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技術 ボツリヌス毒素の局所塗布及び経皮送達のための組成物及び方法

出願人 ルバンスセラピュティックスインク.
発明者 デェイクマイケルディー.ウォージェイコブエム.
出願日 2006年3月3日 (14年10ヶ月経過) 出願番号 2007-558312
公開日 2008年8月14日 (12年4ヶ月経過) 公開番号 2008-531732
状態 拒絶査定
技術分野 医薬品製剤 動物,微生物物質含有医薬 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 横断面領域 光沢材 ろう型 効率増強 天秤皿 たたきつけ 粘性作用 前清浄
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

ボツリヌス毒素経皮送達のための改良された製剤を開示する。本製剤は、例えば、分岐基、即ち「有効」基を有する、正に荷電した骨格非共有結合的に結合しているボツリヌス毒素を含む。また、本製剤は、分散剤オリゴ架橋及びポリアニオン架橋も含み、場合によっては、粘度調節剤を含有していてもよい。本製剤は、患者の皮膚上に局所塗布するために設計されており、しわ多汗症、及びその他の健康に関する問題を治療するために使用することができる。また、投与のためのキットも記載する。

概要

背景

皮膚は、外部環境脅威から身体の器官を保護し、体温を保つサーモスタットとして作用する。皮膚は、各々特化された機能を有する数種の異なる層から構成されている。主要な層には、表皮真皮及び皮下組織が挙げられる。表皮は、結合組織を構成する真皮の上に覆い被さる上皮細胞層重層する層である。表皮及び真皮の両者は、脂肪組織内層である皮下組織によりさらに支持されている。

皮膚の最上層である表皮の厚さは、わずか0.1〜1.5ミリメートルである(Inlander, Skin, New York, NY: People's Medical Society, 1-7 (1998))。それはケラチノサイトからなり、分化の状態に基づいて数層に分かれる。表皮は、さらに角質層顆粒マルピーギ細胞及び基底細胞からなる生きている表皮とに分類される。角質層は吸湿性で、その柔軟性及び柔らかさを維持するために少なくとも10重量%の水分を必要とする。吸湿性は、一部ケラチン保水能力に帰せられる。角質層が柔軟性及び柔らかさを失うと、それは粗で脆くなり、乾燥した皮膚になる。

表皮の直下にある真皮の厚さは、1.5〜4ミリメートルである。それは皮膚の3層の中で最も厚いものである。さらに、真皮は、汗腺及び脂腺ポア又はコメドと呼ばれる皮膚の開口部を通して物質分泌する)、毛包、神経端、血管及びリンパ管を含む皮膚構造の大部分があるところでもある(Inlander, Skin, New York, NY: People's Medical Society, 1-7 (1998))。しかしながら、真皮の主要成分はコラーゲン及びエラスチンである。

皮下組織は皮膚の最も深部の層である。それは、体熱保持のための絶縁体として、及び器官保護のためのショック吸収体としての両方の役割を果たす(Inlander, Skin, New York, NY: People's Medical Society, 1-7 (1998))。それに加えて、皮下組織はエネルギー貯蔵のための脂肪も蓄える。皮膚のpHは、通常5と6の間である。この酸性は、皮脂腺分泌物からの両性アミノ酸乳酸、及び脂肪酸の存在に基づいている。「酸被膜」という用語は、皮膚の大部分の上にある水溶性物質の存在を指す。皮膚の緩衝能力は、一部、皮膚角質層貯蔵されているこれらの分泌物に基づいている。

皮膚の主機能の1つは、水及び正常なホメオスタシスに有害な可能性のある物質の輸送に対する障壁を提供することである。夫で耐久性のある、半透性の皮膚がなければ身体は急速に脱水するであろう。皮膚は有害な物質の身体への進入を防止することに役立つ。

しわは、加齢を告げる徴候の1つであり、環境的な損傷から蓄積した生化学的、組織学的及び生理学的な変化によって起きる場合がある(Benedetto, International Journal of Dermatology, 38:641-655 (1999))。それに加えて、特徴的な顔面のしわの、折り畳み、溝及び折れ目を生じさせる、その他の二次的な要因もある(Stegman et al., The Skin of the Aging Face Cosmetic Dermatological Surgery, 2nd ed., St. Louis, MO: Mosby Year Book: 5-15 (1990))。これらの二次的な要因として、重力により絶えず引っ張られていること、皮膚上にかかる位置的な圧力(即ち、睡眠中)、及び顔面の筋肉収縮によって生じる繰り返しの顔面運動が挙げられる(Stegman et al., The Skin of the Aging Face Cosmetic Dermatological Surgery, 2nd ed., St. Louis, MO: Mosby Year Book: 5-15 (1990))。

加齢の徴候のいくつかを潜在的に和らげるために、異なる手法が利用されてきている。これらの手法は、アルファヒドロキシ酸及びレチノールを含有する顔用保湿クリームから、外科的な手順及び神経毒の注射に及ぶ。例えば、1986年には、Jean及びAlastair Carruthers、眼形外科医及び皮膚科医からなる夫チームが、眉間領域の運動に関連するしわの治療に、ボツリヌス毒素のA型の美容的な使用を展開しはじめた(Schantz and Scott, In Lewis GE (Ed) Biomedical Aspects of Botulinum, New York: Academic Press, 143-150 (1981))。Carruthers夫妻によるボツリヌスA型のしわの治療への使用は、このアプローチ発展の基となる1992年の発表に至った(Schantz and Scott, In Lewis GE (Ed) Biomedical Aspects of Botulinum, New York: Academic Press, 143-150 (1981))。1994年までには、同一のチームが、顔面のその他の運動に関連するしわに関する経験を報告した(Scott, Ophthalmol, 87:1044-1049 (1980))。続いて、これは、美容的なボツリヌスA型による治療の時代生むに至った。

ボツリヌスA型に加え、血清学的に関連があるが異なる7種の別のボツリヌス毒素がある。一般に、ボツリヌス毒素(ボツリン毒素又はボツリヌス神経毒としても知られている)は、グラム陽性細菌であるボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が産生する神経毒である。これらが作用すると、神経筋接合部を介するシナプス伝達又はアセチルコリンの放出を抑制することによって、筋肉の麻痺を起こし、これらは、その他の様式でも作用すると考えられている。これらの作用が通常であれば筋肉の痙攣又は収縮を起こすであろうシグナルを本質的に遮断する結果、麻痺に至る。

8種の血清学的に関連があるボツリヌス毒素のうち、7種、即ち、ボツリヌス神経毒血清型A、B、C、D、E、F及びGは、麻痺を起こすことができる。これらのそれぞれは、型に特異的な抗体を用いた中和によって区別される。しかし、これらの活性のあるボツリヌス毒素の血清型の7種すべてについて、ボツリヌス毒素タンパク質分子の分子量は、約150kDである。細菌が放出する場合、ボツリヌス毒素は、当該の150kDのボツリヌス毒素タンパク質分子と、それに結合している無毒性タンパク質とを含む複合体である。ボツリヌス毒素A型の複合体は、クロストリジウム属細菌によって、900kD、500kD及び300kDの形態で産生されることができる。ボツリヌス毒素B型及びC型は、700kD又は500kDのいずれかの複合体としてのみ産生されるようである。ボツリヌス毒素D型は、300kD及び500kDの複合体の両方として産生される。ボツリヌス毒素E型及びF型は、約300kDの複合体としてのみ産生される。複合体(即ち、約150kDより大きい分子量)は、非毒素赤血球凝集素タンパク質及び非毒素及び無毒性の赤血球凝集素ではないタンパク質を含有すると考えられている。これらの2種の非毒素タンパク質(これは、ボツリヌス毒素分子と共に、関連する神経毒複合体を構成する)が作用して、ボツリヌス毒素分子に、変性に対する安定性、及び毒素を経口摂取した場合の胃酸に対する保護をもたらすことができる。その上、より大きな(約150kDの分子量より大きい)ボツリヌス毒素複合体であれば、ボツリヌス毒素複合体を筋肉内注射する部位からのボツリヌス毒素の拡散速度を低下させることができる可能性もある。

異なる血清型のボツリヌス毒素は、それらが作用する動物種、並びにそれらが惹起する麻痺の重症度及び持続時間が異なる。例えば、ボツリヌス毒素A型は、ラットにおいて生じる麻痺の速度によって測定した場合、ボツリヌス毒素B型よりも、500倍強力であることが決定されている。その上、ボツリヌス毒素B型は、A型の霊長類に対するLD50の約12倍である480U/kgの用量では、霊長類では毒性を示さないことが決定されている。ボツリヌス毒素の分子の大きさ及び分子構造のために、ボツリヌス毒素は、角質層及びその下にある皮膚構造の複数の層を越えることができない。

ボツリヌス毒素に全身的に曝された結果生じる毒性の状態(ボツリヌス中毒と呼ばれる)は、古代からヨーロッパに存在する。ベルギーで、1895年に、Emile P. van Ermengemが、ボツリヌス中毒で死亡した犠牲者死後組織から得た生の豚肉から、嫌気性胞子を形成する桿菌をはじめて単離した。Ermengemは、この疾患の原因が、彼がBacillus botulinusと呼ぶものが産生する細胞外毒素であることを見出した(Van Ermengem, Z Hyyg Infektionskr, 26:1-56; Rev Infect (1897))。この名前は、1922年に、Clostridium botulinum(ボツリヌス菌)に変更になった。Clostridiumという名前は、微生物が嫌気性であること及び形態学的な特徴も反映するために使用された(Carruthers and Carruthers, Can J Ophthalmol, 31:389-400 (1996))。1920年代には、ボツリヌス毒素A型の粗形態が、その後に発生した食中毒の後に単離された。カリフォルニア大学、San Francisco校のHerman Sommer博士は、本神経毒の精製をはじめて試みた(Borodic et al., Ophthalmic Plast Recostr Surg, 7:54-60 (1991))。1946年には、Edward J. Schantz博士らが、結晶の形態で、本神経毒素を単離した(Schantz et al., In: Jankovi J, Hallet M (Eds) Therapy with Botulinum Toxin, New York, NY: Marcel Dekker, 41-49 (1994))。1949年までに、Burgenらは、ボツリヌス毒素が、神経筋接合部を介する活動電位を遮断することを実証することができた(Burgen et al., J Physiol, 109:10-24 (1949))。1973年に、Allan B. Scottが、サルにおいて、ボツリヌス毒素A(BTA−X)をはじめて使用した。Scottは、3カ月持続する可逆性眼筋の麻痺を実証した(Lamanna, Science, 130:763-772 (1959))。ほどなくして、BTA−Xは、ヒトの斜視、眼瞼痙攣及び痙性斜頚に対して、有効な治療剤であることが報告された(Baron et al., In: Baron EJ, Peterson LR, FinegoldSM(Eds), Bailey & Scotts Diagnostic Microbiology, St. Louis, MO: Mosby Year Book, 504-523 (1994);Carruthers and Carruthers, Adv Dermatol, 12:325-348 (1997);Markowitz, In: StricklandGT(Eds) Hunters Tropical Medicine, 7th ed. Philadelphia: W.B. Saunders, 441-444 (1991))。ボツリヌス毒素A型は、これまで知られている最も致死性の高い自然の生物学的薬剤であるといわれている。ボツリヌス菌の胞子は、土壌に存在しており、不適切滅菌及び密封された食品容器内で増殖することができる。本細菌を経口摂取すると、ボツリヌス中毒を起こし、これは、致命的である場合がある。

同時に、ボツリヌス毒素の筋肉を麻痺させる効果が、治療的な効果を期待して使用されてきている。活動過多骨格筋を特徴とする神経筋障害等の状態を治療するために、ボツリヌス毒素を制御して投与して、筋肉を麻痺させるのに使用されてきている。ボツリヌス毒素を用いて治療されてきている状態として、片側顔面痙攣、成人発症型痙性斜頚、裂肛、眼瞼痙攣、脳性麻痺、痙性斜頚、偏頭痛、斜視、顎関節障害、並びに種々のタイプの筋肉の痙攣及び痙縮が挙げられる。より最近になって、ボツリヌス毒素の筋肉麻痺効果が、しわ、眉間のしわ及びその他の顔の筋肉の痙攣又は収縮の結果の治療等、顔への治療的及び美容的な塗布において利用されるようになった。
Inlander, Skin, New York, NY: People's Medical Society, 1-7 (1998)
Benedetto, International Journal of Dermatology, 38:641-655 (1999)
Stegman et al., The Skin of the Aging Face Cosmetic Dermatological Surgery, 2nd ed., St. Louis, MO: Mosby Year Book: 5-15 (1990)
Schantz and Scott, In Lewis GE (Ed) Biomedical Aspects of Botulinum, New York: Academic Press, 143-150 (1981)
Scott, Ophthalmol, 87:1044-1049 (1980)
Van Ermengem, Z Hyyg Infektionskr, 26:1-56; Rev Infect (1897)
Carruthers and Carruthers, Can J Ophthalmol, 31:389-400 (1996)
Borodic et al., Ophthalmic Plast Recostr Surg, 7:54-60 (1991)
Schantz et al., In: Jankovi J, Hallet M (Eds) Therapy with Botulinum Toxin, New York, NY: Marcel Dekker, 41-49 (1994)
Burgen et al., J Physiol, 109:10-24 (1949)
Lamanna, Science, 130:763-772 (1959)
Baron et al., In: Baron EJ, Peterson LR, FinegoldSM(Eds), Bailey & Scotts Diagnostic Microbiology, St. Louis, MO: Mosby Year Book, 504-523 (1994)
Carruthers and Carruthers, Adv Dermatol, 12:325-348 (1997)
Markowitz, In: StricklandGT(Eds) Hunters Tropical Medicine, 7th ed. Philadelphia: W.B. Saunders, 441-444 (1991)

概要

ボツリヌス毒素の経皮送達のための改良された製剤を開示する。本製剤は、例えば、分岐基、即ち「有効」基を有する、正に荷電した骨格非共有結合的に結合しているボツリヌス毒素を含む。また、本製剤は、分散剤オリゴ架橋及びポリアニオン架橋も含み、場合によっては、粘度調節剤を含有していてもよい。本製剤は、患者の皮膚上に局所塗布するために設計されており、しわ、多汗症、及びその他の健康に関する問題を治療するために使用することができる。また、投与のためのキットも記載する。

目的

皮膚の主機能の1つは、水及び正常なホメオスタシスに有害な可能性のある物質の輸送に対する障壁を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
10件

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請求項1

ボツリヌス毒素と、正に荷電した骨格と、分散剤オリゴ架橋及びポリアニオン架橋からなる群から選択される少なくとも1種とを含む製剤であって、ボツリヌス毒素が、正に荷電した骨格と非共有結合性複合体を形成している製剤。

請求項2

正に荷電した骨格が、さらに分岐基を含む請求項1に記載の製剤。

請求項3

正に荷電した骨格が、21,000未満の分子量を有する請求項1又は2に記載の製剤。

請求項4

正に荷電した骨格が、ポリリジン又はPEIである請求項3に記載の製剤。

請求項5

分岐基が、保護されたオリゴアルギニン又はTATドメインのいずれかである請求項2に記載の製剤。

請求項6

度調節剤をさらに含む請求項1に記載の製剤。

請求項7

粘度調節剤が、ヒドロキシプロピルセルロース又はセタフィルのいずれかである請求項6に記載の製剤。

請求項8

請求項1に記載の製剤を含む、ボツリヌス毒素の経皮送達のためのキット

請求項9

患者の皮膚の領域に請求項1に記載の製剤を塗布するステップと、遮断剤をそれに続いて任意で塗布するステップとを含む、しわ治療する方法。

請求項10

患者の皮膚の領域に請求項1に記載の製剤を塗布するステップと、遮断剤をそれに続いて任意で塗布するステップとを含む、多汗症を治療する方法。

請求項11

皮膚の領域が、顔、前頭部、首、手及び足からなる群から選択される請求項7に記載の方法。

請求項12

皮膚の領域が、腋窩、前頭部、背部胸部手掌、手の遠位部、足の又は足の足底部から選択される請求項8に記載の方法。

技術分野

0001

本出願は、2005年3月3日に出願した米国特許仮出願第60/658,434号の利益を主張するものである。米国特許出願第60/658,434号は、全体が参照により本明細書に組み込まれている。

