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技術 積層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体の製造方法

出願人 京セラドキュメントソリューションズ株式会社
発明者 東潤窪嶋大輔丸尾敬司稲垣義雄大坪淳一郎
出願日 2007年11月9日 (12年4ヶ月経過) 出願番号 2007-291559
公開日 2009年5月28日 (10年9ヶ月経過) 公開番号 2009-116212
状態 特許登録済
技術分野 電子写真における感光体
主要キーワード 所定環境 高温乾燥機 一定温度条件 層むら 中間層厚 経時特性 溶解直後 電荷発生量
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図面 (6)

課題

電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン結晶結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させることによって、連続して画像形成を行った場合であっても、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる積層型電子写真感光体及びその安定的かつ容易な製造方法を提供する。

解決手段

積層型電子写真感光体であって、電荷発生剤が、下記(A)初期特性及び(B)経時特性を有するY型チタニルフタロシアニン結晶である。(A)初期特性 Y型チタニルフタロシアニン結晶が、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°にピークを有し、それらのピーク強度をそれぞれX及びYとした場合に、X/Y(−)の値が0.3未満の値である。(B)経時特性 Y型チタニルフタロシアニン結晶を、所定条件下にて撹拌した場合に、X/Y(−)の値が0.5以上の値である。

概要

背景

一般に、複写機レーザープリンター等の電子写真機器において使用される電子写真感光体には、近年、低価格や低環境汚染性等の要求から、有機感光体が多く用いられている。このような有機感光体において使用される電荷発生剤としては、半導体レーザー赤外線LEDなどから照射される赤外ないし近赤外波長の光に感応するフタロシアニン系顔料が広く使用されている。
また、かかるフタロシアニン系顔料には、その化学構造によって、無金属フタロシアニン化合物銅フタロシアニン化合物チタニルフタロシアニン化合物等が存在するとともに、それぞれのフタロシアニン化合物が、その製造条件の違いによって種々の結晶型をとり得ることが知られている。
このように結晶型が異なる多数種のフタロシアニン化合物結晶が存在する中で、電荷発生剤として、Y型結晶構造を有するチタニルフタロシアニン結晶を使用した電子写真感光体は、他の結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を使用した場合と比較して、電気特性に優れることが知られている。
例えば、X線回折スペクトルにおいてCu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)=27.3゜に最大回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニン結晶であって、フタロシアニン環を形成し得る有機化合物と、チタン化合物と、を尿素又はアンモニアを添加したジアルキルアミノアルコール中で、130℃、4時間程度の条件で反応させてなるY型チタニルフタロシアニン結晶の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1)。

また、o−フタロニトリルと、チタンテトラブトキシドとを、尿素化合物を用いずに直接的に反応させて、215℃、2時間程度の条件で反応させてなるY型チタニルフタロシアニン結晶の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2及び3)。
より具体的には、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるピークを所定の範囲に有し、示差走査熱量分析において50〜400℃の範囲内における温度変化のピークを有しないY型チタニルフタロシアニン結晶の製造方法が開示されている。
特開平8−176456(実施例)
特許第3463032 (特許請求の範囲)
特開2004−145284(特許請求の範囲)

概要

電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン結晶の結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させることによって、連続して画像形成を行った場合であっても、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる積層型電子写真感光体及びその安定的かつ容易な製造方法を提供する。積層型電子写真感光体であって、電荷発生剤が、下記(A)初期特性及び(B)経時特性を有するY型チタニルフタロシアニン結晶である。(A)初期特性 Y型チタニルフタロシアニン結晶が、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°にピークを有し、それらのピーク強度をそれぞれX及びYとした場合に、X/Y(−)の値が0.3未満の値である。(B)経時特性 Y型チタニルフタロシアニン結晶を、所定条件下にて撹拌した場合に、X/Y(−)の値が0.5以上の値である。

目的

そこで、本発明者らは、上述した問題に鑑み鋭意検討した結果、Y型チタニルフタロシアニン結晶における光学特性を所定の範囲に規定するとともに、かかるY型チタニルフタロシアニン結晶を、所定期間、所定環境下においた場合における光学特性の変化についても、定量的に規定するに至った。その結果、Y型チタニルフタロシアニン結晶の結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン結晶の結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させることによって、連続して画像形成を行った場合であっても、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる積層型電子写真感光体及びその安定的かつ容易な製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基体上に、電荷発生剤を含む電荷発生層と、電荷輸送層と、を設けた積層型電子写真感光体であって、前記電荷発生剤が、下記(A)初期特性及び(B)経時特性を有するY型チタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする積層型電子写真感光体。(A)初期特性前記Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°にもそれぞれピークを有し、かつ、前記ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピーク強度をX(cps)とし、前記ブラッグ角2θ±0.2°=9.6°におけるピーク強度をY(cps)とした場合に、X/Y(−)の値が0.3未満の値である。(B)経時特性前記Y型チタニルフタロシアニン結晶を、下記条件下にて撹拌した場合に、前記X/Y(−)の値が0.5以上の値である。撹拌溶媒テトラヒドロフラン添加割合:テトラヒドロフラン100重量部に対して、Y型チタニルフタロシアニン結晶6重量部撹拌手段:ロールミル撹拌速度:60rpm撹拌温度:23±1℃撹拌時間:10日間

請求項2

前記Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=24.2°にピークを有することを特徴とする請求項1に記載の積層型電子写真感光体。

請求項3

前記電荷発生層をテトラヒドロフラン中に溶解及び分散させて得られるY型チタニルフタロシアニン結晶が、前記(A)初期特性及び(B)経時特性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層型電子写真感光体。

請求項4

前記(B)経時特性のさらなる要件として、Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体。

請求項5

基体上に、電荷発生剤を含む電荷発生層と、電荷輸送層と、を設けた積層型電子写真感光体の製造方法であって、下記工程(a)〜(f)を含むことを特徴とする積層型電子写真感光体の製造方法。(a)チタニルフタロシアニン化合物を合成して、粗チタニルフタロシアニン結晶を得る工程。(b)前記粗チタニルフタロシアニン結晶を、温度が15℃以上の酸に対して溶解させる酸処理を行って、チタニルフタロシアニン溶液を得る工程。(c)前記チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下して、ウェットケーキを得る工程。(d)前記ウェットケーキを、洗浄溶剤を用いて洗浄する工程。(e)洗浄後の前記ウェットケーキを、非水系溶媒中で加熱撹拌して、下記(A)初期特性及び(B)経時特性を有するY型チタニルフタロシアニン結晶を得る工程。(A)初期特性前記Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°にもそれぞれピークを有し、かつ、前記ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピーク強度をX(cps)とし、前記ブラッグ角2θ±0.2°=9.6°におけるピーク強度をY(cps)とした場合に、X/Y(−)の値が0.3未満の値である。(B)経時特性前記Y型チタニルフタロシアニン結晶を、下記条件下にて撹拌した場合に、前記X/Y(−)の値が0.5以上の値である。撹拌溶媒:テトラヒドロフラン添加割合:テトラヒドロフラン100重量部に対して、Y型チタニルフタロシアニン結晶6重量部撹拌手段:ロールミル撹拌速度:60rpm撹拌温度:23±1℃撹拌時間:10日間

請求項6

前記工程(a)におけるチタニルフタロシアニン化合物の合成が、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリンと、チタンアルコキシドと、の反応による合成であるとともに、前記フタロニトリルまたはジイミノイソインドリンに対する前記チタンアルコキシドの添加量を、前記フタロニトリルまたはジイミノイソインドリン1モルに対して0.325〜1モルの範囲内の値とすることを特徴とする請求項5に記載の積層型電子写真感光体の製造方法。

請求項7

前記工程(a)におけるチタニルフタロシアニン化合物の合成の際に、尿素化合物を、前記フタロニトリルまたはジイミノイソインドリン1モルに対して0.5〜3モルの範囲内の値で添加することを特徴とする請求項6に記載の積層型電子写真感光体。

請求項8

前記工程(d)における洗浄溶剤として、アルコールを用いることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、積層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体の製造方法に関する。特に、連続して画像形成を行った場合であっても、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる積層型電子写真感光体及びその安定的かつ容易な製造方法に関する。

