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技術 製品品質の制御方法及び制御装置

出願人 住友金属工業株式会社
発明者 北田宏中川義明
出願日 2007年9月4日 (12年10ヶ月経過) 出願番号 2007-228680
公開日 2009年3月26日 (11年3ヶ月経過) 公開番号 2009-064054
状態 特許登録済
技術分野 総合的工場管理 圧延の制御 鋳造用とりべ
主要キーワード 最適目標値 対象個数 外乱変数 管理限界線 主成分分析結果 非線形最適化法 品質制御装置 各条件項目
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年3月26日)のものです。
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図面 (10)

課題

最適な製造条件に基づいて製品品質を制御することが可能な製品品質制御方法、及び、当該制御方法を実施することが可能な製品品質の制御装置を提供する。

解決手段

製品の品質を制御する方法であって、製造条件に応じて特定される製品の計数値に関する品質を、線形回帰式で定義する回帰式定義工程と、線形回帰式の係数を、品質の実績データ及び製造条件の実績データを用いて算出する係数算出工程と、係数算出工程で算出した線形回帰式の係数、及び、製造条件の実績データを用いて、製造条件の目標値を算出する目標値算出工程と、算出された製造条件の目標値に基づいて、製造条件を変更する製造条件変更工程とを備える、製品品質の制御方法とする。

概要

背景

製品表面疵内部欠陥欠点数、及び、製品の不良品数は、離散確率変数で表される計数値である。欠点数はポアソン分布に、不良品個数二項分布に各々従うものとしてモデル化することができる。従来は、ポアソン分布に従う欠点数の管理にはc管理図u管理図等により、また、二項分布に従う不良品個数標はnp管理図p管理図等で管理され、管理限界線を越えた場合や、グラフの時間的傾向から管理限界線を越えそうな場合には、製造条件の異常を調査するという方法がとられていた(JIS Z 9020:1999)。

これらの管理図による製品品質管理によれば、品質が悪くなる傾向にあることは検出できるが、どの製造条件が悪いのか、どの方向に修正すれば改善するのかは不明である。そのため、品質悪化の原因となる製造条件を特定して品質改善を図るべく、製造条件データから製品品質指標予測する方法や、予測結果に基づき製造条件を制御する方法が、これまでに提案されている。

例えば、特許文献1では、製造条件データの過去事例との類似度に基づいて製品品質の結果を予測する結果予測装置、方法、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する技術が開示されている。また、特許文献2には、現実に得られる製造の条件のデータと品質との関係を多変量解析を用いて明らかにする品質影響要因解析方法解析結果を利用した品質予測方法品質制御方法、及び、品質制御装置等に関する技術が開示されている。さらに、品質予測に適用可能な、一般化線形モデルとよばれる方法が、非特許文献1に開示されている。

特開2001−290508号公報
特開2005−242818号公報
P. McCullagh and J. A. Nelder, Generalized Linear Models.:Chapman and Hall,(1989)

概要

最適な製造条件に基づいて製品の品質を制御することが可能な製品品質の制御方法、及び、当該制御方法を実施することが可能な製品品質の制御装置を提供する。製品の品質を制御する方法であって、製造条件に応じて特定される製品の計数値に関する品質を、線形回帰式で定義する回帰式定義工程と、線形回帰式の係数を、品質の実績データ及び製造条件の実績データを用いて算出する係数算出工程と、係数算出工程で算出した線形回帰式の係数、及び、製造条件の実績データを用いて、製造条件の目標値を算出する目標値算出工程と、算出された製造条件の目標値に基づいて、製造条件を変更する製造条件変更工程とを備える、製品品質の制御方法とする。

目的

そこで、本発明は、特定された最適な製造条件に基づいて製品の品質を制御することが可能な製品品質の制御方法、及び、当該制御方法を実施することが可能な製品品質の制御装置を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

製品品質を制御する方法であって、製造条件に応じて特定される前記製品の計数値に関する品質を、線形回帰式で定義する、回帰式定義工程と、前記線形回帰式の係数を、前記品質の実績データ及び前記製造条件の実績データを用いて算出する、係数算出工程と、前記係数算出工程で算出した前記線形回帰式の前記係数、及び、前記製造条件の前記実績データを用いて、前記製造条件の目標値を算出する、目標値算出工程と、算出された前記製造条件の前記目標値に基づいて、前記製造条件を変更する、製造条件変更工程と、を備えることを特徴とする、製品品質制御方法

