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技術 アンテナ装置

出願人 パナソニック株式会社
発明者 宇野博之斎藤裕
出願日 2007年7月6日 (12年4ヶ月経過) 出願番号 2007-178860
公開日 2009年1月22日 (10年9ヶ月経過) 公開番号 2009-017402
状態 未査定
技術分野 可変指向性アンテナ、アンテナ配列 導波管型アンテナ
主要キーワード オフ端子 近距離無線通信機器 固定無線機 イメージ波 設計精度 車両バンパー 各給電線路 返し形状
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2009年1月22日)のものです。
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図面 (11)

課題

レーダ装置及び近距離無線通信に適し、平面構造生産性に優れ、ビーム方向切り替えることのできる高利得でかつ交差偏波比の高いアンテナ装置を提供する。

解決手段

基板101の表面に、クランク素子104a及び104bを介してそれぞれスロット素子103a〜103cを接続し、第1のスロットアンテナを、クランク素子106a及び106bを介してそれぞれスロット素子105a〜105cを接続し、第2のスロットアンテナを構成する。第1及び第2のスロットアンテナをY軸に対して対称に、所定の間隔を隔てて配置し、それぞれの端部を接続スロット素子107で接続する。反射板108を、第1及び第2のスロットアンテナが形成された面から所定の距離h離して配置する。基板101の裏面に、マイクロストリップライン109を接続スロット素子107と電磁界的に結合するように形成し、第1及び第2のスロットアンテナを位相差給電する。

概要

背景

車輌の周囲を監視する車載用レーダシステムにおいて、車輌の全方位障害物を検知するためには、複数のセンサを車輌の周囲に設置する必要があり、システムの構成が複雑になるという問題がある。一方、近距離無線通信においては、高速無線伝送を実現するためには、マルチパスフェージングシャドーイングによる伝送品質劣化対策が必要になってくる。このような問題を改善するために、これまでビーム方向を制御できるアンテナの検討がなされている。

また、一般的に車両に搭載されるレーダ装置等の無線機器天井に設置される固定無線機等に搭載されるアンテナとしては、生産性持ち運び外観上の観点から平面構造であることが望ましい。さらには、レーダ装置の検知距離無線機通信距離を長くし、かつ干渉波抑圧を実現するという点で、高利得で交差偏波比の高いアンテナが求められている。

これまで平面構造のビーム方向制御アンテナとして、複数のスロットアレー位相差給電する平面アレイアンテナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。

図8は特許文献1に記載されている平面アレイアンテナを示す図である。このアンテナは、誘電体基板801の内層802に複数のスロット素子803から構成されるスロットアレーを平行に複数配列し、誘電体基板801の表面及び裏面に形成されたコの字形状マイクロストリップライン804a及び804bを介してスロットアレーを電磁的に結合させて給電するものである。このとき、マイクロストリップライン804bから1/4波長離して反射板805が配置されている。このような構成において、誘電体基板801の両面に形成されたコの字形状のマイクロストリップライン804a及び804bの給電部の位置をお互いずらすように設計し、交互に給電することによりビーム方向を制御することができる。

また、他のアンテナとして、長さが約0.5波長の2つのスロット素子をマイクロストリップラインによる電磁結合により位相差給電し、スロット素子から1/4波長以上の間隔を隔てて反射板を配置するアンテナ装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。

図9は、特許文献2に記載されているアンテナ装置を示す図である。このアンテナは、誘電体基板901の表面に形成されたスロット素子902a及び902bを、誘電体基板901の裏面にマイクロストリップライン903a〜903cにより形成されたπ形状の給電回路を用いて電磁界結合により位相差給電するとともに、高周波スイッチ904により切替給電するものである。このとき、スロット素子902a及び902bから所定の間隔を隔てて反射板905が配置されている。

このような構成において、マイクロストリップライン903aから給電すると、+Z方向から+X方向へ傾いた主ビームが得られ、マイクロストリップライン903bから給電すると、+Z方向から−X方向へ傾いた指向性利得が9.5dBiの主ビームが得られることになる。

