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技術 酸化亜鉛系焼結体タブレットおよびその製造方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 和気理一郎曽我部健太郎
出願日 2008年2月6日 (11年6ヶ月経過) 出願番号 2008-026423
公開日 2009年8月20日 (9年11ヶ月経過) 公開番号 2009-184877
状態 特許登録済
技術分野 酸化物セラミックスの組成1 物理蒸着
主要キーワード 連続供給システム 押上げ用 金属製治具 未焼成粉末 成形プレス機 熱電子エミッタ 活性化反応性蒸着 添加酸化物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年8月20日)のものです。
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図面 (2)

課題

抵抗で、透過率が大きく、ガリウム添加酸化亜鉛酸化物透明導電膜を、真空蒸着法またはIP法を用いて製造するに際し、破損が生じにくく、安定した放電持続できる焼結体タブレットを提供する。

解決手段

酸化ガリウム粉末を含み、酸化亜鉛粉末を主成分とする混合粉末加圧成形し、得られた成形体を、真空中おいて、900℃〜1300℃の温度で焼成することにより、相対密度が50%〜70%、圧縮強さが70MPa以上、抵抗率が1×10-2Ω・cm以下である酸化ガリウム添加酸化亜鉛系焼結体タブレットを得る。

概要

背景

酸化物透明導電膜は、高い導電性と、可視光領域での高い透過率とを有する。このため、酸化物透明導電膜は、太陽電池液晶表示素子、その他の各種受光素子電極などに利用されているばかりでなく、近赤外線領域波長での反射吸収特性を活かして、自動車建築物窓ガラスなどに用いる熱線反射膜、各種の帯電防止膜冷凍ショーケースなどの防曇用の透明発熱体としても利用されている。

酸化物透明導電膜には、アンチモンフッ素ドーパントとして含む酸化錫アルミニウムガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛、錫をドーパントとして含む酸化インジウムなどが、広範に利用されている。特に、錫をドーパントとして含む酸化インジウムからなる膜は、ITO(Indium tin oxide)膜と称され、低抵抗である酸化物透明導電膜が容易に得られることから、広く用いられている。

これらの酸化物透明導電膜の製造方法としては、真空中で蒸発源を加熱し、蒸発した原料基板上に堆積させる真空蒸着法ターゲットアルゴンイオン衝突させて、ターゲットを構成する物質たたき出し、対向する基板に堆積させるスパッタリング法、および、透明導電層形成用塗液を塗布する方法が用いられているが、これらの中でも、真空蒸着法およびスパッタリング法は、蒸気圧の低い材料を使用する際や、精密な膜厚制御を必要とする際に有効な手法であり、操作が非常に簡便であるため、工業的に広範に利用されている。

真空蒸着法によるITO膜成膜では、以前より、電子ビーム蒸着法がよく利用されている。電子ビーム蒸着法では、蒸発源にITO焼結体からなるタブレットペレット)を用いて、成膜室チャンバー)に反応ガスである酸素ガスを導入して、熱電子発生用フィラメント(主に、タングステン線)から飛び出した熱電子を電界加速させてITO焼結体タブレットに照射すると、照射された部分が局所的に高温になり、蒸発して基板に堆積される。

また、蒸発物や反応ガス(酸素ガスなど)を、熱電子エミッタやRF放電を用いて活性化させることにより、低温基板上でも低抵抗の膜を作製することができる。この方法は、活性化反応性蒸着法(ARE法)と呼ばれており、ITO膜の成膜には有用な方法である。

また、プラズマガンを用いた高密度プラズマアシスト蒸着法(HDPE法)もITO膜の成膜に、広範に用いられている。HDPE法では、プラズマ発生装置(プラズマガン)を用いたアーク放電を利用し、プラズマガンに内蔵されたカソードと蒸発源の坩堝アノード)との間で、アーク放電が維持され、カソードから放出される電子を磁場によりガイドして、坩堝に仕込まれたタブレットの局部に集中して照射する。この電子ビームにより、局所的に高温となった部分から蒸発して基板に堆積される。気化した蒸発物や導入した酸素ガスは、プラズマ内で活性化されるため、良好な電気特性を持つITO膜を作製することができる。

