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技術 3価クロムめっき浴及びその製造方法

出願人 奥野製薬工業株式会社
発明者 片山順一永峯伸吾
出願日 2007年9月19日 (12年5ヶ月経過) 出願番号 2007-242472
公開日 2009年2月19日 (11年0ヶ月経過) 公開番号 2009-035806
状態 特許登録済
技術分野 電気鍍金;そのための鍍金浴
主要キーワード 塩基性硫酸クロム 伝導性塩 浴電圧 水溶性脂肪族カルボン酸 亜鉛ダイカスト クロム皮膜 光沢Niめっき 付き回り性
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

平滑な表面、高い耐食性、十分な耐摩耗性を有するめっき皮膜が得られ、生産性の高い3価クロムめっき浴を提供する。

解決手段

下記(1)〜(4)の成分を含有することを特徴とする3価クロムめっき浴:(1)水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分と3価クロム化合物を含む水溶液を加熱下に保持して得られる3価クロム錯体溶液、(2)伝導性塩(3)pH緩衝剤、並びに(4)SO2基を有する化合物及びSO3基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の含イオウ化合物

概要

背景

クロムめっき装飾用および工業用として、各種の分野で利用されている。しかしながら、従来から主として用いられているクロムめっき浴は、クロム成分として有害な6価クロムを多量に含むものであり、毒性の少ないめっき液の開発が強く望まれている。

6価クロムと比較して毒性の低い3価クロムを含むめっき浴としては、めっき厚の薄い装飾用については一部実用化が進んでおり、例えば、商標名:アレクラ3000(アルブライトアンドイルソン社),商標名:エンバイロクロム(カニング社)、商標名:トリクロライト(ユージライト社),商標名:トライクロムラスアトテックジャパン)などのめっき浴が市販されている。

しかしながら、従来の3価クロムめっき浴については、下記に示す各種の問題点がある(下記非特許文献1、2等参照)。
1)クロムめっきの膜厚1μm以上では平滑な表面が得られない。
2)耐食性が低いためにめっき後に6価のクロム酸溶液への浸漬処理が必要である。
3)皮膜硬度が低いため十分な耐磨耗性が得られない。
4)建浴直後では錯化剤クロム塩錯形成が十分でないことにより十分なつき回り性を得るためには長時間の弱電解処理が必要であり生産性が低下する。
表面技術Vol.47, No.3, 245p (1996)
近畿アルミニウム表面処理研究会平成18年度季特別講演講演要旨集

概要

平滑な表面、高い耐食性、十分な耐摩耗性を有するめっき皮膜が得られ、生産性の高い3価クロムめっき浴を提供する。下記(1)〜(4)の成分を含有することを特徴とする3価クロムめっき浴:(1)水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分と3価クロム化合物を含む水溶液を加熱下に保持して得られる3価クロムの錯体溶液、(2)伝導性塩(3)pH緩衝剤、並びに(4)SO2基を有する化合物及びSO3基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の含イオウ化合物。なし

目的

本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、上記した従来の3価クロムめっき浴の問題点を解消して、工業用として有効に利用できる新規な3価クロムめっき浴を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

下記(1)〜(4)の成分を含有することを特徴とする3価クロムめっき浴:(1)水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分と3価クロム化合物を含む水溶液を加熱下に保持して得られる3価クロム錯体溶液、(2)伝導性塩(3)pH緩衝剤、並びに(4)SO2基を有する化合物及びSO3基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の含イオウ化合物

請求項2

3価クロムの錯体溶液が、水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分と3価クロム化合物を含む水溶液を、40〜100℃の液温で30分以上保持して得られるものである請求項1に記載の3価クロムめっき浴。

請求項3

3価クロムの錯体溶液が、3価クロム化合物1モルに対して、水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を0.1〜2モル添加して得られるものである請求項1又は2に記載の3価クロムめっき浴。

