図面 (/)

技術 活性物質が表面に結合している修飾された導電性表面およびその使用

出願人 エルテックスリミテッド
発明者 ドム,アブラハム,ジェイ.マンドレル,ダニエルダンジガー,イシャイアフオロン,ミリアムオクナー,レジナシュスタック,ガリットスウエッド,アヴィタル,ノアム
出願日 2005年7月19日 (16年3ヶ月経過) 出願番号 2007-522120
公開日 2008年3月6日 (13年7ヶ月経過) 公開番号 2008-506493
状態 拒絶査定
技術分野 医療用材料 医薬品製剤
主要キーワード 内側体積 周波数アナライザ 境界特性 電気的電位 ピーク差 非対称振動 連絡線 表面酸素原子
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年3月6日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題・解決手段

金属表面を被覆するためのおよび/または金属表面に活性物質を結合するための新規なプロセス、被覆された金属表面および/または表面に結合された活性物質を有する物体、ならびに、埋め込み可能なデバイスの調製におけるそれらの使用が開示される。

概要

背景

医学の分野では、金属構造体が様々な目的のために身体内に埋め込まれることが多い。そのような金属構造体には、例えば、ペースメーカー移植片ステントワイヤ整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプおよび心臓弁が含まれる。生体内に埋め込まれた金属に関連する1つの問題はその生体適合性であり、より具体的には、金属インプラント血液適合性および組織適合性である。インプラントは、典型的には、凝固因子(例えば、タンパク質および血小板)の活性化がインプラントによって穏やかに誘導されるだけであるときには血液適合性であると見なされ、細胞増殖および慢性的炎症がインプラントによって過度に誘導されないときには組織適合性であると見なされる。

しかしながら、多くの適用において、金属表面は、その親水性的性質のために、究極的には、周り組織および流体から吸着した生物学的物質(特に、タンパク質)の層により覆われる。生物学的物質の吸着した層は、血栓および炎症をはじめとする望ましくない生物学的反応の原因であると示唆されている。病原性細菌は、病原性細菌が金属表面に直接に付着しているか、または、吸着した層によって引き寄せられるかのいずれであっても、そのようなデバイスの表面にコロニーを形成する傾向があり、これにより、デバイスを様々な感染の中心にしている。従って、金属表面の親水性的性質は、インプラントが失敗することの直接的な原因である。インプラントの失敗は医学的に有害であり、死に至る可能性があり、また、しばしば、不快で、危険で、かつ、費用のかかるさらなる手術を必要とする。

数多くの方策が、これらの欠点を克服するために開発されており、その主要かつ共通する目標は、金属表面の親水性的性質を改変することである。そのような方策の詳細およびこれらの総説が、例えば、米国特許第5,069,899号、同第6,617,142号、同第4,979,959号、同第3,959,078号、同第4,007,089号、同第5,024,742号および同第5,024,742号に見出される。

金属インプラントに関連する望ましくない生物学的反応を最小限に抑えるための1つの方策が、金属表面を、保護的な細胞層成長のための下地を提供する生体分子により被覆することである。使用される生体分子には、例えば、増殖因子細胞付着タンパク質および細胞付着ペプチドが含まれる。1つの関連した方策が、望ましくない生物学的反応を低下させる分子または活性な医薬成分(例えば、血栓形成防止剤抗血小板剤抗炎症剤および抗菌剤など)を結合することである。

数多くの方法が、生体分子および他の有益な物質(以降、これらはまとめて「活性物質」と呼ばれる)を金属表面に結合し、その結果、金属の生体適合性を増大させるために提供されている。

1つの方法では、連結成分を金属表面に共有結合的に結合し、その後、所望する活性な成分を連結成分に共有結合的に結合することが伴う。リンカーを介した共有結合性の結合によって金属表面に結合している1つの活性な成分が抗凝固剤ヘパリンである。Hepacoat(商標)ステント(Cordis、Johnson and Johnson社)では、ヘパリンがステント表面に共有結合的に結合しており、埋め込み後もステントに結合したままである。所望の効果が血流における相互作用によって生じる。

