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技術 直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法

出願人 株式会社カネカ
発明者 澤田裕樹
出願日 2007年12月14日 (12年11ヶ月経過) 出願番号 2007-323885
公開日 2009年7月2日 (11年4ヶ月経過) 公開番号 2009-146786
状態 未査定
技術分野 燃料電池(本体)
主要キーワード 保持回数 電位処理 電位モード 平行流路 PS膜 高分子化合物成分 分電解 水素含有液体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

膜電極接合体を製造した場合、膜電極接合体に定電流密度を流し、膜電極接合体の活性を向上させるが、転極によって膜電極接合体が破損すること、膜電極接合体の電極部分に水を滞留することがあった。

解決手段

高分子電解質膜表面に電極を形成する工程と、前記高分子電解質膜の両側に電極を配置された膜電極接合体の片側の電極に少なくともメタノールを含む燃料を供給する工程と、もう一方の電極に酸化剤を供給する工程と、前記膜電極接合体の酸化剤を供給した電極の電位を、前記膜電極接合体の燃料を供給した電極の電位に対して0.0Vより大きく、+0.3V以下で保持する工程と、前記電位で保持する工程が複数回おこなう工程とを経ることを特徴とする膜電極接合体の製造方法を発明した。その結果、破損することなく膜電極接合体の活性を向上させることができた。

概要

背景

直接メタノール型燃料電池は、新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。プロトン伝導性置換基を有する高分子電解質を使用する固体高分子形燃料電池は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体家庭用コンジェネレーションシステム、および民間用小型携帯機器などへの適用が検討されている。特にメタノール直接燃料に使用する直接メタノール型燃料電池は、単純な構造と燃料供給メンテナンスの容易さ、さらには、あるいは、また、高エネルギー密度などの特徴を有し、リチウムイオン二次電池代替として、携帯電話ノート型パソコンなどの民間用小型携帯機器への応用が期待されている。
前記直接メタノール型燃料電池は、膜電極接合体ガスフロープレート、およびエンドプレートで挟持した構造をしている。前記膜電極接合体は、例えば高分子電解質膜表面に電極を形成させることによって製造する。しかしながら、前記膜電極接合体を用いて直接メタノール型燃料電池を稼動させた場合、前記直接メタノール型燃料電池の発電特性は低いものであった。そこで、例えば、特許文献1および特許文献2に代表される膜電極接合体の活性化方法がなされていた。特許文献1および特許文献2は、膜電極接合体を製造した後に、前記膜電極接合体に定電流密度を流すことによって、前記膜電極接合体を活性化させ、直接メタノール型燃料電池の発電特性を向上させる発明である。しかしながら、特許文献1および特許文献2の方法は燃料水素を用いた直接メタノール型燃料電池(以下、「PEFC」という)に限ったものであった。特に、特許文献1の方法は非常に大きな電流密度を必要とするので、高電流が取り出しにくいメタノールを含む燃料を用いた直接メタノール型燃料電池に適用すると転極し、膜電極接合体が破損する恐れがあった。特許文献2の方法は、酸化剤の加湿、および膜電極接合体の活性化に長時間を必要とするので、PEFCと比べて膜電極接合体の電極部分に水が滞留やすい環境にある直接メタノール型燃料電池に前記方法を適用すると、膜電極接合体の電極に水が滞留することによって、直接メタノール型燃料電池の発電特性が低下する恐れがあった。
特開2002−319421号公報
特開2003−059504号公報

概要

膜電極接合体を製造した場合、膜電極接合体に定電流密度を流し、膜電極接合体の活性を向上させるが、転極によって膜電極接合体が破損すること、膜電極接合体の電極部分に水を滞留することがあった。高分子電解質膜表面に電極を形成する工程と、前記高分子電解質膜の両側に電極を配置された膜電極接合体の片側の電極に少なくともメタノールを含む燃料を供給する工程と、もう一方の電極に酸化剤を供給する工程と、前記膜電極接合体の酸化剤を供給した電極の電位を、前記膜電極接合体の燃料を供給した電極の電位に対して0.0Vより大きく、+0.3V以下で保持する工程と、前記電位で保持する工程が複数回おこなう工程とを経ることを特徴とする膜電極接合体の製造方法を発明した。その結果、破損することなく膜電極接合体の活性を向上させることができた。 なし

目的

本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は優れた発電特性を有する直接メタノール型燃料電池を得るための膜電極接合体を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

高分子電解質膜、および前記高分子電解質膜の両側に配置された電極を含む直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法であって、前記膜電極接合体の製造方法が、前記高分子電解質膜表面に電極を形成する工程1と、前記高分子電解質膜の両側に電極を配置された膜電極接合体の片側の電極に少なくともメタノールを含む燃料を供給する工程2と、もう一方の電極に少なくとも酸素を含む酸化剤を供給する工程3と、前記膜電極接合体の少なくとも酸素を含む酸化剤を供給した電極の電位を、前記膜電極接合体の少なくともメタノールを含む燃料を供給した電極の電位に対して0.0Vより大きく、+0.3V以下で保持する工程4を2回以上、20回以下繰り返すこと、とを含むことを特徴とする直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法。

請求項2

前記高分子電解質膜の両側に電極を配置された膜電極接合体の片側の電極に供給されるメタノールを含む燃料のメタノール濃度が、1wt%〜30wt%であることを特徴とする請求項1に記載の直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法。

請求項3

前記高分子電解質膜の両側に電極を配置された膜電極接合体の片側の電極に供給される酸化剤が、相対湿度0%RH〜60%RHの酸素を含む気体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、直接メタノール型燃料電池、に用いる直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

直接メタノール型燃料電池は、新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。プロトン伝導性置換基を有する高分子電解質を使用する固体高分子形燃料電池は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体家庭用コンジェネレーションシステム、および民間用小型携帯機器などへの適用が検討されている。特にメタノール直接燃料に使用する直接メタノール型燃料電池は、単純な構造と燃料供給メンテナンスの容易さ、さらには、あるいは、また、高エネルギー密度などの特徴を有し、リチウムイオン二次電池代替として、携帯電話ノート型パソコンなどの民間用小型携帯機器への応用が期待されている。
前記直接メタノール型燃料電池は、膜電極接合体ガスフロープレート、およびエンドプレートで挟持した構造をしている。前記膜電極接合体は、例えば高分子電解質膜表面に電極を形成させることによって製造する。しかしながら、前記膜電極接合体を用いて直接メタノール型燃料電池を稼動させた場合、前記直接メタノール型燃料電池の発電特性は低いものであった。そこで、例えば、特許文献1および特許文献2に代表される膜電極接合体の活性化方法がなされていた。特許文献1および特許文献2は、膜電極接合体を製造した後に、前記膜電極接合体に定電流密度を流すことによって、前記膜電極接合体を活性化させ、直接メタノール型燃料電池の発電特性を向上させる発明である。しかしながら、特許文献1および特許文献2の方法は燃料水素を用いた直接メタノール型燃料電池(以下、「PEFC」という)に限ったものであった。特に、特許文献1の方法は非常に大きな電流密度を必要とするので、高電流が取り出しにくいメタノールを含む燃料を用いた直接メタノール型燃料電池に適用すると転極し、膜電極接合体が破損する恐れがあった。特許文献2の方法は、酸化剤の加湿、および膜電極接合体の活性化に長時間を必要とするので、PEFCと比べて膜電極接合体の電極部分に水が滞留やすい環境にある直接メタノール型燃料電池に前記方法を適用すると、膜電極接合体の電極に水が滞留することによって、直接メタノール型燃料電池の発電特性が低下する恐れがあった。
特開2002−319421号公報
特開2003−059504号公報

