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技術 電力の需要予測処理方法及び装置、並びに発電予測処理方法

出願人 東京電力ホールディングス株式会社
発明者 灰田武史
出願日 2008年3月14日 (12年8ヶ月経過) 出願番号 2008-066605
公開日 2009年10月1日 (11年1ヶ月経過) 公開番号 2009-225550
状態 未査定
技術分野 交流の給配電 特定用途計算機
主要キーワード 上下限幅 電力供給エリア 力学要素 立体格子 目安情報 単体法 未知係数 将来需要
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年10月1日)のものです。
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図面 (20)

課題

アンサンブル予報を基に適切に需要予測を行う。

解決手段

ユーザからの指定に従って、配信期間内を配信日としており、需要予測対象日時指定配信日の所定配信時刻との差である予報間隔予報時刻とする、指定地点における複数シナリオ分気象予報値を抽出し、複数シナリオ分の気象予報値の中央値又は平均値によって需要予測値分布高低を調整する項と、気象予報値と当該気象予報値の中央値又は平均値との差によって需要予測値分布の幅を調整する項とを有する需要予測モデル係数を、算出される需要予測値の分布がユーザ設定に従うように算出し、需要予測モデルの係数を設定した需要予測モデルに対して、指定配信日における予報間隔を予報時刻とする、指定地点における複数シナリオ分の気象予報値を適用して複数シナリオ分の需要予測値を算出する。

概要

背景

電力需要予測は安定供給と経済性の追求のために不可欠である。このため電力会社では当日、翌日の需要や1週間先、1ヶ月先、1年先の需要など、さまざまな時間断面を対象とした予測を行っている。

短期的な時間断面を対象とした需要予測で一般的な方法として、電力需要と気象状況との関係に着目した予測が行われている。すなわち過去の両者の関係を回帰式などで需要モデルとして表し、これに予測対象日気象に関する予報値を与え予測を行う。ところが、この気象予報には常に誤差予報誤差)が伴う。このため気象予報に基づいた需要予測には不確実性が含まれることとなり、電力の発電運用等で問題とされている。

例えば、気象予報が外れて、需要予測値が低めに大きく外れた場合には発電機の予備力極端に減少し電力安定供給に向けてのマージン低下原因となり問題となる。また、需要予測値が高めに大きく外れた場合には、安定供給上は問題ないものの、需要に対して過剰となった発電機を発電効率の悪い低出力運転することとなり経済性が悪化する原因となる。

従来の需要予測では気象庁等が配信する単一の気象予報をもとに需要予測を行っていた。このため需要値も一点のみ予測するに限られていた。危機管理と経済性の双方を満足した発電機等の電力設備の運用に向けては、電力需要を従来の1点のみの予測ではなく幅をもって予測することが望ましい。しかしながら、日々の気象予報自身の不確実性を定量的に評価することの困難性もあり、将来の電力需要を幅や確率分布などの形態で客観的に予測するシステムや方法は現在にいたるまで構築に至ってはいない。

近年、従来の単独予報ではなく複数の気象予報シナリオを作成、提供するアンサンブル予報の開発と運用が実施されている(古川、酒井、「アンサンブル予報」、東京堂出版、2004年)。

なお、気象庁などが実施する気象予報を大別すると天気予報者が気象学的知識や経験に基づいて地上天気図高層天気図など解析し予報する“主観的予報”、数値気象予報モデルによる“客観予報”がある。

後者の数値気象予報モデルは、基礎的な物理法則(数式で書かれた)に基づいて大気力学要素である気圧気温風速風向などの時間変化を定量的に算出し、これらの変数の将来の3次元分布を求めるものである。計算では大気を立体格子区切り、その格子点毎に地上および高層観測などから得た大気の実測データなどから初期値を設定し、計算機上で模擬した物理法則に従い格子毎に各気象変数の将来予測値を算出する。

一方で大気の運動非線形特質をもっている。この非線形性のため将来の動きは初期値に非常に敏感な特質を有することとなる。また、予報期間が長くなればなるほど敏感性は大きくなり、わずかな初期値の違いが気象予報の大きな違いとなる。気象予報において予報の土台となる大気の完全な初期値を観測から得ることは不可能であり、初期値に関わる設定誤差は気象予報誤差の一要因となっている。

アンサンブル予報では、初期値に観測誤差と同程度の小さな誤差を与えた多数の初期値を用意する。その後、それぞれの初期値毎に独立に数値予報を行い、異なる大気の将来値を多数得るものである。

例えば特開平6−105465号公報記載の需要予測装置に、複数の気象予報を入力すれば複数個の需要予測値を得ることは可能である。特にアンサンブル予報など客観的な手法に基づいた予報値を入力情報とすることで日々一貫性のある幅による需要予測が可能となる。
特開平6−105465号公報

概要

アンサンブル予報を基に適切に需要予測を行う。ユーザからの指定に従って、配信期間内を配信日としており、需要予測対象日時指定配信日の所定配信時刻との差である予報間隔を予報時刻とする、指定地点における複数シナリオ分気象予報値を抽出し、複数シナリオ分の気象予報値の中央値又は平均値によって需要予測値分布高低を調整する項と、気象予報値と当該気象予報値の中央値又は平均値との差によって需要予測値分布の幅を調整する項とを有する需要予測モデル係数を、算出される需要予測値の分布がユーザ設定に従うように算出し、需要予測モデルの係数を設定した需要予測モデルに対して、指定配信日における予報間隔を予報時刻とする、指定地点における複数シナリオ分の気象予報値を適用して複数シナリオ分の需要予測値を算出する。

目的

そこで、本発明の目的は、アンサンブル予報を基に適切に需要予測又は発電予測を行うための技術を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
4件

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請求項1

電力需要実績値を単位時間毎に格納する電力需要実績データ格納部と、1又は複数の地点における複数予報時刻気象予報値複数シナリオ分配信日毎に格納する気象予報データ格納部とにアクセス可能コンピュータにより実行される需要予測処理方法であって、ユーザから指定された処理対象配信期間指定地点と需要予測対象日時と需要予測のための指定配信日とに従って、前記気象予報データ格納部から、前記処理対象配信期間内を配信日としており、前記需要予測対象日時と前記指定配信日の所定配信時刻との差である予報間隔を予報時刻とする、前記指定地点における前記複数シナリオ分の気象予報値を抽出し、抽出気象予報値格納部に格納するステップと、前記電力需要実績データ格納部から、前記処理対象配信期間内の各日の前記所定配信時刻と前記予報間隔とを加算することによって得られる仮想需要予測日時における電力需要実績値を抽出し、抽出電力需要実績値格納部に格納するステップと、前記複数シナリオ分の気象予報値の中央値又は平均値によって需要予測値分布高低を調整する項と、前記気象予報値と前記気象予報値の中央値又は平均値との差によって前記需要予測値分布の幅を調整する項とを有する需要予測モデル係数を、前記抽出気象予報値格納部に格納されている前記気象予報値と前記需要予測モデルとによって算出される需要予測値の分布が、前記抽出電力需要実績値格納部に格納されている前記電力需要実績値に基づくユーザ設定に従うように算出し、需要予測モデルデータ格納部に格納する需要予測モデル生成ステップと、前記需要予測モデルデータ格納部に格納されている前記需要予測モデルの係数を設定した前記需要予測モデルに対して、前記気象予報データ格納部に格納されており且つ前記指定配信日における前記予報間隔を予報時刻とする、前記指定地点における前記複数シナリオ分の気象予報値を適用して、前記複数セットの需要予測値を算出し、需要予測シナリオデータ格納部に格納するステップと、を含む需要予測処理方法。

請求項2

前記需要予測値分布の幅を調整する項が、前記需要予測値分布において前記中央値又は平均値以上の部分の分布の幅を調整する項と、前記需要予測値分布において前記中央値又は平均値より下の部分の分布の幅を調整する項とを含む請求項1記載の需要予測処理方法。

請求項3

前記需要予測モデルが、前記気象予報値と前記気象予報値の中央値又は平均値との差の二乗についての項をさらに含む請求項1記載の需要予測処理方法。

請求項4

前記ユーザ設定が、前記電力需要実績値の最大値最小値カバーする可能な限り幅の狭い分布である請求項1記載の需要予測処理方法。

請求項5

前記需要予測モデル生成ステップにおいて、LP法を用いて前記需要予測モデルの係数を算出する請求項4記載の需要予測処理方法。

請求項6

前記ユーザ設定が、前記抽出気象予報値格納部に格納されている前記気象予報値と前記需要予測モデルとによって算出される需要予測値の昇順系列又は降順系列を順に区間閾値とする各区間又は特定区間における前記電力需要実績値の発生頻度、発生確率、又は累積発生確率に関する設定値である請求項1記載の需要予測処理方法。

