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課題

少なくともSnとGeとを含有する合金組成を、迅速かつ精度よく分析することができる、合金の組成分析方法及び組成分析装置を提供する。

解決手段

この合金の組成分析装置1は、所定量の合金を無機酸で処理して、溶液部分と、Ge沈殿部分とに分離させる分離させる分離手段12と、前記溶液部分及び前記Ge沈殿部分を、それぞれ組成分析する分析手段15と、前記分離手段及び前記分析手段によって組成分析がなされた標準試料に基づいて、分析すべき分析試料の組成分析を、蛍光X線分析装置を用いて行う試料分析手段20とを有している。

概要

背景

例えば、半導体チップ電子部品実装する場合には、はんだ合金を用いて両者が電気的・機械的に接合される。このような電気・電子部品の接合に用いられる、はんだ合金は、良好な接合性耐食性が求められると共に、加熱・冷却が繰り返し行われる過酷な環境下に置かれることが多いので、熱疲労強度も要求されている。

従来、はんだ合金としては、Pb−Sn系合金が広く用いられてきたが、Pbの人体への悪影響や環境問題の観点から、Pbを用いない鉛フリーはんだが開発されつつある。この鉛フリーはんだとして、例えば、Sn−Ag−Cu系合金、Sn−Cu系合金等の、Snを主成分とするSn系はんだ合金が提案されている。

下記特許文献1には、Sn−Ag−Cuを主成分とし、更にNi及びGeが微量に添加された、鉛フリーのSn系はんだ合金が開示されている。前記Niは、耐熱性,熱疲労強度を向上させる。一方、Geは、鉛フリーではドロス(金属酸化物なとの浮き滓)が生成されやすいSnなどの、酸化を抑制するものであって、それにより接合性の改善が図られている。

上記のように、NiやGe等は微量であっても、はんだ合金の性質に大きな影響を及ぼし、その他のAg,Cu等についても同様であり、その組成含有元素とその割合)分析は、はんだ合金の特性把握材料管理等の点で重要である。

上記はんだ合金の組成分析は、例えば、JIS Z 3910に規定の方法が用いられる。この方法は、JIS Z 3282(はんだ)に規定された、Sn,Pb,Ag,Sb,Cu,Bi,Zn,Fe,Al,As,Cdを含む試料を、各種の酸や試薬で分解した後、滴定法や、吸光光度法原子吸光法により、目的の成分の定量分析が行われる。また、下記非特許文献1には、Pb−Sn合金の主要成分(Pb,Sn)を、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP法)を用いて、定量分析した例が開示されている。

更に、下記特許文献2には、はんだ試料の溶液化工程と、測定工程を有し、溶液化工程ははんだ試料を無機酸とオキシカルボン酸を用いて加熱溶解し、はんだ試料溶液を調製する工程であり、測定工程は、プラズマ発光分析法を用いて、前記はんだ試料溶液中元素を測定する、はんだ合金の組成分析方法が開示されている。

ところで、鉛フリーのSn系はんだ合金においては、前述したように、Geは、Sn中に微量に含有されるものではあるものの、Snの酸化を抑制して接合性を維持するために必要な重要な元素であり、その組成分析が不可欠である。このGeの組成分析方法としては、例えば、下記非特許文献2には、GeをGeCl4として蒸留法回収し、その後に適宜化学処理を施して定量分析を行うことが開示されている。
特許第3296289号公報
特開平7−159395号公報
今野 政憲、池 秀夫、“ICP発光分光分析法によるはんだの主要成分の分析”、[online]、第28回分析研究会分析技術事例発表会、[平成19年11月20日検索]、インターネット産業技術総合研究所 1205383475937_0 東センター技術資料URL:http://www.techno-qanda.net/dsweb/View/Collection-2134>
日本分析化学会編,「分析化学便覧」,改訂4版,丸善株式会社、1991年11月,p.237

概要

少なくともSnとGeとを含有する合金の組成を、迅速かつ精度よく分析することができる、合金の組成分析方法及び組成分析装置を提供する。この合金の組成分析装置1は、所定量の合金を無機酸で処理して、溶液部分と、Ge沈殿部分とに分離させる分離させる分離手段12と、前記溶液部分及び前記Ge沈殿部分を、それぞれ組成分析する分析手段15と、前記分離手段及び前記分析手段によって組成分析がなされた標準試料に基づいて、分析すべき分析試料の組成分析を、蛍光X線分析装置を用いて行う試料分析手段20とを有している。

目的

したがって、本発明の目的は、少なくともSnとGeとを含有する合金の組成を、迅速かつ精度よく分析することができる、合金の組成分析方法及び組成分析装置を提供することにある。

効果

実績

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請求項1

少なくともSnとGeとを含有する合金組成分析方法であって、所定量の合金を無機酸で処理して、溶液部分とGe沈殿部分とに分離させ、前記溶液部分及び前記Ge沈殿部分を、それぞれ組成分析することを特徴とする合金の組成分析方法。

請求項2

前記標準試料の分離に用いられる無機酸は、硝酸である請求項1記載の合金の組成分析方法。

請求項3

前記溶液部分の組成分析は、プラズマ発光分析装置又は原子吸光光度計によってなされる請求項1記載の合金の組成分析方法。

請求項4

前記Ge沈殿部分の組成分析は、蛍光X線分析装置によってなされる請求項1記載の合金の組成分析方法。

請求項5

前記Ge沈殿部分の組成分析は、SnO2及びGeO2を混合してなり、組成既知とされた検量線試料を、蛍光X線分析装置により分析して、X線強度と組成との相関を示す検量線を作成し、前記Ge沈殿部分のX線強度を求めて、このX線強度を前記検量線に適用することにより、Ge沈殿部分の組成分析がなされる請求項4記載の合金の組成分析方法。

請求項6

少なくともSnとGeとを含有する合金の組成分析方法であって、請求項1ないし5のいずれかの項に記載の合金の組成分析方法により組成分析された前記合金を標準試料とし、上記標準試料に基づいて、分析すべき分析試料の組成分析を、蛍光X線分析装置による蛍光X線分析によって行うことを特徴とする合金の組成分析方法。

請求項7

前記分析試料の組成分析は、前記標準試料に基づいて測定精度が評価された蛍光X線分析装置による蛍光X線分析によって、前記分析試料の各元素を一斉に定量分析する一斉定量分析を行う請求項6記載の合金の組成分析方法。

請求項8

前記分析試料の組成分析は、前記標準試料の実測X線強度を、同標準試料の既知の組成に基づいて算出された理論X線強度で除算して、感度係数を求め、前記分析試料の実測X線強度を求めると共に、同分析試料の組成を仮定して、これに基づいて理論X線強度を算出し、この理論X線強度に前記標準試料の感度係数を乗算して、推定測定強度を求め、前記分析試料の実測X線強度と推定測定強度とがほぼ一致するように、分析試料の組成を逐次近似的に修正計算して、分析試料の組成を求める請求項6記載の合金の組成分析方法。

請求項9

少なくともSnとGeとを含有する合金の組成分析装置であって、所定量の合金を無機酸で処理して、溶液部分と、Ge沈殿部分とに分離させる分離手段と、前記溶液部分及び前記Ge沈殿部分を、それぞれ組成分析する分析手段とを有していることを特徴とする合金の組成分析装置。