請求項2

前記製造条件に、変更可能な製造条件と変更不可能な製造条件とが含まれ、さらに、前記変更可能な製造条件から前記品質に対する影響が大きい製造条件を抽出する、製造条件抽出工程が備えられ、前記目標値算出工程において、前記製造条件抽出工程で抽出された前記製造条件を用いて、前記目標値が算出されることを特徴とする、請求項1に記載の製品品質の制御方法。

請求項3

前記製品が鋼材であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製品品質の制御方法。

請求項4

製品の品質を制御するために用いられる制御装置であって、製造条件に応じて特定される前記製品の計数値に関する品質を線形回帰式で定義する、回帰式定義部と、前記線形回帰式の係数を、前記品質の実績データ及び前記製造条件の実績データを用いて算出する、係数算出部と、前記係数算出部で算出された前記線形回帰式の前記係数、及び、前記製造条件の前記実績データを用いて、前記製造条件の目標値を算出する、目標値算出部と、算出された前記製造条件の前記目標値に基づいて、前記製造条件を変更する、製造条件変更部と、を備えることを特徴とする、製品品質の制御装置。

請求項5

前記製造条件に、変更可能な製造条件と変更不可能な製造条件とが含まれ、さらに、前記変更可能な製造条件から前記品質に対する影響が大きい製造条件を抽出する、製造条件抽出部が備えられ、前記目標値算出部において、前記製造条件抽出部で抽出された前記製造条件を用いて、前記目標値が算出されることを特徴とする、請求項4に記載の製品品質の制御装置。

請求項6

前記製品が鋼材であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の製品品質の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、鉄鋼条鋼製品等に代表される製品品質を制御する方法、及び、当該製品品質の制御に用いられる製品品質の制御装置に関する。

背景技術

0002

製品の表面疵内部欠陥欠点数、及び、製品の不良品数は、離散確率変数で表される計数値である。欠点数はポアソン分布に、不良品個数二項分布に各々従うものとしてモデル化することができる。従来は、ポアソン分布に従う欠点数の管理にはc管理図u管理図等により、また、二項分布に従う不良品個数標はnp管理図p管理図等で管理され、管理限界線を越えた場合や、グラフの時間的傾向から管理限界線を越えそうな場合には、製造条件の異常を調査するという方法がとられていた(JIS Z 9020:1999)。

0003

これらの管理図による製品品質管理によれば、品質が悪くなる傾向にあることは検出できるが、どの製造条件が悪いのか、どの方向に修正すれば改善するのかは不明である。そのため、品質悪化の原因となる製造条件を特定して品質改善を図るべく、製造条件データから製品品質指標予測する方法や、予測結果に基づき製造条件を制御する方法が、これまでに提案されている。

0004

例えば、特許文献1では、製造条件データの過去事例との類似度に基づいて製品品質の結果を予測する結果予測装置、方法、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する技術が開示されている。また、特許文献2には、現実に得られる製造の条件のデータと品質との関係を多変量解析を用いて明らかにする品質影響要因解析方法解析結果を利用した品質予測方法品質制御方法、及び、品質制御装置等に関する技術が開示されている。さらに、品質予測に適用可能な、一般化線形モデルとよばれる方法が、非特許文献1に開示されている。

0005

特開2001−290508号公報
特開2005−242818号公報
P. McCullagh and J. A. Nelder, Generalized Linear Models.:Chapman and Hall,(1989)

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、特許文献1に開示されている技術では、現実の製造条件データに基づくことなく、過去事例との類似度に基づいて現在の状況を予測するため、例えば、過去事例の代表性が低い場合には、予測精度が低下する恐れがあり、品質制御の精度が低下する恐れがあるという問題があった。

