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技術 耐熱性、耐衝撃性を有する成型品

出願人 株式会社吉野工業所
発明者 木虎修一鈴木正人
出願日 2007年6月19日 (13年5ヶ月経過) 出願番号 2007-161810
公開日 2009年1月8日 (11年10ヶ月経過) 公開番号 2009-001622
状態 拒絶査定
技術分野 高分子組成物 生分解性ポリマー
主要キーワード プラスチックキャップ メインフィード口 耐落下衝撃性 衝撃耐性 機能性フィラー 飲料カップ 結晶化挙動 ダイレクトブロー成形品
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

耐熱性耐落下衝撃性は共に優れたポリL-乳酸からなる樹脂成形品を提供することが本発明の課題である。

解決手段

本発明により、ポリL-乳酸から成る樹脂に対し、2〜4個の水酸基を持つ化合物にD-乳酸を1〜100分子グリコール類脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルからなる群から選択された低分子量ポリマーを共重合させることによって形成された機能性フィラーを配合した樹脂が提供された。本発明の樹脂成形品は、耐熱性を低下させることなく、優れた耐落下衝撃性を示す。

概要

背景

PETボトル容器革命と言われるほど世界中に普及し、醤油食用水、飲料水ライトドリンク、更にはビールにまで普及しており、市民生活や流通に大いに貢献している。なおPETボトルをはじめプラスティック発展人類の生活や産業活動への大きな貢献を行なっている一方で、近年石油資源枯渇地球規模温暖化等の環境問題を引き起こす一要因としても注目されるようになってきている。

この問題の解決策の一つとして、再生可能資源である植物資源からのプラスティックの開発が行なわれている。ポリ乳酸樹脂は、トウモロコシジャガイモなどの再生可能な原料から得られる生分解性樹脂一種で、優れた透明性と硬度を有し、現在食品用容器などに広く使用されているポリスチレンに似た物性を有する。

容器分野ではPETボトルが最も多く使用されており、この分野でも生分解性樹脂への展開が資源・廃棄物問題を解決するキーワードとして期待されている。しかし現在、その期待とはうらはらに、ボトル用途の開発は進んでいない。

なお、ポリ乳酸結晶性ポリマーである為にボトルの成形に必須の溶融粘度が低く且つ温度安定性がなく、更に結晶化速度が遅く成形サイクルが長いという問題を有する。一方、溶融粘度を上げて安定化させる為に結晶性を落とす方法がとられているが、この方法では結晶性が低く、成形物耐熱性が低下する欠点がある。現在使用されているポリ乳酸樹脂はTm=155℃で、結晶化度が約16%程度であり、結晶化による耐熱性改善は期待できない。なおポリ乳酸樹脂を用いた容器やプリフォームを作製している例として、ポリ乳酸からなる容器の表面にポリビニルアルコール系のコーティング剤樹脂皮膜を形成させた報告(特許文献1)がある。

そこでポリ乳酸を原料として用いたボトルを開発するには、耐熱性を改善する必要があり、更にボトルとして実用化するためには耐落下衝撃性も良好でなければならない。耐熱性の問題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、ポリL-乳酸からなる樹脂に2〜4個の水酸基を持つ機能性フィラー、例えばD-乳酸を配合することを試み、該樹脂の耐熱性が向上するという知見を得た。しかしポリL-乳酸からなる樹脂にD-乳酸を配合すると、耐落下衝撃性が大幅に低下するというデメリットがあり、その問題を解決するべく、ポリL-乳酸からなる樹脂にD-乳酸を添加した樹脂について、更なる改善のための検討をする必要があった。

特開平8‐244781号公報

概要

耐熱性と耐落下衝撃性は共に優れたポリL-乳酸からなる樹脂の成形品を提供することが本発明の課題である。本発明により、ポリL-乳酸から成る樹脂に対し、2〜4個の水酸基を持つ化合物にD-乳酸を1〜100分子グリコール類脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルからなる群から選択された低分子量ポリマーを共重合させることによって形成された機能性フィラーを配合した樹脂が提供された。本発明の樹脂成形品は、耐熱性を低下させることなく、優れた耐落下衝撃性を示す。なし