請求項7

前記需要予測モデル生成ステップにおいて、ランダム法を用いて前記需要予測モデルの係数を算出する請求項6記載の需要予測処理方法。

請求項8

請求項1乃至7のいずれか1つに記載の需要予測処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム

請求項9

電力需要実績値を単位時間毎に格納する電力需要実績データ格納部と、1又は複数の地点における複数予報時刻の気象予報値を複数シナリオ分配信日毎に格納する気象予報データ格納部と、ユーザから指定された処理対象配信期間と指定地点と需要予測対象日時と需要予測のための指定配信日とに従って、前記気象予報データ格納部から、前記処理対象配信期間内を配信日としており、前記需要予測対象日時と前記指定配信日の所定配信時刻との差である予報間隔を予報時刻とする、前記指定地点における前記複数シナリオ分の気象予報値を抽出し、抽出気象予報値格納部に格納する手段と、前記電力需要実績データ格納部から、前記処理対象配信期間内の各日の前記所定配信時刻と前記予報間隔とを加算することによって得られる仮想需要予測日時における電力需要実績値を抽出し、抽出電力需要実績値格納部に格納する手段と、前記複数シナリオ分の気象予報値の中央値又は平均値によって需要予測値分布の高低を調整する項と、前記気象予報値と前記気象予報値の中央値又は平均値との差によって前記需要予測値分布の幅を調整する項とを有する需要予測モデルの係数を、前記抽出気象予報値格納部に格納されている前記気象予報値と前記需要予測モデルとによって算出される需要予測値の分布が、前記抽出電力需要実績値格納部に格納されている前記電力需要実績値に基づくユーザ設定に従うように算出し、需要予測モデルデータ格納部に格納する需要予測モデル生成手段と、前記需要予測モデルデータ格納部に格納されている前記需要予測モデルの係数を設定した前記需要予測モデルに対して、前記気象予報データ格納部に格納されており且つ前記指定配信日における前記予報間隔を予報時刻とする、前記指定地点における前記複数シナリオ分の気象予報値を適用して、前記複数セットの需要予測値を算出し、需要予測シナリオデータ格納部に格納する手段と、を有する需要予測処理装置

請求項10

発電実績値を単位時間毎に格納する発電実績データ格納部と、1又は複数の地点における複数予報時刻の気象予報値を複数シナリオ分配信日毎に格納する気象予報データ格納部とにアクセス可能なコンピュータにより実行される発電予測処理方法であって、ユーザから指定された処理対象配信期間と指定地点と発電予測対象日時と発電予測のための指定配信日とに従って、前記気象予報データ格納部から、前記処理対象配信期間内を配信日としており、前記発電予測対象日時と前記指定配信日の所定配信時刻との差である予報間隔を予報時刻とする、前記指定地点における前記複数シナリオ分の気象予報値を抽出し、抽出気象予報値格納部に格納するステップと、前記発電実績データ格納部から、前記処理対象配信期間内の各日の前記所定配信時刻と前記予報間隔とを加算することによって得られる仮想発電予測日時における発電実績値を抽出し、抽出発電実績値格納部に格納するステップと、前記複数シナリオ分の気象予報値の中央値又は平均値によって発電予測値分布の高低を調整する項と、前記気象予報値と前記気象予報値の中央値又は平均値との差によって前記発電予測値分布の幅を調整する項とを有する発電予測モデルの係数を、前記抽出気象予報値格納部に格納されている前記気象予報値と前記発電予測モデルとによって算出される発電予測値の分布が、前記抽出発電実績値格納部に格納されている前記発電実績値に基づくユーザ設定に従うように算出し、発電予測モデルデータ格納部に格納する発電予測モデル生成ステップと、前記発電予測モデルデータ格納部に格納されている前記発電予測モデルの係数を設定した前記発電予測モデルに対して、前記気象予報データ格納部に格納されており且つ前記指定配信日における前記予報間隔を予報時刻とする、前記指定地点における前記複数シナリオ分の気象予報値を適用して、前記複数セットの発電予測値を算出し、発電予測シナリオデータ格納部に格納するステップと、を含む発電予測処理方法。

技術分野

0001

本発明は、電力需要予測技術及び電力の発電予測技術に関する。

背景技術

0002

電力需要の予測は安定供給と経済性の追求のために不可欠である。このため電力会社では当日、翌日の需要や1週間先、1ヶ月先、1年先の需要など、さまざまな時間断面を対象とした予測を行っている。

0003

短期的な時間断面を対象とした需要予測で一般的な方法として、電力需要と気象状況との関係に着目した予測が行われている。すなわち過去の両者の関係を回帰式などで需要モデルとして表し、これに予測対象日気象に関する予報値を与え予測を行う。ところが、この気象予報には常に誤差予報誤差)が伴う。このため気象予報に基づいた需要予測には不確実性が含まれることとなり、電力の発電機運用等で問題とされている。

0004

例えば、気象予報が外れて、需要予測値が低めに大きく外れた場合には発電機の予備力極端に減少し電力安定供給に向けてのマージン低下原因となり問題となる。また、需要予測値が高めに大きく外れた場合には、安定供給上は問題ないものの、需要に対して過剰となった発電機を発電効率の悪い低出力運転することとなり経済性が悪化する原因となる。

0005

従来の需要予測では気象庁等が配信する単一の気象予報をもとに需要予測を行っていた。このため需要値も一点のみ予測するに限られていた。危機管理と経済性の双方を満足した発電機等の電力設備の運用に向けては、電力需要を従来の1点のみの予測ではなく幅をもって予測することが望ましい。しかしながら、日々の気象予報自身の不確実性を定量的に評価することの困難性もあり、将来の電力需要を幅や確率分布などの形態で客観的に予測するシステムや方法は現在にいたるまで構築に至ってはいない。

0006

近年、従来の単独予報ではなく複数の気象予報シナリオを作成、提供するアンサンブル予報の開発と運用が実施されている(古川、酒井、「アンサンブル予報」、東京堂出版、2004年)。

0007

なお、気象庁などが実施する気象予報を大別すると天気予報者が気象学的知識や経験に基づいて地上天気図高層天気図など解析し予報する“主観的予報”、数値気象予報モデルによる“客観予報”がある。

0008

後者の数値気象予報モデルは、基礎的な物理法則(数式で書かれた)に基づいて大気力学要素である気圧気温風速風向などの時間変化を定量的に算出し、これらの変数の将来の3次元分布を求めるものである。計算では大気を立体格子区切り、その格子点毎に地上および高層観測などから得た大気の実測データなどから初期値を設定し、計算機上で模擬した物理法則に従い格子毎に各気象変数の将来予測値を算出する。

0009

一方で大気の運動非線形特質をもっている。この非線形性のため将来の動きは初期値に非常に敏感な特質を有することとなる。また、予報期間が長くなればなるほど敏感性は大きくなり、わずかな初期値の違いが気象予報の大きな違いとなる。気象予報において予報の土台となる大気の完全な初期値を観測から得ることは不可能であり、初期値に関わる設定誤差は気象予報誤差の一要因となっている。

0010

アンサンブル予報では、初期値に観測誤差と同程度の小さな誤差を与えた多数の初期値を用意する。その後、それぞれの初期値毎に独立に数値予報を行い、異なる大気の将来値を多数得るものである。

0011

例えば特開平6−105465号公報記載の需要予測装置に、複数の気象予報を入力すれば複数個の需要予測値を得ることは可能である。特にアンサンブル予報など客観的な手法に基づいた予報値を入力情報とすることで日々一貫性のある幅による需要予測が可能となる。
特開平6−105465号公報

発明が解決しようとする課題

0012

しかしながら、アンサンブル予報等を需要予測に利用するためには課題がある。まず、アンサンブル予報が扱う気象と、電力需要と関係する地上の気象(特に気温など)とは異なる点である。アンサンブル予報は大気や地形位置を離散表現した数値気象予報モデルに従い気象予報を実施する。得られる予報値は地表や大気をメッシュ分割した格子点での気象予報値である。したがってアンサンブル予報が対象とする気象と実際の需要地域の気象値とには位置的な違い、さらには気象モデル自体の表現精度などにより必ず差(バイアス)が発生する。また、アンサンブル予報で求められる複数の気象予報シナリオのばらつきに関した課題もある。アンサンブル予報は初期値の与え方により気象予報のばらつきも大きく変わる。たとえばアンサンブル予報を分析したこれまでの報告(「気温と気圧に関する週間アンサンブル気象予報の精度の予報確率の検証」、電力中央研究所報告、N05048、平成18年)によれば、得られた予報のばらつきが実際の気象値の範囲より狭いという指摘もある。

0013

このような気象予報値を需要予測に応用した際には結果として得られる需要予測値の幅が狭すぎたり、逆に広すぎたり、さらには高め側や低め側のどちらかに偏りすぎたり、といったバイアスが発生し、単にアンサンブル予報を需要予測の入力情報にするだけでは実務利用には供せない。

