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技術 光起電力素子およびその製造方法

出願人 日新電機株式会社
発明者 出口洋成東大介林司緒方潔
出願日 2008年1月11日 (12年2ヶ月経過) 出願番号 2008-004386
公開日 2009年7月30日 (10年7ヶ月経過) 公開番号 2009-170506
状態 特許登録済
技術分野 ナノ構造物 CVD 光起電力装置 光起電力装置
主要キーワード ポーラス化 テクスチャ化 柱状形状 有機色素分子 アモルファスゲル 非結晶相 略円盤形状 高周波電場
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年7月30日)のものです。
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図面 (20)

課題

低コストが容易な光起電力素子を提供する。

解決手段

光起電力素子10は、p層3、i層4、n層5および電極6を透明導電膜2が形成された絶縁基板1上に順次積層した構造からなる。p層3は、p型a−Si:Hからなり、n層5は、n型a−Si:Hからなる。i層4は、複数の非晶質薄膜41と複数の結晶薄膜42とからなる。そして、複数の非晶質薄膜41および複数の結晶薄膜42は、非晶質薄膜41および結晶薄膜42が相互に接するように絶縁基板1に略垂直な方向に積層される。非晶質薄膜41は、i型a−Si:Hからなり、ナノサイズの結晶粒411と、光を吸収する光吸収剤412とを含む。結晶薄膜42は、i型poly−Siからなる。そして、i層4は、300nm〜1000nmの膜厚を有し、非晶質薄膜41および結晶薄膜42の各々は、10nm〜20nmの膜厚を有する。

概要

背景

従来、量子ドット発電層に含む太陽電池が知られている(特許文献1)。この太陽電池は、基板上に形成されたpin構造からなる。そして、p層は、不純物濃度が1×1018cm−3であるp型GaAsからなる。i層は、GaAsの母体材料と、GaSbからなる量子ドットとを含む。n層は、不純物濃度が1×1018cm−3であるn型GaAsからなる。基板は、不純物濃度が1×1018cm−3であるn型GaAsからなる。

この太陽電池は、基板上にMBE(Molecular Beam Epitaxy)法によってn型GaAs、GaAs/GaSbおよびp型GaAsを順次積層することによって作成される。

この太陽電池は、p型GaAs側から太陽光を受け、i層を構成する母体材料(GaAs)およびi層中に形成された量子ドット(GaSb)によって光を吸収して電子正孔対を生成する。

GaSbのエネルギーバンドギャップは、GaAsのエネルギーバンドギャップよりも小さいので、GaSbからなる量子ドットは、GaAsでは吸収できない長波長側の光を吸収して電子−正孔対を生成する。

したがって、この太陽電池は、i層がGaAsからなる場合よりも多くの光を吸収でき、変換効率が向上する。
特開2006−114815号公報

概要

低コストが容易な光起電力素子を提供する。光起電力素子10は、p層3、i層4、n層5および電極6を透明導電膜2が形成された絶縁基板1上に順次積層した構造からなる。p層3は、p型a−Si:Hからなり、n層5は、n型a−Si:Hからなる。i層4は、複数の非晶質薄膜41と複数の結晶薄膜42とからなる。そして、複数の非晶質薄膜41および複数の結晶薄膜42は、非晶質薄膜41および結晶薄膜42が相互に接するように絶縁基板1に略垂直な方向に積層される。非晶質薄膜41は、i型a−Si:Hからなり、ナノサイズの結晶粒411と、光を吸収する光吸収剤412とを含む。結晶薄膜42は、i型poly−Siからなる。そして、i層4は、300nm〜1000nmの膜厚を有し、非晶質薄膜41および結晶薄膜42の各々は、10nm〜20nmの膜厚を有する。

目的

そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、低コストが容易な光起電力素子を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

光を電気に変換する半導体と異なる材料からなる基板と、前記基板上に形成され、第1の導電型を有する第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に形成され、光を電気に変換する第2の半導体層と、前記第2の半導体層上に形成され、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有する第3の半導体層とを備え、前記第2の半導体層は、非晶質相結晶相光吸収量を増加させる物質とを含む、光起電力素子

請求項2

前記第2の半導体層は、前記非晶質相からなる複数の第4の半導体層と、前記結晶相からなる複数の第5の半導体層と、前記複数の第4の半導体層の少なくとも1つの第4の半導体層中に形成され、各々がナノサイズの結晶粒からなるn(nは正の整数)個の第6の半導体層と、前記n個の第6の半導体層の少なくとも1つに結合され、各々が所定の範囲の波長を有する光を吸収するm(mは正の整数)個の光吸収物質とを含む、請求項1に記載の光起電力素子。

請求項3

前記複数の第4の半導体層の各々は、ポーラス状の非晶質相からなる、請求項2に記載の光起電力素子。

請求項4

前記第2の半導体層は、前記非晶質相からなる複数の第4の半導体層と、前記結晶相からなる複数の第5の半導体層と、前記複数の第5の半導体層の少なくとも1つの周囲に配置され、各々がナノサイズの結晶粒からなるn(nは正の整数)個の第6の半導体層と、前記n個の第6の半導体層の少なくとも1つに結合され、各々が所定の範囲の波長を有する光を吸収するm(mは正の整数)個の光吸収物質とを含む、請求項1に記載の光起電力素子。

請求項5

前記m個の光吸収物質の各々は、金属錯体または有機色素分子からなる、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の光起電力素子。

請求項6

前記複数の第5の半導体層の各々は、一方端が前記第1および第3の半導体層のいずれか一方に接し、かつ、他方端が前記第1および第3の半導体層のいずれか他方に接して形成され、前記第1の半導体層から前記第3の半導体層へ向かう方向へ延伸した柱状構造からなる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光起電力素子。

請求項7

光を電気に変換する半導体と異なる材料からなる基板の上に第1の導電型を有する第1の半導体層を形成する第1のステップと、光を電気に変換し、非晶質相と結晶相と光吸収量を増加させる物質とを含む第2の半導体層を前記第1の半導体層上に形成する第2のステップと、前記第1の導電型と異なる第2の導電型を有する第3の半導体層を前記第2の半導体層上に形成する第3のステップとを備える光起電力素子の製造方法。

請求項8

前記第2の半導体層は、前記非晶質相からなる複数の第4の半導体層と、前記結晶相からなる複数の第5の半導体層と、前記複数の第4の半導体層の少なくとも1つの第4の半導体層中に形成され、各々がナノサイズの結晶粒からなるn(nは正の整数)個の第6の半導体層と、前記n個の第6の半導体層の少なくとも1つに結合され、各々が所定の範囲の波長を有する光を吸収するm(mは正の整数)個の光吸収物質とを含み、前記光起電力素子の製造方法の前記第2のステップは、前記第1の半導体層上に複数の結晶核を形成する第1のサブステップと、前記複数の第4の半導体層が前記複数の結晶核上に形成されるように前記複数の第4の半導体層、前記複数の第5の半導体層および前記n個の第6の半導体層を形成する第2のサブステップと、前記m個の光吸収物質を形成する第3のサブステップとを含む、請求項7に記載の光起電力素子の製造方法。

請求項9

前記第2のサブステップは、前記非結晶相が形成される条件で前記第4および第5の半導体層を堆積するステップAと、前記第6の半導体層を堆積するステップBと、前記ステップAおよび前記ステップBとを所定回数だけ繰り返し実行するステップCとを含む、請求項8に記載の光起電力素子の製造方法。

請求項10

前記第2の半導体層は、前記非晶質相からなる複数の第4の半導体層と、前記結晶相からなる複数の第5の半導体層と、前記複数の第4の半導体層の少なくとも1つの第4の半導体層中に形成され、各々がナノサイズの結晶粒からなるn(nは正の整数)個の第6の半導体層と、前記n個の第6の半導体層の少なくとも1つに結合され、各々が所定の範囲の波長を有する光を吸収するm(mは正の整数)個の光吸収物質とを含み、前記光起電力素子の製造方法の前記第2のステップは、前記第1の半導体層上に複数の結晶核を形成する第1のサブステップと、前記複数の第4の半導体層が前記複数の結晶核上に形成されるように前記複数の第4の半導体層および前記複数の第5の半導体層を形成する第2のサブステップと、前記複数の第4の半導体層をポーラス化する第3のサブステップと、前記ポーラス化された前記第4の半導体層中に前記m個の光吸収物質を形成する第4のサブステップとを含む、請求項7に記載の光起電力素子の製造方法。