請求項4

水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分と3価クロム化合物を含む水溶液を加熱下に保持して3価クロムの錯体溶液とした後、該錯体溶液、伝導性塩、pH緩衝剤、並びにSO2基を有する化合物及びSO3基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の含イオウ化合物を水に溶解することを特徴とする3価クロムめっき浴の調製方法

請求項5

請求項1〜3のいずれかに記載の3価クロムめっき浴を用いて形成されたクロムめっき皮膜を有する物品

技術分野

0001

本発明は、3価クロム化合物を含むめっき浴及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

クロムめっき装飾用および工業用として、各種の分野で利用されている。しかしながら、従来から主として用いられているクロムめっき浴は、クロム成分として有害な6価クロムを多量に含むものであり、毒性の少ないめっき液の開発が強く望まれている。

0003

6価クロムと比較して毒性の低い3価クロムを含むめっき浴としては、めっき厚の薄い装飾用については一部実用化が進んでおり、例えば、商標名:アレクラ3000(アルブライトアンドイルソン社),商標名:エンバイロクロム(カニング社)、商標名:トリクロライト(ユージライト社),商標名:トライクロムラスアトテックジャパン)などのめっき浴が市販されている。

0004

しかしながら、従来の3価クロムめっき浴については、下記に示す各種の問題点がある(下記非特許文献1、2等参照)。
1)クロムめっきの膜厚1μm以上では平滑な表面が得られない。
2)耐食性が低いためにめっき後に6価のクロム酸溶液への浸漬処理が必要である。
3)皮膜硬度が低いため十分な耐磨耗性が得られない。
4)建浴直後では錯化剤クロム塩錯形成が十分でないことにより十分なつき回り性を得るためには長時間の弱電解処理が必要であり生産性が低下する。
表面技術Vol.47, No.3, 245p (1996)
近畿アルミニウム表面処理研究会平成18年度季特別講演講演要旨集

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、上記した従来の3価クロムめっき浴の問題点を解消して、工業用として有効に利用できる新規な3価クロムめっき浴を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、3価クロム化合物と水溶性脂肪族カルボン酸又はその塩とを混合した後、加熱下に十分に熟成させて安定なクロム錯体溶液とし、その後、この液を伝導塩等のその他の成分と混合して得られる3価クロムめっき浴は、建浴直後においても良好なクロムめっき皮膜を形成でき、しかも形成されるクロムめっき皮膜は、良好な耐食性を有し、且つ厚付けも可能であり、高硬度のクロムめっき皮膜を形成しるものであることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。

0007

即ち、本発明は、下記の3価クロムめっき浴及びその製造方法を提供するものである。
1. 下記(1)〜(4)の成分を含有することを特徴とする3価クロムめっき浴:
(1)水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分と3価クロム化合物を含む水溶液を加熱下に保持して得られる3価クロムの錯体溶液
(2)伝導性塩
(3)pH緩衝剤、並びに
(4)SO2基を有する化合物及びSO3基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の含イオウ化合物
2. 3価クロムの錯体溶液が、水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分と3価クロム化合物を含む水溶液を、40〜100℃の液温で30分以上保持して得られるものである上記項1に記載の3価クロムめっき浴。
3. 3価クロムの錯体溶液が、3価クロム化合物1モルに対して、水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を0.1〜2モル添加して得られるものである上記項1又は2に記載の3価クロムめっき浴。
4. 水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分と3価クロム化合物を含む水溶液を加熱下に保持して3価クロムの錯体溶液とした後、該錯体溶液、伝導性塩、pH緩衝剤、並びにSO2基を有する化合物及びSO3基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の含イオウ化合物を水に溶解することを特徴とする3価クロムめっき浴の調製方法
5. 上記項1〜3のいずれかに記載の3価クロムめっき浴を用いて形成されたクロムめっき皮膜を有する物品