請求項10

前記標準試料の分離に用いられる無機酸は、硝酸である請求項9記載の合金の組成分析装置。

請求項11

前記溶液部分を組成分析する分析手段は、プラズマ発光分析装置又は原子吸光光度計である請求項9記載の合金の組成分析装置。

請求項12

前記Ge沈殿部分を組成分析する分析手段は、蛍光X線分析装置である請求項9記載の合金の組成分析装置。

請求項13

前記Ge沈殿部分を組成分析する分析手段は、SnO2及びGeO2を混合してなり、組成が既知とされた検量線試料を、蛍光X線分析装置により分析して、X線強度と組成との相関を示す検量線を作成する、検量線作成手段と、前記Ge沈殿部分のX線強度を求めると共に、このX線強度を前記検量線に適用して、Ge沈殿部分の組成分析を行う検量線測定手段とを有している請求項12記載の合金の組成分析装置。

請求項14

少なくともSnとGeとを含有する合金の組成分析装置であって、請求項9ないし13のいずれかの項に記載の合金の組成分析装置により組成分析された前記合金を標準試料とし、この標準試料に基づいて、分析すべき分析試料の組成分析を、蛍光X線分析装置を用いて行う試料分析手段を有していることを特徴とする合金の組成分析装置。

請求項15

前記試料分析手段は、前記分析試料の組成分析として、前記標準試料に基づいて測定精度が評価された蛍光X線分析装置による蛍光X線分析によって、前記分析試料の各元素を一斉に定量分析する一斉定量分析を行う請求項14記載の合金の組成分析装置。

請求項16

前記試料分析手段は、前記標準試料の実測X線強度を、同標準試料の既知の組成に基づいて算出された理論X線強度で除算して、感度係数を求める感度係数算出手段と、前記分析試料の実測X線強度を求めると共に、同分析試料の組成を仮定して、これに基づいて理論X線強度を算出し、この理論X線強度に前記標準試料の感度係数を乗算して、推定測定強度を求める、推定測定強度算出手段と、前記分析試料の実測X線強度と推定測定強度とがほぼ一致するように、分析試料の組成を逐次近似的に修正計算して、分析試料の組成を求める組成算出手段とを備える請求項14記載の合金の組成分析装置。

技術分野

0001

本発明は、少なくともSnとGeとを含有する合金組成分析することができる、合金の組成分析方法及び組成分析装置に関する。

背景技術

0002

例えば、半導体チップ電子部品実装する場合には、はんだ合金を用いて両者が電気的・機械的に接合される。このような電気・電子部品の接合に用いられる、はんだ合金は、良好な接合性耐食性が求められると共に、加熱・冷却が繰り返し行われる過酷な環境下に置かれることが多いので、熱疲労強度も要求されている。

0003

従来、はんだ合金としては、Pb−Sn系合金が広く用いられてきたが、Pbの人体への悪影響や環境問題の観点から、Pbを用いない鉛フリーはんだが開発されつつある。この鉛フリーはんだとして、例えば、Sn−Ag−Cu系合金、Sn−Cu系合金等の、Snを主成分とするSn系はんだ合金が提案されている。

0004

下記特許文献1には、Sn−Ag−Cuを主成分とし、更にNi及びGeが微量に添加された、鉛フリーのSn系はんだ合金が開示されている。前記Niは、耐熱性,熱疲労強度を向上させる。一方、Geは、鉛フリーではドロス(金属酸化物なとの浮き滓)が生成されやすいSnなどの、酸化を抑制するものであって、それにより接合性の改善が図られている。

0005

上記のように、NiやGe等は微量であっても、はんだ合金の性質に大きな影響を及ぼし、その他のAg,Cu等についても同様であり、その組成(含有元素とその割合)分析は、はんだ合金の特性把握材料管理等の点で重要である。

0006

上記はんだ合金の組成分析は、例えば、JIS Z 3910に規定の方法が用いられる。この方法は、JIS Z 3282(はんだ)に規定された、Sn,Pb,Ag,Sb,Cu,Bi,Zn,Fe,Al,As,Cdを含む試料を、各種の酸や試薬で分解した後、滴定法や、吸光光度法原子吸光法により、目的の成分の定量分析が行われる。また、下記非特許文献1には、Pb−Sn合金の主要成分(Pb,Sn)を、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP法)を用いて、定量分析した例が開示されている。

0007

更に、下記特許文献2には、はんだ試料の溶液化工程と、測定工程を有し、溶液化工程ははんだ試料を無機酸とオキシカルボン酸を用いて加熱溶解し、はんだ試料溶液を調製する工程であり、測定工程は、プラズマ発光分析法を用いて、前記はんだ試料溶液中元素を測定する、はんだ合金の組成分析方法が開示されている。

0008

ところで、鉛フリーのSn系はんだ合金においては、前述したように、Geは、Sn中に微量に含有されるものではあるものの、Snの酸化を抑制して接合性を維持するために必要な重要な元素であり、その組成分析が不可欠である。このGeの組成分析方法としては、例えば、下記非特許文献2には、GeをGeCl4として蒸留法回収し、その後に適宜化学処理を施して定量分析を行うことが開示されている。
特許第3296289号公報
特開平7−159395号公報
今野 政憲、池 秀夫、“ICP発光分光分析法によるはんだの主要成分の分析”、[online]、第28回分析研究会分析技術事例発表会、[平成19年11月20日検索]、インターネット産業技術総合研究所 1205383475937_0 東センター技術資料URL:http://www.techno-qanda.net/dsweb/View/Collection-2134>
日本分析化学会編,「分析化学便覧」,改訂4版,丸善株式会社、1991年11月,p.237

発明が解決しようとする課題

0009

上記のように鉛フリーの、Sn系はんだ合金においては、特にGeの組成分析が強く求められている。しかしながら、Geが含有したSn系はんだ合金について、組成分析をすべく、従来の組成分析方法を用いて、試料を酸や試薬で分解させようとしても、Ge化合物等の沈殿物が生じてしまって、試料を完全に分解させることが困難で、試料の組成分析を行うことができない場合があった。

0010

また、上記特許文献2のはんだ合金の組成分析方法は、Pb−Sn系はんだ合金の組成分析を行うものであって、鉛フリーのはんだ合金における、Geの組成分析を行うことはできない。

0011

更に、上記非特許文献2に記載の組成分析方法では、GeをGeCl4として蒸留法で回収し、その後に適宜化学処理を施して、Geの定量分析がなされるようになっているが、Geを一旦蒸留させる必要があるので極めて時間がかかり、Geを含むSn系はんだ合金の組成分析を迅速に行うことは困難である。特に、工場現場等で日常的に行われる、Sn系はんだ合金の組成分析においては、不適合である。

0012

したがって、本発明の目的は、少なくともSnとGeとを含有する合金の組成を、迅速かつ精度よく分析することができる、合金の組成分析方法及び組成分析装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成するため、本発明の合金の組成分析方法は、少なくともSnとGeとを含有する合金の組成分析方法であって、所定量の合金を無機酸で処理して、溶液部分とGe沈殿部分とに分離させ、前記溶液部分及び前記Ge沈殿部分を、それぞれ組成分析することを特徴とする(請求項1の発明)。

0014

上記請求項1の発明によれば、少なくともSnとGeとを含有する所定量の合金を無機酸で処理し、溶液部分とGe沈殿部分とに分離して、それぞれを別々に組成分析することにより、溶液部分の組成分析とGe沈殿部分との組成分析がなされて、それにより合金全体の組成分析を行うことができる。

0015

そして、この合金の組成分析方法においては、酸で分解処理しにくいGeを沈殿させて、これを組成分析することにより、少なくともSnとGeとを含有する合金について、Geを蒸留させる場合に比べて迅速に組成分析をすることができる。それと共に、Ge沈殿部分を溶液部分とは別々に組成分析するので、標準試料となる合金の組成分析が精度良くなされる。

