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技術 押込み試験機における試験管理方法及び押込み試験機

出願人 株式会社ミツトヨ
発明者 澤健司川添勝岡部憲嗣
出願日 2007年8月13日 (12年10ヶ月経過) 出願番号 2007-210818
公開日 2009年3月5日 (11年4ヶ月経過) 公開番号 2009-047427
状態 特許登録済
技術分野 機械的応力負荷による材料の強さの調査
主要キーワード 押圧力付与 試験誤差 可動極 最大試験力 加熱冷却機構 押込み試験 荷重レバー クリープ変形量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年3月5日)のものです。
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図面 (12)

課題

押込み試験機による測定値信頼性を確保するための押込み試験機における試験管理方法と、その試験管理方法を用いて試料材料特性の評価を管理する押込み試験機と、を提供する。

解決手段

押込み試験機100において、所定の基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定し、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(試料の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出し、当該試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断するとともに、所定の基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定し、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(試料の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出し、当該試験誤差に基づいて、基準片以外の試料Sにおける試験結果を補正するよう構成した。

概要

背景

従来、材料試験機として、例えば、試料表面に圧子軸押込んでくぼみを形成させることによって、材料の硬さ等の物性値を測定する押込み試験機が知られている。具体的には、例えば、押込み試験機は、試料表面に圧子軸の先端を押込んだ際の押込み深さ(圧子軸の変位量)を変位計によって測定し、その測定した押込み深さと、試料表面に圧子軸を押込んだ際の試験力負荷荷重)と、の関係を求めて、試料の硬さ等の物性値を測定するようになっている。

ところで、現在、様々な機械構造物において、プラスチック薄膜材料は不可欠な構成素材となっている。最近では、これらの材料を高温環境で用いることが多く、材料開発や評価の一助として、高温での材料特性を把握したいという要求が増加している。
一方、ビッカースなどの押込み硬さ試験一種で、その押込み過程において、試験力と押込み深さとを逐一計測し、得られた試験力−押込み深さ曲線解析することによって材料の様々な機械的性質を求める計装化押込み試験は、プラスチックや薄膜材料の評価として最適で、試験方法標準化に向けての研究も推進されており、市場での認知度も増加してきた。特に、押込み深さの小さいものは、ナノインデンテーション超微小硬さ試験などと称され、薄膜評価法として注目されている。
上記のような要求に対応するために、計装化押込み試験機には、例えば、試料台を加熱する試料台ヒータ試料加熱装置)が取り付けられ、試料台ヒータにより試料台を加熱することによって、試料台に載置された試料が加熱されるようになっている。

計装化押込み試験機に限らず、試料台ヒータが取り付けられた押込み試験機においては、試料の硬さ等の測定中に、加熱された試料に接触することによって、或いは、加熱された試料台が試料台近傍の空気を加熱することによって、圧子軸も加熱されて熱膨張してしまう。また、高温雰囲気の影響により押込み試験機構成部材試験機フレーム等)も熱膨張してしまう。このように圧子軸や押込み試験機構成部材が熱膨張すると、正確な押込み深さの値(測定値)が得られないという問題がある。

そこで、例えば、圧子軸と、圧子軸が中央に取り付けられた両持ち梁と、両持ち梁を支持する両持ち梁用支持部と、を有する押込み試験機において、押込み試験機構成部材である両持ち梁及び両持ち梁用支持部のうちの少なくとも一方が熱膨張係数の小さい材料(具体的には、スーパーインバー)によって形成されている押込み試験機(例えば、特許文献1参照)等が提案されている。

また、例えば、試料を保持する保持部(試料台)及び試料を加熱する加熱部(試料台ヒータ)と圧子部分とを不活性ガス雰囲気中で収容する伸縮性容器と、試料に荷重負荷を与える負荷機構及びその負荷を計測する負荷計測手段と負荷による試料への圧子の押込み量を計測する変位計とを収容する容器と、を導入部で連結することによって、試料を加熱する試料台ヒータの熱源から負荷機構や変位計への熱伝導熱対流による熱的影響を低減して、押込み深さの値(測定値)への熱的影響を小さくする手法(例えば、特許文献2参照)等も提案されている。
特開2004−12178号公報
特開2002−181679号公報

概要

押込み試験機による測定値の信頼性を確保するための押込み試験機における試験管理方法と、その試験管理方法を用いて試料の材料特性の評価を管理する押込み試験機と、を提供する。押込み試験機100において、所定の基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定し、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(試料の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出し、当該試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断するとともに、所定の基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定し、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(試料の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出し、当該試験誤差に基づいて、基準片以外の試料Sにおける試験結果を補正するよう構成した。

目的

本発明の課題は、押込み試験機による測定値の信頼性を確保するための押込み試験機における試験管理方法と、測定値の信頼性を確保できる押込み試験機と、を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
2件

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請求項1

制御部を備え、荷重負荷された圧子を加熱又は冷却された試料の表面に押し付けくぼみを形成する押込み試験機における試験管理方法において、所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する基準片測定ステップと、前記制御部が、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差を算出する算出ステップと、前記制御部が、当該試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断する判断ステップと、を備えることを特徴とする押込み試験機における試験管理方法。

請求項2

制御部を備え、荷重が負荷された圧子を加熱又は冷却された試料の表面に押し付けてくぼみを形成する押込み試験機における試験管理方法において、所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する基準片測定ステップと、前記制御部が、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差を算出する算出ステップと、前記制御部が、当該試験誤差に基づいて、前記基準片以外の試料における試験結果を補正する補正ステップと、を備えることを特徴とする押込み試験機における試験管理方法。