0007

また、特許文献2に開示されている技術では、個々の製品品質を良又は不良へと分類し、製造条件データの主成分分析結果を用いて、分類に対する判別分析を行う。判別分析では、主成分分析結果を一次元判別空間射影した結果の閾値判定により良・不良を分類する。さらに、特許文献2に開示されている技術では、判別分析における射影結果を製品の品質指標とし、それを製造条件データに回帰することにより、品質指標を改善する製造条件の各成分の変更方法を求めて品質を制御する。それゆえ、特許文献2に開示されている技術における品質指標は、最も正確に品質の良・不良の判別ができるように、製造条件データを判別空間における位置に変換するものであるから、その製造条件における品質不良の確率を推定することはできない。また、特許文献2に開示されている技術では、品質を二つの区分への分類でしか表現しないため、疵個数のようなポアソン分布にしたがう計数値品質指標がどのように変化するかを、製造条件データを用いて推定することができない。特許文献2に開示されている技術では、品質指標と製品の製造条件とを正しく結びつけることができず、どの製造条件を変更すれば品質がどの程度改善するかを推定できないため、品質を制御する上で必要とされる最適な製造条件を特定できないという問題があった。

0008

そこで、本発明は、特定された最適な製造条件に基づいて製品の品質を制御することが可能な製品品質の制御方法、及び、当該制御方法を実施することが可能な製品品質の制御装置を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0009

以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号括弧書きにて付記することがあるが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。

0010

第1の本発明は、製品の品質を制御する方法であって、製造条件に応じて特定される製品の計数値に関する品質を、線形回帰式で定義する回帰式定義工程と、線形回帰式の係数を、品質の実績データ及び製造条件の実績データを用いて算出する係数算出工程と、係数算出工程で算出した線形回帰式の係数、及び、製造条件の実績データを用いて、製造条件の目標値を算出する目標値算出工程と、算出された製造条件の目標値に基づいて、製造条件を変更する製造条件変更工程と、を備えることを特徴とする、製品品質の制御方法により、上記課題を解決する。

0011

第1の本発明及び以下に示す本発明(以下において、単に「本発明」という。)において、「製品の計数値に関する品質」の具体例としては、鋼材の表面疵や内部欠陥等に代表される欠点数や、製品の不良品数等を挙げることができる。さらに、「製造条件」の具体例としては、製造装置設定値、鋼材に代表される製品又は中間製品物理量(温度、形状、組成等)、及び、製品を製造する各工程の時間等を挙げることができる。

0012

上記第1の本発明において、製造条件に、変更可能な製造条件と変更不可能な製造条件とが含まれ、さらに、変更可能な製造条件から品質に対する影響が大きい製造条件を抽出する製造条件抽出工程が備えられ、目標値算出工程において、製造条件抽出工程で抽出された製造条件を用いて、目標値が算出されることが好ましい。

0013

また、上記第1の本発明において、製品が鋼材であることが好ましい。

0014

本発明において、鋼材製品の具体例としては、鉄鋼条鋼製品等を挙げることができる。

0015

第2の本発明は、製品の品質を制御するために用いられる制御装置(10)であって、製造条件に応じて特定される製品の計数値に関する品質を線形回帰式で定義する回帰式定義部(1)と、線形回帰式の係数を、品質の実績データ及び製造条件の実績データを用いて算出する係数算出部(2)と、係数算出部(2)で算出された線形回帰式の係数、及び、製造条件の実績データを用いて、製造条件の目標値を算出する目標値算出部(3)と、算出された製造条件の目標値に基づいて、製造条件を変更する製造条件変更部(4)と、を備えることを特徴とする、製品品質の制御装置(10)により、上記課題を解決する。

0016

上記第2の本発明において、製造条件に、変更可能な製造条件と変更不可能な製造条件とが含まれ、さらに、変更可能な製造条件から品質に対する影響が大きい製造条件を抽出する製造条件抽出部(5)が備えられ、目標値算出部(3)において、製造条件抽出部(5)で抽出された製造条件を用いて、上記目標値が算出されることが好ましい。

0017

また、上記第2の本発明において、製品が鋼材であることが好ましい。

発明の効果

0018

本発明によれば、製品製造工程について、計数値に基づく製品品質データを製品製造条件で説明するモデル構築することが可能となる。また、本発明によれば、過去に蓄積したデータからモデルのパラメータを同定することで、製品製造工程における品質の推定モデルを構築することも可能となる。加えて、本発明によれば、最適な製品品質を得るための製造条件目標値を算出して製造条件を制御することにより、良好な品質の製品を安定して得ることが可能になる。

