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技術 デジタル制御装置およびこれに用いる制御用PID定数算出方法

出願人 理化工業株式会社
発明者 坂倉浩一杉原義朗付思
出願日 2007年6月26日 (13年5ヶ月経過) 出願番号 2007-167160
公開日 2009年1月15日 (11年10ヶ月経過) 公開番号 2009-009177
状態 特許登録済
技術分野 フィードバック制御一般
主要キーワード 定数関数 調整強度 デジタル制御装置 基準応答 制御応答特性 基準制御 PID定数 改善度合い
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (19)

課題

1個の調整値の入力により要望PID定数自動算出し、所望の制御特性を得ることができるようにする。

解決手段

入力部11は制御の制御応答を調整するための調節強度を入力する。パラメータ変換関数部9は調節強度および基礎となるPID定数とを入力値とし、調節強度に応じたPID定数を計算するパラメータ変換関数を有する。制御演算部1はパラメータ変換関数部9で算出された制御用PID定数に基づいて制御値を出力する。

概要

背景

近年のデジタル調節計としては、PID制御を用いる構成が多く、一般的に良好とされる制御特性となるように、内蔵したオートチューニング機能によってPID制御用PID定数を自動的に取得できる構成のものが提供されている。

しかし、オートチューニング機能の実施によって得られたPID定数を用いた制御特性は、必ずしも所望の制御特性になるとは限らない。

例えば、実用現場では、オーバーシュートが大きくしてもよいから速く応答させたい、又は応答は遅くても良いから極力オーバーシュートを抑制したいという要望が発生する。

これに対応するためには、PID定数を手動で調整することになるが、PID定数を変更して所望の制御特性を得るには専門知識熟練した経験が必要であり、誰もが簡単に設定可能ではない。

そこで、種々の工夫が提案されており、例えば特開平4−250501号公報(特許文献1)もこの種のものである。

この特許文献1は、「オーバーシュートをしたくない度合い」、「整定時間を短くして応答性を向上させたい度合い」、「ハンチングを抑えて整定性を向上させたい度合い」といった3個の改善度合い設定値を有し、現行の制御特性を改善したいときには、それら3個の改善度合いの設定値を調整し、それら改善度合いとファジー推論取り入れオートチューニングを実行することにより、所望の制御特性となるようにPID定数を修正するものである。
特開平4−250501号公報

概要

1個の調整値の入力により要望のPID定数を自動算出し、所望の制御特性を得ることができるようにする。 入力部11は制御の制御応答を調整するための調節強度を入力する。パラメータ変換関数部9は調節強度および基礎となるPID定数とを入力値とし、調節強度に応じたPID定数を計算するパラメータ変換関数を有する。制御演算部1はパラメータ変換関数部9で算出された制御用PID定数に基づいて制御値を出力する。

目的

本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、一つの調整値を入力することによって要望に応えるPID定数を自動的に算出し、所望の制御特性を得ることが可能なデジタル制御装置および制御用PID定数算出方法の提供を目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

制御対象応答特性を調整するための調節強度を入力する入力部と、基礎となるPID定数および前記入力部からの前記調節強度とを入力値として、前記調節強度に応じた制御用PID定数を計算するパラメータ変換関数を有するパラメータ変換関数部と、このパラメータ変換関数部で算出された前記制御用PID定数に基づいて制御値を前記制御対象側に出力する制御演算部と、を具備することを特徴とするデジタル制御装置

請求項2

前記パラメータ変換関数部は、前記パラメータ変換関数として、前記調節強度がこの中央値から最大減少値に近づくほど前記制御応答が速くなる前記制御用PID定数が算出され、前記調節強度がこの中央値から最大増加値に近づくほど前記制御応答が遅くなる前記制御用PID定数が算出される関数を有する請求項1記載のデジタル制御装置。

請求項3

前記パラメータ変換関数部は、前記パラメータ変換関数として、前記基礎となるPID定数による制御特性に対し、前記調節強度に応じた前記制御応答になるよう前記制御用PID定数を算出する関数を有する請求項1又は2記載のデジタル制御装置。

請求項4

前記入力部は、前記調節強度として、前記基礎となるPID定数に基づく前記制御応答について速くするか遅くするかの調整値を入力する請求項1〜3いずれか1記載のデジタル制御装置。