図10は、図9の構成における指向性を示す図であり、図10(a)は垂直(XZ)面の指向性、図10(b)は仰角θが45度における円錐面の指向性を示している。

実線である指向性1001a及び1002aと一点鎖線である指向性1002cは、マイクロストリップライン903aから給電した場合の垂直偏波Eθ成分の指向性と水平偏波Eφ成分の指向性をそれぞれ示しており、点線である指向性1001b及び1002bと二点鎖線である指向性1002dは、マイクロストリップライン903bから給電した場合の垂直偏波Eθ成分の指向性と水平偏波Eφ成分の指向性をそれぞれ示している。

このように、π形状の給電回路を用いて切替給電することにより、2つの方向に主ビームを切り替えることができるとともに、構造が簡易であるために小型化が可能となる。
特開平2−266703号公報
特開2005−269199号公報

概要

レーダ装置及び近距離無線通信に適し、平面構造で生産性に優れ、ビーム方向を切り替えることのできる高利得でかつ交差偏波比の高いアンテナ装置を提供する。基板101の表面に、クランク素子104a及び104bを介してそれぞれスロット素子103a〜103cを接続し、第1のスロットアンテナを、クランク素子106a及び106bを介してそれぞれスロット素子105a〜105cを接続し、第2のスロットアンテナを構成する。第1及び第2のスロットアンテナをY軸に対して対称に、所定の間隔を隔てて配置し、それぞれの端部を接続スロット素子107で接続する。反射板108を、第1及び第2のスロットアンテナが形成された面から所定の距離h離して配置する。基板101の裏面に、マイクロストリップライン109を接続スロット素子107と電磁界的に結合するように形成し、第1及び第2のスロットアンテナを位相差給電する。

目的

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、車載レーダ近距離無線通信機器に搭載しやすい平面構造で生産性に優れ、ビーム方向を切り替えることのできる高利得でかつ交差偏波比の高いアンテナ装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

導体板と、前記導体板に、使用周波数の1/2波長電気長を有する複数の第1スロット素子と前記複数の第1スロット素子の間にそれぞれ接続される全長が使用周波数の1/2波長の電気長を有するU字型の折返し形状をした複数の第1クランク素子とで構成された、第1のスロットアンテナと、使用周波数の1/2波長の電気長を有する複数の第2スロット素子と前記複数の第2スロット素子の間にそれぞれ接続される全長が使用周波数の1/2波長の電気長を有するU字型の折返し形状をした複数の第2クランク素子とで構成され、前記第1のスロットアンテナから所定の間隔を隔て、かつ前記第1のスロットアンテナと対称に前記導体板に形成された第2のスロットアンテナと、前記第1及び第2のスロットアンテナの片端部を接続する接続スロット素子と、前記導体板から1/4波長以上で1/2波長以下の間隔を隔てた位置に前記導体板と平行に配置された反射板と、前記接続スロット素子の中心から所定の距離ずれた位置から給電する第1給電線路と、を具備することを特徴とするアンテナ装置

請求項2

前記接続スロット素子の中心を軸として前記第1給電線路と対称の位置に給電する第2給電線路と、前記第1給電線路又は前記第2給電線路のいずれか一方を選択的に給電点に接続し、他方を開放又は短絡とする切り替えを行う切替手段と、を具備することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。

請求項3

前記第1及び第2のスロットアンテナ及び前記接続スロット素子を誘電体基板の一方の表面に銅箔パターンで形成し、前記各給電線路を前記誘電体基板の裏面に銅箔パターンでマイクロストリップラインを形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ装置。