発明が解決しようとする課題

0003

直接メタノール型燃料電池には膜電極接合体が必須な部材であり、膜電極接合体が破損すること、および膜電極接合体の電極部分に水が滞留することなく、膜電極接合体を活性化させることが強く望まれている。

0004

本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は優れた発電特性を有する直接メタノール型燃料電池を得るための膜電極接合体を提供することである。

課題を解決するための手段

0005

本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討をおこなった結果、
直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法に、
前記高分子電解質膜表面に電極を形成する工程1と、
前記高分子電解質膜の両側に電極を配置された膜電極接合体の片側の電極に少なくともメタノールを含む燃料を供給する工程2と、
もう一方の電極に酸化剤を供給する工程3と、
前記膜電極接合体の酸化剤を供給した電極の電位を、前記膜電極接合体の燃料を供給した電極の電位に対して0.0Vより大きく、+0.3V以下で保持する工程4が複数回、つまり計2回以上、20回以下おこなう工程と、
を含ませることによって、前記膜電極接合体を活性化すること、および前記膜電極接合体を備えた直接メタノール型燃料電池の発電特性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。本発明はかかる新規知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を包含する。

0006

すなわち本発明にかかる直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、前記膜電極接合体の酸化剤を供給した電極の電位を、前記膜電極接合体の燃料を供給した電極の電位に対して0.0Vより大きく、+0.3V以下で保持する工程を、2回以上、20回以下繰り返してもよい。

0007

また、本発明にかかる直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、前記高分子電解質膜の両側に電極を配置された膜電極接合体の片側の電極に供給される少なくともメタノールを含む燃料のメタノールの濃度が1wt%以上、30wt%以下であってもよい。

0008

また、本発明にかかる直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、前記高分子電解質膜の両側に電極を配置された膜電極接合体の片側の電極に供給される酸化剤が、相対湿度0%RH以上、60%RH以下の空気であってもよい。

発明の効果

0009

本発明によれば、前記膜電極接合体の燃料を供給した電極の電位に対して0.0Vより大きく、+0.3V以下で保持するので、直接メタノール型燃料電池でも膜電極接合体の破損の恐れがない。さらに、前記工程を2回以上、20回以下くりかえすこと、および酸化剤に相対湿度0%以上、60%以下の空気を用いるので、電極部分に水を滞留させずに、膜電極接合体を活性化することができる。
したがって、本発明の製造方法で製造された直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体を備えた直接メタノール型燃料電池は優れた発電特性を示した。

発明を実施するための最良の形態

0010

本発明の一実施形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明は、以下の説明に限定されるものではない。

0011

本発明の膜電極接合体の製造方法は、さらに、電極の外側にそれぞれ「拡散層」を含む膜電極接合体(5層膜電極接合体、5層MEA、などと表記される場合もある。)の製造方法の一部でもある。また本発明の膜電極接合体の製造方法は、電極の周辺部の高分子電解質膜と接触する部分に、「ガスケット」が配置された膜電極接合体(7層膜電極接合体、7層MEA、などと表記される場合もある。)の製造方法の一部の範疇に含まれる。
以下、各工程を説明する。
(高分子電解質膜表面に電極を形成する工程1)
本発明の製造方法における高分子電解質膜表面に電極を形成する工程は、
電極形成材料を作製し、前記材料を用いて少なくともメタノールが含まれる燃料が供給される電極(以下、アノード)、および少なくとも酸素が含まれる酸化剤が供給される電極(以下、カソード)を作製し、前記電極を高分子電解質膜表面に形成させる工程である。

0012

本発明に用いるアノード用電極形成材料とは、少なくとも高分子電解質と直接メタノール型燃料電池用触媒とを含む混合物である。

0013

前記アノードは、常に少なくともメタノールを含む燃料が存在する状態であるので、メタノールに対する耐性浸透性、およびプロトン伝導性に優れる高分子電解質と、メタノールに対する耐性および前記燃料に対する活性が優れる直接メタノール型燃料電池用触媒とを含むことが好ましい。

0014

前記高分子電解質は、少なくともプロトン伝導性基を含む高分子電解質である。本発明に用いる、少なくともプロトン伝導性基を含む高分子電解質は、フッ素系、あるいは非フッ素系高分子電解質に限定されない。これらは、単独、あるいは複数用いても良い。さらに、高分子電解質のプロトン伝導性基は、特に限定されず、スルホン酸基カルボン酸基りん酸基、あるいはフェノール性水酸基などが例示される。これらは、単独、あるいは複数用いても良い。特にプロトン伝導性置換基の導入のしやすさや得られるプロトン伝導性高分子電解質のプロトン伝導性などを考慮するとスルホン酸基であることが好ましい。前記プロトン伝導性置換基の含有量由来するプロトン伝導性高分子電解質のイオン交換容量は好ましくは0.1ミリ当量/g以上であり、より好ましくは0.3ミリ当量/g以上である。イオン交換容量が0.1ミリ当量/gよりも低い場合には、所望のプロトン伝導度発現しない傾向がある。

0015

また、前記フッ素系高分子電解質としては、既知の材料、たとえば、ナフィオン登録商標デュポン社製)、アシプレクス(登録商標、旭化成社製)、およびフレミオン(登録商標、旭硝子)等を用いることができる。また、フッ素化ポリアリールエーテルスルホン、およびクロロトリフルオロエチレンクロロ基スルホアルキル基置換したものにプロトン伝導性基が導入されたものも用いることができる。

0016

また、前記非フッ素系高分子電解質としては、例えば、ポリアリーレンポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルホンポリアリーレンエーテルスルホンポリアリーレンスルフィドスルホン、スルホンイミド含有ポリアリーレンエーテル、ポリエーテルポリアリールエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホンポリエーテルエーテルケトンポリエーテルケトンポリエーテルケトンケトンポリエーテルスルホンポリスルホンポリパラフェニレンポリフェニレンサルファイドポリフェニレンエーテルポリフェニレンスルホキシドポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホンポリベンズイミダゾールポリベンズオキサゾールポリベンズチアゾールポリアゾールポリスチレンシンジオタクチックポリスチレン、ポリエーテルスルホン、スチレン−(エチレンブチレンスチレン共重合体、スチレン−(ポリイソブチレン)−スチレン共重合体、スチレン系熱可塑性エラストマーポリビニルアルコールポリアクリルアミド、ポリ1,4−ビフェニレンエーテルエーテルスルホン、ポリイミド芳香族化合物を含むポリイミド、複素環状化合物を含むポリイミド、アルキルポリイミド、ポリエーテルイミドシアン酸エステル樹脂シロキサン重合体キノン重合体ポリエチレンポリスチレングラフト共重合体、ポリエチレン−ポリスチレンブロック共重合体ポリプロピレン−ポリスチレングラフト共重合体、(エチレン−グリシジルメタクリレート)−ポリスチレングラフト共重合体、(エチレン−エチルアクリレート)−ポリスチレングラフト共重合体、ポリプロピレン−(アクリロニトリル−スチレングラフト共重合体ポリカーボネート−ポリスチレングラフト共重合体、ポリカーボネート−(アクリロニトリル−スチレン)グラフト共重合体、酢酸ビニル樹脂−ポリスチレンブロック共重合体、アクリル樹脂−ポリスチレンブロック共重合体、アクリルアミド−スチレン共重合体、モディパーシリーズ日本油脂株式会社製、登録商標)、エポフレンドシリーズ(ダイセル化学株式会社製)などにプロトン伝導性基が導入されたものが例示される。

