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技術 振動型粘度計

出願人 学校法人日本大学
発明者 小林力
出願日 2008年2月26日 (11年11ヶ月経過) 出願番号 2008-044019
公開日 2009年9月10日 (10年5ヶ月経過) 公開番号 2009-204318
状態 未査定
技術分野 粘度、粘性・表面、境界、拡散効果の調査
主要キーワード ニュートンの粘性法則 校正カーブ 調整コンデンサ 超低周波数 物質定数 二次共振 擬塑性流体 最大振動速度
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

20Hz以下の超低周波数領域においても、簡単かつリアルタイム流体の粘度を測定可能振動型粘度計を提供する。

解決手段

駆動用振動子及び検出用振動子を有するバイモルフ振動子と、駆動用振動子に駆動電圧を与える発振器と、駆動電圧と検出用振動子からの出力電圧との位相差を検出する位相差検出器と、を備え、検出用振動子の先端に、測定対象流体内に浸漬される針状部が配されるとともに、バイモルフ振動子の出力と並列になるように調整コンデンサが接続される。

概要

背景

流体の粘度の測定は、合成化学、油脂、食品その他の粘性流体を扱う生産工程での品質管理基礎研究などで必要とされている。このような粘性流体の粘度を測定する粘度計としては、例えば、細管粘度計回転粘度計振動型粘度計がある。

しかしながら、上述の粘度計は、いずれも取り扱いが面倒であり、測定に時間を要していた。このため、簡単かつリアルタイムで粘度を知りたいという現場要望を満たすことが難しかった。

これに対して、特許文献1(特開平10−267823号公報)記載の振動型粘度計では、平面形状が三角形バイモルフ振動子の先端部につけた細い針を供試液体に浸して供試液体の粘度を測定していた。この振動型粘度計においては、供試液体に浸漬した針が受けた粘性抵抗によって、バイモルフ振動子の入力電圧出力電圧との間に位相差が生じ、この位相差から供試液体の粘度を、簡単かつリアルタイムに測定することができる。
特開平10−267823号公報

概要

20Hz以下の超低周波数領域においても、簡単かつリアルタイムに流体の粘度を測定可能な振動型粘度計を提供する。駆動用振動子及び検出用振動子を有するバイモルフ振動子と、駆動用振動子に駆動電圧を与える発振器と、駆動電圧と検出用振動子からの出力電圧との位相差を検出する位相差検出器と、を備え、検出用振動子の先端に、測定対象流体内に浸漬される針状部が配されるとともに、バイモルフ振動子の出力と並列になるように調整コンデンサが接続される。

目的

そこで本発明は、20Hz以下の超低周波数領域においても、簡単かつリアルタイムに流体の粘度を測定可能な振動型粘度計を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

駆動用振動子及び検出用振動子を有するバイモルフ振動子と、前記駆動用振動子に駆動電圧を与える発振器と、前記駆動電圧と前記検出用振動子からの出力電圧との位相差を検出する位相差検出器と、を備え、前記検出用振動子の先端に、測定対象流体内に浸漬される針状部が配されるとともに、前記バイモルフ振動子の出力と並列になるように、調整コンデンサが接続されていることを特徴とする振動型粘度計

請求項2

駆動用振動子及び検出用振動子を有するバイモルフ振動子と、前記駆動用振動子に駆動電圧を与える発振器と、前記駆動電圧と前記検出用振動子からの出力電圧との位相差を検出する位相差検出器と、を備え、前記検出用振動子の先端に、測定対象流体内に浸漬される針状部が配されるとともに、前記バイモルフ振動子の出力と並列になるように、調整抵抗が接続されていることを特徴とする振動型粘度計。

請求項3

前記バイモルフ振動子の出力と並列になるように、調整抵抗が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型粘度計。

請求項4

前記調整コンデンサの容量は、等価容量等価インダクタンス、及び等価抵抗を備える前記バイモルフ振動子の等価回路における出力側制動容量よりも大きい請求項1又は請求項3に記載の振動型粘度計。

