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課題

複製非必須遺伝子が不活化されたヘルペスウイルス、およびこれを利用した治療薬を提供する。

解決手段

ULまたはUS領域に存在するUS3またはUL56遺伝子を含む、複製非必須遺伝子が不活化されたヘルペスウイルス(好ましくは、単純ヘルペスウイルス、より好ましくは単純ヘルペスウイルス−1または単純ヘルペスウイルス−2)。および、該ウイルスを利用した、腫瘍および感染性疾患を含む種々の疾患または障害処置するための方法、組成物およびその使用。また、プロドラッグ活性化するための方法、組成物およびその使用。

概要

背景

ヘルペスウイルス歴史に記されるのは紀元前の古代ギリシア時代にさかのぼる。ヘルペスウイルスは、初めて感染した後に発症する例は少なく、長期間、ウイルス神経節などに潜伏する。ヒトの免疫能が低下すると、ウイルスが活性化され増殖し発症する。この際、ヘルペスウイルスは、皮膚、性器眼球、神経などと、広い範囲の組織を標的とする。血液中にウイルスを中和する抗体が存在していても症状が現れることが多いことから、発症に細胞性免疫能の低下が関与していると考えられている。

ヒトに感染するヘルペスウイルスには、単純ヘルペスウイルス(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス(HSV−2)、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、EBウイルスEBV)、サイトメガロウイルスHCMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV−7)、ヒトヘルペスウイルス−8(HHV−8)などが包含される。

HSV−1は、初感染症状として、歯肉口内炎顔面ヘルペスを呈し、回帰感染症状として、口唇ヘルペス角膜結膜炎ヘルペスヘルペス脳炎を呈する。HSV−1の潜伏感染部位は、おもに三叉神経節である。HSV−2は、初感染症状として、性器ヘルペスを呈し、回帰感染症状として、性器ヘルペス、新生児ヘルペスを呈する。HSV−2の潜伏感染部位は、おもに仙骨部神経節である。VZVは、初感染症状として水痘を呈し、回帰感染症状として水痘、帯状疱疹を呈する。VZVの潜伏感染部位は、おもに脊椎後根神経節である。EBVは、無症状であるか、または初感染症状として伝染性単核症を呈し、回帰感染症状としてバーキットリンパ腫鼻咽腔がんを呈する。EBVの潜伏感染部位は、おもにBリンパ球である。HCMVは、初感染症状としては無症状であるが、回帰感染症状として肺炎巨細胞封入体症などを呈する。HCMVの潜伏感染部位は、おもにマクロファージ造血前駆細胞とみられる。HHV−6は、初感染症状として突発性発疹を呈し、回帰感染症状として突発性発疹(肺炎)を呈する。HHV−6の潜伏感染部位は、マクロファージ、造血前駆細胞と見られる。HHV−7は、初感染症状として突発性発疹を呈する。HHV−7の潜伏感染部位はおもにTリンパ球である。HHV−8は、初感染症状としては無症状であるが、回帰感染症状としてカポジ肉腫PELキャッスルマン病を呈する。HHV−8の潜伏感染部位はおもにBリンパ球である。このようにヘルペスウイルスに起因する感染は非常に多岐にわたる。

ヒトのヘルペスウイルスワクチンの中で成功したのは水痘ウイルス弱毒化生ワクチンのみである(Takahashi M.,et al.Lancet、2:1288,1974)。しかし、この弱毒化生ウイルスは、偶然にもたらされたものであり水痘ウイルスが他のヘルペスウイルスと異なりウイルス血症により全身感染を起こすため液性免疫の有効性が高いという特性に基づくという特性に基づく。従って、実質的には、ヘルペスウイルスに対するワクチンとして普遍的に利用可能に有効なものはいまだない。

HSVはヒトに感染するヘルペスウイルスの中でも代表的な例である。HSVによる感染は、粘膜のウイルス接種から、あるいはウイルスが表皮破れから皮膚の中に入ることにより生じる。大抵の一次感染幼児期に起こり、ほとんどの子供は一次感染から急速に回復する。しかし、感染している付添人から、一般的にはHSV感染した母親から、新生児がHSVに感染した場合、より具体的には誕生時に新生児が産道陰部疱疹に出合うときに、HSVの感染が重症を引き起こす。例えば、播種性新生児疱疹感染が、肝炎等を引き起こし、新生児を死に至らしめる場合もある。

HSVが体内にいったん獲得されると、HSVは生涯身体中に保持される。感染の潜状期間は、HSVは知覚神経節ニューロン中に局在化され(顔の病変の場合には、通常三叉神経節が関係する)、感染者は無徴候である。しかし、月経日光もしくは冷風への過剰暴露下垂体もしくは副腎ホルモンアレルギー反応、または熱のごとき多くの刺激によって、HSVが活動状態となる。活動状態となったHSVは複製して宿主細胞機構を乗っ取り、感染性成熟ウイルス粒子を作り、そして細胞死を引き起こす。かかる再発性攻撃により引き起こされる病気は、口、顔および性器に現れることが最も多い。例えば、再発性のHSVによる角膜炎失明の主要な原因とされている。また、HSVの性器感染は頻繁に起こり、HSVに起因する性感染症(例えば、陰部ヘルペス)が顕著な羅病率で発症する。より具体的には、かかる再発性の攻撃により引き起こされる再発性HSV誘導性疾病としては、例えば口唇疱疹(通常「熱性疱疹」または「コールドアス(cold sores)」と呼ばれる上の障害)、歯肉口内炎(ロおよび歯肉小胞でおおわれ、それが破れて潰瘍となる)、咽頭炎扁桃炎角結膜炎(角膜炎または眼の角膜の炎症で、樹状潰瘍へと進行し、最終的には角膜の瘢痕化をもたらし、盲目となる)および陰部疱疹を含む粘膜皮膚病などが挙げられる。稀には、HSV感染は脳炎疱疹性湿疹外傷性庖疹および肝炎を引き起こすことがある。

単純ヘルペスウイルス2型(本明細書において以下、HSV−2ということがある)は、生殖器皮膚粘膜感染を誘導する。感染後、ウイルスは知覚神経節において維持され、活性化された後、再発性HSV感染を引き起こす(Price,R.W.,Walz,M.A.,Wohlenberg,C.,and Notkins,A.L.(1975).Latent infection of sensory ganglia with herpes simplex virus: efficacy of immunization.Science 188,938−940)。動物モデルを用いたHSV−2感染に対する免疫反応は、多くの研究者によって幅広く研究されている。

主要な抗原提示細胞APC)はランゲルハンス細胞(LC)を含む樹状細胞(DC)であり、におけるマクロファージ(Mφ)およびB細胞細胞数は少ないことが報告されている(Parr,M.B.,and Parr,E.L.(1991).Langerhans cells and T lymphocyte subsets in the murine vagina and cervix.Biol.Reprod.44:491−498,;Nandi,D.,and Allison,J.P.(1993).Characterization of neutrophiles and T lymphocytes associated with the murine vaginal epithelium.Reg.Immunol.5,332−338)。

細胞細胞障害性Tリンパ球(CTL)として重要な役割を果たしており、HSV−2感染に対する抗ウィルス性サイトカイン生産することが報告されている(Milligan,G,N.,and Bernstein,D.I.(1995).Analysis of herpes simplex virus−specific T cells in the murine female genital tract following genital infection with herpes simplex virus type 2.Virology 212,481−489.;Parr,M.B.,and Parr,E.L.(1998).Mucosal immunity to herpes simplex virus type 2 infection in the mouse vagina is impaired by in vivo depletion of T lymphocytes.J.Virol.72,2677−2685.; Milligan,G.N.,Bernstein,D.I.,and Bourne,N.(1998).T lymphocytes are required for protection of the vaginal mucosae and sensory gaglia of immune mice against reinfection with herpes simplex virus type 2.J.Immunol.160,6093−6100)。

複製能力欠損変異株は広域スペクトルの免疫反応を誘導できることが知られている(Morrison,L.A.,Da Costa,X.J.,and Knipe,D.M.(1998).Influence of mucosal and parenteral immunization with a replication−defective mutant of HSV−2 on immune responses and protection from genital infection.Virology 243,178−187.;McLean,C.S.,Ni Challanain,D.,Duncan,I.,Boursnell,M.E.G.,Jennings,R.,and Inglis,S.C.(1996).Induction of a protective immune response by mucosal vaccinatin with a DISC HSV−1 vaccine.Vaccine 14,987−992)。

HSV−2弱毒系統を感染させると、HSV−2特異的T細胞1型(Th1)様CD4+細胞の膣への流入が引き起こされることが知られている(Milligan,G.N.,Bernstein,D,I.,and Bourne,N.(1998).T lymphocytes are required for protection of the vaginal mucosae and sensory ganglia of immune mice against reinfection with herpes simplex virus type 2.J.Immunol.160,6093−6100)。

しかしながら、病理学において、HSVに特異的なウイルス遺伝子の役割と免疫反応の関係の詳細については、まだ完全には明らかになっていない。

このように、ヘルペスウイルスに起因する疾患または障害に対しては、決定的な予防法治療法欠けるのが現状である。

癌に対する治療としては、現在一般に、外科切除化学療法放射線療法等が行われている。しかしながら、これらの治療法が充分な効果を奏さない癌も存在し、例えば、進行膵癌または進行卵巣癌では未だ充分な予後を得るには至っていない。特に腹膜播種の存在する進行膵癌または進行卵巣癌では、外科的切除による予後は期待できない。

このため、癌に対する新たな治療方法として、遺伝子治療が試みられている。癌に対する遺伝子治療としては、(1)アンチセンスまたはリボザイムを用いて癌遺伝子を抑制するか、または、癌抑制遺伝子を導入して腫瘍細胞の増殖を抑制する方法、(2)代謝毒性遺伝子自殺遺伝子)を導入して腫瘍細胞を自殺に追いやる方法、(3)導入遺伝子により抗腫瘍免疫強化する方法、(4)化学療法の効果を向上させるために多剤耐性遺伝子を用いて骨髄幹細胞を保護する方法等が検討されている。

上記(2)の方法として、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを自殺遺伝子として用いる方法が知られている。癌細胞に単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを導入した後、ガンシクロビル投与すると、ガンシクロビルは、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼによってリン酸化され活性型となり、癌細胞のDNAポリメラーゼ阻害する。このため、癌細胞に単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを導入することにより、癌細胞の増殖を抑制することができ、ひいては癌細胞を死滅させることも可能となる。

単純ヘルペスウイルスは病原性ウイルスであるので、野生型のものをそのまま癌の治療に使用することはできない。このため、単純ヘルペスウイルスを弱毒化して癌の治療に用いることが研究されている(WO96/39841)。

このため、癌に対する新たな治療方法として、遺伝子治療が試みられている。そのような遺伝子治療の一つとしては、代謝毒性遺伝子(自殺遺伝子)を導入して腫瘍細胞を自殺に追いやる方法が挙げられ、より具体的には単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを自殺遺伝子として用いる方法が知られている。

上記に示したように、単純ヘルペスウイルス(例えば複製能力のあるヘルペスウイルス1型(HSV−1))のようなヘルペスウイルスは、腫瘍細胞の破壊を媒介することがあることから、遺伝子操作した複製可能なHSV−1ウイルスベクターの使用が、抗腫瘍治療に関連して検討されている。

このようなHSV−1ウイルスベクターとしては、γ34.5遺伝子(γ34.5)を欠損し、神経毒性が低下したγ34.5欠損株が用いられて一定の抗腫瘍効果を示されている。しかし、γ34.5欠損株は実用化には至っていない。

本発明者らは、以前よりHSV−2のUS2をコードする遺伝子(以下、US2遺伝子と略称する)およびUS3をコードする遺伝子(以下、US3遺伝子と略称する)に着目し、US2欠損変異体またはUS3欠損HSV遺伝子組換え体を用いて病理学的な役割を調べ、US2およびUS3遺伝子はともに細胞培養でのウイルス複製に必ずしも必要でなく、US3欠損HSV遺伝子組換え体は非常に弱毒化されていることが明らかにした(Nishiyama,Y.,Yamada,Y.,Kurachi,R.,and Daikoku,T.(1992).Construction of a US3 lac Z insertion Mutant of herpes simplex virus type 2 and characterization of its phenotype in vitro and in vivo.Virology 190,256−268.;Daikoku,T.,Yamashita,Y.,Tsurumi,T.,Maeno,K.,and Nishiyama,Y.(1993).Purification and biological characterization of the protein kinase encoded by the US3 gene of herpes simplex virus type 2.Virology 197,685−694.;Jiang,Y−H.,Yamada,H.,Goshima,F.,Daikoku.T.,Oshima,S.,Wada,K.,and Nishiyama,Y.(1998).Characterization of the herpes simplex virus type 2 (HSV−2) US2 gene product and a US2−deficient HSV−2 mutant.J.Gen.Virol.79,2777−2784)。

また、マウスモデルを用いて行った性器ヘルペスに関する以前の研究から、感染初期の段階ではHSV−1KOS株感染とは異なり、強毒なHSV−2 186株を膣内感染させると、膣内で活性化されたT細胞を効果的に増加させることも、APC(抗原提示細胞)の急速な増加も誘導できないことが明らかとなった(Inagaki−Ohara K,Daikoku T,Goshima F,Nishiyama Y.Impaired induction of protective immunity by highly virulent herpes simplex virus type 2 in a murine model of genital herpes.Arch Virol.2000; 145(10): 1989−2002)。

概要

複製非必須遺伝子が不活化されたヘルペスウイルス、およびこれを利用した治療薬を提供する。ULまたはUS領域に存在するUS3またはUL56遺伝子を含む、複製非必須遺伝子が不活化されたヘルペスウイルス(好ましくは、単純ヘルペスウイルス、より好ましくは単純ヘルペスウイルス−1または単純ヘルペスウイルス−2)。および、該ウイルスを利用した、腫瘍および感染性疾患を含む種々の疾患または障害を処置するための方法、組成物およびその使用。また、プロドラッグを活性化するための方法、組成物およびその使用。なし

