図面 (/)

技術 偏光状態変換方法、偏光状態変換装置並びに液晶ディスプレイ

出願人 株式会社エンプラス
発明者 冨塚功
出願日 2008年2月14日 (13年10ヶ月経過) 出願番号 2008-033494
公開日 2009年8月27日 (12年4ヶ月経過) 公開番号 2009-192825
状態 特許登録済
技術分野 液晶4(光学部材との組合せ) 偏光要素 液晶4(光学部材との組合せ)
主要キーワード 二次変換 修正部材 配向角度θ 重ね合わせの原理 基本配置 偏波ベクトル 度程度傾斜 空白エリア
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年8月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (13)

課題

2枚の位相差板配向方向を選択することで、入力光中に含まれる完全偏光を所望の目標偏光状態の完全偏光に変換して出力する。

解決手段

位相差板1、2を平行に配置し、初期偏光状態SAを含む光(例えば導光板上のプリズムシートからの出力光)を光を位相差板1に垂直入射させ、位相差板1、2の順で通過させることで、目標とする最終偏光状態SB(例えば液晶表示パネル入射させる45度水平直線偏光)を含む光を得る。位相差板1、2には、位相差付与能力Δ1,Δ2の和Δ1+Δ2がπ以上で、且つ、Δ1,Δ2の少なくとも一方はπ/2に等しいいものを使用する。位相差板1、2の配向方向を表わす角度θ1, θ2のセットをSB=R(Δ2,θ1)R(Δ1,θ1)を満たすように選ぶ。

概要

背景

光には、「偏りのない光」(無偏光)と、「何らかの偏りのある光」(偏光)があることは良く知られていることであり、自然光は前者の代表例である。後者は、「何らかの偏りのある光」であり、一般には「無偏光」と「完全偏光」を合成した(重ね合わせた)光と考えることができる。但し、「無偏光」の成分がゼロの場合(完全偏光のみ)もあり得る。また、「完全偏光」には、直線偏光円偏光楕円偏光の3種類があることや、直線偏光と円偏光は楕円偏光の特殊なケースとして扱い得ることなども周知の事項である。

一方、光学応用分野では、ある特定の偏光状態の完全偏光を多く含む光を効率的に生成したいというニーズが存在する。その代表例が、面光源装置を用いて液晶ディスプレイ液晶表示パネル照明する場合である。この場合、「液晶表示パネルの光入力側に配置される偏光板(以下、「光入力側偏光板」とも云う)の透過軸方向に一致した偏り方向を持つ直線偏光」(あるいはそれに近い楕円偏光;以下、同様)を多く含んだ照明光を生成することが望まれる。

多くの場合、面光源装置の出射面は矩形であり、液晶表示パネルの光入力側偏光板の透過軸方向はその矩形の各辺に対して45度傾斜した方向に設定されている。その場合、その45度傾斜した方向に平行な偏り方向を持つ直線偏光をできるだけ多く含んだ照明光が液晶表示パネルに供給されることが望まれることになる。

一方、液晶ディスプレイの照明手段として多用されている面光源装置では、導光板側端部に設けられた入射面から導入した光を出射面から出射させ、この出射光の進行方向(通常、入射面から離れる側に65度〜75度程度傾斜)を、プリズムシート(光進行方向修正手段)を用いて出射面の正面方向に修正した上で液晶表示パネルに供給している。

ここで、導光板の入射面から導入される光(一次光)は、通常、冷陰極管あるいはLEDの光であり、実質的に「偏りの無い光(偏光度ゼロの光)」であるが、周知の通り、指向性の強い光を出射する導光板の出射面からの出射光(斜め出射光)はかなりの偏りを有している。この斜め出射光を、無偏光と完全偏光に分けて考えた時、完全偏光の偏光状態は、直線偏光あるいはそれに近い楕円偏光となっている。プリズムシートによる方向修正を行った後の光では、その偏光状態が若干変化するが、直線偏光あるいはそれに近い楕円偏光であることに変わりはない。なお、プリズムシートを通ることにより偏光状態変化する1つの原因は、その材料、特にそのベースシートの部分に使用される樹脂材料複屈折性を有していることにある。

ところで、プリズムシートによる方向修正後の光に含まれる完全偏光が、直線偏光、あるいはそれに近い楕円偏光のいずれであっても、その偏り方向(楕円偏光の場合はその長軸の方向)が上記した典型ケース「45度」とかなり相違することが通例で、「一致あるいは略一致」するケースはまれである。また、仮に略一致する場合であっても、楕円偏光である場合にはその楕円率(定義は後述)の大きさに応じて、上記した「45度」の透過軸適合しなくなる。

このような状況から、殆どの場合、プリズムシートによる方向修正後の光(以下、「正面照明光」とも云う)に含まれる完全偏光は、「光入力側偏光板の透過軸方向に一致した偏り方向を持つ直線偏光」にはなっていない。そのため、この完全偏光の内の無視できない部分が光入力側偏光板でブロックされ、無駄となる(液晶表示パネルによる表示作用に寄与できない)。なお、正面照明光に含まれる「偏りの無い光」(無偏光)については、原理的に考えて判るように、その光量(光エネルギ)の略50%が光入力側偏光板を透過し、液晶表示パネルによる表示作用に寄与する(残りの略50%は光入力側偏光板を透過できない)。

従って、トータルで考えた場合、正面光に含まれる完全偏光を、入力側偏光板を透過し易いように修正することができれば、光入力側偏光板でブロックされる光量を減らし、全体として、光の利用効率を向上させることが可能になる。
この考え方に基づいていくつかの提案が既になされている。その1つが、下記特許文献1に開示されている。即ち、同特許文献1では、偏向シート7(プリズムシート)から略正面方向に出射された光(正面照明光)を偏光変換シート6を介して液晶表示パネルの偏光板8(入力側偏光板)に供給する構成が示されている。

偏光変換シート6の実体は、一枚の位相差板(2分の1波長板あるいは4分の1波長板)であり、位相差板の配向方向(進相軸の方向)を、偏光板8(入力側偏光板)の透過率が最大になるように調節することが説明されている。
この例が示すように、1枚の4分の1波長板あるいは2分の1波長板を通すことで、配向方向に応じた偏光状態の制御が可能であることは確かである。しかし、このような1枚の4分の1波長板あるいは1枚の2分の1波長板を使用する方法では、偏光状態の変換内容を制御するために自由に調整乃至選択できるのは、「位相差板の配向」のみであるために、変換前後の偏光状態の関係の多様性に対して柔軟に対応することができない。このことについてやや詳しく説明すれば次のようになる。

先ず、上記の液晶ディスプレイの例のように、位相差板による偏光状態の変換が望まれるケースにおいては、「変換前の偏光状態」(位相差板への入力光の完全偏光成分の変換前の偏光状態)を自由に選ぶことはできず、且つ、その偏光状態が一種類とは限らないということがある。上記した液晶ディスプレイの例で云えば、位相差板への入力光は、プリズムシートの出力光であるが、この出力光の完全偏光成分の偏光状態は、概ね導光板の種類とプリズムシートの種類の組み合わせで決まっており、自由に選ぶことは事実上困難である。また、導光板の種類とプリズムシートの種類の組み合わせが変われば変化する。

一方、「変換後の偏光状態」(位相差板からの出力光の完全偏光成分の変換後の偏光状態)は、一般に「希望する偏光状態」が状況に応じて設定されるのが一般的である。なお、本明細書ではこのように設定される偏光変換後の偏光状態を「目標偏光状態」と云うことにする。
上記した液晶ディスプレイの例で設定される1つの典型的な目標偏光状態は、「矩形の導光板の各辺の延在方向に対して45度傾斜した方向に平行な偏り方向を持つ直線偏光」である。ここで、「45度の傾斜」には、液晶表示パネル側から見て左回り(+45度傾斜)と、右回り(−45度傾斜)とがある。また、入力側偏光板の配向によっては、他の目標偏光状態が設定されることもあり得る。

このように、偏光状態変換前後の偏光状態の関係にはかなりの多様性が想定されるところであり、そのような多様性に柔軟に対応できる偏光変換の技術が求められる訳であるが、上記した1枚の4分の1波長板あるいは1枚の2分の1波長板を使用した従来技術はこの要望応えることができない。先ず、1枚の4分の1波長板を使用する手法では、「位相差板への入力光の完全偏光成分の偏光状態(以下、「入力偏光状態」と云う)が与えられた時に、「位相差板からの出力光の完全偏光成分の偏光状態(以下、「出力偏光状態」と云う)について実現可能な範囲に大きな制約が、位相差付与能力が小さいこと(π未満)に起因して原理的に存在する(理由は後述)。また、既述のように、自由に調整可能なのが、「1枚の位相差板の配向方向」だけであることも、「出力偏光状態」と「入力偏光状態」の関係に制約が生じる。

次に、1枚の2分の1波長板を使用する手法では、4分の1波長板の場合のように、位相差付与能力が小さいことに起因する制約は生じないが(理由は後述)、自由に調整乃至選択できるのが「1枚の位相差板の配向方向」だけであることから、「出力偏光状態」と「入力偏光状態」の関係に制約が生じる。つまり、4分の1波長板、2分の1波長板のいずれであっても、自由に調整乃至選択できるのが「1枚の位相差板の配向方向のみ」(位相差付与能力は固定)という状況下では、「任意に設定された目標偏光状態を与えられた入力偏光状態から生成する」という一般性は得られない。

