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課題・解決手段

本発明は、患者における炎症関連症状の治療のための医薬組成物の作製のための、リポソーム封入されたグルココルチコイドGC)またはGC誘導体の使用であって、前記症状が神経変性疾病または障害に関連しないという条件における使用を提供する。特定の使用は、リウマチ様関節炎の治療のための、メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(MPS)を含むリポソーム性製剤に関する。

概要

背景

グルココルチコイド副腎皮質ステロイド)は、ほとんど全ての脊椎動物組織細胞で見られるコルチゾール受容体に結合し、類似効果を引き起こす能力を有することが特徴付けられる、ステロイドホルモンの1クラスである。グルココルチコイドは、特異的受容体、標的細胞および効果から、性ステロイドといったその他のホルモンから区別される。コルチゾール(または、ヒドロコルチゾン)は、最も重要な天然のヒトグルコルチコイドである。

グルココルチコイドは、強力な抗炎症性および免疫抑制の特性を有する。このことは、これらが薬理的な量で投与された場合に特に明らかであるが、正常な免疫応答においても重要である。それゆえグルココルチコイドは、関節炎または皮膚炎といった炎症性の症状を治療する薬剤として、および自己免疫疾患といった症状の付加的な治療法として広く使用される。一方で、薬剤としての投与によってグルココルチコイドレベルの過剰が生じ、また副腎皮質細胞増殖は多くのシステムに影響を及ぼす。例えば、骨形成阻害カルシウム吸収の抑制および創傷治癒遅延といった影響が生じる。

コルチゾールよりずっと強力なものを含む、様々な合成グルココルチコイドが、治療的な使用のために開発されてきた。それらは、薬物動態学的に(pharmacokinetics)(吸収係数半減期分布容積、排除)および薬動力学的に(pharmacodynamics)(例えば、鉱質コルチコイド活性の能力;ナトリウム(Na+)および水の保持率)異なる。それらは、腸管を通して、よく吸収されるため、主に経口的に(口から)投与されるが、皮膚からといったその他の局所的な方法によっても投与される。

メチルプレドニゾロンプレグナ(pregna)-1,4-ジエン-3,20-ジオン, 11,17,21-トリヒドロキシ-6-メチル-,(6α, 11β)、C22H30O5、分子量374.48)は、治療的に有効な合成グルココルチコイド薬剤の1例であり、その疎水的特質のために普通経口投与される。ほとんどの副腎皮質性のステロイドと同様に、メチルプレドニゾロンは、典型的に、抗炎症の目的のために使用される。しかしながら、グルココルチコイドは、代謝および免疫応答の変化を含む幅広い影響を及ぼす。その他の副腎皮質ステロイドと同様に、メチルプレドニゾロンが有効となる疾病または病理学的症状の数は、むしろ多い。通常の使用には、関節炎治療、および様々な呼吸器疾患が原因となる気管支の炎症の短期治療が含まれる。高い有効性の一方で、特に長期治療に関連して、重大な有害事象高頻度に発生するために、全身性の投与は制限される。

グルココルチコイドの全身性の投与の有効性および安全性の研究から、多くの異なる組織において薬剤が重大な活性を有することに加えて、これらの薬剤は、血漿からの排出が急速であることが原因となり、標的部位において有効量を満たすために、大量で高頻度の投与が必要となることがわかった。

従って、非経口的な投与のための代替法が検討された。例えば、グルココルチコイドの病巣内への投与(例えば、喘息における吸入器の使用による投与、および関節炎における関節内注射による投与)の開発により、少ない量のステロイドの使用で、病変部において十分な薬剤レベルを達成し、副作用を最小限に抑えることが可能となった。

さらなる方法には、リポソームといった、適した担体を使用して、薬剤に標的組織を標的とさせることを含む。

リポソーム中に副腎皮質ステロイドを封入する最初の試みは、Fildes FJらによって行われ[J Pharm. Pharmacol. 30(6):337-42 (1978)]、その研究では、リポソームの脂質二重膜へのステロイドの封入が行われた。この方法は、副腎皮質ステロイドが自然状態で疎水性であるという理解に基づいていた。しかしながら、そのようなリポソームの形成は、臨床応用に適さないことが明らかとなった。

「可溶性」グルココルチコイドの開発という努力も行われた。例えば、ヒドロコルチゾンヘミスクシナートナトリウム塩(hydrocortisone hemisuccinate sodium salt)およびメチルプレドニゾロンヘミスクシナートナトリウム塩(Methylprednisolone hemisuccinate sodium salt)といったスクシナート誘導体化ステロイドが含まれる。可溶性グルココルチコイドの別の群は、ステロイドのリン酸化誘導体を含む。ステロイドを水溶性にし、酸性ステロイドを注射に使用できるようにした一方で、これらの「プロドラッグ」は、注射後6時間未満の内に血漿から完全に排出された[MishinaEVet al Pharm Res 13(1):141-5 (1996)]。

酸性ステロイドとリポソームの組み合わせも、また検討された。Schmidtらは、リン酸プレドニゾロン水溶性プロドラッグステロイドの1つ)を封入する、ポリエチレングリコール(PEG)コーティングされた長期循環型立体的に安定したリポソームを作製し、それが、多発性硬化症の治療において、遊離型のステロイドと比較して有利な効果をもつことを記載している[Schmidt J et al. Brain 126(8):1895-1904 (2003)]。しかしながら、メチルプレドニゾロンヘミスクシナート(弱酸)を同様に封入しようとする試みは、それが不安定な製剤形態となったために失敗した。

さらに、水溶性で強酸性トリアムシノロン誘導体(pKaが2未満)である、リン酸トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide phosphate)の、リポソームへの封入について記述された[Gonzalez-Rothi, Ricardo J et al. Pharmaceutical Research 13(11):1699-1703 (1996)]。リポソーム中に酸性副腎皮質ステロイドを受動的に導入することで、リポソーム性製剤が作製され、における症状の治療のための注射可能な投与剤静脈内または気管内)として、それが使用された。さらに、ex vivo安定性実験において、24時間後において、リポソームは75%を越える酸性副腎皮質ステロイドを保持することが示された。

概要

本発明は、患者における炎症関連症状の治療のための医薬組成物の作製のための、リポソームに封入されたグルココルチコイド(GC)またはGC誘導体の使用であって、前記症状が神経変性疾病または障害に関連しないという条件における使用を提供する。特定の使用は、リウマチ様関節炎の治療のための、メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(MPS)を含むリポソーム性製剤に関する。A

目的

本発明は、患者の炎症関連症状の治療のための医薬組成物の作製のためのGCまたはGC誘導体の使用であって、前記症状が神経変性の疾病または障害に関連おらず、前記GCまたはGC誘導体がリポソームに封入され本質的に該リポソームに6ヶ月間保持され、前記GC/GC誘導体が以下から選択されるという条件における使用を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

患者における炎症関連症状の治療のための医薬組成物の作製のための、リポソーム封入されたグルココルチコイドGC)またはGC誘導体の使用であって、前記症状が神経変性疾病または障害に関連しておらず、前記GCまたはGC誘導体が本質的に前記リポソームに6ヶ月間保持され、前記GCまたはGC誘導体が以下から選択されるという条件における使用:i) pKaが11以下であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱塩基GCまたはGC誘導体;ii) pKaが3.5を超える値であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体。

請求項2

請求項1に記載の使用であって、前記GCまたはGC誘導体が、pKaが11以下でありpH 7におけるlogDが-1.5から1.0の間の範囲である両親媒性弱塩基;またはpKaが3.5を超える値でありpH 7におけるlogDが-1.5から1.0の間の範囲である両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体から選択される使用。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の使用であって、前記GC誘導体が、前記リポソームから体液中に放出されたときに活性型グルココルチコイドに転換されるプロドラッグである使用。

請求項4

請求項1から請求項3の何れか1項に記載の使用であって、前記GCまたはGC誘導体が酸性GCまたはGC誘導体である使用。

請求項5

請求項4に記載の使用であって、前記酸性GCが、メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(methylprednisolone sodium hemisuccinate)(MPS)、ヒドロコルチゾンナトリウムヘミスクシナート(hydrocortisone sodium hemisuccinate)(HYD)、デキサメサゾンヘミスクシナート(Dexamethasone hemisuccinate)、プレドニゾロンヘミスクシナート(Prednisolone hemisuccinate)から選択される使用。

請求項6

請求項1から請求項5の何れか1項に記載の使用であって、前記リポソームがリン脂質を含む使用。

請求項7

請求項5に記載の使用であって、前記リポソームが、リン脂質、リポポリマーおよびコレステロールの組み合わせを含む使用。

請求項8

請求項7に記載の使用であって、前記リポソームが、水素ダイズホスファチジルコリン(hydrogenated soybean phosphatidylcholine)(HSPC)、ポリエチレングリコールコーティングステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)およびコレステロールの組み合わせを含む使用。

請求項9

請求項1から請求項8の何れか1項に記載の使用であって、前記リポソームが、立体的に安定なリポソーム(SSL)である使用。

請求項10

請求項6から請求項9の何れか1項に記載の使用であって、前記GCまたはGC誘導体とリン脂質とのモル比が、0.01から2.0の間である使用。

請求項11

請求項10に記載の使用であって、前記GCまたはGC誘導体とリン脂質とのモル比が、0.04から0.25の間である使用。

請求項12

請求項1から11の何れか1項に記載の使用であって、前記医薬組成物が、自己免疫疾患の治療のためである使用。

請求項13

請求項11に記載の使用であって、前記自己免疫疾患が、リウマチ様関節炎(RA)である使用。

請求項14

患者における炎症関連症状の治療のための方法であって、前記症状が神経変性の疾病または障害に関与せず、リポソームに封入され本質的に該リポソームに6ヶ月間保持されるGCまたはGC誘導体を、前記炎症関連症状を治療するのに有効な量で、それを必要とする前記患者に投与することを含み、前記GCまたはGC誘導体が以下から選択されるという条件における方法:i) pKaが11以下であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱塩基GCまたはGC誘導体;ii) pKaが3.5を超える値であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体。

請求項15

請求項14に記載の方法であって、前記GCまたはGC誘導体が、pKaが11以下でありpH 7におけるlogDが-1.5から1.0の間の範囲である両親媒性弱塩基;またはpKaが3.5を超える値でありpH 7におけるlogDが-1.5から1.0の間の範囲である両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体から選択される方法。

請求項16

請求項14または請求項15に記載の方法であって、前記リポソームから体液中に放出されたときに活性型GCに転換されるGC誘導体を前記患者に投与することを含む方法。

請求項17

請求項14から請求項16の何れか1項に記載の方法であって、酸性GCまたはGC誘導体を前記患者に投与することを含む方法。

請求項18

請求項17に記載の方法であって、前記酸性GCが、メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(methylprednisolone sodium hemisuccinate)(MPS)、ヒドロコルチゾンナトリウムヘミスクシナート(hydrocortisone sodium hemisuccinate)(HYD)、デキサメサゾンヘミスクシナート(Dexamethasone hemisuccinate)、プレドニゾロンヘミスクシナート(Prednisolone hemisuccinate)から選択されるGC誘導体である方法。

請求項19

請求項14から請求項18の何れか1項に記載の方法であって、前記リポソームが、リン脂質を含む方法。

請求項20

請求項17に記載の方法であって、前記リポソームが、リン脂質、リポポリマーおよびコレステロールの組み合わせを含む方法。

請求項21

請求項18に記載の方法であって、前記リポソームが、水素化ダイズホスファチジルコリン(hydrogenated soybean phosphatidylcholine)(HSPC)、ポリエチレングリコールコーティングジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)およびコレステロールの組み合わせを含む方法。

