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課題

両親媒性抗菌物質の、通常用いられる濃度よりも低い範囲の濃度で使用しても優れた抗菌効果を得ることができる抗菌剤水溶液及びその製造方法の提供。

解決手段

モノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質0.2μg/ml〜50μg/ml及びε−ポリリジン0.1μg/ml〜30μg/mlを含む水溶液。この抗菌剤水溶液を、2.5〜20倍に薄めて使用することができる。抗菌剤水溶液を製造する場合、ショ糖モノラウリン酸エステルを添加して35℃〜55℃に加温すれば両親媒性抗菌物質の溶解を促進することができる。

概要

背景

人類を含む、高等生物誕生から死に至るまで、日常的に多種多様、かつ膨大な数の微生物に接して生活している。そこには善玉菌もあれば悪玉菌もあり、ミクロフロラ(微生物の生息分布)は環境の影響で、ある幅をもって変動している。そして近代に至り人類の生活は劇的に変化し、産業活動などによる環境の変化の影響が微生物の世界にも及びつつある。20世紀後半以降になると、多数の抗生物質発見され、病原微生物による深刻な疾患に対処できるようになった。その一方、重大な疾患に比較的手軽に対処できるため、濫用する傾向もあり、抗生物質耐性菌の発生という深刻な事態を招き、それにも至急対処しなければならない。加えて、元々抗生物質に抵抗性が強いグラム陰性菌と称する一群細菌類についての問題がある。この細菌類の特徴は、グラム陽性菌細胞表層細胞質膜細胞壁二層からなっているのに対し、グラム陰性菌は最外層に、更に外膜と呼ばれる強固な膜があって、細胞外から侵入する脂溶性抗生物質に対する障壁になっている。このようなグラム陰性菌に侵入する有効な物質は少ない。長年、抗生物質を使用する機会が多かった高齢者は、体内のミクロフロラがグラム陰性菌優勢になっているといわれる。一例として、老人性肺炎病原菌グラム陰性緑膿菌の場合が多く、抗生物質に対する抵抗性が強く、医療の場では治療に難している(例えば、非特許文献1参照)。

このような中で、微生物による伝染病が発生した場合、消毒剤局地的散布し、医療者および作業者手指消毒するなどの消極的措置がとられる。残念ながら科学技術が進歩した現在でも、予め伝染病の脅威を取り除く積極的な方法はない。その理由の1つは消毒剤の多くはヒトに対しても毒性があり、残留性もあるため、予防的に散布できないからである。そこで注目されるのは食品などに用いられる防腐剤のなかの比較的毒性が低い物質の存在である。しかし、それらは総じて抗菌活性マイルドであり抗菌スペクトラムもそれぞれ異なる。そこで期待されるのは複数の防腐剤の配合による相補的、あるいは相乗配合剤である。具体的には、中鎖脂肪モノグリセライドとε−ポリリジンプロタミンを添加した食品保存剤が各種微生物に対して広い抗菌スペクトルを持つようになることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また炭素数8〜12の脂肪酸脂肪族モノグリセリンエステル、ε−ポリリジンを有効成分として含む食品保存剤が開示されている(例えば、特許文献2参照)。更にポリリジンとグリセリンモノラウリン酸エステル、即ちモノラウリンを含む保存料が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
H.NIKAIDOand M.VAARA,Microbiological Reviews,Mar.1985,P.1-32
特開平7−135943号公報(特許請求の範囲、段落0002、段落0004)
特開2000−270821(特許請求の範囲請求項1、請求項2)
特開平11−228308号公報(特許請求の範囲請求項1、請求項2)

概要

両親媒性抗菌物質の、通常用いられる濃度よりも低い範囲の濃度で使用しても優れた抗菌効果を得ることができる抗菌剤水溶液及びその製造方法の提供。モノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質0.2μg/ml〜50μg/ml及びε−ポリリジン0.1μg/ml〜30μg/mlを含む水溶液。この抗菌剤水溶液を、2.5〜20倍に薄めて使用することができる。抗菌剤水溶液を製造する場合、ショ糖モノラウリン酸エステルを添加して35℃〜55℃に加温すれば両親媒性抗菌物質の溶解を促進することができる。

目的

したがって、本発明が解決しようとする第1の課題は、水1mlに対してマイクログラム単位で扱われる希薄濃度下で両親媒性抗菌物質としてのモノラウリン又はジグリセロールモノラウリン酸エステルとε−ポリリジンとを併用することにより抗菌力が増強された優れたグラム陰性菌にも有効な抗菌効果を有すると共に生体蓄積のない抗菌剤水溶液及びその製造方法を提供することにある。本発明が解決しようとする第2の課題は、ε-ポリリジンと両親媒性抗菌物質の希薄濃度として、通常用いられる濃度よりも低い範囲の濃度、即ち30μg/ml以下の濃度で使用することにより優れた抗菌効果を得ることができる抗菌剤水溶液及びその製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

モノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質0.2μg/ml〜50μg/ml及びε−ポリリジン0.1μg/ml〜30μg/mlを含む水溶液からなることを特徴とする抗菌剤水溶液

請求項2

前記水溶液にショ糖モノラウリン酸エステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の抗菌剤水溶液。

請求項3

前記ショ糖モノラウリン酸エステルを0.1μg/ml〜100μg/ml含有することを特徴とする請求項2に記載の抗菌剤水溶液。

請求項4

請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の抗菌剤水溶液に、2.5〜20倍の滅菌した脱イオン水を混合したことを特徴とする抗菌剤水溶液。

請求項5

モノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質0.2μg/ml〜50μg/mlを水に溶解し、得られた両親媒性抗菌物質の水溶液にε−ポリリジン0.1μg/ml〜30μg/mlを加えることを特徴とする抗菌剤水溶液の製造方法。

請求項6

前記両親媒性抗菌物質として、モノグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して溶解することを特徴とする請求項5に記載の抗菌剤水溶液の製造方法。

請求項7

前記両親媒性抗菌物質として、モノグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して35℃〜60℃に加温して溶解することを特徴とする請求項5に記載の抗菌剤水溶液の製造方法。

請求項8

前記両親媒性抗菌物質として、0.2μg/ml〜50μg/mlのジグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、室温乃至常温で溶解させることを特徴とする請求項5に記載の抗菌剤水溶液の製造方法。

請求項9

前記両親媒性抗菌物質として、0.2μg/ml〜50μg/mlのジグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して溶解させることを特徴とする請求項5に記載の抗菌剤水溶液の製造方法。

技術分野

0001

本発明はε-ポリリジン及び両親媒性抗菌物質を構成成分とし、これらの成分を水1mlに対してマイクログラム単位で含有する抗菌剤水溶液及びその製造方法に関し、更に詳しくは、上記両親媒性抗菌物質として、モノラウリン又はジグリセロールモノラウリン酸エステルを使用し、これをε−ポリリジンと併用することよりなり、場合により溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを加えてなる抗菌剤水溶液及びその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

人類を含む、高等生物誕生から死に至るまで、日常的に多種多様、かつ膨大な数の微生物に接して生活している。そこには善玉菌もあれば悪玉菌もあり、ミクロフロラ(微生物の生息分布)は環境の影響で、ある幅をもって変動している。そして近代に至り人類の生活は劇的に変化し、産業活動などによる環境の変化の影響が微生物の世界にも及びつつある。20世紀後半以降になると、多数の抗生物質発見され、病原微生物による深刻な疾患に対処できるようになった。その一方、重大な疾患に比較的手軽に対処できるため、濫用する傾向もあり、抗生物質耐性菌の発生という深刻な事態を招き、それにも至急対処しなければならない。加えて、元々抗生物質に抵抗性が強いグラム陰性菌と称する一群細菌類についての問題がある。この細菌類の特徴は、グラム陽性菌細胞表層細胞質膜細胞壁二層からなっているのに対し、グラム陰性菌は最外層に、更に外膜と呼ばれる強固な膜があって、細胞外から侵入する脂溶性抗生物質に対する障壁になっている。このようなグラム陰性菌に侵入する有効な物質は少ない。長年、抗生物質を使用する機会が多かった高齢者は、体内のミクロフロラがグラム陰性菌優勢になっているといわれる。一例として、老人性肺炎病原菌グラム陰性緑膿菌の場合が多く、抗生物質に対する抵抗性が強く、医療の場では治療に難している(例えば、非特許文献1参照)。

0003

このような中で、微生物による伝染病が発生した場合、消毒剤局地的散布し、医療者および作業者手指消毒するなどの消極的措置がとられる。残念ながら科学技術が進歩した現在でも、予め伝染病の脅威を取り除く積極的な方法はない。その理由の1つは消毒剤の多くはヒトに対しても毒性があり、残留性もあるため、予防的に散布できないからである。そこで注目されるのは食品などに用いられる防腐剤のなかの比較的毒性が低い物質の存在である。しかし、それらは総じて抗菌活性マイルドであり抗菌スペクトラムもそれぞれ異なる。そこで期待されるのは複数の防腐剤の配合による相補的、あるいは相乗配合剤である。具体的には、中鎖脂肪モノグリセライドとε−ポリリジンにプロタミンを添加した食品保存剤が各種微生物に対して広い抗菌スペクトルを持つようになることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また炭素数8〜12の脂肪酸脂肪族モノグリセリンエステル、ε−ポリリジンを有効成分として含む食品保存剤が開示されている(例えば、特許文献2参照)。更にポリリジンとグリセリンモノラウリン酸エステル、即ちモノラウリンを含む保存料が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
H.NIKAIDOand M.VAARA,Microbiological Reviews,Mar.1985,P.1-32
特開平7−135943号公報(特許請求の範囲、段落0002、段落0004)
特開2000−270821(特許請求の範囲請求項1、請求項2)
特開平11−228308号公報(特許請求の範囲請求項1、請求項2)