後述するように、何らかの偏りを持つ任意の入力光の偏光度(定義は後述)を維持しつつ、そこに含まれる完全偏光が所望する「目標偏光状態の完全偏光」に変換された出力光とするには、一般に、位相差付与能力の合計がπ(2分の1波長に対応する位相差)以上となる2枚の位相差板が必要であり、且つ、それら位相差板の位相差Δと配向θについて、入力偏光状態と目標偏光状態(出力偏光状態)に応じた「特定の関係」が満たされなければならない。しかし、下記特許文献1には、「2枚の位相差板の使用」についての言及はなく、その当然の結果として、上記「特定の関係」に関する記述も無い。

なお、この他に、入力側偏光板の透過率を向上させる技術として、下記特許文献2に記載された手法がある。この手法は、延伸成形によって製造されるプリズムシートのベースフィルム切り出し母材(大サイズのシート)の持つ旋光特性が、場所によって異なることを利用して、最善の旋光特性を持つ部分から切り出したベースフィルムを採用して、入力側偏光板の透過軸方向に整合した偏り方向の光を得ようとするものである。この手法により、大まかな偏光状態制御は可能であるが、特許文献1と同様、多様な偏光状態をとり得る入力光中の完全偏光を、所望する目標偏光状態の完全偏光に変換する汎用的な方法を提供するものではない。

なお、液晶ディスプレイの分野以外の光学分野一般に範囲を広げても、偏光度がゼロでない任意の入力光に含まれる完全偏光の偏光状態を、入力光が持っている偏光度を維持しつつ、別の目標とする偏光状態に変換して出力光とするといった高い汎用度を持つ偏光制御技術の開示例は見いだせない。

特開2006−39056号公報
特開2001−166302号公報

概要

2枚の位相差板の配向方向を選択することで、入力光中に含まれる完全偏光を所望の目標偏光状態の完全偏光に変換して出力する。位相差板1、2を平行に配置し、初期偏光状態SAを含む光(例えば導光板上のプリズムシートからの出力光)を光を位相差板1に垂直入射させ、位相差板1、2の順で通過させることで、目標とする最終偏光状態SB(例えば液晶表示パネルへ入射させる45度水平直線偏光)を含む光を得る。位相差板1、2には、位相差付与能力Δ1,Δ2の和Δ1+Δ2がπ以上で、且つ、Δ1,Δ2の少なくとも一方はπ/2に等しいいものを使用する。位相差板1、2の配向方向を表わす角度θ1, θ2のセットをSB=R(Δ2,θ1)R(Δ1,θ1)を満たすように選ぶ。

目的

本発明の1つの目的は、偏光度がゼロでない任意の入力光について、偏光度を維持しつつ、そこに含まれる完全偏光の偏光状態を別の目標とする偏光状態に変換して出力光とする方法及び装置を提供することにある。また、本発明のもう1つの目的は、同装置を用いて、光の利用効率に優れた液晶ディスプレイを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

初期入力偏光状態Aの完全偏光無偏光からなり、且つ、偏光度がゼロでない入力光を、目標偏光状態として予め定められ、前記初期入力偏光状態Aと異なる最終偏光状態Bの完全偏光と、無偏光とからなる出力光に変換する、偏光状態変換方法であって;前記入力光を第1の位相差板に対して垂直に入力して該第1の位相差板を通過させることにより、一次変換光を生成する第1の段階と、前記一次変換光を第2の位相差板に対して垂直に入力して該第2の位相差板を通過させることにより、二次変換光を生成する第2の段階からなり、前記第1の位相差板の位相差付与能力をΔ1とし、前記第2の位相差板の位相差付与能力をΔ2とした時、Δ1+Δ2≧πであり、且つ、Δ1及びΔ2の内、少なくとも一方の値はπ/2に等しく、更に、前記初期入力偏光状態Aを1組のストークスパラメータを4成分とし、規格化されたベクトルをSA、前記最終偏光状態Bを別の1組のストークスパラメータを4成分とし、規格化されたベクトルをSBで各々表わすとともに、前記第1の位相差板の偏光変換作用を表現するミュラーマトリックスをR(Δ1,θ1)[但し、θ1は前記第1の位相差板の厚さ方向に垂直な平面内における前記第1の位相差板の第1の配向方向を表わす角度]とし、前記第2の位相差板の偏光変換作用を表現するミュラーマトリックスをR(Δ2,θ2)[但し、θ2は前記第2の位相差板の厚さ方向に垂直な平面内における前記第2の位相差板の第2の配向方向を表わす角度]とした時、(i)Δ1で表わされる前記第1の位相差付与能力、(ii)θ1で表わされる前記第1の配向方向、(iii)Δ2で表わされる前記第2の位相差付与能力、及び、(iv)θ2で表わされる前記第2の配向方向の組み合わせが、関係式、R(Δ2,θ2){R(Δ1,θ1)SA}=SBを満たすように、前記第1の配向方向及び前記第2の配向方向が定められており、それにより、前記二次変換光に含まれる完全偏光の偏光状態が前記最終偏光状態Bに一致していることを特徴とする、前記偏光状態変換方法。

請求項2

前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板のいずれも4分の1波長板であることを特徴とする、請求項1に記載の偏光状態変換方法。

請求項3

前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板の内の一方は、2分の1波長板であることを特徴とする、請求項1に記載の偏光状態変換方法。

請求項4

前記第1の配向方向と前記第2の配向方向が互いに異なっていることを特徴とする、請求項1〜請求項3の内のいずれか1項に記載の偏光状態変換方法。

請求項5

前記入力光が、導光板出射面から斜め出射され、次いで、出射面の正面方向に進行方修正された光であり、前記出力光が、光入力側に配置された偏光板を含む液晶表示パネルに供給され、前記最終偏光状態Bは、前記出力光に含まれる直線偏光成分偏り方向が、前記偏光板の透過軸方向と平行となるように定められていることを特徴とする、請求項4に記載の偏光状態変換方法。

請求項6

初期入力偏光状態Aの完全偏光と無偏光からなり、且つ、偏光度がゼロでない入力光を、目標偏光状態として予め定められ、前記初期入力偏光状態Aと異なる最終偏光状態Bの完全偏光と、無偏光とからなる出力光に変換する、偏光状態変換装置であって;互いに平行に配置された第1の位相差板及び第2の位相差板を備え、前記第1の位相差板は、前記入力光を前記第1の位相差板に対して垂直に入力させ、一次変換光を出力するように配置され、前記第2の位相差板は、前記第1の位相差板によって出力された前記一次変換光を前記第2の位相差板に対して垂直に入力させ、二次変換光を出力するように配置されており、前記第1の位相差板の位相差付与能力をΔ1とし、前記第2の位相差板の位相差付与能力をΔ2とした時、Δ1+Δ2≧πであり、且つ、Δ1及びΔ2の内、少なくとも一方の値はπ/2に等しく、更に、前記初期入力偏光状態Aを1組のストークスパラメータを4成分とし、規格化されたベクトルをSA、前記最終偏光状態Bを別の1組のストークスパラメータを4成分とし、規格化されたベクトルをSBで各々表わすとともに、前記第1の位相差板の偏光変換作用を表現するミュラーマトリックスをR(Δ1,θ1)[但し、θ1は前記第1の位相差板の厚さ方向に垂直な平面内における前記第1の位相差板の第1の配向方向を表わす角度]とし、前記第2の位相差板の偏光変換作用を表現するミュラーマトリックスをR(Δ2,θ2)[但し、θ2は前記第2の位相差板の厚さ方向に垂直な平面内における前記第2の位相差板の第2の配向方向を表わす角度]とした時、(i)Δ1で表わされる前記第1の位相差付与能力、(ii)θ1で表わされる前記第1の配向方向、(iii)Δ2で表わされる前記第2の位相差付与能力、及び、(iv)θ2で表わされる前記第2の配向方向の組み合わせが、関係式、R(Δ2,θ2){R(Δ1,θ1)SA}=SBを満たすように前記第1の配向方向及び前記第2の配向方向が定められており、それにより、前記二次変換光に含まれる完全偏光の偏光状態が前記最終偏光状態Bに一致していることを特徴とする、前記偏光状態変換装置。

請求項7

前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板のいずれも4分の1波長板であることを特徴とする、請求項6に記載の偏光状態変換装置。

請求項8

前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板の内の一方は、2分の1波長板であることを特徴とする、請求項6に記載の偏光状態変換装置。

請求項9

前記第1の配向方向と前記第2の配向方向が互いに異なっていることを特徴とする、請求項6〜請求項8の内のいずれか1項に記載の偏光状態変換装置。

請求項10

面光源装置と、偏光状態変換装置と、光入力側に配置された偏光板を含む液晶表示パネルとを備えた液晶ディスプレイであって;前記面光源装置は、入射面及び出射面を有する導光板と、前記入射面を通して前記導光板に一次光を供給する一次光源と、前記入射面に沿って配置され、前記出射面から斜め出射された出射光の進行方向を前記出射面の正面方向に修正する進行方向修正部材とを備え、前記偏光状態変換装置は、請求項9に記載された偏光状態変換装置であり、且つ、前記進行方向修正部材によって進行方向を前記正面方向に修正された、前記出射面からの出射光を、前記入力光として前記第1の位相差板に入力させるように配置されており、前記出力光が、光入力側に配置された偏光板を含む液晶表示パネルに供給され、前記最終偏光状態Bは、前記偏光板の透過軸方向と平行な偏り方向を持つ直線偏光を表わすように定められていることを特徴とする、前記液晶ディスプレイ。

