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技術 磁気ヘッドの評価方法および磁気ディスク装置とその製造方法

出願人 富士通株式会社
発明者 安永昌弘良波睦男
出願日 2008年3月18日 (12年11ヶ月経過) 出願番号 2008-070078
公開日 2009年10月1日 (11年4ヶ月経過) 公開番号 2009-224002
状態 未査定
技術分野 磁気ヘッド5(磁束感知ヘッド) 磁気ヘッドの保護、清掃、試験、消磁
主要キーワード 被評価対象 平面螺旋 近似波形 正常波 異常波形 評価特性 上下非対称性 周期波形
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

従来の評価方法では定量的に評価・選別することが困難であった、磁気ディスク装置組み込み後出力特性が不安定となる可能性の高い磁気ヘッドを選別することが可能な磁気ヘッドの評価方法を提供し、従来の評価方法と組み合わせて製造工程に適用することによって、出力特性の安定した信頼性の高い磁気ディスク装置および当該製造方法を提供する。

解決手段

本発明に係る磁気ヘッドの評価方法は、再生ヘッド部に磁気抵抗効果型再生素子を備える磁気ヘッドの評価方法であって、前記磁気抵抗効果型再生素子のQST波形を測定する工程と、前記QST波形の直進性の判定を行う工程と、前記QST波形が直進性を有しない前記磁気ヘッドを「安定性無し」と評価する工程と、を備える。

概要

背景

磁気ディスク等の磁気媒体用の磁気ヘッドとして、例えば再生ヘッド部にGMR(Giant Magnetoresistance)素子等の磁気抵抗効果型再生素子を用いた磁気ヘッドが実用化されている。
しかし、磁気ヘッドは、磁性薄膜磁気抵抗効果を利用したものであり、磁気媒体との相対速度に依存することなく大きな再生出力を得ることができる反面、出力が変動する不良品が生ずる点が問題となっている。すなわち、出力変動を誘発する磁気ヘッドは、正常な再生動作が期待できないため、製造工程における評価試験によって、排除される必要がある。

しかしながら、磁気ディスク装置への搭載後に出力変動が生ずる等、特性が不安定となる磁気ヘッドを、装置搭載前に、且つ定量的に把握することができなかったため、その評価方法が課題となっていた。

そのような中で、従来の磁気ヘッドの評価方法としては、QST(Quasi Static Test:擬似静特性テスト)測定が一般に利用されている。QST測定は、磁気ヘッドの再生出力特性および磁気的安定性を、磁気ディスク装置への組み込み前に、磁気記録媒体を介さずに評価する手法である。より具体的には、磁気ヘッド(磁気抵抗効果素子)にセンス電流通電した状態で、一定周期外部磁界印加して、該磁気ヘッドの素子電圧−外部磁界特性曲線(V−H曲線)を得る。そして、得られたV−H曲線(以下「QST波形」という)に基づき、再生出力特性、再生出力の磁気対称性(Asym)、極性(Polarity)、ノイズバルクハウゼンノイズ)等の観点から、規格内であるか規格外であるかを判定する方法である。

ただし、QST波形は様々な曲線形状となり得るため、その評価が難しく、評価者目視により判定するといった方法も行われている。そのため、QST波形を客観的に評価し、且つ評価精度を向上させる従来技術として、特許文献1記載の方法が提案されている。
これによれば、磁気抵抗効果型素子外部磁場を印加する入力信号と磁気抵抗効果型素子の磁気抵抗変化出力信号とからX−Yグラフを作成し、このX−Yグラフの波形データ(QST波形)を、例えば、最小二乗法により演算処理して、近似波形を作成し、この近似波形のR二乗、元の波形データと近似波形の差、および近似波形の行き帰りヒステリシスを計算することにより、評価特性数値化することができ、このため、目視によることなく、客観的に高精度で信頼性の高い特性評価が可能になるというものである。

特開2000−340861号公報

概要

従来の評価方法では定量的に評価・選別することが困難であった、磁気ディスク装置組み込み後出力特性が不安定となる可能性の高い磁気ヘッドを選別することが可能な磁気ヘッドの評価方法を提供し、従来の評価方法と組み合わせて製造工程に適用することによって、出力特性の安定した信頼性の高い磁気ディスク装置および当該製造方法を提供する。本発明に係る磁気ヘッドの評価方法は、再生ヘッド部に磁気抵抗効果型再生素子を備える磁気ヘッドの評価方法であって、前記磁気抵抗効果型再生素子のQST波形を測定する工程と、前記QST波形の直進性の判定を行う工程と、前記QST波形が直進性を有しない前記磁気ヘッドを「安定性無し」と評価する工程と、を備える。