発明を実施するための最良の形態

0019

以下、本発明の実施の形態について説明する。

0020

1.製品品質の制御方法
工業製品製造過程における製品製造条件は、製造工程における製品又は中間製品に関する物理量(温度、形状、組成等)の測定結果、製造装置に関する物理量(温度、圧力等)の測定結果、これらの物理量の制御目標値運転条件設定値、及び、製造装置間において測定・設定される値等によって構成される群から選択される一又は複数の製造条件によって構成される。個々の製品製造条件の項目をxiで表し、製造条件全体を組み合わせたベクトルをx=[x1 x2 … xK]Tとする。また、欠点数や不良品数等に代表される品質に関する測定データをyで表す。本発明では、品質に関する測定データyを目的変数とし製造条件xを説明変数とする回帰モデルによって、品質モデルを構成する。本発明では、品質モデルを構成するにあたり、目的変数の確率モデルとして二項分布やポアソン分布等の離散確率分布仮定し、製造条件xに対する品質yの期待値単調増加関数で変換し、線形回帰式でモデル化する一般化線形モデルと呼ばれる方法を用いる。本発明における品質モデルの構成では、線形回帰式の係数を最尤法で推定する。

0021

1.1.第1実施形態
図1は、第1実施形態にかかる本発明の製品品質の制御方法(以下、「第1実施形態にかかる制御方法」という。)に備えられる工程を示すフローチャートである。図1に示すように、第1実施形態にかかる制御方法は、データ集計工程(工程S11)と、回帰式定義工程(工程S12)と、係数算出工程(工程S13)と、目標値算出工程(工程S14)と、製造条件変更工程(工程S15)と、を備える。

0022

<工程S11>
工程S11では、個々の製品と製造条件及び品質の実現値とを対応付けた製造条件データ又は品質データが作成されるとともに、製造条件データ又は品質データの集合が作成される。製造条件データは、製品番号をn=1、2、…、Nとしてxnと表す。製造条件データの集合は、1又は複数の製造条件データを要素とする集合であり、ベクトルxnを転置して行方向に並べた行列X=[x1 x2 … xN]Tで表す。着目する計数値で表される製品品質をyとし、製品品質データをynと表す。製品品質データの集合は、1又は複数の製品品質データを要素とする集合であり、ynを転置して行方向に並べたベクトルY=[y1 y2 … yN]Tで表す。

0023

<工程S12>
工程S12は、製造条件に応じた製品の品質を線形回帰式で定義する工程である。回帰計数ベクトルをc=[c0 c1 … cN]Tとするとき、線形回帰式は下記式1により表すことができる。

0024

0025

<工程S13>
工程S13は、線形回帰式の係数を、品質の測定結果、及び/又は、製造条件の実績データに基づいて算出する工程である。制御される製品の品質が、不具合の発生確率の小さい対象である場合、当該品質は、ポアソン分布や二項分布等に代表される離散確率分布によって高精度に近似することができる。制御される製品の品質が、条鋼製品の表面疵や内部欠陥の欠点数である場合、単位当たりの欠点数平均をλとすると、対象量Wにおける欠点数yは平均λWのポアソン分布に従う確率変数であり、その確率は下記式2により表すことができる。

0026

欠点数は、単位当たりの個数で比較されるものなので、単位当たり欠点数平均λを製造条件の線形回帰式で表す品質モデルは下記式3により表すことができ、製造条件に対する対象量Wにおける欠点数の確率分布は下記式4で表すことができる。

0027

0028

0029

最尤法による回帰パラメータcの推定は、対数尤度Lを、製品品質データ集合及び製造条件データ集合を用いて下記式5で定義し、これを最大化する回帰パラメータcを求めることにより行う。

0030

0031

0032

0033

式6で表される対数尤度Lを最大にする回帰パラメータcは、下記式7で表される必要条件を満たす解を、ニュートン法等により求め、その解の中から対数尤度Lを最大にするものを選択する方法や、遂次二次計画法のような非線形最適化法により求めることができる。

0034

0035

これに対し、制御される製品の品質が、不良品数の場合、対象製品個数Mに対する不良個数yは、1回試行した場合に発生する確率がρの事象をM回試行する場合における、発生回数に関する二項分布に従う確率変数であり、その確率分布は、一つの製品が不良品になる確率をρとして、下記式8により表すことができる。

0036

また、式8において、

0037

は、相異なるM個の中からy個を抽出する組合せの数である。

0038

不良品の発生確率は、製造条件の線形回帰式で表した下記式9により表すことができる。また、製造条件に対する対象個数Mに対する不良品数の確率分布は、下記式10により表すことができる。