目的

よって上記の問題を解決するために、機能性フィラーを配合したポリL-乳酸からなる樹脂において、耐熱性を低下させることなく、耐落下衝撃性を改善することが本発明の課題である。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリL−乳酸からなる樹脂に対し、2〜4個の水酸基を持つ化合物にD-乳酸を1〜100分子グリコール類脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルからなる群から選択された低分子量ポリマーを共重合させる事によって形成された機能性フィラーを配合した樹脂から成ることを特徴とする成形品

請求項2

前記ポリL-乳酸が60,000〜80,000の数平均分子量を有することを特徴とする請求項1記載の成形品。

請求項3

前記化合物が多糖又はオリゴ糖から選択される糖類であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の成形品。

請求項4

前記オリゴ糖が5炭糖であることを特徴とする請求項3記載の成形品。

請求項5

前記化合物がシリカナノ粒子からなる無機化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の成形品。

請求項6

前記化合物がポリエチレングリコールトリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールから選択される有機化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の成形品。

請求項7

前記D-乳酸は30〜50分子をグラフト重合させたものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の成形品。

請求項8

前記機能性フィラーが、4個の水酸基を持つペンタエリスリトールにD-乳酸を50分子と低分子量ポリマーを共重合させたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の成形品。

請求項9

前記機能性フィラーが、2個の水酸基を持つポリエチレングリコールにD-乳酸を50分子と低分子量ポリマーを共重合させたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の成形品。

請求項10

前記フィラーが2種以上の機能性フィラーをブレンドしてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の成形品。

請求項11

前記ポリエチレングリコールの分子量が200から1000の範囲にあることを特徴とする請求項9記載の成形品。

請求項12

前記低分子量ポリマーの分子量が10000以下であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の成形品。

請求項13

前記脂肪族ポリエステルの分子量が5000以下であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の成形品。

請求項14

前記芳香族ポリエステルの分子量が10000以下であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の成形品。

請求項15

前記グリコール類の分子量が2000以下であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の成形品。

請求項16

前記機能性フィラーの配合量が前記ポリL-乳酸に対して5〜20重量%であることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の成形品。

請求項17

前記機能性フィラーの配合量が前記ポリL-乳酸に対して10重量%であることを特徴とする請求項16記載の成形品。

請求項18

示差走査熱量計測定において、ポリL-乳酸から成る樹脂の単体での融点以外に融点ピークを1以上有することを特徴とすることを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の成形品。

請求項19

前記成形品が2軸延伸ブロー成形品であることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の成形品。

請求項20

前記成形品がダイレクトブロー成形品であることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の成形品。

請求項21

前記成形品が射出成形品であることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の成形品。

技術分野

0001

本発明は、ポリL-乳酸から成る樹脂に対し、2〜4個の水酸基を持つ化合物にD-乳酸を1〜100分子グリコール類脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルからなる群から選択された低分子量ポリマーを共重合させることによって形成された機能性フィラーを配合した樹脂からなることを特徴とする成形品に関する。

背景技術

0002

PETボトル容器革命と言われるほど世界中に普及し、醤油食用水、飲料水ライトドリンク、更にはビールにまで普及しており、市民生活や流通に大いに貢献している。なおPETボトルをはじめプラスティック発展人類の生活や産業活動への大きな貢献を行なっている一方で、近年石油資源枯渇地球規模温暖化等の環境問題を引き起こす一要因としても注目されるようになってきている。