目的

従って、本発明は、特性の改変されたヘルペスウイルス構築物またはその使用もしくはそれを使用する方法を提供することによって、ヘルペスウイルスに関連する疾患または障害あるいはその他の疾患または障害を処置または予防することを課題とする。

効果

実績

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請求項1

少なくとも1つの複製非必須遺伝子が不活化されている、単純ヘルペスウイルスであるヘルペスウイルス

請求項2

外来性自殺遺伝子をさらに含む、請求項1に記載のヘルペスウイルス。

請求項3

カルボキシエステラーゼ遺伝子をさらに含む、請求項1に記載のヘルペスウイルス。

請求項4

癌細胞選択性を有する、請求項1に記載のヘルペスウイルス。

請求項5

前記不活化は、前記複製非必須遺伝子の配列における、少なくとも1ヌクレオチド置換、付加、欠失または改変が含まれる、請求項1に記載のヘルペスウイルス。

請求項6

前記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである、請求項1に記載のヘルペスウイルス。

請求項7

前記複製非必須遺伝子は、US3を含む、請求項1に記載のヘルペスウイルス。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載のヘルペスウイルスを含む、薬学的組成物

請求項9

弱毒化ヘルペスウイルスが活性型に変換しうるプロドラッグをさらに含む、請求項8に記載の薬学的組成物。

請求項10

前記プロドラッグは、ガンシクロビルアシクロビルタキソールおよびカンプトテシンからなる群より選択されるものを含む、請求項9に記載の薬学的組成物。

請求項11

腫瘍処置のための、請求項8に記載の薬学的組成物。

請求項12

少なくとも1つの腫瘍処置のための薬剤をさらに含む、請求項11に記載の薬学的組成物。

請求項13

前記ヘルペスウイルスによって活性型に変換されるプロドラッグの抗癌作用増強のための、請求項8に記載の薬学的組成物。

請求項14

感染性疾患を処置または予防するための、請求項8に記載の薬学的組成物。

請求項15

腫瘍を処置または予防するための薬学的組成物を製造するための、ヘルペスウイルスの使用であって、該ヘルペスウイルスは、少なくとも1つの複製非必須遺伝子が不活化されている、使用。

請求項16

前記複製非必須遺伝子は、US3を含む、請求項15に記載の使用。

請求項17

前記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである、請求項15または16に記載の使用。

請求項18

前記薬学的組成物は、ワクチンである、請求項15、16または17の使用。

請求項19

ヘルペスウイルスによって活性型に変換されるプロドラッグの抗癌作用増強のための薬学的組成物を製造するための、ヘルペスウイルスの使用であって、該ヘルペスウイルスは、少なくとも1つの複製非必須遺伝子が不活化されている、使用。

請求項20

前記複製非必須遺伝子は、US3を含む、請求項19に記載の使用。

請求項21

前記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである、請求項19または20に記載の使用。

請求項22

前記薬学的組成物は、ワクチンである、請求項19、20または21の使用。

技術分野

0001

本発明は、新規単純ヘルペスウイルス(以下、本明細書においてHSVと略すことがある)の構築物に関する。より詳細には、本発明は、新規ヘルペスウイルス構築物を用いた種々の疾患または障害(例えば、がん細菌感染症ウイルス感染症など)の処置治療または予防のための方法、使用および組成物に関する。

背景技術

0002

ヘルペスウイルスが歴史に記されるのは紀元前の古代ギリシア時代にさかのぼる。ヘルペスウイルスは、初めて感染した後に発症する例は少なく、長期間、ウイルス神経節などに潜伏する。ヒトの免疫能が低下すると、ウイルスが活性化され増殖し発症する。この際、ヘルペスウイルスは、皮膚、性器眼球、神経などと、広い範囲の組織を標的とする。血液中にウイルスを中和する抗体が存在していても症状が現れることが多いことから、発症に細胞性免疫能の低下が関与していると考えられている。

0003

ヒトに感染するヘルペスウイルスには、単純ヘルペスウイルス(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス(HSV−2)、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、EBウイルスEBV)、サイトメガロウイルスHCMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV−7)、ヒトヘルペスウイルス−8(HHV−8)などが包含される。

0004

HSV−1は、初感染症状として、歯肉口内炎顔面ヘルペスを呈し、回帰感染症状として、口唇ヘルペス角膜結膜炎ヘルペスヘルペス脳炎を呈する。HSV−1の潜伏感染部位は、おもに三叉神経節である。HSV−2は、初感染症状として、性器ヘルペスを呈し、回帰感染症状として、性器ヘルペス、新生児ヘルペスを呈する。HSV−2の潜伏感染部位は、おもに仙骨部神経節である。VZVは、初感染症状として水痘を呈し、回帰感染症状として水痘、帯状疱疹を呈する。VZVの潜伏感染部位は、おもに脊椎後根神経節である。EBVは、無症状であるか、または初感染症状として伝染性単核症を呈し、回帰感染症状としてバーキットリンパ腫鼻咽腔がんを呈する。EBVの潜伏感染部位は、おもにBリンパ球である。HCMVは、初感染症状としては無症状であるが、回帰感染症状として肺炎巨細胞封入体症などを呈する。HCMVの潜伏感染部位は、おもにマクロファージ造血前駆細胞とみられる。HHV−6は、初感染症状として突発性発疹を呈し、回帰感染症状として突発性発疹(肺炎)を呈する。HHV−6の潜伏感染部位は、マクロファージ、造血前駆細胞と見られる。HHV−7は、初感染症状として突発性発疹を呈する。HHV−7の潜伏感染部位はおもにTリンパ球である。HHV−8は、初感染症状としては無症状であるが、回帰感染症状としてカポジ肉腫PELキャッスルマン病を呈する。HHV−8の潜伏感染部位はおもにBリンパ球である。このようにヘルペスウイルスに起因する感染は非常に多岐にわたる。

0005

ヒトのヘルペスウイルスワクチンの中で成功したのは水痘ウイルス弱毒化生ワクチンのみである(Takahashi M.,et al.Lancet、2:1288,1974)。しかし、この弱毒化生ウイルスは、偶然にもたらされたものであり水痘ウイルスが他のヘルペスウイルスと異なりウイルス血症により全身感染を起こすため液性免疫の有効性が高いという特性に基づくという特性に基づく。従って、実質的には、ヘルペスウイルスに対するワクチンとして普遍的に利用可能に有効なものはいまだない。

0006

HSVはヒトに感染するヘルペスウイルスの中でも代表的な例である。HSVによる感染は、粘膜のウイルス接種から、あるいはウイルスが表皮破れから皮膚の中に入ることにより生じる。大抵の一次感染幼児期に起こり、ほとんどの子供は一次感染から急速に回復する。しかし、感染している付添人から、一般的にはHSV感染した母親から、新生児がHSVに感染した場合、より具体的には誕生時に新生児が産道陰部疱疹に出合うときに、HSVの感染が重症を引き起こす。例えば、播種性新生児疱疹感染が、肝炎等を引き起こし、新生児を死に至らしめる場合もある。

0007

HSVが体内にいったん獲得されると、HSVは生涯身体中に保持される。感染の潜状期間は、HSVは知覚神経節ニューロン中に局在化され(顔の病変の場合には、通常三叉神経節が関係する)、感染者は無徴候である。しかし、月経日光もしくは冷風への過剰暴露下垂体もしくは副腎ホルモンアレルギー反応、または熱のごとき多くの刺激によって、HSVが活動状態となる。活動状態となったHSVは複製して宿主細胞機構を乗っ取り、感染性成熟ウイルス粒子を作り、そして細胞死を引き起こす。かかる再発性攻撃により引き起こされる病気は、口、顔および性器に現れることが最も多い。例えば、再発性のHSVによる角膜炎失明の主要な原因とされている。また、HSVの性器感染は頻繁に起こり、HSVに起因する性感染症(例えば、陰部ヘルペス)が顕著な羅病率で発症する。より具体的には、かかる再発性の攻撃により引き起こされる再発性HSV誘導性疾病としては、例えば口唇疱疹(通常「熱性疱疹」または「コールドアス(cold sores)」と呼ばれる上の障害)、歯肉口内炎(ロおよび歯肉小胞でおおわれ、それが破れて潰瘍となる)、咽頭炎扁桃炎角結膜炎(角膜炎または眼の角膜の炎症で、樹状潰瘍へと進行し、最終的には角膜の瘢痕化をもたらし、盲目となる)および陰部疱疹を含む粘膜皮膚病などが挙げられる。稀には、HSV感染は脳炎疱疹性湿疹外傷性庖疹および肝炎を引き起こすことがある。

0008

単純ヘルペスウイルス2型(本明細書において以下、HSV−2ということがある)は、生殖器皮膚粘膜感染を誘導する。感染後、ウイルスは知覚神経節において維持され、活性化された後、再発性HSV感染を引き起こす(Price,R.W.,Walz,M.A.,Wohlenberg,C.,and Notkins,A.L.(1975).Latent infection of sensory ganglia with herpes simplex virus: efficacy of immunization.Science 188,938−940)。動物モデルを用いたHSV−2感染に対する免疫反応は、多くの研究者によって幅広く研究されている。

0009

主要な抗原提示細胞APC)はランゲルハンス細胞(LC)を含む樹状細胞(DC)であり、におけるマクロファージ(Mφ)およびB細胞細胞数は少ないことが報告されている(Parr,M.B.,and Parr,E.L.(1991).Langerhans cells and T lymphocyte subsets in the murine vagina and cervix.Biol.Reprod.44:491−498,;Nandi,D.,and Allison,J.P.(1993).Characterization of neutrophiles and T lymphocytes associated with the murine vaginal epithelium.Reg.Immunol.5,332−338)。

0010

細胞細胞障害性Tリンパ球(CTL)として重要な役割を果たしており、HSV−2感染に対する抗ウィルス性サイトカイン生産することが報告されている(Milligan,G,N.,and Bernstein,D.I.(1995).Analysis of herpes simplex virus−specific T cells in the murine female genital tract following genital infection with herpes simplex virus type 2.Virology 212,481−489.;Parr,M.B.,and Parr,E.L.(1998).Mucosal immunity to herpes simplex virus type 2 infection in the mouse vagina is impaired by in vivo depletion of T lymphocytes.J.Virol.72,2677−2685.; Milligan,G.N.,Bernstein,D.I.,and Bourne,N.(1998).T lymphocytes are required for protection of the vaginal mucosae and sensory gaglia of immune mice against reinfection with herpes simplex virus type 2.J.Immunol.160,6093−6100)。

0011

複製能力欠損変異株は広域スペクトルの免疫反応を誘導できることが知られている(Morrison,L.A.,Da Costa,X.J.,and Knipe,D.M.(1998).Influence of mucosal and parenteral immunization with a replication−defective mutant of HSV−2 on immune responses and protection from genital infection.Virology 243,178−187.;McLean,C.S.,Ni Challanain,D.,Duncan,I.,Boursnell,M.E.G.,Jennings,R.,and Inglis,S.C.(1996).Induction of a protective immune response by mucosal vaccinatin with a DISC HSV−1 vaccine.Vaccine 14,987−992)。

0012

HSV−2弱毒系統を感染させると、HSV−2特異的T細胞1型(Th1)様CD4+細胞の膣への流入が引き起こされることが知られている(Milligan,G.N.,Bernstein,D,I.,and Bourne,N.(1998).T lymphocytes are required for protection of the vaginal mucosae and sensory ganglia of immune mice against reinfection with herpes simplex virus type 2.J.Immunol.160,6093−6100)。

0013

しかしながら、病理学において、HSVに特異的なウイルス遺伝子の役割と免疫反応の関係の詳細については、まだ完全には明らかになっていない。

0014

このように、ヘルペスウイルスに起因する疾患または障害に対しては、決定的な予防法治療法欠けるのが現状である。

0015

癌に対する治療としては、現在一般に、外科切除化学療法放射線療法等が行われている。しかしながら、これらの治療法が充分な効果を奏さない癌も存在し、例えば、進行膵癌または進行卵巣癌では未だ充分な予後を得るには至っていない。特に腹膜播種の存在する進行膵癌または進行卵巣癌では、外科的切除による予後は期待できない。

0016

このため、癌に対する新たな治療方法として、遺伝子治療が試みられている。癌に対する遺伝子治療としては、(1)アンチセンスまたはリボザイムを用いて癌遺伝子を抑制するか、または、癌抑制遺伝子を導入して腫瘍細胞の増殖を抑制する方法、(2)代謝毒性遺伝子自殺遺伝子)を導入して腫瘍細胞を自殺に追いやる方法、(3)導入遺伝子により抗腫瘍免疫強化する方法、(4)化学療法の効果を向上させるために多剤耐性遺伝子を用いて骨髄幹細胞を保護する方法等が検討されている。

0017

上記(2)の方法として、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを自殺遺伝子として用いる方法が知られている。癌細胞に単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを導入した後、ガンシクロビル投与すると、ガンシクロビルは、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼによってリン酸化され活性型となり、癌細胞のDNAポリメラーゼ阻害する。このため、癌細胞に単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを導入することにより、癌細胞の増殖を抑制することができ、ひいては癌細胞を死滅させることも可能となる。

0018

単純ヘルペスウイルスは病原性ウイルスであるので、野生型のものをそのまま癌の治療に使用することはできない。このため、単純ヘルペスウイルスを弱毒化して癌の治療に用いることが研究されている(WO96/39841)。

0019

このため、癌に対する新たな治療方法として、遺伝子治療が試みられている。そのような遺伝子治療の一つとしては、代謝毒性遺伝子(自殺遺伝子)を導入して腫瘍細胞を自殺に追いやる方法が挙げられ、より具体的には単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを自殺遺伝子として用いる方法が知られている。

