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技術 細胞内酵素放出前の細胞外酵素不活性化を用いたサンプル中の細胞識別

出願人 スリーエムイノベイティブプロパティズカンパニー
発明者 グリーン,マークエイセンサル,ロバート
出願日 2006年5月3日 (14年6ヶ月経過) 出願番号 2008-509502
公開日 2008年11月20日 (12年0ヶ月経過) 公開番号 2008-539712
状態 特許登録済
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物・酵素関連装置
主要キーワード 水平域 アネトールスルホン酸 抗微生物処理 サンプリング誤差 EC番号 経時低下 並行試験 選択的溶解
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

液体サンプル中における標的細胞存否を検出する方法であって:(a)前記サンプルが:(i)測定可能活性を有する酵素を含む細胞外培地を含んでなり;且つ(ii)前記測定可能な活性を有する細胞内酵素標的細胞を含む疑いがあり;(b)前記方法が:(i)前記細胞外培地内の前記測定可能な活性は不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性は不活性化しない試薬で、前記液体サンプルを処理する工程;(ii)前記標的細胞を溶解して前記細胞内酵素を放出させる工程;及び(iii)前記測定可能な活性を測定する工程を含んでなる。これにより、細胞外酵素による干渉を受けることなく、細胞内酵素を測定することができる。本発明は特に、アデニル酸キナーゼ活性に基づく検出アッセイを用いて、細菌感染血液を処理するのに適している。

概要

背景

臨床微生物学では、体液中の細菌を検出することが多い。これらの体液は細菌を含むと同時に、患者自身由来する細胞も含む。宿主細胞病原体細胞との相対比率は、様々な値を取り得る。例えば、尿サンプルには細菌が多く(1ml当たり>100,000)含まれるが、宿主細胞は少なく、一方、血液サンプルでは宿主細胞が非常に多い(107以上)。

宿主細胞と細菌細胞とを容易に識別可能診断試験がある(例えばグラム染色PCR)一方で、それができないものもある。例えば、一部の診断試験が依存するマーカーは宿主細胞にも存在するため、両種のセルが存在すると、試験干渉を生じる可能性がある。この種の干渉は、歯肉溝浸出液(gingival crevicular fluid:GCF)試験法に見られる。アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ及び乳酸脱水素酵素等のタンパク質は、病的状態のGCFサンプルでは上昇することが判明しているが、これらの酵素は全て、宿主に由来する場合も、細菌に由来する場合もある[1]。

概要

液体サンプル中における標的細胞存否を検出する方法であって:(a)前記サンプルが:(i)測定可能活性を有する酵素を含む細胞外培地を含んでなり;且つ(ii)前記測定可能な活性を有する細胞内酵素標的細胞を含む疑いがあり;(b)前記方法が:(i)前記細胞外培地内の前記測定可能な活性は不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性は不活性化しない試薬で、前記液体サンプルを処理する工程;(ii)前記標的細胞を溶解して前記細胞内酵素を放出させる工程;及び(iii)前記測定可能な活性を測定する工程を含んでなる。これにより、細胞外酵素による干渉を受けることなく、細胞内酵素を測定することができる。本発明は特に、アデニル酸キナーゼ活性に基づく検出アッセイを用いて、細菌感染血液を処理するのに適している。

目的

本発明は、液体サンプル中における標的細胞の存否を検出する方法であって:
(a)前記サンプルが:(i)測定可能な活性を有する酵素を含む細胞外培地を含んでなり;且つ(ii)前記測定可能な活性を有する細胞内酵素標的細胞を含む疑いがあり;
(b)前記方法が:(i)前記細胞外培地内の前記測定可能な活性は不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性は不活性化しない試薬で、前記液体サンプルを処理する工程;(ii)前記標的細胞を溶解して前記細胞内酵素を放出させる工程;及び(iii)前記測定可能な活性を測定する工程を含んでなる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
6件

この技術が所属する分野

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請求項1

液体サンプル中における標的細胞存否を検出する方法であって:(a)前記サンプルが:(i)測定可能活性を有する酵素を含む細胞外培地を含んでなり;且つ(ii)前記測定可能な活性を有する細胞内酵素標的細胞を含む疑いがあり;(b)前記方法が:(i)前記細胞外培地内の前記測定可能な活性は不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性は不活性化しない試薬で、前記液体サンプルを処理する工程;(ii)前記標的細胞を溶解して前記細胞内酵素を放出させる工程;及び(iii)前記測定可能な活性を測定する工程を含んでなる、方法。

請求項2

前記標的細胞が微生物細胞である、請求項1の方法。

請求項3

前記標的細胞が細菌細胞である、請求項2の方法。

請求項4

前記液体サンプルが血液サンプルである、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。

請求項5

前記血液サンプルが、血液細胞が溶解しているが、微生物細胞は無傷のまま残っているような血液サンプルである、請求項4記載の方法。

請求項6

前記測定可能な酵素活性アデニル酸キナーゼ活性である、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。

請求項7

前記アデニル酸キナーゼ活性がATP産生であり、ルシフェラーゼルシフェリン反応を通じて測定される、請求項6記載の方法。

請求項8

前記試薬がプロテアーゼである、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。

請求項9

前記プロテアーゼがトリプシンである、請求項8記載の方法。

請求項10

プロテアーゼと、ADP;可溶性マグネシウム塩;可溶性亜鉛塩;ルシフェラーゼ;ルシフェリン;サポニン;及び/又はポリプロピレングリコール等の消泡剤からなる試薬のうち、少なくとも一種とを含んでなるキット

請求項11

溶解試薬(lysis reagent)とプロテアーゼとを含んでなる反応容器。前記容器は通常ディスポーザブルチューブであって、血液溶解及びアデニル酸キナーゼ不活性化処理一段階で実施するべく、血液サンプルを収容するのに適したものである。

技術分野

0001

本明細書で引用する文献は何れも、その全体が援用により組み込まれる。

0002

本発明は、細胞分析の分野、特に臨床診断微生物学に関する。

背景技術

0003

臨床微生物学では、体液中の細菌を検出することが多い。これらの体液は細菌を含むと同時に、患者自身由来する細胞も含む。宿主細胞病原体細胞との相対比率は、様々な値を取り得る。例えば、尿サンプルには細菌が多く(1ml当たり>100,000)含まれるが、宿主細胞は少なく、一方、血液サンプルでは宿主細胞が非常に多い(107以上)。

0004

宿主細胞と細菌細胞とを容易に識別可能診断試験がある(例えばグラム染色PCR)一方で、それができないものもある。例えば、一部の診断試験が依存するマーカーは宿主細胞にも存在するため、両種のセルが存在すると、試験干渉を生じる可能性がある。この種の干渉は、歯肉溝浸出液(gingival crevicular fluid:GCF)試験法に見られる。アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ及び乳酸脱水素酵素等のタンパク質は、病的状態のGCFサンプルでは上昇することが判明しているが、これらの酵素は全て、宿主に由来する場合も、細菌に由来する場合もある[1]。

発明が解決しようとする課題

0005

バックグラウンドとして大量の宿主細胞が存在する中、細菌細胞を同定する必要がある状況において、非特異的細胞内マーカーを用いる場合には、細菌マーカーを宿主バックグラウンドから識別する方法が必要となる。より具体的には、臨床血液サンプル中の標的マーカーが、血液細胞、細菌細胞、更には血清にも由来し得る場合には、これらの様々な出所を互いに識別する必要がある。

課題を解決するための手段

0006

発明者等は、サンプルがマーカーを宿主細胞中、及び/又は、自由溶液中にも含む場合であっても、サンプル中の細胞内微生物マーカーを特異的に検出する方法を見出した。差動性細胞溶解(differential cell lysis)を用い、宿主細胞を溶解させる一方で微生物は無傷のまま残すことで、宿主細胞マーカーを放出させてから、バルク溶液中のマーカーを不活性化する。宿主細胞及び溶液由来のマーカーを不活性化した後、微生物を溶解させてマーカーを放出させることで、干渉を受けずにアッセイを行なうことが可能になる。本技術は、宿主細胞をバックグラウンドとする微生物に限られず、細胞を差動性溶解に供することが可能な任意の細胞型の混合物に使用することができる。

