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技術 ブレーキ制御装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 中岡宏司田中義人
出願日 2007年9月4日 (13年5ヶ月経過) 出願番号 2007-229149
公開日 2009年3月26日 (11年11ヶ月経過) 公開番号 2009-061816
状態 特許登録済
技術分野 ブレーキシステム(制動力調整) ブレーキシステム(制動力調整)
主要キーワード 液圧測定 機械的開閉 流入液量 移行頻度 コントロールクラス フェイルセーフ性 かさ上げ 基準差圧
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年3月26日)のものです。
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図面 (5)

課題

制御対象液圧目標液圧への追従性を向上させる。

解決手段

ブレーキ制御装置は、作動液の供給により複数の車輪の各々に制動力を付与する複数のホイールシリンダと、複数のホイールシリンダの各々に液圧を保持するために各ホイールシリンダの上流に設けられている複数の保持弁と、複数の保持弁の上流圧を共通に制御するために複数の保持弁の上流に設けられている一対の調圧用制御弁と、上流圧の目標圧からの偏差設定範囲から外れている場合に調圧用制御弁を用いて該上流圧を該目標圧へと追従させる調圧モードと、該偏差が該設定範囲に収まっている場合に選択される保持モードと、を切り替えて該上流圧を制御する制御部と、を備える。制御部は、保持モードから調圧モードへの切替先行して調圧用制御弁が差圧により機械的に開弁されるように、保持モードにおいて調圧用制御弁の開弁圧を制御する。

概要

背景

例えば特許文献1には、いわゆるブレーキバイワイヤによるブレーキ制御装置が記載されている。ブレーキバイワイヤでは運転者ブレーキ操作を検出して電子制御により運転者の要求制動力を発生させる。このブレーキ制御装置においては、一対のリニア制御弁により各ホイールシリンダ圧を共通に制御することが可能であり、ホイールシリンダごとにリニア制御弁を設けるのと比べてコスト低減という観点から見て好ましい。

また特許文献2には、ABS制御中にABS保持弁開閉による上流圧の変動が抑制されるように、開弁されている保持弁数に応じてリニア制御弁の制御ゲインを変更して制御するブレーキ制御装置が記載されている。
特開2006−123889号公報
特開2007−137281号公報

概要

制御対象液圧目標液圧への追従性を向上させる。ブレーキ制御装置は、作動液の供給により複数の車輪の各々に制動力を付与する複数のホイールシリンダと、複数のホイールシリンダの各々に液圧を保持するために各ホイールシリンダの上流に設けられている複数の保持弁と、複数の保持弁の上流圧を共通に制御するために複数の保持弁の上流に設けられている一対の調圧用制御弁と、上流圧の目標圧からの偏差設定範囲から外れている場合に調圧用制御弁を用いて該上流圧を該目標圧へと追従させる調圧モードと、該偏差が該設定範囲に収まっている場合に選択される保持モードと、を切り替えて該上流圧を制御する制御部と、を備える。制御部は、保持モードから調圧モードへの切替先行して調圧用制御弁が差圧により機械的に開弁されるように、保持モードにおいて調圧用制御弁の開弁圧を制御する。

目的

そこで、本発明は、制御対象液圧を目標液圧へとスムーズに追従させること可能とするブレーキ制御技術を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

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請求項1

作動液の供給により複数の車輪の各々に制動力を付与する複数のホイールシリンダと、前記複数のホイールシリンダの各々に液圧を保持するために各ホイールシリンダの上流に設けられている複数の保持弁と、前記複数の保持弁の上流圧を共通に制御するために前記複数の保持弁の上流に設けられている一対の調圧用制御弁と、前記上流圧の目標圧からの偏差設定範囲から外れている場合に前記調圧用制御弁を用いて該上流圧を該目標圧へと追従させる調圧モードと、該偏差が該設定範囲に収まっている場合に選択される保持モードと、を切り替えて該上流圧を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記保持モードから前記調圧モードへの切替先行して前記調圧用制御弁が差圧により機械的に開弁されるように、前記保持モードにおいて前記調圧用制御弁の開弁圧を制御することを特徴とするブレーキ制御装置

請求項2

前記制御部は、前記保持弁をいずれも開弁状態として前記上流圧を前記ホイールシリンダに共通に供給する通常ブレーキモードと、前記保持弁のうち少なくとも1つを反復的に開閉する特別ブレーキモードとを含む複数のブレーキモードから1つを選択して制動力を制御するよう設定されており、前記特別ブレーキモードが選択されている場合において、前記設定範囲内に前記目標圧を含むように設定される許容範囲に前記上流圧が含まれないときに前記調圧用制御弁が機械的に開弁されるように前記保持モードにおいて開弁圧を制御することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。

請求項3

前記調圧用制御弁は、前記上流圧を増圧するための増圧制御弁と、前記上流圧を減圧するための減圧制御弁と、を含み、前記制御部は、前記上流圧が前記目標圧を下回るときに前記増圧制御弁が機械的に開弁されかつ前記目標圧よりも所定量高圧に設定される基準圧を前記上流圧が上回るときに前記減圧制御弁が機械的に開弁されるように前記増圧制御弁及び前記減圧制御弁の開弁圧を制御することを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。

請求項4

前記減圧制御弁は供給される電流に応じて開弁圧が変動する電磁制御弁であり、前記増圧制御弁は供給される電流に応じて開弁圧が変動する電磁制御弁であり、前記制御部は、前記減圧制御弁及び前記増圧制御弁への供給電流フィードフォワード制御により制御することにより前記減圧制御弁及び前記増圧制御弁の開弁圧を制御することを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。

請求項5

前記調圧用制御弁は、前記上流圧を増圧するための増圧制御弁を含み、前記制御部は、前記調圧モードにおいて前記上流圧が前記目標圧を下回るときに前記増圧制御弁が機械的に開弁されるように前記増圧制御弁の開弁圧を制御することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。

技術分野

0001

本発明は、車両に設けられた車輪に付与される制動力を制御するブレーキ制御装置に関する。

背景技術

0002

例えば特許文献1には、いわゆるブレーキバイワイヤによるブレーキ制御装置が記載されている。ブレーキバイワイヤでは運転者ブレーキ操作を検出して電子制御により運転者の要求制動力を発生させる。このブレーキ制御装置においては、一対のリニア制御弁により各ホイールシリンダ圧を共通に制御することが可能であり、ホイールシリンダごとにリニア制御弁を設けるのと比べてコスト低減という観点から見て好ましい。