技術分野

0001

本発明は、車載レーダ近距離無線通信に用いられる小型な平面構造アンテナ装置に関するものである。

背景技術

0002

車輌の周囲を監視する車載用レーダシステムにおいて、車輌の全方位障害物を検知するためには、複数のセンサを車輌の周囲に設置する必要があり、システムの構成が複雑になるという問題がある。一方、近距離無線通信においては、高速無線伝送を実現するためには、マルチパスフェージングシャドーイングによる伝送品質劣化対策が必要になってくる。このような問題を改善するために、これまでビーム方向を制御できるアンテナの検討がなされている。

0003

また、一般的に車両に搭載されるレーダ装置等の無線機器天井に設置される固定無線機等に搭載されるアンテナとしては、生産性持ち運び外観上の観点から平面構造であることが望ましい。さらには、レーダ装置の検知距離無線機通信距離を長くし、かつ干渉波抑圧を実現するという点で、高利得で交差偏波比の高いアンテナが求められている。

0004

これまで平面構造のビーム方向制御アンテナとして、複数のスロットアレー位相差給電する平面アレイアンテナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。

0005

図8は特許文献1に記載されている平面アレイアンテナを示す図である。このアンテナは、誘電体基板801の内層802に複数のスロット素子803から構成されるスロットアレーを平行に複数配列し、誘電体基板801の表面及び裏面に形成されたコの字形状マイクロストリップライン804a及び804bを介してスロットアレーを電磁的に結合させて給電するものである。このとき、マイクロストリップライン804bから1/4波長離して反射板805が配置されている。このような構成において、誘電体基板801の両面に形成されたコの字形状のマイクロストリップライン804a及び804bの給電部の位置をお互いずらすように設計し、交互に給電することによりビーム方向を制御することができる。

0006

また、他のアンテナとして、長さが約0.5波長の2つのスロット素子をマイクロストリップラインによる電磁結合により位相差給電し、スロット素子から1/4波長以上の間隔を隔てて反射板を配置するアンテナ装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。

0007

図9は、特許文献2に記載されているアンテナ装置を示す図である。このアンテナは、誘電体基板901の表面に形成されたスロット素子902a及び902bを、誘電体基板901の裏面にマイクロストリップライン903a〜903cにより形成されたπ形状の給電回路を用いて電磁界結合により位相差給電するとともに、高周波スイッチ904により切替給電するものである。このとき、スロット素子902a及び902bから所定の間隔を隔てて反射板905が配置されている。

0008

このような構成において、マイクロストリップライン903aから給電すると、+Z方向から+X方向へ傾いた主ビームが得られ、マイクロストリップライン903bから給電すると、+Z方向から−X方向へ傾いた指向性利得が9.5dBiの主ビームが得られることになる。

0009

図10は、図9の構成における指向性を示す図であり、図10(a)は垂直(XZ)面の指向性、図10(b)は仰角θが45度における円錐面の指向性を示している。

0010

実線である指向性1001a及び1002aと一点鎖線である指向性1002cは、マイクロストリップライン903aから給電した場合の垂直偏波Eθ成分の指向性と水平偏波Eφ成分の指向性をそれぞれ示しており、点線である指向性1001b及び1002bと二点鎖線である指向性1002dは、マイクロストリップライン903bから給電した場合の垂直偏波Eθ成分の指向性と水平偏波Eφ成分の指向性をそれぞれ示している。

0011

このように、π形状の給電回路を用いて切替給電することにより、2つの方向に主ビームを切り替えることができるとともに、構造が簡易であるために小型化が可能となる。
特開平2−266703号公報
特開2005−269199号公報

発明が解決しようとする課題

0012

しかしながら、特許文献1に記載の平面アレイアンテナは、複数のスロット素子から構成されるスロットアレーをマイクロストリップラインを用いて電磁界的に結合させて同位相で給電する構成であるために、複数のスロット素子を1波長間隔で配置する必要があり、大きな実装スペースが必要となるという問題がある。

0013

また、理想的な放射特性を実現するためにスロット素子からの放射量を均一に設計する必要があることから、各スロット素子の寸法を微調整するなど高い設計精度が要求されるという問題がある。