技術分野

0001

この発明は、光起電力素子およびその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、量子ドット発電層に含む太陽電池が知られている(特許文献1)。この太陽電池は、基板上に形成されたpin構造からなる。そして、p層は、不純物濃度が1×1018cm−3であるp型GaAsからなる。i層は、GaAsの母体材料と、GaSbからなる量子ドットとを含む。n層は、不純物濃度が1×1018cm−3であるn型GaAsからなる。基板は、不純物濃度が1×1018cm−3であるn型GaAsからなる。

0003

この太陽電池は、基板上にMBE(Molecular Beam Epitaxy)法によってn型GaAs、GaAs/GaSbおよびp型GaAsを順次積層することによって作成される。

0004

この太陽電池は、p型GaAs側から太陽光を受け、i層を構成する母体材料(GaAs)およびi層中に形成された量子ドット(GaSb)によって光を吸収して電子正孔対を生成する。

0005

GaSbのエネルギーバンドギャップは、GaAsのエネルギーバンドギャップよりも小さいので、GaSbからなる量子ドットは、GaAsでは吸収できない長波長側の光を吸収して電子−正孔対を生成する。

0006

したがって、この太陽電池は、i層がGaAsからなる場合よりも多くの光を吸収でき、変換効率が向上する。
特開2006−114815号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、特許文献1に記載された太陽電池は、MBE法を用いて半導体基板上に形成されるため、製造コストを低減し難いという問題がある。

0008

また、特許文献1に記載された太陽電池のi層は、1〜2.5μmの膜厚を有するため、太陽光を十分に吸収できず、変換効率が低いという問題がある。

0009

そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、低コストが容易な光起電力素子を提供することである。

0010

また、この発明の別の目的は、変換効率を向上可能な光起電力素子を提供することである。

0011

さらに、この発明の別の目的は、低コストが容易な光起電力素子の製造方法を提供することである。

0012

さらに、この発明の別の目的は、変換効率を向上可能な光起電力素子の製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0013

この発明によれば、光起電力素子は、基板と、第1の半導体層と、第2の半導体層と、第3の半導体層とを備える。基板は、光を電気に変換する半導体と異なる材料からなる。第1の半導体層は、基板上に形成され、第1の導電型を有する。第2の半導体層は、第1の半導体層上に形成され、光を電気に変換する。第3の半導体層は、第2の半導体層上に形成され、第1の導電型と異なる第2の導電型を有する。そして、第2の半導体層は、非晶質相結晶相光吸収量を増加させる物質とを含む。

0014

好ましくは、第2の半導体層は、複数の第4の半導体層と、複数の第5の半導体層と、n(nは正の整数)個の第6の半導体層と、m(mは正の整数)個の光吸収物質とを含む。複数の第4の半導体層は、非晶質相からなる。複数の第5の半導体層は、結晶相からなる。n個の第6の半導体層は、複数の第4の半導体層の少なくとも1つの第4の半導体層中に形成され、各々がナノサイズの結晶粒からなる。m個の光吸収物質は、n個の第6の半導体層の少なくとも1つに結合され、各々が所定の範囲の波長を有する光を吸収する。

0015

好ましくは、複数の第4の半導体層の各々は、ポーラス状の非晶質相からなる。

0016

好ましくは、第2の半導体層は、複数の第4の半導体層と、複数の第5の半導体層と、n(nは正の整数)個の第6の半導体層と、m(mは正の整数)個の光吸収物質とを含む。複数の第4の半導体層は、非晶質相からなる。複数の第5の半導体層は、結晶相からなる。n個の第6の半導体層は、複数の第5の半導体層の少なくとも1つの周囲に配置され、各々がナノサイズの結晶粒からなる。m個の光吸収物質は、n個の第6の半導体層の少なくとも1つに結合され、各々が所定の範囲の波長を有する光を吸収する。

0017

好ましくは、m個の光吸収物質の各々は、金属錯体または有機色素分子からなる。

0018

好ましくは、複数の第5の半導体層の各々は、一方端が第1および第3の半導体層のいずれか一方に接し、かつ、他方端が第1および第3の半導体層のいずれか他方に接して形成され、第1の半導体層から第3の半導体層へ向かう方向へ延伸した柱状構造からなる。

0019

また、この発明によれば、光起電力素子の製造方法は、光を電気に変換する半導体と異なる材料からなる基板の上に第1の導電型を有する第1の半導体層を形成する第1のステップと、光を電気に変換し、非晶質相と結晶相と光吸収量を増加させる物質とを含む第2の半導体層を第1の半導体層上に形成する第2のステップと、第1の導電型と異なる第2の導電型を有する第3の半導体層を第2の半導体層上に形成する第3のステップとを備える。

0020

好ましくは、第2の半導体層は、複数の第4の半導体層と、複数の第5の半導体層と、n(nは正の整数)個の第6の半導体層と、m(mは正の整数)個の光吸収物質とを含む。複数の第4の半導体層は、非晶質相からなる。複数の第5の半導体層は、結晶相からなる。n個の第6の半導体層は、複数の第4の半導体層の少なくとも1つの第4の半導体層中に形成され、各々がナノサイズの結晶粒からなる。m個の光吸収物質は、n個の第6の半導体層の少なくとも1つに結合され、各々が所定の範囲の波長を有する光を吸収する。そして、光起電力素子の製造方法の第2のステップは、第1の半導体層上に複数の結晶核を形成する第1のサブステップと、複数の第4の半導体層が複数の結晶核上に形成されるように複数の第4の半導体層、複数の第5の半導体層およびn個の第6の半導体層を形成する第2のサブステップと、m個の光吸収物質を形成する第3のサブステップとを含む。

0021

好ましくは、第2のサブステップは、非結晶相が形成される条件で第4および第5の半導体層を堆積するステップAと、第6の半導体層を堆積するステップBと、ステップAおよびステップBとを所定回数だけ繰り返し実行するステップCとを含む。

0022

好ましくは、第2の半導体層は、複数の第4の半導体層と、複数の第5の半導体層と、n(nは正の整数)個の第6の半導体層と、m(mは正の整数)個の光吸収物質とを含む。複数の第4の半導体層は、非晶質相からなる。複数の第5の半導体層は、結晶相からなる。n個の第6の半導体層は、複数の第4の半導体層の少なくとも1つの第4の半導体層中に形成され、各々がナノサイズの結晶粒からなる。m個の光吸収物質は、n個の第6の半導体層の少なくとも1つに結合され、各々が所定の範囲の波長を有する光を吸収する。そして、光起電力素子の製造方法の第2のステップは、第1の半導体層上に複数の結晶核を形成する第1のサブステップと、複数の第4の半導体層が複数の結晶核上に形成されるように複数の第4の半導体層および複数の第5の半導体層を形成する第2のサブステップと、複数の第4の半導体層をポーラス化する第3のサブステップと、ポーラス化された第4の半導体層中にm個の光吸収物質を形成する第4のサブステップとを含む。

発明の効果

0023

この発明においては、光起電力素子は、光を電気に変換する半導体と異なる材料からなる基板の上に第1から第3の半導体層が形成された構造からなる。そして、光を電気に変換する第2の半導体層は、非晶質相と結晶相と光吸収量を増加させる構造物とを含む。

0024

したがって、この発明によれば、光起電力素子の製造コストを低減できる。

0025

また、光を電気に変換する第2の半導体層は、非晶質相と結晶相と光吸収量を増加させる構造物とを含むので、より多くの入射光を吸収して電子および正孔を生成し、その光生成された電子および正孔の輸送特性が改善される。

0026

したがって、この発明によれば、光起電力素子の変換効率を向上できる。

発明を実施するための最良の形態

0027

本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。

0028

[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による光起電力素子の概略断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による光起電力素子10は、絶縁基板1と、透明導電膜2と、p層3と、i層4と、n層5と、電極6とを備える。

