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技術 圧電/電歪素子及び圧電/電歪素子の製造方法

出願人 日本碍子株式会社
発明者 小泉貴昭清水秀樹
出願日 2008年2月14日 (11年6ヶ月経過) 出願番号 2008-033035
公開日 2009年8月27日 (9年11ヶ月経過) 公開番号 2009-194146
状態 特許登録済
技術分野 圧電、電歪、磁歪装置 超音波モータ、圧電モータ、静電モータ
主要キーワード 絶縁セラミックス ケイ素系高分子化合物 常温条件 アルミナナノ粒子 電着塗料液 外部電極膜 合格率 導電材料膜
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重要な関連分野

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図面 (18)

課題

圧電電歪特性を低下させることなく耐湿性を向上した圧電/電歪素子及び当該圧電/電歪素子の製造方法を提供する。

解決手段

圧電/電歪素子10の振動積層体110は、電極膜112、圧電/電歪体膜114、電極膜116、圧電/電歪体膜118及び電極膜120を積層した構造を有している。圧電/電歪素子10の製造にあたっては、被膜材料成分を含有する電着塗料液164に積層構造体100及び対向電極162を浸漬し、振動積層体110及び対向電極162の表面に電着塗料液164を接触させる。その後に、内部電極膜134と対向電極162との間に電圧印加し、表面露出欠陥154に向かって被膜材料成分を電気泳動させ、表面露出欠陥154の上に被膜材料を選択的に電着させる。

概要

背景

圧電電歪アクチュエータは、サブミクロンオーダー変位を精密に制御することができるという利点を有する。特に、圧電/電歪セラミックス焼成体を圧電/電歪体として用いた圧電/電歪アクチュエータは、変位を精密に制御することができる他にも、電気機械変換効率が高く、発生力が大きく、応答速度が速く、耐久性が高く、消費電力が少ないという利点も有し、これらの利点を生かして、インクジェットプリンタヘッドディーゼルエンジンインジェクタに採用されている。

しかし、圧電/電歪セラミックスの焼成体を圧電/電歪体として用いた圧電/電歪アクチュエータでは、常湿下においては変位量の低下が問題とならないにもかかわらず、高湿下においては変位量の低下が問題となることがある。このような変位量の低下の原因は、圧電/電歪アクチュエータを分極したり繰り返し駆動したりしたときに圧電/電歪セラミックスの焼成体の粒界ポアなどの機械的強度が弱い部分に応力が集中することにより形成されたマイクロクラックその他の欠陥に水分が浸入して導電パスとなり、圧電/電歪体膜印加される電界を小さくしてしまうことにあると考えられる。

このような高湿下における変位量の低下を防ぐためには、圧電/電歪体膜と電極膜とを積層した振動積層体の表面にマイクロクラックその他の欠陥を覆う被膜を形成することが有効である。

例えば、特許文献1には、振動積層体(圧電振動子)の表面に被膜(絶縁層13)を形成することにより耐湿性を向上することが記載されている。また、特許文献2にも、振動積層体(圧電素子300)の表面に被膜(保護膜100)を形成することにより耐湿性を向上することが記載されている。

特許第3552013号公報
特開2007−175989号公報

概要

圧電/電歪特性を低下させることなく耐湿性を向上した圧電/電歪素子及び当該圧電/電歪素子の製造方法を提供する。圧電/電歪素子10の振動積層体110は、電極膜112、圧電/電歪体膜114、電極膜116、圧電/電歪体膜118及び電極膜120を積層した構造を有している。圧電/電歪素子10の製造にあたっては、被膜材料成分を含有する電着塗料液164に積層構造体100及び対向電極162を浸漬し、振動積層体110及び対向電極162の表面に電着塗料液164を接触させる。その後に、内部電極膜134と対向電極162との間に電圧を印加し、表面露出欠陥154に向かって被膜材料成分を電気泳動させ、表面露出欠陥154の上に被膜材料を選択的に電着させる。

目的

本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、圧電/電歪特性の劣化を抑制しつつ耐湿性を向上した圧電/電歪素子を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

圧電電歪体膜及び電極膜を積層した振動積層体を備える圧電/電歪素子の製造方法であって、(a)被膜材料成分を含有する電着塗料液を振動積層体に接触させる工程と、(b) 前記振動積層体の表面に露出し前記振動積層体を構成する第1の電極膜に至る欠陥の上に被膜となる被膜材料を選択的に電着させる工程と、を備える圧電/電歪素子の製造方法。

請求項2

請求項1に記載の圧電/電歪素子の製造方法において、前記工程(a)は、前記第1の電極膜に短絡されていない前記振動積層体を構成する第2の電極膜と前記振動積層体とは別体の対向電極とを短絡した状態で前記振動積層体及び前記対向電極に前記電着塗料液を接触させ、前記工程(b)は、前記第1の電極膜と前記対向電極との間に電圧印加し、前記第1の電極膜と前記対向電極との間に生じる電界を前記欠陥から前記電着塗料液の中に漏れ出させることにより、前記欠陥の上に被膜材料を電着させる、圧電/電歪素子の製造方法。