0003

また特許文献2には、ABS制御中にABS保持弁開閉による上流圧の変動が抑制されるように、開弁されている保持弁数に応じてリニア制御弁の制御ゲインを変更して制御するブレーキ制御装置が記載されている。
特開2006−123889号公報
特開2007−137281号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、急制動時ブレーキの効きを高めるためにブレーキアシスト制御が実行される場合においてはABS制御並行して実行されることがある。ブレーキアシスト制御のためにホイールシリンダ圧が比較的高圧に制御されるため、車輪のロックが生じやすくなるからである。ABS制御により保持弁が反復的に開閉され、リニア制御弁の制御対象となる容積が動的に比較的大きく変動する。つまり、制御対象液圧であるホイールシリンダ上流圧の制御特性が動的に変動することになる。この場合、通常のブレーキ制御に比べてホイールシリンダ上流圧を目標液圧へと追従させることは必ずしも容易ではない。

0005

そこで、本発明は、制御対象液圧を目標液圧へとスムーズに追従させること可能とするブレーキ制御技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明のある態様のブレーキ制御装置は、作動液の供給により複数の車輪の各々に制動力を付与する複数のホイールシリンダと、複数のホイールシリンダの各々に液圧を保持するために各ホイールシリンダの上流に設けられている複数の保持弁と、複数の保持弁の上流圧を共通に制御するために複数の保持弁の上流に設けられている一対の調圧用制御弁と、上流圧の目標圧からの偏差設定範囲から外れている場合に調圧用制御弁を用いて該上流圧を該目標圧へと追従させる調圧モードと、該偏差が該設定範囲に収まっている場合に選択される保持モードと、を切り替えて該上流圧を制御する制御部と、を備え、制御部は、保持モードから調圧モードへの切替先行して調圧用制御弁が差圧により機械的に開弁されるように、保持モードにおいて調圧用制御弁の開弁圧を制御する。

0007

この態様によれば、制御部は、調圧モードにおいて、ホイールシリンダ上流圧の目標圧からの偏差が設定範囲から外れている場合に上流圧を目標圧へと追従させるよう一対の調圧用制御弁の少なくとも一方を制御する。偏差が設定範囲に収まっている場合には保持モードを選択する。保持モードにおける調圧用制御弁の開弁圧が、保持モードから調圧モードへの切替に先行して差圧により機械的に開弁されるように制御される。このため、偏差が拡大するときにモード切替に先行して制御弁が差圧により機械的に開弁され、偏差が緩和される。機械的開弁により差圧が設定範囲内に維持されれば調圧モードへ移行する必要もなくなる。このように制御弁を実質的に差圧弁のように機能させることにより、制御特性例えば制御対象容積の変動にも柔軟に対応して制御対象液圧を目標液圧へとスムーズに追従させることができる。また、調圧用制御弁に対する制御負荷の増大を抑制することもできる。

0008

制御部は、保持弁をいずれも開弁状態として上流圧をホイールシリンダに共通に供給する通常ブレーキモードと、保持弁のうち少なくとも1つを反復的に開閉する特別ブレーキモードとを含む複数のブレーキモードから1つを選択して制動力を制御するよう設定されており、特別ブレーキモードが選択されている場合において、設定範囲内に目標圧を含むように設定される許容範囲に上流圧が含まれないときに調圧用制御弁が機械的に開弁されるように保持モードにおいて開弁圧を制御してもよい。

0009

この態様によれば、保持弁が反復的に開閉される特別ブレーキモードにおいて制御弁の機械的開閉を併用する調圧が実現される。保持弁の反復的開閉は制御対象容積に比較的大きな動的変動を引き起こす。調圧用制御弁の差圧弁的使用によりその影響を緩和して、制御対象液圧の目標液圧への追従性を向上させることができる。

0010

調圧用制御弁は、上流圧を増圧するための増圧制御弁と、上流圧を減圧するための減圧制御弁と、を含み、制御部は、上流圧が目標圧を下回るときに増圧制御弁が機械的に開弁されかつ目標圧よりも所定量高圧に設定される基準圧を上流圧が上回るときに減圧制御弁が機械的に開弁されるように増圧制御弁及び減圧制御弁の開弁圧を制御してもよい。

0011

この態様によれば、目標圧とそれよりも高圧の基準圧とにより設定される許容範囲を上流圧が超える場合に増圧制御弁または減圧制御弁が機械的に開弁される。その結果ホイールシリンダ上流圧を許容範囲に向けて自然に追従させることができる。

0012

減圧制御弁は供給される電流に応じて開弁圧が変動する電磁制御弁であり、増圧制御弁は供給される電流に応じて開弁圧が変動する電磁制御弁であり、制御部は、減圧制御弁及び増圧制御弁への供給電流フィードフォワード制御により制御することにより減圧制御弁及び増圧制御弁の開弁圧を制御してもよい。

0013

この態様によれば、減圧制御弁及び増圧制御弁をフィードフォワード制御により実質的に差圧弁として機能させることができる。よって、減圧制御弁及び増圧制御弁への制御負荷を低減することができる。

0014

調圧用制御弁は、上流圧を増圧するための増圧制御弁を含んみ、制御部は、調圧モードにおいて上流圧が目標圧を下回るときに増圧制御弁が機械的に開弁されるように増圧制御弁の開弁圧を制御してもよい。

0015

この態様によれば、調圧モードにおける上流圧の必要以上の減圧を増圧制御弁の機械的開閉により補償することができる。

発明の効果

0016

本発明によれば、制御対象液圧を目標液圧への追従性を向上させることができる。

発明を実施するための最良の形態

0017

以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。

0018

図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置20を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置20は、車両用電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、例えば、走行駆動源として電動モータ内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギ電気エネルギ回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置20による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。本実施形態における車両は、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。

0019

ブレーキ制御装置20は、図1に示されるように、各車輪に対応して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット27と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータ40とを含む。

0020

ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。本実施形態におけるマニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット27は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24の運転者による操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動流体としてのブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット27から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。

0021

ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30、および液圧アクチュエータ40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。

0022

ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッド押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。

0023

マスタシリンダユニット27は、本実施形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。

0024

マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。なお、マスタシリンダ圧とレギュレータ圧とは厳密に同一圧にされる必要はなく、例えばレギュレータ圧のほうが若干高圧となるようにマスタシリンダユニット27を設計することも可能である。

0025

動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギ窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット27に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。

0026

上述のように、ブレーキ制御装置20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。

0027

液圧アクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。

0028

また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。

0029

更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット27のリザーバ34に接続されている。

0030

主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪用のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪用のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。

0031

分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。

0032

また、液圧アクチュエータ40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。

0033

マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、マスタシリンダ32から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに規定の制御電流が通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。