請求項22

請求項13から請求項19の何れか1項に記載の方法であって、前記リポソームが、立体的に安定なリポソーム(SSL)である方法。

請求項23

請求項19から請求項22の何れか1項に記載の方法であって、前記GCまたはGC誘導体とリン脂質とのモル比が、0.01から2.0の間である方法。

請求項24

請求項19から請求項22の何れか1項に記載の方法であって、前記GCまたはGC誘導体と前記リン脂質とのモル比が、0.04から0.25の間である方法。

請求項25

請求項15から請求項24の何れか1項に記載の方法であって、前記医薬組成物が、自己免疫疾患の治療のためである方法。

請求項26

請求項25に記載の方法であって、前記自己免疫疾患が、リウマチ様関節炎(RA)である方法。

請求項27

請求項15から請求項26の何れか1項に記載の方法であって、GCまたはGC誘導体を封入するリポソームの非経口投与を含む方法。

請求項28

請求項27に記載の方法であって、前記非経口投与が、経口、鼻腔内および注入投与ならびに注射による投与から選択される方法。

請求項29

炎症関連症状の治療のための医薬組成物であって、前記症状が神経変性の疾病または障害に関与せず、リポソームに封入され本質的に該リポソームに6ヶ月間保持されるGCまたはGC誘導体を、前記医学的症状を治療するのに有効な量で、それを必要とする患者に投与することを含み、前記GCまたはGC誘導体が以下から選択されるという条件における医薬組成物:i) pKaが11以下であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱塩基GCまたはGC誘導体;ii) pKaが3.5を超える値であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体。

請求項30

請求項29に記載の医薬組成物であって、前記GCまたはGC誘導体が、pKaが11以下でありpH 7におけるlogDが-1.5から1.0の間の範囲である両親媒性弱塩基;またはpKaが3.5を超える値でありpH 7におけるlogDが-1.5から1.0の間の範囲である両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体から選択される医薬組成物。

請求項31

請求項29または請求項30に記載の医薬組成物であって、前記リポソームから体液中に放出されたときに活性型GCに転換されるGC誘導体を含む医薬組成物。

請求項32

請求項29から請求項31の何れか1項に記載の医薬組成物であって、酸性GC誘導体を含む医薬組成物。

請求項33

請求項32に記載の医薬組成物であって、前記酸性GCが、メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(methylprednisolone sodium hemisuccinate)(MPS)、ヒドロコルチゾンナトリウムヘミスクシナート(hydrocortisone sodium hemisuccinate)(HYD)、デキサメサゾンヘミスクシナート(Dexamethasone hemisuccinate)、プレドニゾロンヘミスクシナート(Prednisolone hemisuccinate)から選択されるGC誘導体である医薬組成物。

請求項34

請求項29から請求項33の何れか1項に記載の医薬組成物であって、前記リポソームがリン脂質を含む医薬組成物。

請求項35

請求項34に記載の医薬組成物であって、前記リポソームが、リン脂質、リポポリマーおよびコレステロールの組み合わせを含む医薬組成物。

請求項36

請求項35に記載の医薬組成物であって、前記リポソームが、水素化ダイズホスファチジルコリン(hydrogenated soybean phosphatidylcholine)(HSPC)、ポリエチレングリコールコーティングジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)およびコレステロールの組み合わせを含む医薬組成物。

請求項37

請求項29から請求項36の何れか1項に記載の医薬組成物であって、前記リポソームが、立体的に安定なリポソーム(SSL)である医薬組成物。

請求項38

請求項34から請求項37の何れか1項に記載の医薬組成物であって、前記GCまたはGC誘導体とリン脂質とのモル比が、0.01から2.0の間である医薬組成物。

請求項39

請求項38に記載の医薬組成物であって、前記GCまたはGC誘導体と前記リン脂質とのモル比が、0.04から0.25の間である医薬組成物。

請求項40

請求項29から請求項39の何れか1項に記載の医薬組成物であって、自己免疫疾患の治療のための医薬組成物。

請求項41

請求項29に記載の医薬組成物であって、リウマチ様関節炎(RA)の治療のための医薬組成物。

請求項42

請求項29から請求項41の何れか1項に記載の医薬組成物であって、非経口投与に適した形態の医薬組成物。

請求項43

請求項42に記載の医薬組成物であって、経口、鼻腔内、注入および注射から選択される経路による投与に適した形態の医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、一般にリポソーム技術に関し、および特にグルココルチコイド送達におけるこの技術の使用に関する。

先行技術

0002

以下は、本発明の分野における技術水準を記載するために適切と考えられる先行技術の一覧である。

0003

Gonzalez-Rothi, Ricardo J et al. Pharmaceutical Research 13(11):1699-1703 (1996);
Schmidt J et al. Brain 126(8):1895-1904 (2003);
Fildes FJ et al. J Pharm. Pharmacol. 30(6):337-42 (1978);
MishinaEVet al Pharm Res 13(1):141-5 (1996);
Gonzalez-Rothi, Ricardo J et al. Pharmaceutical Research 13(11):1699-1703 (1996);
Metselaar JM, et al. Ann Rheum Dis. 63(4):348-53 (2004);
Metselaar JM, et al. Arthritis Rheum. 48(7):2059-66 (2003);
Metselaar JM, et al. Cell Mol Biol Lett. 7(2):291-2 (2002);
Lopez-Garcia F, et al. J Pharm Pharmacol.45(6):576-8 (1993);
Love WG, et al. Ann Rheum Dis. 49(8):611-4 (1990);
Josbert M. Metselaar, Liposomal targeting of glucocorticoids. A novel treatment approach for inflammatory disorders. chapter 7, pp 107-122, 2003 Ph.D. Thesis, Utrecht University, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Faculty of Veterinary Medicine ISBN 90-393-3285-1。

背景技術

0004

グルココルチコイド(副腎皮質ステロイド)は、ほとんど全ての脊椎動物組織細胞で見られるコルチゾール受容体に結合し、類似効果を引き起こす能力を有することが特徴付けられる、ステロイドホルモンの1クラスである。グルココルチコイドは、特異的受容体、標的細胞および効果から、性ステロイドといったその他のホルモンから区別される。コルチゾール(または、ヒドロコルチゾン)は、最も重要な天然のヒトグルコルチコイドである。

0005

グルココルチコイドは、強力な抗炎症性および免疫抑制の特性を有する。このことは、これらが薬理的な量で投与された場合に特に明らかであるが、正常な免疫応答においても重要である。それゆえグルココルチコイドは、関節炎または皮膚炎といった炎症性の症状を治療する薬剤として、および自己免疫疾患といった症状の付加的な治療法として広く使用される。一方で、薬剤としての投与によってグルココルチコイドレベルの過剰が生じ、また副腎皮質細胞増殖は多くのシステムに影響を及ぼす。例えば、骨形成阻害カルシウム吸収の抑制および創傷治癒遅延といった影響が生じる。

0006

コルチゾールよりずっと強力なものを含む、様々な合成グルココルチコイドが、治療的な使用のために開発されてきた。それらは、薬物動態学的に(pharmacokinetics)(吸収係数半減期分布容積、排除)および薬動力学的に(pharmacodynamics)(例えば、鉱質コルチコイド活性の能力;ナトリウム(Na+)および水の保持率)異なる。それらは、腸管を通して、よく吸収されるため、主に経口的に(口から)投与されるが、皮膚からといったその他の局所的な方法によっても投与される。

0007

メチルプレドニゾロンプレグナ(pregna)-1,4-ジエン-3,20-ジオン, 11,17,21-トリヒドロキシ-6-メチル-,(6α, 11β)、C22H30O5、分子量374.48)は、治療的に有効な合成グルココルチコイド薬剤の1例であり、その疎水的特質のために普通経口投与される。ほとんどの副腎皮質性のステロイドと同様に、メチルプレドニゾロンは、典型的に、抗炎症の目的のために使用される。しかしながら、グルココルチコイドは、代謝および免疫応答の変化を含む幅広い影響を及ぼす。その他の副腎皮質ステロイドと同様に、メチルプレドニゾロンが有効となる疾病または病理学的症状の数は、むしろ多い。通常の使用には、関節炎治療、および様々な呼吸器疾患が原因となる気管支の炎症の短期治療が含まれる。高い有効性の一方で、特に長期治療に関連して、重大な有害事象高頻度に発生するために、全身性の投与は制限される。

0008

グルココルチコイドの全身性の投与の有効性および安全性の研究から、多くの異なる組織において薬剤が重大な活性を有することに加えて、これらの薬剤は、血漿からの排出が急速であることが原因となり、標的部位において有効量を満たすために、大量で高頻度の投与が必要となることがわかった。

0009

従って、非経口的な投与のための代替法が検討された。例えば、グルココルチコイドの病巣内への投与(例えば、喘息における吸入器の使用による投与、および関節炎における関節内注射による投与)の開発により、少ない量のステロイドの使用で、病変部において十分な薬剤レベルを達成し、副作用を最小限に抑えることが可能となった。

0010

さらなる方法には、リポソームといった、適した担体を使用して、薬剤に標的組織を標的とさせることを含む。

0011

リポソーム中に副腎皮質ステロイドを封入する最初の試みは、Fildes FJらによって行われ[J Pharm. Pharmacol. 30(6):337-42 (1978)]、その研究では、リポソームの脂質二重膜へのステロイドの封入が行われた。この方法は、副腎皮質ステロイドが自然状態で疎水性であるという理解に基づいていた。しかしながら、そのようなリポソームの形成は、臨床応用に適さないことが明らかとなった。

0012

「可溶性」グルココルチコイドの開発という努力も行われた。例えば、ヒドロコルチゾンヘミスクシナートナトリウム塩(hydrocortisone hemisuccinate sodium salt)およびメチルプレドニゾロンヘミスクシナートナトリウム塩(Methylprednisolone hemisuccinate sodium salt)といったスクシナート誘導体化ステロイドが含まれる。可溶性グルココルチコイドの別の群は、ステロイドのリン酸化誘導体を含む。ステロイドを水溶性にし、酸性ステロイドを注射に使用できるようにした一方で、これらの「プロドラッグ」は、注射後6時間未満の内に血漿から完全に排出された[MishinaEVet al Pharm Res 13(1):141-5 (1996)]。

0013

酸性ステロイドとリポソームの組み合わせも、また検討された。Schmidtらは、リン酸プレドニゾロン水溶性プロドラッグステロイドの1つ)を封入する、ポリエチレングリコール(PEG)コーティングされた長期循環型立体的に安定したリポソームを作製し、それが、多発性硬化症の治療において、遊離型のステロイドと比較して有利な効果をもつことを記載している[Schmidt J et al. Brain 126(8):1895-1904 (2003)]。しかしながら、メチルプレドニゾロンヘミスクシナート(弱酸)を同様に封入しようとする試みは、それが不安定な製剤形態となったために失敗した。

0014

さらに、水溶性で強酸性トリアムシノロン誘導体(pKaが2未満)である、リン酸トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide phosphate)の、リポソームへの封入について記述された[Gonzalez-Rothi, Ricardo J et al. Pharmaceutical Research 13(11):1699-1703 (1996)]。リポソーム中に酸性副腎皮質ステロイドを受動的に導入することで、リポソーム性製剤が作製され、における症状の治療のための注射可能な投与剤静脈内または気管内)として、それが使用された。さらに、ex vivo安定性実験において、24時間後において、リポソームは75%を越える酸性副腎皮質ステロイドを保持することが示された。

発明の概要

0015

本発明は、リポソームに安定的に導入される、すなわち4℃で14ヶ月保存した後でさえリポソーム中に劣化していない酸性グルココルチコイド(GC)として物質の大部分が保持される、両親媒性の弱酸へと化学的に修飾されたグルココルチコイドの使用が、アジュバント関節炎(AA)誘導動物におけるリウマチ様関節炎の症状の緩和に有効であるという発見に基づく。

0016

従って、第一の側面によると、本発明は、患者炎症関連症状の治療のための医薬組成物の作製のためのGCまたはGC誘導体の使用であって、前記症状が神経変性の疾病または障害に関連おらず、前記GCまたはGC誘導体がリポソームに封入され本質的に該リポソームに6ヶ月間保持され、前記GC/GC誘導体が以下から選択されるという条件における使用を提供する:
i) pKaが11以下であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱塩基GCまたはGC誘導体;
ii) pKaが3.5を超える値であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体。

0017

GCまたはGC誘導体は、好ましくは酸性GCまたはGC誘導体である。GC誘導体と言及する場合、それは、好ましくは、リポソームから体液中に放出されたときに非酸性の形態に転換される、GCの両親媒性弱酸誘導体である。より明確には、酸性GCは、メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(MPS)である。

0018

本発明による好ましいMPS製剤は、水素ダイズホスファチジルコリン(hydrogenated soybean phosphatidylcholine)(HSPC)、ポリエチレングリコールコーティングジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)およびコレステロールが55:40:5のモル比で組み合わされて形成された、立体的に安定なリポソーム(平均直径が約80 nmという均一なサイズを有する)を含む。

