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技術 液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 横内力
出願日 2007年9月20日 (12年4ヶ月経過) 出願番号 2007-244069
公開日 2009年4月9日 (10年10ヶ月経過) 公開番号 2009-073040
状態 特許登録済
技術分野 インクジェット(粒子形成、飛翔制御)
主要キーワード 犠牲層パターン 昇降変位 補充口 ドライフイルムレジスト ダンパー効果 吸着チャンバー ノズル領域 内圧変動
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年4月9日)のものです。
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図面 (13)

課題

流路を形成する際、所望の寸法精度を保ったまま、角部がなく気泡除去性の良い流路を形成する。

解決手段

基板上に溶解可能な樹脂液体流路の形状を形成する工程と、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に撥液膜を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程と、前記加熱処理の後に撥液膜を除去する工程と、前記撥液膜が除去された前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に被覆樹脂層を形成する工程と、前記被覆樹脂層をパターニングする工程と、前記溶解可能な樹脂層溶出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする液体吐出ヘッド流路基板の製造方法を提供することにより前記目的を達成する。

概要

背景

従来より、画像形成装置として、インク吐出する多数のノズルを配列させたインクジェットヘッド液体吐出ヘッド)を備え、このインクジェットヘッドと記録媒体を相対的に移動させながら、記録媒体に向けてノズルからインクを吐出することにより記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置インクジェットプリンタ)が知られている。

インクジェットヘッドは、インクタンクからインク流路を介して、ノズルと連通するインク室圧力室)にインクを導き、インク室内に圧力を発生させる等、様々な方法でノズルからインクを吐出する。

このとき、インク流路内入りこんだり、あるいはインク流路内で発生した気泡が、インク流路内の端部の角になったような場所に付着すると、インクが正しく供給されず吐出不良を起こすことがある。

そこでインク流路内に気泡が発生しても、気泡がインク流路に付着することなく、気泡を排除しやすいインク流路を形成することが望まれていた。

これに対して、従来例えばインク流路の断面形状を隅部に丸みを付けて角をなくすように形成して、インク流路内に気泡が付着しにくく除去し易くしたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。

この特許文献1に記載されたものは、図12(a)に示すように、まず発熱抵抗体502を備えた基板500上に、ある種の液体(溶解液)に溶解可能な樹脂層犠牲層)504で、断面が長方形インク流路パターンを形成する。次に図12(b)に示すように、これに加熱処理を施して、長方形に形成されている犠牲層504のインク流路パターンの角部に丸みを付ける。次に、その上に前記溶解液では溶解しない被覆樹脂層506を形成し、被覆樹脂層506の前記発熱抵抗体502の垂直上方の対応する部分にインク吐出口508を形成し、最後に溶解液で犠牲層504を溶出して、図12(c)に示すようなインク流路510を形成するものである。
特開平9−193405号公報

概要

流路を形成する際、所望の寸法精度を保ったまま、角部がなく気泡除去性の良い流路を形成する。基板上に溶解可能な樹脂液体流路の形状を形成する工程と、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に撥液膜を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程と、前記加熱処理の後に撥液膜を除去する工程と、前記撥液膜が除去された前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に被覆樹脂層を形成する工程と、前記被覆樹脂層をパターニングする工程と、前記溶解可能な樹脂層を溶出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法を提供することにより前記目的を達成する。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、流路を形成する際、所望の寸法精度を保ったまま、角部がなく気泡除去性の良い流路を有する液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基板上に溶解可能な樹脂液体流路の形状を形成する工程と、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に撥液膜を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程と、前記加熱処理の後に撥液膜を除去する工程と、前記撥液膜が除去された前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に被覆樹脂層を形成する工程と、前記被覆樹脂層をパターニングする工程と、前記溶解可能な樹脂層溶出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする液体吐出ヘッド流路基板の製造方法。

請求項2

前記犠牲層ポジレジストを用い、前記撥液膜にフルオロアルキルシランを用いるとともに、前記撥液膜の除去に真空紫外線を用いることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法。

