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技術 応力解析装置及び方法

出願人 日本電気株式会社
発明者 石橋正博
出願日 2008年8月8日 (12年4ヶ月経過) 出願番号 2008-205388
公開日 2009年9月3日 (11年4ヶ月経過) 公開番号 2009-198481
状態 特許登録済
技術分野 CAD 機械的応力負荷による材料の強さの調査
主要キーワード 変形負荷 応力緩和現象 累乗関数 応力増分 粘性定数 応力解析装置 計算不能 ひずみ線
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

特殊な操作方法習得することなく、材料の応力やひずみを短時間で計算できる応力解析装置及び方法を提供する。

解決手段

代表的な負荷条件を示す負荷条件ユニットに関する応力・ひずみの解析式を格納する解析解格納部13と、解析式に用いる力学特性定数を格納する材料定数格納部14と、入力された任意の負荷条件を、負荷条件要素からなる負荷条件要素群に変換する負荷条件処理部11と、負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素に該当する負荷条件ユニットについて、解析解格納部13及び材料定数格納部14から解析式と力学特定の定数とを取得して応力・ひずみを算出する応力・ひずみ計算部12と、負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素について算出した応力・ひずみを合成して、入力された任意の負荷条件についての応力・ひずみの解析結果を算出する応力・ひずみ合成部15とを有する。

概要

背景

特許文献1のように、様々な構造物や材料に対して応力やひずみを計算することは、強度設計などのために広く行われてきた。

特に、対象物有限体積面積(要素)に分割し、個々の要素の釣り合い式連立方程式マトリクス解くことによって全要素のひずみを一度に算出する有限要素法が広く用いられている。

図9に、本発明が関連する有限要素法解析の処理の一例を示す。
一般に、有限要素法解析では、負荷条件が入力されると(ステップS601)、熱や荷重などの負荷条件は微小時間刻みで分割され(ステップS602)、微小時間内の微小変形によって生じるひずみが有限要素法によって計算される(ステップS603)。

このとき、計算としては収束計算が行われ、計算誤差所定値以下にならなければ(ステップS604/No)、負荷時間刻み幅をより小さい値に変更する(ステップS605)。解が収束しない状態が繰り返されると、時間刻み幅が所定値以下となり、計算不能と判定される。繰り返し計算によって、計算誤差が所定値以下となれば(ステップS604/Yes)、解が収束したと判定される。その後、材料定数格納部から剛性マトリクス弾性率の値などの材料定数を取得し(ステップS606)、繰り返し計算によって得られたひずみの値と、材料定数格納部から取得した材料定数とを用いて、材料の応力やひずみが計算される(ステップS607)。そして、必要に応じて応力−ひずみ等の関係式も算出される(ステップS608)。

特許文献1では、シェル要素モデル化した板材曲げ応力やひずみを、板厚方向応力を計算した後に有限要素法を用い、収束計算によって求めている。これら一連の計算は、微小時間ごとに行われて累積される。

しかしながら、有限要素法を用いた応力解析方法にはいくつかの問題がある。

第1の問題点は、有限要素法では収束計算を行うため、計算が終了するまでに多大な時間が必要となることが多く、場合によっては計算が収束せず、応力やひずみを計算できない。

第2の問題点は、有限要素法解析を行うには市販のソフトウェアを利用するのが一般的であるが、その操作方法を覚えて使いこなすためにはユーザの熟練が必要となることである。

データ解析に関連する技術として、特許文献2に開示される「解析データ作成方法」がある。特許文献2に記載の発明は、材料物性値を参照したり、データ書式を変換するなどして、短時間に入力データを作成できるようにしたものである。
特開2006−155254号公報
特開平5−290017号公報

概要

特殊な操作方法を習得することなく、材料の応力やひずみを短時間で計算できる応力解析装置及び方法を提供する。代表的な負荷条件を示す負荷条件ユニットに関する応力・ひずみの解析式を格納する解析解格納部13と、解析式に用いる力学特性定数を格納する材料定数格納部14と、入力された任意の負荷条件を、負荷条件要素からなる負荷条件要素群に変換する負荷条件処理部11と、負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素に該当する負荷条件ユニットについて、解析解格納部13及び材料定数格納部14から解析式と力学特定の定数とを取得して応力・ひずみを算出する応力・ひずみ計算部12と、負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素について算出した応力・ひずみを合成して、入力された任意の負荷条件についての応力・ひずみの解析結果を算出する応力・ひずみ合成部15とを有する。