0020

上記に示したように、単純ヘルペスウイルス(例えば複製能力のあるヘルペスウイルス1型(HSV−1))のようなヘルペスウイルスは、腫瘍細胞の破壊を媒介することがあることから、遺伝子操作した複製可能なHSV−1ウイルスベクターの使用が、抗腫瘍治療に関連して検討されている。

0021

このようなHSV−1ウイルスベクターとしては、γ34.5遺伝子(γ34.5)を欠損し、神経毒性が低下したγ34.5欠損株が用いられて一定の抗腫瘍効果を示されている。しかし、γ34.5欠損株は実用化には至っていない。

0022

本発明者らは、以前よりHSV−2のUS2をコードする遺伝子(以下、US2遺伝子と略称する)およびUS3をコードする遺伝子(以下、US3遺伝子と略称する)に着目し、US2欠損変異体またはUS3欠損HSV遺伝子組換え体を用いて病理学的な役割を調べ、US2およびUS3遺伝子はともに細胞培養でのウイルス複製に必ずしも必要でなく、US3欠損HSV遺伝子組換え体は非常に弱毒化されていることが明らかにした(Nishiyama,Y.,Yamada,Y.,Kurachi,R.,and Daikoku,T.(1992).Construction of a US3 lac Z insertion Mutant of herpes simplex virus type 2 and characterization of its phenotype in vitro and in vivo.Virology 190,256−268.;Daikoku,T.,Yamashita,Y.,Tsurumi,T.,Maeno,K.,and Nishiyama,Y.(1993).Purification and biological characterization of the protein kinase encoded by the US3 gene of herpes simplex virus type 2.Virology 197,685−694.;Jiang,Y−H.,Yamada,H.,Goshima,F.,Daikoku.T.,Oshima,S.,Wada,K.,and Nishiyama,Y.(1998).Characterization of the herpes simplex virus type 2 (HSV−2) US2 gene product and a US2−deficient HSV−2 mutant.J.Gen.Virol.79,2777−2784)。

0023

また、マウスモデルを用いて行った性器ヘルペスに関する以前の研究から、感染初期の段階ではHSV−1KOS株感染とは異なり、強毒なHSV−2 186株を膣内感染させると、膣内で活性化されたT細胞を効果的に増加させることも、APC(抗原提示細胞)の急速な増加も誘導できないことが明らかとなった(Inagaki−Ohara K,Daikoku T,Goshima F,Nishiyama Y.Impaired induction of protective immunity by highly virulent herpes simplex virus type 2 in a murine model of genital herpes.Arch Virol.2000; 145(10): 1989−2002)。

発明が解決しようとする課題

0024

従って、本発明は、特性の改変されたヘルペスウイルス構築物またはその使用もしくはそれを使用する方法を提供することによって、ヘルペスウイルスに関連する疾患または障害あるいはその他の疾患または障害を処置または予防することを課題とする。

課題を解決するための手段

0025

発明の要旨
本発明は、複製非必須遺伝子が不活化されたヘルペスウイルスを提供する。より詳細には、ULおよび/またはUS領域に存在する複製非必須遺伝子が不活化されたヘルペスウイルスを提供する。また、本発明は、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子が不活化されたヘルペスウイルスを提供する。より好ましくは、この複製非必須遺伝子は、US3および/またはUL56を含む。好ましくは、このヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスであり得、より好ましくは単純ヘルペスウイルス−1または単純ヘルペスウイルス−2であり得る。本発明により、腫瘍および感染性疾患を含む種々の疾患または障害を処置するための方法、組成物および使用が提供される。本発明はまた、プロドラッグを活性化するための方法、組成物および使用が提供される。

0026

一つの局面において、本発明は、少なくとも1つの複製非必須遺伝子が不活化されている、ヘルペスウイルスを提供する。

0027

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL領域またはUS領域に存在する。

0028

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは単純ヘルペスウイルスであり、上記複製非必須遺伝子は、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL39、UL40、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0029

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子である。

0030

一つの実施形態において、上記DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0031

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL56またはUS3を含む。

0032

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL39およびUL40を含む。

0033

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL39およびUL56を含む。

0034

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL2およびUS3を含む。

0035

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL56を含む。

0036

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、US3を含む。

0037

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、少なくとも2つが不活化されている。

0038

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子のうち2つ目以降は、RL1、RL2、ORFP,ORFO、RL3、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、ULl3、UL16、UL20、UL20.5、UL21、UL24、UL39、UL40、UL41、UL43、UL43.5、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US1.5、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0039

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、外来性の自殺遺伝子をさらに含む。

0040

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、カルボキシエステラーゼ遺伝子をさらに含む。

0041

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、癌細胞選択性を有する。

0042

一つの実施形態において、上記不活化は、上記複製非必須遺伝子の配列において、少なくとも1ヌクレオチド置換、付加、欠失または改変を含む。

0043

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスを改変したものである。

0044

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである。

0045

別の局面において、本発明の薬学的組成物は、少なくとも1つのヘルペスの複製非必須遺伝子が不活化されている、ヘルペスウイルス;および薬学的に受容可能なキャリア、を含む。

0046

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL領域またはUS領域に存在する。

0047

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、上記複製非必須遺伝子は、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL39、UL40、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される、からなる群より選択される。

0048

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子である。

0049

一つの実施形態において、上記DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0050

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL56またはUS3を含む。

0051

一つの実施形態において、上記不活化は、上記複製非必須遺伝子の配列において、少なくとも1ヌクレオチドの置換、付加、欠失または改変を含む。

0052

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子の配列において、翻訳を停止するシグナルが挿入されている。

0053

一つの実施形態において、上記翻訳を停止するシグナルは、ポリアデニル化シグナルである。

0054

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスを改変したものである。

0055

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである。

0056

一つの実施形態において、上記組成物は、弱毒化ヘルペスウイルスが活性型に変換しうるプロドラッグをさらに含む。

0057

一つの実施形態において、上記プロドラッグは、ガンシクロビル、アシクロビルタキソールおよびカンプトテシンからなる群より選択されるものを含む。

0058

一つの実施形態において、上記組成物は、腫瘍処置のためである。

0059

一つの実施形態において、上記組成物は、少なくとも1つの腫瘍処置のための薬剤をさらに含む。

0060

一つの実施形態において、上記組成物は、上記ヘルペスウイルスによって活性型に変換されるプロドラッグの抗癌作用増強のためである。

0061

一つの実施形態において、上記組成物は、感染性疾患の処置のためである。

0062

一つの実施形態において、上記感染性疾患は、ヘルペスウイルスに起因する。

0063

一つの実施形態において、上記組成物は、上記感染性疾患の病因因子由来する遺伝子を含む。

0064

一つの実施形態において、上記組成物は、L1BR1を含有する。

0065

一つの実施形態において、上記組成物は、ワクチンの形態をとる。

0066

一つの実施形態において、上記組成物は、ヘルペスウイルス感染により惹起される疾患または障害の処置または予防治療剤であることを特徴とする。

0067

一つの実施形態において、上記組成物は、上記ヘルペスウイルス感染により惹起される疾患は、性感染症である。

0068

一つの実施形態において、上記組成物は、感染性疾患を処置または予防するためである。

0069

一つの実施形態において、上記組成物は、上記感染性疾患の病因因子を含む。

0070

一つの実施形態において、上記感染性疾患の病因因子は、ウイルスまたは細菌性である。

0071

一つの実施形態において、上記感染性疾患の病因因子は、HIVインフルエンザウイルスおよびロタウイルスからなる群より選択される。

0072

別の局面において、本発明の、感染性疾患または腫瘍を処置または予防するための方法は、、そのような処置または予防を必要とする被検体に、少なくとも1つのヘルペスの複製非必須遺伝子が不活化されている、ヘルペスウイルスおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物を投与する工程、を包含する。

0073

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL領域またはUS領域に存在する。

0074

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL39、UL40、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0075

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子である。

0076

一つの実施形態において、上記DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0077

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、US3またはUL56を含む。

0078

一つの実施形態において、上記不活化は、上記複製非必須遺伝子の配列において、少なくとも1ヌクレオチドの置換、付加、欠失または改変を含む。

0079

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスを改変したものである。

0080

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである。

0081

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスによって活性型に変換されるプロドラッグを投与する工程をさらに包含する。

0082

一つの実施形態において、上記プロドラッグは、ガンシクロビル、アシクロビル、タキソールおよびカンプトテシンからなる群より選択される少なくとも一つを含む。

0083

一つの実施形態において、上記方法は、少なくとも1つの腫瘍処置のための薬剤をさらに投与する工程を包含する。

0084

一つの実施形態において、上記方法は、少なくとも1つの感染性疾患処置のための薬剤をさらに投与する工程を包含する。

0085

一つの実施形態において、上記腫瘍は、卵巣癌肝臓癌膵臓癌膀胱癌尿管癌、大腸癌皮膚癌悪性メラノーマ骨肉腫頭頚部扁平上皮癌および胃癌からなる群より選択される。

0086

別の局面において、本発明の、ヘルペスウイルスによって活性型に変換されるプロドラッグの抗癌作用増強方法は、上記抗癌作用増強を必要とする被検体に、少なくとも1つのヘルペスの複製非必須遺伝子が不活化されている、ヘルペスウイルスおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物を投与する工程、を包含する。

0087

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL領域またはUS領域に存在する。

0088

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL39、UL40、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0089

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子である。

0090

一つの実施形態において、上記DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0091

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、US3またはUL56を含む。

0092

一つの実施形態において、上記プロドラッグは、ガンシクロビル、アシクロビル、タキソールおよびカンプトテシンからなる群より選択される一つを含む。

0093

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスを改変したものである。

0094

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである。

0095

別の局面において、本発明の、ヘルペスウイルス感染の重篤度またはヘルペスウイルス感染率を減少させる方法は、そのような処置または予防を必要とする被検体に、少なくとも1つのヘルペスの複製非必須遺伝子が不活化されている、ヘルペスウイルスを含む、ワクチンを投与する工程、を包含する。

0096

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL領域またはUS領域に存在する、項目70に記載の方法。

0097

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL39、UL40、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0098

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子である。

0099

一つの実施形態において、上記DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0100

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、US3またはUL56を含む。

0101

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスを改変したものである。

0102

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである。

0103

別の局面において、本発明の、腫瘍を処置または予防するための薬学的組成物を製造するための、ヘルペスウイルスの使用では、上記ヘルペスウイルスは、少なくとも1つのヘルペスの複製非必須遺伝子が不活化されている。

0104

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL領域またはUS領域に存在する。

0105

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL39、UL40、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0106

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子である。

0107

一つの実施形態において、上記DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0108

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、US3またはUL56を含む、項目78に記載の使用。

0109

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスを改変したものである。

0110

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである。

0111

別の局面において、本発明の、ヘルペスウイルスによって活性型に変換されるプロドラッグの抗癌作用増強のための薬学的組成物を製造するための、ヘルペスウイルスの使用では、上記ヘルペスウイルスは、少なくとも1つのヘルペスの複製非必須遺伝子が不活化されている。

0112

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL領域またはUS領域に存在する。

0113

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL39、UL40、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0114

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子である。

0115

一つの実施形態において、上記DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0116

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、US3またはUL56を含む。

0117

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスを改変したものである。

0118

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである。

0119

別の局面において、本発明の、ヘルペスウイルス感染の重篤度および/またはヘルペスウイルス感染率を減少させるための薬学的組成物を製造するための、ヘルペスウイルスの使用では、上記ヘルペスウイルスは、少なくとも1つのヘルペスの複製非必須遺伝子が不活化されている。

0120

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL領域またはUS領域に存在する。

0121

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL39、UL40、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0122

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子である。

0123

一つの実施形態において、上記DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12からなる群より選択される。

0124

一つの実施形態において、上記複製非必須遺伝子は、US3またはUL56を含む。

0125

一つの実施形態において、上記薬学的組成物は、ワクチンである。

0126

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルスを改変したものである。

0127

一つの実施形態において、上記ヘルペスウイルスは、HSV−1またはHSV−2を改変したものである。

発明を実施するための最良の形態

0128

以下、発明の実施の形態を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など、独語の場合の「ein」、「der」、「das」、「die」などおよびその格変化形、仏語の場合の「un」、「une」、「le」、「la」など、スペイン語における「un」、「una」、「el」、「la」など、他の言語における対応する冠詞、形容詞など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。本明細書において引用される文献または特許もしくは特許出願は、その全体が本明細書において参考として援用される。

0129

本明細書において、「ヘルペスウイルス」とは、ウイルスの一科であるヘルペスウイルス科に属する任意のウイルスをいう。ヘルペスウイルスは、コアタンパクのまわりに分子量80〜150×106ダルトンの複鎖線状DNAが162個のカプソメアを含み、潜伏感染を特徴とする。ウイルス粒子は直径約100〜200nmの球状であり、エンベロープ中には直径100nm前後の正二十面体状のカプシドがある。ゲノム二本鎖DNAであり、そのサイズは,例えば単純ヘルペスウイルス1型が152260塩基対であり、EBウイルスが172282塩基対であり、サイトメガロウイルスが229400基塩対である。細胞核内で増殖し、フォイルゲン反応陽性封入体をつくる。自然宿主実験動物の皮膚および粘膜などの上皮細胞中枢神経組織などでよく増殖する.3亜科があり所属ウイルスは次のとおりである:アルファヘルペスウイルス亜科:ヒトヘルペスウイルス−1(単純ヘルペスウイルス1型;HSV−1)、ヒトヘルペスウイルス−2(単純ヘルペスウイルス2型;HSV−2)、アラートンウイルス(Allerton virus)、Bウイルス(B virus)、ウシ乳頭炎ウイルス(bovine mammilitis virus,BMV)、ネコ鼻腔気管炎ウイルス(feline rhinotracheitis virus)、伝染性喉頭気管炎ウイルス(infectious laryngotracheitis virus,ILT virus)、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)など;ベータヘルペスウイルス亜科:サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス6(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV−7)、など;ガンマヘルペスウイルス亜科:ヒトヘルペスウイルス−4(HHV−4)、ヒトヘルペスウイルス−8(HHV−8)、EBウイルス(EBV)、マレック病ウイルスなど。好ましくは、本発明のウイルス構築物は、アルファヘルペスウイルス亜科に由来する。