0014

そこで、本発明の目的は、アンサンブル予報を基に適切に需要予測又は発電予測を行うための技術を提供することである。

0015

また、本発明の他の目的は、気象予報と電力需要又は発電量との間の各種バイアスを自動補正した上で需要予測又は発電予測を行うための技術を提供することである。

課題を解決するための手段

0016

本発明に係る需要予測処理方法は、電力需要実績値を単位時間毎に格納する電力需要実績データ格納部と、1又は複数の地点における複数予報時刻の気象予報値を複数シナリオ分配信日毎に格納する気象予報データ格納部とにアクセス可能コンピュータにより実行される。そして、(A)ユーザから指定された処理対象配信期間指定地点と需要予測対象日時と需要予測のための指定配信日とに従って、気象予報データ格納部から、処理対象配信期間内を配信日としており、需要予測対象日時と指定配信日の所定配信時刻との差である予報間隔を予報時刻とする、指定地点における複数シナリオ分の気象予報値を抽出し、抽出気象予報値格納部に格納するステップと、(B)電力需要実績データ格納部から、処理対象配信期間内の各日の所定配信時刻と予報間隔とを加算することによって得られる仮想需要予測日時における電力需要実績値を抽出し、抽出電力需要実績値格納部に格納するステップと、(C)複数シナリオ分の気象予報値の中央値又は平均値によって需要予測値分布高低を調整する項と、気象予報値と当該気象予報値の中央値又は平均値との差によって需要予測値分布の幅を調整する項とを有する需要予測モデル係数を、抽出気象予報値格納部に格納されている気象予報値と需要予測モデルとによって算出される需要予測値の分布が、抽出電力需要実績値格納部に格納されている電力需要実績値に基づくユーザ設定に従うように算出し、需要予測モデルデータ格納部に格納する需要予測モデル生成ステップと、(D)需要予測モデルデータ格納部に格納されている需要予測モデルの係数を設定した需要予測モデルに対して、気象予報データ格納部に格納されており且つ指定配信日における予報間隔を予報時刻とする、指定地点における複数シナリオ分の気象予報値を適用して、複数シナリオ分の需要予測値を算出し、需要予測シナリオデータ格納部に格納するステップとを含む。

0017

このようにすれば、使用すべき複数シナリオ分の気象予報値と対応する電力需要実績値とから、ユーザ設定に従って、需要予測値分布についてのバイアスを調整する項を含む需要予測モデルの係数を算出して、適切な複数シナリオ分の需要予測値を算出することができるようになる。

0018

また、上で述べた需要予測値分布の幅を調整する項が、需要予測値分布において中央値又は平均値以上の部分の分布の幅を調整する項と、需要予測値分布において中央値又は平均値より下の部分の分布の幅を調整する項とを含むようにしてもよい。このようにすれば、より適切にバイアスを調整することができるようになる。

0019

さらに、上で述べた需要予測モデルが、気象予報値と当該気象予報値の中央値又は平均値との差の二乗についての項をさらに含むようにしてもよい。このようにすれば、より精密にバイアスを調整することができるようになる。

0020

また、上で述べたユーザ設定が、電力需要実績値の最大値最小値カバーする可能な限り幅の狭い分布である場合もある。このようにすれば、算出される複数シナリオ分の需要予測値を、上限値及び下限値を示すものとして解釈して取り扱うことができるようになる。なお、このような場合、上で述べた需要予測モデル生成ステップにおいて、LP法を用いて需要予測モデルの係数を算出するようにしてもよい。

0021

また、上で述べたユーザ設定が、抽出気象予報値格納部に格納されている気象予報値と需要予測モデルとによって算出される需要予測値の昇順系列又は降順系列を順に区間閾値とする各区間又は特定区間における電力需要実績値の発生頻度、発生確率、又は累積発生確率に関する設定値である場合もある。このようにすれば、例えば、上位特定区間や下位特定区間の発生確率や累積発生確率を指定することによって、ある程度所望の分布形状を有する需要予測モデルを生成することができるようになる。なお、このような場合、上で述べた需要予測モデル生成ステップにおいて、ランダム法(ランダム探索法とも呼ぶ)を用いて需要予測モデルの係数を算出するようにしてもよい。

0022

本発明に係る発電予測処理方法は、発電実績値を単位時間毎に格納する発電実績データ格納部と、1又は複数の地点における複数予報時刻の気象予報値を複数シナリオ分配信日毎に格納する気象予報データ格納部とにアクセス可能なコンピュータにより実行される発電予測処理方法である。そして、(A)ユーザから指定された処理対象配信期間と指定地点と発電予測対象日時と発電予測のための指定配信日とに従って、気象予報データ格納部から、処理対象配信期間内を配信日としており、発電予測対象日時と指定配信日の所定配信時刻との差である予報間隔を予報時刻とする、指定地点における複数シナリオ分の気象予報値を抽出し、抽出気象予報値格納部に格納するステップと、(B)発電実績データ格納部から、処理対象配信期間内の各日の所定配信時刻と予報間隔とを加算することによって得られる仮想発電予測日時における発電実績値を抽出し、抽出発電実績値格納部に格納するステップと、(C)複数シナリオ分の気象予報値の中央値又は平均値によって発電予測値分布の高低を調整する項と、気象予報値と気象予報値の中央値又は平均値との差によって発電予測値分布の幅を調整する項とを有する発電予測モデルの係数を、抽出気象予報値格納部に格納されている気象予報値と発電予測モデルとによって算出される発電予測値の分布が、抽出発電実績値格納部に格納されている発電実績値に基づくユーザ設定に従うように算出し、発電予測モデルデータ格納部に格納する発電予測モデル生成ステップと、(D)発電予測モデルデータ格納部に格納されている発電予測モデルの係数を設定した発電予測モデルに対して、気象予報データ格納部に格納されており且つ指定配信日における予報間隔を予報時刻とする、指定地点における複数シナリオ分の気象予報値を適用して、複数セットの発電予測値を算出し、発電予測シナリオデータ格納部に格納するステップとを含む。

0023

なお、本方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを作成することができ、このプログラムは、例えばフレキシブルディスクCD−ROM光磁気ディスク半導体メモリハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークなどを介してデジタル信号として配信される場合もある。尚、中間的な処理結果はメインメモリ等の記憶装置に一時保管される。

発明の効果

0024

本発明によれば、アンサンブル予報を基に適切に需要予測又は発電予測を行うことができるようになる。

0025

また、本発明の他の側面によれば、気象予報と電力需要又は発電量との間の各種バイアスを自動補正した上で需要予測又は発電予測を行うことができるようになる。

発明を実施するための最良の形態

0026

本発明の一実施の形態に係るシステム概要図1に示す。例えば、インターネットなどのネットワーク1には、アンサンブル予報等のデータ生成及び配信を行う気象予報サーバ3と、本実施の形態に係る主要な処理を実施する電力需要予測装置5とが接続されている。また、電力需要に対する供給源である各発電機の出力(発電量。ここでは需要実績値とする)を所定の時間間隔(例えば30分や1時間)で計測する装置である電力データ計測装置11と、当該電力データ計測装置11に接続されており、各発電機出力所定時間間隔で合計して、所定時間毎の電力需要実績値を算出する電力計測データ収集装置9も存在している。そして、例えば電力会社のLAN(Local Area Network)であるネットワーク7を介して、電力計測データ収集装置9は、電力需要予測装置5と接続される。なお、電力計測データ収集装置9及び電力データ計測装置11は、本実施の形態の主旨ではないので、これ以上述べない。また、ネットワーク1又は7には、電力需要予測装置5のユーザが操作するユーザ端末が接続されることもある。

0027

気象予報サーバ3は、例えば気象予報機関が運用している1台のコンピュータであっても良いし複数のコンピュータで構成されても良いが、数値気象予測モデルに、気象観測値などから作成した初期値を数値気象モデルの格子点毎に与えて、将来の各格子点の大気変量を予測することによって、数値気象予報データを生成する数値気象予報生成部31と、生成された数値気象予報データを例えば要求に応じてネットワーク1を介して配信する数値気象予報配信部33とを有する。数値気象予報生成部31は、模式的に示せば、図2に示すように、地球表面緯度方向及び経度方向)を所定サイズの格子に分割すると共に、鉛直方向も同様に所定間隔で同様の格子に分割して、各格子点における大気変量(気温、湿度、気圧など)の状態を、将来の時系列データとして予測する。時系列であるから、図2右下のグラフ縦軸は気温を表し、横軸は時間を表す)に示すように、1つの格子点において1つの大気変量(例えば気温)について、現時点より将来の複数(例えば51通り)の気象シナリオが生成される。なお、気象シナリオの生成方法については、本実施の形態の主旨ではないので、これ以上述べない。

