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技術 構造物の補強構造

出願人 学校法人神奈川大学有限会社I・R・T
発明者 岩田衛川合廣樹
出願日 2008年1月9日 (12年2ヶ月経過) 出願番号 2008-001938
公開日 2009年7月23日 (10年7ヶ月経過) 公開番号 2009-162013
状態 未査定
技術分野 既存建築物への作業
主要キーワード 直交異方性 均質材料 曲げ試験装置 共通事項 枚合わせ 最大引張力 つかみ部 最大曲げ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年7月23日)のものです。
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図面 (10)

課題

補強部材を軽量化でき、補強作業の作業性の向上が図れる構造物補強構造を提供すること。

解決手段

一対の鋼板11と、これに挟持される炭素繊維シート12とをエポキシ樹脂18で接着して構成される補強パネル10を耐震壁2の表面に貼付して構成する。炭素繊維シート12は、3層の炭素繊維層14〜16を有し、炭素繊維層14〜16は、1方向に延設された炭素繊維17によって構成される。炭素繊維17の延設方向が耐震壁2に作用する引張方向に沿うように、補強パネル10が貼付される。従って、炭素繊維シート12の強度が鋼板11の強度よりも大きいので、補強パネル10の厚さ寸法が従来の鋼板のみの補強部材よりも薄く設定されても、従来と同程度以上の強度を維持することができ、補強パネル10の軽量化を図ることができる。従って、補強パネル10を軽量化でき、補強作業の作業性の向上が図れる。

概要

背景

従来、構造物補強構造として、既存の鉄筋コンクリートの表面に鋼板貼付する補強構造が知られている。
例えば、鉄筋コンクリート製耐震壁を備えた既存の構造物において、耐震性をさらに向上させるため、耐震壁の表面に鋼板を貼付した補強構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。

特開平11−324337号公報

概要

補強部材を軽量化でき、補強作業の作業性の向上がれる構造物の補強構造を提供すること。一対の鋼板11と、これに挟持される炭素繊維シート12とをエポキシ樹脂18で接着して構成される補強パネル10を耐震壁2の表面に貼付して構成する。炭素繊維シート12は、3層の炭素繊維層14〜16を有し、炭素繊維層14〜16は、1方向に延設された炭素繊維17によって構成される。炭素繊維17の延設方向が耐震壁2に作用する引張方向に沿うように、補強パネル10が貼付される。従って、炭素繊維シート12の強度が鋼板11の強度よりも大きいので、補強パネル10の厚さ寸法が従来の鋼板のみの補強部材よりも薄く設定されても、従来と同程度以上の強度を維持することができ、補強パネル10の軽量化をることができる。従って、補強パネル10を軽量化でき、補強作業の作業性の向上がれる。

目的

本発明の目的は、補強部材を軽量化でき、補強作業の作業性の向上が図れる構造物の補強構造を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

鋼板と、前記鋼板の表面に貼付される炭素繊維シートと、前記鋼板の表面に前記炭素繊維シートを接着する接着部材と、を有する補強部材構造物の表面に貼付して構成される構造物の補強構造であって、前記炭素繊維シートは、単数または複数の炭素繊維層を有し、前記炭素繊維層は、1方向に延設された炭素繊維によって構成され、前記炭素繊維の延設方向が前記構造物に作用する引張方向に沿うように、前記補強部材が貼付されていることを特徴とする構造物の補強構造。

請求項2

請求項1に記載の構造物の補強構造において、前記炭素繊維シートは、前記複数の炭素繊維層を有し、前記各炭素繊維層における前記炭素繊維の延設方向は、互いに直交することを特徴とする構造物の補強構造。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の構造物の補強構造において、前記炭素繊維シートは、2枚の前記鋼板によって挟持されることを特徴とする構造物の補強構造。

請求項4

請求項1から請求項3のいずれかに記載の構造物の補強構造において、前記構造物は、耐震壁を備え、前記耐震壁の表面は、複数の領域に区画され、前記補強部材は、前記領域毎に貼付されることを特徴とする構造物の補強構造。

請求項5

請求項1から請求項3のいずれかに記載の構造物の補強構造において、前記構造物は、鉄骨梁を備え、前記補強部材は、前記鉄骨梁の表面に貼付されることを特徴とする構造物の補強構造。