請求項5

前記駆動電圧の周波数は、20Hz以下である請求項1、請求項3、又は請求項4に記載の振動型粘度計。

請求項6

前記駆動用振動子及び前記検出用振動子は、平面形状が三角形であって各頂点が対応するように対向配置され、前記針状部は前記検出用振動子の一頂点に配されている請求項1、及び請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の振動型粘度計。

請求項7

前記駆動用振動子及び前記検出用振動子は、PZTである請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の振動型粘度計。

技術分野

0001

本発明は、バイモルフ振動子を用いた振動型粘度計に関する。

背景技術

0002

流体の粘度の測定は、合成化学、油脂、食品その他の粘性流体を扱う生産工程での品質管理基礎研究などで必要とされている。このような粘性流体の粘度を測定する粘度計としては、例えば、細管粘度計回転粘度計、振動型粘度計がある。

0003

しかしながら、上述の粘度計は、いずれも取り扱いが面倒であり、測定に時間を要していた。このため、簡単かつリアルタイムで粘度を知りたいという現場要望を満たすことが難しかった。

0004

これに対して、特許文献1(特開平10−267823号公報)記載の振動型粘度計では、平面形状が三角形のバイモルフ振動子の先端部につけた細い針を供試液体に浸して供試液体の粘度を測定していた。この振動型粘度計においては、供試液体に浸漬した針が受けた粘性抵抗によって、バイモルフ振動子の入力電圧出力電圧との間に位相差が生じ、この位相差から供試液体の粘度を、簡単かつリアルタイムに測定することができる。
特開平10−267823号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1記載の振動型粘度計においては、バイモルフ振動子への入力電圧の周波数が20Hzを超える場合は、粘度測定が可能であるが、20Hz以下では位相差の周波数特性が急激に変化するため、供試液体の粘度を特定することが困難であった。

0006

そこで本発明は、20Hz以下の超低周波数領域においても、簡単かつリアルタイムに流体の粘度を測定可能な振動型粘度計を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するために、本発明の振動型粘度計においては、駆動用振動子及び検出用振動子を有するバイモルフ振動子と、駆動用振動子に駆動電圧を与える発振器と、駆動電圧と検出用振動子からの出力電圧との位相差を検出する位相差検出器と、を備え、検出用振動子の先端に、測定対象流体内に浸漬される針状部が配されるとともに、バイモルフ振動子の出力と並列になるように調整コンデンサが接続されていることを特徴としている。

0008

また、本発明の振動型粘度計においては、駆動用振動子及び検出用振動子を有するバイモルフ振動子と、駆動用振動子に駆動電圧を与える発振器と、駆動電圧と検出用振動子からの出力電圧との位相差を検出する位相差検出器と、を備え、検出用振動子の先端に、測定対象流体内に浸漬される針状部が配されるとともに、バイモルフ振動子の出力と並列になるように、調整抵抗が接続されていることを特徴としている。

0009

本発明の振動型粘度計においては、調整コンデンサに加えて、バイモルフ振動子の出力と並列になるように、調整抵抗が接続することも可能である。

0010

本発明の振動型粘度計において、調整コンデンサの容量は、等価容量等価インダクタンス、及び等価抵抗を備えるバイモルフ振動子の等価回路における出力側制動容量よりも大きいとよい。

0011

本発明の振動型粘度計において、駆動電圧の周波数は、20Hz以下であることが望ましい。

0012

本発明の振動型粘度計において、駆動用振動子及び検出用振動子は、平面形状が三角形であって各頂点が対応するように対向配置され、針状部は検出用振動子の一頂点に配されているとよい。