0028

電力需要予測装置5は、電力計測データ収集装置9から電力需要実績データを取得する電力需要実績データ受信部511と気象予報サーバ3の数値気象予報配信部33から数値気象予報データを取得する数値気象予報データ受信部513とを有するインターフェース部51と、電力需要実績データ受信部511が取得した電力需要実績データを格納する電力需要実績データ格納部53と、数値気象予報データ受信部513が取得した数値気象予報データを格納する数値気象予報データ格納部54と、ユーザからの需要予測設定データの入力を受け付け、一時的に保持する需要予測設定入力部57と、電力需要実績データ格納部53と数値気象予報データ格納部54に格納されているデータを用いて需要予測設定入力部57によって入力された需要予測設定データに従って需要予測モデル生成処理を実施する需要予測モデル生成部55と、需要予測モデル生成部55によって生成された需要予測モデルデータ(需要予測モデルの係数値)を格納する需要予測モデルデータ格納部59と、数値気象予報データ受信部513によって取得された最新の数値気象予報データ(需要予測に用いられる数値気象予報データ)を格納する最新数値気象予報データ格納部61と、需要予測モデルデータ格納部59と最新数値気象予報データ格納部61に格納されているデータを用い、需要予測設定入力部57によって入力された需要予測設定データに従って複数の需要予測値(需要予測シナリオ)を計算する需要予測シナリオ計算部63と、需要予測シナリオ計算部63によって計算された需要予測シナリオデータを格納する需要予測シナリオデータ格納部65と、需要予測シナリオデータ格納部65に格納されたデータを出力する処理を実施する需要予測シナリオ出力部67とを有する。

0029

なお、電力需要実績データ受信部511は、例えば定期的に電力計測データ収集装置9からデータを受信して、電力需要実績データ格納部53に格納する。また、数値気象予報データ受信部513も、例えば定期的に気象予報サーバ3からデータを受信して、数値気象予報データ格納部54に格納する。但し、需要予測設定入力部57から需要予測に用いる配信日のデータを受け取ると、当該配信日のデータについては、最新数値気象予報データ格納部61に格納する。

0030

また、需要予測モデル生成部55は、図3に示すように、需要予測設定入力部57によって入力された需要予測設定データに従って必要となる過去の気象予報データを数値気象予報データ格納部54から抽出する過去気象予報データ抽出部551と、過去気象予報データ抽出部551によって抽出されたデータを格納する抽出過去気象予報データ格納部552と、需要予測設定入力部57によって入力された需要予測設定データに従って必要となる過去の電力需要実績データを抽出過去気象予報データ格納部552に格納されているデータに基づき電力需要実績データ格納部53から抽出する過去電力需要実績データ抽出部553と、過去電力需要実績データ抽出部553によって抽出されたデータを格納する抽出電力需要実績データ格納部554と、抽出過去気象予報データ格納部552と抽出電力需要実績データ格納部554に格納されたデータを用い、設定入力部57によって入力された需要予測設定データに従って需要予測モデルの係数値を算出する係数算出部555とを有する。係数算出部555は、以下で述べるような処理を実施するLP法処理部5551とランダム法処理部5553とを有する。

0031

以下、図4乃至図29を用いて、図1及び図3に示した電力需要予測装置5の処理内容を説明する。まず、電力需要実績データ受信部511は、ネットワーク7を介して電力需要実績データを取得して、電力需要実績データ格納部53に格納する(ステップS1)。電力需要実績データ格納部53には、例えば図5のようなデータが格納される。図5の例では、需要日(年月日)、需要時刻(時。ここでは1時間毎)、需要(MW)が登録されるようになっている。

0032

次に、数値気象予報データ受信部513は、気象予報サーバ3の数値気象予報配信部33から、ネットワーク1を介して数値気象予報データを取得して、数値気象予報データ格納部54に格納する(ステップS3)。例えば、数値気象予報データ格納部54には、図6に示すような形式でデータが格納される。図6の例では、予報配信日時(配信日、配信時間、予報初期値の日時)毎に、予報シナリオ番号で特定される各予報シナリオのデータが登録される。また、各予報シナリオのデータは、予報対象地点緯度及び経度)と予報対象高度(垂直高度又は気圧面)とで特定される各格子点のデータが登録される。さらに、各格子点のデータは、予報対象時刻(予報初期値からの時間間隔(予報間隔とも呼ぶ))毎に、気象要素(気温、相対湿度降水量、風速など)が登録されるようになっている。このように階層化されて、以下で述べる抽出処理で、必要なデータが抽出される。

0033

そして、需要予測設定入力部57は、需要予測の結果を欲するユーザから計算条件等の需要予測設定データの入力を受け付け、例えばメインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS5)。需要予測設定データは、(1)需要予測モデルの種類、(2)需要予測モデルで利用する気象予報変数(気温や湿度など)、(3)需要予測モデルで利用する格子点、(4)需要予測モデルの係数算出に用いる過去データ範囲、(5)需要予測対象日時及び需要予測に利用する気象予報の配信日、(6)需要予測モデルの係数算出アルゴリズム及び当該係数算出アルゴリズムの制御パラメータなどを含む。

0034

ここで、本実施の形態においてユーザが指定する(1)需要予測モデルの種類について説明しておく。ここでは、例えば以下の(1)乃至(6)式で示される需要予測モデルが選択される。

0035

なお、LOAD(t,i)は、気象予報毎にn個得られる気象予報シナリオの第i番目の予報から得られた需要予測値を表す。なお、1≦i≦nである。また、tは、予測対象時刻を表す。予報配信日時から予報対象時刻までの時間間隔で指定される。mは、需要予測のために選んだ格子点の数を表す。Xk,iは、格子点kの気象要素(気温など)の第i番目の気象予報シナリオでの値を表す。X^k(^はXの上のバーを表す)は、格子点kの気象要素(気温など)の全気象予報シナリオ(n個)の中央値(又は平均値。以下、同じ。)を表す。ΔXk,iは、上記の中央値と、第i番目の気象予報シナリオの値との差(Xk,i−X^k)を表す。S+は、ΔXk,iが正(0を含む)の時に1となり、負の時0となるスイッチング変数を表す。S-は、ΔXk,iが正(0を含む)の時に0となり、負の時に1となるスイッチング変数を表す。a,bk,ck,dk,ek,fkは、以下の処理で算出する未知係数を表す。NN1tは、入力をX^k,i(k=1,..m)及びΔXk,i(k=1,..m)、出力をLOAD(t,i)とする階層型ニューラルネットワーク、NN2tは、入力をXk,i(k=1,..m)及びその中央値、出力をLOAD(t,i)とする階層型ニューラルネットワークを表す。

0036

本発明の課題の欄でも説明したが、アンサンブル予報の予報値と電力需要との間のバイアスが問題となる。バイアスには大気モデル(格子)と需要予測対象である電力供給エリアの位置的なずれ、アンサンブル予報自体の変動幅の偏りなどがある。図7を用いて、電力需要予測から見たアンサンブル予報のバイアスの影響を説明する。図7では、アンサンブル予報に基づいて、予測計算実施時点である時刻t0から複数の需要予測値のシーケンスを計算している。

0037

ここで、時刻t1、t2、t3で需要実績値が「×」印で表される値になったとする。この場合、時刻t2では、需要実績値は需要予測シナリオの範囲内に位置している。すなわち、複数の需要予測シナリオが、需要実績値を、範囲内に捉えた結果となっている。これに対して、時刻t1、t3では需要実績値が需要予測シナリオの範囲から上側、下側に大きく外れている。言い換えるならば、時刻t1については需要予測シナリオの幅は狭すぎ、又は下側にシフトしているといえる。時刻t3については需要予測シナリオの幅が狭すぎ、又は上側にシフトしているということになる。

0038

これらのずれは、数値気象予報データを生成する数値気象予報生成部31側等に由来するものである。こうしたずれが系統的に発生すると想定して、本実施の形態ではこの気象予報の系統的なずれによる需要予測への影響を需要予測モデルによって補正し、需要予測シナリオとして予測幅による需要予測が適切に可能となるよう需要予測モデルを生成する。このため上で述べた(2)乃至(4)及び(5)式では、従来の需要予測モデルとは異なり気象予報のバイアスを補正するための項を特別に設けている。

0039

ここで(3)式の需要予測モデルを例にしてバイアスの補正について具体的に説明する。図8では、縦軸は電力需要を表し、横軸は時間を表す。図8の例では、実線aで表すように電力需要が推移しているが、バイアス補正を行う前の電力需要予測式で算出した将来の電力需要予測が分布Aで表され、一方、実際の電力需要の大きさとその大きさの需要が発生する確率からなる実際の分布が分布Bで表されるものとする。ここで、(3)式の第1項及び第2項は、電力需要とアンサンブル予報が対象とする気象(気温など)との一般的な関係を捉えるための項であり、格子点の気象と電力需要との位置的関係の違いなどによるバイアスを調整するためのものである。そして、図8では、Pで表すように、分布の中央値部分同士のバイアスを補正するように作用する。また、(3)式の第3項は、アンサンブル予報による需要予測分布における中央値より上側のばらつきの大きさを補正するための項であり、図8では、Qに示すように、分布の中央値より上側の幅を調整するように作用する。例えば、アンサンブル予報による需要予測分布Aにおいて中央値より上側に十分な広がりが存在しない場合には、本項のckを適切な値に設定することにより、需要予測シナリオにおいても十分な幅を有するようになる。さらに、(3)式の第4項は、アンサンブル予報による需要予測分布Aにおける中央値より下側のばらつきの大きさを補正するための項であり、図8では、Rに示すように、分布の中央値より下側の幅を調整するように作用する。すなわち、係数dkにより需要予測シナリオにおいて中央値より下側の分布の幅を実際の電力需要分布Bにおける幅に合わせることができるようになる。