目的

本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、特殊な操作方法を習得することなく、材料の応力やひずみを短時間で計算できる応力解析装置及び方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

代表的な負荷条件を示す負荷条件ユニットに関する応力・ひずみの解析式を格納する解析式格納手段と、前記解析式に用いる力学特性定数を格納する定数格納手段と、入力された任意の負荷条件を、各々が前記負荷条件ユニットに該当する負荷条件要素からなる負荷条件要素群に変換する手段と、前記負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素に該当する負荷条件ユニットについて、前記解析式格納手段及び前記定数格納手段から前記解析式と前記力学特定の定数とを取得して応力・ひずみを算出する手段と、前記負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素について算出した応力・ひずみを合成して、前記入力された任意の負荷条件についての応力・ひずみの解析結果を算出する手段とを有することを特徴とする応力解析装置

請求項2

入力された負荷条件の中に、いずれの前記負荷条件ユニットとも一致しない負荷条件要素が含まれる場合に、その負荷条件要素を時分割し、時分割した各部分を前記負荷条件ユニットのいずれかで近似することを特徴とする請求項1記載の応力解析装置。

請求項3

入力された負荷条件の中に、変形量や荷重加速度を持って変化する負荷条件要素が含まれる場合に、その負荷条件要素を時分割し、時分割した各部分を前記負荷条件ユニットのいずれかで近似することを特徴とする請求項2記載の応力解析装置。

請求項4

前記解析式格納手段には、材料の種類に応じて、その材料に適用される力学モデルと応力・ひずみの計算式とが対となって格納されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の応力解析装置。

請求項5

前記応力・ひずみの計算式は、数値解法によって得られた応力・ひずみの解を近似した式であることを特徴とする請求項4記載の応力解析装置。

請求項6

前記入力された負荷条件についての応力・ひずみの解析結果を表示する手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の応力解析装置。

請求項7

入力された任意の負荷条件を、各々が代表的な負荷条件を示す負荷条件ユニットに該当する複数の負荷条件要素からなる負荷条件要素群に変換する工程と、前記負荷条件ユニットに関する応力・ひずみの解析式と前記解析式に用いる力学特性の定数とに基づいて、前記負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素について応力・ひずみを算出する工程と、前記負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素について算出した応力・ひずみを合成して、前記入力された任意の負荷条件についての応力・ひずみの解析結果を算出する工程とを有することを特徴とする応力解析方法

請求項8

入力された負荷条件の中に、いずれの前記負荷条件ユニットとも一致しない負荷条件要素が含まれる場合に、その負荷条件要素を時分割し、時分割した各部分を前記負荷条件ユニットのいずれかで近似することを特徴とする請求項7記載の応力解析方法。

請求項9

入力された負荷条件の中に、変形量や荷重が加速度を持って変化する負荷条件要素が含まれる場合に、その負荷条件要素を時分割し、時分割した各部分を前記負荷条件ユニットで近似することを特徴とする請求項8記載の応力解析方法。

請求項10

前記入力された負荷条件についての応力・ひずみの解析結果を表示する工程を有することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項記載の応力解析方法。

技術分野

0001

本発明は、材料が熱や荷重などの負荷を受けて変形することによって発生する応力やひずみを、有限要素法解析を行わずに高速に計算する応力解析装置及び方法に関する。

背景技術

0002

特許文献1のように、様々な構造物や材料に対して応力やひずみを計算することは、強度設計などのために広く行われてきた。

0003

特に、対象物有限体積面積(要素)に分割し、個々の要素の釣り合い式連立方程式マトリクス解くことによって全要素のひずみを一度に算出する有限要素法が広く用いられている。