0008

以下の本発明の3価クロムめっき浴について詳細に説明する。

0009

価クロム錯体溶液
本発明では、まず、3価クロム化合物を含む安定な錯体溶液を調製し、これを用いてめっき浴を建浴する。

0010

3価クロム化合物を含む錯体溶液は、水溶液脂肪族カルボン酸及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分(以下、「カルボン酸類」ということがある)と3価クロム化合物を含む水溶液を加熱下に保持することによって得ることができる。通常は、カルボン酸類を溶解した水溶液中に3価クロム化合物を添加し、加熱下に一定時間保持することによって得ることができる。

0011

水溶液脂肪族カルボン酸の種類については特に限定的ではなく、所定の濃度の水溶液とすることが可能なカルボン酸であればよい。例えば、ギ酸酢酸等の脂肪族モノカルボン酸シュウ酸マロン酸コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸グルコン酸などの脂肪族ヒドロキシモノカルボン酸リンゴ酸等の脂肪族ヒドロキシジカルボン酸クエン酸等の脂肪族ヒドロキシトリカルボン酸などを用いることができる。

0012

水溶性脂肪族カルボン酸の塩としては、上記した各種カルボン酸の水溶性塩であればよく、例えば、ナトリウム塩カリウム塩等のアルカリ金属塩カルシウム塩マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩アンモニウム塩等を用いることができる。

0013

上記したカルボン酸類は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。

0014

3価クロム化合物としては、水溶性の3価クロム化合物であればよく、例えば、硫酸クロム塩基性硫酸クロムなどを用いることができる。3価クロム化合物も一種単独又は二種以上混合して用いることができる。

0015

3価クロム化合物とカルボン酸類を溶解する順序は任意であり、カルボン酸類を水に溶解させた後、3価クロム化合物を添加する方法、3価クロム化合物を水に溶解させた後、カルボン酸類を添加する方法、カルボン酸類と3価クロム化合物を同時に水に溶解させる方法などの任意の方法を適用できる。この際、液温は、40〜100℃程度であることが好ましく、50〜90℃程度であることがより好ましい。

0016

3価クロム化合物を含む錯体溶液は、通常、3価クロムめっき浴を建浴する際に希釈して用いられる。このため、該錯体溶液中の3価クロム化合物の濃度については、特に限定的ではないが、例えば,クロム濃度として30〜150g/L程度とすることが好ましく,50〜100g/L程度とすることがより好ましい。

0017

カルボン酸類の添加量については、上記3価クロム化合物を含む水溶液に添加した場合に安定な錯体を形成できる量であればよく、例えば、3価クロム化合物1モルに対してカルボン酸類を0.1〜2モル程度用いることが好ましく、0.3〜1モル程度用いることがより好ましい。

0018

尚、3価クロムを含む錯体溶液中におけるカルボン酸類の濃度については、特に限定的ではないが、例えば、10〜200g/L程度とすることが好ましく、20〜100g/L程度とすることがより好ましい。

0019

次いで、カルボン酸類と3価クロム化合物を含む水溶液を40〜100℃程度、好ましくは50〜90℃程度の温度範囲に保持することによって3価クロム化合物を含む錯体溶液を得ることができる。この温度範囲に保持する時間は、通常、30分程度以上とすることが好ましく、1時間程度以上とすることがより好ましく、2時間程度以上とすることが更に好ましい。具体的には、加熱温度が低い程長時間保持することが好ましく、例えば、40℃程度の加熱温度では5時間程度以上保持することが好ましく、80℃程度の加熱温度では3時間以上保持することが好ましい。これにより、3価クロムを含む安定な錯体溶液を得ることができる。

0020

3価クロムめっき浴
本発明の3価クロムめっき浴は、上記した方法で調製した3価クロムを含む錯体溶液、伝導性塩、pH緩衝剤、並びにSO2基を有する化合物及びSO3基を有する化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の含イオウ化合物を含有する水溶液からなるものである。