請求項3

請求項1又は2に記載の押込み試験機における試験管理方法において、前記基準片は、石英ガラス、単結晶石英セラミックス単結晶アルミナ及び低熱膨張合金のうちの何れかによって形成されていることを特徴とする押込み試験機における試験管理方法。

請求項4

請求項1〜3の何れか一項に記載の押込み試験機における試験管理方法において、前記押込み試験機は、前記試料を加熱冷却する加熱冷却機構が取り付けられた計装化押込み試験機又はロックウェル硬さ試験機であることを特徴とする押込み試験機における試験管理方法。

請求項5

荷重が負荷された圧子を加熱又は冷却された試料の表面に押し付けてくぼみを形成する押込み試験機において、所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する基準片測定手段と、当該試験結果に基づいて、試料の温度に対する当該押込み試験機全体の熱膨張に伴う試験誤差を算出する算出手段と、当該試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断する判断手段と、を備えることを特徴とする押込み試験機。

請求項6

荷重が負荷された圧子を加熱又は冷却された試料の表面に押し付けてくぼみを形成する押込み試験機において、所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する基準片測定手段と、当該試験結果に基づいて、試料の温度に対する当該押込み試験機全体の熱膨張に伴う試験誤差を算出する算出手段と、当該試験誤差に基づいて、前記基準片以外の試料における試験結果を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする押込み試験機。

請求項7

請求項5又は6に記載の押込み試験機において、前記基準片は、石英ガラス、単結晶石英、セラミックス、単結晶アルミナ及び低熱膨張合金のうちの何れかによって形成されていることを特徴とする押込み試験機。

請求項8

請求項5〜7の何れか一項に記載の押込み試験機において、当該押込み試験機は、前記試料を加熱冷却する加熱冷却機構が取り付けられた計装化押込み試験機又はロックウェル硬さ試験機であることを特徴とする押込み試験機。

技術分野

0001

本発明は、押込み試験機における試験管理方法及び押込み試験機に関する。

背景技術

0002

従来、材料試験機として、例えば、試料表面に圧子軸押込んでくぼみを形成させることによって、材料の硬さ等の物性値を測定する押込み試験機が知られている。具体的には、例えば、押込み試験機は、試料表面に圧子軸の先端を押込んだ際の押込み深さ(圧子軸の変位量)を変位計によって測定し、その測定した押込み深さと、試料表面に圧子軸を押込んだ際の試験力負荷荷重)と、の関係を求めて、試料の硬さ等の物性値を測定するようになっている。

0003

ところで、現在、様々な機械構造物において、プラスチック薄膜材料は不可欠な構成素材となっている。最近では、これらの材料を高温環境で用いることが多く、材料開発や評価の一助として、高温での材料特性を把握したいという要求が増加している。
一方、ビッカースなどの押込み硬さ試験一種で、その押込み過程において、試験力と押込み深さとを逐一計測し、得られた試験力−押込み深さ曲線解析することによって材料の様々な機械的性質を求める計装化押込み試験は、プラスチックや薄膜材料の評価として最適で、試験方法標準化に向けての研究も推進されており、市場での認知度も増加してきた。特に、押込み深さの小さいものは、ナノインデンテーション超微小硬さ試験などと称され、薄膜評価法として注目されている。
上記のような要求に対応するために、計装化押込み試験機には、例えば、試料台を加熱する試料台ヒータ試料加熱装置)が取り付けられ、試料台ヒータにより試料台を加熱することによって、試料台に載置された試料が加熱されるようになっている。

0004

計装化押込み試験機に限らず、試料台ヒータが取り付けられた押込み試験機においては、試料の硬さ等の測定中に、加熱された試料に接触することによって、或いは、加熱された試料台が試料台近傍の空気を加熱することによって、圧子軸も加熱されて熱膨張してしまう。また、高温雰囲気の影響により押込み試験機構成部材試験機フレーム等)も熱膨張してしまう。このように圧子軸や押込み試験機構成部材が熱膨張すると、正確な押込み深さの値(測定値)が得られないという問題がある。

0005

そこで、例えば、圧子軸と、圧子軸が中央に取り付けられた両持ち梁と、両持ち梁を支持する両持ち梁用支持部と、を有する押込み試験機において、押込み試験機構成部材である両持ち梁及び両持ち梁用支持部のうちの少なくとも一方が熱膨張係数の小さい材料(具体的には、スーパーインバー)によって形成されている押込み試験機(例えば、特許文献1参照)等が提案されている。

0006

また、例えば、試料を保持する保持部(試料台)及び試料を加熱する加熱部(試料台ヒータ)と圧子部分とを不活性ガス雰囲気中で収容する伸縮性容器と、試料に荷重負荷を与える負荷機構及びその負荷を計測する負荷計測手段と負荷による試料への圧子の押込み量を計測する変位計とを収容する容器と、を導入部で連結することによって、試料を加熱する試料台ヒータの熱源から負荷機構や変位計への熱伝導熱対流による熱的影響を低減して、押込み深さの値(測定値)への熱的影響を小さくする手法(例えば、特許文献2参照)等も提案されている。
特開2004−12178号公報
特開2002−181679号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、圧子軸を熱膨張係数の小さい材料で形成したり、特許文献1のように押込み試験機構成部材を熱膨張係数の小さい材料で形成したりしても、少なからず熱膨張してしまう。さらに、その熱膨張の程度が明らかでないため、測定値が信頼できるか否かを判断することができない。
また、特許文献2のように、試料台、試料台ヒータ及び圧子と、負荷機構、負荷計測手段及び変位計と、を別個の容器に収容しても、試料台や圧子(圧子軸)の熱膨張は抑えられない。さらに、その熱膨張の程度が明らかでないため、測定値が信頼できるか否かを判断することができない。

