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技術 循環器系の硬さの計測装置及び方法

出願人 公益財団法人大阪産業振興機構国立大学法人大阪大学
発明者 東森充金子真山本一博坂田泰史
出願日 2008年2月29日 (12年9ヶ月経過) 出願番号 2008-050444
公開日 2009年9月17日 (11年3ヶ月経過) 公開番号 2009-207518
状態 特許登録済
技術分野 磁気共鳴イメージング装置 放射線診断機器 超音波診断装置
主要キーワード 複数グレード 平均的位置 内壁位置 時間的変位 複数組分 時間変位 指標データベース 外壁位置
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

心臓の硬さの評価を非侵襲で行うことを可能とする、心臓の硬さの計測方法を提供する。

解決手段

循環器拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び第1と第2の位相における外壁位置の値を計測するステップと、前記第1と第2の位相における内壁位置の値、及び前記第1と第2の位相における外壁位置の値に基づいて、循環器の硬さを示す値を算出するステップとを含む循環器の硬さ計測方法である。

概要

背景

近年、駆出率を保持したまま心不全罹患する率が増加している。このような心不全は、左室(LV)拡張期機能障害から生じるのであり拡張期心不全(DHF;Diastolic Heart Failure)と称される。心不全の臨床症状は明確なものではなく、拡張期心不全(DHF)の確定診断には、拡張期機能障害の探知が要求される。特に、心臓の壁の硬さの増大は、このタイプの心不全の悪化において決定的役割を果たしてしまう。

つまり、心臓が硬くなるにつれて、心臓の負担は増大する。よって、心臓の疾病の予防や治療において心臓の硬さを認識することが重要である。ところが心臓の硬さを正確に評価するためには、心臓の動き心臓内の圧力の両方を計測する必要がある。このうち心臓の動きについては超音波診断装置で計測され得る。

しかしながら、心臓内の圧力の計測は、患者循環器系内にカテーテルを入れない限り不可能である。このような侵襲診断方式は、患者に負担をかけるとともに煩雑な作業を要するため、通常、患者からも医療現場からも敬遠されがちである。

従来の心臓の硬さを評価する研究として、超音波診断装置により左房から左室への血液の流入動態を計測することによるもの(非特許文献1、2参照)がある。この研究に係る評価方法では、左室流入血流速波形が、左室拡張期機能障害に伴い二相性の変化を取ってしまうため、実際に心臓の硬さを精度よく評価できるまでには至っていない。

このように、壁硬さを含む左室拡張機能に関する非侵襲での評価法は未だ確立されていない。拡張期心不全の確定診断、即ち、拡張期心不全の重症度評価は、現在でも困難である。

なお、本願の先行発明として特許文献1に係るものが挙げられるが、特許文献1では、循環器医が切望している、自ら能動的に拍動を行う心臓の硬さを測定することを目的としていないことが強く示唆されている。
特開2007−82725号公報
Little WC, et al. Determination of left ventricular chamber stiffness from the time for deceleration of early left ventricular filling.Circulation 1995; 92: 1933-9
Marino P, et al. Can left ventricular diastolic stiffness be measured noninvasively? J Am Soc Echocardiogr 2002;15:935-43

概要

心臓の硬さの評価を非侵襲で行うことを可能とする、心臓の硬さの計測方法を提供する。循環器の拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び第1と第2の位相における外壁位置の値を計測するステップと、前記第1と第2の位相における内壁位置の値、及び前記第1と第2の位相における外壁位置の値に基づいて、循環器の硬さを示す値を算出するステップとを含む循環器の硬さ計測方法である。

目的

本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、心臓の硬さの評価を非侵襲で行うことを可能とする、心臓の硬さの計測方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

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請求項1

循環器拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び第1と第2の位相における外壁位置の値を計測するステップと、前記第1と第2の位相における内壁位置の値、及び前記第1と第2の位相における外壁位置の値に基づいて、循環器の硬さを示す値を算出するステップとを含む循環器の硬さ計測方法。

請求項2

前記循環器の拍動周期中の第1と第2の位相が、拡張期中の第1と第2の位相であることを特徴とする請求項1に記載の循環器の硬さ計測方法。

請求項3

前記循環器の拍動周期中の第1の位相が、収縮末期であり、前記循環器の拍動周期中の第2の位相が、拡張末期であることを特徴とする請求項1に記載の循環器の硬さ計測方法。

請求項4

前記算出するステップは、前記収縮末期における外壁位置の値と内壁位置の値の差である収縮末期の壁厚(Pre)と、前記拡張末期における外壁位置の値と内壁位置の値の差である拡張末期の壁厚(Post)とを求め、前記拡張末期の外壁位置の値と前記収縮末期の外壁位置の値の差を求めることで外壁変位(D2)を求め、前記循環器の硬さを示す値(E1)を次式で算出する、ことを特徴とする請求項3に記載の循環器の硬さ計測方法。

請求項5

前記算出するステップは、前記収縮末期における外壁位置の値と内壁位置の値の差である収縮末期の壁厚(Pre)と、前記拡張末期における外壁位置の値と内壁位置の値の差である拡張末期の壁厚(Post)とを求め、前記循環器の硬さを示す値(E2)を次式で算出する、ことを特徴とする請求項3に記載の循環器の硬さ計測方法。

請求項6

前記計測するステップが、対象部位時間変位データから収縮末期の内壁位置の値を複数確定し、それらの位置の値を平均して収縮末期の内壁位置の値の平均値として計測するステップと、対象部位の時間変位データから収縮末期の外壁位置の値を複数確定し、それらの位置の値を平均して収縮末期の外壁位置の値の平均値として計測するステップと、対象部位の時間変位データから拡張末期の内壁位置の値を複数確定し、それらの位置の値を平均して拡張末期の内壁位置の値の平均値として計測するステップと、対象部位の時間変位データから拡張末期の外壁位置の値を複数確定し、それらの位置の値を平均して拡張末期の外壁位置の値の平均値として計測するステップと、前記収縮末期の内壁位置の値の平均値、前記収縮末期の外壁位置の値の平均値、前記拡張末期の内壁位置の値の平均値、及び前記拡張末期の外壁位置の値の平均値を、夫々、前記算出するステップにおける収縮末期の内壁位置の値データ、収縮末期の外壁位置の値データ、拡張末期の内壁位置の値データ、及び、拡張末期の外壁位置の値データとするステップとを含む、請求項4又は5に記載の循環器の硬さ計測方法。