0034

また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により開弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。

0035

ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段バネ特性を有するものが採用されると好ましい。

0036

レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65は、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。

0037

液圧アクチュエータ40には、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。

0038

アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。

0039

増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧制御弁として設けられている。つまり、本実施形態においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。このように増圧リニア制御弁66等を各ホイールシリンダ23に対して共通化すれば、ホイールシリンダ23ごとにリニア制御弁を設けるのと比べて、コストの観点からは好ましい。

0040

なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。従って、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。

0041

ブレーキ制御装置20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40は、本実施形態における制御部としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU(図示せず)などと通信可能であり、ハイブリッドECUからの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御する。

0042

また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。

0043

分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。

0044

さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。なお、ストロークセンサ25以外のブレーキ操作状態検出手段をストロークセンサ25に加えて、あるいは、ストロークセンサ25に代えて設け、ブレーキECU70に接続してもよい。ブレーキ操作状態検出手段としては、例えば、ブレーキペダル24の操作力を検出するペダル踏力センサや、ブレーキペダル24が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチなどがある。

0045

上述のように構成されたブレーキ制御装置20は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。ブレーキ制御装置20は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル24を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてブレーキECU70は要求制動力を演算し、要求制動力から回生による制動力を減じることによりブレーキ制御装置20により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力は、ハイブリッドECUからブレーキ制御装置20に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御則により増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に供給する制御電流の値を決定する。

0046

その結果、ブレーキ制御装置20においては、ブレーキフルードが動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介して各ホイールシリンダ23に供給され、車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。本実施形態においては、動力液圧源30、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67等を含んでホイールシリンダ圧制御系統が構成されている。ホイールシリンダ圧制御系統によりいわゆるブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。ホイールシリンダ圧制御系統は、マスタシリンダユニット27からホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路に並列に設けられている。

0047

具体的には、ブレーキECU70は、目標液圧からの実液圧の偏差に応じて3つのコントロールクラスのいずれかを選択して主流路45における液圧すなわち保持弁上流圧を制御する。ブレーキECU70は増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67を制御することにより保持弁上流圧を制御する。3つのコントロールクラスとしては、増圧モード減圧モード、及び保持モードが設定されている。ブレーキECU70は、偏差が増圧必要閾値を超える場合に増圧モードを選択し、偏差が減圧必要閾値を超える場合に減圧モードを選択し、偏差が増圧必要閾値にも減圧必要閾値にも満たない場合すなわち設定範囲内にある場合には保持モードを選択する。なおここで偏差は例えば目標液圧から実液圧を差し引いて求められる。実液圧として例えば制御圧センサ73の測定値が用いられる。目標液圧は例えば保持弁上流圧すなわち主流路45における液圧の目標値が用いられる。

0048

一実施例においては増圧モードが選択されている場合、ブレーキECU70は偏差に応じたフィードバック電流を増圧リニア制御弁66に供給する。減圧モードが選択されている場合、ブレーキECU70は偏差に応じたフィードバック電流を減圧リニア制御弁67に供給する。保持モードが選択されている場合、一実施例においてはブレーキECU70は増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67に電流を供給しない。要するに増圧モードにおいては増圧リニア制御弁66を介してホイールシリンダ圧が増圧され、減圧モードにおいては減圧リニア制御弁67を介してホイールシリンダ圧が減圧される。保持モードにおいてはホイールシリンダ圧が保持される。以下では増圧モードと減圧モードとを総称して「調圧モード」と呼び、増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とを総称して「調圧用制御弁」と呼ぶ場合がある。

0049

ブレーキバイワイヤ方式の制動力制御を行う場合には、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23へ供給されないようにする。更にブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23ではなくストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。ブレーキ回生協調制御中は、レギュレータカット弁65及びマスタカット弁64の上下流間には、回生制動力の大きさに対応する差圧が作用する。

0050

なお、本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、回生制動力を利用せずに液圧制動力だけで要求制動力をまかなう場合にも、当然ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御することができる。ブレーキ回生協調制御を実行しているか否かにかかわらず、ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御する制御モードを以下では適宜「リニア制御モード」と称する。あるいは、ブレーキバイワイヤによる制御と呼ぶ場合もある。

0051

リニア制御モードにおいて要求制動力を液圧制動力のみにより発生させる場合には、ブレーキECU70はレギュレータ圧あるいはマスタシリンダ圧をホイールシリンダ圧の目標圧として制御する。よって、この場合は必ずしもホイールシリンダ圧制御系統によってホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給しなくてもよい。運転者によるブレーキペダルの操作に応じて加圧されたマスタシリンダ圧あるいはレギュレータ圧をホイールシリンダにそのまま導入すれば自然に要求制動力を発生させることができるからである。

0052

このため、ブレーキ制御装置20は、例えば停車中のように回生制動力を使用しないときに、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給するようにしてもよい。レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードを供給する制御モードを以下ではレギュレータモードと称する。つまりブレーキECU70は、停車中においてリニア制御モードからレギュレータモードに切り替えて制動力を発生させるようにしてもよい。車両の停止とともに制御モードを切り替えるようにすれば比較的簡易な制御で制御モードの切り替えを実行することができるという点で好ましい。あるいは、より実際的には、ブレーキECU70は制動により車速が充分に低下したために回生制動を中止するときにリニア制御モードからレギュレータモードに制御モードを切り替えてもよい。

0053

レギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65及び分離弁60を開弁し、マスタカット弁64を閉弁する。増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67は、制御が停止され閉弁される。シミュレータカット弁68は開弁される。その結果、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23にブレーキフルードが供給されることとなり、レギュレータ圧によって各車輪に制動力が付与される。レギュレータ33には動力液圧源30が高圧側として接続されているので、動力液圧源30における蓄圧活用して制動力を発生させることができるという点で好ましい。

0054

このようにレギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67への制御電流の供給を停止して閉弁し、両リニア制御弁を休止させている。このため、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67の動作頻度を低減させることが可能となり、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67を長期間にわたって使用することができるようになる。すなわち、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67の耐久性を向上することができる。