0130

本明細書において、「単純ヘルペスウイルス」または「HSV」とは、ヘルペスウイルス科アルファヘルペスウイルス亜科シンプレックスウイルス属に属する任意のウイルスをいう。単純ヘルペスウイルスは、直径100−200mmの大きさで、最外層にはウイルス糖タンパク質を含むエンベロープをもち、その中に正20面体のカプシドを含む。カプシドとはエンベロープとの間には、テグメントと名づけられる構造体が存在し、多数のウイルスタンパク質が含まれる。カプシドの中心部(コア)には2本鎖線状DNA(約15万基塩基対)が存在する。ゲノムDNAには、少なくとも74種類の遺伝子が存在し、その半数は、培養細胞での増殖に必須ではない複製非必須遺伝子(アクセサリー遺伝子)である。ゲノムDNAの複製、カプシドの形成は、核内で行われ、DNAを含んだカプシドは核内膜から出芽することにより核内から細胞質へと輸送される。HSVとしては、代表的に、1型(HSV−1)および2型(HSV−2)と名づけられた2つの密接に関連するウイルス種がある。本発明においては、HSV−1およびHSV−2の変異体を用いてもよい。場合によってはHSV−2を用いるのが好ましい。本明細書において、「弱毒化HSV」とは、改変などによって毒性が減少しているHSVをいう。

0131

本明細書において、「複製非必須遺伝子」または「アクセサリー遺伝子」とは、本明細書において互換的に用いられ、その遺伝子を欠損しても、ウイルスの増殖性が維持されるものをいう。好ましくは、そのような遺伝子は、UL領域またはUS領域に存在し、ゲノムDNA上に一つしかない遺伝子から構成される。そのような遺伝子としては、HSV−1およびHSV−2のような単純ヘルペスウイルスでは、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL39、UL40、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11、US12などが挙げられるがそれらに限定されない。他のヘルペスウイルスでは、上記遺伝子に相当する遺伝子が不活化の対象とされ得る。

0132

1つの実施形態において、複数の複製非必須遺伝子が不活化される場合、2つ目以降の不活化される遺伝子としては、RL1、RL2、ORFP,ORFO、RL3、UL2、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL12、ULl3、UL16、UL20、UL20.5、UL21、UL24、UL39、UL40、UL41、UL43、UL43.5、UL44、UL45、UL46、UL47、UL50、UL51、UL55、UL56、US1、US1.5、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11、US12などが挙げられるがそれらに限定されない。

0133

好ましい実施形態において、本発明において不活化される遺伝子としては、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子が挙げられる。理論に束縛されることは望まないが、DNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子を不活化することにより、安全性が飛躍的に伸び得、および/またはヒトへの特異性が顕著に高くなり得る。そのようなDNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子としては、例えば、UL2、UL12、UL23、UL39、UL40およびUL50以外の遺伝子などが挙げられる。より好ましくは、そのようなDNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、US領域またはUL領域に存在する。したがって、好ましいDNAおよびデオキシヌクレオチド代謝に関与しない遺伝子は、UL3、UL4、UL7、UL10、UL11、UL13、UL14、UL16、UL20、UL21、UL24、UL35、UL41、UL43、UL44、UL45、UL46、UL47、UL51、UL55、UL56、US1、US2、US3、US4、US5、US7、US8、US8.5、US9、US10、US11およびUS12を包含するがそれらに限定されない。

0134

本発明の弱毒化HSVは、癌細胞において優位に増殖し得る、癌細胞選択性を有していることが好ましい。

0135

1つまたは2つ以上のアクセサリー遺伝子が不活化されている弱毒化HSVとしては、例えば、UL39またはUL40が不活化されているものを挙げることができ、なかでも、UL39またはUL40と、1つまたは2つ以上の他のアクセサリー遺伝子とが不活化されているものが好ましい。

0136

UL39またはUL40が不活化されている弱毒化HSVは、この遺伝子にコードされておりDNA合成に必要なリボヌクレオチドレダクターゼを宿主に依存しなければならない。このため、UL39またはUL40が不活化されている弱毒化HSVを癌患者に接種すると、増殖が盛んな癌細胞において優位に増殖させることができる。このような弱毒化HSVに感染された癌細胞は、ウイルスが保有する様々なタンパク質細胞障害作用によって増殖が抑制され、更には死滅してしまうこともある。

0137

UL39またはUL40に加えて、1つまたは2つ以上の他のアクセサリー遺伝子が不活化されていると、癌細胞における優位の増殖性を維持しうるとともに宿主に対する病原性を更に減弱することができる。

0138

UL39またはUL40と、1つまたは2つ以上の他のアクセサリー遺伝子とが不活化されている弱毒化HSVとしては、例えば、UL39(またはUL40)、UL55およびUL56が不活化されている弱毒化HSV、UL39(またはUL40)およびUL2が不活化されている弱毒化HSV、UL39(またはUL40)およびUS3が不活化されている弱毒化HSV、UL39(またはUL40)、UL2およびUS3が不活性されている弱毒化HSV等を挙げることができる。

0139

UL39(またはUL40)、UL55およびUL56が不活化されている弱毒化HSV、またはUL39(またはUL40)およびUL2が不活化されている弱毒化HSVは、UL39(またはUL40)のみが不活化されている弱毒化HSVよりも、更に、高い安全性を有する。一方、UL39(またはUL40)およびUS3が不活化されている弱毒化HSV、またはUL39(またはUL40)、UL2およびUS3が不活化されている弱毒化HSVは、高い癌細胞選択性に加えて癌細胞のアポトーシスを引き起こす機能を併せ持つことができる。

0140

別の実施形態では、US3および/またはUL56が不活化されているHSVが提供される。

0141

本明細書において、遺伝子が「不活化」されるとは、その遺伝子の少なくとも1つの機能が損なわれているか、または好ましくは実質的に消失していることをいう。不活化する方法としては特に限定されず、例えば、以下の公知の方法を挙げることができる。

0142

かかる改変としては、例えばHSV複製非必須遺伝子(例えば、US3遺伝子)が翻訳されないような処理(例えば、発現しないようにプロモーターを改変すること)、またはHSV遺伝子のうち特定の複製非必須遺伝子(例えば、US3遺伝子)を組換え(例えば、他の配列の挿入、一部の配列の切除、塩基の修飾、塩基の置換等)、該組換えられた遺伝子が翻訳されるとUS3とは異なるタンパクが発現する改変(例えば、他のアミノ酸配列の挿入、一部の配列の切除、アミノ酸の置換など)などが挙げられる。

0143

上記遺伝子組換え体を作製するための遺伝子組換え処理としては、特に限定されない。例えば、特定の複製非必須遺伝子(例えば、US3遺伝子)の全部または一部を欠損させる処理、特定の複製非必須遺伝子の全部または一部を置換させる処理、特定の複製非必須遺伝子の一部を逆位させる処理、US3遺伝子の一部を重複させる処理、特定の複製非必須遺伝子の一部を転座させる処理、特定の複製非必須遺伝子に遺伝子断片を挿入しその特定の複製非必須遺伝子を中断させる処理などが挙げられる。中でも、特定の複製非必須遺伝子の全部または一部を欠損させる処理、特定の複製非必須遺伝子の全部または一部を置換させる処理、または特定の複製非必須遺伝子に遺伝子断片を挿入しその特定の複製非必須遺伝子を中断させる処理が好ましい。特に、特定の複製非必須遺伝子に遺伝子断片を挿入し特定の複製非必須遺伝子を中断させる処理がより好ましく、挿入する他の遺伝子には、翻訳を停止させるシグナルが含有されていることがさらに好ましい。翻訳を停止させるシグナルとしては、中でもSV40由来のポリアデニル化シグナルが好ましい。

0144

本明細書において、「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、互換的に用いられ、一連のアミノ酸からなる高分子をいう。アミノ酸は、炭素原子カルボキシル基およびアミノ基を有する有機分子をいう。本明細書において好ましくは、アミノ酸は、天然に存在する20種類のアミノ酸であるがこれらに限定されない。

0145

あるアミノ酸は、相互作用結合能力の明らかな低下または消失なしに、例えば、カチオン性領域または基質分子結合部位のようなタンパク質構造において他のアミノ酸に置換され得る。あるタンパク質の生物学的機能を規定するのは、タンパク質の相互作用能力および性質である。従って、特定のアミノ酸の置換がアミノ酸配列において、またはそのDNAコード配列のレベルにおいて行われ得、置換後もなお、もとの性質を維持するタンパク質が生じ得る。従って、生物学的有用性の明らかな損失なしに、種々の改変が、本明細書において開示されたペプチドまたはこのペプチドをコードする対応するDNAにおいて行われ得る。

0146

上記のような改変を設計する際に、アミノ酸の疎水性指数が考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を与える際の疎水性アミノ酸指数重要性は、一般に当該分野で認められている(Kyte.JおよびDoolittle,R.F.J.Mol.Biol. 157(1):105−132,1982)。アミノ酸の疎水的性質は、生成したタンパク質の二次構造に寄与し、次いでそのタンパク質と他の分子(例えば、酵素基質レセプター、DNA、抗体、抗原など)との相互作用を規定する。各アミノ酸は、それらの疎水性および電荷の性質に基づく疎水性指数を割り当てられる。それらは:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システインシスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);およびアルギニン(−4.5))である。

0147

あるアミノ酸を、同様の疎水性指数を有する他のアミノ酸により置換して、そして依然として同様の生物学的機能を有するタンパク質(例えば、酵素活性において等価なタンパク質)を生じさせ得ることが当該分野で周知である。このようなアミノ酸置換において、疎水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。疎水性に基づくこのようなアミノ酸の置換は効率的であることが当該分野において理解される。米国特許第4、554、101号に記載されるように、以下の親水性指数アミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);およびトリプトファン(−3.4)。アミノ酸が同様の親水性指数を有しかつ依然として生物学的等価体を与え得る別のものに置換され得ることが理解される。このようなアミノ酸置換において、親水性指数が±2以内であることが好ましく、±1以内であることがより好ましく、および±0.5以内であることがさらにより好ましい。

0148

本明細書において、「保存的置換」とは、アミノ酸置換において、元のアミノ酸と置換されるアミノ酸との親水性指数または/および疎水性指数が上記のように類似している置換をいう。保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ内での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。

0149

本明細書において、「非保存的置換」とは、上記のような保存的置換ではない置換をいい、それにより、タンパク質の機能の改変が生じ得る。非保存的置換の例は、当業者に周知であり、例えば、次の各グループ間での置換:アルギニンおよびリジン;グルタミン酸およびアスパラギン酸;セリンおよびスレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシン、などが挙げられるがこれらに限定されない。

0150

明細書中において、機能的に等価なポリペプチドを作製するために、アミノ酸の置換のほかに、アミノ酸の付加、欠失、または修飾もまた行うことができる。アミノ酸の置換とは、もとのペプチドを1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。アミノ酸の付加とは、もとのペプチド鎖に1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を付加することをいう。アミノ酸の欠失とは、もとのペプチドから1つ以上、例えば、1〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。アミノ酸修飾は、アミド化カルボキシル化硫酸化ハロゲン化アルキル化グリコシル化、リン酸化、水酸化アシル化(例えば、アセチル化)などを含むが、これらに限定されない。置換、または付加されるアミノ酸は、天然のアミノ酸であってもよく、非天然のアミノ酸、またはアミノ酸アナログでもよい。天然のアミノ酸が好ましい。

0151

本明細書において使用されるポリペプチドをコードする核酸分子は、同一または類似の機能を発揮することを目的とする場合、発現されるポリペプチドが本発明のポリペプチドと実質的に同一の活性を有する限り、上述のようにその核酸の配列の一部が欠失または他の塩基により置換されていてもよく、あるいは他の核酸配列が一部挿入されていてもよい。あるいは、5’末端および/または3’末端に他の核酸が結合していてもよい。また、このポリペプチドをコードする遺伝子をストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、そのポリペプチドと実質的に同一の機能を有するポリペプチドをコードする核酸分子でもよい。このような核酸分子を作製する方法は、当該分野において公知であり、本発明において利用することができる。

0152

本発明において、機能を改変、好ましくは不活化することを目的とする場合、発現されるポリペプチドが本発明において利用されるポリペプチドと実質的に異なる、好ましくは消失した活性を有するように、その核酸の配列の一部が欠失または置換され得、あるいは他の核酸配列が一部挿入されていてもよい。あるいは、5’末端および/または3’末端に他の核酸が結合していてもよい。

0153

本明細書において「発現可能なように組み込まれる」とは、例えば下記に示すようなプロモーター配列の下流に目的とする自殺遺伝子が組み込まれることをいう。

0154

このような本発明の弱毒化HSVは、例えば、プロモーター配列およびターミネーター配列が組み込まれ、アクセサリー遺伝子が不活化されたHSVベクターを用い、プロモーター配列の下流に上記外来性の自殺遺伝子を挿入することにより得ることができる。