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされ、従来の評価方法では定量的に評価・選別することが困難であった、磁気ディスク装置組み込み後に出力特性が不安定となる可能性の高い磁気ヘッドを選別することが可能な磁気ヘッドの評価方法を提供し、従来の評価方法と組み合わせて製造工程に適用することによって、出力特性の安定した信頼性の高い磁気ディスク装置および当該製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

再生ヘッド部に磁気抵抗効果型再生素子を備える磁気ヘッド評価方法であって、前記磁気抵抗効果型再生素子のQST波形を測定する工程と、前記QST波形の直進性の判定を行う工程と、前記QST波形が直進性を有しない前記磁気ヘッドを「安定性無し」と評価する工程と、を備えることを特徴とする磁気ヘッドの評価方法。

請求項2

前記QST波形の直進性の判定を行う工程は、前記QST波形の微分値を算出する工程と、前記微分値の最大値最小値との差分値を算出する工程と、前記差分値が所定のしきい値以上となる前記QST波形を「直進性を有しない」と判定する工程と、を備えることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッドの評価方法。

請求項3

再生ヘッド部に磁気抵抗効果型再生素子を備える磁気ヘッドが組み込まれる磁気ディスク装置の製造方法であって、前記磁気抵抗効果型再生素子のQST波形を測定する工程と、前記QST波形の直進性の判定を行う工程と、前記QST波形の出力軸方向の対称性の判定を行う工程と、前記QST波形が直進性を有さず且つ出力軸方向の対称性を有しない前記磁気ヘッドを選別し、排除する工程と、を備えることを特徴とする磁気ディスク装置の製造方法。

請求項4

前記QST波形の直進性の判定を行う工程は、前記QST波形の微分値を算出する工程と、前記微分値の最大値と最小値との差分値を算出する工程と、前記差分値が所定のしきい値以上となる前記QST波形を「直進性を有しない」と判定する工程と、を備えることを特徴とする請求項3記載の磁気ディスク装置の製造方法。

請求項5

再生ヘッド部に磁気抵抗効果型再生素子を備える磁気ヘッドが組み込まれる磁気ディスク装置であって、前記磁気抵抗効果型再生素子のQST波形が直進性を有し且つ出力軸方向の対称性を有する前記磁気ヘッドが組み込まれることを特徴とする磁気ディスク装置。

請求項6

前記QST波形は、該QST波形の微分値の最大値と最小値との差分値が所定のしきい値未満となる場合に、「直進性を有する」とされることを特徴とする請求項5記載の磁気ディスク装置。

技術分野

0001

本発明は、磁気ヘッド評価方法および磁気ディスク装置とその製造方法に関し、さらに詳細には、再生ヘッド部に磁気抵抗効果型再生素子を備える磁気ヘッドの評価方法、およびその方法を適用して製造される磁気ディスク装置、当該製造方法に関する。

背景技術

0002

磁気ディスク等の磁気媒体用の磁気ヘッドとして、例えば再生ヘッド部にGMR(Giant Magnetoresistance)素子等の磁気抵抗効果型再生素子を用いた磁気ヘッドが実用化されている。
しかし、磁気ヘッドは、磁性薄膜磁気抵抗効果を利用したものであり、磁気媒体との相対速度に依存することなく大きな再生出力を得ることができる反面、出力が変動する不良品が生ずる点が問題となっている。すなわち、出力変動を誘発する磁気ヘッドは、正常な再生動作が期待できないため、製造工程における評価試験によって、排除される必要がある。

0003

しかしながら、磁気ディスク装置への搭載後に出力変動が生ずる等、特性が不安定となる磁気ヘッドを、装置搭載前に、且つ定量的に把握することができなかったため、その評価方法が課題となっていた。

0004

そのような中で、従来の磁気ヘッドの評価方法としては、QST(Quasi Static Test:擬似静特性テスト)測定が一般に利用されている。QST測定は、磁気ヘッドの再生出力特性および磁気的安定性を、磁気ディスク装置への組み込み前に、磁気記録媒体を介さずに評価する手法である。より具体的には、磁気ヘッド(磁気抵抗効果素子)にセンス電流通電した状態で、一定周期外部磁界印加して、該磁気ヘッドの素子電圧−外部磁界特性曲線(V−H曲線)を得る。そして、得られたV−H曲線(以下「QST波形」という)に基づき、再生出力特性、再生出力の磁気対称性(Asym)、極性(Polarity)、ノイズバルクハウゼンノイズ)等の観点から、規格内であるか規格外であるかを判定する方法である。