請求項5

前記パラメータ変換関数部は、前記パラメータ変換関数が、応答特性の異なる複数の制御対象について、所定の調整則で得られた基準PID定数による制御応答を基準制御とし、この基準制御よりも速いおよび遅い制御応答を実現する制御用PID定数を各々形成し、これらの制御用PID定数を前記各基準PID定数と係数との形式表現した際の当該PID各項の係数を各々平均化し、前記制御用PID定数について、前記平均係数を前記基準制御よりも速いおよび遅い制御応答を実現する各々の係数とし、前記基準PID定数を算出するための係数を「1」として基準制御よりも速いおよび遅い制御応答を実現する係数までの間を各々一次又は高次関数で表現された請求項1〜4いずれか1記載のデジタル制御装置。

請求項6

前記パラメータ変換関数部は、前記パラメータ変換関数が、前記基準PID定数から当該基準よりも速い制御応答を実現する係数までおよび当該基準よりも速い制御応答を実現する係数までの応答が均等に変化するように前記調節強度との関連付けが行われた関数である請求項5記載のデジタル制御装置。

請求項7

制御対象を制御する制御値を算出する制御用PID定数を求める制御用PID定数算出方法であり、応答特性の異なる複数の制御対象を制御する各制御値をPID演算するための各基準PID定数を所定の調整則に基づき求め、前記各制御対象毎に前記基準PID定数による制御応答より速い制御応答を実現する速い制御用PID定数と、遅い制御応答を実現する遅い制御用PID定数とを所定の手法で求め、前記各制御対象毎に、前記速いおよび遅い制御用PID定数を前記基準PID定数に係数を掛けた状態で表現した場合の当該係数を求め、前記各制御対象毎の前記速いおよび遅い制御用PID定数において基準制御より速い制御応答および早い制御応答に対応するP、IおよびD項に係る係数どうしの平均係数を求め、前記早い制御用PID定数に係る平均係数を調節強度の最大減少値に対応する制御用PID定数への変換係数とし、前記遅い制御用PID定数に係る平均係数を調節強度の最大増加値に対応する制御用PID定数への変換係数とし、前記基準PID定数の得られる変換係数を「1」として、調節強度の最大減少値に対応した前記速い制御用PID定数を求めるための変換係数までの間を一次又は高次の関数で表現したパラメータ変換関数を作成するとともに、調節強度の最大増加値に対応した前記遅い制御用PID定数を求めるための変換係数までの間を一次又は高次の関数で表現したパラメータ変換関数を作成し、前記調節強度を前記パラメータ変換関数に入力して前記制御用PID定数をを得る、ことを特徴とする制御用PID定数算出方法。

技術分野

0001

本発明はデジタル制御装置およびこれに用いる制御用PID定数算出方法係り、例えば、プログラム機能を備えたデジタル調節計等に用いて好適するデジタル制御装置および制御用PID定数算出方法の改良に関する。

背景技術

0002

近年のデジタル調節計としては、PID制御を用いる構成が多く、一般的に良好とされる制御特性となるように、内蔵したオートチューニング機能によってPID制御用PID定数を自動的に取得できる構成のものが提供されている。

0003

しかし、オートチューニング機能の実施によって得られたPID定数を用いた制御特性は、必ずしも所望の制御特性になるとは限らない。

0004

例えば、実用現場では、オーバーシュートが大きくしてもよいから速く応答させたい、又は応答は遅くても良いから極力オーバーシュートを抑制したいという要望が発生する。

0005

これに対応するためには、PID定数を手動で調整することになるが、PID定数を変更して所望の制御特性を得るには専門知識熟練した経験が必要であり、誰もが簡単に設定可能ではない。

0006

そこで、種々の工夫が提案されており、例えば特開平4−250501号公報(特許文献1)もこの種のものである。

0007

この特許文献1は、「オーバーシュートをしたくない度合い」、「整定時間を短くして応答性を向上させたい度合い」、「ハンチングを抑えて整定性を向上させたい度合い」といった3個の改善度合い設定値を有し、現行の制御特性を改善したいときには、それら3個の改善度合いの設定値を調整し、それら改善度合いとファジー推論取り入れオートチューニングを実行することにより、所望の制御特性となるようにPID定数を修正するものである。
特開平4−250501号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上述した特許文献1では、3個の改善度合いという設定値が存在して互いに影響し合うので、現実には思い通りの制御特性を得るのは難しいうえ、処理が複雑となり易くてコストが上昇するなどの課題があった。