0019

医薬組成物は、好ましくは炎症および自己免疫疾患の治療または予防に使用され、好ましくは自己免疫疾患、好ましくはリウマチ様関節炎(RA)の治療のために使用される。

0020

好ましくは、本発明の範囲から除外される神経変性の疾病は、多発性硬化症である。

0021

炎症および免疫応答
免疫過程(immune processes)は、好ましくは進行中であり、多くの場合、臨床的に検出可能な炎症を起こすことなく抗原消失をもたらす。臨床的に明らかな炎症の発生は、著しく大量の抗原、異常な部位における抗原、消化が難しい抗原、または炎症もしくは自己免疫疾患をもたらす方法で処理される抗原の何れかの抗原に、免疫系が遭遇したことを示している。リウマチ様関節炎といった一部の疾病において、惹起する物質は、未知であるか、正常な宿主の組織の構成成分である可能性がある。別の場合(例えば、全身性エリテマトーデス)、先天性または後天性免疫調節異常が、炎症過程持続性性質に寄与する可能性がある。

0022

免疫系により仲介される、炎症応答および免疫誘導型の病態は、I、II、III、およびIVという4つの分類に分けられてよく、これらは4つの異なる免疫機構を表している。
I.即時型過敏症アレルギー性またはレアギン急性炎症)。
II.細胞障害細胞障害性抗体によって仲介される炎症)。
III.免疫複合体(免疫複合体によって仲介される炎症)。
IV.遅延型過敏症リンパ球およびマクロファージによって仲介される慢性的炎症)。

0023

上述したそれぞれの機構は、免疫系に関連した医学的症状の発生をもたらす可能性があり、本発明によるリポソーム性GCまたはGC誘導体によって治療されてよい。

0024

従って、本発明は、また、炎症関連医学的症状の治療のための方法であって、前記症状が神経変性の疾病または障害に関与せず、リポソームに封入され本質的に該リポソームに6ヶ月間保持されるGCまたはGC誘導体を、前記症状を治療するのに有効な量で、それを必要とする患者に投与することを含み、前記GCおよびGC誘導体が以下から選択されるという条件における方法を提供する:
i) pKaが11以下であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱塩基GCまたはGC誘導体;
ii) pKaが3.5を超える値であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体。

0025

またさらに、本発明は、炎症関連症状の治療のための医薬組成物であって、リポソームに封入され該リポソームに6ヶ月間保持されるGCまたはGC誘導体を含み、該GCまたはGC誘導体が以下から選択される組成物を提供する:
i) pKaが11以下であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱塩基GCまたはGC誘導体;
ii) pKaが3.5を超える値であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体。

0026

本発明に従って治療される好ましい症状は、関節もしくは中枢神経系を除くその他の臓器を冒す炎症状態、および/または、CNSの疾病を除くGC治療に応答するもしくは感受性のある炎症状態である。炎症状態の特定のグループは、自己免疫性の症状、明確には、関節炎、より明確には、リウマチ様関節炎(RA)である。

発明の詳細な説明

0027

グルココルチコイド(GCs)は、炭水化物、および、部分的に、脂肪およびタンパク質の代謝に支配的に影響を与える(および、その他の効果を有する)ホルモンの1ファミリーである。グルココルチコイドは、副腎の外側部分(皮質)にて作られ、化学的にステロイドとして分類される。コルチゾールは、天然の主要なグルココルチコイドである。それにもかかわらず、グルココルチコイドという用語はまた、研究室で合成される同等なホルモンに適用される。

0028

グルココルチコイドの非限定的な一覧は、インターネット上のサイトhttp://www.steraloids.com/にて見ることができ、この一覧は、本出願にそのまま援用される。例えば、プレドニゾロンヘミスクシナート、メチルプレドニゾロンヘミスクシナート、デキサメサゾンヘミスクシナート、アロプレグナノロン(allopregnanolone)ヘミスクシナート;ベクロメタゾン21-ヘミスクシナート;ベタメタゾン21-ヘミスクシナート;ボルデノンヘミスクシナート; プレドニゾロンヘミスクシナート、ナトリウム塩; プレドニゾロン21-ヘミスクシナート;ナンドロロンヘミスクシナート; 19-ノルテストステロン(nortestosterone) ヘミスクシナート;デオキシコルチコステロン21-ヘミスクシナート; デキサメサゾンヘミスクシナート; デキサメサゾンヘミスクシナート:スペルミン;コルチコステロンヘミスクシナート;コルテキソロンヘミスクシナートが含まれる。

0029

他の多くの薬剤と同様、遊離形態でのGCの投与は幾つかの不都合な点を有しており、例えば、治療する個人を、GC治療により生じる既知の副作用、血漿からのステロイドの急速な排除などにさらす危険がある。

0030

本発明は、GCが適切な媒体(vehicle)に保持されおよび保護される製剤を提供することを目的とされた。そのような解決法探す上で、発明者らは、両親媒性GCを媒体に効率的におよび安定して充填することは困難であるものの、ステロイドの水溶性誘導体への転換を含む幾分単純な化学的修飾をGCに適用し、誘導体をリポソームに充填することは可能であり、この結果できるリポソーム性GCまたはGC誘導体は、炎症の症状の改善に有効であると想像した。

0031

従って、本発明は、炎症関連症状の治療のための医薬組成物の調製のためのGCまたはGC誘導体の使用であって、前記症状が神経変性に関連した疾病または障害ではなく、前記GCまたはGC誘導体がリポソームに封入され本質的に該リポソームに6ヶ月間保持され、前記GC/GC誘導体が以下から選択されるという条件における使用を提供する:
i) pKaが11以下であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱塩基GCまたはGC誘導体;
ii) pKaが3.5を超える値であり、pH 7におけるlogDが約-2.5から約1.5の間の範囲、好ましくは約-1.5から約1.0の間の範囲である、両親媒性弱酸GCまたはGC誘導体。

0032

本出願で使用される「GC誘導体」という用語は、化学基の挿入またはGC分子からの化学基の除去のどちらかによって化学的に修飾されたGC分子であって、該修飾によって、適用される修飾の種類に依存して両親媒性弱塩基または両親媒性弱酸に前記分子が転換されたGC分子を意味する。ステロイドの化学精通した当業者から十分理解されるように、自然状態のこれらの親水性の分子は、少なくとも1つの化学的に活性な基を有し、この基が、弱酸または弱塩基と結合し、それぞれ両親媒性弱酸または両親媒性弱塩基分子を形成することができる。ステロイドの一般構造に典型的に含まれる化学的に活性な基の非限定的な例は、化学に精通した当業者に知られる通り、ヒドロキシルカルボキシル等である。本発明の状況において、GC誘導体はまた、活性を有し、非修飾型で、両親媒性のおよび弱酸性のGCを含んでよいことが留意されるべきである。

0033

一側面によるGC誘導体は、プロドラッグであり、すなわち、リポソーム中に存在している形態においては医薬的な活性を有しない。リポソームからの放出によって、GCプロドラッグは、エステラーゼといった酵素によって、その医薬的に活性な疎水性の形態に転換される。

0034

さらに別の側面に従って、リポソームに封入されたGCは、すでに医薬的に活性な形態であり、活性化状態となるために何れの酵素的処理を受ける必要がない。第二の側面によると、GC自体が、弱い両親媒性酸または塩基である。

0035

「両親媒性弱酸」という用語は、疎水基および親水基の両方を有する分子であって、本質的に疎水基を構成するGCのステロイド骨格を有し、一方で弱酸成分が上述した修飾によってGCにつながり本質的に親水基を構成している分子を意味するよう本出願で使用される。GC両親媒性弱酸またはGC誘導体は、以下の物理的特徴によって特徴付けられる:
- pKa:3.0を超える、好ましくは3.5を超える、より好ましくは約3.5から約6.5の間の範囲のpKaを有している;
-分配係数:pH 7.0のn-オクタノール/緩衝液水相)システムにおいて、約-2.5から約1.5の間の範囲の、およびより好ましくは約-1.5から約1.0の間のlogDを有する。

0036

そのようなGCの両親媒性弱酸誘導体は、GCをジカルボン酸またはトリカルボン酸と反応させることにより、またはGCをアミノ酸アミノ基につなぐことにより、当該技術に精通した当業者に既知の技術により得ることができる。

0037

GC誘導体の具体的な例は、ベタメタゾン21-ヘミスクシナートプレドニゾロンヘミスクシナートナトリウム塩; プレドニゾロン21-ヘミスクシナート;デキサメサゾンヘミスクシナート; デキサメサゾンヘミスクシナート:スペルミン;コルチコステロンヘミスクシナートプレドニゾロンヘミスクシナート;メチルプレドニゾロンヘミスクシナート; デキサメサゾンヘミスクシナートを含むが、これらに限定されない。

0038

「両親媒性弱塩基」という用語は、疎水基および親水基の両方を有する分子であって、本質的に疎水基を構成するGCのステロイド骨格を有し、一方で弱塩基成分が上述した修飾によってGCにつながり本質的に親水基を構成している分子を意味するよう本出願で使用される。GC両親媒性弱塩基誘導体は、以下の物理的特徴によって特徴付けられる:
- pKa:11.0未満、より好ましくは約11.0から7.5の間のpKaを有している;
-分配係数:pH 7.0のn-オクタノール/緩衝液(水相)システムにおいて、約-2.5から約1.5の間の範囲の、およびより好ましくは約-1.5から約1.0の間のlogDを有する。

0039

そのようなGCの両親媒性弱塩基誘導体は、GCとアルギニンまたはリジンといった塩基性アミノ酸とを反応させることによって、またはGCと、カルボキシ基を介して何れかのアミノ酸とを反応させ、アミノ基は未反応の状態とすることによって、またはGCと、スペルミジンもしくはスペルミンといったポリアミンとを反応させることによって得てよい。

0040

「リポソーム」という用語は、脂質ベース二重膜媒体を意味するよう本出願で使用される。リポソームは、医薬的目的、美容目的、および生化学的目的のための、薬剤、ペプチド、タンパク質、プラスミドDNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイム生体適合性の担体として広く使用される。脂質の粒子サイズにおける、および物理的パラメーターにおける莫大多機能性は、広範囲な応用のためのテーラーメードな媒体の構築のための魅力的な可能性をもたらす。異なる応用(例えば、非経口、経皮、経肺、鼻腔内および経口投与)のための多様な脂質製剤(リポソーム、リポプレックス(lipoplexes)、キュービックフェーズ(cubic phases)、乳剤ミセルおよび固体脂質ナノ粒子)の異なる性質(サイズ、コロイド性挙動相転移電荷および多形性)が利用可能であり、当該技術に精通する当業者に既知である。これらの性質は、リポソームの関連した性質に影響を及ぼし、例えば、保存時および血清中におけるリポソームの安定性、積荷物質の体内分布および受動的または能動的な(特定の)標的化、ならびに薬剤放出および膜の分解および/または融合をどのように引き起こすかに影響を及ぼす。

0041

本発明は、様々なリポソーム組成物に適用可能であり、当該技術に精通した当業者は、活性成分(この特別な場合において、特定のGCまたはGC誘導体)の選択、最終的なリポソーム性組成物の投与の様式等を含む、様々な考慮に依存して、リポソームの成分をどのように選択するかということがわかるだろう。

0042

リポソームは、主にリポソーム形成脂質で構成されるものであり、該リポソーム形成脂質は、本質的に、充填パラメーターが0.74-1.0と特徴付けられる、または相加的充填パラメーター(リポソームのそれぞれの成分の充填パラメーターにそれぞれの成分のモル分率をかけたものの総計)が0.74から1の間である脂質混合物であると特徴付けられる、両親媒性分子である。

0043

本出願ではリン脂質が例示されるリポソーム形成脂質は、水中で二重膜小胞を形成する。リポソームはまた、脂質二重膜に組み入れられるその他の脂質を含むことができ、そのような脂質とは例えば、二重膜内部の疎水性領域に接する疎水性成分、および二重膜外部の極性表面に位置するヘッドグループを有するホスファチジルエタノールアミン(PE)およびステロールである。付加的で、非リポソーム形成性脂質成分の種類およびレベルは、脂質二重膜の全成分の相加的充填パラメーターが0.74から1.0の間に維持されるように決定されるだろう。

