルームを1100℃に加熱した後、950℃以上で粗圧延し、種々の圧延温度で仕上げ圧延を実施した。この圧延棒鋼の1/4直径部よりJIS4号引張試験片を切り出し引張特性を評価した。降伏強さは0.2%耐力で評価し、降伏強さと引張強さとの比を降伏比として評価した。結果を表3に示す。

0035

0036

0037

表3に示す通りNo.1〜7は本発明例であり、降伏比72%以上の優れた特性を示した。
No.8、11、13は圧延温度が本発明から外れるため降伏比が低かった。また、No.9、10、12、14は3相域での減面率が不足するため降伏比が低かった。

図面の簡単な説明

0038

仕上げ圧延時の温度および減面率と、降伏比との関係を示すグラフである。

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