0055

リニア制御モードでの制御中に、例えばいずれかの箇所からの作動液の漏れ等の異常の発生によりホイールシリンダ圧が目標液圧から乖離してしまう場合がある。ブレーキECU70は、例えば制御圧センサ73の測定値に基づいてホイールシリンダ圧の応答異常の有無を周期的に判定している。ブレーキECU70は、例えばホイールシリンダ圧測定値の目標液圧からの乖離量が基準を超える場合にホイールシリンダ圧の制御応答に異常があると判定する。ホイールシリンダ圧の制御応答に異常があると判定された場合には、ブレーキECU70は、リニア制御モードを中止してマニュアルブレーキモードに制御モードを切り替える。また同様にレギュレータモードにおいてもブレーキECU70は異常が検出された場合にマニュアルブレーキモードに制御モードを切り替える。マニュアルブレーキモードにおいては、運転者のブレーキペダル24への入力が液圧に変換され機械的にホイールシリンダ23に伝達されて車輪に制動力が付与される。マニュアルブレーキモードは、フェイルセーフの観点からリニア制御モードのバックアップ用の制御モードとしての役割を有する。

0056

ブレーキECU70は、液圧源及び液圧源からホイールシリンダ23への供給経路を異ならせることによりマニュアルブレーキモードとして複数のモードのうちの1つを選択することができる。本実施形態では、一例としてハイドロブースタモードへの移行を説明する。ハイドロブースタモードにおいては、ブレーキECU70は、すべての電磁制御弁への制御電流の供給を停止する。よって、常開型のマスタカット弁64及びレギュレータカット弁65は開弁され、常閉型の分離弁60及びシミュレータカット弁68は閉弁される。増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67は、制御が停止され閉弁される。

0057

その結果、ブレーキフルードの供給経路はマスタシリンダ側とレギュレータ側との2系統に分離される。マスタシリンダ圧が前輪用のホイールシリンダ23FR及び23FLへと伝達され、レギュレータ圧が後輪用のホイールシリンダ23RR及び23RLへと伝達される。マスタシリンダ32からの作動流体の送出先は、ストロークシミュレータ69から前輪用のホイールシリンダ23FR及び23FLに切り替えられる。また、液圧ブースタ31は機械的にペダル踏力を増幅する機構であるため、ハイドロブースタモードに移行して各電磁制御弁への制御電流が停止されても継続して機能する。ハイドロブースタモードによれば、制御系の異常により各電磁制御弁への通電がない場合であっても液圧ブースタを利用して制動力を発生させることができるという点でフェイルセーフ性に優れている。

0058

リニア制御モードにおいては、ブレーキ制御装置20は、運転者からの要求制動力を発生させる以外に例えば、各車輪の路面に対する滑りを抑制して車両の挙動を安定化させるための、いわゆるABS(Anti−lock Brake System)制御、VSC(Vehicle Stability Control)制御、及びTRC(Traction Control)制御などを実行することができる。ABS制御は、急ブレーキ時や滑りやすい路面でブレーキをかけたときに起こるタイヤのロックを抑制するための制御である。VSC制御は、車両の旋回時における車輪の横滑りを抑制するための制御である。TRC制御は、車両の発進時や加速時に駆動輪空転を抑制するための制御である。また、緊急ブレーキ時に運転者によるペダル踏力を補完して制動力を高めるブレーキアシスト制御もリニア制御モードにおいて実行される場合がある。

0059

ブレーキECU70が、ABS制御等を実行するために必要な演算等を行う。ブレーキECU70は、車両減速度スリップ率等に基づいて公知の手法により算出された所定のデューティ比でABS保持弁51〜54、ABS減圧弁56〜59を個別的に反復的に開閉する。ABS保持弁51〜54が開状態であるときはABS保持弁51〜54の上流に設けられた共通の制御弁である増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67により調圧されたブレーキフルードが各ホイールシリンダ23に供給される。また、ABS減圧弁56〜59が開状態であるときは各ホイールシリンダ23のブレーキフルードがリザーバ34へと排出される。これにより、各ホイールシリンダ23に対して個別的にブレーキフルードが給排され、車輪の滑りが抑制されるように各車輪に付与される制動力が制御される。

0060

ブレーキECU70は、上述のリニア制御モード、レギュレータモード、及びハイドロブースタモード等の複数のブレーキモードから各センサからの入力に基づいていずれか1つのモードを選択して実行する。また、ブレーキECU70は、リニア制御モードにおいては各センサからの入力に基づいて必要に応じて上述のABS制御等を実行する。

0061

急制動時にブレーキの効きを高めるためのブレーキアシスト制御が実行される場合にはABS制御が並行して実行されることがある。ブレーキアシスト制御のためにホイールシリンダ圧が比較的高圧に制御されるため、車輪のロックが生じやすくなるからである。ABS制御により保持弁が個別的に反復開閉され、リニア制御弁の制御対象となる容積が動的に大きく変動する。その結果、ホイールシリンダ上流圧の制御特性が動的に変動して制御性に影響が生じる。また、例えばTRC制御が実行される場合においても駆動輪のスリップ抑制のために各駆動輪のホイールシリンダ圧を独立に制御することとなるので、制御対象容積が同様に動的に変動する。

0062

このように高圧のホイールシリンダ圧が要求されかつ制御対象容積が増減する場合には、ホイールシリンダ上流圧を目標液圧へと追従させることは通常のブレーキ制御に比べて必ずしも容易ではない。また、減圧リニア制御弁67の出口側はリザーバ34の大気圧に接続されているために減圧リニア制御弁67の開弁時に上流圧が急減圧されるおそれがある。特に制御対象容積が小さい場合例えば4輪すべてのホイールシリンダ圧が保持されている場合には大きく減圧されてしまう。高圧のホイールシリンダ圧を維持するためにはこのような急減圧は好ましくない。

0063

高圧を維持するために増圧リニア制御弁66を例えば全開とすることも考えられるが、運転者によるブレーキ操作量に対してホイールシリンダ上流圧を連動させられなくなってしまう。また、車輪のロックの頻発を招き、結果として目標減速度への追従を困難にする可能性もある。さらに、ブレーキ操作解除時にホイールシリンダに液圧の封じ込めが生じるおそれもある。一方増圧リニア制御弁66を閉弁してレギュレータ圧を導入することも考えられるが、そもそもブレーキアシスト制御中は通常ホイールシリンダ上流圧のほうがレギュレータ圧よりも高圧とされる。よってレギュレータから十分な応答性で液圧を導入できるとは限らない。また例えばTRC制御はブレーキ操作がなされていないときに通常行われるから、レギュレータ圧は大気圧相当でありホイールシリンダに導入することはできない。