0016

上記請求項1の発明において、前記標準試料の分解に用いられる無機酸は、硝酸であることが好ましい(請求項2の発明)。

0017

上記請求項1の発明において、前記溶液部分の組成分析は、プラズマ発光分析装置又は原子吸光光度計によってなされることが好ましい(請求項3の発明)。

0018

上記請求項1の発明において、前記Ge沈殿部分の組成分析は、蛍光X線分析装置によってなされることが好ましい(請求項4の発明)。

0019

上記請求項4の発明において、前記Ge沈殿部分の組成分析は、SnO2及びGeO2を混合してなり、組成が既知とされた検量線試料を、蛍光X線分析装置により分析して、X線強度と組成との相関を示す検量線を作成し、前記Ge沈殿部分のX線強度を求めて、このX線強度を前記検量線に適用することにより、Ge沈殿部分の組成分析がなされることが好ましい(請求項5の発明)。これによれば、検量線試料から得られた検量線に基づいて、Ge沈殿部分の組成分析がなされるので、Ge沈殿部分を迅速にかつ精度よく組成分析することができる。その結果、標準試料の組成分析の精度をより向上させることができる。

0020

また、本発明の合金の組成分析方法は、少なくともSnとGeとを含有する合金の組成分析方法であって、請求項1ないし5のいずれかの項に記載の合金の組成分析方法により組成分析された前記合金を標準試料とし、上記標準試料に基づいて、分析すべき分析試料の組成分析を、蛍光X線分析装置による蛍光X線分析によって行うことを特徴とする(請求項6の発明)。

0021

上記請求項6の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかの項に記載の合金の組成分析方法により組成分析された前記合金を標準試料とし、この標準試料に基づいて、分析試料の組成分析が蛍光X線分析装置による蛍光X線分析によってなされるので、工場現場等で日常行われる分析作業における組成分析を、測定精度が的確に管理された状態で迅速に行うことができる。

0022

上記請求項6の発明において、前記分析試料の組成分析は、前記標準試料に基づいて測定精度が評価された蛍光X線分析装置による蛍光X線分析によって、前記分析試料の各元素を一斉に定量分析する一斉定量分析を行うことが好ましい(請求項7の発明)。これによれば、例えばプリント板はんだ付けに用いる自動はんだ付け装置の「はんだ槽」から採取される,Geが含有したSn系はんだ合金の組成分析など、工場現場等で日常行われる分析試料の組成分析において、標準試料に基づいて測定精度が確認された蛍光X線分析装置による一斉定量分析の結果として、分析試料の組成分析値を得ることができるので、日常の分析試料の組成分析を迅速に行うことができるとともに、日常の分析試料の組成分析の測定精度を的確に管理することができる。

0023

上記請求項6の発明において、前記分析試料の組成分析は、前記標準試料の実測X線強度を、同標準試料の既知の組成に基づいて算出された理論X線強度で除算して、感度係数を求め、前記分析試料の実測X線強度を求めると共に、同分析試料の組成を仮定して、これに基づいて理論X線強度を算出し、この理論X線強度に前記標準試料の感度係数を乗算して、推定測定強度を求め、前記分析試料の実測X線強度と推定測定強度とがほぼ一致するように、分析試料の組成を逐次近似的に修正計算して、分析試料の組成を求めることが好ましい(請求項8の発明)。これによれば、標準試料に基づいて理論X線強度から推定測定強度を求めるようにしたので、分析試料の組成を精度よく求めることができる。

0024

一方、本発明の合金の組成分析装置は、少なくともSnとGeとを含有する合金の組成分析装置であって、所定量の合金を無機酸で処理して、溶液部分と、Ge沈殿部分とに分離させる分離させる分離手段と、前記溶液部分及び前記Ge沈殿部分を、それぞれ組成分析する分析手段とを有していることを特徴とする(請求項9の発明)。

0025

上記請求項9の発明によれば、分離手段によって、少なくともSnとGeとを含有する所定量の合金を無機酸で処理すると共に、溶液部分とGe沈殿部分とに分離した後、それぞれを別々に分析手段により組成分析することにより、溶液部分及びGe沈殿部分の組成分析がなされて、合金全体の組成分析を行うことができる。

0026

そして、この合金の組成分析装置においては、分離手段によって酸で分解処理しにくいGeを沈殿させて、これを分析手段によって組成分析することにより、少なくともSnとGeとを含有する合金について、Geを蒸留させる場合に比べて迅速に組成分析をすることができる。それと共に、このGe沈殿部分を溶液部分とは別々に分析手段で組成分析するように構成されているので、標準試料となる合金の組成分析が精度良くなされる。

0027

上記請求項9の発明において、前記標準試料の分解に用いられる無機酸は、硝酸であることが好ましい(請求項10の発明)。

0028

上記請求項9の発明において、前記溶液部分を組成分析する分析手段は、プラズマ発光分析装置又は原子吸光光度計であることが好ましい(請求項11の発明)。

0029

上記請求項9の発明において、前記Ge沈殿部分を組成分析する分析手段は、蛍光X線分析装置であることが好ましい(請求項12の発明)。

0030

上記請求項12の発明において、前記Ge沈殿部分を組成分析する分析手段は、SnO2及びGeO2を混合してなり、組成が既知とされた検量線試料を、蛍光X線分析装置により分析して、X線強度と組成との相関を示す検量線を作成する、検量線作成手段と、前記Ge沈殿部分のX線強度を求めると共に、このX線強度を前記検量線に適用して、Ge沈殿部分の組成分析を行う検量線測定手段とを有していることが好ましい(請求項13の発明)。これによれば、検量線試料から得られた検量線に基づいて、Ge沈殿部分の組成分析がなされるので、Ge沈殿部分を迅速にかつ精度よく組成分析することができる。その結果、標準試料の組成分析の精度をより向上させることができる。

0031

また、本発明の合金の組成分析装置は、少なくともSnとGeとを含有する合金の組成分析装置であって、請求項9ないし13のいずれかの項に記載の合金の組成分析装置により組成分析された前記合金を標準試料とし、この標準試料に基づいて、分析すべき分析試料の組成分析を、蛍光X線分析装置を用いて行う試料分析手段を有していることを特徴とする(請求項14の発明)。

0032

上記請求項14の発明によれば、請求項9ないし13のいずれかの項に記載の合金の組成分析装置により組成分析された前記合金を標準試料とし、この標準試料に基づいて、分析試料の組成分析が蛍光X線分析装置によってなされるので、工場現場等で日常行われる分析作業における組成分析を、測定精度が的確に管理された状態で迅速に行うことができる。

0033

上記請求項14の発明において、前記試料分析手段は、前記分析試料の組成分析として、前記標準試料に基づいて測定精度が評価された蛍光X線分析装置による蛍光X線分析によって、前記分析試料の各元素を一斉に定量分析する一斉定量分析を行うことが好ましい(請求項15の発明)。これによれば、例えばプリント板のはんだ付けに用いる自動はんだ付け装置の「はんだ槽」から採取される,Geが含有したSn系はんだ合金の分析試料の組成分析など、工場現場等で日常行われる分析試料の組成分析において、標準試料に基づいて測定精度が確認された蛍光X線分析装置による一斉定量分析の結果として、分析試料の組成分析値を得ることができるので、日常の分析試料の組成分析を迅速に行うことができるとともに、日常の分析試料の組成分析の測定精度を的確に管理することができる。

0034

上記請求項14の発明において、前記試料分析手段は、前記標準試料の実測X線強度を、同標準試料の既知の組成に基づいて算出された理論X線強度で除算して、感度係数を求める感度係数算出手段と、前記分析試料の実測X線強度を求めると共に、同分析試料の組成を仮定して、これに基づいて理論X線強度を算出し、この理論X線強度に前記標準試料の感度係数を乗算して、推定測定強度を求める、推定測定強度算出手段と、前記分析試料の実測X線強度と推定測定強度とがほぼ一致するように、分析試料の組成を逐次近似的に修正計算して、分析試料の組成を求める組成算出手段とを備えることが好ましい(請求項16の発明)。これによれば、標準試料に基づいて理論X線強度から推定測定強度を求めるようにしたので、分析試料の組成を精度よく求めることができる。