0008

本発明の課題は、押込み試験機による測定値の信頼性を確保するための押込み試験機における試験管理方法と、測定値の信頼性を確保できる押込み試験機と、を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
制御部を備え、荷重が負荷された圧子を加熱又は冷却された試料の表面に押し付けてくぼみを形成する押込み試験機における試験管理方法において、
所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する基準片測定ステップと、
前記制御部が、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差を算出する算出ステップと、
前記制御部が、当該試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断する判断ステップと、
を備えることを特徴とする。

0010

請求項2に記載の発明は、
制御部を備え、荷重が負荷された圧子を加熱又は冷却された試料の表面に押し付けてくぼみを形成する押込み試験機における試験管理方法において、
所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する基準片測定ステップと、
前記制御部が、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差を算出する算出ステップと、
前記制御部が、当該試験誤差に基づいて、前記基準片以外の試料における試験結果を補正する補正ステップと、
を備えることを特徴とする。

0011

請求項3に記載の発明は、
請求項1又は2に記載の押込み試験機における試験管理方法において、
前記基準片は、石英ガラス、単結晶石英セラミックス単結晶アルミナ及び低熱膨張合金のうちの何れかによって形成されていることを特徴とする。

0012

請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3の何れか一項に記載の押込み試験機における試験管理方法において、
前記押込み試験機は、前記試料を加熱冷却する加熱冷却機構が取り付けられた計装化押込み試験機又はロックウェル硬さ試験機であることを特徴とする。

0013

請求項5に記載の発明は、
荷重が負荷された圧子を加熱又は冷却された試料の表面に押し付けてくぼみを形成する押込み試験機において、
所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する基準片測定手段と、
当該試験結果に基づいて、試料の温度に対する当該押込み試験機全体の熱膨張に伴う試験誤差を算出する算出手段と、
当該試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする。

0014

請求項6に記載の発明は、
荷重が負荷された圧子を加熱又は冷却された試料の表面に押し付けてくぼみを形成する押込み試験機において、
所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する基準片測定手段と、
当該試験結果に基づいて、試料の温度に対する当該押込み試験機全体の熱膨張に伴う試験誤差を算出する算出手段と、
当該試験誤差に基づいて、前記基準片以外の試料における試験結果を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする。

0015

請求項7に記載の発明は、
請求項5又は6に記載の押込み試験機において、
前記基準片は、石英ガラス、単結晶石英、セラミックス、単結晶アルミナ及び低熱膨張合金のうちの何れかによって形成されていることを特徴とする。

0016

請求項8に記載の発明は、
請求項5〜7の何れか一項に記載の押込み試験機において、
当該押込み試験機は、前記試料を加熱冷却する加熱冷却機構が取り付けられた計装化押込み試験機又はロックウェル硬さ試験機であることを特徴とする。

発明の効果

0017

請求項1若しくは5に記載の発明によれば、所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定し、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(試料の温度に対する押込み試験機全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出し、当該試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断するようになっている。
したがって、基準片を用いて、温度環境による試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを検査することができるため、押込み試験機による、高温試料又は低温試料に対する測定値の信頼性を確保することができる。

0018

請求項2若しくは6に記載の発明によれば、所定の基準片を試料として用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定し、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(試料の温度に対する押込み試験機全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出し、当該試験誤差に基づいて、基準片以外の試料における試験結果を補正するようになっている。
したがって、温度環境による試験誤差を考慮して、試料における試験結果を補正することができるため、押込み試験機による、高温試料又は低温試料に対する測定値の信頼性を確保することができる。

0019

請求項3若しくは7に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明若しくは請求項5又は6に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、基準片は、石英ガラス、単結晶石英、セラミックス、単結晶アルミナ及び低熱膨張合金のうちの何れかによって形成されている。
したがって、基準片は、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いと比較して、熱膨張の度合いが無視できるほど小さいため、正確な温度環境による試験誤差(試料の温度に対する押込み試験機全体の熱膨張に伴う試験誤差)を測定することができる。

0020

請求項4若しくは8に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明若しくは請求項5〜6の何れか一項に記載の発明と同様に効果が得られることは無論のこと、押込み試験機は、試料を加熱冷却する加熱冷却機構が取り付けられた計装化押込み試験機又はロックウェル硬さ試験機である。
したがって、基準片を用いて、温度環境による試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを検査したり、温度環境による試験誤差を考慮して、試料における試験結果を補正したりすることによって、押込み深さを計測する押込み試験機(計装化押込み試験機又はロックウェル硬さ試験機)による、高温試料又は低温試料に対する測定値の信頼性を確保することができて、好都合である。

発明を実施するための最良の形態

0021

以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。

0022

[押込み試験機の全体構成]
本発明の押込み試験機100は、例えば、制御部200を備え、荷重が負荷された圧子4を加熱又は冷却された試料Sの表面に押し付けてくぼみを形成する試験機である。
具体的には、押込み試験機100は、試料Sを加熱冷却する加熱冷却機構としての加熱冷却装置3が取り付けられた計装化押込み試験機である。