0029

透明導電膜2は、絶縁基板1の一主面に形成される。p層3は、透明導電膜2に接して形成される。i層4は、p層3に接して形成される。n層5は、i層4に接して形成される。電極6は、n層5に接して形成される。

0030

絶縁基板1は、たとえば、ガラスからなる。透明導電膜2は、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide)からなり、500nm〜1000nmの範囲の膜厚を有する。p層3は、たとえば、p型水素化アモルファスシリコン(p型a−Si:H)からなり、10nmの膜厚を有する。

0031

i層4は、300nm〜1000nmの膜厚を有し、複数の非晶質薄膜41と、複数の結晶薄膜42とからなる。そして、複数の非晶質薄膜41および複数の結晶薄膜42は、非晶質薄膜41および結晶薄膜42が相互に接するようにp層3からn層5へ向かう方向に積層される。

0032

非晶質薄膜41は、たとえば、2〜10nmの範囲の膜厚を有し、ナノサイズの結晶粒411と光吸収物質412とをi型水素化アモルファスシリコン(i型a−Si:H)中に含む構造からなる。そして、光吸収物質412は、金属錯体または有機色素分子からなり、結晶粒411に結合される。金属錯体の具体例は、Mg−フタロシアニンまたはRu−ターピリジンであり、有機色素分子の具体例は、メロシアニンである。

0033

結晶粒411は、ナノサイズを有するので、非晶質薄膜41は、ナノサイズ効果によって結晶粒411中のフォノンとa−Si:H中のフォノンとのエネルギー差に相当するエネルギーを有する光を吸収して発電に寄与する。また、光吸収物質412は、a−Si:H中の禁制帯中に準位を有し、非晶質薄膜41を構成するa−Si:Hでは吸収できない波長の光(たとえば、約730nmから約800nmの範囲の波長を有する光)を吸収し、発電に寄与する電子および正孔を生成する。つまり、非晶質薄膜41は、a−Si:Hでは吸収できない波長の光を吸収して発電に寄与する。したがって、結晶粒411および光吸収物質412は、光吸収量を増加させる物質である。

0034

結晶薄膜42は、i型の多結晶Si(i型poly−Si)からなり、2〜10nmの範囲の膜厚を有する。

0035

n層5は、n型水素化アモルファスシリコン(n型a−Si:H)からなり、20nmの膜厚を有する。電極6は、たとえば、アルミニウム(Al)からなる。

0036

光起電力素子10は、p層3側から光Lgtを受け、その受けた光Lgtを電気に変換する。

0037

図2は、プラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)装置の概略断面図である。図2を参照して、プラズマCVD装置100は、反応室110と、搬送室120と、アンテナ130,140と、ガス供給管150,160と、支持台170と、アーム180と、ヒーター190と、高周波電源200とを備える。

0038

反応室110は、中空円筒形状を有し、内直径が450mmφである。そして、反応室110は、側壁110Aに排気管111を有する。また、反応室110は、支持台170が通過可能な孔(図示せず)を底面110Bに有する。排気管111は、一方端が反応室110に接続され、他方端が排気装置(図示せず)に接続されている。排気装置は、ターボ分子ポンプおよびロータリーポンプ等からなる。

0039

搬送室120は、中空の円筒形状を有し、反応室110の底面110Bに接して配置されている。そして、搬送室120は、開閉扉121を側壁120Aに有する。

0040

アンテナ130,140は、反応室110の上面110Cを貫通し、一方端が反応室110の上面110Cに接するように反応室110に固定されている。そして、反応室110内に配置されたアンテナ130,140の一部分は、略円弧状に湾曲されている。

0041

ガス供給管150,160は、直径が1/4インチφの配管からなり、一方端が反応室110の上面110Cに接続され、他方端がガスボンベ(図示せず)に接続されている。

0042

支持台170は、略円盤形状を有し、アーム180の一方端に固定されている。そして、支持台170の底面が反応室110の底面110Bに接している場合、反応室110の上面110Cと支持台170との間隔は、400mmである。

0043

アーム180は、搬送室120内に配置されている。ヒーター190は、支持台170の内部に配置されている。高周波電源200は、アンテナ130,140に接続されている。

0044

排気管111は、反応室110内のガス排気する。開閉扉121は、プラズマCVD装置100の操作者によって開閉される。

0045

ガス供給管150,160は、ガスボンベから原料ガスを反応室110内に供給する。より具体的には、ガス供給管150,160は、p層3が形成される場合、シラン(SiH4)ガス、水素(H2)ガスおよびH2ガスによって希釈された5%ジボラン(B2H6)ガスをガスボンベから反応室110内へ供給する。また、ガス供給管150,160は、i層4が形成される場合、SiH4ガスおよびH2ガスをガスボンベから反応室110内へ供給する。さらに、ガス供給管150,160は、n層5が形成される場合、SiH4ガス、H2ガスおよびH2ガスによって希釈された5%ホスフィン(PH3)ガスをガスボンベから反応室110内へ供給する。

0046

支持台170は、試料300を支持する。アーム180は、反応室110の底面110Bと搬送室120の底面120との間で支持台170を上下方向DR1に移動させる。ヒーター190は、試料300を加熱する。高周波電源200は、13.56MHzの高周波電力をアンテナ130,140に印加する。

0047

図3は、図2に示すA方向から見たプラズマCVD装置100の平面図である。図3を参照して、アンテナ130,140およびガス供給管150,160は、アンテナ130,140間を結ぶ線分がガス供給管150,160間を結ぶ線分と直交するように配置される。そして、アンテナ130,140およびガス供給管150,160は、反応室110の側壁110Aから距離L1の位置に配置される。この場合、距離L1は、100〜200mmに設定される。

0048

また、アンテナ130,140とガス供給管150,160との間隔L2は、100mm以上に設定される。

0049

アンテナ130,140は、図3に示す平面図において、100mmの長さを有する。したがって、アンテナ130,140は、反応室110内においては、直径100mmの円に沿って湾曲されている。

0050

プラズマCVD装置100においては、高周波電源200が高周波電力をアンテナ130,140に印加することによって高周波電流がアンテナ130,140に流れ、その流れた高周波電流によってアンテナ130,140の軸の周囲に高周波磁場が発生し、さらに、その発生した高周波磁場によって高周波電場が発生する。そうすると、高周波磁場および高周波電場によってプラズマがアンテナ130,140の周囲で発生する。

0051

このように、プラズマCVD装置100においては、高周波電流が湾曲されたアンテナ130,140に流れることによって、高周波磁場および高周波電場が誘起され、その誘起された高周波磁場および高周波電場によってプラズマが発生するので、プラズマCVD装置100は、誘導結合型のプラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)CVD装置である。

0052

プラズマCVD装置100を用いて薄膜を形成する動作について説明する。薄膜を形成する動作が開始されると、支持台170の底面が搬送室120の底面120Bに接するようにアーム180が下方向へ移動し、開閉扉121が開けられる。そして、試料300が開閉扉121を介して支持台170上に設置され、開閉扉121が閉じられる。

0053

その後、支持台170の底面が反応室110の底面110Bに接するようにアーム180が上方向へ移動する。そして、排気管111を介して反応室110内の真空引が行なわれる。また、ヒーター190は、試料300を所定の温度に加熱する。

0054

そうすると、ガス供給管150,160は、SiH4ガス等をガスボンベから反応室110内に供給する。これによって、反応室110内の圧力は、所定の圧力に設定される。そして、高周波電源200は、所定の高周波電力をアンテナ130,140に印加する。これによって、プラズマがアンテナ130,140の周囲で発生し、薄膜が試料300上に堆積される。

0055

図4および図5は、それぞれ、図1に示す光起電力素子10の製造工程を示す第1および第2の工程図である。光起電力素子10の製造が開始されると、透明導電膜2が形成された絶縁基板1は、洗浄され、プラズマCVD装置100の支持台170上に設置される(図4の(a)参照)。

0056

そして、反応室110の真空引が行なわれ、反応室110内の圧力が所定の到達圧力に達すると、表1に示す形成条件を用いてp層3、i層4およびn層5が透明導電膜2上に順次形成される。