請求項3

請求項1に記載の圧電/電歪素子の製造方法において、前記工程(b)は、前記第1の電極膜と前記第1の電極膜に短絡されていない前記振動積層体を構成する第2の電極膜との間に電圧を印加し、前記第1の電極膜と前記第2の電極膜との間に生じる電界を前記欠陥から前記電着塗料液の中に漏れ出させることにより、前記欠陥に被膜材料を電着させる、圧電/電歪素子の製造方法。

請求項4

請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧電/電歪素子の製造方法において、(c) 前記工程(a)の前に前記欠陥を成長させる工程、をさらに備える圧電/電歪素子の製造方法。

請求項5

請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の圧電/電歪素子の製造方法において、(d) 前記工程(a)の前に振動積層体の表面に対する前記被膜の密着性を向上する表面処理を前記振動積層体に対して行う工程、をさらに備える、圧電/電歪素子の製造方法。

請求項6

圧電/電歪素子であって、圧電/電歪体膜及び電極膜を積層した振動積層体と、前記振動積層体の表面に露出し前記振動積層体を構成する電極膜に至る欠陥を選択的に覆う被膜と、を備える圧電/電歪素子。

技術分野

0001

本発明は、圧電電歪特性の劣化を抑制しつつ耐湿性を向上した圧電/電歪素子及び当該圧電/電歪素子の製造方法に関する。

背景技術

0002

圧電/電歪アクチュエータは、サブミクロンオーダー変位を精密に制御することができるという利点を有する。特に、圧電/電歪セラミックス焼成体を圧電/電歪体として用いた圧電/電歪アクチュエータは、変位を精密に制御することができる他にも、電気機械変換効率が高く、発生力が大きく、応答速度が速く、耐久性が高く、消費電力が少ないという利点も有し、これらの利点を生かして、インクジェットプリンタヘッドディーゼルエンジンインジェクタに採用されている。

0003

しかし、圧電/電歪セラミックスの焼成体を圧電/電歪体として用いた圧電/電歪アクチュエータでは、常湿下においては変位量の低下が問題とならないにもかかわらず、高湿下においては変位量の低下が問題となることがある。このような変位量の低下の原因は、圧電/電歪アクチュエータを分極したり繰り返し駆動したりしたときに圧電/電歪セラミックスの焼成体の粒界ポアなどの機械的強度が弱い部分に応力が集中することにより形成されたマイクロクラックその他の欠陥に水分が浸入して導電パスとなり、圧電/電歪体膜印加される電界を小さくしてしまうことにあると考えられる。

0004

このような高湿下における変位量の低下を防ぐためには、圧電/電歪体膜と電極膜とを積層した振動積層体の表面にマイクロクラックその他の欠陥を覆う被膜を形成することが有効である。

0005

例えば、特許文献1には、振動積層体(圧電振動子)の表面に被膜(絶縁層13)を形成することにより耐湿性を向上することが記載されている。また、特許文献2にも、振動積層体(圧電素子300)の表面に被膜(保護膜100)を形成することにより耐湿性を向上することが記載されている。

0006

特許第3552013号公報
特開2007−175989号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、従来の技術では、振動積層体の表面に被膜を形成することにより耐湿性を向上することができるものの、被覆が振動積層体を拘束するため、圧電/電歪アクチュエータの変位量が低下してしまうという問題があった。この問題を緩和するために、特許文献2では、被膜の一部を柔軟な材料で構成することを提案しているが(段落0051)、そのような対策では十分な効果を得ることはできない。

0008

なお、この問題は、圧電/電歪アクチュエータに限らず、圧電/電歪体膜及び電極膜を積層した振動積層体を備える圧電/電歪素子に共通する問題である。

0009

本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、圧電/電歪特性の劣化を抑制しつつ耐湿性を向上した圧電/電歪素子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決するため、請求項1の発明は、圧電/電歪体膜及び電極膜を積層した振動積層体を備える圧電/電歪素子の製造方法であって、(a)被膜材料成分を含有する電着塗料液を振動積層体に接触させる工程と、(b) 前記振動積層体の表面に露出し前記振動積層体を構成する第1の電極膜に至る欠陥の上に被膜となる被膜材料を選択的に電着させる工程と、を備える。

0011

請求項2の発明は、請求項1に記載の圧電/電歪素子の製造方法において、前記工程(a)は、前記第1の電極膜に短絡されていない前記振動積層体を構成する第2の電極膜と前記振動積層体とは別体の対向電極とを短絡した状態で前記振動積層体及び前記対向電極に前記電着塗料液を接触させ、前記工程(b)は、前記第1の電極膜と前記対向電極との間に電圧を印加し、前記第1の電極膜と前記対向電極との間に生じる電界を前記欠陥から前記電着塗料液の中に漏れ出させることにより、前記欠陥の上に被膜材料を電着させる。

0012

請求項3の発明は、請求項1に記載の圧電/電歪素子の製造方法において、前記工程(b)は、前記第1の電極膜と前記第1の電極膜に短絡されていない前記振動積層体を構成する第2の電極膜との間に電圧を印加し、前記第1の電極膜と前記第2の電極膜との間に生じる電界を前記欠陥から前記電着塗料液の中に漏れ出させることにより、前記欠陥に被膜材料を電着させる。