背景技術

0002

皮膚は、外部環境脅威から身体の器官を保護し、体温を保つサーモスタットとして作用する。皮膚は、各々特化された機能を有する数種の異なる層から構成されている。主要な層には、表皮真皮及び皮下組織が挙げられる。表皮は、結合組織を構成する真皮の上に覆い被さる上皮細胞層重層する層である。表皮及び真皮の両者は、脂肪組織内層である皮下組織によりさらに支持されている。

0003

皮膚の最上層である表皮の厚さは、わずか0.1〜1.5ミリメートルである(Inlander, Skin, New York, NY: People's Medical Society, 1-7 (1998))。それはケラチノサイトからなり、分化の状態に基づいて数層に分かれる。表皮は、さらに角質層顆粒マルピーギ細胞及び基底細胞からなる生きている表皮とに分類される。角質層は吸湿性で、その柔軟性及び柔らかさを維持するために少なくとも10重量%の水分を必要とする。吸湿性は、一部ケラチン保水能力に帰せられる。角質層が柔軟性及び柔らかさを失うと、それは粗で脆くなり、乾燥した皮膚になる。

0004

表皮の直下にある真皮の厚さは、1.5〜4ミリメートルである。それは皮膚の3層の中で最も厚いものである。さらに、真皮は、汗腺及び脂腺ポア又はコメドと呼ばれる皮膚の開口部を通して物質分泌する)、毛包、神経端、血管及びリンパ管を含む皮膚構造の大部分があるところでもある(Inlander, Skin, New York, NY: People's Medical Society, 1-7 (1998))。しかしながら、真皮の主要成分はコラーゲン及びエラスチンである。

0005

皮下組織は皮膚の最も深部の層である。それは、体熱保持のための絶縁体として、及び器官保護のためのショック吸収体としての両方の役割を果たす(Inlander, Skin, New York, NY: People's Medical Society, 1-7 (1998))。それに加えて、皮下組織はエネルギー貯蔵のための脂肪も蓄える。皮膚のpHは、通常5と6の間である。この酸性は、皮脂腺分泌物からの両性アミノ酸乳酸、及び脂肪酸の存在に基づいている。「酸被膜」という用語は、皮膚の大部分の上にある水溶性物質の存在を指す。皮膚の緩衝能力は、一部、皮膚角質層貯蔵されているこれらの分泌物に基づいている。

0006

皮膚の主機能の1つは、水及び正常なホメオスタシスに有害な可能性のある物質の輸送に対する障壁を提供することである。夫で耐久性のある、半透性の皮膚がなければ身体は急速に脱水するであろう。皮膚は有害な物質の身体への進入を防止することに役立つ。

0007

しわは、加齢を告げる徴候の1つであり、環境的な損傷から蓄積した生化学的、組織学的及び生理学的な変化によって起きる場合がある(Benedetto, International Journal of Dermatology, 38:641-655 (1999))。それに加えて、特徴的な顔面のしわの、折り畳み、溝及び折れ目を生じさせる、その他の二次的な要因もある(Stegman et al., The Skin of the Aging Face Cosmetic Dermatological Surgery, 2nd ed., St. Louis, MO: Mosby Year Book: 5-15 (1990))。これらの二次的な要因として、重力により絶えず引っ張られていること、皮膚上にかかる位置的な圧力(即ち、睡眠中)、及び顔面の筋肉収縮によって生じる繰り返しの顔面運動が挙げられる(Stegman et al., The Skin of the Aging Face Cosmetic Dermatological Surgery, 2nd ed., St. Louis, MO: Mosby Year Book: 5-15 (1990))。

0008

加齢の徴候のいくつかを潜在的に和らげるために、異なる手法が利用されてきている。これらの手法は、アルファヒドロキシ酸及びレチノールを含有する顔用保湿クリームから、外科的な手順及び神経毒の注射に及ぶ。例えば、1986年には、Jean及びAlastair Carruthers、眼形外科医及び皮膚科医からなる夫チームが、眉間領域の運動に関連するしわの治療に、ボツリヌス毒素のA型の美容的な使用を展開しはじめた(Schantz and Scott, In Lewis GE (Ed) Biomedical Aspects of Botulinum, New York: Academic Press, 143-150 (1981))。Carruthers夫妻によるボツリヌスA型のしわの治療への使用は、このアプローチ発展の基となる1992年の発表に至った(Schantz and Scott, In Lewis GE (Ed) Biomedical Aspects of Botulinum, New York: Academic Press, 143-150 (1981))。1994年までには、同一のチームが、顔面のその他の運動に関連するしわに関する経験を報告した(Scott, Ophthalmol, 87:1044-1049 (1980))。続いて、これは、美容的なボツリヌスA型による治療の時代生むに至った。

0009

ボツリヌスA型に加え、血清学的に関連があるが異なる7種の別のボツリヌス毒素がある。一般に、ボツリヌス毒素(ボツリン毒素又はボツリヌス神経毒としても知られている)は、グラム陽性細菌であるボツリヌス菌(Clostridium botulinum)が産生する神経毒である。これらが作用すると、神経筋接合部を介するシナプス伝達又はアセチルコリンの放出を抑制することによって、筋肉の麻痺を起こし、これらは、その他の様式でも作用すると考えられている。これらの作用が通常であれば筋肉の痙攣又は収縮を起こすであろうシグナルを本質的に遮断する結果、麻痺に至る。

0010

8種の血清学的に関連があるボツリヌス毒素のうち、7種、即ち、ボツリヌス神経毒血清型A、B、C、D、E、F及びGは、麻痺を起こすことができる。これらのそれぞれは、型に特異的な抗体を用いた中和によって区別される。しかし、これらの活性のあるボツリヌス毒素の血清型の7種すべてについて、ボツリヌス毒素タンパク質分子の分子量は、約150kDである。細菌が放出する場合、ボツリヌス毒素は、当該の150kDのボツリヌス毒素タンパク質分子と、それに結合している無毒性タンパク質とを含む複合体である。ボツリヌス毒素A型の複合体は、クロストリジウム属細菌によって、900kD、500kD及び300kDの形態で産生されることができる。ボツリヌス毒素B型及びC型は、700kD又は500kDのいずれかの複合体としてのみ産生されるようである。ボツリヌス毒素D型は、300kD及び500kDの複合体の両方として産生される。ボツリヌス毒素E型及びF型は、約300kDの複合体としてのみ産生される。複合体(即ち、約150kDより大きい分子量)は、非毒素赤血球凝集素タンパク質及び非毒素及び無毒性の赤血球凝集素ではないタンパク質を含有すると考えられている。これらの2種の非毒素タンパク質(これは、ボツリヌス毒素分子と共に、関連する神経毒複合体を構成する)が作用して、ボツリヌス毒素分子に、変性に対する安定性、及び毒素を経口摂取した場合の胃酸に対する保護をもたらすことができる。その上、より大きな(約150kDの分子量より大きい)ボツリヌス毒素複合体であれば、ボツリヌス毒素複合体を筋肉内注射する部位からのボツリヌス毒素の拡散速度を低下させることができる可能性もある。

0011

異なる血清型のボツリヌス毒素は、それらが作用する動物種、並びにそれらが惹起する麻痺の重症度及び持続時間が異なる。例えば、ボツリヌス毒素A型は、ラットにおいて生じる麻痺の速度によって測定した場合、ボツリヌス毒素B型よりも、500倍強力であることが決定されている。その上、ボツリヌス毒素B型は、A型の霊長類に対するLD50の約12倍である480U/kgの用量では、霊長類では毒性を示さないことが決定されている。ボツリヌス毒素の分子の大きさ及び分子構造のために、ボツリヌス毒素は、角質層及びその下にある皮膚構造の複数の層を越えることができない。

0012

ボツリヌス毒素に全身的に曝された結果生じる毒性の状態(ボツリヌス中毒と呼ばれる)は、古代からヨーロッパに存在する。ベルギーで、1895年に、Emile P. van Ermengemが、ボツリヌス中毒で死亡した犠牲者死後組織から得た生の豚肉から、嫌気性胞子を形成する桿菌をはじめて単離した。Ermengemは、この疾患の原因が、彼がBacillus botulinusと呼ぶものが産生する細胞外毒素であることを見出した(Van Ermengem, Z Hyyg Infektionskr, 26:1-56; Rev Infect (1897))。この名前は、1922年に、Clostridium botulinum(ボツリヌス菌)に変更になった。Clostridiumという名前は、微生物が嫌気性であること及び形態学的な特徴も反映するために使用された(Carruthers and Carruthers, Can J Ophthalmol, 31:389-400 (1996))。1920年代には、ボツリヌス毒素A型の粗形態が、その後に発生した食中毒の後に単離された。カリフォルニア大学、San Francisco校のHerman Sommer博士は、本神経毒の精製をはじめて試みた(Borodic et al., Ophthalmic Plast Recostr Surg, 7:54-60 (1991))。1946年には、Edward J. Schantz博士らが、結晶の形態で、本神経毒素を単離した(Schantz et al., In: Jankovi J, Hallet M (Eds) Therapy with Botulinum Toxin, New York, NY: Marcel Dekker, 41-49 (1994))。1949年までに、Burgenらは、ボツリヌス毒素が、神経筋接合部を介する活動電位を遮断することを実証することができた(Burgen et al., J Physiol, 109:10-24 (1949))。1973年に、Allan B. Scottが、サルにおいて、ボツリヌス毒素A(BTA−X)をはじめて使用した。Scottは、3カ月持続する可逆性眼筋の麻痺を実証した(Lamanna, Science, 130:763-772 (1959))。ほどなくして、BTA−Xは、ヒトの斜視、眼瞼痙攣及び痙性斜頚に対して、有効な治療剤であることが報告された(Baron et al., In: Baron EJ, Peterson LR, FinegoldSM(Eds), Bailey & Scotts Diagnostic Microbiology, St. Louis, MO: Mosby Year Book, 504-523 (1994);Carruthers and Carruthers, Adv Dermatol, 12:325-348 (1997);Markowitz, In: StricklandGT(Eds) Hunters Tropical Medicine, 7th ed. Philadelphia: W.B. Saunders, 441-444 (1991))。ボツリヌス毒素A型は、これまで知られている最も致死性の高い自然の生物学的薬剤であるといわれている。ボツリヌス菌の胞子は、土壌に存在しており、不適切滅菌及び密封された食品容器内で増殖することができる。本細菌を経口摂取すると、ボツリヌス中毒を起こし、これは、致命的である場合がある。

0013

同時に、ボツリヌス毒素の筋肉を麻痺させる効果が、治療的な効果を期待して使用されてきている。活動過多骨格筋を特徴とする神経筋障害等の状態を治療するために、ボツリヌス毒素を制御して投与して、筋肉を麻痺させるのに使用されてきている。ボツリヌス毒素を用いて治療されてきている状態として、片側顔面痙攣、成人発症型痙性斜頚、裂肛、眼瞼痙攣、脳性麻痺、痙性斜頚、偏頭痛、斜視、顎関節障害、並びに種々のタイプの筋肉の痙攣及び痙縮が挙げられる。より最近になって、ボツリヌス毒素の筋肉麻痺効果が、しわ、眉間のしわ及びその他の顔の筋肉の痙攣又は収縮の結果の治療等、顔への治療的及び美容的な塗布において利用されるようになった。
Inlander, Skin, New York, NY: People's Medical Society, 1-7 (1998)
Benedetto, International Journal of Dermatology, 38:641-655 (1999)
Stegman et al., The Skin of the Aging Face Cosmetic Dermatological Surgery, 2nd ed., St. Louis, MO: Mosby Year Book: 5-15 (1990)
Schantz and Scott, In Lewis GE (Ed) Biomedical Aspects of Botulinum, New York: Academic Press, 143-150 (1981)
Scott, Ophthalmol, 87:1044-1049 (1980)
Van Ermengem, Z Hyyg Infektionskr, 26:1-56; Rev Infect (1897)
Carruthers and Carruthers, Can J Ophthalmol, 31:389-400 (1996)
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発明が解決しようとする課題

0014

ボツリヌス毒素の毒性及び治療的利点の可能性の両方を考慮すると、本毒素を安全に塗布するための組成物及び方法を開発することが望まれるであろう。ボツリヌス毒素の局所塗布は、無痛性の塗布であること、覆うことができる治療表面積がより大きいこと、特異性のより高い活性を有する純粋な毒素を配合することができること、ボツリヌス治療薬を塗布するのに必要なトレーニングが減ること、所望の効果をもたらすために必要であろう用量が減ること、及び治療的臨床結果に達するための毒素の大きなウェルを必要としないことから、より安全な且つより望ましい治療の代替品となるであろう。従って、多くの状態を治療又は予防するための、注射を必要としない、ボツリヌス毒素を経皮的に送達する効果的な手段及びボツリヌス毒素を投与する効果的な手段が、特に望ましい。

課題を解決するための手段

0015

本発明は、ボツリヌス毒素を含む新規な組成物、より具体的には、ボツリヌス毒素の皮膚又は上皮を介する輸送又は送達(「経皮送達」とも呼ぶ)を可能にする、従って、本明細書に記載するように、治療的、美観的及び/又は美容的な種々の目的で、対象にボツリヌス毒素を提供するための局所塗布薬として使用することができるような組成物に関する。

0016

本発明の一態様は、ボツリヌス毒素と担体とを含有する組成物を提供することである。担体は、正に荷電した分岐基が付加しているポリマー性骨格を有する。担体とボツリヌス毒素との間の結合は、非共有結合性である。

0017

また、本発明は、ボツリヌス毒素を対象に投与する方法であって、対象の皮膚又は上皮に、有効量の担体と組み合わせた、ボツリヌス毒素を局所塗布することになる方法も提供する。担体は、正に荷電した分岐基が付加しているポリマー性の骨格を有し、ボツリヌス毒素とは非共有結合的に結合している。

0018

本発明の別の態様は、ボツリヌス毒素と、正に荷電した骨格と、分散剤オリゴ架橋及びポリアニオン架橋からなる群から選択された少なくとも1種とを含有し、それによって、ボツリヌス毒素が、正に荷電した骨格と非共有結合性の複合体を形成している製剤を提供することである。この製剤を皮膚の領域に塗布することによって、しわの治療にこの製剤を使用することができる。所望ならば、遮断剤(occlusion agent)は製剤の塗布後に塗布してもよい。

0019

また、本発明の製剤を多汗症の治療に使用することもできる。本発明が意図する治療方法は、皮膚の領域に本発明の製剤を塗布するステップと、遮断剤をそれに続いて任意で塗布するステップとを含む。

0020

本発明の別の態様は、対象にボツリヌス毒素を投与するためのキットを提供することである。キットは、経皮送達に有効な量のボツリヌス毒素と、正に荷電した分岐基が付加しているポリマー性の骨格を有する担体とを含む。担体とボツリヌス毒素との間の結合は、非共有結合性である。

0021

本発明のさらに別の態様は、対象にボツリヌス毒素を投与するためのキットを提供することである。キットは、ボツリヌス毒素を皮膚に送達するための装置と、正に荷電した分岐基が付加しているポリマー性の骨格を有する担体を含有する組成物とを含み、この分岐基は、-(gly)n1-(arg)n2-(但し、添字n1は、0から約20の整数であり、添字n2は、独立に約5から約25の奇数の整数である)、HIVTAT及びその断片、並びにアンテナペディアPTDから選択される。

0022

一態様においては、本発明は、(本明細書で定義する)ボツリヌス毒素、及び本明細書に記載した正に荷電した分岐基又は「有効」基を有する正に荷電した「骨格」を含む担体を含む組成物に関する。最も好ましくは、正に荷電した担体は、長鎖の正に荷電したポリペプチド、又は正に荷電した非ペプチジルポリマー、例えば、ポリアルキレンイミンである。さらに本発明は、有効量のそのような組成物を、そのような治療を必要とする対象又は患者の、好ましくは、皮膚に局所塗布することによって、筋肉の麻痺、分泌過多若しくは発汗の軽減、神経性疼痛若しくは偏頭痛の治療、筋痙攣の軽減、ざ瘡の予防若しくは軽減、又は免疫応答の低下若しくは増強等、生物学的効果を生じさせる方法にも関する。また、本発明は、例えば、ボツリヌス毒素を、顔面の筋肉に注射する代わりに、顔面に局所塗布することによって、美観的又は美容的な効果を生じさせる方法にも関する。

0023

また、本発明は、担体、ボツリヌス毒素、並びに使用可能な製剤を作製するために必要とされるような追加の品目、又は上記のような製剤を製造するために使用することができるプレミックスを含む組成物を調製又は製剤化するためのキットも提供する。或いは、キットは対象にボツリヌス毒素及び担体を別々に、しかし組み合わせて投与する手段を含む。