0004

図9に、本発明が関連する有限要素法解析の処理の一例を示す。
一般に、有限要素法解析では、負荷条件が入力されると(ステップS601)、熱や荷重などの負荷条件は微小時間刻みで分割され(ステップS602)、微小時間内の微小変形によって生じるひずみが有限要素法によって計算される(ステップS603)。

0005

このとき、計算としては収束計算が行われ、計算誤差所定値以下にならなければ(ステップS604/No)、負荷の時間刻み幅をより小さい値に変更する(ステップS605)。解が収束しない状態が繰り返されると、時間刻み幅が所定値以下となり、計算不能と判定される。繰り返し計算によって、計算誤差が所定値以下となれば(ステップS604/Yes)、解が収束したと判定される。その後、材料定数格納部から剛性マトリクス弾性率の値などの材料定数を取得し(ステップS606)、繰り返し計算によって得られたひずみの値と、材料定数格納部から取得した材料定数とを用いて、材料の応力やひずみが計算される(ステップS607)。そして、必要に応じて応力−ひずみ等の関係式も算出される(ステップS608)。

0006

特許文献1では、シェル要素モデル化した板材曲げ応力やひずみを、板厚方向応力を計算した後に有限要素法を用い、収束計算によって求めている。これら一連の計算は、微小時間ごとに行われて累積される。

0007

しかしながら、有限要素法を用いた応力解析方法にはいくつかの問題がある。

0008

第1の問題点は、有限要素法では収束計算を行うため、計算が終了するまでに多大な時間が必要となることが多く、場合によっては計算が収束せず、応力やひずみを計算できない。

0009

第2の問題点は、有限要素法解析を行うには市販のソフトウェアを利用するのが一般的であるが、その操作方法を覚えて使いこなすためにはユーザの熟練が必要となることである。

0010

データ解析に関連する技術として、特許文献2に開示される「解析データ作成方法」がある。特許文献2に記載の発明は、材料物性値を参照したり、データ書式を変換するなどして、短時間に入力データを作成できるようにしたものである。
特開2006−155254号公報
特開平5−290017号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかし、特許文献2によれば、入力データの作成を高速に行うことはできるものの、解析計算自体の速度は何ら変わりがない。これは、応力解析は、入力データを作成した後に行われる処理であるためである。
また、特許文献2で作成した入力データは、通常の有限要素法解析や境界要素法有限体積法などの既存の数値計算で使用することを想定しているため、応力−ひずみ解析を行う場合でも、応力−ひずみの関数は必要とされない。よって、応力の増分とひずみの増分との関係式が意識しないうちに計算に使用されるため、汎用的ではあるが、応力増分を足し込んで計算するので、必ず繰り返し計算が必要となり、応力やひずみの計算に時間がかかってしまう。

0012

本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、特殊な操作方法を習得することなく、材料の応力やひずみを短時間で計算できる応力解析装置及び方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、代表的な負荷条件を示す負荷条件ユニットに関する応力・ひずみの解析式を格納する解析式格納手段と、解析式に用いる力学特性定数を格納する定数格納手段と、入力された任意の負荷条件を、各々が負荷条件ユニットに該当する負荷条件要素からなる負荷条件要素群に変換する手段と、負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素に該当する負荷条件ユニットについて、解析式格納手段及び定数格納手段から解析式と力学特定の定数とを取得して応力・ひずみを算出する手段と、負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素について算出した応力・ひずみを合成して、入力された任意の負荷条件についての応力・ひずみの解析結果を算出する手段とを有することを特徴とする応力解析装置を提供するものである。

0014

また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、入力された任意の負荷条件を、各々が代表的な負荷条件を示す負荷条件ユニットに該当する複数の負荷条件要素からなる負荷条件要素群に変換する工程と、負荷条件ユニットに関する応力・ひずみの解析式と解析式に用いる力学特性の定数とに基づいて、負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素について応力・ひずみを算出する工程と、負荷条件要素群に含まれる各々の負荷条件要素について算出した応力・ひずみを合成して、入力された任意の負荷条件についての応力・ひずみの解析結果を算出する工程とを有することを特徴とする応力解析方法を提供するものである。