0040

このようにして、(3)式によれば、図9に示すように、実際の電力需要分布Bに重なるように、需要予測シナリオのバイアスを調整することができる。

0041

なお、(2)式については、(3)式の第2項及び第3項を統合して、全体の幅という観点でバイアスを調整する需要予測式である。

0042

また、(4)式については、ΔX2k,iを用いる2つの項を(3)式に追加しており、上で述べたバイアスの調整をより精密に実施するようにする式である。

0043

(1)式は、気象要素(気温など)と該当する係数の積和ベースとした基本的な需要予測モデルであり、バイアスの調整は含まれていない。以下では、(1)式については、上で述べた本実施の形態の特徴を有しないので、特に触れないものとする。

0044

また、(5)式及び(6)式についても、本実施の形態とは別の従来技術を用いて階層型ニューラルネットワークを構築しておくものとして、以下では詳述しない。但し、(5)式、(6)式で示すように、気象予報シナリオの中央値又は平均値、同中央値又は平均値からの各予報シナリオの気象要素の偏差値説明変数とするものについては、従来とは明らかに異なる。

0045

上で述べた(3)式のような需要予測式は一例であって、本実施の形態の特徴は、需要予測モデルを、各気象予報シナリオの気象要素の値と、その中央値又は平均値を説明変数とすることである。また、幅の広がりの大きさに関するバイアスを調整するための各気象予報シナリオの気象要素の値の中央値又は平均値からの偏差値を説明変数とすることである。なお、偏差値についてであるが(5)(6)式のような内部演算処理機能をもつ予測式では入力情報としては与えずに、内部処理により偏差値を作成することも可能である。(6)式はこれに相当する。式で表すと以下のとおりである。

0046

なお、ftは、需要予測関数を表す。Wt,iは、予想対象時刻tにおける、アンサンブル予報の第i番目のメンバーベクトルであり、指定される気象要素及び格子点の値を要素として含む。図10行列のi番目の行ベクトルに相当する。Wt^(^はWの上のバーを表す)は、予測対象時刻tにおける、指定気象要素及び格子点毎の気象予報値の中央値又は平均値からなるベクトルである。具体的には、図11に示すようなベクトルであり、図11ではmedianは中央値を表す関数である。

0047

なお、電力需要は、気象要素以外に曜日の違い(平日、土曜、日曜)などの影響も受ける。これらについては、以下で述べる過去データの抽出処理で予測対象日と同じ曜日の気象予報値及び需要実績値を抽出するようにしたり、需要予測式において曜日の違いを表すフラグ変数を追加するようにしても良い。これらについては、従来から行われており、ここでは説明を省略する。

0048

需要予測設定入力部57によって入力されるデータの説明に戻って、(2)需要予測モデルで利用する気象予報変数については、気温や湿度などを指定する。

0049

(3)需要予測モデルで利用する格子点については、緯度、経度、高度等によって、1又は複数の格子点を指定する。

0050

(4)需要予測モデルの係数算出に用いる過去データ範囲については、例えば開始年月日及び終了年月日を、配信日として指定する。その他の指定方法であっても良い。

0051

(5)需要予測対象日時及び需要予測に利用する気象予報の配信日については、電力需要予測対象日及び時刻と、その際に用いる気象予報の配信日とを指定する。

0052

(6)需要予測モデルの係数算出アルゴリズム及び当該係数算出アルゴリズムの制御パラメータなどについては、例えばLP法とランダム法のいずれかと、以下で述べる詳細な計算条件(目的関数制約条件評価関数計算終了条件など)を入力するものである。

0053

図4の説明に戻って、次に、需要予測モデル生成部55は、需要予測モデル生成処理を実施する(ステップS7)。この需要予測モデル生成処理の詳細については、以下で述べるが、本ステップによって、ユーザによって指定された需要予測モデルにおける係数値が算出され、需要予測モデルデータ格納部59に格納される。

0054

そして、数値気象予報データ受信部513は、需要予測設定入力部57によって入力された需要予測に利用する気象予報の配信日のデータに従って、該当日の気象予報データを気象予報サーバ3の数値気象予報配信部33から取得し、最新数値気象予報データとして最新数値気象予報データ格納部61に格納する(ステップS9)。

0055

その後、需要予測シナリオ計算部63は、需要予測モデルデータ格納部59に格納されている係数値によって特定され且つユーザによって指定された種類の需要予測モデルと、最新数値気象予報データ格納部61に格納されている最新数値気象予報データとから、需要予測シナリオを算出し、需要予測シナリオデータ格納部65に格納する(ステップS11)。具体的には例えば(1)乃至(6)式のうちいずれか指定された式に従って、各気象予報シナリオに応じて需要予測値を算出する。なお、需要予測対象日時を複数にして、それぞれについて各気象予報シナリオに応じた需要予測値を算出するようにしても良い。

0056

そして、需要予測シナリオ出力部67は、需要予測シナリオデータ格納部65に格納されているデータを、ユーザに対して出力する(ステップS13)。例えば、電力需要予測装置5に表示装置が接続されている場合には、当該表示装置に表示したり、印刷装置などに出力するようにしても良い。さらに、電力需要予測装置5が接続されているネットワーク経由でユーザ端末に出力するようにしても良い。表示例については、以下で述べる需要予測モデル生成処理に関連する部分があるので、需要予測モデル生成処理を説明した後に説明することとする。

0057

次に、図12乃至図27を用いて、需要予測モデル生成処理について詳細に説明する。この処理においては、まず、過去気象予報データ抽出部551は、過去気象予報データ抽出処理を実施する(図12:ステップS21)。

0058

過去気象予報データ抽出処理については、図13を用いて説明する。過去気象予報データ抽出部551は、指定された気象予報変数情報検索条件1として設定する(図13:ステップS31)。上で述べた(2)で指定された気温などが検索条件1として設定される。

0059

次に、過去気象予報データ抽出部551は、指定された格子点情報を検索条件2として設定する(ステップS33)。上で述べた(3)で指定された格子点(緯度・経度、高度などで指定)が検索条件2として設定される。

0060

さらに、過去気象予報データ抽出部551は、気象予報シナリオ過去データ範囲の取得開始日と取得終了日を検索条件3として設定する(ステップS35)。上で述べた(4)で指定された取得開始日と取得終了日が検索条件3として設定される。

0061

そして、過去気象予報データ抽出部551は、需要予測対象日時及び利用する気象予報シナリオ配信日から予報間隔を算出し、検索条件4として設定する(ステップS37)。図14を用いて予報間隔について説明する。図14においては、左から右に時間が流れているものとする。現在T1のタイミングであるとして、T3は需要予測対象日時として指定される。また、T2が気象予報シナリオ配信日(具体的には一日における配信時刻)として指定される。そうすると、需要予測対象日時における需要予測を行うためには、気象予報シナリオ配信日T2において配信される一連将来時刻の気象予報のうち(T3−T2)後の気象予報を取得する必要がある。もし該当する時刻の気象予報が存在しない場合には、最も近い時刻の気象予報を特定する必要がある。この(T3−T2)を、予報間隔とする。以下の需要予測モデル生成処理においても、気象予報シナリオ過去データ範囲(取得開始日から取得終了日までの各日)を配信日として、予報間隔後の時刻における気象予報シナリオのデータを用いることによって、適切な需要予測モデルの係数値を算出する。従って、この予報間隔を検索条件4とする。

0062

その後、過去気象予報データ抽出部551は、検索条件1乃至4をAND条件として、数値気象予報データ格納部54に格納されているデータから、需要予測モデル生成に利用する気象予報データを抽出して、抽出過去気象予報データ格納部552に格納する(ステップS39)。

0063

このようにして、需要予測モデル生成に利用する気象予報データのみが抽出されることとなる。

0064

図12の説明に戻って、次に、過去電力需要実績データ抽出部553は、過去電力需要実績データ抽出処理を実施する(ステップS23)。この過去電力需要実績データ抽出処理については図15を用いて説明する。

0065

まず、過去電力需要実績データ抽出部553は、抽出過去気象予報データ格納部552に格納されている気象予報データを用いて予測対象日時を算出する(図15:ステップS41)。この処理については、図16を用いて説明する。図16のテーブルにおいて、予報配信日の欄には、気象予報シナリオ過去データ範囲の開始日から終了日まで列挙されており、予報対象日時の欄には、予報間隔(例えば+120時間)後の日時が登録されている。すなわち、予報配信日の固定の予報配信時刻に予報間隔を加算して得られる日時を算出する。この日時が、ユーザによって需要予測対象日時及び気象予報シナリオ配信日で指定された予測態様に従った過去の予測対象日時となる。このようにして得られた過去の予測対象日時に対応する電力需要実績データを抽出する。