0003

この問題の解決策の一つとして、再生可能資源である植物資源からのプラスティックの開発が行なわれている。ポリ乳酸樹脂は、トウモロコシジャガイモなどの再生可能な原料から得られる生分解性樹脂一種で、優れた透明性と硬度を有し、現在食品用容器などに広く使用されているポリスチレンに似た物性を有する。

0004

容器分野ではPETボトルが最も多く使用されており、この分野でも生分解性樹脂への展開が資源・廃棄物問題を解決するキーワードとして期待されている。しかし現在、その期待とはうらはらに、ボトル用途の開発は進んでいない。

0005

なお、ポリ乳酸結晶性ポリマーである為にボトルの成形に必須の溶融粘度が低く且つ温度安定性がなく、更に結晶化速度が遅く成形サイクルが長いという問題を有する。一方、溶融粘度を上げて安定化させる為に結晶性を落とす方法がとられているが、この方法では結晶性が低く、成形物耐熱性が低下する欠点がある。現在使用されているポリ乳酸樹脂はTm=155℃で、結晶化度が約16%程度であり、結晶化による耐熱性改善は期待できない。なおポリ乳酸樹脂を用いた容器やプリフォームを作製している例として、ポリ乳酸からなる容器の表面にポリビニルアルコール系のコーティング剤樹脂皮膜を形成させた報告(特許文献1)がある。

0006

そこでポリ乳酸を原料として用いたボトルを開発するには、耐熱性を改善する必要があり、更にボトルとして実用化するためには耐落下衝撃性も良好でなければならない。耐熱性の問題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、ポリL-乳酸からなる樹脂に2〜4個の水酸基を持つ機能性フィラー、例えばD-乳酸を配合することを試み、該樹脂の耐熱性が向上するという知見を得た。しかしポリL-乳酸からなる樹脂にD-乳酸を配合すると、耐落下衝撃性が大幅に低下するというデメリットがあり、その問題を解決するべく、ポリL-乳酸からなる樹脂にD-乳酸を添加した樹脂について、更なる改善のための検討をする必要があった。

0007

特開平8‐244781号公報

発明が解決しようとする課題

0008

よって上記の問題を解決するために、機能性フィラーを配合したポリL-乳酸からなる樹脂において、耐熱性を低下させることなく、耐落下衝撃性を改善することが本発明の課題である。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するために、本発明は、ポリL-乳酸から成る樹脂に対し、2〜4個の水酸基を持つ化合物にD-乳酸を1〜100分子とグリコール類、脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルからなる群から選択された低分子量ポリマーを共重合させることによって形成された機能性フィラーを配合した樹脂からなることを特徴とする成形品を提供する。

発明の効果

0010

ポリL-乳酸からなる樹脂に、ポリD-乳酸とグリコール類、脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルからなる群から選択された低分子量ポリマー(例えばポリエチレングリコール)を共重合した機能性フィラーを配合すると、フィラー中のポリD-乳酸により該樹脂の耐熱性が向上すると共に、該機能性フィラーに組み込まれたポリエチレングリコールによって落下時の衝撃が吸収される。よって上記の機能性フィラーをポリL-乳酸からなる樹脂に配合することにより、耐熱性の向上と共に、耐落下衝撃性の改善を達成することができる。

発明を実施するための最良の形態

0011

上記で述べたように本発明者らは、2〜4個の水酸基を持つ化合物にD-乳酸を1〜100分子とグリコール類、脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルからなる群から選択された低分子量ポリマーを共重合させた機能性フィラーを、ポリL-乳酸から成る樹脂に配合することにより、耐熱性を低下させることなく、耐落下衝撃性を改善することに成功した。

0012

よって本発明はポリL-乳酸から成る樹脂に機能性フィラーを配合した成形品を提供するものである。下記の実施例においてはポリL-乳酸から成る樹脂として三井化学レイシアH400を使用しており、これらの樹脂を使用することは本発明において好ましい態様である。しかし本発明の目的に使用されるポリL-乳酸から成る樹脂はそれらに限定されるものではなく、その他には三井化学 レイシアH440、NatureWorks社 NatureWorks 7000D、7032D、トヨ自動車U‘z S12、S22などを使用することができる。