請求項11

前記導光板の前記出射面は矩形であり、前記偏光板の透過軸方位が前記矩形の各辺の延在方向に対して45度の角度をなしていることを特徴とする、請求項10に記載の液晶ディスプレイ。

請求項12

前記第1の位相差板が、前記進行方向修正部材と一体化されていることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の液晶ディスプレイ。

請求項13

前記二次変換光を拡散する光拡散部材が前記偏光板の光入力側に配置されていることを特徴とする、請求項10〜請求項12の内、いずれか1項に記載の液晶ディスプレイ。

請求項14

前記第2の位相差板が、前記光拡散部材と一体化されていることを特徴とする、請求項13に記載の液晶ディスプレイ。

技術分野

0001

本発明は、偏光状態変換方法、偏光状態変換装置、並びに同偏光状態変換装置を用いた液晶表示装置に関し、更に詳しく言えば、任意の偏光状態初期入力偏光状態)にある光を、2枚の位相差板を利用して、所望の別の偏光状態(最終偏光状態)の光に変換する方法と装置、並びに、同装置を用いた液晶表示装置に関する。

背景技術

0002

光には、「偏りのない光」(無偏光)と、「何らかの偏りのある光」(偏光)があることは良く知られていることであり、自然光は前者の代表例である。後者は、「何らかの偏りのある光」であり、一般には「無偏光」と「完全偏光」を合成した(重ね合わせた)光と考えることができる。但し、「無偏光」の成分がゼロの場合(完全偏光のみ)もあり得る。また、「完全偏光」には、直線偏光円偏光楕円偏光の3種類があることや、直線偏光と円偏光は楕円偏光の特殊なケースとして扱い得ることなども周知の事項である。

0003

一方、光学応用分野では、ある特定の偏光状態の完全偏光を多く含む光を効率的に生成したいというニーズが存在する。その代表例が、面光源装置を用いて液晶ディスプレイ液晶表示パネル照明する場合である。この場合、「液晶表示パネルの光入力側に配置される偏光板(以下、「光入力側偏光板」とも云う)の透過軸方向に一致した偏り方向を持つ直線偏光」(あるいはそれに近い楕円偏光;以下、同様)を多く含んだ照明光を生成することが望まれる。

0004

多くの場合、面光源装置の出射面は矩形であり、液晶表示パネルの光入力側偏光板の透過軸方向はその矩形の各辺に対して45度傾斜した方向に設定されている。その場合、その45度傾斜した方向に平行な偏り方向を持つ直線偏光をできるだけ多く含んだ照明光が液晶表示パネルに供給されることが望まれることになる。

0005

一方、液晶ディスプレイの照明手段として多用されている面光源装置では、導光板側端部に設けられた入射面から導入した光を出射面から出射させ、この出射光の進行方向(通常、入射面から離れる側に65度〜75度程度傾斜)を、プリズムシート(光進行方向修正手段)を用いて出射面の正面方向に修正した上で液晶表示パネルに供給している。

0006

ここで、導光板の入射面から導入される光(一次光)は、通常、冷陰極管あるいはLEDの光であり、実質的に「偏りの無い光(偏光度ゼロの光)」であるが、周知の通り、指向性の強い光を出射する導光板の出射面からの出射光(斜め出射光)はかなりの偏りを有している。この斜め出射光を、無偏光と完全偏光に分けて考えた時、完全偏光の偏光状態は、直線偏光あるいはそれに近い楕円偏光となっている。プリズムシートによる方向修正を行った後の光では、その偏光状態が若干変化するが、直線偏光あるいはそれに近い楕円偏光であることに変わりはない。なお、プリズムシートを通ることにより偏光状態変化する1つの原因は、その材料、特にそのベースシートの部分に使用される樹脂材料複屈折性を有していることにある。

0007

ところで、プリズムシートによる方向修正後の光に含まれる完全偏光が、直線偏光、あるいはそれに近い楕円偏光のいずれであっても、その偏り方向(楕円偏光の場合はその長軸の方向)が上記した典型ケース「45度」とかなり相違することが通例で、「一致あるいは略一致」するケースはまれである。また、仮に略一致する場合であっても、楕円偏光である場合にはその楕円率(定義は後述)の大きさに応じて、上記した「45度」の透過軸適合しなくなる。

0008

このような状況から、殆どの場合、プリズムシートによる方向修正後の光(以下、「正面照明光」とも云う)に含まれる完全偏光は、「光入力側偏光板の透過軸方向に一致した偏り方向を持つ直線偏光」にはなっていない。そのため、この完全偏光の内の無視できない部分が光入力側偏光板でブロックされ、無駄となる(液晶表示パネルによる表示作用に寄与できない)。なお、正面照明光に含まれる「偏りの無い光」(無偏光)については、原理的に考えて判るように、その光量(光エネルギ)の略50%が光入力側偏光板を透過し、液晶表示パネルによる表示作用に寄与する(残りの略50%は光入力側偏光板を透過できない)。

0009

従って、トータルで考えた場合、正面光に含まれる完全偏光を、入力側偏光板を透過し易いように修正することができれば、光入力側偏光板でブロックされる光量を減らし、全体として、光の利用効率を向上させることが可能になる。
この考え方に基づいていくつかの提案が既になされている。その1つが、下記特許文献1に開示されている。即ち、同特許文献1では、偏向シート7(プリズムシート)から略正面方向に出射された光(正面照明光)を偏光変換シート6を介して液晶表示パネルの偏光板8(入力側偏光板)に供給する構成が示されている。

0010

偏光変換シート6の実体は、一枚の位相差板(2分の1波長板あるいは4分の1波長板)であり、位相差板の配向方向(進相軸の方向)を、偏光板8(入力側偏光板)の透過率が最大になるように調節することが説明されている。
この例が示すように、1枚の4分の1波長板あるいは2分の1波長板を通すことで、配向方向に応じた偏光状態の制御が可能であることは確かである。しかし、このような1枚の4分の1波長板あるいは1枚の2分の1波長板を使用する方法では、偏光状態の変換内容を制御するために自由に調整乃至選択できるのは、「位相差板の配向」のみであるために、変換前後の偏光状態の関係の多様性に対して柔軟に対応することができない。このことについてやや詳しく説明すれば次のようになる。

0011

先ず、上記の液晶ディスプレイの例のように、位相差板による偏光状態の変換が望まれるケースにおいては、「変換前の偏光状態」(位相差板への入力光の完全偏光成分の変換前の偏光状態)を自由に選ぶことはできず、且つ、その偏光状態が一種類とは限らないということがある。上記した液晶ディスプレイの例で云えば、位相差板への入力光は、プリズムシートの出力光であるが、この出力光の完全偏光成分の偏光状態は、概ね導光板の種類とプリズムシートの種類の組み合わせで決まっており、自由に選ぶことは事実上困難である。また、導光板の種類とプリズムシートの種類の組み合わせが変われば変化する。

0012

一方、「変換後の偏光状態」(位相差板からの出力光の完全偏光成分の変換後の偏光状態)は、一般に「希望する偏光状態」が状況に応じて設定されるのが一般的である。なお、本明細書ではこのように設定される偏光変換後の偏光状態を「目標偏光状態」と云うことにする。
上記した液晶ディスプレイの例で設定される1つの典型的な目標偏光状態は、「矩形の導光板の各辺の延在方向に対して45度傾斜した方向に平行な偏り方向を持つ直線偏光」である。ここで、「45度の傾斜」には、液晶表示パネル側から見て左回り(+45度傾斜)と、右回り(−45度傾斜)とがある。また、入力側偏光板の配向によっては、他の目標偏光状態が設定されることもあり得る。

0013

このように、偏光状態変換前後の偏光状態の関係にはかなりの多様性が想定されるところであり、そのような多様性に柔軟に対応できる偏光変換の技術が求められる訳であるが、上記した1枚の4分の1波長板あるいは1枚の2分の1波長板を使用した従来技術はこの要望応えることができない。先ず、1枚の4分の1波長板を使用する手法では、「位相差板への入力光の完全偏光成分の偏光状態(以下、「入力偏光状態」と云う)が与えられた時に、「位相差板からの出力光の完全偏光成分の偏光状態(以下、「出力偏光状態」と云う)について実現可能な範囲に大きな制約が、位相差付与能力が小さいこと(π未満)に起因して原理的に存在する(理由は後述)。また、既述のように、自由に調整可能なのが、「1枚の位相差板の配向方向」だけであることも、「出力偏光状態」と「入力偏光状態」の関係に制約が生じる。