0057

0058

以下、p層3、i層4およびn層5の形成を具体的に説明する。

0059

p層3が形成される場合、ガス供給管150,160は、5〜10sccmのSiH4ガス、27sccmのH2ガスおよび0.5sccmの5%B2H6ガスをガスボンベから反応室110内に供給する。

0060

その後、ヒーター190は、絶縁基板1の温度を200℃に加熱し、高周波電源200は、0.5〜1.0kWの高周波電力をアンテナ130,140に印加する。そして、高周波電源200は、高周波電力をアンテナ130,140に印加し始めてから1分が経過すると、高周波電力のアンテナ130,140への印加を停止する。これによって、p層3が透明導電膜2上に形成される(図4の(b)参照)。

0061

その後、ガス供給管150,160は、5%B2H6ガスの供給を停止し、5〜10sccmのSiH4ガスおよび27sccmのH2ガスを反応室110内に供給する。そして、高周波電源200は、2.0kWの高周波電力を、10分間、アンテナ130,140に印加する。これによって、i層4の非晶質薄膜41がp層3上に形成される(図4の(c)参照)。

0062

その後、ガス供給管130,140は、3.6sccmのSiH4ガスおよび27sccmのH2ガスを反応室110内に供給し、高周波電源200は、3.0kWの高周波電力を、10分間、アンテナ130,140に印加する。これによって、i層4の結晶薄膜42が非晶質薄膜41上に形成される(図4の(d)参照)。

0063

その後、i層4の膜厚が300nm〜1000nmになるまで、上述した工程(c),(d)が繰り返し実行される。これによって、複数の非晶質薄膜41および複数の結晶薄膜42がp層3上に形成される(図4の(e)参照)。

0064

そして、試料は、プラズマCVD装置100から取り出され、その取り出された試料を、金属錯体または有機色素分子を含む溶液に浸漬して陽極酸化を行ない、金属錯体または有機色素分子からなる光吸収物質412を結晶粒411の周囲に形成する。これによって、i層4がp層3上に形成される(図5の(f)参照)。

0065

その後、試料を、再び、プラズマCVD装置100中にセットする。そして、ガス供給管150,160は、5〜10sccmのSiH4ガス、27sccmのH2ガスおよび1sccmの5%PH3ガスを反応室110内に供給し、高周波電源200は、0.5〜1.0kWの高周波電力を、1分間、アンテナ130,140に印加する。これによって、n層5がi層4上に形成される(図5の(g)参照)。

0066

そして、試料は、プラズマCVD装置100から取り出され、蒸着装置を用いてAlがn層5上に形成される。これによって、光起電力素子10が完成する(図5の(h)参照)。

0067

図6は、図1に示す光起電力素子10のエネルギーバンド図である。なお、i層4の非晶質薄膜41は、結晶粒411を含むが、非晶質薄膜41のエネルギーバンドギャップは、a−Si:Hによって主に決定されるので、図6においては、a−Si:Hのエネルギーバンドギャップを示す。

0068

図6を参照して、Ecpは、p層3の伝導帯を表し、Evpは、p層3の価電子帯を表し、Ecnは、n層5の伝導帯を表し、Evnは、n層5の価電子帯を表し、EFは、フェルミレベルを表す。

0069

p層3は、p型a−Si:Hからなるので、約1.7eVのバンドギャップEgpを有し、n層5は、n型a−Si:Hからなるので、約1.7eVのバンドギャップEgnを有する。また、i層4の非晶質薄膜41は、主にi型a−Si:Hからなるので、約1.7eVのバンドギャップEgi1を有し、結晶薄膜42は、i型poly−Siからなるので、1.1eVのバンドギャップEgi2を有する。更に、非晶質薄膜41は、光吸収物質412を含むので、光吸収物質412が形成する準位LVを禁制帯内に有する。そして、この準位LVから非晶質薄膜41の伝導帯端までのギャップEgi3は、約1.5eVである。

0070

その結果、i層4は、p層3からn層5の方向へ周期的に変化するバンドギャップEgiを有する。そして、i層4は、p層3とn層5とによって挟まれているため、i層4の伝導帯および価電子帯は、p層3とn層5との間で傾いている。

0071

非晶質薄膜41は、1.7eV以上のエネルギーを有する光、すなわち、約730nmよりも短波長の光を吸収するとともに、1.7eVよりも小さいエネルギーを有する光(約730nmから約800nmの範囲の長波長を有する光)を吸収し、電子−正孔対を生成する。結晶薄膜42は、1.1eV以上のエネルギーを有する光、すなわち、約1130nmよりも短波長の光を吸収し、電子−正孔対を生成する。

0072

非晶質薄膜41で生成された電子−正孔対は、i層4中に存在する電界によって分離され、電子は、n層5側へ移動し、正孔は、p層3側へ移動する。また、結晶薄膜42で生成された電子−正孔対も、i層4中に存在する電界によって分離され、電子は、非晶質薄膜41を通ってn層5側へ移動し、正孔は、非晶質薄膜41を通ってp層3側へ移動する。i層4には、電界が存在し、非晶質薄膜41を構成するi型a−Si:Hは、禁制帯中に多くの準位が存在するため、結晶薄膜42中で生成された電子および正孔は、i型a−Si:Hの禁制帯中の準位を介してn層5側またはp層3側へ移動可能である。

0073

これによって、非晶質薄膜41および結晶薄膜42中で生成された電子−正孔対は、それぞれ、n層5側およびp層3側へ分離され、発電に寄与する。

0074

一般に、a−Si:Hは、光吸収係数がpoly−Siよりも約1桁程度大きいため、電子−正孔対は、殆ど、非晶質薄膜41中で生成され、発電に寄与する。そして、非晶質薄膜41中で生成された電子および正孔は、i層の全領域がa−Si:Hによって構成されている場合よりも薄いa−Si:Hの領域を通ってそれぞれn層5側およびp層3側へ移動するので、生成された電子−正孔対が発電に寄与する割合は、i層の全領域がa−Si:Hによって構成されている場合よりも高くなる。

0075

また、光起電力素子10においては、結晶薄膜42中でも電子−正孔対が生成され、その生成された電子−正孔対が発電に寄与するので、光起電力素子10は、i層の全領域がa−Si:Hによって構成されている場合よりも長波長の光を吸収して発電に寄与できる。

0076

したがって、光起電力素子10は、i層の全領域がa−Si:Hによって構成されている場合よりも変換効率を向上できる。

0077

そして、光起電力素子10は、上述したように、ガラス等の絶縁基板1上に形成できるので、低コスト化が容易である。

0078

図7は、実施の形態1による他の光起電力素子の概略断面図である。実施の形態1による光起電力素子は、図7に示す光起電力素子10Aであってもよい。図7を参照して、光起電力素子10Aは、図1に示す光起電力素子10の基板1を基板11に代え、透明導電膜2を透明導電膜12に代えたものであり、その他は、光起電力素子10と同じである。

0079

基板11は、ガラス、プラスチックフィルムおよびステンレス等の半導体以外の材料からなる。透明導電膜12は、たとえば、ITOからなり、p層3上に形成される。

0080

そして、光起電力素子10Aは、図4に示す工程(a)において、基板11が準備され、図4に示す工程(b)において、基板11上にn層5が形成され、図4および図5に示す工程(c)〜(f)においてi層4がn層5上に形成され、図5に示す工程(g)においてp層3がi層4上に形成され、図5に示す工程(h)において透明導電膜12がスパッタリングによってp層3上に形成される工程に従って製造される。

0081

上記においては、光起電力素子10,10Aのp層3およびn層5は、a−Si:Hからなると説明したが、この発明においては、これに限らず、光起電力素子10,10Aのp層3およびn層5は、poly−Siからなっていてもよい。この場合、p型poly−Siおよびn型poly−Siは、表2に示す条件を用いて形成される。

0082

0083

また、光起電力素子10,10Aのp層3およびn層5は、水素化アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC:H)および水素化アモルファスシリコンナイトライド(a−SiN:H)等のa−Si:Hよりも大きいバンドギャップを有する材料からなっていてもよい。

