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技術 パケット転送システム、無線基地局、およびパケット転送経路最適化方法

出願人 株式会社NTTドコモ
発明者 柳生健吾竹田真二青木秀憲
出願日 2008年10月23日 (12年2ヶ月経過) 出願番号 2008-273495
公開日 2009年3月19日 (11年9ヶ月経過) 公開番号 2009-060663
状態 拒絶査定
技術分野 移動無線通信システム
主要キーワード Mモード 隣接ブリッジ 非ループ ツリーテーブル ブリッジ間 所属関係 無線通信設備 近接ノード
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年3月19日)のものです。
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図面 (20)

課題

無線端末経路制御の機能を搭載することなく、自律的に経路の最適性を保ちつつ、ネットワークの一部への負荷の集中を回避できる耐故障性の高いパケット転送を実現する。

解決手段

複数の無線基地局と、1以上の無線端末で構成されるパケット転送システムにおいて、複数の無線基地局のうち、2以上の無線基地局をルート局とする転送ツリーを使用し、無線基地局の各々が、各ルート局と、当該ルート局に対応する転送ツリーの識別情報とを関連付けたツリーテーブルを備える。無線基地局は、パケットを受信したときに、当該パケットの転送に使用される転送ツリーを判別し、判別した転送ツリー上で次の中継局となる無線基地局に前記パケットを転送する。

概要

背景

複数の端末無線チャネルで接続し、端末自身パケット転送する機能を持たせて端末間を相互に接続するネットワークを、無線アドホックネットワーク無線マルチホップネットワーク、または無線メッシュネットワークと呼ぶ。このようなネットワークでは、特定の制御局を必要とせず、端末自身が自律分散的にローカルなネットワークを構成する。無線アドホックネットワークにおいては、直接通信できない端末同士でも、これらの間に位置する第3の端末にパケットを中継させることで、各無線通信端末送信レベルを抑えたまま、通信範囲を広げることができる。無線アドホックネットワークのインターネット標準として、パケット転送時の経路を制御するいくつかのプロトコルが策定されている。(たとえば、非特許文献1参照。)
非特許文献1に開示される通信方式では、ネットワークに参加するすべての端末がパケット転送機能を有する必要がある。逆に言えば、機能の劣る端末はネットワークに参加できず、機能を追加することによる設備コストの増大が問題となる。

また、位置管理エージェント端末を設置し、通信端末の位置を管理させ、通信端末が移動した場合には、通信端末の移動先の位置管理エージェント端末と移動元の位置管理エージェント端末が途中の通信経路カプセル化して、ネットワーク的に透過させる方法が提案されている(たとえば、非特許文献2参照)。この方法では、通信端末と通信したいノードは位置管理エージェントを通して通信端末と通信することで、通信端末はパケット転送機能を有することなくネットワークに参加することが可能となる。

さらに、位置管理エージェントの配置を階層化させ、通信端末の近距離移動時には下層の位置管理エージェントとだけ通信することで、位置管理エージェントが遠距離にある場合のオーバーヘッドを低減することが提案されている。(たとえば、非特許文献3参照。)
一方、有線のネットワークでは、ブリッジを用いてパケットを転送する。特定の一つのブリッジあるいは基地局をルート(Root)局として設定し、スパニングツリー・プロトコルを利用して転送ツリーを作成することで、ループを回避しつつ耐故障性を実現するパケット転送方式が知られている。(たとえば、非特許文献4参照)。

この方法は、図1に示すように、ルート局となるブリッジ1から非ループの転送ツリーを作成し、複数のインターフェイスとパケットの転送先対応付けて、学習テーブル登録する。

上記の有線ブリッジによるパケット転送を、無線パケット網のパケット転送に適用しようとすると、転送先ごとに無線インターフェイスを持つ必要がある。しかし、複数のインターフェイスを持たせると、それぞれにアンテナ変復調回路が必要となり、コスト面で不利である。

そこで、通信相手アドレス仮想的なインターフェイスとみなすことで、仮想的に複数の無線インターフェイスを持たせ、実質的に一つの無線インターフェイスで、有線ネットワーク拡張ツリー転送方法を無線パケット網のパケット転送に適用する手法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この方法では、各無線基地局が、相手先アドレスと転送先を対応付けたアドレステーブルを有し、パケットを受け取った無線基地局はアドレステーブルを参照して、相手先アドレスに対応する転送先へパケットを転送する。

また、転送経路の無駄を解消するために、無線の特徴、すなわち、自身が通信相手でない場合でも通信範囲にいればパケットが届くという特徴を利用し、ツリー状の転送経路を自局に近づく方向に転送されるパケットをモニタして、このパケットの送信元アドレスが示す無線端末と、送信局アドレスが示す無線基地局とを対応付けたテーブルを作成し、途中経路短絡する方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。

さらに、転送ツリー作成時に無線基地局からの受信レベルがしきい値以上かどうかを判断し、受信レベルの低い場合はチャネルを張らないことで通信品質の向上を図る方法も提案されている(たとえば、特許文献3参照)。

ところで、無線アドホックネットワークでは、パケットの転送時や、転送ツリーを用いる場合はツリー作成時に、短時間に最適な経路を検索する必要がある。無線を使用した通信路は、有線による通信路と比較してネットワークの状況が変化しやすく、無線状況の変化を考慮して最適な経路を選択するために、隣接する無線端末(無線基地局)間でのビットエラー率伝送速度を重み付け値として設定する方法が知られている(たとえば、特許文献4参照)。この方法では、経路検索の際に、無線端末間リンクに設定された重み付け値を順次加算してゆくことによって、最適な経路を決定する。
S. Corson, J. Macker, "Mobile Ad hoc Networking (MANET): Routing Protocol Performance Issues and Evaluation Considerations",インターネット標準RFC2501,January 1999
C. Perkins, "IP Mobility Support",インターネット標準RFC2002, October 1996.
K. Malki, H. Soliman, "Hierarchical Mobile IPv4/v6 and Fast Handoffs" INTERNET-DRAFT, MARCH 2000.
ISO/IEC10038,ANSI/IEEE Std802.ID, "Information technology−Telecommunications and information exchange between systems−Local area networks−Media access control (MAC) bridges", 1993
特開2000−69046号公報
特開2000−78147号公報
特開2003−188811号公報
特開2003−152786号公報

概要

無線端末に経路制御の機能を搭載することなく、自律的に経路の最適性を保ちつつ、ネットワークの一部への負荷の集中を回避できる耐故障性の高いパケット転送を実現する。複数の無線基地局と、1以上の無線端末で構成されるパケット転送システムにおいて、複数の無線基地局のうち、2以上の無線基地局をルート局とする転送ツリーを使用し、無線基地局の各々が、各ルート局と、当該ルート局に対応する転送ツリーの識別情報とを関連付けたツリーテーブルを備える。無線基地局は、パケットを受信したときに、当該パケットの転送に使用される転送ツリーを判別し、判別した転送ツリー上で次の中継局となる無線基地局に前記パケットを転送する。

目的

そこで、本発明は、自律分散的な無線ネットワークにおいて、無線端末の機能の高低を問わず、無線基地局が自律的に経路制御して最適な経路でのパケット転送を行うことで負荷を分散し、耐故障性を向上させ、ネットワーク全体の効率の向上を図ることを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

複数の無線基地局と1以上の無線端末で構成されるパケット転送システムであって、前記複数の無線基地局のうち、2以上の無線基地局をルート局とする転送ツリーを使用し、前記無線基地局の各々が、各ルート局と、当該ルート局に対応する転送ツリーの識別情報とを関連付けたツリーテーブルを備え、パケットを受信したときに、当該パケットの転送に使用される転送ツリーを判別し、判別した転送ツリー上で次の中継局となる無線基地局に前記パケットを転送することを特徴とするパケット転送システム。

請求項2

前記無線基地局の各々は、前記1以上の無線端末と、その無線端末が所属する無線基地局とを関連づけたロケーションテーブルをさらに備え、前記パケットを受信したときに、前記ロケーションテーブルを参照して、受信したパケットに含まれる送信元アドレスまたは宛て先アドレスから、送信元または宛て先の無線端末が所属する無線基地局を特定し、当該特定した無線基地局をルート局とする転送ツリーを導出して、前記パケットを転送することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送システム。

請求項3

前記無線基地局の各々は、当該無線基地局に新たな無線端末が所属したときに、無線端末の所属を通知するパケットを前記転送ツリーに沿ってブロードキャスト送信し、前記通知パケットを受信した他の無線基地局は、前記ロケーションテーブルを更新することを特徴とする請求項2に記載のパケット転送システム。

請求項4

前記パケットは、当該パケットの転送に使用される転送ツリーのID情報または使用される転送ツリーのルート局となる無線基地局のアドレス情報を含み、前記無線基地局の各々は、前記パケットを受信したときに、当該パケットに含まれる前記転送ツリーのID情報またはルート局となる無線基地局のアドレス情報からパケット転送に使用される転送ツリーを判別することを特徴とする請求項1に記載のパケット転送システム。

請求項5

前記転送ツリーは、無線チャネルの状況を反映したリンクコストに基づいて作成されることを特徴とする請求項1に記載のパケット転送システム。

請求項6

無線パケット網を利用したパケット通信システムを構成する無線基地局であって、前記パケット通信システムで用いられる2以上の転送ツリーに関する情報を、当該転送ツリーのルート局となる無線基地局と関連付けて格納するツリーテーブルと、任意のパケットを受信するパケット受信部と、前記受信したパケットに基づき、当該パケットの転送に使用される転送ツリーを判別するツリー判別部と、前記ツリーテーブルを参照して、前記判別した転送ツリー上の次の中継先に前記パケットを転送するパケット送信部とを備えることを特徴とする無線基地局。