背景技術

0002

一般に、複写機レーザープリンター等の電子写真機器において使用される電子写真感光体には、近年、低価格や低環境汚染性等の要求から、有機感光体が多く用いられている。このような有機感光体において使用される電荷発生剤としては、半導体レーザー赤外線LEDなどから照射される赤外ないし近赤外波長の光に感応するフタロシアニン系顔料が広く使用されている。
また、かかるフタロシアニン系顔料には、その化学構造によって、無金属フタロシアニン化合物銅フタロシアニン化合物チタニルフタロシアニン化合物等が存在するとともに、それぞれのフタロシアニン化合物が、その製造条件の違いによって種々の結晶型をとり得ることが知られている。
このように結晶型が異なる多数種のフタロシアニン化合物結晶が存在する中で、電荷発生剤として、Y型結晶構造を有するチタニルフタロシアニン結晶を使用した電子写真感光体は、他の結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を使用した場合と比較して、電気特性に優れることが知られている。
例えば、X線回折スペクトルにおいてCu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)=27.3゜に最大回折ピークを有するY型チタニルフタロシアニン結晶であって、フタロシアニン環を形成し得る有機化合物と、チタン化合物と、を尿素又はアンモニアを添加したジアルキルアミノアルコール中で、130℃、4時間程度の条件で反応させてなるY型チタニルフタロシアニン結晶の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1)。

0003

また、o−フタロニトリルと、チタンテトラブトキシドとを、尿素化合物を用いずに直接的に反応させて、215℃、2時間程度の条件で反応させてなるY型チタニルフタロシアニン結晶の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2及び3)。
より具体的には、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるピークを所定の範囲に有し、示差走査熱量分析において50〜400℃の範囲内における温度変化のピークを有しないY型チタニルフタロシアニン結晶の製造方法が開示されている。
特開平8−176456(実施例)
特許第3463032 (特許請求の範囲)
特開2004−145284(特許請求の範囲)

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、特許文献1の場合、フタロシアニン環を形成し得る有機化合物に対するチタン化合物の添加割合が少なく、さらに、反応温度が低いため、製造されたY型チタニルフタロシアニン結晶が、感光層用塗布液中で、β型もしくはα型結晶結晶転移を起こしやすいという問題が見られた。そのため、感光層用塗布液の貯蔵安定性が乏しくなり、結果として、良好な電気特性を有する感光層を安定して形成することができないという問題が見られた。

0005

一方、特許文献2や特許文献3に記載のY型チタニルフタロシアニン結晶を用いた場合には、感光層用塗布液中での結晶転移については、ある程度抑制することができた。
しかしながら、特許文献2や特許文献3においては、同じY型チタニルフタロシアニン結晶であっても、その製造条件等の違いによっては、その電荷発生能及び分散性が大きく異なってくるという点を、全く考慮していなかった。
したがって、たとえ、ある程度結晶転移を抑制したY型チタニルフタロシアニン結晶を得たとしても、その電荷発生能及び分散性が最適化されているとは限らず、また、その品質の安定性についてもバラつきが見られるといった問題が見られた。
その結果、特に、層界面が多く、感光層内に電荷残留しやすい積層型電子写真感光体に対して、特許文献2や3のY型チタニルフタロシアニン結晶を適用し、連続して画像形成を行った場合には、露光メモリが発生しやすくなるといった問題が見られた。
よって、Y型チタニルフタロシアニン結晶の結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させ、連続して画像形成を行った場合であっても、露光メモリの発生を効果的に抑制できる電子写真感光体が求められていた。

0006

そこで、本発明者らは、上述した問題に鑑み鋭意検討した結果、Y型チタニルフタロシアニン結晶における光学特性を所定の範囲に規定するとともに、かかるY型チタニルフタロシアニン結晶を、所定期間、所定環境下においた場合における光学特性の変化についても、定量的に規定するに至った。その結果、Y型チタニルフタロシアニン結晶の結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン結晶の結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させることによって、連続して画像形成を行った場合であっても、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる積層型電子写真感光体及びその安定的かつ容易な製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明によれば、基体上に、電荷発生剤を含む電荷発生層と、電荷輸送層と、を設けた積層型電子写真感光体であって、電荷発生剤が、下記(A)初期特性及び(B)経時特性を有するY型チタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする積層型電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
(A)初期特性
Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°にもそれぞれピークを有し、かつ、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピーク強度をX(cps)とし、ブラッグ角2θ±0.2°=9.6°におけるピーク強度をY(cps)とした場合に、X/Y(−)の値が0.3未満の値である。
(B)経時特性
Y型チタニルフタロシアニン結晶を、下記条件下にて撹拌した場合に、X/Y(−)の値が0.5以上の値である。
撹拌溶媒テトラヒドロフラン
添加割合:テトラヒドロフラン100重量部に対して、
Y型チタニルフタロシアニン結晶6重量部
撹拌手段:ロールミル
撹拌速度:60rpm
撹拌温度:23±1℃
撹拌時間:10日間
すなわち、実際に電荷発生層を形成するための塗布液(以下、電荷発生層用塗布液と称する場合がある)を作成する段階におけるチタニルフタロシアニン結晶の光学特性を所定の範囲に規定することによって、その結晶型を、電荷発生能及び分散性に優れたY型結晶とすることができる。
さらに、かかるY型チタニルフタロシアニン結晶を、所定期間、所定環境下においた場合における光学特性の変化、より具体的にはα型への結晶転移具合を、定量的に規定することによって、実際に電荷発生層用塗布液を作成する段階における結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させることができる。
したがって、かかるY型チタニルフタロシアニン結晶を電荷発生剤として用いることによって、層界面が多く、感光層内に電荷が残留しやすい積層型電子写真感光体として構成しているにもかかわらず、連続して画像形成を行った場合であっても、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。

0008

また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=24.2°にピークを有することが好ましい。
このように構成することにより、結晶転移をより効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をさらに効果的かつ安定的に発揮させることができる。

0009

また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、電荷発生層をテトラヒドロフラン中に溶解及び分散させて得られるY型チタニルフタロシアニン結晶が、上述した(A)初期特性及び(B)経時特性を有することが好ましい。
このように構成することにより、既に電荷発生層を形成した段階においても、本発明におけるY型チタニルフタロシアニン結晶の特性を確実に保持した積層型電子写真感光体を得ることができる。

0010

また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、上述した(B)経時特性のさらなる要件として、Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことが好ましい。
このように構成することにより、Y型チタニルフタロシアニン結晶の結晶型が、β型へと転移することを、より確実に抑制することができる。

0011

また、本発明の別の態様は、基体上に、電荷発生剤を含む電荷発生層と、電荷輸送層と、を設けた積層型電子写真感光体の製造方法であって、下記工程(a)〜(f)を含むことを特徴とする積層型電子写真感光体の製造方法である。
(a)チタニルフタロシアニン化合物を合成して、粗チタニルフタロシアニン結晶を得る工程。
(b)粗チタニルフタロシアニン結晶を、温度が15℃以上の酸に対して溶解させる酸処理を行って、チタニルフタロシアニン溶液を得る工程。
(c)チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下して、ウェットケーキを得る工程。
(d)ウェットケーキを、洗浄溶剤を用いて洗浄する工程。
(e)洗浄後のウェットケーキを、非水系溶媒中で加熱撹拌して、下記(A)初期特性及び(B)経時特性を有するY型チタニルフタロシアニン結晶を得る工程。
(A)初期特性
Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°にもそれぞれピークを有し、かつ、前記ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピーク強度をX(cps)とし、前記ブラッグ角2θ±0.2°=9.6°におけるピーク強度をY(cps)とした場合に、X/Y(−)の値が0.3未満の値である。
(B)経時特性
Y型チタニルフタロシアニン結晶を、下記条件下にて撹拌した場合に、X/Y(−)の値が0.5以上の値である。
撹拌溶媒:テトラヒドロフラン
添加割合:テトラヒドロフラン100重量部に対して、
Y型チタニルフタロシアニン結晶6重量部
撹拌手段:ロールミル
撹拌速度:60rpm
撹拌温度:23±1℃
撹拌時間:10日間
(f)Y型チタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、を酢酸アルキルアルキレングリコールモノアルキルエーテル及びアルコールから選択される少なくとも一種の化合物を主成分とする溶剤に対して分散させて、電荷発生層用塗布液を製造する工程。
すなわち、このような工程を含む製造方法を実施することによって、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することができる。
また、かかるY型チタニルフタロシアニン結晶の特性を効果的に保持した状態で、電荷発生層用塗布液を製造することができる。
したがって、連続して画像形成を行った場合であっても露光メモリの発生を効果的に抑制することができる積層型電子写真感光体を、安定的かつ容易に製造することができる。