請求項7

前記対象部位の時間変位データを、前記対象部位を含む循環器断面に関する時間変動の画像データから作成するステップを、前記算出するステップの前に行う、ことを特徴とする請求項6に記載の循環器の硬さ計測方法。

請求項8

循環器の断面に関する画像データから、収縮末期の内壁位置の値、及び、収縮末期の外壁位置の値、並びに拡張末期の内壁位置の値、及び、拡張末期の外壁位置の値を計測する、ことを特徴とする請求項3に記載の循環器の硬さ計測診断方法

請求項9

前記循環器の断面に関する画像データは、超音波画像データ、CTスキャンによる画像データ、又は、MRIによる画像データである、ことを特徴とする請求項8に記載の循環器の硬さ計測方法。

請求項10

(A)循環器の一つの拍動における第1と第2の位相の内壁位置の値、及び第1と第2の位相の外壁位置の値を計測し、それら第1と第2の位相の内壁位置の値及び第1と第2の位相の外壁位置の値に基づいてこの拍動における循環器の硬さを示す値を算出するステップと、(B)前記ステップ(A)で対象とした拍動に続く一つ又は複数の拍動について、夫々、第1と第2の位相の内壁位置の値、及び第1と第2の位相の外壁位置の値を計測し、それら第1と第2の位相の内壁位置の値及び第1と第2の位相の外壁位置の値に基づいて、夫々の拍動における循環器の硬さを示す値を算出するステップと、(C)前記ステップ(A)(B)で算出された複数の拍動における循環器の硬さを示す値の平均値を算出するステップとを含む循環器の硬さ計測方法。

請求項11

循環器の拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び第1と第2の位相における外壁位置の値を計測する計測手段と、前記第1と第2の位相における内壁位置の値、及び前記第1と第2の位相における外壁位置の値に基づいて、循環器の硬さを示す所定の数値を算出する算出手段とを含む循環器の硬さ計測装置。

請求項12

循環器断面に関する映像から、時間変動の画像データを生成し、更に該時間変動の画像データから、対象部位の時間変位データを展開する画像データ生成手段を更に含み、前記計測手段は、前記対象部位の時間変位データに対して確定される、循環器の拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び第1と第2の位相における外壁位置の値を計測することを特徴とする請求項11に記載の循環器の硬さ計測装置。

請求項13

前記循環器の拍動周期中の第1と第2の位相が、拡張期中の第1と第2の位相であることを特徴とする請求項11に記載の循環器の硬さ計測装置。

請求項14

前記循環器の拍動周期中の第1の位相が、収縮末期であり、前記循環器の拍動周期中の第2の位相が、拡張末期であることを特徴とする請求項11に記載の循環器の硬さ計測装置。

請求項15

前記収縮末期の外壁位置の値と前記収縮末期の内壁位置の値の差を収縮末期の壁厚(Pre)データとし、前記拡張末期の外壁位置の値と前記拡張末期の内壁位置の値の差を拡張末期の壁厚(Post)データとし、前記拡張末期の外壁位置の値と前記収縮末期の外壁位置の値との差を収縮末期から拡張末期までの外壁の変位(D2)データとして、前記所定の数値が、次の式で表される数値(E1)である、ことを特徴とする請求項14に記載の循環器の硬さ計測装置。

請求項16

前記収縮末期の外壁位置の値と前記収縮末期の内壁位置の値の差を収縮末期の壁厚(Pre)データとし、前記拡張末期の外壁位置の値と前記拡張末期の内壁位置の値の差を拡張末期の壁厚(Post)データとして、前記所定の数値が、次の式で表される数値(E2)である、ことを特徴とする請求項14に記載の循環器の硬さ計測装置。

請求項17

循環器の拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び、第1と第2の位相における外壁位置の値に関するデータを取得する壁位置取得ステップと、前記壁位置取得ステップにて取得された、前記第1と第2の位相における内壁位置の値、及び、前記第1と第2の位相における外壁位置の値に関するデータから、循環器の硬さを示す所定の数値を算出する硬さ算出ステップとを含む循環器の硬さ計測装置で稼動するコンピュータプログラム

請求項18

前記壁位置取得ステップは、循環器断面に関する時間変動の画像データから展開される対象部位の時間変位データに対して確定される、循環器の拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び、第1と第2の位相における外壁位置の値に関するデータを取得することを特徴とする請求項17に記載のコンピュータプログラム。

請求項19

前記循環器の拍動周期中の第1と第2の位相が、拡張期中の第1と第2の位相であることを特徴とする請求項17に記載のコンピュータプログラム。

請求項20

前記循環器の拍動周期中の第1の位相が、収縮末期であり、前記循環器の拍動周期中の第2の位相が、拡張末期であることを特徴とする請求項17に記載のコンピュータプログラム。

請求項21

前記収縮末期の外壁位置の値と前記収縮末期の内壁位置の値の差を収縮末期の壁厚(Pre)データとし、前記拡張末期の外壁位置の値と前記拡張末期の内壁位置の値の差を拡張末期の壁厚(Post)データとし、前記拡張末期の外壁位置の値と前記収縮末期の外壁位置の値との差を収縮末期から拡張末期までの外壁の変位(D2)データとして、前記所定の数値が、次の式で表される数値(E1)であることを特徴とする請求項20に記載のコンピュータプログラム。

請求項22

前記収縮末期の外壁位置の値と前記収縮末期の内壁位置の値の差を収縮末期の壁厚(Pre)データとし、前記拡張末期の外壁位置の値と前記拡張末期の内壁位置の値の差を拡張末期の壁厚(Post)データとして、前記所定の数値が、次の式で表される数値(E2)であることを特徴とする請求項20に記載のコンピュータプログラム。

請求項23

前記算出するステップは、前記収縮末期における外壁位置の値と内壁位置の値の差である収縮末期の壁厚(Pre)と、前記拡張末期における外壁位置の値と内壁位置の値の差である拡張末期の壁厚(Post)とを求め、前記拡張末期の外壁位置と前記収縮末期の外壁位置の差を求めることで外壁の変位(D2)を求め、循環器の柔らかさを示す値(C1)を次式で算出することを特徴とする請求項3に記載の循環器の硬さ計測方法。