0014

次に、1枚の2分の1波長板を使用する手法では、4分の1波長板の場合のように、位相差付与能力が小さいことに起因する制約は生じないが(理由は後述)、自由に調整乃至選択できるのが「1枚の位相差板の配向方向」だけであることから、「出力偏光状態」と「入力偏光状態」の関係に制約が生じる。つまり、4分の1波長板、2分の1波長板のいずれであっても、自由に調整乃至選択できるのが「1枚の位相差板の配向方向のみ」(位相差付与能力は固定)という状況下では、「任意に設定された目標偏光状態を与えられた入力偏光状態から生成する」という一般性は得られない。

0015

後述するように、何らかの偏りを持つ任意の入力光の偏光度(定義は後述)を維持しつつ、そこに含まれる完全偏光が所望する「目標偏光状態の完全偏光」に変換された出力光とするには、一般に、位相差付与能力の合計がπ(2分の1波長に対応する位相差)以上となる2枚の位相差板が必要であり、且つ、それら位相差板の位相差Δと配向θについて、入力偏光状態と目標偏光状態(出力偏光状態)に応じた「特定の関係」が満たされなければならない。しかし、下記特許文献1には、「2枚の位相差板の使用」についての言及はなく、その当然の結果として、上記「特定の関係」に関する記述も無い。

0016

なお、この他に、入力側偏光板の透過率を向上させる技術として、下記特許文献2に記載された手法がある。この手法は、延伸成形によって製造されるプリズムシートのベースフィルム切り出し母材(大サイズのシート)の持つ旋光特性が、場所によって異なることを利用して、最善の旋光特性を持つ部分から切り出したベースフィルムを採用して、入力側偏光板の透過軸方向に整合した偏り方向の光を得ようとするものである。この手法により、大まかな偏光状態制御は可能であるが、特許文献1と同様、多様な偏光状態をとり得る入力光中の完全偏光を、所望する目標偏光状態の完全偏光に変換する汎用的な方法を提供するものではない。

0017

なお、液晶ディスプレイの分野以外の光学分野一般に範囲を広げても、偏光度がゼロでない任意の入力光に含まれる完全偏光の偏光状態を、入力光が持っている偏光度を維持しつつ、別の目標とする偏光状態に変換して出力光とするといった高い汎用度を持つ偏光制御技術の開示例は見いだせない。

0018

特開2006−39056号公報
特開2001−166302号公報

発明が解決しようとする課題

0019

本発明の1つの目的は、偏光度がゼロでない任意の入力光について、偏光度を維持しつつ、そこに含まれる完全偏光の偏光状態を別の目標とする偏光状態に変換して出力光とする方法及び装置を提供することにある。また、本発明のもう1つの目的は、同装置を用いて、光の利用効率に優れた液晶ディスプレイを提供することにある。

課題を解決するための手段

0020

上記課題を達成するために、本発明は先ず、「初期入力偏光状態Aの完全偏光と無偏光からなり、且つ、偏光度がゼロでない入力光を、目標偏光状態として予め定められ、前記初期入力偏光状態Aと異なる最終偏光状態Bの完全偏光と、無偏光とからなる出力光に変換する、偏光状態変換方法」を提供する。

0021

本発明の特徴に従えば、同方法は、前記入力光を第1の位相差板に対して垂直に入力して該第1の位相差板を通過させることにより、一次変換光を生成する第1の段階と、前記一次変換光を第2の位相差板に対して垂直に入力して該第2の位相差板を通過させることにより、二次変換光を生成する第2の段階からなる。

0022

そして、前記第1の位相差板の位相差付与能力をΔ1とし、前記第2の位相差板の位相差付与能力をΔ2とした時、Δ1+Δ2≧πであり、且つ、Δ1及びΔ2の内、少なくとも一方の値はπ/2に等しい。換言すれば、前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板の内、少なくとも一方として、4分の1波長板を使用する。

0023

更に、前記初期入力偏光状態Aを1組のストークスパラメータを4成分とし、規格化されたベクトルをSA、前記最終偏光状態Bを別の1組のストークスパラメータを4成分とし、規格化されたベクトルをSBで各々表わすとともに、
前記第1の位相差板の偏光変換作用を表現するミュラーマトリックスをR(Δ1,θ1)[但し、θ1は前記第1の位相差板の厚さ方向に垂直な平面内における前記第1の位相差板の第1の配向方向を表わす角度]とし、
前記第2の位相差板の偏光変換作用を表現するミュラーマトリックスをR(Δ2,θ2)[但し、θ2は前記第2の位相差板の厚さ方向に垂直な平面内における前記第2の位相差板の第2の配向方向を表わす角度]とした時、
(i)Δ1で表わされる前記第1の位相差付与能力、
(ii)θ1で表わされる前記第1の配向方向、
(iii)Δ2で表わされる前記第2の位相差付与能力、及び、
(iv)θ2で表わされる前記第2の配向方向の組み合わせが、関係式
R(Δ2,θ2){R(Δ1,θ1)SA}=SB
を満たすように、前記第1の配向方向及び前記第2の配向方向が定められる。これにより、前記二次変換光に含まれる完全偏光の偏光状態が前記最終偏光状態Bに一致する。

0024

ここで、前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板のいずれもが4分の1波長板であっても良い。また、前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板の内の一方は、2分の1波長板であっても良い。また、前記第1の配向方向と前記第2の配向方向が互いに異なっていることが一般的である。前記入力光を、導光板の出射面から斜め出射され、次いで、出射面の正面方向に進行方向修正された光とし、前記出力光を、光入力側に配置された偏光板を含む液晶表示パネルに供給される光とし、前記最終偏光状態Bを、前記出力光に含まれる直線偏光成分の偏り方向が、前記偏光板の透過軸方向と平行となるように定めることもできる。

0025

上記課題を達成するために、本発明はまた、「初期入力偏光状態Aの完全偏光と無偏光からなり、且つ、偏光度がゼロでない入力光を、目標偏光状態として予め定められ、前記初期入力偏光状態Aと異なる最終偏光状態Bの完全偏光と、無偏光とからなる出力光に変換する、偏光状態変換装置」を提供する。
本発明の特徴に従えば、同偏光状態変換装置は、互いに平行に配置された第1の位相差板及び第2の位相差板を備え、前記第1の位相差板は、前記入力光を前記第1の位相差板に対して垂直に入力させ、一次変換光を出力するように配置さる。

0026

そして、前記第2の位相差板は、前記第1の位相差板によって出力された前記一次変換光を前記第2の位相差板に対して垂直に入力させ、二次変換光を出力するように配置されている。
また、前記第1の位相差板の位相差付与能力をΔ1とし、前記第2の位相差板の位相差付与能力をΔ2とした時、Δ1+Δ2≧πであり、且つ、Δ1及びΔ2の内、少なくとも一方の値はπ/2に等しい。換言すれば、前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板の内、少なくとも一方は、4分の1波長板とされる。

0027

更に、前記初期入力偏光状態Aを1組のストークスパラメータを4成分とし、規格化されたベクトルをSA、前記最終偏光状態Bを別の1組のストークスパラメータを4成分とし、規格化されたベクトルをSBで各々表わすとともに、
前記第1の位相差板の偏光変換作用を表現するミュラーマトリックスをR(Δ1,θ1)[但し、θ1は前記第1の位相差板の厚さ方向に垂直な平面内における前記第1の位相差板の第1の配向方向を表わす角度]とし、
前記第2の位相差板の偏光変換作用を表現するミュラーマトリックスをR(Δ2,θ2)[但し、θ2は前記第2の位相差板の厚さ方向に垂直な平面内における前記第2の位相差板の第2の配向方向を表わす角度]とした時、
(i)Δ1で表わされる前記第1の位相差付与能力、
(ii)θ1で表わされる前記第1の配向方向、
(iii)Δ2で表わされる前記第2の位相差付与能力、及び、
(iv)θ2で表わされる前記第2の配向方向の組み合わせが、関係式、
R(Δ2,θ2){R(Δ1,θ1)SA}=SB
を満たすように前記第1の配向方向及び前記第2の配向方向が定められている。これにより、前記二次変換光に含まれる完全偏光の偏光状態が前記最終偏光状態Bに一致する。

0028

ここで、前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板のいずれも4分の1波長板であって良い。あるいは、前記第1の位相差板及び前記第2の位相差板の内の一方は、2分の1波長板であっても良い。なお、典型的なケースでは、前記第1の配向方向と前記第2の配向方向が互いに異なったものとされる。

0029

更に本発明は、「面光源装置として、偏光状態変換装置と、光入力側に配置された偏光板を含む液晶表示パネルとを備えた液晶ディスプレイ」を提供する。
本発明の特徴に従えば、前記面光源装置は、入射面及び出射面を有する導光板と、前記入射面を通して前記導光板に一次光を供給する一次光源と、前記入射面に沿って配置され、前記出射面から斜め出射された出射光の進行方向を前記出射面の正面方向に修正する進行方向修正部材とを備えたものが用いられる。

0030

前記偏光状態変換装置には、請求項9に記載された偏光状態変換装置が採用され、前記進行方向修正部材によって進行方向を前記正面方向に修正された、前記出射面からの出射光を、前記入力光として前記第1の位相差板に入力させるように配置され、前記出力光が、光入力側に配置された偏光板を含む液晶表示パネルに供給される。