0066

よって、過去電力需要実績データ抽出部553は、電力需要実績データ格納部53から、過去予測対象日時に対応する電力需要実績データを抽出し、抽出電力需要実績データ格納部554に格納する(ステップS43)。

0067

このようにして、電力需要実績データについても必要なデータのみが抽出されることとなる。

0068

図12の説明に戻って、次に、係数算出部555は、気象予報データ加工処理を実施する(ステップS25)。この処理は、需要予測モデル(2)乃至(4)で頻繁に用いられる中央値Xk^及び中央値からの偏差ΔXk,iを予め算出する処理である。

0069

この気象予報データ加工処理については、図17乃至図19を用いて説明する。図17で示すように、係数算出部555は、中央値算出処理を実施し、処理結果を抽出過去気象予報データ格納部552に格納する(ステップS51)。さらに、偏差算出処理を実施し、処理結果を抽出過去気象予報データ格納部552に格納する(ステップS53)。

0070

図18を用いて中央値算出処理について説明する。係数算出部555は、抽出過去気象予報データ格納部552を参照して、需要予測モデル生成で利用する気象予報の格子点の数をmに代入する(ステップS61)。また、抽出過去気象予報データ格納部552を参照して、抽出されている気象予報データにおける総シナリオ数をnに代入する(ステップS63)。さらに、カウンタkを1に初期化する(ステップS65)。

0071

そして、係数算出部555は、抽出過去気象予報データ格納部552に格納されている抽出された過去気象予報データから格子点kの全気象予報シナリオ値{Xk,1,Xk,2,..Xk,n}を抽出する(ステップS67)。また、抽出した気象予報シナリオ値を昇順にソートする(ステップS69)。その結果として、nが奇数の場合には(n+1)/2番目の値を中央値として特定し、nが偶数の場合にはn/2+1番目の値を格子点kの中央値として特定し、抽出過去気象予報データ格納部552に格納する(ステップS71)。

0072

その後、係数算出部555は、kを1インクリメントして(ステップS73)、k≦mであるか判断する(ステップS75)。この条件を満たす場合にはステップS67に戻る。一方、この条件を満たさなくなった場合には、元の処理に戻る。なお、これらの一連の処理は抽出した全ての日のデータに対して日毎に実施するものである。

0073

さらに、図19を用いて偏差算出処理について説明する。係数算出部555は、カウンタkを1に初期化し(ステップS81)、カウンタiを1に初期化する(ステップS83)。そして、抽出された過去気象予報データから格子点kのi番目の気象予報シナリオ値を抽出する(ステップS85)。そして、抽出過去気象予報データ格納部552から格子点kの中央値を取得し(ステップS87)、i番目の気象予報シナリオ値と中央値との差を、偏差ΔXk,iとして算出し、抽出過去気象予報データ格納部552に格納する(ステップS89)。その後、iを1インクリメントする(ステップS91)。そして、i≦nであるか判断する(ステップS93)。nは総シナリオ数である。iがこの条件を満たしている場合には、ステップS85に戻る。一方、iがこの条件を満たさなくなった場合には、kを1をインクリメントする(ステップS95)。そして、k≦mであるか判断する(ステップS97)。この条件を満たす場合にはステップS83に戻る。一方、この条件を満たさなくなった場合には元の処理に戻る。なお、これらの一連の処理は抽出した全ての日のデータに対して日毎に実施するものである。

0074

図12の説明に戻って、係数算出部555は、引き続き需要予測モデル生成処理を実施する(ステップS27)。この需要予測モデル生成処理については、図20乃至図27を用いて説明する。

0075

まず、係数算出部555は、指定需要予測モデル種別(例えば(3)式など)を特定する(ステップS101)。また、指定処理アルゴリズム(例えばLP法又はランダム法)を特定する(ステップS103)。さらに、指定制御パラメータなどを特定する(ステップS105)。目的関数、制約条件、終了条件等各種の制御パラメータを特定する。そして、指定処理アルゴリズムがLP法であれば(ステップS106:Yesルート)、抽出過去気象予報データ格納部552から気象予報データを読み出し、抽出電力需要実績データ格納部554から需要実績データを読み出し(ステップS107)、LP法による需要予測モデル係数推定処理を実施する(ステップS109)。

0076

LP法による係数推定法では、以下で述べるように、制約条件によって需要実績値が需要予測範囲を超えることの無いように需要予測モデルの係数を推定するものである。すなわち、図7の時刻t1及びt3のように需要予測範囲の幅が狭くなりすぎないように係数を推定している。また、以下で述べるような目的関数を採用して、目的関数を最小化するということは、需要予測の振れ幅を、制約条件の範囲内でできるだけ小さく狭めるように働く。従って、トータルとしてLP法を採用することによって、需要予測幅の上下限需要実績が発生する範囲の上下限幅と可能な限り一致するような需要予測モデルが求められる。このようにして生成された需要予測モデルを用いて予測計算を実施した場合には、将来の需要予測値の高め側最大値、低め側最小値の目安情報を得ることができるようになる。

0077

一方、指定処理アルゴリズムがランダム法であれば(ステップS106:Noルート)、係数算出部555は、抽出過去気象予報データ格納部552から気象予報データを読み出し、抽出電力需要実績データ格納部554から需要実績データを読み出し(ステップS111)、ランダム法による需要予測モデル係数推定処理を実施する(ステップS113)。

0078

ランダム法による係数推定法では、生成された需要予測モデルによって得られるそれぞれの需要予測シナリオに確率を与えることが可能となる。例えば、需要予測モデルを生成する際には、需要予測値の上側5番目、下側5番目が、それぞれ上側10%、下側10%の確率点となるように目的関数を設定すれば、生成された需要予測モデルから算出される需要予測値は、設定に従った分布を有するようになる。

0079

上で述べた処理フローでは、LP法又はランダム法のいずれかを実施することになっているが、両方を実施するようにしても良い。

0080

以下、それぞれの方法について詳述する。

0081

(A)LP法
LP法による需要予測モデル係数推定処理について図21及び図22を用いて説明する。まず、係数算出部555のLP法処理部5551は、需要予測設定入力部57によって入力されたデータに従って、指定需要予測モデルに対応する目的関数を設定する(ステップS121)。例えば、(3)式の需要予測モデルを採用する場合には、以下のような目的関数を設定し、Jを最小化する。

0082

Jを最小化するということは、需要予測の幅をできる限り狭くするように働く。

0083

(2)式や(4)式を採用する場合には、それぞれの式の気象シナリオの偏差に関わる係数であるbk,ck,dk,ek,fkを変数としてこの目的関数の形を同じように変えればよい。

0084

次に、LP法処理部5551は、需要予測設定入力部57によって入力されたデータに従って、指定需要予測モデルに対する制約条件1及び2を設定する(ステップS123)。例えば、(3)式を採用する場合には、以下のような制約条件を設定する。

0085

0086

0087

(8)式は、過去の気象予報と需要予測値の関係において、日(d)毎に複数得られる需要予測値の最大値を実際の需要実績値Y(d)が超過することを許さないという制約に相当する。ΔXk,imax_d(d)の添え字imax_dは、d日において需要予測値が最大となるであろう需要予測シナリオ(対応する気象予測シナリオ)の番号を表す。この番号の与え方については、以下で述べる。

0088

(9)式は、過去の気象予報と需要予測値の関係において、日(d)毎に複数得られる需要予測値の最小値を実際の需要予測値Y(d)が下回ることを許さないという制約に相当する。ΔXk,imin_d(d)の添え字imin_dは、d日において需要予測値が最小となるであろう需要予測シナリオ(対応する気象予測シナリオ)の番号を表す。この番号の与え方については、以下で述べる。

0089

(8)及び(9)式は、抽出された需要実績値の各日についての制約式となる。従って、例えば30日分の過去データを抽出した場合には、(8)式及び(9)式それぞれについて30本ずつとなる。

0090

(2)式や(4)式を採用する場合には、この制約条件の値を同じように変えればよい。

0091

さらに、LP法処理法5551は、制約条件3を、a≧0に設定する(ステップS125)。LP法では、係数値は、正又は負(処理上は負の場合には係数にマイナスをかけ、正の条件にして解く)のいずれか一方でなければならない。このため、本処理では、正及び負のいずれについても処理を実施し、目的関数の値が最も小さくなる方の係数値を需要予測式の係数とする。ここでは、正とする。

0092

その後、LP法処理部5551は、制約条件1の2つのインデックスimax_d及びimin_dを仮設定する(ステップS127)。本来imax_d及びimin_dは需要予測モデルの係数が得られた後に定まる値である。このため、本処理では、まず初期値として各日の最大需要予測値、最小需要予測値を算出する需要予測シナリオ(気象予報シナリオに対応する需要予測値)の番号を仮設定する。具体的には、夏季において気温が高いほど高い需要が、低いほど低い需要が発生するため、最も高気温の気象予報シナリオの番号をimax_dと設定し、最も低い気温の気象予報シナリオの番号をimin_dと設定する。なお、格子点として複数地点を選んだ場合には、以下で述べる式のように、選んだ地点の気象予報シナリオにおける気象要素(気温)を平均し、平均後に最も高気温の気象予報シナリオの番号をimax_dと設定し、最も低気温の気象予報シナリオの番号をimin_dと設定する。