請求項3

基板上に液体流路の形状が形成される場所の周辺に前記液体流路に沿った溝または壁を形成する工程と、前記基板上に溶解可能な樹脂で液体流路の形状を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程と、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に被覆樹脂層を形成する工程と、前記被覆樹脂層をパターニングする工程と、前記溶解可能な樹脂層を溶出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法。

請求項4

請求項3に記載の液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法であって、さらに、前記基板上に溶解可能な樹脂で液体流路の形状を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程との間に、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に撥液膜を形成する工程を含むとともに、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程と、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に被覆樹脂層を形成する工程との間に、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に形成された撥液膜を除去する工程を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、液体吐出ヘッド流路基板の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来より、画像形成装置として、インク吐出する多数のノズルを配列させたインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)を備え、このインクジェットヘッドと記録媒体を相対的に移動させながら、記録媒体に向けてノズルからインクを吐出することにより記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置インクジェットプリンタ)が知られている。

0003

インクジェットヘッドは、インクタンクからインク流路を介して、ノズルと連通するインク室圧力室)にインクを導き、インク室内に圧力を発生させる等、様々な方法でノズルからインクを吐出する。

0004

このとき、インク流路内入りこんだり、あるいはインク流路内で発生した気泡が、インク流路内の端部の角になったような場所に付着すると、インクが正しく供給されず吐出不良を起こすことがある。

0005

そこでインク流路内に気泡が発生しても、気泡がインク流路に付着することなく、気泡を排除しやすいインク流路を形成することが望まれていた。

0006

これに対して、従来例えばインク流路の断面形状を隅部に丸みを付けて角をなくすように形成して、インク流路内に気泡が付着しにくく除去し易くしたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。

0007

この特許文献1に記載されたものは、図12(a)に示すように、まず発熱抵抗体502を備えた基板500上に、ある種の液体(溶解液)に溶解可能な樹脂層犠牲層)504で、断面が長方形インク流路パターンを形成する。次に図12(b)に示すように、これに加熱処理を施して、長方形に形成されている犠牲層504のインク流路パターンの角部に丸みを付ける。次に、その上に前記溶解液では溶解しない被覆樹脂層506を形成し、被覆樹脂層506の前記発熱抵抗体502の垂直上方の対応する部分にインク吐出口508を形成し、最後に溶解液で犠牲層504を溶出して、図12(c)に示すようなインク流路510を形成するものである。
特開平9−193405号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、溶解可能な樹脂層で長方形に形成されたインク流路パターンを加熱処理によって角部に丸みを付ける際に、図12(b)に符号δで示すように、溶解可能な樹脂層(犠牲層)504が広がり、基板500に接している部分の幅が変わってしまい、寸法精度が悪化するという問題がある。

0009

さらに、犠牲層504が広がった部分により、図12(c)に示すように、流路510の隅に狭い角部512ができるため、そこに液体(インク)中の気泡が溜まり、気泡の除去性が悪くなり、液体の吐出にも影響を与えるという問題がある。

0010

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、流路を形成する際、所望の寸法精度を保ったまま、角部がなく気泡除去性の良い流路を有する液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板上に溶解可能な樹脂液体流路の形状を形成する工程と、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に撥液膜を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程と、前記加熱処理の後に撥液膜を除去する工程と、前記撥液膜が除去された前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に被覆樹脂層を形成する工程と、前記被覆樹脂層をパターニングする工程と、前記溶解可能な樹脂層を溶出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法を提供する。

0012

これにより、加熱処理時における溶解可能な樹脂(犠牲層)の濡れ広がりを防止し、該犠牲層で形成された流路の形状の寸法精度を保ったまま、その基板に接していない側の角部に丸みを付けることができ、その結果、気泡排除性を向上させた流路を有する液体流路基板を得ることができる。

0013

また、請求項2に示すように、前記犠牲層にポジレジストを用い、前記撥液膜にフルオロアルキルシランを用いるとともに、前記撥液膜の除去に真空紫外線を用いることを特徴とする。

0014

これにより、真空紫外線を基板の全面に照射するだけで、撥液膜の除去と溶解可能な樹脂層の表層硬化を同時に行うことができ、溶解可能な樹脂層で形成された流路の形状の耐久性を上げ、流路製造時の加工精度を向上させることができる。