0064

そこで、本発明に係る一実施形態においては、制御部は、制御対象液圧(例えば保持弁上流圧)が目標液圧近傍の許容範囲内に追従するように調圧用制御弁を実質的に差圧弁として機能させる。つまり例えば保持モードにおいて調圧用制御弁を差圧弁的に使用する。また制御部は、制御対象液圧が許容範囲を大きく外れた場合に許容範囲内へと復帰するよう調圧用制御弁を積極的に制御する。その結果、例えば減圧モード等の調圧用制御弁の積極制御への保持モードからの移行タイミングに先行して調圧用制御弁が差圧弁的に開閉されて制御対象液圧の変動が緩和される。このように電子制御に併用して制御弁を機械的に開閉させることにより、許容範囲を超える制御対象液圧の変動を効率的に補償することができる。特に、制御特性例えば制御対象容積の動的変動がある場合に調圧用制御弁の差圧弁的使用によりその影響を緩和して、制御対象液圧の目標液圧への追従性を向上させることができる。

0065

このようにすれば基本的に制御対象液圧を許容範囲近傍に維持することができるので、本実施形態は、制御対象液圧が運転者のブレーキ操作量に相当する液圧に比して高圧に制御される場合かつ制御対象容積が動的に変化する場合に好ましいといえる。例えばABS制御とブレーキアシスト制御とが並行して実行される場合において特に好ましい。またTRC制御が実行される場合においても好ましい。

0066

また、本発明に係る一実施形態においては、制御部は、目標液圧からの制御対象液圧の偏差が第1の閾値以内である場合において該偏差が該第1の閾値よりも小さい第2の閾値に達したときに調圧用制御弁が差圧により機械的に開弁されるよう該調圧用制御弁を制御してもよい。このようにすれば、偏差が第2の閾値に達した時点で制御弁の機械的開閉がなされて予備的に偏差を緩和することができる。第1の閾値は、例えば制御部が該偏差に基づいて該制御対象液圧に対するフィードバック制御を開始すべき値として設定されていてもよい。制御弁の機械的開閉による予備的な偏差緩和により偏差が第1の閾値に達する頻度を低減することができるので、制御弁のフィードバック制御の実行頻度が低減される。これにより、制御弁の制御負荷が緩和され、制御性の向上にも寄与することとなる。

0067

また、制御部は、偏差が第1の閾値を超える場合に調圧モードとして例えば減圧モードを選択し、偏差が第1の閾値以内である場合に保持モードを選択してもよい。制御部は、偏差が第2の閾値を超えるときに例えば減圧制御弁が機械的に開弁されるように保持モードにおける減圧制御弁の開弁圧を制御してもよい。制御部は、偏差が第2の閾値に達したときに減圧制御弁が機械的に開弁されるようフィードフォワード制御により減圧制御弁を制御してもよい。保持モードにおける減圧制御弁の機械的開閉により偏差が第1の閾値を実質的に超えないように第1及び第2の閾値が設定されていてもよい。このようにすれば、保持モードから減圧モードへと移行することが実質的になくなるので、ホイールシリンダ圧の急減圧を防ぐことができる。

0068

なお以下では、制御対象容積が動的に変化しないブレーキ制御モードを通常ブレーキモードと称し、制御対象容積が動的に変動するブレーキ制御モードを特別ブレーキモードと称する場合がある。通常ブレーキモードは例えば増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67により4輪のホイールシリンダ圧が共通に制御されるリニア制御モードである。特別ブレーキモードは例えばABS保持弁51〜54が個別的に反復的に開閉されるABS制御である。

0069

図2は、本発明の第1の実施形態に係る制御処理を示すフローチャートである。第1の実施形態においてブレーキECU70は、特別ブレーキモードにおいて減圧モードへ移行することが実質的にないように減圧必要閾値が通常ブレーキモードよりも大きな値に設定される。その代わりとして保持モードにおいて保持弁上流圧が目標液圧を基準差圧ΔPだけ上回った場合に減圧リニア制御弁67が差圧により機械的に開弁されるように減圧リニア制御弁67にフィードフォワード制御により電流を供給して開弁圧を制御する。

0070

加えて、ブレーキECU70は、減圧リニア制御弁67の機械的開閉による減圧への対処として増圧リニア制御弁66に対しても保持モードにおいてフィードフォワード制御により電流を供給して開弁圧を制御する。例えば保持弁上流圧が目標液圧を下回った場合に増圧リニア制御弁66が差圧により機械的に開弁されるように開弁圧を制御する。

0071

ブレーキECU70は、図2に示される処理をリニア制御モードの実行中に例えば数msecの周期で繰り返し実行する。まずブレーキECU70は、偏差Peを演算する(S10)。ブレーキECU70は、保持弁上流圧の目標値Prから制御圧センサ73の測定値Pfを差し引いて偏差Peを演算する。つまり、本実施形態ではPe=Pr−Pfである。

0072

ブレーキECU70は特別ブレーキモードの実行中であるか否かを判定する(S12)。ブレーキECU70は例えばABS制御とブレーキアシスト制御とが並行して実行されているか否かを判定する。あるいはTRC制御が実行されているか否かを判定する。これらの場合においてブレーキECU70は、反復的に開閉されるABS保持弁の数が少なくとも1つある場合に特別ブレーキモードの実行中であるものと判定してもよい。またはブレーキECU70は、反復的に開閉されるABS保持弁の数が2つ以上ある場合に特別ブレーキモードの実行中であるものと判定するようにしてもよい。ブレーキECU70の演算能力が高い場合には保持弁が反復的に開閉されても制御能力余裕があると考えられるので、反復開閉される保持弁数が多い場合(例えば2つ以上の場合)に特別ブレーキモードの実行中であるものと判定してもよい。

0073

特別ブレーキモードの実行中ではないと判定された場合には(S12のNo)、ブレーキECU70は、通常のリニア制御モードを実行する(S26)。通常のリニア制御モードにおいては、ブレーキECU70は、増圧必要閾値及び減圧必要閾値を通常用の値として増圧必要閾値Ta1及び減圧必要閾値Tr1に設定した上で後述のS16乃至S24と同様の処理によりコントロールクラスを選択する。増圧モード及び減圧モードにおける増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67双方への制御電流は通常ブレーキモードと特別ブレーキモードとで共通である。保持モードに関しては、通常ブレーキモードにおいては増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67ともに制御電流は供給されない。なお、増圧必要閾値Ta1及び減圧必要閾値Tr1は、通常のリニア制御モードに要求される液圧制御応答性等を考慮して適宜設定される。

0074

一方、特別ブレーキモードの実行中であると判定された場合には(S12のYes)、ブレーキECU70は、3つのコントロールクラスの切替に用いられる増圧必要閾値Ta2及び減圧必要閾値Tr2を設定する(S14)。なお増圧必要閾値Ta2及び減圧必要閾値Tr2は例えば双方正の値に設定されている。増圧必要閾値Ta2及び減圧必要閾値Tr2は、例えば予め設定されてブレーキECU70に記憶されていてもよい。