真空蒸着法の中で、蒸発物や反応ガスのイオン化を伴うものは、総称してイオンプレーティング法(IP法)と呼ばれ、低抵抗であり、高透過率であるITO膜が得られることから、工業的にも広範に利用されている。

一方、酸化亜鉛(ZnO)系薄膜は、安価であり、透過率が高く、耐プラズマ性に優れていることから、薄膜シリコン太陽電池の電極に用いられている。また、その禁制帯幅が3.4eVと広く、励起子エネルギーが高いことから、近年、発光ダイオードへの応用も盛んに報告されている。さらには、透明薄膜トランジスタへの応用も期待されている。特に、ガリウムを含有した酸化亜鉛系薄膜は、比較的再現性がよく、熱的安定性にも優れ、低抵抗のものが得られることから、着目されている。

このような酸化亜鉛系薄膜を作製する場合も、ITO膜の成膜と同様に、真空蒸着法やイオンプレーティング法が検討されている。たとえば、ガリウムを含有した酸化亜鉛系の薄膜を真空蒸着法やイオンプレーティング法で成膜するための材料として、ガリウムが添加された酸化亜鉛系焼結体タブレットおよびその製造方法が、特許文献1〜4に記載されている。

スパッタリング用の酸化亜鉛系焼結体ターゲットの製造では、真空中でホットプレスにより高密度焼結体を得ている。しかしながら、酸化亜鉛系焼結体タブレットの製造において、原料の成形体を真空中で焼結した場合、酸化亜鉛の蒸気圧が高く、安易に揮発してしまったり、焼結工程においてバインダーの除去が急激に進み過ぎて、焼結体タブレット割れが発生しやすいといった問題があった。

また、高密度が要求されるスパッタリング用焼結体ターゲットと異なり、真空蒸着法およびイオンプレーティング法では、電子ビームが局所的に照射されるため、高密度の焼結体タブレットを用いると、局所的に加熱され、熱衝撃に伴う熱応力により、割れが発生するという問題があった。

このため、特許文献1〜4に記載されているように、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造する際には、常圧ないしは減圧下における大気雰囲気還元雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気のいずれかの雰囲気中で焼成が行われている。

また、原料粉末の一部を焼成して、仮焼粉末を得て、この仮焼粉末と残余未焼成原料粉末を混合したものを、成形して、焼成することにより、焼結体タブレットの相対密度が50〜70%程度となるようにしている。
特開平6−248427号公報
特開2006−117462号公報
特開2007−56351号公報
特開2007−56352号公報

概要

低抵抗で、透過率が大きく、ガリウム添加酸化亜鉛酸化物透明導電膜を、真空蒸着法またはIP法を用いて製造するに際し、破損が生じにくく、安定した放電を持続できる焼結体タブレットを提供する。酸化ガリウム粉末を含み、酸化亜鉛粉末を主成分とする混合粉末加圧成形し、得られた成形体を、真空中おいて、900℃〜1300℃の温度で焼成することにより、相対密度が50%〜70%、圧縮強さが70MPa以上、抵抗率が1×10-2Ω・cm以下である酸化ガリウム添加酸化亜鉛系焼結体タブレットを得る。

目的

本発明は、低抵抗で、透過率が大きく、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる酸化物透明導電膜を、真空蒸着法またはイオンプレーティング法を用いて製造するに際して、破損が生じにくく、安定した放電を持続できる酸化亜鉛系焼結体タブレットを提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