発明を実施するための最良の形態

0024

本発明は、適切な製剤の局所塗布によるボツリヌス毒素の送達、特に経皮的送達のための組成物及び方法を提供する。

0025

本発明により、本明細書に記載した有効基を有する正に荷電した担体分子は、ボツリヌス毒素を筋肉及び/又は他の皮膚関連構造に経皮投与することを可能にする、ボツリヌス毒素のための輸送系として適当であることが見出された。輸送はボツリヌス毒素の共有結合修飾なしで起こる。

0026

「正に荷電した」とは、担体が、少なくともいくつかの溶液相条件下で、より好ましくは少なくともいくつかの生理学的適合性の条件下で正電荷を有することを意味する。より具体的に、本明細書で使用する「正に荷電した」は、関心のある基が、すべてのpH条件下で荷電する官能性、例えば第4級アミンを含む、又は第1級アミンの場合におけるpH変化などのある溶液相条件下で正電荷を獲得できる官能性を含むことを意味する。より好ましくは、本明細書で使用する「正に荷電した」は、生理学的適合性の条件を通してアニオン会合する性質を有するこれらの基を指す。当業者に明らかであるように、正に荷電した部分を複数有するポリマーは、ホモポリマーである必要はない。正に荷電した部分の他の例は、先行技術において周知であり、当業者に明らかであるように、容易に利用することができる。

0027

一般的に、正に荷電した担体(「正に荷電した骨格」とも称せられる)は、典型的には原子の直鎖であって、鎖中に生理的pHで正電荷を帯びる基を有するか、又は骨格から伸びた側鎖に結合した正電荷を帯びる基を有するかのいずれかである。好ましくは、正に荷電した骨格それ自体は明確な酵素的又は治療的生物活性を有しないであろう。線状の骨格は炭化水素骨格であり、いくつかの実施形態においては、窒素酸素イオウケイ素及びリンから選択されたヘテロ原子により中断されている。骨格鎖原子の大部分は通常炭素である。さらに、骨格は、しばしば、反復単位のポリマー(例えば、アミノ酸、ポリエチレンオキシ)、ポリ(プロピレンアミン)、ポリアルキレンイミン等)であるが、ヘテロポリマーであってもよい。実施形態の一群において、正に荷電した骨格は、多数のアミン窒素原子が正電荷を帯びたアンモニウム基(四置換)として存在するポリプロピレンアミンである。他の実施形態において、正に荷電した骨格は非ペプチジルポリマーであり、それは、約10,000〜約2,500,000、好ましくは約100,000〜約1,800,000、及び最も好ましくは約500,000〜約1,400,000の分子量を有するポリアルキレンアミン、例えば、ポリエチレンアミン若しくはポリプロピレンイミンなどのヘテロ又はホモポリマーであってよい。実施形態の他の群において、骨格は、正に荷電した基(例えば、アンモニウム基、ピリジニウム基ホスホニウム基スルホニウム基グアニジニウム基、又はアミジニウム基)を含む複数の側鎖部分を結合している。この実施形態の群における側鎖部分は、骨格に沿って一貫した距離間隔で又は変化する間隔で置かれることができる。さらに、側鎖の長さは同様でも異なってよい。例えば、実施形態の一群において、側鎖は、1〜20個の炭素原子を有し、上記の正に荷電した基の1つの遠位端(骨格から離れた)で末端となる線状又は分岐炭化水素鎖であってよい。本発明のすべての態様において、担体と生物活性物質との結びつきは、非共有結合相互作用によるものであり、その例にはイオン相互作用、水素結合ファンデルワールス力、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定はされない。

0028

実施形態の一群において、正に荷電した骨格は、複数の正に荷電した側鎖(例えば、リジンアルギニンオルニチンホモアルギニン等)を有するポリペプチドである。好ましくは、ポリペプチドは約10,000〜約1,500,000、より好ましくは約25,000〜約1,200,000、及び最も好ましくは約100,000〜約1,000,000の分子量を有する。当業者は、本発明のこの部分においてアミノ酸が使用されるとき側鎖は結合の中心でD又はL型(R又はS立体配置)のいずれかを有することができることを理解するであろう。或いは、骨格は、ペプトイドなどポリペプチドの類似体であってもよい。例えば、Kessler, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 32:543 (1993); Zuckermann et al. Chemtracts-Macromol. Chem. 4:80 (1992);及びSimon et al. Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 89:9367 (1992))を参照されたい。簡単に述べると、ペプトイドは、側鎖がα炭素原子よりもむしろ骨格窒素原子に結合したポリグリシンである。上記のように、側鎖部分は通常正に荷電した基で末端となり、正に荷電した骨格成分を提供する。ペプトイドの合成は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,877,278号に記載されている。この用語が本明細書において使用されるとき、ペプトイド骨格構造を有する正に荷電した骨格は、それらがα炭素位置に天然に生ずる側鎖を有するアミノ酸で構成されていないので、「非ペプチド」と見なされる。

0029

種々の他の骨格が、例えば、Fletcher et al. ((1998) Chem. Rev. 98:763)により概説され、その総説中に引用されている文献により詳説されているように、例えば、エステル結合チオアミド(−CSNH−)、逆チオアミド(−NHCS−)、アミノメチレン(−NHCH2−)、若しくは逆向きのメチレンアミノ(−CH2NH−)基、ケトメチレン(−COCH2−)基、ホスフィネート(−PO2RCH2−)、ホスホアミデート及びホスホンアミデートエステル(−PO2RNH−)、逆ペプチド(−NHCO−)、trans−アルケン(−CR=CH−)、フルオロアルケン(−CF=CH−)、ジメチレン(−CH2CH2−)、チオエーテル(−CH2S−)、ヒドロキシエチレン(−CH(OH)CH2−)、メチレンオキシ(−CH2O−)、テトラゾール(CN4)、スルホンアミド(−SO2NH−)、メチレンスルホンアミド(−CHRSO2NH−)、逆スルホンアミド(−NHSO2−)などの代替基でペプチドのアミド結合を置き換え、並びに、骨格をマロン酸エステル及び/又はgem−ジアミノアルキルサブユニットで置き換えた、ポリペプチドの立体的又は電子模倣体を利用して使用され得る。前述の置換の多くは、α−アミノ酸から形成された骨格に比較してほぼ等比体積ポリマー骨格を生ずる。

0030

上で提供された骨格の各々に、正に荷電した基を有する側鎖基を付け加えることができる。例えば、スルホンアミドで結合した骨格(−SO2NH−及び−NHSO2−)は、窒素原子に結合した側鎖基を有することができる。同様に、ヒドロキシエチレン(−CH(OH)CH2−)結合は、ヒドロキシサブユニットに結合した側鎖基を担持することができる。当業者は、標準合成方法を使用して、正に荷電した側鎖基を提供するように、他の結合の化学的性質を容易に適合させることができる。

0031

一実施形態において、正に荷電した骨格は、分岐基(有効基とも称せられる)を有するポリペプチドである。本明細書で使用する有効基又は分岐基は、正に荷電した骨格が組織又は細胞膜を通して移行することを促進する効果を有する任意の作用物質である。有効基又は分岐基の例には、-(gly)n1-(arg)n2(下付き文字n1は0〜20の整数であり、より好ましくは0〜8であり、さらにより好ましくは2〜5であり、下付き文字n2は独立に約5〜約25の、より好ましくは約7〜約17の、最も好ましくは約7〜約13の奇数の整数である)、HIV−TAT若しくはそのフラグメント、又はアンテナペディアのタンパク質導入ドメイン若しくはそのフラグメントが挙げられるが、これらに限定はされない。HIV−TATフラグメントが式(gly)p-RGRDDRRQRRR-(gly)q、(gly)p-YGRKKRRQRRR-(gly)q又は(gly)pRKKRRQRRR-(gly)q(下付き文字p及びqは各々独立に0〜20の整数である)を有し、フラグメントはそのC末端又はN末端のいずれかにより骨格に結合している実施形態がさらに好ましい。好ましいHIV−TATフラグメントは、下付き文字p及びqが各々独立に0〜8、より好ましくは2〜5であるものである。他の好ましい実施形態において、正に荷電した側鎖又は分岐基は、アンテナペディア(Antp)タンパク質導入ドメイン(PTD)又は活性を保持しているそのフラグメントである。正に荷電した担体も、側鎖の正に荷電した分岐基を全担体重量百分率として少なくとも約0.05%、好ましくは約0.05〜約45重量%、最も好ましくは約0.1〜約30重量%の量で含むことが好ましい。式-(gly)n1-(arg)n2を有する正に荷電した分岐基に対して、その最も好ましい量は約0.1〜約25%である。

0032

他の実施形態において、骨格部分ポリリジンであり、正に荷電した分岐基がリジン側鎖のアミノ基に結合している。ポリリジンは、約10,000〜約1,500,000、好ましくは約25,000〜約1,200,000、最も好ましくは約100,000〜約1,000,000の分子量を有することができる。ポリリジンは、例えば、70,000を超える分子量を有するポリリジン、70,000〜150,000の分子量を有するポリリジン、150,000〜300,000の分子量を有するポリリジン、及び300,000を超える分子量を有するポリリジンなどの市販ポリリジン(Sigma Chemical Company社製、St. Louis, Missouri, USA)のいずれでもよい。適当なポリリジンの選択は、組成物の残余の成分に依存し、組成物の全体の正味の正電荷を提供するために十分で、負に荷電した成分の長さの合計の好ましくは1〜4倍の長さを提供するであろう。好ましい正に荷電した分岐基即ち有効基には、例えば、-gly-gly-gly-arg-arg-arg-arg-arg-arg-arg(-Gly3Arg7)又はHIV−TATが含まれる。他の好ましい実施形態においては、正に荷電した骨格は、例えば約1,000,000の分子量を有するポリエチレンイミンなどの長鎖ポリアルキレンイミンである。

0033

ポリペプチド若しくはポリアルキレンイミンを含み、上記の分岐基を有する正に荷電した骨格又は担体は新規化合物であり、本発明の態様を形成する。

0034

本発明の一実施形態においては、正に荷電した分岐基を有する正に荷電した担体のみが、ボツリヌス毒素の経皮送達に必要である。ある実施形態においては、正に荷電した担体は、複数の上記の正に荷電した側鎖基を有するポリペプチド(例えばリジン、アルギニン、オルニチン、ホモアルギニン等)である。ポリペプチドは少なくとも約10,000の分子量を有することが好ましい。他の実施形態において、正に荷電した担体は、少なくとも約100,000の分子量を有する正に荷電した複数の側鎖基を有するポリアルキレンイミンなどの非ペプチジルポリマーである。そのようなポリアルキレンイミンには、ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミンが含まれる。いずれの例においても、経皮送達のための唯一の必要な作用剤として使用するために、正に荷電した担体分子は、-(gly)n1-(arg)n2(下付き文字n1は0〜20の整数であり、より好ましくは0〜8であり、さらにより好ましくは2〜5であり、下付き文字n2は独立に約5〜約25の、より好ましくは約7〜約17の、最も好ましくは約7〜約13の奇数の整数である)、HIV−TAT若しくはそのフラグメント、又はアンテナペディアPTD若しくはそのフラグメントを含む正に荷電した分岐基即ち有効基を含むことが好ましい。側鎖又は分岐基は、上記の一般式-(gly)n1-(arg)n2を有する。他の好ましい実施形態は、分岐基又は有効基が、式(gly)p-RGRDDRRQRRR-(gly)q、(gly)p-YGRKKRRQRRR-(gly)q又は(gly)p-RKKRRQRRR-(gly)qを有するHIV−TATフラグメント(下付き文字p及びqは各々独立に0〜20の整数である)であり、そのフラグメントはそのC末端又はN末端のいずれかにより担体分子に結合しているものである。側鎖の分岐基は結合の中心でD又はL型(R又はS立体配置)のいずれかを有することができる。適当なHIV−TATフラグメントは、下付き文字p及びqが各々独立に0〜8、より好ましくは2〜5の整数であるものである。他の好ましい実施形態は、分岐基がアンテナペディアPTD基又はその基の活性を保持しているそのフラグメントであるものである。これらは、当技術分野において、例えばConsole et al., J Biol. Chem. 278:35109 (2003)により知られている。正に荷電した担体は、正に荷電した分岐基を、全担体重量の百分率として少なくとも約0.05%、好ましくは約0.05〜約45重量%、最も好ましくは約0.1〜約30重量%の量で含むことが好ましい。式-(gly)n1-(arg)n2を有する正に荷電した分岐基に対して、その最も好ましい量は約0.1〜約25%である。

0035

他の実施形態において、担体はリジンの側鎖アミノ基に結合した正に荷電した分岐基を有するポリリジンである。この特別の実施形態で使用されるポリリジンは、例えば70,000を超える分子量を有するポリリジン、70,000〜150,000の分子量を有するポリリジン、150,000〜300,000の分子量を有するポリリジン、及び300,000を超える分子量を有するポリリジンなどの市販ポリリジン(例えばSigma Chemical Company社製、St. Louis, Missouri, USA)のいずれでもよい。しかしながら、ポリリジンは少なくとも約10,000の分子量を有することが好ましい。正に荷電した分岐基即ち有効基には、例えば-gly-gly-gly-arg-arg-arg-arg-arg-arg-arg(-G1y3Arg7)、HIV−TAT又はそのフラグメント、及びアンテナペディアPTD又はそのフラグメントが含まれることが好ましい。

0036

本発明の他の実施形態において、担体は比較的短いポリリジン又はポリエチレンイミン(PEI)骨格(線状であっても分岐していてもよい)であり、正に荷電した分岐基を有する。そのような担体は、輸送効率を劇的に低下させる治療用組成物中の骨格及びボツリヌス毒素の制御されない凝集を最小化するのに有用である。担体が比較的短い線状ポリリジン又はPEI骨格であるとき、骨格は、75,000未満の、より好ましくは30,000未満の、最も好ましくは25,000未満の分子量を有するであろう。しかしながら、担体が比較的短い分岐ポリリジン又はPEI骨格であるときには、骨格は、60,000未満の、より好ましくは55,000未満の、最も好ましくは50,000未満の分子量を有するであろう。しかしながら、本明細書に記載するような分配剤が組成物中に含まれていれば、分岐したポリリジン及びPEI骨格の分子量は75,000までであってよく、一方線状ポリリジン及びPEI骨格の分子量は150,000までであってよい。

0037

本明細書で使用する「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素の既知の型、細菌によって産生されるもの又は組換え技術によって生成するもののいずれをも、及び設計による変異体又は融合タンパク質をはじめとする、引き続いて発見されるであろう型のいずれをも指すものとする。上記に述べたように、現在のところ、7種の免疫学的に異なるボツリヌス神経毒、即ち、ボツリヌス神経毒血清型A、B、C、D、E、F及びGが特徴付けられており、それらのそれぞれが、型に特異的な抗体を用いた中和によって区別される。ボツリヌス毒素の血清型は、Sigma-Aldrich社、Metabiologics社(Madison、ウィスコシン州)及びその他の供給源から入手できる。異なる血清型のボツリヌス毒素は、それらが作用する動物種、並びにそれらが惹起する麻痺の重症度及び持続時間が異なる。少なくとも2つの型のボツリヌス毒素、A型及びB型が、特定の状態を治療するための製剤として市販されている。例えば、A型は、Allergan社製の登録商標BOTOX(登録商標)を有する調製物及びIpsen社製の登録商標DYSPORT(登録商標)を有する調製物に含有されており、B型は、Elan社製の登録商標MYOBLOC(登録商標)を有する調製物に含有されている。

0038

本発明の組成物に使用するボツリヌス毒素は、別法として、ボツリヌス毒素の誘導体、即ち、ボツリヌス毒素の活性を有するが、自然に存在する又は組換えによるネイティブなボツリヌス毒素に対して、いずれかの部分又はいずれかの鎖に、1つ又は複数の化学的又は機能的な変更を含有する化合物であってもよい。例えば、ボツリヌス毒素は、改変された神経毒(例えば、ネイティブに比較して、少なくとも1つのアミノ酸が欠失、修飾若しくは置換されている神経毒又は組換えによって生成した神経毒又はそれらの誘導体若しくは断片)であることができる。例えば、ボツリヌス毒素は、例えば、その特性が増強される又は望ましくない副作用が軽減されるが、所望のボツリヌス毒素の活性はそのまま維持されるように改変されたものであってもよい。ボツリヌス毒素は、上記に記載したように、細菌によって産生されるボツリヌス毒素の複合体のいずれかであることができる。別法として、ボツリヌス毒素は、組換え技術又は化学合成技術を使用して調製される毒素であることができる(例えば、組換えペプチド、融合タンパク質又は異なるボツリヌス毒素の血清型のサブユニット若しくはドメインから調製されるハイブリッド神経毒(米国特許第6444209号を参照))。また、ボツリヌス毒素は、必要なボツリヌス毒素の活性を有することが示されている、全体の分子の一部であることもでき、そのような場合、それ自体又は組み合わせた若しくは複合化した分子の部分、例えば、融合タンパク質として使用することができる。さらに、ボツリヌス毒素は、ボツリヌス毒素の前駆体であることもでき、それは、それ自体には毒性がなくてもよく、例えば、タンパク質分解性の切断で毒性を有するようになる、毒性のない亜鉛プロテアーゼであることができる。