0009

本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、一つの調整値を入力することによって要望に応えるPID定数を自動的に算出し、所望の制御特性を得ることが可能なデジタル制御装置および制御用PID定数算出方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0010

そのような課題を解決するために本発明に係るデジタル制御装置は、制御対象応答特性を調整するための調節強度を入力する入力部と、基礎となるPID定数およびその入力部からの調節強度とを入力値として、その調節強度に応じた制御用PID定数を計算するパラメータ変換関数を有するパラメータ変換関数部と、このパラメータ変換関数部で算出されたその制御用PID定数に基づいて制御値をその制御対象側に出力する制御演算部とを具備している。

0011

本発明のデジタル制御装置では、上記パラメータ変換関数部が、そのパラメータ変換関数として、その調節強度がこの中央値から最大減少値に近づくほどその制御応答が速くなる制御用PID定数を算出し、その調節強度がこの中央値から最大増加値に近づくほどその制御応答が遅くなる制御用PID定数を算出する関数とした構成も可能である。

0012

本発明のデジタル制御装置では、上記パラメータ変換関数部が、そのパラメータ変換関数として、基礎となるPID定数による制御特性に対し、その調節強度に応じた制御応答になるようその制御用PID定数を算出する関数とした構成も可能である。

0013

本発明のデジタル制御装置では、上記入力部が、その調節強度として、基礎となるPID定数に基づく制御応答について速くするか遅くするかの調整値を入力する構成も可能である。

0014

本発明のデジタル制御装置では、上記パラメータ変換関数部が、そのパラメータ変換関数として、応答特性の異なる複数の制御対象について、所定の調整則で得られた基準PID定数による制御応答を基準制御とし、この基準制御よりも速いおよび遅い制御応答を実現する制御用PID定数を各々形成し、それらの制御用PID定数をそれら各基準PID定数と係数との形式表現した際の当該PID各項の係数を各々平均化し、その制御用PID定数について、その平均係数を基準制御よりも速いおよび遅い制御応答を実現する各々の係数とし、その基準PID定数を算出するための係数を「1」として基準よりも速いおよび遅い制御応答を実現する係数までの間を各々一次又は高次関数で表現した構成も可能である。

0015

本発明のデジタル制御装置では、上記パラメータ変換関数部が、そのパラメータ変換関数として、その基準のPIDから当該基準よりも速い制御応答を実現する係数までおよび当該基準よりも速い制御応答を実現する係数までの応答が均等に変化するようにその調節強度との関連付けを行った関数である構成も可能である。

0016

そして、本発明の制御用PID定数算出方法は、応答特性の異なる複数の制御対象を制御する各制御値をPID演算するための各基準PID定数を所定の調整則に基づき求め、それら各制御対象毎にその基準PID定数による制御応答より速い制御応答を実現する速い制御用PID定数と、遅い制御応答を実現する遅い制御用PID定数とを所定の手法で求め、それら各制御対象毎に、速いおよび遅い制御用PID定数を前記基準PID定数に係数を掛けた状態で表現した場合の当該係数を求め、それら各制御対象毎の前記速いおよび遅い制御用PID定数において基準制御より速い制御応答および早い制御応答に対応するP、IおよびD項に係る係数どうしの平均係数を求め、その早い制御用PID定数に係る平均係数を調節強度の最大減少値に対応する制御用PID定数への変換係数とし、その遅い制御用PID定数に係る平均係数を調節強度の最大増加値に対応する制御用PID定数への変換係数とし、その基準PID定数の得られる変換係数を「1」として、調節強度の最大減少値に対応した速い制御用PID定数を求めるための変換係数までの間を一次又は高次の関数で表現したパラメータ変換関数を作成するとともに、調節強度の最大増加値に対応した遅い制御用PID定数を求めるための変換係数までの間を一次又は高次の関数で表現したパラメータ変換関数を作成し、その調節強度をそれらパラメータ変換関数に入力して上記制御用PID定数を得る方法である。