0013

本発明の振動型粘度計において、駆動用振動子及び検出用振動子は、PZTを用いることができる。

発明の効果

0014

本発明によると、駆動用振動子及び検出用振動子を有するバイモルフ振動子と、駆動用振動子に駆動電圧を与える発振器と、駆動電圧と検出用振動子からの出力電圧との位相差を検出する位相差検出器と、を備え、検出用振動子の先端に、測定対象流体内に浸漬される針状部が配されるとともに、バイモルフ振動子の出力と並列になるように調整コンデンサが接続されているため、20Hz以下の超低周波領域で平坦位相差特性が得ることができ、これにより、1Hzからの超低周波での粘度測定が可能となる。さらに、針状部の振幅が小さいとともに駆動周波数が低いため、ずり速度を小さくすることができ、これにより、ニュートン性の流体のみならず非ニュートン性の流体についても正確な粘度を測定できる。

発明を実施するための最良の形態

0015

以下、本発明の実施形態に係る振動型粘度計10について図面を参照しつつ詳しく説明する。図1は、振動型粘度計10の構成を示す図であり、バイモルフ振動子20の構成は斜視図で、それ以外の構成はブロック図で示している。図1に示すように、振動型粘度計10は、バイモルフ振動子20と、発振器31と、位相差検出器32と、コンデンサC2(調整コンデンサ)と、を備える。
以下に、各部材の詳細な構成について説明する。

0016

バイモルフ振動子20は、平面形状が三角形の薄いシム板22(shim plate)の上下両面に、圧電素子であるPZT(piezoelectric transducer)からなる駆動用振動子21及び検出用振動子23をそれぞれ接着してなる。駆動用振動子21及び検出用振動子23は、シム板22と同一の三角形の平面形状を備え、分極方向を互いに同じ方向として各頂点が対応するように対向するように、厚さ方向に積層したパラレル型に配置している。これにより、駆動用振動子21及び検出用振動子23を2つのユニモルフとして用いることができる。ここで、バイモルフ振動子20としては、例えば日本セラミック社製のものを用いることができる。また、シム板は、例えば、弾性体であるリン青銅による薄い板バネを使うことができる。

0017

図2(a)はバイモルフ振動子20に用いる圧電バイモルフ振動子の構成を示す斜視図である。図2(b)は駆動用振動子21、シム板22、及び検出用振動子23の配置を示す斜視図である。バイモルフ振動子20は、図2(a)に示す平面視矩形状の圧電バイモルフ振動子120を、図2(b)に示す平面視三角形状に加工したものである。バイモルフ振動子120は、平面視矩形状のシム板122の上下両面に、駆動用振動子121及び検出用振動子123をそれぞれ接着してなるもので、駆動用振動子121及び検出用振動子123の分極方向(図2(a)のP方向)は、それぞれの厚さ方向と同一である。

0018

バイモルフ振動子20は、底辺20a(図2(b))が支持台25に固定されている。一方、底辺20aから遠い頂点20bの下面には、針状部24の一端が接着固定されている。この針状部24としては、例えば、市販の木綿針(がす針2号、長さ54.5mm、太さ0.76mm)の太い上部24.5mmを切り捨て、先のった部分を使用する。

0019

なお、バイモルフ振動子20では、上述のパラレル型の配置としたが、シリーズ型とすることもできる。上述のパラレル型では、シム板22を挟んだ駆動用振動子21及び検出用振動子23の分極方向を同じ方向にしていたが、シリーズ型では、分極方向を反対方向とする。シリーズ型においては、パラレル型と同様に各要素を配置し、検出された位相差信号から180度を引くことになる。

0020

図1に示すように、駆動用振動子21には、信号線S1を介して、発振器31から駆動電圧が与えられる。検出用振動子23からの出力電圧は、信号線S2を介して、位相差検出器32(Gain−phase analyzer、phase meter)へ出力される。位相差検出器32には、接続ケーブル34(例えばGP−IB)を介して、パーソナルコンピュータ33が接続されている。パーソナルコンピュータ33では、位相差検出器32からの出力に基づいて、位相の周波数特性の分析その他の処理を行う。