0017

また、化学的定性および熱的安定性や、プロトン伝導性置換基の導入のしやすさ、得られる高分子電解質のプロトン伝導性、耐久性、などを考慮すると、前記非フッ素系高分子電解質は、前記化合物を複数用いた共重合体でも良いし、混合物でも良い。さらに、前記化合物の誘導体でも良い。

0018

また、本発明に用いる高分子電解質は、優れたプロトン伝導性および実用的な耐久性を実現するために、異なる材料を組み合わせて構成してもよい。

0019

本発明に用いる、高分子電解質に導入される、プロトン伝導性基としては、例えばスルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、フェノール性水酸基(Ph(OH):Phはフェニル基を表す)、−PO(OH)2、−POH(OH)、−SO2NHSO2−等の陽イオン交換基列挙できる。中でも、プロトン伝導性やその導入のしやすさなどから、スルホン酸基であることが好ましい。これらのプロトン伝導性基は、主鎖に直接導入されていてもよいし、主鎖とプロトン伝導性基との間にアルキル化合物、芳香族化合物などの側鎖に導入されてもよい。さらに、側鎖に複数のプロトン伝導性基が導入されてもよい。

0020

さらに、本発明に用いる高分子電解質に、下記一般式(1)で示される基を2つ以上有する少なくとも1種以上の化合物Xが含まれてもよい。

0021

−CH2OR・・・(1)
(式中、Rは水素またはアルキル基またはアシル基を表し、1種類の化合物に含まれるRはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)。

0022

前記化合物Xは、前記官能基が1分子中に2つ以上存在することによって、化合物Xを介して、高分子電解質を分子間で結合させることができる。したがって、得られる反応生成物耐熱性を向上することや、メタノールなどの水素含有液体に対する膨潤性溶解性透過性を抑制することが可能となる。

0023

本発明で用いられる前記化合物Xとしては、前記官能基が1分子中に2つ以上存在するものであれば特に限定されないが、前記高分子電解質との反応性、前記高分子電解質との反応生成物の耐熱性、メタノールなどの水素含有液体に対する膨潤性・溶解性や透過性の抑制効果などを考慮すると、芳香族化合物であることが好ましい。この化合物はベンゼン環ナフタレン環などを有する炭化水素系芳香族化合物であっても、トリアジン環などの炭素以外の元素を有する複素芳香族化合物であってもかまわない。

0024

また、前記化合物X1分子中に2つ以上存在する官能基のRとしては、水素、アルキル基またはアシル基のいずれかであれば特に限定はなく、前記官能基のRはそれぞれ独立で、互いに同一であっても異なっていてもよい。化合物の入手の容易さや前記高分子化合物との反応で副生する化合物の除去の容易さなどを考慮すると、水素、メチル基あるいはアセチル基であることが好ましい。直接メタノール形燃料電池に使用する場合は、直接メタノール型燃料電池内に含まれている水、あるいはメタノールしか副生しないことから、前記官能基Rは水素、あるいはメチル基であることが特に好ましい。

0025

このような前記化合物Xとしては、例えば、1,2−ビスヒドロキシメチルベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、4,6−ビス(ヒドロキシメチル)−o−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、1,2,4−ベンゼントリメタノール、1,3,5−ベンゼントリメタノール、4,4’−メチレンビス[2,6−ジ(ヒドロキシメチル)]フェノール、オキシビス(3,4−ジヒドロキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(メトキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジンサイメル(登録商標、日本サイテックインダストリーズ株式会社製)、DML−PC(本州化学工業株式会社製)、TML−BPA−MF(本州化学工業株式会社製)、TML−BPAF−MF(本州化学工業株式会社製)、DML−OC(本州化学工業株式会社製)、Dimethoxymethyl p−CR(本州化学工業株式会社製)、DML−MBPC(本州化学工業株式会社製)、DML−BPC(本州化学工業株式会社製)、TML−BP(本州化学工業株式会社製)、TMOM−BP(本州化学工業株式会社製)、DML−PEP(本州化学工業株式会社製)、DML−34X(本州化学工業株式会社製)、DML−PSBP(本州化学工業株式会社製)、DML−PTBP(本州化学工業株式会社製)、DML−PCHP(本州化学工業株式会社製)、DML−POP(本州化学工業株式会社製)、DML−PFP(本州化学工業株式会社製)、DML−MBOC(本州化学工業株式会社製)、HML−TPPHBA(本州化学工業株式会社製)、HMOM−TPPHBA(本州化学工業株式会社製)、26DMPC(旭有機材工業株式会社製)、46DMOC(旭有機材工業株式会社製)、DM−BIPC−F(旭有機材工業株式会社製)、DM−BIOC−F(旭有機材工業株式会社製)、TM−BIP−A(旭有機材工業株式会社製)、ニカラック(株式会社三和ケミカル製)などを例示できるが、これらのみに限定されるものではない。また、さらに、前記と一部重複するが、化合物Xは、下記化学式に示す化合物も例示できる。すなわち下記の構造式(2)〜(45)で示される44種類の化合物(なお、構造式(41)式中、R2〜R7はそれぞれ水素またはメチル基を表す。)を例示できるが、これらのみに限定されるものではない。

0026

0027

0028

0029

これらの化合物は1種類であっても複数であってもかまわない。これらのなかで、入手の容易さや前記「芳香族単位を有する高分子化合物にプロトン伝導性基が導入されてなる高分子電解質」との反応性、前記「芳香族単位を有する高分子化合物にプロトン伝導性基が導入されてなる高分子電解質」との反応生成物の耐熱性やメタノールなどの水素含有液体に対する膨潤性や溶解性などを考慮すると、下記構造式(2)〜(11)で示される10種類の化合物

0030

からなる群から選択される少なくとも1種以上であることが特に好ましい。

0031

また、本発明の材料で用いる高分子電解質の形態は、特に限定されず、任意の溶媒で溶解あるいは分散させた高分子電解質溶液あるいは高分子電解質分散液であることは、取り扱いが容易であるので好ましい。その高分子電解質の濃度は、1wt%以上、90wt%以下であること、さらに1wt%以上、75wt%以下、とくに、1wt%以上、50wt%以下であることは取り扱いが容易であることから好ましい。1wt%未満では、電極形成材料の粘度が小さいので、電極の形成が困難であり、90wt%より大きい場合では、電極形成材料の粘度が大きいので、電極の形成が困難である傾向がある。前記高分子電解質を溶解させる溶液としては、特に限定されないが、メタノール、エタノールイソプロピルアルコールジメチルホルムアミドジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル2−ピロリドンテトラヒドロフランジメチルスルホキシドクロロホルム塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンシクロヘキサンヘキサン、あるいはエーテル等の溶媒で溶解あるいは分散させることが好ましい。