0013

請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧電/電歪素子の製造方法において、(c) 前記工程(a)の前に前記欠陥を成長させる工程、をさらに備える。

0014

請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の圧電/電歪素子の製造方法において、(d) 前記工程(a)の前に振動積層体の表面に対する前記被膜の密着性を向上する表面処理を前記振動積層体に対して行う工程、をさらに備える。

0015

請求項6の発明は、圧電/電歪素子であって、圧電/電歪体膜及び電極膜を積層した振動積層体と、前記振動積層体の表面に露出し前記振動積層体を構成する電極膜に至る欠陥を選択的に覆う被膜と、を備える。

発明の効果

0016

請求項1ないし請求項6の発明によれば、振動積層体の表面から振動積層体を構成する第1の電極膜へ至る欠陥を被膜で覆うことができるので、圧電/電歪素子の耐湿性を向上することができる。また、振動積層体の表面に選択的に被膜を形成することができるので、被膜による圧電/電歪素子の圧電/電歪特性の劣化を抑制することができる。

0017

請求項2の発明によれば、第2の電極膜の電位が対向電極の電位と等しくなるので、第2の電極膜の表面に被膜材料が付着することを抑制することができる。

0018

請求項3の発明によれば、対向電極が不要になるので、圧電/電歪素子の製造装置を簡略化することができる。

0019

請求項4の発明によれば、後に発生する恐れのある欠陥を事前に成長させて被膜で覆うことができるので、圧電/電歪素子の耐湿性をより向上することができる。

0020

請求項5の発明によれば、振動積層体の表面に対する被膜の密着性を向上することができるので、圧電/電歪素子の耐湿性をより向上することができる。

発明を実施するための最良の形態

0021

<1 第1実施形態>
<1−1圧電/電歪素子10の構造>
{全体構造
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法により製造される圧電/電歪素子10の模式図である。図1は、圧電/電歪素子10の断面図となっている。図1に示す圧電/電歪素子10は、インクジェットプリンタのヘッドに使用されるインク吐出用のアクチュエータの主要部となっている。

0022

図1に示すように、圧電/電歪素子10は、空洞であるキャビティ136の上方において基体102の上面に振動積層体110を固着した構造を有している。「固着」とは、有機接着剤無機接着剤を用いることなく、基体102と振動積層体110との界面における固相反応により基体102に振動積層体110を接合することをいう。

0023

{基体102}
基体102は、ベース板106及び振動板108を列記した順序で下から上に積層して一体化した構造を有している。

0024

基体102は、絶縁体構造物である。絶縁体の種類は制限されないが、耐熱性化学的定性及び絶縁性の観点から、酸化ジルコニウム酸化アルミニウム酸化マグネシウムムライト窒化アルミニウム及び窒化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種類を含むセラミックスの焼成体であることが望ましい。中でも、機械的強度及び靭性の観点から、安定化された酸化ジルコニウムのセラミックスの焼成体であることが望ましい。ここで、「安定化された酸化ジルコニウム」とは、安定化剤の添加によって結晶相転移を抑制した酸化ジルコニウムをいい、安定化酸化ジルコニウムの他、部分安定化酸化ジルコニウムを含む。

0025

ベース板106は、細長矩形の平面形状を有するキャビティ136を略均一の板厚の板に形成した構造を有している。

0026

振動板108は、略均一の板厚の板である。振動板108の板厚は、0.5μm以上200μm以下であることが望ましい。この範囲を下回ると、振動板108が損傷しやすくなるからであり、この範囲を上回ると、振動板108の剛性が高くなり圧電/電歪素子10の屈曲変位の変位量が減少する傾向があるからである。

0027

基体102は、例えば、絶縁セラミックスシート状に成形したグリーンシート圧着して焼成することにより作製する。

0028

なお、図2の圧電/電歪素子70の模式図に示すように、ベース板106及び振動板108と同様のベース板706及び振動板708の下にインク吐出孔738を形成したベース板704をさらに積層した構造を有する基体702を基体102に代えて用いることができる。

0029

{振動積層体110}
振動積層体110は、電極膜112、圧電/電歪体膜114、電極膜116、圧電/電歪体膜118及び電極膜120を列記した順序で下から上に積層した構造を有している。

0030

電極膜112,116,120は、導電体の膜である。導電体の種類は制限されないが、電気抵抗及び耐熱性の観点から、白金パラジウムロジウム、金若しくは銀等の金属又はこれらを主成分とする合金であることが望ましい。中でも、耐熱性に特に優れる白金又は白金を主成分とする合金であることが望ましい。

0031

電極膜112,116,120の膜厚は、0.1μm以上15μm以下であることが望ましい。この範囲を上回ると、電極膜112,116,120の剛性が高くなり、圧電/電歪素子10の屈曲変位の変位量が減少する傾向があり、この範囲を下回ると、電極膜112,116,120の電気抵抗が上昇する傾向があるからである。

0032

電極膜112,116,120は、導電材料分散媒に分散させたペーストや導電材料のレジネート溶媒に溶解させた溶液を塗布してから分散媒又は溶媒を除去し、得られた導電材料膜を焼成することにより形成してもよいし、導電材料を蒸着することにより形成してもよい。ペーストの塗布は、スクリーン印刷等により行うことができ、溶液の塗布は、スピンコート、吹きつけ等により行うことができる。導電材料の蒸着は、スパッタ蒸着抵抗加熱蒸着等により行うことができる。もちろん、これらの形成方法は一例にすぎず、他の形成方法を採用してもよい。