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、前述のごとく抗生物質耐性菌の問題を含め、これらの問題を改善するには至っていない。そこで、引用文献1乃至3に開示されている抗菌剤について検討したところ、これらの引用文献に開示されているε−ポリリジンやモノグリセロールモノラウリン酸エステル(モノラウリンともいう。)の抗菌性は、これらを組み合わせると共に、その抗菌効果を期待するためにプロタミン、脂肪酸を添加することが行われており、更に、これらの成分の添加量を多くして抗菌効果を向上させているが、今ひとつグラム陰性菌に対して十分な効果が得られていない。またモノラウリンは、特にグラム陰性菌には無効であり、かつ水溶性が低いという欠点があり用途が限られていた。またε-ポリリジンは緑膿菌にも有効な、数少ない物質として注目され、利用されている。しかし、抗菌作用のみを期待する使用濃度では、両親媒性抗菌物質に対する抗菌力増強作用は観察することができない。なぜならばε-ポリリジン自身、抗菌力が強い物質だからである。微生物細胞表層マイナス荷電を有しているので、ε-ポリリジンは、その表面に非常に多量に付着する。したがってε−ポリリジンの付着が飽和に近くなると、ε−ポリリジンの長い分子の結合によって微生物細胞表層が被覆され、モノラウリンの細胞表層への透過性が妨害されるので、抗菌力が発揮されないという問題があった。

0005

本発明者等は、歯科用寒天製品は、歯科医の手で口腔内印象(齒型)を直接採るものであるところ、厳しく安全性が法的に求められており、使用できる防腐剤は限られる中、満足使用可能なものが無かった。そこで、前記のε−ポリリジンと両親媒性抗菌物質との組み合わせが抗菌作用に優れ、生活環境のミクロフロラにおける有害微生物の過度の増殖を制御し、健康的な微生物環境下で使用できる点に鑑み、複数の防腐剤の適正な組み合わせと添加量について、更なる検討を加えた結果、水1mlに対してマイクログラム単位で扱われる希薄濃度のε−ポリリジンと両親媒性抗菌物質の水溶液の併用により抗菌力が増強されることを見出し、更にモノラウリンが懸濁している点に着目し、透明な完全溶液を目指してモノラウリンの水への溶解を促進する物質(以下、溶解を促進する物質を溶解促進物質という。)を探したところ、ショ糖モノラウリン酸エステルを加えた水には溶解限度の数倍溶けるので、水溶液(透明な懸濁液ともいう。)となり、いっそう抗菌力が向上することをも見出した。この点は、モノラウリンが懸濁液ではなく、完全な水溶液とし、ε-ポリリジンの影響下でモノラウリンの細胞表層の透過をより促進し、抗菌力が増強し、抗菌スペクトラムもグラム陰性菌にも効力を拡大することができるという相乗効果が得られることにある。また、ショ糖モノラウリン酸エステルを添加することにより促進効果ばかりでなく長期保存においてもモノラウリンの沈殿を生じないという優れた効果を奏することがわかった。更に、ジグリセロールモノラウリン酸エステルを用いても水1mlに対してマイクログラム単位で扱われる希薄濃度下でモノラウリンと同様の効果を奏することがわかった。本発明は、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。

0006

したがって、本発明が解決しようとする第1の課題は、水1mlに対してマイクログラム単位で扱われる希薄濃度下で両親媒性抗菌物質としてのモノラウリン又はジグリセロールモノラウリン酸エステルとε−ポリリジンとを併用することにより抗菌力が増強された優れたグラム陰性菌にも有効な抗菌効果を有すると共に生体蓄積のない抗菌剤水溶液及びその製造方法を提供することにある。本発明が解決しようとする第2の課題は、ε-ポリリジンと両親媒性抗菌物質の希薄濃度として、通常用いられる濃度よりも低い範囲の濃度、即ち30μg/ml以下の濃度で使用することにより優れた抗菌効果を得ることができる抗菌剤水溶液及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明の上記課題は、以下の各発明によって達成される。