0012

また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法を実施するにあたり、工程(a)におけるチタニルフタロシアニン化合物の合成が、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリンと、チタンアルコキシドと、の反応による合成であるとともに、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリンに対するチタンアルコキシドの添加量を、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリン1モルに対して0.325〜1モルの範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を、より効率的に得ることができる。

0013

また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法を実施するにあたり、工程(a)におけるチタニルフタロシアニン化合物の合成の際に、尿素化合物を、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリン1モルに対して0.5〜3モルの範囲内の値で添加することが好ましい。
このように実施することにより、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を、さらに効率的に得ることができる。

0014

また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法を実施するにあたり、工程(d)における洗浄溶剤として、アルコールを用いることが好ましい。
このように実施することにより、ウェットケーキ中に残留している不純物を、効果的に除去することができる。

発明を実施するための最良の形態

0015

[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、基体上に、電荷発生剤を含む電荷発生層と、電荷輸送層と、を設けた積層型電子写真感光体であって、電荷発生剤が、下記(A)初期特性及び(B)経時特性を有するY型チタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする積層型電子写真感光体である。
(A)初期特性
Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°にもそれぞれピークを有し、かつ、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピーク強度をX(cps)とし、ブラッグ角2θ±0.2°=9.6°におけるピーク強度をY(cps)とした場合に、X/Y(−)の値が0.3未満の値である。
(B)経時特性
Y型チタニルフタロシアニン結晶を、下記条件下にて撹拌した場合に、X/Y(−)の値が0.5以上の値である。
撹拌溶媒:テトラヒドロフラン
添加割合:テトラヒドロフラン100重量部に対して、
Y型チタニルフタロシアニン結晶6重量部
撹拌手段:ロールミル
撹拌速度:60rpm
撹拌温度:23±1℃
撹拌時間:10日間
以下、第1の実施形態の積層型電子写真感光体について、各構成要件に分けて、具体的に説明する。

0016

1.基本的構成
図1(a)に示すように、積層型電子写真感光体20は、基体12上に、塗布等の手段によって、電荷発生剤等を含有する電荷発生層24、及び電荷輸送剤等を含有する電荷輸送層22を形成することによって作成することができる。
また、上述の構造とは逆に、図1(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
ただし、このように形成した場合、電荷発生層24が、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いために破損しやすくなる場合がある。したがって、図1(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することが好ましい。
また、図1(c)に示すように、基体12上に中間層25を形成することも好ましい。
なお、電荷輸送層22においては、一般に、正孔輸送剤または電子輸送剤のいずれか一方を含有させることが好ましいが、正孔輸送剤と電子輸送剤の両方を用いてもよい。

0017

2.基体
図1に例示する基体12としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウムモリブデンクロムカドミウムチタンニッケルパラジウムインジウムステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウムアルマイト酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、基体の形状は使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、及びドラム状などのいずれであってもよい。

0018

3.中間層
また、図1(c)に示すように、基体12上に、所定の結着樹脂を含有する中間層25を設けてもよい。
この理由は、基体と感光層との密着性を向上させるとともに、この中間層内に所定の微粉末を添加することで、入射光散乱させて、干渉縞の発生を抑制すると共に、カブリ黒点の原因となる非露光時における基体から感光層への電荷注入を抑制することができるためである。この微粉末としては、光散乱性、分散性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン酸化亜鉛亜鉛華硫化亜鉛鉛白リトポン等の白色顔料や、アルミナ炭酸カルシウム硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料フッ素樹脂粒子ベンゾグアナミン樹脂粒子スチレン樹脂粒子等を用いることができる。

0019

また、この中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、中間層厚が厚くなりすぎると、感光体表面に残留電位が生じやすくなり、電気特性を低下させる要因となる場合があるためである。その一方で、中間層厚が薄くなりすぎると、基体表面凹凸を十分緩和させることができなくなり、基体と感光層との密着性を得ることができなくなるためである。
したがって、中間層の膜厚としては、0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。

0020

4.電荷発生層
(1)電荷発生剤
(1)−1チタニルフタロシアニン化合物
本発明における電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン結晶を構成するチタニルフタロシアニン化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
この理由は、このような構造のチタニルフタロシアニン化合物であれば、Y型チタニルフタロシアニン結晶の安定性をさらに向上させることができるばかりでなく、かかるY型チタニルフタロシアニン結晶を安定して製造することができるためである。
また、特に、チタニルフタロシアニン化合物の構造が、下記一般式(2)で表されることが好ましい。その中でも特に、下記式(3)で表される無置換のチタニルフタロシアニン化合物であることが好ましい。
この理由は、このような構造のチタニルフタロシアニン化合物を用いることによって、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶をより容易に製造することができるためである。

0021

0022

(一般式(1)中、X1、X2、X3、及びX4はそれぞれ同一または異なっても良い置換基であり、水素原子ハロゲン原子アルキル基アルコキシ基シアノ基、またはニトロ基を示し、繰り返し数a、b、c及びdはそれぞれ1〜4の整数を示し、それぞれ同一または異なっても良い。)

0023

0024

(一般式(2)中、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、またはニトロ基を示しており、繰り返し数eは1〜4の整数を示す。)

0025

0026

(1)−2チタニルフタロシアニン結晶
本発明における電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン結晶は、その結晶型がY型であることを特徴とする。
この理由は、Y型チタニルフタロシアニン結晶は、その他の結晶型のチタニルフタロシアニン結晶と比較して、著しく優れた電荷発生能を有するためである。
したがって、かかるY型チタニルフタロシアニン結晶を、電荷発生剤として使用することで、感光層表面への露光に対して、効率よく電荷を発生して、優れた感度静電潜像を形成することができる。

0027

また、Y型チタニルフタロシアニン結晶が、(A)初期特性を有することを特徴とする。
すなわち、Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°にもそれぞれピークを有し、かつ、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピーク強度をX(cps)とし、ブラッグ角2θ±0.2°=9.6°におけるピーク強度をY(cps)とした場合に、X/Y(−)の値が0.3未満の値であることを特徴とする。
この理由は、実際に電荷発生層用塗布液を作成する段階におけるチタニルフタロシアニン結晶の光学特性を、上述した範囲に規定することによって、その結晶型が、電荷発生能及び分散性に優れたY型結晶であることを確実に確認することができるためである。
すなわち、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°及び9.6°における大きなピークは、Y型結晶において特徴的に現れるピークであるためである。
一方、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピークは、結晶型がα型へと転移する程大きくなるピークである。よって、かかるブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピーク強度をX(cps)とし、ブラッグ角2θ±0.2°=9.6°におけるピーク強度をY(cps)とした場合に、X/Y(−)の値を0.3未満の値とすることによって、実際に電荷発生層用塗布液を作成する段階におけるY型からα型への結晶転移の度合いを、厳密に規定することができる。
なお、かかるX/Y(−)の値の下限としては、0とすること、すなわち、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピークが全く無いことが好ましいが、実際上困難である。
したがって、X/Y(−)の値が、0.02〜0.3の範囲内の値であることがより好ましく、0.05〜0.25の範囲内の値であることがさらに好ましい。