0023

より具体的には、押込み試験機100には、例えば、図1及び図2に示すように、制御部200と、各構成部材が配設される試験機本体1と、が備えられており、この試験機本体1は、試料SをX,Y,Z方向に移動させるXYZステージ2と、試料Sを加熱又は冷却する加熱冷却装置3と、試料Sにくぼみを形成する圧子4を一端に有する荷重レバー5と、荷重レバー5に所定の押圧力を付与する押圧力付与部6と、圧子4の変位量を検出する圧子変位検出部7と、加熱冷却装置3から負荷機構(荷重レバー5など)や圧子変位検出部7への熱的影響を低減する熱遮蔽部8と、表示部300と、操作部400と、などを備えて構成される。

0024

(XYZステージ)
XYZステージ2は、例えば、制御部200から入力される制御信号に従って、X,Y,Z方向(すなわち、水平方向及び垂直方向)に移動するよう構成されている。XYZステージ2上には加熱冷却装置3が載置されており、XYZステージ2は、加熱冷却装置3をX,Y,Z方向に移動させることによって、加熱冷却装置3上に載置された試料SをX,Y,Z方向に移動させる。

0025

(加熱冷却装置)
加熱冷却装置3は、XYZステージ2上に載置されており、例えば、制御部200から入力される制御信号に従って、加熱冷却装置3上に載置された試料Sを加熱又は冷却するよう構成されている。
試料Sを加熱又は冷却する際、制御部200は、例えば、加熱冷却装置3に通電するようになっている。具体的には、例えば、加熱冷却装置3における試料Sの近傍には温度センサ31が設けられており、この温度センサ31が検出した温度に基づいて、制御部200は、加熱冷却装置3が試料Sを適度な温度で加熱又は冷却するように通電を制御する。

0026

(荷重レバー)
荷重レバー5は、例えば、略棒状に形成されており、中央部付近を十字バネ5aを介して台座上に固定されている。
荷重レバー5の一端には、加熱冷却装置3上に載置された試料Sの上方から試料Sに対して接離自在に設けられ、試料Sの表面に押し付けて試料Sの表面にくぼみを形成する圧子4が設けられている。
また、荷重レバー5の他端には、押圧力付与部6を構成するフォースコイル6aが設けられている。

0027

(押圧力付与部)
押圧力付与部6は、例えば、フォースモータであり、荷重レバー5に取り付けられたフォースコイル6aと、フォースコイル6aに対向するように固定された固定磁石6bと、などを備えて構成される。
押圧力付与部6は、例えば、制御部200から入力される制御信号に従って、固定磁石6bがギャップにつくる磁界と、ギャップの中に設置されたフォースコイル6aに流れる電流と、の電磁誘導により発生する力を駆動力として用い、荷重レバー5を回動させる。これにより、荷重レバー5の圧子4側の端部は下方に傾き、圧子4は試料Sに押し込まれることになる。

0028

(圧子変位検出部)
圧子変位検出部7は、例えば、静電容量式変位センサであり、荷重レバー5の圧子4側の端部に設けられた可動極板7aと、可動極板7aと対向するように固定された固定極板7bと、などを備えて構成される。
圧子変位検出部7は、例えば、可動極板7aと固定極板7bとの間の静電容量の変化を検出することによって、圧子4が試料Sにくぼみを形成する際に移動した変位量(圧子4を試料Sに押し込んだ際の押込み深さ)を検出し、この検出した変位量に基づく変位信号を制御部200に出力する。
なお、圧子変位検出部7として、静電容量式変位センサを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、光学式変位センサうず電流変位センサであっても良い。

0029

(熱遮蔽部)
熱遮蔽部8は、加熱冷却装置3から負荷機構(荷重レバー5など)や圧子変位検出部7への熱伝導や熱対流による熱的影響を低減するために設けられており、例えば、加熱冷却装置3と荷重レバー5との間に配置されている。

0030

(表示部)
表示部300は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等から構成され、制御部200から入力される表示信号に従って所与表示処理を行う。

0031

(操作部)
操作部400は、例えば、操作キー等から構成され、ユーザにより操作されると、当該操作に伴う操作信号を制御部200に出力する。また、操作部400は、必要に応じてマウスタッチパネルなどのポインティングデバイスや、リモートコントローラなど、その他の操作装置を備えるものとしても良い。

0032

具体的には、操作部400は、例えば、ユーザが、基準データを記憶するよう指示する際に操作される。
また、操作部400は、例えば、ユーザが、押込み試験機100のメンテナンスを行うよう指示する際に操作される。
また、操作部400は、例えば、ユーザが、基準片以外の試料Sを用いた押込み試験を行うよう指示する際に操作される。この際、ユーザは、操作部400を操作して、ユーザ所望試料温度も指示するようになっている。

0033

(制御部)
制御部200は、例えば、押込み試験機100の各部を制御したり押込み試験機100による試料Sの材料特性の評価を管理したりする。
具体的には、制御部200は、例えば、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)210と、RAM(Random Access Memory)220と、記憶部230と、などを備えて構成される。そして、制御部200は、システムバス及び駆動回路等を介して、XYZステージ2や、加熱冷却装置3、押圧力付与部6、圧子変位検出部7、表示部300、操作部400などと接続している。

0034

CPU210は、例えば、記憶部230に記憶された押込み試験機100用の各種処理プログラムに従って各種の制御動作を行う。

0035

RAM220は、例えば、CPU210によって実行される処理プログラムなどを展開するためのプログラム格納領域や、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果などを格納するデータ格納領域などを備える。