0093

0094

仮設定に基づき、LP問題として係数a,bk,ck,dkを求める。その後、求められた係数値を基に各日の需要予測値の中から最大値及び最小値を特定する。この最大値及び最小値に対応した需要予測シナリオを新たにimax_d及びimin_dとおき、再度LP問題として係数a,bk,ck,dkを求める。これらを繰り返し制約条件を満たし且つ目的関数を最小化する係数を求めて行く。なお、imax_d及びimin_dを設定した後の係数推定処理には単体法(関根、「数理計画法」、岩波書店、1976年を参照のこと。)などのLP専用手法を利用する。

0095

そして、LP法処理部5551は、目的関数及び制約条件を単体法ルーチンで処理して係数を算出し、メインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS129)。単体法ルーチンについては、周知であるからここでは説明を省略する。

0096

その後、LP法処理部5551は、算出された係数を用いて指定需要予測モデル式で各日の需要予測値を気象予報シナリオ毎に算出し、メインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS131)。そして、各日について最大需要予測値及び最小需要予測値を特定する(ステップS133)。さらに、各日について制約条件1(すなわち、(8)及び(9)式)が成立しているか判断する(ステップS135)。処理は端子Aを介して図22の処理に移行する。

0097

図22の処理の説明に移行して、LP法処理部5551は、ステップS133で特定された結果が制約条件1を逸脱したか判断する(ステップS137)。逸脱している場合には、各日について、最大需要予測を生じさせた気象予報シナリオの番号でimax_dを、最小需要予測を生じさせた気象予報シナリオの番号でimin_dを設定する(ステップ139)。そして処理は端子Bを介してステップS129に戻る。

0098

一方、制約条件1を逸脱していないと判断された場合には、LP法処理部5551は、この場合の目的関数値J及び係数の値を、需要予測モデルデータ格納部59に仮に格納する(ステップS141)。そして、制約条件3が、a<0となっているか判断する(ステップS143)。a<0となっていない場合には、制約条件3をa<0に設定して(ステップS145)端子Cを介してステップS127に戻る。

0099

一方、制約条件がa<0に設定されている場合には、aについて正の場合及び負の場合について係数の値が算出されたことになるので、LP法処理部5551は、aが正の場合と負の場合の目的関数値Jを比較して、小さい方の場合の係数の値を、採用する係数の値として需要予測モデルデータ格納部59に格納する(ステップS147)。

0100

このような処理を実施することによって、上で述べたように、需要予測幅が需要実績が発生する範囲と一致するような需要予測モデルが生成されたこととなる。これによって、需要予測を行った際に得られた需要予測値の最大値及び最小値は、需要予測対象日時における高め側最大値、低め側最小値といった情報に相当するものとして取り扱うことができる。

0101

(B)ランダム法
次に、図23乃至図29を用いて、ランダム法による需要予測モデル係数推定処理について説明する。なお、ランダム法は、ランダム探索馬場和、「数理計画法入門」、共立出版社、1989年などを参照のこと)による方法である。

0102

ランダム法を具体的に述べる前に、ランダム法で使用される発生確率、累積発生確率について説明しておく。

0103

本実施の形態で利用する需要予測モデルは電力需要が発生する範囲を予測するものである。これに対して将来需要期待値を予測することを目的とした従来方式で主に用いられている最小二乗法などの手法をそのまま適用することはできない。なお、最小二乗法では予測モデルから得られる予測値と回帰データとして用いる実績値との差(残差)を特徴量として、この残差の2乗和が最小となるように予測モデルの係数を推定する。

0104

本実施の形態では従来の「残差」やその「2乗和」といった尺度ではなく、「発生度数」「発生確率」「累積発生確率」などの指標を需要予測モデルの係数推定のために新たに定義し、その上で過去データを用いて需要予測モデルの係数を求める。

0105

これらの指標については前処理として図23で説明するように算出される。まず、ランダム法処理部5553は、抽出過去気象予報データ格納部552に格納されている気象予報データの中で最も過去の日の気象予報シナリオn個を抽出すると共に、該当日の需要実績値を抽出電力需要実績データ格納部554から抽出する(ステップS201)。この段階では、例えば図24(a)のように、n個の気象予報シナリオが抽出される。

0106

そして、ランダム法処理部5553は、気象予報シナリオn個を需要予測モデル(ここでは係数値が決定されているものとする)に対して適用して、n個の需要予測値を算出し、例えばメインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS203)。この段階では、例えば図24(b)のように、n個の需要予測値が算出される。そして、算出されたn個の需要予測値をソートする(ステップS205)。この段階では、図24(c)に示すように降順にソートされる。

0107

さらに、ランダム法処理部5553は、抽出した需要実績値と、ソート後の需要予測値とを比較する(ステップS207)。例えば図24(d)に示すように、需要実績値が7950であれば、図24(c)に示したソート後の需要予測値と比較すると、第2順位の8152と、第3順位の7895の間であることが分かる。

0108

そして、ランダム法処理部5553は、抽出された需要実績値の発生位置を特定し、発生頻度分布テーブル(図24(e))における度数更新する(ステップS209)。ステップS207では、第2順位と第3順位の間に需要実績値が該当するので、発生位置は3と特定され、図24(e)に示すように、発生位置3の度数が1インクリメントされる。図24(e)の例では20が21になる。なお、発生位置は、第1順位より大きい場合に発生位置1、第1順位と第2順位の間の場合に発生位置2、...第n−1順位と第n順位の間の場合に発生位置n、第n順位より小さい場合に発生位置n+1となる。

0109

その後、ランダム法処理部5553は、抽出過去気象予報データ格納部552に格納されているデータにおいて全ての日について処理したか判断する(ステップS211)。未処理の日が存在する場合には、処理日を1日後に設定し(ステップS213)、処理日の気象予報シナリオn個を抽出過去気象予報データ格納部552から読み出し、処理日の需要実績値を抽出電力需要実績データ格納部554から抽出する(ステップS215)。そしてステップS203に戻る。

0110

例えば図24(f)のように、n個の気象予報シナリオが新たに抽出された場合には、図24(g)のように、各気象予報シナリオに対して需要予測値が算出される。そして、図24(h)のように、需要予測値をソートして、図24(i)に示すような需要実績値と比較する。この場合、需要予測値3800は、第1順位より大きいので、発生位置1と特定され、図24(j)に示すように、発生位置1の度数を1インクリメントする。

0111

このような処理を繰り返すと、発生位置毎に度数が特定される。

0112

そして、全ての日について処理した場合には、ランダム法処理部5553は、発生頻度分布テーブルにおいて、発生確率、上側累積発生確率、下側累積発生確率を算出し、登録する(ステップS217)。

0113

発生確率Piは、以下の(11)式で表される。

0114

Xiは発生頻度テーブルにおける発生位置iの度数(発生頻度)である。

0115

上側累積発生確率Uiは、以下の(12)式で表される。

0116

0117

下側累積発生確率Liは、以下の(13)式で表される。

0118

0119

ステップS217を実行することによって、図25に示されるような発生頻度分布テーブルが生成され、例えば需要予測モデルデータ格納部59に格納される。図25の例では、発生位置毎に、発生度数Xi、発生確率Pi、上側累積発生確率Ui、下側累積発生確率Liが登録されるようになっている。

0120

このような前提の下、ランダム法による需要予測モデル係数推定処理を説明する。ランダム法処理部5553は、需要予測設定入力部57によって入力されたデータに従って、目的関数を設定する(図26:ステップS151)。

0121

発生確率についての目的関数を採用する場合には、例えば以下のような目的関数を設定する。

0122

Piは、需要実績値が、ソート後の需要予測シナリオにおける発生位置iに発生した確率を表す。Ptarget,iは、上記発生確率の目標値(例えば、Ptarget,i=1/(n+1)×100)を表す。wiは、重み係数を表す。なお、Ptarget,i=1/(n+1)×100は、需要予測モデルから得られる需要予測シナリオの発生確率が等しくなるように需要予測モデルの係数を求める場合に設定される。また、この際wiはiによらず固定値(例えば1)とする。

0123

(14)式を用いるのは、需要予測モデルで得られる需要予測値の確率分布を、目標の形状となるようにする場合である。

0124

一方、累積確率についての目的関数を採用する場合には、例えば以下のような目的関数を設定する。

0125

Uiは、需要実績値がソート後の需要予測シナリオにおける上位i番目の値を超えた確率を表す。Liは、需要実績値がソート後の需要予測シナリオにおける下位i−1番目の値以下となった確率を表す。Utarget,iは、Uiの目標値を表す。さらに、Ltarget,iは、Liの目標値を表す。wi及びviは重み係数を表す。