0028

また、Y型チタニルフタロシアニン結晶が、(B)経時特性を有することを特徴とする。
すなわち、上述したY型チタニルフタロシアニン結晶を、下記条件下にて撹拌した場合に、上述したX/Y(−)の値が0.5以上の値であることを特徴とする。
撹拌溶媒:テトラヒドロフラン
添加割合:テトラヒドロフラン100重量部に対して、
Y型チタニルフタロシアニン結晶6重量部
撹拌手段:ロールミル
撹拌速度:60rpm
撹拌温度:23±1℃
撹拌時間:10日間
この理由は、Y型チタニルフタロシアニン結晶を、所定期間、所定環境下においた場合の光学特性の変化を定量的に規定することによって、実際に電荷発生層用塗布液を作成する段階における結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させることができるためである。
すなわち、元来、Y型チタニルフタロシアニン結晶は、テトラヒドロフラン中に浸漬させた場合、α型もしくはβ型に転移する傾向が見られる。そこで、従来技術においては、このようなα型もしくはβ型への転移を抑制することに重点を置いてきた。
そして、本発明においても、実際に電荷発生層用塗布液を作成する段階におけるY型チタニルフタロシアニン結晶としては、上述したように、極力α型への転移を抑制したものを用いることを特徴としている。
しかしながら、その一方で、本発明においては、所定条件下にて撹拌した場合に、X/Y(−)の値が所定の値以上であるY型チタニルフタロシアニン結晶、すなわち、かえってα型への転移が比較的生じやすいY型チタニルフタロシアニン結晶を使用することを特徴としている。これは、α型への転移が比較的生じやすい(ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピークが比較的成長しやすい)Y型チタニルフタロシアニン結晶を、極力α型へと転移させることなく電荷発生剤として用いた場合、α型への転移が比較的生じにくい(ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピークが比較的成長しにくい)Y型チタニルフタロシアニン結晶を用いた場合よりも、かえってその電荷発生能及び分散性を効果的かつ安定的に発揮させることができることが見出されたためである。
とは言うものの、過度にα型への転移が生じやすいと、Y型を保持したまま電荷発生剤として使用すること自体が困難となる場合がある。
したがって、Y型チタニルフタロシアニン結晶を所定条件下にて撹拌した場合に、X/Y(−)の値が、0.5〜1000の範囲内の値であることが好ましく、0.5〜100の範囲内の値であることがさらに好ましい。
なお、Y型チタニルフタロシアニン結晶における光学特性の測定方法は、後の実施例において記載する。

0029

次いで、図2を用いて、Y型チタニルフタロシアニン結晶を所定条件下にて攪拌した場合のX/Y(−)の値(以下、α化度と称する場合がある)と、露光メモリと、の関係を説明する。
図2においては、横軸に攪拌後のα化度(−)を採り、縦軸メモリ電位(V)を採った特性曲線が示してある。
なお、メモリ電位の値が小さいほど、露光メモリが発生しにくいことを示す。
また、Y型チタニルフタロシアニン結晶としては、初期段階のα化度の値、すなわち、所定条件下にて撹拌する前の段階におけるα化度の値が、いずれも0.3未満の値であるY型チタニルフタロシアニン結晶を使用した。
その他、メモリ電位の測定方法等の詳細については、後の実施例において詳述する。
かかる特性曲線から理解されるように、攪拌後のα化度の値が0.5未満の範囲では、その増加にともなってメモリ電位の値が急激に減少している。より具体的には、少なくとも45V以上の値から25V前後の値にまで急激に減少していることがわかる。一方、攪拌後のα化度の値が0.5以上の範囲では、メモリ電位の値が安定して25V前後の低い値を維持していることがわかる。
したがって、Y型チタニルフタロシアニン結晶を所定条件下にて攪拌した場合におけるα化度の値を0.5以上とすることによって、露光メモリの発生を臨界的に抑制することができることがわかる。

0030

また、Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=24.2°にピークを有することが好ましい。
この理由は、ブラッグ角2θ±0.2°=24.2°にピークを有することにより、結晶転移をより効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をさらに効果的かつ安定的に発揮させることができるためである。
すなわち、かかるブラッグ角2θ±0.2°=24.2°におけるピークも、上述したブラッグ角2θ±0.2°=27.2°及び9.6°におけるピークよりは、その強度が小さいものの、Y型チタニルフタロシアニン結晶において特徴的に見られるピークであるためである。
したがって、かかるピークの存在を規定することにより、実際に電荷発生層用塗布液を作成する段階におけるY型から他の型への結晶転移の度合いを、より厳密に規定することができる。

0031

また、Y型チタニルフタロシアニン結晶が、所定条件下にて撹拌した場合に、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことが好ましい。
この理由は、Y型チタニルフタロシアニン結晶を、所定期間、所定環境下においた場合に、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことにより、Y型チタニルフタロシアニン結晶の結晶型が、β型へと転移することを、より確実に抑制することができるためである。
すなわち、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°におけるピークは、β型結晶において特徴的に現れるピークであるためである。

0032

また、Y型チタニルフタロシアニン結晶が、下記(a)または(b)の特性を有することが好ましい。
(a)示差走査熱量分析において、吸着水気化にともなうピーク以外は、50〜400℃の範囲内にピークを有しないこと
(b)示差走査熱量分析において、吸着水の気化にともなうピーク以外は、50〜270℃の範囲内にピークを有さず、270〜400℃の範囲内に1つのピークを有すること
この理由は、このように構成することにより、その電荷発生能及び分散性を効果的かつ安定的に発揮させることができることができるためである。
なお、吸着水の気化に伴うピーク以外のピークであって、270〜400℃の範囲内に現れる1つのピークは、290〜400℃の範囲内に現れることがより好ましく、300〜400℃の範囲内に現れることがさらに好ましい。

0033

(1)−3含有量
また、電荷発生剤の含有量は、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる含有量が結着樹脂100重量部に対して5重量部未満の値となると、電荷発生量が不十分となって、鮮明な静電潜像を形成することが困難となる場合があるためである。一方、かかる含有量が結着樹脂100重量部に対して1000重量部を超えた値となると、均一な電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対する電荷発生剤の含有量を30〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。

0034

(2)結着樹脂
また、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプまたはビスフェノールCタイプ等のポリカーボネート樹脂ポリエステル樹脂メタクリル樹脂アクリル樹脂ポリ塩化ビニル樹脂ポリスチレン樹脂ポリビニルアセテート樹脂スチレンブタジエン共重合体樹脂塩化ビニリデンアクリロニトリル共重合体樹脂塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸樹脂シリコーン樹脂シリコーンアルキッド樹脂フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、N−ビニルカルバゾール等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。

0035

(3)膜厚
また、電荷発生層の厚さを、0.1〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生層の厚さを、0.1〜5μmの範囲内の値とすることによって、露光による電荷発生量を向上させることができるためである。
すなわち、電荷発生層の厚さが0.1μm未満の値となると、十分な電荷発生能を有する電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。一方、電荷発生層の厚さが5μmを超えた値となると、残留電荷の発生を抑制することが困難となったり、均一な電荷発生層の形成が困難となる場合があるためである。
したがって、電荷発生層の厚さを、0.15〜4μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜3μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。

0036

(4)溶解後の特性
また、既に電荷発生層を形成した段階におけるY型チタニルフタロシアニン結晶が、(A)初期特性及び(B)経時特性を有することが好ましい。
すなわち、電荷発生層をテトラヒドロフラン中に溶解及び分散させて得られるY型チタニルフタロシアニン結晶が、(A)初期特性及び(B)経時特性を有することが好ましい。
この理由は、既に形成された電荷発生層中における電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン結晶の光学特性についても、上述したように規定することにより、電荷発生層を形成した段階においても、本発明におけるY型チタニルフタロシアニン結晶の特性を確実に保持した積層型電子写真感光体を得ることができるためである。
すなわち、電荷発生層用塗布液を作成する段階において、本発明におけるY型チタニルフタロシアニン結晶の光学特性を有していたとしても、形成された電荷発生層中で、その光学特性が変化する場合があるためである。
なお、かかる変化の要因としては、例えば、電荷発生層用塗布液を作成する際の溶剤の影響や、結着樹脂の影響等が考えられる。

0037

次いで、図3を用いて、電荷発生層をテトラヒドロフラン中に溶解及び分散させて得られるY型チタニルフタロシアニン結晶を、所定条件下にて撹拌した場合におけるX/Y(−)の値(α化度)と、露光メモリと、の関係を説明する。
図3においては、横軸に撹拌後のα化度(−)を採り、縦軸にメモリ電位(V)を採った特性曲線が示してある。
なお、メモリ電位の値が小さいほど、露光メモリが発生しにくいことを示す。
また、Y型チタニルフタロシアニン結晶としては、初期段階のα化度の値、すなわち、所定条件下にて撹拌する前の段階におけるα化度の値が、いずれも0.3未満の値であるY型チタニルフタロシアニン結晶を使用した。
その他、メモリ電位の測定方法等の詳細については、後の実施例において詳述する。
かかる特性曲線から理解されるように、撹拌後のα化度の値が0.5未満の範囲では、その増加にともなってメモリ電位の値が急激に減少している。より具体的には、少なくとも45V以上の値から25V前後の値にまで急激に減少していることがわかる。一方、撹拌後のα化度の値が0.5以上の範囲では、メモリ電位の値が安定して25V前後の低い値を維持していることがわかる。
したがって、電荷発生層をテトラヒドロフラン中に溶解及び分散させて得られるY型チタニルフタロシアニン結晶を、所定条件下にて撹拌した場合におけるα化度の値を0.5以上とすることによって、露光メモリの発生を臨界的に抑制することができることがわかる。