0031

そして、前記最終偏光状態Bは、前記偏光板の透過軸方向と平行な偏り方向を持つ直線偏光を表わすように定められる。
典型的なケースにおいて、前記導光板の前記出射面は矩形であり、前記偏光板の透過軸方位が前記矩形の各辺の延在方向に対して45度の角度をなしている。また、前記第1の位相差板が、前記進行方向修正部材と一体化されていても良い。前記二次変換光を拡散する光拡散部材が前記偏光板の光入力側に配置されていても良く、前記第2の位相差板が前記光拡散部材と一体化されていても良い。

発明の効果

0032

本発明によれば、多様な偏光状態をとり得る入力光(例えば、面光源装置からの正面照明光)を、同じ偏光度を持ち、所望の目標偏光状態(例えば、偏光成分が液晶表示パネルの入力側偏光板透過軸と同じく導光板の各辺に対して45度傾斜した方向に整合した直線偏光)を完全偏光の成分に持つ出力光に変換できる汎用性の高い偏光状態制御が可能になる。特に、入力偏光状態と目標偏光状態の組み合わせがどのように変わっても、両位相差板の位相差付与能力Δ1,Δ2に変更を加えることなく、両位相差板の配向方向を調整するだけで、目標偏光状態への変換が可能になることは実用上非常に有利である。

0033

また、同偏光状態制御を行う装置を液晶ディスプレイに組み込んで、液晶ディスプレイの光の利用効率を向上させることが可能になる。そして、その際に、入力偏光状態(プリズムシートの出力光の完全変更成分)と目標偏光状態(液晶表示パネルの入力側偏光板の透過軸に平行な偏り方向を持つ直線偏光)の組み合わせがどのように変わっても、両位相差板の位相差付与能力Δ1,Δ2に変更を加えることなく、両位相差板の配向方向を調整するだけで、目標偏光状態への変換が可能になることは、液晶ディスプレイを製造する上で非常に有利である。

発明を実施するための最良の形態

0034

本発明の実施形態について説明するに先立って、前提となる諸事項(偏光状態を記述する際の一般事項、ストークスパラメータを用いた偏光状態の表現法、同す表現法に関連して用いられるポアンカレ球、並びに位相差板の偏光変換作用を表現するミュラーマトリックス等について概略を説明する。

0035

(I)偏光状態を記述する諸事項;
本発明では、第1の位相差板と第2の位相差板を用いて偏光変換が行われるが、入力光として想定するのは、「何らかの偏りのある光」であり、既述の通り、一般には「無偏光」と「完全偏光」を合成した(重ね合わせた)光と考えることができる。「無偏光」の成分がゼロの場合(完全偏光のみ)もあり得るが、無偏光のみの入力は想定されない。各位相差板への入力(入射)は垂直に行われる。この状況下で、「無偏光」と「完全偏光」の合成光を位相差板に入力した場合の偏光変換作用は、「無偏光」の成分に対する作用と「完全偏光」の成分に対する作用に分けて考えることができる。

0036

先ず、無偏光に対する作用についは、トータルとしてニュートラル(無作用)であることが知られている。即ち、無偏光を位相差板に垂直入射させても、同位相差板から出射される光も無偏光である(理論的根拠については省略)。
そこで、本発明のケースでは、入力光に含まれる「完全偏光」に注目し、完全偏光に対する位相差板の偏光変換作用を考えれば十分であるということになる。

0037

図1は、z軸方向(図示省略;xy平面に垂直)に進行する完全偏光の偏光状態を説明する図である。周知の通り、一般の完全偏光は楕円偏光として記述することが可能であり、直線偏光や円偏光は楕円偏光の特殊なケースとして扱うことができる。図1において、楕円図形で描かれているのはz軸方向に垂直に進行する完全偏光の偏波ベクトル(x方向偏波成分とy方向偏波成分を合成したベクトル)の先端が描く軌跡を表わしている。同図において、符号ξは楕円の長軸を表わし、符号ηは楕円の短軸方向を表わしている。

0038

Θはx軸方向を基準に測った長軸方位で、正負符号は左回りが正、右回りが負である。また、βは楕円に接する矩形を考え、その対角線の方向が長軸ξに対してなす角度を、左回りを正、右回りを負で表現した角度(楕円率角)である。但し、対角線は2本(β値が正と負)が存在するので、右回り楕円偏光ではβ>0とし、左回り楕円偏光ではβ<0とする。楕円率は、Tan βで定義できる。
なお、β=0は直線偏光を表わし、楕円率Tan β=0となる。また、円偏光では、ξ、η方向は任意(不定)であるが、例えばξ方向=x方向、η方向=y方向(Θ=0度)とする。また、楕円率角については、β=−45度(左回り円偏光)あるいはβ=+45度(右回り円偏光)とする。

0039

(II)ストークスパラメータを用いた偏光状態の表現及びポアンカレ球について;
一般の光の偏光状態を表現法として、ストークスパラメータを4成分とするベクトル(以下、ストークスベクトルと云う)を用いる方法が知られている。ストークスベクトルの4成分を構成するストークスパラメータは次のように定義される。
S0=強度
S1=水平直線偏光成分
S2=45度直線偏光成分
S3=右回り円偏光成分
また、偏光度VをV=[(S12+S22+S32)/S02]1/2で定義することができる。完全偏光の場合、S12+S22+S32=S02となり、V=1となる。

0040

既述の通り、ここでは完全偏光に注目して、位相差板の偏光変換作用を考えるので、S0=1として規格化されたストークスベクトルを考え、第1の位相差板へ入力される光の完全偏光成分の偏光状態(=初期入力偏光状態)を、規格化されたストークスベクトルSAで表わすことにする。同様に、2枚の位相差板を通過して出力された光の完全偏光成分の偏光状態(=最終偏光状態)を、規格化されたストークスベクトルSBで表わすことにする。

0041

さて、上述したストークスベクトルを幾何学的乃至視覚的に表現する手法として、ポアンカレ球を用いた方法がある。ポアンカレ球は、図2に示したように、各ストークスパラメータS1、S2、S3に対応する直交座標軸(S1軸、S2軸及びS3軸)を考え、半径S0の球を定義したものである。このポアンカレ球を用いれば、ストークスベクトルとポアンカレ球上の点とは、「一対一」で対応する。ここでは規格化したストークスベクトルを考えるので、S0=1である。なお、図2中には、水平直線偏光を表わすポアンカレ球上の点、45度直線偏光、及び右回り円偏光を表わすポアンカレ球上の各点が例示されている。
S0=1として、水平直線偏光の座標値は(1,0,0)であり、45度直線偏光の座標値は(0,1,0)である。また、右回り円偏光の座標値は(0,0,1)である。

0042

(III)ストークスパラメータと長軸方位角Θ、楕円率角β等との関係について;
既述の通り、完全偏光について、上記(I)で説明した長軸方位角Θ、楕円率角β等を用いた表現と、上記(II)で説明したストークスパラメータを用いた表現が可能である。これら表現の関係は次のようになることが知られている。以下、この式を便宜上「偏光状態表現換算式」という。
・S1=cos2Θcos2β
・S2=sin2Θcos2β
・S3=sin2β
なお、ここでは規格化されたストークスベクトルを考えているので、S0=1である。

0043

(IV)ミュラーマトリックスについて;
上記したストークスベクトルで偏光状態を表現した場合、その偏光状態を位相差板に垂直入射させた場合の偏光変換作用をミュラーマトリックスで表現できることが知られている。シミュレーションは、4行4列のマトリックスで、行列要素パラメータとして、位相差板の位相差付与能力Δと、位相差板の厚さ方向に垂直な平面内における同位相差板の配向方向を表わす角度θを含んでいる。ミュラーマトリックスR(Δ、θ)を便宜上下記のように一般表現する。なお、この行列は、直線位相子行列と呼ばれることもある。

0044

0045

各行列要素r11〜r44は次のようになる。
・r11=1
・r12=r13=r14=0
・r21=0
・r22=1−(1−cosΔ)sin22θ
・r23=(1−cosΔ)sin2θcos2θ
・r24=−sinΔsin2θ
・r31=0
・r32=(1−cosΔ)sin2θcos2θ
・r33=1−(1−cosΔ)cos22θ
・r34=sinΔcos2θ
・r41=0
・r42=sinΔsin2θ
・r43=−sinΔcos2θ
・r44=cosΔ

0046

ここで、Δは位相差板の位相差付与能力(位相差板に垂直入射した光が位相差板から出力されるまでに通過で与えられる位相差=位相差板通過により、進相軸方向偏波成分と遅相軸方向の偏波成分との間に生じる位相差)である。周知のように、この位相差付与能力Δ=π/2(4分の1波長分の位相)である位相差板が4分の1波長板であり、位相差付与能力Δ=π(2分の1波長分の位相)である位相差板が2分の1波長板である。なお、位相差板のΔは通常0<Δ<2πの範囲で表現される。2πを越える位相差を与えることも可能であるが、光波の周期性から考えて2πの正整数倍の位相差分は無視して表現される。例えば、2分の3波長分の位相差(3π)を付ける位相差板は、2分の1波長板と同等であるので、両者を区別しない。また、Δ=0やΔ=2πの場合には、位相差付与能力が無い(従って、そのような光学要素は「位相差板」と呼ばれない)。