発明の効果

0035

本発明によれば、酸で分解処理しにくいGeを沈殿させて、これを組成分析することにより、少なくともSnとGeとを含有する合金について、Geを蒸留させる場合に比べて迅速に組成分析をすることができ、それと共に、Ge沈殿部分を溶液部分とは別々に組成分析するので、合金の組成分析が精度良くなされる。更にこうして得られた標準試料に基づいて、分析試料の組成分析が蛍光X線分析装置によってなされるので、工場現場等で日常行われる分析作業における組成分析を、測定精度が的確に管理された状態で迅速に行うことができる。

発明を実施するための最良の形態

0036

本発明の合金の組成分析方法及び組成分析装置は、少なくともSnとGeとを含有する合金の組成(含有元素と、その割合又は含有量)を分析するためのものである。Sn及びGeを含有する合金であれば適用でき、鉛フリーのはんだ合金(Pbが0.10wt%以下のもの:JIS Z 3282)に好ましく用いることができる。鉛フリーのはんだ合金としては、Snを主成分とする、Sn−Cu系合金、Sn−Ag−Cu系合金、Sn−Zn−Bi系合金、Sn−In−Ag−Bi系合金等が挙げられる。

0037

以下、本発明について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1には、本発明の第1の実施形態に係る合金の組成分析装置1(以下、「分析装置1」という)の概略構成図が示されている。図1に示すように、この分析装置1は、日常の組成分析作業として分析すべき分析試料の組成分析を行う上での基準となる、標準試料の組成分析を行うための、標準試料分析部10と、該標準試料分析部10によって組成分析がなされた標準試料の組成分析結果に基づいて、分析試料の組成分析を、蛍光X線分析装置を用いて行う試料分析手段20とを有している。

0038

また、図2は、本発明の第1の実施形態における合金の組成分析の全体工程の一例を示すフローチャートである。図2に示される全体工程は、標準試料の基準組成分析値を得る標準試料調整工程、日常分析工程で用いられる蛍光X線分析装置による一斉定量分析の測定精度を評価する一斉定量分析測定精度評価工程、および、日常分析工程からなっている。図2における各工程の詳細は後述する。

0039

なお、この実施形態では、Snを主成分として,Ag,Cu,Ni,Ge,及び,不純物のPbを含有する合金を組成分析対象とした場合について説明するが、本発明における分析対象は上記組成の合金に限定されるものではない。

0040

(標準試料分析部)
まず、図1において、標準試料の組成分析を行う標準試料分析部10について説明する。図1に示すように、この標準試料分析部10は、所定量の合金を無機酸で分解処理して、溶液部分とGe沈殿部分とに分離させるための、分離手段12と、この分離手段12により分離された溶液部分とGe沈殿部分とをそれぞれ組成分析する、標準試料分析手段15とを有している。

0041

(1)分離手段:
分離手段12としては、所定の無機酸が充填された容器と、溶液部分とGe沈殿部分とを分離する、ろ紙とを有している。前記無機酸としては、所定濃度の硝酸に酒石酸を混合したものが用いられる。なお、組成分析すべき試料には、Sbが含有していることがある。このSbは、硝酸によって金属の水酸化物がつくられやすく沈殿物となりやすい。そのため、Sbをキレート化して沈殿物を作らないよう溶存させるために、Sbのマスキング剤として、酒石酸が用いられている。また、ろ紙としては、JIS P 3801に規定されている、定量分析用のろ紙を用いることができる。ろ紙の種類としては、5種A、5種B、5種C、6種が挙げられているが、この実施形態では5種Cのろ紙が用いられる。そして、インゴット粉砕して所定量とされた合金を前記容器に投入すると共に、同容器に無機酸を注入し、容器を加熱手段により加熱しながら攪拌する。それにより、Ag、Cu、Ni、Pbが分解処理されて溶液化すると共に、Sn及びGeは溶けずに溶液中に沈殿する。その後、溶液を、ろ紙を介してろ過することにより、Ag、Cu、Ni、Pbが溶けた溶液部分と、Sn及びGeが沈殿したGe沈殿部分とに分離される。

0042

(2)標準試料分析手段:
上記の分離手段12より分離された溶液状の溶液部分、及び、固体状のGe沈殿部分を、それぞれ組成分析する標準試料分析手段15は、溶液部分を組成分析する溶液分析手段13と、Ge沈殿部分を組成分析するGe分析手段14とからなっている。

0043

(a)溶液分析手段:
溶液分析手段13として、この実施形態では、プラズマ発光分析装置が採用されている。

0044

このプラズマ発光分析装置は、溶液状の試料を分析するのに適した装置で、図3に示すような概略構造をなしている。すなわち、このプラズマ発光分析装置40は、アルゴンガスArが流入される石英トーチ41と、その外周に配置されて、高周波電流により石英トーチ41内のアルゴンガスArを電離して、プラズマPを発生させる誘導コイル43とを有している。そして、容器45に注入された溶液状の試料である溶液部分が、ガス化した状態で石英トーチ41内に供給され、これがプラズマPによって加熱されることにより、溶液部分に含まれる元素が励起状態となって、各元素により定まるエネルギーをもつ発光線Lが放出される。それが回折格子47を介して光電子増倍管48によって出力される。このとき、発光線Lにより試料に含まれる元素の種類が特定されると共に、強度から各元素の含有量が測定されて、溶液部分の組成分析がなされる。この実施形態では、溶液部分のAg,Cu,Ni,Pbの組成分析がなされる。

0045

なお、本発明における溶液分析手段としては、プラズマ発光分析装置に限定されるものではなく、原子吸光光度計を用いることもできる。

0046

(b)Ge分析手段:
一方、分離手段によって分離されたGe沈殿部分は、Ge分析手段14により組成分析がなされる。その前処理として、ろ紙上に残った固体状のSn,Geの沈殿物を回収して、これを乾燥させて粉末化し、更にこれを加圧成形して塊状の試料に形成する。この塊状のGe沈殿部分を組成分析するGe分析手段14には、この実施形態では蛍光X線分析装置が採用される。蛍光X線分析の原理としては、試料にX線照射することによって、試料に含有された元素ごとに放射される固有蛍光X線を測定して、その波長又はエネルギーにより元素の種類を特定すると共に、強度により元素の割合や含有量を測定して、試料の組成分析を行うものである。図4には、この蛍光X線分析装置50の概略構造が示されている。

0047

すなわち、試料にX線を照射するためのX線管球52を有するX線発生装置51と、X線が照射された試料から放射された蛍光X線を、対応元素ごとに選別するための分光結晶53と、各元素の蛍光X線を検出するための複数の検出器55,55と、検出された測定データを記録・処理する計数記録装置57とを有している。計数記録装置57は、増幅器57aと、波高分析器57bと、データ処理装置57cとを有している。

0048

そして、X線発生装置51により、試料であるGe沈殿部分(Ge)にX線が照射されると、蛍光X線が放射され、該蛍光X線が分光結晶53によりGe,Sn及びその他の元素に選別されて、検出器55により検出されて計数記録装置57により処理されて、Ge沈殿部分(Ge)の組成分析がなされる。

0049

また、Ge沈殿部分の組成分析の精度を向上させるために、この実施形態では検量線を用いた方法が採用されている。すなわち、蛍光X線分析においては、他の元素の影響や、使用する分析装置の固有差によって、分析結果にバラツキが生じ、正確な分析ができない場合がある。そのため、組成が既知の試料によって、予め検量線を作成しておき、これに基づいて未知の試料の組成分析を行うものである。