ガリウムが添加された酸化亜鉛系焼結体タブレットであって、相対密度が50%〜70%であり、圧縮強さが70MPa以上である酸化亜鉛系焼結体タブレット。

請求項2

抵抗率が1×10-2Ω・cm以下である請求項1に記載の酸化亜鉛系焼結体タブレット。

請求項3

酸化ガリウム粉末を含み、酸化亜鉛粉末を主成分とする混合粉末加圧成形し、得られた成形体を、真空中おいて、900℃〜1300℃の温度で焼成することにより焼結体を得ることを特徴とする酸化亜鉛系焼結体タブレットの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、太陽電池液晶表面素子などに用いられる低抵抗酸化物透明導電膜真空蒸着法イオンプレーティング法で製造する際に、原料として使用される酸化亜鉛系焼結体タブレットに関する。

背景技術

0002

酸化物透明導電膜は、高い導電性と、可視光領域での高い透過率とを有する。このため、酸化物透明導電膜は、太陽電池、液晶表示素子、その他の各種受光素子電極などに利用されているばかりでなく、近赤外線領域波長での反射吸収特性を活かして、自動車建築物窓ガラスなどに用いる熱線反射膜、各種の帯電防止膜冷凍ショーケースなどの防曇用の透明発熱体としても利用されている。

0003

酸化物透明導電膜には、アンチモンフッ素ドーパントとして含む酸化錫アルミニウムガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛、錫をドーパントとして含む酸化インジウムなどが、広範に利用されている。特に、錫をドーパントとして含む酸化インジウムからなる膜は、ITO(Indium tin oxide)膜と称され、低抵抗である酸化物透明導電膜が容易に得られることから、広く用いられている。

0004

これらの酸化物透明導電膜の製造方法としては、真空中で蒸発源を加熱し、蒸発した原料を基板上に堆積させる真空蒸着法、ターゲットアルゴンイオン衝突させて、ターゲットを構成する物質たたき出し、対向する基板に堆積させるスパッタリング法、および、透明導電層形成用塗液を塗布する方法が用いられているが、これらの中でも、真空蒸着法およびスパッタリング法は、蒸気圧の低い材料を使用する際や、精密な膜厚制御を必要とする際に有効な手法であり、操作が非常に簡便であるため、工業的に広範に利用されている。

0005

真空蒸着法によるITO膜成膜では、以前より、電子ビーム蒸着法がよく利用されている。電子ビーム蒸着法では、蒸発源にITO焼結体からなるタブレットペレット)を用いて、成膜室チャンバー)に反応ガスである酸素ガスを導入して、熱電子発生用フィラメント(主に、タングステン線)から飛び出した熱電子を電界加速させてITO焼結体タブレットに照射すると、照射された部分が局所的に高温になり、蒸発して基板に堆積される。

0006

また、蒸発物や反応ガス(酸素ガスなど)を、熱電子エミッタやRF放電を用いて活性化させることにより、低温基板上でも低抵抗の膜を作製することができる。この方法は、活性化反応性蒸着法(ARE法)と呼ばれており、ITO膜の成膜には有用な方法である。

0007

また、プラズマガンを用いた高密度プラズマアシスト蒸着法(HDPE法)もITO膜の成膜に、広範に用いられている。HDPE法では、プラズマ発生装置(プラズマガン)を用いたアーク放電を利用し、プラズマガンに内蔵されたカソードと蒸発源の坩堝アノード)との間で、アーク放電が維持され、カソードから放出される電子を磁場によりガイドして、坩堝に仕込まれたタブレットの局部に集中して照射する。この電子ビームにより、局所的に高温となった部分から蒸発して基板に堆積される。気化した蒸発物や導入した酸素ガスは、プラズマ内で活性化されるため、良好な電気特性を持つITO膜を作製することができる。

0008

真空蒸着法の中で、蒸発物や反応ガスのイオン化を伴うものは、総称してイオンプレーティング法(IP法)と呼ばれ、低抵抗であり、高透過率であるITO膜が得られることから、工業的にも広範に利用されている。