0021

上記した成分の内で、伝導性塩としては、例えば、硫酸カリウム硫酸ナトリウム硫酸アンモニウム等の硫酸塩、塩化カリウム塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩化物などを用いることができる。これらの伝導性塩は一種単独又は二種以上混合して用いることができる。

0022

伝導性塩の濃度については特に限定されないが、濃度が低い場合には浴電圧が上昇して電解中に浴温が上昇するため一定温度に保持するために電解槽を冷却する必要が生じる。また,伝導性塩濃度が高い場合には浴電圧は低下するが建浴時に溶解させることが困難であり、しかも、めっき作業を中止してめっき浴の温度が低下した場合には、沈殿などが生成することになる。これらの点から伝導性塩の濃度は、50〜200g/L程度とすることが好ましく、100〜150g/L程度とすることがより好ましい。

0023

pH緩衝剤としては、ホウ酸ホウ酸ナトリウムなどを使用することができる。pH緩衝剤濃度が低い場合には陰極反応界面でのpH上昇が起こり,クロムの水酸化物などが生成するため良好なクロムめっき皮膜が得られない。このことから,良好なクロムめっき皮膜を得るためには、pH緩衝剤の濃度は70〜120g/L程度とすることが好ましく、80〜100g/L程度とすることがより好ましい。

0024

SO2基を有する化合物及びSO3基を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の含イオウ化合物は、形成されるクロム皮膜を緻密で良好な外観とするために有効な成分である。

0025

これらの内でSO2基を有する化合物としては、サッカリンサッカリンナトリウム等を例示でき、SO3基を有する化合物としは、スルホベンズアルデヒドベンゼンスルホン酸トルエンスルホン酸、これらの塩等を例示できる。これらの含イオウ化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることが出来る。

0026

含イオウ化合物の濃度については、特に限定されないが、通常、1〜10g/L程度とすることが好ましく、2〜7g/L程度とすることがより好ましい。

0027

本発明の3価クロムめっき浴は、上記した3価クロム化合物を含む錯体溶液、伝導性塩、pH緩衝剤、及び含イオウ化合物を水に溶解したものであり、各成分を溶解する順序は任意である。

0028

本発明の3価クロムめっき浴中のクロム濃度については、特に限定はされないが、クロム濃度が低い場合には低電流密度領域へのつき回り性が良好となるが,製膜速度は低くなり、逆にクロム濃度が高い場合にはつき回り性は低下するが製膜速度が増加する。この点を考慮して、クロム濃度を決めればよいが、通常、適度なつき回り性と製膜速度を両立して、工業的に使用に適したものとするためには、クロム濃度としては3〜30g/L程度が好ましく、5〜15g/L程度がより好ましい。

0029

上記した各成分を用いて建浴した3価クロムめっき液のpHは、使用する錯化剤の種類により多少の変動があるが、通常、pH2〜4程度の範囲内とすることが好ましい。

0030

本発明の3価クロムめっき液によれば、めっき作業時の浴温が低い場合にはつき回り性は向上するが製膜速度は低下する傾向があり、逆に浴温が高い場合には,製膜速度は向上するが低電流密度領域へのつき回り性は低下する傾向がある。この点を考慮して適切な浴温を決めればよいが、通常、工業的に使用する際の浴温としては、30〜60℃程度の温度範囲が好ましい。

0031

めっき時に使用する陽極としては、特に限定的ではなく、通常は、Ti−Pt電極などの公知の不溶性陽極を用いることができる。特に、Ir−Ta複合酸化物薄膜被覆したTi電極を用いる場合には、6価クロムの生成を抑制できる点で有利である。

0032

本発明の3価クロムめっき浴によれば、広い電流密度範囲において良好な外観を有するクロムめっき皮膜を得ることができ、例えば、1〜20 A/dm2程度の陰極電流密度範囲において良好な外観のクロムめっき皮膜を形成できる。