0050

すなわち、図1に示すように、Ge分析手段14は、SnO2及びGeO2を混合してなり、組成が既知とされた検量線試料を、蛍光X線分析装置により分析して、X線強度と組成との相関を示す検量線を作成する、検量線作成手段14aと、Ge沈殿部分のX線強度を求めると共に、このX線強度を前記検量線に適用して、Ge沈殿部分の組成分析を行う検量線測定手段14bとを有している。

0051

この実施形態では、図11(c)に示すように、Geの含有量が既知の複数の検量線試料(Geがそれぞれ100μg,200μg,300μg)の各X線強度を測定して、Ge含有量とX線強度との相関を示す検量線を作成する。その後、Ge沈殿部分のX線強度を蛍光X線強度により測定し、これを前記検量線に適用することにより、Ge沈殿部分のGe含有量を分析することができる。

0052

(c)以上のようにして、溶液分析手段13とGe分析手段14とによって溶液部分(Ag,Cu,Ni,Pb)とGe沈殿部分(Ge)とが測定されることにより、Ag,Cu,Ni,Pb,Geの組成分析がなされて、Snを残部として、Sn−Ag−Cu系合金であって、Ni、Ge、Pbを含む合金の組成が分析される。これが標準試料となる。

0053

(3)標準試料分析部による標準試料の調整(湿式分析):
次に、上記の標準試料分析部10を用いて行われる、標準試料の組成分析工程(以下、「標準試料調整工程」という)について説明する。図5には、この工程のフローチャートが示されている。

0054

すなわち、分離手段12により、合金を無機酸で分解・溶液化すると共に(ステップS1)、ろ紙によって溶液部分とGe沈殿部分とに分離する(ステップS2)。その後、溶液部分(Ag,Cu,Ni,Pb)を、溶液分析手段13であるプラズマ発光分析装置40により組成分析する(ステップS3)。

0055

その一方、Ge沈殿物を回収して、これを乾燥・粉末化して加圧成形して塊状試料を形成し(ステップS4)、Ge分析手段14である蛍光X線分析装置50によりGeのX線強度を測定する(ステップS5)。

0056

それと共に、検量線作成手段14aにより、Geの組成が既知の検量線試料から、検量線を作成する(ステップS6)。この検量線を適用し、検量線測定手段14bによって、Ge沈殿部分のGeの組成分析をする(ステップS7)。こうして、Snを主成分として、Ag,Cu,Ni,Ge,及び、Pbを含有する合金の各元素の組成分析がなされて、標準試料が得られる。

0057

なお、例えばプリント板のはんだ付けに用いる自動はんだ付け装置の「はんだ槽」における組成管理のために組成分析を行う場合、標準試料となる合金試料としては、「はんだ槽」から採取された試料を用いてもよく、また、組成管理すべき合金の各元素を所定量ずつ特別に調合して作成した試料を用いてもよい。

0058

(試料分析手段)
次に、上記標準試料調整工程で組成分析された標準試料に基づいて、分析すべき分析試料の組成分析を、蛍光X線分析装置を用いて行う試料分析手段20について説明する。

0059

(1)分析試料の作成:
まず、分析試料は、図6に示す工程で作成される。すなわち、プリント板のはんだ付けに用いる自動はんだ付け装置の「はんだ槽」などの合金槽から、所定形状をなした鋳型に注入されて(ステップS1)、冷却された後、鋳型から回収される(ステップS2)。その後、旋盤等の加工機械によって切削処理が施される(ステップS3)。すなわち、試料端部の突起凹凸切削して形を整える一次切削と、所定の一側面を目的の面荒さとなるようにする仕上げ切削とが行われる(この面が分析面となる)。なお、仕上げ切削は、切削油を使用せずに行い、清浄な面を確保する。

0060

(2)試料分析手段による一斉定量分析:
図6に示す上記工程で作成された分析試料は、蛍光X線分析装置を用いて、分析試料の各元素について一斉に定量分析する組成分析(以下、「一斉定量分析」という)がなされる。この蛍光X線分析装置は、前述した標準試料調整工程で、Ge分析に用いられる蛍光X線分析装置50と同様であるので、その説明を省略する。また、この試料分析手段20で用いられる蛍光X線分析装置には、更にファンダメンタルパラメータ法による組成分析方法を実現するために、推定測定強度算出手段24と、組成算出手段26とを備えている(図1参照)。

0061

また、試料分析手段20には、更に、分析試料の一斉定量分析により得られた各元素の組成分析値(以下、「一斉定量分析値」という)を例えば表形式などの様式にまとめて日常分析工程における組成分析データとして出力する分析データ処理手段28を備えている(図1参照)。

0062

ファンダメンタルパラメータ法(以下、「FP法」という)は、装置固有の感度係数を算出すると共に、試料の組成を仮定して理論X線強度を算出し、その後、感度係数及び理論X線強度に基づいて推定測定強度を算出し、この推定測定強度と前記理論X線強度とが一致するように、組成の仮定条件を適宜変更して逐次近似的に修正計算して、試料の未知の組成を求める方法である。なお、この実施形態では、蛍光X線分析装置を用いたFP法による組成分析において新たに感度係数を求める必要はなく、蛍光X線分析装置に予め内蔵されている感度係数αを用いる。この感度係数αは、元素ごとに標準的に設定されているものである。

0063

上記の試料分析手段20で用いられる蛍光X線分析装置により、例えば分析試料の組成分析を行う場合、前記推定測定強度算出手段24は、分析試料の実測X線強度を測定すると共に、分析試料の組成を仮定した後、この仮定した組成に基づいて、分析試料の理論X線強度を算出する。その後、分析試料の理論X線強度に、蛍光X線分析装置に予め内蔵された感度係数αを乗算して、推定測定強度を求める。

0064

前記組成算出手段26は、上記推定測定強度算出手段24により求められた、分析試料の実測X線強度と、分析試料の推定測定強度とを比較する。両者の値がほぼ一致する場合は、仮定した組成が分析試料の求める組成であるので、これを分析試料の組成分析値(一斉定量分析値)として出力する。両者の値が一致しない場合には、前記推定測定強度算出手段24に信号を送り、組成を再仮定して、再度理論X線強度及び推定測定強度を求める。そして、分析試料の実測X線強度及び推定測定強度がほぼ一致するまで、逐次近似的に修正計算する。

0065

(3)一斉定量分析の測定精度の評価:
なお、この実施形態では、図2に示されるように、試料分析手段20による一斉定量分析によって日常の分析試料の組成分析を行う日常分析工程を開始する前に、標準試料調整工程での組成分析により各元素の組成分析値(以下、「基準組成分析値」という)が既に得られている標準試料に基づいて、分析試料の組成分析に適用する蛍光X線分析装置による一斉定量分析の測定精度を評価し、十分な測定精度が得られることを確認した上で、以後の日常の分析試料の組成分析を開始する。上記の測定精度評価は、次のようにして行う。

0066

(a)標準試料の一斉定量分析:
先ず、標準試料調整工程で既に組成分析されている標準試料を、上述の分析試料と同様な、蛍光X線分析装置用の試料として形成する。そして、以後の日常の分析試料の組成分析に用いるのと同じ蛍光X線分析装置によって、上記標準試料の各元素についての一斉定量分析を行い、標準試料の一斉定量分析値を求める。

0067

なお、標準試料としては、分析試料の組成に極力近い組成の試料を用いることが好ましいが、組成分析すべき主要な元素の構成が分析試料と共通するものであればよく、各元素の組成比は異なるものであってもよい。

0068

(b)測定精度の評価:
そして、標準試料の一斉定量分析値と基準組成分析値との偏差を、標準試料に基づいて評価した蛍光X線分析装置による一斉定量分析の測定精度として算出し、日常の分析試料の組成分析を行うのに十分な測定精度が得られることを確認する。