0005

ただし、QST波形は様々な曲線形状となり得るため、その評価が難しく、評価者目視により判定するといった方法も行われている。そのため、QST波形を客観的に評価し、且つ評価精度を向上させる従来技術として、特許文献1記載の方法が提案されている。
これによれば、磁気抵抗効果型素子外部磁場を印加する入力信号と磁気抵抗効果型素子の磁気抵抗変化出力信号とからX−Yグラフを作成し、このX−Yグラフの波形データ(QST波形)を、例えば、最小二乗法により演算処理して、近似波形を作成し、この近似波形のR二乗、元の波形データと近似波形の差、および近似波形の行き帰りヒステリシスを計算することにより、評価特性数値化することができ、このため、目視によることなく、客観的に高精度で信頼性の高い特性評価が可能になるというものである。

0006

特開2000−340861号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、前述のように、QST測定に基づくAsym(上下非対称性)値が、磁気抵抗効果型素子の一般的な「安定性」指標として従来より用いられているが、±最大磁場での出力電圧の変化量を求めたものであって、印加磁場に対応したQST波形の直進性(安定性と相関(後述))が定量的に表わされないため、評価手法としては不十分であると考えられる。

0008

このような背景の下、本願発明者らは、QST測定において印加される磁場周期に対する出力波形(QST波形)を微分し、その最大値最小値との差分値(傾き)を算出することにより、QST波形の直進性すなわち磁気抵抗効果型素子の安定性を評価・選別することが可能となる点を見出した。

0009

本発明は、上記事情に鑑みてなされ、従来の評価方法では定量的に評価・選別することが困難であった、磁気ディスク装置組み込み後出力特性が不安定となる可能性の高い磁気ヘッドを選別することが可能な磁気ヘッドの評価方法を提供し、従来の評価方法と組み合わせて製造工程に適用することによって、出力特性の安定した信頼性の高い磁気ディスク装置および当該製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。

0011

この磁気ヘッドの評価方法は、再生ヘッド部に磁気抵抗効果型再生素子を備える磁気ヘッドの評価方法であって、前記磁気抵抗効果型再生素子のQST波形を測定する工程と、前記QST波形の直進性の判定を行う工程と、前記QST波形が直進性を有しない前記磁気ヘッドを「安定性無し」と評価する工程と、を備えることを要件とする。

0012

また、この磁気ディスク装置の製造方法は、再生ヘッド部に磁気抵抗効果型再生素子を備える磁気ヘッドが組み込まれる磁気ディスク装置の製造方法であって、前記磁気抵抗効果型再生素子のQST波形を測定する工程と、前記QST波形の直進性の判定を行う工程と、前記QST波形の出力軸方向の対称性の判定を行う工程と、前記QST波形が直進性を有さず且つ出力軸方向の対称性を有しない前記磁気ヘッドを選別し、排除する工程と、を備えることを要件とする。

0013

また、この磁気ディスク装置は、再生ヘッド部に磁気抵抗効果型再生素子を備える磁気ヘッドが組み込まれる磁気ディスク装置であって、前記磁気抵抗効果型再生素子のQST波形が直進性を有し且つ出力軸方向の対称性を有する前記磁気ヘッドが組み込まれることを要件とする。

0014

なお、前記QST波形の直進性の判定は、前記QST波形の微分値を算出する工程と、前記微分値の最大値と最小値との差分値を算出する工程と、前記差分値が所定のしきい値以上となる前記QST波形を「直進性を有しない」と判定する工程と、を備えて実施されることを要件とする。

発明の効果

0015

QST波形の「直進性」を判定することで、磁気ヘッドの「安定性」を評価することが可能となる。特に、特にQST波形の直進性を定量的に評価することができる。
さらに、従来の評価手法では選別できなかった不安定な磁気ヘッドを選別できるため、当該従来手法と組み合わせて磁気ディスク装置の製造工程に適用することによって、特性が不安定となり易い磁気ヘッドを当該磁気ディスク装置に組み込まれる前に、選別・排除することが可能となり、その結果、出力の安定した信頼性の高い磁気ディスク装置を提供することが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0016