0021

ここで、発振器31及び位相差検出器32としては、例えば、NF ELECTRONIC INSTRUMENTS社製のFREQUENCY RESPONSE ANALYZER5020型を用いることができる。発振器31及び位相差検出器32は、これ以外のものも用いることができ、互いに独立したものも利用できる。

0022

振動型粘度計10では、検出用振動子23の出力、すなわちバイモルフ振動子20の出力と並列となるようにコンデンサC2(調整コンデンサ)が接続されている。具体的には、信号線S2とグランド線G間にコンデンサC2が配置されている。

0023

振動型粘度計10を用いた粘度測定は、針状部24を供試液体40(測定対象流体)中に浸漬した状態で、発振器31から駆動用振動子21に正弦波の駆動電圧を加えることによって行う。駆動電圧が印加された駆動用振動子21は正弦波の波形に応じて変形し、この変形に対応して針状部24が振動する。この振動によって、針状部24は、流体から粘性抗力を受け、先端に針状部24が固定された検出用振動子23は供試液体40の粘性に応じた位相遅れを生じる。検出用振動子23は、生じた歪みを電気信号に変換して位相差検出器32へ出力する。このようにして得られた検出用振動子23からの出力電圧と、駆動用振動子21に加えられた駆動電圧との間には、供試液体40の粘度に対応した位相差が生じる。

0024

ここで、振動型粘度計の測定原理について、図3を参照しつつ説明する。図3は、振動型粘度計の測定原理を示す斜視図であって、ニュートン性液体中に浸漬された状態の振動片の状態を示す図である。図3に示すように、ニュートン性の液体中で薄い平板状の振動片50がその面に平行にVmejωtの速度で正弦的に振動する場合、その周囲の流体も振動片の面と平行な方向に横振動をする。

0025

振動片50からその面に対して垂直方向にyだけ離れた場所における振動速度Vは次式(1)で表すことができる。




ただし、Vmは振動片の最大振動速度、ωは角振動数、ρは振動片50を囲む液体の密度、ηはその液体の粘度、tは時間である。

0026

式(1)により、ずり速度Dsが次式(2)のように求められる。




ここで、振動片50の表面(y=0)におけるずり速度DS0は次式(3)のようになる。

0027

また、振動片50の表面の単位面積に及ぼす力τは、次式(4)のように求められる。

0028

振動片50の両面に作用する粘性による力Fは、振動片50の両面の総面積をAとすれば、次式(5)のとおりとなる。



ここで、力Fと振動速度Vmejωtの比を取れば、次式(6)に示すように、インピーダンスZで与えられる。

0029

式(6)のインピーダンスZは、粘性による振動片50に作用する力Fと振動片50の振動速度Vmejωtとの比であり、流体の負荷による機械的インピーダンスとなる。この機械的インピーダンスの抵抗分をRz、リアクタンス分をXzとすると次式(7)のようになる。




この両辺を2乗して整理すると次式(8)が得られる。

0030

式(8)の関係から、実数部虚数部をわけると次の2式(9)が得られる。



さらに、上の2式(9)から次の関係式(10)が得られる。



ここで、fは振動片50の振動数である。式(10)から、抵抗分Rzは粘度ηと密度ρの積ηρの関数となっていることがわかる。よって、抵抗分Rzを何らかの方法で測定できれば、式(10)の関係から粘度ηを求めることができる。

0031

本実施形態に係る振動型粘度計10では、入出力電圧間の位相差θがこの抵抗分Rzの関数となり、実験的に得られるニュートン性シリコーンオイルのηρと位相差θの関係を一般の粘度測定時の校正カーブとして使用することによって、各種流体の粘度を求めることができる。具体的には、針状部24の先の尖った先端部を供試液体40に浸し、駆動用振動子21に、例えば0.5Vr.m.s.の正弦波電圧を加えて駆動する。針状部24が供試液体40から受ける粘性の抗力を検出用振動子23で検出し、駆動用振動子21及び検出用振動子23の両ユニモルフ間に現れる電圧の位相差θと、粘度ηと密度ρの積ηρの関係から粘度を測定する。

