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課題

ライン速度を高速化しても塗布直後の初期乾燥過程で発生するを顕著に抑制することができ、塗布膜を均一に乾燥できる乾燥方法及び装置を提供することを目的とする。

解決手段

乾燥ゾーン内乾燥風を供給して塗布膜を乾燥する乾燥方法において、第一乾燥ゾーンでは、長尺状支持体幅方向に0.5m/sより大きい風速の乾燥風を供給することにより一方向流れの乾燥風を発生させて乾燥し、第二乾燥ゾーンでは、乾燥風の風速を長尺状支持体の走行速度の1/10以下にすることにより長尺状支持体に同伴する同伴風により乾燥し、第二乾燥ゾーンでは、支持体の温度が塗布膜の膜面温度より高くなるように乾燥する塗布膜の乾燥方法である。

概要

背景

液晶表示装置において視野角特性を改善するために、一対の偏光板液晶セルとの間に位相差板として光学補償シートを設けている。長尺状の光学補償シートの製造法としては、長尺状の透明フィルムの表面に配向膜形成用樹脂を含む塗布液を塗布してからラビング処理を行なって配向膜を形成する。そして、その配向膜の上に液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を塗布し、塗布した塗布膜を乾燥する方法が下記の特許文献1に開示されている。

この特許文献1に開示されている液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液の乾燥方法は、該配向膜上に液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を塗布してから正規乾燥装置で乾燥するまで室内空調条件下で初期乾燥を行なって主として塗布液中の有機溶剤蒸発させ、乾燥している。

しかし、特許文献1に記載されている製造方法で製造された光学補償シートには、初期乾燥過程において、塗布膜101面上に図9に示したようなブロードA(細い線で示す)とシャープな斑B(太い線で示す)の2種類の斑(ムラ)A、Bが発生し、場合によって製品の得率を下げるという問題がある。

この2種類の斑A、Bを解析した結果、ブロードな斑Aは図10に示すように液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液膜102の層の厚みが薄くなっていることが分かった。図10の符号103は長尺状支持体、104は配向膜層である。一方、シャープな斑Bが発生している配向部105(濃色部)の配向方向106は、図11に示すように、他の正常な配向方向107の配向部108と比べてずれていることが分かった。

このような初期乾燥で発生する斑A、Bに対して、有効な対策として一般的に行なわれている方法としては、塗布液を高濃度化したり、増粘剤を添加したりすることで塗布液の粘度を増加させる。これにより、塗布直後の塗布膜面乾燥風による流動を抑制することで斑の発生を防止する方法がある。別の方法としては、高沸点溶媒を用いることにより、塗布直後の塗膜面の乾燥風による流動が発生してもレベリング効果が生じることで斑の発生を防止する方法がある。

しかしながら、塗布液の濃度を高濃度化したり、増粘剤を添加したりすることで塗布液の粘度を増加する方法は、高速塗布により超薄層な塗布膜を形成する超薄層精密塗布を行なうことができないという欠点がある。また、塗布液粘度が増加するほど限界塗布速度(安定塗布できる塗布速度の限界)が低下するので、粘度の増加と共に高速塗布が不可能になるので、生産効率極端に悪化するという欠点がある。

一方、高沸点溶媒を用いる方法は、乾燥時間の増大、及び塗布膜中残留する残留溶剤量の増大をもたらし、それだけ乾燥時間がかかるので生産効率が悪化するという欠点がある。

このような背景から、本出願人は特許文献2に記載する塗布膜の乾燥方法及び装置を提案した。この塗布方法及び装置は、塗布直後に乾燥ゾーンを設けて、前記走行する長尺状支持体の乾燥される塗布膜面を囲むと共に前記乾燥ゾーンに前記長尺状支持体幅方向の一方端側から他方端側に流れる一方向流れの乾燥風を発生させることで、塗布液の粘度等の物性や溶媒の種類を変更することなく塗布膜を均一に乾燥するものである。この乾燥方法及び装置により、上記した斑の発生を抑制できるとされている。
特開平9−73081号公報
特開2001−170547号公報

概要

ライン速度を高速化しても塗布直後の初期乾燥過程で発生する斑を顕著に抑制することができ、塗布膜を均一に乾燥できる乾燥方法及び装置を提供することを目的とする。乾燥ゾーン内に乾燥風を供給して塗布膜を乾燥する乾燥方法において、第一乾燥ゾーンでは、長尺状支持体の幅方向に0.5m/sより大きい風速の乾燥風を供給することにより一方向流れの乾燥風を発生させて乾燥し、第二乾燥ゾーンでは、乾燥風の風速を長尺状支持体の走行速度の1/10以下にすることにより長尺状支持体に同伴する同伴風により乾燥し、第二乾燥ゾーンでは、支持体の温度が塗布膜の膜面温度より高くなるように乾燥する塗布膜の乾燥方法である。

目的

しかしながら、光学補償シートの品質として益々高品質なものが要求されている昨今においては、特許文献2の塗布方法及び装置による斑の抑制では十分ではなくなっており、更なる改良が望まれている。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

走行する長尺状支持体有機溶剤を含む塗布液を塗布して形成した塗布膜の塗布直後に乾燥ゾーンを設けて前記走行する長尺状支持体の乾燥される塗布膜面囲み、該乾燥ゾーン内乾燥風を供給して前記塗布膜を乾燥する乾燥方法において、前記乾燥ゾーン前段の第一乾燥ゾーンで実施され、前記長尺状支持体の幅方向の一方端から他方端に0.5m/sより大きい風速の乾燥風を供給することにより前記塗布膜面上に前記幅方向に流れる一方向流れの乾燥風を発生させて前記塗布膜を乾燥する第1の乾燥工程と、前記乾燥ゾーン後段の第二乾燥ゾーンで実施され、前記乾燥風の風速を前記長尺状支持体の走行速度の1/10以下にすることにより前記塗布膜面に前記長尺状支持体の走行に同伴する同伴風を発生させて前記塗布膜を乾燥する第2の乾燥工程と、前記第2の乾燥工程において前記長尺状支持体の温度が前記塗布膜の膜面温度より高くなるように支持体の温度を調整する支持体温度調整工程と、を備えたことを特徴とする塗布膜の乾燥方法。