0075

通常ブレーキモードにおける増圧必要閾値Ta1と特別ブレーキモードにおける増圧必要閾値Ta2とは例えば同じ値に設定される。増圧必要閾値は、制御対象液圧に要求される応答性が仕様を満たし実液圧が目標液圧へと迅速に増圧されるように適宜実験等により設定される。これに対して、特別ブレーキモードにおける減圧必要閾値Tr2は、通常ブレーキモードにおける減圧必要閾値Tr1よりも大きな値に設定される。特別ブレーキモードにおける減圧必要閾値Tr2は通常ブレーキモードにおける減圧必要閾値Tr1よりも例えば1桁程度大きく設定してもよい。これにより、特別ブレーキモードにおける減圧モードの実行頻度を通常ブレーキモードよりも低減することができる。よって、ブレーキアシスト制御等の高圧を要する制御の実行中に過度の減圧が生じてしまうリスクを低減させることができる。

0076

また、特別ブレーキモードにおける減圧必要閾値Tr2は、例えばブレーキシステムが正常である場合に達すると想定される偏差Peの最大値を超える値に設定されてもよい。このようにすれば、ブレーキシステムが正常である限り減圧モードへの移行はなされずに保持モードで機械的に必要な減圧がなされることになる。一方、異常時に偏差Peが減圧必要閾値Tr2を超えた場合には減圧モードに移行して積極的に減圧させ、正常状態への復帰を図ることができる。減圧必要閾値Tr2は、システム特性等を考慮して実験やシミュレーション等により適宜設定すればよい。

0077

次にブレーキECU70は、偏差Peが増圧必要閾値Ta2を超えているか否かを判定する(S16)。偏差Peが増圧必要閾値Ta2を超えていると判定された場合には(S16のYes)、ブレーキECU70は増圧モードを実行する(S18)。増圧モードにおいては、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66に制御電流を供給し、減圧リニア制御弁67には制御電流を供給しない。よって、減圧リニア制御弁67は閉弁され、増圧リニア制御弁66が開弁されて保持弁上流圧が増圧される。増圧リニア制御弁66への制御電流は、制御弁出入口間の差圧(つまりアキュムレータ圧と保持弁上流圧との差圧)に応じて定まる開弁電流Ia0と偏差Peに応じて定まるフィードバック電流との和である。開弁電流は差圧を変数とする1次関数で通常与えられる。フィードバック電流は、偏差PeとフィードバックゲインGaとの積により例えば与えられる。すなわちブレーキECU70は、増圧モードにおいて増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67にそれぞれ次式の制御電流Ia及びIrを供給する。
Ia=Ia0+Pe*Ga
Ir=0

0078

なお増圧モードにおいては減圧リニア制御弁67の制御電流Irがゼロとされるので、直前制御周期において減圧リニア制御弁67に通電されていたとしても確実に電流が遮断され、減圧リニア制御弁67を閉弁することができる。よって、減圧リニア制御弁67の閉弁が保証された状態で増圧リニア制御弁66による増圧を行うことができる。

0079

偏差Peが増圧必要閾値Ta2以下であると判定された場合には(S16のNo)、ブレーキECU70はさらに偏差−Peが減圧必要閾値Tr2を超えているか否かを判定する(S20)。なおここで偏差Peに負号を付した値を減圧必要閾値Tr2と比較しているのは単に減圧必要閾値Tr2を正の値に設定しているからにすぎない。簡明化のため本明細書において偏差と閾値との大小関係を述べているときは偏差及び閾値それぞれの大きさつまり絶対値の大小関係を述べているものと理解されたい。

0080

偏差−Peが減圧必要閾値Tr2を超えていると判定された場合には(S20のYes)、ブレーキECU70は減圧モードを実行する(S22)。減圧モードにおいては、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66には制御電流を供給せずに減圧リニア制御弁67に制御電流を供給する。よって、増圧リニア制御弁66は閉弁され減圧リニア制御弁67は開弁されて保持弁上流圧が減圧される。減圧リニア制御弁67への制御電流は、制御弁出入口間の差圧(つまり保持弁上流圧)に応じて定まる開弁電流Ir0と偏差Peに応じて定まるフィードバック電流との和である。フィードバック電流は、偏差PeとフィードバックゲインGrとの積により例えば与えられる。すなわちブレーキECU70は、減圧モードにおいて増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67にそれぞれ次式の制御電流Ia及びIrを供給する。
Ia=0
Ir=Ir0+Pe*Gr

0081

一方、偏差−Peが減圧必要閾値Tr2以下であると判定された場合には(S20のNo)、ブレーキECU70は保持モードを実行する(S24)。つまりブレーキECU70は、偏差が増圧必要閾値にも減圧必要閾値にも達していない場合に保持モードを実行する。保持モードにおいてブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67の双方にフィードフォワード制御電流を供給する。本実施形態においてはブレーキECU70は、保持モードにおける増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67双方の制御電流をフィードフォワード制御により制御する。減圧リニア制御弁67への制御電流Irは、基準差圧ΔPを超えて保持弁上流圧Pfが目標液圧Prを上回っているときに減圧リニア制御弁67が機械的に開弁されるように制御される。増圧リニア制御弁66への制御電流Iaは、保持弁上流圧Pfが目標液圧Prを下回っているときに増圧リニア制御弁66が機械的に開弁されるように制御される。

0082

図3は、減圧リニア制御弁67の開弁電流Ir0と差圧との関係の一例を示す図である。図3縦軸は開弁電流Ir0を示し、横軸は差圧すなわち保持弁上流圧Pfを示す。なお開弁電流とはリニア制御弁に与える制御電流を増加させていくときに出入口間の差圧に抗して当該弁が開弁を開始するときの制御電流である。開弁電流Ir0は通常は差圧Pfの1次関数となるので、その1次関数の傾きを−Kr(Krは正の定数)と表記する。そうすると、保持モードにおける減圧リニア制御弁67の制御電流Irは次式で表される。
Ir=Ir0(Pr)−Kr*ΔP

0083

つまり、制御電流Irは、目標液圧Pr相当の開弁電流Ir0から基準差圧ΔP相当の開弁電流を減じたものということである。言い換えれば、制御電流Irは、目標液圧Prと基準差圧ΔPとの和に相当する開弁電流である。ここで、基準差圧ΔPは例えば減圧必要閾値Tr2よりも小さい値に設定される。好ましくは、減圧リニア制御弁67の機械的開閉により偏差Peが減圧必要閾値Tr2を超えることのないように基準差圧ΔP及び減圧必要閾値Tr2が調整されていることが好ましい。そのようにすれば減圧リニア制御弁67による調圧モードすなわち減圧モードに移行する必要性が実質的になくすことができる。