0155

プロモーターとしては、腫瘍細胞中でプロモーターとして機能するものであれば特に限定されないが、腫瘍特異的プロモーターまたはHSV由来プロモーターが好ましい。そのようなプロモーターとしては、本発明の実施に有用なプロモーターの例としては(特にヒトに対する遺伝子ワクチンの製造において)、シミアンウイルス40(SV40)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(HIV長い末端反復配列(LTR)プロモーターのような)、モロニーウイルス、ALV、サイトメガロウイルス(CMV)(CMV前初期プロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)からのプロモーター類、ならびにヒトアクチン、ヒトミオシンヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンおよびヒトメタロチオネインのようなヒト遺伝子からのプロモーター類が挙げられるが、これらに制限されるわけではない。

0156

腫瘍細胞特異的プロモーターは特定の細胞型かまたは腫瘍細胞において選択的にまたは高レベルに誘導されるプロモーターを含み、例えばCEAAFPなどの癌胎児性タンパク質プロモーター、チロシナーゼプロモーター、アルブミンプロモーター、ストレス誘発性GRP78/Bipプロモーターなどを挙げることができる。

0157

HSV由来プロモーターとしては、例えばHSV初期タンパク質UL29プロモーター、HSV UL39プロモーターなどを挙げることができる。

0158

本発明の実施に有用なポリアデニル化シグナルの例としては(特にヒトに対する遺伝子ワクチンの製造において)、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル、SV40ポリアデニル化シグナルおよびLTRポリアデニル化シグナルが挙げられるが、これらに制限されるわけではない。特に、pCEP4プラスミド中に存在するSV40ポリアデニル化シグナル(Invitrogen,SanDiego,CA、SV40ポリアデニル化シグナルと称される)が使用される。

0159

DNA発現に必要とされる制御エレメントに加え、他のエレメントDNA分子に含まれているであろう。本明細書において使用されるHSV由来プロモーターは、さらにエンハンサー有していてもよい。そのような追加のエレメントにはエンハンサーが含まれる。エンハンサーは:ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチンおよびCMV、RSVおよびEBVからのエンハンサーのようなウイルスエンハンサーからなる群より選択されるであろうが、それらに制限されるわけではない。

0160

遺伝子構築物染色体外に維持するためおよび細胞中で構築物の多数のコピーを生成するために、構築物は哺乳類複製起点とともに提供できる。Invitrogen(SanDiego,CA)からのプラスミドpCEP4およびpREP4はエプスタインバーウイルス複製起点および組込みなしで高コピーエピソーム複製を生み出す核抗原EB NA−1コード領域を含んでいる。いくつかの態様において、免疫調節タンパク質をコードしているcDNAがpCDNA3内へ挿入される。

0161

いくつかの好適な態様において、標的タンパク質、免疫調節タンパク質、およびそのうえにそのような標的タンパク質に対する免疫応答をさらに促進するタンパク質のための遺伝子をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる核酸分子が送達される。そのような遺伝子の例はα−インターフェロンガンマ−インターフェロン血小板由来成長因子(PDGF)、TNF、上皮成長因子(EGF)、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10およびIL−12のようなサイトカインおよびリンホカインをコードしているものである。いくつかの態様において、GMCSFの遺伝子が免疫化組成物で使用される遺伝子構築物に含まれていることが好適である。

0162

タンパク質産生を最大にするため、構築物が投与される細胞内での遺伝子発現に適した制御配列が選択され得る。さらに、細胞内で最も効率的に転写されるコドンが選択され得る。当業者は細胞内で機能的であるDNA構築物を周知技術に基づいて容易に製造することができる。

0163

このような核酸は、周知のPCR法により得ることができ、化学的に合成することもできる。これらの方法に、例えば、部位特異的変異誘発法、ハイブリダイゼーション法などを組み合わせてもよい。

0164

本明細書において用いられる分子生物学的手法生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知慣用されるものであり、例えば、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols in Molecular Biology、 Wiley、 New York、 NY;Sambrook Jら (1987) Molecular Cloning: A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、別冊実験医学遺伝子導入発現解析実験法土社、1997などに記載される。

0165

遺伝子の「相同性」とは、2以上の遺伝子配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つの遺伝子の相同性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。2種類の遺伝子が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較、またはストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べられ得る。2つの遺伝子配列を直接比較する場合、その遺伝子配列間でDNA配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらの遺伝子は相同性を有する。

0166

本明細書では塩基配列の同一性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。

0167

本明細書において、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)などの実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。

0168

「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダイズ条件下で別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドをいう。ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとして具体的には、配列番号2,4または6で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、好ましくは80%以上の相同性を有するポリヌクレオチド、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。記載の相同性は、たとえばAltschulら(J.Mol.Biol.215,403−410(1990))が開発したアルゴリズムを使用した検索プログラムBLASTを用いることにより、scoreで類似度が示される。

0169

誘導体オリゴヌクレオチド」または「誘導体ポリヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合ホスホロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドなどが例示される。

0170

本明細書において、「アミノ酸」は、上述のように天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸とは異なるがもとのアミノ酸と同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体アミノ酸は、当該分野において周知である。

0171

本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。「誘導体ヌクレオチド」とは、天然に存在するヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。そのような誘導体ヌクレオチドは、当該分野において周知である。

0172

本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリペプチドまたはタンパク質)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能を発揮する活性が包含される。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。本明細書では、生物学的活性としては、重金属に結合する活性および細胞膜のような疎水性部分に結合する能力が挙げられる。

0173

本明細書において、「改変体」とは、もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドなどの物質に対して、一部が変更されているものをいう。そのような改変体としては、置換改変体、付加改変体、欠失改変体、短縮(truncated)改変体、対立遺伝子変異体などが挙げられる。対立遺伝子(allele)とは、同一遺伝子座に属し、互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。従って、「対立遺伝子変異体」とは、ある遺伝子に対して、対立遺伝子の関係にある改変体をいう。本明細書において、核酸分子の「ホモログ(種相同体)」とは、参照核酸分子のヌクレオチド配列と相同性を有するヌクレオチド配列を有する核酸分子をいう。ホモログは、代表的には、参照核酸分子と、ストリンジェント条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドをいう。本発明の核酸分子についていう場合、「ホモログ」とは、タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸配列と相同性を有する核酸配列を有する核酸分子であって、その生物学的機能が本発明のプロモーターと同一または類似する核酸分子をいう。従って、「ホモログ」と「改変体」とは一部重複する概念である。従って、「ホモログ」は、ある種の中で、ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、相同性(好ましくは、60%以上の相同性、より好ましくは、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性)を有するものをいう。そのようなホモログを取得する方法は、本明細書の記載から明らかである。

0174

本明細書において、ウイルス構築物を細胞などに導入することが必要である場合、ウイルス構築物の導入方法としては、細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、トランスフェクション形質導入形質転換などが挙げられる(例えば、エレクトロポレーション法パーティクルガン遺伝子銃)を用いる方法など)。

0175

本明細書において、薬学的(医薬)組成物は、好ましくは、本発明のヘルペスウイルスおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む。薬学的組成物は、宿主に有効であればその形態はどのようなものでもよく、例えば、散剤顆粒剤カプセル剤錠剤カプレット剤、丸剤液剤トローチ剤バッカル錠舌下錠膣錠エリキシル剤シロップ剤リモナーデ剤懸濁剤乳剤エアゾール剤注射剤注入剤噴霧剤塗布剤軟膏剤硬膏剤ローション剤坐剤などが挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、ワクチンのような形態にした注射剤として本発明は提供される。本発明はまた、徐放剤とすることもできる。本発明はまた、DDS技術用いることもできる。

0176

好ましくは、本発明の薬学的組成物において、ヘルペスウイルスは、少なくとも103、好ましくは、少なくとも2×103、少なくとも5×103、少なくとも104、少なくとも2×104、少なくとも5×104、少なくとも105、少なくとも2×105、少なくとも5×105、少なくとも106、少なくとも2×106、少なくとも5×106、少なくとも107、少なくとも2×107、少なくとも5×107、少なくとも108、少なくとも2×108、少なくとも5×108、少なくとも109、少なくとも2×109、少なくとも5×109、少なくとも1010、または少なくとも1010を超えて存在する。適切な量は、使用する状況に応じて変動し、当業者であれば、組成物中に存在する活性成分の状態、医薬に使用する場合は、患者の状態、患者の疾患の状態、投与経路投与形態、投与中の患者の状態をモニターすることなどにより応じて適宜決定することができる。

0177

薬学的に受容可能なキャリアとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤抗酸化剤保存剤着色料風味料、安定剤、コーティング剤希釈剤乳化剤懸濁化剤溶媒フィラー増量剤緩衝剤送達ビヒクルおよび/または薬学的アジュバント

0178

本発明の組成物が薬学的組成物として用いられる場合は、さらなる医薬成分として、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない成分がその薬学的組成物に含有され得る:
中枢神経系用薬(例えば、全身麻酔剤、催眠鎮静剤抗不安剤抗てんかん剤解熱鎮痛消炎剤興奮剤覚せい剤、抗パーキンソン剤、精神神経用剤、総合感冒剤、その他の中枢神経系用薬など);
末梢神経用剤(例えば、局所麻酔剤骨格筋弛緩剤、自律神経剤、鎮けい剤など);
感覚器官用薬(例えば、眼科用剤耳鼻科用剤、鎮剤など);
循環器官用薬(例えば、、強心剤不整脈用剤、利尿剤血圧降下剤血管収縮剤血管拡張剤高脂血症用剤、その他の循環器官用薬など);
呼吸器官用薬(例えば、呼吸促進剤、鎮咳剤去痰剤鎮咳去痰剤気管支拡張剤含嗽剤など);
消化器官用薬(例えば、止瀉剤、整腸剤消化性潰瘍用剤、健消化剤制酸剤下剤浣腸剤利胆剤、その他の消化器官用薬など);
ホルモン剤(例えば、脳下垂体ホルモン剤唾液腺ホルモン剤、甲状腺副甲状腺ホルモン剤、蛋白同化ステロイド剤、副腎ホルモン剤、男性ホルモン剤卵胞、.黄体ホルモン剤、混合ホルモン剤、その他のホルモン剤など);
泌尿生殖器官および肛門用薬(例えば、泌尿器官用剤、生殖器官用剤、子宮収縮剤、痔疾用剤、他の泌尿生殖器管、肛門用薬など);
外皮用薬(例えば、外皮用殺菌消毒剤創傷保護剤化膿性疾患用剤、鎮痛鎮痒収斂消炎剤寄生性皮膚疾患用剤皮膚軟化剤毛髪用剤、その他の外皮用剤など);
歯科口腔用剤;
その他の個々の器官系用薬;
ビタミン剤(例えば、ビタミンA剤、ビタミンD剤、ビタミンB剤、ビタミンC剤、ビタミンE剤、ビタミンK剤、混合ビタミン剤、その他のビタミン剤など);
滋養強壮薬(例えば、カルシウム剤無機質製剤、糖類剤、蛋白アミノ酸製剤、臓器製剤乳幼児用剤、その他の滋養強壮剤など);
血液および体液用薬(例えば、血液代用剤止血剤血液凝固阻止剤、その他の血液.体液用剤など);
人工透析用薬(例えば、人工腎臓透析用剤腹膜透析用剤など);
その他の代謝性医薬品(例えば、臓疾患用剤、解毒剤習慣性中毒用剤、痛風治療剤酵素製剤糖尿病用剤、他に分類されない代謝性薬など);
細胞賦活用剤(例えば、クロロフィル製剤、色素製剤、その他の細胞賦活用剤など);
腫瘍用薬(例えば、アルキル化剤代謝拮抗剤抗腫瘍性抗生物質製剤、抗腫瘍性植物成分製剤、その他の腫瘍用剤など);
放射性医薬品
アレルギー用薬(例えば、抗ヒスタミン剤刺激療法剤、非特異性免疫原製剤、その他のアレルギー用薬、生薬および漢方処方に基づく医薬品、生薬、漢方製剤、その他の生薬漢方処方に基づく製剤など);
抗生物質製剤(例えば、グラム陽性菌に作用するもの、グラム陰性菌に作用するもの、グラム陽性マイコプラズマに作用するもの、グラム陰性マイコプラズマに作用するもの、グラム陽性リケッチアに作用もの、グラム陰性リケッチアに作用するもの、抗酸菌に作用するもの、カビに作用するもの、その他の抗生物質製剤など);
化学療法剤(例えば、サルファ剤抗結核剤合成抗菌剤抗ウィルス剤、その他の化学療法剤など);
生物学的製剤(例えば、ワクチン類、トキソイド類、抗毒素.抗レプトスピラ血清血液製剤類、生物学的試験製剤類、その他の生物学的製剤、抗原虫剤駆虫剤など);
調剤用薬(例えば、賦形剤、軟膏基剤溶解剤矯味矯臭剤着色剤、その他の調剤用剤など);
診断用薬(例えば、X造影剤機能検査用試薬、その他の診断用薬);
公衆衛生用薬(例えば、防腐剤);
体外診断用医薬品(例えば、細菌学的検査用薬など);
分類されない治療を主目的としない薬剤;ならびに
麻薬(例えば、あへんアルカロイド系麻薬、コカアルカロイド系製剤、合成麻薬など)。

0179

本発明の薬学的組成物は、日本薬局方、米国薬局方、その他対応する他の国の薬局方、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,A.R.Gennaro,ed.,Mack Publishing Company,1990などを参照することによって、当業者は容易に製造することができる。

0180

本発明は、薬学的組成物として処方される場合、非経口的に投与され得る。あるいは、その組成物は、静脈内または皮下で投与され得る。全身投与されるとき、本発明における使用のための治療組成物は、発熱物質を含まない、経口的に受容可能な水溶液の形態であり得る。そのような薬学的に受容可能な水溶液は、pH、等張性、安定性などに相当な注意払うことを条件として、当該分野の技術を用いて調製され得る。

0181

好ましい実施形態では、本発明のHSVまたはそれを含む薬学的組成物は接種形態で投与され得る。本発明の弱毒化HSVを含む薬学的組成物の接種形態としては特に限定されず、公知の形態を用いることができるが、通常好ましくは、水溶液または懸濁液からなる注射剤として患者に接種される。前記注射剤には、輸液および栄養補充液なども含まれる。