0007

即ち、本発明は、液体サンプル中における標的細胞存否を検出する方法であって:
(a)前記サンプルが:(i)測定可能活性を有する酵素を含む細胞外培地を含んでなり;且つ(ii)前記測定可能な活性を有する細胞内酵素標的細胞を含む疑いがあり;
(b)前記方法が:(i)前記細胞外培地内の前記測定可能な活性は不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性は不活性化しない試薬で、前記液体サンプルを処理する工程;(ii)前記標的細胞を溶解して前記細胞内酵素を放出させる工程;及び(iii)前記測定可能な活性を測定する工程を含んでなる方法を提供する。

0008

工程(iii)において、測定可能な活性が検出されれば、標的細胞がサンプル内に存在することが示される。逆に、測定可能な活性が存在しなければ、細胞が存在しないことが示される。

0009

細胞外活性の不活性化の後、但し、(b)の工程(ii)における溶解の前に、標的細胞を培養して増殖させてもよい。

0010

代表的な一実施形態によれば、本発明の方法は、選択的溶解の結果得られる組成物(例えば、血液細胞が溶解しているが、微生物細胞は無傷のまま残っているような血液サンプル)を、測定可能な酵素を消化するプロテアーゼで処理する工程を含む。例えば、ヒトのアデニル酸キナーゼ(adenylate kinase:AK)酵素はトリプシン処理感受性を示すことが知られているので、微生物の溶解前に血液中のバックグラウンドのAK活性を除去することができ、その後、血中AKからの干渉を受けることなく、微生物自身のAK活性をアッセイ目的に使用することが可能となる。本方法が特に有用なのは、本発明者等の知見によれば、サンプルが当初から血中における同一の活性を大過剰に含有する場合であっても、微生物酵素活性の検出が可能となるからである。

0011

即ち、本発明は、血液サンプル中における微生物の存否を検出する方法であって:(i)前記血液サンプル中の血液細胞を溶解するが、前記血液サンプル中の微生物は溶解しない試薬で、前記血液サンプルを処理することにより、アデニル酸キナーゼを前記血液細胞から放出させる工程;(ii)前記微生物中のアデニル酸キナーゼを不活性化せずに、前記血液サンプル中のアデニル酸キナーゼを不活性化するべく、前記溶解物をプロテアーゼで処理する工程;(iii)前記微生物を溶解してアデニル酸キナーゼを放出させる工程;及び(iv)前記微生物から放出されたアデニル酸キナーゼ活性を測定する工程を含んでなる方法を提供する。工程(ii)及び(iii)の間に、前記微生物の一部又は全部を培養して増殖させてもよく、潜在的な抗微生物処理に供してもよい。

0012

また、本発明は、プロテアーゼと、ADP二価金属カチオン可溶性塩ルシフェラーゼルシフェリンサポニン消泡剤;及び/又は抗凝固剤のうち、何れか1種(例えば1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種)の試薬とを含んでなるキットを提供する。二価の金属カチオンとしては、Zn++又はMg++が好ましい。消泡剤としては、ポリプロピレングリコールが好ましい。抗凝固剤としては、ポリアネトールスルホネートが好ましい。好ましい成分としてサポニンが挙げられる。本キットは、ADP;二価の金属カチオンの可溶性塩;ルシフェラーゼ;及びルシフェリンを何れも有していることが好ましい。

0013

また、本発明は、溶解試薬とプロテアーゼとを含んでなる反応容器を提供する。前記容器は通常ディスポーザブルチューブであって、血液サンプルを入れて血液溶解及びアデニル酸キナーゼ不活性化処理一段階で実施するのに適したものである。また、本発明は、血液細胞(通常は溶解される細胞)を更に含んでなる反応容器を提供する。

発明を実施するための最良の形態

0014

測定可能な酵素活性(The measurable enzyme activity)

0015

本発明は、標的細胞中における測定可能な酵素活性の存在に依存している。しかし、この酵素活性は標的細胞に特有のものではなく、他の出所に由来する同じ活性によって干渉を受ける可能性がある。従って、本発明では、細胞外培地中のこの活性を不活性化してから、この活性を有する細胞内酵素を放出させる。これによって、不活性化された細胞外酵素からの干渉を受けることなく、放出された酵素の活性を測定することが可能となる。

0016

不活性化される酵素と放出される酵素とは、同一の測定可能な活性を有するものであるが、同一の酵素である必要はない。例えば、酵素はイソ酵素アイソザイム:isoenzymes, isozymes)であってもよい。イソ酵素は同一の反応を触媒するが、酵素パラメーター(例えばKMやkcat)は異なる場合がある。但し、これらの酵素は、アッセイで測定すべき活性を共有する酵素であり、双方の酵素が存在すると、アッセイの結果において干渉を生じてしまうような酵素である。

0017

細菌細胞の検出には、様々な酵素活性を使用することができる。しかしながら、本発明では、細菌に固有の活性を使用するよりは、むしろ、他の生物にも見られる活性、例えば動物細胞(特に血液細胞)や植物細胞等にも見られる活性を使用する。好適な酵素活性としては、遍在性の酵素活性、例えば解糖系活性、転写活性等が挙げられる。

0018

乳酸脱水素酵素(lactase dehydrogenase:LDH)は、多数の体内組織、特に心臓肝臓腎臓骨格筋、脳、血液細胞(赤血球細胞白血球細胞、及び血小板等)、並びにに見られる酵素で、基礎細胞代謝に関与している。LDHには幾つかのアイソザイムがあり、何れも血清中に存在する。LDHは微生物にも見受けられる。従って、血液サンプルには、血清LDH;ヒト細胞内LDH;及び微生物細胞内LDHという、出所の異なる3種類のLDHが存在する。本発明によれば、血清LDH及びヒト細胞内LDH活性から、微生物LDH活性を識別することが可能となる。LDH活性は、酵素との使用に都合がよい。血中LDH活性のアッセイは、標準的な血液病理学試験の一部として、既に容易に利用できるからである。

0019

参考文献2から7には、細胞溶解後の細胞内アデニル酸キナーゼ(AK)の放出に基づいて、細胞を検出する方法が開示されている。AKは血清に加えて、血液細胞及び微生物にも見受けられるが、本発明によれば、血清及びヒト細胞内AK活性から微生物AK活性を識別することが可能になる、という利点がある。参考文献8には、熱、極端なpH、極端な塩濃度、又は超音波による変性を用いて、望ましくないバックグラウンドAK活性を除去する方法が報告されている。しかしながら、これらの方法によれば、標的細胞を破壊する可能性や、さもなくば通常条件への復帰時に変性が元に戻ってしまい、活性の干渉が再び生じてしまう可能性があるため、本発明との併用には適していない。

0020

本発明で使用する上で最も好ましい酵素活性はAK活性である。AKはEC番号E.C.2.7.4.3の酵素であって、ミオキナーゼ(myokinase)、アデニルキナーゼ(adenylic kinase)及びアデニロキナーゼ(adenylokinase)としても知られている。AKは、一のADPから別のADPにリン酸転移することにより、二分子のADPからATP及びAMPを産生する反応を触媒し得るほか、ADP及びPiからのATPの産生も触媒し得る。この酵素は、二価の金属カチオン、通常はマグネシウムイオン又は亜鉛イオンを使用する。従って、ADP及びMg++/Zn++の供給源があれば、AKは外来性のADPからもATPを生成することができる。本反応は非常に効率が高く、AK酵素一つで、触媒によって、10分間に400,000分子のATPのADPからの産生を触媒することができる。従って、本発明の方法は、ADP及び適切な二価のカチオンの供給源を加える工程を含んでいてもよい。全てのADP分子が最低1つのカチオンと会合するように、カチオンのモル濃度はADPのモル濃度と同じか、それよりも多いことが好ましい。

0021

ATPはルシフェラーゼ反応を用いれば簡便に検出することができる。外部から加えたADPからのATP生成にAKを使用すれば、ルシフェラーゼ反応の促進に内在性のATPを使用する場合と比べて、100倍を超える感度が得られる上に、細胞数との相関にもより優れている。従って、AKとルシフェラーゼとの組合せを細胞数の定量測定法として用いることができる。従って、本発明の方法は、ATP生成の間、或いは好ましくはATP生成の後に、ルシフェリン及びルシフェラーゼを加える工程と、任意によりその後に、サンプルから発光されるルシフェラーゼ由来の光量を決定する工程とを含んでいてもよい。これにより、AK活性はルシフェラーゼ反応を介して間接的に測定される。

0022

標的細胞(The cells of interest)