0008

(1)モノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エ
テルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質0.2μg/ml〜50μg/ml及びε−ポリリジン0.1μg/ml〜30μg/mlを含む水溶液からなることを特徴とする抗菌剤水溶液。
(2) 前記水溶液にショ糖モノラウリン酸エステルを含有することを特徴とする前記第1項に記載の抗菌剤水溶液。
(3)前記ショ糖モノラウリン酸エステルを0.1μg/ml〜100μg/ml含有することを特徴とする前記第2項に記載の抗菌剤水溶液。
(4)前記第1項乃至第3項のいずれかに記載の抗菌剤水溶液に、2.5〜20倍の滅菌した脱イオン水を混合したことを特徴とする抗菌剤水溶液。
(5)モノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質0.2μg/ml〜50μg/mlを水に溶解し、得られた両親媒性抗菌物質の水溶液にε−ポリリジン0.1μg/ml〜30μg/mlを加えることを特徴とする抗菌剤水溶液の製造方法。
(6) 前記両親媒性抗菌物質として、モノグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して溶解することを特徴とする前記第5項に記載の抗菌剤水溶液の製造方法。
(7)前記両親媒性抗菌物質として、モノグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して35℃〜60℃に加温して溶解することを特徴とする前記第5項に記載の抗菌剤水溶液の製造方法。
(8)前記両親媒性抗菌物質として、0.2μg/ml〜50μg/mlのジグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、室温乃至常温で溶解させることを特徴とする前記第5項に記載の抗菌剤水溶液の製造方法。
(9)前記両親媒性抗菌物質として、0.2μg/ml〜50μg/mlのジグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して溶解させることを特徴とする前記第5項に記載の抗菌剤水溶液の製造方法。

発明の効果

0009

前記第1項記載の本発明の抗菌剤水溶液は、モノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質0.2μg/ml〜50μg/ml及びε−ポリリジン0.1μg/ml〜30μg/mlを含む水溶液からなることを特徴とするもので、モノグリセロールモノラウリン酸エステル又はジグリセロールモノラウリン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質を0.2μg/ml〜50μg/mlの範囲及びε−ポリリジンを0.1μg/ml〜30μg/mlの範囲のマイクログラム単位量で用いることにより、ε-ポリリジンが希薄濃度で発揮する微生物修飾作用とモノラウリンの抗菌作用が相乗的に増強されると共に、両者とも、生分解性であるので生体蓄積がなく、しかも無色、無臭、無味の安定で安全な水溶液であるという優れた効果を奏するものである。特に、グラム陰性菌に強い増殖抑制作用があることから、ブロードスペクトラムの抗菌剤として、極めて広い用途を有するものである。

0010

前記第2項記載の本発明の抗菌剤水溶液は、前記第1項において、前記水溶液にショ糖モノラウリン酸エステルを含有することにより、モノグリセロールモノラウリン酸エステルの溶解促進剤として作用し、該モノグリセロールモノラウリン酸エステルを十分に溶解し、透明な水溶液とすることができるばかりでなく長期間の保存でも溶解成分の沈殿を防止することができるという優れた効果を奏するものである。なお、シュガーエステルをショ糖モノラウリン酸エステルに特定した理由は、他の脂肪酸エステルでは糖とモノラウリンの間のエステル転移があった場合に起こりうる活性の低下を避けるためである。

0011

前記第3項記載の本発明の抗菌剤水溶液は、前記第1項において、前記ショ糖モノラウリン酸エステルを0.1μg/ml〜100μg/ml含有することにより、モノラウリンやジグリセロールモノラウリン酸エステルの溶解性を促進することができ、作業性、経済性にも優れている。

0012

前記第4項記載の本発明の抗菌剤水溶液は、前記第1項乃至第3項のいずれかに記載の抗菌剤水溶液に、2.5〜20倍の滅菌した脱イオン水を混合したことを特徴とし、このように第1項に記載の抗菌剤水溶液を希釈しても、その希釈の範囲内では優れた抗菌作用を呈するものである。

0013

前記第5項記載の本発明の抗菌剤水溶液の製造方法は、モノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質0.2μg/ml〜50μg/mlを水に溶解し、得られた両親媒性抗菌物質の水溶液にε−ポリリジン0.1μg/ml〜30μg/mlを加えることを特徴とすることにより、両者の相乗的作用によりグラム陰性菌に対しても有効な優れた抗菌効果を有する抗菌剤水溶液を得ることができるという優れた効果を奏するものである。

0014

前記第6項記載の本発明の抗菌剤水溶液の製造方法は、前記第5項において、前記両親媒性抗菌物質として、モノグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して溶解することにより、溶解し難いモノグリセロールモノラウリン酸エステルを完全な水溶液とすることができるばかりでなくマイクログラム単位で扱われる希薄濃度下でε−ポリリジンとの抗菌効果を相乗的に向上させることができるという優れた効果を奏するものである。

0015

前記第7項記載の本発明の抗菌剤水溶液の製造方法は、前記第5項において、前記両親媒性抗菌物質として、モノグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して35℃〜60℃に加温して溶解することを特徴とし、35℃〜60℃に加温することにより、溶解し難いモノグリセロールモノラウリン酸エステルの溶解をいっそう促進し、完全な水溶液とすることができるばかりでなくマイクログラム単位で扱われる希薄濃度下でε−ポリリジンとの抗菌効果を相乗的に向上させることができるという優れた効果を奏するものである。