請求項24

前記算出するステップは、前記収縮末期における外壁位置と内壁位置の差である収縮末期の壁厚(Pre)と、前記拡張末期における外壁位置と内壁位置の差である拡張末期の壁厚(Post)とを求め、循環器の柔らかさを示す値(C2)を次式で算出することを特徴とする請求項3に記載の循環器の硬さ計測方法。

請求項25

請求項11に記載の硬さ計測装置により算出された循環器の硬さを示す所定の数値を、計測対象区画、及び、一つ又は複数のデータ項目と共に記録するレコードを多数格納する循環器硬さ指標データベースに関するデータ処理を行う、データベースサーバであって、指定されたデータ項目の種別の情報、前記指定されたデータ項目に係る具体的数値の情報、及び循環器の硬さを示す所定の数値の具体的値の情報を、第1の装置から受け取る受信手段と、指定されたデータ項目の値が、前記指定されたデータ項目に係る具体的数値と一致する、若しくは、前記指定されたデータ項目に係る具体的数値と所定の条件にあるレコードを抽出する抽出手段と、抽出された複数の前記レコードを区画毎に分け、各区画での前記循環器の硬さを示す所定の数値に関する統計値を計算する計算手段と、区画毎の前記統計値を基にして、受け取った循環器の硬さを示す所定の数値の具体的値の、統計データ全体の中での相対的位置を判定する判定手段と、前記判定された相対的位置の情報を前記第1の装置に送る送信手段とを含む、データベースサーバ。

技術分野

0001

本発明は、循環器系、特に心臓の硬さ(柔軟性)を定量的に計測する装置、及び方法に関する。

背景技術

0002

近年、駆出率を保持したまま心不全罹患する率が増加している。このような心不全は、左室(LV)拡張期機能障害から生じるのであり拡張期心不全(DHF;Diastolic Heart Failure)と称される。心不全の臨床症状は明確なものではなく、拡張期心不全(DHF)の確定診断には、拡張期機能障害の探知が要求される。特に、心臓の壁の硬さの増大は、このタイプの心不全の悪化において決定的役割を果たしてしまう。

0003

つまり、心臓が硬くなるにつれて、心臓の負担は増大する。よって、心臓の疾病の予防や治療において心臓の硬さを認識することが重要である。ところが心臓の硬さを正確に評価するためには、心臓の動き心臓内の圧力の両方を計測する必要がある。このうち心臓の動きについては超音波診断装置で計測され得る。

0004

しかしながら、心臓内の圧力の計測は、患者の循環器系内にカテーテルを入れない限り不可能である。このような侵襲診断方式は、患者に負担をかけるとともに煩雑な作業を要するため、通常、患者からも医療現場からも敬遠されがちである。

0005

従来の心臓の硬さを評価する研究として、超音波診断装置により左房から左室への血液の流入動態を計測することによるもの(非特許文献1、2参照)がある。この研究に係る評価方法では、左室流入血流速波形が、左室拡張期機能障害に伴い二相性の変化を取ってしまうため、実際に心臓の硬さを精度よく評価できるまでには至っていない。

0006

このように、壁硬さを含む左室拡張機能に関する非侵襲での評価法は未だ確立されていない。拡張期心不全の確定診断、即ち、拡張期心不全の重症度評価は、現在でも困難である。

0007

なお、本願の先行発明として特許文献1に係るものが挙げられるが、特許文献1では、循環器医が切望している、自ら能動的に拍動を行う心臓の硬さを測定することを目的としていないことが強く示唆されている。
特開2007−82725号公報
Little WC, et al. Determination of left ventricular chamber stiffness from the time for deceleration of early left ventricular filling.Circulation 1995; 92: 1933-9
Marino P, et al. Can left ventricular diastolic stiffness be measured noninvasively? J Am Soc Echocardiogr 2002;15:935-43

発明が解決しようとする課題

0008

以上のように、従来、心臓の硬さを評価するためには、患者の体内にカテーテルを挿入する必要があり、患者に負担をかけるとともに医療スタッフに対しても煩雑な作業が必要であった。このため、非侵襲で心臓の硬さの評価を行う技術の確立が要望されている。

0009

本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、心臓の硬さの評価を非侵襲で行うことを可能とする、心臓の硬さの計測方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、上記の目的を達成するために為されたものである。本発明に係る循環器系硬さ計測方法は、
循環器の拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び第1と第2の位相における外壁位置の値を計測するステップと、
前記第1と第2の位相における内壁位置の値、及び前記第1と第2の位相における外壁位置の値に基づいて、循環器の硬さを示す値を算出するステップと
を含む循環器の硬さ計測方法である。

0011

本発明に係る循環器の硬さ診断装置は、
循環器の拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び第1と第2の位相における外壁位置の値を計測する計測手段と、
前記第1と第2の位相における内壁位置の値、及び前記第1と第2の位相における外壁位置の値に基づいて、循環器の硬さを示す所定の数値を算出する算出手段と
を含む循環器の硬さ計測装置である。

0012

本発明に係るコンピュータプログラムは、
循環器の拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び、第1と第2の位相における外壁位置の値に関するデータを取得する壁位置取得ステップと、
前記壁位置取得ステップにて取得された、前記第1と第2の位相における内壁位置の値、及び、前記第1と第2の位相における外壁位置の値に関するデータから、循環器の硬さを示す所定の数値を算出する硬さ算出ステップと
を含む循環器の硬さ計測装置で稼動するコンピュータプログラムである。

発明の効果

0013

本発明によれば、心臓の内壁及び外壁の位置及び変位の値を用いて心臓の硬さを定量的に算出できる。心臓の内壁及び外壁の位置及び変位の値は超音波画像等から容易に取得することができることから、従来のように、心臓の硬さを評価するためにカテーテルを体内に挿入する必要がなくなり、よって、非侵襲での心臓の硬さの評価が可能となる。これにより、患者の負担を軽減できるとともに、医療スタッフの作業負担も軽減できる。

発明を実施するための最良の形態

0014

以下、図面を参照して本発明に係る好適な実施形態を説明する。本明細書の「循環器」という用語は、少なくとも、心臓と血管を含むものである。

0015

[心臓の硬さの計測方法]
本発明に係る心臓の硬さの計測方法の実施形態について説明する。本願発明の発明者らは、心臓の硬さの評価に関する研究において以下のような知見に到達した。