請求項6

請求項1から請求項3のいずれかに記載の構造物の補強構造において、前記構造物は、コンクリート梁を備え、前記補強部材は、前記コンクリート梁の表面に貼付されることを特徴とする構造物の補強構造。

技術分野

0001

本発明は、炭素繊維シートを使用する構造物補強構造に関する。

背景技術

0002

従来、構造物の補強構造として、既存の鉄筋コンクリートの表面に鋼板貼付する補強構造が知られている。
例えば、鉄筋コンクリート製耐震壁を備えた既存の構造物において、耐震性をさらに向上させるため、耐震壁の表面に鋼板を貼付した補強構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。

0003

特開平11−324337号公報

発明が解決しようとする課題

0004

前記特許文献1に記載の補強構造では、既存の耐震壁に鋼板を貼付する作業が必要となるが、鋼板の重量が過大であったりすると、作業性が著しく悪化してしまう。一方、作業者が取り扱うことのできる重量となるように、鋼板を小さく分割すると、補強部材としての鋼板の数量が増加してしまい、いずれにしても作業性の向上が課題となる。

0005

本発明の目的は、補強部材を軽量化でき、補強作業の作業性の向上が図れる構造物の補強構造を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明の構造物の補強構造は、鋼板と、前記鋼板の表面に貼付される炭素繊維シートと、前記鋼板の表面に前記炭素繊維シートを接着する接着部材と、を有する補強部材を構造物の表面に貼付して構成される構造物の補強構造であって、前記炭素繊維シートは、単数または複数の炭素繊維層を有し、前記炭素繊維層は、1方向に延設された炭素繊維によって構成され、前記炭素繊維の延設方向が前記構造物に作用する引張方向に沿うように、前記補強部材が貼付されていることを特徴とする。

0007

ここで、構造物とは、梁、壁などの建築物の構成要素を示す。なお、構造物の構造種別構造形式は、特に限定されるものではなく、鉄筋コンクリート造RC造)や鉄骨造(S造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)等の任意の構造種別が選択可能であり、ラーメン構造壁式構造等の任意の構造形式が選択可能である。
また、炭素繊維層とは、炭素繊維の束(ストランド)を1方向に延設して構成されるものを示す。また、炭素繊維シートには、単数の炭素繊維層で構成されたものに限らず、炭素繊維層を複数枚積層させたものも含まれる。また、炭素繊維シートには、ストランドを織って構成された織布(クロス)も含まれる。

0008

この構成によれば、炭素繊維自体の強度が鋼板の強度よりも大きいので、補強部材の厚さ寸法を従来の鋼板のみの補強部材よりも薄くしても、従来と同程度以上の補強部材の強度を維持することができ、補強部材の軽量化を図ることができる。従って、補強部材自体の比重を小さくでき、補強作業の作業性の向上が図れる。

0009

また、炭素繊維層の層数を適宜設定し、補強パネルの厚さ寸法における炭素繊維シートの厚さ寸法の占める割合を自由に設定することができるので、補強部材を様々な物性に対応した所謂、テーラーメード材料として用いることができる。
さらに、鋼板と組み合わせによって、炭素繊維シートのみの場合と比べて、炭素繊維層の直交異方性が補強部材の特性として強く表れるのを緩和させることができ、均質材料のように複雑な応力に対する強度を維持できる。

0010

また、補強部材は、鋼板に炭素繊維シートを接着部材で貼付して形成されるので、炭素繊維シートのみを構造物に貼付するのと比べて、補強部材を構造物の表面に容易に設置することができる。すなわち、補強部材をプレハブ化して、現場作業の効率化を図れる。
なお、炭素繊維シートの接着面を構造物に向けて、補強部材を構造物に貼付することによって、補強後の構造物の表面が鋼板の表面となり、着色等の表面加工性に優れた補強構造とすることができる。

0011

本発明の構造物の補強構造は、前記炭素繊維シートは、前記複数の炭素繊維層を有し、前記各炭素繊維層における前記炭素繊維の延設方向は、互いに直交することが好ましい。
この構成によれば、ストランドの延設方向を互いに直交させるようにして、複数の炭素繊維層を積層させることにより、層数に比例した補強性能を有する補強部材を構成できる。従って、層数を設定するだけで最適な補強性能を有する補強部材を容易に構成することができる。