0023

本発明の方法は、他の細胞をバックグラウンドとして標的細胞を検出する場合に、双方の細胞型に共通の酵素マーカーを使用した場合でも、検出が可能である。本発明ではこの差動性検出を、干渉する細胞を溶解し、溶解工程で放出されるマーカーを不活性化し、次いで標的細胞を溶解することにより行なう。

0024

好ましい標的細胞としては細菌が挙げられる。例としては、これらに制限されるものではないが、ブドウ球菌(Staphylococci)、例えば黄色ブドウ球菌(S.aureus)(より具体的には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant S.aureus)、別名「MRSA」);腸球菌(Enterococci)、例えばフェシウム菌(E.faecium)及びフェカリス菌(E.faecalis)(より具体的には、バンコマイシン耐性フェカリス菌(vancomycin-resistant E.faecalis));連鎖球菌(Streptococci)、例えば化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)、肺炎球菌(S.pneumoniae)(より具体的には、ペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin-resistant S. pneumoniae))、及びアガラクシア球菌(S.agalactiae);大腸菌型(Coliforms)、例えば大腸菌(E.coli)、クレブシエラ属(Klebsiella species)(例えばクレブシエラオキシトカ(K.oxytoca))、プロテウス属(Proteus species)(例えばプロテウスブルガリス(P.vulgaris))、及びエンテロバクター属(Enterobacter species)(例えばエンテロバクタークロアカ(E.cloacae));腸内微生物(Enteric organisms)、例えばサルモネラ属(Salmonella species)(例えば腸炎菌(S.enteritidis))、赤痢菌属(Shigella species)、及びカンピロバクター属(Campylobacter species);ナイセリア属(Neisseria species)、例えば髄膜炎菌(N.meningitidis)、淋菌(N.gonorrhoeae);アシネトバクター属(Acinetobacter species)、例えばアシネトバクターバウマンニ(A.baumanii);セラチア属(Serratia)、例えば霊菌(S.marcescens);シュードモナス属(Pseudomonas)、例えば緑膿菌(P.aeruginosa);並びに特定の病原体、例えばバークホルデリアセパシア(Burkholderia cepacia)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、及び百日咳菌(Bordetella pertussis)等が挙げられる。また、本発明ではカンジダアルビカンス(C.albicans)等の酵母を用いることもできる。また、寄生虫に使用することもできる。例としては、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)、リーシュマニア(Leishmania);スピロヘータ類(spirochaetes);住血吸虫(schistosoma);等が挙げられる。以上のリスト網羅的なものではなく、本発明を用いて検出できる広範な病原微生物を例示することを目的としたものである。

0025

液体サンプル(The liquid sample)

0026

また、本発明は、標的となる標識を共有する複数の標的細胞を含有していると思われる種々の液体サンプル、例えば血液サンプル、精液サンプル、尿サンプル、糞便食物サンプル等に使用することもできる。本発明は血中の細菌細胞の検出に最も適している。即ち、本発明の方法で使用される液体サンプルは、通常は血液サンプルである。血液サンプルとしては、患者から直接得られたものでもよく、例えばヘパリン化遠心分離、溶解等の処理を加えたものでもよい。血液サンプルは輸血を目的としたものでもよい。

0027

血液には血清及び細胞が含まれる。血清及び細胞は何れも、標的となる酵素活性を有する場合がある(例えば、LDHは血液細胞及び血清の双方に存在する)。これらの活性源の双方が、微生物における上記活性のアッセイと干渉を生じる可能性があるが、本発明によれば、血液細胞を溶解して血液結合マーカーを放出させることにより、これらの活性源の双方を同時に除去することが可能となる。よって、本発明の方法によって分析される代表的な液体サンプルとしては、血液細胞は溶解されているが微生物は無傷のまま残された血液サンプルが挙げられる。即ち、このサンプルは(i)血清及び血液細胞溶解物を含んでなる細胞外培地と、(ii)原サンプルに存在していた任意の微生物とを含んでなる。

0028

サンプル中の微生物細胞を無傷のまま残しつつ、血液細胞(例えば赤血球細胞、白血球細胞及び血小板等)を優先的に溶解する方法は、本技術分野では周知であるが、特に臨床微生物学分析系寄生血液感染診断のものが挙げられる。例としては、例えばサポニン溶解、RB緩衝液の使用、並びに界面活性剤浸透圧衝撃の使用等の方法が挙げられる。Oxoid(登録商標)製のIsolator(登録商標)システムは、細菌に害を与えることなく血中の白血球及び赤血球を溶解させる試薬を使用するものであり、精製サポニンの使用に基づくものである。また、サポニンの発泡性を抑えるために、ポリプロピレングリコールが使用される。ポリアネトールスルホン酸ナトリウムは、(i)抗凝固剤としての作用、(ii)血液の殺細菌特性を中和する作用、及び(iii)貪食阻害する作用を有する。RB緩衝液(例えば40mM MOPS、10mM酢酸ナトリウム、1mMEDTA、pH7.0;又は0.5mM MgCl2、1mM EGTA、及び0.1M MES−KOH、pH6.8)は、本技術分野では周知であり、Cambio(Cambridge, UK)及びMicrozone(HaywardsHeath, UK)の「microLYSIS(登録商標) for Infected Blood」システムで使用されている。白血球細胞を溶解する必要がない場合は、RB緩衝液に代えてTE緩衝液を用いてもよい。血液細胞の溶解にはサポニンを用いることが好ましい。血小板の溶解には、非イオン性界面活性剤、例えばTriton(登録商標)X-1OO及び/又はM-Per等が用いられる。

0029

差動性溶解法の更なる例を以下に挙げるが、これらに制限されるものではない。赤血球及び白血球細胞は、参考文献9に開示の方法を用いて、差動的に溶解することができる。活性化キラー(LAK)細胞クローンによって、腫瘍細胞を差動的に溶解することができる[10]。また、法医科学分析においては、精子細胞を他の細胞、特に上皮細胞から識別するために、差動性溶解が用いられる。

0030

酵素の不活性化(Inactivation of the enzyme)

0031

本発明の方法は、酵素活性を不活性化する試薬によって、液体サンプルを処理する工程を含む。しかし、この不活性化法によって、液体サンプル中に存在する標的細胞の測定可能な活性は不活性化されない。よって、本方法の後段において、標的細胞中の活性を測定することが可能となる。

0032

細胞内活性を不活性化することなく、細胞外活性を選択的に不活性化する際に際には、熱変性[8]等の方法は通常は用いられない。標的細胞が有する活性をも破壊してしまうおそれがあるためである。むしろ、化学的又は物理的方法が用いられ、代表的な不活性化法としては、細胞外物質には作用し得るが無傷細胞には入り込むことができない試薬を使用するものが挙げられる。即ち、所望細胞の膜における試薬の不透過性によって、選択性が生じることになる。

0033

この不活性化は不可逆的であることが好ましい。即ち、阻害剤や穏やかな化学的変性剤等による処理は好ましくない。

0034

酵素活性を不活性化する試薬は、標的細胞を死滅させるものでも、そうでないものでもよい。血液から微生物を抽出した上で増殖させる試験(例えば、抗微生物感受性試験法等)に用いる場合には、非致死性の不活性化試薬を用いる必要がある。

0035

試薬群の例として、酸及び塩基が挙げられる。酸の添加によって細胞外AKが不活性化されることが知られている。但し、標的細胞が有する測定可能な酵素までもが変性してしまうほど(或いは、不活性化後に生存する標的細胞が必要な場合には、細胞が死滅してしまうほど)、大幅にpHを昇降させるべきではない。不活性化の後であって、標的細胞の溶解の前又は溶解の際には、放出された酵素の不活性化を避けるために、pHを調節する必要がある。

0036

不可逆的処理としては、タンパク質分解酵素の使用を含むものが好ましい。好適なプロテアーゼとしては、これらに制限されるものではないが:トリプシンキモトリプシンブロメラインエラスターゼパパインペプシンレンニンプラスミノーゲンスブチリシントロンビンパンクレアチンカテプシンフィシンプロテイナーゼK等が挙げられる。中でも、例えばトリプシン、パパイン、キモトリプシン、プロテイナーゼK、ペプシン及びレンニン等のプロテアーゼが、広範且つ安価に使用可能であることから好ましい。選択したマーカー酵素を不活性化する特定のプロテアーゼの能力は、通常の生化学アッセイで決定することができ、及び/又は、配列情報が利用できる場合には、標的のアミノ酸配列とプロテアーゼの認識配列とに基づいて予測することができる。特定のプロテアーゼが特定の環境下で効果を有しない場合(例えば参考文献11及び12参照)、代わりのプロテアーゼを容易に見出すことができる。また、特定の環境に応じて、特定の特性を有するプロテアーゼを選択してもよい。例えば、熱安定性のプロテアーゼ、最適pHが極めて低い、又は高いプロテアーゼ、特定の化合物の存在を許容し得るプロテアーゼ等の選択が挙げられる。