0044

リポソーム形成脂質は好ましくはグリセロール骨格を有するものであり、ヘッドグループにおける少なくとも1つ、好ましくは2つの水酸基が、好ましくはアシル鎖置換され(アシルまたはジアシル誘導体を形成し)、しかしながら、また、アルキルもしくはアルケニル鎖リン酸基または、同様な組み合わせもしくは誘導体で置換されてよく、およびヘッドグループにおいて化学的に活性な基(例えば、アミン、酸、エステルアルデヒドまたはアルコール)を含み、これによって極性ヘッドグループを形成してよい。スフィンゴミエリンといったスフィンゴ脂質は、グリセロリン脂質のよい代替物である。

0045

典型的に、例えばアシル、アルキルまたはアルケニル鎖といった置換鎖は、長さにおいて14から約24の間の数の炭素原子を有し、十分に、部分的に水素付加された、または水素付加されていない脂質といったように、異なる飽和度を有する。様々な合成小胞形成脂質および天然小胞形成脂質が存在し、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG);卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC);ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS) 1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、およびスフィンゴミエリン(SM)といったスフィンゴリン脂質といった、12-24炭素原子アシルまたはアルキル鎖を有するリン脂質を含む。炭化水素鎖(アシル/アルキル/アルケニル鎖)が異なる飽和度を有する、上述した脂質およびリン脂質は、市販のものから得ることができ、または刊行物に記載された方法にしたがって作製することができる。リポソームに含まれるその他の適した脂質は、グリセロ糖脂質およびスフィンゴ糖脂質およびステロール(例えば、コレステロールまたは植物ステロール)である。

0046

好ましくは、リン脂質は、ホスファチジルコリン(EPC)、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)または水素化ダイズホスファチジルコリン(hydrogenated soybean phosphatidylcholine)(HSPC)である。

0047

陽イオン性脂質モノおよびポリカチオン)もまた、それが脂質組成物マイナーな成分として、または主成分もしくは唯一の成分として含むことができる場合、本発明によるリポソームにおける使用に適している。そのような陽イオン性脂質は、典型的に、ステロール、アシルまたはジアシル鎖といった親油性成分を有しており、脂質は全体的に実質正電荷を有する。好ましくは、脂質のヘッドグループは、正電荷を有する。モノカチオンの脂質には、例えば、1,2-ジミリストイル-3-リメチルアンモニウムプロパン(DMTAP) 1,2-ジオレイルオキシ-3-(トリメチルアミノ) プロパン(DOTAP); N-[1-(2,3,- ジテトラデシルオキシ)プロピル]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE); N-[1-(2,3,-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチル-アンモニウムブロミド (DORIE); N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ) プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA); 3β[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol); およびジメチル-ジオクタデシルアンモニウム(DDAB)を含む。

0048

ポリカチオンの脂質の例は、モノカチオンの脂質と同様な親油性成分を含み、そこにポリカチオン成分が結合される。典型的なポリカチオン成分は、スペルミンまたはスペルミジン(DOSPAおよびDOSPERによって例証される)、またはポリリジンもしくはその他のポリアミン脂質といったペプチドを含む。例えば、中性脂質(DOPE)は、ポリリジンで誘導体化し、陽イオン性脂質とすることができる。ポリカチオンの脂質には、N-[2-[[2,5-ビス[3-アミノプロピル)アミノ]-1-オキソペンチル]アミノ]エチル]-N,N-ジメチル-2,3-ビス[(1-オキソ-9-オクタデセニル)オキシ]-1-プロパンアンモニウム(DOSPA)、およびセラミドカルバモイルスペルミン(CCS)を含むが、これらに限定されない。

0049

リポソームを形成する脂質混合物は、特定の流動性または剛性を達成するため、血清中のリポソームの安定性を調節するため、およびリポソーム中に封入された薬剤の放出率を調節するために選択することができる。

0050

さらに、リポソームはまた、親水性ポリマーで誘導体化され、リポポリマー(lipopolymers)という用語で知られる新たな実体(entities)となった脂質を含んでよい。リポポリマーは好ましくは、ヘッドグループをポリマーで修飾され、750 Da以上の分子量を有する脂質を含む。ヘッドグループは極性または非極性であってよく、しかしながら、好ましくは、大きく(>750Da)、高度に水和された(1ヘッドグループ当り、少なくとも60分子の水が水和)流動的なポリマーが結合された、極性ヘッドグループである。親水性ポリマーヘッドグループの脂質領域への結合は、共有結合または非共有結合であってよく、しかしながら、好ましくは(任意にリンカーを介した)共有結合の形成を介す。親水性ポリマー鎖の最外側表面は、リポソームに、in vivoでの長期の血液循環寿命(blood circulation lifetime)を与えるのに有効である。リポポリマーはリポソームに2つの異なる方法で導入してよい:(a)リポポリマーを脂質混合物に加えリポソームを形成する方法。リポポリマーは、リポソーム二重膜の内側および外側のリーフレットに取り込まれおよび露出されるだろう[Uster P.S. et al. FEBBSLetters 386:243 (1996)];または(b)最初にリポソームを作製し、次にリポポリマーおよびリポソーム形成脂質のTmを超える温度でインキュベーションすることによって、または短期間マイクロ波照射にさらすことによって、前記形成したリポソームの外部リーフレットにリポポリマーを取り込む方法。

0051

リポソーム形成脂質から構成される小胞の作製およびそのような脂質の親水性ポリマーによる誘導体化(それによるリポポリマーの形成)は、例えばTiroshら[Tirosh et al., Biopys. J., 74(3):1371-1379, (1998)] および本出願に援用される米国特許第5,013,556; 5,395,619; 5,817,856; 6,043,094, 6,165,501号、ならびにWO 98/07409において記述されてきた。リポポリマーは、非イオン性リポポリマー(時折中性リポポリマーまたは無電荷リポポリマーとも言及される)または正味負電荷もしくは正味正電荷を有するリポポリマーであってよい。

0052

脂質に結合してよいポリマーは多数存在する。脂質修飾因子として典型的に使用されるポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリシアル酸ポリ乳酸(polylactic) (ポリラクチドとも呼ばれる)、ポリグリコール酸(ポリグリコリドとも呼ばれる)、ポリ乳酸-ポリグリコール酸(apolylactic-polyglycolic acid)、ポリビニルアルコールポリビニルピロリドンポリメトキサゾリンポリエチルオキサゾリンポリヒドロキシエチルオキサゾリン、ポリヒドロキシプロピルオキサゾリン、ポリアスパルトアミド(polyaspartamide)、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミドポリビニルメチルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリラートヒドロキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースといった誘導体化セルロースを含むが、これらに限定されない。ポリマーは、ホモポリマーとして、またはブロックもしくはランダムコポリマーとして使用してよい。

0053

リポポリマーに誘導体化される脂質は、中性、負に帯電、ならびに正に帯電してよく、すなわち、特定の電荷を有す(または有しない)とする制限がない一方で、最も一般に使用されおよび商業的に利用可能なリポポリマーに誘導体化される脂質は、ホスファチジルエタノールアミン(PE)に基づくもの、通常、ジステアリルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)である。

0054

本発明に使用されるリポポリマーの特定のファミリーは、DSPEに結合したモノメチル化PEG(異なるPEGの鎖長を有す、メチル化PEGは本出願ではPEGとして略語で呼ばれる)を含み、それは、PEGポリマーがカルバメート結合(carbamate linkage)を介して脂質につながり、その結果負に帯電したリポポリマーとなる。その他のリポポリマーは、中性メチルポリエチレングリコールジステアロイルグリセロール(mPEG-DSG)および中性メチルポリエチレングリコールオキシカルボニル-3-アミノ-1,2-プロパンジオールジステアロイルエステル(mPEG-DS) [Garbuzenko O. et al., Langmuir. 21:2560-2568 (2005)]である。PEG成分は、好ましくは、ヘッドグループの分子量が約750 Daから約20,000 Daである。より好ましくは、分子量は、約750 Daから約 12,000 Daであり、もっとも好ましくは約1,000 Daから約5,000 Daの間である。本発明で用いられる1つの特別なPEG-DSPEは、2000 Daの分子量を有し、本出願では2000PEG-DSPEまたは2kPEG-DSPEと名付けられる。

0055

そのような誘導体化脂質を含むリポソームの調製もまた記述されており、典型的に、1から20モルパーセントのそのような誘導体化脂質が、リポソーム製剤中に含まれる。

0056

リポソーム性製剤の調製は、緩衝剤酸化防止剤金属キレーター、および凍結防止剤といった水相成分に加え、適した脂質成分を選択することを含むということが、十分確立されている。ホスファチジルグリセロールといった、電荷誘導型脂質は、小胞-小胞融合を低減させおよび細胞との相互作用を増加させるためにリポソーム二重膜に取り込むことができるが、一方、コレステロールおよびスフィンゴミエリンを、封入された薬剤の透過性および漏出を低減するために製剤中に含めることができる。アスコルビン酸ナトリウムといった酸化防止剤の添加は、酸化を低減することができる。

0057

これらのリポソーム成分間の比率の変化は、リポソームの安定性を含むリポソームの薬理学的な性質を規定し、このことは、様々な種類の小胞の投与において、主として考慮されることである。明らかに、リポソームの安定性は、通常の医薬としての同様の基準を満たすべきである。化学的安定性は、リン脂質二重膜におけるエステル結合加水分解および脂質鎖の不飽和部位の酸化の両方の予防に関与する。化学的な不安定性は、物理的な不安定性、または二重膜からの封入された薬剤の漏出ならびに小胞の融合および凝集を引き起こしうる。化学的な不安定性はまた、リポソームの血液循環時間の短縮を引き起こし、このことは、標的への効果的な接触および標的との相互作用に影響を及ぼす。

0058

本発明による好ましい製剤は、リポソーム形成脂質として卵PC(EPC)または水素化ダイズPC(hydrogenated soy PC)(HSPC)といったホスファチジルコリン、PEG化(2000Da)ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)およびコレステロールを含む。明らかに、その他の脂質混合物は、異なる構成物の最終的な相加的充填パラメーターが約0.74から1.0の間であるならば、同一、同様または異なるモル比で使用してよい。

0059

本発明による医薬製剤は、高度に安定であることが証明された。GC誘導体、メチルプレドニゾロンヘミスクシナート(コハク酸で修飾されたメチルプレドニゾロン)が上記の3つの構成物を含むリポソームに封入された、本発明の例示される実施態様では、4℃で14ヶ月保存された後において、GC誘導体は、わずかな減少(最初の濃度から20%未満)しか示さなかった(図3A−3B)。

0060

従って、本発明によると、「安定性」という用語は、通常の保存条件(4℃)において、リポソーム中にGC/GC誘導体の大部分(80%超、好ましくは90%超)が、6ヶ月間、好ましくは10ヶ月間およびより好ましくは14ヶ月間保持される製剤を意味する。それゆえ、本出願で使用される「本質的に保持される」という用語は、GC/GC誘導体の80%および好ましくは90%が、保存条件下でリポソーム中に約6ヶ月、好ましくは10ヶ月およびより好ましくは14ヶ月保持されることを意味する。好ましい実施態様の1つによると、リポソームの安定性は、立体的に安定化されたリポソーム(sterically stabilized liposome)(SSL)、すなわち親水性成分でコーティングされたリポソームの使用によって維持される。好ましい実施態様によると、SSLは、水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC)、2000PEG-DSPEおよびコレステロールを55:40:5のモル比の組み合わせで含む。

0061

一般に、薬剤が取り込まれたリポソームを形成するために使用可能な薬剤充填方法は様々存在し、受動的な取り込みおよび能動的で間接的な充填が含まれる。受動的取り込み法は、リポソーム膜中への親油性薬剤の取り込み、および高度な水溶性を有する薬剤の取り込みに最も適している。イオン性親水性(ionizable hydrophilic)または両親媒性薬剤の場合、膜を介したイオン勾配に反してリポソーム中に薬剤を充填することにより、高い薬剤充填効率を達成することさえできる[Nichols, J.W., et al., Biochim. Biophys. Acta 455:269-271 (1976); Cramer, J., et al., Biochemical and Biophysical Research Communications 75(2):295-301 (1977)] 。一般に間接的充填(remote loading)と呼ばれる、この充填方法は、典型的に、自然状態で両親媒性でありイオン化される基を有する薬剤を、H+濃度が内部で高く外部で低いおよび/またはイオン勾配を有するリポソームの懸濁液にそれを添加することを伴う。