0012

本発明の構造物の補強構造は、前記炭素繊維シートは、2枚の前記鋼板によって挟持されることが好ましい。
この構成によれば、補強部材が2枚の鋼板と炭素繊維シートとのサンドイッチ構造になっているので、炭素繊維シートを直接触れずに補強部材を構造物に貼付することができる。また、補強部材の表裏いずれの面を構造物に対して貼付しても、補強構造の表面が鋼板の表面となるので、着色等の表面加工性に優れた補強構造とすることができる。

0013

本発明の構造物の補強構造は、前記構造物は、耐震壁を備え、前記耐震壁の表面は、複数の領域に区画され、前記補強部材は、前記領域毎に貼付されることが好ましい。
この構成によれば、補強部材により耐震壁の強度が向上され、構造物の耐震性を向上させることができる。また、作業者の負担を考慮して補強部材の大きさを設定し、設定された補強部材の大きさに応じて、耐震壁の表面を複数の領域に区画することによって、作業者の負担が軽減される。

0014

本発明の構造物の補強構造は、前記構造物は、鉄骨梁を備え、前記補強部材は、前記鉄骨梁の表面に貼付されることが好ましい。
この構成によれば、例えば、H型鋼I型鋼などの鉄骨梁におけるフランジ下面に、補強部材を貼付することにより、鉄骨梁の高さ寸法が小さい場合であっても、見かけ剛性を高めることができ、鉄骨梁の撓みを小さくすることができる。いわゆる撓み制御の機能を備えることができる。

0015

本発明の構造物の補強構造は、前記構造物は、コンクリート梁を備え、前記補強部材は、前記コンクリート梁の表面に貼付されることが好ましい。
この構成によれば、コンクリート梁の下面に補強部材を貼付して、コンクリート梁のひび割れを抑制することができる。いわゆるひび割れ制御の機能を備えることができる。

発明を実施するための最良の形態

0016

[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の構造物1を構成する耐震壁2の補強構造を示す正面図である。図2は、耐震壁2の補強構造を示す縦断面図である。
図1図2において、構造物1は、鉄筋コンクリート柱3および鉄筋コンクリート梁4を有する鉄筋コンクリート造(RC造)のラーメン架構)構造を形成している。鉄筋コンクリート柱3と鉄筋コンクリート梁4とで構成される架構(図1の中央)には、鉄筋コンクリートの耐震壁2が設けられている。
耐震壁2の表面全体には、本発明の補強部材である複数の補強パネル10が接着剤で貼付されている。
1枚の補強パネル10の高さ寸法Hは、例えば、500mm〜700mmの範囲で設定され、幅寸法Wは、例えば、800mm〜1000mmの範囲で設定される。耐震壁2の表面は複数の領域に区画され、各領域毎に、補強パネル10が貼付される。本実施形態では、補強パネル10は、耐震壁2の幅方向図1中の左右方向)に8列、高さ方向(図1中の上下方向)に6行、合計48枚並設されている。

0017

図3は、補強パネル10の構造を部分的に破断して示す斜視図である。
図3において、補強パネル10は、一対の鋼板11と、これらの鋼板11に挟持される炭素繊維シート12とを有して構成されている。鋼板11の表面には、炭素繊維シート12が接着部材である熱硬化性樹脂エポキシ樹脂など)18(図4)によって貼付されている。

0018

炭素繊維シート12は、3層の炭素繊維層14,15,16を積層して形成され、各炭素繊維層14,15,16は、1方向に延設された炭素繊維の束(ストランド)17によって構成される。この炭素繊維は、鋼板と略同等のヤング係数を有するとともに、鋼板の約8倍の引張強度を有している。各炭素繊維層14,15,16同士は、互いにストランド17の延設方向が直交して積層される。また、各炭素繊維層14,15,16同士は、例えば、未硬化のエポキシ樹脂18を各炭素繊維層14,15,16間に含浸させ、積層させた後、熱処理することによって、一体成形される。

0019

本実施形態では、鋼板の厚さ寸法T1は、1.6mmに設定され、炭素繊維層14,15,16の厚さ寸法T2は、約0.1mmに設定される。従って、補強パネル10全体の厚さ寸法Tは、約3.5mmに設定されている。なお、本発明の補強パネル10の厚さ寸法Tとしては、1mm〜5mmの範囲で構成され、鋼板11の厚さ寸法T1は、1mm〜4mmの範囲内で設定され、炭素繊維シート12の厚さ寸法は、0.05mm〜1mmの範囲内で設定されるのが好ましい。