0038

5.電荷輸送層
(1)電荷輸送剤
(1)−1 種類
電荷輸送層に用いる電荷輸送剤(正孔輸送剤及び電子輸送剤)としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニルピラゾリン、1−(ピリジル−(2))−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体トリフェニルアミントリ(p−メチルフェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニルビフェニル−4−アミンジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1−ビフェニル)−4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質クロラニルブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物チオフェン化合物ジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;及び上述した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体等の一種単独または二種以上の組合せを挙げることができる。

0039

(1)−2含有量
また、電荷輸送剤の含有量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷輸送剤の含有量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、電荷輸送剤の含有量が100重量部を超えた値になると、電荷輸送剤が結晶化しやすくなり、適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電荷輸送剤の含有量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、使用する電荷輸送剤としては、電子写真感光体の帯電特性に応じて、正孔輸送剤か電子輸送剤のどちらか一方を用いることが一般的であるが、正孔輸送剤と電子輸送剤を併用することもできる。

0040

(2)添加剤
また、電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、或いは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、電荷輸送層中に酸化防止剤光安定剤熱安定剤等を添加することが好ましい。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノールヒンダードアミンパラフェニレンジアミンアリールアルカンハイドロキノンスピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物有機燐化合物等や、ベンゾフェノンベンゾトリアゾールジチオカルバメートテトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。

0041

(3)結着樹脂
また、電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体ポリエチレンエチレン酢酸ビニル共重合体塩素化ポリエチレンポリ塩化ビニルポリプロピレンアイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂ポリアミドポリウレタンポリスルホンジアリルフタレート樹脂ケトン樹脂ポリビニルブチラール樹脂ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂フェノール樹脂尿素樹脂メラミン樹脂、その他架橋性熱硬化性樹脂エポキシアクリレートウレタンアクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
また、これらの結着樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。

0042

(4)膜厚
また、電荷輸送層の膜厚は、一般に5〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、電荷輸送層の膜厚が5μm未満の値となると、均一に塗布することが困難となる場合があるためである。一方、電荷輸送層の膜厚が50μmを超えた値となると、機械的強度が低下する場合があるためである。したがって、10〜40μmの範囲内の値に設定することがより好ましい。

0043

6.画像形成装置
また、本発明の電子写真感光体を搭載した画像形成装置としては、例えば、図4に示すような複写機30として構成することができる。かかる複写機30は、画像形成ユニット31、排紙ユニット32、画像読ユニット33、及び原稿給送ユニット34を備えている。また、画像形成ユニット31には、画像形成部31a及び給紙部31bがさらに備えられている。そして、図示された例では、原稿給送ユニット34は、原稿置トレイ34a、原稿給送機構34b、及び原稿排出トレイ34cを有しており、原稿載置トレイ34a上に載置された原稿は、原稿給送機構34bによって画像読取位置Pに送られた後、原稿排出トレイ34cに排出される。
そして、原稿が原稿読取位置Pに送られた段階で、画像読取ユニット33において、光源33aからの光を利用して、原稿上の画像が読み取られる。すなわち、CCD等の光学素子33bを用いて、原稿上の画像に対応した画像信号が形成される。
一方、給紙部31bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部31aに送られる。この画像形成部31aには、像担持体である感光体ドラム41が備えられており、さらに、この感光体ドラム41の周囲には、帯電器42、露光器43、現像器44、及び転写ローラ45が、感光体ドラム41の回転方向に沿って配置されている。

0044

これらの構成部品のうち、感光体ドラム41は、図中、実線矢印で示す方向に回転駆動されて、帯電器42により、その表面が均一に帯電される。その後、前述の画像信号に基づいて、露光器43により感光体ドラム41に対して露光プロセスが実施され、この感光体ドラム41の表面において静電潜像が形成される。
この静電潜像に基づき、現像器44によりトナーを付着させて現像し、感光体ドラム41の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、感光体ドラム41と転写ローラ45とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット47に搬送されて、定着プロセスが行われる。

0045

また、定着後の用紙Sは、排紙ユニット32に送られることになるが、後処理(例えば、ステイプル処理等)を行う際には、用紙Sは中間トレイ32aに送られた後、後処理が行われる。その後、用紙Sは、画像形成装置の側面に設けられた排出トレイ部(図示せず)に排出される。一方、後処理を行わない場合には、用紙Sは中間トレイ32aの下側に設けられた排紙トレイ32bに排紙される。なお、中間トレイ32a及び排紙トレイ32bは、いわゆる胴内排紙部として構成されている。

0046

[第2の実施形態]
また、本発明の第2の実施形態は、基体上に、電荷発生剤を含む電荷発生層と、電荷輸送層と、を設けた積層型電子写真感光体の製造方法であって、下記工程(a)〜(f)を含むことを特徴とする積層型電子写真感光体の製造方法である。
(a)チタニルフタロシアニン化合物を合成して、粗チタニルフタロシアニン結晶を得る工程。
(b)粗チタニルフタロシアニン結晶を、温度が15℃以上の酸に対して溶解させる酸処理を行って、チタニルフタロシアニン溶液を得る工程。
(c)チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下して、ウェットケーキを得る工程。
(d)ウェットケーキを、洗浄溶剤を用いて洗浄する工程。
(e)洗浄後のウェットケーキを、非水系溶媒中で加熱撹拌して、下記(A)初期特性及び(B)経時特性を有するY型チタニルフタロシアニン結晶を得る工程。
(A)初期特性
Y型チタニルフタロシアニン結晶が、Cu−kαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°にもそれぞれピークを有し、かつ、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°におけるピーク強度をX(cps)とし、ブラッグ角2θ±0.2°=9.6°におけるピーク強度をY(cps)とした場合に、X/Y(−)の値が0.3未満の値である。
(B)経時特性
Y型チタニルフタロシアニン結晶を、下記条件下にて撹拌した場合に、X/Y(−)の値が0.5以上の値である。
撹拌溶媒:テトラヒドロフラン
添加割合:テトラヒドロフラン100重量部に対して、
Y型チタニルフタロシアニン結晶6重量部
撹拌手段:ロールミル
撹拌速度:60rpm
撹拌温度:23±1℃
撹拌時間:10日間
(f)Y型チタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、を酢酸アルキル、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びアルコールから選択される少なくとも一種の化合物を主成分とする溶剤に対して分散させて、電荷発生層用塗布液を製造する工程。
以下、第1の実施形態において既に説明した内容は適宜省略し、第2の実施形態である積層型電子写真感光体の製造方法について説明する。

0047

1.工程(a)
工程(a)は、チタニルフタロシアニン化合物を合成して、粗チタニルフタロシアニン結晶を得る工程である。
チタニルフタロシアニン化合物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、従来から実施されているチタニルフタロシアニン化合物の製造方法を用いることができる。
ここでは、上述した式(3)で表されるチタニルフタロシアニン化合物の製造方法を、一例として説明する。

0048

(1)反応式
工程(a)におけるチタニルフタロシアニン化合物の合成が、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリンと、チタンアルコキシドと、の反応であることが好ましい。
より具体的には、反応式(1)に示すように、式(4)で表されるo−フタロニトリル等のフタロニトリルと、式(5)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドとを反応させるか、反応式(2)において示すように、式(6)で表される1,3−ジイミノイソインドリン等のジイミノイソインドリンと、式(5)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドとを反応させて、式(3)で表されるチタニルフタロシアニン化合物を製造することが好ましい。