0033

圧電/電歪体膜114,118は、圧電/電歪体の膜である。圧電/電歪体の種類は制限されないが、電界誘起歪の観点から、鉛(Pb)系ペロブスカイト酸化物のセラミックスの焼成体であることが望ましく、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(ZrxTi1-x)O3)又は単純酸化物複合ペロブスカイト酸化物等を導入したチタン酸ジルコン酸鉛のセラミックスの焼成体であることがさらに望ましい。中でも、チタン酸ジルコン酸鉛とマグネシウムニオブ酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3)との固溶体酸化ニッケル(NiO)を導入したセラミックスの焼成体やチタン酸ジルコン酸鉛とニッケル酸ニオブ酸鉛(Pb(Ni1/3Nb2/3)O3)との固溶体のセラミックスの焼成体であることが望ましい。

0034

圧電/電歪体膜114,118の膜厚は、0.2μm以上50μm以下であることが望ましい。この範囲を下回ると、圧電/電歪体膜114,118の緻密化が不十分になる傾向があり、この範囲を上回ると、圧電/電歪体膜114,118の焼結時の収縮応力が大きくなるため振動板108の板厚を厚くする必要が生じるからである。

0035

圧電/電歪体膜114,118は、圧電/電歪材料を分散媒に分散させたペーストを塗布してから分散媒を除去し得られた圧電/電歪材料膜を焼成することにより形成する。ペーストの塗布は、スクリーン印刷等により行うことができる。また、圧電/電歪材料を分散媒に分散させたスラリー仕掛品を浸漬し圧電/電歪材料を電極膜に向かって電気泳動させ、得られた圧電/電歪材料膜を焼成することにより圧電/電歪体膜114,118を形成してもよい。もちろん、これらの形成方法は一例にすぎず、他の形成方法を採用してもよい。

0036

電極膜112と電極膜116とは、圧電/電歪体膜114を挟んで対向しており、電極膜116と電極膜120とは、圧電/電歪体膜118を挟んで対向している。なお、図1は、振動積層体110が2層の圧電/電歪体膜114,118を備える場合を示しているが、振動積層体が3層以上の圧電/電歪体膜を備えていてもよい。振動積層体が3層以上の圧電/電歪体膜を備える場合は、振動積層体は、圧電/電歪体膜と電極膜とを交互に積層した構造を有する。このとき、電極膜に挟まれておらず電界が印加されない不活性な圧電/電歪体膜が振動積層体の最下層又は最上層にあってもよい。また、振動積層体が備える圧電/電歪体膜が1層のみであり、当該圧電/電歪体膜の両主面に電極膜を形成した構造を振動積層体が有している場合であっても本発明を適用することは可能である。

0037

電極膜112の主要部は、基体102と圧電/電歪体膜114との間にあるが、電極膜112の端部はキャビティ136が形成されている領域の外側に引き出されて駆動信号給電部142となっている。また、電極膜116の主要部は、圧電/電歪体膜114と圧電/電歪体膜118との間にあるが、電極膜116の端部は圧電/電歪体膜114と圧電/電歪体膜118との間からキャビティ136が形成されている領域の外側に引き出されて駆動信号の給電部144となっている。電極膜112と電極膜120とは、圧電/電歪体膜114,118の端面に形成された電極膜122によって電気的に短絡されている。以下では、これらの電気的に短絡された電極膜112,120,122を外部電極膜132と呼び、外部電極膜132とは電気的に短絡されていない電極膜116を内部電極膜134と呼ぶ。

0038

{被膜128}
図3は、図1のA部を拡大した模式図である。図3に示すように、圧電/電歪体膜118には多数のマイクロクラックその他の欠陥(以下では、単に「欠陥」という)152が存在しており、そのうちの一部の欠陥(以下では、「表面露出欠陥」という)154は、振動積層体110の表面に露出するとともに、内部電極膜134に至っている。圧電/電歪素子10は、表面露出欠陥154を選択的に覆う被膜128を備える。もちろん、表面露出欠陥154の位置、大きさ、数等は個々の圧電/電歪素子10によって異なるので、被膜128の位置、大きさ、数等も個々の圧電/電歪素子10によって異なる。このような被膜128を振動積層体110の表面に形成すれば、表面露出欠陥154に水分が浸入して振動積層体110の表面と内部電極膜134とを結ぶ導電パスを形成することを防ぐことができるので、圧電/電歪素子10の耐湿性を向上することができる。また、振動積層体10の表面に選択的に被膜128を形成することができるので、被膜128による圧電/電歪素子10の圧電/電歪特性の劣化を抑制することができる。

0039

被膜128は、絶縁体の膜である。被膜128は、振動積層体110の表面に露出している表面露出欠陥154の上に被膜材料を電着して後処理を行うことにより形成する。

0040

{圧電/電歪素子10の動作}
このような構造により、給電部142と給電部144との間に駆動信号を給電し、圧電/電歪体膜114,118に電界を印加すると、圧電/電歪体膜114,118を積層方向と垂直な方向に伸縮させ、一体化された振動板108及び振動積層体110を屈曲させることができる。この屈曲により、圧電/電歪素子10は、キャビティ136の内部のインク押圧する。