別の方法では、金属表面を、活性な成分とのイオン結合を形成するように構成された層により被覆することが伴う。例えば、米国特許第4,442,133号は、抗生物剤とのイオン結合を形成するトリドデシルメチルアンモニウムクロリド層を教示する。米国特許第5,069,899号は、アニオン性ヘパリンがイオン結合により結合する層によって被覆された金属表面を教示する。

別の方法では、金属表面をポリマーにより被覆し、生物活性剤をポリマー内に閉じ込めることが伴う。埋め込まれると、活性な医薬成分がポリマー被覆から拡散し、これにより所望の効果を生じさせる。例えば、Cypher(商標)ステントでは、細胞増殖抑制剤のSirolimus(Wyeth Pharmaceuticals)が、ステントを被覆するポリマー層に閉じ込められている。埋め込まれると、活性な医薬成分がポリマー層から拡散し、これにより、ステント上での組織の成長を制限する。そのようなインプラントの欠点は、ポリマー被覆からの活性な医薬成分の拡散速度が制御不能または予測不能であることである。さらに、この方策は、ポリマーに効率的に捕捉され得るが、それにもかかわらず、生理学的条件下において妥当な速度で溶出することが可能であり得る活性な医薬成分に限定される。

電解重合可能なモノマーを使用して導電性表面(例えば、金属表面など)を被覆することは、被覆された金属表面の物理的性質および化学的性質を、電気化学的な重合プロセスのパラメーターを制御することによって制御することが可能であるので、非常に好都合である。様々な電解重合可能なモノマーがこの分野では知られており、これらには、例えば、アニリン系、インドール系、ナフタレン系、ピロール系およびチオフェン系のモノマーが含まれる。電解重合条件下において表面の近傍で酸化されたとき、そのような化合物は重合して、約15ミクロンまでの厚さのポリマー薄膜を形成する。そのようなポリマー薄膜は、表面に共有結合的に結合していないが、典型的には、表面に存在する割れ目、すき間および穴を埋めることによって表面に結合する。この薄膜は比較的容易に剥離し得るが、注意して扱えば、薄膜は表面に結合したままである。そのような薄膜は、金属表面に対する保護層としてこの分野では広く使用されており、例えば、バイオセンサーとして使用されている(例えば、米国特許第4,548,696号を参照のこと)。

電解重合薄膜によって活性物質が負荷された埋め込み可能な医療デバイスが教示されている。例えば、国際特許出願公開WO99/03517(これは、本明細書中に全体が示されるかのように参考として組み込まれる)は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを金属表面にイオン結合することを教示する。Journal of Biomedical Materials Research、第44巻、1999、121頁〜129頁には、ヘパリンを金属表面にイオン結合することが教示される。

国際特許出願公開WO01/39813(これもまた、本明細書中に全体が示されるかのように参考として本明細書中に組み込まれる)は、活性な医薬成分または活性な医薬成分を運搬する実体を重合前に電解重合可能なポリマーに共有結合的に結合することによって、また、電解重合による薄膜生成の後、活性な医薬成分または活性な医薬成分を運搬する実体を共有結合的またはイオン的に結合するために使用される官能基を有する電解重合可能なモノマーを提供することによって、活性な医薬成分を、電解重合可能なモノマーを使用して表面に結合することを教示する。

従って、医療用金属構造体の表面を修飾すること、その結果、そのような構造体生体適合性を高め、かつ、さらなる治療特性をそのような構造体に与えるようにすることは非常に好都合であることが広く認識されている。先行技術では、様々な方策が、金属の埋め込み可能なデバイスに関連する制限を克服するために教示されるが、これらは、典型的には、活性物質を直接的または間接的のいずれかで金属表面に結合することを伴う。後者には、活性物質を様々な化学的相互作用(例えば、共有結合性の結合またはイオン結合の形成、封入など)によってリンカー分子またはポリマーに結合することが含まれる。しかしながら、現在知られている方策は、活性物質、活性物質が結合するリンカーまたはポリマーの、金属表面への不良な付着によって制限される。

従って、上記の制限を有さない、有機分子(例えば、活性物質および/または有機膜)が表面に結合している金属表面が必要であることが広く認識されており、また、そのような金属表面を有することは非常に好都合である。

概要

金属表面を被覆するためのおよび/または金属表面に活性物質を結合するための新規なプロセス、被覆された金属表面および/または表面に結合された活性物質を有する物体、ならびに、埋め込み可能なデバイスの調製におけるそれらの使用が開示される。 なし