発明の効果

0017

このような本発明に係るデジタル制御装置では、入力部から調節強度を入力すると、パラメータ変換関数部が基礎となるPID定数およびその調節強度とを入力値として調節強度に応じた制御用PID定数を計算し、制御演算部がその制御用PID定数に基づいて制御値を出力するから、一つの調整値を入力することによって要望に応えるPID定数を自動的に算出し、所望の制御特性を得ることが可能となる。

0018

本発明のデジタル制御装置では、上記パラメータ変換関数部が、そのパラメータ変換関数として、その調節強度が最大減少値に近づくほど制御応答特性が速くなる制御用PID定数や、最大増加値に近づくほど制御応答特性が遅くなる制御用PID定数を算出する関数を有する構成では、一つの調整値の入力により、制御応答を遅らせる又は速める制御用PID定数の算出が可能で、制御応答を遅らせる又は速める制御特性を得ることが容易である。

0019

本発明のデジタル制御装置では、上記パラメータ変換関数部が、基礎となるPID定数による制御特性に対し、調節強度に応じた制御応答になるような制御用PID定数を算出する関数を有する構成では、調節強度に応じた制御用PID定数の算出が可能で、その制御応答に応じた制御特性を得ることが容易である。

0020

本発明のデジタル制御装置では、上記入力部が、その調節強度として、基礎となるPID定数に基づく制御応答について速くするか遅くするかの調整値を入力する構成では、調節強度といった調整値に応じて速い又は遅い制御応答を得ることが容易である。

0021

本発明のデジタル制御装置では、上記パラメータ変換関数部が、そのパラメータ変換関数として、応答特性の異なる複数の制御対象について、所定の調整則で得られたPID定数による制御応答を基準制御とし、この基準制御よりも速いおよび遅い制御応答を実現する制御用PID定数を各々形成し、これらの制御用PID定数をそれら各基準PID定数と係数との形式で表現した際の当該PID各項の係数を各々平均化し、その制御用PID定数において、その平均係数を基準制御よりも速いおよび遅い制御応答を実現する各々の係数とし、その基準PID定数を算出するための係数を「1」とし、基準制御よりも速いおよび遅い制御応答を実現する係数までの間を各々一次又は高次関数で表現した構成では、例えば時定数むだ時間の比が幅広いといった制御応答の異なる制御対象に対し、所望の制御応答を実現可能である。

0022

本発明のデジタル制御装置では、上記パラメータ変換関数部が、そのパラメータ変換関数として、その基準のPIDから当該基準よりも速い制御応答を実現する係数までおよび当該基準よりも速い制御応答を実現する係数までの応答が均等に変化するようにその調節強度との関連付けを行った関数を有する構成では、調節強度の設定と応答変化の割合が感覚的に一致するため、制御応答の調節が容易になる。

発明を実施するための最良の形態

0023

以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。

0024

図1は本発明に係るデジタル制御装置の実施の形態を概念的に示したブロック図である。なお、本発明に係る制御用PID定数算出方法はデジタル制御装置の実施の形態を説明する過程で説明する。

0025

図1において、制御演算部1は、制御対象3からの測定値PVと所定の設定値SVとの偏差を得る減算部5と、この減算部5から出力された偏差値およびPID定数(Kp、Ti、Td)に基づきPID演算して操作量MV(制御値)を制御対象3側に出力する演算部7とを有して形成されている。なお、この制御演算部1は公知のものである。

0026

そして、本発明の特徴は、主に、演算部7に設定する好ましい制御用PID定数(Kp、Ti、Td)を算出するパラメータ変換関数部9にある。

0027

図1中の「Tc」は、基準のPID定数による応答より速い応答又は遅い応答を調節する調節強度である調整値、例えば可変させる応答速度を入力する入力部11であり、例えば「0」を入力すると基準のPID定数による応答が実現でき、マイナスの大きな値を入力するほど、基準のPID定数による応答より速い応答が実現でき、プラスの大きな値を入力するほど、基準のPID定数による応答より遅い応答が実現できるように関連づけられた設定値である。

0028

「Kp0」は基準の比例定数、「Ti0」は基準の積分定数、「Td0」は基準の微分定数であり、これらの基準のPID定数は、例えばデジタル制御装置に搭載されているオートチューニング機能によって得られたPID定数、又は経験則等により設定された標準的なPID定数である。