0016

前記第8項記載の本発明の抗菌剤水溶液の製造方法は、前記第5項において、前記両親媒性抗菌物質として、0.2μg/ml〜50μg/mlのジグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、室温乃至常温で溶解させることにより、加温することなくジグリセロールモノラウリン酸エステルを完全な水溶液とすることができるばかりでなく抗菌効果を損なうことがないという優れた効果を奏するものである。

0017

前記第9項記載の本発明の抗菌剤水溶液の製造方法は、前記第5項において、前記両親媒性抗菌物質として、0.2μg/ml〜50μg/mlのジグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して溶解させることにより、ジグリセロールモノラウリン酸エステルを速やかに完全な水溶液とすることができるばかりでなく抗菌効果を損なうことがないという優れた効果を奏するものである。

発明を実施するための最良の形態

0018

本発明に用いられる水溶液は、水溶液のみでなく、この技術分野において通常用いられるアルコール含有水溶液として用いることも本発明の技術的範囲に含まれる。本発明で用いられるε-ポリリジン(ε-polylysine,S.Shima etal,J.Ant
ibiotics,37:1459-1455,1984)は、公知であり、いずれの方法で得られたものでもよく、たとえばε-ポリリジン生産菌のストレプトミセスアルブラスサブスピーシス・リジノポリメラスを培養し、得られた培養物からε-ポリリジンを単離、精製する方法(特公昭‐20359号公報)によって得られたε-ポリリジンを挙げることができる。ε-ポリリジンは急性毒性、LD50>10.0g/kg、ラット変異原性試験陰性、抗菌活性はグラム陽性グラム陰性細菌に強く、真菌類には比較的弱い活性を示す物質であり、有効pH領域が広く、熱に安定で水に易溶性である。既存食品添加物名簿(厚生労働省)に掲載されており、安全な防腐剤として広く食品保存料等に用いられている。ε-ポリリジンは、必須アミノ酸であるL-リジンのみが20-30残基ペプチド結合した、塩基性ホモペプチド混合物である。

0019

ポリリジンにはリジン同志の結合の仕方に2種類あり、ε-ポリリジンはリジンの2個のアミノ基のうち末端部にあるε位(5位)のアミノ基がリジン同志で連続的にアミド結合したペプチドである。異性体のα-ポリリジンはリジンのα位(1位)のアミノ基が連続的にアミド結合したペプチドである。両者の化学構造を比較すると、ε-ポリリジンは直線的に長く、滑らかで柔軟な分子であり、α-ポリリジンは塊状の固い分子である。ε-ポリリジンの分子の長さは少なくとも30ナノメートルはあり、しかも結合したリジン残基同数のアミノ基を持つポリカチオンペプチドである。マイナス荷電した親水性の微生物表層にプラス荷電したε-ポリリジンがしっかりと静電結合すれば、細胞表面に物理的ストレスがかかると同時に、電荷中和され細胞表面は親油性(疎水性)に傾く。その結果は組み合わせた疎水性部分のある両親媒性抗菌物質と、細胞表面との親和性が高まり、抗菌活性が高まるものと推測される。

0020

ε-ポリリジンは緑膿菌にも有効な、数少ない物質であるが、抗菌作用のみを期待する使用濃度、即ち30μg/mlを超える量の濃度では、両親媒性抗菌物質に対する抗菌力増強作用は観察することができない。ε−ポリリジンの添加量は、0.1μg/ml〜30μg/mlの範囲であり、ε−ポリリジンの添加量が0.1μg/mlより少ないときは、両親媒性抗菌物質との抗菌性能の相乗効果が十分発揮できない。また30μg/mlを超えると、微生物細胞表層がε−ポリリジンによって被覆されて、両親媒性抗菌物質の該細胞表面への透過性が阻害されて本発明に用いられる両親媒性抗菌物質の抗菌作用が発揮されない。好ましくは0.1μg/ml〜10μg/mlで両親媒性抗菌物質の細胞表層に対する透過が促進され、抗菌力増強活性を確認することができ、希薄ε-ポリリジン溶液内で相乗的な抗菌活性が得られる。