0016

なお、本明細書における「硬さ」とは、外力によってひずみ(変形)を受けている物質がそのひずみをもとに戻そうとする力を生じる性質のことであり、弾性同義である。従って、本明細書の「硬さ」には、「弾性」や「柔らかさ」などの言葉を当てることもできる。

0017

図1は、心臓(又は、血管)の単純モデルを示した図である。図1に示すように、心臓30に対して仮想平面Qにより横断面を取ると、例えば、図2(1)、(2)に示すように、断面は環状の形状となる。

0018

生体における心臓は周期的に収縮拡張を繰り返す。このため、心臓30の内壁32と外壁34も、断面の中心に対して周期的な収縮と拡張という拍動運動を行うことになる。なお、内壁32とは心臓を構成する壁の内側表面であり、外壁34とは同壁の外側表面である。正常な即ち健康な心臓の場合、心臓を構成する筋肉が十分な柔らかさを有していることから、心臓自体の収縮と拡張による内壁32の拍動運動に対し、外壁34は殆ど変化しない。これに対して、心臓を構成する筋肉が硬い場合(即ち、拡張期機能障害を生じてしまうような場合)、内壁32の拍動運動とほぼ同位相で外壁34も連動して動いてしまう。丁度、内壁32と外壁34の間に硬い棒を挟み込んだのと同じような状況が現れてしまう。以下、より具体的に説明する。

0019

図2(1)は、十分な柔らかさを有する心臓の模式的な断面図である。実線収縮末期における内壁32と外壁34の位置を示す。“Pre”は収縮末期における壁厚(内壁と外壁の距離)である。破線拡張末期における内壁32の位置を示し“Post”は拡張末期における壁厚(内壁と外壁の距離)である。拡張末期における外壁の位置が示されていないが、これは拡張末期における外壁が収縮末期における外壁34から略変位していないからである。図2(1)は、収縮末期と拡張末期の間で内壁32から外壁34までの筋肉の柔らかさにより、拡張による筋肉の変動が吸収されてしまうことを示している。

0020

一方、図2(2)は、硬い心臓の模式的な断面図である。実線、Pre及びPostの示すものは、図2(1)と同様である。更に、図2(2)では、破線は拡張末期における内壁32と外壁34の位置を示す。図2(2)は、心臓を構成する筋肉の硬さのため、収縮末期と拡張末期の間で内壁32と外壁34が略同位相で連動して動くことを示している。

0021

つまり、収縮末期又はその近傍期の心臓の壁厚(内壁と外壁間の厚さ)をPre、拡張末期又はその近傍期の心臓の壁厚をPostとしたとき、十分柔らかい心臓の場合、図3に示すように、それらの差分f(Pre,Post)=(Pre−Post)は大きな値となり、十分硬い心臓の場合、それらの差分f(Pre,Post)は略0になる。このように、本願の発明者は心臓の変位と心臓の硬さ(弾性)との間に相関関係があることを発見した。

0022

本願の発明者は以上のような知見に基づき、心臓の拍動周期運動に連動して変化する内壁32及び外壁34の変位及び位置に基づき心臓の硬さ(弾性)を評価できると考えた。以上の知見は心臓及び血管を含む循環器に適合するものであり、特に左心室の硬さ(弾性)評価において有効である、と本願発明者は想定している。

0023

[心臓の柔らかさ/硬さの具体的判断方法について]
十分な柔らかさを有する心臓(図2(1)参照)と、硬い心臓(図2(2)参照)との、内壁32と外壁34の変位について、さらに詳しく説明する。図4は、例えば、図1に示す平面Qによる心臓30の、超音波画像による断面図の模式的な例である。図4にて、変位計測対象部位の内壁32における点を「A」と設定し、外壁34における点を「B」と設定する。符号36で示す軸は、この断面の心臓30の中心Pと、点「A」、点「B」を通る軸である。計測対象の心臓が十分な柔らかさを有する心臓(図2(1)参照)である場合と、計測対象心臓が硬い心臓(図2(2)参照)である場合とにおける、点A及び点Bの時間変位を示すと、夫々、図5(1)と図5(2)とに示すグラフのようになる。ここで、議論を簡略化するために、図5に示すグラフに係る心臓は、規則正しく周期的な動作を繰り返しているものとする。

0024

なお、図6に、心臓に関する超音波診断装置による実際の画像を示す。図6(1)に示す画像図は、図6(2)に示す画像図内の略中央の縦点線上の部位の時間変位図である(横軸時間軸である)。図5(1)と図5(2)は、図6(1)の画像内の、点Aに相当する部位と点Bに相当する部位の位置及び変位のみを抽出して示した画像に相当する。

0025

図5を参照すると、内壁(実線A)の周期的な収縮拡張に対して、十分な柔らかさを有する心臓では、図5(1)に示すように、外壁(実線B)が殆ど動かず、硬い心臓では、図5(2)に示すように、外壁(実線B)が、内壁(実線A)と同じように動く。

0026

図5(1)、(2)における破線枠u、破線枠vは、一つの収縮末期から次の拡張末期までの内壁と外壁の位置及び変位を示す。図7(1)、(2)は、これらの破線枠u・破線枠vを拡大したものである。図7(1)は破線枠uに対応するもの、図7(2)は破線枠vに対応するものである。“Pre”は収縮末期の壁厚、“Post”は拡張末期の壁厚、“D1”は収縮末期から拡張末期までの内壁の変位、“D2”は収縮末期から拡張末期までの外壁の変位である。これらの図から明らかなように、“Pre”、“Post”、“D1”、及び“D2”には、以下の関係が成立する。

0027

0028

図8は、図6(1)に示すような心臓に関する実際の超音波画像の一部を拡大して示した図である。図8(1)に示す図は、柔らかい心臓に関して得られた画像を示し、図8(2)に示す図は、硬い心臓に関して得られた画像を示す。図8に示す画像上で内壁の時間変位の曲線と外壁の時間変位の曲線を特定し、収縮末期の内壁の位置の値と拡張末期の内壁の位置の値、及び、収縮末期の外壁の位置の値と拡張末期の外壁の位置の値をそれぞれ求める(計測する)ことで、収縮末期から拡張末期までの内壁の変位“D1”、及び、収縮末期から拡張末期までの外壁の変位“D2”を求めることができる(図8(1)及び(2)参照)。