0041

<1−2圧電/電歪素子10の製造方法>
図4は、第1実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法を説明するフローチャートである。また、図5は、第1実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法に使用する電着塗装装置160の模式図である。

0042

積層構造体100の作製}
図4に示すように、圧電素子の製造にあたっては、まず、基体102の上面に振動積層体110を固着した積層構造体100を作製する(ステップS101)。

0043

{欠陥の成長}
続いて、給電部142と給電部144との間に直流電圧を印加して圧電/電歪体膜114,118を分極するとともに(ステップS102)、給電部142と給電部144との間に駆動信号を供給して振動積層体110を駆動する(ステップS103)。電着塗料液164に積層構造体100を浸漬する前に分極及び駆動を行うことは必須ではないが、分極及び駆動を事前に行っておけば、後に発生する恐れのある欠陥を事前に成長させて被膜128で覆うことができるので、圧電/電歪素子10の耐湿性をより向上することができる。欠陥を事前に成長させる処理としては、分極及び駆動の両方を行うことが望ましいが、分極及び駆動のいずれか片方のみを行うことも妨げられない。また、分極及び駆動を行うことに代えて又は分極及び駆動を行うことに加えて、積層構造体100を低温高温とに交互に曝すヒートショック試験その他の処理を行ってもよい。この欠陥を成長させる処理は省略することもできる。

0044

{表面処理}
続いて、振動積層体110の表面に対する被膜128の密着性を向上する表面処理を振動積層体110に対して行う(ステップS104)。電着塗料液164に積層構造体100を浸漬する前にこの表面処理を行えば、振動積層体110の表面に対する被膜128の密着性を向上することができるので、圧電/電歪素子10の耐湿性をより向上することができる。振動積層体110の表面に対する被膜の密着性を向上する表面処理には、プラズマクリーニングにより振動積層体110の表面に付着している有機化合物を除去する処理、振動積層体110の表面に自己組織化膜を形成する処理等がある。なお、欠陥を成長させる処理を行う前に表面処理を行ってもよい。この表面処理は省略することもできる。

0045

{被膜材料の電着}
続いて、図5に示すように、振動積層体110とは別体の対向電極162と外部電極膜132とを電気的に短絡した状態で、被膜材料成分を含有する電着塗料液164に積層構造体100の全体及び対向電極162を浸漬し、振動積層体110及び対向電極162の表面に電着塗料液164を接触させる(ステップS105)。

0046

対向電極162は、白金を材質とする平板である。もちろん、対向電極162の材質を白金以外の金属としてもよい。対向電極162を平板とすることは必須ではなく、図6に示すような曲板である対向電極762や図7に示すような積層構造体100を内部に収容することができるコイルである対向電極862を対向電極162に代えて用いることができる。

0047

電着塗料液164には、被膜材料成分を溶媒に溶解させた溶液及び被膜材料成分を分散媒に分散させた分散液のいずれも使用することができる。電着塗料液164は、被膜材料成分が正に帯電しているカチオン型及び被膜材料成分が負に帯電しているアニオン型のいずれであってもよい。被膜材料の例としては、エポキシ樹脂ポリイミド樹脂ポリアミドイミド樹脂アクリル樹脂等の炭素系高分子化合物シリコーン樹脂等のケイ素系高分子化合物、表面に分散剤吸着させ帯電させたアルミナ等の酸化物のナノ粒子等を挙げることができる。溶媒又は分散媒の例としては、水等の無機溶媒、アルコール等の有機溶媒を挙げることができる。なお、電着塗料液164がブロック化イソシアネート等の硬化剤スズ化合物等の触媒を含んでいてもよい。

0048

積層構造体100及び対向電極162を電着塗料液164に浸漬した後に、内部電極膜134と対向電極162との間に電圧を印加し、表面露出欠陥154に向かって被膜材料成分を電気泳動させ、表面露出欠陥154の上に被膜材料を選択的に電着させる(ステップS106)。もちろん、電着塗料液164がカチオン型ならば、内部電極膜134を電源の負極に接続するとともに対向電極162を電源の正極に接続し、電着塗料液164がアニオン型ならば、内部電極膜134を電源の正極に接続するとともに対向電極162を電源の負極に接続する。表面露出欠陥154の上への選択的な電着が可能であるのは、表面露出欠陥154が導電パスとなって内部電極膜134と対向電極162との間に生じる電界が表面露出欠陥154から電着塗料液164の中に漏れ出し、漏れ出した電界により被膜材料成分が表面露出欠陥154に引き寄せられるからである。

0049

ここで、外部電極膜132は対向電極162と電気的に短絡され、外部電極膜132の電位は対向電極162の電位と等しくなっているので、主要部が積層構造体100の表面にあり電着塗料液162と接触していたとしても、外部電極膜132の表面には被膜材料が付着しにくくなっている。ただし、このことは、振動積層体110を構成する電極膜112,116,120,122の一部を対向電極162と電気的に短絡して対向電極162と同じ極に接続することを必須とするものではなく、電極膜112,116,120,122の全てをまとめて対向電極162とは逆の極に接続してもよい。