目的

数多くの方策が、これらの欠点を克服するために開発されており、その主要かつ共通する目標は、金属表面の親水性的性質を改変することである

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質を有する物体を含む製造物品であって、前記導電性表面は、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、および/または、前記少なくとも1つの活性物質は前記導電性表面に電気化学的に結合されている、製造物品。

請求項2

前記物体は医療デバイスである、請求項1に記載の製造物品。

請求項3

前記物体は埋め込み可能なデバイスである、請求項2に記載の製造物品。

請求項4

前記埋め込み可能なデバイスは、ペースメーカー移植片ステントワイヤ整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプ注入口および心臓弁からなる群から選択される、請求項3に記載の製造物品。

請求項5

前記埋め込み可能なデバイスはステントである、請求項4に記載の製造物品。

請求項6

前記導電性表面は、少なくとも1つの金属またはその合金を含む、請求項1に記載の製造物品。

請求項7

前記少なくとも1つの金属は、鉄、ステンレス鋼チタンニッケルタンタル白金、金、銀、銅、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の製造物品。

請求項8

前記導電性表面はステンレス鋼を含む、請求項7に記載の製造物品。

請求項9

前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の製造物品。

請求項10

前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項9に記載の製造物品。

請求項11

請求項12

前記導電性表面は、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する電気化学的に修飾された導電性表面である、請求項1に記載の製造物品。

請求項13

前記導電性表面は、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する非電気化学的に修飾された導電性表面である、請求項1に記載の製造物品。

請求項14

記相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合水素結合ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用膨潤および吸収によって行われる、請求項12および13のいずれかに記載の製造物品。

請求項15

前記少なくとも1つの機能的成分は、アミンアンモニウムイオンカルボキシラートチオカルボキシラート、アミドカルバミルヒドロキシルチオヒドロキシル、アルコキシドチオアルコキシド、ニトラート、シアナートピロールイソシアナートハロゲン化物アジド不飽和成分疎水性成分ホスファートホスホナートスルファートスルホナートスルホンアミド、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項12および13のいずれかに記載の製造物品。

請求項16

前記導電性表面は、少なくとも1つの有機物質を結合することによって修飾される、請求項1、12および13のいずれかに記載の製造物品。

請求項17

前記少なくとも1つの有機物質は、前記導電性表面上に自己集合した単層を形成する、請求項16に記載の製造物品。

請求項18

前記導電性表面は、電気的結合可能な基および前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を含む前記少なくとも1つの有機物質を、表面に電気化学的に結合することによって電気化学的に修飾される、請求項12〜17のいずれかに記載の製造物品。

請求項19

前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項18に記載の製造物品。

請求項20

前記少なくとも1つの有機物質は、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基をさらに含む、請求項18に記載の製造物品。

請求項21

前記少なくとも1つの有機物質は、脂肪酸および官能基により誘導体化された脂肪酸からなる群から選択される、請求項20に記載の製造物品。

請求項22

前記導電性表面は、前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機シランを含む前記少なくとも1つの有機物質を、表面に付着することによって非電気化学的に修飾される、請求項12〜17のいずれかに記載の製造物品。

請求項23

前記有機シランは、下記一般式を有する請求項22に記載の製造物品:XmSiR(4−m)式中、mは1〜3の整数であり;Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。

請求項24

前記炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する、請求項23に記載の製造物品。

請求項25

前記少なくとも1つの活性物質は、前記導電性表面に電気化学的に結合される、請求項1に記載の製造物品。

請求項26

前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択され、前記生物活性剤、前記ポリマー、前記マイクロ粒子および/または前記ナノ粒子は少なくとも1つの電気的結合可能な基を含む、請求項25に記載の製造物品。

請求項27

前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項26に記載の製造物品。

請求項28

前記治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項27に記載の製造物品。

請求項29

前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項26に記載の製造物品。

請求項30

前記導電性表面は、前記活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、前記少なくとも1つの活性物質は前記修飾された導電性表面に電気化学的に結合される、請求項1に記載の製造物品。