0084

p層3およびn層5がa−SiC:Hからなる場合、p層3およびn層5は、表1に示す形成条件にメタン(CH4)ガスの流量を追加した形成条件によって形成される。また、p層3およびn層5がa−SiN:Hからなる場合、p層3およびn層5は、表1に示す形成条件にアンモニア(NH3)ガスの流量を追加した形成条件によって形成される。

0085

また、上記においては、光起電力素子10,10Aは、p層3が透明導電膜2,12に接した構造を有すると説明したが、この発明においては、これに限らず、光起電力素子10,10Aは、n層5が透明導電膜2,12に接した構造であってもよい。

0086

さらに、上記においては、結晶粒411および光吸収物質412は、複数の非晶質薄膜41の全てに形成されると説明したが、この発明においては、これに限らず、結晶粒411および光吸収物質412は、複数の非晶質薄膜41の少なくとも1つの非晶質薄膜41に形成されていればよい。

0087

そして、複数の非晶質薄膜41の少なくとも1つの非晶質薄膜41に形成される結晶粒411の個数は、n(nは正の整数)個であればよく、1個の結晶粒411に結合される光吸収物質412の個数は、m(mは正の整数)個であればよい。

0088

[実施の形態2]
図8は、実施の形態2による光起電力素子の概略断面図である。図8を参照して、実施の形態2による光起電力素子10Bは、図1に示す光起電力素子10のi層4をi層40に代えたものであり、その他は、光起電力素子10と同じである。

0089

i層40は、p層3とn層5との間にp層3およびn層5に接して配置される。そして、i層40は、300〜1000nmの膜厚を有する。

0090

i層40は、複数の非晶質領域401と、複数の結晶領域402とからなる。複数の非晶質領域401および複数の結晶領域402は、絶縁基板1の面内方向において非晶質領域401および結晶領域402が相互に接するように配置される。また、複数の非晶質領域401の各々および複数の結晶領域402の各々は、一方端がp層3に接し、他方端がn層5に接する。

0091

非晶質領域401は、10〜20nmの幅W1を有し、結晶粒411および光吸収物質412がi型a−Si:H中に形成された構造からなる。結晶領域402は、i型poly−Siからなり、10〜20nmの幅W2を有する。

0092

図9および図10は、それぞれ、図8に示す光起電力素子10Bの製造工程を示す第1および第2の工程図である。図9を参照して、光起電力素子10Bは、表3に示す形成条件を用いて製造される。

0093

0094

より具体的には、光起電力素子10Bは、次のように製造される。光起電力素子10Bの製造が開始されると、プラズマCVD装置100を用いて、上述した工程(a),(b)が順次実行され、p層3が絶縁基板1の透明導電膜2上に形成される。

0095

その後、表3のi層の最上段の形成条件を用いて、下地層401Aがp層3上に形成される。下地層401Aは、10〜20nmの膜厚を有し、Siからなる複数の結晶核413がi型a−Si:H中に形成された構造からなる(図9の(c1)参照)。

0096

この場合、下地層401Aは、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2))が15.6%〜27.0%の範囲である形成条件を用いて形成される。

0097

下地層401Aの形成開始から10分が経過すると、ガス供給管150,160から5〜10sccmのSiH4ガスと27sccmのH2ガスとを反応室110へ供給し続けながらアンテナ130,140に印加する高周波電力を3.0kWから0.5〜1.0kWに低下し、下地層401A上に薄膜を、10分間、成長させる(表3のi層の中段参照)。すなわち、a−Si:Hが形成される条件で下地層401A上に薄膜を堆積する。これによって、非晶質領域401の一部および結晶領域402の一部からなる薄膜4011が下地層401A上に形成される(図9の(d1)参照)。

0098

その後、SiH4ガスおよびH2ガスの流量を保持したまま、アンテナ130,140に印加する高周波電力を0.5〜1.0kWから2.0kWに高くし、薄膜を堆積させる(表3のi層の最下段参照)。これによって、結晶粒411を含む薄膜4012が形成される(図9の(e1)参照)。

0099

そして、全体の膜厚が300〜1000nmになるまで図9に示す工程(d1),(e1)を繰り返し実行し、結晶粒411を含む非晶質領域401と、結晶領域402とを含むi層40がp層3上に形成される(図10の(f1)参照)。

0100

その後、試料をプラズマCVD装置100から取り出し、その取り出した試料を金属錯体または有機色素分子を含む溶液に浸漬して陽極酸化を行ない、金属錯体または有機色素分子からなる光吸収物質412を結晶粒411に結合させる。これによって、i層40がp層3上に形成される(図10の(g1)参照)。

0101

そして、試料を、再び、プラズマCVD装置100中にセットする。ガス供給管150,160は、5〜10sccmのSiH4ガス、27sccmのH2ガスおよび1sccmの5%PH3ガスを反応室110内に供給し、高周波電源200は、0.5〜1.0kWの高周波電力を、1分間、アンテナ130,140に印加する。これによって、n層5がi層40上に形成される。

0102

そして、試料は、プラズマCVD装置100から取り出され、蒸着装置を用いてAlがn層5上に形成される。これによって、光起電力素子10Bが完成する(図10の(h1)参照)。

0103

なお、上記においては、i層40は、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2))が15.6%〜27.0%の範囲に設定されて形成されると説明したが、この発明においては、これに限らず、i層40は、一般的には、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2))が50%以下の値に設定されて形成される。

0104

そして、複数の結晶領域402が相対的に多いi層40を形成する場合、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2))は、相対的に高い値に設定され、複数の結晶領域402が相対的に少ないi層40を形成する場合、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2))が相対的に低い値に設定される。

0105

SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2))が相対的に高い場合、サイズが相対的に小さく、かつ、密度が相対的に高い複数の結晶核413が形成され、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2))が相対的に低い場合、サイズが相対的に大きく、かつ、密度が相対的に低い複数の結晶核413が形成されるからである。

0106

上述したように、この発明においては、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2)を制御することによって、結晶粒411および光吸収物質412を含む非晶質領域401と、絶縁基板1に略垂直な方向に柱状形状に成長した複数の結晶領域402とを含むi層40を形成する。

0107

図11は、図8に示すi層40の絶縁基板1の面内方向におけるエネルギーバンド図である。なお、i層40の非晶質領域401は、結晶粒411および光吸収物質412を含むが、非晶質領域401のエネルギーバンドギャップは、a−Si:Hによって主に決定されるので、図8においては、a−Si:Hのエネルギーバンドギャップを示す。

0108

図11を参照して、非晶質領域401は、主にi型a−Si:Hからなるので、Egi1のバンドギャップを有し、結晶領域402は、i型poly−Siからなるので、バンドギャップEgi1よりも小さいバンドギャップEgi2を有する。また、非晶質領域401は、光吸収物質412を含むので、光吸収物質412が形成する準位LVを禁制帯内に有する。そして、この準位LVから非晶質領域401の伝導帯端までのギャップEgi3は、約1.5eVである。

0109

したがって、光起電力素子10Bのi層40においては、伝導帯および価電子帯のエネルギー準位が絶縁基板1の面内方向に周期的に変化する。

0110

そして、i層40は、p層3およびn層5によって挟まれているため、非晶質領域401および結晶領域402には、たとえば、図11紙面上、手前側から奥側へ向かう方向に電界が存在する。

0111

非晶質領域401は、光起電力素子10Bに入射される入射光のうち、バンドギャップEgi1よりも大きいエネルギーの光を吸収するとともに、a−Si:Hの禁制帯中に形成された準位LVによってバンドギャップEgi1よりも小さいエネルギーの光(800nmまでの波長を有する光)を吸収し、電子−正孔対を生成する。そして、非晶質領域401において生成された電子および正孔は、結晶領域402へ移動する。

0112

また、結晶領域402も、光起電力素子10Bに入射された入射光を吸収し、電子−正孔対を生成する。

0113

その結果、非晶質領域401および結晶領域402において生成された電子および正孔は、結晶領域402に印加された電界によって結晶領域402を移動する。より具体的には、非晶質領域401および結晶領域402において生成された電子は、結晶領域402に印加された電界によってp層3側からn層5側へ移動し、非晶質領域401および結晶領域402において生成された正孔は、結晶領域402に印加された電界によってn層5側からp層3側へ移動する。