0039

0040

0041

制御される製品の品質が不良品数の場合、最尤法による回帰パラメータcの推定は、対数尤度Lを、製品品質データ集合及び製造条件データ集合を用いて下記式11で定義し、これを最大化する回帰パラメータcを求めることにより行う。

0042

式11において、M=[M1 M2 … MN]Tである。

0043

上記式4、式9、及び、式10より、対数尤度Lは下記式12で表すことができる。

0044

0045

式12で表される対数尤度Lを最大にする回帰パラメータcは、制御される製品の品質が欠点数である場合と同様の方法により、求めることができる。

0046

<工程S14>
工程S14は、線形回帰式S(x,c)に基づき、製造条件の最適目標値を算出する工程である。上記式3のλ(x,c)、及び、上記式9のρ(x,c)は、線形回帰式S(x,c)を単調増加関数で変換したものに相当する。それゆえ、λ(x,c)及びS(x,c)と、ρ(x,c)及びS(x,c)とは、それぞれ、一対一に対応している。また、λ(x,c)及びρ(x,c)は、これらの値が小さくなるほど製品の品質は改善される。したがって、欠点数及び不良品数の何れの品質に対しても、上記式1で表される線形回帰式の各項cixiが減少する方向にxiが変化すれば、品質は改善する。本実施形態では、最適目標値として製造条件データ集合の要素を用いて算出した製造条件

0047

を最適目標値とする。製造条件データは実際の製品製造時に得られたものであるから、製造条件データに基づいて得られる最適操業目標値は、製造条件データから大きく外れることがなく、実際に適用する場合に信頼性が高い。

0048

最適目標値の計算方法の具体例としては、以下のものを挙げることができる。

0049

・S(xn,c)の値が最小となるxnを求め、下記式13より最適目標値を得る方法。

0050

0051

・上記式13で表される

0052

と製造条件データxnとを用いて表される

0053

の値が小さい順に予め定めた、ν2個のxnの平均値(下記式14で表される

0054

)を求めることにより、最適目標値を得る方法。

0055

0056

・上記式13で表される

0057

と、製造条件データ集合における平均値

0058

とについて、成分毎に比較して、回帰係数各条件項目との積が品質を改善する方向にある方を選択して組み合わせた、下記式15で表される

0059

を求めることにより、最適目標値を得る方法。

0060

上記式15において、

0061

の場合(j=1、2)、

0062

であり、

0063

の場合(j=1、2)、

0064

である。

0065

<工程S15>
工程S15は、上記工程S14で算出された目標値に基づいて、製造条件を変更する工程である。製造条件の変更形態は、変更前よりも目標値に近い製造条件となるように変更後の製造条件が特定される形態であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記工程S14で算出した目標値を、変更後の製造条件とする形態等を挙げることができる。

0066

このように、工程S11〜工程S15を備える第1実施形態にかかる制御方法によれば、実際の製品製造時に得た製造条件データに基づいて算出した目標値を用いて、製造条件を変更することにより、製品の品質を制御する。それゆえ、第1実施形態にかかる制御方法によれば、信頼性の高い目標値に基づいて製品の品質を制御することができるので、良好な品質の製品を安定して得ることが可能な、製品品質の制御方法を提供することができる。

0067

1.2.第2実施形態
図2は、第2実施形態にかかる本発明の製品品質の制御方法(以下、「第2実施形態にかかる制御方法」という。)に備えられる工程を示すフローチャートである。図2に示すように、第2実施形態にかかる制御方法は、データ集計工程(工程S21)と、回帰式定義工程(工程S22)と、係数算出工程(工程S23)と、製造条件抽出工程(工程S24)と、目標値算出工程(工程S25)と、製造条件変更工程(工程S26)と、を備える。

0068

<工程S21>
工程S21では、個々の製品と製造条件及び品質の実現値とを対応付けた製造条件データ又は品質データが作成されるとともに、製造条件データ又は品質データの集合が作成される。工程S21は上記工程S11と同様の工程であるため、説明は省略する。