0015

また、同様に前記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、基板上に液体流路の形状が形成される場所の周辺に前記液体流路に沿った溝または壁を形成する工程と、前記基板上に溶解可能な樹脂で液体流路の形状を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程と、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に被覆樹脂層を形成する工程と、前記被覆樹脂層をパターニングする工程と、前記溶解可能な樹脂層を溶出する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法を提供する。

0016

これにより、加熱処理時における溶解可能な樹脂(犠牲層)の濡れ広がりを防止し、該犠牲層で形成された流路の形状の寸法精度を保ったまま、その基板に接していない側の角部に丸みを付けることができ、その結果、気泡排除性を向上させた流路を有する液体流路基板を得ることができる。

0017

また、請求項4に示すように、請求項3に記載の液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法であって、さらに、前記基板上に溶解可能な樹脂で液体流路の形状を形成する工程と、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程との間に、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に撥液膜を形成する工程を含むとともに、前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の前記基板に接していない側の角部に加熱処理によって丸みを付ける工程と、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に被覆樹脂層を形成する工程との間に、前記基板及び前記溶解可能な樹脂で形成された液体流路の形状の上に形成された撥液膜を除去する工程を含むことを特徴とする。

0018

これにより、加熱処理時における犠牲層の濡れ広がりをより確実に防止することができ、犠牲層で形成された流路の形状の寸法精度をより保ったまま、その基板に接していない側の角部に丸みを付けることができる。

発明の効果

0019

以上説明したように、本発明によれば、加熱処理時における溶解可能な樹脂(犠牲層)の濡れ広がりを防止し、該犠牲層で形成された流路の形状の寸法精度を保ったまま、その基板に接していない側の角部に丸みを付けることができ、その結果、気泡排除性を向上させた流路を有する液体流路基板を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0020

以下、添付図面を参照して、本発明に係る液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法について詳細に説明する。

0021

図1は、本発明に係る流路基板を有する液体吐出ヘッドを備えた画像記録装置としてのインクジェット記録装置の第1実施形態の概略を示す全体構成図である。

0022

図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクの色毎に設けられた複数の印字ヘッド(液体吐出ヘッド)12K、12C、12M、12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インクを吐出するノズルが形成されたノズルプレートの表面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26とを備えている。

0023

図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。

0024

ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。

0025

複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。

0026

給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。

0027

デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラー31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。

0028

ベルト33は、記録紙16幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したとおり、ローラー31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバー34が設けられており、この吸着チャンバー34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。

0029

ベルト33が巻かれているローラー31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。

0030

縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラー線速度を変えると清掃効果が大きい。

0031

なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラー・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラー・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面にローラーが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面と接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。

0032

吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。

0033

印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型ヘッドとなっている(図2参照)。

0034

図2に示すように、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。

0035

記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。

0036

このように、紙幅の全域カバーするフルラインヘッドインク色毎に設けられてなる印字部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。

0037

なお、ここで主走査方向及び副走査方向とは、次に言うような意味で用いている。すなわち、記録紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、用紙の幅方向(記録紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字をするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域長手方向)の示す方向を主走査方向という。

0038

一方、上述したフルラインヘッドと記録紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、記録紙の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。

0039

また本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアンライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。

0040

図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段等)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。

0041

印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。

0042

本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。

0043

印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yにより印字されたテストパターン読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定等で構成される。

0044

印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹きつける方式が好ましい。

0045

多孔質ペーパ染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性アップする効果がある。

0046

後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラー45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。

0047

このようにして生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に、本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。

0048

また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。

0049

次に、印字ヘッド(液体吐出ヘッド)のノズル(液体吐出口)の配置について説明する。インク色毎に設けられている各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを表すものとし、図3に印字ヘッド50の平面透視図を示す。

0050

図3に示すように、本実施形態の印字ヘッド50は、インクを液滴として吐出するノズル51、インクを吐出する際インクに圧力を付与する圧力室52、図3では図示を省略した供給液室から圧力室52にインクを供給するインク供給口53を含んで構成される圧力室ユニット54が千鳥状の2次元マトリクス状に配列され、ノズル51の高密度化が図られている。