0114

そして、複数の結晶領域402は、p層3およびn層5の両方に接しているため、i層40で生成された電子および正孔は、殆ど、再結合することなく、それぞれ、n層5およびp層3へ到達し、発電に寄与する。

0115

上述したように、非晶質領域401を構成するi型a−Si:Hは、結晶領域402を構成するi型poly−Siよりも光吸収係数が大きく、非晶質領域401は、結晶粒411および光吸収物質412を含むため、光起電力素子10Bにおいては、非晶質領域401は、主に、光を吸収して電子−正孔対を生成する役割を果たし、結晶領域402は、主に、光生成された電子および正孔を再結合を抑制してそれぞれn層5側およびp層3側へ走行させる役割を果たす。

0116

その結果、光生成された電子および正孔は、再結合し難くなり、変換効率が向上する。

0117

また、非晶質領域401において生成された電子および正孔は、同じ結晶領域402に移動するとは限らず、図11に示すように、非晶質領域401において生成された電子が非晶質領域401の一方側に配置された結晶領域402へ移動し、非晶質領域401において生成された正孔が非晶質領域401の他方側に配置された結晶領域402へ移動することもある。その結果、非晶質領域401において生成された電子および正孔は、絶縁基板1の面内方向において空間的に分離されるため、再結合し難くなる。したがって、光起電力素子10Bにおいては、光生成された電子および正孔が発電に寄与する割合が高くなり、光起電力素子10Bの変換効率を向上できる。

0118

なお、光起電力素子10Bにおいては、非晶質領域401において生成された電子および正孔がi層40に存在する電界によって非晶質領域401中をそれぞれn層5側およびp層3側へ移動して発電に寄与する場合もある。

0119

図12は、実施の形態2による他の光起電力素子の概略断面図である。実施の形態2による光起電力素子は、図12に示す光起電力素子10Cであってもよい。図12を参照して、光起電力素子10Cは、図8に示す光起電力素子10Bのi層40をi層40Aに代えたものであり、その他は、光起電力素子10Bと同じである。

0120

i層40Aは、図8に示すi層40の非晶質領域401、結晶粒411および光吸収物質412をそれぞれ非晶質領域403、結晶粒414および光吸収物質415に代えたものであり、その他は、i層40と同じである。

0121

非晶質領域403は、ポーラスシリコンからなる。結晶粒414は、ナノサイズの結晶シリコンからなり、非晶質領域403と結晶領域402との界面に形成される。光吸収物質415は、上述した光吸収物質412と同じ材料からなり、結晶粒414の周囲に結合される。

0122

図13および図14は、それぞれ、図12に示す光起電力素子10Cの製造工程を示す第1および第2の工程図である。

0123

図13を参照して、光起電力素子10Cは、表4に示す形成条件を用いて製造される。

0124

0125

より具体的には、光起電力素子10Cは、次のように製造される。光起電力素子10Cの製造が開始されると、プラズマCVD装置100を用いて、上述した工程(a),(b),(c1)が順次実行され、p層3および下地層401Aが絶縁基板1の透明導電膜2上に順次形成される。この場合、下地層401Aは、表4のi層の上段の形成条件を用いて形成される。

0126

下地層401Aの形成開始から10分が経過すると、高周波電源200から3.0kWの高周波電力をアンテナ130,140に印加し続けながら、SiH4ガスの流量を3.6sccmに減少し、下地層401A上に薄膜を、150〜500分の間、成長させる(表4のi層の下段参照)。この場合、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2)は、11.8%である。

0127

そうすると、複数の結晶領域402が複数の結晶核413を種として成長し、絶縁基板1の面内方向に非晶質領域401と結晶領域402とが交互に配置された薄膜410がp層3上に形成される(図13の(d2)参照)。

0128

このように、薄膜410は、最初、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2))を相対的に高くして下地層401Aを形成し、その後、SiH4ガスのH2ガスによる希釈率(=SiH4/(SiH4+H2))を低下させて薄膜を成長させることにより、形成される。

0129

その後、試料をプラズマCVD装置100から取り出し、その取り出した試料をフッ酸およびエタノール混合溶液に浸漬して非晶質領域401を非晶質領域403に変え、その後、電気化学的処理陽極化成)を施して非晶質薄膜403と結晶薄膜402との界面に結晶粒414を形成する(図14の(e2)参照)。この場合、電気化学的処理は、エタノールに対して1〜50wt.%のフッ酸(HF)を含む溶液中で10〜100mA/cm2の電流密度電流を流して行われる。

0130

引き続いて、金属錯体または有機色素分子を含む溶液中に試料を浸漬し、陽極酸化によって光吸収物質415を結晶粒414の周囲に形成する。これによって、i層40Aがp層3上に形成される(図14の(f2)参照)。

0131

その後、試料を再びプラズマCVD装置100にセットし、上述したn層5および電極6をi層40A上に順次形成する。これによって、光起電力素子100Cが完成する(図14の(g2)参照)。

0132

光起電力素子10Cにおいては、非晶質領域403が主に光を吸収して電子−正孔対を生成する役割を果たし、結晶領域402が非晶質領域403で生成された電子−正孔対を再結合を抑制してそれぞれn層5側およびp層側3へ移動させる役割を果たす。

0133

そして、非晶質領域403は、上述したように、ポーラスシリコンからなるため、透明導電膜2側から入射した光を多重反射しながら吸収する。その結果、非晶質領域403における光吸収量は、非晶質領域401における光吸収量よりも多くなる。

0134

また、i層40Aは、非晶質領域403と結晶領域402との界面に結晶粒414および光吸収物質415を含むため、非晶質領域403を構成するポーラスシリコン(a−Si:H)では吸収できない約730nm〜800nmの範囲の波長を有する光も吸収する。

0135

したがって、光起電力素子10Cは、光起電力素子10Bよりも多くの光を吸収する。

0136

更に、結晶粒414および光吸収物質415は、非晶質領域403と結晶領域402との界面に形成されるため、結晶粒414および光吸収物質415による光吸収によって生成された電子−正孔対は、殆ど再結合することなく、結晶領域402に移動し、発電に寄与する。

0137

したがって、光起電力素子10Cの変換効率を光起電力素子10Bの変換効率よりも高くできる。

0138

図15は、実施の形態2によるさらに他の光起電力素子の構成図である。実施の形態2による光起電力素子は、図15に示す光起電力素子10Dであってもよい。図15を参照して、光起電力素子10Dは、図8に示す光起電力素子10Bのi層40をi層40Bに代えたものであり、その他は、光起電力素子10Bと同じである。

0139

i層40Bは、300〜1000nmの膜厚D1を有し、複数の結晶領域402Aと非晶質領域404とからなる。複数の結晶領域402Aの各々は、絶縁基板1に略垂直な方向へ成長した略柱状構造を有し、一方端がp層3に接し、他方端が非晶質領域404に接する。そして、複数の結晶領域402Aの各々は、幅W2を有し、絶縁基板1に略垂直な方向において、長さL3を有する。その結果、各結晶領域402Aの他方端とn層5との距離は、L4に設定される。また、隣接する2つの結晶領域402A間の距離は、W1である。そして、複数の結晶領域402Aの各々は、i型poly−Siからなる。

0140

非晶質領域404は、i型a−Si:Hからなり、結晶粒411および光吸収物質412を含む。そして、非晶質領域404は、p層3とn層5との間にp層3、n層5および複数の結晶領域402Aに接して形成される。

0141

結晶領域402Aの長さL3は、i層40Bの膜厚D1に応じて決定される。より具体的には、結晶領域402Aの長さL3は、i層40Bの膜厚D1が相対的に厚くなれば、相対的に長くなり、i層40Bの膜厚D1が相対的に薄くなれば、相対的に短くなる。

0142

たとえば、結晶領域402Aの長さL3は、i層40Bの膜厚D1が300nmである場合、100nm〜200nmの範囲に設定され、i層40Bの膜厚D1が1000nmである場合、850nm〜950nmの範囲に設定される。