0014

また、ビームを切り替えるために、2つのコの字形状のマイクロストリップラインを用い、かつ内層にスロットアレーを構成する必要があることから、多層基板を用いた複雑な構成となるとともに、平面でスイッチング回路を実現できないという問題がある。

0015

また、特許文献2に記載のアンテナ装置は、2素子のスロット素子のみを用いていることから利得が低く、例えば、レーダ用途として用いる場合は検知距離が短くなるという問題がある。

0016

また、図10の指向性に示すように、主偏波である垂直偏波Eθ成分(指向性1001a及び1002aや指向性1001b及び1002b)に対して交差偏波である水平偏波Eφ成分(指向性1002cや指向性1002d)が−4dB程度と比較的高く、通信品質が劣化する恐れがあるという問題がある。

0017

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、車載レーダや近距離無線通信機器に搭載しやすい平面構造で生産性に優れ、ビーム方向を切り替えることのできる高利得でかつ交差偏波比の高いアンテナ装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

かかる課題を解決するため、本発明のアンテナ装置は、導体板と、前記導体板に、使用周波数の1/2波長の電気長を有する複数の第1スロット素子と前記複数の第1スロット素子の間にそれぞれ接続される全長が使用周波数の1/2波長の電気長を有するU字型の折返し形状をした複数の第1クランク素子とで構成された、第1のスロットアンテナと、使用周波数の1/2波長の電気長を有する複数の第2スロット素子と前記複数の第2スロット素子の間にそれぞれ接続される全長が使用周波数の1/2波長の電気長を有するU字型の折返し形状をした複数の第2クランク素子とから構成され、前記第1のスロットアンテナから所定の間隔を隔て、かつ前記第1のスロットアンテナと対称に前記導体板に形成された第2のスロットアンテナと、前記第1及び第2のスロットアンテナの片端部を接続する接続スロット素子と、前記導体板から1/4波長以上で1/2波長以下の間隔を隔てた位置に前記導体板と平行に配置された反射板と前記接続スロット素子の中心から所定の距離ずれた位置から給電する第1給電線路と、を具備する構成を採る。

0019

この構成によれば、水平方向に傾いた主ビームを形成することができ、高利得でかつ高い交差偏波比を有する平面構造のアンテナ装置を実現することができる。

0020

また、本発明のアンテナ装置は、上記構成において、前記接続スロット素子の中心を軸として前記第1給電線路と対称の位置に給電する第2給電線路と、前記第1給電線路又は前記第2給電線路のいずれか一方を選択的に給電点に接続し、他方を開放又は短絡とする切り替えを行う切替手段とを具備する構成を採る。

0021

この構成によれば、水平方向に傾いた2方向の主ビームを形成することができ、高利得でかつ高い交差偏波比を有する平面構造のマルチビームアンテナを実現することができる。

0022

また、本発明のアンテナ装置は、上記構成において、前記第1及び第2のスロットアンテナ及び前記接続スロット素子を誘電体基板の一方の表面に銅箔パターンで形成し、前記各給電線路を前記誘電体基板の裏面に銅箔パターンでマイクロストリップラインを形成する構成を採る。

0023

この構成によれば、各スロットアンテナ及び各給電線路を銅箔パターンで形成することができるため、アンテナ装置を容易に生産することができ、生産性を向上させることができる。

発明の効果

0024

以上説明したように、本発明によれば、全長が1/2波長の折返し形状をしたクランク素子を介して複数の1/2波長のスロット素子を接続して構成したスロットアンテナを所定の間隔を隔てて2つ対称に配置し、それらの端部を接続スロット素子により接続し、スロットアンテナから所定の間隔を隔てて反射板を配置し、接続スロット素子を誘電体基板の裏面に形成され、接続スロット素子と電磁界的に結合する2つのマイクロストリップラインを選択的に給電することにより、平面構造で生産性に優れ、ビーム方向を切り替えることのできる高利得でかつ交差偏波比の高いアンテナ装置を実現することができる。