0051

図3に示す例においては、各圧力室52を上方から見た場合に、その平面形状は略正方形状をしているが、圧力室52の平面形状はこのような正方形に限定されるものではない。圧力室52には、図3に示すように、その対角線の一方の端にノズル51が形成され、他方の端の側にインク供給口53が設けられている。

0052

また、図4は他の印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。図4に示すように、複数の短尺ヘッド50’を2次元の千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、これらの複数の短尺ヘッド50’全体で印字媒体の全幅に対応する長さとなるようにして1つの長尺のフルラインヘッドを構成するようにしてもよい。

0053

また、図3中の5−5線に沿った断面図を図5に示す。

0054

図5に示すように、圧力室ユニット54は、その一番下層にインクを吐出するノズル51が形成されたノズルプレート151が形成され、その上に、インクを供給するためのインク供給流路(供給液室)55や圧力室52が形成される流路基板152が形成されている。

0055

圧力室ユニット54は、このノズル51と連通する圧力室52によって主に形成される。また圧力室52は、ノズル51と連通するとともに、インク供給口53を介してインクを供給する供給液室55と連通する。圧力室52の一面(図では天面)は振動板56で構成され、その上部には、振動板56に圧力を付与して振動板56を変形させる圧電素子58が接合され、圧電素子58の上面には個別電極57が形成されている。また、振動板56は共通電極を兼ねている。

0056

圧電素子58は、共通電極(振動板56)と個別電極57によって挟まれており、これら2つの電極56、57に駆動電圧印加することによって変形する。圧電素子58の変形によって振動板56が押され、圧力室52の容積縮小されてノズル51からインクが吐出されるようになっている。2つの電極56、57間への電圧印加解除されると圧電素子58がもとに戻り、圧力室52の容積が元の大きさに回復し、供給液室55からインク供給口53を通って新しいインクが圧力室52に供給されるようになっている。

0057

図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給するための基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、補充口(図示省略)からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類替える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じて吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。

0058

図6に示したように、インクタンク60と印字ヘッド50を繋ぐ管路の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは印字ヘッド50のノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。

0059

なお、図6には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。

0060

また、インクジェット記録装置10には、ノズルの乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面(ノズルプレート151の表面)50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。

0061

これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、図示を省略した移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。

0062

キャップ64は、図示しない昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。昇降機構は、電源FF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aのノズル領域をキャップ64で覆うようになっている。

0063

クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したブレード移動機構により印字ヘッド50のインク吐出面(ノズル面50A)に摺動可能である。ノズル面50Aにインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル面50Aに摺動させることでノズル面50Aを拭き取り、ノズル面50Aを清浄するようになっている。

0064

印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、そのノズル51近傍のインク粘度が上昇した場合、粘度が上昇して劣化したインクを排出すべく、キャップ64に向かって予備吐出が行われる。

0065

また、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内のインク)に気泡が混入した場合、印字ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われ、粘度が上昇して固化した劣化インクが吸い出され除去される。

0066

すなわち、印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用圧力発生手段(図示省略、後述)が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(圧力発生手段の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧力発生手段を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル面50Aの汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。

0067

また、ノズル51や圧力室52内に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、上述したような吸引動作を行う。

0068

すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、圧力発生手段を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面50Aに、キャップ64を当てて圧力室52内の気泡が混入したインク又は増粘インクをポンプ67で吸引する動作が行われる。

0069

ただし、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。なお、図6で説明したキャップ64は、吸引手段として機能するとともに、予備吐出のインク受けとしても機能し得る。

0070

また、好ましくは、キャップ64の内側が仕切壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割されており、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とする。

0071

図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。

0072

図7に示すように、インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。

0073

通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースセントロクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信高速化するためのバッファメモリ(図示省略)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなどの磁気媒体を用いてもよい。

0074

システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒーター89を制御する制御信号を生成する。

0075

モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバ駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒーター89を駆動するドライバである。

0076

プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。

0077

プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。

0078

ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色の印字ヘッド50の圧力発生手段を駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。

0079

印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサー(図示省略)を含むブロックであり、記録紙16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供するものである。