0047

また、θで表わされる位相差板の配向方向は、「位相差板の進相軸の方向が“基準となる方向”に対してなす角度」を表わしている。ここで“基準となる方向(基準方向)”は、通常、水平方向(図1の描示においてx方向)であり、θのとり得るレンジは、0度≦θ<180度である。

0048

今、位相差板が4分の1波長板(位相差付与能力Δ=π/2)であれば、ミュラーマトリックスの各行列要素は次のようになる。
・r11=1
・r12=r13=r14=0
・r21=0
・r22=1−sin22θ=cos22θ
・r23=sin2θcos2θ
・r24=−sin2θ
・r31=0
・r32=sin2θcos2θ
・r33=1−cos22θ=sin22θ
・r34=cos2θ
・r41=0
・r42=sin2θ
・r43=−cos2θ
・r44=0

0049

また、位相差板が2分の1波長板(位相差付与能力Δ=π)であれば、次のようになる。
・r11=1
・r12=r13=r14=0
・r21=0
・r22=1−2sin22θ=cos4θ
・r23=2sin2θcos2θ=sin4θ
・r24=0
・r31=0
・r32=2sin2θcos2θ=sin4θ
・r33=1−2cos22θ=−cos4θ
・r34=0
・r41=0
・r42=0
・r43=0
・r44=−1

0050

ミュラーマトリックスで表わされる位相差板の偏光変換作用は、一般に、入力光の偏光状態を表わすストークスベクトルSに同ミュラーマトリックスR(Δ、θ)を左側から乗じた式R(Δ、θ)Sで表すことができる。図3は、これを幾何学的なイメージで説明する図である。同図において、入力光(ここでは完全偏光を想定)の偏光状態を表わすストークスベクトルSをSAとする。SAの4成分S0〜S4については次のように表記する。
・S0=SA0(但し、ここではSA0=1とする)
・S1=SA1
・S2=SA2
・S3=SA3
そして、ストークスパラメータ(偏光状態)SAが表わすポアンカレ球上の位置は、図3(a)中のAであるとする。

0051

ところで、ミュラーマトリックスR(Δ、θ)による偏光変換を行うことは、下記(i)の幾何学的操作を行い、次いで下記(ii)の幾何学的操作を行うことと等価であることが知られている。
(i)ポアンカレ球面上の点Aの位置(図3(a)参照)を維持したまま、ポアンカレ球のS3軸を回転軸として、S1軸をS3軸回りで2θ回転させたものに相当する軸a−aを定める。この軸a−aは次の操作(ii)のための回転軸a−aとされる軸である。
(ii)図3(b)に示したように、上記(i)の操作で定められた軸a−aに対して垂直な平面P上で、点AをΔだけ軸a−a回りで回転移動させる。移動後のポアンカレ球上位置をBとする。
この点Bに対応するストークスベクトルをSBとすれば、上記(i)、(ii)の操作は、次のように表現できる。
R(Δ、θ)SA=SB

0052

上記(i)、(ii)の操作内容から、ミュラーマトリックスR(Δ、θ)の偏光変換作用は、幾何学的に見れば、「θによる回転操作(i)」と、「Δによる回転操作(ii)」からなるということができる。ここで、従来技術のように1枚の位相差板を使用するケースを考えてみると、位相差板の配向方向θは自由に選択できるが位相差付与能力Δは変えられない。例えば2分1波長板であればΔ=πに固定され、4分1波長板であればΔ=π/2に固定されてしまう。従って、Δにどのような値(固定値)を設定したとしても、ポアンカレ球上の出発点Aと移動後の点Bの関係はきわめて制限されたものとなる。

0053

即ち、図3(a)、(b)において、θをいくら変化させても、上記操作(i)、(ii)を施した後の点は、ポアンカレ球面上で1本の閉曲線上でしか動けない。今、Δを固定してθを0からπ(0度から180度)まで変化させることを考えてみる。出発点Aに上記(i)、(ii)の幾何学的操作を施した点は、θ=0の下では、「点Aを通りS1軸に対して垂直な平面(S2S3平面に平行な面)上で、点AをΔだけS1軸回りで回転移動させた点」となる。この点を図3(a)中にB0で示した。そして、θを徐々にπまで増大させていくと、操作(i)、(ii)完了後の点は、点B0から離れ、途中で図3(b)中に示した点Bを通り、θ=πでは元のB0に戻ることになる。このことは、「1枚の位相差板では、点Aと点Bの位置関係に強い制約があり、自由に設定できない」と云うことを意味している。つまり、1枚の位相差付与能力が固定された位相差板では、配向方向をいかに調整しても、ポアンカレ球上を自由に動けないということである。

0054

本願の発明者は、上記制約について考察し、要するに、「自由に調整乃至選択できるファクタが1つ(位相差板の配向方向)しかないこと」に根本的な原因があると考え、2枚の位相差板を組み合わせることで「自由に調整乃至選択できるファクタが2つ存在する状況」が生まれることに着目した。つまり、各位相差板の配向方向を独立に選べるならば、2枚の位相差板の位相差付与能力が十分である限り、ポアンカレ球上を自由に動けるということである。

0055

ここで、「2枚の位相差板の位相差付与能力が十分」という条件は、具体的に云えば、「2枚の位相差付与能力の合計がπ(180度)以上」あれば良いということである。このことは、図3(a)、(b)を使って説明した1枚の位相差板の偏光変換作用の内容から理解できる。その理由は次の通りである。
即ち、2枚の位相差板を通過させるということは、上記(i)、(ii)の操作をもう一度、θを自由に選んで実行できるということである。と云うことは、1枚目位相板の通過で到達したB点から、再度a−a軸を自由に定め直し、次いで、その定め直されたa−a軸に対して垂直な平面上で、固定回転移動(2枚目のΔの移動)できるということである。

0056

図4は、この考え方に沿った本発明の実施形態の基本形を示している。図4において、左側の位相差板1(第1の位相差板)と、右側の位相差板2は互いに平行に配置されており、入力光(偏光変換されるべき光)は、位相差板1の左側から垂直に入射する。この入力光は「偏光度Vがゼロでない光」(少なくともなんらかの偏り成分を含む光)である。既述の通り、このような入力光は、「無偏光」と「完全偏光」の合成光(重ね合わせ光)であり、各位相差板の作用は、重ね合わせの原理から考えて、「無偏光」と「完全偏光」に分けて考えることができる。そして、無偏光は位相差板1、2を相次いで通過しても、各位相差板の位相差付与能力や配向角度の組み合わせに影響されず、無偏光のままである。従って、位相差板1、2による偏光変換作用を論ずるには、完全偏光のみを考えれば良い。

0057

図4において、「初期入力偏光状態A」と記されているのは、入力光に含まれるこの完全偏光であり、これをストークスベクトルで表わしたものをSAとする。図中に並記したように、SAの各成分(ストークスパラメータ)をSA0,SA1,SA2,SA3と表記する(但し、ここでは規格化されたストークスベクトルを考えるのでSA0=1である)。位相差板1、2の偏光変換作用を表わすミュラーマトリックスをそれぞれR(Δ1,θ1)、R(Δ2,θ2)とすると、位相差板1から出力される光に含まれる完全偏光の偏光状態(一次変換状態A’)は、R(Δ1,θ1)SAとなる。

0058

一次変換状態A’を表わすストークスベクトルをSA'とし、各成分(ストークスパラメータ)をSA'0,SA'1,SA'2,SA'3と表記する(但し、ミュラーマトリックスの形から明かなようにSA'0=SA0で、ここではSA'0=SA0=1である)。更に、位相差板1から出力された光を位相差板2に垂直入射させて、偏光変換させる。得られる出力光に含まれる完全偏光の状態(最終偏光態B)は、R(Δ2,θ2)SA'となる。

0059

最終偏光状態Bを表わすストークスベクトルをSBとし、各成分(ストークスパラメータ)をSB0,SB1,SB2,SB3と表記する(但し、ミュラーマトリックスの形から明かなようにSB0=SA'0=SA0で、ここではSB0=SA'0=SA0=1である)。以上のことから、初期入力偏光状態Aと最終偏光状態Bの関係は、次の基本式(#1)で表わされる。
SB=R(Δ2,θ2)R(Δ1,θ1)SA ・・・(#1)

0060

但し、本発明では実際上の利便性を考慮して、位相差板1、2の内の少なくとも一方には4分の1波長板を採用する。また、前述したミュラーマトリックスの偏光変換作用の幾何学的イメーシの議論から、2枚の位相差板を合わせた位相差付与能力について、2π未満の範囲で十分な大きさ(π以上=2分の1波長に対応する位相差以上)を備えることを要請する。即ち、本発明では、使用される位相差板1、2について、下記付加条件(#2)、(#3)を課している。
Δ1またはΔ2の内の少なくとも一方=π/2 ・・・(#2)
π≦Δ1+Δ2<2π ・・・(#3)