請求項7

前記パケット通信システムに含まれる複数の無線基地局と、各無線基地局に所属する無線端末とを対応づけたロケーションテーブルをさらに備え、前記ツリー判別部は、前記受信したパケットに含まれる送信元または宛て先のアドレスが示す無線端末を識別し、前記ロケーションテーブルを参照して、前記送信元または宛て先アドレスで示される無線端末が所属する無線基地局を決定し、前記ツリーテーブルを参照して、決定された無線基地局をルート局とする転送ツリーを判別することを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。

請求項8

前記パケット送信部は、新たな無線端末が自局に所属した場合に、当該無線端末の所属を通知するパケットを、自局をルート局とする転送ツリーに沿ってブロードキャストで送信することを特徴とする請求項7に記載の無線基地局。

請求項9

前記ツリー判別部は、前記受信したパケットに含まれる転送ツリーのID情報またはルート局情報を識別することによって、前記パケットの転送に使用される転送ツリーを判別することを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。

請求項10

前記パケット送信部は、自局に所属する無線端末からパケットを受信した場合に、自局をルートとする転送ツリーのID情報を前記パケットに書き込み、自局をルートとする転送ツリーに従って、前記パケットを送信することを特徴とする請求項9に記載の無線基地局。

請求項11

無線チャネルの状況を反映するリンクコストを記載したコスト一覧をさらに備え、前記パケット送信部は、自局をルート局とする転送ツリーを作成する際に、第1のツリー作成パケットを送信するとともに、前記パケット受信部で他の無線基地局から送られてくる第2のツリー作成パケットを受信した場合に、前記コスト一覧に基づき、前記第2のツリー作成パケットに当該無線基地局でのリンクコストを書き込んで送信することを特徴とする請求項6に記載の無線基地局。

請求項12

複数の無線基地局と1以上の無線端末で構成されるパケット通信網において、前記複数の無線基地局のうち、2以上の無線基地局をルート局とする転送ツリーを作成し、前記無線基地局の各々に、各ルート局と、当該ルート局に対応する転送ツリーの識別情報とを与え、前記無線基地局のうちの任意の無線基地局でパケットを受信したときに、当該無線基地局で前記パケットの転送に使用される転送ツリーを判別し、判別した転送ツリー上で次の中継局となる無線基地局に前記パケットを転送する工程を含むことを特徴とするパケット転送方法

請求項13

無線ネットワークを構成する無線基地局であって、無線パケットを受信する送受信部と、前記受信したパケットのパケット長を判断するパケット長判断部と、パケット長に関する複数の異なる基準に対応して、宛先アドレスとパケットの転送経路とをそれぞれ関連づけて格納する複数のルーティングテーブルと、を備え、前記送受信部は、前記パケット長判断部の判断結果に応じて、前記複数のルーティングテーブルのいずれかを参照して、前記受信したパケットを次の転送先へ転送することを特徴とする無線基地局。

請求項14

前記複数のルーティングテーブルは、所定の基準以下のパケット長を有するショートパケットに関して宛先アドレスとパケットの転送経路とを関連付けて格納するショートパケットルーティングテーブルと、所定の基準を超えるパケット長を有するロングパケットについて宛先アドレスとパケットの転送経路とを関連付けて格納するロングパケットルーティングテーブルとを含み、前記送受信部は、前記パケット長判断部の判断結果に応じて、前記ショートパケットルーティングテーブルと、ロングパケットルーティングパケットのいずれかを参照して、前記受信したパケットを次の転送先へ転送することを特徴とする請求項13に記載の無線基地局。

請求項15

前記複数の異なる基準に基づくパケット長の各々について、リンク伝送速度に応じてリンクコストを計算するコスト計算部をさらに供えることを特徴とする請求項13に記載の無線基地局。

請求項16

前記コスト計算部は、コスト計算要求パケットを受け取ったときに、ひとつ前のノード自ノードの間のリンクコストを、前記複数の異なる基準に基づくパケット長の各々に関して計算して、計算結果を前記コスト計算要求パケットに書き込み、前記送受信部は、複数の異なる基準に基づくパケット長の各々についてのリンクコストが書き込まれたコスト計算要求パケットを、近接ノードに送信することを特徴とする請求項15に記載の無線基地局。

請求項17

複数の無線基地局で構成される無線ネットワークでパケット転送経路を最適化する方法であって、パケット長に関する複数の異なる基準に対応して、宛先アドレスと転送経路とをそれぞれ対応づけて記載する複数のルーティングテーブルを前記各無線基地局に設定し、前記複数の無線基地局のうちの任意の無線基地局で、自局宛以外のパケットを受信したときに、当該パケットのパケット長を判断し、前記判断結果に応じて、前記複数のルーティングテーブルのいずれかを参照して次の転送先を特定し、前記次の転送先へ前記パケットを転送することを特徴とするパケット転送経路最適化方法

請求項18

前記任意の無線基地局で特定の無線基地局までのコスト計算要求パケットを受信したときに、自局とひとつ前の無線基地局との間のリンクコストを、前記複数の基準に基づくパケット長の各々についてリンクの伝送速度に応じて計算し、前記計算結果を前記コスト計算要求パケットに書き込んで、近接する無線基地局に送信し、前記複数の基準に基づくパケット長の各々に関して、前記特定の無線基地局までのリンクコストが最も低い経路を選択し、前記選択された経路に基づいて、前記各無線基地局の複数のルーティングテーブルの各々を更新することを特徴とする請求項17に記載のパケット転送経路最適化方法。

技術分野

0001

本発明は、複数のネットワークセグメント間の無線パケット通信を実現するパケット転送技術に関し、特に、各無線基地局無線端末を管理するテーブルを有し、無線基地局間自律的にテーブルを交換して経路を制御することにより、特定の管理ノードや無線端末の追加機能を必要とせず、かつ、局所的な負荷の集中を防止することができるパケット転送システムおよび無線基地局と、パケット転送の際の経路最適化に関する。

背景技術

0002

複数の端末無線チャネルで接続し、端末自身パケット転送する機能を持たせて端末間を相互に接続するネットワークを、無線アドホックネットワーク無線マルチホップネットワーク、または無線メッシュネットワークと呼ぶ。このようなネットワークでは、特定の制御局を必要とせず、端末自身が自律分散的にローカルなネットワークを構成する。無線アドホックネットワークにおいては、直接通信できない端末同士でも、これらの間に位置する第3の端末にパケットを中継させることで、各無線通信端末送信レベルを抑えたまま、通信範囲を広げることができる。無線アドホックネットワークのインターネット標準として、パケット転送時の経路を制御するいくつかのプロトコルが策定されている。(たとえば、非特許文献1参照。)
非特許文献1に開示される通信方式では、ネットワークに参加するすべての端末がパケット転送機能を有する必要がある。逆に言えば、機能の劣る端末はネットワークに参加できず、機能を追加することによる設備コストの増大が問題となる。

0003

また、位置管理エージェント端末を設置し、通信端末の位置を管理させ、通信端末が移動した場合には、通信端末の移動先の位置管理エージェント端末と移動元の位置管理エージェント端末が途中の通信経路カプセル化して、ネットワーク的に透過させる方法が提案されている(たとえば、非特許文献2参照)。この方法では、通信端末と通信したいノードは位置管理エージェントを通して通信端末と通信することで、通信端末はパケット転送機能を有することなくネットワークに参加することが可能となる。

0004

さらに、位置管理エージェントの配置を階層化させ、通信端末の近距離移動時には下層の位置管理エージェントとだけ通信することで、位置管理エージェントが遠距離にある場合のオーバーヘッドを低減することが提案されている。(たとえば、非特許文献3参照。)
一方、有線のネットワークでは、ブリッジを用いてパケットを転送する。特定の一つのブリッジあるいは基地局をルート(Root)局として設定し、スパニングツリー・プロトコルを利用して転送ツリーを作成することで、ループを回避しつつ耐故障性を実現するパケット転送方式が知られている。(たとえば、非特許文献4参照)。

0005

この方法は、図1に示すように、ルート局となるブリッジ1から非ループの転送ツリーを作成し、複数のインターフェイスとパケットの転送先対応付けて、学習テーブル登録する。

0006

上記の有線ブリッジによるパケット転送を、無線パケット網のパケット転送に適用しようとすると、転送先ごとに無線インターフェイスを持つ必要がある。しかし、複数のインターフェイスを持たせると、それぞれにアンテナ変復調回路が必要となり、コスト面で不利である。

0007

そこで、通信相手アドレス仮想的なインターフェイスとみなすことで、仮想的に複数の無線インターフェイスを持たせ、実質的に一つの無線インターフェイスで、有線ネットワーク拡張ツリー転送方法を無線パケット網のパケット転送に適用する手法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この方法では、各無線基地局が、相手先アドレスと転送先を対応付けたアドレステーブルを有し、パケットを受け取った無線基地局はアドレステーブルを参照して、相手先アドレスに対応する転送先へパケットを転送する。

0008

また、転送経路の無駄を解消するために、無線の特徴、すなわち、自身が通信相手でない場合でも通信範囲にいればパケットが届くという特徴を利用し、ツリー状の転送経路を自局に近づく方向に転送されるパケットをモニタして、このパケットの送信元アドレスが示す無線端末と、送信局アドレスが示す無線基地局とを対応付けたテーブルを作成し、途中経路短絡する方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。

0009

さらに、転送ツリー作成時に無線基地局からの受信レベルがしきい値以上かどうかを判断し、受信レベルの低い場合はチャネルを張らないことで通信品質の向上を図る方法も提案されている(たとえば、特許文献3参照)。