請求項2

前記長尺状支持体の走行速度が0.4〜1.2m/秒(24〜72m/分)の高速領域であることを特徴とする請求項1に記載の塗布膜の乾燥方法。

請求項3

前記乾燥ゾーンのうちの前記第一乾燥ゾーンにおける前記長尺状支持体の滞留時間が0.3〜1.0秒の範囲になるように前記乾燥ゾーンを前記第一乾燥ゾーンと前記第二乾燥ゾーンとに区画することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布膜の乾燥方法。

請求項4

前記乾燥ゾーンのうちの第一乾燥ゾーンが前記塗布膜の恒率乾燥期であり、前記第二乾燥ゾーンが前記塗布膜の減率乾燥期であり、前記第一乾燥ゾーンと第二乾燥ゾーンとを前記恒率乾燥期から前記減率乾燥期の乾燥変化点の位置において区画することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布膜の乾燥方法。

請求項5

前記第二乾燥ゾーンには、前記乾燥風を全く供給しないことを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の塗布膜の乾燥方法。

請求項6

前記支持体温度調整工程では、前記長尺状支持体の温度が前記塗布膜の膜面温度よりも2℃以上高くなるように調整することを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の塗布膜の乾燥方法。

請求項7

前記塗布膜の厚みは、ウエット厚みで8μm以下であって、前記長尺状支持体の厚みの1/10以下の薄膜であることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載の塗布膜の乾燥方法。

請求項8

前記第二乾燥ゾーンにおける前記塗布膜の膜面温度が20℃以上23℃以下であることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載の塗布膜の乾燥方法。

請求項9

走行する長尺状支持体に有機溶剤を含む塗布液を塗布機で塗布して形成した塗布膜を乾燥する乾燥装置において、前記塗布機の直後に設けられ、前記走行する長尺状支持体の塗布膜面を囲む乾燥ゾーンを形成する乾燥装置本体と、前記乾燥ゾーンのうちの前段部に設けられ、前記長尺状支持体幅方向の一方端から他方端に流れる一方向流れの乾燥風を発生させる一方向気流発生手段を備えた第一乾燥ゾーンと、前記乾燥ゾーンのうちの後段部に設けられ、乾燥風を供給せずに前記走行する長尺状支持体に同伴して発生する同伴風により前記塗布膜を乾燥する第二乾燥ゾーンと、前記塗布機の直前に設けられ、塗布される前の前記長尺状支持体を加熱する加熱手段と、を備えたことを特徴とする塗布膜の乾燥装置。

請求項10

前記第二乾燥ゾーンには、塗布膜から揮発した溶剤回収する回収手段を備えたことを特徴とする請求項9の塗布膜の乾燥装置。

技術分野

0001

本発明は塗布膜乾燥方法及び装置に係り、特に、光学補償シート等の製造において、長尺状支持体有機溶剤を含む塗布液を塗布して形成した長尺広幅塗布膜面を乾燥する乾燥方法及び装置に関する。

背景技術

0002

液晶表示装置において視野角特性を改善するために、一対の偏光板液晶セルとの間に位相差板として光学補償シートを設けている。長尺状の光学補償シートの製造法としては、長尺状の透明フィルムの表面に配向膜形成用樹脂を含む塗布液を塗布してからラビング処理を行なって配向膜を形成する。そして、その配向膜の上に液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を塗布し、塗布した塗布膜を乾燥する方法が下記の特許文献1に開示されている。

0003

この特許文献1に開示されている液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液の乾燥方法は、該配向膜上に液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を塗布してから正規乾燥装置で乾燥するまで室内空調条件下で初期乾燥を行なって主として塗布液中の有機溶剤を蒸発させ、乾燥している。

0004

しかし、特許文献1に記載されている製造方法で製造された光学補償シートには、初期乾燥過程において、塗布膜101面上に図9に示したようなブロードA(細い線で示す)とシャープな斑B(太い線で示す)の2種類の斑(ムラ)A、Bが発生し、場合によって製品の得率を下げるという問題がある。

0005

この2種類の斑A、Bを解析した結果、ブロードな斑Aは図10に示すように液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液膜102の層の厚みが薄くなっていることが分かった。図10の符号103は長尺状支持体、104は配向膜層である。一方、シャープな斑Bが発生している配向部105(濃色部)の配向方向106は、図11に示すように、他の正常な配向方向107の配向部108と比べてずれていることが分かった。

0006

このような初期乾燥で発生する斑A、Bに対して、有効な対策として一般的に行なわれている方法としては、塗布液を高濃度化したり、増粘剤を添加したりすることで塗布液の粘度を増加させる。これにより、塗布直後の塗布膜面の乾燥風による流動を抑制することで斑の発生を防止する方法がある。別の方法としては、高沸点溶媒を用いることにより、塗布直後の塗膜面の乾燥風による流動が発生してもレベリング効果が生じることで斑の発生を防止する方法がある。

0007

しかしながら、塗布液の濃度を高濃度化したり、増粘剤を添加したりすることで塗布液の粘度を増加する方法は、高速塗布により超薄層な塗布膜を形成する超薄層精密塗布を行なうことができないという欠点がある。また、塗布液粘度が増加するほど限界塗布速度(安定塗布できる塗布速度の限界)が低下するので、粘度の増加と共に高速塗布が不可能になるので、生産効率極端に悪化するという欠点がある。

0008

一方、高沸点溶媒を用いる方法は、乾燥時間の増大、及び塗布膜中残留する残留溶剤量の増大をもたらし、それだけ乾燥時間がかかるので生産効率が悪化するという欠点がある。

0009

このような背景から、本出願人は特許文献2に記載する塗布膜の乾燥方法及び装置を提案した。この塗布方法及び装置は、塗布直後に乾燥ゾーンを設けて、前記走行する長尺状支持体の乾燥される塗布膜面を囲むと共に前記乾燥ゾーンに前記長尺状支持体幅方向の一方端側から他方端側に流れる一方向流れの乾燥風を発生させることで、塗布液の粘度等の物性や溶媒の種類を変更することなく塗布膜を均一に乾燥するものである。この乾燥方法及び装置により、上記した斑の発生を抑制できるとされている。
特開平9−73081号公報
特開2001−170547号公報

