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技術 耐食性に優れたアルミニウム製熱交器およびその製造方法

出願人 三菱アルミニウム株式会社
発明者 兵庫靖憲麻野雅三当摩建
出願日 2007年12月10日 (13年7ヶ月経過) 出願番号 2007-318270
公開日 2009年6月25日 (12年0ヶ月経過) 公開番号 2009-139052
状態 特許登録済
技術分野 はんだ付・ろう付 はんだ付・ろう付材料 溶融はんだ付 一般的な熱交換又は熱伝達装置の細部4 一般的な熱交換又は熱伝達装置の細部5
主要キーワード 差込用穴 差込用 スロット加工 局部溶解 孔食発生 亜鉛換算 エアコンコンデンサ 押出管
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年6月25日)のものです。
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図面 (3)

課題

ろう付け性が良好で、かつ長期での耐食性に優れた熱交換器を提供する。

解決手段

Mn:0.05〜0.50%、Si:0.10%超〜0.50%未満、Cu:0.001〜0.10%未満を含有し、残部アルミニウム不可避不純物からなる合金組成を有し、表面に粒径30μm以下のSi粉末亜鉛を含有したフッ化物系フラックスバインダとを塗布したチューブヘッダーに組み付けてろう付けし、該ろう付けによって前記ヘッダーと前記チューブとの間に、前記チューブ表面電位が相対的に20mV以上卑となる接合フィレットを形成する。微細なSi粉末を用いてろう付することでろう付時のチューブの局部溶融がなく良好にろう付けでき、チューブとヘッダーとの間に形成されるフィレットよりもチューブ表面が30mV以上卑となり、フィレットが十分に防食される。

概要

背景

ろう付によって製造されるアルミニウム製熱交換器では、これまでAl製の芯材にAl−Si合金ろう材クラッドしたブレージングシートが広く使用されてきているが、これを用いなくともSi粉末フラックスバインダとの混合物の形でチューブ押出管など)の表面に塗布したものを使用することによって安価に製品が製造できるようになっている。

しかし、Si粉末を用いたろう付けでは、ろう付時の加熱でチューブ表面から内部にSiが拡散するため、Si濃度が表面で高く内部で低くなり、チューブには表面で電位が高く内部で低い電位勾配が形成される。このため、チューブに腐食が生じると孔食となり、冷媒漏れや強度低下の原因となっていた。

そこで、亜鉛含有フラックスを用いることで、ろう付時の亜鉛拡散による犠牲層をチューブ表面に形成させ、チューブに腐食が生じた場合でも全面腐食となって貫通孔の発生が抑制され、孔食発生によるチューブの冷媒漏れや強度低下を抑制することができる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2004−330233号公報

概要

ろう付け性が良好で、かつ長期での耐食性に優れた熱交換器を提供する。Mn:0.05〜0.50%、Si:0.10%超〜0.50%未満、Cu:0.001〜0.10%未満を含有し、残部アルミニウム不可避不純物からなる合金組成を有し、表面に粒径30μm以下のSi粉末と亜鉛を含有したフッ化物系フラックスとバインダとを塗布したチューブをヘッダーに組み付けてろう付けし、該ろう付けによって前記ヘッダーと前記チューブとの間に、前記チューブ表面の電位が相対的に20mV以上卑となる接合フィレットを形成する。微細なSi粉末を用いてろう付することでろう付時のチューブの局部溶融がなく良好にろう付けでき、チューブとヘッダーとの間に形成されるフィレットよりもチューブ表面が30mV以上卑となり、フィレットが十分に防食される。なし

目的

本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、チューブとヘッダーとの接合部においても良好な耐食性が確保されるアルミニウム製熱交換器および該熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

質量%でMn:0.05〜0.50%、Si:0.10%超〜0.50%未満、Cu:0.001〜0.10%未満を含有し、残部アルミニウム不可避不純物からなる合金組成を有し、表面に粒径30μm以下のSi粉末亜鉛を含有したフッ化物系フラックスバインダとを塗布したチューブヘッダーに組み付けてろう付けし、該ろう付けによって前記ヘッダーと前記チューブとの間に、前記チューブ表面電位が相対的に20mV以上卑となる接合フィレットを形成することを特徴とする耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器の製造方法。