0010

ところで、無線アドホックネットワークでは、パケットの転送時や、転送ツリーを用いる場合はツリー作成時に、短時間に最適な経路を検索する必要がある。無線を使用した通信路は、有線による通信路と比較してネットワークの状況が変化しやすく、無線状況の変化を考慮して最適な経路を選択するために、隣接する無線端末(無線基地局)間でのビットエラー率伝送速度を重み付け値として設定する方法が知られている(たとえば、特許文献4参照)。この方法では、経路検索の際に、無線端末間リンクに設定された重み付け値を順次加算してゆくことによって、最適な経路を決定する。
S. Corson, J. Macker, "Mobile Ad hoc Networking (MANET): Routing Protocol Performance Issues and Evaluation Considerations",インターネット標準RFC2501,January 1999
C. Perkins, "IP Mobility Support",インターネット標準RFC2002, October 1996.
K. Malki, H. Soliman, "Hierarchical Mobile IPv4/v6 and Fast Handoffs" INTERNET-DRAFT, MARCH 2000.
ISO/IEC10038,ANSI/IEEE Std802.ID, "Information technology−Telecommunications and information exchange between systems−Local area networks−Media access control (MAC) bridges", 1993
特開2000−69046号公報
特開2000−78147号公報
特開2003−188811号公報
特開2003−152786号公報

発明が解決しようとする課題

0011

非特許文献1に開示される通信方式では、ネットワークに参加するすべての端末がパケット転送機能を有する必要がある。逆に言えば、機能の劣る端末はネットワークに参加できず、機能を追加することによる設備、コストの増大が問題となる。

0012

非特許文献2に開示される通信方式では、位置管理エージェント端末を介した通信の負荷が高くなり、無線帯域の浪費となる。また、通信環境の変化しやすい移動無線環境では、位置管理エージェントとの通信が途切れてしまうことが考えられ、その場合に通信が途切れてしまうと言う問題がある。

0013

非特許文献3に開示される位置管理エージェント端末を増やすことで負荷の分散をはかるとしても、移動元の位置管理エージェント端末は通信端末ごとに決まっており、端末が自由に動き回ることが前提となっている状況では、常に最適な位置管理エージェントの配置をとることは不可能である。また、特定のノードに端末位置一括して管理させることは、耐故障性の面でも問題がある。

0014

特許文献1では、非特許文献4の有線パケット転送方法を無線パケット網に適用しているが、この方法では、一つのネットワークで一つの転送ツリーしか持つことができない。したがって、図2に示すように、無線端末(Station)Sから無線端末(Station)Dへパケットを転送する場合に、ブリッジ(Bridge)aをルート局とする点線の経路に沿って、ブリッジx7、ブリッジx8、ブリッジa、ブリッジx3、ブリッジx4という順でパケットが転送される。これでは、転送する経路に無駄が生じるだけでなく、ツリーのルート(Root)部分に負荷が集中するという問題がある。

0015

特許文献2に開示されるパケット転送方法は、自局に近づいてくるパケットをモニタすることによって、途中経路をショートカットできるが、この方法でもルート(Root)となる単一の無線基地局に負荷が集中し、ネットワーク全体の効率が低下するという同様の問題がある。

0016

特許文献3に開示されるパケット転送方法では、無線基地局間でチャネルを張るかどうかを判定するときに、当該無線基地局からの受信電力を基準とするが、無線環境は変化しやすく、環境に合わせて通信速度を適応的に変化させる無線インターフェイスも存在する。また、通信速度までも考慮に入れたリンクのコストを算出できず、ネットワーク全体のスループットが低下し、ネットワークの接続性が低下するという問題がある。

0017

特許文献4に開示される経路検索方法では、無線環境を考慮しているが、パケットのペイロード長に応じて変化する、データ転送時間に対するオーバーヘッドを考慮していない。

0018

このように、第3層を利用した従来の転送方法では、転送機能を持たない端末装置はネットワークに参加できない、あるいは一部のノードへの負荷集中が避けられない、という問題がある。

0019

一方、MAC(Media Access Control)層ブリッジを利用した転送方法は、無線への適用が途上であり、単一の転送ツリーを使用することによる一部への負荷集中が避けられない。

0020

そこで、本発明は、自律分散的な無線ネットワークにおいて、無線端末の機能の高低を問わず、無線基地局が自律的に経路制御して最適な経路でのパケット転送を行うことで負荷を分散し、耐故障性を向上させ、ネットワーク全体の効率の向上を図ることを課題とする。

課題を解決するための手段

0021

上記課題を解決し、アドホックな無線ネットワークで負荷の集中を回避して、パケット転送の最適化を実現するために、無線基地局とそこに所属する無線端末とを対応させて、無線基地局間で自律的に経路を制御する。

0022

また、経路検索の際に、ネットワークの無線環境に加えて、パケットのペイロード長を考慮してパケット転送経路の最適化をはかる。

0023

前者の手法では、ネットワークを構成する各無線基地局が、無線基地局と、そこに所属する無線通信端末との対応関係記述されたテーブルを持ち、無線基地局間で自律的にテーブルの情報を交換する。これにより、無線端末同士が通信する際に、無線端末の所在を管理する特定の管理ノードと通信しなくても、各無線基地局において、宛先となる無線端末が現在所属する無線基地局を判別することができ、無線基地局間で、最適な経路制御が行われる。

0024

この場合、パケット転送機能を、無線ブリッジとして機能する無線基地局に持たせ、機能の低い端末を最寄りの無線基地局に接続することによって、無線端末の機能を問わずにネットワークに参加できるようにする。パケット転送機能を有する無線端末はネットワークに参加して、それ自身が無線ブリッジとして機能してもよい。

0025

後者の手法では、転送ツリーの有無や数にかかわらず、パケット転送時および/または転送ツリー作成の際に、パケットのペイロード長を通信リンクのコストに反映させることで、現実のパケット転送に応じた最適な経路を決定する。

0026

具体的には、本発明の第1の側面では、複数の無線基地局と、1以上の無線端末で構成されるパケット転送システムにおいて、各無線基地局は、無線基地局と無線基地局に所属する無線端末を関連付けたロケーションテーブルを備え、無線基地局間で、ロケーションテーブルの情報を交換することで、各無線基地局は無線端末の所属する無線基地局の位置を検知する。各無線基地局は、交換されるテーブル情報によって自局のロケーションテーブルを更新し、受信したパケットを、宛て先の無線端末への中継ノードとなる無線基地局へ転送する。

0027

パケット転送に使用される転送経路の判別手段として、
(1)1以上の無線端末と、その無線端末が所属する無線基地局とを関連づけたロケーションテーブルを無線基地局の各々が備え、パケットを受信したときに、ロケーションテーブルを参照して、受信したパケットに含まれる送信元アドレスまたは宛て先アドレスから、送信元または宛て先の無線端末が所属する無線基地局を特定し、特定した無線基地局への転送に使用する転送経路を導出して、前記パケットを転送する。または、
(2)パケットの転送に使用される転送ツリーのID情報または当該パケットの送信元または宛て先となる無線端末の所属する無線基地局のアドレス情報を、パケットに含ませ、無線基地局の各々は、パケットを受信したときに、パケットに含まれる前記転送ツリーのID情報またはルート局となる無線基地局のアドレス情報からパケット転送に使用される転送ツリーを判別する。

0028

パケット転送システムで用いられる転送ツリーは、受信信号電力レベルエラー率遅延など、無線チャネルの状況を反映したリンクコストに基づいて作成される。

0029

本発明の第2の側面では、無線パケット網を利用したパケット通信システムを構成する無線基地局を提供する。無線基地局は、
(a)前記パケット通信システムに含まれる無線基地局と、各無線基地局に所属する無線端末とを対応づけたロケーションテーブルと、
(b)前記パケット通信システムで用いられる転送経路に関する情報を、送信元または宛先に関連する無線基地局と対応づけて格納する経路制御テーブルと、
(c)パケットを受信するパケット受信部と、
(d)受信したパケットに基づき、当該パケットの転送に使用される転送経路を判別する経路判別手段と、
(e)前記経路制御テーブルを参照して、前記判別した転送経路上の次のノードへ前記パケットを転送するパケット送信部と
を備える。

0030

本発明の第3の側面では、複数の転送ツリーを利用して無線パケット通信システムを構成する無線基地局を提供する。無線基地局は、
(a)パケット通信システムで用いられる2以上の転送ツリーに関する情報を、当該転送ツリーのルート局となる無線基地局と関連付けて格納するツリーテーブルと、
(b)任意のパケットを受信するパケット受信部と、
(c)受信したパケットに基づき、当該パケットの転送に使用される転送ツリーを判別するツリー判別手段と、
(d)前記ツリーテーブルを参照して、判別した転送ツリー上の次のノードに前記パケットを転送するパケット送信部と
を備える。

0031

本発明の第4の側面では、複数の無線基地局で構成される無線ネットワークでパケット転送経路を最適化する方法を提供する。この方法は、
(a)パケット長に関する複数の異なる基準に対応して、宛先アドレスと転送経路とをそれぞれ対応づけて記載する複数のルーティングテーブルを、前記各無線基地局に設定し、
(b)前記複数の無線基地局のうちの任意の無線基地局で、自局宛以外のパケットを受信したときに、当該パケットのパケット長を判断し、
(c)前記判断結果に応じて、前記複数のルーティングテーブルのいずれかを参照して次の転送先を特定し、前記次の転送先へ前記パケットを転送する。

0032

この方法によれば、常に変化する無線環境において、リンクの伝送速度だけではなく、パケット長を考慮して経路を決定するので、オーバーヘッドを低減した最適な経路でパケット転送することができる。

発明の効果

0033

無線基地局同士が、各無線基地局に所属する無線端末の管理をすることで、無線端末で無線基地局間の経路制御に参加するための機能を追加、搭載することなく、ネットワークを構築することができる。

0034

特別な所在管理用のノードを設置する必要がなく、所在管理ノードへの負荷の集中を回避することができる。また、所在管理用ノードの故障によるネットワーク停止を回避することができる。

0035

さらに、無線チャネルの状態やパケットのペイロード長をリンクのコストに適用することで、ネットワークの環境やパケットサイズを考慮した経路の最適化を図ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0036

次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。

0037

図3〜図12を参照して、本発明の第1実施形態に係るパケット転送システムを説明する。第1実施形態では、パケット転送の最適化を図るために、経路制御としてスパニングツリーアルゴリズムを無線に適用した場合について説明する。