0013

なお下記の実施例において、上記ポリエチレングリコール分子量600(PEG600)が組み込まれた本発明に係る機能性フィラーを配合した成形品は、PEG600が組み込まれていないフィラーを配合した成形品と比較して、耐落下衝撃性が顕著に改善されていることが示された。またかかる成形品は、50℃保存試験の結果も良好であった。

0014

なお前記ポリ乳酸が60,000〜80,000の数平均分子量を有することは、本発明の好適な態様である。この範囲の数平均分子量を用いた場合に、中空容器用プリフォームなどの成形品を好適に成形することが可能である。

0015

前記機能性フィラーは、好ましくは2〜4個の水酸基を持つ化合物にD-乳酸を1〜100分子とグリコール類、脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルからなる群から選択された低分子量ポリマーを共重合させたものである。中でも前記機能性フィラーにおいてD-乳酸を30〜50分子グラフト重合させることは好適であり、D-乳酸を50分子グラフト重合させることは最も好適である。本発明においては機能性フィラーに含まれているD-乳酸と樹脂のL-乳酸とのステレオコンプレックスの形成により熱結晶化を可能とし、良好な耐熱性を得ることができる。なおD-乳酸を50分子程度グラフト重合させたものが好適であることが、示差走査熱量測定DSC)により確認されている。

0016

なおD-乳酸の重合量が10分子以下では、H400+ペンタエリスリトールでステレオコンプレックスの形成がDSCにおいて確認できなかった。更にD-乳酸の重合量が50分子以上であると、ステレオコンプレックスそのものの結晶が大きくなり、そこから更にホモポリ乳酸が結晶化されることになるので不透明になる傾向があり、好ましくない。

0017

また前記機能性フィラーにおける前記化合物が多糖又はオリゴ糖から選択される糖類であることは本発明において好ましく、前記オリゴ糖が5炭糖であることは特に好ましい。好適な糖類の具体例としてグルコースフルクト−スなどの単糖類スクロースなどの2糖類、澱粉シクロデキストリンなどの多糖類を挙げることができる。

0018

更に前記機能性フィラーにおける前記化合物がシリカナノ粒子からなる無機化合物であること、および前記化合物がポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールから選択される有機化合物であることも本発明において好ましい態様である。前記化合物がポリエチレングリコールである場合、前記ポリエチレングリコールの分子量が200から1000の範囲にあることは特に好ましい。

0019

更に本発明において、前記機能性フィラーの配合量が前記ポリL-乳酸に対して5〜20重量%であることは好ましく、特に10重量%であることは特に好ましい。機能性フィラーを30重量%以上添加すると、射出成形などの成形時の粘度が低くなり、二次成形加工性にも問題が生じる。なおDSCにより、フィラーの配合量が5重量%、10重量%、20重量%において、フィラーと乳酸樹脂の間におけるステレオコンプレックスの形成が確認されている。

0020

更に本発明の好適な態様において、示査走査熱量計(DSC)測定において、ポリL-乳酸から成る樹脂の単体での融点以外に融点ピークを1以上有することを特徴とする。ポリ L-乳酸から成る樹脂の単体での融点は145℃から170℃程度であるが、下記の実施例に示すように、機能性フィラーを配合することにより、180℃から200℃程度の高い温度でも1ないし2個の融点ピークが認められた。

0021

ポリL-乳酸から成る樹脂の単体よりも高温において認められるこのピークは、樹脂のL-乳酸とフィラーのD-乳酸がステレオコンプレックスを形成していることを示している。そして形成されたステレオコンプレックスはポリ乳酸樹脂の結晶化挙動に影響を及ぼし、結晶化の促進に寄与しており、よって耐熱性の向上を達成することができる。