0049

0050

0051

(2)添加量
また、上述したフタロニトリルまたはジイミノイソインドリンに対するチタンアルコキシドの添加量を、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリン1モルに対して0.325〜1モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような添加割合で合成反応を実施することにより、後の工程を経て、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、チタンアルコキシドの添加量が0.325モル未満の値となると、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリンが反応せずに残留しやすくなる場合があるためである。一方、チタンアルコキシドの添加量が1モルを超えた値となると、過剰量のチタンアルコキシドが残留しやすくなるためである。
したがって、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリンに対するチタンアルコキシドの添加量を、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリン1モルに対して0.325〜0.75モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.375〜0.625モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。

0052

(3)尿素化合物
また、上述した反応式(1)及び(2)で表される反応を、尿素化合物の存在下において行うことが好ましい。この理由は、尿素化合物の存在下において製造されたチタニルフタロシアニン化合物を用いることにより、尿素化合物とチタンアルコキシドにおける相互作用が発揮されるため、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を効率的に得ることができるためである。
すなわち、かかる相互作用とは、尿素化合物とチタンアルコキシドとの反応によって生成するアンモニアが、さらにチタンアルコキシドと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をより促進させる作用である。そして、このような促進作用のもとに、原料物質を反応させることにより、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することができる。

0053

(3)−1 種類
また、反応式(1)及び(2)で使用される尿素化合物が、尿素、チオ尿素、O−メチルイソ尿素硫酸塩、O−メチルイソ尿素炭酸塩、及びO−メチルイソ尿素塩酸塩からなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
この理由は、かかる尿素化合物を、反応式(1)及び(2)中の尿素化合物として用いることにより、反応の過程で生成するアンモニアが、より効率的にチタンアルコキシドと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
すなわち、原料物質としてのチタンアルコキシドと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシドと錯体化合物を形成するためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
なお、かかる錯体化合物は、180℃以上の高温条件で反応させた場合に、特異的に生成しやすいことが判明している。そのため、沸点が180℃以上の含窒素化合物中、例えば、キノリン(沸点:237.1℃)やイソキノリン(沸点:242.5℃)、あるいはこれらの混合物重量比10:90〜90:10)中で実施することがより有効である。
よって、反応促進剤としてのアンモニアや、それに起因した錯体化合物がさらに生成しやすいことから、上述した尿素化合物の中でも、尿素を用いることがより好ましい。

0054

(3)−2添加量
また、反応式(1)及び(2)で使用する尿素化合物の添加量を、フタロニトリル、または、ジイミノイソインドリン1モルに対して、0.5〜3モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、尿素化合物の添加量をかかる範囲内の値とすることにより、上述した尿素化合物の作用をより効率的に発揮させることができるためである。
したがって、かかる尿素化合物の添加量を、フタロニトリルまたはジイミノイソインドリン1モルに対して、1.1〜2.5モルの範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜2モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。

0055

(4)溶媒
また、反応式(1)及び(2)で使用する溶媒としては、例えば、キシレンナフタレンメチルナフタレンテトラリン、及びニトロベンゼン等の炭化水素系溶剤ジクロロベンゼントリクロロベンゼンジブロモベンゼン、及びクロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ヘキサノールオクタノールデカノールベンジルアルコールエチレングリコール、及びジエチレングリコール等のアルコール系溶剤シクロヘキサノンアセトフェノン、1−メチル−2−ピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のケトン系溶剤ホルムアミド、及びアセトアミド等のアミド系溶剤ピコリン、キノリン、及びイソキノリン等の窒素含有溶剤からなる群の1種または2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
特に、沸点が180℃以上の含窒素化合物、例えば、キノリンやイソキノリンであれば、原料物質としてのチタンアルコキシドと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成しやすくなることから好適な溶媒である。

0056

(5)反応温度
また、反応式(1)及び(2)における反応温度を150℃以上の高温とすることが好ましい。この理由は、かかる反応温度が150℃未満、特に135℃以下となると、原料物質としてのチタンアルコキシドと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。
したがって、反応式(1)及び(2)における反応温度を180〜250℃の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜240℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。

0057

(6)反応時間
また、反応式(1)及び(2)における反応時間は、反応温度にもよるが、0.5〜10時間の範囲とすることが好ましい。この理由は、かかる反応時間が0.5時間未満となると、原料物質としてのチタンアルコキシドと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。一方、かかる反応時間が10時間を越えると、経済的に不利となったり、あるいは生成した錯体化合物が減少したりする場合があるためである。
したがって、反応式(1)及び(2)における反応時間を0.6〜3.5時間の範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。

0058

(7)粗結晶化
次いで、製造されたチタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間、攪拌処理し、ついで当該攪拌処理よりも低温温度条件下で一定時間、液を静置して安定化処理を行い、粗チタニルフタロシアニン結晶を得ることが好ましい。
また、このとき使用する水溶性有機溶媒としては、例えばメタノールエタノール、及びイソプロパノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドプロピオン酸酢酸、N−メチルピロリドン、及びエチレングリコール等の1種または2種以上が挙げられる。なお水溶性有機溶媒には、少量であれば、非水溶性有機溶媒を添加してもよい。

0059

また、上述した攪拌処理の条件は特に限定されないが、およそ70〜200℃程度の温度範囲一定温度条件下で、1〜3時間程度の攪拌処理を行うのが好ましい。
さらにまた、攪拌処理後の安定化処理の条件も特に限定されないが、およそ10〜50℃程度、特に好ましくは23±1℃前後の温度範囲の一定温度条件下で、5〜15時間程度、液を静置して安定化させるのが好ましい。

0060

2.工程(b)
工程(b)は、粗チタニルフタロシアニン結晶に対して酸処理を実施して、チタニルフタロシアニン溶液を得る工程である。
このように酸処理を実施する理由は、酸に対して粗チタニルフタロシアニン結晶を溶解することによって、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に残留した材料物質由来する不純物を、十分に分解することができるためである。
また、使用する酸としては、濃硫酸トリフルオロ酢酸及びスルホン酸からなる群から選択される少なくとも一種の酸であることが好ましい。
この理由は、このような酸であれば、上述した不純物をより効果的に分解することができる一方、チタニルフタロシアニン化合物の分解については、効果的に抑制することができるためである。
また、このような酸であれば、酸処理後において、これらの酸に由来する成分を、後述する洗浄によって容易に除去することができるためである。

0061

また、酸処理において用いられる酸の温度を、15℃以上の値とすることを特徴とする。
この理由は、酸処理における酸の温度を、かかる範囲内の値とすることによって、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を、より効率的に製造することができるためである。
すなわち、酸の温度が15℃未満の値となると、そのようにして製造されたY型チタニルフタロシアニン結晶は、所定条件下においた場合であってもα化度が十分に増加しにくくなる場合があるためである。したがって、第1の実施形態において記載した特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を効率的に得ることが困難となるためである。一方、酸の温度が過度に高くなると、チタニルフタロシアニン化合物自体が分解したりする場合がある。
したがって、酸処理において用いられる酸の温度を、20〜40℃の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜35℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。

0062

次いで、図5を用いて、酸処理における酸の温度と、Y型チタニルフタロシアニン結晶を所定条件下にて撹拌した場合のX/Y(−)(α化度)と、の関係を説明する。
図5においては、横軸に酸の温度(℃)を採り、縦軸に撹拌後のα化度(−)を採った特性曲線が示してある。
なお、Y型チタニルフタロシアニン結晶における初期段階のα化度の値、すなわち、所定条件下にて撹拌する前の段階におけるα化度の値は、いずれも0.3未満の値であった。
かかる特性曲線から理解されるように、酸の温度が15℃未満の範囲では、その増加にともなって、撹拌後のα化度の値が極僅かずつしか増加していない。したがって、酸の温度が15℃未満の範囲では、撹拌後のα化度の値を0.5以上の値をとることが困難となることがわかる。一方、酸の温度が15℃以上の範囲では、その増加にともなって、撹拌後のα化度の値が急激に増加し始めるため、確実に0.5以上の値をとることができることがわかる。
したがって、酸処理における酸の温度を15℃以上とすることによって、Y型チタニルフタロシアニン結晶を所定条件下にて撹拌した場合におけるY型チタニルフタロシアニン結晶のα化度の値を確実に0.5以上の値とすることができることがわかる。このことは、酸処理における酸の温度を15℃以上の値とすることによって、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を安定的に製造することができることを意味する。