0029

ここで、図9に示すような心臓のモデルを想定し、心臓のヤング率を“E”、内壁にかかる応力を“ρ”とすると、心臓のひずみに関して次のような関係式が成り立つ。

0030

0031

ところで、心臓の外壁34は、図9に模式的に示すように、薄い心外膜に覆われる。心外膜の外側には、外部組織38が存在する。ここで、外壁34へ作用する抵抗を表す仮想ヤング率Eeを想定する。図9に示すように、仮想ヤング率Eeは、心臓形状“x”、心臓ヤング率“E”、心外膜“Em”、及び外部組織“En”に依存する。

0032

図9に示す仮想ヤング率Eeに対する仮想長さを“Le”とすると、仮想ひずみは“D2/Le”となり、応力ρとの間に以下の関係式が成り立つ。

0033

0034

上記の式(2)と式(3)から応力ρを消去すると以下の式となる。

0035

0036

上式(4)において、Ke=(Ee/Le)を、外壁への抵抗におけるバネ定数であるとして、一定のものであると仮定すると、以下の比例式が導かれる。

0037

0038

比例式(5)は、
(1)収縮末期と拡張末期との間の、心臓のひずみ(Pre−Post)/preが小さいほど、
(2)外壁の変位“D2”が大きいほど、
心臓ヤング率“E”が大きい(即ち、心臓が硬い)ことを示している。

0039

ここで、以下の指標“E1”を心臓硬さ指標と称することとする。

0040

0041

また、上式(6)において次式のように係数D2を省略した比率“E2”も心臓硬さ指標として用いることができる。

0042

上記の(1)心臓のひずみと、(2)外壁の変位とから、心臓の硬さ(弾性)が判断され得るということは、図5及び図7に示すような内壁と外壁の位置及び変位の平均量から、心臓の柔らかさ硬さが判断され得るということになる。

0043

なお、本明細書では、心臓硬さ指標(E1,E2)の定義式(式(6)、(7))に含まれる内壁及び外壁の変位、並びに内壁及び外壁の壁厚を求めるに当たって、収縮末期の内壁位置の値、収縮末期の外壁位置の値、拡張末期の内壁位置の値、及び、拡張末期の外壁位置の値を計測して利用することを記している。内壁及び外壁の変位、並びに内壁及び外壁の壁厚を求めるに当たっては、内壁又は外壁に関する他の位置の値データが利用されてもよい。例えば、収縮末期から所定の微小期間後の内壁位置の値と外壁位置の値、及び、収縮末期よりも所定の微小期間前の内壁位置の値と外壁位置の値が、用いられてもよい。また、例えば、拡張期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び拡張期中の第1と第2の位相における外壁位置の値が、用いられてもよい。更に、条件に拠っては、拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値及び外壁位置の値が、用いられ得ることも想定される。

0044

図10に、上述の方法で心臓の内壁及び外壁の位置及び変位の値を計測し、その計測値を基に式(6)、(7)を用いて心臓硬さ指標E1、E2を求めた結果を示す。図10(1)は上式(6)により、図10(2)は上式(7)により、それぞれ心臓硬さ指標E1、E2を求めた結果を示す。

0045

図10(1)は、(a)健康である者(N;Normal)12人と、(b)拡張期心不全に罹患している者(DHF;Diastolic Heart Failure)10人に関して、式(6)を用いて心臓硬さ指標E1を算出し、その結果をプロットした図である。平均値、分散、標準偏差標準誤差は、図10(1)に示すようになったが、特に「p値」に関しては、p=0.0006という数字となった。

0046

また、図10(2)は、(a)健康である者(N)15人と、(b)拡張期心不全に罹患している者(DHF)15人に関して、式(7)を用いて心臓硬さ指標E2を算出し、その結果をプロットした図である。平均値、分散、標準偏差、標準誤差は、図10(2)に示すようになったが、特に「p値」に関しては、p=0.0011という数字となった。

0047

図10(1)、(2)の双方とも、健康である者に対する心臓硬さ指標(a)に対して、拡張期心不全に罹患する者に対する心臓硬さ指標(b)は全体的に高めの値を示している。拡張期心不全に罹患する者の心臓は健康である者よりも硬いことが知られていることから、式(6)及び式(7)による硬さ(弾性)の評価の正当性が確認できる。なお、p値に関して、図10(2)に示す結果よりも図10(1)で示す結果の方がより良好な値を示しており、このことは、式(6)の方が式(7)よりも、より精度よく硬さ(弾性)の評価が可能となることを示している。

0048

以上のように、本実施形態の硬さ計測方法によれば、上記の式(6)または式(7)を用いて心臓の硬さ(心臓硬さ指標)を定量的に評価できる。その際、心臓の内壁及び外壁の位置及び変位の値を用いて算出でき、これらの値は超音波画像から容易に計測して得ることができることから、従来のように、心臓の硬さ(弾性)を評価するためにカテーテルを体内に挿入する必要がなくなる。よって、非侵襲で心臓の硬さ(弾性)の評価を行えるため、患者の負担を軽減できるとともに、医療スタッフの作業負担も軽減できる。

0049

[超音波診断装置]
上述の心臓の硬さの計測方法を用いて硬さ(弾性)の計測を行う超音波診断装置について説明する。図11は、本実施の形態の超音波診断装置の概略構成図である。本実施の形態の超音波診断装置2は、被験者検査対象部位に超音波を当ててその反響映像化する機能とともに、さらに被験者の心臓の硬さ(弾性)の計測を行う機能を有する。

0050

図11に示すように、超音波診断装置2は、本体4、超音波画像を表示する表示部12、利用者から本装置2への操作を入力するための操作部14、及び、ケーブル20で本体4と接続され超音波の発信受信により対象(例えば、人体内部)に関する超音波映像撮像するプローブ18を含む。プローブ18のハードウエア構成は、従来の超音波診断装置において用いられる超音波映像を生成するための構成と同様である。

0051

本体4は、制御部6と、制御プログラムや計測したデータ等を格納するデータ格納部8と、外部のネットワークに接続するための通信インタフェース10とを備える。超音波診断装置2は通信インタフェース10を介してデータやプログラムを外部のサーバ送受信することができる。制御部6はCPUを含んでおり、CPUが制御プログラムを実行することで、後述する制御部6の各処理部61、63、・・・の機能が実現される。