0036

記憶部230は、例えば、押込み試験機100で実行可能なシステムプログラム、当該システムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU210によって演算処理された処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部230に記憶されている。

0037

具体的には、記憶部230は、例えば、基準データ記憶ファイル231と、基準片測定プログラム232と、算出プログラム233と、判断プログラム234と、測定プログラム235と、補正プログラム236と、などを記憶している。

0038

基準データ記憶ファイル231は、例えば、算出プログラム233を実行したCPU210によって作成された基準データ(押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータ(後述))を記憶する。

0039

基準片測定プログラム232は、例えば、所定の基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する機能を、CPU210に実現させる。

0040

ここで、基準片は、例えば、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いと比較して、熱膨張の度合いが無視できるほど小さい材料で形成されていることが好ましく、例えば、石英ガラス、単結晶石英、セラミックス、単結晶アルミナ及び低熱膨張合金のうちの何れかによって形成されていることがより好ましく、硬度が比較的低い石英ガラス及び単結晶石英のうちの何れかによって形成されていることが最も好ましい。

0041

具体的には、CPU210は、例えば、操作部400から、基準データを記憶するよう指示する操作信号が入力されると、或いは、押込み試験機100のメンテナンスを行うよう指示する操作信号が入力されると、基準片を用いた押込み試験を行うため予め設定された所定の動作条件(例えば、加熱冷却装置3や押圧力付与部6の動作条件)に基づいて、加熱冷却装置3上に載置された基準片が所定の試料温度となるよう、加熱冷却装置3を制御するとともに、加熱冷却装置3上に載置された基準片に所定の試験力を与えるよう、押圧力付与部6を制御する。そして、CPU210は、例えば、くぼみ形成時における圧子4の試料Sへの押込み深さと、くぼみ形成時における試験力と、を逐一計測して、試験力−押込み深さ曲線を測定する。

0042

より具体的に、試験力−押込み深さ曲線を測定するための、押込み試験機100による基準片に対する押込み試験方法について説明する。
まず、基準片をXYZステージ2上に載置された加熱冷却装置3上に載置する。

0043

次いで、CPU210は、加熱冷却装置3によって、基準片を加熱又は冷却する。このとき、CPU210は、温度センサ31が検知した温度に基づいて、加熱冷却装置3による加熱又は冷却を制御する。

0044

次いで、CPU210は、押圧力付与部6のフォースコイル6aに所定の試験力に応じた電流を供給して、押圧力付与部6を動作させる。
これにより、押圧力付与部6は、荷重レバー5に所定の力を付与し、荷重レバー5を時計回りに回動させ、圧子4を試料Sの上方から試料Sの表面に対して押し付けて、試料Sの表面にくぼみを形成させる。

0045

くぼみの形成時においては、荷重レバー5を時計回りに回動させることで、設定した最大試験力に到達するまで圧子4に負荷する荷重を漸増させていく(荷重負荷工程)。
この荷重負荷工程では、図3(a)の試験力−押込み深さ曲線に示すように、圧子4に負荷する試験力を増加させることで、圧子4の試料Sへの押込深さも増加する。

0046

次いで、CPU210は、圧子4に負荷された荷重が最大試験力に到達したと判断すると、圧子4に負荷させる荷重を漸減させるために、フォースコイル6aへの電流の供給量を制御して、押圧力付与部6を動作させ、荷重レバー5の荷重を除荷する。これにより、圧子4に負荷された荷重は漸減されることとなる(荷重除荷工程)。
この荷重除荷工程では、図3(a)の試験力−押込み深さ曲線に示すように、圧子4に負荷する試験力を減少させることで、圧子4の試料Sへの押込深さも減少する。
このような方法で、押込み試験機100による基準片に対する押込み試験を行うことができる。

0047

そして、CPU210は、上述した基準片に対する押込み試験を複数の温度環境下で行って、複数の温度環境下での試験結果、すなわち、複数の温度環境下での試験力−押込み深さ曲線を測定する。ここで、複数の温度環境下とは、例えば、室温と、室温より高い温度及び/又は室温より低い温度と、における環境下である。
CPU210は、かかる基準片測定プログラム232を実行することによって、基準片測定手段として機能する。

0048

算出プログラム233は、例えば、基準片測定プログラム232を実行したCPU210により測定された試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差、すなわち試料S(基準片)の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差を算出する機能を、CPU210に実現させる。

0049

具体的には、CPU210は、例えば、基準片測定プログラム232を実行したCPU210により測定された試験結果に基づいて、押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差を算出して、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータを作成する。

0050

より具体的には、CPU210は、複数の温度環境下での試験力−押込み深さ曲線に基づいて、試験誤差、すなわち最大押込み深さの室温との差(Δ)を求める。
ここで、最大押込み深さとは、例えば、図3(a)に示すように、試験力が最大のときの押込み深さ、すなわち、荷重除荷工程に切り替るときの押込み深さのことである。例えば、図4(a)に示すように、室温での試験力−押込み深さ曲線を実線で示し、室温より高い温度T1での試験力−押込み深さ曲線を破線で示すと、T1における最大押込み深さの室温との差(Δ)は、Δ1になる。また、例えば、図4(b)に示すように、室温での試験力−押込み深さ曲線を実線で示し、室温より高い温度T2(例えば、T2>T1)での試験力−押込み深さ曲線を一点鎖線で示すと、T2における最大押込み深さの室温との差(Δ)はΔ2になる。