0063

3.工程(c)
工程(c)は、チタニルフタロシアニン溶液を貧溶中に滴下して、ウェットケーキを得る工程である。
このように滴下を実施する理由は、チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下することによって、後の工程における不純物の洗浄を、より有効にすることができるためである。
すなわち、滴下によって、析出したチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキが、表面積が大きな不定形となるため、後の工程において、効果的に不純物を除去することができるためである。
また、使用する貧溶媒が、水であることが好ましい。
この理由は、水であれば、極性温度調節の点から、さらに容易にチタニルフタロシアニン化合物を析出させることができるためである。
したがって、析出したチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキにおける表面積を増加させて、より効果的に不純物を除去することができるためである。
また、その他の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、メタノールと水の混合溶媒、エタノールと水の混合溶媒等を用いることもできる。
なお、貧溶媒の温度は、使用する貧溶媒の種類によっても異なるが、一般に0〜20℃範囲内とすることが好ましい。

0064

4.工程(d)
工程(d)は、ウェットケーキを、洗浄溶剤を用いて洗浄する工程である。
すなわち、上述した工程(c)によって、不純物を除去しやすい状態にした上で、洗浄溶剤を用いて洗浄することにより、効果的に不純物を除去することができる。

0065

また、洗浄溶剤として、アルコールを用いることが好ましい。
この理由は、アルコールであれば、工程(b)における酸処理によって分解された状態の不純物を、効果的に溶出させて、除去することができるためである。
なお、かかるアルコールとしては、メタノール、エタノール及び1−プロパノール等が挙げられる。

0066

5.工程(e)
工程(e)は、洗浄後のウェットケーキを、非水系溶媒中で加熱撹拌して、第1の実施形態において詳細に記載した特定のY型チタニルフタロシアニン結晶を得る工程である。
すなわち、洗浄後のウェットケーキを、非水系溶媒中で加熱撹拌することによって、結晶型をY型に変換することができる。
なお、上述した加熱撹拌は、水が存在した状態で非水系溶媒中に分散させて、30〜70℃で5〜40時間攪拌することが好ましい。
また、非水系溶媒としては、例えば、クロロベンゼン、及びジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。

0067

6.工程(f)
工程(f)は、Y型チタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、を溶剤に対して分散させて、電荷発生層用塗布液を製造する工程である。
すなわち、Y型チタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、を溶剤に添加して、例えば、ロールミル、ボールミルアトライタペイントシェーカー超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
より具体的には、固形分濃度が1〜7重量%の塗布液を作成することが好ましい。この理由は、塗布液の固形分濃度は1重量%未満の値になると、被膜欠陥を生じるおそれがあるためであり、一方、塗布液の固形分濃度は7重量%を超えると、層むらが生じやすくなり、電子写真感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合があるためである。

0068

また、溶剤が、酢酸アルキル、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びアルコールから選択される少なくとも一種の化合物を主成分とする溶剤であることを特徴とする。
この理由は、これらの化合物以外の化合物、例えば、n−ヘキサンオクタンシクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素ベンゼントルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタンクロロホルム四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、アセトンメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類酢酸エチル酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を主成分とする溶剤を用いた場合には、電荷発生層用塗布液中において、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶がα型に結晶転移しやすくなる場合があるためである。
また、アルキレングリコールモノアルキルエーテル以外のエーテル類、例えば、ジメチルエーテルジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルジエチレングリコールジメチルエーテルジオキサンジオキソラン等を溶剤として用いた場合であっても、同様にα型に結晶転移しやすくなる場合があるためである。

0069

また、結着樹脂の溶解性を向上させる等の必要から、溶剤にテトラヒドロフランを使用する場合には、酢酸アルキル、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びアルコール等を主成分とした溶剤の全体量に対して、テトラヒドロフランを10重量%以下の範囲内の値で含有させてもよい。
この理由は、溶剤に対し、テトラヒドロフランをかかる範囲で含有させることによって、特定のY型チタニルフタロシアニン結晶の結晶転移を最小限に抑制しつつも、難溶性の結着樹脂の溶解性を向上させることができるためである。
したがって、溶剤に対してテトラヒドロフランを含有させる場合には、溶剤の全体量に対して0.1〜8重量%の範囲内の値で含有させることがより好ましく、0.1〜5重量%の範囲内の値で含有させることがさらに好ましい。

0070

7.塗布及び乾燥工程
塗布工程及び乾燥工程は、得られた電荷発生層用塗布液を、基体上に塗布及び乾燥して、電荷発生層を形成する工程である。
すなわち、基体上に、電荷発生層用塗布液を直接的に塗布することも好ましいし、あるいは、中間層を介して間接的に塗布することも好ましい。
また、塗布方法としては、均一な厚さの電荷発生層を形成するために、例えば、スピンコーターアプリケータースプレーコーターバーコーターディップコータードクターブレード等を用いることが好ましい。

0071

また、塗布工程の後、高温乾燥機減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。この理由は、かかる乾燥温度が60℃未満の値になると、乾燥時間が過度に長くなって、均一な厚さを有する電荷発生層を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる乾燥温度が150℃を超えると、電荷発生層が熱分解する場合があるためである。

0072

なお、電荷輸送層及び中間層についても、第1の実施形態において記載した構成材料を、一般に用いられる溶剤に対して溶解させて塗布液を製造し、それを塗布及び乾燥することで、それぞれ形成することができる。

0073

以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
1.チタニルフタロシアニン化合物の製造
アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル25g(0.195モル)と、チタンテトラブトキシド28g(0.0822モル)と、キノリン300gと、尿素20g(0.33モル)を加え、撹拌しつつ150℃まで昇温した(o−フタロニトリル1モルに対するチタンテトラブトキシドの添加量:0.422モル、o−フタロニトリル1モルに対する尿素の添加量:1.7モル)。
次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温したのち、この温度を維持しつつさらに2時間、撹拌して反応させた。
次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、青紫色の固体25gを得た。

0074

2.Y型チタニルフタロシアニン結晶の製造
(1)顔料化前処理
上述したチタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体15gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、撹拌しつつ130℃に加熱して2時間、撹拌処理を行った。
次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、さらに、23±1℃まで冷却した時点で撹拌も停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。そして安定化された後の上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄したのち真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。

0075

(2)顔料化処理
上述した顔料化前処理で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、97%の濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。なお、かかる酸処理は、30℃で1時間行った。
次いで、この溶液を、氷冷下の純水5リットル中に毎分10ミリリットルにて滴下したのち23±1℃付近で15分間、攪拌し、その後30分静置した。次いで溶液をガラスフィルターでろ過し、ウェットケーキを得た。
次いで、得られたウェットケーキを、洗浄液中性になるまでメタノールに懸濁して洗浄し、洗浄後のメタノールをガラスフィルターでろ過した。
次いで、洗浄後のウェットケーキを、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて、50℃にて10時間加熱撹拌を行った。
そして上澄みをガラスフィルターによってろ別して得られた結晶を、50℃で5時間、真空乾燥させて、式(3)で表される無置換のチタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.5gを得た。

0076

3.チタニルフタロシアニン結晶の評価
(1)製造直後
製造直後のチタニルフタロシアニン結晶におけるCukα特性X線回折スペクトルの測定を行った。
すなわち、得られたチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、X線回折装置(理学電機(株)製、RINT1100)のサンプルホルダー充填して測定を行った。なお、得られたスペクトルチャートにおいては、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、9.6°にも明確なピークを有することから、得られたチタニルフタロシアニン結晶がY型結晶であることが確認できた。さらに、Y型結晶の特徴の1つである24.2°におけるピークについても確認することができた。
なお、測定の条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分

0077

また、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°及び9.6°におけるピーク強度から、α化度を算出した。得られた結果を表2に示す。また、表2におけるβ転移の評価は、得られたスペクトルチャートにおいてブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有するか否かによって評価を行った(ピークを有する:×、ピークを有さない:○)。

0078

(2)所定条件下にて攪拌後の評価
また、所定条件下にて攪拌した後のチタニルフタロシアニン結晶においても、Cukα特性X線回折スペクトルの測定を行った。
すなわち、製造直後のチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、テトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%の条件下、密閉系中で10日間、60rpmの条件でロールミルを行った。
次いで、テトラヒドロフランを除去して、X線回折装置(理学電機(株)製のRINT1100)のサンプルホルダーに充填し、製造直後のチタニルフタロシアニン結晶の場合と同様に測定を行うとともにα化度の算出及びβ転移の評価を行った。得られた結果を表2に示す。