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、光学補償シートの品質として益々高品質なものが要求されている昨今においては、特許文献2の塗布方法及び装置による斑の抑制では十分ではなくなっており、更なる改良が望まれている。

0011

また、生産性向上の観点から、光学補償シートの生産ラインにおける支持体の走行速度(ライン速度又は塗布速度ともいう)を高速化する必要があり、高速化しても斑の発生を十分に抑制できる塗布膜の乾燥方法が要望されている。

0012

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ライン速度を高速化しても塗布直後の初期乾燥過程で発生する斑を顕著に抑制することができ、また塗布液の粘度等の物性や溶媒の種類を変更することなく塗布膜を均一に乾燥できる乾燥方法及び装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、走行する長尺状支持体に有機溶剤を含む塗布液を塗布して形成した塗布膜の塗布直後に乾燥ゾーンを設けて前記走行する長尺状支持体の乾燥される塗布膜面を囲み、該乾燥ゾーン内に乾燥風を供給して前記塗布膜を乾燥する乾燥方法において、前記乾燥ゾーン前段の第一乾燥ゾーンで実施され、前記長尺状支持体の幅方向の一方端から他方端に0.5m/sより大きい風速の乾燥風を供給することにより前記塗布膜面上に前記幅方向に流れる一方向流れの乾燥風を発生させて前記塗布膜を乾燥する第1の乾燥工程と、前記乾燥ゾーン後段の第二乾燥ゾーンで実施され、前記乾燥風の風速を前記長尺状支持体の走行速度の1/10以下にすることにより前記塗布膜面に前記長尺状支持体の走行に同伴する同伴風を発生させて前記塗布膜を乾燥する第2の乾燥工程と、前記第2の乾燥工程において前記長尺状支持体の温度が前記塗布膜の膜面温度より高くなるように支持体の温度を調整する支持体温度調整工程と、を備えたことを特徴とする塗布膜の乾燥方法を提供する。

0014

請求項1によれば、塗布膜面を囲む乾燥ゾーンのうちの第一乾燥ゾーンにおいては、長尺状支持体幅方向の一方端から他方端への一方向の乾燥風(長尺状支持体の走行方向に直交する流れの乾燥風)により塗布膜を乾燥する第1の乾燥工程を行う。このように、塗布膜面を乾燥ゾーンで囲み、且つ長尺状支持体幅方向の一方端から他方端への一方向流れの規則的な乾燥風を発生させることで、塗布膜面近傍の有機溶剤濃度を常に一定に維持した状態で塗布膜の乾燥を行うことができるので、乾燥時における斑の発生を抑制することができる。

0015

この場合、長尺状支持体が走行することにより、塗布膜面には同伴風が発生するので、上記した一方向流れの規則的な乾燥風を発生させるためには、乾燥風の風速を0.5m/sより大きくする必要がある。しかし、逆に、風速が大き過ぎると斑発生の原因になるので、同伴風に打ち勝って長尺状支持体幅方向の一方端から他方端に一方向の乾燥風を流すことができる風速の乾燥風を供給することが好ましい。

0016

しかし、第一乾燥ゾーンにおいて塗布膜の乾燥が進んだ後は、同じ風速の乾燥風であっても乾燥速度が顕著に変動し易く、この変動が斑発生の要因になる。

0017

そこで、本発明では、第1の乾燥工程の後に第2の乾燥工程を実施するようにした。即ち、第二乾燥ゾーンでは、乾燥風の風速を長尺状支持体の走行速度の1/10以下にすることにより塗布膜面に長尺状支持体の走行に同伴する同伴風を発生させて塗布膜を乾燥する。また、支持体温度調整工程において、第二乾燥ゾーンでの長尺状支持体の温度が塗布膜の膜面温度より高くなるように支持体の温度を調整するようにした。

0018

このように、乾燥風の風速を極力小さくして塗布膜面に流れる風の主体を同伴風とし、この同伴風と、長尺状支持体と塗布膜面の温度差とだけで塗布膜を乾燥することにより、乾燥速度の変動を効果的に防止できるので、斑の発生を一層抑制できる。特に、ライン速度を高速化するほど大きな同伴風を得ることができるので、高速化に適した乾燥方法と言える。更には、乾燥風の供給量を削減できるので、省エネにもなる。

0019

請求項2は請求項1において、前記長尺状支持体の走行速度が0.4〜1.2m/秒(24〜72m/分)の高速領域であることを特徴とする。

0020

請求項2によれば、長尺状支持体の走行速度(ライン速度)を0.4〜1.2m/秒(24〜72m/分)の高速領域にすることで、本発明の効果が一層発揮されやすいからである。

0021

請求項3は請求項1または2において、前記乾燥ゾーンのうちの前記第一乾燥ゾーンにおける前記長尺状支持体の滞留時間が0.3〜1.0秒の範囲になるように前記乾燥ゾーンを前記第一乾燥ゾーンと前記第二乾燥ゾーンとに区画することを特徴とする。

0022

請求項3は、第一乾燥ゾーンと第二乾燥ゾーンとの境界位置の好ましい区画を示したものであり、長尺状支持体が乾燥ゾーンに導入されて乾燥が開始されてから0.3〜1.0秒の滞留時間の部分を第一乾燥ゾーンとすることが好ましい。かかる0.3〜1.0秒の滞留時間を経て乾燥した後の塗布膜において、乾燥速度が顕著に変動し易いからである。

0023

請求項4は請求項1または2において、前記乾燥ゾーンのうちの第一乾燥ゾーンが前記塗布膜の恒率乾燥期であり、前記第二乾燥ゾーンが前記塗布膜の減率乾燥期であり、前記第一乾燥ゾーンと第二乾燥ゾーンとを前記恒率乾燥期から前記減率乾燥期の乾燥変化点の位置において区画することを特徴とする。