0038

図3は、本発明の第1実施形態に係るパケット転送システムの概要を説明するための図である。第1実施形態では、ネットワークに複数の無線基地局をルートとする転送ツリーを持たせることで、ネットワーク全体のスループットを向上し、転送経路の短縮を実現する。なお、実施の形態として、本発明をIEEE802.11規格無線LANに適用した場合を例にとって、説明する。

0039

図3において、ブリッジ(Bridge)a〜fは無線基地局を表わし、各ブリッジ間無線パケットを互いに転送する。Station A〜Eは無線端末を表わす。無線ブリッジ(基地局)は移動式固定式を問わない。各無線基地局は、一つまたは複数の無線端末を配下に持つことが可能であり、配下の無線端末と無線ブリッジとの間の接続は、有線、無線を問わない。第1実施形態では、ネットワークを構成する無線基地局のうち、2以上の無線基地局をルート局として、複数の転送ツリーを用いてパケット通信を行なう。図3の例では、すべての無線基地局が、自局をルートとする非ループの転送ツリーを作成しているが、すべての無線基地局がルート局となる必要はなく、ネットワークのサイズやオーバーヘッドを案して、無駄な転送ツリーを削除していくことも可能である。

0040

ネットワーク上の各無線基地局(ブリッジ)は、ルート局となる無線基地局と、その無線基地局をルート局とする転送ツリーのIDおよびツリー上の隣接ブリッジを対応付けて格納するツリーテーブルを有する。

0041

図4は、ツリーテーブルの一例として、図3のブリッジdが保持するツリーテーブルを示す。ネットワーク上のルート局ごとに、対応する転送ツリーのIDと、そのツリー上で隣接する無線基地局(前局および次局)のアドレスを記録する。

0042

ネットワーク上で複数の転送ツリーを使用する場合、各無線基地局においてパケットを受け取った際に、どの転送ツリーを用いてパケットを中継するかを判別する必要がある。これには、たとえば、次の2つの方法が考えられる。
(1)第1の方法は、各無線基地局に、ネットワーク上の無線基地局と、それぞれの配下に位置する無線端末とを対応付けたロケーションテーブルを持たせる方法である。各無線基地局(ブリッジ)は、パケットに書き込まれている送信元端末のアドレスまたは宛て先となる端末のアドレスに基づき、ロケーションテーブルを参照して、送信元の無線端末または宛て先の無線端末が所属する無線基地局を特定する。そして、ツリーテーブルから、特定した無線線基地局をルートとするツリーを特定し、このツリーに従って、パケットを次の無線基地局へ転送する。
(2)第2の方法は、送信元の無線端末または、送信元の無線端末から最初にパケットを受信した無線基地局が、パケットにどの無線基地局をルートとする転送ツリーを用いるかの情報を書き込む方法である。パケットには、転送ツリーIDを書き込んでも良いし、その転送ツリーのルート局となる無線基地局のアドレスを書き込んでもよい。

0043

これらの方法の詳細は後述するが、第1または第2の方法により、各無線基地局で使用すべき転送ツリーが判別されると、ツリーテーブルに従って、次の中継先へパケットを転送することができる。ネットワーク上で複数の転送ツリーを使用することにより、経路の最適化がより効率的に行われ、経路の短縮が実現される。また、特定の無線基地局周辺への負荷の集中が回避され、ネットワーク全体の効率を上げることができる。

0044

図5は、図3のネットワークで送受信されるパケットの、アドレス部分フォーマットの一例を示す図である。図5上段は、無線端末(Station)から無線基地局(Bridge)へ送られるパケット、中段は、無線基地局(Bridge)間を転送されるパケット、下段は、無線基地局(Bridge)から無線端末(Station)へ送られるパケットのフォーマット例である。

0045

送信元アドレスというのは、パケットを最初に作成して送信した無線通信設備のアドレスを表わすIDである。宛て先アドレスというのは、パケットの最終的な目的地となる無線通信設備のアドレスを表わすIDである。送信局アドレスというのは、ツリー上でパケットを中継するためにそのパケットを送信する無線通信設備のアドレスIDである。受信局アドレスというのは、ツリー上でパケットを中継する際に、そのパケットを受信する無線通信設備のアドレスIDである。

0046

"DS"は無線通信設備を示し、"To"は受信側、"From"は送信側を表わす。"To DS"の値が0のときは、無線端末が受信側であり、1のときは無線基地局が受信側であることを示す。"From DS"の値が0のときは、無線端末が発信側であり、1のときは無線基地局が発信側であることを示す。"To DS"が1、かつ"From DS"が1のときは、パケットは無線基地局間で転送されていることを示す。"To DS"フィールドと"From DS"フィールドをパケットに挿入することで、パケットが、無線基地局間を中継中か否かにつき、判別できる。

0047

たとえば、図3の構成で無線端末(Station)Aから無線端末(Station)Eに宛てたパケットを送信する場合、無線端末(Station)Aから送信されるパケットは、図4の上段に示すように、送信元アドレスとして無線端末Aのアドレス、宛て先アドレスとして無線端末Eのアドレス、受信局アドレスとして無線端末Aが現在所属するブリッジaのアドレスを、アドレス情報として含む。

0048

このパケットをブリッジaから中継されたブリッジbは、図4の中段に示すように、送信元アドレスおよび宛て先アドレスに加え、送信局アドレスとして自己のアドレスと、受信局アドレスとして次の中継先のブリッジcのアドレスが挿入されたパケットを転送する。

0049

図6は、従来の技術で作成した図2の転送ツリーと同じネットワークトポロジに、本発明を適用した例を示す図である。無線端末(Station)Sから無線端末(Station)Dへのパケットを転送する場合、破線矢印で示すように、ブリッジbをルートとする転送ツリーを用いてパケットを転送することができるので、図2のように一局のみをルート局とする場合と比較して、経路が大幅に短縮される。図6の例では、説明の便宜上、ブリッジaとブリッジbの2つの無線基地局をルート局として転送ツリーを作成しているが、ネットワークのサイズに応じて、3以上の転送ツリーを使用して、より高密度にツリーを張り巡らせることができる。

0050

次に、図6のネットワークを例にとって、パケット転送に使用される転送ツリーを判別する2つの例、すなわち、(1)無線基地局ごとに、ネットワーク上の無線基地局および配下の無線端末を対応付けたロケーションテーブルを持たせる方法と、(2)パケットに転送ツリーに関する情報を書き込む第2の方法、を説明する。

0051

図7は、上記第1の方法を実現するために各無線基地局に設定されるロケーションテーブルの構成例を示す図である。ネットワーク上の各無線基地局は、現在自局の配下に存在する無線端末の情報を交換して、ロケーションテーブルを作成する。図7の例では、各無線基地局において、ブリッジaのアドレスAと、その配下に存在する無線端末Pとが対応付けられ、ブリッジbのアドレスBと、その配下に存在する無線端末S,Oが対応付けられ、ブリッジcのアドレスCと、その配下に存在する無線端末Dが対応付けられている。図示は省略してあるが、その他の無線基地局についても、その配下に存在する無線端末を対応づけて記録されている。このようなロケーションテーブルを備えることによって、すべての無線基地局は、現在どの無線基地局の配下に、どの無線端末が位置するかを把握することができる。

0052

図6のネットワークで、無線端末Sから無線端末Dにパケットを送る場合を考える。無線端末Sは、自己のアドレスを送信元アドレス、無線端末Dのアドレスを相手先アドレス、所属先のブリッジbのアドレスBを受信局アドレスに設定して、パケットを送信する。

0053

ブリッジbは、パケットを受信すると、自局をルートとした転送ツリーに従って、次の中継先にパケットを送信する。中継途中の任意のブリッジは、パケットのアドレス部分を見て、このパケットの送信元が無線端末Sであることを認識する。そして、ロケーションテーブルから、送信元の無線端末Sが現在所属しているのはブリッジbであることを把握する。そこで、ツリーテーブルから、ブリッジbをルートとした転送ツリーを導き出し、この転送ツリーに従って次のノード(中継先)へパケットを転送する。

0054

ブリッジbは、配下の無線端末Sからパケットを受け取ると、転送ツリーに従ってブリッジx7、x8.x9にパケットを転送する。ブリッジx7は、ロケーションテーブルと、パケットのアドレス情報から、ブリッジbをルート局とする転送ツリーを導いて、次の中継先x4、x6にパケットを転送する。同様に、ブリッジx8も転送ツリーを判別するが、判別した転送ツリー上に次の中継先がないことを認識し、このパケットを破棄する。ブリッジx9ではブリッジx7と同様の処理が行われる。この処理をツリーに沿って、順次行うことで、パケットはブリッジcに届き、最終的に無線端末Dに到達する。

0055

送信側の無線基地局をルートとする転送ツリーを用いると、ツリーの分岐点で、2以上のブリッジにパケットが転送されてしまう。宛て先を特定しないブロードキャスト送信の場合はこれでもよいが、特定の無線端末を宛て先とするユニキャストの場合、最終目的の無線端末とは無関係なブリッジにまでパケットが送られることになり、無駄が生じる。このような無駄を省くため、以下に掲げる構成の少なくとも一方を採用するのが望ましい。
(a)相手先のアドレスが特定されるユニキャストの場合は、宛て先の無線端末が所属する無線基地局をルートとする転送ツリーを使用する。
(b)学習テーブルを作成し、2回目以降のパケット転送については、学習テーブルを併用してパケットを転送する。

0056

(a)の相手先の無線基地局をルートとする転送ツリーを採用する構成では、図6の例で無線端末(Station)Sから無線端末(Station)Pに宛てられたパケットを転送するのに、宛て先の無線端末Pが所属するブリッジaの転送ツリーを使用する。中継途中の各無線基地局は、受け取ったパケットの宛て先アドレスと、ロケーションテーブルから、無線端末Pが所属する無線基地局(ブリッジa)をルートとする転送ツリーを判別する。相手側の無線基地局をルートとする転送ツリーを用いることで、各無線基地局はツリーを逆にたどって、単一の中継先にだけパケットを転送すればよい。この例では、ブリッジbは、ブリッジx7やx8にパケットを中継する無駄を省いて、ブリッジx9にのみパケットを転送する。