0037

本発明者等は、トリプシンを使用することによって、微生物を死滅させたり、そのAKを不活性化することなく、血清AK及び血液細胞から放出されるAKの不活性化を、利便よく達成できることを見出した。これまで、トリプシンは生化学研究において、AKを消化(して不活性化)するために使用されてきた(例えば参考文献13)が、細胞外AKの選択的不活性化への使用は報告されていなかった。

0038

予想に反して、トリプシンは血液感染性細菌に害を及ぼさない(処理後も増殖能を維持している)ことが見出された。この弾力性(resilience)は、細菌を最小培養培地に維持する必要がない点に起因するものと考えられる。更に、トリプシンは細菌内に存在するAKを不活性化しないことも見出された。加えて、トリプシンは後段のAKアッセイに有意に干渉しないことから、微生物溶解後にAK/ルシフェラーゼアッセイを連続して行なう限り、微生物溶解後にトリプシンを除去する必要がない。AK/ルシフェラーゼアッセイは迅速であり、5〜10分で一通りの結果が得られるので、この時間スケールにおいてトリプシンが微生物AKに与える影響は無視し得る。それでも、(a)トリプシン阻害剤を加える、及び/又は、(b)トリプシンの最適条件から遠く、AK/ルシフェラーゼの最適条件に近くなるように、pH及び/又は温度を変更する、及び/又は、(c)溶解にトリプシンを不活性化する化学物質を溶解試薬に加えることにより、トリプシンが微生物AKに与える影響を更に最小限に留めるのが有利である。

0039

プロテアーゼのpH最適条件は、溶解後に測定すべき酵素のpH最適条件と、同一でもよく、類似(例えば2pH単位以内)でもよく、異なっても(例えば2pH単位超の差があっても)よい。pH最適条件が異なるプロテアーゼ(例えば、AK/ルシフェラーゼ反応を用いる場合には、pH最適条件が5.5未満又は10超の酵素)を選択し、更に、測定可能な酵素の最適条件に合わせてpHを調節する(例えば標的細胞の溶解の前又は溶解時に調節する)ことにより、細胞から放出される酵素がプロテアーゼによって不活性化されるおそれを低減することができる。即ち、ペプシン(pH最適条件が2〜4の範囲)等の酵素を用いてAK等の酵素を不活性化し、その後にAKアッセイに適したpH(例えば約7.5)に調節することにより、ペプシンが存在するが活性ではない条件下で、細胞を溶解させてAKを放出させればよい。

0040

プロテアーゼによる不活性化は通常、サンプルをプロテアーゼと単に混合した後、温置してタンパク質分解消化を進行させることで行なわれる。温置条件はプロテアーゼの至適条件(例えば、pH、温度、イオン、緩衝液等)に合わせて選択することができるが、これらの条件をあまり大幅に変更すると、細胞内酵素が付可逆的に不活性化されたり、後段の工程において所望の細胞が必要な場合に、この細胞が死滅してしまう場合があるので好ましくない。例えば、ある特定のプロテアーゼの温度最適条件が55℃の場合でも、注目している細胞がこの温度に耐えられない場合には、妥協してより低い温度を使用すべきである。従って、本発明の方法では、プロテアーゼによる消化の前又は間に、温度調節及び/又はpH調節を行なってもよい。上述したように、プロテアーゼ消化の最後に、更なるタンパク質分解消化を防ぐために、温度及び/又はpHの調節、及び/又は、プロテアーゼ阻害剤の添加を行ってもよい。プロテアーゼ阻害剤は周知であり、例えばBPTI等が容易に入手可能である。

0041

不活性化に使用されるプロテアーゼの濃度は様々なパラメーターに応じて異なる。例としては、消化すべき酵素の濃度、不活性化に利用可能な時間、後段アッセイに必要な(プロテアーゼがその間存在し続ける)時間等が挙げられる。これらのパラメーターは容易に最適化及び選択することができる。消化時間は、通常は最長12時間であるが、例えば最長6時間、最長4時間等である。

0042

抗微生物感受性試験法(Antimicrobial susceptibility testing)

0043

本発明の方法は、患者サンプルから抽出された微生物に対する抗微生物感受性試験法(AST)[14から16]に非常に適している。

0044

一実施形態によれば、標的細胞を抽出し、この抽出された細胞をAST試験法に供する。別の実施形態によれば、患者サンプルを、細胞由来の複数の抽出物と培養する。何れの実施形態でも、測定可能な活性が経時的に増加していれば、微生物の増殖が拡大していることを意味し、感染の存在を示すことになる。中でも、最初の実施形態が好ましい。

0045

第1の実施形態によれば、本発明は、液体サンプル中における標的細胞の存否を検出する方法であって:
(a)前記サンプルが:(i)測定可能な活性を有する酵素を含む細胞外培地を含んでなり;且つ(ii)前記測定可能な活性を有する細胞内酵素を含む標的細胞を含む疑いがあり;
(b)前記方法が:(i)前記細胞外培地中の前記測定可能な活性を不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性を不活性化しない試薬で、前記液体サンプルを処理する工程;(ii)工程(i)後に残存する前記標的細胞の培養物確立する工程;並びに、(iii)前記培養物から1又は2以上のサンプルを取得する工程を含んでなる。

0046

(b)の工程(iii)で取得されたサンプルは、本明細書で記載するように、標的細胞(例えば細菌)を溶解して細胞内酵素(例えばAK)を放出させた後、前記測定可能な活性の測定に供することができる。工程(iii)で取得されたサンプルをASTアッセイに用いる場合には、抗微生物剤で処理してもよい。二以上の時点でサンプルを試験する場合、活性の経時的増加が細胞の増殖を示すことになる。更に、或いはこれに代えて、工程(iii)で取得されたサンプルを、存在する微生物(があれば)を同定する工程に供してもよい。

0047

第2の実施形態によれば、微生物の増殖を許容する条件下で患者サンプルを温置し、n回の異なる時点(ここでnは、2以上の整数、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である)において、下位サンプル抜き出す。各下位サンプルは不活性化、溶解及び測定に供される。即ち、本発明は、液体サンプル中における標的細胞の存否を検出する方法であって:
(a)前記サンプルが:(i)測定可能な活性を有する酵素を含む細胞外培地を含んでなり;且つ(ii)前記測定可能な活性を有する細胞内酵素を含む標的細胞を含む疑いがあり;
(b)前記方法が:
(i)微生物の増殖を許容する条件下で前記サンプルを温置する工程;
(ii)第1の時点において、前記サンプルから第1の下位サンプルを取得する工程;
(iii)細胞外培地中の前記測定可能な活性を不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性を不活性化しない試薬で、前記第1の下位サンプルを処理する工程;
(iv)前記標的細胞を溶解して前記細胞内酵素を放出させる工程;
(v)前記測定可能な活性を測定する工程;
(vi)第2の時点において、前記サンプルから第2の下位サンプルを取得する工程;
(vii)その細胞外培地中の前記測定可能な活性を不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性を不活性化しない試薬で、前記第2の下位サンプルを処理する工程;
(viii)前記標的細胞を溶解し、前記細胞内酵素を放出させる工程;及び、
(ix)前記測定可能な活性を測定する工程を含んでなり、前記第1の時点と前記第2の時点との間で測定可能な活性に増加が見られる場合には、これらの時点間で前記標的細胞が増殖したことが示される、方法が提供される。

0048

これらの方法を抗微生物感受性試験法に使用するには、二重のサンプルを用い、その一方を抗微生物剤で処理した上で、本方法を実施すればよい。未処理サンプルは、サンプルにおける通常の増殖を示す、対照となる。抗微生物剤で処理したサンプルにおける微生物の増殖を、対照における増殖と比較すればよい。より増殖率が低い場合(増殖がない場合や、むしろ減少している場合も含む)には、微生物が抗微生物剤に感受性を示すものと判断し、それに応じて患者の治療方針を決定すればよい。この手順を図1に示す。複数の抗微生物剤のパネルの場合は、この手順を並行して実施してもよい。