発明を実施するための最良の形態

0025

以下、本発明の実施の形態に係るアンテナ装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一の構成または機能を有する構成要素及び相当部分には、同一の符号を付してその説明は繰り返さない。以下、動作周波数を26GHzとして説明する。

0026

(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を図1から図5を用いて説明する。

0027

図1は、本発明の実施の形態1のアンテナ装置の構成を示す図である。

0028

図1において、基板101は、比誘電率εrが例えば3.7で、厚さが0.6mmである誘電体であり、寸法L1×L2は24mm×30mm(2.08波長×2.6波長)である。

0029

導体102は、基板101の+Z側面の中央に接着された銅箔であり、寸法L1×L3は24mm×12mm(2.08波長×1.04波長)である。スロット素子103a〜103cは、導体102を切削して形成された空隙であり、長さL4が、例えば3.7mm(実効波長で約0.5波長)で、幅が0.2mmである。クランク素子104a、104bもスロット素子103a〜103cと同様に導体102を切削して形成された空隙であり、例えば、長さL5が1.65mm、折返し間隔D1が0.4mm(全長が実効波長で約0.5波長)のU字型の折返し形状をしている。スロット素子103aをクランク素子104aを介してスロット素子103bと接続し、スロット素子103bをクランク素子104bを介してスロット素子103cと接続することで第1のスロットアンテナを構成している。

0030

上記で述べた第1のスロットアンテナと同様に、スロット素子105a〜105cとクランク素子106a及び106bを接続することで、第2のスロットアンテナを構成しており、第2のスロットアンテナは基板101のY軸に対して第1のスロットアンテナと対称となる位置に所定の間隔D2、例えば3mm隔てて配置される。ここでは、クランク素子104a及び104bとクランク素子106a及び106bを向かい合わせに配置させないことで、クランク素子間の電磁界的な結合を抑えている。

0031

なお、スロット素子103a〜103cが、本発明の第1スロット素子の一例にあたり、クランク素子104a及び104bが、本発明の第1クランク素子の一例にあたる。また、スロット素子105a〜105cが、本発明の第2スロット素子の一例にあたり、クランク素子106a及び106bが、本発明の第2クランク素子の一例にあたる。

0032

接続スロット素子107は、第1のスロットアンテナと第2のスロットアンテナの端部を接続する幅が0.2mmの空隙であり、スロット素子103c及び105cのクランク素子と接続されていない端部を接続している。反射板108は、第1及び第2のスロットアンテナが形成された面、すなわち導体102の面から距離hが、例えば5mm(0.43波長)だけ−Z側に離れた位置に、基板101と平行になるように配置した導体板である。

0033

マイクロストリップライン109は、基板101の−Z側面に銅箔パターンにより形成されており、幅は、例えば0.3mmである。マイクロストリップライン109は、接続スロット素子107を通過するようにY方向に沿って形成されており、信号源110から発振される信号を電磁界的に接続スロット素子107と結合させ、第1及び第2のスロットアンテナを給電する。このとき、マイクロストリップライン109の開放端と接続スロット素子107との結合部までの距離を適切に設定することで、インピーダンス整合を実現することができる。また、マイクロストリップライン109を、接続スロット素子107の中心から+X方向に、距離S1が例えば0.85mmシフトして形成することで、第1のスロットアンテナの給電位相が第2のスロットアンテナの給電位相に比べて約90度進むことになる。これにより、第1のスロットアンテナと第2のスロットアンテナの位相差給電が実現され、鉛直方向(+Z方向)から水平方向(+X方向)に傾いた主ビームが得られることになる。

0034

このように、接続スロット素子を用いて第1及び第2のスロットアンテナの端部を接続し、接続スロット素子の中央から所定の間隔シフトして給電する構成とすることにより、給電構成が容易で、高利得かつ交差偏波比の高いチルトビームアンテナを実現することができる。