0061

さて、実際に偏光変換を実行したい状況を考えてみると、前述した液晶ディスプレイでの例で判るように、「最終偏光状態B」と「初期入力偏光状態A」を自由に変えるということは考え難い。即ち、殆どの場合、所与の初期入力偏光状態Aを希望する最終偏光状態Bに如何にして変換するかが重要な事項となる。この要望にこたえるには、SA、SBを既知として、上記基本式(#1)を満たすようにミュラーマトリックスR(Δ1,θ1)、R(Δ2,θ2)を定めてやれば良い訳である。前述した通り、両ミュラーマトリックスに含まれるパラメータは、Δ1,θ1,Δ2,θ2であり、基本式(#1)は一応4つの変数を含む形の方程式と考えることができる。しかし、実際上、無理なく変えられる変数はθ1,θ2のみである。

0062

なぜならば、位相差板の位相差付与能力Δを変えるには位相差板の構造自体可変とするか、きわめて多種類の位相差付与能力Δを持つ位相差板を予め用意するといったことが必要になるが、位相差板の構造自体を可変とすることは事実上不可能である。また、種々の位相差付与能力Δを持つ多数の位相差板を安価に入手することも難しい。そこで、基本式(#1)を2つの変数θ1、θ2を含む方程式と考え、Δ1、Δ2は定数パラメータみなすことにする。但し、その場合、それら定数パラメータについて、上記付加条件(#2)、(#3)を課している。

0063

なお、付加条件(#2)には、2枚の位相差板の内少なくとも1枚には、最も一般的で安価に入手可能な位相差板と云って良い4分の1波長板を使用するという意味がある。また、付加条件(#3)には、付加条件2と併せて、きわめて多様な、「最終偏光状態Bと初期入力偏光状態Aの組み合わせ」について、基本式(#1)が表わす方程式が解ける(0≦θ1<2π,0≦θ2<2πの解が存在する)ようにするという意味がある。

0064

以上述べたことから、本発明に従って偏光変換方法を実施する手順は例えば次のようになる。
(1)位相差板1、2を用意する。組み合わせは、色々あるが典型的な組み合わせは次の3つである。
組み合わせ例1);
・位相差板1=4分の1波長板
・位相差板2=4分の1波長板
(組み合わせ例2);
・位相差板1=4分の1波長板
・位相差板2=2分の1波長板
(組み合わせ例3);
・位相差板1=2分の1波長板
・位相差板2=4分の1波長板

0065

(2)目標とする最終偏光状態Bを定める。最終偏光状態Bは、通常、長軸方位Θと楕円率角βで表現するのが判り易い。例えば、液晶ディスプレイで要望されることが多い、B=45度方向直線偏光状態ではΘ=45度、β=0度となる。また、B=水平方向直線偏光状態であれば、Θ=β=0度となる。
(3)ストークスベクトルSBを前出の偏光状態表現換算式を用いて計算する。
(4)使用しようとする入力光(例えば導光板上のプリズムシートから出射される光)の初期入力偏光状態Aを求める。これを求める計測法は周知なので、説明を省略する。計測結果から、入力光に含まれる完全偏光について、長軸方位Θと楕円率角βを定める。

0066

(5)ストークスベクトルSAを前出の偏光状態表現換算式を用いて計算する。
(6)上記(3)及び(5)で求められたSA、SBについて、前出の基本式(#1)を満たすミュラーマトリックスR(Δ1,θ1)、R(Δ2,θ2)を求める。
具体的には次の2つの方法が採用可能である。

0067

(イ)先述したように、基本式(#1)に既知数値(即ち、SA、SBの各要素の値及びパラメータΔ1,Δ2の値)を代入し、数値開放により、解となる(θ1、θ2)のセットを求める。
(ロ)(θ1、θ2)の多数のセットを用意し、各セットについて基本式(#1)に既知数値(即ち、SA、SBの各要素の値及びパラメータΔ1,Δ2の値)とともに代入し、式(#1)の右辺R(Δ2,θ2)R(Δ1,θ1)SAを計算する。得られた多数のベクトルの中から、実質的にSBとみなせるものを与える(θ1、θ2)のセットを解とする。(θ1、θ2)のセットの用意の仕方としては、例えばθ1値とθ2値を各々1度刻み(0度、1度、2度・・・・179度)で用意し、すべての数値ペアについて式(#1)の右辺R(Δ2,θ2)R(Δ1,θ1)SAを計算し、実質的にSBとみなせるものを与える(θ1、θ2)のセットを解とすれば良い。より精密な解が欲しい場合は、θ1値とθ2値の刻みを更に細かく(例えば0.1度刻み)とすれば良い。

0068

(7)求められた配向角度θ1、θ2で位相差板1、2を図4に示したように平行配置し、上記初期入力偏光状態Aの光を位相差板1に垂直入射させる。すると、位相差板2の出力光について、実質的に最終偏光状態Bとなる。

0069

次に、最終偏光状態Bを位相差板1、2(図4参照)の配向方向を選択することで、種々の初期入力偏光状態Aから生成する具体例について記す。最終偏光状態Bは、「希望する偏光状態」であり、一般には図1を参照して説明した任意の楕円偏光を設定することができるが、ここでは液晶ディスプレイへの適用を考慮して、最終偏光状態Bとして下記B(1)〜B(3)の3種類の直線偏光B(1)〜B(3)を考える。図1を参照して説明したように、直線偏光は「楕円率角β=0度、長軸方位Θ(0≦Θ<180度)の楕円偏光」のことである。
・B(1);45度直線偏光(β=0、Θ=45度)
・B(2);水平直線偏光(β=0、Θ=0度)
・B(3);30度直線偏光(β=0、Θ=30度)

0070

配置する位相差板1、2としては、前述の付加条件#2、#3を考慮して、入手が容易で安価な次の3種類の組み合わせを考える。
●配置1;
・位相差板1=4分の1波長板(Δ1=π/2)
・位相差板2=4分の1波長板(Δ2=π/2)
●配置2;
・位相差板1=4分の1波長板(Δ1=π/2)
・位相差板2=2分の1波長板(Δ2=π)
●配置3;
・位相差板1=2分の1波長板(Δ1=π)
・位相差板2=4分の1波長板(Δ2=π/2)

0071

初期入力偏光状態Aについては、既述の通り、一般に自由に選ぶという訳にはいかない。そこで、ここでは次の状態1〜状態12を定義し、それらの全部あるいは一部について、最終偏光状態B(1)〜B(3)が得られる位相差板1、2の各配置例について、位相差板1、2の配向方向(角度θ1,θ2)の組み合わせを、前述した計算法に従って求めてみた。得られた結果を図5図7表形式(表1〜表3)で示した。

0072

●状態1(直線偏光);
・楕円率角β=0度
・長軸方位Θ=−22.5度
●状態2(楕円偏光);
・楕円率角β=15.0度
・長軸方位Θ=12.1度
●状態3(楕円偏光);
・楕円率角β=15.0度
・長軸方位Θ=33.0度
●状態4(楕円偏光);
・楕円率角β=22.5度
・長軸方位Θ=−22.5度
●状態5(楕円偏光);
・楕円率角β=−22.5度
・長軸方位Θ=−15.0度
●状態6(楕円偏光);
・楕円率角β=−22.5度
・長軸方位Θ=−60.0度

0073

●状態7(楕円偏光);
・楕円率角β=26.1度
・長軸方位Θ=27.4度
●状態8(楕円偏光);
・楕円率角β=−30.0度
・長軸方位Θ=22.5度
●状態9(楕円偏光);
・楕円率角β=30.0度
・長軸方位Θ=45.0度
●状態10(楕円偏光);
・楕円率角β=30.0度
・長軸方位Θ=0.0度
●状態11(楕円偏光);
・楕円率角β=30.0度
・長軸方位Θ=−45.0度
●状態12(円偏光);
・楕円率角β=−45.0度
・長軸方位Θ=0.0度

0074

図5の表1に示した結果から判るように、2枚の4分の1波長板あるいは4分の1波長板と2分の1波長板を組み合わせた配置1〜配置3のいずれにおいても、目標とする最終偏光状態B(1)を実現させる、位相差板1、2の配向方向が具体的なθ1、θ2のセット(θ1、θ2の解)が得られている。なお、θ1、θ2の解は1組とは限らず、2組得られる場合もある。例えば、状態4からB(1)を得る別解として次のものがある。
・配置1における別解
(θ1、θ2)=(1.3度、29.3度)
・配置2における別解
(θ1、θ2)=(67.5度、0.0度)
・配置3における別解
(θ1、θ2)=(0.0度、−67.5度)

0075

以上が、本発明に係る偏光変換方法の概要とその具体例であり、既述の通り、この方法を実行する偏光変換装置を液晶ディスプレイに組み込むこともできる。図8は、その基本配置を示す。同図に示したように、液晶ディスプレイLCDは、液晶表示パネルLPと、液晶表示パネルLPに照明光を供給する面光源装置で構成されている。面光源装置は、一次光源10と、リフレクタ11と、導光板20と、プリズムシート30と、位相差板33を備えている。なお、この他に、導光板20の背面に沿って反射シートが配置されることが多いが、図示は省略した。また、例えば位相差板33と液晶表示パネルLPの間、あるいは、導光板20とプリズムシート30の間に光拡散板が配置されることもある。

0076

プリズムシート30は、ここでは位相差板を兼ねたもので、符号32が位相差板を提供するベース部で、その内側に多数のプリズム状突起31が形成されている。このベース部が、これまでの説明における位相差板1に対応し、位相差板33がこれまでの説明における位相差板2に対応している。なお、プリズムシート30のベース部32を位相差板とせず、位相差板をプリズムシートとは別構成とすることもできる。