0049

微生物数が経時的に増加しているか、減少しているか、それとも変動していないかを決定するには、定量的な手法を使用することが好ましい。AK/ルシフェラーゼアッセイはこの要求を満たしている。

0050

同様に、本発明を用いて死滅曲線を作成することも可能である。所与の濃度における抗微生物の効果は、これに経時的に追随することになる。

0051

抗微生物剤を様々な濃度で試験する場合には、本発明を用いて、抗微生物剤の最小阻害濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)値(即ち、所与の微生物の増殖を阻害し得る特定の抗微生物剤の最小濃度)又は最小殺細菌濃度(minimum bactericidal concentration:MBC)値(即ち、所与の微生物を死滅させ得る最小濃度)を特定することもできる。

0052

本発明によれば、複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20又はそれ以上)の抗微生物剤を試験することができる。更に、好ましくは各抗微生物剤を、複数の濃度(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20又はそれ以上)で試験することができるが、4から8の間(例えば6)が好ましい。0.05から150mg/mlまでの範囲、より好ましくは0.125から16mg/lまでの範囲、又は最大128mg/mlまでの範囲における、一連の濃度について試験を行なうことが好ましい。この範囲は、抗微生物剤の既知限界点まで拡げることが好ましい。

0053

一般に、単一AST、MIC又はMBC試験の場合、本発明の方法は、例えば:
抗微生物剤を所定の濃度でサンプルに加える工程;
前記抗微生物剤の存在下、前記サンプルを所定の期間(例えば、抗微生物剤の不在下で>2対数の増殖が見られる期間)に亘って温置する工程;及び
前記期間の終わりにサンプル中の微生物数を調べる工程を有する。

0054

完全AST試験の場合、本発明の方法は、例えば:
複数の異なる抗微生物剤を所定の濃度で、複数の異なる下位サンプルに加える工程;
前記下位サンプルを前記抗微生物剤の存在下、所定の期間に亘って温置する工程;及び
前記期間の終わりに、前記下位サンプル中の微生物数を調べる工程を有する。

0055

完全MIC又はMBC試験の場合、本発明の方法は、例えば:
抗微生物剤を複数の所定の濃度で、複数の異なる下位サンプルに加える工程;
前記下位サンプルを前記抗微生物剤の存在下、所定の期間に亘って温置する工程;及び
前記期間の終わりに前記下位サンプル中の微生物数を調べる工程を有する。

0056

死滅曲線試験法の場合、本発明の方法は、例えば:
抗微生物剤を所定の濃度で下位サンプルに加える工程;
前記下位サンプルを前記抗微生物の存在下、所定の期間に亘って温置する工程;及び
前記期間内の複数の時点で前記下位サンプル中の微生物数を調べる工程を有する。

0057

試験は、時間0における下位サンプル中の微生物数を決定する工程を有していてもよい。上記第1の実施形態では、これは培養物の確立前、確立中、及び確立後の何れにおいて行なってもよい。

0058

本発明の方法は更に、抗微生物試験工程の結果を用いて、患者サンプル中における所与の微生物のMIC及び/又はMBC値を計算する工程を含んでいてもよい。MIC値は、真正MIC(true MIC)、簡易MIC(abridged MIC)、又は計算MIC(calculated MIC)の何れの値で表わしてもよい。

0059

上に説明したように、通常は抗微生物試験法と一緒に、微生物を抗微生物の不在下で温置する対照分析が行なわれる。加えて、本発明の方法は、対照試験を含んでいてもよい。代表的な負の対照としては、基本培地等での本方法の実施が挙げられる。

0060

一般的には、特定の時点で取得されたサンプルを、直ぐには微生物数の測定に供しないものと思われる。即ち、代表的な手順によれば、一度測定を行なうまでの間、下位サンプル中での更なる増殖を抑える必要がある。更なる増殖の抑制は、例えば、アジド等の「停止溶液(stop solution)」の添加、冷却や急速冷凍、溶解(lysis)等によって行なうことができる。

0061

温置工程は所定の温度、例えば37+2℃で行なうことが好ましい。所望によっては、より高い温度を使用してもよい。例えば、41℃における大腸菌(E.coli)の倍加時間は7分であるのに対して、37℃では20分であることから、温度を高めることによって分析を促進することができる。また、温度を高めるのは、成長の遅い一部の生物にも有用である。種々の微生物の至適温度は微生物学においては周知であり、本発明に使用する温度はそれに応じて調整することができる。

0062

「抗微生物剤(antimicrobial)」という語は、微生物を死滅させ、或いはその増殖を抑制する、任意の物質(通常は有機化合物)を指す。この用語には、天然化合物と合成化合物の双方が含まれる。その範囲内には抗生物質抗真菌剤及び抗ウイルス剤が含まれるが、抗微生物剤の下位群としては抗生物質が好ましい。試験に使用できる抗微生物剤としては、β−ラクタム類アミノグリコシド類フルオロキノリン類、スルホンアミド類糖ペプチド類、カルバペネム類、アゾール類オキサゾリジノン類マクロライド類、キノロン類テトラクリン類等が挙げられる。本発明に使用される代表的な抗微生物剤としては:ペニシリン、アモキシシリンシプロフロキサシンセファロチンアンピシリンオウグメンチン、リネゾリドゲンタマイシン、フルクルキサシリン(flucluxacillin)、バンコマイシン、クロラムフェニコール、テトラシクリン、ミノサイクリンスルホンアミドオキサゾリジノンフルコナゾールニトロフラントイントリメトプリムナリジクス酸アンフォテリシンカナマイシンストレプトマイシンビダラビンアシクロビルガンシクロビル、AZT(ジドブジン)、3TC(ラミブジン)等が挙げられる。

0063

また、本発明を使用して、2以上の抗微生物剤の混合物の効果を試験してもよい。抗微生物剤の組合せを試験することによって、抽出された特定の微生物に対する、抗微生物剤間の正又は負の相乗作用を特定することができる。

0064

通常は抗微生物剤が異なれば、例えば遅効性速効性等、その活性プロファイルも異なる。よって、各抗微生物試験も異なる場合がある。しかしながら、本発明では公知の抗微生物剤を使用しているので、任意の抗微生物剤のプロファイルに従って、本発明を適合させることが可能である。

0065

特定の種類の微生物に特異的な抗微生物剤を使用する場合(例えば、グラム陰性細菌に特異的な場合、或いは、特定の生物に特異的なリシン又はファージ、例えばリソスタフィンである場合)には、例えば、第1の段階において、標的細胞の第1の下位集団を溶解させてアッセイを行ない、第2の段階において、標的細胞の第1の下位集団を溶解させてアッセイを行なうというように、不活性化後の溶解を段階的に生じさせてもよい。これによって、初回の溶解及び不活性化の後に残存する細胞を、特異的溶解を再度利用することによって、異なる細胞型に区別することが可能となる。

0066

更なる工程(Further method steps)

0067

液体サンプルを処理して測定可能な活性を不活性化する工程、標的細胞を溶解して細胞内酵素を放出させる工程、及び、放出された活性を測定する工程に加えて、本発明の方法は更なる工程を有していてもよい。

0068

上述したように、標的細胞を溶解する前に、培養によって細胞数を増加させてもよい。生物が異なれば、通常は最適増殖条件(培地好気性嫌気性、温度等)も異なる。例えば、連鎖球菌はトッド・ヒューイット培地(Todd-Hewitt medium)中でよく生育するが、黄色ブドウ球菌にはペプトンの方が適している。よって、本発明では種々の異なる条件を用いることができるが、簡便化のためには、妥協してBHI(ブレインハートインフュージョン)等の「汎用(generic)」培地を用いることが好ましい。生育培地の選択は、最終的にはアッセイ対象となる微生物の選択によって異なり、こうした選択は本分野の研究者には周知である。生育培地の選択は地理的な位置によっても異なる場合があり、例えば欧州と米国とでは標準的な方法論が異なっている。

0069

本発明の方法は、例えば、ASTに先立ってサンプル中の微生物の種類を決定するために、微生物を同定する工程を含んでいてもよい。この同定は、表現型(例えば形態学増殖特性等)に基づいて行なってもよいが、現在では遺伝子型に基づく手法も利用できる[17]。これは微生物を核酸配列に基づいて同定できる手法であり(例えば、PCRの使用が広く報告されている[例えば参考文献18から23])、これらの手法は迅速で、感度がよく、特異性に優れている。