0039

また、ボツリヌス毒素の血清型の混合物は、それらの異なる性質及び特性のために、現在のところ、保健医療又は化粧品の業界では、通常は投与されていないが、本発明は、ボツリヌス毒素の組合せ及び混合物の一般的な使用も意図する。

0040

本発明の組成物は、特定の治療を必要とする被験者又は患者即ちヒト又はその他の動物の皮膚又は上皮に塗布される製品の形態をしていることが好ましい。「必要とする」という用語は、例えば、望ましくない顔面筋痙縮を伴う状態を治療する薬学的及び健康関連の必要性、並びに例えば、顔面組織外観を変更又は改変する美容的及び主観的必要性を含むことを意味する。一般的に、組成物はボツリヌス毒素を担体と、及び通常は1つ又は複数の薬学的に許容される追加の担体又は賦形剤と混合することにより調製される。それらの最も単純な形態では、それらは緩衝食塩水などの単純な水溶性の、薬学的に許容される担体又は希釈剤を含むことができる。しかしながら、組成物は、皮膚科学的に又は薬学的に許容される担体、媒体、又は媒質(即ち塗布されると思われる組織に適合性の担体、媒体、又は媒質)を含めた、局所医薬用又は薬用化粧品組成物に典型的な他の成分を含むことができる。本明細書で使用する「皮膚科学的に又は薬学的に許容される」という用語は、そのように記述されるその組成物又は成分が、不適切な毒性、不適合性不安定性アレルギー反応等がなくて、これらの組織と接触して使用、又は一般的に患者に使用するのに適していることを意味する。本発明の組成物は、考慮している分野において、特に化粧品及び皮膚科において従来使用されている任意の成分を、必要に応じて含むことができる。組成物は、小アニオン、好ましくは多価アニオン、例えば、リン酸アスパラギン酸又はクエン酸アニオンの一定量を含むこともできる。

0041

それらの形態に関して、本発明の組成物は、溶液剤、乳液剤(マイクロエマルション剤を含む)、懸濁液剤クリーム剤ローション剤ゲル剤散剤、又は皮膚及び、組成物を使用することができる他の組織に塗布するために使用される他の代表的固体若しくは液体組成物を含むことができる。そのような組成物は、ボツリヌス毒素及び担体に加えて、抗菌剤加湿剤及び水和剤浸透剤防腐剤乳化剤、天然若しくは合成油溶媒界面活性剤洗剤皮膚軟化薬酸化防止剤香料充填剤増粘剤ワックス臭気吸収材色素着色剤及び粉末などの、並びに場合により麻酔薬かゆみ止め植物抽出物品質改良剤暗色化剤、淡色化剤、光沢材保湿剤雲母鉱物ポリフェノールシリコーン若しくはその誘導体、日焼け止めビタミン及び植物医薬を含む、そのような製品で通常使用される他の成分を含むことができる。

0042

特に好ましい実施形態において、組成物は、ゲル化剤及び/又は粘度改良剤を含む。これらの作用剤は、組成物の塗布を容易に及び正確にするように、通常、組成物の粘度を増大させるために添加される。それに加えて、これらの作用剤は、ボツリヌス毒素の活性の低下を惹起する傾向がある、ボツリヌス毒素/担体水溶液の乾燥を防止するのに役立つ。特に好ましい作用剤は、荷電していなくて、ボツリヌス毒素の活性又は毒素/担体複合体の皮膚に移動する効率に干渉しないものである。ゲル化剤は、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などのあるセルロース系ゲル化剤であってよい。いくつかの実施形態において、ボツリヌス毒素/担体複合体は2〜4%のHPCを有する組成物中で製剤化される。或いは、ボツリヌス毒素/担体複合体を含む溶液の粘度を、ポリエチレングリコール(PEG)を添加することにより変化させることができる。他の実施形態において、ボツリヌス毒素/担体複合体溶液は、Cetaphil(登録商標)保湿剤などの予め混合した粘性作用剤と配合される。

0043

本発明の組成物は、分配剤を含んでいてもよい。本明細書で使用する「分配剤」は、本発明のボツリヌス毒素と担体との望ましくない又は制御されない凝集を防止又は最小化する性質を有する何らかの物質又は添加剤である。分配剤は、例えば、容量の制約により濃縮されたボツリヌス毒素溶液を使用しなければならないときに有用になり得る。これらの場合に、分配剤はボツリヌス毒素を分散状態に保ち、それにより分配剤がなければ起こるであろう毒素の凝集を防止する。一般的に分配剤は、(1)刺激性でなく、(2)ボツリヌス毒素を破壊せず、(3)透過性を少しも増加させず、(4)信頼できる且つ安定な粒子サイズを与え、(5)電荷を有せず、(6)毒素と経皮用担体との複合体に干渉しない。適当な分配剤の例は、エタノール(EtOH)である。好ましい実施形態において、EtOHは組成物の20%未満であり、最も好ましくは組成物の5%未満である。

0044

例として、容量の制約から、100Uのボツリヌス毒素を、2.5mlではなく、0.5mlの溶液中に再構成する必要がある場合、通常、ボツリヌス毒素に、望ましくない凝集が発生し、そのため、活性の低下が認められるであろう。しかし、1%EtOHを、分散剤として添加することによって、この濃度において、24時間後でも、完全な活性が維持される。別の例として、Botox(登録商標)は、0.9%NaCl中の1.0mlの再構成において、完全な活性を有するが、1%及び5%EtOHに0.9%NaClを添加した中の0.5mlの再構成では、完全な活性を有する溶液を得る。

0045

本発明の特定の実施形態においては、毒素と正に荷電した骨格である担体との複合体形成を改善するために、オリゴ架橋又はポリアニオン架橋を、ボツリヌス毒素の組成物に添加する。当技術分野で周知のように、ボツリヌス毒素は、実は、異なるタンパク質の複合体であり、それらの中には、正に荷電したもの及び負に荷電しているものがある。毒素の成分の厳密な分布は、毒素源によって異なることから、特定の源のボツリヌス毒素が、本明細書に記載する正に荷電した骨格とは、複合体を形成しにくい性向がある場合がある。しかし、本発明の一態様は、そのようなボツリヌス毒素に、オリゴ架橋又はポリアニオン架橋を添加することによって、局所投与の効率及び効力が、劇的に増加することを発見したことである。そのようなオリゴ−/ポリアニオン架橋の適切な例として、リン酸ナトリウム(5%)、PBS又は5%ポリ−L−アスパラギン酸(例えば、3000のMWを有する)が挙げられる。

0046

本発明の組成物は、徐放性又は持続性の組成物の形態であることができ、ボツリヌス毒素と担体とは、それらが皮膚上に時間をかけて制御されて放出されるような材料の中に被包されているか、そうでなければ含有されている。ボツリヌス毒素と担体とは、マトリックスリポソームベシクルマイクロカプセルマイクロスフェア等の中に、又は固体の粒子の材料の中に含有されており、それらはすべて、ボツリヌス毒素が時間をかけて放出されるように選択され且つ/又は構築される。ボツリヌス毒素と担体とを、(例えば、同一のカプセル内に)一緒に、又は(異なるカプセル内に)別々に被包することができる。

0047

本明細書に記載の組成物を使用して、ボツリヌス毒素を、皮膚の下にある筋肉又は皮膚内の構造に、有効量で送達して、麻痺を起こすこと、弛緩を起こすこと、収縮を軽減すること、痙攣を予防若しくは軽減すること、腺分泌を減少させること又はその他の所望の効果をもたらすことができる。このようなボツリヌス毒素の局所送達によって、用量を減らすこと、毒性を低下させること、及び注射用又は埋め込み用の材料に比べ、所望の効果を得るためのより正確な用量の最適化が可能となるであろう。

0048

本発明の組成物は、有効量のボツリヌス毒素を投与するように塗布される。本明細書で使用する「有効量」という用語は、所望の筋肉の麻痺又はその他の生物学的若しくは美観的効果をもたらすのに十分であるが、言うまでもなく安全な量、即ち重大な副作用を避けるのに十分なだけ低い、上で定義したボツリヌス毒素の量を意味する。所望の効果として、例えば、小じわ及び/若しくはしわの出現を、特に、顔において、減らすこと、又は目を大きく見せる、口の角を持ち上げる、若しくは上唇から扇状に広がるしわをのばす等、その他の様式で顔の外見を整えることを目的とする特定の筋肉の弛緩、或いは筋肉の緊張全般的な軽減が挙げられる。この最後に述べた効果、即ち、筋肉の緊張の全般的な軽減は、顔又はその他の場所にもたらすことができる。本発明の組成物は、単回投与治療として塗布するために適当な有効量のボツリヌス毒素を含むことができ、又は、投与の場所で希釈するため、若しくは複数回塗布で使用するために、より濃縮することができる。本発明の正に荷電した担体の使用により、ボツリヌス毒素は、望ましくない顔筋若しくはその他の筋肉の痙攣等の状態、多汗症、ざ瘡、又は筋肉の痛み若しくは痙攣の軽減が望まれる体内のその他の場所の状態を治療するために、対象に経皮投与することができる。ボツリヌス毒素は、筋肉に又は他の皮膚関連構造に経皮送達するために局所投与される。例えば、脚、肩、背中(背部を含む)、腋窩手掌、足、頚部鼠径部、手及び足の上腕太腿殿部、胴、骨盤、又はボツリヌス毒素の投与が望まれる任意の他の身体部分に投与を行うことができる。

0049

また、本発明のボツリヌス毒素の製剤を投与して、その他の状態を治療することもでき、例として、神経性疼痛の治療、偏頭痛若しくはその他の頭痛の予防若しくは軽減、ざ瘡の予防若しくは軽減、(主観的若しくは臨床的な)ジストニア若しくはジストニア性の収縮の予防若しくは軽減、主観的若しくは臨床的な多汗症に伴う症状の予防若しくは軽減、分泌過多若しくは発汗の軽減、免疫応答の低下若しくは増強、又は注射によるボツリヌス毒素の投与が示唆若しくは実施されてきているその他の状態の治療が挙げられる。

0050

また、免疫化に関連する目的で、本明細書に記載するボツリヌス毒素又はその他の治療用タンパク質を投与することもできる。驚くべきことに、本明細書に記載するボツリヌス毒素の投与によって、免疫応答を低下させることができる。より具体的には、本発明は、ボツリヌス毒素を、別の投与経路から送達し、それによって、本薬剤の複雑な抗原提示を変化させることができる。このようにして、本発明は、ボツリヌス毒素に対しての抗原に対する免疫応答を低下させる点、及び活性を免疫に関連して低下させることなく、反復投与を容易にする点で有用である。別法として、複合体を調製し、局所塗布して、免疫応答を増強させる、例えば、種々のタンパク質に関する免疫化を行うことができ、例として、注射によらない小児の免疫化に用いることができる。免疫活性に関連する使用の場合、「有効量」とは、それを塗布又は複数回塗布した後に、ボツリヌス毒素に対する免疫応答を対象に開始させるのに十分なボツリヌス毒素の量を指す。

0051

組成物は、医師又は他の健康管理専門家の指示により又は指示の下に投与されることが最も好ましい。それらは、単回治療又は時間をかけた一連の定期的治療で投与することができる。上述の目的のボツリヌス毒素の経皮送達のために、上記の組成物は、効果が望まれる1カ所又は数カ所の位置で皮膚に局所的に塗布される。実施形態では、ボツリヌス毒素/担体の水溶液を直接皮膚に塗布し、毒素の活性低下に通じるであろう溶液の乾燥を防止するために、治療域を覆うか(例えば、Cetaphil(登録商標)保湿剤で)、又はバリア(例えば、Telfa)で治療域を封入することが好ましい。その性質上、最も好ましくは、ボツリヌス毒素の塗布される量を、如何なる副作用も望ましくない結果も生じないで所望の結果を生ずるであろう塗布率及び塗布頻度注意して塗布すべきである。従って、例えば、本発明の局所用組成物は、皮膚表面1cm2当たり約1U〜約20,000U、好ましくは約1U〜約10,000Uのボツリヌス毒素で塗布すべきである。好ましくは、これらの範囲の高い方の用量は、例えば、放出制御材料と組み合わせて使用するか、又は除去するまでの皮膚上の滞留時間を短くして許容される。

0052

溶液の有効性を保つためには、ボツリヌス毒素/担体組成物の塗布に先立つ皮膚表面の適切な準備が大切である。例えば、塗布に先立って皮膚表面の油を除去清浄する目的で、皮膚表面に界面活性剤を導入することは、界面活性剤がボツリヌス毒素の活性を破壊するように思われるので、驚くほど逆効果を招く。たとえその後でボツリヌス毒素/担体溶液の塗布前に皮膚を水で数回洗浄しても、このことは起こる。乳児を拭くのに見られるものなど極めて穏やかな界面活性剤でさえ、この現象を引き起こすようである。従って、本発明の組成物を投与する好ましい方法においては、水だけを使用して皮膚を前清浄する。水のみで洗浄することは、ボツリヌス毒素の経皮輸送を中程度に改善するようでもある。

0053

それに加えて、ボツリヌス毒素/担体複合体の塗布に先立って、角質層を減少させるために皮膚を剥がすことができる。原理的に、皮膚を剥がす過程はボツリヌス毒素の経皮輸送の効率増強に通じるはずである。しかしながら、皮膚を剥がすために使用される方法が重要である。例えば、ヒト又は動物の角質層をアセトンの媒介により減少させると、その後に塗布されるボツリヌス毒素の活性は低下するようである。対照的に、テープストリッピング(即ち皮膚にテープを貼ってそれからテープを除去する)は、ボツリヌス毒素のより深い浸透及びマウスモデル及びヒトの両方における用量の減少を可能にするようである。皮膚表面の擦過(例えば、研磨パッドの使用による)はテープストリッピングと同様な効果を生ずると推定される。

0054

ボツリヌス毒素と本明細書で定義された分岐基の結合した正に荷電した骨格を有する担体とを含む組成物の経皮透過のためのデバイスも本発明に含まれる。そのようなデバイスは、皮膚パッチのように構造の簡単なものであってもよく、又は組成物を分配して分配をモニターする手段、及び場合により、被験者の状態をモニターする(例えば、分配された物質に対する被験者の反応をモニターする)手段を備えたより複雑なデバイスであってもよい。

0055

装置の構築に用いる材料の選択が重要であることに留意されたい。送達装置の構築に好ましい材料は、分解又は装置の表面へのボツリヌス毒素の望ましくない吸収のいずれかによって、ボツリヌス毒素/担体溶液の活性の損失を起こさないものである。そのような望ましくない挙動が、例えば、水溶液中のボツリヌス毒素/担体が、ポリプロピレンの表面と接触した場合に観察されているが、ボツリヌス毒素/担体溶液が、塩化ビニルPVC)の表面と接触した場合には観察されていない。

0056

一般に、組成物は、予め製剤化する、及び/又はデバイスに予め充填することができ、又は、例えば、2つの成分(ボツリヌス毒素及び担体)を別々に収容しているが、塗布時に又は塗布前に配合する手段を提供するキットを使用して後で調製することができる。担体分子の量又はボツリヌス毒素に対するその比は、関心のある組成物に使用するためにどの担体が選択されるかに依存するであろう。与えられた場合における担体分子の適当な量又は比は、例えば、下で述べるような1つ又は複数の実験を行うことにより容易に決定することができる。