請求項2

前記亜鉛を含有したフッ化物系フラックスは、亜鉛換算量で2〜10g/m2が前記チューブに塗布されていることを特徴とする請求項1記載の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器の製造方法。

請求項3

前記ヘッダーがろう材クラッドしたクラッド材であり、前記ろう材中の亜鉛の濃度が質量%で、2.0%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器の製造方法。

請求項4

前記ヘッダーの外側に質量%で、亜鉛を0.5〜3.0%含有した犠牲層が設けられていること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器の製造方法。

請求項5

質量%でMn:0.05〜0.50%、Si:0.10%超〜0.50%未満、Cu:0.001〜0.10%未満を含有し、残部アルミニウムと不可避不純物からなる合金組成を有するチューブとヘッダーとが、チューブ表面に塗布され、粒径30μm以下のSi粉末と亜鉛を含有したフッ化物系フラックスとバインダとを含む塗布物によってろう付けされており、前記チューブ表面の電位が、前記ろう付けによって前記チューブとヘッダーとの間に形成された接合部フィレットの電位よりも20mV以上卑になっていることを特徴とする耐食性に優れたアルミニウム製熱交換器。

技術分野

0001

この発明は、自動車エアコンコンデンサなどに好適なアルミニウム製熱交換器および該熱交換器の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

ろう付によって製造されるアルミニウム製熱交換器では、これまでAl製の芯材にAl−Si合金ろう材クラッドしたブレージングシートが広く使用されてきているが、これを用いなくともSi粉末フラックスバインダとの混合物の形でチューブ押出管など)の表面に塗布したものを使用することによって安価に製品が製造できるようになっている。

0003

しかし、Si粉末を用いたろう付けでは、ろう付時の加熱でチューブ表面から内部にSiが拡散するため、Si濃度が表面で高く内部で低くなり、チューブには表面で電位が高く内部で低い電位勾配が形成される。このため、チューブに腐食が生じると孔食となり、冷媒漏れや強度低下の原因となっていた。

0004

そこで、亜鉛含有フラックスを用いることで、ろう付時の亜鉛拡散による犠牲層をチューブ表面に形成させ、チューブに腐食が生じた場合でも全面腐食となって貫通孔の発生が抑制され、孔食発生によるチューブの冷媒漏れや強度低下を抑制することができる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2004−330233号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、上記方法では確かにチューブの耐食性は良好であるものの、チューブとヘッダー接合フィレットは、チューブ表面に形成されたろう材とヘッダーに貼り合わされていたろう材が流動し形成されるため、チューブに塗布されていた亜鉛を含むフラックスから供給される亜鉛により、電位が卑となり腐食の進行が促進される。このフィレットではチューブ表面のような亜鉛の濃度勾配がなく一定なため、腐食が生じるとフィレット内部への進行を抑制することができない。そのため、チューブで腐食による貫通孔が発生しなくとも、このフィレットで貫通孔が発生し、冷媒漏れによる問題が発生する。

0006

本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、チューブとヘッダーとの接合部においても良好な耐食性が確保されるアルミニウム製熱交換器および該熱交換器の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

すなわち、本発明の耐食性に優れたアルミニウム熱交換器の製造方法のうち、第1の本発明は、質量%でMn:0.05〜0.50%、Si:0.10%超〜0.50%未満、Cu:0.001〜0.10%未満を含有し、残部アルミニウム不可避不純物からなる合金組成を有し、表面に粒径30μm以下のSi粉末と亜鉛を含有したフッ化物系フラックスとバインダとを塗布したチューブをヘッダーに組み付けてろう付けし、該ろう付けによって前記ヘッダーと前記チューブとの間に、前記チューブ表面の電位が相対的に20mV以上卑となる接合部フィレットを形成することを特徴とする。

0008

第2の本発明の耐食性に優れたアルミニウム熱交換器の製造方法は、前記第1の本発明において、前記亜鉛を含有したフッ化物系フラックスは、亜鉛換算量で2〜10g/m2が前記チューブに塗布されていることを特徴とする。