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る評価方法の評価対象であると共に、本実施の形態に係る製造方法の実施対称である磁気ヘッド1の構成例を示す概略図である。図2は、QST測定により得られるQST波形の例を示す概略図であり、図2(a)は正常波形の例であり、図2(b)は異常波形の例である。図3図4は、本発明の実施の形態に係る評価方法において、測定されるQST波形(図3(a)、図4(a))および該QST波形の微分波形図3(b)、図4(b))であって、図3が正常波形の例であり、図4が異常波形の例である。図5は複数のサンプル磁気ヘッドについて、従来の評価方法で算出されるAsym値横軸に、本実施の形態に係る評価方法で算出される微分値の最大値と最小値との差分値を縦軸プロットしたデータである。図6は、QST波形に基づく従来の評価方法を説明するための説明図である。

0017

前述の通り、QST波形は、QST測定において得られる波形であるが、本実施の形態においては、磁気ヘッド(磁気抵抗効果型再生素子)に所定のセンス電流を通電した状態で−300〜+300[Oe]の周期波形の外部磁場を印加し、そのときの磁気抵抗効果型再生素子の磁気抵抗変化(素子出力)を測定して、当該外部磁場をX軸、当該磁気抵抗変化をY軸として、当該QST波形を得ている。

0018

従来は、例えば、このQST波形に基づき、出力軸すなわちY軸の方向における対称性を指標として、磁気抵抗効果型再生素子が安定なものであるか否かの評価を行っていた。より具体的には、図6に示すように、本来は原点を中心とする対称性を指標として、対称性を有するものを「安定」、対称性の無いものを「不安定」と判定するのであるが、実際には、簡易に判定を行うため、出力軸すなわちY軸の方向に着目して、以下の数式1で算出する値によって、QST波形の対称性を判定していた。

0019

0020

なお、上記の数式1から算出される値が、Asym=0のときに、当該対称性を有すると判定される。ただし、実際の評価においては、Asym値が所定のしきい値範囲内にある磁気ヘッドを、「対象性を有する」と判定しており、当該しきい値は、磁気ヘッドの構成、磁気ディスク装置の仕様等に応じて設定される。

0021

本実施の形態において、磁気ヘッドの「安定性」とは、磁気抵抗効果型再生素子の「安定性」であって、磁気ディスク装置に組み込まれた後で、磁気抵抗効果型再生素子に特性不良(出力変動)が現出する可能性の高さを指し示す指標として捉えることができる。
具体的には、磁気ディスク装置に組み込まれた後で、出力変動が現出し易い磁気ヘッドを「不安定」な磁気ヘッド、もしくは「安定性無し」の磁気ヘッドとして扱う。

0022

しかし、当該「安定性」は、これまで、定量的に評価を行う有効な方法が無かった。
加えて、磁気ヘッドが磁気ディスク装置に組み込まれた後の評価試験等の際に、強い外部磁場を印加して初めてその「不安定性」が現出することが多かったため、如何に製造工程の早い段階で、「不安定」な磁気ヘッドを選別し、排除するかが課題となっていた。逆に、再生ヘッド部の形成直後に、過度に強い磁場を印加することは、却って、素子の破壊等を生じさせる原因となり得るため、有効な評価手法とはなり得ない。

0023

本実施の形態に係る磁気ヘッドの評価方法は、磁気ヘッド(磁気抵抗効果型再生素子)の「安定性」と相関していることが見出されたQST波形の「直進性」によって当該磁気ヘッドの安定性を評価するものである。

0024

初めに、被評価対象となる磁気ヘッドの構成について、水平記録型の磁気ヘッドを例にとり説明する。ただし、あくまでも一例示に過ぎず、当該構成に限定されるものではない。
図1に示すように、磁気ヘッド1は、ハードディスクなどの磁気記録媒体へ磁気信号を書き込む記録ヘッド部3と磁気抵抗効果を利用して磁気信号を読み出す再生ヘッド部2とを有する複合型薄膜磁気ヘッドである。
再生ヘッド部2の上に記録ヘッド部3が積層され、その積層面に直交する面に浮上面5が設けられて、ヘッドスライダとして構成された後、当該浮上面5によって回転する磁気記録媒体上を浮上して記録・再生を行うものである。

0025

再生ヘッド部2の構成に関して、より具体的には、当該多層構造として、基板10上に、下部シールド層11、磁気抵抗効果型再生素子12、上部シールド層13が積層される。例えば、基板10は、Al2O3−TiC等の絶縁材料を用いて構成される。