0032

前記アノードに用いられる触媒とは、特に限定されず、直接メタノール型燃料電池のアノードでの下記反応に対して活性な触媒が用いられる。
2CH3OH+2H2O→2CO2+12H++12e−・・・(式1)
具体的には、アセチレンブラックファーネスブラックケッチェンブラック等に代表されるカーボンブラック活性炭カーボンナノホーンカーボンナノチューブ、TiO2、SiO2、ゼオライトなどの高表面積の材料に白金などの触媒金属担持されたもの、あるいは白金ブラックなどの触媒金属が用いられる。さらに、燃料酸化時の副生成物である一酸化炭素アルデヒド類カルボン酸類などによる触媒被毒を抑制するため、白金の代わりに、白金とルテニウムなどからなる複合あるいは合金触媒などが使用される。白金とルテニウムとの複合物あるいは合金に対する白金のモル数の割合は、10mol%以上、90mol%以下であることが好ましい。10mol%より少ない場合は、式1の反応に要する活性が得られず、90mol%より多い場合は、燃料酸化時の副生成物である一酸化炭素、アルデヒド類、カルボン酸類などによる触媒被毒を抑制することができないので好ましくない。さらに安定化や長寿命化のために、鉄、錫、希土類元素等を用い3成分以上であってもよい。前記3成分以上の金属が含まれる場合は、複合物あるいは合金に対する白金のモル数の割合は、10mol%以上、90mol%以下であることが好ましい。10mol%より少ない場合は、式1の反応に要する活性が得られず、90mol%より多い場合は、燃料酸化時の副生成物である一酸化炭素、アルデヒド類、カルボン酸類などによる触媒被毒の抑制が低下するので好ましくない。

0033

前記アノードに必要な触媒金属の量は、アノード1cm2あたり0.1mg以上、20mg以下であることが好ましい。0.1mgより少ない場合は、式1に要する活性が得られず、20mgより多い場合はアノードの厚みの増大による燃料の拡散性の低下がおこるので好ましくない。

0034

本発明に用いられるアノード用電極材料の形態は特に限定されず、固体の混合物、あるいは混合分散液であってもよいし混合溶液であってもよい。とくに、混合分散液あるいは混合溶液の場合は、取り扱いが容易であることから好ましい。前記電極形成材料の作製方法は、特に限定されないが、スターラー等を用いて混合する方法、ボールミル等で混合する方法、回転子を用いて混合する方法、超高圧噴射することによって混合する方法、あるいはホモジナイザーを用いて混合する方法などいずれかを1つ以上の方法を用いることができる。

0035

前記アノード用電極形成材料に含まれる高分子電解質と触媒との割合は、前記高分子電解質の重量に対して触媒に含まれる触媒金属の重量が10wt%以上、90wt%以下であることが好ましい。10wt%より触媒金属量の割合が少ない場合は、電極に占める高分子電解質の割合が多すぎることによって燃料が触媒金属へ到達しにくくなる恐れがあり、90wt%より触媒金属の割合が多い場合は、電極に占める高分子電解質の割合が少なすぎることによって触媒同士の結着力が低下する恐れがある。

0036

さらに、前記アノード用電極形成材料に含まる高分子電解質あるいは直接メタノール型燃料電池用触媒の分散状態を向上させるために、前記電極形成材料に分散剤が含まれてもよい。前記分散剤は、特に限定されず、C1−6アルコールグリセリンエチレンカーボネートプロピレンカーボネートブチルカーボネート、エチレンカルバメートプロピレンカルバメート、ブチレンカルバメート、アセトンアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジフルオロベンゼンスルホラン、あるいは界面活性剤を用いることができる。さらに、その材料を用いた直接メタノール型燃料電池の性能を向上させるために、撥水剤を加えてもよい。その撥水剤は特に限定されずポリテトラフルオロエチレン、あるいはポリフルオロエチレンポリフルオロプロピレンとの共重合体などを用いることができる。

0037

前記カソード用電極形成材料とは、少なくとも高分子電解質と直接メタノール型燃料電池用触媒とを含む混合物である。

0038

前記カソードは、少なくとも、常に酸素を含む酸化剤が存在する状態であるので、酸素透過性、およびプロトン伝導性に優れる高分子電解質、と前記酸化剤に対する活性に優れる直接メタノール型燃料電池用触媒とを含むことが好ましい。

0039

前記カソードに用いられる高分子電解質は、前述のアノードに用いられるものと同様のものを用いることができる。またアノードに用いる高分子電解質とカソードで用いられる高分子電解質の種類は同じでも異なっても良い。

0040

前記カソードに用いられる直接メタノール型燃料電池用触媒は、特に限定されず、直接メタノール型燃料電池のカソードでの下記反応に対して活性な触媒が用いられる。
12H++12e−+3O2→6H2O・・・(式2)
具体的には、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等に代表されるカーボンブラック、活性炭、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブなどの高表面積の導電性材料に、白金などの触媒金属が担持されたもの、あるいは白金ブラックなどの触媒金属そのものが用いられる。さらに、安定化や長寿命化のために、鉄、錫、希土類元素等を用い3成分以上であってもよい。前記3成分以上の金属が含まれる場合は、複合物あるいは合金に対する白金のモル数の割合は、10mol%以上、90mol%以下であることが好ましい。10mol%より少ない場合は、式2の反応に要する活性が得られず、90mol%より多い場合は、複合化あるいは合金化の効果が小さいので好ましくない。

0041

前記カソードに必要な触媒金属の量は、カソード1cm2あたり0.1mg以上、20mg以下であることが好ましい。0.1mgより少ない場合は、式1に要する活性が得られず、20mgより多い場合はアノードの厚みの増大による燃料の拡散性の低下がおこるので好ましくない。

0042

前記カソード用電極材料の形態は特に限定されず、前述のアノードと同様でよい。

0043

前記カソード用電極形成材料に含まれる高分子電解質と触媒との割合は、前記高分子電解質の重量に対して触媒に含まれる触媒金属の重量が10wt%以上、90wt%以下であることが好ましい。10wt%より触媒金属量の割合が少ない場合は、電極に占める高分子電解質の割合が多すぎることによって燃料が触媒金属へ到達しにくくなる恐れがあり、90wt%より触媒金属の割合が多い場合は、電極に占める高分子電解質の割合が少なすぎることによって触媒同士の結着力が低下する恐れがある。

0044

さらに、前記カソード用電極形成材料に含まる高分子電解質あるいは直接メタノール型燃料電池用触媒の分散状態を向上させるために、前記アノード用電極形成材料にもちいられる分散剤が含まれてもよい。

0045

本発明に用いる電極(アノードおよびカソード)は、少なくとも直接メタノール型燃料電池用触媒と高分子電解質とを含む電極形成材料で作製された層状の構成物である。

0046

前記電極の作製方法は、特に限定されないが、前記電極形成材料をドクターブレードロールコータースクリーン印刷スプレーなどでポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム等の剥離フィルムあるいは拡散層上に堆積させ、乾燥して溶媒と水を除去する方法が用いられる。電極のひび割れを防ぐため、塗布、溶媒の除去作業は数回に繰り返して行うことも可能である。

0047

本発明の高分子電解質膜の両側に配置されたそれぞれの電極は、たとえば厚みや組成において同一である必要はなく、また適宜変更することができるが、同一であってもよい。

0048

前記電極の両側には、拡散層が配置されていてもよい。たとえば厚みや組成において同一である必要はなく、また適宜変更することができるが、同一であってもよい。

0049

前記高分子電解質膜の両側に配置された電極は、前記高分子電解質膜の両側に配置されさえすればよく、前記高分子電解質膜と電極との間に、何らかの物質および/または層があってもよい。