0080

プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいて印字ヘッド50に対する各種補正を行うようになっている。

0081

以下、本発明に係る流路基板の製造方法について説明する。なお、前に図5において説明したように、流路基板にはインク供給流路や圧力室が形成され、ここでは液体流路にはいわゆる(インク)流路の他に圧力室なども含むものとする。そこで、以下では特にどのような流路が形成される流路基板であるかは特定せずに説明することとする。

0082

図8(a)〜(i)に、本発明の第1実施形態に係る流路基板の製造方法の工程を示す。

0083

まず図8(a)に示すように、シリコンあるいはステンレス等の金属や樹脂等の基板110の上に溶解液で溶解可能な樹脂で流路の型となる層(犠牲層)112を塗布する。この犠牲層112の厚みd1は、10〜50μmに形成される。犠牲層112の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、スピンコートスプレーコートなどで形成することができる。また、犠牲層112にはポジ型レジストが用いられる。これにより露光現像によるパターニングが可能であり、さらに除去も容易となる。

0084

次に、図8(b)に示すように、犠牲層112をパターニングして流路となる(実際にインクが流れる)部分の型(流路の形状)を形成する。この型は図8(b)に示すように長方形状にパターニングされるが、その幅wは、どのようなインク流路が形成されるのかによって異なる。例えば、形成される流路が圧力室部分となる場合には、幅wは20〜100μmに形成され、その他の流路の場合には5〜500μmに形成される。またパターニングは、特に限定されないが、例えば感光性の樹脂(レジスト)を用いて、露光現像によってパターニングを行うことができる。

0085

次に、図8(c)に示すように、基板110及びパターニングされた犠牲層112の上に撥液膜114を形成する。撥液膜114は、スピンコート、スプレーコートあるいは蒸着など各種の方法で形成することができる。撥液膜114には、後で除去可能な物が用いられる。例えば、フッ素系樹脂、フルオロアルキルシランなどが用いられる。これらは酸素プラズマ処理や真空紫外線の照射で除去可能である。

0086

次に、図8(d)に示すように、加熱処理を行い、パターニングされた犠牲層112が基板110に接していない側の角部に丸みを付ける。この丸みとしては、流路内に混入したり、流路内で発生した気泡の半径と同等もしくはそれ以上の大きさの曲率半径を有する丸みが好ましい。例えば、圧力室の場合、その形状や液体(インク)の物性(粘度)などにもよるが、直径5〜10μmの気泡でも吐出に影響を与えるため、気泡の排出性を考慮すると、その気泡の半径と同等もしくはそれ以上の角Rがついた圧力室にすることで、液の流れによる気泡排出性が改善される。具体的には、気泡の直径が5μmとすると、角Rが2.5μm以上であればよい。

0087

加熱処理には、例えば、オーブンホットプレートなどが用いられる。処理温度は、犠牲層112の材料にもよるが、例えば100℃〜120℃程度で加熱される。なお、本実施形態においては、前の工程で撥液膜114が形成されているため、加熱処理によって犠牲層112が基板110上で横に濡れ広がることはない。すなわち、図8(d)において、長方形状のパターンに丸みを付けた際のずれ量d2は略0となる。

0088

次に、図8(e)に示すように、撥液膜114を除去する。

0089

次に、図8(f)に示すように、基板110及び犠牲層112の上に被覆樹脂層116を形成する。被覆樹脂層116の形成も、スピンコートあるいはスプレーコートで行われる。被覆樹脂層116の厚みd3は、犠牲層112の厚みd1にもよるが、例えば25〜150μmに形成される。

0090

次に被覆樹脂層116をパターニングする。このパターニングで形成されるものは、その流路が圧力室部分になるのかその他の流路になるのかによって異なる。形成される流路が圧力室の場合には、ノズルに連通するインク流路がパターニングされ、また、形成される流路が供給液室のようにその他の流路の場合には、その流路から例えば圧力室等にインクを供給する供給口に連通するインク流路などがパターニングされる。