0024

請求項4は前段部と第一乾燥ゾーンと第二乾燥ゾーンとの境界位置の好ましい区画を請求項3とは別の方法で区画したものであり、恒率乾燥期から減率乾燥期の乾燥変化点を境として、恒率乾燥期側を第一乾燥ゾーンとし、減率乾燥期側を第二乾燥ゾーンとしたものである。かかる乾燥変化点の近傍の塗布膜において、乾燥速度が顕著に変動しやすいからである。尚、乾燥変化点は、塗布膜の固形分量を予め測定しておくことで乾燥ゾーン内での位置を知ることができ、固形分量で60〜80%まで乾燥された位置とすればよい。

0025

請求項5は請求項1から4において、前記第二乾燥ゾーンには、前記乾燥風を全く供給しないことを特徴とする。

0026

第二乾燥ゾーンでは、乾燥風の風速を長尺状支持体の走行速度の1/10以下に減速させることが必要であるが、乾燥風を全く供給しないことがより好ましいからである。

0027

請求項6は請求項1から5において、前記支持体温度調整工程では、前記長尺状支持体の温度が前記塗布膜の膜面温度よりも2℃以上高くなるように調整することを特徴とする。

0028

請求項6は、第2の工程における支持体温度と膜面温度との好ましい温度差を規定したものであり、長尺状支持体の温度が塗布膜の膜面温度よりも2℃以上高くなるようにすることが好ましい。これにより、支持体の温度と塗布膜の膜面温度との温度差により、乾燥を効率的に助けることができる。

0029

請求項7は請求項1から6において、前記塗布膜の厚みは、ウエット厚みで8μm以下であって、前記長尺状支持体の厚みの1/10以下の薄膜であることを特徴とする。

0030

請求項7は本発明に適した塗布膜の厚みを規定したものであり、塗布膜の厚みがウエット厚みで8μm以下の薄膜の方が、第2の乾燥工程における同伴風での乾燥が容易になるからである。また、塗布液の厚みを支持体厚みとの関係で見た場合には、長尺状支持体の厚みの1/10以下であることが好ましい。塗布液の厚みと支持体の厚みを1/10以下とすることにより、支持体の熱を塗布液の乾燥に効率良く用いることができ、乾燥を促進することができる。

0031

請求項8は請求項1から7において、前記第二乾燥ゾーンにおける前記塗布膜の膜面温度が20℃以上23℃以下であることを特徴とする。

0032

請求項8は、第二乾燥ゾーンにおける塗布膜の好ましい膜面温度を規定したものであり、塗布膜の膜面温度が低過ぎると、乾燥効率が悪くなる。したがって、塗布膜の膜面温度を上記範囲とすることが好ましい。

0033

本発明の請求項9は、前記目的を達成するために、走行する長尺状支持体に有機溶剤を含む塗布液を塗布機で塗布して形成した塗布膜を乾燥する乾燥装置において、前記塗布機の直後に設けられ、前記走行する長尺状支持体の塗布膜面を囲む乾燥ゾーンを形成する乾燥装置本体と、前記乾燥ゾーンのうちの前段部に設けられ、前記長尺状支持体幅方向の一方端から他方端に流れる一方向流れの乾燥風を発生させる一方向気流発生手段を備えた第一乾燥ゾーンと、前記乾燥ゾーンのうちの後段部に設けられ、乾燥風を供給せずに前記走行する長尺状支持体に同伴して発生する同伴風により前記塗布膜を乾燥する第二乾燥ゾーンと、前記塗布機の直前に設けられ、塗布される前の前記長尺状支持体を加熱する加熱手段と、を備えたことを特徴とする塗布膜の乾燥装置を提供する。

0034

請求項9は本発明を装置として構成したものである。

0035

請求項10は請求項9において、前記第二乾燥ゾーンには、塗布膜から揮発した溶剤回収する回収手段を備えたことを特徴とする。

0036

請求項10は、第二乾燥ゾーンでの同伴風の乾燥により、塗布膜から揮発した溶剤を回収するための回収手段を設けたので、第二乾燥ゾーン内に溶剤が充満して乾燥を阻害することがない。回収手段としては、揮発した溶剤を結露させる凝縮板や、溶剤を吸着する吸着板等を好適に使用することができる。

発明の効果

0037

本発明によれば、第二乾燥ゾーンにおいて、乾燥風の風速を支持体の走行速度の1/10以下とし、長尺状支持体の膜面温度が塗布膜の膜面温度より高くなるように支持体の温度を調整している。これにより、長尺状支持体の走行に同伴する同伴風と、支持体と塗布膜面の温度差により塗布膜を乾燥することができるので、乾燥風の速度を効果的に防止することができ、乾燥時における斑の発生を抑制することができる。

発明を実施するための最良の形態

0038

以下、添付図面により本発明の塗布膜の乾燥方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。

0039

図1は、本発明の塗布膜の乾燥装置の側面図であり、また、図2図1を上方から見た平面図である。

0040

図1及び図2に示すように本発明の塗布膜の乾燥装置10は、主として、走行する長尺状支持体12(以下、「ウエブ12」と言う)を通過させて塗布膜の乾燥が行なわれる乾燥ゾーン14を形成する乾燥装置本体16と、乾燥ゾーン14内にウエブ12幅方向の一方端側から他方端側に流れる一方向流れの乾燥風を発生させる一方向気流発生手段18とで構成される。この乾燥装置10は、走行するウエブ12に有機溶剤を含む塗布液を塗布する塗布機20の直後に設けられる。

0041

塗布機20としては、例えば、ワイヤーバー20Aを備えたバー塗布装置を使用することができ、複数のバックアップローラ22、24、26に支持されて走行するウエブ12の下面に塗布液が塗布されて塗布膜が形成される。