0009

第3の本発明の耐食性に優れたアルミニウム熱交換器の製造方法は、前記第1または第2の本発明において、前記ヘッダーがろう材をクラッドしたクラッド材であり、前記ろう材中の亜鉛の濃度が質量%で、2.0%未満であることを特徴とする。

0010

第4の本発明の耐食性に優れたアルミニウム熱交換器の製造方法は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記ヘッダーの外側に質量%で、亜鉛を0.5〜3.0%含有した犠牲層が設けられていること特徴とする。

0011

第5の本発明の耐食性に優れたアルミニウム熱交換器は、質量%でMn:0.05〜0.50%、Si:0.10%超〜0.50%未満、Cu:0.001〜0.10%未満を含有し、残部アルミニウムと不可避不純物からなる合金組成を有するチューブとヘッダーとが、チューブ表面に塗布され、粒径30μm以下のSi粉末と亜鉛を含有したフッ化物系フラックスとバインダとを含む塗布物によってろう付けされており、前記チューブ表面の電位が、前記ろう付けによって前記チューブとヘッダーとの間に形成された接合部フィレットの電位よりも20mV以上卑になっていることを特徴とする。

0012

本発明はアルミニウム製熱交換器に関するものであり、組成が限定されたチューブとヘッダーとが組み合わされる。その他にフィン等が接合されて熱交換器として用いることが可能になる。なお、ここでアルミニウム製とされるものには、チューブとしてのアルミニウム合金の他に、アルミニウム合金や純アルミニウム、その他材料からなる部材の組み合わせのものが含まれる。

0013

次に、チューブの組成を限定した理由を説明する。なお、下記含有量はいずれも質量%で示されている。

0014

Mn:0.05〜0.50%
Mnは、チューブの強度を向上させることができるとともに、チューブの電位調整を行うことができるので、必須成分として含有させる。0.05%未満の含有では、効果が少なく、ヘッダーとの間に形成されるフィレットに対する良好な電位関係も得られない。一方、0.50%を超えて含有すると、材料の押出し加工性を低下させる。

0015

Si:0.10%超〜0.50%未満
Siは、Mnとともに含有させることで、微細なAl−Mn−Si系化合物を形成し、強度が有効に向上し、またチューブの電位調整をすることができるので、必須成分として含有させる。ただし、0.10%以下の含有では、上記効果が十分でなく、フィレットとの間の良好な電位関係が得られない。一方、0.50%以上含有すると、合金融点が低下して押出加工中に材料の部分溶融による表面欠陥を生じるようになる。

0016

Cu:0.001〜0.10%
適量のCu含有はチューブの耐食性および強度を向上させる作用がある。0.001%未満のCu含有では、耐食性の向上はなく、チューブの強度が低下する。一方、0.10%超のCu含有では、チューブやヘッダーとの間に形成されるフィレットの耐食性が劣化する。

0017

この他にTi、Feの1種または2種を加えても良い。これら元素材料強度を向上させる効果も有する。Ti、Feを含有させる場合、Fe:0.10〜0.50%、Ti:0.01〜0.20%の含有量とする。これら成分は、上限を超える量の含有ではさらに優れた特性を付与できないばかりでなく、材料の加工性を劣化させる。一方、下限未満では狙いの特性を付与できない。

0018

さらに、本発明においてSi粉末にはより微細なものを用い、これをチューブ表面に均一に塗布することによって、ろう付時の加熱によってチューブ表面全体に薄いAl−Si合金溶融ろうが形成され、チューブの局部溶融がほとんど生じることがない。このため、チューブ表面上に凹みが生じることがなく、チューブの強度が十分保たれ、凹み発生による製品の耐食性劣化も抑えることができる。粒径が30μmを超えると上記局部溶融による凹みが生じるようになる。好適には、さらにSi粉末の平均粒径を1〜5μm未満とするのが望ましい。これは平均粒径が1μm未満であると、Al−Si合金溶融ろうの形成が十分でなく、ろう付け性が低下するためであり、5μm以上では局部溶融による凹みが生じやすくなるためである。