0050

本発明に用いられる拡散層は、特に限定されないが、導電性を有するカーボン繊維の不織布(カーボンペーパーカーボンフェルトカーボンクロス)等を用いることができる。前記拡散層の厚みは、50μm以上、500μm以下であることが好ましい。50μmより薄い場合は、拡散層が破損しやすく、500μmより厚い場合は、前記燃料および酸化剤の拡散性が低下するので好ましくない。前記拡散層は、少なくともメタノールを含む燃料あるいは少なくとも酸素を含む酸化剤の拡散性を制御するために、その表面に少なくとも撥水剤を備えていてもよい。さらに、前記燃料あるいは前記酸化剤の拡散性を制御するために、カーボン繊維の不織布の表面に少なくともカーボンと撥水剤とを含む粒子層を備えていてもよい。また、前記燃料の拡散性を向上させるために、親水処理されていてもよい。

0051

本発明に用いる高分子電解質膜とは、前述の電極形成材料に用いた高分子電解質を用いて作製したものでよい。また、電極形成材料に用いた高分子電解質の種類と高分子電解質膜に用いた高分子電解質の種類とは、同じでもよいし、異なってもよい。

0052

また、本発明に使用する高分子電解質膜は、優れたプロトン伝導性および高いメタノール遮断性を実現するために、異なる材料を組み合わせて構成されてもよい。具体的には、芳香族単位を有する高分子化合物と、芳香族単位を有しない高分子化合物とを含む高分子フィルムにプロトン伝導性基が導入されてなる高分子電解質膜を、本発明の膜電極接合体に用いてもよい。この構成の高分子電解質膜において、芳香族単位を有する部分にはスルホン酸基などのプロトン伝導性基が導入されるが、芳香族単位を有しない部分にはスルホン酸基などのプロトン伝導性基が導入されることがない。従って、上記高分子フィルムから得られる高分子電解質膜は、スルホン酸基などの親水性のプロトン伝導性基が導入されているにも関わらず、水やメタノール水溶液に対して膨潤しにくい構成となり、高いメタノール遮断性を有する高分子電解質膜を得ることができる。

0053

前記高分子電解質膜を直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体に用いる場合は、メタノール遮断性を更に向上させるという観点から、芳香族単位を有しない高分子化合物中に、芳香族単位を有する高分子化合物が分散した海島構造となってもよい。島部分に存在するスルホン酸基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物の膨潤を、メタノールなどで膨潤し難い海部分の芳香族単位を有しない高分子化合物で抑制することができる。

0054

芳香族単位を有する高分子化合物とは、文字通り、当業者にとって従来公知の芳香族単位を有する高分子化合物であればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。芳香族単位を有する高分子化合物としては、例えば、前記非フッ素系電解質で例示したものと同様のものが好ましい。

0055

一方、本発明に使用する高分子電解質膜にかかる芳香族単位を有しない高分子化合物とは、文字通り構造中に芳香族単位を一切有しない化合物のことを意味する。高分子化合物中に芳香族単位が含まれているか否かは、NMR等の公知の方法により容易に確認することができるために、「芳香族単位を有しない高分子化合物」および「芳香族単位を有する高分子化合物」を当業者は容易に理解し得る。かかる芳香族単位を有しない高分子化合物としては、例えば、エチレン;プロピレン;1−ブテン;1−ペンテン1−ヘキセン;3−メチル−1−ブテン;4−メチル−1−ペンテン;5−メチル−1−ヘプテンなどのα−オレフィン単独重合体またはこれらの共重合体などを含むポリオレフィン樹脂ノルボルネン系樹脂などの環状ポリオレフィンポリ塩化ビニル塩化ビニル酢酸ビニル共重合体;塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体;塩化ビニル−オレフィン共重合体などを含む塩化ビニル系樹脂ナイロン6ナイロン66などを含むポリアミド樹脂、および、ポリテトラフルオロエチレン;テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;テトラフルオロエチレン−エキサフルオロプロピレン共重合体;テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体ポリクロロトリフルオロエチレンポリビニリデンフルオライドポリビニルフルオライドなどのフッ素系樹脂などが例示される。

0056

前記芳香族単位を有しない高分子化合物は、他の高分子化合物成分に対する相溶性分散性、高分子フィルムを製造する際の加工性や得られる高分子フィルムのハンドリング性、さらにはそれから得られる高分子電解質膜のメタノール遮断性、化学的安定性、および熱的安定性などを考慮すると、下記一般式(46)の繰り返し単位を有する高分子化合物から選択される1種のポリマー、またはこれらの混合物であることが特に好ましい。

0057

(式中、X1〜4は、H、CH3、Cl、F、OCOCH3、CN、COOH、COOCH3、及びOC4H9、からなる群から選択されるいずれかであって、X1〜4は互いに同一であっても異なっていてもよい)
また、加工性、化学的安定性、プロトン伝導性とメタノール遮断性のバランス
という観点から、前記芳香族単位を有する高分子化合物と、前記芳香族単位を有しない高分子化合物との重量比率は、外観良好な高分子電解質膜の取得、プロトン伝導性とメタノール遮断性のバランス、という観点から、前記芳香族単位を有する高分子化合物を100重量部に対して、前記芳香族単位を有しない高分子化合物が5重量部以上、500重量部以下であることが好ましい。

0058

また高分電解質膜の製造に通常用いられる、各種添加剤、例えば相溶性向上のための相溶化剤樹脂劣化防止のための酸化防止剤成型加工における取り扱いを向上するための帯電防止剤滑剤などは、高分子電解質膜への加工性や性能に影響を及さない限りにおいて、適宜用いられ得る。特に異なる材料を組み合わせて高分子電解質膜を製造する場合には、互いの相溶性を上げるために相溶化剤を用いることが好ましい。

0059

また、本発明に使用する高分子電解質膜は、連続した空孔部を有する多孔質支持体と、当該多孔質支持体の空孔部に充填された高分子電解質を含む高分子電解質膜であってもよい。この構成の高分子電解質膜において、上記高分子電解質は、多孔質支持体の空孔部に拘束されているため、水やメタノール水溶液に対して膨潤しにくい構成となり、高いメタノール遮断性を有する高分子電解質膜を得ることができる。

0060

ここで当該高分子電解質膜に使用する多孔質支持体とは、文字通り、当業者にとって従来公知の多孔質支持体であればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。かかる多孔質支持体としては、例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケントン、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリキノキサリンポリフェニルキノキサリン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、などの多孔質支持体が列挙できる。また、多孔質ガラスシリカアルミナを主成分とする無機化合物からなる多孔質体を使用することもできる。中でも、炭化水素系電解質の充填のしやすさ、耐熱性、化学的安定性、水やメタノールに対する膨潤のしにくさ、工業的入手の容易さなどから、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリイミドおよびポリベンズオキサゾールからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは、弾性率の制御や耐熱性・化学的安定性の向上などのため、架橋構造の導入や変性したものを使用しても構わない。

0061

前記多孔質支持体に充填する炭化水素系電解質としては、文字通り、当業者にとって従来公知の炭化水素系電解質であればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。例えば、既に説明したような、フッ素系高分子電解質、あるいは非フッ素系炭化水素系高分子電解質使用可能である。

0062

また、前記多孔質支持体に充填する炭化水素系電解質としては、2−メタクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩を必須構成モノマーとする架橋電解質ポリマーなども使用可能である。