0035

次に上述した構成を有するアンテナ装置の動作を図2から図4を用いて説明する。図2は、第1及び第2のスロットアンテナの内部に分布する磁流の向きを矢印で示した図である。ここで、前述したように第1のスロットアンテナと第2のスロットアンテナは位相差給電されているため、例えば磁流201aと磁流203aの位相は相対的に約90度異なっている。第1のスロットアンテナにおいて、スロット素子103a〜103c、クランク素子104a及び104bの長さが約0.5波長であるため、スロット素子103a〜103cの磁流201a〜201cの向きは同じ方向となり、同位相となる。また、クランク素子104a及び104bは中央で折り返された構造となっているため磁流202a及び202bは逆相となり、放射にほとんど寄与しなくなる。このため、第1のスロットアンテナに関しては、スロット素子103a〜103cからの放射のみとなる。同様に、第2のスロットアンテナのスロット素子105a〜105cに流れる磁流203a〜203cも同位相となり、クランク素子106a及び106bに流れる磁流204a及び204cは逆相となるため、第2のスロットアンテナはスロット素子105a〜105cからの放射のみとなる。

0036

これにより、図3に示すように、0.5波長のスロットアンテナを縦列に3段配置したスロットアレーを同時に給電した特性とほぼ同等になると言える。スロット素子103a〜103cは、スロット素子301a〜301c、スロット素子105a〜105cは、スロット素子302a〜302cにそれぞれ対応する。図4は、図3に示すスロットアレーの断面図を示す図である。図4において、波源401aは、スロット素子301a〜301cを合成した波源、波源401bは、スロット素子302a〜302cを合成した波源である。ここで、反射板108の効果を、写像原理によりモデル化すると、反射板面402を中心として対称の位置に波源401a及び401bにそれぞれ対応したイメージ波源403a及び403bを仮定することができる。このとき、イメージ波源の位相は、波源401a及び401bの位相に対して、それぞれ180度反転したものとなる。

0037

以上の4つの波源からの放射を合成することにより、+Z方向から+X方向に傾いた主ビームが形成されることになり、このときの主偏波成分は垂直偏波Eθ成分となる。

0038

図5は、図1に示すアンテナ装置の指向性を示す図である。図5(a)は垂直(XZ)面の指向性、図5(b)は仰角θが45度における円錐面の指向性を示している。

0039

図5において、実線で示す指向性501a及び502aは主偏波である垂直偏波Eθ成分、点線で示す指向性501b及び502bは交差偏波である水平偏波Eφ成分を示している。図5から、+Z方向から+X方向へ45度傾いた主ビームが得られていることが確認できる。このとき、主ビームの指向性利得は13.1dBi、円錐面パターン半値角は47度である。また、このときの交差偏波比は10.8dBであり、特許文献1に示すアンテナ装置に比べ5dB以上向上させることができる。これは、スロット素子を縦列に約0.5波長間隔で配置することで、それぞれのスロット素子からスロット素子の長手方向に放射される交差偏波である水平偏波Eφ成分が合成され、抑圧されるためである。
このように、先に述べた特許文献1に示すアンテナ装置に比べると、高利得で高い交差偏波比を実現することができる。また、例えば、車両に搭載するレーダのアンテナ装置として車両バンパーに+Z方向が進行方向、+Y方向が天頂方向となるように設置する場合、円錐面パターン、すなわち路面と垂直方向ビーム幅を狭くすることができるため路面からの反射波を抑えることができ、高い検知性能を実現することができる。

0040

以上述べたように、本実施の形態によれば、誘電体基板の表面に全長が0.5波長の折返し形状をしたクランク素子を介して複数の0.5波長のスロット素子を接続して構成したスロットアンテナを所定の間隔を隔てて2つ対称に配置し、それらの端部を接続スロット素子により接続し、誘電体基板の裏面に形成したマイクロストリップラインにより接続スロット素子の中央から所定の距離シフトさせて電磁界結合給電し、スロットアンテナから所定の間隔を隔てて反射板を配置することで、水平方向に傾いた主ビームを形成することができ、高利得でかつ高い交差偏波比を有する平面構造のアンテナ装置を実現することができる。