0052

制御部6は、プローブ18により撮像された映像をデータ化し、データ格納部8に格納する画像データ生成部61と、心臓の内壁及び外壁の位置の値を計測して取得する壁位置値計測取得部63と、上述の計測方法に従い硬さを算出する硬さ算出部65と、表示部12上での表示を制御する表示制御部67とを含む。

0053

なお、超音波診断装置2の本体4には、データやプログラムを記録する外部メモリ16が付属する。制御プログラムは、この外部メモリ16に格納されていてもよい。

0054

超音波診断装置2は、循環器、特に、人体を含む動物の心臓を計測の対象物とする。より具体的には、超音波診断装置2は、心臓30における内壁32と外壁34の平均的位置及び変位の値を計測して数値化する。

0055

前述のように、内壁32と外壁34の平均的位置及び変位の値の計測の際には、例えば、収縮末期から所定の微小期間後の内壁位置の値と外壁位置の値、及び収縮末期よりも所定の微小期間前の内壁位置の値と外壁位置の値が計測されて用いられてもよく、拡張期中の第1と第2の位相における内壁位置の値、及び拡張期中の第1と第2の位相における外壁位置の値が計測されて用いられてもよい。更に、条件に拠っては、拍動周期中の第1と第2の位相における内壁位置の値並びに外壁位置の値が計測されて用いられてもよい。
本実施形態に係る超音波診断装置では、収縮末期の内壁位置の値、収縮末期の外壁位置の値、拡張末期の内壁位置の値、及び、拡張末期の外壁位置の値が計測されて利用されることとしている。

0056

以下に超音波診断装置2の動作を説明する。プローブ18は、超音波を被験者の対象部位に照射し、その反響に基づき図6、8に示すような超音波映像を生成する。この超音波映像は、表示制御部67によって表示部12上に表示される。さらに、画像データ生成部61は、超音波映像の映像信号をデータ化し、超音波画像データとしてデータ格納部8に格納する。壁位置値計測取得部63は、データ格納部8に格納された超音波画像データから、収縮末期及び拡張末期における心臓の内壁及び外壁の位置の値を計測(取得)し、計測(取得)した位置の値をデータ格納部8に保存する。壁位置値計測取得部63による、この処理の詳細は後述する。なお、操作部14を介してユーザが収縮末期及び拡張末期における心臓の内壁及び外壁の位置の値を入力してもよく、この場合、壁位置値計測取得部63は、ユーザにより入力された値をデータ格納部8に格納する。硬さ算出部65は、壁位置値計測取得部63により計測(取得)された内壁及び外壁の位置の値情報をデータ格納部8から読み出し、それらの値情報と、式(6)または式(7)とを用いて、心臓硬さ指標E1、E2を算出する。算出した心臓硬さ指標E1、E2はデータ格納部8に格納されるとともに、表示部12上に表示される。

0057

次に、壁位置値計測取得部63による壁位置値計測取得処理の詳細を説明する。心臓の硬さ(弾性)の計測で必要とされる数値は、計測対象である心臓部位の、内壁と外壁の平均的な位置及び変位の値である。プローブ18及び画像データ生成部61により、対象部位を含む横断面(図4における点A、点B参照)の超音波画像と、その超音波画像に基づいて対象部位の外壁と内壁の時間変位を展開した画像(図5又は図8参照)とが得られる。壁位置値計測取得部63は、図8に示すような外壁と内壁の時間変位を展開した画像から、収縮末期の外壁位置の値、内壁位置の値、拡張末期の外壁位置の値、及び、内壁位置の値を、複数組分計測(取得)し、個々の位置の値について平均値を取ることで内壁と外壁の変位D1、D2の値を導出する。これら位置の値のデータ計測(取得)に当たって、画像(図5又は図8参照)上の点がマウスポインタなどでクリック動作等により確定されれば、その点に関する位置の値のデータが計測(取得)される、というような仕組みが利用されるのであってもよい。

0058

例えば、図8に示す画像から、心臓における内壁の一点及びその一点の近傍の外壁の一点の時間的変位から内壁と外壁の位置及び変位の平均量を算出するために、壁位置値計測取得部63は以下の処理を行う。
ステップ1);超音波画像における収縮末期の内壁位置の値を複数確定し(図12における点Apr1、点Apr2、点Apr3、点Apr4)、それらの位置の値を平均して、収縮末期の内壁位置の値の平均値として計測(取得)する。
ステップ2);超音波画像における収縮末期の外壁位置の値を複数確定し(図12における点Bpr1、点Bpr2、点Bpr3、点Bpr4)、それらの位置の値を平均して、収縮末期の外壁位置の値の平均値として計測(取得)する。
ステップ3);超音波画像における拡張末期の内壁位置の値を複数確定し(図12における点Apo1、点Apo2、点Apo3、点Apo4)、それらの位置の値を平均して、拡張末期の内壁位置の値の平均値として計測(取得)する。
ステップ4);超音波画像における拡張末期の外壁位置の値を複数確定し(図12における点Bpo1、点Bpo2、点Bpo3、点Bpo4)、それらの位置の値を平均して、拡張末期の外壁位置の値の平均値として計測(取得)する。
ステップ5);収縮末期の内壁位置の値の平均値と拡張末期の内壁位置の値の平均値から、内壁の変位の平均値を算出する。収縮末期の外壁位置の値の平均値と拡張末期の外壁位置の値の平均値から、外壁の変位の平均値を算出する。