0063

本発明に用いる、高分子電解質膜に導入される、プロトン伝導性基としては、例えばスルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、フェノール性水酸基(Ph(OH):Phはフェニル基を表す)、−PO(OH)2、−POH(OH)、−SO2NHSO2−等の陽イオン交換基が列挙できる。中でも、プロトン伝導性やその導入のしやすさなどから、スルホン酸基であることが好ましい。これらのプロトン伝導性基は、主鎖に直接導入されていてもよいし、主鎖とプロトン伝導性基との間に化合物が導入されていてもよいし、側鎖に導入されてもよい。また、側鎖に複数のプロトン伝導性基が導入されていてもよい。

0064

さらに、本発明の製造方法に用いる高分子電解質に、下記一般式(47)で示される基を2つ以上有する少なくとも1種以上の化合物Xが含まれてもよい。

0065

−CH2OR・・・(47)
(式中、Rは水素またはアルキル基またはアシル基を表し、1種類の化合物に含まれるRはそれぞれ同一であっても異なってもよい。)。

0066

前記化合物Xは、前記官能基が1分子中に2つ以上存在することによって、化合物Xを介して、高分子電解質を分子間で結合させることができる。したがって、得られる反応生成物の耐熱性を向上することや、メタノールなどの水素含有液体に対する膨潤性・溶解性や透過性を抑制することが可能となる。

0067

本発明で使用される前記化合物Xとしては、前記官能基が1分子中に2つ以上存在するものであれば特に限定はないが、前記高分子電解質との反応性、前記高分子電解質との反応生成物の耐熱性、メタノールなどの水素含有液体に対する膨潤性・溶解性や透過性の抑制効果などを考慮すると、芳香族化合物であることが好ましい。この化合物はベンゼン環、ナフタレン環などを有する炭化水素系芳香族化合物であっても、トリアジン環などの炭素以外の元素を有する複素芳香族化合物であってもかまわない。

0068

また、前記化合物X1分子中に2つ以上存在する官能基のRとしては、水素、アルキル基またはアシル基のいずれかであれば特に限定はなく、前記官能基のRはそれぞれ独立で、互いに同一であっても異なっていてもよい。化合物の入手の容易さや前記高分子化合物との反応で副生する化合物の除去の容易さなどを考慮すると、水素、メチル基あるいはアセチル基であることが好ましい。直接メタノール形燃料電池に使用する場合は、直接メタノール型燃料電池内に含まれている水、あるいはメタノールしか副生しないことから、前記官能基Rは水素、あるいはメチル基であることが特に好ましい。

0069

このような前記化合物Xとしては、例えば、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、4,6−ビス(ヒドロキシメチル)−o−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、1,2,4−ベンゼントリメタノール、1,3,5−ベンゼントリメタノール、4,4’−メチレンビス[2,6−ジ(ヒドロキシメチル)]フェノール、オキシビス(3,4−ジヒドロキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(メトキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン、サイメル(登録商標、日本サイテックインダストリーズ株式会社製)、DML−PC(本州化学工業株式会社製)、TML−BPA−MF(本州化学工業株式会社製)、TML−BPAF−MF(本州化学工業株式会社製)、DML−OC(本州化学工業株式会社製)、Dimethoxymethyl p−CR(本州化学工業株式会社製)、DML−MBPC(本州化学工業株式会社製)、DML−BPC(本州化学工業株式会社製)、TML−BP(本州化学工業株式会社製)、TMOM−BP(本州化学工業株式会社製)、DML−PEP(本州化学工業株式会社製)、DML−34X(本州化学工業株式会社製)、DML−PSBP(本州化学工業株式会社製)、DML−PTBP(本州化学工業株式会社製)、DML−PCHP(本州化学工業株式会社製)、DML−POP(本州化学工業株式会社製)、DML−PFP(本州化学工業株式会社製)、DML−MBOC(本州化学工業株式会社製)、HML−TPPHBA(本州化学工業株式会社製)、HMOM−TPPHBA(本州化学工業株式会社製)、26DMPC(旭有機材工業株式会社製)、46DMOC(旭有機材工業株式会社製)、DM−BIPC−F(旭有機材工業株式会社製)、DM−BIOC−F(旭有機材工業株式会社製)、TM−BIP−A(旭有機材工業株式会社製)、ニカラック(株式会社三和ケミカル製)などを例示できるが、これらのみに限定されるものではない。また、さらに、前記と一部重複するが、化合物Xは、下記化学式に示す化合物も例示できる。すなわち下記の構造式(2)〜(45)で示される44種類の化合物(なお、構造式(41)式中、R2〜R7はそれぞれ水素またはメチル基を表す。)を例示できるが、これらのみに限定されるものではない。

0070

0071

0072

0073

これらの化合物は1種類であっても複数であってもかまわない。これらのなかで、入手の容易さや前記高分子電解質膜との反応性、前記高分子電解質膜との反応生成物の耐熱性やメタノールなどの水素含有液体に対する膨潤性や溶解性などを考慮すると、下記構造式(2)〜(11)で示される10種類の化合物

0074

からなる群から選択される少なくとも1種以上であることが特に好ましい。

0075

本発明の前記高分子電解質膜表面に電極を形成する工程は、特に限定されないが、たとえば、電極が形成された剥離フィルムを高分子電解質膜の両面に配置し、ホットプレス機ロールプレス機などのプレス機を使用して加熱圧接したのちに剥離フィルムを取り除き、前記電極上に拡散層を配置させる方法、あるいは、電極が形成された拡散層をプロトン伝導性高分子電解質膜の両面に配置し、ホットプレス機やロールプレス機などのプレス機を使用して加熱圧接する方法が用いられる。

0076

前記加熱圧接の条件は、特に限定されないが、使用する高分子電解質膜や電極に含まれる高分子電解質の種類によって設定する。設定温度は、一般的には80℃〜200℃であり、使用する高分子電解質膜あるいは高分子電解質の最低軟化点−50℃以上、最低軟化点+50℃以下が好ましく、最低軟化点−30℃以上、最低軟化点+10℃以下であることがさらに好ましい。この範囲より大きい場合、高分子電解質中の末端基離脱し、有効に活用されない恐れがある。一方、この範囲より小さい場合、十分な接着力がえられず、界面抵抗が増加する恐れがある。また、使用する高分子電解質膜や電極に含まれる樹脂成分の融点熱劣化熱分解温度以下が好ましい。設定圧力は、最高圧力が0.1MPa以上20MPa以下であると、高分子電解質膜と電極が十分に接着するとともに、材料の特に大きな変形が無い場合、特性低下が起こらないため、好ましい。この範囲より大きい場合、電極が崩壊し、有効に活用されない恐れがある。一方、この範囲より小さい場合、十分な接着力がえられず、界面抵抗が増加する恐れがある。
(前記高分子電解質膜の両側に電極を配置された膜電極接合体の片側の電極に少なくともメタノールを含む燃料を供給する工程2と、もう一方の電極に酸化剤を供給する工程3)
前記高分子電解質膜表面に電極を形成させた膜電極接合体の片側に少なくともメタノールを含む燃料、もう一方に酸化剤を供給する方法は、特に限定されないが、前記膜電極接合体を、燃料、並びに酸化剤を供給する流路が形成された一対のガスフロープレートなどの間に挿入することにより、前記膜電極接合体を含む直接メタノール型燃料電池を作製し、前記直接メタノール型燃料電池を用いることが好ましい。