0182

上記注射剤は、本発明の弱毒化HSVの他に、通常用いられる添加剤を含有していてもよい。前記添加剤としては特に限定されず、必要に応じて界面活性剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、無痛化剤、安定剤などの成分を配合することができる。界面活性剤としては例えば、Tween80、ステアリン酸ポリオキシル40セスキオレイン酸ソルビタンモノステアリン酸グリセリンラウロマクロゴールなど;乳化剤としては例えば、アラビアゴムトラガントアルギン酸ナトリウムなど;懸濁剤としては例えば、モノステアリン酸アルミニウムカルボキシメチルセルロースメチルセルロースなど;保存剤としては例えば、フェノール硝酸フェニル水銀塩化ベンザルコニウム塩化ベンゼトニウムベンジルアルコールクロロブタノールなど;無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトールなど、安定剤としては例えば、クエン酸酢酸酒石酸コハク酸などの緩衝剤、プロピレングリコール、ジエチリン、亜硫酸塩アスコルビン酸ロンガリットなどが挙げられる。

0183

また、例えば水、生理食塩水デキストロースグリセロールエタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール植物性油脂エチルオレイン酸などの有機エステルなど、pH緩衝剤、アジュバント、弱毒化HSVの効果を強化する免疫賦活剤などを添加することもできる。

0184

本発明において、上記注射剤の製造方法は特に限定されず、通常用いられる装置および方法によることができる。注射剤は調製した後、フィルター濾過による除菌を行ってもよいし、必要ならば凍結乾燥などを行って、常法により皮下・筋肉内、静脈内、腫瘍内、腹腔内、気管内、膀胱内、腸内、直腸内、口内、眼内、動脈内などへ注射剤、点滴注射剤により注入される。

0185

また、上記注射剤は、注射直前に溶液に溶解するか、または懸濁するのに適する固形物に調製されてもよい。

0186

本発明の弱毒化HSVを含む薬学的組成物の、個々の場合における正確な投与量は、例えば投与方法、投与される患者の個体差、疾患の種類、投与するときの患者の状態などによっても異なるため一概にはいえないが、例えば注射剤としてヒトに投与する場合は、成人の場合約0.01ng〜10mg/kg程度の弱毒化HSVを1日1〜数回に分げて投与できる。好ましくは、投与は、患者の状態をモニターしながら適宜調整され得る。

0187

本発明の弱毒化HSVとプロドラッグとを併用する場合は、公知方法に従って使用することができ、プロドラッグの投与経路、投与量は公知の方法に従って行うことができる。プロドラッグは、本発明の弱毒化HSVと同時に、または交互に使用することができる。

0188

本発明はまた、好ましくは、ワクチン形態で投与され得る。ワクチンとは、ある種の疾患(例えば、伝染病感染症など)の予防(または治療)のため使用される抗原の諸形態(例えば、タンパク質、DNA)をいう。感染、伝播流行などの諸形式にしたがい、生きた弱毒病原体(生ワクチンlive vaccine)、不活化病原体(またはその一部)、病原体代謝物毒素、毒素の不活化物すなわちトキソイドなど)、DNAワクチンなどが使用される.ワクチン接種(vaccination)により生物(ヒト・家畜媒介動物)の体内に能動的につくられる免疫(体液性免疫、細胞性免疫、または両者)が病原体の感染、伝播、流行などを阻止する。

0189

本発明に係るワクチンの剤形は特に問わず、また、その製造も当該分野で用いられている自体公知の方法に従ってよい。本発明に係るワクチンは、上記HSV遺伝子組換え体を含む生ワクチンとするのが好ましい。また、本発明に係るワクチンは、種々のアジュバントを含む乳濁液としてもよい。アジュバントは、上記HSV遺伝子組換え体のみを投与した場合よりも、少ない量のHSV遺伝子組換え体を用いて、少ない投与量で、持続する高レベルの免疫性を持続させるのを助けるものである。アジュバントの例には、フロインドのアジュバント(完全または不完全)、アジュバント65(落下生油マンナイドモノオレエートおよびアルミニウムモノステアレートを含む)、および水酸化アルミニウムリン酸アルミニウムまたはミョウバンのごとき鉱物ゲルがある。ヒトおよび食用動物のためのワクチンには、アジュバント65を用いるのが好ましい。また、商業的動物用ワクチンには、鉱物ゲルを用いるのが好ましい。

0190

本発明に係るワクチンには、上記アジュバントの他に例えば、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1または2以上の製剤用添加物を含有させてもよい。

0191

本発明に係るワクチンの投与経路は、特に限定されないが、非経ロ的に投与することが好ましい。非経口投与としては、例えば、静脈内、動脈内、皮下、真皮内、筋肉内または腹腔内の投与が挙げられる。

0192

本発明に係るワクチンの1回の投与量は、投与の目的がHSV感染より惹起される病気の予防であるか治療であるかにより、また感染が初感染か再感染かにより、さらに患者の年齢および体重、症状および疾患の重篤度などの種々の条件に応じて適宜選択することが可能である。再感染により惹起される病気の治療を目的とする場合、本発明に係るワクチンの投与量は、体重1kgあたり約0.01ng〜10mg程度、より好ましくは約0.1ng〜1mg/kg程度であり得る。

0193

本発明に係るワクチンの投与回数は、上記のような種々の条件により異なるので、一概には言えないが、日単位から週単位の間隔で繰り返して投与するのが好ましい。中でも、約2〜4週間程度の間隔で、数回、好ましくは約1〜2回程度投与するのが好ましい。疾患症候学または抗体価を用いる基本的な検査により疾患の状態をモニターしながら投与回数(投与時間)を決定するのがより好ましい。

0194

本明細書において、「疾患または障害」とは、本発明のウイルス構築物が有効である疾患または障害をいう。そのような疾患または障害としては、例えば、ヘルペスウイルスに関連する疾患または障害(例えば、歯肉口内炎、顔面ヘルペス、口唇ヘルペス、角膜結膜炎ヘルペス、ヘルペス脳炎、性器ヘルペス、新生児ヘルペス、水痘、帯状疱疹、伝染性単核症、バーキットリンパ腫、鼻咽腔がん、肺炎、巨細胞封入体症、突発性発疹、肺炎、カポジ肉腫、PEL、キャッスルマン病)、がん(例えば、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌、膀胱癌、尿道癌、大腸癌、皮膚癌、悪性メラノーマ、骨肉腫、頭頚部の扁平上皮癌、胃癌、前立腺癌乳癌肺癌結腸癌リンパ腫肝癌中皮腫黒色腫星状細胞腫乏突起神経膠腫髄膜腫神経線維腫神経膠芽細胞腫上衣細胞腫神経鞘腫神経線維肉腫、神経髄芽細胞腫線維肉腫扁平上皮細胞癌神経外胚葉細胞癌、甲状腺腫瘍下垂体腫瘍、または類表皮癌腫など)、他の疾患または障害(例えば、他のウイルス(例えば、HIV、インフルエンザウイルス、ロタウイルスなど)または細菌(例えば、百日咳菌ジフテリア菌破傷風菌など)に起因する疾患または障害)、原核生物(例えば、淋菌リステリアおよび赤痢菌など)および真核生物体(例えば、単細胞病原性生物体および多細胞寄生虫など)などが挙げられる。

0195

従って、本発明の単純ヘルペスウイルスおよび組成物は、上述のようながんを予防または治療するために用いることができる。好ましくは、進行性の膵臓癌、卵巣などの外科的切除、化学療法が困難な腹膜播種が存在するもの、固形腫瘍に対して用いられ得る。本発明は一つまたはそれ以上の癌のいくつかの形に対して個体を免疫するためにも使用され得るが、本発明は特定の癌が発現しやすい人または以前に癌を発病し、従って再発しやすい人のような個体を予防的に免疫するのにも利用され得る。遺伝学および技術ならびに疫学発展は、個体における癌発生の可能性および危険事前評価の決定を可能にしている。遺伝子スクリーニングおよび/または家族健康履歴を用いて、特定の個人がいくつかの型の癌のどれか一つを発生する可能性を予測することが可能である。

0196

本発明の弱毒化HSVを含む薬学的組成物は、弱毒化HSVが効果を発揮する量を、適当な医薬用担体その他の補助剤と組み合わせて常法により製剤化することで得ることができる。ここでいう「効果を発揮する量」または「有効量」とは、有効成分の種類、使用形態などにより異なるために一概にはいえないが、副作用が少なく目的とする効果を発揮する量が好ましい。

0197

本発明の弱毒化HSVを含む薬学的組成物の接種形態としては特に限定されず、公知の形態を用いることができるが、通常好ましくは、水溶液または懸濁液からなる注射剤として患者に接種される。前記注射剤には、輸液および栄養補充液なども含まれる。

0198

上記注射剤は、本発明の弱毒化HSVの他に、通常用いられる添加剤を含有していてもよい。前記添加剤としては特に限定されず、必要に応じて界面活性剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤、無痛化剤、安定剤などの成分を配合することができる。界面活性剤としては例えば、Tween80、ステアリン酸ポリオキシル40、セスキオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、ラウロマクロゴールなど;乳化剤としては例えば、アラビアゴム、トラガント、アルギン酸ナトリウムなど;懸濁剤としては例えば、モノステアリン酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなど;保存剤としては例えば、フェノール、硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノールなど;無痛化剤としては、例えば、ベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトールなど、安定剤としては例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、コハク酸などの緩衝剤、プロピレングリコール、ジエチリン、亜硫酸塩、アスコルビン酸、ロンガリットなどが挙げられる。

0199

また、例えば水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物性油脂、エチルオレイン酸などの有機エステルなど、pH緩衝剤、アジュバント、弱毒化HSVの効果を強化する免疫賦活剤などを添加することもできる。

0200

本発明において、上記注射剤の製造方法は特に限定されず、通常用いられる装置および方法によることができる。注射剤は調製した後、フィルター濾過による除菌を行ってもよいし、必要ならば凍結乾燥などを行って、常法により皮下・筋肉内、静脈内、腫瘍内、腹腔内、気管内、膀胱内、腸内、直腸内、口内、眼内、動脈内などへ注射剤、点滴注射剤により注入される。

0201

また、上記注射剤は、注射直前に溶液に溶解するか、または懸濁するのに適する固形物に調製されてもよい。

0202

本発明の弱毒化HSVを含む薬学的組成物の、個々の場合における正確な投与量は、例えば投与方法、投与される患者の個体差、疾患の種類、投与するときの患者の状態などによっても異なるため一概にはいえないが、例えば注射剤としてヒトに投与する場合は、成人の場合約0.01ng〜10mg/kg程度の弱毒化HSVを1日1〜数回に分げて投与できる。

0203

本発明の弱毒化HSVとプロドラッグとを併用する場合は、公知方法に従って使用することができ、プロドラッグの投与経路、投与量は公知の方法に従って行うことができる。プロドラッグは、本発明の弱毒化HSVと同時に、または交互に使用することができる。

0204

本明細書において、「プロドラッグ」とは、そのままの形では不活性であるが,生体内で薬物代謝酵素によって化学的変化をうけてはじめて活性を示すような薬物をいう(例えば、がんの化学療法剤として用いられるプリンおよびピリミジン誘導体)。本明細書において好ましいプロドラッグは、ガンシクロビル、アシクロビル、タキソール、カンプトテシン、グアニンヌクレオシド誘導体などが挙げられる。本発明における好ましいプロドラッグとしては、本発明において用いられる弱毒化HSVが含有している自殺遺伝子によって活性型に変換されるプロドラッグである。

0205

本明細書において、「自殺遺伝子」とは、発現すると、自己を殺傷することができる遺伝子をいい、代表的には、代謝毒性遺伝子が挙げられる。本明細書では、自殺遺伝子をウイルス構築物に導入して腫瘍細胞を自殺に追いやる方法が挙げられ、より具体的には単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼを導入し得る。

0206

本明細書において、「癌細胞選択性を有する」とは、正常細胞における増殖速度よりも、癌細胞における増殖速度の方が勝ることを意味する。

0207

本発明はまた、免疫調節タンパク質とともに提供され得る。本明細書において、「免疫調節タンパク質」とは、免疫応答を促進および/または調節するタンパク質および核酸分子発現産物をいう。従って、好ましい実施形態において、免疫調節タンパク質は免疫療法剤としてまたはワクチン中の成分として送達され得る。

0208

免疫調節タンパク質にはケモカイン接着分子、サイトカイン、共刺激分子増殖因子およびレセプター分子が含まれる。免疫調節タンパク質であるケモカインにはMIP−1α、MIP−1β、RANTEs、IL−8およびMCP−1が含まれる。接着分子にはセレクチンファミリー構成物ムチン様分子、インテグリンファミリー構成物およびイムノグロブリンスーパーファミリー構成物が含まれる。セレクチンファミリー構成物にはL−セレクチン、P−セレクチンおよびE−セレクチンが含まれる。ムチン様分子はセレクチンファミリー構成物のリガンドである。ムチン様分子にはCD34、GlyCAM−1およびMadCAM−1が含まれる。インテグリンファミリーの構成物にはLFA−1、VLA−1、Mac−1およびp150.95が含まれる。イムノグロブリンスーパーファミリー構成物にはPECAM−1、ICAM類(ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3)、CD2およびLFA−3が含まれる。サイトカインにはM−CSF、GM−CSF、G−CSF、CSF、IL−4およびIL−18の変異体(タンパク質の前形には存在するが成熟形態には存在しない最初の約35アミノ酸残基の欠失を含む)が含まれる。共刺激分子にはCD40およびCD40リガンド(CD40L)が含まれる。増殖因子には血管増殖因子、IL−7、神経成長因子および血管内皮細胞増殖因子が含まれる。レセプター分子にはFas致死遺伝子発現産物、腫瘍壊死因子TNFレセプター、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、DR6が含まれる。カスパーゼ(ICE)もまた、本発明の組成物に存在し得る。