発明の効果

0015

本発明によれば、特殊な操作方法を習得することなく、材料の応力やひずみを短時間で計算できる応力解析装置及び方法を提供できる。

発明を実施するための最良の形態

0016

図1に、本発明の好適な実施の形態に係る応力解析装置の構成を示す。応力解析装置10は、代表的な負荷条件(負荷条件ユニット)ごとに、予め応力やひずみの計算式解析解の式)を格納した解析解格納部13と、計算したい負荷条件を、これら代表的な負荷条件である負荷条件ユニットに分類・分解・分離する負荷条件処理部11と、材料ごとに基本的な力学特性の定数を格納した材料定数格納部14と、解析解格納部13に格納された解析解の式及び材料定数格納部14とを用いて応力やひずみを計算する応力・ひずみ計算部12と、代表的な負荷条件における応力やひずみを組み合わせて、計算したい負荷条件全体の応力やひずみを求める応力・ひずみ合成部15とを有する。

0017

解析解の式は、材料ごとに一般的に知られている応力やひずみの式を、既知の定数の関数として応力およびひずみついて解いたものである。

0018

本発明では、計算したい負荷条件を負荷条件ユニットに当てはまるように、分類、分解又は分割する。負荷条件ユニットとは、一定速度での変形や、変形の保持や、一定荷重に保持するなどといった基本的な負荷条件である。これらの負荷条件ユニットを単独で、又は複数組み合わせて用いることにより、通常の構造物や材料の試験条件を始め、様々な負荷条件を表せる。

0019

例えば、「一定速度での変形」という負荷条件ユニットは、そのままで(単独で)引っ張り試験の条件として適用できる。また、「一定荷重に保持」という負荷条件ユニットは、そのままでクリープ試験の条件として適用できる。さらに、「一定速度での変形」とその後での「変形の保持」として負荷条件ユニットを組み合わせれば、応力緩和試験の条件として適用可能である。さらに、「一定速度での変形」という負荷条件ユニットの変形の向き(大きさ)を所定時間ごと反転させれば、繰り返し疲労試験の条件として適用できる。

0020

このように、代表的な負荷条件である負荷条件ユニットを組み合わせることによって、計算したい様々な負荷条件を表すことができる。

0021

ここで、「分類」とは、ある負荷条件(又はその一部である負荷条件要素)を特定の負荷条件ユニットに当てはめる(換言すると負荷条件ユニットを適用する)処理を意味する。また、「分解」とは、ある負荷条件を2以上の負荷条件ユニットの組み合わせに当てはめる処理を意味する。また、「分割」とは、そのままでは負荷条件ユニットに当てはめることができない負荷条件(又はその一部である負荷条件要素)を負荷条件ユニットに当てはめることができるように時分割する処理を意味する。

0022

次に、分類又は分解された負荷条件ユニットごとに、その負荷条件における応力やひずみを、解析解格納部13を参照して応力・ひずみ計算部12が計算する。解析解格納部13には、負荷条件ユニットの条件における応力、ひずみの算出式が材料ごとのデータとして格納されている。負荷条件ユニットは、単純な負荷条件であるため、これらの応力やひずみの算出式に関する情報は容易にデータとして登録できる。

0023

弾性率や熱膨張係数などといった材料の基本的な特性は、力学特性格納部14から取得するようにしても良い。例えば、解析解格納部13に格納された式を用いてひずみを計算し、算出したひずみの値と力学特性格納部14に格納された弾性率とを基に応力を算出するようにしても良い。

0024

応力、ひずみの算出は、既知定数の関数を計算するのみであり、収束計算を伴わないため、短時間で終了する。

0025

最後に、負荷条件ユニットを組み合わせて計算したい負荷条件とする。応力・ひずみ合成部15は、負荷条件ごとに算出された応力やひずみの値を組み合わせて、計算したい負荷条件に対応する応力やひずみを求める。必要に応じて、全体の応力−ひずみ関係式や応力−時間関係式、ひずみ−時間関係式などを求め、グラフ表示しても良い。