0029

なお、オートチューニング機能は、公知のものであるから説明および図示を省略する。

0030

パラメータ変換関数部9は、制御用PID定数「Kp」、「Ti」、「Td」を算出するパラメータ変換関数(f1、f2、f3)を有する定数関数部9a、9b、9cから形成されており、例えば調節強度「Tc」が「0」のとき、基準のPID定数(Kp0、Ti0、Td0)がそのまま制御用PID定数として算出され、調節強度「Tc」が「0」から「−1」に近づくほど制御の制御応答が速くなる制御用PID定数が算出され、調節強度「Tc」が「0」から「+1」に近づくほど制御の制御応答が遅くなる制御用PID定数が算出されるそれら関数を有している。

0031

なお、ここで調節強度Tcが「0」とは基準のPID定数が得られる値であり、「−1」とは可変範囲の最大減少値、「+1」とは可変範囲の最大増加値といった意味である。

0032

次に、それらパラメータ変換関数(f1、f2、f3)の求め方を説明する。

0033

まず、定数関数部9a、9b、9cに設定されるパラメータ変換関数(f1、f2、f3)は、調節強度「Tc」の1次関数又は高次関数でも良く、Tc=0のとき、基準のPID定数をそのまま制御用PID定数として算出するとすれば、1次関数で示せば次の式1〜式3で表記できる。
f1=Kp0×(a×Tc+1) 式1
f2=Ti0×(b×Tc+1) 式2
f3=Td0×(c×Tc+1) 式3

0034

また、パラメータ変換関数(f1、f2、f3)は、2次関数で示せば次の式4〜式6で表記できる。
f1=a×Tc2+b×Tc+Kp0 式4
f2=c×Tc2+d×Tc+Ti0 式5
f3=e×Tc2+f×Tc+Td0 式6

0035

上記各式の係数(a〜f)は、予め計算により求めた固定値であり、それらパラメータ変換関数(f1、f2、f3)は、上記のように3式1組みの関数であり、例えばデジタル制御装置に組み込まれて動作する。

0036

次に、プロセス系の制御対象3について考察すると、制御対象3は一般的に次の式7で表現される。

0037

ここで、Gp(S) は制御対象、kは制御対象のプロセスゲイン、e−LS はむだ時間L、1/(1+TS) は時定数Tの1次遅れである。

0038

この式7は1次遅れの時定数Tとむだ時間Lを有して構成されているが、数学的に解析する場合、一般的には次の式8で近似させる。

0039

この式8は、積分要素「1/S」がローパスフィルタとして存在しているため、高い周波数の影響が無視されることを利用した式7の近似式である。

0040

任意の制御対象であれば、時定数Tとむだ時間Lの組合せは無限にあるが、現実の制御対象3では時定数Tがむだ時間Lより大きく、経験上、時定数Tとむだ時間Lの比(T/L比)が10倍から50倍であれば十分であることが知られている。

0041

一方、T/L比が同じ制御対象3であれば、時定数Tとむだ時間Lをどのような組み合わせに選んでも、解析上等価な制御対象として扱うことが可能であるから、T/L比の最小値10倍、最大値50倍、その中間値30倍の制御対象について、上述した式8を次の式9〜式11のように変更することができる。

0042

ここで、それぞれの制御対象について一般的な調整則、例えばジグラニコルスの調整則を用いて上述した基準PID定数を設計すると、図2Aに示す図表のようになる。

0043

これらの基準PID定数による制御応答をそれぞれの制御対象における基準制御とし、基準制御より速い制御応答を実現する制御用PID定数を極配置試行錯誤により求める一方、基準制御より遅い制御応答を実現する制御用PID定数を同様に極配置や試行錯誤により求める。

0044

制御対象毎に求めた制御用PID定数を調節強度「Tc」と関連付けて示すと、図2B〜Dに示す図表のようになり、この場合の制御応答波形図3図5に示すようになる。

0045

図3図5では、Tc=0で基準PID定数による基準制御応答となり、Tc=−1のとき基準制御の応答より速い応答が実現でき、Tc=1のとき基準制御の応答より遅い応答が実現できていることが分かる。

0046

図2B〜Dにおいて、各制御用PID定数をそれぞれの基準PID定数で割り、この値を基準PIDに対する応答の速い制御用PID定数又は応答の遅い制御用PID定数への修正係数(Kpc、Tic、Tdc)として表現すると、図6A〜Cの図表に示すようになる。