0042

乾燥装置本体16は、塗布機20の直後に設けられ、走行するウエブ12の塗布膜面側(ウエブの下面側)に沿った長四角箱体状に形成され、箱体の各辺のうちの塗布膜面側の辺(箱体の上辺)が切除されている。これにより、走行するウエブ12の乾燥される塗布膜面を囲む乾燥ゾーン14が形成される。乾燥ゾーン14は、乾燥装置本体16を、ウエブ12の走行方向に直交した複数の仕切板28、28・・・で仕切ることにより、複数の分割ゾーン14A、14B、14C、14D、14E、14F、14G(本実施例では7つの分割ゾーン)に分割される。そして、本実施例においては、14A〜14Cが第一乾燥ゾーン35を、14D〜14Gが第二乾燥ゾーン36を構成している。この場合、乾燥ゾーン14を分割する仕切板28の上端と、ウエブ12に形成された塗布膜面との距離は、0.5mm〜12mmの範囲が好ましく、更に好ましくは1mm〜10mmの範囲である。また、第一乾燥ゾーン35には、一方向気流発生手段18(図2参照)が設けられている。なお、本発明の製造方法においては、第二乾燥ゾーンにおいて、長尺状支持体の走行速度の1/10以下の乾燥風を供給することも可能であるため、第二乾燥ゾーン内に一方向気流発生手段を備えることも可能である。しかし、第二乾燥ゾーンは無風で行うことが好ましい。また、本実施例においては、3つの分割ゾーン14A〜14Cを第一乾燥ゾーン35、次の4つの分割ゾーン14D〜14Gを第二乾燥ゾーン36としているが、塗布液の種類、乾燥のしやすさ等により、適宜変更が可能である。

0043

また、図1および図2においては、第一乾燥ゾーンと第二乾燥ゾーンの乾燥風の風向きが同じであるが、第一乾燥ゾーンと第二乾燥ゾーンとで、異なる風向きとすることも可能である。

0044

一方向気流発生手段18は、主として、乾燥装置本体16の両側辺の一方側に形成された吸込口18A、18B、18Cと、他方側に吸込口18A〜18Cに対向して形成された排気口18D、18E、18Fと、排気口18D〜18Fに接続された排気手段18G、18H、18Iとで構成される。これにより、排気手段18G〜18Iを駆動させることにより、吸込口18A〜18Cから分割ゾーン14A〜14Cに吸い込まれたエアが排気口18D〜18Fから排気されるので、各分割ゾーン14A〜14Cには、ウエブ12幅方向の一方端側(吸込口側)から他方端側(排気口側)に向けて一方向に流れる乾燥風が発生する。そして、各分割ゾーン14A〜14Cは仕切板28により、分割されているため、他の分割ゾーンの乾燥風が、別の分割ゾーンに供給されることがない。したがって、一つの分割ゾーン内で供給されたエアは、同一の分割ゾーン内で排気されるため、乾燥風は一方向に供給される。また、この一方向気流発生手段18は、排気手段18G〜18Iにより、分割ゾーン14A〜14Cごとに個々に排気量を制御できるようになっている。吸込口18A〜18Cから吸い込まれる乾燥風としては、温度・湿度が空調された空調風が好ましい。

0045

第一乾燥ゾーン35の長さは、第一乾燥ゾーンの長尺状支持体の滞留時間が0.3〜1.0秒の範囲とすることが好ましい。具体的には、長尺状支持体の走行方向において、200mm以上600mm以下であることが好ましい。また、第一乾燥ゾーンは塗布膜面の乾燥状態が恒率乾燥期であることが好ましい。なお、恒率乾燥期については後述する。

0046

第一乾燥ゾーン35の長さを上記範囲とすることにより、第一乾燥工程において、乾燥を充分に行うことができるため、ブロードな斑Aの発生を抑制することができる。第一乾燥工程の乾燥が短いと、乾燥が不充分であり乾燥速度が遅くなる。また、第一乾燥工程が長いと、初期乾燥が終了し乾燥速度が風の影響を受けやすくなるため、ブロードな斑Aが発生しやすくなる。

0047

なお、第一乾燥ゾーン及び第二乾燥ゾーンの長さとは、複数の分割ゾーンにより各ゾーンが形成されている場合は、すべてのゾーンを合わせた長さをいう。

0048

また、第一乾燥ゾーン35の乾燥風の風速は、0.5m/sより大きい風速で供給する。長尺状支持体が走行することにより、塗布膜面には同伴風が発生するので、乾燥ゾーン14内に一方向流れの規則的な乾燥風を発生させるためには、乾燥風を上記速度以上で供給する必要がある。

0049

また、第二乾燥ゾーンの乾燥風の風速は、長尺状支持体の走行速度の1/10以下であり、より好ましくは乾燥風を供給しない無風状態で乾燥することが好ましい。第二乾燥ゾーンの乾燥風の供給速度を遅くすることにより、長尺状支持体の走行に同伴する同伴風により乾燥を行うことができ、微風の乾燥風の影響を受けないため、乾燥ムラの発生を抑制することができる。

0050

乾燥装置本体16の幅はウエブ12の幅よりも大きくなるように形成して、乾燥ゾーン14の両側の開放部分を整風板32で蓋をした整風部分を設けるようにした。この整風部分は、吸込口18A〜18Cから塗布膜端までの距離と、塗布膜端から排気口18D〜18Fまでの距離を確保すると共に、乾燥風が吸込口18A〜18Cのみから乾燥ゾーン14内に吸い込まれ易くするもので、乾燥ゾーン14に急激な乾燥風の流れを作らないようにしたものである。この整風部分、即ち整風板32の長さとしては、吸込口側及び排気口側ともに、50mm以上150mm以下の範囲が好ましい。

0051

各分割ゾーン14A〜14Gのうち、特に塗布機に一番近い分割ゾーン14Aは、ウエブ12に塗布液が塗布された直後に、乾燥ゾーン14外の新鮮な空気、例えば上記した空調風が乾燥ゾーン14に入り込みにくくすることが重要である。この為には、塗布機20に隣接するように分割ゾーン14Aを配置することや前記した整風板32の他に、塗布機20のワイヤーバー20Aの位置と、バックアップローラ24の位置を調整し、ウエブ12が分割ゾーン14Aの直近を走行するようにして、ウエブ12で分割ゾーン14Aの開放部をあたかも蓋をするように構成することが好ましい。