0062

本発明に関連して使用されるリポソームは、好ましくは、間接的充填原理によって充填される。生成される製剤は、有意に高いGC/GC誘導体と脂質の比を示した。好ましくは、GC/GC誘導体と脂質の間のモル比は、0.01から2.0の間であり、より好ましくは、0.04から0.25の間である。両親媒性弱塩基/塩基の高度な充填のために、リポソーム中のそれらの濃度が、あらかじめ取り込まれていた対イオンの存在下でそれらが沈殿する濃度であることが時折好ましい。

0063

間接的充填における使用のためのリポソーム二重膜を介するH+および/またはイオン勾配を有したリポソームは、様々な技術によって作製することができる。典型的な方法は、適した有機溶媒に安定したリポソームを形成する比率で脂質の混合物を溶解し、容器(vessel)の中で蒸発させ薄い脂質フィルムを形成すること含む。そのフィルムを次に、溶質種を含む水性媒体で覆い、リポソームの内腔に水相が形成される。リポソーム形成後、小胞は、既知の方法に従い、選択した範囲内でリポソームのサイズ分布を達成させることにより、大きさごとに分けてよい。本発明に使用されるリポソームは、好ましくは、70から100 nmの間の範囲、好ましくは約80 nmに選択された大きさに分けられる。

0064

大きさごとに分けたあと、リポソームの外部媒体(external medium)は、リポソーム膜を介したイオン勾配をつくるよう処理される(典型的に、リポソームを形成するために使用されるもの同様の緩衝液)。該勾配は、典型的に、内部が高く外部が低いイオン濃度勾配である。これは、様々な方法によって行われ、例えば、(i)外部媒体を希釈する、(ii)所望する最終媒体に対して透析する、(iii)ゲル排除クロマトグラフィー、例えば、セファデックスG-50を使用し、所望の媒体を溶出のために用いて平衡化する、または(iv)高速遠心分離および沈殿したリポソームの所望の最終媒体への再懸濁を繰り返すことにより行われる。外部媒体の選択は、勾配の種類、勾配形成の機構、外部溶質および所望のpHに依存し、これらのことは以下に記載される。

0065

イオンおよび/またはH+勾配を作り出す単純な方法において、脂質は、選択された内部媒体pHを有する媒体中で、水和されおよび大きさで分けられる。リポソームの懸濁液は、外部のリポソーム混合物が、所望する最終pHに達するまで滴定され、または上述のように、外部の相の緩衝液と所望する外部pHを有するものとを交換するよう処理される。例えば、元々の水和媒体は、特定の緩衝液、例えば、グルタミン酸クエン酸、コハク酸、フマル酸緩衝液中で、5.5のpHを有してよく、および最終的な外部媒体は、同一または異なる緩衝液中で8.5のpHを有す。これらの緩衝液の共通の特性は、それらが、酸から作られ、本質的にリポソーム不透過性であることである。内部および外部媒体は、好ましくは、例えば、緩衝液、塩、または、ブドウ糖もしくはショ糖といった低分子量非電解性溶質の濃度を適当に調節することにより、同じモル浸透圧濃度を含むように選択される。

0066

別の一般的方法において、勾配は、リポソーム中に特定のイオノフォア含むことによって作られる。例証すると、カリウム緩衝液中にて、リポソーム二重膜中にバリノマイシンを含むようリポソームを作製し、大きさで分け、次に、外部媒体をナトリウム緩衝液と交換すると、内部にカリウム/外部にナトリウムという勾配ができる。内部から外部方向へのカリウムイオンの移動は、順番に、内部が低く外部が高いpH勾配を作り出すが、これは恐らく、リポソーム膜を介して、正味電気的陰性電荷に応じてリポソーム中にプロトンが移動するためである[Deamer, D. W., et al., Biochim. et Biophys. Acta 274:323 (1972)]。

0067

同様な方法は、脂質を水和し、および高濃度硫酸マグネシウム中で、形成された多重膜リポソームを大きさで分けることである。硫酸マグネシウム勾配は、ショ糖中で、20mMHEPPES緩衝液(pH 7.4)に対して透析することで作られる。次に、A23187イオノフォアが添加され、個々のマグネシウムイオンに対して2つのプロトンが交換されるマグネシウムイオンの外向きの移行が起こり、そして、リポソーム内が高くリポソーム外が低いプロトン勾配が確立される[Senske DB et al. (Biochim. Biophys. Acta 1414: 188-204 (1998)]。

0068

別のより好ましい方法において、薬剤充填のために使用されるプロトン勾配は、リポソーム膜を介したアンモニウムイオン勾配の形成によって作られ、その例は、米国特許第5,192,549号および第5,316,771号に記載されており、これらは本出願に援用される。リポソームは、アンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウムリン酸アンモニウムクエン酸アンモニウム等であり、典型的に0.1から0.3 Mのアンモニウム塩を、例えば5.5から7.5の適したpHで含む水性緩衝液中で作られる。勾配はまた、水和媒体中に、デキストラン硫酸アンモニウム塩、硫酸ヘパリンアンモニウム塩またはスクラルファートといった硫酸化ポリマーを含むことで作ることができる。リポソーム形成および大きさで分けた後、外部媒体は、アンモニウムイオン欠くものと交換される。この方法において、充填の間、両親媒性弱塩基は、アンモニウムイオンと交換される。

0069

さらに、別の方法が、US 5,939,096に記載されており、これは本出願に援用される。簡単には、この方法は、酢酸といった弱酸塩が関わるプロトンシャトル機構を用い、該弱酸のプロトン化形態が、リポソーム膜を介して移行し、内部が高く外部が低いpH勾配を作り出す。両親媒性弱酸化合物は、次に、あらかじめ形成されたリポソーム対する媒体に添加される。両親媒性弱酸は、この勾配に応答してリポソーム中に蓄積し、および陽イオン(すなわちカルシウムイオン促進性沈殿またはリポソーム膜の低透過性によってリポソーム中に保持されてよく、すなわち、両親媒性弱酸は、酢酸のとの交換体(exchanges)である。

0070

GCまたはGC誘導体が充填された、このように形成されたリポソームは、次に、免疫系に関連する医学的症状を有する、または発症する素質のある患者の治療のために使用してよい。

0071

「炎症状態」という用語と互換的に使用してよい「炎症関連症状」という用語は、徴候の1つが炎症の出現である、何れかの疾病または病理学的症状を指す。炎症は、疾病または病理学的症状の根底にある原因であってよく、または結果もしくは症状の根底をなす別の生理的過程であってよい。この用語は、免疫誘導性の病態(例えば、自己免疫疾患)を含む、何れかの活性あるまたは副臨床的な炎症の状態を指す。炎症は、炎症性疾病が原因であってよく、またはその他の一定の疾病もしくは疾患の副作用であってよい。

0072

炎症状態、および、免疫系によって仲介されるその他の免疫誘導性病態は、以下の4つに分類される。

0073

I.即時型過敏症(アレルギー性またはレアギン性急性炎症):は、I型過敏症を含み、および抗原(アレルゲン)との接触後即座に発生するアレルギー反応によって特徴付けられる。一定の個人において、特定のアレルゲンは、IgE抗体の生成を刺激する性向を有する。IgE抗体は、非特異的に、親和性の高いFc受容体を介して、肥満細胞および好塩基球に結合する。続く細胞結合型IgE抗体のFab部位への抗原の付着は、肥満細胞および好塩基球からの細胞質顆粒の内容物の放出(例えばヒスタミン)、ならびにアラキドン酸生物学的に活性のある生成物(例えば、ロイコトリエン)の合成および分泌をもたらす。

0074

アレルギー反応は、じんま疹季節性鼻炎、喘息、および大量の抗原(アレルゲン)が宿主の循環系に侵入した状態、全身性過敏症を含むが、これらに限定されない。

0075

別の非限定的なI型過敏症の例は、感染性ショックである。

0076

II.細胞障害(細胞障害性抗体によって仲介される炎症):は、II型、または抗体依存性細胞障害性過敏症を指し、および抗体が細胞上で自己性の抗原または外因性の抗原のどちらかに結合したときに発生し、および食作用キラー細胞活性または補体を介した細胞溶解(lysis) をもたらす。

0077

細胞表面または組織に対する抗体(antibody directed against cell surface or tissue )という用語でも知られる、II型過敏症において、抗原は、補体および様々な効果細胞と相互作用する免疫複合体を形成し、標的細胞にダメージをもたらす。抗原は、標的細胞と、マクロファージ、好中球好酸球および一般にK細胞といった効果細胞とを、これらの効果細胞上のFc受容体を介して、結びつける。

0078

補体断片およびIgGの両方は、オプソニン宿主組織または微生物に結合し、および食細胞オプソニン化された粒子を取り込むように作用することができる。

0079

細胞障害性過敏症には、3つの主なサブタイプが存在する:
(a)同種免疫によって生じる同種のメンバーのII型反応、およびABOシステムにおいて不適合な血液の輸血後における輸血反応Rh式(rhesus)の不適合性が原因となる新生児溶血性疾病、および/または受容者の抗体が、移植片の表面の移植性抗原に結合することで誘発される移植性反応を含む。

0080

(b)宿主の抗体が、その人自身の細胞または組織の抗原に結合することで誘発される(自己抗体)、自己免疫性II型過敏症反応。例としては、患者自身赤血球に自己抗体が引き起こす自己免疫性溶血性貧血サイロイドペルオキシターゼ表面抗原に対する自己抗体による橋本甲状腺炎抗血小板抗体によって誘引される、血小板破壊による特発性血小板減少性紫斑病;特定の自己抗体が原因となり、補体が仲介する基底膜へのダメージが観察される、グッドパスチャー症候群が挙げられる。

0081

以下は、本発明によって治療してよい、自己免疫疾患の非限定的なリストである:熱帯性痙性不全対麻痺急性壊死性出血性白質脳炎腫瘍随伴(Paraneoplastic)、橋本甲状腺炎、分娩後甲状腺炎限局的甲状腺炎、若年性甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症、I型(インスリン依存性)真性糖尿病アジソン病下垂体炎、自己免疫性尿崩症副甲状腺機能低下症尋常性天疱瘡落葉状天疱瘡類天疱瘡/妊婦類天疱瘡(Pemphigoid gestationis)、瘢痕性類天疱瘡疱疹状皮膚炎、後天性表皮水疱症(Epidermal bullosa acquisita)、多形性紅斑妊娠性疱疹(Herpes gestatonis)、白斑慢性じんま疹円板ループス(Discoid lupus)、全身性脱毛症/円形脱毛症乾癬自己免疫性肝炎原発性胆汁性肝硬変慢性活動性肝炎、慢性活動性肝炎/原発性胆汁性肝硬変重複症候群原発性硬化性胆管炎、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、エバンス症候群、ヘパリン誘導性血小板減少症原発性自己免疫性好中球減少症乳児期の自己免疫性(原発性)好中球減少症骨髄移植後の自己免疫性好中球減少症、後天性自己免疫性血友病、自己免疫性胃炎および悪性貧血セリアック病(Coeliac disease)、クローン病潰瘍性結腸炎炎症性腸疾患(IBD)、唾液腺炎、自己免疫性早熟性卵巣不全無精子症性腺機能低下症精子自己抗体に関連した男性不妊症、自己免疫性睾丸炎、早熟性卵巣不全、自己免疫性卵巣炎ブドウ膜炎網膜炎交感性眼炎バードショット網膜脈絡膜症(Birdshot retinochoroidopathy)、フォークト−小−原田肉芽腫性ブドウ膜炎(Vogt-Koyanagi-Harada granulomatous uveitis)、水晶体原性ブドウ膜炎、自己免疫性心筋炎、先天性心ブロック(新生児ループス)、シャーガス病アドリアマイシン心毒性ドレスラー心筋炎症候群、気管支喘息間質性線維化性肺疾患(Interstinal fibrosing lung disease)、急速進行性糸球体腎炎、自己免疫性尿細管間質性腎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、抗リン脂質症候群、リウマチ様関節炎、若年性リウマチ様関節炎、フェルティー症候群、顆粒大リンパ球増多症(Large granular lymphocytosis)(LGL)、シェーグレン症候群全身性硬化症(強皮症)、クレスト症候群(Crest syndrome)、混合結合組織病多発性筋炎/皮膚筋炎グッドパスチャー病、ウェゲネル肉芽腫症チャーグ-ストラウス症候群ヘーノホ-シェーンライン紫斑病顕微鏡多発血管炎(Microscopic polyangiatis)、結節性動脈周囲炎、ベシェ症候群、アテローム性動脈硬化症側頭(巨)細胞動脈炎(Temporal (giant) cell arteritis)、高安動脈炎川崎病強直性脊椎炎ライター病、スネッドン病、自己免疫性多腺性内分泌障害カンジダ症-外胚葉性ジストロフィー(candidiasis-ectodermal dystrophy)、本態性クリオグロブリン血症脈管炎(Essential cryoglobulinemic vasculitis)、皮膚性白血球破砕性脈管炎、ライム病リューマチ熱および心疾患好酸球性筋膜炎発作性低温血色素尿(Paroxysmal cold hemoglobinuria)、リウマチ性多発性筋痛線維筋痛、POEMS症候群(多発神経障害、臓器巨大症内分泌疾患、Mスポットおよび皮膚変化(M-spot and skin changes)、再発性多発性軟骨炎、自己免疫性リンパ球増殖性症候群、TINU症候群(球尿細管間質性腎炎およびブドウ膜炎)、分類不能原発性免疫不全症、TAP(抗原提示に関する輸送体)欠乏症、オーメン症候群(Omenn syndrome)、高IgM症候群(HyperIgM syndrome)、BTK無ガンマグロブリン血症ヒト免疫不全症ウイルスおよび骨髄移植後(Post bone-marrow-transplant)。