0057

一般に、本発明は、ボツリヌス毒素を、それが必要な対象又は患者に投与する方法も含む。本方法は、有効量のボツリヌス毒素を、本明細書に記載した正に荷電した分岐基が結合した正に荷電した骨格を有する担体と併せて局所投与することを含む。「と併せて」は、2つの成分(ボツリヌス毒素及び担体)が、それらを1つの組成物中に配合して続いてそれを被験者に投与するか、又はそれらを別々に投与するがそれらが一緒に作用して有効量の治療用タンパク質の必要な送達を提供するかのいずれかを含む組合せ手順で投与されることを意味する。例えば、最初に担体を含む組成物を被験者の皮膚に塗布して、次にボツリヌス毒素を含む皮膚パッチ又は他のデバイスを適用することができる。ボツリヌス毒素は皮膚パッチ又は他の分配デバイス中に乾燥形態で導入することができるが、パッチ適用の前に正に荷電した担体を皮膚に適用することができ、その結果その2つが一緒に作用して所望の経皮送達が行われる。従って、2つの物質(担体及びボツリヌス毒素)は、組合せで作用するか或いはその部位で組成物又は組合せを形成するように相互作用する。従って、本発明は、皮膚を通してボツリヌス毒素を分配するためのデバイスと、被験者の皮膚若しくは上皮に塗布するのに適した担体又は骨格を含む液剤、ゲル剤、クリーム剤等との両方を含むキットも含む。本発明の組成物を、健康管理の専門家の指示下に又は患者若しくは被験者により投与するためのキットは、その目的のために適した特製アプリケーターも含むことができる。

0058

本発明の組成物、キット及び方法は、より高い活性及び可能性として改善された薬物動態を有する、より純粋なボツリヌス毒素の送達を可能にする。それに加えて、担体は安定剤として作用して、外来補助的なタンパク質(例えば、400〜600mgの範囲のヒト血清アルブミン又は250〜500mgの範囲の組換え血清アルブミン)及び/又は多糖安定剤の必要性を減少させ、ボツリヌス毒素に対する免疫応答の有益な減少をもたらすことができる。それに加えて、組成物はpHが約4.5〜約6.3の範囲の生理的環境における使用に適していて、そのようなpHを有することができる。本発明の組成物は、室温又は冷蔵条件下のいずれでも保存することができる。

0059

以下に、本発明の代表的な実施例を示す。これらは、機能性のボツリヌス神経毒複合体の経皮送達を実証するものであり、送達するために本神経毒を共有結合的に改変する必要はない。
[実施例]

0060

Revance社製のペプチジル担体を使用したインビボにおけるボツリヌス毒素の輸送
本実験は、対照と比較した、単回投与後の、無処置の皮膚を介して、無処置の標識化タンパク質であるボツリヌス毒素を含有する大きな複合体を輸送するためのペプチジル担体の使用を実証する。

0061

骨格の選択:
正に荷電した骨格を、-Gly3Arg7をポリリジン(MW112,000)に、リジンの側鎖の遊離アミンへの末端グリシンカルボキシルを介して、18%の飽和度(即ち、リジン残基100個毎に18個が、-Gly3Arg7に結合する)で結合させることによって組み立てた。改変した骨格を、「KNR」と名付けた。対照のポリカチオンは、同一サイズである、同一ロットから得た未改変のポリリジンとした(「K」と名付けた;Sigma Chemical社製、St. Louis、ミズーリ州)。

0062

治療薬:
Botox(登録商標)の商標を有するボツリヌス毒素A(Allergan社製)を、本実験のために選択した。これは、約150,000の分子量を有する。

0063

試料の調製:
ボツリヌス毒素を、メーカーの指示に従って再構成した。計算された12倍モル過剰量のsulfo-NHS-LCビオチン(Pierce Chemical社製)で、タンパク質の一定分量ビオチン標識した。標識化した生成物を、「Btox−b」と名付けた。

0064

各々について、高度に負である大きなヌクレオチド複合体の輸送におけると同様に、過剰量のポリカチオンを利用して、過剰量の正の電荷を有する最終的な複合体を組み立てた。正味の中性又は正の電荷は、タンパク質複合体が、高度に負である細胞表面のプロテオグリカン及び細胞外基質拒絶されるのを妨げる。Btox−bの用量を、すべての群にわたり標準化し、局所塗布する組成物の全容量及び最終pHも標準化した。試料を、以下のように調製した。

0065

「JMW−7」と呼ばれる群:一定分量当たり2.0単位(即ち、全体で20U)のBtox−bとペプチジル担体KNRとを、4:1の計算されたMW比で、均一になるまで混合した後、リン酸緩衝食塩水で希釈し、200マイクロリットルとした。得られた組成物を、1.8mlのCetaphil(登録商標)クリームと共に均一になるまで混合し、200マイクロリットルずつ分注した。

0066

「JMW−8」と呼ばれる群:一定分量当たり2.0単位(即ち、全体で20U)のBtox−bとKとを、4:1のMW比で、均一になるまで混合した後、リン酸緩衝食塩水で希釈し、200マイクロリットルとした。得られた組成物を、1.8mlのCetaphilと共に均一になるまで混合し、200マイクロリットルずつ分注した。

0067

ペプチジル担体と標識化Btoxとを用いた、単回処置後の経皮送達効率を求めるための動物実験
処置剤を塗布する間、動物をイソフルラン吸入による麻酔下に置いた。麻酔後、C57black6マウス(各群n=4)に、計量した200マイクロリットルの用量の、背側背部の皮膚の頭部(マウスの口又は肢は、この領域には達しないことから選んだ)に塗布するのに適切な処置剤を、局所塗布した。マウスには、脱毛術を施さなかった。初期処置30分後、CO2の吸入により、マウスを安楽死させ、処置した皮膚区域を、完全な厚さで、盲検観察者収集した。処置区域を、3等分し、頭部を10%中性緩衝ホルマリン中で、12〜16時間固定し、次いで、パラフィン包埋まで70%エタノール中で保存した。中心部を急速冷凍し、以下に概要を述べるように、盲検の観察者によるビオチン可視化に直接利用した。処置した尾側区域は、可溶化の研究用に急速冷凍した。

0068

ビオチン可視化を、以下のように行った。要約すると、各切片を、NeutrAvidin(登録商標)緩衝液中に、1時間浸漬した。アルカリホスファターゼ活性を可視化するために、横断面を食塩水中で4回洗浄し、次いで、NBT/BCIP(Pierce Scientific社製)中に、1時間浸漬した。次いで、切片を食塩水中ですすいだ後、平面アポクロマートレンズを付けたNikon E600顕微鏡で、全体を撮影した。

0069

データの取扱い及び統計解析
完全陽性染色を、Image Pro Plusソフトウェア(Media Cybernetics社製、Sliver Spring、メリーランド州)を使用して、バッチ画像解析によって、盲検の観察者が求め、これを、各々について、全横断面領域正規化して、陽性染色率を求めた。次いで、各群について、Statviewソフトウェア(Abacus社製、Berkeley、カリフォルニア州)を使用して、一元配置分散分析反復測定において、有意差検定を95%の信頼度で行って、平均及び標準誤差を求めた。

0070

結果:
KNR(「EB−Btox」)又はK(「nl」)のいずれかを有するBtox−bを、単回局所投与した後、ビオチン標識したボツリヌス毒素に陽性であった平均横断面領域を、全領域に対するパーセントとして報告した。結果を、以下の表1に示し、図1に例示する。図1では、Btox−bとペプチジル担体KNRとを含有する「EB−Btox」、並びに対照として、Btox−bとポリカチオンKとを含有する「nl」で、1日1回処置した3日後、標識に陽性であった領域を、全領域に対するパーセントとして求めた。各群について、平均及び標準誤差を示す。

0071

0072

ペプチジル担体を有する局所ボツリヌス毒素調製物の治療的効力
実施例1は、無処置の皮膚のマウスモデルにおいて、局所投与後、ペプチジル経皮担体が、ボツリヌス毒素の効率的な移送を可能にすることを実証した。しかし、本実験では、複合タンパク質であるボツリヌス毒素が、皮膚を介して移動した後、機能を有する形態で放出されたかどうかという点は示さなかった。従って、以下の実験を構築して、ボツリヌス毒素を、このペプチジル担体を使用し、局所薬剤として、無処置の皮膚を介して、治療的に送達することができるかどうかを評価した(ここでも、タンパク質の共有結合的な改変はない)。

0073

再度、正に荷電した骨格を、-Gly3Arg7をポリリジン(MW112,000)に、リジンの側鎖の遊離アミンへの末端グリシンのカルボキシルを介して、18%の飽和度(即ち、リジン残基100個毎に18個が、-Gly3Arg7に結合する)で結合させることによって組み立てた。改変した骨格を、「KNR」と名付けた。対照のポリカチオンは、同一サイズである、同一ロットから得た未改変のポリリジンとした(「K」と名付けた;Sigma Chemical社製、St. Louis、ミズーリ州)。実施例1と同一のボツリヌス毒素治療薬を使用し、同一の方法で調製した。試料を、以下のように調製した。

0074

「JMW−9」と呼ばれる群:一定分量当たり2.0単位(即ち、全体で60U)のボツリヌス毒素とペプチジル担体KNRとを、4:1の計算されたMW比で、均一になるまで混合した後、リン酸緩衝食塩水で希釈し、600マイクロリットルとした。得られた組成物を、5.4mlのCetaphilと共に均一になるまで混合し、200マイクロリットルずつ分注した。

0075

「JMW−10」と呼ばれる群:一定分量当たり2.0単位(即ち、全体で60U)のボツリヌス毒素とKとを、4:1のMW比で、均一になるまで混合した後、リン酸緩衝食塩水で希釈し、600マイクロリットルとした。得られた組成物を、5.4mlのCetaphilと共に均一になるまで混合し、200マイクロリットルずつ分注した。

0076

「JMW−11」と呼ばれる群:一定分量当たり2.0単位(即ち、全体で60U)のボツリヌス毒素を、ポリカチオンを添加せず、リン酸緩衝食塩水で希釈し、600マイクロリットルとした。得られた組成物を、5.4mlのCetaphilと共に均一になるまで混合し、200マイクロリットルずつ分注した。

0077

ペプチジル担体とボツリヌス毒素とを用いた、単回処置後の治療的効力を求めるための動物実験:
処置剤を塗布する間、動物をイソフルランの吸入による麻酔下に置いた。麻酔後、C57black6マウス(各群n=4)に、計量した400マイクロリットルの用量の、つま先から大腿の中間部までに均一に塗布するのに適した処置剤を、局所塗布した。両肢を処置し、処置は、いずれかの側にランダム割り付けた。マウスには、脱毛術を施さなかった。初期処置30分後、マウスを、発表されている、ボツリヌス毒素投与後の足の可動性に関する指の外転スコアに従って、指の外転性について評価した[Aoki, KR. A comparison of the safety margins of botulinum neurotoxin serotypes A, B, and F in mice. Toxicon. 2001 Dec; 39(12):1815-20]。また、マウスの可動性も、主観的に評価した。

0078

データの取扱い及び統計解析:
指の外転スコアを、2人の盲検の観察者が、独立に表にした。次いで、各群について、Statviewソフトウェア(Abacus社製、Berkeley、カリフォルニア州)を使用して、一元配置分散分析反復測定において、有意差検定を95%の信頼度で行って、平均及び標準誤差を求めた。

0079

結果:
KNR(「JMW−9」)、K(「JMW−10」)又はポリカチオンを含有しない希釈液(「JMW−11」)を有するボツリヌス毒素を、単回局所投与した後の指の外転スコアの平均を、以下に、表2に示し、図2の代表的な顕微鏡写真に例示する。ペプチジル担体KNRは、互いに比較可能である対照に対して、統計的に有意に機能的に、皮膚を介して、ボツリヌス毒素を送達した。対照は、互いに同等であった。さらに、本実験を、独立して繰り返して行ったところ、本知見が確認され(全部で3回の実験を独立して行い、対照には見られない、KNRを有する局所ボツリヌス毒素には、統計的に有意な麻痺を認める点で、同一の結果を得た)、Kを有する局所ボツリヌス毒素とKなしの局所ボツリヌス毒素と(即ち、両方の対照)の間には、有意な差がないことが明らかになった。興味深いことに、マウスは、一貫して、麻痺した肢に向かって移動した(この発生率は、処置動物では100%であり、いずれの対照群対照動物でも0%であった)。図2に示すように、対照のポリカチオンであるポリリジンを添加したボツリヌス毒素を用いて、又はポリカチオンなしのボツリヌス毒素(「毒素単独」)を用いて処置した肢は、(持ち上げられたときの防御機構として)指を動かすことができるが、ペプチジル担体であるKNRを添加したボツリヌス毒素(Revance社製のボツリヌス製剤)を用いて処置した肢は、指を動かすことができなかった。

0080

0081

結論
本実験によって、ペプチジル経皮担体は、治療に有効な量のボツリヌス治療薬を、当該の治療薬を共有結合的に改変することなく、皮膚を介して輸送することができることが実証された。また、本実験によって、対照における局所塗布の場合、ボツリヌス毒素は、機能しないことも確認された。

0082

非ペプチジル担体を有する局所ボツリヌス毒素調製物の治療的効力
本実験は、本発明の非ペプチジル担体の性能を実証する。

0083

方法:
骨格の選択:
正に荷電した骨格を、-Gly3Arg7をポリエチレンイミン(PEI)、MW1,000,000、に、PEIの側鎖の遊離アミンへの末端グリシンのカルボキシルを介して、30%の飽和度(即ち、リジン残基100個毎に30個が、-Gly3Arg7に結合する)で結合させることによって組み立てた。改変した骨格を、「PEIR」と名付けて、大きな非ペプチジル担体であることを意味した。対照のポリカチオンは、同一サイズである、同一ロットから得た未改変のPEIとした(「PEI」と名付けた;Sigma Chemical社製、St. Louis、ミズーリ州)。実施例1と同一のボツリヌス毒素治療薬を使用した。

0084

ボツリヌス毒素を、メーカーの指示に従って、Botox製品から再構成した。各々について、高度に負である大きなヌクレオチド複合体の輸送におけると同様に、過剰量のポリカチオンを利用して、過剰量の正の電荷を有する最終的な複合体を組み立てた。正味の中性又は正の電荷は、タンパク質複合体が、高度に負である細胞表面のプロテオグリカン及び細胞外基質に拒絶されるのを妨げる。ボツリヌス毒素の用量を、すべての群にわたり標準化し、局所塗布する組成物の全容量及び最終pHも標準化した。試料を、以下のように調製した。

0085

「AZ」と呼ばれる群:一定分量当たり2.0単位(即ち、全体で60U)のボツリヌス毒素と超純粋な非ペプチジル担体PEIRとを、5:1の計算されたMW比で、均一になるまで混合した後、リン酸緩衝食塩水で希釈し、600マイクロリットルとした。得られた組成物を、5.4mlのCetaphilと共に均一になるまで混合し、200マイクロリットルずつ分注した。

0086

「BA」と呼ばれる群:一定分量当たり2.0単位(即ち、全体で60U)のボツリヌス毒素とPEIとを、5:1の仕込み比で、均一になるまで混合した後、リン酸緩衝食塩水で希釈し、600マイクロリットルとした。得られた組成物を、5.4mlのCetaphilと共に均一になるまで混合し、200マイクロリットルずつ分注した。

0087

単回処置後の治療的効力を求めるための動物実験:
処置剤を塗布する間、動物をイソフルランの吸入による麻酔下に置いた。麻酔後、C57black6マウス(各群n=3)に、計量した400マイクロリットルの用量の、つま先から大腿の中間部までに均一に塗布するのに適した処置剤を、局所塗布した。両肢を処置し、処置は、いずれかの側にランダムに割り付けた。マウスには、脱毛術を施さなかった。初期処置30分後、マウスを、発表されている、ボツリヌス毒素投与後の足の可動性に関する指の外転スコアに従って、指の外転性について評価した[Aoki, KR. A comparison of the safety margins of botulinum neurotoxin serotypes A, B, and F in mice. Toxicon. 2001 Dec; 39(12):1815-20]。また、マウスの可動性も、主観的に評価した。

0088

データの取扱い及び統計解析:
指の外転スコアを、2人の盲検の観察者が、独立に表にした。次いで、各群について、Statviewソフトウェア(Abacus社製、Berkeley、カリフォルニア州)を使用して、一元配置分散分析反復測定において、有意差検定を95%の信頼度で行って、平均及び標準誤差を求めた。

0089

結果:
超純粋PEIR(「AZ」)又は対照ポリカチオンPEI(「BA」)を有するボツリヌス毒素を、単回局所投与した後の指の外転スコアの平均を、表3に示し、繰り返し実験を、表4に示す(本実験を、独立してもう1回繰り返した)。非ペプチジル担体PEIRは、対照に比較して、統計的に有意に機能的に、皮膚を介して、ボツリヌス毒素を送達した。前回と同様、マウスは、麻痺した肢に向かって歩き、旋回することが観察された。