0026

このように、代表的な負荷条件である負荷条件ユニットに分解し、それぞれの負荷条件ユニットに対応する解析解の格納部を有することにより、有限要素法による収束計算を一切行わずに、任意の構造物や材料の応力やひずみを算出できる。

0027

図2図3図4に、本実施形態に係る応力解析装置10の動作の流れを示す。
応力解析装置10に負荷条件が入力されると、負荷条件処理部11は、入力された負荷条件を負荷条件要素に分離する(ステップS101)。なお、負荷条件を複数の要素に分離できない場合には、負荷条件全体を一つの負荷条件要素と見なして下記の処理を行う。次に、負荷条件処理部11は、定速変形要素についての処理を行う(ステップS102)。

0028

まず、負荷条件処理部は、定速変形(一定速度の変形負荷)に該当する負荷条件要素が入力された負荷条件に含まれるか否かを判断する(ステップS201)。一定速度の変形負荷を含む場合(ステップS201/Yes)、変形の向きを判断する(ステップS202)。変形の向きが正であれば(ステップS202/正)、一定速度での引張変形に相当する負荷条件ユニットを適用する(ステップS203)。また、変形の向きが負であれば(ステップS202/負)、一定速度での圧縮変形に相当する負荷条件ユニットを適用する(ステップS204)。また、大きさが0ならば(ステップS202/0)、変形の保持に相当する負荷条件ユニットを適用する(ステップS205)。その後、負荷条件処理部は全ての定速変形要素について負荷の向きを判断したか否かを確認し(ステップS206)、全ての定速変形要素について負荷の向きを判断したならば定速変形要素についての処理を終了する。

0029

次に、負荷条件処理部11は、定速荷重要素についての処理を行う(ステップS103)。

0030

負荷条件処理部11は、定速荷重(一定速度の荷重負荷)に該当する負荷条件要素が入力された負荷条件に含まれるか否かを判断する(ステップS301)。一定速度の荷重負荷を含む場合(ステップS301/Yes)、変形の向きを判断する(ステップS302)。変形の向きが正であれば(ステップS302/正)、一定速度で荷重が増加する条件に相当する負荷条件ユニットを適用する(ステップS303)。また、変形の向きが負であれば(ステップS302/負)、一定速度で荷重が減少する条件に相当する負荷条件ユニットを適用する(ステップS304)。また、大きさが0ならば(ステップS302/0)、荷重の保持(クリープ試験)に相当する負荷条件ユニットを適用する(ステップS305)。その後、負荷条件処理部11は全ての定速荷重要素について負荷の向きを判断したか否かを確認し(ステップS306)、全ての定速荷重要素について負荷の向きを判断したならば定速荷重要素についての処理を終了する。

0031

その後、負荷条件処理部11は、そのままでは負荷条件ユニットに適合しない負荷条件要素が、入力された負荷条件に含まれるか否かを判断する(ステップS104)。そのままでは負荷条件ユニットに適合しない負荷条件要素としては、変形や荷重が一定速度ではなく加速度を持って変化する場合などが挙げられる。そのままでは負荷条件ユニットに適合しない負荷条件要素が、入力された負荷条件に含まれるならば(ステップS104/Yes)、負荷条件処理部11は、その負荷条件要素を時分割することにより、一定速度の変形負荷及び一定速度の荷重負荷の集まりと見なせるようにする(ステップS105)。その後、負荷条件処理部11は、分割した部分について上記同様の処理を行い、負荷条件ユニットを適用する。