0126

例えばUtarget,iは、以下のように設定される。

0127

nはシナリオの数である。

0128

例えばLtarget,iは、以下のように設定される。

0129

nはシナリオの数である。

0130

本方法では、特に需要予測シナリオの高め側や低め側などのある特定順位のシナリオのみに着目し、これを例えば需要実績の上側10%確率点、下側10%確率点などと設定するような場合に適している。すなわち、危機管理などの観点から、予め定めた特定の確率点を遵守するように将来の需要予測を行う際に適している。例えば、重み係数は着目した順位の重みを1、それ以外は0とおく。なお、着目方法であるが上下一点ずつではなく複数点を指定してもよい。例えば上側5番目、10番目の順位のシナリオをそれぞれ上側10%、20%点に、下側10番目、5番目の順位のシナリオをそれぞれ、下側20%、10%点に指定するなどである。

0131

なお、上の例では目的関数は、発生確率や累積確率とその目標値との差の2乗値からなる関数であるが、2乗値に代えて絶対値を利用することも可能である。さらには制約条件を制約式として与える代わりに、以下に述べるような式のように、制約に対する逸脱量ペナルティー項として目的関数に加えるといった方法も可能である。

0132

0133

ランダム法処理部5553は、需要予測設定入力部57によって入力されたデータに従って、制約条件を設定する(ステップS153)。例えば、(10)式のような制約条件を採用する。

0134

そして、ランダム法処理部5553は、需要予測設定入力部57によって入力されたデータに従って、探索終了条件を設定する(ステップS155)。例えば、最小目的関数値Jmin及び探索上限回数Nmaxを設定する。また、カウンタNを1に初期化する(ステップS157)。

0135

さらに、ランダム法処理部5553は、係数初期値を設定する(ステップS159)。係数初期値には、例えば予め定められた一定範囲内からランダムに与えるようにしても良い。また、一旦LP法などで係数値を算出して用いるようにしても良い。

0136

その後、ランダム法処理部5553は、図23に示した前処理を実施する(ステップS161)。係数初期値を指定需要予測モデルに代入して計算を行う。さらに、前処理の結果である発生頻度分布テーブルを用いて、目的関数値J0を算出し、例えばメインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS163)。

0137

また、ランダム法処理部5553は、係数値の変更量をランダムに生成し、係数値に加算する(ステップS165)。例えば、正規分布乱数を発生させて、元の係数値に加算する。例えばΔa,Δbk,Δck,Δdkを生成し、a+Δa,bk+Δbk,ck+Δck,dk+Δdkを算出する。そして、このように算出された係数値は、係数値に関する制約条件(例えば(10)式)を満たしているか判断する(ステップS167)。制約条件を満たしていない場合には、係数値を元に戻し(ステップS169)、ステップS165に戻る。一方、制約条件を満たしている場合には、端子Dを介して図27の処理に移行する。

0138

さらに、ランダム法処理部5553は、抽出過去気象予報データ格納部552に格納されているデータ並びに算出された係数値及び指定需要予測モデルを用いて需要予測値を算出し、例えばメインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS170)。そして、算出された需要予測値を用いて、前処理を実施する(ステップS171)。さらに、前処理によって生成された発生頻度分布テーブルを用いて、目的関数値J1を算出し、例えばメインメモリなどの記憶装置に格納する(ステップS173)。そして、J1<J0であるか判断する(ステップS175)。J1<J0は、目的関数の値が改善しているか判断するものである。J1<J0でない場合には端子Eを介してステップS169を経由し係数値を1ステップ前に戻した上でステップS165に戻る。

0139

一方J1<J0である場合には、ランダム法処理部5553は、J0=J1として設定し、さらにNを1インクリメントする(ステップS177)。その後、探索終了条件を満たしたか判断する(ステップS179)。すなわちJがJminに達したか、NがNmaxに達したか判断し、両方達していない場合には、ステップS165で生成した変更量を、さらに係数値に加算して(ステップS181)、ステップS170に戻る。

0140

一方、JがJminに達したか、又はNがNmaxに達した場合には、ランダム法処理部5553は、ステップS165で算出された係数値を、需要予測モデルデータ格納部59に格納する(ステップS183)。

0141

以上のように処理すれば需要予測モデルが目的に応じた形で生成されるようになる。

0142

次に、図28を用いて、ステップS13で表示される画面の一例を説明する。図28では、LP法もランダム法も両方とも実施した場合の画面例を示す。図28の例では、需要予測対象日と、確率情報と、個別予測結果(LP法)と、個別予測結果(ランダム法)とが表示されるようになっている。確率情報には、LP法を使用した場合における需要上限値と需要下限値とが含む。また、ランダム法を使用した場合における上側10%点の需要予測値と下側10%の需要予測値とを含む。さらに、個別予測結果については、降順にソートされた需要予測値が列挙されている。

0143

なお、ランダム法だけ又はLP法だけの場合には、該当するデータのみを表示するようにしても良い。さらに、個別予測結果については、全てのシナリオについて表示する必要はない。

0144

さらに、連続的に需要予測対象日時を設定して、連続して需要予測値を算出するようにしてもよい。その場合には、図29に示すような需要予測値のカーブとして表示することも可能になる。

0145

以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、LP法とランダム法を用いる例を示したが、他の方法を採用するようにしても良い。また、目的関数や制約条件については、その目的に応じて変更することも可能である。

0146

さらに、図1及び図3で示した機能ブロック図は一例であって、必ずしも実際のプログラムモジュール構成と一致しない場合がある。さらに図1では、電力需要予測装置5は、ネットワーク1及び7に接続されていることを前提としているが、ネットワークに接続せずに、CD−ROMなどの記憶媒体経由でデータを取得するようにしても良い。

0147

また、本発明は電力需要の予測だけではなく、風力発電量の予測や太陽光発電量の予測などの分散電源発電出力予測などにも応用可能である。すなわち、電力需要に関するデータの代わりに、発電量のデータ(発電実績値や発電予測値)を用いて上で述べたような処理を実施すればよい。また電力取引などにおいて需要と電力価格相関を示す際には価格予測への応用が可能である。

0148

なお、需要予測装置5、気象予報サーバ3などはコンピュータ装置であって、図30に示すように当該コンピュータ装置においては、メモリ2501(記憶部)とCPU2503(処理部)とハードディスク・ドライブ(HDD)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブルディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS)及びWebブラウザを含むアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。必要に応じてCPU2503は、表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、必要な動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、メモリ2501に格納され、必要があればHDD2505に格納される。このようなコンピュータは、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及び必要なアプリケーション・プログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。なお、コンピュータ装置は複数台のコンピュータによって構成される場合もある。

図面の簡単な説明

0149

本発明の実施の形態に係るシステムの概要図である。
数値気象予報データを説明するための概念図である。
需要予測モデル生成部の機能ブロック図である。
本発明の実施の形態におけるメインフローを示す図である。
電力需要実績データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
数値気象予報データ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
複数気象予報シナリオに基づいた予測の一例を示す図である。
需要予測式のバイアス調整について説明するための図である。
需要予測式のバイアス調整について説明するための図である。
需要予測式を説明するための図である。
需要予測式を説明するための図である。
需要予測モデル生成処理の処理フローを示す図である。
過去気象予報データ抽出処理の処理フローを示す図である。
予報間隔の算出を説明するための図である。
過去電力需要実績データ抽出処理の処理フローを示す図である。
抽出すべき需要実績値の日時の算出を説明するための図である。
気象予報データ加工処理の処理フローを示す図である。
中央値算出処理の処理フローを示す図である。
偏差算出処理の処理フローを示す図である。
需要予測モデル生成処理の処理フローを示す図である。
LP法による需要予測モデル係数推定処理の処理フローを示す図である。
LP法による需要予測モデル係数推定処理の処理フローを示す図である。
前処理の処理フローを示す図である。
発生頻度分布テーブルの生成について説明するための図である。
発生頻度分布テーブルの一例を示す図である。
ランダム法による需要予測モデル係数指定処理の処理フローを示す図である。
ランダム法による需要予測モデル係数指定処理の処理フローを示す図である。
需要予測結果の表示例を示す図である。
需要予測結果の他の表示例を示す図である。
コンピュータの機能ブロック図である。

符号の説明

0150

1,7ネットワーク3気象予報サーバ
5電力需要予測装置7電力計測データ収集装置
9 電力計測データ収集装置 11電力データ計測装置
31数値気象予報生成部 33 数値気象予報配信部
51インターフェース部 53電力需要実績データ格納部
54 数値気象予報データ格納部
55需要予測モデル生成部 57需要予測設定入力部
59 需要予測モデルデータ格納部 61最新数値気象予報データ格納部
63需要予測シナリオ計算部 65 需要予測シナリオデータ格納部
67 需要予測シナリオ出力部
511 電力需要実績データ受信部 513 数値気象予報データ受信部

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