0021

本発明で用いられる両親媒性抗菌物質は、親油性部分と親水性部分を共有する抗菌物質を言う。モノラウリン(monolauryl glycerol,A.J.conley and J.J.Kabara,Antimicro b.Agents chemother.,4:501-506(1973))は、この両親媒性抗菌物質の一種である。このモノラウリンは、いずれの方法で得られたものでよい。一分子ラウリン酸が一分子のグリセロールの3個の水酸基の1個のみにエステル結合したモノラウリンが好ましい。特に、炭素鎖12の飽和脂肪酸グリセロールモノエステルであるモノラウリンは同類のグリセロールモノ脂肪酸エステルのなかで突出して抗菌力が強い。その理由は原核微生物(細菌類)の細胞質膜との親和性が深く関連しているといわれるが、抗菌活性のメカニズムの詳細は不明である。この他、ジグリセロールモノラウリン酸エステルでもよく、このジグリセロールモノラウリン酸エステルは、水溶解性に優れている。前記の抗菌剤水溶液の組成は使用目的および使用条件によりε−ポリリジンは、前述の如く0.1μg/ml〜30μg/mlの範囲内で、またモノグリセロールモノラウリン酸エステル又はジグリセロールモノラウリン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質は、0.2μg/ml〜50μg/mlの範囲内で使用し得るものである。両親媒性抗菌物質の添加量が、0.2μg/mlより少ないときは、ε−ポリリジンとの抗菌作用が発揮できない。両親媒性抗菌物質の添加量が、50μg/mlを超えると、ε−ポリリジンとの相乗効果がそれ以上発揮できないばかりか、かえって阻害する恐れがある。更に両親媒性物質のうち、ジグリセロールモノラウリン酸エステルは、水溶解性に優れているので、ショ糖モノラウリン酸エステルを添加しなくても所望の水溶解性を得ることができるが、ショ糖モノラウリン酸エステルを添加することによりいっそう迅速に溶解することができる。

0022

本発明の抗菌剤水溶液の構成成分であるε-ポリリジンは、それ自身が有する抗菌作用(静菌作用)が期待できない希薄濃度で、微生物細胞の表層に静電結合することにより細胞表層の機能を改変し、配合した抗菌成分であるモノラウリン又はジグリセロールモノラウリン酸エステルの微生物細胞表層への透過性が著しく高まる新たな生理作用が付加されることが第一の特徴であり、配合成分の両親媒性抗菌物質は、高い抗菌作用に着目してモノラウリン又はジグリセロールモノラウリン酸エステルを選定し、主剤の構成成分として、ε-ポリリジンの共助作用により、単剤使用では無効だったμg/ml単位の量という低濃度で微生物に作用し、顕著な抗菌効果を発揮させることに第二の特徴を有するものである。本発明の抗菌剤水溶液は使用目的に応じて抗菌活性効果の得られる範囲内で、使用時に滅菌した脱イオン水で希釈して用いることができ、具体的には2.5倍〜20倍が好ましく、更に好ましくは5〜10倍である。本発明の抗菌剤水溶液を希釈する方法は、特に限定されないが、ε−ポリリジンの量と両親媒性抗菌物質の量との比率を考慮して、ε−ポリリジンの量を固定して、一定量含有させる場合には、両親媒性抗菌物質を添加した水溶液に、ε−ポリリジンを溶解した水溶液を用いて2倍、4倍、8倍、16倍に希釈するのが好ましい。このような希釈方法により希釈した溶液中にε−ポリリジンの含有量は一定となる。

0023

本発明の抗菌剤水溶液は他の添加物は一切加えず、例えば、他の防腐剤、界面活性剤(ポリアルコールラウリン酸エステルを除く)、酸化防止剤紫外線吸収剤香料色素などがそれに当たり、pHも調整することなく使用するのが好ましい。即ち本発明で用いる成分を溶解した時の水溶液のpH4.0—8.0の範囲で用いる。また、ショ糖モノラウリン酸エステルは、抗菌剤水溶液の成分が相互に溶解するまでに必要な量であって、この量も抗菌剤水溶液の成分量の変動にしたがって変動し得るものである。好ましくは、ショ糖モノラウリン酸エステルの添加量は、0.1μg/ml〜100μg/mlが好ましく、更に好ましくは0.1μg/ml〜50μg/mlの範囲で使用される。特にジグリセロールモノラウリン酸エステルに添加するショ糖モノラウリン酸エステルの量は、モノラウリンに対する添加量よりも少なくてよく、0.1μg/ml〜50μg/ml、好ましくは0.1μg/ml〜30μg/mlである。ショ糖モノラウリン酸エステルの添加量は、0.1μg/mlより少ないと、溶解促進剤としての効果が十分に発揮できない。また100μg/mlを越えても促進効果はあまり差異がないので、経済的観点からみてこの範囲に限定した。

0024

本発明の別の実施の形態では、ε−ポリリジンとモノラウリンを用いて高濃度で小容量の抗菌剤水溶液を作製するには30-60%のエタノール水溶液を用いることができる。他の添加物は活性に影響するため安易に加えてはならない。希薄なε-ポリリジンと組み合わせるモノラウリンは95%以上の高純度のものであればいずれの方法で得られたものでよい。