0069

(4)試料分析手段による日常の組成分析:
次に、上記の蛍光X線分析装置20を用いて日常の組成分析作業として行われる、分析試料の組成分析工程(以下、「日常分析工程」という)について、図2、7〜8のフローチャートを参照して説明する。

0070

この実施形態では、上述のように、日常の分析試料の組成分析の測定精度を的確に管理することを目的として、分析装置の特性などの経年変化測定条件の変動等に対応可能とすることも考慮して、日常分析工程において蛍光X線分析装置を用いて分析試料の一斉定量分析を行う度に、上記標準試料調整工程で既に組成分析されている標準試料についても、上記の蛍光X線分析装置と同じ蛍光X線分析装置を用いて一斉定量分析を行う。

0071

(a)日常分析工程における標準試料の一斉定量分析:(図7参照)
まず、標準試料調整工程で標準試料分析部10により既に組成分析されている標準試料について、後述の分析試料の一斉定量分析に用いられるものと同じ蛍光X線分析装置で、標準試料の各元素についての一斉定量分析がなされる。すなわち、推定強度算出手段24によって、標準試料の実測X線強度を測定すると共に(ステップS1)、標準試料の組成を仮定した後、この仮定した組成に基づいて、標準試料の理論X線強度を算出する(ステップS2)。その後、標準試料の理論X線強度に、蛍光X線分析装置に予め内蔵された感度係数αを乗算して、推定測定強度を求める(ステップS3)。なお、上記ステップS2において標準試料の組成を仮定する場合、例えば、標準試料調整工程で既に得られている標準試料の基準組成分析値を設定するようにしてもよい。

0072

次いで、組成算出手段26によって、標準試料の実測X線強度と推定測定強度とを比較する(ステップS4)。両者がほぼ一致する場合は、仮定した組成が標準試料の求める組成値(一斉定量分析値)となって測定が終了し、一致しない場合には、前記ステップS2に戻り、組成の仮定がやり直され、両者がほぼ一致するまで、逐次近似的に修正計算して、標準試料の組成値(一斉定量分析値)が求められる(ステップS5,S6)。

0073

なお、標準試料としては、分析試料の組成に極力近い組成の試料を用いることが好ましいが、組成分析すべき主要な元素の構成が分析試料と共通するものであればよく、各元素の組成比は異なるものであってもよい。

0074

(b)日常分析工程における分析試料の一斉定量分析:(図8参照)
一方、分析試料の組成分析についても、上記標準試料の分析と同様にして、上記標準試料の一斉定量分析に用いられるものと同じ蛍光X線分析装置で、分析試料の各元素についての一斉定量分析がなされる。すなわち、推定強度算出手段24によって、分析試料の実測X線強度を測定すると共に(ステップS1)、分析試料の組成を仮定した後、この仮定した組成に基づいて、分析試料の理論X線強度を求める(ステップS2)。その後、分析試料の理論X線強度に、蛍光X線分析装置に予め内蔵された感度係数αを乗算して、推定測定強度を求める(ステップS3)。なお、例えばプリント板のはんだ付けに用いる自動はんだ付け装置の「はんだ槽」などから採取された合金を分析試料とする場合、分析試料の組成は「はんだ槽」などの使用状況によって日常的に変動している。上記ステップS2において分析試料の組成を仮定する場合、例えば「はんだ槽」などにおける合金組成管理目標値を設定してもよく、また、上記標準試料調整工程で既に得られている標準試料の基準組成分析値を設定するようにしてもよい。

0075

次いで、組成算出手段26によって、分析試料の実測X線強度と推定測定強度とを比較する(ステップS4)。両者がほぼ一致する場合は、仮定した組成が分析試料の求める組成(一斉定量分析値)となって測定が終了し、一致しない場合には、前記ステップS2に戻り、組成の仮定がやり直され、両者がほぼ一致するまで、逐次近似的に修正計算して、分析試料の組成値(一斉定量分析値)が求められる(ステップS5,S6)。

0076

(c)日常分析工程におけるデータ処理
上記のようにして、各試料の組成の蛍光X線分析装置による一斉定量分析値が算出されたら、分析データ処理手段28によって、分析試料および標準試料のそれぞれの各元素の組成分析値を例えば表形式などの様式にまとめて日常分析工程における組成分析データとして出力する。また、分析データ処理手段28によって、標準試料について複数回(例えば5回)行われた一斉定量分析の分析データについて繰り返し分析精度変動係数)を計算し、出力する。分析データ処理手段28より出力される上記データにより、工場現場等で日常行われる蛍光X線分析装置による分析試料の組成分析の作業において、標準試料に基づいて測定精度が確認された蛍光X線分析装置による一斉定量分析の結果として分析試料の組成分析値を得ることができるとともに、その度に、標準試料の一斉定量分析の繰り返し分析精度(変動係数)に基づいて、蛍光X線分析装置の測定動作が正常であるかどうかを確認することができる。

0077

(合金の組成分析方法)
次に、上記構成からなる本発明の分析装置1を用いた、本発明による合金の組成分析方法について説明する。本発明の合金の分析組成方法においては、標準試料分析部10によって標準試料の組成分析を行って、この標準試料に基づいて、分析したい未知組成の分析試料の組成分析がなされる。各工程については既に詳述したので、図2の全体工程フローチャートに沿って、簡潔に述べる。なお、この実施形態における合金の組成分析の全体工程は、図2のフローチャートに限定されるものではなく、標準試料調整工程で得られた標準試料に基づいて日常分析工程における分析試料の組成分析の測定精度を的確に管理することができるものであればよい。

0078

(1)標準試料調整工程:
先ず、標準試料調整工程が行われる。標準試料調整工程では、分離手段12によって、所定量の合金が無機酸で処理されて、溶液部分とGe沈殿部分とに分離され、それぞれが標準試料分析手段15によって別々に組成分析されて、それによって合金全体の組成分析を行い、各元素の基準組成分析値を得ることができる(図1,5参照)。このように組成分析がなされた試料を標準試料とし、これに基づいて試料分析手段20によって、分析試料の組成分析を行うことができる。

0079

(2)一斉定量分析測定精度評価工程:
次に、日常分析工程を開始する前に、一斉定量分析測定精度評価工程が行われる。一斉定量分析測定精度評価工程では、標準試料調整工程で得られた標準試料について蛍光X線分析装置による一斉定量分析を行ない、その一斉定量分析値と、標準試料調整工程で得られている標準試料の基準組成分析値との偏差を求め、以後の日常分析工程で用いられる蛍光X線分析装置による一斉定量分析の測定精度を評価する。

0080

(3)日常分析工程:
次に、一斉定量分析測定精度評価工程で十分な測定精度が得られることを確認した上で、以後の日常分析工程を開始する。各日常分析工程では、その度に分析試料と標準試料との両方について蛍光X線分析装置による一斉定量分析を行ない、分析試料の一斉定量分析値を日常の合金組成管理のための日常分析値として得るとともに、標準試料の一斉定量分析の繰り返し分析精度(変動係数)により蛍光X線分析装置の測定動作が正常かどうかを確認する。

0081

(本実施形態における効果)
そして、本発明においては、酸で分解処理しにくいGeを沈殿させて、これを組成分析することにより、Geを蒸留させる場合に比べて迅速に組成分析をすることができる。それと共に、Ge沈殿部分を溶液部分とは別々に組成分析するので、標準試料となる合金の組成分析を精度良く行うことができる。

0082

また、この実施形態においては、検量線試料に基づいてX線強度と組成との相関を示す検量線を作成し、これにGe沈殿部分のX線強度を適用して、その組成分析がなされるように構成されているので(図5参照)、Ge沈殿部分を迅速にかつ精度よく組成分析することができ、標準試料の組成分析の精度をより向上させることができる。