0057

このように、宛て先の無線端末が所属する無線基地局をルート局とすることによって、ネットワークの負荷を軽減することができる。一方、宛て先を特定しないブロードキャストの場合、あるいは宛て先の無線端末の所属先が不明な場合は、送信元の無線端末が所属する無線基地局をルートとする転送ツリーを使用することによって、パケットを最終送信先まで届けることができる。

0058

なお、ネットワークの末端に位置するブリッジでは、自局をルートとする転送ツリーを有さない場合も考えられる。たとえば図6のブリッジcがそうである。この場合、各無線基地局はまず宛て先アドレス(Station D)を優先的に参照し、宛て先の無線端末が所属する無線基地局をルートとする転送ツリーがない場合に、送信側の無線基地局の転送ツリーを使用する構成としてもよい。

0059

次に、学習テーブルを併用する構成(b)では、各無線基地局において、送信元アドレスが示す無線端末から発信されたパケットが、どの無線基地局から転送されてきたかを学習テーブルに記録する。学習テーブルの作成については、公知の方法を採用することができる。

0060

図8は、学習テーブルの一例を示す図である。図6のネットワークで、無線端末Sから無線端末Dに宛ててパケットを送信する場合、パケットはまず、無線端末Sからブリッジbへ送られ(矢印(1))、ブリッジbをルートとする転送ツリーに従って、ブリッジx7を経由してブリッジx4に転送される(矢印(2))。ブリッジx4では、パケットの送信元アドレスから、無線端末Sから発信されたパケットであることが分かり、かつ、送信局アドレスから、このパケットがブリッジx7から送られてきたことが分かる。そこで、この情報を学習テーブルに書き込む(符号(3))。すなわち、学習テーブルのStationの欄に送信元の無線端末SのアドレスまたはIDを記入し、Bridgeの欄にひとつ前のブ
リッジx7のアドレスまたはIDを記入する。パケットは、ブリッジx4からブリッジcを経由して、宛て先の無線端末Dに到達する。

0061

無線端末Dは、受け取ったパケットに応答して無線端末Sに返信する(矢印(4))。返信パケットは、ブリッジcからブリッジx4に送られる(矢印(5))。ブリッジx4は、パケットのアドレス情報から、送信元が無線端末Dであり、このパケットがブリッジcから転送されてきたことを識別し、これを学習テーブルに記入する(符号(6))。

0062

パケットはさらに、ブリッジx4からブリッジx7を経由してブリッジbに送られる(矢印(7))。ブリッジbでは、無線端末Dから発信されたパケットをブリッジx7から受け取ったことを学習テーブルに記録し(符号(8))、このパケットを無線端末Sに転送する。

0063

説明は省略したが、上記の例で、ブリッジx7およびブリッジcでも、パケットを受け取るたびに学習テーブルに記録する。また、学習前で最初にパケットを転送する場合は、分岐地点でそれぞれの分岐先にパケットが転送されるので、分岐先のブリッジ(x3、x8など)でも、同様に学習テーブルに記録する。

0064

ブリッジbが、次に無線端末Dに宛てられたパケットを受け取った場合、学習テーブルの記録から、無線端末Dがブリッジx7の方向にあることがわかる。したがって、このパケットをブリッジx7のみに転送し、ブリッジx8やその他の分岐先には転送しない。同様に、ブリッジx4でも、次に無線基地局Dに宛てられたパケットを受け取った場合、ブリッジcにのみパケットを転送し、他の分岐先には転送しない。これにより、送信側の無線基地局をルートとする転送ツリーを使用した場合でも、無駄なパケットを削減することができる。

0065

ところで、第1の方法でロケーションテーブルを用いる場合、各無線基地局に新たな無線端末が所属したとき、あるいは無線端末が移動して別の無線基地局に所属したときに、無線基地局は、無線端末が自局に所属したことを通知するパケットを、転送ツリーに従ってブロードキャストで送信する。通知パケットを受信した各無線基地局は、ロケーションテーブルに新たな所属関係を登録する。このとき、各無線基地局は、通知パケットの送信元の無線基地局と、その通知パケットを転送してきた一つ前の無線基地局のアドレスとを対応づけて学習テーブルに書き込む構成としてもよい。

0066

任意の無線基地局に無線端末が所属するたびに、ロケーションテーブルの更新と同時に、学習テーブルにも登録することによって、転送ツリー上の経路選択がより効率的に行われる。

0067

次に、図9を参照して、転送ツリーを判別する第2の方法を説明する。第2の方法では、転送されるパケットに、どの無線基地局をルートとする転送ツリーを使用するかの情報を含ませる。

0068

図9(a)は送信側のルート局の転送ツリーを用いる場合のパケットの構成例、図9(b)は、宛て先側のルート局の転送ツリーを用いる場合のパケット構成例である。図9(a)のパケット構成は、第2の方法を単独で採用する場合に用いられ、図9(b)のパケット構成は、第1の方法(ロケーションテーブル)と組み合わせて使用する場合に効果的である。

0069

図6のネットワークにおいて、ブリッジbの配下にある無線端末Sから、ブリッジcの配下にある無線端末Dにパケットを送信する場合を考える。この場合、第1の方法と異なり、ネットワーク上の各無線基地局は、どの端末がどの無線基地局に所属しているのか知ることができない。そこで、送信側でパケット内に使用する転送ツリーのIDまたはルート局となる無線基地局のアドレス情報を埋め込む。中継途中の各無線基地局(ブリッジ)は、パケットに含まれる情報から使用すべき転送ツリーを判別し、ツリーテーブルを参照して、次の中継先へパケットを転送する。

0070

図9(a)の例では、無線端末Sからパケットを最初に受信したブリッジbが、自局をルートとする転送ツリーを指定する。パケットの追加フィールドに、ルート局情報として自局のアドレスを書き込むか、または、ツリーID情報として自局をルートとする転送ツリーIDを書き込む。なお、追加フィールドへの書き込みは、無線端末Sがパケットを送信する際に行ってもよい。この場合は、追加フィールドにルート局情報として、自身が所属する無線基地局(ブリッジb)のアドレスを書き込む。

0071

途中経路のブリッジx7は、パケットの追加フィールドに書き込まれたルート局情報(または転送ツリー情報)から、ブリッジbをルート局とする転送ツリーを使用することを識別する。そして、転送ツリー上の次の中継先であるブリッジx4のアドレスを受信局アドレスとしてアドレスフィールド1に書き込み、自局のアドレスを送信局アドレスとしてアドレスフィールド2に書き込む。

0072

無線基地局がツリーの分岐点にある場合、ツリーテーブルに基づいてパケットを各分岐先へ転送する。そこで、第2の方法においても、図8に示した学習テーブルを併用する。パケットの送信元アドレスで特定される送信元の無線端末と、送信局アドレスで特定されるひとつ前のブリッジを対応付けて、学習テーブルに格納する。上述したように無線通信では宛て先の無線端末から受信確認応答返信データを受け取ることが一般的なので、次に同じ宛て先へのパケットがきたときに、分岐点からマルチキャストすることなく、ターゲットの無線端末が位置する方向にだけパケットを転送すればよい。

0073

図9(b)の例では、パケットの追加フィールドに、宛て先の無線端末が所属する無線基地局のアドレスをルート局情報として書き込む。この場合、各無線基地局がロケーションテーブルを有することが前提となっている。無線端末から最初にパケットを受信した無線基地局は、ロケーションテーブルを参照して、宛て先の無線端末が所属する無線基地局を特定する。特定した無線基地局のアドレスまたは対応する転送ツリーのIDをパケットの追加フィールドに書き込み、指定した転送ツリーを逆にたどる経路で、パケットを次の中継先に転送する。中継途中の無線基地局は、ロケーションテーブルを参照することなく、パケットのアドレス情報に基づき、ツリーテーブルを参照して次の中継先にパケットを転送できる。

0074

次に、図10および図11を参照して、転送ツリーの作成方法を説明する。本発明の実施形態では、無線環境を考慮したコスト計算に基づいて転送ツリーを作成する。

0075

図10(a)は、転送ツリー作成時に用いられる各ブリッジのコスト一覧の例を示し、図10(b)は、IEEE802.1tで規定されている通信速度とリンクコストの枠組みを示す。従来、有線のネットワークでは、転送ツリーを作成する際に、ホップ数あるいは図10(b)に示すような固定の通信速度のみに基づくリンクコストで、転送ツリーを作成していた。しかし、無線パケット網では、無線チャネルの状況に応じて変調方式が変えられ、パケットエラーの発生も多いことから、実際の通信速度は一定の値にはならない。また、混信のない有線ブリッジと異なり、無線ではかならずしもホップ数だけでコストを決めることはできない。

0076

そこで、転送ツリーを作成する際に、無線インターフェイス間の無線チャネルの状況やネットワークトラフィックの込み具合に応じてリンクのコストを変更することで、状況に適合した転送ツリーを作成する。

0077

第1実施形態における一例として、近接のブリッジから受信する信号の電力レベルやエラー率などをコスト計算に用いる。図10(a)のコスト一覧において、"Bridge"のカラムは、着目するブリッジの近接位置にあるブリッジのIDである。"Signal"のカラムは、近接ブリッジからの受信電力レベルを示す。"Queue size"のカラムは、ツリー作成時にツリー作成パケットに入れて通知する送信キューのサイズ、"Error Rate"のカラムはパケットの受信失敗率(エラー率)を表わす。パケットの受信電力から、このインターフェイス間のリンクで使用する変調方式を判断し、そこから通信速度を求めてリンクのコストに反映することができる。

0078

これらのパラメータを用いて、着目するブリッジと近接のブリッジとの間のコスト計算をする際には、各パラメータをコスト計算用に正規化する値α、β、γを用いて、次式であらわすことができる。