0032

負荷条件ユニットの適用が終了すると、負荷条件処理部11は、適用した負荷条件ユニットを応力・ひずみ計算部12へ通知する(ステップS106)。応力・ひずみ計算部12は、適用された負荷条件ユニットを通知されると、適用されたそれぞれの負荷条件ユニットに関して応力やひずみを算出するための式を解析解格納部13から取得する(ステップS107)。
解析解格納部13には、負荷条件ユニットに対応する応力・ひずみの算出式が材料ごとのデータベースとして格納されている。例えば、解析解格納部13には、樹脂材料Aに対応させて、その材料に有効とされている力学モデルと応力やひずみの計算式とが対になって格納されている。例えば、解析解格納部13には、樹脂材料Aに対応させて、その材料に有効とされている力学モデルと応力やひずみの計算式とが対になって格納されている。図5は、エラストマー系樹脂材料の力学モデルであり、式(1)は一定速度で変形(引張、圧縮)させるときの応力の解析解であり、tは時間、ε’はひずみ速度、σは応力を表す。式(2)は変形を保持(応力緩和)するときの応力の解析解であり、tは時間、ε0は初期ひずみ、σ0は初期応力、σは応力を表す。式(3)は一定荷重を保持(クリープ)した時のひずみの解析解であり、tは時間、εはひずみ、σは応力を表す。負荷条件ユニットは最も単純な負荷条件であるため、これら応力やひずみの算出式に関する情報はさしたる困難もなく解析解格納部13に蓄積可能である。

0033

0034

応力・ひずみ計算部12は、応力やひずみを算出するために必要となる材料に応じた材料定数を材料定数格納部14から取得する(ステップS108)。
材料定数格納部14には、力学モデルや応力・ひずみの計算式で使用された材料定数(弾性率E1、E2、粘性係数η)の値が格納されている。式(4)に、樹脂材料Aに対応する材料定数の一例を示す。

0035

0036

材料や負荷条件によっては、より実験と一致する力学モデルと応力やひずみの計算式の対が格納できる。
例えば、図6は、エラストマー系樹脂材料に、桁違いに異なるひずみ速度が負荷される場合の力学モデルである。弾性の基本モデル粘性の基本モデルとを合わせた3要素の力学モデルであるが、粘性を表す基本モデルの部分の応力σからひずみ速度ε’を計算する式が指数関数となっているのが特徴である。

0037

式(5)は一定速度で変形(引張、圧縮)させるときの応力の解析解であり、tは時間、ε’はひずみ速度、σは応力を表す。式(6)は変形を保持(応力緩和)するときの応力の解析解であり、tは時間、σ0は初期応力、σは応力を表す。式(7)は一定荷重を保持(クリープ)した時のひずみの解析解であり、tは時間、εはひずみ、σは応力を表す。

0038

負荷条件ユニットは最も単純な負荷条件であるため、これら応力やひずみの算出式に関する情報はさしたる困難もなく解析解格納部13に蓄積可能である。

0039

0040

応力・ひずみ計算部12は、応力やひずみを算出するために必要となる材料に応じた材料定数を材料定数格納部14から取得する(ステップS108)。

0041

エラストマー系樹脂材料に、桁違いに異なるひずみ速度が負荷される場合、材料定数格納部14には、力学モデルや応力・ひずみの計算式で使用された材料定数(弾性率E1、E2、粘性定数A、B)の値が格納されている。

0042

0043

式(4)に、樹脂材料Aに対応する材料定数の一例を示す。

0044

応力やひずみの計算式と材料定数とを取得した後、応力・ひずみ計算部12は負荷条件ユニットごとに応力やひずみを計算する(ステップS109)。ここでの応力やひずみの計算は、既知の定数と関数とを計算するだけであり、収束計算を伴わないため、短時間で終了する。

0045

応力・ひずみ計算部12は、負荷条件ユニットごとに算出した応力やひずみを応力・ひずみ合成部15へ出力する。応力ひずみ合成部15は、負荷条件ユニットごとに算出された応力やひずみを組み合わせることによって、入力された負荷条件に対応する応力やひずみを算出する(ステップS110)。

0046

なお、全体の応力やひずみを算出するだけでなく、必要に応じて、全体の応力−ひずみ関係式や、応力−時間関係式、ひずみ−時間関係式などを求め、グラフ表示するようにしても良い。

0047

このように、代表的な負荷条件(負荷条件ユニット)に分解し、それぞれの解析解を解析解格納部13から読み出し演算することにより、有限要素法による収束計算を一切行うことなく、短時間で材料に生じる応力やひずみを算出できる。さらに、材料の組み合わせである一般の構造物の応力やひずみを算出することも可能である。