0009

一方、酸化亜鉛(ZnO)系薄膜は、安価であり、透過率が高く、耐プラズマ性に優れていることから、薄膜シリコン太陽電池の電極に用いられている。また、その禁制帯幅が3.4eVと広く、励起子エネルギーが高いことから、近年、発光ダイオードへの応用も盛んに報告されている。さらには、透明薄膜トランジスタへの応用も期待されている。特に、ガリウムを含有した酸化亜鉛系薄膜は、比較的再現性がよく、熱的安定性にも優れ、低抵抗のものが得られることから、着目されている。

0010

このような酸化亜鉛系薄膜を作製する場合も、ITO膜の成膜と同様に、真空蒸着法やイオンプレーティング法が検討されている。たとえば、ガリウムを含有した酸化亜鉛系の薄膜を真空蒸着法やイオンプレーティング法で成膜するための材料として、ガリウムが添加された酸化亜鉛系焼結体タブレットおよびその製造方法が、特許文献1〜4に記載されている。

0011

スパッタリング用の酸化亜鉛系焼結体ターゲットの製造では、真空中でホットプレスにより高密度焼結体を得ている。しかしながら、酸化亜鉛系焼結体タブレットの製造において、原料の成形体を真空中で焼結した場合、酸化亜鉛の蒸気圧が高く、安易に揮発してしまったり、焼結工程においてバインダーの除去が急激に進み過ぎて、焼結体タブレット割れが発生しやすいといった問題があった。

0012

また、高密度が要求されるスパッタリング用焼結体ターゲットと異なり、真空蒸着法およびイオンプレーティング法では、電子ビームが局所的に照射されるため、高密度の焼結体タブレットを用いると、局所的に加熱され、熱衝撃に伴う熱応力により、割れが発生するという問題があった。

0013

このため、特許文献1〜4に記載されているように、酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造する際には、常圧ないしは減圧下における大気雰囲気還元雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気のいずれかの雰囲気中で焼成が行われている。

0014

また、原料粉末の一部を焼成して、仮焼粉末を得て、この仮焼粉末と残余未焼成原料粉末を混合したものを、成形して、焼成することにより、焼結体タブレットの相対密度が50〜70%程度となるようにしている。
特開平6−248427号公報
特開2006−117462号公報
特開2007−56351号公報
特開2007−56352号公報

発明が解決しようとする課題

0015

このように、真空蒸着法またはイオンプレーティング法に用いられる酸化亜鉛系焼結体タブレットは、成膜中における割れ防止のために、その相対密度が50%〜70%程度のものが使用されている。

0016

しかしながら、相対密度が低い分、機械的強度が劣っており、熱応力による割れは防止できても、機械的な力が加わった際に欠けやすいという問題がある。

0017

例えば、成膜装置に酸化亜鉛系焼結体タブレットを連続的に供給するシステムを用いている場合などでは、焼結体タブレットの機械的強度が弱いと、押上げ用ロッドによって、ハース貫通孔に挿入される際に、円柱状の焼結体タブレットが破損して、欠片や粉からなる破損物質が発生する場合がある。この破損物質は、真空槽の中で、たとえば成膜ガス導入による気流と共に舞ってしまい、基板に付着することにより膜の欠陥につながる。また、押上げ用ロッドの軸や回転テーブルの回転軸などに破損物質が堆積することによって、スムーズな駆動に支障をきたし、定期的に破損物質の除去作業が必要になる。さらに、破損物質の量が特に多い場合には、操業を停止して破損物質の除去作業を行わざるを得ず、ライン生産性を大幅に低下させてしまう。

0018

また、ガリウムが添加された酸化亜鉛系焼結体タブレットでは、相対密度が50%〜70%のように低いと、焼結体タブレットの抵抗率が高く、放電が安定しがたいという問題もある。

0019

本発明は、低抵抗で、透過率が大きく、ガリウムが添加された酸化亜鉛からなる酸化物透明導電膜を、真空蒸着法またはイオンプレーティング法を用いて製造するに際して、破損が生じにくく、安定した放電を持続できる酸化亜鉛系焼結体タブレットを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0020