0020

図4は、補強パネル10で補強された耐震壁2の断面図である。
図4に示すように、補強パネル10は、エポキシモルタル19によって、耐震壁2の表面に接着される。
なお、炭素繊維層14,16のストランド17の延設方向が、耐震壁2の幅方向(水平方向)と平行になるように、補強パネル10が耐震壁2に貼付されている。

0021

このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)炭素繊維シート12の強度が鋼板11の強度よりも大きいので、補強パネル10の厚さ寸法Tが従来の鋼板のみの補強部材よりも薄く設定されても、従来と同程度以上の強度を維持することができ、補強パネル10の軽量化を図ることができる。従って、補強パネル10自体の比重を小さくでき、補強作業の作業性の向上が図れる。

0022

(2)作業者の負担を考慮して補強パネル10の大きさを設定し、設定された補強パネル10の大きさに応じて、耐震壁2の表面を複数の領域に区画することによって、作業者の負担を軽減することができる。

0023

(3)炭素繊維層14,15,16の層数を適宜設定し、補強パネル10の厚さ寸法Tにおける炭素繊維シート12の厚さ寸法の占める割合を自由に設定することができるので、補強パネル10を様々な物性に対応した所謂、テーラーメード材料として用いることができる。

0024

(4)鋼板11と組み合わせによって、炭素繊維シート12のみの場合と比べて、炭素繊維層14,15,16の直交異方性が補強パネル10の特性として強く表れるのを緩和することができ、均質材料のように複雑な応力に対する強度を維持できる。

0025

(5)補強パネル10は、鋼板11に炭素繊維シート12を接着部材で貼付して形成されるので、炭素繊維シート12のみを構造物に貼付するのと比べて、補強パネル10を耐震壁2の表面に容易に設置することができる。すなわち、補強パネル10をプレハブ化して、現場作業の効率化を図れる。

0026

(6)ストランド17の延設方向を互いに直交させるようにして、複数の炭素繊維層14,15,16を積層させることにより、層数に比例した補強性能を有する補強パネル10を構成できる。従って、層数を設定するだけで最適な補強性能を有する補強パネル10を容易に構成することができる。

0027

(7)補強パネル10が2枚の鋼板11と炭素繊維シート12とのサンドイッチ構造になっているので、炭素繊維シート12を直接触れずに補強パネル10を構造物に貼付することができる。

0028

(8)補強パネル10の表裏いずれの面を構造物に対して貼付しても、補強後の表面が鋼板11の表面となるので、着色等の表面加工性に優れた補強構造とすることができる。

0029

[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る耐震壁2の補強構造について図5に基づいて説明する。
図5は、本実施形態に係る耐震壁2の補強構造を示す縦断面図である。
耐震壁2の補強構造は、前述の第1実施形態の補強構造に対して補強パネル10Aの構成が相違するもので、その他の構成は略同様である。すなわち、補強パネル10Aは、1枚の鋼板11と、炭素繊維シート12とを有して構成される。補強パネル10Aは、炭素繊維シート12が接着された側を耐震壁2に向けて、貼付されている。

0030

このような構成によれば、前述の効果(1)〜(6)に加えて以下の効果がある。
(9)前記実施形態と比べて鋼板11の枚数が削減できるので、補強パネル10Aの軽量化をより進めることができる。また、補強後の耐震壁2の表面が鋼板11の表面となり、着色等の表面加工性に優れた補強構造とすることができる。

0031

[本発明の変形例]
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成でき
る他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記各実施形態において、炭素繊維シートは、1層または2層の炭素繊維層で形成されてもよいし、または4層以上で形成されてもよい。
また、炭素繊維層相互の接着はエポキシ樹脂を使用しているがエポキシ樹脂と同等またはそれ以上の接着力を有する他の接着剤を使用してもよい。
また、炭素繊維シートは、複数の炭素繊維層をその炭素繊維の延設方向が同じになるように積層して構成されていてもよい。

0032

また、本発明の補強部材を、H型鋼やI型鋼などの鉄骨梁におけるフランジ下面に、貼付してもよい。このようにすれば、鉄骨梁の高さ寸法が小さい場合であっても、見かけの剛性を高めることができ、鉄骨梁の撓みを小さくすることができる(撓み制御)。
また、本発明の補強部材を、コンクリート梁の下面に貼付してもよい。このようにすれば、コンクリート梁のひび割れを抑制することができる(ひび割れ制御)。