0050

表面露出欠陥154の上に被膜材料を電着した後に、積層構造体100及び対向電極162を電着塗料液164から引き上げて振動積層体110の表面から電着塗料液164を除去し(ステップS107)、積層構造体100を対向電極162から分離する(ステップS108)。

0051

{後処理}
続いて、対向電極162から分離された積層構造体100に後処理を行い、被膜材料の膜を最終的な被膜128にする(ステップS109)。後処理には、被膜材料の膜をより強固にする処理、被膜材料の膜をより緻密化する処理、被膜材料の膜を振動積層体110の表面により強力に定着させる処理、必要のない部分に付着した被膜材料を除去する処理等がある。例えば、被膜材料が樹脂ならば、加熱や光の照射によって重合反応を進行させることが望ましいし、被膜材料が酸化物のナノ粒子ならば、焼成により焼結させることが望ましい。また、外部電極膜132を対向電極162と電気的に短絡しなかったために対向電極132の表面に多量の被膜材料が付着したならば、機械研磨等によりそれを除去することが望ましい。

0052

<2 第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態に係る被膜材料の電着方法(ステップS105〜S108)に代えて採用することができる被膜材料の電着方法に関する。

0053

図8は、第2実施形態に係る被膜材料の電着方法を説明するフローチャートである。また、図9は、第2実施形態に係る被膜材料の電着方法に使用する電着塗装装置260の模式図である。

0054

第2実施形態に係る被膜材料の電着方法では、まず、図9に示すように、振動積層体110とは別体の対向電極262と外部電極膜132とを電気的に短絡した状態で、振動積層体110の上に電着塗料液264の液滴を形成するとともに液滴の上に対向電極262を設置し、振動積層体110及び対向電極262の表面に電着塗料液264を接触させる(ステップS201)。対向電極262及び電着塗料液264は、第1実施形態に係る被膜材料の電着方法で使用した対向電極162及び電着塗料液164と同様のものを使用することができる。このように積層構造体100の表面のうち被膜材料を電着させる必要がある部分のみに電着塗料液264を接触させるようにすれば、被膜128を形成する必要がない部分に被膜材料が付着することを抑制することができる。

0055

この後に、内部電極膜134と対向電極262との間に電圧を印加し、表面露出欠陥154に向かって被膜材料成分を電気泳動させ、表面露出欠陥154の上に被膜材料を選択的に電着させる(ステップS202)。表面露出欠陥154の上への選択的な電着が可能であるのは、表面露出欠陥154が導電パスとなって内部電極膜134と対向電極262との間に生じる電界が表面露出欠陥154から電着塗料液264の中に漏れ出し、漏れ出した電界により被膜材料成分が表面露出欠陥154に引き寄せられるからである。また、表面露出欠陥154の上に被膜材料を電着した後に、振動積層体110の表面から電着塗料液264を除去し(ステップS203)、積層構造体100を対向電極262から分離する(ステップS204)。

0056

<3 第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態に係る被膜材料の電着方法(ステップS105〜S108)に代えて採用することができる被膜材料の電着方法に関する。

0057

図10は、第3実施形態に係る被膜材料の電着方法を説明するフローチャートである。また、図11は、第3実施形態に係る被膜材料の電着方法に使用する電着塗装装置360の模式図である。

0058

第3実施形態に係る被膜材料の電着方法では、まず、振動積層体110の上に電着塗料液364の液滴を形成し、振動積層体110の表面に電着塗料液364を接触させる(ステップS301)。電着塗料液364は、第1実施形態に係る被膜材料の電着方法で使用した電着塗料液164と同様のものを使用することができる。このように積層構造体100の表面のうち被膜材料を電着させる必要がある部分のみに電着塗料液364を接触させるようにすれば、被膜128を形成する必要がない部分に被膜材料が付着することを抑制することができる。

0059

この後に、内部電極膜134と外部電極膜132との間に電圧を印加し、表面露出欠陥154に向かって被膜材料成分を電気泳動させ、表面露出欠陥154の上に被膜材料を選択的に電着させる(ステップS302)。表面露出欠陥154の上への選択的な電着が可能であるのは、表面露出欠陥154が導電パスとなって内部電極膜134と外部電極膜132との間に生じる電界が表面露出欠陥154から電着塗料液364の中に漏れ出し、漏れ出した電界により被膜材料成分が表面露出欠陥154に引き寄せられるからである。また、表面露出欠陥154の上に被膜材料を電着した後に、振動積層体110の表面から電着塗料液364を除去する(ステップS303)。

0060

<4 第4実施形態>
<4−1圧電/電歪素子40の構造>
図12は、本発明の第1実施形態〜第3実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法と同様の製造方法により製造される圧電/電歪素子40の模式図である。図12は、圧電/電歪素子40の断面図となっている。図12に示す圧電/電歪素子40は、インクジェットプリンタのヘッドに使用されるインク吐出用のアクチュエータの主要部となっている。