0069

<工程S22>
工程S22は、製造条件に応じた製品の品質を線形回帰式で定義する工程である。工程S22は上記工程S12と同様の工程であるため、説明は省略する。

0070

<工程S23>
工程S23は、線形回帰式の係数を、品質の測定結果、及び/又は、製造条件の実績データに基づいて算出する工程である。工程S23は上記工程S13と同様の工程であるため、説明は省略する。

0071

<工程S24>
工程S24は、品質モデルにおける説明変数の全てが製造装置で変更可能ではなく、又は、変更可能であっても品質へ与える影響が小さい場合があることを考慮して、変更可能かつ品質へ与える影響が大きい変数(製造条件)を選択し、選択した製造条件を用いて、最適目標値を特定することを目的とする工程である。工程S24では、一般化線形モデルにおけるデビアンスと呼ばれる統計量を基に、品質への影響が大きい変数を選択する。デビアンスdvは、製造条件データ及び品質データを最尤法で求めた最適な回帰係数

0072

を用いた最大尤度を基に、下記式16で定義される。ただし、下記式16では、記号が煩雑になるため欠点数における対象量や不良品数における対象個数は省略している。

0073

式16より、デビアンスが小さいほど、回帰係数

0074

を用いた品質モデルは、データに対して当てはまりが良いと言える。

0075

品質モデルの全ての説明変数におけるデビアンス

0076

と、k番目の説明変数を一つだけ除外した品質モデルのデビアンス

0077

とを用いて、デビアンス増分Δdvkを下記式17で定義する。

0078

式17において、Xkはk番目の説明変数を一つだけ除外した製造条件データ集合を表し、
ckはXkとYから求めた一般化線形モデルの回帰係数である。デビアンス増分Δdvkは、除外した変数を説明変数に含めることで一般化線形モデルの当てはまりが改善される程度を表す指標である。したがって、デビアンス増分Δdvkが全ての説明変数の中で上位にある変数(Δdvk)は、製品の品質の変動に与える影響が大きいとみなすことができる。このようにして選択した製造条件から製造装置の運転により操作可能なものを選んだものを操作可能変数と呼び、製品の製造条件から操作可能変数を除いた変数を外乱変数と呼ぶ。

0079

品質モデルにおける線形回帰式S(x,c)を、操作可能項SC(xC,cC)と外乱項SD(xD,cD)との和として表すと、下記式18のようになる。

0080

ここで、操作可能項SC(xC,cC)は、操作可能変数xCとこれに乗ぜられる係数cC及び定数項からなり、下記式19で表される。また、外乱項SD(xD,cD)は、外乱変数xDとこれに乗ぜられる係数cDからなり、下記式20で表される。

0081

0082

0083

<工程S25>
工程S25は、上記工程S22〜工程S24で得られた情報に基づいて、製造条件の目標値を算出する工程である。工程S25では、操作可能変数の最適目標値(製造条件の目標値)を、以下の手順で算出する。
(1)製品製造条件データ集合におけるSC(xCn,cC)の平均値

0084

とSD(xDn,cD)の平均値

0085

とを各々算出する。
(2)製品製造条件データ集合において、

0086

である製造条件データxnを用いて、SC(xCn,cC)が小さく、製品品質が良好になる製造条件

0087

を算出する。ここで、εは予め定めた正の定数で、例えば、製造条件データ集合全体での|S(x,c)|の平均値

0088

の5%程度に設定することができる。製造条件

0089

算出方法の具体例としては、以下のものを挙げることができる。

0090

・SC(xCn,cC)が最小となるxnを選択し、

0091

を算出する方法。かかる方法で算出される製造条件の目標値

0092

は、下記式21で表すことができる。

0093

0094

・上記式21で表される

0095

と変更可能製造条件データxCnとを用いて表される

0096

の値が小さい順に予め定めたν2個のxCnに関する平均値

0097

を目標値とする方法。かかる方法で算出される製造条件の目標値

0098

は、下記式22で表すことができる。

0099

0100

・上記式21で表される

0101

及び上記式22で表される

0102

と、製造条件データ集合における平均値

0103

とについて、成分毎に比較して、回帰係数と各条件項目との積が品質を改善する方向にある方を取り出して組み合わせた

0104

を製造条件の目標値とする方法。かかる方法で算出される製造条件の目標値

0105

は、下記式23で表すことができる。

0106

上記式23において、

0107

の場合(j=1、2)、

0108

であり、

0109

の場合(j=1、2)、

0110

である。

0111

<工程S26>
工程S26は、上記工程S25で算出された目標値に基づいて、製造条件を変更する工程である。製造条件の変更形態は、変更前よりも目標値に近い製造条件となるように変更後の製造条件が特定される形態であれば特に限定されるものではないが、例えば、上記工程S25で算出した目標値を、変更後の製造条件とする形態等を挙げることができる。