0047

広範囲の制御対象に対応するパラメータ変換関数を求めるため、各制御対象での修正係数を平均化し、調節強度「Tc」に応じた制御用PID定数を算出するための係数(Kpc、Tic、Tdc)を求めると、図6Dに示す図表のようになる。

0048

この図表に示す調節強度「Tc」に応じた各制御用PID定数を算出するための係数(Kpc、Tic、Tdc)の関係をグラフで表すと、図7図9のようになり、これら図7図9で示された特性がパラメータ変換関数である。

0049

なお、図7図9はKpのパラメータ変換関数、Tiのパラメータ変換関数、Tdのパラメータ変換関数を各々示している。

0050

これらの図では、調節強度「Tc」が「0」から速い応答を実現する「−1」までの間、調節強度「Tc」が「0」から遅い応答を実現する「1」までの間を1次関数で表現しており、上述したパラメータ変換関数部9に設定するパラメータ変換関数の式1〜式3は以下のように求まる。

0051

先ず式1の係数aを求める。上表図6Dにおいて、Tc=−1のときの係数Kpcは4.7であるから、係数aは
4.7=1×a×(—1)+1
a=−3.7
と求まる。またTc=1のときの係数Kpcは0.5であるから、係数aは
0.5=1×a×1+1
a=−0.5
と求まる。従ってパラメータ変換関数f1は、次式となる。
f1=Kp0×((−3.7)×Tc+1) −1≦Tc<0
f1=Kp0×((−0.5)×Tc+1) 0≦Tc≦1

0052

同様の方法でパラメータ変換関数f2を求めると以下のようになる。
f2=Ti0 −1≦Tc<0
f2=Ti0×(8.0×Tc+1) 0≦Tc≦1

0053

同様の方法でパラメータ変換関数f3を求めると以下のようになる。
f3=Td0 −1≦Tc<0
f3=Td0×(0.89×Tc+1) 0≦Tc≦1

0054

このようにして、上述したパラメータ変換関数(f1、f2、f3)を得ることができ、調整強度「Tc」を「−1」から「1」まで調整範囲に応じ、これらのパラメータ変換関数(f1、f2、f3)を対応付けることで、それに応じた制御応答となる制御用PID定数を算出することが可能である。

0055

このようなパラメータ変換関数(f1、f2、f3)の求め方は、以下のようにまとめることが可能である。

0056

すなわち、(1)応答特性の異なる例えば時定数とむだ時間の比(T/L)が10〜50内にある複数の制御対象について、個々の制御対象毎の基準PID定数を所定の調整則に基づくチューニングで求める。

0057

(2)それら各制御対象について、基準PID定数による基準制御の制御応答より速い又は遅い制御応答を実現する制御用PID定数を極配置や試行錯誤により求める。

0058

(3)それら各制御対象の各々について、「速い制御応答を実現する制御用PID定数」を「基準PID定数×係数」の表現形式で表現した際のP、I、D各項に係る当該係数を各々求める。

0059

(4)同様に、それら各制御対象の各々について、「遅い応答を実現するPID定数」を「基準のPID定数×係数」の表現形式で表現した際のP、I、D各項に係る当該係数を各々求める。

0060

(5)、さらに(3)で求めた各制御対象についてのP項に係る係数どうしを平均し、基準制御より速い制御応答を実現する制御用PID定数のP項を求める係数として求め、同様にI項およびD項についての平均係数を求める。
$
(6)同様に、(4)求めた各制御対象についてのP項に係る係数どうしを平均し、基準制御より遅い制御応答を実現する制御用PID定数のP項を求める係数として求め、同様にI項およびD項についての平均係数も求める。
$
(7)、さらに(5)で求めたPID各項に係る平均係数を調節強度の最大減少値に対応する制御用PID定数(基準制御より速い制御応答を実現する制御用PID定数)への変換係数とする。

0061

(8)、同様に(6)で求めたPID各項に係る平均係数を調節強度の最大増加値に対応する制御用PID定数(基準制御より遅い制御応答を実現する制御用PID定数)への変換係数とする。

0062

(9)、基準PID定数となる変換係数を「1」として、調節強度の最大減少値に対応した「基準制御より速い制御応答を実現する制御用PID定数」を求めるための変換係数までの間を一次又は高次の関数で表現する。