0048

図7は、エラストマー系樹脂材料Aに対して、以下の負荷条件における応力・ひずみを計算し、応力−ひずみ曲線を描いたものである。まず、一定ひずみ速度0.001s-1で引っ張り(符号71)、ひずみ0.05で停止させて10秒間保持し(符号72)、一定ひずみ速度0.001s-1で応力が0になるまで圧縮し(符号73)、一定ひずみ速度2×10-4s-1でひずみが0になるまで圧縮を与えた(符号74)。

0049

負荷条件に対して、負荷条件要素への分離を行った。
まず、ひずみ0.05まで一定ひずみ速度0.001s-1で引っ張るので、負荷条件処理部11は、開始から50秒間の負荷条件要素(以下、負荷条件要素1という)を一定速度での引っ張りとして分離した。そして、応力・ひずみ計算部12は、解析解格納部13から応力の解析解である式(1)を選択し、使用する解析解としてリストアップした。なお、ε’はひずみ速度であり、0.001s-1である。また、応力・ひずみ計算部12は、材料定数格納部4を参照して、式(4)に示される樹脂材料Aの材料定数を取得した。使用する解析解にリストアップした応力の計算式である式(1)と材料定数とにより、応力・ひずみ計算部12は負荷条件要素1における応力を計算した。この計算は収束計算を含まないため、有限要素法による収束計算と比較して短時間で終了した。なお、負荷を与えると、始めは応力とひずみとがほぼ比例するが(符号711)、ひずみや応力がある値を超えると、応力−ひずみ曲線の接線の傾きが小さくなる。

0050

次の負荷条件要素は、ひずみ0.05で10秒保持し、応力の向き・大きさは0という条件であるため、負荷条件処理部11は、開始50秒後から60秒後までの負荷条件要素(以下、負荷条件要素2という)を変形保持(応力緩和)として分離した。そして、応力・ひずみ計算部12は、解析解格納部13から応力の解析解である式(2)を選択し、使用する解析解としてリストアップした。なお、ε0は応力緩和時のひずみ0.05であり、σ0は応力緩和開始時の応力であり、式(1)の計算から14.9[MPa]である。式(2)と材料定数である式(4)とから、10秒保持の間に応力が8.7[MPa]まで低下するという負荷条件要素2における応力緩和現象が計算された。

0051

さらに、次の負荷条件要素は、一定ひずみ速度0.001s-1で応力が0になるまで圧縮するという条件であるため、負荷条件処理部11は、開始60秒後から応力が0になるまでの負荷条件要素(以下負荷条件要素3という)を一定速度での圧縮として分離した。応力・ひずみ計算部12は、解析解格納部13から応力の解析解である式(1)を選択し、使用する解析解としてリストアップした。なお、ε’はひずみ速度であり、−0.001s-1である。また、応力・ひずみ計算部12は、材料定数格納部14からは、樹脂材料Aの材料定数の値を式(4)によって参照した。使用する解析解にリストアップした応力の計算式である式(1)と材料定数とにより、応力・ひずみ計算部12は負荷条件要素3における応力を計算した。

0052

最後に一定のひずみ速度でひずみが0になるまで圧縮するので、負荷条件処理部11は、この負荷条件要素(以下、負荷条件要素4という)を一定速度での圧縮として分離した。応力・ひずみ計算部12は、解析解格納部13から応力の解析解である式(1)を選択し、使用する解析解としてリストアップした。なお、ε’はひずみ速度であり、−0.0002s-1である。また、応力・ひずみ計算部12は、材料定数格納部14からは、樹脂材料Aの材料定数の値を式(4)によって参照した。使用する解析解にリストアップした応力の計算式である式(1)と材料定数とにより、応力・ひずみ計算部12は負荷条件要素4における応力を計算した。

0053

応力・ひずみ合成部15は、負荷条件要素1〜4を組み合わせて、全体の応力−ひずみの関係を算出した。図7は、負荷条件要素1〜4を組み合わせて得た全体の応力−ひずみ線図である。応力は負荷に応じて刻々と変化し、最終的な応力は−6.2[MPa]となった。最大応力と比べると、最終的な応力の大きさは半分以下となっていることが確認できた。