0091

被覆樹脂層116をパターニングする方法も特に限定されるものではなく、例えば図8(g)に示すように、被覆樹脂層116が感光性樹脂の場合には、露光、現像によりパターニングすることができる。または、図8(h)のように、被覆樹脂層116上にマスクとなる層を形成してパターニングしてマスク118を形成し、ドライエッチングなどで被覆樹脂層116をパターニングし、その後マスク118を除去するようにしてもよい。

0092

最後に、図8(i)に示すように、犠牲層112の樹脂が溶解可能な液に漬けることによって犠牲層112を除去して、流路120が形成される。

0093

以上説明したように、本実施形態においては、パターニングされた犠牲層112上に撥液膜114を形成したことにより、加熱処理時の犠牲層112の濡れ広がりを防止することができる。前述した従来例では、加熱時にパターニングされた犠牲層が数μm程度濡れ広がると考えられるが、本実施形態の方法ではこの濡れ広がりは略0となる。これにより、所望の寸法精度を保ちながら、角に丸みを付けることができる。

0094

このようにして形成された流路を有する流路基板においては、流路内に気泡が混入したり気泡が発生しても、流路端部に角部がなく、気泡が付着したり滞留することがなく、気泡をたやすく排除することができる。

0095

次に、本発明の流路基板の製造方法の第2実施形態について説明する。

0096

第2実施形態は、前述した第1実施形態と略同じであるが、図8(d)から図8(e)に移るところで、撥液膜114を除去する際に、真空紫外線を用いる点で異なっている。

0097

すなわち、本第2実施形態においては、犠牲層112にポジレジスト、例えば、東京応化工業製、PMERP−LA900PM、あるいはAZエレクトロニックマテリアルズ製、AZ10−XTなどを用い、撥液膜114にフルオロアルキルシランを用いて、さらに撥液膜114の除去に真空紫外線を用いるようにしている。

0098

第2実施形態は、撥液膜114の除去以外については第1実施形態と同じなので、撥液膜114の除去についてのみ説明する。

0099

図9(a)〜(c)に、第2実施形態における撥液膜114の除去工程を示す。

0100

まず、図9(a)に示すように、第1実施形態の図8(a)〜図8(d)と同様にして、基板110上にポジレジストの犠牲層112をパターニングし、その上に撥液膜114を形成し、加熱処理を行いパターニングされた犠牲層112の基板110に接していない側の角部に丸みをつける。

0101

次に、図9(b)に示すように、基板110全体を真空中において、上から真空紫外線122を照射する。真空紫外線122としては、波長が150〜300nmの遠紫外線が用いられる。これは空気中で照射しても空気に吸収されてしまい対象物に届かないので真空中で照射が行われるものである。

0102

すると真空紫外線122の照射により、図9(c)に示すように、撥液膜114が除去されると同時に、犠牲層112の表層112’が硬化する。このように犠牲層112の表層112’が硬化することにより、犠牲層112の耐久性が向上する。そのため、被覆樹脂層116の形成時に、被覆樹脂層116あるいはそれに含まれる溶媒により、犠牲層112が溶解するのを防止することができる。また、硬化が進むのは犠牲層112の表層112’だけなので、溶解液による犠牲層112の除去は可能である。

0103

このように、基板110の全面に真空紫外線122を照射するだけで良く、非常に簡単な工程で、撥液膜114の除去と犠牲層112の表層112’の硬化という2つの効果が得られる。

0104

撥液膜114を除去した後は、第1実施形態と同様に、その上に被覆樹脂層を形成し、被覆樹脂層をパターニングして、犠牲層を溶出して流路が形成される。

0105

次に、本発明の第3実施形態について説明する。

0106

第3実施形態は、犠牲層パターンの周辺に凹凸形状(溝や壁)を形成して、それによって加熱処理時の犠牲層パターンの濡れ広がりを防ごうというものである。

0107

図10凹形状(溝)を形成する場合の例を示し、図11に凸形状(壁)を形成する場合の例を示す。

0108

凹形状を形成する場合、まず図10(a)に示すように、基板110に対して犠牲層がパターニングされる周辺にそのパターンに沿って凹形状(溝)124を形成する。溝124の形成方法は特に限定はされないが、例えばドライエッチングあるいはウエットエッチングなどで基板を掘って形成することができる。なお、加熱処理時の犠牲層112の濡れ広がり防止の観点からは、凹部の角部は直角もしくは鋭角であることが望ましい。