0022

また前記低分子量ポリマーはグリコール類、脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルからなる群から選択される。なお本願明細書において「低分子量」とは、分子量10000以下を意味する。分子量が大きくなりすぎると、ステレオコンプレックスの形成が阻害される。ここで組み込まれるグリコール類、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステルなどの低分子量ポリマーは柔軟性を有するために、これらはソフトセグメントとして機能し、作製された樹脂に衝撃耐性を付与する。

0023

前記低分子量ポリマーが脂肪族ポリエステルである場合、その分子量は5000以下であることが好ましい。そのような脂肪族ポリエステルの例として、ポリブチレンサクシネートPBS)やポリカプロラクタム(PCL)などを挙げることができる。また前記低分子量ポリマーが芳香族ポリエステルである場合、その分子量は10000以下であることが好ましい。そのような芳香族ポリエステルの例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などを挙げることができる。また前記低分子量ポリマーがグリコール類である場合、分子量が2000以下であることが好ましい。前記グリコール類がポリエチレングリコールである場合、その分子量が200から1000の範囲にあることは特に好ましい。とりわけ下記の実施例において用いているPEG600は特に好ましい。

0024

なおPEG600はポリD-乳酸の重合反応のための重合開始剤としても使用できる為、ポリD-乳酸のユニット中に組み込みやすいと思われる。本発明で使用する機能性フィラーにおいて、ポリD-乳酸のユニット中にポリエチレングリコールのユニットを共重合することにより、落下時の衝撃を吸収させるという点に、本発明の最も顕著な特徴がある。なおポリエチレングリコールの分子鎖はL-乳酸やD-乳酸とはステレオコンプレックスを形成せずに、分子鎖がフレキシブルに動くために、このような落下衝撃耐性が付与されると考えられる。

0025

更にポリL-乳酸からなる樹脂に機能性フィラーを配合し、機能性フィラーを配合した当該樹脂を押出成形圧縮成形又は射出成形して本発明の成形体を作製することができる。押出成形、圧縮成形、或いは射出成形の方法などは、本技術分野で良く知られている。

0026

本発明の成形品は種々の形態・形状をとることが可能であり、本発明の成形品を例えば飲料用の容器として使用される中空成形品とすることも可能である。また本発明の成形品を飲料カップなどの薄くて細長い形状の容器に、射出成形により作製することができる。しかし細長い形状の飲料カップは単なる一例であり、その形態・形状は特に限定されるものではない。

0027

更に本発明の成形品は、中空成形品を作製するためのプリフォームであることも可能である。そして、プリフォームをブロー成形してなる中空成形品を作製するという態様も、本発明の範囲内である。なおプリフォームをブロー成形する方法は本技術分野で良く知られている2軸延伸ブロー成形法やダイレクトブロー成形法が好適に用いられるが、これに限るものではない。

0028

以下の実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0029

(実施例1:フィラーの合成)
ポリD-乳酸のユニットにPEG600のユニットを組み込んだフィラーと(以下、耐落下衝撃性向上フィラーと称する)、PEG600のユニットを有さないポリD-乳酸のユニットのみのフィラー(以下、従来フィラーと称する)を、以下のようにして合成した。なおそのようにして合成した従来フィラーと耐落下衝撃性向上フィラーの予想される構造を図1に示す。

0030

PEG600を含まない従来フィラーは以下のように作製した。
材料
開始剤ペンタエリスリトール(4官能) 関東化学
繰り返しユニットD-乳酸90%水溶液ピューラックジャパン
合成方法
1.1Lセパラブルフラスコに開始剤ペンタエリスリトール(7.4g)と、D-乳酸水溶液(1100g)を入れる。
2.130℃で加熱し、水溶液中の水分を除去する(24時間)。
3.160℃に昇温し、24時間攪拌する。