0209

本発明のある実施形態では、免疫調節タンパク質は核酸分子(それは細胞に取り込まれた場合、発現されて免疫調節タンパク質を発現する)を投与することにより送達される。本発明のいくつかの態様では、免疫調節タンパク質はタンパク質それ自身を投与することにより送達される。本発明のいくつかの態様では、免疫調節タンパク質は核酸かまたはタンパク質を投与することにより送達される。本発明のある実施形態では、免疫調節タンパク質は核酸およびタンパク質を同時に投与することにより送達される。

0210

本発明のいくつかの実施形態では、上述の免疫調節タンパク質(タンパク質またはタンパク質をコードしている核酸分子として)は組成物またはさもなくばワクチン組成物とともに補給物として投与される。ここで、ワクチンは、サブユニット不活化ワクチン、弱毒化生ワクチン、細胞ワクチン組換え体ワクチン、核酸またはDNAワクチンのいずれかである。弱毒化生ワクチン、細胞ワクチン、組換え体ワクチン、または核酸またはDNAワクチンの場合、免疫調節タンパク質はこれらのワクチンの核酸分子によりコードされる。

0211

本明細書において、ヘルペスウイルス以外の病因因子(例えば、ウイルス(例えば、HIV、インフルエンザウイルス、ロタウイルスなど)または細菌)を処置または予防するための組成物(例えば、ワクチン)が提供される。そのような組成物は、本発明の弱毒化ヘルペスウイルスに外来遺伝子としてその病因因子の遺伝子を少なくとも1つ含む。含まれる外来遺伝子は、全長が好ましいが、免疫を惹起し得るエピトープを少なくとも一つ含んでいれば、部分配列でもよい。本明細書において、「エピトープ」とは、構造の明らかな抗原決定基をいう。エピトープを決定する方法は、当該分野において周知であり、そのようなエピトープは、核酸またはアミノ酸の一次配列が提供されると、当業者はそのような周知慣用技術を用いて決定することができる。エピトープとして使用するためには、少なくとも3アミノ酸の長さの配列が必要であり、好ましくは、この配列は、少なくとも4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、15アミノ酸、20アミノ酸、25アミノ酸の長さの配列が必要であり得る。

0212

そのような外来遺伝子としては、例えば、HIVの場合、gp120、gp41、gp17マトリクスタンパク質、p24カプシドタンパク質逆転写酵素(HIV pol)、tat revなどが挙げられるがそれらに限定されない。ロタウイルスの場合、VP4、VP6、およびVP7などが挙げられるがそれらに限定されない。インフルエンザウイルスの場合、HA、NA、およびNPなどが挙げられるがそれらに限定されない。

0213

免疫調節タンパク質は細胞傷害性T細胞(CTL)応答を誘導および促進し、および/または抗体応答を誘導および促進し、および/またはT細胞増殖応答を誘導および促進するのに有用である。

0214

CTL応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は、細胞内病原体に対する、または自己免疫疾患または癌に関して、ワクチンとともにまたはその一部として投与された場合に特に有用である。CTL応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は、弱毒化生ワクチン、細胞ワクチン、組換え体ワクチン、および核酸/DNAワクチンとともに投与された場合に特に有用である。もしくは、CTL応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は、癌または細胞内感染を患っている患者に投与される免疫療法剤として有用である。CTL応答を誘導および促進する免疫調節タンパク質は免疫無防備状態の患者に投与された場合に有用である。

0215

本明細書において、対象となる疾患の宿主は、ヘルペスウイルスが感染し得る動物であればどの動物でもよく、例えば、霊長類(例えば、サル、ヒト)、ウシ(肉牛乳牛)、ウマブタ、ネコ、イヌニワトリなどが挙げられる。好ましくは、その宿主は、霊長類であり、より好ましくは、ヒトである。

0216

本明細書において、対象となる宿主の年齢は、ヘルペスウイルスが感染し得る年齢であれば、どのような年齢でもよく、例えば、高齢者、成人、小児乳児胎児などが挙げられる。

0217

(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、複製非必須遺伝子が不活化されたヘルペスウイルスを提供する。より詳細には、本発明は、ULまたはUS領域に存在する複製非必須遺伝子が不活化されたヘルペスウイルスを提供する。従来、inverted repeat領域の遺伝子を改変することによって特性が改変されたヘルペスウイルスが利用されていたが、臨床レベルでヘルペスウイルスに起因する疾患またはがんに有効なものが提供されているとはいえない。従って、ULまたはUS領域に存在する複製非必須遺伝子を不活化することによって、所望の特性(例えば、弱毒化、癌細胞への選択性、宿主(例えば、ヒト)への安全性の上昇など)を得ることができたことにより従来技術にない有利な有用性が提供される。

0218

1つの実施形態において、本発明に係るワクチンは、US3を発現しないHSV遺伝子組換え体を含有することを特徴とする。かかる組換え体としては、例えばHSV遺伝子のうちUS3遺伝子が翻訳されないよう処理が施されている遺伝子組換え体、またはHSV遺伝子のうちUS3遺伝子を組換え、該組換えられた遺伝子が翻訳されるとUS3とは異なるタンパクが発現する遺伝子組換え体などが挙げられる。

0219

上記遺伝子組換え体を作製するための遺伝子組換え処理としては、特に限定されない。例えば、US3遺伝子の全部または一部を欠損させる処理、US3遺伝子の全部または一部を置換させる処理、US3遺伝子の一部を逆位させる処理、US3遺伝子の一部を重複させる処理、US3遺伝子の一部を転座させる処理、US3遺伝子に遺伝子断片を挿入しUS3遺伝子を中断させる処理などが挙げられる。中でも、US3遺伝子の全部または一部を欠損させる処理、US3遺伝子の全部または一部を置換させる処理、またはUS3遺伝子に遺伝子断片を挿入しUS3遺伝子を中断させる処理が好ましい。特に、US3遺伝子に遺伝子断片を挿入しUS3遣伝子を中断させる処理がより好ましく、挿入する他の遺伝子には、翻訳を停止させるシグナルが含有されていることがさらに好ましい。翻訳を停止させるシグナルとしては、中でもSV40由来のポリアデニル化シグナルが好ましい。

0220

上記遺伝子組換え処理は、当該分野で十分確立されているので、それにしたがって容易に行うことができる。例えば、市販の実験書、例えば、1982年発行のMolecular Cloning Cold Spring Harbor Laboratory、1989年発行のMolecular Cloning,2nd ed、Cold Spring Harbor Laboratory等に記載された方法に従って容易に行うことができる。

0221

本発明で用いる「US3を発現しないHSV遺伝子組換え体」としては、L1BR1が挙げられる。L1BR1は、HSV−2 186株を用いて作製される。その作製方法を、図10を用いて以下に説明する。

0222

HSV−2 186株の遺伝子を、地図単位を付して図10のAに示した。また、同株のHind IIIの切断地図図10のBに示した。図10のCおよびDから明らかなように、US3遺伝子は、US領域である9.6kbのHind III L断片(図10のB)中に存在する。また、US領域の塩基情報から、9.6kbのHind III L断片中のBgl IIによる切断部位図10C中のG)はUS3遺伝子中に含まれている(図10のCおよびD)。そこで、このBgl IIによる切断部位を利用してUS3遺伝子を不活化させ、US3欠損HSVを作製する。

0223

なお、HSV−2 186株のBam HI、Xba I、Bal IIによる制限エンドヌクレアーゼ切断パターン図10のC)は、HSV−2種HG52株と一致していることは公知である(McGeoch et al.,1987)。

0224

より具体的には、HSV−2 186株の遺伝子から、4.8kbのHind III−Xba I断片を前クローニングする。前クローニングの方法は、例えば、pLHXなどのpBluescriptのような公知のクローニングベクターを用いて自体公知の方法に従って行えばよい。

0225

次いで、上記前クローニングされたHind III−Xba I断片をBgl IIで消化し、1443bpの読み取り枠を、5’末端から215残基のところで切断する。切断された部分に、図10のEで示される4.3kbの遺伝子断片を挿入する。図10のEで示される遺伝子断片は、具体的には5’末端にHSV−1β8プロモーターおよび3’末端にSV40由来のポリアデニル化シグナルを融合させたlac Zコードしている遺伝子をふくむ4.3kbのBam HI断片である。SV40由来のポリアデニル化シグナルによって、lac Z遺伝子の翻訳が停止する(Spaete and Mocarski,1985;Ho and Mocarski,1988)。

0226

このようにして得られたlac Z遺伝子により中断されているUS3遺伝子を有する遺伝子、すなわち図10のCで示される遺伝子断片の「G」の位置に、Eで示される遺伝子断片が挿入された遺伝子を公知の方法でクローニングする。なお、公知のクローニングベクターであるpLHXに、かかる遺伝子を挿入した遺伝子組換え体をpHZL1と称する。

0227

ついで、感染性のHSV−2 186株の完全DNAおよびlac Z遺伝子により中断されているUS3遺伝子を含有する線状pHZL1のDNAをベロ細胞にコトランスフェクション(同時細胞導入)する。同時に導入された2種のDNAが組換えを起こし、ベロ細胞中でHSV遺伝子組換え体が増殖する。lac Z遺伝子により中断されているUS3遺伝子を含有するHSV遺伝子組換え体は、Xgal染色によるプラークの色で選択することができる。すなわち、lac Z遺伝子はβ−ガラクトシダーゼをコードしており、HSV遺伝子組換え体lac Z遺伝子が含まれていると、β−ガラクトシダーゼが発現し、かかる酵素によりβ−ガラクトシダーゼの基質であるXgal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)が濃青色分解産物を生じるので、青色のプラークを選択すれぱlac Z遺伝子を含有するHSV遺伝子組換え体を選択することができる。選択された遺伝子組換え体のうち1つを6回プラーク精製し、ベロ細胞中で増殖させて、L1BR1を作製する。

0228

上記遺伝子組換え体であるL1BR1が、US3遺伝子を中断するようlac Z遺伝子を含んでいるかどうかを調べるためには、野生型HSV−2 186株の遺伝子と比較すればよい。具体的には、L1BR1遺伝子を制限酵素処理し、プローブとしてHind III L断片中の1.6kbのBam HI断片を用いてサザンブロットハイブリダイゼーション分析を行う。野生型HSV−2 186株の遺伝子も同様の処理を行う。その結果、野生型遺伝子で観察される1.6kbの断片が、L1BR1遺伝子で喪失していれば、US3遺伝子を中断するようlac Z遺伝子を含んでいることが確認できる。

0229

本発明の弱毒化HSVは、癌細胞において優位に増殖しうる、癌細胞選択性を有していることが好ましい。

0230

別の実施形態において、1つまたは2つ以上のアクセサリー遺伝子が不活化されている弱毒化HSVとしては、例えば、UL39またはUL40が不活化されているものを挙げることができ、なかでも、UL39またはUL40と、1つまたは2つ以上の他のアクセサリー遺伝子とが不活化されているものが好ましい。

0231

UL39またはUL40が不活化されている弱毒化HSVは、この遺伝子にコードされておりDNA合成に必要なリボヌクレオチドレダクターゼを宿主に依存しなければならない。このため、UL39またはUL40が不活化されている弱毒化HSVを癌患者に接種すると、増殖が盛んな癌細胞において優位に増殖させることができる。このような弱毒化HSVに感染された癌細胞は、ウイルスが保有する様々なタンパク質の細胞障害作用によって増殖が抑制され、更には死滅してしまうこともある。

0232

UL39またはUL40に加えて、1つまたは2つ以上の他のアクセサリー遺伝子が不活化されていると、癌細胞における優位の増殖性を維持しうるとともに宿主に対する病原性を更に減弱することができる。

0233

UL39またはUL40と、1つまたは2つ以上の他のアクセサリー遺伝子とが不活化されている弱毒化HSVとしては、例えば、UL39(またはUL40)、UL55およびUL56が不活化されている弱毒化HSV、UL39(またはUL40)およびUL2が不活化されている弱毒化HSV、UL39(またはUL40)およびUS3が不活化されている弱毒化HSV、UL39(またはUL40)、UL2およびUS3が不活性されている弱毒化HSV等を挙げることができる。

0234

UL39(またはUL40)、UL55およびUL56が不活化されている弱毒化HSV、またはUL39(またはUL40)およびUL2が不活化されている弱毒化HSVは、UL39(またはUL40)のみが不活化されている弱毒化HSVよりも、さらに高い安全性を有する。一方、UL39(またはUL40)およびUS3が不活化されている弱毒化HSV、またはUL39(またはUL40)、UL2およびUS3が不活化されている弱毒化HSVは、高い癌細胞選択性に加えて癌細胞のアポトーシスを引き起こす機能を併せ持つことができる。

0235

本発明に係るワクチンは、上記したようなHSVより惹起される病気の予防治療剤として有用である。特に、本発明に係るワクチンは、HSVに起因する性感染症(例えば、陰部ヘルペス)の予防治療剤として有用である。

0236

本発明に係るワクチンを投与することにより、HSV感染の重篤度および/またはHSV感染率を減少させることができる。

0237

後述する実施例からも明らかなように、本発明に係るワクチンに含まれるUS3欠損HSV遺伝子組換え体は、Fas+単核細胞数を増加させ、また樹状細胞、貪食細胞およびT細胞を急速に活性化させる。さらに、該組換え体は、抗ウイルス性サイトカインであるIL−12を増加させ、またIFN−γ(インターフェロンγ)をも増加させ、その刺激によりTh1細胞が活性化され、細胞性免疫が活性化される。このように、US3欠損HSV遺伝子組換え体を含有する本発明に係るワクチンを投与することにより、HSV感染に対する免疫機能賦活され、上述のようにHSV感染の重篤度および/またはHSV感染率を減少させることができる。