0109

次に図10(b)に示すように、溝124が形成された基板110上に犠牲層112を形成する。これは前述した第1実施形態と同様に、スピンコートやスプレーコートで形成することができる。

0110

次に図10(c)に示すように、犠牲層112をパターニングして流路となる型を形成する。

0111

次に図10(d)に示すように、加熱処理により犠牲層112のパターンの基板110に接していない側の角部に丸みを付ける。このとき、溝124が形成されているため、犠牲層112の濡れ広がりが防止できる。

0112

なお、図10(c)で犠牲層112をパターニングした後、全面に撥液膜を形成してから、加熱処理を行うようにしてもよい。撥液膜を形成した場合には、溝124と撥液膜の両方の効果により、より一層犠牲層112の濡れ広がりを確実に防止することができる。撥液膜を形成した場合には、次の被覆樹脂層形成の前に撥液膜を除去しておく。

0113

次に図10(e)に示すように、基板110及び犠牲層112のパターンの上に被覆樹脂層116を形成する。これも、スピンコートあるいはスプレーコートで形成することができる。

0114

次に図10(f)に示すように、被覆樹脂層116をパターニングする。このパターニングも前述した第1実施形態と同様に、露光、現像によりパターニングしてもよいし、被覆樹脂層116上にマスクとなる層を形成してパターニングしてマスクを形成してドライエッチングなどで被覆樹脂層116をパターニングした後マスクを除去するようにしてもよい。

0115

次に図10(g)に示すように、、犠牲層112の樹脂が溶解可能な液に漬けることによって犠牲層112を除去して、流路120が形成される。

0116

次に凸形状(壁)を形成する場合について説明する。凸形状(壁)を形成する場合の例を図11に示す。

0117

凸形状(壁)を形成する場合には、まず図11(a)に示すように、基板110上に凸形状(壁)126を形成する。壁126の形成方法も特に限定されるものではなく、例えば基板110上の凸形状(壁)となる部分以外をドライエッチングやウエットエッチングで削って形成する方法もあるが、これだと加工する面積が大きく基板110が無駄になるので、別材料で凸部を形成する方が好ましい。それには例えばドライフイルムレジストラミネートし、露光現像するようにしてもよい。また加熱処理時の犠牲層112の濡れ広がり防止の観点からは、凸部の角部は直角もしくは鋭角であることが望ましい。

0118

次に図11(b)に示すように、壁126が形成された基板110上に犠牲層112をスピンコートあるいはスプレーコートなどで形成する。

0119

次に図11(c)に示すように、犠牲層112をパターニングして、流路の型を形成する。

0120

次に図11(d)に示すように、加熱処理により犠牲層112のパターンの基板110に接していない側の角部に丸みを付ける。このとき、壁126が形成されているため、犠牲層112の濡れ広がりが防止できる。

0121

なお、図11(c)で犠牲層112をパターニングした後、全面に撥液膜を形成してから、加熱処理を行うようにしてもよい。撥液膜を形成した場合には、壁126と撥液膜の両方の効果により、より一層犠牲層112の濡れ広がりを確実に防止することができる。撥液膜を形成した場合には、次の被覆樹脂層形成の前に撥液膜を除去しておく。

0122

次に図11(e)に示すように、基板110及び犠牲層112のパターンの上にスピンコートあるいはスプレーコートにより被覆樹脂層116を形成する。

0123

次に図11(f)に示すように、被覆樹脂層116をパターニングする。このパターニングも前述した第1実施形態と同様に、露光、現像によりパターニングしてもよいし、被覆樹脂層116上にマスクとなる層を形成してパターニングしてマスクを形成してドライエッチングなどで被覆樹脂層116をパターニングした後マスクを除去するようにしてもよい。