0032

図4は、振動型粘度計10の電気的等価回路を示す図である。図4において、等価容量C、等価インダクタンスL、等価抵抗Rは、バイモルフ振動子20の一次共振等価インピーダンスであり、ΔL、ΔRは粘性を備えた供試液体40によって増加する粘性質量と抵抗分である。また、バイモルフ振動子20への入力側及びバイモルフ振動子20からの出力側には、制動容量C0、C1がそれぞれ接続されている。さらに、バイモルフ振動子20の出力にそれぞれ並列になるように、コンデンサC2及び抵抗R1(調整抵抗)が接続されている。抵抗R1は出力側でθを測定する位相器入力インピーダンスである。

0033

この等価回路から、上述の入出力間の位相差θは次式(11)のようになる。



ここで、Mは力係数である。
式(11)の第2項の値は、角周波数ωの低下と共に急激に減少するため、θを一定(平坦)に保つには、制動容量C1、コンデンサC2、又は、抵抗R1を増加させればよい。

0034

そこで、バイモルフ振動子20の出力端に並列にコンデンサC2を接続し、その静電容量の大きさに対する、20Hz以下の超低周波領域での位相特性について、計算値実験値を用いて以下に述べる。

0035

図5は、振動型粘度計10に対してコンデンサC2を接続していない構成の振動型粘度計を用いて、供試液体としてシリコーンオイルを用いた場合の各種粘度の位相差特性を求めた結果を示すグラフであり、横軸に駆動用振動子への駆動周波数(単位Hz)、縦軸に位相差(単位度(ただし、1度はπ/180rad))をとっている。供試液体としては、30、100、1000、10000cSt(ただし、1cSt=10−6m2/s)の粘度(動粘度)のシリコーンオイルを用いている。駆動電圧はV(実効値)である。

0036

図5では、従来の振動型粘度計がセンサとして感度を持つ全周波数範囲を示しており、200Hz付近において位相差が大きく変化をしている箇所が粘度計の一次共振部を、500Hz付近の変化が二次共振部をそれぞれ示している。従来の振動型粘度計では、一次共振と二次共振の間、二次共振直後の非共振周波数帯、又は、一次共振以下の20〜100Hzの非共振周波数帯を利用して粘度測定を行ってきた。

0037

図5から、20Hz以下の低い周波数領域において、位相差が周波数の低下と共に180°から250°付近まで急激に上昇していることがわかる。上述のように、2枚のユニモルフ間に現れる電圧の位相差θから、供試液体の粘度の測定が可能とはいうものの、図5の20Hz以下の低い周波数領域における位相差のように急激に変化するデータに基づいて、信頼性の高い粘度を得ることは困難である。

0038

20Hz以下の低い周波数領域において位相差が急上昇する原因を探るために、図6図7に結果を示す、二つの実験を行い調べてみる。

0039

図6は、針状部24を供試液体に浸していない無負荷の状態で、検出用振動子23の三角形先端上部(針状部24を設けた頂点の上部)の振動変位レーザ変位計で測定し、振動変位と位相差の周波数特性を調べた結果を示すグラフであり、横軸に駆動用振動子への駆動周波数(単位Hz)、縦軸に駆動電圧(入力電圧)と検出電圧(出力電圧)との位相差(単位度)及び検出用振動子の振動変位(単位μm)をとっている。駆動電圧は0.5V(実効値)である。なお、ここで用いたレーザ変位計は、KEYENCE社のLC=2400(ヘッドはKEYENCE社のLC=2430)である。

0040

図6より、周波数変化に対する振動変位と位相差は、20Hz以下の周波数領域を含む全周波数領域においてほぼ一定値を示し、片持ち梁の振動だけであることが分かる。従って、バイモルフ振動子の先端に針状部を配置した構成自体が、20Hz以下の周波数領域における位相差の急上昇の原因になっているとは考えられないことがわかった。