0077

前記ガスフロープレートは、特に限定されず、例えばカーボングラファイトステンレス鋼の導電性材料のものが使用できる。ステンレス鋼などの金属製材料を使用する場合は、耐腐食性の処理を施していることが好ましい。前記ガスフロープレートに形成された流路は、特に限定されず、蛇行流路でも、平行流路でも良い。膜電極接合体の片側に少なくともメタノールを含む燃料、もう一方に酸化剤を供給する方向は、特に限定されず、対向流でも良いし、平向流でも良い。

0078

本発明に用いる少なくともメタノールを含む燃料は、特に限定されないがメタノールと水との混合物であることが好ましい。

0079

少なくともメタノールを含む燃料に含まれるメタノールの濃度は、特に限定されないが、1wt%以上、30wt%以下であることが好ましい。1wt%未満では、供給されるメタノールの濃度が低すぎることによって、電極内のメタノールの拡散がしにくくなり、0.3V以上の電位が取り出しにくくなるので好ましくない。一方、30%より高い場合では、例えばメタノール透過量の多い膜を用いた膜電極接合体を用いた直接メタノール型燃料電池の場合、メタノールが酸化剤を供給した電極に移動し、電気化学反応阻害するため、0.3V以上の電位が取り出しにくくなるので好ましくない。

0080

少なくともメタノールを含む燃料を供給する量は、特に限定されないが、電極反応に最低必要な量が好ましい。たとえば、0.2Vの電位をかけたときに、0.1A/cm2の電流密度が流れた場合では、単位電極面積あたり、0.5×10−4mol/min以上のメタノールおよび0.5×10−4mol/min以上の水を供給することが好ましい。たとえば、電位保持の間に電流密度が0.3A/cm2の電流密度に増大した場合は、単位電極面積あたり、1.5×10−4mol/min以上のメタノール量および1.5×10−4mol/min以上の水を供給することが好ましく、電流密度の増大に伴って、メタノール量および水の量を増加させることが好ましい。

0081

本発明に用いる少なくとも酸素を含む気体である酸化剤は、特に限定されないが、酸素あるいは空気などを用いることができる。

0082

酸素を流す量は、特に限定されないが、電極反応に最低必要な量が好ましい。たとえば、0.2Vの電位をかけたときに、0.1A/cm2の電流密度が流れた場合では、単位電極面積あたり、0.76×10−4mol/min以上の量を供給することが好ましい。たとえば、電位保持の間に電流密度が0.3A/cm2の電流密度に増大した場合は、単位電極面積あたり、2.28×10−4mol/min以上の量を供給することが好ましく、電流密度の増大に伴って、酸素供給量を増加させることが好ましい。

0083

空気を供給する量は、特に限定されないが、電極反応に不足しない量が好ましい。たとえば、0.2Vの電位をかけたときに、0.1A/cm2の電流密度が流れた場合では、単位電極面積あたり、空気に含まれる酸素量が0.76×10−4mol/min以上の量を供給することが好ましい。たとえば、電位保持の間に電流密度が0.3A/cm2の電流密度に増大した場合は、単位電極面積あたり、空気に含まれる酸素量が2.28×10−4mol/min以上の量を供給することが好ましく、電流密度の増大に伴って、空気供給量を増加させることが好ましい。

0084

前記少なくとも酸素を含む気体の相対湿度は、0%RH以上、60%RH以下が好ましい。0%RH以下の気体は存在しないので、本発明に用いることができない。一方、60%RHより高い場合は、膜電極接合体の電極部分に水が滞留しやすいので好ましくない。さらに、前記膜電極接合体の電極部分に水が滞留しにくいことから、少なくとも酸素を含む気体の相対湿度は、0%RH以上、50%RH以下がより好ましい。

0085

供給する前記燃料および前記酸化剤の温度は、特に限定されないが、0℃以上、前記膜電極接合体に用いられている高分子電解質の分解温度未満であることが好ましい。0℃未満の場合は燃料および酸化剤に含まれる水が凍結すること、および/または前記膜電極接合体が凍結することによって、前記膜電極接合体が劣化するので好ましくない。前記膜電極接合体に用いられている高分子電解質の分解温度以上の場合では前記膜電極接合体に用いられている高分子電解質分解するので好ましくない。

0086

本発明に用いる前記燃料および前記酸化剤の流す方向は、特に限定されず、対向流でも良いし、平行流でも良い。

0087

本発明に用いる前記燃料および前記酸化剤の供給は、連続的に供給しても、断続的に供給しても良い。
(前記膜電極接合体の少なくとも酸素を含む酸化剤を供給した電極の電位を、前記膜電極接合体の少なくともメタノールを含む燃料を供給した電極の電位に対して0.0Vより大きく、+0.3V以下で保持する工程4を複数回おこなう工程)
本発明の方法は特に限定されないが、たとえば、前記膜電極接合体に少なくともメタノールを含む燃料、および少なくとも酸素を含む酸化剤をそれぞれの一方の電極に供給したのちに、前記膜電極接合体を含む直接メタノール型燃料電池を外部回路に接続し、前記膜電極接合体を含む直接メタノール型燃料電池および前記外部回路に、前記直接メタノール型燃料電池としての発電時において前記外部回路の抵抗を制御し、その抵抗の負荷要求に基づき要求される所定の電位を印加することによっておこなうことが好ましい。

0088

前記膜電極接合体を含む直接メタノール型燃料電池に接続された外部回路は、特に限定されず、少なくとも電子負荷器を備えたものが好ましく、さらに外部回路に直流電源を備えても良い。前記外部回路は、抵抗を制御することにより、任意の電位すなわち外部負荷要求を設定することにより、膜電極接合体を放電した状態にするものである。このとき、外部負荷要求を定電位で設定することによって、膜電極接合体を任意の電位で保持することができる。

0089

前記電位は、0.0Vより大きく、0.3V以下で保持することが好ましい。0.0V未満では、転極した状態であり、0.3Vより高い電位は、たとえば高濃度メタノールを燃料として用いたときに開回路電位が0.3V以下になることがあり、その結果、外部回路で設定することができない。また、膜電極接合体の活性化が大きいことから、前記電位を、0.0Vより大きく、0.25V以下で保持することがより好ましい。また、特に、前記電位を、0.05Vより大きく、0.20V以下で保持することは、膜電極接合体の活性化が特に大きいので好ましい。

0090

前記膜電極接合体の酸化剤を供給した電極の電位を、前記膜電極接合体の燃料を供給した電極の電位に対して0.0Vより大きく、+0.3V以下で保持する工程は、複数回おこなうことが好ましい。前記複数回は、2回以上、20回以下であることが好ましい。0回および1回では、膜電極接合体が活性化せず、20回より多い場合は、電極に含まれる触媒の活性が低下する恐れがあるので好ましくない。

0091

さらに、前記膜電極接合体の少なくとも酸素を含む酸化剤を供給した電極の電位を、前記膜電極接合体の少なくともメタノールを含む燃料を供給した電極の電位に対して0.0Vより大きく、+0.3V以下で保持する工程の後に、無負荷状態にし、再び電位を印加しても良い。また、前記工程の後に、無負荷状態にし、燃料および酸化剤の導入を停止し、再び燃料および酸化剤を供給した後に再び電位を保持しても良い。また、前記工程の後に、無負荷状態にし、燃料および酸化剤の導入を停止し、膜電極接合体の温度も下げ、再び燃料および酸化剤を供給し、膜電極接合体の温度を昇温後に再び電位を保持しても良い。