上述のように、ガリウムが添加された酸化亜鉛系焼結体タブレットを製造する際には、通常、大気雰囲気、還元雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気中で焼結が行われている。しかしながら、本発明者が鋭意研究したところ、従来の常識に反し、真空中で焼成を行うことにより、真空蒸着法およびイオンプレーティング法に好適な酸化亜鉛系焼結体タブレットが得られるとの知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。

0021

本発明は、ガリウムを含有した酸化亜鉛系薄膜を、真空蒸着法またはイオンプレーティング法で成膜する際に用いられるガリウムが添加された酸化亜鉛系焼結体タブレットに関する。

0022

特に、本発明では、焼結体タブレットの相対密度が50%〜70%であっても、70MPa以上の圧縮強さを有する点に特徴がある。

0023

なお、当該焼結体タブレットの抵抗率は、1×10-2Ω・cm以下であることが好ましい。

0024

かかる酸化亜鉛系焼結体タブレットは、酸化ガリウム粉末を含み、酸化亜鉛粉末を主成分とする混合粉末加圧成形し、得られた成形体を焼成することにより得られる。

0025

特に、本発明では、前記成形体の焼成を、真空中において900℃〜1300℃で行う点に特徴がある。

0026

なお、焼結体タブレットの相対密度は、酸化ガリウムと酸化亜鉛の混合粉末の一部(40質量%〜70質量%)を焼成し、粉砕して、仮焼粉末を得て、得られた仮焼粉末と未焼成の粉末(30質量%〜60質量%)を混合して、造粒して、造粒粉末を得て、該造粒粉末を49MPa〜147MPaの圧力で加圧成形し、得られた成形体を所定の温度で焼成して、焼結体を得ることにより、50%〜70%の間に調整することができる。

発明の効果

0027

本発明に係る酸化亜鉛系焼結体タブレットは、相対密度が50%〜70%であっても、70MPa以上の圧縮強さを有するため、機械的強度が高く、取扱や成膜において欠けなどが発生しにくい。

0028

また、この焼結体タブレットの抵抗率を1×10-2Ω・cm以下とすることで、放電中にスプラッシュ現象などが発生せず、成膜中の放電を安定させることができる。

0029

このように、本発明の酸化亜鉛系焼結体タブレットを用いることにより、破損物質が発生することなく、安定した放電が持続でき、真空槽内の汚染を防止でき、連続供給システム押上げ用ロッド軸や回転テーブルの回転軸等の機構部品に破損物質が堆積することによる駆動への支障をきたすことなく、効率的な成膜処理を行えるようになり、ラインの生産性を大幅に向上させることができる。

発明を実施するための最良の形態

0030

以下、本発明の酸化亜鉛系焼結体タブレットおよびその製造方法について、造粒、成形、焼結、圧縮強さ、および、抵抗率に分けて、説明する。

0031

(造粒)
まず、酸化亜鉛粉末と、添加酸化物粉末である酸化ガリウム粉末とを、酸化ガリウムが0.5質量%〜10質量%となるように混合して混合粉末を得る。添加する酸化ガリウム量を0.5質量%未満、または10質量%超とすると、製膜後の膜抵抗値が高くなるという問題がある。

0032

次に、混合粉末の一部、具体的には、40質量%〜70質量%について、1000℃〜1300℃、好ましくは、1200〜1250℃で焼成して、粒径を300μm以下にまで粉砕し、仮焼粉末を得る。仮焼粉末の比率を当該範囲に規制することにより、得られる焼結体の密度を50%〜70%の範囲内に調整することができる。

0033

得られた仮焼粉末と、残余の未焼成粉末(30質量%〜60質量%)とを、純粋、純水、有機バインダとしてのポリビニルアルコール、および、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩を、混合粉末濃度が50質量%〜70質量%、好ましくは60質量%となるように混合し、スラリーを作製する。

0034

さらに、得られたスラリーを、スプレードライヤ装置を用いて噴霧および乾燥させることにより、造粒粉末を得る。この場合、乾燥温度を80℃以上にすることが望ましい。乾燥温度が80℃未満であると、十分に乾燥した造粒粉末を得ることができない。また、乾燥が不十分で水分量が多い造粒粉末の場合、続く成形および焼結の工程で、割れが発生する可能性が高くなる。