0061

図12に示すように、圧電/電歪素子40の振動積層体410は、圧電/電歪体膜412、電極膜414、圧電/電歪体膜416、電極膜418、圧電/電歪体膜420、電極膜422、圧電/電歪体膜424、電極膜426及び圧電/電歪体膜428を列記した順序で積層した構造を有している。なお、図12は、振動積層体410が5層の圧電/電歪体膜412,416,420,424,428を備える場合を示しているが、振動積層体が備える圧電/電歪体膜の層数増減してもよい。もちろん、振動積層体が備える圧電/電歪体膜が1層のみであり、当該圧電/電歪体膜の両主面に電極膜を形成した構造を振動積層体が有している場合であっても本発明を適用することは可能である。

0062

圧電/電歪体膜412,416,420,424,428及び電極膜410,414,418,422,426は、それぞれ、第1実施形態に係る圧電/電歪素子10の圧電/電歪体膜114,118及び電極膜112,116,120と同様の材料で同様の方法により形成することができる。

0063

電極膜414,422は、振動積層体410の一の側面に露出しており、当該一の側面に形成された電極膜430によって電気的に短絡されている。また、電極膜418,426は、振動積層体410の他の側面に露出しており、当該他の側面に形成された電極膜432によって電気的に短絡されている。電極膜430,432の一部は、駆動信号の給電部442,444となっている。

0064

図13は、図12のB部を拡大した模式図である。図13に示すように、振動積層体410を構成する圧電/電歪体膜418には欠陥452が存在しており、そのうちの一部の表面露出欠陥454は、振動積層体410の表面に露出するとともに、電極膜426に至っている。圧電/電歪素子40は、表面露出欠陥454を選択的に覆う被膜429を備える。もちろん、表面露出欠陥454の位置、大きさ、数等は個々の圧電/電歪素子40によって異なるので、被膜429の位置、大きさ、数等も個々の圧電/電歪素子40によって異なる。このような被膜429を振動積層体410の表面に形成すれば、表面露出欠陥454に水分が浸入して振動積層体410の表面と内部電極膜434とを結ぶ導電パスを形成することを防ぐことができるので、圧電/電歪素子40の耐湿性を向上することができる。

0065

被膜429は、絶縁体の膜である。被膜429は、振動積層体410の表面に露出している表面露出欠陥454の上に被膜材料を電着して後処理を行うことにより形成する。

0066

{圧電/電歪素子40の動作}
このような構造により、給電部442と給電部444との間に駆動信号を給電し、圧電/電歪体膜412,416,420,424,428に電界を印加すると、圧電/電歪体膜412,416,420,424,428を積層方向に伸縮させることができる。この伸縮により、圧電/電歪素子40はインクを押圧する。

0067

{圧電/電歪素子40の製造}
このような圧電/電歪素子40も、第1実施形態〜第3実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法と同様の製造方法により製造することができる。図14図16は、第1実施形態〜第3実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法と同様の製造方法により第4実施形態に係る圧電/電歪素子40を製造する場合に使用する電着塗装装置4602,4604,4606の模式図である。図14図16に示すように、第1実施形態〜第3実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法と同様の製造方法により圧電/電歪素子40を製造する場合、給電部442,444をそれぞれ圧電/電歪素子10の給電部142,144の代わりに用いる。

0068

<5 その他>
上述の説明では、アクチュエータを例として圧電/電歪素子の製造方法を説明したが、同様に製造方法により、センサ共振子等のアクチュエータ以外の圧電/電歪素子も製造することができ、表面露出欠陥を被膜で選択的に覆った圧電/電歪素子を得ることができる。ただし、アクチュエータの場合、圧電/電歪体膜の変形が大きく表面露出欠陥が生じやすいので、本発明の圧電/電歪素子の製造方法を適用した場合の耐湿性の向上の効果が特に大きい。

0069

{実施例1}
実施例1では、第1実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法により圧電/電歪素子10を製造した。ただし、実施例1では、ステップS104の表面処理は省略した。

0070

実施例1では、基体102は部分安定化酸化ジルコニウム、電極膜112,116は白金、電極膜120は金、圧電/電歪体膜114,118はチタン酸ジルコン酸鉛とニッケル酸ニオブ酸鉛との固溶体で構成した。また、電着塗料液164は水性のカチオン型とし、被膜材料成分にエポキシ樹脂を用いた。被膜材料を電着するときの電気泳動条件は、温度25℃、印加電圧400V、電圧印加時間20秒とした。さらに、後処理として、洗浄を行うとともに温度100℃で15分間予備乾燥を行った後に、紫外線を照射してエポキシ樹脂を硬化させた。これにより、膜厚が0.3μmの被膜128が形成された。

0071

得られた圧電/電歪素子10について、温度40℃、湿度55%の常湿条件において振動積層体110を駆動してレーザドップラー変位計で屈曲変位の変位量を測定するとともに絶縁抵抗計絶縁抵抗を測定し、その後に、温度40℃、湿度85%の高湿条件において同様にして屈曲変位の変位量及び絶縁抵抗を測定し、試験合格率を調べた。その結果を図17に示す。

0072

{実施例2}
実施例2では、第1実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法と同様の製造方法により圧電/電歪素子40を製造した。ただし、実施例2では、ステップS104の表面処理は省略し、電極膜430,432のいずれも対向電極162には接続せず、まとめて電源の正極に接続した。