0052

また、ウエブ12を挟んで、乾燥装置本体16の反対側位置には、前記空調風等の風により、ウエブ12の安定走行が阻害されないように遮蔽板34が設けられる。

0053

次に、上記に如く構成された乾燥装置10の作用を説明する。

0054

尚、ウエブ12は、予め塗布された配向膜形成用樹脂をラビング処理して配向膜となる層を有するものであると共に、塗布液は液晶性ディスコティック化合物を含む有機溶剤性塗布液の例で説明する。

0055

バックアップローラ22、24、26に支持され走行するウエブ12に塗布機20のワイヤーバー20Aで塗布液を塗布した直後、乾燥装置10によって塗布膜面の初期乾燥が行なわれる。この初期乾燥は、塗布直後、遅くとも5秒以内の塗布直後に乾燥風による乾燥を開始することが好ましい。

0056

第一乾燥ゾーンにおける初期乾燥において、塗布直後の塗布膜面は有機溶剤が十分に含まれた状態にあり、特に有機溶剤を溶媒とする塗布液を塗布した直後の初期乾燥では有機溶剤の蒸発の分布ゆらぎ)によって塗布膜面に温度分布が発生する。これが原因で表面張力の分布が発生し、塗布膜面内で塗布液の流動が起き、乾燥の遅い部分の塗布膜が薄くなり、ブロードな斑Aとなる。このブロードな斑は速乾することで解消されるため、第一乾燥ゾーンにおける乾燥風を大きくすることが有効である。

0057

しかし、恒率乾燥期から減率乾燥期に変化する乾燥変化点の近傍の塗布膜においては、乾燥速度が顕著に変動しやすいので、乾燥風の速度が大きいと、ブロードな斑Aが発生する。したがって、乾燥変化点を経過する前に、乾燥風を微風、または無風とすることにより、乾燥ムラの発生を抑制することができる。

0058

また、液晶性ディスコティック化合物の配向方向は、配向膜形成用樹脂の表面をラビング処理して決めているが、初期乾燥においてラビング方向と異なる風向きの風速が速い場合、風が合流する場合、風の渦が発生している場合等の風が塗布膜面に当たることで塗布膜面の一部に配向方向のずれを生じさせ、これがシャープな斑Bの原因となる。

0059

このことから、初期乾燥時における塗布膜面の斑A、Bを防止するためには、塗布してから塗布膜面における塗膜液の流動が停止するまでの初期乾燥の間、外部からの不均一な風が塗布膜面に当たるのを阻止すると共に、塗布膜面近傍の有機溶剤濃度を常に一定に保つことが重要になる。

0060

したがって、本発明の塗布膜の乾燥方法および塗布装置においては、乾燥速度を速くしたい第一乾燥ゾーンでは、0.5m/sより大きい風速の乾燥風を供給し、乾燥を行う。これにより、長尺状支持体の走行に同伴する同伴風の影響が少なくなるため、一方向の乾燥風により、乾燥速度を促進することができる。逆に、第二乾燥ゾーンにおいては、乾燥風の速度を長尺状支持体の走行速度の1/10以下としているため、乾燥風の影響を受けず、同伴風により乾燥を行うことができるため、乾燥ムラの発生を抑制することができる。

0061

ここで乾燥期について説明する。詳細は化学工学便覧の乾燥章に記載してある通りである。図4に乾燥時間に対する膜面温度の温度変化を示す。図4横軸が乾燥時間、縦軸が膜面温度である。一定の風速と風温で塗布膜を乾燥させた場合、図4に示すように、ある時間から湿球温度であった膜面温度が上昇する。上昇前を恒率乾燥期と称し、湿球温度である間は膜内揮発分の膜内移動が充分早く、表面から揮発する液が充分存在する状態である。

0062

しかし上昇し始める減率乾燥期には膜内の揮発分が表面に不足して同じ風を与えても乾燥速度が遅い状態になる。この臨界点である乾燥変化点は固形分量が60〜80%になる点である。

0063

ここでいう固形分量とは
固形分量(%)=固形分/(揮発分+固形分)×100
である。固形分及び(揮発分+固形分)は、重量測定により、以下の式(1)及び式(2)により求めることができる。
固形分=[A:乾燥終了した膜の重量]−[B:塗布前の支持体の重量]・・・(1)
揮発分+固形分=[C:ある乾燥ゾーンでサンプルした膜の重量]−[B:塗布前の支持体の重量]・・・(2)
したがって、あるゾーンでサンプルを採取した時に
A:揮発分の沸点以上で絶乾させた重量、
B:Aを脱膜して測った重量、
C:サンプルしてすぐに測った重量、
を各々測定することにより固形分量を得ることができる。本発明の実施例の条件で無風ゾーンのサンプルの固形分量を測定すると、いずれも60〜80%の間であった。

0064

また、第二乾燥ゾーンにおいて、長尺状支持体の温度が塗布膜の膜面温度より高くなるように支持体の温度を調節する。支持体の温度と膜面温度との温度差は2℃以上高いことが好ましい。2℃以上高くすることにより、支持体の温度と膜面温度との温度差にり、乾燥を促進させることができる。

0065

また、第二乾燥ゾーンにおける塗布膜の膜面温度は、20℃以上23℃以下であることが好ましい。塗布膜の膜面温度を上記範囲とすることにより、塗布膜の乾燥効率を上げることができる。塗布膜の膜面温度が低いと乾燥速度が遅くなる。また、膜面温度が高いと支持体の温度をより高くする必要があるため、製造コストが高くなる。

0066

図4に示すように、風温と膜面温度の差が大きい乾燥初期の恒率乾燥期において、乾燥が促進される。また、膜面温度が上昇し、風温と膜面温度の差が小さくなる乾燥後半の減率乾燥期では、乾燥速度が遅くなっている。したがって、風温と膜面温度との差ΔTが大きいほど乾燥が促進され、また、乾燥風の風速が大きいほど乾燥が促進される。本発明のように後半の風が小さい状態では乾燥は緩やかになってしまう。しかし、蒸発の際、塗布液は蒸発潜熱を奪われるので残った塗膜の温度は低下する。そして、塗膜の温度は隣接する支持体の温度との平均になるが、塗膜に対して支持体の熱容量が大きい場合、すなわち、塗膜よりも支持体の方が充分に厚い場合には、塗布直後の初期乾燥時の膜面温度は塗布される前の支持体温度に支配される。これを熱力学的に説明すると以下になる。