0092

電位を保持したときの膜電極接合体の温度は、特に限定されないが、0℃以上、前記膜電極接合体に用いられている高分子電解質膜および電極に含まれる高分子電解質の分解温度以下であることが好ましい。0℃未満の場合では膜電極接合体に含まれる水分が凍結し、前記膜電極接合体が劣化するので好ましくない。前記膜電極接合体に用いられている高分子電解質の分解温度以上の場合では前記膜電極接合体に用いられている高分子電解質分解するので好ましくない。

0093

以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
高分子電解質膜にPE(ポリエチレン)/PPS(ポリフェニレンサルファイド)複合膜を用いて、下記試験を実施した。

0094

<高分子電解質膜の製造>
芳香族単位を有する高分子化合物としてポリフェニレンサルファイド(大日本インキ化学工業株式会社製、LD10p11)、芳香族単位がない高分子化合物として高密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、HI−ZEX 3300F)を使用した。

0095

ポリフェニレンサルファイドのペレット50重量部と、高密度ポリエチレンのペレット50重量部とをドライブレンドした。ドライブレンドしたペレット混合物を、スクリュー温度290℃、Tダイ温度290℃の条件で、Tダイをセットした二軸押出機により、溶融押出成形し、高分子フィルムを得た(高分子フィルム中に高密度ポリエチレンを50重量%含有する)。

0096

ガラス容器に、ジクロロメタン905g、クロロスルホン酸18.0gを量し、2重量%のクロロスルホン酸溶液を調製した。前記高分子フィルムを2.1g秤量し、前記クロロスルホン酸溶液に浸漬し、25℃で20時間、放置した。その後、高分子フィルムを回収し、イオン交換水中性になるまで洗浄した。

0097

洗浄後の高分子フィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、高分子電解質膜であるPE/PPS複合膜を得た。

0098

アノード電極の製造>
アノード電極は、次の手順にて製造した。最初に、純水(4.630g)に白金−ルテニウム担時カーボン触媒粉末(TEC61E54、田中貴金属工業株式会社、0.463g)、およびナフィオン溶液(5wt%、4.123g)を加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌することによってアノード触媒インクを製造した。つぎに、前記アノード触媒インクをエアブラシで、カーボンペーパー製拡散層(GDL24BA、SGLカーボンジャパン株式会社製、50mm×50mm)に白金担持量1.0mg/cm2になるまで吹き付けた。最後に、150℃、1時間真空乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金担持量1.0mg/cm2のアノード電極を得た。

0099

カソード電極の製造>
カソード電極は、次の手順にて製造した。最初に、純水(2.500g)に白金担時カーボン触媒粉末(TEC10E50E、田中貴金属工業株式会社、0.250g)、および電解質溶液としてナフィオン溶液(5wt%、1.840g)を加えた後に、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌することによってカソード触媒インクを製造した。つぎに、前記カソード触媒インクをエアブラシで、カーボンペーパー製拡散層(GDL24BA、SGLカーボンジャパン株式会社製、50mm×50mm)に白金担持量1.0mg/cm2になるまで吹き付けた。最後に、それを50℃で乾燥させたのちに、22mm×22mmの大きさに裁断することによって、白金担持量1.0mg/cm2のカソード電極を得た。

0100

<直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体の製造>
本発明の膜電極接合体は、加熱圧接機(テスター産業株式会社製)を用いて次の手順で製造した。最初に、SUS板ポリテトラフルオロエチレンシート(100mm×100mm×0.05mm)、前記アノード電極形成拡散層(22mm×22mm)、前記高分子電解質膜、前記カソード電極形成拡散層(22mm×22mm)、ポリテトラフルオロエチレンシート(100mm×100mm×0.05mm)およびSUS板の順に積層した。この積層物を110℃に加熱した加圧板に設置した後、9.8MPa、5分間保持の条件で加熱圧接することによって、本発明の膜電極接合体を得た。
<膜電極接合体に電位を印加および保持する工程>
前記膜電極接合体を用いて直接メタノール型燃料電池単セルを組み立てた。最初に、アノード側エンドプレート、ガスフロープレート、PTFEガスケット(0.15mm)、膜電極接合体、PTFEガスケット(0.15mm)、ガスフロープレート、エンドプレートの順に積層した。つぎに、M3のボルトで2Nmで締め付けることによって、本実施例で用いる直接メタノール型燃料電池単セルを作製した。ガスフロープレートには蛇行流の流路が形成されている。
前記単セルを電子負荷装置PLZ164WA、電子工業社製)を搭載した評価装置に設置したのちに、セル温度60℃、燃料(1Mメタノール、1ml/min)をアノード電極を用いた電極に供給した。また、酸化剤(空気、160ml/min)はカソード電極を用いた電極に供給した。つぎに、電子負荷装置を定電位モードに設定し、前記膜電極接合体を含む直接メタノール型燃料電池の電位が0.2Vで印加および保持するように設定し、30分間保持した。直接メタノール型燃料電池の発電特性の評価は、電位保持工程後分極特性を測定し、最大出力を算出することによっておこなった。これを2回繰り返した。
(実施例2)
電位保持工程を3回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例3)
電位保持工程を5回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例4)
電位保持工程を7回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例5)
電位保持工程を9回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例6)
電位保持工程を11回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例7)
電位保持工程を13回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例8)
電位保持工程を15回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例9)
電位保持工程を17回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例10)
電位保持工程を19回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例11)
電位保持工程を20回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(実施例12)
高分子電解質膜にスルホン化PS膜を用いたこと、接合温度を150℃にしたこと、および電位保持工程を10回繰り返したこと以外は実施例1と同様におこなった。スルホン化PPS膜は下記のとおりに作製した。
<高分子電解質膜の作製>
スルホン化PPS膜は、クロロスルホン酸の1−クロロブタン混合溶液(1.5wt%)にPPSフィルム(東レ製トレリナ)を25℃で20時間浸漬した。その後、得られたスルホン化PPS膜をイオン交換水中加水分解し、洗浄した。さらに、23℃下で98%RH、80、60、50と湿度をさげながら各湿度で0.5時間ずつ保持して乾燥させることによって、本実施例で用いるスルホン化PPS膜を作製した。
(実施例13)
高分子電解質膜にナフィオン膜(NRE−212CS)を用いたこと、接合温度を150℃にしたこと、および電位保持工程を10回繰り返したこと以外は実施例1と同様におこなった。
(比較例1)
電位処理をおこなわなかったこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(比較例2)
定電位処理をおこなわなかったこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(比較例3)
定電位処理を21回繰り返したこと以外は実施例1と同様に試験をおこなった。
(比較例4)
定電位処理をおこなわなかったこと以外は実施例12と同様に試験をおこなった。
(比較例5)
定電位処理をおこなわなかったこと以外は実施例13と同様に試験をおこなった。

0101

表1は実施例1〜11と、比較例1〜3とをまとめた結果である。この結果から、本発明の膜電極接合体を備えた直接メタノール型燃料電池は比較例のものと比べて発電特性が向上することが明らかとなった。

0102

表2は比較例1、4、および5の最大出力を1としたときの、それぞれ実施例7、12、および13の最大出力を換算し、まとめたものである。この結果から、本発明の膜電極接合体を備えた直接メタノール型燃料電池は比較例のものと比べて30%〜60%向上することが明らかとなった。

0103

0104

本発明にかかる直接メタノール型燃料電池用膜電極接合体は、直接メタノール型燃料電池に代表される燃料電池をはじめとして、様々な産業上の利用可能性がある。

図面の簡単な説明

0105

定電位保持回数最大出力密度との関係を示す図

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