0112

このように、工程S21〜工程S26を備える第2実施形態にかかる制御方法によれば、品質に大きな影響を及ぼす製造条件の目標値を求め、求めた目標値に基づいて製造条件を変更することにより、製品の品質を制御する。それゆえ、第2実施形態にかかる制御方法によれば、製品の品質を確実に向上させることができるので、良好な品質の製品を安定して得ることが可能な、製品品質の制御方法を提供することができる。

0113

2.製品品質の制御装置
2.1.第1実施形態
図3は、第1実施形態にかかる本発明の製品品質の制御装置(以下、「第1実施形態にかかる制御装置」という。)の形態例を示す概念図である。図3に示すように、第1実施形態にかかる制御装置10は、回帰式定義部1と、係数算出部2と、目標値算出部3と、製造条件変更部4と、算出部6と、結果表示部7と、を備えている。

0114

算出部6には、作業者によって入力された製造条件データや品質データに関する情報が送られ、当該情報に基づいて、上記工程S11の作業が行われる。算出部6で算出された数値等に関する情報は、回帰式定義部1及び係数算出部2へと送られる。そして、回帰式定義部1において、上記工程S12の作業が行われることにより、線形回帰式が定義され、係数算出部2において、上記工程S13の作業が行われることにより、線形回帰式の係数が計算される。回帰式定義部1で定義された線形回帰式に関する情報、及び、係数算出部2で特定された線形回帰式の係数に関する情報は、その後、目標値算出部3へと送られる。そして、これらの情報を用いて、目標値算出部3において、上記工程S14の作業が行われることにより、製造条件の目標値が算出され、算出された目標値に関する情報は、製造条件変更部4及び結果表示部7へと送られる。製造条件変更部4では、目標値算出部3から送られてきた目標値に基づいて、上記工程S15の作業が行われ、変更後の製造条件が特定される。変更後の製造条件に関する情報は、結果表示部7へと送られる。結果表示部7は、目標値算出部3及び製造条件変更部4から送られてきた情報を表示し、当該結果表示部7に表示された情報は、作業者によって確認される。

0115

このように、制御装置10によれば、上記第1実施形態にかかる制御方法を実施することができるので、本発明によれば、良好な品質の製品を安定して得ることが可能な、製品品質の制御装置10を提供することができる。なお、制御装置10における回帰式定義部1、係数算出部2、目標値算出部3、及び、製造条件変更部4は、パーソナルコンピュータプロセスコンピュータ中央処理装置(CPU)等に、その機能を担わせることができる。

0116

2.2.第2実施形態
図4は、第2実施形態にかかる本発明の製品品質の制御装置(以下、「第2実施形態にかかる制御装置」という。)の形態例を示す概念図である。図4において、図3と同様の構成を採るものには、図3で使用した符号と同符号を付す。
図4に示すように、第2実施形態にかかる制御装置20は、回帰式定義部1と、係数算出部2と、目標値算出部3と、製造条件変更部4と、製造条件抽出部5と、算出部6と、結果表示部7と、を備えている。

0117

算出部6では、上記工程S21の作業が行われ、回帰式定義部1では上記工程S22の作業が、係数算出部2では上記工程S23の作業が、それぞれ行われる。製造条件抽出部5では、上記工程S24の作業が行われ、当該製造条件抽出部5により、製品の品質に大きな影響を及ぼす製造条件が抽出される。製造条件抽出部5で抽出された製造条件に関する情報、並びに、回帰式定義部1及び係数算出部2で得られた情報は、目標値算出部3へと送られ、当該目標値算出部3において、上記工程S25の作業が行われる。上記工程S25の作業が行われることにより、目標値算出部3で算出された目標値に関する情報は、製造条件変更部4及び結果表示部7へと送られる。製造条件変更部4では、目標値算出部3から送られてきた目標値に基づいて、上記工程S26の作業が行われ、変更後の製造条件が特定される。変更後の製造条件に関する情報は、結果表示部7へと送られる。結果表示部7は、目標値算出部3及び製造条件変更部4から送られてきた情報を表示し、当該結果表示部7に表示された情報は、作業者によって確認される。