0084

制御電流Irは、開弁電流を表す1次関数と基準差圧ΔPとが与えられれば目標液圧Prに応じて1つの値に決まる。この1次関数は例えば予め取得されてブレーキECU70に記憶されている。基準差圧ΔPも例えば予め設定されてブレーキECU70に記憶されている。基準差圧ΔPは目標液圧Prの値にかかわらず一定値に設定されてもよいし、例えば目標液圧Prの一定割合というように目標液圧Prに連動して変動するように設定されていてもよい。このようにしてブレーキECU70はフィードフォワード制御により制御電流Irを制御することができる。なお、この減圧リニア制御弁67への制御電流Irの設定方法と同様にして増圧リニア制御弁66への制御電流Iaを設定することも可能である。

0085

図4は、増圧リニア制御弁66の開弁電流Ia0と差圧との関係の一例を示す図である。図4の縦軸は開弁電流Ia0を示し、横軸は出入口間の差圧すなわちアキュムレータ圧Paccと保持弁上流圧Pfとの差圧を示す。図3に示す減圧リニア制御弁67と同様に増圧リニア制御弁66の開弁電流も差圧の1次関数となる。

0086

本実施形態においては次式のように、増圧リニア制御弁66の制御電流Iaは、目標液圧Pr相当の開弁電流Ia0に補正量ΔIaを加えた値を用いる。ΔIaは通常正の値とする。
Ia=Ia0(Pacc−Pr)+ΔIa

0087

補正量ΔIaは省略することも可能であるが、開弁電流Iaを表す1次関数に誤差が含まれていることを考慮して、増圧リニア制御弁66がより開きやすくなる方向に補正量ΔIaを加えることが好ましい。補正量ΔIaを適宜与えることにより開弁電流Iaが多少かさ上げされ、制御対象液圧Pfが目標液圧Prを下回らないうちに増圧リニア制御弁66を機械的に開弁させることができるようになる。その結果制御対象液圧Pfを高めに保つことが可能となる。よって、特にブレーキアシスト制御の実行中には補正量ΔIaを適宜与えることが望ましい。なお、この増圧リニア制御弁66への制御電流Iaの設定方法と同様にして減圧リニア制御弁67への制御電流Irを設定することも可能である。

0088

以上のように第1の実施形態によれば、保持モードにおいて保持弁上流圧Pfが目標液圧Prを下回っているときに増圧リニア制御弁66が機械的に開弁されかつ保持弁上流圧Pfが基準差圧ΔPを超えて目標液圧Prを上回っているときに減圧リニア制御弁67が機械的に開弁されるようにフィードフォワード制御電流が各リニア制御弁に供給される。その結果、目標液圧Prを下限として基準差圧ΔPの幅で設定される許容範囲内へ向けて保持弁上流圧Pfを自然に追従させることができる。

0089

また、増圧必要閾値及び減圧必要閾値により定まる設定範囲内に含まれるように許容範囲が設定されているので、保持モードから増圧モードまたは減圧モードへの移行に先行してリニア制御弁が差圧弁的に機械的に開閉されて偏差Peが緩和されることになる。これにより、液圧測定及びコントロールクラス移行により生じ得る制御遅れを補償する効果を得ることができる。また、これらの設定範囲及び許容範囲を適宜設定することにより増圧モードまたは減圧モードへの移行頻度も低減することができる。特に本実施形態においては特別ブレーキモードにおいて減圧モードの実行頻度が実質的になくなるように設定されている。このため制御対象容積の動的変動に起因して減圧過多などの不必要な減圧が生じるのを低減することができる。これは特にブレーキアシスト制御とABS制御とが同時に実行される場合に好ましい。

0090

また、第1の実施形態においては、増圧モードにおいても保持モードにおいても増圧リニア制御弁66に制御電流が供給される。このため、増圧モードと保持モードとの間でのモード切替時の制御電流の目標値に対する追従性が保たれる。特に増圧モードから保持モードへと切り替えられる場合には、制御電流は、開弁電流とフィードバック電流との和から開弁電流へと低減されることとなる。これは、増圧リニア制御弁66の弁子弁座との接触をゆっくりと行うことに相当するため、制御弁の耐用期間の向上という点でも好ましい。

0091

次に第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、特別ブレーキモードにおける減圧モード及び保持モードでの制御電流に関して第1の実施形態と異なる。第1の実施形態は特別ブレーキモードにおいて実質的に減圧モードを利用することなく保持モードにおける減圧制御弁の機械的開閉により許容範囲に追従させる減圧を実現することを意図するものである。これに対して第2の実施形態では、増圧時のオーバーシュートへの対策に着目し、特別ブレーキモードにおいても減圧モードを適宜利用することを意図するものである。以下の第2の実施形態の説明において第1の実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。

0092

第2の実施形態による制御処理は、図2を参照して説明した第1の実施形態による制御処理と基本的に同様である。異なる点は、特別ブレーキモードにおける減圧必要閾値Tr2の設定、減圧モードにおける増圧リニア制御弁66の制御電流、及び保持モードにおける減圧リニア制御弁67の制御電流に関する点である。

0093

減圧必要閾値Tr2に関しては、第1の実施形態と同様に通常ブレーキモードにおける減圧必要閾値Tr1よりは大きな値に設定するものの第1の実施形態ほど大きな値としなくてもよい。本実施形態においては減圧必要閾値Tr2は、目標液圧Prに対するオーバーシュート許容量として設定される。このようにすれば、設定されたオーバーシュート許容量を超えて制御対象液圧Pfが増圧された場合に減圧モードにより目標圧に向けてスムーズに減圧することができる。

0094

また、減圧モードにおいてブレーキECU70は、目標液圧Prに相当する開弁電流を増圧リニア制御弁66に制御電流として供給する。このようにすれば、減圧モードにおいて仮に過度の減圧が生じたとしても液圧Pfが目標液圧Prを下回ったときに増圧リニア制御弁66が機械的に開弁されることになる。これにより目標液圧Prを下回る不必要な減圧を緩和することができる。なお、第1の実施形態と同様に増圧リニア制御弁66への制御電流に補正量ΔIaを付加してもよい。

0095

第2の実施形態においては第1の実施形態よりは高い頻度で減圧モードが利用されることとなる。よって、ブレーキECU70は保持モードにおいては、減圧リニア制御弁67には制御電流を供給しない。増圧リニア制御弁66については第1の実施形態と同様に目標液圧Prに相当する開弁電流を制御電流として供給する。