0033

その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。

0034

以下、本発明の実施例について説明する。
本実施例では、前記実施形態で述べた補強パネルの構成と略同様の構成である試験体20,30を用いて引張試験および曲げ試験を実施し、構造物の補強に用いた場合の軽量化の効果および補強効果について評価する。

0035

[実施例1]
〔1.測定条件
(1.1)試験の種類引張試験
(1.2)試験体の形状 長さ500mm、幅50mm(平行部
図6は、試験体20の正面図である。
試験体20は、ひずみを測定する平行部21と、平行部21の両端に設けられたつかみ部22とを有する。また、図示を省略するが、試験体20は、2枚の鋼板、および2枚の鋼板の間に挟持された炭素繊維シートを有して構成される。
(1.3)炭素繊維シートの種類
炭素繊維シートは、1方向タイプのものと、2方向タイプのものとを使用する。積層数はそれぞれ1層および3層とする。2方向タイプのものは試験体の長手方向に対して45度だけ傾斜する方向に炭素繊維が延設されている。
表1に、試験体20の一覧を示す。

0036

0037

例えば、1方向タイプで3層の試験体では、1層目および3層目の炭素繊維層の炭素繊維の延設方向が試験体の長手方向に沿って設けられ、2層目の炭素繊維層の延設方向がこれらに直交する方向に設けられている。
また、2方向タイプで3層の試験体では、1層目および3層目の炭素繊維層の炭素繊維の延設方向が試験体の長手方向に対して45度だけ傾斜する方向に沿って設けられ、2層目の炭素繊維層の延設方向がこれらに直交する方向に設けられている。
(1.4)測定項目引張荷重、軸方向の変位

0038

〔2.測定方法
(2.1)ひずみゲージ23を用いて試験体20の軸方向のひずみを測定する。
図6にひずみゲージ23の貼付位置を示す。ひずみの測定位置は、平行部21の中央位置、および中央から両端へ100mm、250mmの各位置とする。
(2.2)試験体20に引張荷重を加え、試験体20が破断するまでのひずみと引張荷重とを測定する。載荷の途中に層がずれたり、剥離したりすることも考えられるので、状況を目視で確認しながら行う。
(2.3)比較のために、試験体20で用いた鋼板2枚分の厚さ寸法の比較用試験体を用いて同様の引張試験を行う。

0039

〔3.結果・考察〕
測定結果を表2および図7に示す。
表2は、各試験体20における降伏荷重および最大引張力を示す。
図7は、各試験体20における荷重変位曲線を示す。

0040

0041

(3.1)最大引張力
<1方向の場合>
図7に示すように、炭素繊維は、約15000〜20000μひずみ(1.5〜2%ひずみ)で破断している。炭素繊維の破断時が試験体の最大引張力となった。破断後素材の鋼板2枚合わせのものを引張試験した場合と同様の荷重-変位曲線を示し、最終的に鋼板が破断した。
1層から3層に層数を増やすことで最大引張力は大きく上昇した。また、鋼板2枚合わせのものの最大引張力を比較したところ、最大引張力の上昇率は約80%となった。

0042

<2方向の場合>
1層と3層とで荷重−変位曲線が似ており、1方向の場合と同様に、炭素繊維の破断時が最大引張力となった。
1層と3層との共通点としては、最初に炭素繊維シートが破断して、一度引張力が低下する点である。炭素繊維は、約30000μひずみ(3%ひずみ)で破断した。
相違点として、1層の場合、最初に引張力が低下した際に、炭素繊維が完全に破断して、その後の荷重−変位曲線は鋼板2枚合わせのものと同様となった。これに対して、3層の場合、最初に引張力が低下した際に、炭素繊維が完全には破断せず、鋼板が破断する直前で炭素繊維が完全に破断して再度引張力が低下し、その後すぐに鋼板が破断した。
1層から3層に層数を増やすことによる最大引張力の上昇はほとんど見られなかった。2方向の場合、両端のチャック部分をつなぐように炭素繊維が入っていないので、ただエポキシ樹脂をつかんだもの引っ張っているものと変わらないと推定できる。よって、多少上昇したのは試験体の厚みが厚くなったことによる影響と考えられる。