0041

次に、位相差が急上昇する原因として、検出用振動子側のバイモルフ出力インピーダンスによる影響を調べてみる。
まず、振動型粘度計の電気的等価回路から求めた入出力間の位相差θの式(11)を用いて計算してみた結果、式(11)の右辺の第2項が位相差の急上昇の原因となっていることがわかった。この2項の影響を小さくするためには、駆動周波数が低下して各周波数ωが小さくなってもωC1R1を大きくすればθを平坦に保つことができる。よって、三角形バイモルフの出力側から見た抵抗R1または制動容量C1(バイモルフ出力側の容量であって、例えば0.071μF)を更に大きくすればよいことがわかる。

0042

次に、0.071μFの制動容量C1と並列に、制動容量C1よりも容量の大きなコンデンサC2を挿入して、無負荷時における位相差の周波数特性について説明する。図7は、振動型粘度計10及び振動型粘度計10に対してコンデンサC2を接続してない振動型粘度計について、針状部を供試液体に浸漬していない無負荷時における位相差の周波数特性を示したグラフである。図7においてはコンデンサC2を次の条件(a)〜(d)のように設定した。
(a)振動型粘度計10に対してコンデンサC2を接続してない振動型粘度計の測定結果:○印
(b)20の出力端子に1μFのコンデンサC2を挿入したときの測定結果:△印
(c)(b)においてコンデンサC2の容量を2.2μFとしたときの測定結果:□印
(d)(b)においてコンデンサC2の容量を3.3μFとしたときの測定結果:×印
また、図7においては、上述の式(11)に上記条件(a)〜(d)を適用して計算した位相差の値を実線破線で示してある。

0043

図7から、計算値を示す実線又は破線と、各線に対応する条件下での測定値と、がほぼ重なっていることが分かる。したがって、いずれの場合も計算値と実験値は良く一致していることが分かる。さらに、コンデンサC2を入れないとき(no capacitor)では、20Hz以下の周波数帯で位相差が急激に大きくなる点で、計算値と測定値はよく一致している一方、コンデンサC2を入れることによって位相差がほぼ一定値となることが明らかである。すなわち、20Hz以下における周波数領域における位相差の急上昇は、制動容量C1よりも容量が大きなコンデンサC2を入れることで解決できることが分かる。

0044

また、図7と同じ条件下において、バイモルフ振動子の出力側に容量0.04〜10μFのコンデンサC2を接続して測定した結果、容量を増していくに従って位相差特性を平坦にできた。また、出力端子に1〜5μF程度のコンデンサC2を並列に挿入することにより、位相差θが平坦な特性を示し、超低周波での測定が可能となることがわかった。

0045

一方、10μF以上の容量のコンデンサC2を接続するとインピーダンスが低下するために出力電圧が小さくなり位相差が測定しにくくなることも分かった。
なお、図7に示す実験において、抵抗R1(調整抵抗)は測定器(位相器)の入力インピーダンス1MΩであって、式(11)を考慮すると、抵抗R1を更に大きくすることにより20Hz以下の超低周波での平坦特性が得られることが予想される。また、抵抗R1に並列にさらなる抵抗(例えば50Ω)を入れてインピーダンスを下げることにより超低周波での平坦な特性が得られると考えられる。

0046

つづいて、図8を用いて振動型粘度計10の針状部24を供試液体40に浸漬して負荷を与えた場合の50Hz以下の周波数領域での位相差の周波数特性について説明する。図8(a)は、比較例として、コンデンサC2を接続しない状態において、粘度が1000〜500000cStの範囲のシリコーンオイルについての位相差の周波数特性の測定結果を示すグラフである。これに対して、図8(b)は、容量3.3μFのコンデンサC2を備えた振動型粘度計10を用いて測定した位相差の周波数特性の測定結果を示すグラフであり、供試液体40は図8(a)と同じものを用いている。図8(a)、(b)ともに、横軸は駆動用振動子に対する駆動周波数(単位Hz)、縦軸はバイモルフ振動子への入出力電圧の位相差(単位:度)であり、制動容量C1は出力側から見た容量であって、0.071μFとしている。また、針状部を供試液体に浸漬していない無負荷状態(no−load)の測定結果も表示している。