0035

(成形)
得られた造粒粉末を、例えば、金型中で加圧する機械プレス法などにより、加圧成形して、成形体を得る。成形体を得る工程では、造粒粉末を49MPa(0.5ton/cm2)〜147MPa(1.5ton/cm2)の圧力で成形すると、焼結後に所望の相対密度である焼結体が得られやすくなり、望ましい。

0036

原料として使用している仮焼粉末の使用量、仮焼粉末を得る熱処理温度、および、後工程での焼結温度を一定にすることで、焼結時にタブレットの収縮率をほぼ同一にコントロールすることができる。そのため、タブレットの寸法は、プレス成形での成形体寸法を調整することで決定することができる。なお、好ましくは、プレス成形の金型のエッジ部分をC面取りの形状にすることにより、成形体にC面取りを施すと、成形体や、成形体を焼結させて得られる焼結体を取り扱う際に、欠けなどを防ぐことができる。

0037

(焼結)
得られた成形体を真空中で焼成することにより、酸化亜鉛系焼結体タブレットを得る。このように、真空中における焼成により、効率的にムラなく脱バインダが行われ、焼結体の相対密度が50〜70%であっても、その圧縮強さが70MPa以上という高強度のものが得られる。また、内部に酸素欠損が生じ、キャリア生成により導電性が付与され、成膜時の放電中にスプラッシュ現象などが発生せず、放電が安定するようになる。なお、相対密度は、焼結体の理論密度に対する焼結体のかさ密度の比率である。

0038

焼結は、900〜1300℃、好ましくは1100〜1200℃で行う。焼結温度が900℃未満では、焼結が進行せずに機械的な強度が弱くなる。また、焼結収縮が十分進んでいないために、密度や寸法のバラつきが大きくなる。焼結温度が1300℃を超えると、酸化亜鉛が揮発し、所定の組成からずれることとなる。

0039

(圧縮強さ)
本明細書において、圧縮強さは、基本的にJIS R 1608:2003「セラミックの圧縮強さ試験方法」に準じて測定しているが、試料片の形状は、直径が30mm、高さが40mmの円柱形状としている。

0040

また、加圧する際には、図1に断面図を示したように、タブレットの一方の面に、直径10mmの金属製冶具を0.5mm/minの速度で押し当て、タブレットが破壊したときの荷重を、2個について測定し、平均を圧縮強さとして算出している。なお、金属製治具がタブレットと接触する側の面は、C1の面取りを施している。

0041

本発明の酸化亜鉛焼結体タブレットは、その圧縮強さが70MPa以上である。このように機械的強度が高いため、焼結体タブレットの取扱い、ないしは成膜中における割れや欠けなどの発生が十分に抑制される。

0042

(抵抗率)
本発明の蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットの抵抗率は、安定した放電を持続するために1×10-2Ω・cm以下であることが好ましい。少なくとも1×10-2Ω・cm以下の抵抗率とすると、均一に材料が加熱されるため、スプラッシュ現象が発生しにくくなる。

0043

(実施例1)
平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末が97質量%、平均粒径が2μm以下の酸化ガリウム粉末が3.0質量%となるように、それぞれ量し、得られた酸化亜鉛粉末および酸化ガリウム粉末を、同じ量に2分した。酸化亜鉛粉末の一方、酸化ガリウム粉末の一方、純水、および、ポリカルボン酸アンモニウム塩を、粉末濃度が60質量%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。得られたスラリーを、スプレードライヤー装置(大川原化工業機械株式会社製、ODL−20型)にて噴霧および乾燥し、粒径が300μm以下である混合粉末を得た。

0044

得られた混合粉末を大気圧焼結炉(丸祥電器社製、昇降式高温炉)にて、1200℃で20時間、焼成し、その後、粉砕することで、粒径が300μm以下である仮焼粉末を得た。