0051

次いで、CPU210は、例えば、図5に示すように、各温度について最大押込み深さの室温との差(Δ)をプロットして、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータを作成する。そして、CPU210は、操作部400から基準データを記憶するよう指示する操作信号が入力されて、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータを作成した場合は、このデータを基準データとして、基準データ記憶ファイル231に記憶させる。

0052

なお、図5では室温から室温より高い温度までの各温度について最大押込み深さの室温との差(Δ)をプロットして作成した押込み試験機100全体での熱膨張の度合いを示すデータを示したが、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータは、室温より低い温度から室温までの各温度について最大押込み深さの室温との差(Δ)をプロットして作成したデータであっても良いし、室温より低い温度から高い温度までの各温度について最大押し込み深さの室温との差(Δ)をプロットして作成したデータであっても良い。
また、試験誤差を、最大押込み深さ(h2)の室温との差(Δ)としたが、これに限ることはなく、試験誤差は、試験力−押込み深さ曲線から得られるパラメータの室温との差であれば任意である。試験力−押込み深さ曲線から得られるパラメータとしては、例えば、図3(b)に示すh1や、h3、hr、傾きC(=d(h2−hr)/dF)などが挙げられる。また、試験力−押込み深さ曲線から得られるパラメータとしては、例えば、規格(ISO14577)で規定されているパラメータ(マルテンス硬さ(HM:弾性変形塑性変形を合わせた変形に対する硬さ(最大押込み深さから算出)、HMS:弾性変形と塑性変形を合わせた変形に対する硬さ(負荷曲線(試験力−押込み深さ曲線)から算出))、押込み硬さ(HIT:塑性変形に対する硬さ(従来のビッカースと相関がある))、押込みクリープCIT:全変形量に占めるクリープ変形量の割合)、押込み係数EIT弾性係数縦弾性係数、すなわち、ヤング率と相関がある))、押込み仕事率(ηIT:押込み過程における全機械的仕事量に占める弾性変形の割合)等)や、押込み試験機100が独自で採用しているパラメータ、ユーザが独自で採用しているパラメータなどが挙げられる。
また、図5では押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータを直線(一次式)で近似して示したが、押込み試験機1全体の熱膨張の度合いを示すデータは、例えば、曲線(二次式)で近似して示しても良い。

0053

また、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータにエラーバーを付けたものを、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータとしても良い。
具体的には、CPU210は、例えば、基準片測定プログラム232を実行して、上述した基準片に対する押込み試験を同一の温度に対して繰り返し行うことによって各温度での試験力−押込み深さ曲線を複数測定する。そして、CPU210は、例えば、算出プログラム233を実行して、これらの試験力−押込み深さ曲線に基づいて各温度における最大押込み深さのばらつき(d)の大きさを求めて、例えば、図6に示すように、各温度について最大押込み深さのばらつき(d)の大きさをプロットして、ばらつきデータを作成する。次いで、CPU210は、例えば、図7に示すように、各温度について最大押込み深さの室温との差(Δ)の平均値をプロットして作成した押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータに、最大押込み深さのばらつきの大きさ(図6)を示すエラーバーを付けて、これを押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータとする。

0054

このようにして作成された押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータは、基準片が全く熱膨張しないことを前提として、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いをユーザに提示するために使用することができる。

0055

また、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータは、予め基準データ記憶ファイル231に記憶されたものと、操作部400から押込み試験機のメンテナンスを行うよう指示する操作信号が入力されて作成されたものと、を比較することによって、押込み試験機100のメンテナンスの指標として使用することができる。
CPU210は、かかる算出プログラム233を実行することによって、算出手段として機能する。

0056

判断プログラム234は、例えば、算出プログラム233を実行したCPU210により算出された試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断する機能を、CPU210に実現させる。

0057

具体的には、CPU210は、例えば、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データ(押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータ)と、操作部400から押込み試験機100のメンテナンスを行うよう指示する操作信号が入力されて作成された押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータと、を比較することによって、試料S(基準片)の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断する。
そして、CPU210は、例えば、その判断結果を、表示部300に表示させる。

0058

より具体的には、CPU210は、例えば、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データ(押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータ)に基づいて所定の範囲を決定し、操作部400から押込み試験機100のメンテナンスを行うよう指示する操作信号が入力されて作成された押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータが、当該決定した所定の範囲内にあるか否かを判断する。
ここで、所定の範囲内は、例えば、図8斜線で示す範囲内のように、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データ(押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータ(例えば、図5))に対して±数%の範囲内であっても良いし、例えば、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データ(押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータ(例えば、図7))のエラーバーの範囲内であっても良い。
CPU210は、かかる判断プログラム234を実行することによって、判断手段として機能する。

0059

測定プログラム235は、例えば、基準片以外の試料Sの試験結果を測定する機能を、CPU210に実現させる。

0060

具体的には、CPU210は、例えば、操作部400から、基準片以外の試料Sを用いた押込み試験を行うよう指示する操作信号が入力されると、基準片以外の試料Sを用いた押込み試験を行うため予め設定された所定の動作条件(例えば、加熱冷却装置3や押圧力付与部6の動作条件)に基づいて、加熱冷却装置3上に載置された試料Sがユーザ所望の試料温度となるよう、加熱冷却装置3を制御するとともに、加熱冷却装置3上に載置された試料Sに所定の試験力を与えるよう、押圧力付与部6を制御する。そして、CPU210は、例えば、くぼみ形成時における圧子4の試料Sへの押込み深さと、くぼみ形成時における試験力と、を逐一計測して、試験力−押込み深さ曲線を測定する。