0063

(10)、同様に基準PID定数となる変換係数を「1」として、調節強度の最大増加値に対応した「基準制御より遅い制御応答を実現する制御用PID定数」を求めるための変換係数までの間を一次又は高次の関数で表現する。

0064

これらの一次又は高次の関数がパラメータ変換関数(f1、f2、f3)となる。

0065

なお、上述した(9)および(10)については、関数変換の段階で、調節強度の設定と実際の制御応答の変化が均等に変化するように関連付けた関数とすることも可能である。

0066

このように、本発明のデジタル制御装置では、制御対象3の応答特性を調整するための調節強度を入力する入力部11と、基礎となるPID定数およびその入力部11からの調節強度とを入力値として、その調節強度に応じた制御用PID定数を計算する上述したパラメータ変換関数を有するパラメータ変換関数部9と、このパラメータ変換関数部9で算出されたその制御用PID定数に基づいて制御値をその制御対象3側に出力する制御演算部1とを具備している。

0067

そのため、調整値である1個の調節強度を入力することによって所望の制御用PID定数を自動的に算出し、所望の制御特性を得ることが可能となるうえ、その調節強度を基準となる中央値から最大減少値又は最大増加値の間で可変調整することにより、基準制御よりも遅い制御応答から速い制御応答を実現することが可能である。

0068

ところで、本発明のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数は、上述した手法によって求める構成に限定されない。例えば、以下のパラメータ変換関数設計手法も可能である。

0069

すなわち、調整強度「Tc」を応答の速くなる方向「0」から「−1」間に何点かの等間隔な値を決め、同様に応答の遅くなる方向「0」から「1」間にも何点かの等間隔な値を決め、その値に対する応答速度がほぼ等間隔になるようなPID定数をそれら複数の制御対象ついてそれぞれ求め、各PID定数をそれぞれの基準PID定数で割って基準PIDに対する修正係数として表現し、広範囲の制御対象に対応するパラメータ変換関数を求めるために各制御対象での修正係数を平均化し、等間隔に設定した調節強度「Tc」に応じたPID定数を算出するための係数Kpc、Tic、Tdcを求める手法も可能である。

0070

このようにして求めた係数Kpc、Tic、Tdcと調節強度「Tc」との関係をグラフで表すと、図10図12に示すような関数が得られ、これらがパラメータ変換関数(f1、f2、f3)となる。

0071

それら図10図12では、等間隔に求めた「Tc」に応じた係数は各々直線補間が行われているが、高次関数による補間を行うことも可能である。

0072

図10図12に示したパラメータ変換関数(f1、f2、f3)に基づいて複数の制御対象に対して行ったシミュレーションの結果として、基準から基準より速い応答を図13図15に、基準から基準より遅い応答を図16図18に示す。

0073

図13図15では、Tc=0での基準応答からTc=−0.5,Tc=−1と調節強度をマイナス方向に等間隔で変化させたとき、設定値への到達時間がほぼ等間隔で変化していることが分かる。

0074

また、図16図18では、Tc=0での基準応答からTc=0.25,Tc=0.5,Tc=0.75,Tc=1と調節強度をプラス方向に等間隔で変化させたとき、設定値への到達時間がほぼ等間隔で変化していることが分かり、調整強度「Tc」に応じて制御の制御応答が変化していることが確認できる。

0075

なお、本発明に係る制御用PID定数算出方法を用いると、上述したデジタル制御装置と同様の効果を得ることが可能である。

図面の簡単な説明

0076

本発明に係るデジタル制御装置を示すブロック図である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する図表である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する特性図である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する特性図である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する特性図である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する図表である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する特性図である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する特性図である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する特性図である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する特性図である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する特性図である。
図1のデジタル制御装置におけるパラメータ変換関数を求める過程を説明する特性図である。
本発明のデジタル制御装置における動作特性図である。
本発明のデジタル制御装置における動作特性図である。
本発明のデジタル制御装置における動作特性図である。
本発明のデジタル制御装置における動作特性図である。
本発明のデジタル制御装置における動作特性図である。
本発明のデジタル制御装置における動作特性図である。

符号の説明

0077

1制御演算部
3制御対象
5 減算部
7演算部
9パラメータ変換関数部
9a、9b、9c定数関数部
11 入力部

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