0026

ここで、磁気抵抗効果型再生素子12は、例えば、TMR素子もしくはGMR素子を用いて構成される。これらTMR素子およびGMR素子の膜構成としては、種々の構成を採用することができる。

0027

下部シールド層11は、磁性材料軟磁性材)であるNiFeを用いて構成される。また、上部シールド層13も、下部シールド層11と同様にNiFe等の磁性材料(軟磁性材)を用いて構成される。

0028

本実施の形態においては、上部シールド層13の上層には、絶縁材料からなる磁性分離層14が設けられて、その上に記録ヘッド部3が設けられる。

0029

記録ヘッド部3の構成に関して、より具体的には、NiFe等の磁性材料からなる下部磁極15、Al2O3等の絶縁材料からなるコイル下部絶縁層16が設けられる。また、コイル下部絶縁層16上には、銅等の導電性材料からなる平面螺旋状のコイル層17が設けられ、該コイル層17の巻線間にAl2O3等の絶縁材料からなるコイル間絶縁層18が設けられる。

0030

さらにその上層として、SiO2等の絶縁材料からなるギャップ層19、レジスト等の絶縁材料からなる上部磁極盛上げ層20、NiFe等の磁性材料からなる上部磁極21、Al2O3等の絶縁材料からなる保護層22が形成される。

0031

続いて、本実施の形態に係る評価方法の手順を説明する。
まず最初に、評価対象の磁気ヘッドに対してQST測定を行う。本実施の形態では、磁気ヘッド(磁気抵抗効果型再生素子)に所定のセンス電流を通電した状態で−300〜+300[Oe]の周期波形の外部磁場を印加して、磁気抵抗効果型再生素子の磁気抵抗変化(出力電圧)を測定する。
当該測定により得られるQST波形の例を図2に示す。ここで、図2(a)は正常波形の例であり、図2(b)は異常波形の例である(詳細は後述)。

0032

次いで、得られたQST波形の直進性の判定を行う。概念的には、図2(a)に示すように、QST波形が直線に近いものを「直進性有り」とし、図2(b)に示すように、QST波形にうねりが生じているものを「直進性無し」とする。
正確なメカニズム解明には至っていないが、QST波形の「直進性」が、磁気ヘッド(磁気抵抗効果型再生素子)の「安定性」と相関していることが見出された。より具体的には、QST波形が「直進性を有しない」磁気ヘッドは、磁気ディスク装置組み込み後に出力変動を生じ易い、つまり「不安定」な特性を示す傾向にある。
したがって、QST波形が「直進性を有しない」磁気ヘッドを判定することが重要となる。

0033

ここで、本実施の形態に特徴的な構成として、QST波形の直進性の判定を行う工程を以下のように実施する。
まず、QST波形の微分値を算出する。例えば、図3(a)に示すように直進性を有するQST波形(正常波形の例)の微分波形は図3(b)となる。一方、図4(a)に示すように直進性を有しないQST波形(異常波形の例)の微分波形は図4(b)となる。
次いで、当該微分値の最大値と最小値との差分値を算出する。例えば、QST波形が直線の場合(図3(a))の微分波形は傾きの無い直線(図3(b))となるため、当該差分値は0となる。一方、QST波形にうねりがある場合(図4(a))の微分波形は曲線(図4(b))となるため、当該微分値に最大値と最小値とが生じて、その差分値が正の値として算出される。すなわち、当該差分値が所定のしきい値以上となるQST波形を「直進性を有しない」として判定することが可能となる。なお、その際のしきい値は、磁気ヘッドの構成、磁気ディスク装置の仕様等に応じて任意に設定すればよい。
上記の工程は、パーソナルコンピュータによって制御される測定装置および演算装置からなる一連のシステムとして構築することによって、自動的に測定・判定を行うことが可能となる。

0034

以上により、磁気ヘッド(磁気抵抗効果型素子)のQST波形が「直進性」を有するか否かの判定を行い、「直進性を有しない」当該磁気ヘッドを「不安定」なものとして選別することが可能となる。
その結果、これまで定量的に評価できなかった磁気ヘッドの安定性を、磁気ディスク装置に組み込む前に評価して選別することが可能となる。