0090

0091

0092

結論:
本実験によって、非ペプチジル経皮担体は、治療用量のボツリヌス毒素を、当該のボツリヌス毒素を共有結合的に改変することなく、皮膚を介して輸送することができることが実証された。これらの知見は、ペプチジル伝達剤から得た知見を補完する。治療効果を達成するのに非ペプチジル担体又はペプチジル担体を使用するという選択肢があることから、特定の状況、状態及び塗布方法に適合することが可能になり、本発明の経皮送達の構築基盤の幅が広がる。

0093

前頭部の多汗症及びしわに対するペプチジル担体を有する局所ボツリヌス毒素調製物の治療的効力
本実験は、ヒトの対象の前頭部の多汗症及びしわを治療するために、ボツリヌス毒素を、本ペプチジル担体を使用し、局所薬剤として、無処置の皮膚を介して、治療的に送達することができることを実証する。

0094

前頭部の多汗症及びしわに関する研究の実験手順
NikonTTLMacro-speedlight SB29sフラッシュ付きNikon D70カメラ(Nikon社製、米国)を使用して、青色の背景で、ベースライン及び処置後の対象の前頭部の写真を撮影した。

0095

Sony Digital Handycam小型ビデオカメラを使用して、青色の背景で、ベースライン及び処置後の対象の前頭部の映像を撮影した。

0096

10%外用ポビドンヨード溶液(Walgreen社製、Deerfield、イリノイ州)及びKingsfordの100%トウモロコシデンプン(ACH Food Companies社製、Memphis、テネシー州)を使用して、Minorのデンプンヨウ素反応を行って、発汗を可視化した。対象の前頭部に、ヨウ素溶液を、滅菌生綿(Johnson & Johnson Consumer Product Company社製、Skillman、ニュージャージ州)を使用して塗り、次いで、完全に乾燥させた。当該の領域に、デンプン粉末を、滅菌生綿を使用して軽く振りかけた。周囲の室温にて、体を動かすことによって、発汗させた。ヨウ素を溶解し、デンプン粉末と反応するにつれ、暗青色の点が出現した。NikonTTLMacro-speedlight SB29sフラッシュ付きNikon D70カメラを使用して、青色の背景で、ヨウ素デンプン反応のベースライン及び処置後の写真を撮影した。対象の前頭部を、70%EtOH、次いで、脱イオン水で清浄した。

0097

処置剤を塗布する前に、角質層をテープではく離する非侵襲的な方法を用いて、予め定めた対象の前頭部の処置領域を準備した。予め切断したテープを、処置領域に、数秒間しっかりと押しつけた。テープの一端を引っ張って、テープを素早くはがした。第1のテープをはがした直後に、第2のテープを、同一の領域に慎重に塗布した。テープによるはく離を、3〜5回繰り返した。

0098

処置剤の調製:
滅菌0.9%塩化ナトリウム溶液(Abbott Laboratories社製、North Chicago、イリノイ州)と5%EtOHとA−3Cと表示されている5%短鎖ポリアスパラギン酸溶液(Donlar BioPolymer社製、Bedford Park、イリノイ州)とのBotox再構成用溶液を調製した(即ち、溶液各1.0ミリリットルにつき、900マイクロリットルの滅菌0.9%塩化ナトリウムと、50マイクロリットルの100%EtOHと、50マイクロリットルの短鎖ポリアスパラギン酸溶液とを含有)。Kn21Tを、0.9%塩化ナトリウムと5%EtOHとを用いて、1ミリグラム/ミリリットルの濃度で調製した(即ち、500マイクロリットルのKn21Tを分取し、25マイクロリットルの100%EtOHを添加した)。本明細書で使用する場合、Kn21Tは、分子量が21,000であり、TATの分岐基を有する、正に荷電したポリリジンの骨格を指す。100単位のBotox(Allergan社製、Irvine、カリフォルニア州)を、滅菌済みラテックスを含まない18G1 1/2、3mlの注射器(Becton Dickinson & Co.社製、Franklin Lakes、ニュージャージ州)を使用し、1.0ミリリットルの再構成用溶液を用いて再構成した。再構成したBotoxを、8回反転させることによって、慎重に混合した。200単位のBotoxを、各対象に使用した。Revance社製のボツリヌス製剤を、200単位のBotoxとKn21T及び5%EtOHとを用いて調製し(即ち、2.0ミリリットルのBotoxを、500マイクロリットルのKn21T及び25マイクロリットルの100%EtOHに添加した)、室温にて、5分間放置して、複合体を形成させた。

0099

対照溶液を、再構成用溶液とKn21T及び5%EtOHとを用いて調製し(即ち、2.0ミリリットルの再構成用溶液を、500マイクロリットルのKn21T及び25マイクロリットルの100%EtOHに添加した)、室温にて放置した。

0100

処置剤の塗布:
目、顔面及び上体を覆って保護し、対象を台にもたれかからせた。ピペットを使用して、処置剤を対象の前頭部に均一に塗布し、粉末を含まないニトリル製の手袋を着用した指を、円を描くように動かし、皮膚内に処置剤をもみ入れた。処置領域を、Cetaphil(登録商標)保湿クリーム(Galderma社製、Fort Worth、テキサス州)の薄い層で覆い、60分間インキュベートした。60分間インキュベートした後、処置剤を、滅菌したガーゼパッドを用いて除去した。ガーゼのパッド及び手袋は、バイオハザードバッグに捨てた。

0101

結果:
図3は、ペプチジル担体とボツリヌス毒素との組合せを局所塗布した後の、しわの長さ、深さ及び幅が有意に減少したことを示す。この実験によって、経皮担体と組み合わせると、局所投与したボツリヌス毒素は、顕著な筋肉麻痺を起こして、美容的な効果をもたらすことが確認される。図4は、処置皮膚(A)対未処置皮膚(B)のMikrosilによる鋳型である。しわが、未処置皮膚の鋳型上に認められる。

0102

図5及び6は、Minorのデンプンヨウ素反応の結果を示す。図5は、塗布2分後の写真を示し、写真(A)は、Revance社製のボツリヌス製剤で処置した側に対応し、写真(B)は、Kn21T担体のみを含有する対照の製剤で処置した側に対応する。図6は、4分の時点で撮影した以外は、図5と同一である。対照の製剤の側が、より顕著に呈色しており、こちら側の皮膚の方が、発汗量が多いことを示唆している点に留意されたい。また、未処置の側の方が、発汗が早期にはじまる点にも留意されたい。

0103

結論:
本実施例は、局所塗布されたボツリヌス毒素の複合体は、細かいしわ及び粗いしわを減少させる点で、顕著な美観的利点をもたらすことができることを実証する。さらに、この経上皮効果によって、適切な担体を用いれば、本明細書に記載するようなボツリヌス毒素の複合体の局所塗布後に、筋肉の麻痺を達成することができることも確認される。従って、本実施例によって、ボツリヌス毒素の局所塗布によって、眼瞼痙攣又は斜頚等の筋肉の痙攣の軽減、及び腰痛等の筋肉の痙攣に関連する疼痛の軽減をもたらすことができることが示唆される。

0104

腋窩多汗症に対するペプチジル担体を有する局所ボツリヌス毒素調製物の治療的効力
本実験は、ヒトの対象の腋窩多汗症を治療するために、ボツリヌス毒素を、本ペプチジル担体を使用し、局所薬剤として、無処置の皮膚を介して、治療的に送達することができるかどうかを実証する(ランダム割り付け二重盲検様式で、各患者から処置腋窩を1個と対照腋窩を1個とし、各群n=10個の腋窩)。

0105

腋窩多汗症の研究に含む基準:
年齢:18以上
・ 健康な志願者
説明と同意が提供され、志願者によって署名される
・ 対象は、指示に従い、経過観察のために来診する意志がある
・ 対象には、主観的な腋窩多汗症が先在する
・ 対象は、妊娠していないか、今後3カ月以内に妊娠する予定がない
・ 対象は、San Francisco又は研究場所の近くに居住及び/又は勤務している
・ 対象は、過去6カ月以内に、腋窩の発汗について治療を受けていない
・ 対象は、今後3カ月以内に、腋窩の発汗について治療を受ける予定がない

0106

重量測定の手順:
重量測定の手順の一部として、はじめに、対象を、試験場所順応させた。具体的には、各対象を、安静な位置で、72〜77°Fの室温にて、15分間すわらせた。

0107

腋窩の準備:(以下の手順には、粉末を含まないニトリル製の手袋を着用した。)対象は、使い捨てのケープ及びブラ女性の場合)に着替えるか、上体の衣服をすべて脱いで(男性の場合)、両方の腋窩を完全に露出させた。投与領域は、各腋窩における、体毛を有する皮膚が覆う領域及び体毛を有する皮膚から1cm外に及ぶ領域とすることを予め定めた。投与領域を、50mlのコニカルチューブからの予め湿らせた滅菌したガーゼのパッドを用いて、ガーゼの片面を使用して、上から下に向けて同一方向に5回長い距離を拭くことによって清浄した。このステップを、皮膚を刺激又は擦過しないように注意して、さらに3回、毎回清潔な予め湿らせたガーゼのパッドを用いて、繰り返した。ガーゼのパッドは、ゴミ箱に捨てた。同一の洗浄手順を、他方の腋窩で繰り返した。腋窩を、皮膚を刺激又は擦過しないように注意して、乾燥した滅菌ガーゼを用いて、腋窩の上から下に向けて、しっかりと軽くたたくようにして乾燥させた。次いで、腋窩の折れ目の下にろ紙を置いて、ろ紙を試験部位に5分間留置させることによって、さらに腋窩を乾燥させた後、重量測定による評価の手順を行った。患者を、安静な位置で、腕を体の横に保持した状態ですわらせた。ろ紙は、ゴミ箱に捨てた。第1回目の重量測定による評価の前に、対象を、腋窩を操作しない状態で、1分間休息させた。

0108

発汗量の測定(重量測定):(これらの測定前に、新しい粉末を含まないニトリル製の手袋を着用した。)体を斜め(約45度)にした状態で、対象は、持ち上げた手を頭の後ろで組んで、腋窩を完全に露出させた。予め重量を測定したろ紙を保存用のコニカルチューブから取り出し、ろ紙の先端部が腋窩の折れ目の中心に並ぶような状態で、対象の腋窩下に置いた。対象は腕を体の横に下ろした状態で、指を使用して、ろ紙をその場所に保った。対象を、両腕を胴体の横にしっかりと保持した状態で、5分間すわらせた。両方の腋窩にろ紙が確実に置かれた時から時間の測定を開始した。両方の腋窩を、同時に測定した。5分後、腋窩からろ紙を取り除き、対応する同一のコニカルチューブに戻した。最初に置いたろ紙を、先に取り除いた。コニカルチューブから汗が蒸発しないように、チューブキャップをしっかりとねじって閉じた。1分間の間隔を置いて、さらに2回、発汗させた。

0109

Minorのデンプンヨウ素反応:
対象は、持ち上げた手を頭の後ろで組んで、腋窩を完全に露出させた。ヨウ素溶液を、予め定めた腋窩の領域に、滅菌したガーゼのパッドを用いて塗り、風乾させた。ヨウ素が完全に乾燥したら、ヨウ素で覆われている領域の上に、デンプンの薄い層を、生綿を用いて軽くたたきつけた。擬陽性及びバックグラウンドを減らすために、デンプンを施用する前に、ヨウ素を風乾させた。次いで、対象を、両腕を胴体の横にしっかりと保持した状態で、すわらせた。5分後、対象に、持ち上げた手を頭の後ろで組ませて、腋窩を完全に露出させた。腋窩の左右及び実験日を明確に表示した各腋窩の写真を撮影した。腋窩を、70%EtOH、次いで、滅菌脱イオン水で清浄した。

0110

処置剤の調製:
Kn21prを、1ミリグラム/ミリリットルの濃度で、食塩水と5%EtOHとを用いて調製した(即ち、500マイクロリットルのKn21prを分取し、25マイクロリットルの100%EtOHを添加した)。本明細書で使用する場合、Kn21prは、分子量が21,000であり、保護されたオリゴアルギニンを含む分岐基を有する、正に荷電したポリリジンの骨格を指す。100単位のBotox(登録商標)(Allergan社製、Irvine、カリフォルニア州)を、滅菌済みのラテックスを含まない18G1 1/2、3mlの注射器(Becton Dickinson and Company社製、Franklin Lakes、ニュージャージ州)を使用し、0.75ミリリットルの0.9%塩化ナトリウム(Abbott Laboratories社製、North Chicago、イリノイ州)を用いて再構成した。再構成したBotox(登録商標)を、8回反転させることによって、慎重に混合した。200単位のBotox(登録商標)を、各対象に使用した。処置溶液を、200単位のBotox(登録商標)とKn21pr及び5%EtOHとを用いて調製し(即ち、1.5ミリリットルのBotox(登録商標)を、500マイクロリットルのKn21pr及び25マイクロリットルの100%EtOHに添加した)、室温にて、5分間放置して、複合体を形成させた。5分間のインキュベート後、約1.0ミリリットルの4%HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)を(1%EtOHと共に)添加し、小型の金属製のへらを用いて、穏やかに且つ完全に混合した。均一な処置溶液を、注射器の先端キャップを有する3mlの注射器に移した(Becton Dickinson and Company社製、Franklin Lakes、ニュージャージ州)。

0111

対照溶液を、0.9%塩化ナトリウムとKn21pr及び5%EtOHとを用いて調製し(即ち、1.5ミリリットルの0.9%塩化ナトリウムを、500マイクロリットルのKn21pr及び25マイクロリットルの100%EtOHに添加した)、室温にて、5分間放置した。インキュベート後、約1.0ミリリットルの4%HPCを(1%EtOHと共に)添加し、小型の金属製のへらを用いて、穏やかに且つ完全に混合した。均一な対照溶液を、注射器の先端キャップを有する3mlの注射器に移した。

0112

処置剤の塗布(粉末を含まないニトリル製の手袋を着用):
対象は、指を絡み合わせた状態で手を持ち上げ、その手を頭の後ろで保って、対象の腋窩を完全に露出させた。次いで、対象を、約45度の角度で傾けた椅子にすわらせた。図7に示すように、塗布のために、投与領域を、視覚的に位置付けた(即ち、体毛を有する皮膚から1cm)。投与領域の乾燥を点検した。左には「L」及び右には「R」が記されている表示のある注射器から、注射器の先端キャップをはずし、対象の腋窩上への投与に備えた。処置液を、注射器を用いて、投与領域に均一に広げ、皮膚内に指で1分間もみ入れた。次いで、対象に、両腕を胴体の横に下ろさせ、60分間インキュベートした。60分間のインキュベート後、処置剤を、滅菌したガーゼのパッドで清浄した。ガーゼのパッド及び手袋は、バイオハザードバッグに捨てた。対象を解放した。

0113

結果:
Revance社製の局所ボツリヌス製剤は、発汗を65%減少させた(P=0.0137)。図8は、Kn21pr骨格単独(対照)、又はkn21pr骨格及び200UのBotoxを用いた処置(左右によりランダムに割り付けた)から4週間後の発汗量の比較を示す(ベースラインに対する比)。示すようにP値を用いたNPSS及びP<0.05の有意差を使用して、ウィルコクソン符号順位によって統計解析を行った[n=10対象]。

0114

第2の比較:図8bは、ベースライン及び4週間後における対照に対する処置の比を示す。本図は、Kn21pr骨格単独(対照)、又はkn21pr骨格及び200UのBotoxを用いた、腋窩の処置(左右によりランダムに割り付けた)から4週間後の発汗量(mg/5分)を示す(対照に対する処置の比)。示すようにP値を用いたNPSS及びP<0.05の有意差を使用して、ウィルコクソン符号順位によって統計解析を行った(P=0.0195)(Pr T p=0.0217)[n=10]。

0115

図9は、腋窩多汗症を局所的に治療するために、Revance社製のボツリヌス製剤を用いた処置前後のMinorのデンプンヨウ素反応を示す写真を示す。12番の対象について、右腋窩をRevance社製のボツリヌス製剤で処置し(a及びc)、左腋窩には対照を塗布した(b及びd)、ベースライン対2週間後のデンプンヨウ素反応を示す。これらの写真は、デンプンヨウ素中で、担体+botoxを用いた処置後に見られる典型的な利点を例示している。対照側で、いくらかクロスオーバー(重量測定データにおける25%の減少と一致する)が見られるが、処置により有意な減少(処置側の重量測定データにおける65%の減少と一致する)がもたらされている。