0083

更に、この実施形態においては、上記のようにして得られた標準試料に基づいて,日常分析工程で用いられる蛍光X線分析装置による一斉定量分析の測定精度を評価する一斉定量分析測定精度評価工程を設けているので、以後の日常分析工程における分析試料の組成分析の測定精度を的確に管理することができる。

0084

更に、この実施形態においては、上述のように、日常分析工程において、蛍光X線分析装置により分析試料について各元素の一斉定量分析を行う度に、同じ蛍光X線分析装置によって標準試料についても各元素の一斉定量分析を行って、分析試料と標準試料との両方の一斉定量分析値を得るようにしている。これにより、当該日常分析工程における標準試料の一斉定量分析の繰り返し分析精度(変動係数)に基づいて、当該日常分析工程で用いられている蛍光X線分析装置の測定動作が正常であるかどうかを確認することができるので、工場現場等で日常行われる分析試料の組成分析の測定精度を的確に管理することができる。また、標準試料の一斉定量分析値を各日常分析工程同士の間(例えば図2における第1回日常分析工程と第2回日常分析工程との間)で対比することにより、蛍光X線分析装置による蛍光X線分析における分析装置の特性などの経年変化、測定条件の変動等による分析データへの影響を評価することができるので、より的確な組成分析を行うことが可能となる。

0085

[第2の実施形態]
図9には、本発明の第2の実施形態に係る合金の組成分析装置1a(以下、「分析装置1a」という)の概略構成図が示されている。図9に示すように、この分析装置1aは、日常の組成分析作業として分析すべき分析試料の組成分析を行う上での基準となる、標準試料の組成分析を行うための、標準試料分析部10と、該標準試料分析部10によって組成分析がなされた標準試料の組成分析結果に基づいて、分析試料の組成分析を、蛍光X線分析装置を用いて行う試料分析手段20aとを有している。第1の実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。

0086

分析装置1aは、標準試料分析部の構成では、第1の実施形態の分析装置1と同様である。一方、この実施形態では、工場現場等で日常行われる分析試料の組成分析として、第1の実施形態と同様に、蛍光X線分析装置を用いてFP法により分析試料の各元素についての一斉定量分析を行うが、蛍光X線分析装置におけるFP法による組成分析方式として、前述した標準試料調整工程において標準試料分析部10により既に得られている標準試料の組成(基準組成分析値)に基づいて感度係数を求め、この感度係数に基づいて分析試料の組成分析がなされる。このため、分析装置1aは、第1の実施形態の分析装置1とは、下記のように試料分析手段の構成が異なっている。

0087

(試料分析手段)
この実施形態における試料分析手段20aには、感度係数算出手段22と、推定測定強度算出手段24と、組成算出手段26とを備えている。

0088

前記感度係数算出手段22は、標準試料の実測X線強度を測定すると共に、前述した標準試料調整工程において標準試料分析部10によって既に得られている、標準試料の組成分析結果(基準組成分析値)に基づいて、理論X線強度を求め、そして、標準試料の実測X線強度を、標準試料の理論X線強度で除算して、感度係数を求めるものである。

0089

また、前記組成算出手段26は、推定測定強度算出手段24により算出された、分析試料の実測X線強度と、分析試料の推定測定強度とを比較し、両者の値がほぼ一致する場合は、仮定した組成を、分析試料の求める組成(一斉定量分析値)として出力し、両者の値が一致しない場合には、分析試料の組成を再仮定させ、分析試料の実測X線強度及び推定測定強度がほぼ一致するまで、逐次近似的に修正計算させるものである。

0090

この実施形態における分析試料の組成分析工程を、図10のフローチャートを参照して説明すると、次のようになる。

0091

すなわち、感度係数算出手段22により、標準試料の実測X線強度を測定すると共に、標準試料調整工程で標準試料分析部10によって既に得られている標準試料の組成分析結果(基準組成分析値)に基づいて、理論X線強度を求める(ステップS1)。その後、実測X線強度を理論X線強度で除算して、感度係数を求める(ステップS2)。

0092

次いで、推定測定強度算出手段24により、分析試料の実測X線強度を測定すると共に(ステップS3)、分析試料の組成を仮定し、これに基づいて分析試料の理論X線強度を求める(ステップS4)。その後、分析試料の理論X線強度に前記感度計数を乗算して、推定測定強度を求める(ステップS5)。なお、例えばプリント板のはんだ付けに用いる自動はんだ付け装置の「はんだ槽」などから採取された合金を分析試料とする場合、分析試料の組成は「はんだ槽」などの使用状況によって日常的に変動している。上記ステップS4において分析試料の組成を仮定する場合、例えば「はんだ槽」などにおける合金組成の管理目標値を設定してもよく、また、上記の標準試料分析部10により既に得られている標準試料の基準組成分析値を設定するようにしてもよい。

0093

次いで、組成算出手段26によって、分析試料の実測X線強度と推定測定強度とを比較する。両者がほぼ一致する場合は、仮定した組成が分析試料の求める組成(一斉定量分析値)となって、測定が終了し、一致しない場合には、前記ステップS4に戻り、組成の仮定がやり直され、両者がほぼ一致するまで、逐次近似的に修正計算して、目的の組成(一斉定量分析値)が求められるようになっている(ステップS6〜S8)。

0094

上記のように、この実施形態においては、標準試料調整工程で標準試料分析部10により既に組成分析されている標準試料の実測X線強度に基づいて感度係数を求めると共に、分析試料の組成を仮定した後、理論X線強度を求め、この理論X線強度と感度係数に基づいて推定測定強度を求め、分析試料の実測X線強度及び推定測定強度がほぼ一致するように、分析試料の仮定した組成を逐次近似的に修正計算して、分析試料の組成分析がなされる(図10参照)。このように、標準試料を用いて感度係数を求めてFP法による組成分析を行うようにしたので、分析試料の組成を精度よく求めることができる。

0095

なお、この実施形態においても、標準試料としては、分析試料の組成に極力近い組成の試料を用いることが好ましいが、組成分析すべき主要な元素の構成が分析試料と共通するものであればよく、各元素の組成比は異なるものであってもよい。

0096

本発明の合金の組成分析方法により、分析試料の組成分析の基準となる標準試料とすべき合金について、所定量の合金を無機酸で処理して溶液部分とGe沈殿部分とに分離させ、前記溶液部分及び前記Ge沈殿部分をそれぞれ組成分析して各元素の基準組成分析値を求める組成分析(湿式分析)を行った結果、および、蛍光X線分析装置を用いた一斉定量分析による分析試料の組成分析における繰り返し分析精度などを検討した結果を以下に示す。

0097

(1)標準試料の組成分析(湿式分析)
(a)分解・ろ過工程(図5:ステップS1,S2)
プリント板のはんだ付けに用いる自動はんだ付け装置の「はんだ槽」から鉛フリーのはんだ合金の試料を採取した。この試料は、Snを主成分として,Ag,Cu,Ni,Ge,及び,不純物のPbを含有するものである。この試料を、標準試料とすべき合金として0.50g計量する。そして、濃度60%の硝酸10ml(ミリリットル)に酒石酸0.05gを混合したものに純水を加えて100ml(ミリリットル)とした混合液が注入された容器に、上記の計量された試料0.50gを投入すると共に、所定温度ホットプレートで加熱しながら攪拌して溶液化した。

0098

これをろ紙(5種C)でろ過して、溶液部分とGe沈殿部分とに分離した。

0099

溶液部分を、硝酸液(濃度60%の硝酸1:純水5)で希釈した後、50mlの溶液試料とした。

0100

(b)Ag,Cu,Ni,Pbの組成分析(図5:ステップS3)
上記溶液部分をプラズマ発光分析装置40(図3参照)で組成分析した。プラズマPの温度は、約6000Kである。