0079

cost=α×(Signal)+β×(Queue size)+γ×(Error Rate)
図11は、転送ツリー作成の一例を示す図である。図11において、点線部分が物理的に通信可能なブリッジ同士のリンクを表わす。たとえば、ブリッジaがルートとなってツリーを作成する場合、ブリッジaは、ツリー作成パケットを近接する基地局にブロードキャストで送信する(矢印(1))。パケットの中にはコストを記入するフィールドがあり、ルート局から送信されるパケットのコストはゼロである。

0080

パケットを受信したブリッジbは、図10(a)に一例として示すコスト一覧から、ブリッジaとブリッジbの間のコスト"ab"を算出し、これをツリー作成パケットのコスト記入フィールドに書き込んで、近接のブリッジ(あるいはノード)に送信する(矢印(2))。

0081

同様に、ブリッジaからのパケットを受信したブリッジcも、ブリッジaとブリッジcの間のコスト"ac"を算出し、これをツリー作成パケットのコスト記入フィールドに書き込んで、近接ノードに送信する(矢印(3))。

0082

ブリッジbからのツリー作成パケットを受信したブリッジcは、自己の持つルート局(この場合はブリッジa)までのコスト"ac"と、受信したパケットのコスト"ab+bc"を比較し、コストの高いほうの経路を切り捨てる。たとえば、ac<ab+bcの場合は、ブリッジaをルート局とした場合のブリッジbからブリッジcまでの経路は使用しないこととする。上記の動作をブリッジd(矢印(4))、ブリッジe(矢印(5))、ブリッジf(矢印(6))と続けて行くことで、図11実線で示すループのないツリーを作成することができる。

0083

このような転送ツリーの作成は、一定時間ごと、あるいは転送機能を有する無線移動端末がネットワークに参加して無線ブリッジとして機能する場合など、状況に応じてダイナミックに更新、作成される。更新あるいは作成された転送ツリーに関する情報は、ネットワーク上の各無線基地局に供給され、各無線基地局は、ツリーテーブルを更新する。無線チャネルの状態を通信リンクのコストに反映させることによって、ネットワークトポロジ、通信トラフィック等の現状に適応した転送ツリーを構成することが可能になる。

0084

図12は、第1実施形態に係る無線基地局の概略構成図である。図12(a)は、ロケーションテーブルを用いる場合の構成例、図12(b)は、パケットに含まれる転送ツリーID情報を利用する場合の構成例である。いずれの例でも、無線基地局10A,10Bは、2以上の転送ツリーに関する情報をそれぞれのツリーのルート局と関連付けて格納するツリーテーブル12と、パケットの送受信を行う送受信部11と、受信したパケットに基づいて使用する転送ツリーを判別するツリー判別部13A,13Bを有する。送受信部11は、ツリーテーブル12を参照して、判別された転送ツリー上の次のノードへパケットを転送する。

0085

図12(a)の例では、ツリー判別部13Aは、パケット解析部15と、ロケーションテーブル16を有し、パケットの送信元アドレスまたは宛先アドレスと、ロケーションテーブル16とから、ルート局となるべき無線基地局を決定し、そのルート局に対応する転送ツリーを判別する。この場合、送受信部11は、転送ツリーを順方向または逆方向にたどることで次の転送先を特定し、パケットを転送する。

0086

図12(b)の例では、ツリー判別部13Bはパケット解析部15を有し、パケットに含まれる転送ツリーIDを取り出して、用いるべき転送ツリーを判別する。

0087

無線基地局10A,10Bはまた、コスト計算部20を有する。チャネルモニタ部22はチャネル状況をモニタし、チャネル状況に応じてコストテーブル21のコスト値を更新する。送受信部11でツリー作成パケットを受信した場合は、コストテーブル21を参照して、一つ前のホップから自局までのコストを書き込み、近隣のノードへツリー作成パケットを送信する。自局がルート局となる場合は、送受信部11は最初のツリー作成パケットを投げる

0088

なお、図12では、図示の簡略化のため単一のインターフェイスおよび単一の送受信部11として描いているが、無線ブリッジ(無線基地局)間で送受信するバックボーン系と、配下の端末(Station)と送受信するアクセス系のインターフェイスを個別に備えても
よい。

0089

以上、全面的に無線接続される無線ネットワークを例にとって第1実施形態を説明したが、無線基地局(ブリッジ)と端末装置との接続を有線で行うなど、一部に有線を含む無線ネットワーク構成としてもよい。また、転送機能を有する移動端末を適宜無線基地局(ブリッジ)として組み込むことも可能である。移動端末が無線ブリッジとしてネットワークに参加した場合、その時点での無線チャネルの状況を反映した転送ツリーが動的に作成されるので、2以上の転送ツリーを用いて経路の最適化と負荷集中防止をいっそう効果的に実現することができる。

0090

また、IEEE802.11規格の無線LANを例にとって説明したが、これに限られず、WCDMAや次世代無線通信方式の無線ネットワークにも適用可能である。さらに、各無線基地局にインターフェイスとプロトコル変換機能を持たせることにより、異なる通信方式のネットワークが混在する無線パケット網にも、第1実施形態の手法を適用することができる。

0091

ネットワークで用いる複数の転送ツリーの一部または全部を一つに集約して、ツリー保持の負荷を軽減することも可能である。その場合、パケットの追加フィールドやツリーテーブルに書き込む情報として、集約したツリーのIDを用いることができる。

0092

次に図13を参照して、本発明の第2実施形態に係るパケット転送システムを説明する。第2実施形態では、パケット転送の最適化を図るために、経路制御としてMANET(Mobile Ad hoc Network)で検討されているOLSR(Optimized Link State Routing)(上述した非特許参考文献1参照)を、無線基地局と無線端末からなるネットワークに適用する場合について説明する。

0093

図13は、本発明の第2実施形態に係るパケット転送システムの概要を説明するための図である。第2実施形態では、無線端末側に新たな機能を追加することなく、また、無線ルート局から延びる転送ツリーの有無や数を問題とせずに、既存のアドホックネットワークのプロトコルを適用する。

0094

なお、実施の形態として、本発明をIEEE802.11規格の無線LANに適用した場合を例にとって、説明する。

0095

図13において、ある時間に無線基地局Bに所属している無線端末Lが、無線端末Pと通信するために、端末P宛のパケットを無線基地局Bに送信する場合を考える(矢印(1))。

0096

無線端末Lからパケットを受信した無線基地局Bは、自身が有するロケーションテーブルを検索し、無線端末Pのエントリがあるかを調べる(ステップ(2))。ロケーションテーブルは、たとえば図7に示すロケーションンテーブルと同様のものであり、ネットワーク上の各無線基地局と、そこに所属する無線端末とを対応づけて格納する。

0097

ロケーションテーブルに無線端末Pのエントリが存在し、かつ有効(例えば有効期間内)である場合には、無線端末Pは、現在、無線基地局Fに所属すると判明する。

0098

無線基地局Bのロケーションテーブル内に、無線端末Pの有効なエントリが存在しない場合は、無線基地局Bは、他の無線基地局に無線端末Pの所属する無線基地局を問い合わせるメッセージをブロードキャスト送信する(矢印(3))。

0099

各無線基地局は、無線端末Pの所属先の無線基地局を問い合わせるメッセージを受信し、ロケーションテーブルをチェックする。自局のロケーションテーブルに、有効な無線端末Pの記載を有する無線基地局は、無線基地局Bに、無線端末Pと無線基地局Fの対応を記した応答メッセージをブロードキャスト送信する(矢印(4))。

0100

途中の無線基地局のロケーションテーブルにも無線端末Pについての記載がない場合は、このメッセージをさらに中継することで、ネットワーク全体に、問合せメッセージが行き渡る。ここで、各無線基地局が同じメッセージを複数回送信してもネットワークにループが発生しないように、問い合わせメッセージと応答メッセージの両方のメッセージ内に、たとえばシーケンス番号を記載する。各ノード(無線基地局)は、送信したメッセージのシーケンス番号と、メッセージの送信元のアドレスを記憶し、同じ送信元かつ同じシーケンス番号のメッセージを、複数回送信しないようにする。

0101

少なくとも無線基地局Fは、無線端末Pが自局に所属していることを知っている。すなわち、無線基地局Fのロケーションテーブルには、無線端末Pのエントリが存在するので、問合せメッセージに対して応答する。このように、無線端末Lからのパケットが、ネットワーク内に存在する無線端末に宛てられたものであれば、必ず問い合わせメッセージに対する応答メッセージが存在する。

0102

無線端末Bは、応答メッセージを受信すると、ロケーションテーブルに無線端末Pのエントリを無線基地局Fと対応づけて追加し、テーブルを更新する。このように、通信時に無線基地局Bのロケーションテーブルに、宛先である無線端末Pのエントリがない場合でも、問合せメッセージを発することで、無線端末Pと所属先の無線基地局Fとの対応を、ロケーションテーブルに追加することが可能となる。

0103

ロケーションテーブルが更新されると、無線基地局Bは、無線端末Pにパケットを伝送するためには、無線基地局Fへパケットを転送すべきであると判断する。そして、ネットワーク上の無線基地局A〜F間で、一般的なOLSRプロトコルを使用した自律的な経路制御により作成される経路テーブルに従って、パケットを次の中継ノードである無線基地局Cに送信する。

0104

パケットを中継する各無線基地局は、同様にしてロケーションテーブルから、該当パケットの宛て先である無線端末Pが無線基地局Fに所属していると判定する。こうして順次、無線基地局Fまで中継・転送することで、パケットは無線基地局Fに到達する。

0105

中継ノードのロケーションテーブルに無線端末Pのエントリがない場合は、前述したのと同様に、問合せメッセージをブロードキャスト送信する。

0106

無線端末Pに宛てられたパケットを受信した無線基地局Fは、無線端末Pにパケットを送信することで、無線端末Lから無線端末Pへのパケット送信が完了する。

0107

無線基地局Bに所属する無線端末Lは、自らは経路制御処理を行なわずとも、無線基地局Fに所属する無線端末Pと通信することが可能となる。

0108

問合せメッセージを送信して、応答メッセージを受信するまでの遅延時間を短縮するために、各無線基地局に新しく無線端末が所属した場合に、新たな所属を通知するために、応答メッセージをネットワーク内にブロードキャスト送信しても良い。