0067

今、H:蒸発潜熱、ρL:液密度、δL:液厚み、Mw:MEK分子量、ρB:ベース密度、δB:ベース厚み、Cp:ベース比熱、△T:[塗布前ベース温度]−[最終膜面温度]、として蒸発潜熱の全てが塗膜に吸収される場合、すなわち、塗膜と支持体が外気から断熱されている場合を想定して熱収支を取ると、
HρLδL/(Mw/1000)=ρBδBCp△T・・・・・1)
1)式を整理すると、
△T=1000H×(ρLδL/ρBδB)/(MwCp)・・・・・2)
例えば、MEK溶媒を用いて5μmの厚みの塗布膜を80μmのトリアセチルセルロース支持体に形成する場合について計算すると、H=35000(J/mol)、ρL=1000(kg/m3)、δL=5(μm)、Mw=72.1(g/mol);MEK分子量、ρB:1300(kg/m3)、δB=80(μm)、Cp=1764(J/kg・k)、より、
ΔT=1000×35000×(1000×5/1300/80)/(72.1×1764)=13(℃)・・・・・3)
となる。

0068

つまり、「乾燥が進む程、蒸発潜熱が奪われ膜面温度が低くなる。膜面温度が低くなると周囲の温度と膜面との温度差△Tが大きくなる。したがって、乾燥風が弱くても乾燥が進行する」というように、膜面温度を低い温度とし、周囲の温度と膜面との温度差ΔTを大きくすることにより、乾燥を進行させることができる。

0069

本発明のような有機溶剤の薄層塗布で乾燥風の乱れに起因する斑を対策する場合には、第二乾燥ゾーンの乾燥風の風速を0.5m/s以下の微風に抑える必要がある。したがって、実質的に乾燥風により加熱され乾燥に寄与する影響は少ない。すなわち、膜面温度は塗布する前の支持体温度に支配され、斑に間接的に影響する。

0070

図5に、塗布機の前に加熱手段を組み込んだ工程図を示す。加熱手段としては、図5に示す加熱ローラ81を挙げることができる。また、加熱手段としては、塗布前の長尺状支持体を加熱することができれば、特に限定されず用いることができる。加熱ローラ81により、長尺状支持体を加熱した後、塗布液を塗布することにより、第二乾燥ゾーンまで支持体が温度を保持し、支持体の温度を膜面温度より高くすることができる。

0071

なお、本発明において、「無風状態」とは、塗布膜近傍の風が支持体同伴風よりも充分小さい状態のことをいう。塗布時にはラインが動いているため、ウエブに同伴する風がウエブの進行方向に発生しているが、ライン停止時に風速を測定した際に、支持体の走行速度の1/10以下の風速が検知されても本発明では「無風」と称することとする。

0072

また、図6図7に乾燥装置の他の実施形態を示す。図6図7に示す乾燥装置は、第二乾燥ゾーンに塗布膜から揮発した溶剤を回収する回収手段を備えた乾燥装置である。第一乾燥ゾーンにおいては、乾燥風を供給し乾燥を行っており、乾燥風により溶剤が揮発するため、回収手段は第二乾燥ゾーンにのみ設けることが好ましい。

0073

図6は、塗布面が水平方向に対して、上側になるような構成である。乾燥装置60は、ウエブ12と所定距離をおいて略平行に設けられる板状部材である凝縮板62と、凝縮板62の前後辺から下方に乗設される側面板等とで構成され、ウエブ12の塗布面を囲んでいる。これにより、塗布膜の塗布液中の溶媒が揮発した際に、揮発した溶媒が凝縮板62に凝縮し回収される構成になっている。

0074

凝縮板62を凝縮させる面に用いる材質は、金属、プラスチック、木材等、特に限定されないが、塗布液中の有機溶媒耐性のある材質を用いる、または、表面にコーティングを施すことが好ましい。

0075

凝縮板62に凝縮した溶媒を回収させる手段は、たとえば、凝縮板62の凝縮面に溝を設け、毛管力を利用して溶媒を回収させる。溝の方向は、ウエブ12の走行方向であってもよく、これに直交する方向であってもよい。図6のように、凝縮板62が傾斜している場合には、溶媒を回収させやすいように溝を設けることが好ましい。

0076

また、凝縮板62の代わりに、同様な機能を奏する構成、たとえば、多孔板、網、簀の子、ロール等を使用する構成も採用することができる。

0077

乾燥装置60内には、複数の凝縮板を配設することができ、ウエブ12と凝縮板62との距離をウエブ12の走行方向で変化できる構成となっている。凝縮板62とウエブ12との距離を変化させる構成としては、図6に示すように、凝縮板に段差を設け階段状に変化させる構成であってもよく、また、凝縮板62をウエブ12の走行方向に向って所定角度傾斜させ、凝縮板62とウエブ12との距離をウエブ12の走行方向でテーパ状に変化させる構成であってもよい。

0078

図7に乾燥装置の他の例を示す。乾燥装置70は塗布面が水平方向に対して下側になるように構成されており、塗布機20、凝縮板72がウエブ12の下側に配置されている。

0079

また、塗布液中の溶媒の蒸発、凝縮を促進させるため、ウエブ12および/または塗布膜を加熱する、凝縮板62、72を冷却する、またはその両手段を採用することが好ましい。さらに、塗布膜の乾燥速度を制御するために、温度管理されていることが好ましい。