請求項31

前記少なくとも1つの機能的成分は、アミン、アンモニウムイオン、カルボキシラート、チオカルボキシラート、アミド、カルバミル、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、アルコキシド、チオアルコキシド、ニトラート、シアナート、イソシアナート、ピロール、ハロゲン化物、アジド、不飽和成分、疎水性成分、ホスファート、ホスホナート、スルファート、スルホナート、スルホンアミド、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の製造物品。

請求項32

前記少なくとも1つの機能的成分は疎水性成分である、請求項31に記載の製造物品。

請求項33

前記導電性表面は、少なくとも1つの有機物質を結合することによって修飾される、請求項30に記載の製造物品。

請求項34

前記少なくとも1つの有機物質は、前記導電性表面上に自己集合した単層を形成する、請求項33に記載の製造物品。

請求項35

前記導電性表面は、電気的結合可能な基および前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する少なくとも1つの有機物質を、表面に電気化学的に結合することによって修飾される、請求項30〜34のいずれかに記載の製造物品。

請求項36

前記導電性表面は、前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機シランを表面に付着することによって修飾される、請求項30〜34のいずれかに記載の製造物品。

請求項37

前記有機シランは、下記一般式を有する請求項36に記載の製造物品:XmSiR(4−m)式中、mは1〜3の整数であり;Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。

請求項38

前記炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する、請求項37に記載の製造物品。

請求項39

前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項35に記載の製造物品。

請求項40

前記少なくとも1つの有機物質は、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基をさらに含む、請求項35に記載の製造物品。

請求項41

前記少なくとも1つの有機物質は、脂肪酸および少なくとも1つの官能基により誘導体化された脂肪酸からなる群から選択される、請求項40に記載の製造物品。

請求項42

前記活性物質は電解重合ポリマーである、請求項30に記載の製造物品。

請求項43

前記電解重合ポリマーは、それに結合した生物活性剤を含む、請求項42に記載の製造物品。

請求項44

前記電解重合ポリマーは、それに結合した複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子を含む、請求項42に記載の製造物品。

請求項45

前記複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子は、それに結合している生物活性剤を含む、請求項44に記載の製造物品。

請求項46

前記電解重合ポリマーは、それに結合した共重合体を含む、請求項42に記載の製造物品。

請求項47

前記共重合体は、それに結合している生物活性剤を含む、請求項46に記載の製造物品。

請求項48

前記電解重合ポリマーは、ポリピロールポリチオフェンポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンスルフィドポリアニリン、ポリ(2,5−チエニレン)、フルオロアルミニウム、フルオロガリウムフタロシアニン、その誘導体およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項42に記載の製造物品。

請求項49

前記電解重合ポリマーは、吸収され、膨潤されまたはそれに埋め込まれた生物活性剤を含む、請求項42に記載の製造物品。

請求項50

導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの有機物質の自己集合した単層を有する物体を含む、製造物品。

請求項51

前記有機物質は電気的結合可能な基を含み、前記自己集合した単層は前記導電性表面上に電気化学的に形成される、請求項50に記載の製造物品。

請求項52

前記有機物質は有機シランであり、前記自己集合した単層は前記導電性表面上に非電気化学的に形成される、請求項50に記載の製造物品。

請求項53

前記有機シランは、下記一般式を有する請求項52に記載の製造物品:XmSiR(4−m)式中、mは1〜3の整数であり;Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。

請求項54

前記炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する、請求項53に記載の製造物品。

請求項55

前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項51に記載の製造物品。

請求項56

前記有機物質は、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基をさらに含む、請求項51に記載の製造物品。

請求項57

前記有機物質は脂肪酸である、請求項56に記載の製造物品。

請求項58

前記脂肪酸は、デカン酸ミリスチン酸パルミチン酸およびステアリン酸からなる群から選択される、請求項57に記載の製造物品。

請求項59

前記有機物質は、少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの官能基をさらに含む、請求項50に記載の製造物品。

請求項60

前記脂肪酸は、少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの官能基によって誘導体化される、請求項57に記載の製造物品。

請求項61

少なくとも1つの炭化水素残基は、少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分によって置換される、請求項53に記載の製造物品。