0025

前記第5項に記載の本発明の抗菌剤水溶液の製造方法は、モノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質0.2μg/ml〜50μg/mlを水に溶解し、得られた両親媒性抗菌物質の水溶液にε−ポリリジン0.1μg/ml〜30μg/mlを加えることを特徴とするもので、水としては、滅菌した脱イオン水を用いるのが好ましいが、ε−ポリリジンや両親媒性抗菌物質に影響を与えない水であれば、特にこれに限定されるも
のではない。水に上記の各成分を溶解する際、まず水にモノグリセロールモノラウリン酸エステル及びジグリセロールモノラウリン酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の両親媒性抗菌物質を添加し、十分撹拌することにより溶解し、ついでε−ポリリジンを加えて溶解する。以下に、更に前記第5項に記載の発明の実施の形態を説明する。

0026

(a)前記第6項に記載の抗菌剤水溶液の製造方法は、前記第5項において、前記両親媒性抗菌物質として、モノグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して溶解することを特徴とする。ショ糖モノラウリン酸エステルの添加量は、前述の如く、0.1μg/ml〜100μg/mlが好ましく、更に好ましくは0.1μg/ml〜50μg/mlの範囲で使用される。特にジグリセロールモノラウリン酸エステルに添加するショ糖モノラウリン酸エステルの量は、モノラウリンに対する添加量よりも少なくてよく、0.1μg/ml〜50μg/ml、好ましくは0.1μg/ml〜30μg/mlである。

0027

(b)前記第7項に記載の抗菌剤水溶液の製造方法は、前記第5項において、モノグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して35℃〜60℃に加温して溶解することを特徴とする。即ち、水に溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加し、35℃〜60℃に加温した後、モノグリセロールモノラウリン酸エステルを添加して、撹拌することにより溶解して抗菌剤水溶液を得る。この際、水にモノグリセロールモノラウリン酸エステルを添加し、更に溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して35℃〜60℃に加温して溶解してもよく、特に添加順序には拘らない。加温温度は、好ましくは、40℃〜50℃である。加温温度が35℃より低いと溶解し難いばかりか溶解に時間がかかり好ましくない。また加温温度が60℃を超えると、添加した成分に悪影響を与えるので好ましくない。

0028

(c)前記第8項に記載の抗菌剤水溶液の製造方法は、前記第5項において、前記両親媒性抗菌物質として、0.2μg/ml〜50μg/mlのジグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、室温乃至常温で溶解させることを特徴とする。即ち、水にジグリセロールモノラウリン酸エステルを添加し、室温乃至常温で溶解させた後、ついでε−ポリリジンを添加し、撹拌して溶解する。室温は、18℃前後であり、また常温は、25℃前後であるから、室温乃至常温は、通常、18℃〜25℃である。

0029

(d)前記第9項に記載の抗菌剤水溶液の製造方法は、前記第5項において、前記両親媒性抗菌物質として、0.2μg/ml〜50μg/mlのジグリセロールモノラウリン酸エステルを採用し、これを水に溶解する際、溶解促進剤としてショ糖モノラウリン酸エステルを添加して溶解させることを特徴とする。即ち、ジグリセロールモノラウリン酸エステルは、水に対する溶解性はよいとはいえ、気温の低い場所で扱う場合には、特にショ糖モノラウリン酸エステルを添加して溶解させることが好ましく、またショ糖モノラウリン酸エステルを添加すると保存時においてジグリセロールモノラウリン酸エステルの沈殿が生じる恐れはない。

0030

以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕

0031

(モノラウリンとε-ポリリジン製剤水溶液の作製と抗菌活性)
リットルの滅菌した脱イオン水にショ糖モノラウリン酸エステル(リョートーシュガエステルL1695、三菱化学フーズ株式会社製)を100mg溶かし、50℃に加温
してモノラウリン(太陽化学)50mgを添加して撹拌し、溶解を確認した後、室温まで下げた。そこにε-ポリリジン(チッソ株式会社製)25mgを添加し、溶解して抗菌剤水溶液を得た。この抗菌剤水溶液にはε−ポリリジンは、25μg/ml含有し、モノラウリンは、50μg/ml含有していた。ここで、上記モノラウリンは、高純度のモノラウリンが必要なため、ヘキサン再結晶したものを用いた。またε-ポリリジンは50%デキストリン粉末(ε-ポリリジン臭素酸塩50%、デキストリン50%)を含有するε−ポリリジンを用いた。上記抗菌剤水溶液を、1/2TS液体培地にモノラウリン、ε-ポリリジンそれぞれを単剤で同一濃度に溶解し、それぞれ同じ培地段階希釈したものを用意し、それぞれの各段階希釈液ミクロウェル上で混合するチェッカーボード法で、グラム陰性菌の(緑膿菌=Pseudomonas aeruginosa、JCM5961)に対して抗菌力試験を行い適正比率を把握した。続いて行った配合抗菌剤の試験は1/2濃度の液体TS培地50mlに緑膿菌をエーゼ接種し、37℃、18時間培養した菌液マクファーランド比濁液NO.1の濁度(108CFU)に同一培地で調整して菌液として用いた。