0061

なお、試験力−押込み深さ曲線を測定するための、押込み試験機100による基準片以外の試料Sに対する押込み試験方法については、加熱冷却装置3上に載置する試料Sが基準片以外の試料Sである点及び試料Sの温度をユーザ所望の試料温度とする点以外は、上述した押込み試験機100による基準片に対する押込み試験方法と同じであるため、詳細な説明は省略する。

0062

補正プログラム236は、例えば、算出プログラム233を実行したCPU210により算出された試験誤差に基づいて、測定プログラム235を実行したCPU210により測定された基準片以外の試料Sにおける試験結果を補正する機能を、CPU210に実現させる。

0063

具体的には、CPU210は、例えば、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データ(押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータ)に基づいて、測定プログラム235を実行したCPU210により測定された基準片以外の試料Sにおける試験力−押込み深さ曲線を補正する。
そして、CPU210は、例えば、その補正結果を、表示部300に表示させる。

0064

ここで、基準片以外の試料Sにおける試験力−押込み深さ曲線の補正は、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データが、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いのみを示すデータであるということを前提として行われる。
基準片は熱膨張の度合いが小さいので、基準片の高温(低温)での硬さは室温での硬さと実質上差がなく、基準片のみの試験力−押込み深さ曲線の形は温度が変化しても変化しない。しかしながら、押込み試験機100全体は温度の影響を受けるため、この影響に起因して、基準片を用いた押込み試験により得た試験力−押込み深さ曲線の形は温度が変化すると変化する。したがって、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データは、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いのみを示すデータとなり、この基準データを用いて、基準片以外の試料Sにおける試験力−押込み深さ曲線の補正を行うこととする。

0065

より具体的には、CPU210は、例えば、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データ(押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータ)から、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを取得する。次いで、CPU210は、例えば、基準片以外の試料Sに対するくぼみ形成時における圧子4の試料Sへの押込深さから、取得した度合いを減算して、基準片以外の試料Sにおける試験力−押込み深さ曲線を補正する。
また、CPU210は、例えば、補正された試験力−押込み深さ曲線と、予め設定された押込み試験に対応する硬さ算出式と、に基づいて、試料Sの硬さを算出する。
CPU210は、かかる補正プログラム236を実行することによって、補正手段として機能する。

0066

[押込み試験機における試験管理方法]
本発明の押込み試験機100における試験管理方法について、図9図11フローチャートを参照して説明する。

0067

<基準データ記憶処理
押込み試験機100による基準データの記憶に関する処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。

0068

まず、CPU210は、ユーザによる操作部400の操作によって、基準データを記憶するよう指示されたか否かを判断する(ステップS1)。

0069

ステップS1で、基準データを記憶するよう指示されていないと判断すると(ステップS1;No)、CPU210は、ステップS1の処理を繰り返して行う。

0070

一方、ステップS1で、基準データを記憶するよう指示されたと判断すると(ステップS1;Yes)、CPU210は、基準片測定プログラム232を実行して、基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する(ステップS2(基準片測定ステップ))。すなわち、CPU210は、基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験力−押込み深さ曲線を測定する。

0071

次いで、CPU210は、算出プログラム233を実行して、当該測定された試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(すなわち、試料S(基準片)の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出して(ステップS3(算出ステップ))、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータを作成し(ステップS4)、当該作成されたデータを表示部300に表示させるとともに(ステップS5)、基準データ記憶ファイル231に記憶させて(ステップS6)、本処理を終了する。

0072

メンテナンス処理
押込み試験機100によるメンテナンスに関する処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。

0073

まず、CPU210は、ユーザによる操作部400の操作によって、押込み試験機100のメンテナンスを行うよう指示されたか否かを判断する(ステップS11)。

0074

ステップS11で、押込み試験機100のメンテナンスを行うよう指示されていないと判断すると(ステップS11;No)、CPU210は、ステップS11の処理を繰り返して行う。

0075

一方、ステップS11で、押込み試験機100のメンテナンスを行うよう指示されたと判断すると(ステップS11;Yes)、CPU210は、基準片測定プログラム232を実行して、基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定する(ステップS12(基準片測定ステップ))。すなわち、CPU210は、基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験力−押込み深さ曲線を測定する。

0076

次いで、CPU210は、算出プログラム233を実行して、当該測定された試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(すなわち、試料S(基準片)の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出して(ステップS13(算出ステップ))、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータを作成する(ステップS14)。

0077

次いで、CPU210は、判断プログラム234を実行して、当該作成された押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータと、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データ(押込み試験機1全体の熱膨張の度合いを示すデータ)と、を比較して、温度環境による試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断し(ステップS15(判断ステップ))、当該判断結果を表示部300に表示させて(ステップS16)、本処理を終了する。

0078

<押込み試験処理>
押込み試験機100による押込み試験に関する処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。

0079

まず、CPU210は、ユーザによる操作部400の操作によって、基準片以外の試料Sを用いた押込み試験を行うよう指示されたか否かを判断する(ステップS21)。

0080

ステップS11で、基準片以外の試料Sを用いた押込み試験を行うよう指示されていないと判断すると(ステップS21;No)、CPU210は、ステップS21の処理を繰り返して行う。