0109

図14Aは、第2実施形態で使用される無線基地局の概略ブロック図である。無線基地局30は、送受信部31と、経路制御テーブル32と、経路判別部33と、パケット解析部35と、ロケーションテーブル36を有する。任意で、コストテーブル21とチャネルモニタ部22を含むコスト計算部20を有してもよい。

0110

送受信部31は、特定の宛先に宛てられたパケットや、上述した問合せメッセージ、応答メッセージなどを送受信する。パケット解析部35は、受信したパケットに含まれる送信元アドレスまたは宛先アドレスをチェックする。ロケーションテーブル36は、上述したように、たとえば図7に示すテーブルである。

0111

経路制御テーブル32は、たとえば、図14Bに示すように、宛先の無線端末が所属する無線基地局と、その無線基地局へパケットを送るための次の転送先ノードとを関連付けて記録する。図14Bは、図13のネットワークにおける無線基地局Bが保持する経路制御テーブルの例である。宛先側の無線基地局の代わりに、送信元の無線端末が所属する無線基地局と、その無線基地局からパケットが送られてきた場合に次に転送すべきノードとを関連付けて記録したテーブルとしてもよい。

0112

経路判別部33は、パケット解析部35により得られた送信元アドレスまたは宛先アドレスから、ロケーションテーブル36を参照して、送信元または宛て先の無線端末が現在所属する無線基地局を特定する。そして、経路制御テーブル32を参照して、次のパケットの転送先を判別し、送受信部31を介して、転送先(次ノード)へ転送する。

0113

このように、第2実施形態では、既存の無線端末や処理能力の低い無線端末、バッテリーに制限がある無線端末などに、OLSRのような自律的経路制御プロトコルを処理する機能を追加、搭載する必要がない。無線基地局が無線端末を代理して経路制御することで、動的に選択される最適な経路を使用して、自律的にネットワーク間で通信することが可能になる。また、ネットワークを構成する無線基地局と、それに所属する無線端末との対応関係を、各無線基地局が交換、管理するので、特別な所在管理用のノードを設置する必要がない。結果として、所在管理ノードへの負荷の集中が回避され、また、所在管理用ノードが故障することによるネットワークの停止を回避することが可能になる。

0114

上記では、OLSRを経路制御方式として使用したが、第2実施形態の手法は、DSR(Dynamic Source Routing)、AODV(Ad hoc On Demand Vector)、TBRPF(Topology Broadcast Reverse Path Forwarding)、OSPF(Open Shortest Path First)など、その他の経路制御プロトコルへも適用可能である。

0115

また、IEEE802.11規格の無線LANを例にとって説明したが、これに限られず、WCDMAや次世代無線通信方式の無線ネットワークにも適用可能である。さらに、各無線基地局にインターフェイスとプロトコル変換機能を持たせることにより、異なる通信方式のネットワークが混在する無線パケット網にも、第2実施形態の手法を適用することができる。

0116

無線基地局30は、上述した既存の経路制御プロトコルに代えて、あるいはそれとともに、第1実施形態の手法で、リンクコストに基づく転送ツリーを動的に生成し、使用することもできる。この場合は、経路制御テーブル32に代えて、あるいはそれに追加して、図4に示すツリーテーブルを有してもよい。転送ツリーを併用した場合のツリーの判別方法は、第1実施形態と同様である。

0117

また、第2実施形態のパケット転送において、上述した種々の経路制御プロトコルによる転送経路を示すID情報をパケットに含めてもよい。あるいは、パケットの送信元または宛て先の無線端末が所属する無線基地局のアドレス情報をパケットに含めてもよい。この場合は、たとえば、配下の無線端末から最初にパケットを受け取った無線基地局が、自局のアドレス、または宛先の無線端末が所属する無線基地局のアドレスをパケットに書き込む。この構成では、中継となる各無線基地局は、自己が有するロケーションテーブルを参照することなく、経路制御テーブルから次の転送先を特定して、パケットを中継することができる。

0118

次に、図15図23を参照して、本発明の第3実施形態に係るパケット転送経路最適化方法を説明する。第3実施形態では、無線ネットワークで最適な経路を決定するために、リンクコスト計算の際に、伝送速度の値に加えて、パケット長(より具体的にはパケットのペイロード長)を加味する。

0119

図15は、IEEE802.11aにおける無線フレーム構成を示す図である。多くの無線システムにおいて、パケットは、固定長ヘッダと、可変長ペイロードで構成される。パケット送信時のネゴシエーション時間やヘッダ部分の送信時間は、実データの転送時間に対するオーバーヘッドとなる。このオーバーヘッドは、伝送速度とペイロード長に応じて変化し、パケット転送の際には、オーバーヘッドが少ないほうが望ましい。

0120

図15の例では、1つのフレームを送るたびに、SIFS(Short Inter Frame Spacing)と呼ばれる短い待ち時間の後、確認応答であるAckフレーム受け取りバック
フタイムを選択するためのCW(Contention Window)期間を経て、次のフレームを送信する。今、ペイロードをxバイト、データレートをkMbpsとすると、フレーム中のヘッダ伝送時間は約20μs、ペイロードの伝送時間は8x/k[μs]、SIFSは約16μs、Ack伝送時間は(16+134/k)μs程度、CW期間は101.5μs程度となる。すなわち、1フレームに必要な伝送時間は、おおよそ
[(20+16+16+101.5)+(8x+134)/k]μs
となる。

0121

データの伝送速度を表わすk(メガビット)の値は、無線基地局(アクセスポイント)間の電波環境に応じて採用される変調方式や符号化率によって異なる。たとえば、電波が強い場合はビットレートが高くなり、電波が弱いとビットレートが低くなる。図14の例では、無線環境によって6Mbpsと27Mbpsの伝送速度が設定される。説明の便宜上、2つの伝送速度のみを用いるが、3以上の伝送速度が設定され得ることはいうまでもない。

0122

パケットのペイロードが1000バイトの場合(x=1000)は、上記計算式したがうと、6Mモードでパケットの転送に必要な時間は約1510μs、27Mモードでは約454μsとなる。

0123

パケットのペイロードが100バイトの場合(x=100)は、6Mモードでのパケット転送時間は約310μs、27Mモードでは約189μsになる。

0124

図16のように、無線基地局(アクセスポイント)間の無線状況によって、6Mbpsのデータレートで1ホップ転送する場合と、27Mbpsのデータレートで2ホップ転送する場合を考える。

0125

ペイロードが1000バイトのときに、6Mbpsの伝送路で1ホップ転送すると、1フレームを転送時間するのに、約1510μs×1hop=1510μsかかる。これをデータレートに換算すると、約5.3Mbpsになる。

0126

同じ1000バイトのペイロードを、27Mbpsの伝送路で2ホップ転送すると、1フレームの転送に要する時間は、約454μs×2hop=908μs、データレートに換算すると、約8.6Mbpsになる。すなわち、ペイロード長が大きいパケット(ロングパケット)は、ホップ数が多くなっても、送信ビットレートの高い経路を選択するほうが有利になる。

0127

一方、ペイロードが100バイトのときに、6Mモードで1ホップ転送すると、1フレームの転送に、約310μs×1hop=310μsかかり、データレートにすると約2.6Mbpsとなる。27Mモードで2ホップ転送すると、1フレームの転送に約189μs×2hop=378μs要し、データレートでは約1.9Mbpsになる。

0128

すなわち、ペイロード長が小さいパケット(ショートパケット)は、ヘッダ等の転送に要するオーバーヘッドの比率が高くなるため、低ビットレートであっても、ホップ数の少ない経路が有利となる。

0129

このように無線ネットワークで適応変調、符号化を行う場合、転送するパケットのペイロード長によって、最適な経路が異なってくる。そこで、第3実施形態では無線ネットワークを構成する無線基地局に、パケット長判断部と、パケット長に応じた最適経路を記載した複数のルーティングテーブルを持たせ、経路選択の基準として、伝送速度の他にパケット長も加味する。

0130

図17は、第3実施形態に係る無線基地局の概略ブロック図である。無線基地局50は、パケットを送受信する送受信部51と、中継パケットを受信したときにパケット長あるいはペイロード長を判断するパケット長判断部56と、パケット長が所定の基準以下の場合の経路を宛先に関連付けて格納するショートパケットテーブル57と、パケット長が所定の基準よりも大きい場合の経路を宛先に関連付けて格納するロングパケットテーブル58を有する。送受信部51は、パケット長判断部が判断したパケット長に応じて、ショートパケットテーブル57またはロングパケットテーブル58のいずれかを参照し、中継パケットを次ノードへ転送する。

0131

図17では、複数のルーティングテーブルの例として、ショートパケットテーブル57とロングパケットテーブル58を描いているが、パケット長の区分に応じて2以上のテーブルを有してもよい。

0132

コスト計算部60は、経路検索パケットやツリー作成パケットなどのリンクコスト要求パケットを受け取った場合に、自局とひとつ前のノードとの間の伝送速度に応じたリンクコストを、ショートパケット用とロングパケット用の2通りで計算する。そして、計算した2通りのリンクコストを、経路検索パケットやツリー作成パケットに書き込んで、近接ノードへ送信する。無線基地局50は、システムの最終的なコスト情報から選択された経路に基づいて、ショートパケットテーブル57とロングパケットテーブル58を適宜更新する。