0033

クロムめっき皮膜を有する物品
本発明の3価クロムめっき浴は、例えば、工業用クロムめっき、装飾クロムめっき等の各種の用途に用いることができる。

0034

工業用クロムめっきは、クロムめっき皮膜の高硬度,耐摩耗性,耐食性,密着性離型性等の特性を利用して各種の産業分野に利用されており、例えば、金型などの作製に用いられている。工業用クロムめっきでは、被めっき物としては、例えば、鉄鋼ステンレス鋼黄銅亜鉛ダイカストなどの金属素材が主として用いられている。

0035

また,装飾用クロムめっきは,主としてニッケルめっきの保護層として用いられており、クロムめっき皮膜の硬度と特有の色調が活用されている。装飾用クロムめっきは、例えば、自動車関係に広く用いられており、被めっき物としては、上記した金属素材の他に、ABS,PC/ABS,PC,ナイロンなどの各種の機能性プラスチック材料が用いられている。

0036

これらの各種素材にクロムめっき皮膜を形成する場合には、金属素材に対しては、本発明の3価クロムめっき浴を用いてクロムめっき皮膜を直接形成することが可能である。また、外観、耐食性などの向上を目的として、銅めっき、ニッケルめっき等を行った後、クロムめっきを行うこともある。

0037

プラスチック素材に対してクロムめっき皮膜を形成するためには、常法に従って、エッチング触媒付与などの工程を経た後、無電解ニッケルめっき無電解銅めっき等によって導電性皮膜を形成し、更に、電気銅めっき電気ニッケルめっき等を行い、その後、クロムめっき皮膜を形成することが一般的であるが、この工程の限定されるものではない。装飾を目的としてクロムめっき皮膜を形成する場合には、通常、0.1〜0.5μm程度の比較的薄い膜厚のクロムめっき皮膜を形成することが多い。

発明の効果

0038

本発明の3価クロムめっき浴によれば、下記に示す顕著な効果が奏される。
(1)建浴直後においても良好なクロムめっき皮膜を形成できる。このため、長時間の電解処理が不要となり、作業効率が大きく向上する。
(2)低電流密度領域での付き回り性に優れ、広い電流密度範囲において良好なクロムめっき皮膜を形成できる。
(3)めっき時間に応じてめっき皮膜成長するので、1μmを上回る厚付けが可能である。
(4)高い皮膜硬度を有するクロムめっき皮膜を得ることができる。
(5)クロム酸浸漬処理を行わない場合にも良好な耐食性を有するクロムめっき皮膜を形成できる。

発明を実施するための最良の形態

0039

以下、製造例及び実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。

0040

製造例1
純水400mlにクエン酸38g/L(0.2mol/L)を加え十分に溶解させた後、浴温を60℃まで上昇させ、40%硫酸クロム水溶液500ml/L(Cr=52g/L,1.0mol/L)を加え攪拌して完全に溶解させた。

0041

その後,浴温を60℃に保持した状態で8時間加熱を継続した。8時間経過後に加熱を中止し、室温まで冷却して、3価クロム錯体を含む溶液を得た。これをクロム錯体液Aとする。

0042

製造例2
純水400mlに酢酸を60g/L(1.0mol/L)を加え、十分に溶解させた後、浴温を80℃まで上昇させ、40%硫酸クロム水溶液を500ml/L(Cr=52g/L,1.0mol/L)を加え、攪拌して完全に溶解させた。

0043

その後、浴温を80℃に保持した状態で5時間加熱を継続した。5時間経過後に加熱を中止し、室温まで冷却して、3価クロム錯体を含む溶液を得た。これをクロム錯体液Bとする。

0044

製造例3
純水500mlにリンゴ酸を90g/L(0.65mol/L)を加え、十分に溶解させた後、浴温を80℃まで上昇させ、塩基性硫酸クロム400g/L(Cr=64g/L,1.23mol/L)を加えて溶解させた。