0043

共通事項
接着が剥がれるのと同時に炭素繊維シートが破断した試験体と、先に接着が剥がれて荷重が上がってから炭素繊維シートが破断した試験体とがあった。
いずれの場合も、鋼板自体が破断する前に炭素繊維シートが破断した。このことから、鋼板の終局耐力と炭素繊維シートの終局耐力とを足し合わせた予想荷重まで、試験体の最大荷重が上がることはなかったが、炭素繊維シートを貼り付けることによって、降伏荷重および最大荷重が上がった。

0044

(3.2)比強度
表2に示すように、試験体が炭素繊維シートの貼付によって軽量化されたことで、1方向3層の場合の比強度は、同じ厚さの鋼板の比強度よりも高くなった。1方向1層の場合の比強度と比較すると、1層から3層にすることで、比強度は約1.5倍になった。
1方向3層以外の試験体においては、比強度は、鋼板を2枚合わせたものとほとんど変わらなかった。また、2方向の試験体では、層数を増やしても比強度はほとんど変わらなかった。
鋼板のみの試験体で、1方向3層の試験体と同じ最大引張力を発揮させるには、鋼板の厚さ寸法を理論上5.9mmとする必要がある。この場合、鋼板の試験体の重量は約2500gとなる。1方向3層の試験体の重量は平均で約1450gであることから、約1kgの軽量化が可能となった。

0045

(3.3)剛性
図7に示すように、1方向の1層と3層との剛性を比較すると、3層のほうが大きくなっていることが判明した。
鋼板2枚合わせのものより剛性が低くなっている試験体があった。鋼板2枚合わせの場合の剛性は、少なくとも確保されていると推定できるので、剛性が低くなった原因としては、チャック部分が滑ってしまったことが考えられる。他には、チャック部分は滑っていないが、接着面が全体としてずれてしまったということも考えられる。

0046

(3.4)以上のことから、特に、1方向3層の試験体において、炭素繊維シートを挟んで接着することによる最大引張力および比強度、剛性の向上が確認できた。従って、構造物の補強に用いた場合の軽量化の効果および補強効果があると評価することができる。

0047

[実施例2]
〔1.測定条件〕
(1.1)試験の種類曲げ試験
(1.2)試験体の形状 長さ200mm、幅50mm(図8
試験体30は、引張試験の試験体と同様で、2枚の鋼板、および2枚の鋼板の間に挟持された炭素繊維シートを有して構成される。
(1.3)炭素繊維シートの種類 引張試験と同様とする。
(1.4)測定項目曲げ荷重

0048

〔2.測定方法〕
図8は、本実施例の曲げ試験装置の概略図である。
図8に示すように、試験装置を用いて試験体30を2点支持し、中央部を下方に押し下げて、試験体30に曲げ荷重を加える。そして、試験体30が破断するまでの試験体30の曲げ荷重を測定する。

0049

〔3.結果・考察〕
測定結果を表3および図9に示す。
表3は、各試験体30における最大曲げ力を示す。
図9は、各試験体30における荷重−変位曲線を示す。

0050

0051

表3に示すように、1方向、2方向ともに層数を増やすことにより、最大曲げ力が大きくなった。また、図9に示すように、1方向、2方向ともに層数を増やすことにより、曲げ剛性が大きくなった。
以上のことから、炭素繊維シートを鋼板で挟むことによって、積層数を増やすことで最大引張力を上昇させることができ、曲げ荷重に対する補強効果があることが確認できた。従って、構造物の補強に用いた場合の軽量化の効果および補強効果があると評価することができる。

0052

本発明は、既存の耐震壁等の構造体の補強部材として利用できる。

図面の簡単な説明

0053

本発明の第1実施形態に係る耐震壁の補強構造を示す正面図である。
前記耐震壁の補強構造を示す縦断面図である。
前記補強構造における補強部材を部分的に破断して示す斜視図である。
前記耐震壁の断面図である。
本発明の第2実施形態に係る耐震壁の補強構造を示す縦断面図である。
本発明の実施例1に係る試験体の正面図である。
前記実施例における荷重−変位曲線を示すグラフである。
本発明の実施例2に係る試験装置の概略図である。
前記実施例における荷重−変位曲線を示すグラフである。

符号の説明

0054

1…構造物、2…耐震壁、10,10A…補強パネル(補強部材)、11…鋼板、12…炭素繊維シート、14,15,16…炭素繊維層、17…ストランド(炭素繊維)、18…エポキシ樹脂(接着部材)。

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