0059

なお、上記の1)から4)のステップは、どのような順序で行われてもかまわない。

0060

また、壁位置値計測取得部63が行う処理は、以下のステップA)〜C)のようなものであってもよい。なお、このときに硬さ算出部65が行う処理も、記している。
ステップA);超音波画像において一つの拍動における収縮末期の内壁位置(図12の点Apr1)の値、収縮末期の外壁位置(図12の点Bpr1)の値、拡張末期の内壁位置(図12の点Apo1)の値、及び、拡張末期の外壁位置(図12の点Bpo1)の値を計測する。それら収縮末期の内壁位置の値及び外壁位置の値、並びに拡張末期の内壁位置の値及び外壁位置の値に基づいて、硬さ算出部65は、この拍動における心臓硬さ指標E1、E2を算出する。
ステップB);上記ステップA)で対象とした拍動に続く複数の拍動についても、夫々、収縮末期の内壁位置(図12の点Apr2〜4)の値、収縮末期の外壁位置(図12の点Bpr2〜4)の値、拡張末期の内壁位置(図12の点Apo2〜4)の値、及び、拡張末期の外壁位置(図12の点Bpo2〜4)の値を計測する。それら収縮末期の内壁位置の値及び外壁位置の値、並びに拡張末期の内壁位置の値及び外壁位置の値に基づいて、硬さ算出部65は、夫々の拍動における心臓硬さ指標E1、E2を算出する
ステップC);必要に応じて、硬さ算出部65は、上記ステップA)B)で計算された複数の拍動における心臓硬さ指標E1、E2の平均値を算出する。

0061

本実施形態の超音波診断装置2において、硬さ(弾性)計測の計測領域複数設定し、各領域毎に硬さ計測の結果が視覚的に認識できるようにしてもよい。例えば、心臓を複数の区画に分け、夫々の区画に一つ又は複数の計測対象部位を設定し、それら設定された対象部位毎に硬さを計測し、その結果を区画毎に表示するようにする。

0062

より具体的には、図13に示すように、心臓上に複数の区画P、区画Qを設定し、各区画に含まれる対象部位S1、S2及びT1、T2に対して心臓硬さ指標(E1、E2)を算出し、データ格納部8に保持しておく。表示制御部67は、各区画に含まれる対象部位の心臓硬さ指標に基づき、その区画の表示色、輝度パターン等を決定し、表示させる。この際、後で説明するデータベースから算出される統計データを基にして、表示色、輝度、パターン等を決定してもよい。この場合は、統計データ内での相対的指標可視的に示されることになる。

0063

心臓硬さ指標値そのものを複数グレード区切り、個々のグレードに対して表示色、輝度、パターン等を定義してもよい。例えば、心臓硬さ指標E1が“0.2未満”ならば表示色を黄色とし、“0.2以上0.8以下”ならば表示色を色とし“0.8より大きい”ならば赤色にする、としてもよい。グレードを10段階以上としてもよい。これらの場合には、心臓硬さ指標の絶対値に関するグレードが、可視的に示されることになる。

0064

[心臓硬さ指標データベース
図11に示す本実施の形態の超音波診断装置2は、心臓硬さ指標データベースと共に利用されることが好ましい。図14は、本実施の形態に係る超音波診断装置2及び心臓硬さ指標データベース82を含む心臓硬さ計測ネットワークシステムの概略の構成図である。

0065

図14に示す心臓硬さ計測ネットワークシステムでは、複数の超音波診断装置2、パソコンなどの複数のコンピュータ72、及びデータベースサーバ80が、所定のネットワーク70を介して接続している。データベースサーバ80には、複数のデータベースが付属し、その中には心臓硬さ指標データベース82が含まれる。

0066

図15は、心臓硬さ指標データベース82のデータ構造の例である。図15に示す心臓硬さ指標データベースは、管理するデータ項目として、被計測者ID、生年月日計測日、区画、心臓硬さ指標(E1、E2)、性別身長、体重、人種、及び病状を有し、これらを互いに関連付けて管理する。

0067

被計測者は被計測者ID(識別子)により識別される。各被計測者に対して心臓硬さ指標E1、E2が記録される。同時に、被計測者に関する情報、即ち、生年月日、性別、身長、体重、人種、及び病状などがデータ項目として記録される。ここで、性別、人種、病状などのデータ項目は、コード化して記録されるのが好ましい(例えば、病状コードには、健康であるなら「0」、軽い拡張期心不全であるなら「1」、重い拡張期心不全であるなら「3」、中くらいの重さの拡張期心不全であるなら「2」が記録される)。更に計測日が記録される。

0068

上記のデータは、本実施形態に係る超音波診断装置2による心臓硬さ指標の計測時に、同時に操作部14から入力され、心臓硬さ指標データベース82に記録されるのが好ましい。又は、MS−EXCEL(登録商標)などの表計算ソフトウエアを利用して、各コンピュータ72から入力されて同データベース82に記録されてもよい。要するに、本発明に係る心臓の硬さ計測方法により計測された多数の被計測者の心臓硬さ指標に関する結果が、心臓硬さ指標データベース82に記録されるのが好ましい。

0069

続いて、図14及び図15に示す心臓硬さ指標データベース82を利用して、計測対象者の相対的指標を決定するデータベースサーバ80の動作を、図16フローチャートを用いて説明する。

0070

まず、超音波診断装置2の操作者が、年齢50の計測対象者を計測しているものと仮定する。操作部14上での操作者による操作に基づき、制御部6は、指定されたデータ項目(ここでは、年齢)に関して統計データと対照させるというコマンドと、計測対象者のそのデータ項目の値(ここでは、年齢50歳)と、区画別の心臓硬さ指標(E1、E2)の値とを、検索キー情報として送信する。データベースサーバ80は、ネットワーク70を経由して、その検索キー情報を受信する(ステップS01)。

0071

データベースサーバ80は、送信されてきた計測対象者の検索キー情報(年齢、及び年齢50歳であること)を基にして、対照統計データに加えるべきレコードを抽出する(ステップS02)。ここでの例では、各レコードの生年月日と計測日とから年齢が算出され、年齢50歳となる被計測者のレコードが抽出されることになる。

0072

次に、データベースサーバ80は、抽出された多数のレコードを区画毎に分け、各区画での心臓硬さ指標(E1、E2)に関する統計値を計算する(ステップS03)。統計値は、例えば、平均値や標準偏差などである。このとき、更に、抽出された多数のレコードが区画別に分けられないで、心臓全体の心臓硬さ指標に関する統計値が計算されてもよい。

0073

データベースサーバ80は、区画毎の統計値(平均値、標準偏差)を基にして、計測対象者の心臓硬さ指標(E1、E2)の、統計データ全体の中での相対的位置を判定する(ステップS04)。この相対的位置に応じて、各超音波診断装置2は、図13に示したような心臓の区画毎に表示を変更する際の、表示色、輝度、又はパターンを決定することになる。
例えば、計測対象者の心臓硬さ指標E1が、
(1)“M−2D未満”、
(2)“M−2D以上M−D未満”、
(3)“M−D以上M+D未満”、
(4)“M+D以上M+2D未満”、
(5)“M+2Dより大きい”
の、いずれに位置するかを判定する、などである(ここで、Mは平均値、Dは標準偏差を表す)。
このとき、計測対象者に関する区画別の心臓硬さ指標の値からその人の心臓全体に関する心臓硬さ指標が求められ、上記の心臓全体の統計値を基にして、計測対象者の心臓全体に関する心臓硬さ指標の、統計データ全体の中での相対的位置も判定されてもよい。