請求項62

前記少なくとも1つの官能基は、アミン、アンモニウムイオン、カルボキシラート、チオカルボキシラート、アミド、カルバミル、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、アルコキシド、チオアルコキシド、ニトラート、シアナート、ピロール、イソシアナート、ハロゲン化物、アジド、不飽和成分、疎水性成分、ホスファート、ホスホナート、スルファート、スルホナート、スルホンアミド、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項59、60および61のいずれかに記載の製造物品。

請求項63

前記相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、膨潤および吸収によって行われる、請求項59、60および61のいずれかに記載の製造物品。

請求項64

前記少なくとも1つの官能基に結合している少なくとも1つの活性物質をさらに含む、請求項59〜63のいずれかに記載の製造物品。

請求項65

前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している電解重合ポリマーをさらに含む、請求項50に記載の製造物品。

請求項66

前記電解重合ポリマーは、それに結合した生物活性剤を含む、請求項65に記載の製造物品。

請求項67

前記電解重合ポリマーは、それに結合した複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子を含む、請求項65に記載の製造物品。

請求項68

前記複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子は、それに結合しているか、またはそれに埋め込まれた生物活性剤を含む、請求項67に記載の製造物品。

請求項69

前記電解重合ポリマーは、それに結合した共重合体を含む、請求項65に記載の製造物品。

請求項70

前記共重合体は、それに結合しているか、またはそれに埋め込まれた生物活性剤を含む、請求項69に記載の製造物品。

請求項71

前記電解重合ポリマーは、吸収され、膨潤されまたはそれに埋め込まれた生物活性剤を含む、請求項65に記載の製造物品。

請求項72

前記電解重合ポリマーは、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリ(2,5−チエニレン)、フルオロアルミニウム、フルオロガリウム、フタロシアニン、その誘導体およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項65に記載の製造物品。

請求項73

導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質を有する物体を調製するプロセスであって、このプロセスは、前記導電性表面を有する前記物体を提供すること;前記導電性表面を修飾し、それにより、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能性成分を表面に結合した導電性表面を有する物体を提供し;および、前記活性物質と、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面とを接触させることを含む、プロセス。

請求項74

前記相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、膨潤および吸収によって行われる、請求項73に記載のプロセス。

請求項75

前記修飾することは、前記導電性表面に、前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を含む少なくとも1つの有機物質を結合することによって行われる、請求項74に記載のプロセス。

請求項76

前記修飾することは、前記導電性表面に、電気的結合可能な基および前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を含む少なくとも1つの有機物質を電気化学的に結合することによって行われる、請求項75に記載のプロセス。

請求項77

前記有機物質は有機シランであり、前記修飾することは前記導電性表面に前記有機シランを非電気化学的に結合することによって行われる、請求項75に記載のプロセス。

請求項78

前記有機シランは、下記一般式を有する請求項77に記載のプロセス:XmSiR(4−m)式中、mは1〜3の整数であり;Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。

請求項79

前記炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する、請求項78に記載のプロセス。

請求項80

前記少なくとも1つの有機物質は、前記導電性表面上に自己集合した単層を形成する、請求項75に記載のプロセス。

請求項81

前記接触させることは、前記少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面と、前記活性物質とを反応させることによって行われる、請求項73に記載のプロセス。

請求項82

前記接触させることは、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面の内部において前記活性物質を膨潤することによって行われる、請求項73に記載のプロセス。

請求項83

前記活性物質はポリマーであり、前記接触させることは、前記ポリマーに対応するモノマーを、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面上に重合することによって行われる、請求項73に記載のプロセス。

請求項84

前記ポリマーは電解重合可能なポリマーであり、前記接触させることは、前記ポリマーに対応するモノマーを、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面上に重合することによって行われる、請求項83に記載のプロセス。

請求項85

前記接触させることは、前記活性物質を、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している前記導電性表面に吸収することによって行われる、請求項73に記載のプロセス。

請求項86

導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質を有する物体を調製するプロセスであって、このプロセスは、前記導電性表面を有する前記物体を提供すること;および、電気的結合可能な基を有する少なくとも1つの活性物質を前記導電性表面に電気化学的に結合することを含む、プロセス。

請求項87

前記物体が医療デバイスである、請求項86に記載のプロセス。

請求項88

前記物体が埋め込み可能な医療デバイスである、請求項86に記載のプロセス。

請求項89

前記物体がステントである、請求項88に記載のプロセス。

請求項90

前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択され、前記生物活性剤、ポリマー、マイクロ粒子および/またはナノ粒子は前記電気的結合可能な基を含む、請求項86に記載のプロセス。