0143

また、結晶領域402Aの長さL3は、i層40Bの膜厚D1が変化しても距離L4が略一定になるように決定されてもよい。

0144

図16図17および図18は、それぞれ、図15に示す光起電力素子10Dの製造工程を示す第1、第2および第3の工程図である。なお、図16図17および図18においては、i層40Bの膜厚D1が300nmであり、結晶領域402Aの長さL3が200nmであるとして光起電力素子10Dの製造工程を説明する。

0145

図16を参照して、光起電力素子10Dは、表5に示す形成条件を用いて製造される。

0146

0147

より具体的には、光起電力素子10Dは、次のように製造される。光起電力素子10Dの製造が開始されると、プラズマCVD装置100を用いて、上述した工程(a),(b),(c1)が順次実行され、p層3および下地層401Aが絶縁基板1の透明導電膜2上に順次形成される。この場合、下地層401Aは、表5のi層の最上段の条件を用いて形成される。

0148

そして、下地層401Aの形成開始から10分が経過すると、ガス供給管150,160から供給されるSiH4ガスおよびH2ガスの流量を保持しながら、高周波電源200からアンテナ130,140へ印加される高周波電力を0.5〜1.0kWに低くし、下地層401A上に薄膜を、10分間、成長させる(表5のi層の第2段参照)。これによって、非晶質領域404と結晶領域402Aとの一部からなる薄膜4013がp層3上に形成される(図16の(d3)参照)。

0149

その後、ガス供給管150,160から供給されるSiH4ガスおよびH2ガスの流量を保持しながら、高周波電源200からアンテナ130,140へ印加される高周波電力を2.0kWに高くし、薄膜を、10分間、成長させる(表5のi層の第3段参照)。これによって、結晶粒411を含む非晶質領域404と結晶領域402Aとの一部からなる薄膜4014が薄膜4013上に形成される(図16の(e3)参照)。

0150

そして、結晶領域402Aの長さL3が200nmになるまで工程(d3)および工程(e3)が繰り返し実行され、非晶質領域404と結晶領域402Aとが基板1の面内方向に交互に配置されたi層40Bの一部がp層3上に形成される(図17の(f3)参照)。

0151

引き続いて、ガス供給管150,160から20〜30sccmのSiH4ガスと27sccmのH2ガスとを供給し、高周波電源200からアンテナ130,140へ印加される高周波電力を0.1〜0.3kWに低くし、薄膜を、10分間、成長させる(表5のi層の第4段参照)。これによって、a−Si:Hからなる薄膜4015が非晶質領域404および結晶領域402A上に形成される(図17の(g3)参照)。

0152

その後、ガス供給管150,160から5〜10sccmのSiH4ガスと27sccmのH2ガスとを供給し、高周波電源200からアンテナ130,140へ印加される高周波電力を2.0kWに高くし、薄膜を、10分間、成長させる(表5のi層の最下段参照)。これによって、結晶粒411を含むa−Si:Hからなる薄膜4016が形成される(図17の(h3)参照)。

0153

そして、i層40Bの膜厚が300nmになるまで、工程(g3)および工程(h3)が繰り返し実行され、結晶粒411を含む非晶質領域404および結晶領域402Aがp層3上に形成される(図18の(j1)参照)。

0154

そうすると、試料をプラズマCVD装置100から取り出し、その取り出した試料を金属錯体または有機色素分子を含む溶液に浸漬して陽極酸化を行ない、光吸収物質412を結晶粒411の周囲に結合させる。これによって、i層40Bが形成される(図18の(k1)参照)。

0155

その後、上述したn層5および電極6をi層40B上に順次形成し、光起電力素子10Dが完成する(図18の(m1)参照)。

0156

光起電力素子10Dのi層40Bのうち、絶縁基板1の面内方向において結晶領域402Aと非晶質領域404とが交互に配置された領域のエネルギーバンド図は、図11に示すエネルギーバンド図と同じであるので、この領域で生成された電子および正孔は、上述したように、主に結晶領域402Aを走行して発電に寄与する。

0157

その結果、光起電力素子10Dにおいては、光生成された電子および正孔の輸送特性は、i層が全てa−Si:Hによって構成される場合よりも向上する。

0158

したがって、光起電力素子10Dの変換効率をi層が全てa−Si:Hによって構成される光起電力素子よりも高くできる。

0159

図19は、実施の形態2によるさらに他の光起電力素子の概略断面図である。実施の形態2による光起電力素子は、図19に示す光起電力素子10Eであってもよい。図19を参照して、光起電力素子10Eは、図8に示す光起電力素子10Bのi層40をi層40Cに代えたものであり、その他は、光起電力素子10Bと同じである。

0160

i層40Cは、300〜1000nmの膜厚D1を有し、複数の結晶領域402Bと非晶質領域405とからなる。複数の結晶領域402Bの各々は、絶縁基板1に略垂直な方向へ成長した略柱状構造を有し、一方端がn層5に接し、他方端が非晶質領域405に接する。そして、複数の結晶領域402Bの各々は、幅W2を有し、絶縁基板1に略垂直な方向において、長さL5を有する。その結果、各結晶領域402Bの他方端とp層3との距離は、L6に設定される。また、隣接する2つの結晶領域402B間の距離は、W1である。そして、複数の結晶領域402Bの各々は、i型poly−Siからなる。

0161

非晶質領域405は、i型a−Si:Hからなり、結晶粒411および光吸収物質412を含む。そして、非晶質領域405は、p層3とn層5との間にp層3、n層5および複数の結晶領域402Bに接して形成される。

0162

結晶領域402Bの長さL5は、i層40Cの膜厚D1に応じて決定される。より具体的には、結晶領域402Cの長さL5は、i層40Cの膜厚D1が相対的に厚くなれば、相対的に長くなり、i層40Cの膜厚D1が相対的に薄くなれば、相対的に短くなる。

0163

たとえば、結晶領域402Bの長さL5は、i層40Cの膜厚D1が300nmである場合、100nm〜200nmの範囲に設定され、i層40Cの膜厚D1が1000nmである場合、850nm〜950nmの範囲に設定される。

0164

また、結晶領域402Bの長さL5は、i層40Cの膜厚D1が変化しても距離L6が略一定になるように決定されてもよい。

0165

図20図21および図22は、それぞれ、図19に示す光起電力素子10Eの製造工程を示す第1、第2および第3の工程図である。なお、図20図21および図22においては、i層40Cの膜厚D1が300nmであり、結晶領域402Bの長さL5が200nmであるとして光起電力素子10Eの製造工程を説明する。

0166

図20を参照して、光起電力素子10Eは、表6に示す形成条件を用いて製造される。

0167

0168

より具体的には、光起電力素子10Eは、次のように製造される。光起電力素子10Eの製造が開始されると、プラズマCVD装置100を用いて、上述した工程(a),(b)が順次実行され、p層3が絶縁基板1の透明導電膜2上に順次形成される。

0169

そして、ガス供給管150,160から20〜30sccmのSiH4ガスと27sccmのH2ガスとを供給し、0.1〜0.3kWの高周波電力を高周波電源200からアンテナ130,140へ印加し、p層3上に薄膜を、10分間、成長させる(表6のi層の最上段参照)。これによって、a−Si:Hからなる薄膜4017がp層3上に形成される(図20の(c2)参照)。

0170

その後、ガス供給管150,160から5〜10sccmのSiH4ガスと27sccmのH2ガスとを反応室110に供給し、2.0kWの高周波電力を高周波電源200からアンテナ130,140に印加し、薄膜を、10分間、成長させる(表6のi層の第2段参照)。これによって、結晶粒411を含む薄膜4018が形成される(図20の(d4)参照)。

0171

そして、非晶質領域405の長さL6が100nmになるまで工程(c2)および工程(d4)が繰り返し実行され、a−Si:Hからなる薄膜4051がp層3上に形成される(図20の(e4)参照)。

0172

引き続いて、ガス供給管150,160から供給されるSiH4ガスおよびH2ガスの流量を保持しながら、高周波電源200からアンテナ130,140へ印加される高周波電力を3.0kWに高くし、薄膜を、10分間、成長させる(表6のi層の第3段参照)。これによって、結晶核413を含む下地層401Aが薄膜4051に形成される(図21の(f4)参照)。