0047

図8(a)に示すように、コンデンサC2を接続しない場合には、どの粘度のシリコーンオイルについても、周波数が低くなるにつれて、特に20Hz以下の領域において、位相差が約180°以上まで急上昇することがわかる。それに対して、図8(b)に示すように、3.3μFのコンデンサC2をバイモルフ振動子20の出力端子側に並列に接続した場合は、特に20Hz以下の低周波領域での位相差の上昇を抑えることができ、平坦な周波数特性が得られたために1Hzからの超低周波で高粘度までの測定が可能となる。

0048

図9は、1〜20Hzにおけるηρと位相差θの関係を図8(b)に示す測定結果から算出した結果を示す。図9は、横軸にηρ(単位cPg/cm3)、縦軸に位相差(単位:度)をとったグラフであり、駆動用振動子21への駆動周波数を20Hz以下の1Hz(◆印)、5Hz(■印)、10Hz(▲印)、20Hz(×印)としている。

0049

図9に示す結果より、20Hz以下の超低周波領域での測定においてηρがほぼ一定値となることから、高粘度領域(特にηρが100〜104の領域)でも高感度の特性の得られることがわかる。ニュートン性のシリコーンオイルを標準液体と見なし、図9の結果から位相差θとηρの関係式を求めると、シリコーンオイル以外の各種液体の粘度を測定することができる。

0050

図10は、シリコーンオイルと同じニュートン性を示す、ひまし油について、振動型粘度計10及び回転型粘度計を用いて粘度計測を試みた結果を示す。図10では、横軸にひまし油の温度(単位:°C)、縦軸に粘度(cSt)をとり、振動型粘度計10のバイモルフ振動子20を用いて駆動周波数を10Hz(■印)と20Hz(▲印)にした場合と、従来の回転型粘度計を用いた場合(×印)と、を示す。また、ニュートン性液体の広範囲の粘度についても振動型粘度計10の妥当性を調べるために、温度を5℃から30℃まで変化させて測定している。

0051

図10に示すように、温度の低下と共に粘度は大きくなっていくが、いずれの測定法でもほぼ近い値を示すことがわかる。回転型粘度計では、振動型粘度計10に比して、ずり速度が桁違いに大きいが、ニュートン性液体の粘度はずり速度に依存しない物質定数であるためにこのような結果となった。このことからもバイモルフ粘度計が低周波での粘度計としても適することの確認できる。

0052

次に、ニュートン性液体と非ニュートン性液体を用いて低周波測定での振動型粘度計10を用いた測定の有意義性を調べてみる。
図11は、非ニュートン性液体である市販の蜂蜜について、図10と同様の条件で、粘度計測を行った結果を示す。図11に示す測定においては、振動型粘度計10のバイモルフ振動子20の駆動周波数として1、5、10、20Hzを使い、比較例として、一般に精度が高いと言われている細管粘度計(capillary viscometer)を用いた。バイモルフ粘度計である振動型粘度計10と細管粘度計とでは、特に低温時の高粘度において、大きな差が現れていることがわかる。非ニュートン性液体においてはニュートンの粘性法則成立しないため、見かけの粘度で表現される。ずり応力τとずり速度Ds0の比を取ると、式(4)より



となり、この比ηaが見かけの粘度となり、ずり速度の関数である。従って、細管粘度計ではずり速度が大幅に大きいために、見掛けの粘度が小さな値となったのである。蜂蜜は非ニュートン性液体の擬塑性流体に属し、ずり速度を大きくすることによって粘度が低下する物質であり、この種のものは身近な流動性食品に多く見られる。なお、ここで用いた回転粘度計と細管粘度計については、ニュトン性液体で使用前に校正している。