0070

本発明の方法は、標的細胞の溶解に先立って、測定可能な活性を測定する工程を含んでいてもよい。即ち、例えばサンプル中の血液細胞数を測定してもよい。

0071

溶解に続いて、分析のために、核酸固体担体上に捕捉してもよい。固体担体は、最初の分離に使用される粒子であってもよいが、異なる担体であってもよい。核酸はDNAでもRNAでもよく、或いはその任意の天然修飾物又は合成修飾でもよく、更にはこれらの組合せでもよい。但し、核酸はDNAであることが好ましい。DNAは一本鎖でも二本鎖でもよく、線状や環状等、如何なる形状であってもよい。RNAをDNAから除去することが望ましい場合には、RNアーゼの添加やNaOH等のアルカリの添加によって行なうことができる。

0072

また、本発明は、血液サンプル(例えば輸血目的のサンプル)から病原体が存在するものを選別する方法であって、前記サンプルに本発明の方法を実施する工程を含んでなる方法を提供する。前記方法による結果がネガティブである場合(即ち、標的細胞が存在しない場合)には、血液サンプルの輸血が認められる。結果がポジティブである場合(即ち、標的細胞が存在する場合)には、血液サンプルの輸血は拒絶される。選別に際しては、何らかの病原体が存在すればサンプルを拒絶する場合のように、存在する特定の病原体を同定することは重要でない場合もあると思われる。

0073

部分法(Partial methods)

0074

本発明の方法が上述の不活性化、溶解及び測定という3つの基本的な工程を含む場合には、これらの工程を実施する時間や場所は異なっていてもよい。例えば、血液サンプルの取得及び不活性化を、医師現場病院で行なった後、微生物の増殖及び測定を、別の実験室等で行なってもよい。

0075

即ち、本発明は、液体サンプル中における標的細胞の存否を検出する方法であって:
(a)前記サンプルが:(i)細胞外培地中の前記測定可能な活性を不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性は不活性化しない試薬で処理された液体サンプルを含んでなり;且つ(ii)前記測定可能な活性を有する細胞内酵素を含む標的細胞を含む疑いがあるものであって;
(b)前記方法が:(i)前記標的細胞を溶解して前記細胞内酵素を放出させる工程;及び(ii)前記測定可能な活性を含んでなる方法を提供する。

0076

同様に、本発明は、液体サンプルを処理する方法であって:
(a)前記サンプルが:(i)測定可能な活性を有する酵素を含む細胞外培地を含んでなり;且つ(ii)前記測定可能な活性を有する細胞内酵素を含む標的細胞を含んでいる疑いがあり;
(b)前記方法が:(i)前記細胞外培地中の前記測定可能な活性を不活性化するが、前記標的細胞中の前記測定可能な活性を不活性化しない試薬で、液体サンプルを処理する工程を含んでなる方法を提供する。

0077

本発明の同様の部分法も明らかであろう。

0078

一般(General)

0079

「を含んでなる(comprising)」という語は、「を含む(including)」という語とともに、「からなる(consisting)」という語も包含する。例えば、X「を含んでなる(comprising)」組成物は、Xのみからなって(consist exclusively of)いてもよく、例えばX+Yのように、何か他の要素を含んで(include)いてもよい。

0080

「実質的に(substantially)」という語は、「完全に(completely)」という語を排除するものではない。例えば、Yを「実質的に含まない(substantially free)」組成物は、Yを完全に含まない(completely free)ものであってもよい。必要な場合には、実質的に(substantially)という語は本発明の定義から省いてもよい。

0081

「約(about)」という語は、数値xとの関連で言えば、例えばx±10%を指す。

0082

特に明記しない限り、二以上の成分を混合する工程を含んでなる方法は、混合の順序を特定しないものとする。即ち、成分を任意の順序で混合することができる。3つの成分がある場合には、2つの成分を互いに混合してから、得られた混合物を3番目の成分等と混合してもよい。

0083

酵素が「細胞内(intracellular)」であるという場合、この語は通常「細胞外ではない(not extracellular)」、即ち、細胞外に存在する試薬を不活性化する際に、その酵素には到達できないという意味で用いられる。細胞内酵素の細胞内における存在位置は様々であるが、例としては、細胞外膜内面上、外膜外表面(この場合は不活性化の際に、生物の莢膜等によって保護する)、内膜内、周辺質内、細胞小器官内等が挙げられる。

0084

実験研究では、アデニル酸キナーゼにより生成されたATPを用いて、ルシフェリン/ルシフェラーゼ活性を駆動し、得られたRLUの結果を初期ATPレベル定量値とした。何れのAKアッセイもpH7.5、37℃で行なった。アッセイの結果は環境温度下で計測した。

0085

予備実験では、pHを低下させることにより、アデニル酸キナーゼの不活性化を行なった。後の実験では、不活性化にはブタトリプシンを用い、pH7.5で行なった。pHの低下によって、細胞内細菌AKに影響を及ぼすことなく、血中AKを恒久的に不活性化することができるが、トリプシンの使用はより効率的で、作業も容易である。

0086

即ち、アッセイで使用した現行プロトコールは、以下の通りである。

0087

1mlのサポニン/sps/ppgを10mlの全血に加え、完全に溶解させる(10〜15分)。

0088

5,000rpmで45分間遠心分離する。上澄みを除去する。

0089

適切な培地(例えばMHブロスが一般に使用される)を用いて、10×濃度のトリプシン(10,000U/ml)ストックを調製する。

0090

ペレットを30〜40mlのMHに再懸濁する(高バックグラウンドのサンプルの場合、必要であれば、ここで2度目の遠心分離/再懸濁(「洗浄(wash)」工程)を行なってもよい)。

0091

最終再懸濁サンプルにトリプシンストックを1/10の希釈度で加える(最終濃度を1,000U/mlとする。)。

0092

温置工程として必要な時間に亘って37℃で温置する。通常は4〜5時間であるが、細菌増殖率に応じて異なる。

0093

AK活性についてアッセイを行なう(以下を参照)。

0094

pHの低下によるAKの不活性化(pH reduction to inactivate AK)

0095

pHがAK活性に及ぼす影響を調べるため、精製した酵素を種々のpHで1時間温置した。pH7.5を対照として用いた(標準アッセイ条件)。AK活性の測定は、AKにより生成されたATPを、生物発光ルシフェリン/ルシフェラーゼを用いて検出することにより行なった。結果は以下の通りである(図16)。

0096

0097

更なる実験として、3種の処理条件について試験を行なった。即ち、(i)対照、pH7.5、pHを変化させずに実施した;(ii)アッセイ前にpHを一過的に低下、即ちpHをpH4まで低下させ、その後pH7.5に回復した;及び(iii)酸性温置、即ちpHをpH4に15分間低下させた。その後、AK活性を測定した。並行試験として、これらのpH条件が大腸菌(E.coli)及びフェカリス菌(E.faecalis)の生存率に与える影響を調べた。結果は以下の通りである(%)。

0098

0099

即ち、pH4での温置を用いれば、同一のサンプル中における細菌の生存率に実質的な損傷を与えることなく、また、その細胞内AKを不活性化することなく、実質的にAKを不活性化する(例えば、活性の低下量を10倍のオーダーとする)ことができる。即ち、酸性条件を使用すれば、後段の細胞内AKのアッセイを破壊することなく、細胞外AKを不活性化することができる。

0100

トリプシン対照(Trypsin control)

0101

予備実験として、トリプシンが生物発光系に与える影響を調べた。ミューラーヒントン(Mueller-Hinton:MH)ブロスで希釈した、種々の濃度のトリプシンのサンプルに、ATPを加えた。結果は以下の通りである。

0102

0103

即ち、トリプシンとの組合せでATPから生成されるバックグラウンド活性は、殆ど、又は全く存在しないものの、5000ユニット/ml(U/ml)では、シグナルは「増進された(boosted)」ように見える。トリプシンのレベルが≦1000U/mlの場合には、生物発光反応への影響は最小/皆無であった。

0104

細胞内細菌AKトリプシン消化(Trypsin digestion of intracellular bacterial AK)

0105

1000、200、及び0(対照)U/mlのトリプシンを含有するMHブロスに、大腸菌(E.coli)及びフェカリス菌(E.faecalis)を104及び105cfu/mlの濃度で加えた。これらをすぐにアッセイに供した。結果は以下の通りであった。