0032

前記の抗菌剤水溶液(モノラウリン50μg/ml、ε-ポリリジン25μg/ml)を1/2TS培地で段階希釈して用意し、各段階希釈液5mlに前記の菌液をパスツールピペットで一滴落とした後、37℃で2時間振盪処理し、それぞれ0.2mlを寒天平板に落とし、全面に拡げ37℃で18時間培養後のコロニー発現を観察した。その結果、原液から20倍希釈までは全くコロニーが見られず完全阻止であった。20倍希釈の各成分濃度はモノラウリン2.5μg/ml、ε-ポリリジン1.25μg/mlであった。以上と同じ20倍希釈液を用いて大腸菌(Escherichia coli、O157-H19)、黄色ブドー球菌(Staphylococcus aureus、FDA209P)、カンジダ菌(Candida albicans、TIMM3314)に対し、寒天平板を用いた定性的な試験では、いずれもコロニーの発現はなかった。

0033

また、上記のようなマイクログラム単位量において、抗菌剤水溶液が活性を有することを、緑膿菌の液体培養法(1/2TS培地)を用いて光学濁度測定法で増殖曲線を作成した。得られた結果を図1図2に示す。図1のε−ポリリジリン単独12.5μg/ml(PLD)とモノラウリン25μg/mlにε−ポリリジリン12.5μg/mlを配合したもの(PLD/M)では顕著な菌の増殖阻害を示している。

0034

しかし、図2のε−ポリリジリン単独6.25μg/ml(PLD)では一転して菌の増殖を促進しているが、同濃度のε−ポリリジリン6.25μg/mlにモノラウリン12.5μg/mlを配合したもの(PLD/M)の場合は、無添加の対照実験(cont)とほぼ同程度の菌の増殖が見られた。これは、ε−ポリリジリンの高濃度で菌の増殖阻害、低濃度で菌の増殖促進という二面的な作用を示すもので、この付近転換濃度があるという示唆が得られた。なお、図中Mはモノラウリン単独を示す。
〔実施例2〕

0035

(モノラウリンとε-ポリリジン製剤水溶液の作製と抗菌活性)
1リットルの滅菌した脱イオン水に、モノラウリン(太陽化学)40mgを添加して撹拌し、溶解を確認した後、そこにε-ポリリジン(チッソ株式会社製)を25mgを添加し、撹拌して溶解して抗菌剤水溶液を得た。この抗菌剤水溶液にはε−ポリリジンは、25μg/ml含有し、モノラウリンは、40μg/ml含有していた。上記抗菌剤水溶液を実施例1と同様にして1/2TS液体培地を用いて同様にして寒天平板を用いた定性的な試験をしたところ、いずれもコロニーの発現はなかった。
〔実施例3〕

0036

(ジグリセロールモノラウリン酸エステル、ε-ポリリジン配合水溶液の作製と抗菌活性)
1リットルの1/2濃度の滅菌TS培地に、ジグリセロールモノラウリン酸エステル(商品名:Q−12D、太陽化学株式会社製)を50mg溶解し、ついでε-ポリリジン(50%デキストリン粉剤、チッソ株式会社製)を50mg(ε-ポリリジンとして25mg相当)を加えて抗菌剤水溶液を作製した。この抗菌剤水溶液にはε−ポリリジンは、25μg/ml含有し、ジグリセロールモノラウリン酸エステルは、50μg/ml含有していた。滅菌した1/2濃度のTS培地を用い、この抗菌剤水溶液を倍数希釈し、各段階5mlを試験管に2連で分注して用意し、同時に比較試験としてε−ポリリジン単独の希釈液を試験管に同様に用意し、前記実施例1と同様に作製した緑膿菌の菌液を各希釈液に1滴ずつ接種し、37℃で18時間振盪培養した。活性の判定は菌の増殖目視で観察し、観察結果を+−で表示した。得られた結果を表2に示す。なお、ジグリセロールモノラウリン酸エステルにショ糖モノラウリン酸エステルを用いた場合にも本発明の効果が得られた。

0037

0038

本発明の抗菌剤水溶液は、マイクログラム単位量の範囲で添加されて使用され、ε-ポリリジンが希薄濃度で発揮するグラム陰性菌に対する強い表層修飾作用とモノラウリンの抗菌作用が相乗的に増強されると共に、生分解性であるので生体蓄積がなく、しかも完全に溶解した抗菌剤水溶液が得られ、その上、無色、無臭、無味の安定で安全な水溶液がえられるので、ブロードスペクトラムの抗菌剤として、社会的に極めて広い用途を有するばかりでなく産業上有用である。

図面の簡単な説明

0039

本発明の抗菌剤水溶液の相乗的な抗菌作用を示すグラフである。
本発明に対する抗菌作用の比較対象を示すグラフである。

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