0053

上述のとおり、振動型粘度計10によれば、バイモルフ振動子20の出力側にコンデンサC2(例えば1〜5μF)を並列に接続することによって、20Hz以下の超低周波領域で平坦な位相差特性が得ることができる。これにより、1Hzからの超低周波での測定が可能となる。さらに、針状部24の振幅が小さい上に周波数が低いため、ずり速度が小さくなり、これにより、ニュートン性の流体のみならず非ニュートン性の流体についても正確な粘度を測定できる。したがって、非ニュートン性の液体や日常多く使われる流動性食品の粘度測定に有用である。

0054

また、平面形状が三角形のバイモルフ振動子20を用いることにより、非共振周波数帯で粘性に対する位相差感度が非常に大きくなる。針状部24を極めて少量の供試液体40中に浸漬して駆動用振動子21を駆動するのみで測定ができるため、極めて簡便にリアルタイムで粘度測定ができるとともに、連続測定も容易に行うことができる。さらに、駆動用振動子21及び検出用振動子23の非共振周波数帯を使用するために測定粘度帯域を広く取ることができる。また、20Hzを超える周波数領域の測定もできることから、1つの装置で低粘度から高粘度の測定が可能となる。

0055

本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。

0056

以上のように、本発明に係る振動型粘度計は、20Hz以下の領域を含む広い周波数領域において、低粘度から高粘度に至る流体の粘度測定に有用である。

図面の簡単な説明

0057

本発明の実施形態に係る振動型粘度計の構成を示す図である。
(a)は本発明の実施形態に係るバイモルフ振動子に用いる圧電バイモルフ振動子の構成を示す斜視図であり、(b)は駆動用振動子、シム板、及び検出用振動子の配置を示す斜視図である。
振動型粘度計の測定原理を示す斜視図である。
本発明の実施形態に係る振動型粘度計の電気的等価回路を示す図である。
本発明の実施形態に係る振動型粘度計に対して調整コンデンサを接続していない構成となる、従来の振動型粘度計を用いて、供試液体としてシリコーンオイルを用いた場合の各種粘度の位相差特性を求めた結果を示すグラフである。
本発明の実施形態に係る振動型粘度計において、針状部を供試液体に浸していない無負荷の状態で、検出用振動子の三角形先端上部の振動変位をレーザ変位計で測定し、振動変位と位相差の周波数特性を調べた結果を示すグラフである。
本発明の実施形態に係る振動型粘度計と、本発明の実施形態に係る振動型粘度計に対してコンデンサC2を接続してない振動型粘度計と、について、針状部を供試液体に浸漬していない無負荷時における位相差の周波数特性を示したグラフである。
(a)は、コンデンサC2を接続しない振動型粘度計において、粘度が1000〜500000cStの範囲のシリコーンオイルについての位相差の周波数特性の測定結果を示すグラフであり、(b)は、容量3.3μFのコンデンサC2を備えた本発明の実施形態に係る振動型粘度計を用いて測定した位相差の周波数特性の測定結果を示すグラフである。
図8(b)に示す測定結果に基づいて、1〜20Hzにおけるηρと位相差θの関係を算出した結果を示すグラフである。
ひまし油について、本発明の実施形態に係る振動型粘度計及び回転型粘度計を用いて粘度計測を試みた結果を示すグラフである。
非ニュートン性液体である市販の蜂蜜について、図10と同様の条件で、粘度計測を行った結果を示すグラフである。

符号の説明

0058

10振動型粘度計
20バイモルフ振動子
21駆動用振動子
22シム板
23検出用振動子
24 針状部
25支持台
31発振器
32位相差検出器
33パーソナルコンピュータ
34接続ケーブル
40供試液体(測定対象流体)

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