0079

4.電子写真感光体の製造
(1)中間層の形成
ビーズミル用いて、酸化チタン(MT−02、アルミナ、シリカ、シリコーンで表面処理した数平均一次粒子径が10nm(テイカ製))250重量部、四元共重合ポリアミド樹脂CM8000(東レ製)100重量部、溶媒としてメタノール1000重量部と、n-ブタノール250重量部とを、5時間混合、分散させ、さらに5ミクロンフィルタにてろ過処理して、中間層用塗布液を作成した。
次いで、直径30mm、長さ238.5mmのアルミニウム基体支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて中間層用塗布液を塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚2μmの中間層を形成した。

0080

(2)電荷発生層の形成
次いで、ビーズミルを用いて、電荷発生剤として上述したようにして製造したY型チタニルフタロシアニン結晶を200重量部、結着樹脂としてポリビニルブチラール樹脂100重量部、溶剤として酢酸エチル4000重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル4000重量部を、2時間混合、分散させ、電荷発生層用の塗布液を得た。得られた塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過後、上述した中間層上にディップコート法にて塗布し、80℃で5分間乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。

0081

(3)電荷輸送層の形成
次いで、超音波分散機内に、正孔輸送剤として下記式(7)で表されるヒドラゾン化合物HTM−1)55重量部と、添加剤としてメタターフェニル5重量部と、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン10重量部と、結着樹脂として粘度平均分子量20,000の下記式(8)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−1)60重量部と、粘度平均分子量50,000の下記式(9)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−2)40重量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン310重量部と、トルエン310重量部と、を収容したのち、10分間分散処理させて、電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、120℃で30分間乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し積層型電子写真感光体を作製した。
なお、実施例1及び以下に記載する他の実施例及び比較例における積層型電子写真感光体の製造条件の相違点を表1に示す。

0082

0083

0084

0085

5.電気特性の評価
(1)明電位の測定
得られた積層型電子写真感光体における明電位を測定した。
すなわち、得られた積層型電子写真感光体を、市販の負帯電反転現像プロセスを採用したプリンタデータ(株)製、Microline−22)に搭載して、常温常湿環境(温度:25℃、相対湿度:50%Rh)下にて明電位の測定を行った。
より具体的には、10,000枚連続して画像形成を行った後、積層型電子写真感光体を表面電位が−900〜−850Vとなるように帯電させて帯電電位(V)とし、黒ベタ画像を形成した際の現像位置での表面電位を明電位(V)とした。得られた結果を表2に示す。なお、測定された明電位(V)は負の値であったが、表2においては、その絶対値を記載している。

0086

(2)メモリ電位の測定
また、得られた積層型電子写真感光体におけるメモリ電位の評価を行った。
すなわち、得られた積層型電子写真感光体を、上述したのと同様のプリンタに装着し、同様の環境下にて、10,000枚連続して画像形成を行った後、1周目(95mm長)の積層型電子写真感光体に対して、ベタ黒画像65mmに相当する露光を行い(露光部)、残りの30mmには露光を行わなかった(非露光部)。次いで、2周目の積層型電子写真感光体全体に対しても、露光を行わなかった。次いで、1周目の露光部に相当する部分の2周目における表面電位V0b(V)と、1周目の非露光部に相当する部分の2周目における表面電位V0(V)と、を測定し、この電位差の絶対値│V0−V0b│(V)を計算して、メモリ電位(V)とした。得られた結果を表2に示す。

0087

6.電荷発生層形成後におけるチタニルフタロシアニン結晶の評価
(1)溶解直後
形成された電荷発生層を、テトラヒドロフランに溶解した直後のチタニルフタロシアニン結晶におけるCukα特性X線回折スペクトルの測定を行った。
すなわち、電荷発生層0.3gを基体から剥離して、テトラヒドロフラン5g中に溶解及び分散させ、電荷発生層に含有されたチタニルフタロシアニン結晶を採りだした。
次いで、テトラヒドロフランを除去して、得られたチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、X線回折装置(理学電機(株)製、RINT1100)のサンプルホルダーに充填し、製造直後のチタニルフタロシアニン結晶の場合と同様に測定を行うとともにα化度の算出及びβ転移の評価を行った。得られた結果を表2に示す。

0088

(2)テトラヒドロフラン中で攪拌後の評価
また、上述したように電荷発生層をテトラヒドロフランに溶解及び分散し、さらに、10日間攪拌した後のチタニルフタロシアニン結晶において、Cukα特性X線回折スペクトルの測定を行った。
すなわち、電荷発生層をテトラヒドロフランに溶解及び分散した後、採り出したチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、テトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%の条件下、密閉系中で10日間、60rpmの条件でロールミルを行った。
次いで、テトラヒドロフランを除去して、得られたチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、X線回折装置(理学電機(株)製のRINT1100)のサンプルホルダーに充填し、製造直後のチタニルフタロシアニン結晶の場合と同様に測定を行うとともにα化度の算出及びβ転移の評価を行った。得られた結果を表2に示す。

0089

[実施例2〜3]
実施例2〜3においては、Y型チタニルフタロシアニン結晶を製造する際に、酸処理における酸の温度を、それぞれ20、15℃と変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表2に示す。

0090

[実施例4]
実施例4においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、原料物質としてのo−フタロニトリル25g(0.195モル)をジイミノイソインドリン28.3g(0.195モル)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表2に示す。

0091

[実施例5]
実施例5においては、電荷発生層を形成する際に、溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル4000重量部を、1−プロパノール4000重量部に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表2に示す。

0092

[実施例6]
実施例6においては、電荷発生層を形成する際に、溶剤としての酢酸エチル4000重量部を、1−プロパノールに変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表2に示す。

0093

[比較例1〜2]
比較例1〜2においては、Y型チタニルフタロシアニン結晶を製造する際に、酸処理における酸の温度を、表1に示すように、それぞれ10、5℃と変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表2に示す。

0094

[比較例3]
比較例3においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、原料物質としてのチタンテトラブトキシド28g(0.0822モル)を四塩化チタン15.6g(0.0822モル)に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに評価した。得られた結果を表2に示す。

0095

[比較例4]
比較例4においては、Y型チタニルフタロシアニン結晶を製造する際に、チタンテトラブトキシドの添加量を16.6g(0.049モル)(o−フタロニトリル1モルに対するチタンテトラブトキシドの添加量:0.25モル)に変えるとともに、酸処理における酸の温度を5℃に変えたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造することともに評価した。得られた結果を表2に示す。

0096

0097

0098

本発明にかかる積層型電子写真感光体によれば、電荷発生剤としてのY型チタニルフタロシアニン結晶における光学特性を所定の範囲に規定するとともに、かかるY型チタニルフタロシアニン結晶を、所定期間、所定環境下においた場合における光学特性の変化についても、定量的に規定することによって、Y型チタニルフタロシアニン結晶の結晶転移を効果的に抑制しつつ、その電荷発生能及び分散性をより効果的かつ安定的に発揮させることができるようになった。
その結果、連続して画像形成を行った場合であっても、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる積層型電子写真感光体を、安定的かつ容易に得ることができるようになった。
したがって、かかる積層型電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における電気特性の向上や、品質の安定化に著しく寄与することが期待される。

図面の簡単な説明

0099

(a)〜(c)は積層型感光層の構成を説明するために供する図である。
攪拌後のα化度とメモリ電位との関係を説明するために供する図である。
電荷発生層を形成した後における攪拌後のα化度とメモリ電位との関係を説明するために供する図である。
本発明の積層型電子写真感光体を搭載した画像形成装置を説明するために供する図である。
酸の温度と攪拌後のα化度との関係を説明するために供する図である。

符号の説明

0100

12:基体
20:積層型電子写真感光体
20´:積層型電子写真感光体
20´´:積層型電子写真感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
31:画像形成ユニット
31a:画像形成部
31b:給紙部
32:排紙ユニット
33:画像読取ユニット
33a:光源
33b:光学素子
34:原稿給送ユニット
34a:原稿載置トレイ
34b:原稿給送機構
34c:原稿排出トレイ
41:感光体ドラム
42:帯電器
43:露光源
44:現像器
45:転写ローラ

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