0124

次に図11(g)に示すように、犠牲層112の樹脂が溶解可能な液に漬けることによって犠牲層112を除去して、流路120が形成される。

0125

このように本第3実施形態においては、凹凸形状を形成することによって、あるいはさらに撥液膜の塗布と合わせて加熱処理時の犠牲層の濡れ広がりを防止しているが、上に示した例では、いずれも基板に凹凸形状を形成してから犠牲層を形成しているが、凹凸形状の形成は犠牲層形成後でもよい。ただし、犠牲層形成後に凹凸形状を形成する場合には、そのためのプロセスにより犠牲層にダメージを与える虞れがあるため、犠牲層形成前に凹凸形状を形成する方が望ましい。

0126

凹凸形状の大きさは、幅、深さ(高さ)は、例えば0.5〜5μm程度が好ましい。幅があまり大きいと流路の高密度化が困難となるからである。また、深さ(高さ)があまり大きいと凹凸形状の形成プロセスの時間が長くなり、効率が悪いからである。また、逆に幅や深さ(高さ)が小さすぎると濡れ広がりを抑える効果が無くなるからである。

0127

なお、これらの最適値を求めるには、犠牲層の材料の粘度、表面張力、また基板の種類などを考慮して決める必要がある。

0128

また、凹凸形状の間隔は、犠牲層の幅よりもやや大きくしておくことが好ましい。これは犠牲層のパターニング時に位置ずれしても、必ず凹凸形状の間に犠牲層のパターニングされた形状が入るようにするためである。ただし、その間隔を犠牲層の幅よりも大きくする程度は、装置などの位置合わせ精度にもよるが、小さい方が望ましく、例えば、0.1〜1μm程度が好ましい。

0129

このように本実施形態によれば、凹凸形状の効果により、あるいはさらに撥液膜と合わせた相乗的な効果により、加熱処理時に犠牲層が濡れ広がるのを防止することができ、所望の寸法精度を保ちながら、流路の型となる犠牲層のパターンの角部に丸みを付けることができる。

0130

さらに、凹凸形状を形成したことによる効果として、凹凸形状と被覆樹脂層とが互いに入り込むため、被覆樹脂層の基板への密着性も向上するという効果もある。

0131

このように、本実施形態によれば、気泡除去性に優れた流路基板を製造することが可能となる。

0132

以上、本発明の液体吐出ヘッドの流路基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。

図面の簡単な説明

0133

本発明に係る流路基板を有する液体吐出ヘッドを備えた画像記録装置としてのインクジェット記録装置の第1実施形態の概略を示す全体構成図である。
図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図である。
印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。
印字ヘッドの他の例を示す平面図である。
図3中の5−5線に沿った断面図である。
本実施形態のインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示した概要図である。
本実施形態のインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。
(a)〜(i)は、第1実施形態に係る流路基板の製造方法を示す工程図である。
(a)〜(c)は、第2実施形態に係る流路基板の製造方法を示す工程図である。
(a)〜(g)は、第3実施形態に係る流路基板の製造方法の1例を示す工程図である。
(a)〜(g)は、同じく第3実施形態に係る流路基板の製造方法の他の例を示す工程図である。
(a)、(b)、(c)は、従来の流路基板の製造方法を示す工程図である。

符号の説明

0134

10…インクジェット記録装置、12…印字部、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、20…デカール処理部、22…吸着ベルト搬送部、24…印字検出部、26…排紙部、28…カッター、30…加熱ドラム、31、32…ローラー、33…ベルト、34…吸着チャンバー、35…ファン、36…ベルト清掃部、40…加熱ファン、42…後乾燥部、44…加熱・加圧部、45…加圧ローラー、48…カッター、50…印字ヘッド、50A…ノズル面、51…ノズル、52…圧力室、53…インク供給口、54…圧力室ユニット、55…共通液室、56…振動板(共通電極)、57…個別電極、58…圧電素子、60…インクタンク、62…フィルタ、64…キャップ、66…ブレード、67…吸引ポンプ、68…回収タンク、70…通信インターフェース、72…システムコントローラ、74…画像メモリ、76…モータドライバ、78…ヒータドライバ、80…プリント制御部、82…画像バッファメモリ、84…ヘッドドライバ、86…ホストコンピュータ、88…モータ、89…ヒータ、110…基板、112…犠牲層、114…撥液膜、116…被覆樹脂層、118…マスク、120…流路、122…真空紫外線、124…凹形状(溝)、126…凸形状(壁)

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