0080

なお、凝結乾燥方式の乾燥装置としては、上述した乾燥装置のほかに、特開2003−170101号公報に記載されている乾燥装置を用いることもできる。

0081

また、図6、7では回収手段として凝縮板を用いた例を記載したが、凝縮板の代わりに吸着板を用いることもできる。

0082

本発明で使用されるウエブ12としては、一般に幅0.3〜5m、長さ45〜10000m、厚さ5〜200μmのポリエチレンテレフタレートポリエチレン−2,6ナフタレートセルロースダイアセテート、セルローストリアセテートセルロースアセテートプロピオネートポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデンポリカーボネートポリイミドポリアミド等のプラスチックフィルム、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンエチレンブテン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフィン類を塗布またはラミネートした紙、アルミニウム、銅、錫等の金属箔等、或いは帯状基材の表面に予備的な加工層を形成させたものが含まれる。更に、前記したウエブ12には、光学補償シート塗布液、磁性塗布液写真感光性塗布液表面保護帯電防止あるいは滑性用塗布液等がその表面に塗布され、乾燥された後、所望する長さ及び幅に裁断されるものも含まれ、これらの代表例としては、光学補償シート、各種写真フィルム印画紙磁気テープ等が挙げられる。

0083

塗布液の塗布方法として、上記したバーコーティング法の他、カーテンコーティング法エクストルージョンコーティング法ロールコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法印刷コーティング法、スプレーコーティング法及びスライドコーティング法を使用することができる。特にバーコーティング法、エクストルージョンコーティング法、スライドコーティング法が好適に使用できる。

0084

また、本発明において同時に塗布される塗布液の塗布層の数は単層に限定されるものではなく、必要に応じて同時多層塗布方法にも適用できる。

0085

以下に、実施例により本発明の実質的な効果を説明する。

0086

図8の実施例1〜7、比較例1〜6の条件で乾燥を行い、塗布膜の斑の発生を確認した。風速はライン停止状態で風速形を360度回転させて最大になる値で測定した。

0087

先ず、光学補償シートの製造工程について説明すると、図3のように送出機40で送り出されたウエブ12は複数のガイドローラ42、42・・・によって支持されながらラビング処理装置44、塗布機20そして、初期乾燥を行なう本発明の乾燥装置10、本乾燥を行なう乾燥ゾーン46、加熱ゾーン48、紫外線ランプ50を通過して巻取機52で巻き取られる。

0088

ウエブ12としては、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を使用した。そして、ウエブ12の表面に、長鎖アルキル変性ポバール(MP−203、クラレ(株)製)の2重量パーセント溶液フィルム1m2当り25ml塗布後、60°Cで1分間乾燥させて造られた配向膜用樹脂層を形成したウエブ12を、30m/分で搬送走行させながら、樹脂層表面にラビング処理を行って配向膜を形成した。

0089

そして、配向膜用樹脂層をラビング処理して得られた配向膜上に、塗布液としては、ディスコティック化合物TE−8の(3)とTE−8の(5)の重量比で4:1の混合物に、光重合開始剤イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製造)を前記混合物に対して1重量パーセント添加した混合物の40重量%メチルエチルケトン溶液とする液晶性化合物を含む塗布液を使用した。ウエブ12を各塗布速度条件で走行させながら、この塗布液を配向膜上に、塗布液量がウエブ1m2当り5ml〜7mlになるようにワイヤーバー20Aで塗布した。そして、塗布直後に乾燥装置10を使用して初期乾燥を行なった。

0090

また、乾燥ゾーン14を7分割する仕切板28の上端と塗布膜面との間隔は5〜9mmの範囲に設定して行った。また、乾燥装置10で初期乾燥されたウエブ12は、100°Cに調整された乾燥ゾーン46及び、130°Cに調整された加熱ゾーン48を通過させてネマチック相を形成した後、この配向膜及び液晶性化合物が塗布されたウエブ12を連続搬送しながら、液晶層の表面に紫外線ランプ50により紫外線照射した。

0091

結果を図8に示す。なお、図8における斑の発生状況総合評価については、以下の基準により評価した。
(斑の発生状況)
○・・・斑が発生しなかった
△・・・斑は僅かに発生するが品質上問題にならないレベルの斑である
×・・・斑の発生が見られた
総合判定
○・・・製品として許容でき極めてよい面状である
△・・・製品として許容できる
×・・・製品として許容できない
その結果、図8から分かるように、第一乾燥ゾーンの風速を0.5m/sより大きくし、第二乾燥ゾーンの風速を塗布速度の1/10以下で行った実施例については、製品として許容できる範囲のフィルムを形成することができた。しかし、第二乾燥ゾーンにおいて、乾燥風の供給速度の速い比較例1、6は減率乾燥期においても、乾燥風を供給しているため、シャープな斑Bが発生していた。また支持体の温度と膜面の温度差が小さい実施例7については、乾燥ムラの発生が確認されたが、品質上問題にならないレベルの斑であった。

0092

上より第一乾燥ゾーンの乾燥風速度を0.5m/sより大きくし、支持体の同伴風を打ち消すように乾燥を行い、第二乾燥ゾーンにおいて乾燥風を微風とする、または、無風とすることにより、ブロードな斑、シャープな斑の発生を抑制することができた。また、第一乾燥ゾーンの長さ、膜面と支持体との温度差、塗布速度、第一乾燥ゾーンの乾燥風の速度を適正な範囲で乾燥させることにより、さらに良好な品質の塗布膜を得ることができた。

図面の簡単な説明

0093

本発明の乾燥装置の側面図である。
本発明の乾燥装置の平面図である。
光学補償シートの製造工程に、本発明の乾燥装置を組み込んだ工程図である。
乾燥時間に対する膜面温度の温度変化を示す図である。
塗布機の前に加熱手段を組み込んだ工程図である。
乾燥装置の他の実施形態を示す。
乾燥装置の更に他の実施形態を示す。
実施例の結果を示す図である。
従来の乾燥方式で発生した斑(ムラ)発生状況図である。
ブロードな斑(ムラ)を説明する説明図である。
シャープな斑(ムラ)を説明する説明図である。

符号の説明

0094

10、60、70…乾燥装置、12…長尺状支持体(ウエブ)、14…乾燥ゾーン、14A〜14G…分割ゾーン、16…乾燥装置本体、18…一方向気流発生手段、18A〜18C…吸込口、18D〜18F…排気口、18G〜18I…排気手段、20…塗布機、22、24、26…バックアップローラ、28…仕切板、32…整風板、35…第一乾燥ゾーン、36…第二乾燥ゾーン、62、72…凝縮板、81…加熱ローラ、A…ブロードな斑、B…シャープな斑

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