0045

その後、浴温を80℃に保持した状態で7時間加熱を継続した。その後加熱を中止し、室温まで冷却して、3価クロム錯体を含む溶液を得た。これをクロム錯体液Cとする。

0046

製造例4
純水500mlにシュウ酸を90g/L(1.0mol/L)を加え、十分に溶解させた後、浴温を80℃まで上昇させた後、塩基性硫酸クロム400g/L(Cr=64g/L,1.23mol/L)を加え溶解させた。

0047

その後、浴温を80℃に保持した状態で5時間加熱を継続した。その後、加熱を中止し、室温まで冷却して、3価クロム錯体を含む溶液を得た。これをクロム錯体液Dとする。

0048

実施例1〜4及び比較例1〜2
上記した方法で調製したクロム錯体液A〜Dを用いて、下記表1に示す各成分を水に溶解して3価クロムめっき浴を調製し、表中に示すpH値及び浴温でめっき試験を行った。

0049

0050

上記した各3価クロムめっき浴を用いて下記の方法でめっき試験を行った。結果を下記表2に示す。
(めっき試験方法
1)ハルセル試験
建浴直後の各3価クロムめっき浴を用い、被めっき物として、真鍮板光沢Niめっきを約3μm製膜したものを使用して、ハルセル試験を行った。ハルセル試験条件は、槽電流5A、めっき時間5分間とし、陽極としては、Ir−Ta複合酸化物薄膜で被覆したTi電極を用いた。

0051

クロムめっき後の被めっき物(ハルセル板)について、電流密度分布スケールを基準として、どの電流密度に相当する部分までめっきが析出しているかを判定して、つき回り性を評価した。その後、電解式膜厚計を使用しハルセル板の各電流密度における膜厚を測定した。下記表2には1次電流密度で10A/dm2に相当する部分の膜厚を記載する。

0052

2)製膜時間と膜厚の関係
各3価クロムめっき浴を用い、電流密度7.5A/dm2の条件でNiめっき真鍮板にめっき時間を変化させてクロムめっき皮膜を析出させ、製膜時間と膜厚の関係を調べた。膜厚は析出重量と面積から算出した。

0053

3)ビッカース硬度測定
上記試験で厚膜化が可能であった被めっき物について、ビッカース硬度を測定した。

0054

4)耐食性評価
各3価クロムめっき浴を用いて、光沢Niめっきを行なった真鍮板に約0.1μmの3価クロムめっき皮膜を形成した。水洗後、クロム酸浸漬処理を行うことなく、塩水噴霧試験(JIS 2371)を行った。72時間後に装置から取り出し、水洗後に目視による観察で腐食進行状態をめっき品全体に対する白さびが発生した面積の割合で評価した。

0055

0056

以上の結果から次のことが明らかである。
(1)実施例1〜4の各3価クロムめっき浴は、建浴直後においも、ハルセル試験において良好なつき回り性を示し、1A/dm2程度の低電流密度域まで良好なクロムめっき皮膜を形成できた。これに対して、3価クロム化合物とカルボン酸類を水に直接溶解して得た比較例1及び2のめっき浴では、建浴直後においては低電流密度領域へのつき回り性が十分でなく、ハルセル試験においては4A/dm2に相当する部分にまでしかめっきが析出しなかった。

0057

(2)実施例1〜4の各3価クロムめっき浴では、製膜時間とともに膜厚が増加し、5時間経過時点においても製膜時間と膜厚はほぼ直線関係を示し、製膜時間を延長することによって厚膜化が可能であった。また、厚膜化されたクロムめっき皮膜は、1000HV程度という高いビッカース硬度を示した。

0058

これに対して、比較例1及び2の3価クロムめっき浴では、製膜時間が60分間程度経過後に製膜速度が大幅に低下し、製膜時間を長くしてもクロムめっき皮膜は3μm程度までしか成長せず、厚膜化が出来なかった。

0059

(3)実施例1〜4の各3価クロムめっき浴から形成されたクロムめっき皮膜は、クロム酸浸漬処理を行わない場合にも良好な耐食性を示した。

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