0106

0107

即ち、溶解した細菌から生成したAKシグナルのうち、トリプシン消化によるAK反応の際に消失したのは、約10〜20%に過ぎなかった。

0108

トリプシンによるAKの経時低下(AK reduction by trypsin over time)

0109

精製AK(バチルスステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus))、又は10-3希釈のサポニン溶解血液を、MHブロスで希釈した5000、1000、200、及び0(control)U/mlのトリプシン(「トリプシン/MH」)中、37℃で1時間温置した。0、15分、30分、及び1時間の時点で一定分量をアッセイに供した。

0110

細菌AK活性の経時的な低下を図2に示す。溶解した血液細胞におけるAK活性の経時的な低下を図3に示す。

0111

このように、溶解された血液中のAKはトリプシンによって迅速に消化される。時間0(即ち、サンプルの一定分量を採取してアッセイに供する時間)でも、トリプシン濃度が高い場合には、シグナルの大幅な低下が見られる。溶解された血液にトリプシンを加えた場合には、時間の経過と共に、精製細菌AKの場合にはみられなかった、より低い水平域(plateau)に到達するように見受けられる。これは、血中の(例えば溶解していない細胞の内部の)少量のAKに、トリプシンが到達できないことを示唆している。また、この水平域の別の原因は、プロテアーゼによる影響を受けなかった細胞ATPが存在する点にもある。

0112

溶解された血中のAKの分解が生じる速度は、精製された細菌AKと比べて有意に速い。加えて、グラム陰性細菌由来のAKは、グラム陽性細菌由来のAKよりも、より急速に分解することが見出された。細菌AKは分解されているが、その分解の生じ方は、溶解された血液由来のAKの場合ほど劇的でも急激でもない。上述したように、溶解された細菌からの放出後でも、細菌AKは僅か10〜20%しか減少しないという結果を考え合わせれば、これらのデータは、トリプシン分解に対する細菌AKの感受性が、哺乳類の血中AKよりも低い可能性を示唆している。ここから、トリプシンを用いることによって、細胞内細菌酵素による干渉を受けることなく、血液由来のAKを不活性化することができるという、更なる利点が提供される。この効果は、精製AKが由来する生物が好熱性を有することと関係している可能性がある。

0113

種々のプロテアーゼによる種々の生物におけるAKの経時低下(AK reduction by different proteases over time for different organisms)

0114

上述の方法と同様にして実験を実施した。その実験法を以下に示す。

0115

細菌アデニル酸キナーゼの回収及び試験

0116

1.細菌をプレートから掻爬し、約20mlの純ブロスに植菌した。これを37℃で一晩培養した。

0117

2.純ブロスを用いて、酵素の10×ストックを調製した。
a.10mgの16,000U/mgトリプシンを16mlのブロスに加え、10,000U/ml(10×)のストックを得る。
b.25mgの4U/mgパパインを1mlのブロスに加え、100U/ml(10×)のストックを得る。
c.10mgの7.5U/mgプロテイナーゼKを3mlのブロスに加え、25U/ml(10×)のストックを得る。
d.10.5μlの239U/mlキモトリプシンを239.5μlのブロスに加え、10U/mlのストックを得る。

0118

3.続いて、接種菌液を約14030RCFで1時間遠心分離した。

0119

4.続いて、上澄みを採取し、アデニル酸キナーゼ活性について試験を行ない(後述)、必要に応じて純ブロスで希釈し、約105cpm/mlとした。

0120

5.続いて、上澄みのアデニル酸キナーゼ活性について、0の時点でのアッセイを行なった。アッセイは三連で行ない、平均を求めた。

0121

6.上澄みに正確な濃度の酵素を加え、又は対照用にブロスを加えて、1.5ml溶液を調製した。これを37℃で温置した。

0122

7.続いて、サンプルを取得して、アデニル酸キナーゼ活性のアッセイを行なった。アッセイは三連で行ない、10、30、60、及び120分の時点で行なった。

0123

8.三連の結果を平均し、これを0の時点での平均で除算することにより正規化した。

0124

アデニル酸キナーゼアッセイ(AKのみ、細胞なし)

0125

1.100μlのサンプルをキュベットに加えた。

0126

2.50μlの試薬1(ADPのみ;溶解剤なし)を加えボルテックスで軽く混合した。

0127

3.5分後、キュベットを照度計に入れた。

0128

4.このサンプルに直接、50μlの試薬2(希釈及びルシフェリン/ルシフェラーゼ)を一度に加えた。

0129

5.すぐにRLUを読み取った。

0130

種々の生物からAKを抽出し、パパイン、トリプシン、キモトリプシン又はプロテイナーゼKで処理した。各プロテアーゼはトリプシンと同様にAKを分解する。結果を図19表皮ブドウ球菌:S.epidermis)、図20(黄色ブドウ球菌:S.aureus)、図21(大腸菌:E.coli)、図22(フェカリス菌:E.faecalis)、図23(緑膿菌:P.aeruginosa)、及び図24(MRSA)に示す。トリプシンはグラム陽性細菌及びグラム陰性細菌の何れにも一貫して効果を示すことから、やはり好ましいプロテアーゼである。

0131

トリプシンの生物に対する効果

0132

トリプシンが細菌増殖に影響を及ぼすか否かを調べるために、103cfu/mlの各種の生物を、1000、200、及び0(対照)U/mlのトリプシン/MHサンプルに加えた。これらの混合物を37℃で3時間培養し、0、1、2及び3時間後の時点で一定分量をアッセイした。結果を図4から14に示す。

0133

即ち、トリプシンは1000及び200U/mlの何れの濃度でも、試験した11種の生物に対して、(影響を及ぼすにしても)最小限の影響しか及ぼさなかった。黄色ブドウ球菌(S.aureus)の結果は一見、その増殖がトリプシンによって抑制されることを示唆しているようであるが、より仔細に検討すると、実際はそうではなく、増殖が抑制されているように見えるのは、サンプリング誤差によるものであることが分かった。従って、11種の細菌全てについて、細菌の培養時を通じてトリプシンが存在していても、その増殖に影響は見られなかった。

0134

種々の濃度の溶解血液中におけるAKのトリプシン消化

0135

サポニンにより溶解した血液を段階希釈して、1000又は200U/mlのトリプシン/MHと混合した。混合物を37℃で4時間温置し、0、1、2、3及び4時間の時点で、一定分量をアッセイに供した。

0136

AKアッセイの結果を図15に示す。

0137

10-1希釈血液と1000U/mlトリプシンを用いた場合、バックグラウンドは4時間で約1億RLUから4,000RLUへと、25,000分の1に減少した。1000U/mlの場合、AK消化の大部分は最初の2時間以内に生じたように見受けられる。その後、バックグラウンドの減少は徐々に緩やかになり、あるレベルで水平域に達している。その水平域は、開始時のバックグラウンドのレベルに依存しているように思われる。これは、トリプシンが哺乳類のAKの一部に対して到達できないか、又は影響を及ぼさないこと、或いは、このシグナルがAKと関連していないことを示唆している。

0138

トリプシンによる溶解血液をバックグラウンドとした生物増殖の観察

0139

MHで10-1に希釈した、1000U/mlトリプシンを含有する溶解血液に、約102cfu/mlの各種生物を加えた。これを37℃で4時間培養し、0、1、2、3及び4時間の時点で、一定分量をアッセイに供した。結果を以下に示す。

0140

0141

これらの結果は、開始時の生物濃度を102cfu/mlとし、1000U/mlトリプシンを用いて得られたものであるが、約1億のRLUを示す最初のバックグラウンドから、大腸菌(E.coli)及びフェカリス菌(E.faecalis)は2時間以内に可視となり、緑膿菌(P.aeruginosa)は4時間以内に可視となった。このように、AKのバックグラウンドが高い場合でも、血中の少数の生物を、高いバックグラウンドから≦4時間で可視化することができる。

0142

血小板のトリプシン処理の検討

0143

0.5mLの汚染血小板試験サンプルに対し、40μlの5%Triton X-100溶液及び150μlのP-Perを加え、穏やかに振盪しながら環境温度で10分間培養した。その後、混合物を13000rpmで3.5分間遠心分離した。

0144

続いて、上澄みを除去し、ペレットを1.5mlの滅菌水に入れ、繰り返しぴペッティングして再懸濁させた。続いて、混合物を13000rpmで3.5分間遠心分離した。

0145

その後、上澄みを除去し、ペレットを、1000U/mlのトリプシンを含有するLBブロス0.5mlに再懸濁させ、37℃で20分間培養した。続いて、AK活性を上述の手順により、最長4時間の間隔でアッセイを行なった。