0116

結論:
本実施例によって、本明細書に開示する本発明に従って形成したボツリヌス複合体の局所塗布によって、主観的又は定量的な多汗症の患者のコホートにおいて、発汗を減少させる点で治療的利点が容易にもたらされることが確認される。また、発汗を減少させるこの効果は、上記で示した前頭部の症例において、及び留置時間中に製剤が広がるのを限定するために手袋と組み合わせた手掌/足底への塗布においてももたらされている。さらに、治療的利点が期待されるボツリヌス毒素の複合体の経上皮層送達によって、本アプローチを、膀胱機能不全若しくは痙攣等、SNAP機能若しくはアセチルコリンのシグナルが重大であるその他の症例、消化器系への適用、又は体臭減弱のための皮脂腺分泌若しくはざ瘡の予防/治療に拡大することができることも確認される。

0117

ワイプオンRevance社製ボツリヌス製剤のパイロット実験
目的:
マウスモデルにおいて、ワイプ−オンDysportの輸送効率及びペプチジル経皮担体(骨格)の性能を求める。

0118

方法:
研究計画:C57BL/6雌マウス(Charles River社、Wilmington、マサチューセッツ州)、体重19〜20gを使用した。マウスに、イソフルランを使用して、麻酔を施し、マウスの後肢上に、「Revance社製Dysport溶液」(表5)の局所塗布を行った。回復後、後肢の筋肉の衰弱を、指の外転スコア(DAS)の値を使用して、点数化した。

0119

0120

試験化合物の調製:滅菌0.9%塩化ナトリウム(Abbott Laboratories社製、North Chicago、イリノイ州)のDysport再構成用溶液を調製した。骨格を、1ミリグラム/ミリリットルの濃度で、0.9%塩化ナトリウムを用いて調製した。500単位のDysport(Ipsen社製)を、滅菌済みのラテックスを含まない18G1 1/2、3mlの注射器(Becton Dickinson & Co.社製、Franklin Lakes、ニュージャージ州)を使用し、2.5ミリリットルの再構成用溶液を用いて再構成した。再構成したDysportを、8回反転させることによって、慎重に混合した。Revance社製のボツリヌス製剤を、微量遠心機用チューブ中で、30単位のDysportと骨格とを用いて調製し(即ち、150マイクロリットルのDysportを、75マイクロリットルのRevance社製の担体に添加した)、室温にて、5分間放置して、複合体を形成させた。

0121

局所塗布:マウスに、酸素と混合した1.5%イソフルランを使用して、麻酔を施し、次いで、0.05mlのげっ歯類用麻酔混合物(3.75mlの100mg/mlケタミン、3.00mlの20mg/mlキシラジン及び23.25mlの食塩水)を、腹腔内に注射した。麻酔後、C57BL/6雌マウス(各群n=3)を、ランダムに分け、処置に備えた。マウスに、アセトンによるはく離を3回施した。「Revance社製Dysport溶液」を、マウスの後肢に、ピペットを使用して塗布し、ニトリル製の手袋を着用して、皮膚内にもみ入れた。低体温を防止するために、調節した熱環境で、マウスを回復させた。ベースライン及び処置後の写真、マウスの回復の映像並びに指の外転スコア(DAS)の値を記録した。

0122

統計解析:
次いで、各群について、Statview(登録商標)ソフトウェア(Abacus Concepts社製、Berkeley、カリフォルニア州)を使用して求め、平均及び標準誤差として表した。全比較に関して、統計的な有意差を、95%の信頼度で、一元配置分散分析反復測定及びフィッシャーの保護最小有意ポストホック試験を使用して求めた。

0123

結果:
DAS値を使用し、足の可動性のスコアを表にした。但し、スコア0は、正常な指の外転(筋肉の衰弱がない)を示し、スコア4は、指の外転の最大低下(最大の筋肉の衰弱)を示す[Aoki, K.R. A Comparison of the Safety Margins of Botulinum Neurotoxin Serotypes A, B, and F in mice. Toxicon. 2001;39:1815-1820]。

0124

3種の異なる比較によって、統計解析を求め、結果を、表6〜8に示す。平均DAS値は、処置群と対照群との間で、「Revance社製Dysport溶液」の単回局所投与後の統計的に有意な筋肉の衰弱/麻痺を示している。表6は、各群対対照に関して、統計的に有意な麻痺(P=0.0001)を示し、表7は、全処置群対対照に関して、統計的に有意な麻痺を詳述する(P=0.0013)。表8は、製剤1を用いて処置した群又は製剤2を用いて処置した群対対照に関して、統計的に有意な麻痺を詳述する(P=0.0024)。

0125

回復後、マウスが麻痺した肢に向かって歩き、旋回するのが認められた。

0126

0127

0128

0129

結論:
本実験によって、ペプチジル経皮担体は、治療的に有効な量のDysportボツリヌス治療薬を、当該の治療薬を共有結合的に改変することなく、皮膚を介して輸送することができることが実証される。

0130

マウス後足モデルにおける局所ボツリヌス毒素による発汗の抑制
目的:
マウスモデルにおいて、ペプチジル担体を有するボツリヌス毒素(Revance社製のボツリヌス製剤)の局所塗布による発汗の抑制を求める。

0131

方法:
研究計画:C57BL/6雌マウス(Charles River社、Wilmington、マサチューセッツ州)、体重19〜21gを使用した。マウスに、酸素と混合した1.5%イソフルランを使用して、麻酔を施し、研究期間にわたり、麻酔状態を保った。Botoxを、各マウスの足に2単位の容量で局所塗布した(表9)。発汗を、コリン作動薬ピロカルピンによって誘発した[Kaszynski, E and Frisch SB. Mouse Foot Screen for the Inhibition of Sweating by Anticholinergic Drugs. (1974) Journal of Investigative Dermatology, 62:510-513]。発汗を、Minorのデンプンヨウ素反応で可視化した。

0132

0133

試験化合物の調製:ピロカルピン溶液(SigmaAldrich社製、カタログ番号P0472)を、注射の24時間前に調製した。ピロカルピン溶液を、1ミリグラム/ミリリットルの濃度で、0.9%塩化ナトリウムを用いて調製し、ボルテックスによって、2分間十分に混合した。ピロカルピン溶液を、PURADISC 25 TF使い捨てろ過装置(Whatman、直径25mm、カタログ番号6784−2504)及び大きな注射器を用い、滅菌したバイアル内へのろ過によって滅菌した。次いで、溶液を、箔で覆った。70%エタノール中に2%ヨード溶液(Sigma Aldrich社製、カタログ番号266426)を調製し、ボルテックスによって、十分に混合した。次いで、ヨウ素溶液を、15分間超音波処理し、さらに、再度ボルテックスした。骨格を、1ミリグラム/ミリリットルの濃度で、脱イオン水を用いて調製した。100単位のBotox(Allergan社製、Irvine、カリフォルニア州)を、滅菌済みのラテックスを含まない18G1 1/2、3mlの注射器(Becton Dickinson & Co.社製、Franklin Lakes、ニュージャージ州)を使用し、1.0ミリリットルの0.9%塩化ナトリウムを用いて再構成した。再構成したBotoxを、8回反転させることによって、慎重に混合した。処置溶液を、微量遠心機用チューブ中で、7単位のBotoxと骨格とを用いて調製し(即ち、70マイクロリットルのBotoxを、35マイクロリットルのKNR又はKNTに添加し、35マイクロリットルのPBSで希釈した)、室温にて、5分間放置して、複合体を形成させた。対照溶液を、Botox及びPBSを用いて調製した(即ち、70マイクロリットルのBotoxを、70マイクロリットルのPBSに添加した)。

0134

局所塗布:マウスに、酸素と混合した1.5%イソフルランを使用して、麻酔を施し、次いで、0.07mlのげっ歯類用麻酔混合物(3.75mlの100mg/mlケタミン、3.00mlの20mg/mlキシラジン及び23.25mlの食塩水)を、腹腔内に注射し、必要であれば、イソフルランを追加した。麻酔後、C57BL/6雌マウス(各群n=6)を、試験群にランダムに割り付けた。20マイクロリットルの処置溶液又は対照溶液を、割り当てられた後肢に塗布した。足の裏を、溶液で、完全に且つ十分にコートした。ピペットを使用して、足に、試験溶液の薄い均一な被膜を塗布した。低体温を防止するために、調節した熱環境で、マウスを回復させた。溶液を、2分間熱ランプを使用し完全に乾燥させ、次いで、5分間風乾した。次いで、後足を、約50マイクロリットルのCetaphilクリームを用いてコートした。

0135

デンプンヨウ素反応:Minorのデンプンヨウ素試験を行って、ベースライン及び処置1週間後における汗の分布を可視化した。マウスを、生命徴候を有する完全な麻酔状態に10分間保った後、後足を2%ヨウ素溶液に漬けることによって、ヨウ素溶液を塗布した。ヨウ素溶液を、3分間熱ランプを使用し完全に乾燥させ、次いで、5分間風乾した。次いで、粉末を含まない手袋を着用して、デンプン粉末を指で擦り入れた。過剰のデンプン粉末を、小型の絵筆で取り除き、次いで、デンプン粉末を、密なビロードのパッドで軽く塗布して、より均一にした。ベースライン及び処置後の写真を、ピロカルピン注射後10、20及び60分で記録した。

0136

結果:
マウスの足の汗を、Minorのデンプンヨウ素反応によって可視化した。汗を、青−黒の呈色によって示した。[Kuttner, C et al. Treatment of Gustatory Sweating with Botulinum toxin A. (2001) Int Poster J Dent Oral Med. 3;3:poster 82]。

0137

典型的には、青−黒の陽性の点が、ピロカルピン注射後50〜60分で、最もよく見られた。デンプンヨウ素反応によって、図10a〜dの代表的な写真に示すように、処置群では、対照と比較して、青−黒の陽性の点が顕著に少ないことが示された。

0138

Revance社製ボツリヌス製剤の局所塗布後の筋力の発生の評価
目的:
マウスモデルにおいて、ボツリヌス毒素B型の局所塗布後に、筋収縮力の発生によって神経筋遮断効果を評価する。

0139

方法:
研究計画:雄CD1マウス(Charles River社、Wilmington、マサチューセッツ州)、体重27〜33gを使用した。各群5匹として、マウスを飼育し、処置まで、食餌及び水を自由に摂取させた。マウスに、酸素と混合した1.5%イソフルランを使用して、麻酔を施し、研究期間にわたり、麻酔状態を保った。各マウスの後肢の投与部位を、Andis Edjer IIコードレス充電式バリカン(Andis社製、Sturtevant、ウィスコンシン州)を用いて、慎重に剪毛した。Dysportを、各マウスの肢に25単位の用量で局所塗布した。未処置の正常マウス、及び同等の容量で局所塗布する基剤製剤(毒素なし)で処置したマウスを、対照とした。筋収縮力を、局所処置後2〜3.5時間で測定した。

0140

試験化合物の調製:5%EtOH及び5%ポリアスパラギン酸溶液を有する滅菌0.9%塩化ナトリウム(Abbott Laboratories社製、North Chicago、イリノイ州)のDysport再構成用溶液を調製した。骨格を、1ミリグラム/ミリリットルの濃度で、0.9%塩化ナトリウムを用いて調製した。500単位のDysport(Ipsen社製)を、滅菌済みのラテックスを含まない18G1 1/2、3mlの注射器(Becton Dickinson & Co.社製、Franklin Lakes、ニュージャージ州)を使用し、2.5ミリリットルの再構成用溶液を用いて再構成した。再構成したDysportを、8回反転させることによって、慎重に混合した。Revance社製のボツリヌス製剤を、微量遠心機用チューブ中で、25単位のDysportと骨格とを用いて調製し(即ち、125マイクロリットルのDysportを、62.5マイクロリットルの上記の先の実験に基づく、専売の短いペプチジルの骨格に添加した)、室温にて、5分間放置して、複合体を形成させた(n=生存したマウス2匹)。対照は、食塩水のみを活性剤として使用した(n=4匹)。

0141

局所塗布:後肢に、対照又はRevance社製のボツリヌス製剤を、ピペットを使用して塗布し、ニトリル製の手袋を着用して皮膚内にもみ入れた。Dysport及び骨格は、4℃にて保存した。低体温を防止するために、調節した熱環境で、マウスをインキュベートした。筋収縮力を、局所処置後2〜3.5時間で測定した。

0142

筋収縮力の発生:K鋼線を大腿及び脛骨を介して使用して肢を木製の台に縛りつけることによって、肢を固定して、動きを抑制した。腓腹筋は、原位置に残した。鋼線の縫合糸を、アキレス腱の遠位端の周りで結んだ。次いで、を縫合糸に対して遠位で横切し、縫合糸を、力変換器(FT03型、Grass社製、West Warwick、ロードアイランド州)に付着させ、この力変換器は、次に、力変換器の増幅器(13-G4615-50型、Gould社製、Cleveland、オハイオ州)に接続した。Dysport処置側の坐骨神経を、最大の等尺性の単一収縮力が発生するまで電圧を増加させて、直接刺激した(SD9刺激装置、Grass社製、West Warwick、ロードアイランド州)。次いで、刺激の周波数を、最大の強縮力が発生するまで増加させた。収縮を、1つの運動単位を刺激することによって発生させ、強縮を、超最大の刺激による全運動単位の相加を作用させることによって発生させた。同一の手順を、対照の肢で繰り返した。応答を、力変換器に連結している較正された振動の記録(RS 3800、Gould社製、Cleveland、オハイオ州)を用いて記録した。[Ma J, Elsaidi GA, SmithTL, et al. Time course of recovery of juvenile skeletal muscle after botulinum toxin A injection. Am. J. Phys. Med. Rehabil. 2004; 83(10):774-780]。

0143

結果:
ボツリヌス毒素Aの注射を用いた以前の研究において、C57BL/6マウスの筋力発生の正常値は、60±15グラムの平均単一収縮力及び240±30グラムの平均強縮力を有する。本パイロット前臨床研究では、匹敵する54±2グラムの平均単一収縮力及び241±20グラムの平均強縮力を認めた。

0144

Kn21Prを有する局所Dysportの筋力発生を評価したところ、記録上、対照と比較して、Kn21Prを有するRevance社製の局所ボツリヌス製剤の単回投与を用いて処置したマウスにおいては、応答が見られず、その結果、単一収縮及び強縮の応答が約100%低下し、下限に関しては、対照と比較して、KnTを有するRevance社製の局所ボツリヌス製剤の単回投与を用いて処置したマウスにおいては、筋力発生は、単一収縮では約58%の低下及び強縮では約61%の低下を示した。表10及び11に、単一収縮試験及び強縮試験のそれぞれについて、平均及び標準誤差を示す。

0145

0146

0147

結論:
本研究によって、Dysportの25単位/マウスの肢での局所塗布は、運動力発生を効果的に低下させることができることが実証され、治療的利点の証拠が示されている。

0148

Revance社製ボツリヌス製剤の局所塗布後の筋力の発生の評価
目的:
マウスモデルにおいて、ボツリヌス毒素A型の局所塗布後に、筋収縮力の発生によって神経筋遮断効果を評価する。

0149

方法:
研究計画:雄CD1マウス(Charles River社、Wilmington、マサチューセッツ州)、体重27〜33gを使用した。各群5匹として、マウスを飼育し、処置まで、食餌及び水を自由に摂取させた。マウスに、酸素と混合した1.5%イソフルランを使用して、麻酔を施し、研究期間にわたり、麻酔状態を保った。各マウスの後肢の投与部位を、Andis Edjer IIコードレス充電式バリカン(Andis社製、Sturtevant、ウィスコンシン州)を用いて、慎重に剪毛した。Botoxを、各マウスの肢に10単位の用量で局所塗布した。未処置の正常マウス、及び同等の容量で局所塗布する基剤製剤(毒素なし)で処置したマウスを、対照とした。筋収縮力を、局所処置後2〜3.5時間で測定した。