0096

このように第2の実施形態によっても、リニア制御弁の差圧弁的利用により目標液圧への追従性を向上させることができる。特にオーバーシュートへの対策を重視する場合には第2の実施形態は好適である。

0097

また第2の実施形態においては3つのコントロールクラスのいずれにおいても増圧リニア制御弁66に制御電流が供給されることになる。よって、コントロールクラス切替時の制御電流の制御遅れを小さくすることができる。増圧リニア制御弁66の弁子と弁座との接触がゆっくりと行われることになるので、制御弁の耐用期間の向上という点でも好ましい。

0098

ところで上述の各実施形態において、増圧モードにおけるフィードバックゲインGaは、当該制御周期における制御対象容積すなわちABS保持弁の開弁数に応じて異なる値に設定されてもよい。具体的には、ブレーキECU70は、ABS保持弁51〜54の開閉状態に応じて制御対象容積が増大するときには増圧リニア制御弁66の制御ゲインを増大させる一方、制御対象容積が減少するときには制御ゲインを減少させるように制御ゲインを切り替える。このように制御対象容積に連動させて制御ゲインを変更することにより制御性の向上を図ることができる。

0099

本実施形態においては以下の開閉状態のそれぞれについて異なる制御ゲインの値が設定されていてもよい。開閉状態としては、全ABS保持弁51〜54が閉じている場合、ABS保持弁51〜54の開弁数が1である場合、ABS保持弁51〜54の開弁数が2である場合、ABS保持弁51〜54の開弁数が3である場合、すべてのABS保持弁51〜54が開いている場合がある。

0100

より詳細には、ABS保持弁51〜54の開弁数が1である場合は、前輪側のABS保持弁51、52のいずれか一方のみが開いている場合と、後輪側のABS保持弁53、54のいずれか一方のみが開いている場合との2つの場合に分けられる。ABS保持弁51〜54の開弁数が2である場合は、前輪側のABS保持弁51、52の双方が開いている場合と、後輪側のABS保持弁53、54の双方が開いている場合と、前輪側のABS保持弁51、52の一方と後輪側のABS保持弁53、54の一方とが開いている場合との3つの場合に分けられる。ABS保持弁51〜54の開弁数が3である場合は、前輪側のABS保持弁51、52の双方と後輪側のABS保持弁53、54の一方とが開いている場合と、前輪側のABS保持弁51、52の一方と後輪側のABS保持弁53、54の双方とが開いている場合との2つの場合に分けられる。

0101

このように前輪側のABS保持弁51、52の開弁と後輪側のABS保持弁53、54の開弁とを区別しているのは、前輪側のホイールシリンダ23FR、23FLの容積と後輪側のホイールシリンダ23RR、23RLの容積とが通常異なるためである。その結果、例えば、前輪側のABS保持弁51、52が開状態とされている場合と後輪側のABS保持弁53、54が開状態とされている場合とでは、開弁数はともに2つと同じであるが、制御対象容積は異なるのである。

0102

結局、本実施形態においては、上述の合計9つの開閉状態のそれぞれについて異なる制御ゲインの値が予め設定されて、ブレーキECU70に記憶されている。なお、典型的な一例として、左右の後輪側ホイールシリンダ23RR、23RLの合計容積が前輪側ホイールシリンダ1つ分に相当する場合には制御対象容積に比例させて合計6種類の制御ゲインを設定すればよい。このようにすればブレーキECU70に記憶すべき定数の数を少なくすることができる。制御ゲインは、それぞれの開閉状態における制御対象容積とホイールシリンダ圧との関係を考慮して定めることができる。制御ゲインの値が制御対象容積に比例するように定めてもよい。この場合、制御ゲインは、制御性等の観点から適宜調整されて定められてもよい。

0103

ここで、全ABS保持弁51〜54が閉じている場合に対して2種類の制御ゲインを設定してもよい。全ABS保持弁51〜54が閉じている場合の制御対象容積は主流路45等の流路に限られるためかなり小さい。よって、偏差Peが所定範囲内にある場合には制御ゲインをゼロとして液圧をそのまま保持し、偏差Peが所定範囲外にある場合に制御ゲインを所定値とするようにしてもよい。この場合、全ABS保持弁51〜54が閉弁状態にあることが検出された場合に直ちに制御ゲインをゼロとしてもよい。このようにすれば液圧測定に伴う制御遅れによるオーバーシュートを抑制することができる。制御ゲインをゼロとした後に、全ABS保持弁51〜54が継続して閉弁状態でありかつ偏差Peが所定範囲外にあることが検出された場合に制御ゲインを所定値とするようにしてもよい。このようにすれば、偏差が大きい場合に目標値に制御対象液圧を追従させる余地を残すことができる。ただし、偏差Peが所定範囲外にある場合の制御ゲインの大きさは制御対象容積に比例させ、ABS保持弁51〜54の開弁数が1である場合よりも相当低くすることが好ましい。

0104

また、減圧モードにおけるフィードバックゲインGrは、通常ブレーキモードにおける値よりも特別ブレーキモードにおける値を小さく設定することが好ましい。そうすれば、特別ブレーキモードにおいて減圧モードに移行した場合であっても減圧を比較的緩やかなものとすることができる。

0105

また、ホイールシリンダ圧が小さいほど制御ゲインが大きくなるように設定されていてもよい。これは、ホイールシリンダ圧が比較的低い場合のほうが比較的高い場合よりもホイールシリンダ23への流入液量に対する液圧の増加割合が小さいからである。制御ゲインはホイールシリンダ圧に応じて連続的に変化するように設定されてもよいし、所定の液圧範囲に対して1つの制御ゲインが割り当てられるというように離散的に制御ゲインが設定されていてもよい。

図面の簡単な説明

0106

本発明の一実施形態に係るブレーキ制御装置を示す系統図である。
本発明の各実施形態に係る制御処理を示すフローチャートである。
本実施形態に係る減圧リニア制御弁の開弁電流と差圧との関係の一例を示す図である。
本実施形態に係る増圧リニア制御弁の開弁電流と差圧との関係の一例を示す図である。

符号の説明

0107

20ブレーキ制御装置、 23ホイールシリンダ、 27マスタシリンダユニット、 31液圧ブースタ、 32マスタシリンダ、 33レギュレータ、 34リザーバ、 60分離弁、 64マスタカット弁、 65レギュレータカット弁、 66増圧リニア制御弁、 67減圧リニア制御弁、 70ブレーキECU、 71レギュレータ圧センサ、 72アキュムレータ圧センサ、 73制御圧センサ。

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