0133

このような無線基地局50は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、移動局固定局を問わない。

0134

図18は、第3実施形態に係る無線基地局の動作を示すフローチャートである。無線基地局はパケットを受信すると(S1001)、パケット解析部55において、受信したパケットが自ノード宛か否かを判断する(S1002)。自ノードに宛てられたパケットである場合は(S1002でYES)、転送の必要がないので、この無線基地局で処理する(S1004)。パケットの宛先が他ノードである場合は(S1002でNO)、パケット判断部56は、パケット長あるいはペイロード長が所定の基準値、たとえば100バイト以下であるかどうかを判断する(S1003)。所定の基準値以下の場合は(S1003でYES)、無線基地局はショートパケットテーブル57を参照して、宛先に関連付けられた経路を選択し、次ノードへパケットを転送する(S1005)。パケット長あるいはペイロード長が所定の基準値を超える場合は(S1003でNO)、無線基地局はロングパケットテーブル58を参照して、宛先に関連付けられた経路を選択し、次ノードへパケットを転送する(S1006)。

0135

図19は、第3実施形態のパケット転送経路最適化方法が適用されるネットワーク構成例を示す。ネットワークは無線基地局A〜Fを含み、点線でつながっている2つのノード間が通信可能である。無線基地局A〜Fは、無線ブリッジとしてパケットの中継、転送を行う機能を有する。なお、図示はしないが、各無線基地局の配下に、中継機能を有しない端末装置が接続されていてもよい。

0136

図20Aは、図19のネットワークにおいて、無線基地局Eを宛先とするショートパケットの転送経路の例を示す図である。上述したように、ショートパケットでの転送は、ヘッダ等の転送にかかるオーバーヘッドの比率が高いので、送信回数(ホップ数)が少ない経路が有利である。無線基地局AからE宛のパケットを転送する場合は、A→F→Eの経路でホップ数を少なく抑える。無線基地局BからE宛のパケットを転送する場合も、B→C→Eとホップ数を少なくして転送する。Dからは、近接ノードとしてのEへ直接転送する。

0137

図20Bは、図19のネットワークにおいて、無線基地局Eを宛先とするロングパケットの転送経路の例を示す図である。ロングパケットの場合、データ送信時間に対するオーバーヘッドの比率が小さいため、ホップ数が増えても送信ビットレートの高い経路を選択するのが有利である。無線基地局AからEへパケットを転送する場合は、送信ビットレートの高い区間を選択して、トータルの送信時間が最も小さくなるA→B→C→D→Eをいう経路を選択する。無線基地局FからEへ転送する場合、図20Bの例ではF→Eという経路が選択されている。もっとも、無線状況に応じて、たとえばF→D→Eという経路の方が、転送時間が短くなる(すなわちビットレートが高くなる)場合は、後者の経路を選択する。

0138

図21Aは、無線基地局Aが有するルーティングテーブルの一例としてのショートパケットテーブルを、図21Bはロングパケットテーブルを示す図である。それぞれ宛先アドレスと対応付けて、宛先までのすべての中継ノードが記載されている。

0139

図22Aは、無線基地局Aが有するルーティングテーブルの別の例としてのショートパケットテーブルを、図22Bはロングパケットテーブルを示す図である。それぞれ宛先アドレスに対応付けて、転送すべき次ノードが記載されている。

0140

図23は、図21および図22に示すルーティングテーブルを作成するためのリンクコスト計算の例を示す図である。現在の無線状況に応じて、各ノード間のリンクに、6Mbpsまたは27Mbpsの伝送速度が設定されている。

0141

無線基地局AからEへパケットを転送する場合、無線基地局Aは、たとえば経路検索パケットを近接するノードへ送信する。ノードFとノードBが経路検索パケットを受けとり、それぞれ、ひとつ前のノードAから自局までのコストを、ショートパケットとロングパケットの双方の場合について計算し、計算結果をパケットに書き込む。ノードFでは、AF間の現在の伝送速度に基づき、ショートパケットでは310μs、ロングパケットでは1510μsとコスト計算し、この値を経路検索パケットに書き込む。同様にして、ノードBでも、AB間の伝送速度に基づいて、ショートパケットでは189μs、ロングパケットでは454μsと計算して、これらの値を経路検索パケットに書き込む。

0142

ノードFからの経路検索パケットを受けとったノードEは、FE間のコストをショートパケットとロングパケットの2通りで計算し、AF間のコストに加算する。同様に、ノードBからの経路検索パケットを受けとったノードCは、BC間のコストをショートパケットとロングパケットの2通りで計算し、AB間のコストに加算する。これを順次繰り返すと、AからEへパケットを転送するのに、たとえば
経路1:A→F→E
経路2:A→B→C→E
経路3:A→B→C→D→E
という経路をとり得る。経路検索パケットがEに到達した時点で、上記経路の各々について、ショートパケットのときのトータルのコストと、ロングパケットのときのトータルのコストが算出される。ショートパケットの場合は、コスト1が620μsと最も安く、伝送速度は低いがホップ数の少ない経路1が最適経路として選択される。ロングパケットの場合は、コスト3が1816μsと最も安く、ホップ数は多いが伝送速度の高い経路3が最適経路として選択される。

0143

ショートパケットとロングパケットのそれぞれに関して選択された最適経路は、すべてのノードに通知され、各ノードでショートパケットテーブルおよびロングパケットテーブルが更新される。この後、無線基地局Aがデータパケットを送信するときに、ショートパケットを送る場合は、ショートパケットテーブルを参照して、テーブルに次ノードとして記載されたノードFに転送する。ロングパケットを送信する場合は、ロングパケットテーブルを参照して、次ノードとして記載されたノードBに転送する。

0144

図23では、経路検索パケットで最適経路のためのリンクコストを計算する例を説明したが、第1実施形態のように、ネットワーク内で1または2以上の転送ツリーを用いる構成に、第3実施形態の最適経路の決定方法を適用することも可能である。この場合は、ルート局からのツリー作成パケットに、ショートパケット用のリンクコストとロングパケット用のリンクコストの双方を書き込んで、近接ノードへツリー作成パケットを転送し、最終的に選択された非ループの転送ツリーを各ノードに通知することになる。
各ノード(無線基地局)は、ショートパケットについての転送ツリーテーブルと、ロングパケットについての転送ツリーテーブルを有することになる。

0145

第3実施形態のパケット転送経路の最適化の手法を、IEEE802.11a規格を例にとって説明したが、これに限定されず、任意の方式のシステムでも、同様の手法でリンクコストを計算し、伝送速度およびパケット長を考慮した最適なパケット転送経路を決定することができる。また、パケット長(ペイロード長)を3段階以上に分類してリンク計算を行ってもよい。

0146

第3実施形態によれば、位置、時間によってネットワークトポロジや無線状況が変化するアドホックな無線ネットワークで、送受信されるパケット長に応じて、最適なパケット転送経路が選択される。

0147

以上説明した、第1実施形態から第3実施形態の手法を、独立に用いることも、互いに組み合わせることも可能である。

0148

いずれの実施形態も、自律的に構成される無線ネットワーク内で、負荷の集中を防止し、最適な無線経路でパケットを転送することができる。また、既存の無線端末に追加機能の搭載を要請せずに、自律的な無線ネットワークへの参加を可能にする。

図面の簡単な説明

0149

従来の有線ネットワークにおける非ループ転送ツリーを用いたパケット転送を示す図である。
従来の無線ネットワークにおける単一ルート局からの転送ツリーを用いたパケット転送を示す図である。
本発明の第1実施形態に係るパケット転送システムの概要を示す図であり、複数の無線基地局をルート局として、複数の転送ツリーを用いるパケット転送を説明するための図である。
ネットワーク上の各無線基地局が保持するツリーテーブルの構成例を示す図である。
図3のネットワークで用いられるパケットのアドレス部分のフォーマット例を示す図である。
第1実施形態において複数局をルート局とする転送ツリーの構成例を示す図である。
パケット転送に使用する転送ツリーを判別する第1の方法を説明するための図であり、各部線基地局が有するロケーションテーブルの構成例を示す図である。
各無線基地局における学習テーブルの作成例を示す図である。
パケット転送に使用する転送ツリーを判別する第3の方法を説明するための図であり、パケットのヘッダ部分の追加フィールドの構成例を示す図である。
パケット転送に使用する転送ツリーを判別する第3の方法を説明するための図であり、パケットのヘッダ部分の追加フィールドの構成例を示す図である。
第1実施形態に係る転送ツリーの作成に使用されるリンクのコスト一覧を示す図である。
従来のリンクコスト一覧を示す図である。
転送ツリー作成手順の一例を示す図である。
第1実施形態に係る無線基地局の構成例を示す図である。
第1実施形態に係る無線基地局の構成例を示す図である。
本発明の第2実施形態に係るパケット転送システムを説明するための図である。
第2実施形態に係る無線基地局のブロック図である。
第2実施形態の基地局で用いられる経路制御テーブルの一例を示す図である。
本発明の第3実施形態に係るパケット転送経路最適化方法を説明するための図であり、無線フレームの構成例を示す図である。
ペイロード長と最適経路の関係を説明するための図である。
第3実施形態に係る無線基地局のブロック図である。
第3実施形態に係るパケット長に応じた経路制御を示すフローチャートである。
第3実施形態に適用されるネットワーク構成例を示す図である。
ショートパケットの転送経路の一例を示す図である。
ロングパケットの転送経路の一例を示す図である。
すべての中継ノードを記載した経路制御テーブルの一例としてのショートパケットテーブルの図である。
すべての中継ノードを記載した経路制御テーブルの一例としてのロングパケットテーブルの図である。
次ノードのみを記載した経路制御テーブルの一例としてのショートパケットテーブルの図である。
次ノードのみを記載した経路制御テーブルの一例としてのロングパケットテーブルの図である。
第3実施形態に係るコスト計算の例を示す図である。

符号の説明

0150

10A、10B、30、50無線基地局
11、31、51送受信部
12ツリーテーブル
13A、13Bツリー判別部
14、35、55パケット解析部
16、36ロケーションテーブル
20、60コスト計算部
32経路制御テーブル
56パケット長判別部
57ショートパケットテーブル(経路制御テーブル)
58ロングパケットテーブル(経路制御テーブル)

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