0150

試験化合物の調製:5%EtOH及び5%ポリアスパラギン酸溶液を有する滅菌0.9%塩化ナトリウム(Abbott Laboratories社製、North Chicago、イリノイ州)のBotox再構成用溶液を調製した。骨格を、1ミリグラム/ミリリットルの濃度で、0.9%塩化ナトリウムを用いて調製した。100単位のBotox(Allergan社製、Irvine、カリフォルニア州)を、滅菌済みのラテックスを含まない18G1 1/2、3mlの注射器(Becton Dickinson & Co.社製、Franklin Lakes、ニュージャージ州)を使用し、1.0ミリリットルの再構成用溶液を用いて再構成した。再構成したBotoxを、8回反転させることによって、慎重に混合した。「Revance社製のBotox溶液」を、微量遠心機用チューブ中で、10単位のBotoxと骨格とを用いて調製し(即ち、100マイクロリットルのBotoxを、50マイクロリットルの上記の先の実験に基づく、専売の短いペプチジルの骨格に添加した)、室温にて、5分間放置して、複合体を形成させた(n=生存したマウス2匹)。対照は、食塩水のみを活性剤として使用した(n=4匹)。

0151

手順:後肢に、対照又は「Revance社製のBotox溶液」を、ピペットを使用して塗布し、ニトリル製の手袋を着用して皮膚内にもみ入れた。Botox及び骨格は、4℃にて保存した。低体温を防止するために、調節した熱環境で、マウスをインキュベートした。筋収縮力を、局所処置後2〜3.5時間で測定した。

0152

筋収縮力の発生:K鋼線を大腿及び脛骨を介して使用して肢を木製の台に縛りつけることによって、肢を固定して、動きを抑制した。腓腹筋は、原位置に残した。鋼線の縫合糸を、アキレス腱の遠位端の周りで結んだ。次いで、腱を縫合糸に対して遠位で横切し、縫合糸を、力変換器(FT03型、Grass社製、West Warwick、ロードアイランド州)に付着させ、この力変換器は、次に、力変換器の増幅器(13-G4615-50型、Gould社製、Cleveland、オハイオ州)に接続した。Botox処置側の坐骨神経を、最大の等尺性の単一収縮力が発生するまで電圧を増加させて、直接刺激した(SD9刺激装置、Grass社製、West Warwick、ロードアイランド州)。次いで、刺激の周波数を、最大の強縮力が発生するまで増加させた。収縮を、1つの運動単位を刺激することによって発生させ、強縮を、超最大の刺激による全運動単位の相加を作用させることによって発生させた。同一の手順を、対照の肢で繰り返した。応答を、力変換器に連結している較正された振動の記録(RS 3800、Gould社製、Cleveland、オハイオ州)を用いて記録した。[Ma J, Elsaidi GA, SmithTL, et al. Time course of recovery of juvenile skeletal muscle after botulinum toxin A injection. Am. J. Phys. Med. Rehabil. 2004; 83(10):774-780]。

0153

結果:
今回行われたように、C57BL/6マウスの筋力発生の正常値は、60±15グラムの平均単一収縮力及び240±30グラムの平均強縮力である。本パイロット前臨床研究では、匹敵する54±2グラムの平均単一収縮力及び241±20グラムの平均強縮力を認めた。

0154

Kn21Prを有する局所Botoxの筋力発生を評価したところ、記録上、対照と比較して、Kn21Prを有する局所「Revance社製のBotox溶液」の単回投与を用いて処置したマウスにおいては、応答が見られず、その結果、単一収縮及び強縮の応答が約100%低下し(図11)、対照と比較して、KNPを有する局所「Revance社製のBotox溶液」の単回投与を用いて処置したマウスにおいては、筋力発生は、単一収縮では約90%の低下及び強縮では100%の低下(応答なし)を示した。表12に、単一収縮試験及び強縮試験のそれぞれについて、平均及び標準誤差を示す。表13に、単一収縮及び強縮について、筋力発生の平均及び低下率の概要を示す。

0155

0156

0157

結論:
本研究によって、Dysportの25単位/マウスの肢及びBotoxの10単位/マウスの肢での局所塗布は、運動力発生を効果的に低下させることができることが実証され、治療的利点の証拠が示されている。

0158

ブタの皮膚を介するボツリヌス毒素A型のインビトロにおける担体仲介経皮送達−流通分析、その1
目的:
皮膚関門を介するボツリヌス毒素A型(BoNTA)の送達における我々の担体の効率を評価する。

0159

方法:
毒素のビオチン標識:10マイクログラムのボツリヌス毒素A型(List Biological Laboratories社製、Campbell、カリフォルニア州)を100マイクロリットルのPBS、pH7.4中に再懸濁した。sulfo-NHS-LC-Biotin(Pierce社製、Rockford、イリノイ州)を、20倍モル過剰量で添加し、反応容量を、1ミリリットルとした。反応液を、室温にて、1時間インキュベートし、PBSに対して、10 K MWCO Slide-A-Lyzer Dialysis Casette(Pierce社製、Campbell、カリフォルニア州)を使用して、一晩透析した。

0160

皮膚の収集:無処置の皮膚を、雌雄のブタの腹部(Lychron社製、Mountain View、カリフォルニア州)から収集した。輸送中、皮膚を、PBS、10単位/ミリリットルのペニシリン及び10マイクログラム/ミリリットルのストレプトマイシンを含有する氷浴中に浸漬した。上皮及び真皮を、厚さ0.8mmに設定したDermatome(Padgett Instruments社製、Plainsboro、ニュージャージ州)を使用して単離した。皮膚を、液体窒素中で急速冷凍し、使用まで−80℃にて保存した。

0161

試験:全実験条件を、三つ組みで試験した。各試料について、適切な量の担体及び毒素を添加し(表14)、容量を、PBSで200マイクロリットルとした。

0162

0163

使用直前に、皮膚を、37℃の水浴中で解凍し、1.5cm×1.5cmの正方形に切断し、改変したFranz Chamber装置(PermeGear社製、Bethlehem、ペンシルベニア州)中に固定した。Haake DC 10循環型水浴(Thermo Electron社製、Karlsruhe、独国)を、37℃に設定した。試料を、皮膚表面に塗布し、IPC Ismatec蠕動ポンプ(Idex社製、Wertheim-Mondfeld、独国)を使用して流通速度を8.02マイクロリットル/分に設定した。流通画分を、Retriever IVフラクションコレクター(Teledyne Isco社製、Lincoln、ネブラスカ州)を使用して採取し、ATM10 Indexing Controller(Permegear社製、Bethlehem、ペンシルベニア州)を使用して0〜1、1〜2、2〜3、3〜4、4〜6、6〜8、8〜12及び12〜20時でプールした。装置の機構については、図12を参照。

0164

試料の分析:ビオチン標識した毒素溶液を段階希釈して、検量線を求めた。プレートを200マイクロリットルの流通試料及び標準物質でコートし、室温にて、2時間インキュベートした。次いで、プレートをPBS中の0.1%Tween20(PBST)で、3回洗浄した。次いで、200マイクロリットルのブロッキング緩衝液/ウェル(PBST中に20%FBS)を添加し、室温にて、2時間インキュベートした。ブロッキング緩衝液を除去した。PBST中の2%FBS中に1000倍希釈したストレプトアビジン−HRPの100マイクロリットルを、各ウェルに添加し、室温にて、1時間インキュベートした。次いで、プレートを、PBSTで、5回洗浄した。100マイクロリットルのOptEIA基質(BD Bioscience社製)を、各ウェルに添加し、室温にて、10分間インキュベートして、展開した。50マイクロリットルの1NH2SO4を添加して、反応をクエンチし、吸収を450nmで測定した。

0165

結果:
Revance社製の担体は、毒素の送達を増加させた(図13を参照)。毒素の濃度及び担体:毒素の質量比を最適化することによって、対照と比較して、毒素の送達を、統計的に有意に(P<0.05)増加させた。

0166

ブタの皮膚を介するボツリヌス毒素A型のインビトロにおける担体仲介経皮送達−流通分析、その2
目的:
改変したFranzチャンバーを使用して、ブタの皮膚モデルにおいて、皮膚関門を介するボツリヌス毒素A型及び子ウシ腸管ホスファターゼ(CIP)の送達におけるRevance社製の担体の効率を評価する。

0167

方法:
毒素のビオチン標識:10マイクログラムのボツリヌス毒素A型(List Biological Laboratories社製、Campbell、カリフォルニア州及びSigma-Aldrich社製)を100マイクロリットルのPBS、pH7.4中に再懸濁した。sulfo-NHS-LC-Biotin(Pierce社製、Rockford、イリノイ州)を、20倍モル過剰量で添加し、反応容量を、PBSで1ミリリットルとした。pHを調べて、結合のためにpH範囲を7〜9に確保した。反応液を、室温にて、1時間インキュベートし、PBSに対して、10 K MWCO Slide-A-Lyzer Dialysis Casette(Pierce社製、Campbell、カリフォルニア州)を使用して、一晩透析した。

0168

皮膚の収集:無処置の皮膚を、雌雄のブタの腹部及び肩部(Lychron社製、Mountain View、カリフォルニア州)から収集した。輸送中、皮膚を、PBS、10単位/ミリリットルのペニシリン及び10マイクログラム/ミリリットルのストレプトマイシンを含有する氷浴中に浸漬した。植皮(上皮及び真皮を含む完全な厚さ)を、厚さ0.8mmに設定したDermatome(Padgett Instruments社製、Plainsboro、ニュージャージ州)を使用して単離した。植皮を、液体窒素中で急速冷凍し、使用まで−80℃にて保存した。

0169

試験:全実験条件を、三つ組みで試験した。3種のペイロード群及び6種の異なる担体があった。各試料について、適切な量の担体及び毒素を添加した(表15)。ペイロード及び担体を、以下の濃度で調製した:Kn8担体(Kn8、Kn8R及びKn8T)は、10ミリグラム/ミリリットルで調製し、Kn21T担体は、1ミリグラム/ミリリットルで調製し、K30T及びKn21pR並びにボツリヌス毒素A型(List Labs社製及びSigma社製の毒素)は、0.1ミリグラム/ミリリットルで調製し、CIPは、100単位/ミリリットルで調製した。

0170

0171

使用直前に、皮膚を、37℃の水浴中で解凍し、1.5cm×1.5cmの正方形に切断し、改変したFranz Chamber装置(PermeGear社製、Bethlehem、ペンシルベニア州)中に固定した。Haake DC 10循環型水浴(Thermo Electron社製、Karlsruhe、独国)を、37℃に設定した。試料を、皮膚表面に塗布し、IPC Ismatec蠕動ポンプ(Idex社製、Wertheim-Mondfeld、独国)を使用して流通速度を8.02マイクロリットル/分に設定した。流通画分を、Retriever IVフラクションコレクター(Teledyne Isco社製、Lincoln、ネブラスカ州)を使用して採取し、ATM10 Indexing Controller(Permegear社製、Bethlehem、ペンシルベニア州)を使用して0〜1、1〜2、2〜3、3〜4、4〜6、6〜8、8〜12及び12〜20時でプールした。

0172

試料の分析:ビオチン標識した毒素溶液を段階希釈して、検量線を求めた。プレートを200マイクロリットルの流通試料及び標準物質でコートし、室温にて、2時間インキュベートした。次いで、プレートをPBS中の0.1%Tween20(PBST)で、3回洗浄した。次いで、200マイクロリットルのブロッキング緩衝液/ウェル(PBST中に20%FBS)を添加し、室温にて、2時間インキュベートした。ブロッキング緩衝液を除去した。PBST中の2%FBS中に1000倍希釈したストレプトアビジン−HRPの100マイクロリットルを、各ウェルに添加し、室温にて、1時間インキュベートした。次いで、プレートを、PBSTで、5回洗浄した。100マイクロリットルのOptEIA基質(BD Bioscience社製)を、各ウェルに添加し、室温にて、10分間インキュベートして、展開した。50マイクロリットルの1NH2SO4を添加して、反応をクエンチし、吸収を450nmで測定した。

0173

CIP:CIPについて使用したのと同様な手順。CIPは、ボツリヌス毒素に非常に類似していることから、代替物として選ばれた。これは、160kDの類似の分子量を有する球状のタンパク質である。CIPは、それほど高価ではなく、高度に特異的な活性を有する。

0174

結果:

0175

0176

表16に示すように、異なる担体は、異なる複合体に関して、深さ及び指向性に影響する。より短い骨格(Kn8系)は、より表面的に存在するので、流通の容易さが低い。所与の骨格の長さでは、TATは、オリゴアルギニンよりも深く貫通する。CIPのような荷電が少ない種は、効果的な粒子を形成しないので、それほど深くは貫通しない。ラクトース等の複合体の成分は、担体の優先度を変化させることができる(又は安定な粒子を形成させるための戦術が必要になる)。

0177

ブタの皮膚を介するボツリヌス毒素A型のインビトロにおける担体仲介経皮送達−流通分析、その3
目的:
改変したFranzチャンバーを使用して、ブタの皮膚モデルにおいて、皮膚関門を介するボツリヌス毒素A型の送達におけるRevance社製の担体の効率を評価する。

0178

方法:
皮膚の収集:無処置の皮膚を、雌のブタの肩部及び腹部(Lychron社製、Mountain View、カリフォルニア州)から収集した。輸送中、皮膚を、10単位/mlのペニシリン及び10mg/mlのストレプトマイシンを含有するPBS中に浸漬し、それを、上に保存した。植皮(上皮及び真皮を含む完全な厚さ)を、厚さ0.8mmに設定したDermatome(Padgett Instruments社製、Plainsboro、ニュージャージ州)を使用して単離し、液体窒素中で急速冷凍し、使用まで−80℃にて保存した。

0179

毒素のビオチン標識:10μgのボツリヌス毒素A型(List Biological Laboratories社製、Campbell、カリフォルニア州)を100μlのPBS、pH7.4中に再懸濁した。sulfo-NHS-LC-Biotin(Pierce社製、Rockford、イリノイ州)を、100倍モル過剰量で添加し、反応容量を、PBSで1mlとした。pHを調べて、結合のためにpH範囲を7〜9に確保した。反応液を、室温にて、2時間インキュベートし、PBSに対して、10 K MWCO Slide-A-Lyzer Dialysis Casette(Pierce社製、Campbell、カリフォルニア州)を使用して、一晩透析した。翌日、ビオチン標識した毒素を、分注し(100μl/チューブ)、4℃にて保存した。

0180

Franz Chamber用皮膚の調製:使用直前に、皮膚を、37℃の水浴中で解凍し、1.5cm×1.5cmの正方形に切断し、改変したFranz Chamber装置(PermeGear社製、Bethlehem、ペンシルベニア州)中に固定した。Haake DC 10循環型水浴(Thermo Electron社製、Karlsruhe、独国)を、37℃に設定した。試料を、皮膚表面に塗布し、IPC Ismatec蠕動ポンプ(Idex社製、Wertheim-Mondfeld、独国)を使用して流通速度を8.02μl/分に設定した。流通画分を、Retriever IVフラクションコレクター(Teledyne Isco社製、Lincoln、ネブラスカ州)を使用して採取し、ATM10 Indexing Controller(Permegear社製、Bethlehem、ペンシルベニア州)を使用して0〜1、1〜2、2〜3、3〜4時でプールした。

0181

製剤:各試料について、適切な量の担体及び毒素を添加した。全実験条件を、四つ組みで試験した。処置群は、Revance社製の担体を有するビオチン標識した毒素であり、対照群は、ビオチン標識した毒素のみであった。毒素の濃度及び毒素:担体の質量比を最適化するために、担体及びボツリヌス毒素A型を、異なる質量比で調製した。

0182

エライザ法タンパク質定量法):ビオチン標識した毒素を(1:3及び1:2に)段階希釈して、検量線を求めた。プレートを200μlの流通試料及び標準物質でコートし、室温にて、2時間インキュベートした。2時間後、試料及び標準物質を捨て、各プレートを、300μlのスーパーブロックブロッキング緩衝液で、室温にて、1分間ブロックし、2回繰り返した。ブロッキング緩衝液を除去し、2%FBSを有するPBST中に1000倍希釈したストレプトアビジン−HRPの100μlを、各ウェルに添加し、室温にて、1時間インキュベートした。次いで、プレートを、(各ウェルについて)300μlのPBST(0.1%Tween−20を有するPBS)で、室温にて、5分間洗浄し、2回繰り返した。洗浄後、100μlのOptEIA基質(BD Biosciences社製)を、各ウェルに添加し、室温にて、10分間インキュベートして、展開した。次いで、50μlの1NH2SO4を添加して、反応をクエンチし、吸収を450nmで測定した。

0183

結果:
Revance社製の担体は、対照と比較して、毒素の送達の増加を示した(図14a〜fを参照)。

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