0054

なお、以上の例において計算に要した時間は数秒であった。
有限要素法で計算を行う場合、材料を数千に上る要素に分割し、それぞれの要素に対して、各負荷条件要素に関する計算を行うこととなる。この際、負荷条件要素1のように応力−ひずみが直線関係とならない部分に関しては直線に近似できるように分けて計算する必要がある。よって、上記の例と同様の計算を有限要素法で行う場合には、材料を千個の要素に分割し、負荷条件要素1に相当する部分を二分割するとしても、本発明の五千倍の時間を要することとなる。実際には、計算の精度を高めるためにより多くの要素に分割する必要があり、負荷条件が複雑になればなるほど、計算量は飛躍的に多くなってしまう。このように、本実施例においては、本発明によれば計算に要する時間が有限要素法で計算する場合の数千分の1以下となることを確認できた。

0055

図8は、エラストマー系樹脂Aに対して、一定ひずみ速度が0.0001s-1、0.001s-1、0.01s-1の場合の応力−ひずみ曲線を計算し、重ねて描いたものである。
負荷条件に対する負荷条件処理部11は、開始からそれぞれ1000秒、100秒、10秒間の負荷条件要素を一定速度での引っ張りとして選ぶ。応力・ひずみ計算部12は、解析解格納部13から応力の解析解である式(5)を選択し、使用する解析解としてリストアップした応力の計算式である式(5)と材料定数とにより、応力・ひずみ計算部12は負荷条件要素における応力を計算した。この計算は収束計算を含まないため、有限要素法による収束計算と比較して短時間で終了した。

0056

応力・ひずみ合成部15は、負荷条件要素を組み合わせて、全体の応力−ひずみの関係を算出するが、本実施例の場合には、負荷条件要素は一つだけである。

0057

図8実線は、負荷条件要素により得られた応力−ひずみ曲線を三つの条件について求め、重ねたものである。負荷を与えると、始めは応力とひずみとがほぼ比例するが、ひずみや応力がある値を超えると、応力−ひずみ曲線の接線の傾きが小さくなる。また、ひずみ速度が大きいほど応力が大きい傾向がある。

0058

図中の○印はそれぞれの負荷条件で実測された実験結果である。三つの条件とも、計算結果は実験結果とほぼ一致しており、計算精度は高い。

0059

以上の例において、計算に要した時間は、1負荷条件当たり数秒であった。

0060

このように、本発明は、様々な負荷条件によって種々の材料に生じる応力やひずみを短時間で計算するといった用途に適用できる。

0061

なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、解析解格納部には、材料や負荷条件によって、様々な力学モデルを格納することが考えられる。上記実施形態の粘性を表すモデルの部分は、応力σからひずみ速度ε’を計算する式が累乗関数でもよいし、時間によりひずみが変化しない塑性も基本モデルを含んでも良い。複数の粘性や塑性の基本モデルを組み合わせた、3要素以上の力学モデルであっても良い。このように様々な力学モデルを格納しておくことにより、特殊な変形であっても計算が可能である。
このように、本発明は様々な変形が可能である。

図面の簡単な説明

0062

本発明の好適な実施の形態に係る応力解析装置の構成を示す図である。
本発明の好適な実施の形態に係る応力解析装置の動作の流れを示す図である。
本発明の好適な実施の形態に係る応力解析装置の動作の流れを示す図である。
本発明の好適な実施の形態に係る応力解析装置の動作の流れを示す図である。
材料定数格納部に格納される力学モデルの一例を示す図である。
エラストマー系樹脂材料に、桁違いに異なるひずみ速度が負荷される場合の力学モデルの一例を示す図である。
応力−ひずみ曲線の一例を示す図である。
負荷条件要素により得られた応力−ひずみ線を三つの条件について求め、重ねて示す図である。
有限要素法解析の処理手順を示すフローチャートである。

符号の説明

0063

10応力解析装置
11負荷条件処理部
12応力・ひずみ計算部
13解析解格納部
14材料定数格納部
15 応力・ひずみ合成部

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