請求項91

前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項90に記載のプロセス。

請求項92

前記電気化学的に結合することの前に、前記導電性表面を修飾し、それにより、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する導電性表面を有する物体を提供することをさらに含む、請求項86に記載のプロセス。

請求項93

前記修飾することは、前記導電性表面を電気化学的に修飾することを含む、請求項92に記載のプロセス。

請求項94

前記相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、膨潤および吸収によって行われる、請求項92に記載のプロセス。

請求項95

前記電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される、請求項86および90のいずれかに記載のプロセス。

請求項96

前記活性物質は電解重合ポリマーである、請求項86に記載のプロセス。

請求項97

前記治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項91に記載のプロセス。

請求項98

医療デバイスを埋め込むことが有益である医学的状態を有する対象を治療する方法であって、この方法は、導電性表面および前記導電性表面の少なくとも一部分に結合している活性物質を有する医療デバイスを提供すること、ここで前記導電性表面は、前記少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、および/または、前記少なくとも1つの活性物質は前記導電性表面に電気化学的に結合されている、ならびに、前記医療デバイスを前記対象の体内に埋め込み、それにより、前記医学的状態を治療することを含む、方法。

請求項99

前記医学的状態は、心臓血管疾患アテローム性動脈硬化血栓症狭窄症再狭窄心臓学的疾患、末梢血管疾患整形外科的状態、増殖性疾患感染性疾患移植関連疾患、変性疾患脳血管疾患胃腸疾患肝臓疾患神経学的疾患自己免疫疾患およびインプラント関連疾患からなる群から選択される、請求項98に記載の方法。

請求項100

前記医療デバイスは埋め込み可能なデバイスである、請求項98に記載の方法。

請求項101

前記医療デバイスが、ペースメーカー、移植片、ステント、ワイヤ、整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプ、注入口および心臓弁からなる群から選択される、請求項98に記載の方法。

請求項102

前記医療デバイスがステントである、請求項101に記載の方法。

請求項103

前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項98に記載の方法。

請求項104

前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項103に記載の方法。

請求項105

前記治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項104に記載の方法。

請求項106

前記活性物質を表面に結合されたデバイスを埋め込むことが有益である医学的状態の治療における、請求項3に記載の埋め込み可能デバイスの使用。

請求項107

前記医学的状態は、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化、血栓症、狭窄症、再狭窄、心臓学的疾患、末梢血管疾患、整形外科的状態、増殖性疾患、感染性疾患、移植関連疾患、変性疾患、脳血管疾患、胃腸疾患、肝臓疾患、神経学的疾患、自己免疫疾患およびインプラント関連疾患からなる群から選択される、請求項106に記載の使用。

請求項108

前記少なくとも1つの活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択され、前記生物活性剤、前記ポリマー、前記マイクロ粒子および/または前記ナノ粒子は少なくとも1つの電気的結合可能な基を含む、請求項106に記載の使用。

請求項109

前記生物活性剤は、治療活性剤および標識薬剤からなる群から選択される、請求項108に記載の使用。

請求項110

前記治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン、毒素、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項109に記載の使用。

請求項111

導電性表面を有する少なくとも1つの医療デバイスを被覆するためのシステムであって、このシステムは、稼動可能な配置において、前記少なくとも1つの医療デバイスを保持するための少なくとも1つの保持デバイス運搬装置、および前記運搬装置に沿って配置された第1および第2の浴を含み、前記運搬装置は、前記少なくとも1つの保持デバイスが、所定の期間、所定の順序で前記第1および第2の浴のそれぞれの中に置かれるように、前記少なくとも1つの保持デバイスを運搬するように設計および構築され、さらに、前記第1の浴は修飾用の浴であり、かつ、前記第2の浴は活性物質溶液の浴である、システム。

請求項112

前記修飾用の浴は、前記活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機物質を有する、請求項111に記載のシステム。