0173

その後、ガス供給管150,160から供給されるSiH4ガスおよびH2ガスの流量を保持しながら、高周波電源200からアンテナ130,140へ供給される高周波電力を0.5〜1.0kWに低くし、薄膜を、10分間、成長させる(表6のi層の第4段参照)。これによって、非晶質領域405の一部と結晶領域402Bの一部とからなる薄膜4019が形成される(図21の(g4)参照)。

0174

そして、ガス供給管150,160から供給されるSiH4ガスおよびH2ガスの流量を保持しながら、高周波電源200からアンテナ130,140へ印加される高周波電力を2.0kWに高くし、薄膜を、10分間、成長させる(表6のi層の最下段参照)。これによって、結晶粒411を含む非晶質領域405の一部と結晶領域402Bの一部とからなる薄膜4020が薄膜4019上に形成される(図21の(h4)参照)。

0175

その後、i層40Cの膜厚が300nmになるまで、すなわち、結晶領域402Bの長さL5が200nmになるまで工程(g4)および工程(h4)が繰り返し実行され、結晶粒411を含む非晶質領域405と結晶領域402Bとからなる薄膜4052がp層3上に形成される(図22の(j2)参照)。

0176

そうすると、試料をプラズマCVD装置100から取り出し、その取り出した試料を金属錯体または有機色素分子を含む溶液に浸漬して陽極酸化を行ない、光吸収物質412を結晶粒411の周囲に結合させる。これによって、i層40Cが形成される(図22の(k2)参照)。

0177

その後、上述したn層5および電極6をi層40C上に順次形成し、光起電力素子10Eが完成する(図22の(m2)参照)。

0178

光起電力素子10Eのi層40Cのうち、絶縁基板1の面内方向において結晶領域402Bと非晶質領域405とが交互に配置された領域のエネルギーバンド図は、図11に示すエネルギーバンド図と同じであるので、この領域で生成された電子および正孔は、上述したように、主に結晶領域402Bを走行する。

0179

その結果、光起電力素子10Eにおいては、光の入射面側(p層3側)から遠い位置で光生成された電子および正孔(すなわち、太陽光の長波長側の光によって生成された電子および正孔)の輸送特性は、i層が全てa−Si:Hによって構成される場合よりも向上する。

0180

したがって、光起電力素子10Eの変換効率をi層が全てa−Si:Hによって構成される光起電力素子よりも高くできる。

0181

また、光起電力素子10Eにおいては、光の入射面側にa−Si:Hからなる領域が配置され、光の入射面から遠い位置に結晶領域402Bが配置されているので、光起電力素子10Eは、光の入射面に近い領域で短波長の光を電気に変換し、光の入射面から遠い領域で長波長の光を電気に変換する。

0182

その結果、短波長から長波長の光までを効率良く電気に変換でき、変換効率を向上できる。

0183

さらに、実施の形態2による光起電力素子は、図15に示す光起電力素子10Dのi層40Bの非晶質領域404の結晶粒411および光吸収物質412をそれぞれ結晶粒414および光吸収物質415に代えた光起電力素子であってもよい。

0184

さらに、実施の形態2による光起電力素子は、図19に示す光起電力素子10Eのi層40Cの非晶質領域405の結晶粒411および光吸収物質412をそれぞれ結晶粒414および光吸収物質415に代えた光起電力素子であってもよい。

0185

さらに、実施の形態2による光起電力素子は、図8に示す光起電力素子10B、図12に示す光起電力素子10C、図15に示す光起電力素子10Dおよび図19に示す光起電力素子10Eのいずれかを図7に示す光起電力素子10Aのタイプに変えた光起電力素子であってもよい。

0186

なお、上記においては、結晶粒411および光吸収物質412は、複数の非晶質領域401,404,405の全てに形成されると説明したが、この発明においては、これに限らず、結晶粒411および光吸収物質412は、複数の非晶質領域401,404,405の少なくとも1つの非晶質領域401,404,405に形成されていればよい。

0187

そして、複数の非晶質領域401,404,405の少なくとも1つの非晶質領域401,404,405に形成される結晶粒411の個数は、n(nは正の整数)個であればよく、1個の結晶粒411に結合される光吸収物質412の個数は、m(mは正の整数)個であればよい。結晶粒414および光吸収物質415についても同様である。

0188

また、上記においては、結晶粒411および光吸収物質412は、複数の非晶質領域401と複数の結晶領域402との複数の界面の全てに形成されると説明したが、この発明においては、これに限らず、結晶粒411および光吸収物質412は、複数の界面の少なくとも1つの界面に形成されていればよい。

0189

そして、少なくとも1つの界面に形成される結晶粒411の個数は、n個であればよく、1個の結晶粒411に結合される光吸収物質412の個数は、m個であればよい。結晶粒414および光吸収物質415についても同様である。

0190

その他は、実施の形態1と同じである。

0191

なお、上記においては、透明導電膜2,12は、ITOからなると説明したが、この発明においては、これに限らず、透明導電膜2,12は、ZnO(Zinc Oxide)およびSnO2(Tin Oxide)のいずれかからなっていてもよい。

0192

また、透明導電膜2,12および基板11は、テクスチャ化されていてもよい。

0193

さらに、上記においては、i層4は、a−Si:Hとpoly−Siとからなると説明したが、この発明においては、これに限らず、i層4は、水素化アモルファスゲルマニウム(a−Ge:H)と結晶ゲルマニウム(c−Ge)および水素化アモルファスシリコンゲルマニウム(a−SiGe:H)と結晶シリコンゲルマニウムのいずれかからなっていてもよい。

0194

この発明においては、結晶粒411および/または光吸収物質412は、光吸収量を増加させる「物質」を構成する。

0195

また、この発明においては、結晶粒414および/または光吸収物質415は、光吸収量を増加させる「物質」を構成する。

0196

今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0197

この発明は、低コストが容易な光起電力素子に適用される。また、この発明は、変換効率を向上可能な光起電力素子に適用される。さらに、この発明は、低コストが容易な光起電力素子の製造方法に適用される。さらに、この発明は、変換効率を向上可能な光起電力素子の製造方法に適用される。

図面の簡単な説明

0198

この発明の実施の形態1による光起電力素子の概略断面図である。
プラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)装置の概略断面図である。
図2に示すA方向から見たプラズマCVD装置の平面図である。
図1に示す光起電力素子の製造工程を示す第1の工程図である。
図1に示す光起電力素子の製造工程を示す第2の工程図である。
図1に示す光起電力素子のエネルギーバンド図である。
実施の形態1による他の光起電力素子の概略断面図である。
実施の形態2による光起電力素子の概略断面図である。
図8に示す光起電力素子の製造工程を示す第1の工程図である。
図8に示す光起電力素子の製造工程を示す第2の工程図である。
図8に示すi層の絶縁基板1の面内方向におけるエネルギーバンド図である。
実施の形態2による他の光起電力素子の概略断面図である。
図12に示す光起電力素子の製造工程を示す第1の工程図である。
図12に示す光起電力素子の製造工程を示す第2の工程図である。
実施の形態2によるさらに他の光起電力素子の構成図である。
図15に示す光起電力素子の製造工程を示す第1の工程図である。
図15に示す光起電力素子の製造工程を示す第2の工程図である。
図15に示す光起電力素子の製造工程を示す第3の工程図である。
実施の形態2によるさらに他の光起電力素子の概略断面図である。
図19に示す光起電力素子の製造工程を示す第1の工程図である。
図19に示す光起電力素子の製造工程を示す第2の工程図である。
図19に示す光起電力素子の製造工程を示す第3の工程図である。

符号の説明

0199

1,11基板、2,12 透明導電膜、3 p層、4,4A,4B,40,40A,40B,40Ci層、5n層、6電極、10,10A,10B,10C,10D,10E光起電力素子、41非晶質薄膜、42結晶薄膜、100プラズマCVD装置、110反応室、110A,120A側壁、110B,120B 底面、110C 上面、111排気管、120搬送室、121開閉扉、130,140アンテナ、150,160ガス供給管、170支持台、180アーム、190ヒーター、200高周波電源、300試料、401,403,404,405非晶質領域、401A下地層、402,402A,402B結晶領域、411,414結晶粒、412,415光吸収物質、413結晶核、4011〜4020,4051,4052薄膜。

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