0081

一方、ステップS21で、基準片以外の試料Sを用いた押込み試験を行うよう指示されたと判断すると(ステップS21;Yes)、CPU210は、測定プログラム235を実行して、基準片以外の試料Sを用いて、ユーザ所望の温度環境下での試験結果を測定する(ステップS22)。すなわち、CPU210は、基準片以外の試料Sを用いて、ユーザ所望の温度環境下での試験力−押込み深さ曲線を測定する。

0082

次いで、CPU210は、補正プログラム236を実行して、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データ(押込み試験100全体の熱膨張の度合いを示すデータ)に基づいて、当該測定された試験結果を補正し(ステップS23(補正ステップ))、当該補正された試験結果を表示部300に表示させて(ステップS24)、本処理を終了する。

0083

以上説明した本発明の硬さ試験機100における試験管理方法及び硬さ試験機100によれば、所定の基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定し、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(試料S(基準片)の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出し、当該試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断するようになっている。
したがって、基準片を用いて、温度環境による試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを検査することができるため、押込み試験機100による、高温試料S又は低温試料Sに対する測定値の信頼性を確保することができる。

0084

また、本発明の硬さ試験機100における試験管理方法及び硬さ試験機100によれば、所定の基準片を試料Sとして用いて、複数の温度環境下での試験結果を測定し、当該試験結果に基づいて、温度環境による試験誤差(試料S(基準片)の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差)を算出し、当該試験誤差に基づいて、基準片以外の試料Sにおける試験結果を補正するようになっている。
したがって、温度環境による試験誤差を考慮して、基準片以外の試料Sにおける試験結果を補正することができるため、押込み試験機100による、高温試料S又は低温試料Sに対する測定値の信頼性を確保することができる。

0085

また、本発明の硬さ試験機100における試験管理方法及び硬さ試験機100によれば、基準片は、石英ガラス、単結晶石英、セラミックス、単結晶アルミナ及び低熱膨張合金のうちの何れかによって形成されている。
したがって、基準片は、押込み試験機100全体の熱膨張の度合いと比較して、熱膨張の度合いが無視できるほど小さいため、正確な温度環境による試験誤差(試料の温度に対する押込み試験機100全体の熱膨張に伴う試験誤差)を測定することができる。

0086

また、本発明の硬さ試験機100における試験管理方法及び硬さ試験機100によれば、押込み試験機100は、試料Sを加熱冷却する加熱冷却機構が取り付けられた計装化押込み試験機である。
例えば、計装化押込み試験機においては圧子4の試料Sへの押込み深さを計測するが、この押込み深さは、圧子4先端の形状や試験力−押込み深さ曲線の原点検出精度、試験機の剛性の影響などに大きく左右され、押込み深さを個別に校正することは難しいが、基準片を用いて、温度環境による試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを検査したり、温度環境による試験誤差を考慮して、試料Sにおける試験結果を補正したりすることによって、押込み深さを計測する押込み試験機100(計装化押込み試験機)による、高温試料S又は低温試料Sに対する測定値の信頼性を確保することができて、好都合である。

0087

なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

0088

押込み試験機100は、試料Sを加熱冷却する加熱冷却機構が取り付けられたロックウェル硬さ試験機であっても良い。
ロックウェル硬さ試験機においては圧子4の試料Sへの押込み深さを計測するが、この押込み深さは、圧子4先端の形状に大きく左右するため、基準試験機及び基準圧子で値付けされた基準片を測定値のトレーサビリティの拠所としている。したがって、本発明のように、基準片を用いて、温度環境による試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを検査したり、温度環境による試験誤差を考慮して、試料Sにおける試験結果を補正したりすることによって、ロックウェル硬さ試験機による、高温試料S又は低温試料Sに対する測定値の信頼性を確保することができて、好都合である。

0089

硬さ試験機100によって試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断するようにしたが、試験誤差が所定の範囲内にあるか否かは、ユーザが判断しても良い。
この場合、ユーザは、例えば、表示部300に表示された、予め基準データ記憶ファイル231に記憶された基準データ(押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータ)と、操作部400から押込み試験機のメンテナンスを行うよう指示する操作信号が入力されて作成された押込み試験機100全体の熱膨張の度合いを示すデータと、を比較することによって、試験誤差が所定の範囲内にあるか否かを判断することになる。

図面の簡単な説明

0090

本発明にかかる押込み試験機の一部を断面表示した側面図である。
図1の押込み試験機の要部構成を示すブロック図である。
本発明にかかる押込み試験機により押込み試験を行った際の試験力と押込み深さとの関係を示す図である。
試験誤差(最大押込み深さの室温との差)を説明するための図である。
押込み試験機全体の熱膨張の度合いを示すデータを示す図である。
最大押込み深さのばらつきの割合又は大きさに関するばらつきデータを示す図である。
エラーバーの付いた、押込み試験機全体の熱膨張の度合いを示すデータを示す図である。
所定の範囲内を説明するための図である。
押込み試験機による基準データの記憶に関する処理を説明するためのフローチャートである。
押込み試験機によるメンテナンスに関する処理を説明するためのフローチャートである。
押込み試験機による押込み試験に関する処理を説明するためのフローチャートである。

符号の説明

0091

4圧子
100押込み試験機
200 制御部
210 CPU(基準片測定手段、算出手段、判断手段、補正手段)
232 基準片測定プログラム(基準片測定手段)
233算出プログラム(算出手段)
234判断プログラム(判断手段)
236補正プログラム(補正手段)
S 試料

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