0019

また、フラックス中に亜鉛が含有されるので、ろう付時に亜鉛がチューブへ拡散し、表面の亜鉛濃度が高く内部が低くなり、チューブ表面の電位が卑で内部が貴となる電位勾配の犠牲層が形成される。このため、チューブで腐食が生じても孔食形態とならず冷媒漏れや強度低下を抑制できる。フラックスとしては、亜鉛フッ化カリウム(KZnF3)の単体またはこれを含む混合物を好適に用いることができる。亜鉛を含むフラックスとしては、さらに、ZnF2などを例示することができる。亜鉛フッ化カリウム(KZnF3)などの亜鉛を含むフラックスに混合して用いることができるフラックスとしては、KAlF4、K3AlF6などを例示することができる。

0020

チューブとヘッダーとの間には、チューブ表面に形成されたろう材が流動することで、またヘッダーにろう材が貼り合わされている場合、このろう材がともに流動することで、接合部フィレットが形成される。チューブ表面のろう材はフラックス中の亜鉛を含有しているが、フィレットの電位をチューブ表面より貴とすることで、フィレットでの腐食発生を抑制できる。好適には、フラックス中の亜鉛換算量として2〜10g/m2にすることで、上記作用が確実に得られる。フラックス中の亜鉛換算量が2g/m2未満の場合はチューブの耐食性が不十分となり貫通孔が発生しやすくなる。また10g/m2を超えるとフィレットで亜鉛濃縮し貫通孔が発生しやすくなる。なお、ヘッダーにろう材層を設ける場合、ヘッダーの外側、内側のいずれに設けることも可能である。

0021

同様に、ヘッダーに貼り合わされているろう材に含有される亜鉛濃度を2.0%未満にすることで、フィレットの腐食発生を抑制できる。2.0%を超えるとフィレットで亜鉛濃縮し貫通孔が発生しやすくなる。
またヘッダーの外部側に亜鉛を0.5〜3.0%含有した犠牲層を設け、フィレットよりもヘッダー表面の電位を卑にすることで、フィレットを犠牲防食することができる。さらにヘッダー表面の電位をチューブ表面のそれより卑とすることで、ヘッダー表面はフィレットおよびチューブを犠牲防食することができ、より熱交換器の耐食性寿命延ばすことができる。上記犠牲材に含まれるZnが、0.5%未満では犠牲防食効果が期待できない。3.0%を超えると過剰な犠牲防食効果によりヘッダーの耐食性が低下する。なお、ヘッダーの外側に犠牲層を設ける場合、ヘッダーの内側には上記ろう材層を設けることができる。

発明の効果

0022

以上説明したように、本発明によれば、質量%でMn:0.05〜0.50%、Si:0.10%超〜0.50%未満、Cu:0.001〜0.10%未満を含有し、残部アルミニウムと不可避不純物からなる合金組成を有するチューブとヘッダーとが、チューブ表面に塗布された粒径30μm以下のSi粉末と亜鉛を含有したフッ化物系フラックスとバインダとを含む塗布物によってろう付けされており、前記チューブ表面の電位が、前記ろう付けによって前記チューブとヘッダーとの間に形成された接合部フィレットの電位よりも20mV以上卑になるので、フィレットが防食され実環境にて長時間使用されても腐食による冷媒漏れが発生しない効果が得られる。

発明を実施するための最良の形態

0023

以下に、本発明の一実施形態を図1図3に基づいて説明する。
熱交換器用チューブには、Mn:0.05〜0.50%、Si:0.10超〜0.50%未満、Cu:0.001〜0.10%を含有し、さらに必要に応じてFe:0.10〜0.50%、Ti:0.01〜0.20%の1種または2種を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有するAl合金を用いる。該Al合金を常法により溶製し、通常は押出加工を経てチューブ1とされる。この実施形態では、チューブ1は、扁平な多穴管構造とされ、内部に、複数の通路2が形成されている。