請求項113

前記活性物質は電解重合ポリマーであり、前記第2の浴は電解重合浴である、請求項112に記載のシステム。

請求項114

前記少なくとも1つの医療デバイスは少なくとも1つのステントアセンブリーを含む、請求項111に記載のシステム。

請求項115

前記運搬装置に沿って配置された少なくとも1つのさらなる浴をさらに含み、前記運搬装置は、所定の期間、前記少なくとも1つのさらなる処理浴の中に前記少なくとも1つの保持デバイスを置くように設計および構築されている、請求項111に記載のシステム。

請求項116

前記少なくとも1つのさらなる処理浴は、前処理浴洗浄浴すすぎ洗浄浴、電解重合浴、化学重合浴および第2の活性物質溶液浴からなる群から選択される、請求項115に記載のシステム。

請求項117

前記少なくとも1つの保持デバイスがカートリッジ本体に固定されることを可能にするために適合したカートリッジ本体を有するカートリッジをさらに含む、請求項111に記載のシステム。

請求項118

前記少なくとも1つの保持デバイスは、前記少なくとも1つの医療デバイスを収容するために適合した穴あき封入体、および電極構造体が前記穴あき封入体と係合し、電場を前記穴あき封入体の内部に生じさせることを可能にするために適合した少なくとも2つのカップを含む、請求項116に記載のシステム。

請求項119

前記穴あき封入体は、流体および化学物質がその中を流れることを可能にするように設計および構築されている、請求項118に記載のシステム。

請求項120

前記電解重合浴は、前記電解重合浴の底部に取り付けられ、かつ外部電源に接続される少なくとも1つの電極構造体を含む、請求項113および118のいずれかに記載のシステム。

請求項121

前記運搬装置は、前記少なくとも1つの保持デバイスを前記少なくとも1つの電極構造体に取り付け、それにより、前記少なくとも1つの電極構造体を前記穴あき封入体の第1の面と係合するように操作可能である、請求項120に記載のシステム。

請求項122

少なくとも1つの電極構造体を運び、かつ、前記少なくとも1つの電極構造体を前記穴あき封入体の第2の面と係合するように操作可能であるアームをさらに含む、請求項119に記載のシステム。

技術分野

0001

本発明は、様々な物体の修飾された表面およびその使用に関連し、より具体的には、有機膜および/または治療剤を効率的に表面に結合するために利用することができ、従って、様々な医学用途および他の用途において有益に使用することができるそのような修飾された表面に関連する。

背景技術

0002

医学の分野では、金属構造体が様々な目的のために身体内に埋め込まれることが多い。そのような金属構造体には、例えば、ペースメーカー移植片ステントワイヤ整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプおよび心臓弁が含まれる。生体内に埋め込まれた金属に関連する1つの問題はその生体適合性であり、より具体的には、金属インプラント血液適合性および組織適合性である。インプラントは、典型的には、凝固因子(例えば、タンパク質および血小板)の活性化がインプラントによって穏やかに誘導されるだけであるときには血液適合性であると見なされ、細胞増殖および慢性的炎症がインプラントによって過度に誘導されないときには組織適合性であると見なされる。

0003

しかしながら、多くの適用において、金属表面は、その親水性的性質のために、究極的には、周り組織および流体から吸着した生物学的物質(特に、タンパク質)の層により覆われる。生物学的物質の吸着した層は、血栓および炎症をはじめとする望ましくない生物学的反応の原因であると示唆されている。病原性細菌は、病原性細菌が金属表面に直接に付着しているか、または、吸着した層によって引き寄せられるかのいずれであっても、そのようなデバイスの表面にコロニーを形成する傾向があり、これにより、デバイスを様々な感染の中心にしている。従って、金属表面の親水性的性質は、インプラントが失敗することの直接的な原因である。インプラントの失敗は医学的に有害であり、死に至る可能性があり、また、しばしば、不快で、危険で、かつ、費用のかかるさらなる手術を必要とする。

0004

数多くの方策が、これらの欠点を克服するために開発されており、その主要かつ共通する目標は、金属表面の親水性的性質を改変することである。そのような方策の詳細およびこれらの総説が、例えば、米国特許第5,069,899号、同第6,617,142号、同第4,979,959号、同第3,959,078号、同第4,007,089号、同第5,024,742号および同第5,024,742号に見出される。