0074

判定された相対的位置の情報を、データベースサーバ80は、超音波診断装置2に送信する(ステップS05)。各超音波診断装置2は、計測対象者の心臓の夫々の区画について、若しくは心臓全体について、この情報に従って表示色、輝度、又はパターンを決定し、統計データ内での相対的指標を可視的に表示する。

0075

以上の説明では、検索キーとなるデータ項目として「年齢」を取り上げたが、他のデータ項目、つまり性別、身長、体重、人種、病状でもよい。また、例えば、身長や体重の場合であれば、計測対象者のデータ値(例;身長172cm)の属する所定の範囲(170cm以上180cm未満)に含まれる被計測者のレコードが、抽出されてもよい。つまり、データ項目に係る具体的数値と一致する、若しくは、データ項目に係る具体的数値と所定の条件にあるレコードが、抽出さるのであればよい。

0076

検索キー情報のデータ項目として、「被計測者ID」を設定すれば、特定の被計測者に関する履歴データが抽出され、経時的な統計データ、及び、経時的統計における相対的指標が算出されて示されることが可能になる。

0077

上述の心臓硬さ指標データベースは、計測対象者の相対的指標を決定することにのみ利用されるものではないことは明らかである。例えば、データベースサーバ80が、心臓硬さ指標データベース82の大量のデータに基づいて、図15に示すような年齢や性差などのデータ項目に着目した(平均値や標準偏差などの)心臓硬さ指標に関する統計値の一覧テーブルデータを、定期的に若しくは外部からの要求に従って作成し、ネットワークを通じて適宜開示するようなシステム構築されてもよい。

0078

図14に示す心臓硬さ計測ネットワークシステムでは、心臓硬さ指標データベース82はデータベースサーバ80に付属するように構成されている。この心臓硬さ指標データベース82は、超音波診断装置2の外部メモリ16やコンピュータ72の外部メモリ(図示せず)に構築されてもよい。そのような場合には、超音波診断装置2の制御部6やコンピュータ72が、図14に示すデータベースサーバ80として動作すればよい。

0079

[柔らかさ指標]
本実施形態では、「心臓硬さ指標」という数値を式(6)及び式(7)のように定義した。心臓を含む循環器の「柔らかさ」を示す指標として、以下の式(8)式(9)のもの(C1、C2)を定義することができる。C1とC2は、夫々、E1とE2の逆数である。つまり、ここでの「柔らかさ」は「硬さ」の逆数であるという意味になる。

0080

0081

0082

[その他の画像装置
なお、本実施形態では、診断装置は超音波の映像から内壁及び外壁の変位の情報を取得したが、超音波の映像の代わりに、内壁及び外壁の時間的な変位の情報が得られるのであれば、CTやMRI等の画像を利用することもできる。

図面の簡単な説明

0083

心臓(又は、血管)の単純モデルの斜視図である。
十分な柔らかさを有する心臓の模式的な断面図(図3(1))と、硬い心臓の模式的な断面図(図3(2))である。
収縮末期の心臓の壁厚(Pre)と拡張末期の心臓の壁厚(Post)の差と、心臓の硬さ(弾性)との相関関係を示した図である。
図1に示す心臓の、平面Qによる超音波画像における断面図の模式的な例である。
(1)図2(1)に示すような十分な柔らかさを有する心臓における内壁の一点及びその一点の近傍の外壁の一点の、時間変位を示す図、及び(2)図2(2)に示すような硬い心臓における内壁の一点及びその一点の近傍の外壁の一点の、時間変位を示す図を示す図である。
超音波診断装置により得られる実際の画像である。
(1)十分に柔らかい心臓における収縮末期の壁厚(Pre)、拡張末期の壁厚(Post)、収縮末期から拡張末期までの内壁の変位(D1)、及び、収縮末期から拡張末期までの外壁の変位(D2)の関係を示した図、及び(2)硬い心臓における収縮末期の壁厚(Pre)、拡張末期の壁厚(Post)、収縮末期から拡張末期までの内壁の変位(D1)、及び、収縮末期から拡張末期までの外壁の変位(D2)の関係を示した図である。
実際の心臓に関する超音波画像から内壁の変位D1及び外壁の変位D2の情報の取得方法を説明するための図である。
本発明の実施形態における心臓ヤング率Eと仮想ヤング率Eeを説明するための説明図である。
実際の被験者からのデータを基に本実施形態の硬さの計測方法を用いて算出した心臓硬さ指標を示した図である((1)は式(6)を用いて、(2)は式(7)を用いて算出した結果をそれぞれ示す)。
本発明の実施形態における超音波診断装置の概略の構成図である。
超音波診断装置による内壁及び外壁の位置及び変位情報の計測(取得)方法を説明するための図である。
硬さ(弾性)計測結果を心臓の区画毎に表示色を変化させて表示する制御を説明するための図である。
本発明の実施形態に係る超音波診断装置及び心臓硬さ指標データベースを含む心臓硬さ計測ネットワークシステムの概略の構成図である。
心臓硬さ指標データベースの格納する属性データを示すテーブルの例である。
図14及び図15に示す心臓硬さ指標データベースを利用して、計測対象者の相対的指標を決定するデータベースサーバの動作を表すフローチャートである。

符号の説明

0084

2・・・超音波診断装置、4・・・本体、6・・・制御部、8・・・データ格納部、10・・・主メモリ、12・・・表示部、14・・・操作部、16・・・外部メモリ、18・・・プローブ、20・・・ケーブル、30・・・心臓、32・・・内壁、34・・・外壁、38・・・外部組織、61・・・画像データ生成部、63・・・壁位置値計測取得部、65・・・硬さ算出部、67・・・表示制御部、70・・・ネットワーク、72・・・コンピュータ、80・・・データベースサーバ、82・・・心臓硬さ指標データベース。

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