0035

ところで、前述の通り、QST波形に基づく従来の磁気ヘッド安定性評価方法として、数式1のAsym値に基づいて、Y軸(出力軸)方向の対称性から判定する方法が利用されている。その方法によれば、不安定と評価される図5のAおよびBの領域の磁気ヘッドの選別が可能である。当該図5は複数のサンプル磁気ヘッドについて、従来の数式1で表されるAsym値を横軸に、本実施の形態に係る評価方法で算出される微分値の最大値と最小値との差分値を縦軸にプロットしたデータである。すなわち、この従来の評価方法によれば、横軸のAsym値が±方向のしきい値から外れた磁気ヘッド(図中A、B領域に該当)を対象性の無い、すなわち不安定な磁気ヘッドとして評価し、選別することが可能である。
これに対し、本実施の形態に係る評価方法では、不安定と評価される図5のCの領域の磁気ヘッドの選別が可能となる。この領域は、QST波形が、Y軸(出力軸)方向の対称性を有しており、横軸のAsym値が所定のしきい値範囲内となっているため、従来の評価方法では選別不可能な領域であった。より具体的には、当該C領域は、横軸が所定値内で、且つ縦軸で表される本実施の形態に係る評価方法で算出される微分値の最大値と最小値との差分値が所定のしきい値以上となる磁気ヘッド、すなわち、QST波形がY軸方向に対称でありつつも、その波形にうねりが生じている(直進性を有しない)磁気ヘッドである。

0036

したがって、上記の二つの評価手法を磁気ディスク装置の製造方法に適用することによって、当該磁気ディスク装置の安定性を格段に向上させることが可能となる。
すなわち、磁気ディスク装置の製造工程において、数式1で算出されるAsym値から判定される対称性に基づく方法で「不安定」と判定される磁気ヘッド(前記A、B領域に該当)を選別し、排除する。これに加えて、前記直進性に基づく方法で「不安定」と判定される磁気ヘッド(前記C領域に該当)をさらに選別し、排除する。
このように、製造工程に、これら二つの工程を追加することによって、製造される磁気ディスク装置の安定性を格段に向上させることが可能となる。すなわち、磁気ヘッドの出力変動が生じない(生じ難い)磁気ディスク装置を提供することが可能となる。

0037

以上説明した通り、従来の評価方法によって、特性が不安定と判定されない磁気ヘッドは、磁気ディスク装置に搭載され、その後の磁気ディスク装置としての検査・評価工程を経ることとなるが、その工程まで至って初めて、特性が不安定な磁気ヘッドであったことが判明することがあった。しかし、本評価方法によれば、従来の評価方法では選別できなかった特性が不安定な磁気ヘッドを、磁気ディスク装置搭載前に、定量的に選別することが可能となる。
したがって、従来の評価方法と組み合わせて磁気ディスク装置の製造工程に適用することによって、特性が不安定となり易い磁気ヘッドを当該磁気ディスク装置に搭載される前に、高精度に選別・排除することが可能となるため、製造コスト(加工・組立コスト)の低減が可能となると共に、製造される磁気ディスク装置の動作安定性、すなわち信頼性を向上させることが可能となる。

0038

ここで、加工・組立コスト低減の面から、本評価方法の実施は、一連の磁気ディスク装置の製造工程中において、できるだけ早い段階で実施するのが好適ではあるが、特に実施時期は限定されるものではない。また、その他の評価方法を併せて実施してもよい。

0039

なお、水平記録型磁気ヘッドを例にとり説明を行ったが、これに限定されるものではない。

図面の簡単な説明

0040

本発明の実施の形態に係る磁気ヘッドの評価方法の評価対象である磁気ヘッドの構成例を示す概略図である。
一般的なQST測定により得られるQST波形の例を示す概略図である。
本発明の実施の形態に係る磁気ヘッドの評価方法において、測定されるQST波形および該QST波形の微分波形である。
本発明の実施の形態に係る磁気ヘッドの評価方法において、測定されるQST波形および該QST波形の微分波形である。
複数の磁気ヘッドについて、従来の評価方法で算出されるAsym値を横軸に、本実施の形態に係る評価方法で算出される微分値の最大値と最小値との差分値を縦軸にプロットしたデータである。
従来の実施の形態に係る評価方法による磁気ヘッドの評価例を説明するための説明図である。

符号の説明

0041

1磁気ヘッド
2再生ヘッド部
3記録ヘッド部
5浮上面
10基板
11 下部シールド層
12磁気抵抗効果型再生素子
13 上部シールド層
15 下部磁極
17コイル層
21 上部磁極

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