0082

(c)薬剤が体内成分と共役し、それによってハプテンが完全な抗原となり、その抗原に対して一定の個人が感受性を示す可能性のあるII型薬剤反応。この反応の間、IgE抗体が作られた場合、アナフィラキシー性の反応が生じうる。ある状況において、細胞仲介性過敏症が誘導される可能性がある。その他の、血清タンパク質との共役が起こるような場合、III型免疫複合体介在反応が生じる可能性がある。最終的に、宿主細胞の表面上の分子との薬剤抗原複合体は、抗体の産生を引き起こす可能性があり、この抗体は、細胞-薬剤複合体に対して細胞障害性を示す。この機構の例は、クロルプロマジンまたはフェナセチン持続的な投与にしばしば関連する溶血性貧血において、アミドピリンまたはキニジンの摂取に関連する無顆粒球症において、および鎮静剤(sedative edormid)によってもたらされる可能性のある血小板減少性紫斑病の典型的な状態において観察された。薬剤が絶たれると、過敏症は、もはや表れない。

0083

III.免疫複合体(免疫複合体によって仲介される炎症)これは大きく以下の3群に分けられる:
(a)慢性的な免疫複合体形成が起こり最終的に組織中に複合体の蓄積をもたらす、弱い抗体反応を伴う持続性感染症の複合効果。

0084

(b)自己抗原に対する抗体の持続的な産生が長期の免疫複合体形成をもたらす、自己免疫疾患の合併症としての、免疫複合体病単核食細胞、赤血球、および補体系(これは、複合体の除去の原因である)が過負荷となり、全身性エリテマトーデスにおいて生じるように、複合体が組織に蓄積する。

0085

(c)カビ、植物または動物からの抗原性物質を繰り返し吸入した後、身体表面、特に肺において形成される免疫複合体。これは、農夫肺およびハト飼育人肺(Pigeon fancier's lung)にて例示され、それらの場合、かび臭い干草に見られる放線菌に対する抗体、またはハトの抗原に対する抗体の循環が生じる。どちらの疾病も、外因性アレルギー肺胞炎の形態であり、それらは、抗体に繰り返し曝された後に初めて生じる。

0086

IV.遅延型過敏症(リンパ球およびマクロファージによって仲介される慢性的炎症、DTH)- これは、抗原(例えば、結核菌による抗原)が、マクロファージに補足され、排除されることができない場合に、顕著である。T細胞は、その後、刺激されてリンホカインを産生し、リンホカインが、一定の炎症応答を仲介する。DTH反応の別の側面は、移植片拒絶およびアレルギー性接触皮膚炎にてみられる。DTHは、発症までに12時間超を要し、液性免疫応答よりもむしろ細胞介在性免疫応答に関わるすべての過敏症反応を指す一般的な分類として使用される。アレルギー反応は、数秒および数分以内に起こり免疫複合体反応は数時間から1日以内に起こるのに対して、DTH反応のピークは2から3日目である。

0087

遅延型過敏症反応は、3つの種類が認知されている:接触過敏症およびツベルクリン型過敏症は、ともに抗原の誘発の72時間以内に生じ、一方、肉芽腫性反応は数週間にわたって発症する。肉芽腫は、マクロファージの凝集および増殖によって形成され、数週間持続される可能性がある。

0088

好ましい実施態様によると、炎症関連症状は、リウマチ様関節炎、クローン病および大腸炎(IBD-炎症性腸疾患と総称される)および真性糖尿病から選択される自己免疫応答に関連する。

0089

本発明は、特に、神経変性疾病または障害に関連するとみなされる可能性のある何れかの症状を除外する。本発明の状況における、「関連する神経変性疾病または障害」、または要するに「神経変性症状」という用語は、神経系の不全をもたらす、神経系の何れかの異常な悪化を意味する。さらに、神経系の構造的要素の、漸進的で、一般に絶え間ない進行性衰弱を示す一連の症状を意味する。そのような衰弱は、神経機能における何れかの関連した減少、例えば、運動性の減少、発声の減少、認知機能の減少(特に、学習および記憶)、肢の握り締め反射の異常、ぶらさがり試験(hang test)に成功できない網膜萎縮(retinal atrophy)、MMP-2レベルの上昇、神経原線維変化のレベルの上昇、タウリン酸化(tau phosphorylation)の増加、タウ線維形成(tau filament formation)、神経細胞形態の異常、リソソーム異常、神経細胞性変性神経膠症および脱髄によって示される。

0090

限定されることなく、神経変性症状は、以下の群に従って分類してよい:
-脱髄疾患および神経自己免疫疾患(neuroautoimmune diseases)。急性、慢性進行性、および再発寛解型(relapsing remitting)多発性硬化症(MS)、ドヴィック病視神経炎(optic neuritis)、急性播種性脳脊髄炎ギヤン-バレー症候群慢性炎症脱髄性多発神経根筋障害血管炎、全身性エリテマトーデスの神経性効果、神経サルコイドーシスを含むが、これらに限定されない。
-感染症大脳性マラリアウイルス感染後脳炎およびベル麻痺を含むが、これらに限定されない。
-神経変性障害アルツハイマー病パーキンソン病老年痴呆プリオン病海綿状脳症クロイツフェルトヤコブ病AIDS痴呆、tauopathiesおよび筋萎縮性側索硬化症を含むが、これらに限定されない。
-脳外傷。脳卒中、非開放性頭部損傷放射線障害および脊髄外傷を含むが、これらに限定されない。

0091

上記のことを考慮して、本発明はまた、炎症関連症状(多発性硬化症といった、神経変性症状として分類してもよい症状を除く)の治療のための方法であって、当該患者に、有効量のリポソーム性GCまたはGC誘導体を投与することを含む方法を提供する。

0092

さらに、本発明は、上記の通り定義される治療のための、定義された通りのリポソーム性GCまたはGC誘導体を含む医薬組成物を提供する。リポソーム性GC/GC誘導体は、当該技術で知られる生理学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて処方してよい。本発明に従って使用される医薬的に許容可能な賦形剤は、一般に、好ましくはリポソームと反応しない、不活性で非毒性の物質を指す。賦形剤は、従来用いられている何れかのものであってよく、可溶性およびリポソームとの反応性欠如といった化学的-物理的な考慮ならびに投与経路によってのみ限定される。担体も、しばしば、リポソーム性製剤の安定性の改善、排除率の低下、徐放特性の付与、好ましくない副作用の低減等のために、標的組織へのリポソーム性製剤の送達または浸透の改善の効果を有する。賦形剤はまた、摂取に適した風味を有した製剤の提供等のために、製剤を安定化する物質(例えば、保存剤)であってよい。担体は、添加剤着色剤希釈剤、緩衝剤、崩壊剤加湿剤、保存剤、調味剤等を含んでよい。

0093

医薬組成物はまた、免疫系の障害に精通した当業者に知られる、免疫抑制剤といった、その他の活性成分を含んでよい。

0094

「治療(treat)」「治療する(treating)」および「治療(treatment)」という用語は、GC/GC誘導体が封入されたリポソームまたはそれを含む医薬組成物の、抗炎症作用のための治療的な有効量を投与することを意味し、前記リポソームは、免疫系の疾病または障害(炎症および免疫誘導性の病態)に関連した好ましくない病徴回復、その様な病徴が起こる前における発生の予防、医学的症状の進行の減速、症状に関連する病徴の悪化の減速、慢性的段階の症状に起因する非可逆的なダメージの減速、重症度の低下または症状の治癒、そのような症状からの回復率の改善またはより急速な回復に効果がある。

0095

本発明の状況において、「治療」という用語はまた、「予防的治療」すなわち、炎症関連症状の発症の予防、または慢性疾患患者において、症状の急性段階の再発の予防を意味することに留意すべきである。この目的のため、GC/GC誘導体を封入したリポソームを、炎症または自己免疫疾患を示していない個人に対して、および特に、例えば外傷、感染物質(infecting agent)またはアレルゲンに対する曝露に起因する、免疫系に関連する医学的症状を発症するリスクが高い個人に対して、疾病の発症を遅らせるために投与してよい。この場合、GC/GC誘導体が封入されたリポソームは、典型的に、炎症または自己免疫反応の発症を予防するために、長期にわたり、1日に1回(例えば、累積的に有効量を満たすため)、1日に複数回、数日に1回等のペースで投与してよい。

0096

本出願の目的のための「抗炎症作用のための有効量」は、当該技術において知られる通りに検討されて決定される。その量は、炎症または上述のような自己免疫の状態を患う患者において、所望の抗炎症作用を達成するために有効な量でなければならない。

0097

有効量は、特に、治療する疾病および治療方法の種類および重症度に依存する。有効量は、典型的に、適切に設計された臨床試験(投与量変動試験)において決定され、当該技術に精通した人は、有効量を決定するために、そのような試験を適切にどのように行うかがわかるだろう。一般に知られるように、有効量は、分子と対応する受容体との親和性、体内でのその分布プロファイル、体内での半減期といった様々な薬理学的パラメーターを含む様々な因子に依存し、好ましくない副作用に依存し、場合によって、年齢および性別等といった因子に依存する。

0098

本出願で使用される「投与」は、リポソーム性製剤を患者に対して、体内の所望の部位にそれらを送達するのに適した何れかの経路によって、接触させる(contacting)または分配する(dispensing)、与える(delivering)または塗布(applying)することを意味するよう使用され、前記経路には、経口、非経口(皮下、筋肉内および静脈内、動脈内、腹腔内を含む)および鼻腔内投与、ならびにくも膜下腔内および注入技術による投与を含む。

0099

実施態様の1つによると、本発明によって使用されるリポソーム性製剤は、注射に適した形態である。注射可能な製剤のための有効な医薬媒体(pharmaceutical medium)の要件は、当該技術の当業者に周知である[harmaceutics and Pharmacy Practice, J.B. Lippincott Co., Philadelphia, Pa., Banker and Chalmers, eds., pages 238-250 (1982)およびASHP Handbook on Injectable Drugs, Toissel, 4th ed., pages 622-630 (1986)参照]。有効量は、1回の投与で与えられるものであってよく、また、患者に複数回にわたって与えらた累積的量、長期にわたって(例えば、1日に1回)または1日に複数回与えられた累積的量であってよい。

0100

ヒトは、一般に、本出願で例示されるような実験動物よりも長く治療され、治療の長さは、疾病の進行および活性のある薬剤の有効性の長さに比例するとされている。投与量は、数日の期間にわたる、1回の投与量または複数回の投与量であってよい。