0077

面光源装置を構成する諸要素の内、ベース部(位相差板1)と位相差板(位相差板2)33を除く部分は、周知の構造と作用を持つ。本実施形態では、これにベース部(位相差板1)と位相差板(位相差板2)33が加えられており、この付加部分が、偏光変換装置に対応する。導光板20の材料は周知で、例えばPMMA等の透光性樹脂が用いられる。また、導光板20内部に散乱能微小散乱子)を分散させた光散乱導光体を用いることもある。また、図示されているように、厚さを入射面21aから末端面23に向かって漸減することが好ましい。

0078

良く知られているように、一次光源(例えば冷陰極管あるいはLED光源)からの光(一次光)は、導光板2の入射面21aから導光板20内へ入り、末端面23に向けて近づくように内部伝播する。その過程で、出射面21bや裏面22による繰り返し反射などを受け、出射面21bから徐々に出射する。通常、一次光には偏りは殆ど無いが、出射面21bと裏面22での繰り返し反射するなどする過程や出射面21bからの出射時の偏光特性等により、出射光にはある程度の偏り(偏光度)が生じる。この出射光の偏光度Vは、導光板20の種類(構成材料表面形状、寸法、添加散乱子の有無と種類など)によって異なるが、V=0.1〜0.20程度であることが多い。云うまでもなく、偏光度に応じて、出射面21bからの出射光には完全偏光が含まれることになる。

0079

このような偏光度0でない出射光は、周知の如く、斜め前方指向出射する。図8中に描かれた光線40はその代表光線で、正面方向(z方向)に対して、65度から75度程度前方へ傾斜している。プリズム状突起31は、周知の作用でこの代表光線40を正面方向に方向修正する。その結果、代表光線40はベース部32の位相差板1に垂直入射する。この光の完全偏光成分の偏光状態が、図4における「初期入力偏光状態A」に対応する。この入力光は、ベース部(位相差板1)32、位相差板(位相差板2)33を経て、液晶表示パネルLPの入力側偏光板50に入射する。

0080

入力側偏光板50の透過軸方向(最大の透過率を与える偏り方向)は、多くの場合45度方向(導光板20の4つ辺に対してそれぞれ45度傾斜した方向)となっている。従って、これに対応した45度直線偏光の成分が多く含まれる光程、光の利用効率が高くなる。この偏光状態は、前述した最終偏光状態B(1)に他ならない。従って、この場合、ベース部(位相差板1)32、位相差板(位相差板2)33の配向方向(最適のθ1,θ2のセット)を、最終偏光状態B(1)が実現できるように定めれば良い。

0081

但し、これまでの議論から判るように、最適のθ1,θ2のセットは、使用する位相差板12(ベース部32と位相差板33)の位相差付与能力Δ1,Δ2の組み合わせ、及び、初期入力偏光状態Aに依存して変化する。1つの典型例において、初期入力偏光状態Aは直線偏光で、楕円率角β=0度で、長軸方位Θ=90度である。そして、使用する位相差板1(ベース部32)と位相差板2(位相差板33)をいずれも4分の1波長板とした場合、最適解は2つあり、(θ1,θ2)=(45度、90度)または(−45度、0度)となる。

0082

また、入力側偏光板50の透過軸方向が他の角度、例えば0度の場合もある。その場合、これに対応した水平直線偏光の成分が多く含まれる光程、光の利用効率が高くなる。この偏光状態は、前述した最終偏光状態B(2)に他ならない。従って、この場合は、ベース部(位相差板1)32、位相差板(位相差板2)33の配向方向(最適のθ1,θ2のセット)を、前述した基本式(#1)を解く形で、最終偏光状態B(2)が実現できるように定めれば良い。定め方の詳細は、同様の説明の繰り返しになるので省略する。

0083

なお、以上説明した諸例では、4分の1波長板同士の組み合わせか、4分の1波長板と2分の1波長板を用いているが、付加条件#2、#3を守る前提で、それ以外の組み合わせを採用しても、4分の1波長板同士あるいは4分の1波長板と2分の1波長板の組み合わせを用いた場合と同様の多様性で、初期入力偏光状態Aから最終偏光状態Bへの変換が可能である。図9図10はポアンカレ球を用いてこれを例証するための図である。

0084

即ち、図9図10には、初期入力偏光状態Aとして45度直線偏光を仮定し、次の組み合わせ(i)、(ii)の下で、θ1の値とθ2の値を、0度〜180度の範囲で変化させた場合に得られる多数の最終偏光状態Bを、ポアンカレ球上にプロットした結果を示した。
●組み合わせ(i);図9
・位相差板1=3分の1波長板(Δ1=2π/3)
・位相差板2=4分の1波長板(Δ2=π/2)
●組み合わせ(ii);図10
・位相差板1=5分の2波長板(Δ1=4π/5)
・位相差板2=3分の1波長板(Δ2=π/2)

0085

図9図10プロット点分布は、ポアンカレ球上でほぼまんべんなく全体に及んでおり、「変換で到達できないポアンカレ球上のエリア」は存在しないことが読み取れます。ここで、上記(i)、(ii)は前述の条件(#1)、(#2)を満たしているが、もしも条件(#3)が満たされないと、2枚の位相差板の偏光変換作用に対応する「ポアンカレ球上の点の移動範囲」が制限される。図11図12はポアンカレ球を用いてこれを例証するための図である。

0086

即ち、図11図12には、初期入力偏光状態Aとして45度直線偏光を仮定し、次の組み合わせ(iii)、(iv)の下で、θ1の値とθ2の値を、0度〜180度の範囲で変化させた場合に得られる多数の最終偏光状態Bを、ポアンカレ球上にプロットした結果を示した。
●組み合わせ(iii);図11
・位相差板1=6分の1波長板(Δ1=π/3)
・位相差板2=4分の1波長板(Δ2=π/2)
●組み合わせ(iv);図12
・位相差板1=5分の1波長板(Δ1=2π/5)
・位相差板2=3分の1波長板(Δ2=π/2)

0087

図11図12のプロット点の分布は、図9図10に示したものとは明瞭に異なり、ポアンカレ球上に空白エリアが生じている。図11図12のいずれにおいても、空白エリアは初期入力偏光状態を表わすポアンカレ球上の点から遠い部分に生じている。このことから、位相差板1、2の位相差付与能力Δ1、Δ2の和をπ(2分の1波長相当)以上(付加条件#2)とすることが、位相差板1、2を用いた偏光変換の汎用性を高める上で有利なことが理解される。

0088

なお、より一般的のケースで、位相差板1、2による偏光変換の可否チェックするには、前述した基本式#1が、与えられたパラメータ値(Δ1,Δ2,SAの各要素値及びSBの各要素値)の条件の下でθ1、θ2について解けるかどうか調べれば良い。即ち、0度≦θ1<180度、0度≦θ2<180度の範囲で、基本式#1を満たすセット(θ1,θ2)が存在すれば、位相差板1、2の配向を適正に選択(即ち、位相差板1をθ1で配向配置し、位相差板2をθ2で配向配置)すれば、そのSAが表わす初期偏光状態からSBが表わす最終偏光状態への変換が実現されると云うことである。

図面の簡単な説明

0089

z軸方向(図示省略;xy平面に垂直)に進行する完全偏光の偏光状態を説明する図である。
ポアンカレ球を用いて偏光状態を表現する方法について説明する図である。
ミュラーマトリックスR(Δ、θ)で表わされる位相差板の偏光変換作用を幾何学的なイメージで説明する図である。
本発明の実施形態の基本形について説明する図である。
最終偏光状態B(1)を実現できる(θ1,θ2)の例を表形式(表1)で示したものである。
最終偏光状態B(2)を実現できる(θ1,θ2)の例を表形式(表2)で示したものである。
最終偏光状態B(3)を実現できる(θ1,θ2)の例を表形式(表3)で示したものである。
本発明に従った偏光変換装置を組み込んだ液ディスプレイ概略構造を断面図で示したものである。
組み合わせ(i)について各位相差板1、2の各配向方向を小刻み且つ自由に変えていった場合に、実現される変更状態を表わすポアンカレ球上の点をプロットしたグラフである。
組み合わせ(ii)について各位相差板1、2の各配向方向を小刻み且つ自由に変えていった場合に、実現される変更状態を表わすポアンカレ球上の点をプロットしたグラフである。
組み合わせ(iii)について各位相差板1、2の各配向方向を小刻み且つ自由に変えていった場合に、実現される変更状態を表わすポアンカレ球上の点をプロットしたグラフである。
組み合わせ(iv)について各位相差板1、2の各配向方向を小刻み且つ自由に変えていった場合に、実現される変更状態を表わすポアンカレ球上の点をプロットしたグラフである。

符号の説明

0090

10一次光源
11リフレクタ
20導光板
21a入射面
21b出射面
22 裏面
23末端面
30プリズムシート
31プリズム状突起
32ベース部(位相差板1)
33 位相差板(位相差板2)
40出射光を代表する光線
50液晶表示パネルの入力側偏光板
LCD液晶表示装置
LP液晶表示パネル

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