0045

得られた仮焼粉末、前述の酸化亜鉛粉末の他方、前述の酸化ガリウム粉末の他方、純水、ポリビニルアルコール、および、ポリカルボン酸アンモニウム塩を、粉末濃度が60質量%であるスラリーとなるように調合し、混合タンクにてスラリーを作製した。得られたスラリーを、前述のスプレードライヤー装置にて噴霧および乾燥し、粒径が300μm以下である造粒粉を得た。

0046

得られた造粒粉を、金型中でウエーブ成形プレス機(三庄インダストリー製)により加圧成形して、直径30mm、厚さ40mmの円柱型である成形体を20個、得た。

0047

得られた成形体を、黒鉛容器内に設置し、真空度0.13Pa(1×10-3Torr)、1100℃で3時間、焼結を施し、本実施例の蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットを20個、作製した。

0048

得られた蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットは、表面を研磨紙にて10回程、擦った後、直径、高さおよび質量を測定し、密度を算出した。理論密度に対するかさ密度の比率である相対密度は、59%であった。

0049

得られた蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットの電子ビーム照射面に対し、四端針法抵抗率計ダイアインスツルメンツ社製、MCP−T360型、ロレスタEP)を用いて、抵抗率を測定したところ、1.8×10-3Ω・cmであった。

0050

また、得られた蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットのうちの2個について、圧縮試験装置(株式会社今田製作所製、SDWS−2012型試験機)を用いて、圧縮強さを測定したところ、圧縮強さは128MPaであった。測定後に、破断面を観察したところ、酸化度の違いによって生じる色ムラはなかった。

0051

さらに、他の蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットを、真空蒸着装置シンクロン社製、BMC800)の中に設置し、電子ビームを照射して蒸着を行ったところ、スプラッシュ現象は発生せず、安定した放電が可能であった。

0052

本実施例の測定結果を表1に示す。

0053

(実施例2)
酸化亜鉛粉末を98.5質量%とし、酸化ガリウム粉末を1.5質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例の蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットを20個、作製した。さらに、実施例1と同様にして、相対密度、圧縮強さ、および、抵抗率を測定した。

0054

さらに、実施例1と同様に、電子ビームを照射して蒸着を行ったところ、スプラッシュ現象は発生せず、安定した放電が可能であった。本実施例の測定結果を表1に示す。

0055

(比較例1)
実施例1と同様にして得られた成形体を、黒鉛容器内に設置し、800℃で3時間、焼結を施し、本比較例の蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットを20個、作製した。さらに、実施例1と同様にして、相対密度、圧縮強さ、および、抵抗率を測定した。焼結温度が低く、焼結が進んでいないためか、圧縮強さは30MPaであり、低強度であった。本比較例の測定結果を表1に示す。

0056

(比較例2)
実施例1と同様にして得られた成形体を、黒鉛容器内に設置し、1350℃で3時間、焼結を施し、本比較例の蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットを20個、作製した。得られた本比較例の蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットは、酸化亜鉛の揮発が大量に発生したためか、外観がぼそぼそしており、化学定量組成分析を実施したところ、配合値に対し0.5質量%以上の組成ずれが発生していた。さらに、実施例1と同様にして、相対密度、圧縮強さ、および、抵抗率を測定した。本比較例の測定結果を表1に示す。

0057

(比較例3)
実施例1と同様にして得られた成形体を、常圧酸素雰囲気中にて、1100℃で3時間、焼結を施し、本比較例の蒸着用酸化亜鉛系焼結体タブレットを20個、作製した。さらに、実施例1と同様にして、相対密度、圧縮強さ、および、抵抗率を測定した。

0058

さらに、実施例1と同様に、電子ビームを照射して蒸着を行ったところ、抵抗率が高いためか、スプラッシュ現象が発生し、安定した放電が困難であった。本比較例の測定結果を表1に示す。

0059

図面の簡単な説明

0060

圧縮強さを測定する装置を示す断面図である。

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