0101

以下の開示では、動物モデルによる実験データを提供するが、動物モデルからヒトへと投与量を変換するには、様々な適用可能な方法がある。例えば、おおよその体表面面積(BSA)を計算する方法は、BSAが体重(BW)の0.67乗に等しいとする、体重(BW)に基づく単純で非比例的な関係を利用する[Freireich E.J. et.al. Cancer Chemother. Reports 1966, 50(4) 219-244、およびDosage Regimen Design for Pharmaceutical Studies Conducted in Animals, by Mordenti, J, in J. Pharm. Sci., 75:852-57, 1986にて分析されている]。さらに、BSAデータのアロメトリーおよび表が確立されている[Extrapolation of Toxicological and Pharmacological Data from Animals to Humans, by Chappell W & Mordenti J, Advances in Drug Research, Vol. 20, 1- 116, 1991 (published by Academic Press Ltd)]。

0102

投与量を変換する別の方法は、濃度時間曲線面積(AUC)を用いた薬物動態学に基づく方法であり、また生理学的薬物動態(Physiologically Based PharmacoKinetic )(PBPK)法が記載されている[Voisin E.M. et al. Regul Toxicol Pharmacol. 12(2):107-116. (1990)]。

0103

[一般]
材料
水素化ダイズホスファチジルコリン(hydrogenated soybean phosphatidylcholine)(HSPC)は、Lipoid KG (Ludwigshafen, Germany)より得た。

0104

N-カルバミル-ポリ-(エチレングリコールメチルエーテル)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミントリエチルアンモニウム塩(PEG-DSPE)(このリン脂質のポリエチレン部分は、2000 Daの分子量を有する)は、Genzyme Liestale, Switzerlandより得た。

0105

コレステロール(>99% 純粋)は、Sigma (St. Louis, MO, USA)より得た。

0106

[3H]コレステリルヘキサデシルエーテル(1 mmol当り45Ci)は、NENLife Science Products (Boston, MA, USA)より得た。tert-ブタノール(99%純粋)は、BDH, Poole, UKより購入した。

0107

弱酸ステロイド、プロドラッグ・メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(MPS)およびヒドロコルチゾンナトリウムヘミスクシナート(HYD)、はPfeizer, Belgiumから得た。

0108

緩衝剤を含むその他の全ての化学薬品は、分析用等級かそれより良い等級であり、Sigmaより得た。精製水は、WaterPro PSHPLC/Ultrafilter Hybrid model, (Labconco, KansasCity, Mo., USA)から得た。

0109

方法
リポソームの作製
モル比55:40:5であるHSPC/コレステロール/PEG-DSPE-2000の貯蔵液を、70℃でエタノールに溶解し、ゲル脂質の終濃度を62.5%(w/v)とした。次に、溶液を、全ての脂質が溶解し透明な溶液となるまで70℃でインキュベートした。貯蔵液を次に、200 mMの酢酸カルシウムの溶液に70℃で加え、10%脂質濃度(w/v)とし、それゆえエタノールの終濃度は16%(w/v)となった。混合物は、70℃で一定に撹拌乳白色の分散液とし、この段階で、脂質は水和され多重膜リポソームの分散液が形成された。

0110

形成された小胞は、400-nmで始まり50-nmで終わる一定の細孔サイズを有するポリカーボネートフィルターを通して押し出し(extrusion)、小型化を行った。押し出しの最終段階では低圧から中間の圧力で行た。この工程により、リポソームは80±15-nmとなった。押し出し装置(Northern Lipids, Canada)は、全工程において70℃の一定温度に保った。

0111

酢酸カルシウムの勾配{リポソーム中の[酢酸カルシウム]>>媒体中の[酢酸カルシウム]}を作るため、リポソーム外酢酸カルシウムの除去を、4℃で5%ブドウ糖または0.9%生理食塩水に対して透析して行った(それぞれ100量で4回交換、最後の1回は一晩おこなった)。

0112

リポソームのリン脂質濃度は、修正バートレット法[Shmeeda, H., et al. In: Methodsin Enzymology “Liposomes”, (Duzgunes, N., ed.), 367:272-292 (2003)]により、有機リン濃度から決定した。作製されたリポソーム貯蔵液中の脂質濃度は〜40 mMであった。

0113

リポソーム内のカルシウムの量は、原子吸光分光測定(AAS)を用いて決定した。

0114

放射性SSLの作製および特徴決定
HSPC:Chol:2000PEG-DSPE (モル比55:40:5)および極微量の[3H]コレステリルヘキサデシルエーテル(0.125 μCi/μmolPL)で構成される[3H] コレステリルエーテル-ラベル化立体安定性リポソーム(SSL)は、上述の通りに作製した。リポソームサイズは、Dynamic Light Scattering (DLS)で決定し、87±15 nmであった。

0115

リポソーム中へのMPSの導入
メチルプレドニゾロンヘミスクシナートナトリウム塩(MPS、GC誘導体)の貯蔵液を5%ブドウ糖(pH 7.2)に溶解し、〜9 mg/mlの濃度とし、あらかじめ作製しておいた酢酸カルシウム勾配を確立した後のSSL分散液に加えた。MPS濃度は、〜9 mg/mlであり、リン脂質は、〜32 mMリン酸であった。

0116

充填は、上述の構成成分を、所望される時間、62度(上述のマトリックス脂質のTm)でインキュベートすることで達成された。リポソームは次に、4℃に冷却し、4℃で5%ブドウ糖に対して透析し、充填中に放出された酢酸を除去しおよび充填されなかった薬剤を除き、またあるいは、充填されなかった薬剤を、イオン交換Dowex 1x400メッシュ(Cl- 型)で除去した。

0117

MPSの凝集の状態、分配係数および表面張力
1. MPSの凝集の状態
MPSの凝集は、MPSが光吸収を欠く条件(励起および発光が、同じ波長、Ex= 600nm Em= 600nm)で分光蛍光分析器を用いて、励起ビームに対して90度に散乱する光の強度として測定される、濁度における変化から決定した。凝集の形成により、MPS溶液/分散液により散乱される光が大きく増加する。

0118

濁度としても定義される、散乱光の強度(90度における励起)は、凝集体の濃度およびサイズに比例する[Zuidam, N.J. and Barenholz, Y., Biochim. Biophys. Acta 1368:115-128 (1998)]。MPSの凝集の状態は、以下の様式に従って試験した:石英キュベットに〜6.5 mg/mlの濃度でMPSを加えた。溶液は、HCl(1.756M)で滴定し、励起および発光(ともに1%の減弱をともなう600 nm)による光散乱および溶液のpHを測定した。

0119

2.分配係数
あるGC誘導体(両親媒性弱酸)の分配係数(logD)は記述される通りに[Samuni, A.M. and Barenholz, Y., Free Radicals Biol. Med. 22:1165-1174 (1997)]、「振盪フラスコ(shake flask)」によって決定した。

0120

3.表面張力
表面張力はμtrouge S (Kibron Inc., Helsinki Finland)を用いて測定した。純水および空気を用いてセンサーキャリブレーションおよびゼロ点補正を行った後、GC誘導体を含む溶液(300 μL)をウェルに入れた。測定は、26℃で行った。

0121

SSL内でのMPSの沈殿
小胞のリポソーム内水相でのMPSの沈殿を、記述されるとおりに、CryoTEMを用いて視覚化した[Lasic, D.D., Frederik, P.M., Stuart, M.C.A., Barenholz, Y. and McIntosh, T.J., Gelation of liposome interior. A novel method for drug encapsulation. FEBSLett. 312, 255-258 (1992); Lasic, D.D., et al. Biochim. Biophys. Acta 1239, 145-156 (1995)]。

0122

沈殿実験
63℃および異なるpH値で、600 mOsmの酢酸カルシウム溶液に、MPSを加え終濃度5 mg/mlとし、次に混合溶液を40分間インキュベートし、溶液を遠心し、上清をHPLCにて分析した。

0123

充填効率
充填効率とは、MPS/リン脂質濃度の充填前後における比である。MPSの定量化は、1981年にAndersonおよびTaphouseによって記載される通りに[Anderson B.D. and Taphouse. V. J Pharm Sci, 70:181-6 (1981)]、HPLC装置にて行い、リン脂質の定量化は、修正バートレット法[Shmeeda, H., et al. In: Methodsin Enzymology “Liposomes”, (Duzgunes, N., ed.), 367:272-292 (2003)]にて行った。

0124

安定性の決定
リポソームからのMPSの放出の決定
SSL-MPSから放出されるMPSのレベルの決定は、まず、セファロースクロスリンクされたCL-4Bカラムによるゲル排除クロマトグラフィーを用いて、遊離MPSからリポソームを分離した。リポソームは、空隙容量にて溶出され、遊離MPSは、その後の画分に溶出された(図3A-3B)。

0125

4℃での保存の安定性および80%血漿中における37℃での放出の動力学は、上述のゲル排除クロマトグラフィーにて決定した。次に、異なるカラム画分を上述の通りに、空隙容量中のMPS、リン脂質およびカルシウムを調べるために分析した。

0126

加えて、SSL-MPSを、80%ヒト炎症性関節液とともに、80%血漿の割合にて、37℃でインキュベートした。その後、異なる時点ごとに、サンプルを、陰イオン交換樹脂、DOWEX 1x400メッシュ(Cl- 型)とともにボルテックスした。該樹脂は、遊離MPSとのみ結合する。サンプルは、MPSを封入したリポソームおよびリポソームのリン脂質含量の測定を行った。

0127

結果
以下の表1は、Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) [Software Solaris V4.67 ( 1994-2005 ACD/Labs) SciFinder SCHOLAR Version 2004.2 (著作権) American Chemical Society 2004]を用いて計算される、試験したGC誘導体のlogDおよびpKaを示している。

0128

MPSの濁度、分配係数および表面張力
MPSの濁度(凝集を表す)を決定した。図1Aに示される結果は、両親媒性弱酸誘導体(プロドラッグ)が、pH 7.2において非凝集性の水溶性であり、酸性pHにおいて凝集し、それゆえ濁度が増加することが示されている。異常に低いpHにおいて観察される濁度の低下は、非常に大きな凝集体が形成され沈殿したためである。破線矢印は、HClによる滴定(H+のμmol、矢印の左側)からNaOHによる滴定(OH-のμmol、矢印の右側)への移行の点を示している。

0129

MPSの分配係数は、様々なpH値にて決定された。図1Bに示される通り、MPSは実際に両親媒性物質である。

0130

さらに、MPSの表面張力が決定され、図3Cで明らかな通り、MPSは、使用される全ての濃度(0.785 - 30mM)において界面活性を有し、〜5 mMのCAC(臨界会合/凝集濃度)点を有す。一方で、リン酸デキサメサゾンといったリン酸基(強酸基)を有するGCは、少なくとも50 mMの濃度までは界面活性を有さず、自己会合しミセルおよび/またはその他の組織的な集合体を形成しなかった。

0131

カルシウムイオンによるMPSの沈殿
酢酸カルシウム溶液の存在下のMPSの沈殿を、上述の通りに決定した。表2は、カルシウムイオンの存在下、すなわち様々なpHにおいて沈殿するMPSの濃度を示している。示される通り、沈殿は、pH 6.8においてすでに生じた。沈殿は、GCのpKa付近のpH(pH 4.5)において、非常に莫大な量まで増大した(MPSの97%)。

0132

様々なリポソーム性製剤の一般的充填効率
1.リポソーム充填効率
3つの独立した処理単位(データから確認される)を、薬剤のリポソーム(HSPC:Chol:2000PEG-DSPE (54:41:5モル比))中への充填効率を決定するために使用した。表3に、その結果が要約される。

0133

2.様々なリポソーム性製剤のMPSの充填効率
効率的な充填の最適な条件は、酢酸カルシウムが〜600 mOsmであることを含む。このMPS/リン脂質比を有したHSPC:Chol:2000PEG-DSPE (55:40:5モル比)リポソームにおけるMPSの充填効率は、最初のプロドラッグ濃度を、5-10 mg/ml、好ましくは9 mg/mlとした場合に得られた。最初の製剤のプロドラッグの濃度は、〜6.5 mg/mlであり、この濃度を、以下の実験において使用した(以下にSSL-MPS製剤または簡単にSSL-MPSと名付けられる)。

0134

図2A−2Bは、充填の前(図2A)および後(図2B)のリポソームのCryo-TEM画像であり、リポソーム内部の水性空間に沈殿物が位置することが明らかに示されている。