0118

このように、制御装置20によれば、上記第2実施形態にかかる制御方法を実施することができるので、本発明によれば、製品の品質を確実に向上させることが可能な、製品品質の制御装置20を提供することができる。なお、制御装置20における回帰式定義部1、係数算出部2、目標値算出部3、製造条件変更部4、及び、製造条件抽出部5は、パーソナルコンピュータやプロセスコンピュータの中央処理装置(CPU)等に、その機能を担わせることができる。

0119

実施例の結果を参照しつつ、本発明についてさらに説明する。

0120

本実施例で取り上げる鉄鋼条鋼製品の製造プロセス例を図5に示す。二次精錬後連続鋳造機鋳造されたブルーム鋳片を加熱炉で加熱・分塊し、その後、分塊圧延工程及び条鋼圧延工程等を経て、棒鋼線材等の鉄鋼条鋼製品が製造される。

0121

本実施例における制御装置では、品質指標として製品表面疵不良品率を選択し、製造条件として、溶鋼成分連続鋳造における製造条件、及び、分塊圧延における加熱炉温度等、合計14項目を選択した。また、算出部では、各製造条件を項目ごとに平均0、分散1となるように規準化し、係数算出部で本実施例における品質モデルの線形回帰式の係数を算出した。本実施例における品質モデルの線形回帰式の係数及びデビアンス増分を、表1に併せて示す。また、図6に、過去の製造実績データを用いた線形回帰式の係数計算における、線形回帰式の値と不良品率の推定値との関係を示す。図6は、最尤法で、表1の回帰式の係数を決定した結果、製造条件の線形回帰値Sと不良品発生率ρとの関係をプロットした図であり、実績データに対する本回帰式の推定精度を表している。

0122

0123

図7に、本実施例で示したデータの操作可能項SCと外乱項SDとの関係を示す。図7に示すように、操作可能項SCを横軸に、外乱項SDを縦軸に各々とり、各製品のロット毎の実績値をプロットすると、操作可能変数の最適条件等による線形回帰式の到達値が理解しやすい。図7に示す複数の破線は、品質指標の等高線であり、線上では同じ値であることを表している。水平方向の実線は、外乱項の平均値である。また、図7のSは、S(x,c)
を意味する。上記式21に基づいて算出した

0124

を、図7の丸で囲んだ点で示し、

0125

の近傍6個から上記式22に基づいて算出した

0126

を、図7菱形で示す。

0127

このようにして決定した最適目標値を参考にして、製造を行った。上記式18より、S(x,c)は操作可能項と外乱項との和として表され、操作可能項を構成する操作可能変数のうち、品質の変動に与える影響が最も大きい操作可能変数(製造条件)は、表1より、xC1で表される製造条件である。そこで、本実施例では、操作可能変数のxC1が、ほぼ目標値どおりとなる製造条件へと変更し、製品を製造した。各操作可能変数の目標値の平均値(規格化後)と、変更後の製造条件における各操作可能変数の平均値(規格化後)との関係を図8に、製造条件変更前後の不良品発生率の結果を図9に、それぞれ示す。図9に示すように、本実施例によれば、10%程度であった不良品発生率を、5%未満へと低減することができた。したがって、本発明によれば、製品の品質を確実に向上させることができる。

図面の簡単な説明

0128

第1実施形態にかかる制御方法に備えられる工程を示すフローチャートである。
第2実施形態にかかる制御方法に備えられる工程を示すフローチャートである。
第1実施形態にかかる制御装置の形態例を示す概念図である。
第2実施形態にかかる制御装置の形態例を示す概念図である。
鉄鋼条鋼製品の製造プロセス例を示す図である。
最尤法で、表1の回帰式の係数を決定した結果、製造条件の線形回帰値Sと不良品発生率ρとの関係をプロットした図である。
操作可能項と外乱項との関係を示す図である。
操作可能変数の平均値を示す図である。
製造条件変更前後の不良品発生率の結果を示す図である。

符号の説明

0129

1…回帰式定義部
2…係数算出部
3…目標値算出部
4…製造条件変更部
5…製造条件抽出部
6…算出部
7…結果表示部
10、20…製品品質の制御装置

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