0024

また、熱交換器用ヘッダー4は、アルミニウム合金材によって全体として円筒状に形成され、前記チューブ1が挿通される差込用穴5…5を有している。
さらに、熱交換器用フィン6としてAl合金を常法により溶製し、圧延工程などを経て波形形状としたものを用意する。なお、チューブ1、ヘッダー4およびフィン6の製造方法は、本発明としては特に限定をされるものではなく、既知製法を適宜採用することができる。

0025

上記チューブ1には、Si粉末ろう材とZnを含有するフッ化物系フラックスと、必要に応じてバインダ、溶剤を加えた塗布物3が塗布される。上記Si粉末は、最大粒径が30μm以下であり、好適には平均粒径が1〜5μm未満のものが用いられる。フッ化物フラックスには、KZnF3などの亜鉛を含むフッ化物系フラックスが用いられ、所望によりこれに加えて、KAlF4、K3AlF6の1種または2種以上などを混合して用いることができる。なお、フッ化物系フラックスのサイズは、本発明としては特に限定をされないが、平均粒径10μm以下が望ましい。これは、10μmを超えると塗膜の厚みが増大するため、ろう付け中に製品中央部の縮みが発生し、ろう付け後にフィンの剥がれが生じることの理由による。また、バインダには、既知のものを用いることができ、好適にはアクリル系樹脂が用いられる。これら材料と水、アルコールなどの適宜材料の溶剤を混合して塗布物とする。これら材料の混合比も本発明としては特に限定をされるものではないが、好適にはSi粉末:フラックス:バインダ:アルコール=1〜5:5〜20:1〜4:10〜30の混合比とする。

0026

上記塗布物は、適宜の方法によりチューブ表面に塗布される。塗布物の塗布方法は特に限定をされるものではなく、スプレー法シャワー法フローコーター法ロールコータ法刷毛塗り法浸漬法などを適宜採用することができる。
なお、塗布物の塗布量は、Si粉末において1〜5g/m2の範囲が望ましい。これは、下限未満では、形成される溶融ろうの量が不足して、接合強度が十分でなく、上限を超えると、チューブの溶融量が増加してチューブの肉厚が減少して、好ましくない。また、Zn含有フラックスは、Zn換算量で2〜10g/m2が望ましい。

0027

上記チューブ1、1間にフィン6が配置されるとともに、チューブ1の端部がヘッダー4の差込用穴5に挿通されて互いに組み付けられ、ろう付けに供される。ろう付けに際しては、不活性雰囲気などの適当な雰囲気適温に加熱して、ろう材を溶解させる。この際の加熱温度としては580〜620℃が例示される。また、加熱保持時間としては1〜10分が挙げられる。ただし、これら温度および加熱時間は例示であり、本発明としては特定の条件に限定されるものではない。
ろう付に際しては、チューブ1のマトリックスの一部が前記塗布物3と反応してろうとなって、部材同士が良好にろう付される。チューブ1表面ではろう付けによってフラックス中のZnが拡散してチューブ1内側よりも卑になる。

0028

上記ろう付けに際し、フラックスは、被ろう付け材の表面酸化皮膜を除去し、ろう付け加熱中の酸化を防止し、さらにろうの広がりぬれを促進してろう付け性を向上させる。
上記ろう付けに際しては、Si粉末によるチューブの局部溶解もなく、良好なろう付けがなされ、チューブ1とヘッダー4との間に適度なフィレット10が形成される。
このフィレット10は、ろう付け後のチューブ1の表面電位よりも貴になっており、チューブ1の表面電位は、相対的にフィレット10よりも20mV以上卑である。これにより、チューブ1の表面が優先腐食状態になり、フィレット10では腐食が抑制される。上記により得られた熱交換器は、実環境にて長時間使用されても腐食による冷媒漏れが発生しない。

0029

なお、ヘッダー4には、上記ろう付けが確実になされるように、図3(a)に示すように、チューブ1が挿通される外側にろう材層40を設けることができる。上記ろう付けに際しては、チューブ1の表面に形成されるろう材と、ろう材層40の溶融によるろう材とがともに溶融してチューブ1とヘッダー4との間にフィレット10を形成し、両者を良好にろう付けする。なお、ろう材層40におけるZn含有量を2.0%未満とすることで、ろう材層40から流動するZnがフィレット10に濃縮するのを回避することができ、これにより、ろう付け後のチューブ1の表面電位がフィレット10よりも20mV以上卑となる状態を確実に得ることができる。ろう材層40のZn含有量が2.0%以上になると、フィレット10にZnが濃縮し、早期に貫通孔が発生する。