0041

なお、本実施の形態では、スロットアンテナから反射板までの距離hを0.43波長として説明したが、距離hは1/4波長から1/2波長の範囲であればサイドローブの低いチルトビーム特性を実現することができる。例えば、距離hを小さくすると垂直面チルト角が小さくなり、距離hを大きくすると垂直面チルト角が大きくなるという特徴を有する。

0042

また、本実施の形態では、スロット素子を誘電体基板上の銅箔パターンによって形成しているが、例えば、導体板に空隙を設けてスロット素子を構成しても同様な効果が得られる。

0043

また、本実施の形態では、一例として0.5波長の長さを有する3つのスロット素子を全長が0.5波長の2つのクランク素子で接続した構成について説明したが、2つあるいは4つ以上のスロット素子の間をクランク素子で接続する構成についても同様の効果を得ることができる。

0044

(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置を図6及び図7を用いて説明する。

0045

図6は、実施の形態1と同様に、アンテナ装置を示す図であり、給電回路のみが異なっている。給電回路は、マイクロストリップライン601〜603と、高周波スイッチ604とから構成される。

0046

マイクロストリップライン601〜603は、基板101の−Z側面に銅箔パターンにより形成されており、幅が、例えば0.3mmである。マイクロストリップライン601及び602は、接続スロット素子107を通過するようにY方向に沿って形成されており、接続スロット素子107と電磁界的に結合される。このとき、マイクロストリップライン601及び602の開放端と接続スロット素子107との結合部までの距離を適切に設定することで、インピーダンス整合を実現することができる。

0047

また、マイクロストリップライン601は、接続スロット素子107の中心から+X方向に、距離S2が例えば、0.85mmシフトして形成され、マイクロストリップライン602は、接続スロット素子107の中心から−X方向に、距離S2が例えば、0.85mmシフトして形成される。マイクロストリップライン603は、一端が高周波スイッチ604、他端が信号源110にそれぞれ接続されている。

0048

高周波スイッチ604は、1つの入力端子と2つの出力端子を有したSPDT(Single Pole Double Throw)スイッチであり、入力端子がマイクロストリップライン603、出力端子がマイクロストリップライン601及び602にそれぞれ接続される。

0049

次に、上述した構成を有するアンテナ装置の動作について説明する。まずは、高周波スイッチ604がマイクロストリップライン601と603を接続するように動作した場合について説明する。このとき、例えば、高周波スイッチ604のマイクロストリップライン602側の出力端子(オフ端子)のインピーダンスが開放であると仮定すると、マイクロストリップライン602の長さL6を1/2波長の整数倍とすることで、マイクロストリップライン602と接続スロット素子107の結合部で開放となり、マイクロストリップライン602の影響を無視することができる。これにより、図6は等価的に図1と同様な構成と見なすことができ、実施の形態1で述べたように、+Z方向から+X方向に傾いた主ビームが形成されることになる。また、高周波スイッチ604のマイクロストリップライン602側の出力端子(オフ端子)のインピーダンスが短絡である場合は、マイクロストリップライン602の長さL6を1/4波長の奇数倍とすることで、マイクロストリップライン602と接続スロット素子107の結合部で開放となり、同様にマイクロストリップライン602の影響を無視することができる。

0050

高周波スイッチ604がマイクロストリップライン602と603を接続するように動作した場合も同様であり、高周波スイッチ604のマイクロストリップライン601側の出力端子のインピーダンスに応じて、マイクロストリップライン601と接続スロット素子107の結合部が開放となるようにマイクロストリップライン601の長さL6を適切に調整することで、マイクロストリップライン601の影響を無視することができ、+Z方向から−X方向に傾いた主ビームを形成することができる。