0146

この結果(図17及び18)は、本アッセイを用いれば、102〜103生物/mlという低いレベルであっても、血小板の汚染の検出が可能であることを示している。

0147

抗生物質中の完全細菌に対するプロテアーゼの影響

0148

プロテアーゼの存在が抗生物質の活性にどのような影響を与えるかを見るべく、(後述の手順で)アッセイを実施した。

0149

細菌アデニル酸キナーゼの回収及び試験法

0150

1.細菌をプレートから掻爬して1mlの純ブロスに接種し、37℃で1時間培養した。

0151

2.3種の抗生物質タブコリスチン、シプロフロキサシン及びオキサシリン)を200mlの純ブロスに加え、抗生物質ブロスを調製した。

0152

3.標的(MRSA等)又は耐性(表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)等)細菌株は約105cpm/mlに希釈した。非標的又は感受性細菌株は約106cpm/mlに希釈した。

0153

4.酵素ストックを(上述の手順で)抗生物質ブロスを用いて調製した。

0154

5.1.98mlの溶液を以下のように調製し、37℃で1時間培養した。

0155

0156

6.(工程3で得られた)細菌希釈液を100倍に希釈し、アデニル酸キナーゼ活性のアッセイを三重に行ない、平均を求めた。これを0の時点での平均とした。

0157

7.(工程3で得られた)適切な細菌希釈液20μlを、(工程5で得られた)溶液に加え、37℃で培養した。

0158

8.所定の時点において、サンプルのアデニル酸キナーゼを三重にアッセイした。

0159

9.三重の結果を平均し、これを0の時点での平均値で除算して正規化した。

0160

その結果(図25〜30参照)は、抗生物質がプロテアーゼによって影響を受けることなく、抗生物質及び標的細菌に部分的又は全面的に依存して、望ましくない非標的細菌を依然として死滅させ、溶解することを示している。特に、酵素入りサンプルでは、放出されたAKが分解されるため、対照と比べてRLUが概して低い。

0161

以上の結果は、グラム陰性細菌(大腸菌(E.coli)及び緑膿菌(P.aeruginosa))の方がより顕著である。これは、プロテアーゼがこれらの菌のAKを、極めて高い効率で不活性化するためである。また、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)も酵素によって大きな影響を受けているように見受けられる。フェカリス菌(E.faecalis)の増殖は緩やかであるが、酵素による影響を受けていないように思われる。この菌は耐性であり(増殖はそのためである)、酵素がAKに到達してRLUを低下させるに十分なほどの溶解は生じなかったのである。より重要なことに、MRSAの増殖は酵素及び抗生物質の影響を受けていないように見受けられる。即ち、これらの結果は、プロテアーゼが抗生物質と干渉を生じていないことを示している。

0162

以上の本発明の説明は例であって、本発明の範囲及び趣旨を逸脱しない限りにおいて、変更を加えることが可能であると解すべきである。

0163

参考文献(これらの内容は援用により本明細書に組み込まれる。)
[1]http://www. altcorp. com/AffinityLaboratory/introgcf.htm
[2]WO94/17202
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[23]Homes et al. (1991) J Clin Microbiol 29:2375-2379

図面の簡単な説明

0164

図1(Figure 1)は、本発明の抗微生物感受性試験法への適用を説明する図である。
図2(Figure 2)は、トリプシンとの温置下におけるAK活性の減少を表わす図であり、細菌AK活性を示す。Y軸は「RLU」(relative light unit)値を表わし、X軸は時間を分単位で表わす。
図3(Figure 3)は、トリプシンとの温置下におけるAK活性の減少を表わす図であり、溶解血液におけるAK活性を示す。図3Bは図3A下部の拡大図である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を分単位で表わす。
図4(Figure 4)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌は大腸菌(E.coli)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図5(Figure 5)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌はフェカリス菌(E.faecalis)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図6(Figure 6)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌は緑膿菌(P.aeruginosa)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図7(Figure 7)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌は黄色ブドウ球菌(S.aureus)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図8(Figure 8)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌は肺炎桿菌(K.pneumoniae)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図9(Figure 9)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌は(9)エンテロバクター・クロアカ(E.cloacae)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図10(Figure 10)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌はクレブシエラ・オキシトカ(K.oxytoca)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図11(Figure 11)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌はプロテウス・ブルガリス(P.vulgaris)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図12(Figure 12)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌はアシネトバクター・バウマニ(A.baumanii)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図13(Figure 13)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌は腸炎菌(S.enteritidis)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図14(Figure 14)は、AKの存在下における細菌増殖を表わす図である。細菌は霊菌(S.marcescens)である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図15(Figure 15)は、トリプシン消化によって生じる血中AK活性の低下を表わす図である。Y軸は「RLU」値を表わし、X軸は時間を時間単位で表わす。
図16(Figure 16)はpHがAK活性に及ぼす影響を表わす図である。
図17(Figure 17)は、トリプシン消化によって生じた血小板AK活性の低下、及び、AK活性の経時変化を表わす図である。薄い網掛けは血小板を表わし、濃い網掛けは血小板+トリプシンを表わす。
図18(Figure 18)は、トリプシン消化に加え、遠心分離を様々な時間で行なった場合における、血小板AK活性の低下を表わす図である。1=溶解及び1分間の遠心分離、トリプシン無し;2=溶解及び3分間の遠心分離、トリプシン無し;3=溶解1分間、トリプシン有り;並びに、4=溶解3分間、トリプシン有り。
図19(Figure 19)は、種々の細菌から抽出されたアデニル酸キナーゼを種々のプロテアーゼとともに温置した場合を表わす図である。細菌は表皮ブドウ球菌(S.epidermis:AC086)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図20(Figure 20)は、種々の細菌から抽出されたアデニル酸キナーゼを種々のプロテアーゼとともに温置した場合を表わす図である。細菌は黄色ブドウ球菌(S.aureus:AC082)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図21(Figure 21)は、種々の細菌から抽出されたアデニル酸キナーゼを種々のプロテアーゼとともに温置した場合を表わす図である。細菌は大腸菌(E.coli:AC024)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図22(Figure 22)は、種々の細菌から抽出されたアデニル酸キナーゼを種々のプロテアーゼとともに温置した場合を表わす図である。細菌はフェカリス菌(E.faecalis:AC012)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図23(Figure 23)は、種々の細菌から抽出されたアデニル酸キナーゼを種々のプロテアーゼとともに温置した場合を表わす図である。細菌は緑膿菌(P.aeruginosa:AC044)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図24(Figure 24)は、種々の細菌から抽出されたアデニル酸キナーゼを種々のプロテアーゼとともに温置した場合を表わす図である。細菌はMRSA(AC145)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図25(Figure 25)は、コリスチン、シプロフロキサシン及びオキサシリンの存在下で培養された細菌に対して、種々のプロテアーゼが及ぼす影響を表わす図である。細菌は黄色ブドウ球菌(S.aureus:AC082)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図26(Figure 26)は、コリスチン、シプロフロキサシン及びオキサシリンの存在下で培養された細菌に対して、種々のプロテアーゼが及ぼす影響を表わす図である。細菌は表皮ブドウ球菌(S.epidermis:AC086)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図27(Figure 27)は、コリスチン、シプロフロキサシン及びオキサシリンの存在下で培養された細菌に対して、種々のプロテアーゼが及ぼす影響を表わす図である。細菌はMRSA(AC145)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図28(Figure 28)は、コリスチン、シプロフロキサシン及びオキサシリンの存在下で培養された細菌に対して、種々のプロテアーゼが及ぼす影響を表わす図である。細菌は大腸菌(E.coli:AC024)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図29(Figure 29)は、コリスチン、シプロフロキサシン及びオキサシリンの存在下で培養された細菌に対して、種々のプロテアーゼが及ぼす影響を表わす図である。細菌は緑膿菌(P.aeruginosa:AC044)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。
図30(Figure 30)は、コリスチン、シプロフロキサシン及びオキサシリンの存在下で培養された細菌に対して、種々のプロテアーゼが及ぼす影響を表わす図である。細菌はフェカリス菌(E.faecalis:AC012)である。Y軸はt=0で正規化した「RLU」値を表わす。正規化は、各時点における平均値をt=0における平均値で除算することにより行なった。X軸は時間を分単位で表わす。

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