0030

また、ヘッダー4は、図3(b)に示すように、チューブ1が挿通される外部側側に犠牲材層41を設けることができ、その際に内部側に前記ろう材層40を設けて上記ろう付けが確実になされるようにしてもよい。上記犠牲材層41は、ヘッダー4の防食を図るとともに、フィレット10に対し、ヘッダー4の表面を卑にしてフィレット10を長時間防食させることができる。また、ヘッダー4の表面電位が、チューブ1の表面電位よりも卑になるのが一層望ましい。この犠牲材層41では、犠牲効果を十分に得るために、Znを0.5%以上含有するのが望ましい。一方、3.0%を超えて含有するとフィレット10へのZn濃縮が生じ、フィレット10の耐食性を低下させるため、犠牲材層のZn含有量を0.5〜3.0%とするのが望ましい。

0031

チューブ材としてMn:0.30%、Si:0.35%、Cu:0.003%、残部Alおよび不可避不純物からな組成を有するアルミニウム合金を溶製し、均質化処理後、熱間押出で、図1に示すような肉厚0.25mmの扁平多穴管とした。その後、該チューブに平均粒径2.5μm、最大粒径30μm以下、塗布量3g/m2のSi粉末と表1に示すフッ化物系フラックスとを、アクリル系樹脂とイソプロピルアルコールとの混合物としてロール塗布し、乾燥させた。

0032

次に表2に示す合金組成の組合せで材料を貼り合せ、熱間圧延冷間圧延にて1.2mm厚さのヘッダー材とした。このヘッダー材をプレス加工半円状とした後、スロット加工にてチューブ差込用の穴を設けた。スロット加工有無の半円状ヘッダー材同士を組合せ、図1に示すような円筒状のヘッダーパイプとした。なお、組合せ後にヘッダーパイプをフッ化物系フラックスを分散させた水溶液中に浸漬させ、フラックスを20g/m2塗布した。

0033

フィン合金はJIS3003合金に1.5%亜鉛を加えた合金を溶製し、均質化処理後、熱間圧延と冷間圧延にて0.07mm厚さの板とした。その後、コルゲート加工を行いフィン材とした。
上記チューブとヘッダー、フィンを用いて図2に示すミニコア組立て、窒素雰囲気の炉中で600℃、3分保持のろう付を行った。いずれのコアも接合は良好であった。表1、2には、ろう付け後のチューブ表面およびヘッダー表面の電位を示した。
また、これら種々の材料組合せからなるコアをSWAAT38日間の長期腐食試験に供した。試験後に腐食による貫通孔の有無と発生部位の確認を行った。

0034

表3に腐食試験結果をまとめて示した。表3より本発明を満たす組合せからなるコアは、いずれも貫通孔の発生はなかった。一方、比較材を用いたコアでは、チューブまたはフィレットにて貫通孔が発生し、十分な耐孔食性を得ることができなかった。表3には、さらに、ろう付け後のチューブ表面とフィレットの電位差を示した。
以上のように、本発明の条件を満たす熱交換器ではチューブとヘッダーの接合部フィレットを含めた全ての部位で耐食性が極めて良好となり、長期の使用後にも貫通孔の発生がないばかりでなく、製品の耐圧強度も維持できるなど、実用上、有益であった。

0035

0036

0037

図面の簡単な説明

0038

本発明の一実施形態に用いるチューブおよびヘッダーを示す図である。
同じく、チューブおよびヘッダーの組付けを行った熱交換器を示す図およびb部拡大図である。
同じく、ヘッダーの構成を示す一部断面図である。

符号の説明

0039

1チューブ
3塗布物
4ヘッダー
40ろう材層
41犠牲材層
6フィン
10 フィレット

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