0031

PEG600を含む耐落下衝撃性向上フィラーは以下のように作製した。
材料
開始剤ペンタエリスリトール(4官能) 関東化学
繰り返しユニットD-乳酸90%水溶液ピューラックジャパン
共重合成分 PEG600 関東化学
合成方法
1.1Lセパラブルフラスコに開始剤ペンタエリスリトール(6.8g)と、D-乳酸水溶液(1000g)を入れる。
2.130℃で加熱し、水溶液中の水分を除去する(24時間)。
3.160℃に昇温し3時間経過後にPEG600を45g添加し、更に48時間攪拌する。

0032

なお以下に述べる評価の対象のサンプルとして、大日本インキ社製のポリ乳酸(PLA)用柔軟性付与剤であるプラメートPD-350を配合したフィラーも使用した。プラメートPD-350はPLA-PBS-PLAという構造からなるブロック共重合体であり、ここでPBSとはポリブチレンサクシネートである。

0033

(実施例2:DSC測定
上記の従来フィラーと耐落下衝撃性向上フィラーを二軸押出機にてPLAに添加してペレットを作製した。具体的には、ポリ乳酸樹脂レイシアH400と機能性フィラー(従来フィラーまたは耐落下衝撃性向上フィラー)10重量%を混ぜ合わせ、混ぜ合わせた材料をスクリューL/D=43(スクリュー経φ35.5mm)二軸押出機を用い、フィード口より一括投入した。溶融婚練させ、ダイスより押し出されたストランド冷却水槽に通して、固化させた後、ペレタイザーにて切断し、ペレットを作製した。本実施例においてはメインフィード口より一括投入した。なお、機能性フィラーをサイドフィード口より別に投入する方法や、液添ポンプなどを利用してメインフィード口やそれ以外のフィード口より投入する事も可能である。それらについて、温度特性挙動を検討するためにDSC測定を行った。DSC測定はSII社DSC6220を用いて、温度範囲が30℃〜220℃、昇温速度 10℃/minという条件測定を行った。

0034

そのようにして測定したペレットのDSCチャート図2に示す。図2において上のチャートが従来フィラーをPLAに添加したものであり、下のチャートが耐落下衝撃性向上フィラーをPLAに添加したものである。PLAに従来フィラーを添加したサンプルと、PLAに耐落下衝撃性向上フィラーを添加したサンプルの両者において、D-乳酸と樹脂のL-乳酸とのステレオコンプレックスの融点に相当する190℃付近のピークが認められた。一方PLAに耐落下衝撃性向上フィラーを添加したサンプルのみに90℃付近のピークが認められたことから、この90℃付近のピークはPEGに由来するものと考えられる。

0035

(実施例3:落下試験
耐落下衝撃性を評価するためにフィラーを添加したPLA樹脂のボトルを作製し、落下試験を行った。評価に使用したサンプルは以下の4つである。なおいずれのフィラーについても添加量はPLAの10重量%とした。
(1)三井化学レイシアH400単体
(2)三井化学 レイシアH400+従来フィラー
(3)三井化学 レイシアH400+プラメートPD-350+従来フィラー
(プラメート:20重量%添加、フィラー:10重量%添加)
(4)三井化学 レイシアH400+耐落下衝撃性向上フィラー

0036

上記の4つのサンプルを180mlボトルの形状に成形したものを試験に供した。すなわち、成形機として(株)名機製作所Mー100Aにて、肉厚が3.0mmである180mlボトル用プリフォーム製品を製造した。そして上記プリフォームを二軸延伸ブロー成形機にて、ヒートセット温度を55℃、70℃、90℃、100℃、110℃に設定し、180mlボトルを製造した。そのようにして作製したボトルを図3に示す。