0073

実施例2では、電極膜412,416,420,424,428は銀とパラジウムとの合金、圧電/電歪体膜412,416,420,424,428はチタン酸ジルコン酸鉛とニッケル酸ニオブ酸鉛との固溶体で構成した。また、電着塗料液164は水性のアニオン型とし、被膜材料成分にポリイミド樹脂を用いた。被膜材料を電着するときの電気泳動条件は、温度25℃、印加電圧400V、電圧印加時間20秒とし、後処理として、洗浄を行うととともに温度100℃で15分間予備乾燥を行った後に、温度210℃で30分間加熱しポリイミド樹脂を硬化させた。これにより、膜厚が0.3μmの被膜429が形成された。加えて、実施例2では、電極膜430,432の表面に付着した被膜材料を機械研磨により除去する作業を被膜429の形成後に行った。

0074

得られた圧電/電歪素子40について、実施例1と同様にして、屈曲変位の変位量及び絶縁抵抗を測定し、試験合格率を調べた。その結果を図17に示す。

0075

{実施例3}
実施例3では、被膜材料成分にカルボン酸系の分散剤を用いて負に帯電させたアルミナナノ粉末を用い、後処理として、電気炉中で温度900℃で2時間焼成することによりアルミナナノ粒子を焼結させたことを除いては、実施例1と同様にして圧電/電歪素子10を製造した。これにより、膜厚が0.2μmの被膜128が形成された。

0076

得られた圧電/電歪素子10について、実施例1と同様にして、屈曲変位の変位量及び絶縁抵抗を測定し、試験合格率を調べた。その結果を図17に示す。

0077

{実施例4}
実施例3では、被膜材料成分にシリカ微粒子及びメチル基含有シロキサンオリゴマーを用い、後処理として、温度120℃で15分間熱処理して被膜材料の膜をゲル化させたこと及びステップS104の表面処理を省略しなかったことを除いては、実施例1と同様にして圧電/電歪素子10を製造した。これにより、ゲル膜の中にシリカ微粒子が分散した被膜128が形成された。

0078

得られた圧電/電歪素子10について、実施例1と同様にして、屈曲変位の変位量及び絶縁抵抗を測定し、試験合格率を調べた。その結果を図17に示す。

0079

{比較例1}
ステップS103,S105〜S109の処理を省略した点を除いては実施例1と同様にして圧電/電歪素子を製造した。

0080

得られた圧電/電歪素子について、実施例1と同様にして、屈曲変位の変位量及び絶縁抵抗を測定し、試験合格率を調べた。その結果を図17に示す。

0081

{比較例2}
ステップS103,S105〜S109の処理を省略した点を除いては実施例2と同様にして圧電/電歪素子を製造した。

0082

得られた圧電/電歪素子について、実施例1と同様にして、屈曲変位の変位量及び絶縁抵抗を測定し、試験合格率を調べた。その結果を図17に示す。

0083

{実施例及び比較例の対比}
図17に示すように、常温条件においては、本発明の範囲内の実施例1〜4及び本発明の範囲外の比較例1〜2のいずれでも屈曲変位の変位量及び絶縁抵抗の合格率は良好であるが、高温条件においては、本発明の範囲内の実施例1〜4では屈曲変位の変位量及び絶縁抵抗の合格率は良好であるが、高温条件においては不良である。

0084

この発明は詳細に説明されたが、上述した説明は、全ての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。特に、第1実施形態〜第4実施形態において説明したことを組み合わせて使用することは当然に予定されている。

図面の簡単な説明

0085

第1実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法により製造される圧電/電歪素子の断面図である。
別例に係る圧電/電歪素子の断面図である。
図1のA部を拡大した模式図である。
第1実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法を説明するフローチャートである。
第1実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法に使用する電着塗装装置の模式図である。
別例に係る電着塗装装置の模式図である。
別例に係る電着塗装装置の模式図である。
第2実施形態に係る被膜材料の電着方法を説明するフローチャートである。
第2実施形態に係る被膜材料の電着方法に使用する電着塗装装置の模式図である。
第3実施形態に係る被膜材料の電着方法を説明するフローチャートである。
第3実施形態に係る被膜材料の電着方法に使用する電着塗装装置の模式図である。
第1実施形態〜第3実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法と同様の製造方法により製造される圧電/電歪素子の断面図である。
図12のB部を拡大した模式図である。
第1実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法と同様の製造方法により第4実施形態に係る圧電/電歪素子を製造する場合に使用する電着塗装装置の模式図である。
第2実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法と同様の製造方法により第4実施形態に係る圧電/電歪素子を製造する場合に使用する電着塗装装置の模式図である。
第3実施形態に係る圧電/電歪素子の製造方法と同様の製造方法により第4実施形態に係る圧電/電歪素子を製造する場合に使用する電着塗装装置の模式図である。
屈曲変位の変位量及び絶縁抵抗の試験合格率を示す図である。

符号の説明

0086

10,40圧電/電歪素子
110,410振動積層体
112,116,120,410,414,418,422,426電極膜
128,429被膜
154,454 表面露出欠陥

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