0051

図7は、図6に示すアンテナ装置の指向性を示す図である。図7(a)は垂直(XZ)面の指向性、図7(b)は仰角θが45度における円錐面の指向性を示している。ここでは、高周波スイッチ604のオフ端子のインピーダンスが開放とし、マイクロストリップライン601及び602の長さL6を3.45mm(約1/2波長)に設定している。

0052

図7において、実線で示す指向性701a及び702aは、高周波スイッチ604がマイクロストリップライン601と603を接続するように動作したときの垂直偏波Eθ成分の指向性を示しており、+Z方向から+X方向へ45度傾いた主ビームが得られていることが確認できる。また、点線で示す指向性701b及び702bは、高周波スイッチ604がマイクロストリップライン602と603を接続するように動作したときの垂直偏波Eθ成分の指向性を示しており、+Z方向から−X方向へ45度傾いた主ビームが得られていることが確認できる。このとき、これらの主ビームの指向性利得は13.1dBi、円錐面パターンの半値角は47度、交差偏波比は10.8dBである。

0053

以上のように、本実施の形態によれば、誘電体基板の表面に全長が0.5波長の折返し形状をしたクランク素子を介して0.5波長のスロット素子を接続したスロットアンテナを所定の間隔を隔てて2つ対称に配置し、それらの端部を接続スロット素子により接続し、誘電体基板の裏面に接続スロット素子の中央から所定の距離シフトさせて2つ対称にマイクロストリップラインを配置し、高周波スイッチによりマイクロストリップラインを切替給電することで、水平方向に傾いた2方向の主ビームを形成することができ、高利得でかつ高い交差偏波比を有する平面構造のマルチビームアンテナを実現することができる。

0054

なお、上述した各実施の形態では、動作周波数を26GHzとして説明したが、これに限らず、動作周波数を任意に設定し、それに応じた設計値としてもよい。

0055

また、本発明では、第1スロット素子、第2スロット素子、第1クランク素子、第2クランク素子が、それぞれ1/2波長の電気長を有するものであるが、本発明でいう1/2波長の電気長とは、厳密に1/2波長の長さであることを意味するものではなく、本発明の効果を奏する範囲の長さをいうものである。すなわち、本発明の効果を奏する範囲である、社会通念上1/2波長の電気長と見なせる範囲の長さをいう。同様に、導体板から反射板までの、1/4波長以上1/2波長以下という範囲も、厳密に、1/4波長以上1/2波長以下の範囲をいうのではなく、本発明の効果を奏する、社会通念上1/4波長以上1/2波長以下と見なせる範囲をいう。また、本発明でいう、反射板が導体板に平行に配置されたとは、反射板が導体板に対して厳密に平行な位置に配置されていることを意味するものではなく、本発明の効果を奏する位置関係で、社会通念上平行と見なせる位置関係をいう。

0056

本願発明にかかるアンテナ装置は、小型な平面構造で生産性に優れ、高利得でかつ交差偏波比が高く、水平方向に傾斜した主ビームを形成でき、さらにはビーム方向を切り替えることができるという効果を有し、車載レーダや近距離無線通信用のアンテナ装置として適用することができる。

図面の簡単な説明

0057

本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成を示す図
本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の動作説明図
本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の動作説明図
本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の動作説明図
(a)、(b)本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の指向性を示す図
本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の構成を示す図
(a)、(b)本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の指向性を示す図
特許文献1に記載の平面アレイアンテナの構成を示す図
特許文献2に記載のアンテナ装置の構成を示す図
(a)、(b)特許文献2に記載のアンテナ装置の指向性を示す図

符号の説明

0058

101基板
102導体
103a〜103c、105a〜105c、301a〜301c、302a〜302cスロット素子
104a、104b、106a、106bクランク素子
107接続スロット素子
108反射板
109、601〜603マイクロストリップライン
110信号源
201a〜201c、202a、202b、203a〜203c、204a、204c磁流
401a、401b波源
402 反射板面
403a、403bイメージ波源
501a、501b、502a、502b、701a、701b、702a、702b指向性
604 高周波スイッチ

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