0135

リポソーム性製剤の安定性
14ヶ月にわたるSSL-MPS中のMPSの濃度(すなわち、劣化してない(intact)リポソーム性製剤)を上述の通りに決定した。図3Aから、14ヶ月後において、MPSの〜80%がリポソーム中に維持されていることがわかる。遊離MPSの一部は、加水分解されその活性型、メチルプレドニゾロン(MP)となった。図3Bは、4℃で14ヶ月保存した後のリポソーム性製剤のセファロース4Bサイズ排除クロマトグラフを示す。画分8から17のグラフの拡大(図3C)は、遊離MPSならびに遊離MPの存在を示している。

0136

さらに、SSL-MPSの臨床に関連した環境での安定性を定量した。図4A-4Bは、ヒト血漿および炎症性関節液中でのリポソーム製剤の安定性を示している。MPSが放出される条件において封入性リポソームに封入されるカルシウムの100%が保持される(リポソーム中の半減期は50時間)ということは、リポソームは、血漿中で少なくとも66時間劣化しないままであることを示している。このことから、MPSの放出は、その両親媒性という性質によることが示唆される。MPS放出の半減期は、静脈内注射後の血漿中のSSL半減期と同程度の値である。

0137

アジュバント関節炎により介在されるリウマチ性関節炎
アジュバント関節炎(AA)の誘導
メス純系6週齢ルイスラット(Harlan labs. Israel)に対し、CFA中の1 mgの結核菌H37Ra (MT)を尾のつけ根に皮下注射した。関節炎の重症度(AAスコア)を、1日おきに以下のように評価した:0 = 関節炎がみとめられない; 1 = 関節の赤み; 2 = 関節の赤みおよび膨張足首およびそれぞれの足の足根-中足の関節を評価した。

0138

組織分布
SSLの炎症組織に選択的に溢出する能力を測定するため、健康および関節炎のラットにて、血漿および組織からのSSL-MPS排除を定量した。特に、SSL-MPSは、FCAの注射後22日(最大の膨張)の健康および関節炎ルイスラットに、リン酸濃度が42 mg/kg (56 μmol/kg)の投与量で注射した。注射後:4、24、48および72時間という4つの時点において、ラットを殺処分し、血漿、肝臓腎臓脾臓および肺を、Sample Oxidiser (Model 307, Packard Instrument Co., Meriden, CT)を用いて、リポソームマーカーである(組織全体における)[3H]コレステリルヘキサデニルエーテルの試験に供した。ここでは、Sample Oxidizerで放射性を測定した。組織全てを、ホモジナイズすることなく、現状のまま酸化した。この方法の制限は、サンプル当りの重量が0.5 gを超えてはならないことであり、それゆえ、皮膚および関節を断片に分け(≦0.5 g)、それらの[3H] コレステリルエーテルレベルを、Sample Oxidizerに決定した。

0139

SSLのゆっくりとした排除速度が、健康および関節炎の両ラットで観察され、WinNolin分析ソフトを用いて計算すると、t1/2は健康なラットで23時間、関節炎のラットで25時間であった。関節炎のラットおよび健康なラットにおいて、注射したSSL-MPS投与量のそれぞれ79%および81%が、注射から4時間後において、血漿中にとどまった。表4A−4Bおよび図5A−5Bは、定量的な体内分布データを表しており、同程度の量のリポソームが、健康(表2A、図5A)および関節炎(表2B、図5B)のラットから単離された組織で見られた。

0140

関節炎および健康なラットの比較から、関節炎のラットにおいて、有意に(2から4倍)高い、炎症性の足へのSSL-MPSの溢出が、健康なラットの非炎症性の足と比較して全ての時点にて観察された(図6)。炎症性の足におけるSSL-MPS濃度は、24時間目から少なくとも72時間目まで、ほぼ変化しないままであった(220μg脂質/g組織;293μmol脂質/g組織;7%ID/足)。健康なラットの足のSSL-MPS濃度は、48時間目で最大であった(100μg/g組織または2%ID/足のみ)。健康な足のおおよそのAUC値3000(h x μg/g組織)に比較して、16倍高い炎症性の足のおおよそのAUC値4600(h x μg/g組織)が得られた(WinNonlin分析ソフトを用いて計算した; SSL濃度の低下が、注射後72時間の時点で観察されなかったために、おおよその値を使用した)。

0141

リポソーム-標的化メチルプレドニゾロンスクシナートナトリウム塩(SSL-MPS)による、AAの治療
SSL-MPSのAAにおける効果の評価は、2つの連続した試験にて決定した:
(1)ルイスラットを、遊離MPSおよびSSL-MPSの2回の静脈内注射(AA誘導の10および14日後)で治療した。両製剤の1回目の注射は、5 mg/kg体重(BW)であり、および2回目は10 mg/kgBWであった。対照のラットは、空のSSLまたはPBSで治療した。
(2) ルイスラットを、遊離MPS(10および50 mg/kg体重)、またはSSL-MPS(0.4、2、および10 mg/kgBW)の2回の注射で治療した。対照のラットは、PBSで治療した。さらなるラット群には、10 mg/kgBWのSSL-MPSの3回の静脈注射を(AA誘導後10、14および18日に)施した。
(3)代替試験において、疾病のピーク時におけるSSL-MPSの効果を決定するため、ルイスラットを以下の1つで治療した:5%ブドウ糖(19、23日);遊離MPS 10 mg/kgBW(19、23日);SSL-MPS 10 mg/kgBW (19、23日)および陽性対照レミケード(Remicade) 5mg/kg(19日)。

0142

SSL-MPS治療によるAAの調節
SSL-MPSのAAに対する治療効果を、上述の通り、AA誘導ラットに2度の静脈内注射を疾病の誘導後10および14日に行って治療することにより、試験した。1回目の注射は、5mg/kg BWであり、2回目の注射は、10mg/kg BWであった。対照のラットは、遊離MPS、空のリポソームまたはPBSにて治療した。

0143

図7Aにてわかる通り、遊離MPSも空のリポソームも、AAに対して何の効果も示さなかった。しかしながら、疾病の発症の有意な遅延が、SSL-MPSにて治療したラットにて観察された。疾病の最初の徴候は、2度目の注射(24日)からわずか10日後に明白となり、さらに26日目には、遊離MPSまたはPBSで治療したラットにおける病状と比較して、なお有意に低い重症度であった。

0144

この治療の効果をさらに評価するため、ラットを、10 mg/kg BWの2度の静脈内注射(上述の通り、10日および14日)、5倍高い濃度のステロイド(すなわち50 mg/kgBW)ならびに、5倍低い濃度のSSL-MPS(すなわち、10、2および0.4 mg/kgBW)で治療した。対照のラットにはPBSで治療した。別のラット群は、10 mg/kg BW のSSL-MPSの3度目の注射を施した。

0145

図7Bは、SSL-MPS(10 mg/kg BW)の2度の注射が、10日を超える日数、疾病の発症を遅延させ、また、PBS治療されたラットと比較して、リポソーム治療されたラットで関節炎スコアピーク値を減少させた。3度の注射は、さらに10から11日AAの発症を遅延させた。これらのラットにおいて、疾病は、PBS治療のラットがすでに回復段階に入っているときにピークとなった。2段階低い投与量のSSL-MPS(0.4 mg/kgBW)は、効果がより小さく、一方、2 mg/kgでは、ほんの少しの効果しか示さなかった。すなわち、この実験では、SSL-MPSの投与量に応答した曲線が示された。

0146

疾病のピーク時におけるSSL-MPSの効果
AA誘導ラットを、上述の通りに治療した。SSL-MPSの注射直後、SSL-MPS治療群臨床スコアの鋭い低下が観察され、一方その他の群(5%ブドウ糖、遊離MPS、空のSSL、レミケード(REMICADE))では、非常にゆっくりとした低下が見られ、対象(ブドウ糖)群での観察結果と同様であった。

0147

23日における2度目の注射は、AAスコアをさらに低下させた一方、その他の群(5%ブドウ糖、遊離MPS、空のSSL、レミケード)では、最小の低下しか見られず、同じく、対象(ブドウ糖)群の結果と同様であった。

0148

さらに、30日において、SSL-MPS群のスコアは、上昇し始め、47日には、その他の群で観察される低下と一致して、疾病の低下が観察された。

0149

図8に示される結果は、SSL-MPSが、炎症状態のピーク時において、レミケードおよび遊離MPSよりも高く、有益な治療効果を有することを示している。

図面の簡単な説明

0150

図1A-図1Cは、メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(MPS)の化学的特性を示すグラフであり、pHの関数としてのMPSの濁度(図1A);様々なpH値におけるMPSの分配係数(図1B);および、GC濃度の関数としてのメチルプレドニゾロンヘミスクシナート(MP-ヘミスクシナート)およびリン酸デキサメサゾン(リン酸DEX)の表面張力(図1C)を示す。
図1A-図1Cは、メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(MPS)の化学的特性を示すグラフであり、pHの関数としてのMPSの濁度(図1A);様々なpH値におけるMPSの分配係数(図1B);および、GC濃度の関数としてのメチルプレドニゾロンヘミスクシナート(MP-ヘミスクシナート)およびリン酸デキサメサゾン(リン酸DEX)の表面張力(図1C)を示す。
図1A-図1Cは、メチルプレドニゾロンナトリウムヘミスクシナート(MPS)の化学的特性を示すグラフであり、pHの関数としてのMPSの濁度(図1A);様々なpH値におけるMPSの分配係数(図1B);および、GC濃度の関数としてのメチルプレドニゾロンヘミスクシナート(MP-ヘミスクシナート)およびリン酸デキサメサゾン(リン酸DEX)の表面張力(図1C)を示す。
図2Aおよび図2Bは、MPSの能動的充填前(図2A)および後(図2B)における、リポソームのCryo-TEM(透過型電子顕微鏡)画像である。
図3Aおよび3Bは、4℃で14ヶ月保存した後における、SSL-MPSのサイズ排除クロマトグラフィーであり、封入MPS(enc-MPS)、遊離MPS(遊離-MPS)および遊離メチルプレドニゾロン(遊離-MP)が示されており、図3Bは、図3Aの画分8-17で示される区間を拡大した図であり、遊離-MPSおよびMPが非常に引くい量で存在することが示されている。
図3Aおよび3Bは、4℃で14ヶ月保存した後における、SSL-MPSのサイズ排除クロマトグラフィーであり、封入MPS(enc-MPS)、遊離MPS(遊離-MPS)および遊離メチルプレドニゾロン(遊離-MP)が示されており、図3Bは、図3Aの画分8-17で示される区間を拡大した図であり、遊離-MPSおよびMPが非常に引くい量で存在することが示されている。
図4Aおよび4Bは、37℃で血漿中(図4A)または炎症性の関節液中(図4B)でインキュベートしたときの、SSL-MPSからのMPSおよびCa+2の放出プロファイルである。
図4Aおよび4Bは、37℃で血漿中(図4A)または炎症性の関節液中(図4B)でインキュベートしたときの、SSL-MPSからのMPSおよびCa+2の放出プロファイルである。
図5は、様々な時点における、血漿、脾臓(5で割った値)、腎臓、肺、肝臓および皮膚を含む、体内におけるSSL-MPSの体内分布を表した棒グラフである。
図6は、SSL-MPSの非炎症性ラット足黒丸)および炎症性ラット足(白丸)への分布を示すグラフである。
図7Aおよび7Bは、上述の通りに2度の異なる処置を行った後の、アジュバント関節炎(AA)誘導動物における、遊離MPS(10および50 mg/kg体重、それぞれ「Ster.10」または「Ster.50」)、SSL-MPS(10、2および0.4 mg/kg bw、それぞれ「Lip.10」、「Lip.2」、「Lip.0.4」)の効果を示すグラフである。
図7Aおよび7Bは、上述の通りに2度の異なる処置を行った後の、アジュバント関節炎(AA)誘導動物における、遊離MPS(10および50 mg/kg体重、それぞれ「Ster.10」または「Ster.50」)、SSL-MPS(10、2および0.4 mg/kg bw、それぞれ「Lip.10」、「Lip.2」、「Lip.0.4」)の効果を示すグラフである。
図8は、疾病のピーク時における、AAに対するSSL-MPS治療の効果を示すグラフである。

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