0037

そのようにして作製したボトルに水道水180mlを充填した後、プラスチックキャップにて密栓した。そして23℃にて24時間保管した後、落下試験を実施した。なお落下試験は、落下高さ1mより、正立にてコンクリート面に10回落下させて行った。1回落とす度に、割れクラック発生の有無などについて、ボトルの外観を確認した。落下試験を行った結果を表1に示す。その結果、レイシアH400に従来フィラーを添加した樹脂のボトルでは1〜3回程度の落下でクラックが発生した。一方レイシアH400に耐落下衝撃性向上フィラーを添加した樹脂のボトルでは、10回、20回と落下を行ってもクラックが発生しなかったことから、従来フィラーと比較して耐落下衝撃性の明らかな向上が認められた。またレイシアH400に、プラメートPD-350と従来フィラーを配合した樹脂のボトルでも、1回〜3回の落下でクラックが発生し、耐落下衝撃性において満足するものではなかった。

0038

0039

(実施例4:50℃保管試験)
更に耐熱性を評価するために、50℃保管試験を行った。この試験は、加湿無しの50℃恒温槽(TABAIESPEC CORP.製)に、フィラーを添加したPLA樹脂製のボトルを4週間保管することによって行った。なお評価に使用したボトルは落下試験と同じ4つのサンプルである。なおボトルの成形の方法と条件は実施例3の落下試験と同様である。

0040

上記のボトルを50℃で0日、1日、4日、7日、14日、21日、28日保管し、ボトルの全高、容量、底深さの変化を測定した。50℃保管試験の結果を、表2と図4に示す。図4において上の図は容量変化、真ん中の図は全高変化、下の図は底深さの変化を示している。レイシアH400単体では50℃の保管ですぐに外観変化が生じ、4日で試験を打ち切った。これにより、従来フィラーと耐落下衝撃性向上フィラーは、耐熱性向上に寄与していることが判る。レイシアH400に耐落下衝撃性向上フィラーを添加した樹脂のボトルと、レイシアH400に従来フィラーを添加した樹脂のボトルを比較したところ同等の耐熱性を有し、50℃保管において全高、容量、底深さの変動が殆ど認められなかった。

0041

0042

ポリL-乳酸からなる樹脂に、ポリD-乳酸と低分子量ポリマー(例えばポリエチレングリコール)を共重合した機能性フィラーを配合すると、フィラー中のポリD-乳酸により該樹脂の耐熱性が向上すると共に、該機能性フィラーに組み込まれたポリエチレングリコールによって落下時の衝撃が吸収される。よって上記の機能性フィラーをポリL-乳酸からなる樹脂に配合することにより、耐熱性の向上と共に、耐落下衝撃性の改善を達成することができる。耐熱性と耐落下衝撃性の向上に優れた効果を発揮する上記の機能性フィラーを添加したポリL-乳酸樹脂は、従来のポリ乳酸樹脂のボトルの欠点を克服することが可能であり、本発明の技術は環境に配慮した容器であるポリ乳酸のボトルの実用化に資するものである。

図面の簡単な説明

0043

図1は従来フィラーと耐落下衝撃性向上フィラーの構造を示す図である。
図2は従来フィラーをPLAに添加したサンプルのペレットと、耐落下衝撃性向上フィラーをPLAに添加したサンプルのペレットにおけるDSCチャートの図である。
図3は落下試験に使用したボトルの形状を示す図である。
図4は樹脂から成形したボトルを50℃で保管した場合の、容量変化(上)、全高変化(真ん中)、底深さ変化(下)を示す図である。

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    【課題】本発明は、難燃性、透明性、流動性、及び耐熱性に優れた難燃性メタクリル系樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の難燃性メタクリル系樹脂組成物は、メタクリル系樹脂(A)、リン系難... 詳細

  • 株式会社ミカサの「 鋼板のアルカリ洗浄工程で使用されるゴムロール」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】鋼板のアルカリ洗浄工程で使用されるゴムロールとして耐油性、耐アルカリ性等に優れた特性を有するゴムロールを提供する。【解決手段】本発明に係るゴムロールは、鋼板の洗浄時の水素イオン指数(pH)が1... 詳細

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