0238

最近、単純ヘルペスウイルス1型(以下、HSV−1という)およびHSV−2のUS3遺伝子は感染細胞におけるアポトーシス阻害に必要であることが示されている(Leopardi,R.,Van Sant,and Roizman B.(1997). Proc.Natl.Acad.Sci.USA.94,7891−7896.;Asano,S.,Honda,T.,Goshima,F.,Watanabe,D.,Miyake,Y.,Sugiura,Y.,and Nishiyama,Y.(1999). J.Gen.Virol.80,51−56)。したがって、US3欠損HSV遺伝子組換え体は、感染細胞のアポトーシス阻害を引き起こさないという利点も有する。すなわち、US3欠損HSV遺伝子組換え体を投与した場合は、感染細胞が直ちにアポトーシスを起こし、US3欠損HSV遺伝子組換え体の過剰増殖を抑制できるとともに、アポトーシスした感染細胞が抗原提示の役割を果たし、HSV感染に対する免疫賦活化がより一層増強される。

0239

別の実施形態において、本発明に係る弱毒化単純ヘルペスウイルス(以下弱毒化HSVともいう)は、複製非必須遺伝子のうち、US3遺伝子、および/または病原性関連遺伝子であるとされるUL56遺伝子のDNA塩基配列の一部あるいは全部が欠損、あるいは塩基配列の置換、修飾もしくは挿入などによって不活化されたものが用いられる。また、US3遺伝子および/またはUL56遺伝子の転写を制御することにより不活化させたものも用いることができる。

0240

本発明で用いられる1つの好ましい弱毒化HSVはHF株より採取されたクローンの一つであるクローン10(MNO10)であり、該クローンはヘルペスウイルスのゲノム上116515〜120346の位置に3832bpの欠失が存在し、UL56の全197アミノ酸のN末端側136アミノ酸、およびその上流を欠いている。MNO10は、名古屋大学医学部病態制御研究施設ウイルス感染研究部門において、特許法によって要求されている該菌の保存および分譲が保証されており、容易に入手することができる。

0241

本発明に係る弱毒化HSVは、HSV−1を用いて作製されたものでもよく、あるいはHSV−2を用いて作製されたものであってもよい。

0242

弱毒化HSVのUS3および/またはUL56遺伝子を不活化する方法としては特に限定されず、例えば他の配列の挿入、一部の配列の切除、塩基の修飾、塩基の置換などの公知の方法を挙げることができる。

0243

US3遺伝子および/またはUL56遺伝子が不活化することにより、本発明の弱毒化HSVを癌細胞において優位に増殖させることができる。さらに標的とする癌細胞において自殺遺伝子を効率的に発現させることができ、ひいては抗癌作用をより効果的に作用させることができる。

0244

本発明のUS3遺伝子および/またはUL56遺伝子が不活化されている弱毒化単純ヘルペスウイルスは、当該ヘルペスウイルスによって活性型に変換されるプロドラッグと組み合わせ、または組み合わせずに単独で癌の治療に使用される。

0245

本発明の弱毒化HSVは、好ましい実施形態において、チミジンキナーゼ遺伝子を含有していることから、プロドラッグであるガンシクロビルを投与すると、ガンシクロビルがチミジンキナーゼによってリン酸化され活性型となり、弱毒化HSVは、癌細胞のDNAポリメラーゼとともに、DNA中に取り込まれてDNA合成、DNA依存性RNA合成を阻害する。このような働きを行う遺伝子を自殺遺伝子とよび、本発明においては上記のチミジンキナーゼ遺伝子の他に、外来性の自殺遺伝子を発現可能なように組み込んでもよい。

0246

上記外来性の自殺遺伝子としては、プロドラッグを活性型に変換することができるものであれば特に限定されず、例えばシトシンデアミナーゼ遺伝子、大腸菌gpt遺伝子、大腸菌deoD遺伝子、カルボキシエステラーゼ遺伝子などを挙げることができる。

0247

別の好ましい実施形態では、本発明は、US3欠損HSV−2ウイルスを提供する。

0248

本発明は、ワクチン組成物(DNAワクチン、弱毒化生ワクチンおよび組換え体ワクチンを含む)の一部として個体の細胞へ遺伝子構築物を送達する工程を包含する、個体を免疫化する改良された方法を提供する。遺伝子構築物は免疫調節タンパク質をコードしおよびそれが発現を達成するためにワクチン中で機能できる制御配列へ作動可能なように連結されているヌクレオチド配列を包含する。改良されたワクチンは高められた細胞性免疫応答を生じる。

0249

本発明のUS3および/またはUL56が不活化されている弱毒化単純ヘルペスウイルスは、当該ヘルペスウイルスによって活性型に変換されるプロドラッグと組み合わせ、または組み合わせずに単独で癌の治療に使用される。

0250

プロドラッグとしては、例えばガンシクロビル、アシクロビル、タキソール、カンプトテシンなどが挙げられる。本発明におげる好ましいプロドラッグとしては、本発明において用いられる弱毒化HSVが含有している自殺遺伝子によって活性型に変換されるプロドラッグである。

0251

本発明の弱毒化HSVはチミジンキナーゼ遺伝子を含有していることから、プロドラッグであるガンシクロビルを投与すると、ガンシクロビルがチミジンキナーゼによってリン酸化され活性型となり、さらに弱毒化HSVは、癌細胞のDNAポリメラーゼとともに、DNA中に取り込まれてDNA合成、DNA依存性RNA合成を阻害する。このような働きを行う遺伝子を自殺遺伝子とよび、本発明においては上記のチミジンキナーゼ遺伝子の他に、外来性の自殺遺伝子を発現可能なよ
上記外来性の自殺遺伝子としては、プロドラッグを活性型に変換することができるものであれば特に限定されず、例えばシトシンデアミナーゼ遺伝子、大腸菌gpt遺伝子、大腸菌deoD遺伝子、カルボキシエステラーゼ遺伝子などを挙げることができる。
実施例
以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施例は、例示の目的のみに提供される。従って、本発明の範囲は、実施例のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。なお、%は、特に断りのない限り重量%を示す。

0252

(実施例1弱毒化HSV(UL39不活化HSV)の作製)
HSV−1のUL39遺伝子を含むDNA断片をプラスミドpBluescript(Stratagene社製)ヘクローニングし、そのオープンリーディングフレームを分割する形でlacZカセット(HSV UL39プロモーターを5’端に、大腸菌のlacZ遺伝子とSV40のpolyadenylation signalをその下流に有するDNA断片)を挿入したDNAを作製した。このDNAと、感染細胞より調製した感染性HSV DNAとを細胞にトランスフェクトし、その3日後に産生されてきたウイルスを採取した。その中でX−gal存在下にて青色に染色されるプラークを採取し、更に3回プラーククローニングを行った後、Vero細胞で増殖させストックとした。この変異株に対してSouthern blot、PCR、Western blot等を行い、UL39が不活化されていることを確認した。

0253

(実施例2:DNA複製に関しない遺伝子の不活化弱毒化HSVであるUL39およびUL56不活化HSV(Hh)の作製)
UL56遺伝子を含む領域が欠損しているHSV−1由来の株HFを用意する(名古屋大学医学部Isomura Shin博士から入手した)。この株は野生株に比べ、マウスにおける腹腔接種での病原性が著しく低く、かつ、感染細胞に細胞融合を起こす。上記のUL39欠損ウイルスとHF株とをVero細胞に混合感染させ、子ウイルスの中から細胞融合を起こし、かつ、X−gal存在下で青色プラークを作るウイルスを採取した。クローニングした後、PCR、塩基配列の決定およびWestern blotにより、UL39およびUL56に欠損があることを確認した。

0254

(実施例3:UL39不活化HSVにカルボキシエラスターゼが組み込まれた株の作製)
ヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子のプロモーターをもつヒトカルボキシエステラーゼ遺伝子をlacZ遺伝子(オープンリーディングフレーム)を分割する形で挿入したDNAを作製した。このDNAとlacZを持つUL39不活化ウイルス由来の感染性DNAをVero細胞にトランスフェクトし、産生されてくるウイルスを採取した。X−gal存在下で無色のプラークを作るウイルスを採取し、プラーククローニングを行い、第一次ストックとした。第一次ストックとして得られた各々のクローンについて、感染細胞標本を作製し、タッグ抗体を用いて蛍光抗体法を行い、陽性のクローンに関して第二次ストックを作製した。最終的に得られたクローンについて、感染細胞におけるカルボキシエステラーゼ活性の誘導を確認した。

0255

(実施例4:UL56不活化HSV−1の分離)
UL56遺伝子を含む領域を欠損しているHSV−1ウイルスをHF株から分離した。このHSV−1 HF株由来クローン10(MNO10:名古屋大学医学部病態制御研究施設ウイルス感染研究部門にて保管)は、PCR、塩基配列の決定およびウエスタン分析を行うことにより、UL56遺伝子が欠損していることを確認した。

0256

(実施例5:多核巨細胞を形成する能力を有する弱毒化HSV(HR522)の作製)
実施例1で作製したUL39弱毒化HSVと、実施例4で分離したUL56遺伝子を含む領域を欠損しているHSV−1 HF株由来クローン10とをベロ細胞(理化学研究所細胞バンク、つくば、、日本)に混合感染し、UL39弱毒化HSVのマーカーであるX−galの存在下で青いプラークを作る能力と、HF MNO10のマーカーである多核巨細胞を形成する能力の両方を持つクローンを選択した。確認のために、表現型により分離した。LacZを発現し(RR−を意味する)、感染細胞に多核巨細胞を形成する特徴を有するものを分離した。この混合感染により得られたクローンをHR522と命名した。

0257

(実施例6弱毒化HSVを用いた癌治療
エ一テル麻酔下に各群10匹のヌードマウス雌性、6週齢)の腹腔内にヒト卵巣癌由来のSW1990を1×107ずつ近傍により注入し移植した。移植後7日目および12日目に腹腔内にUL39不活化HSVまたはHR522を1×107PFU/1匹ずつ、それぞれ2群に注入した。UL39不活化HSVまたはHR522接種後10日目(即ち、移植後17日目および22日目)に、UL39不活化HSV接種群およびHR522接種群のうちのそれぞれ1群に、0.4mg/1匹のガンシクロビルを投与した。それぞれの群の生存率を移植後60日目まで観察し、結果を図1に示した。

0258

図1に示された結果より、UL39不活化HSVおよびHR522を接種することにより、ヌードマウスの生存期間延長することが明らかとなった。また、さらに、ガンシクロビルを投与することによって生存期間がより一層延長することが明らかとなった。なかでも、HR522接種+ガンシクロビル投与群の生存率が高かった。

0259

(実施例7弱毒化HSVと公知の抗ガン剤との比較)
エーテル麻酔下に各群10匹のヌードマウス(雌性、6週齢)の腹腔内にヒト卵巣癌由来のSWl990を1×107ずつ膵近傍により注入し移植した。移植後7日目および12日目に、それぞれ1群ずつ、腹腔内にUL39不活化HSVもしくはHR522を5×107PFU/1匹ずつ注入するか、または、公知の抗ガン剤としてタキソールを0、4mg/1匹投与した。それぞれの群の生存率を移植後60日目まで観察し、結果を図2に示した。

0260

図2に示された結果より、UL39不活化HSVおよびHR522を接種した群の方が、タキソールを投与した群より生存期間が延長することが明らかとなった。

0261

(実施例8 US3欠損ウイルスの作製)
(マウスおよびウイルス)
雌のBALB/cマウスは日本SLC(浜松、日本)から購入し、処置開始時には生後8〜10週間であった。すべてのマウスをゲージに収容し、画一的に推奨されているガイドラインに沿って扱った。「Daikoku,T.,Yamashita,Y.,Tsurumi,T.,Maeno,K.,and Nishiyama,Y.(1993). Virology 197,685−694.」に記載されている方法でUS3を発現しないHSV−2 186の遺伝子組換え体を作製した(以下、L1BR1と称する)。また、比較例として、HSV−2 186野生株(以下単に186野生株という)およびUS2欠損変異体であるYY2を用いた。かかる3種のウイルスをベロ細胞中で生育させ、使用するまで−80℃で保管した。ウイルス感染価はベロ細胞で測定し、プラーク形成単位(PFU)/mlで表わす。

0262

(HSV感染方法
「Parr,M.B.,Kepple,L.,McDermott,M.R.,Drew.M.D.Bozzola,J.J.,and Parr,E.R.(1994). Lab.Invest.70,369−380.」、および「Milligan,G.N.,and Bernstein,D.I.(1997). Virol.229,259−268.」に記載された方法によって、マウスの膣内にウイルス接種した。ウイルス接種前に、すみやかにプロゲステロン優勢段階で発情周期連動させるため、すべてのマウスにβ−エストラジオール17−シピノサイト(β−estradiol 17−cypionate)(以下、Eと略す)(Sigma、St.Louis、MO)を0.1μg/マウス、および翌日以降はデポープロペラ(Depo−Provera)(以下、DPと略す。)(Sigma)2mg/マウスを皮下注射した。DP投与の5日後、ぺントバルビタール(pentbarbital)ナトリウムガーゼで塗布し、マウスを痩させ、186野生株、YY2またはL1BR1の懸濁液20μlを用いて、それぞれのウイルスを膣内に感染させた。

0263

(ウイルス感染価測定法
PBSリン酸緩衝生理食塩水)を膣にピペットで移すことで膣損傷(vaginal ravage)を生じさせ、その後、「Milligan,G.N.,and Bernstein,D.I.(1997). Virol.229,259−268.」に記載された方法に従って、ベロ細胞単分子層上でのプラーク形成による感染価の測定まで−80℃で貯蔵した。

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