0101

この溶液部分の分析においては、各元素について濃度(ppm)と発光強度cps)との相関を示す検量線を作成して、それに基づいて各元素(Ag,Cu,Ni,Pb)の組成分析を行った。図11(a)には、Agについての関係を示す図表が示されており、図11(b)には、Cuについての図表が示されている。各図表に基づいて作成されたAg、Cuの検量線の関係式は、下記(i)式、(ii)式のとおりである。

0102

Ag(ppm)=0.1435χ−0.0554×107、相関係数γ=0.9999
・・・(i)
Cu(ppm)=0.1645χ−4.506×106、相関係数γ=0.9996
・・(ii)

0103

(c)Geの組成分析(図5:ステップS4〜S7)
ろ紙で回収したGe沈殿部分を乾燥・粉末化して、加圧成形して塊状の試料を形成した(図5:ステップS4)。沈殿物は、SnO2・nH2O(固形物が酸化Snで、結晶水がnH2O)主体で、Geを含むものである。これを蛍光X線分析装置50により、分析してX線強度を測定した(図5:ステップS5)。

0104

それとは別に、SnO2及びGeO2を混合してなり、Geの組成が既知とされた複数の検量線試料(Ge:100μg,200μg,300μg)を、蛍光X線分析装置により分析して、X線強度と組成との相関を示す検量線を作成した(図5:ステップS6)。図11(c)に、Ge含有量(μg)とX線強度(sps)の関係を示す図表が示されており、これに基づいて作成された検量線の関係式は、下記(iii)式のとおりである。

0105

Ge(μg)=29.23χ−2.190×102、相関係数γ=0.9991
・・・(iii)
蛍光X線分析装置50を用い、上記検量線を適用して、Geの組成分析を行った(図5:ステップS7)。こうして組成分析がなされた標準試料を得た。

0106

(d)分析結果
上記工程を5回繰り返して、Ag,Cu,Ni,Ge,及び、Pbの繰り返し分析精度を確認した。その結果を下記表1に示す。

0107

0108

各元素の繰り返し分析精度は、その変動係数が約1%以下で、良好であることが確認された。

0109

ここで、変動係数CV(%)は、次式で表されるものである。

0110

CV(%)
=[(例えば10回の)分析値標準偏差/(例えば10回の)分析値の平均値]×100
なお、変動係数CV(%)の判定基準値は、例えば、微量成分では10%以下、主要成分では2%以下とするとよい。

0111

(2)分析試料の組成分析(一斉定量分析)
プリント板のはんだ付けに用いる自動はんだ付け装置の「はんだ槽」から鉛フリーのはんだ合金の試料を採取した。この試料は、Snを主成分として,Ag,Cu,Ni,Ge,及び,不純物のPbを含有するものである。この試料を用いて、図6に示す工程で、径45mm、厚さが12mmの分析試料を作成した。鋳型はステンレス製のものを採用した。

0112

この分析試料について、図8に示す手順で、蛍光X線分析装置により分析試料の各元素を一斉に定量分析する組成分析(一斉定量分析)を行った。なお、この一斉定量分析は、上述のように、蛍光X線分析装置に予め内蔵されている,元素ごとに標準的に設定された感度係数αを用いたFP法による組成分析を行うものである。この組成分析工程を6回繰り返して、Ag,Cu,Ni,Ge,及び、Pbの繰り返し分析精度を確認した。その結果を下記表2に示す。

0113

0114

各元素の繰り返し分析精度は、その変動係数が約3%以下で、微量成分についての繰り返し分析精度として良好であることが確認された。なお、表1に示す標準試料の組成成分の単位(ppm,μg)は、上記表2に分析試料の組成成分の単位(wt%)とは異なるが、適宜換算されるようになっている。

0115

また、この分析試料におけるPb量の組成分析値は0.1wt%以下であり、鉛フリーはんだの規格(Pb=0.1wt%以下)を満たす値となっている。更に、この分析試料の一斉定量分析により、Ni及びGeを含むSn−Ag−Cu系合金の、不純物指定の8成分であるPb,Sb,Bi,Zn,Fe,Al,As,Cdのうち、Pb以外の各元素の組成分析値も表2には示していないが、下記表3に記載の各許容値満足する値になっていることが確認できている。

0116

0117

上述のように、表2により、プリント板のはんだ付けに用いる自動はんだ付け装置の「はんだ槽」から採取された、Snを主成分として,Ag,Cu,Ni,Ge,及び,不純物のPbを含有する鉛フリーはんだ合金の分析試料の組成分析として行われる、蛍光X線分析装置を用いた図8に示す手順による一斉定量分析において、良好な繰り返し分析精度が得られることが示されている。このため、上記のような鉛フリーはんだ合金の分析試料についての蛍光X線分析装置を用いた図8に示す手順による一斉定量分析値を、表3に示されるような基準値に基づいて評価することにより、「はんだ槽」内の合金の組成管理を行うことができる。なお、上述のように、日常分析工程を開始する前の一斉定量分析測定精度評価工程において、標準試料調整工程で得られた標準試料に基づいて、蛍光X線分析装置による一斉定量分析の測定精度を評価しておくことにより、以後の日常分析工程では、標準試料に基づいて測定精度が確認された一斉定量分析の結果として、分析試料の組成分析値を得ることができる。

0118

また、分析試料について蛍光X線分析装置による一斉定量分析を行う度に、標準試料についても分析試料と同じ蛍光X線分析装置による一斉定量分析を行うことにより、蛍光X線分析装置による蛍光X線分析における分析装置の特性などの経年変化、測定条件の変動等による分析データへの影響を評価することができるので、的確な組成分析を行うことが可能となる。

図面の簡単な説明

0119

本発明の第1の実施形態に係る合金の組成分析装置を示す概略構成図である。
本発明の第1の実施形態における合金の組成分析の全体工程の一例を示すフローチャートである。
本発明の第1の実施形態に係る合金の組成分析装置に用いられるプラズマ発光分析装置の概略構造図である。
本発明の第1の実施形態に係る合金の組成分析装置に用いられる蛍光X線分析装置の概略構造図である。
本発明の第1の実施形態における標準試料調整工程での標準試料の分析手順を示すフローチャートである。
本発明の第1の実施形態における日常分析工程での分析試料の作成手順を示すフローチャートである。
本発明の第1の実施形態における標準試料の一斉定量分析の手順を示すフローチャートである。
本発明の第1の実施形態における分析試料の一斉定量分析の手順を示すフローチャートである。
本発明の第2の実施形態に係る合金の組成分析装置を示す概略構成図である。
本発明の第2の実施形態における分析試料の一斉定量分析の手順を示すフローチャートである。
各元素の組成と発光強度あるいはX線強度との関係を示しており、(a)はAgでの濃度と発光強度との相関を示す図表、(b)はCuでの濃度と発光強度との相関を示す図表、(c)はGeでの含有量とX線強度との相関を示す図表である。

符号の説明

0120

1,1a合金の組成分析装置(分析装置)
10標準試料分析部
12 分離手段
13溶液分析手段
14 Ge分析手段
14a検量線作成手段
14b 検量線測定手段
15 標準試料分析手段
20,20a試料分析手段
22感度係数算出手段
24推定測定強度算出手段
26組成算出手段
28分析データ処理手段
40プラズマ発光分析装置
41石英トーチ
43誘導コイル
45容器
47回折格子
48光電子増倍管
50蛍光X線分析装置
51X線発生装置
52X線管球
53分光結晶
55検出器
57計数記録装置
57a増幅器
57b波高分析器
57c データ処理装置

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