0005

金属インプラントに関連する望ましくない生物学的反応を最小限に抑えるための1つの方策が、金属表面を、保護的な細胞層成長のための下地を提供する生体分子により被覆することである。使用される生体分子には、例えば、増殖因子細胞付着タンパク質および細胞付着ペプチドが含まれる。1つの関連した方策が、望ましくない生物学的反応を低下させる分子または活性な医薬成分(例えば、血栓形成防止剤抗血小板剤抗炎症剤および抗菌剤など)を結合することである。

0006

数多くの方法が、生体分子および他の有益な物質(以降、これらはまとめて「活性物質」と呼ばれる)を金属表面に結合し、その結果、金属の生体適合性を増大させるために提供されている。

0007

1つの方法では、連結成分を金属表面に共有結合的に結合し、その後、所望する活性な成分を連結成分に共有結合的に結合することが伴う。リンカーを介した共有結合性の結合によって金属表面に結合している1つの活性な成分が抗凝固剤ヘパリンである。Hepacoat(商標)ステント(Cordis、Johnson and Johnson社)では、ヘパリンがステント表面に共有結合的に結合しており、埋め込み後もステントに結合したままである。所望の効果が血流における相互作用によって生じる。

0008

別の方法では、金属表面を、活性な成分とのイオン結合を形成するように構成された層により被覆することが伴う。例えば、米国特許第4,442,133号は、抗生物剤とのイオン結合を形成するトリドデシルメチルアンモニウムクロリド層を教示する。米国特許第5,069,899号は、アニオン性ヘパリンがイオン結合により結合する層によって被覆された金属表面を教示する。

0009

別の方法では、金属表面をポリマーにより被覆し、生物活性剤をポリマー内に閉じ込めることが伴う。埋め込まれると、活性な医薬成分がポリマー被覆から拡散し、これにより所望の効果を生じさせる。例えば、Cypher(商標)ステントでは、細胞増殖抑制剤のSirolimus(Wyeth Pharmaceuticals)が、ステントを被覆するポリマー層に閉じ込められている。埋め込まれると、活性な医薬成分がポリマー層から拡散し、これにより、ステント上での組織の成長を制限する。そのようなインプラントの欠点は、ポリマー被覆からの活性な医薬成分の拡散速度が制御不能または予測不能であることである。さらに、この方策は、ポリマーに効率的に捕捉され得るが、それにもかかわらず、生理学的条件下において妥当な速度で溶出することが可能であり得る活性な医薬成分に限定される。

0010

電解重合可能なモノマーを使用して導電性表面(例えば、金属表面など)を被覆することは、被覆された金属表面の物理的性質および化学的性質を、電気化学的な重合プロセスのパラメーターを制御することによって制御することが可能であるので、非常に好都合である。様々な電解重合可能なモノマーがこの分野では知られており、これらには、例えば、アニリン系、インドール系、ナフタレン系、ピロール系およびチオフェン系のモノマーが含まれる。電解重合条件下において表面の近傍で酸化されたとき、そのような化合物は重合して、約15ミクロンまでの厚さのポリマー薄膜を形成する。そのようなポリマー薄膜は、表面に共有結合的に結合していないが、典型的には、表面に存在する割れ目、すき間および穴を埋めることによって表面に結合する。この薄膜は比較的容易に剥離し得るが、注意して扱えば、薄膜は表面に結合したままである。そのような薄膜は、金属表面に対する保護層としてこの分野では広く使用されており、例えば、バイオセンサーとして使用されている(例えば、米国特許第4,548,696号を参照のこと)。

0011

電解重合薄膜によって活性物質が負荷された埋め込み可能な医療デバイスが教示されている。例えば、国際特許出願公開WO99/03517(これは、本明細書中に全体が示されるかのように参考として組み込まれる)は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを金属表面にイオン結合することを教示する。Journal of Biomedical Materials Research、第44巻、1999、121頁〜129頁には、ヘパリンを金属表面にイオン結合することが教示される。

0012

国際特許出願公開WO01/39813(これもまた、本明細書中に全体が示されるかのように参考として本明細書中に組み込まれる)は、活性な医薬成分または活性な医薬成分を運搬する実体を重合前に電解重合可能なポリマーに共有結合的に結合することによって、また、電解重合による薄膜生成の後、活性な医薬成分または活性な医薬成分を運搬する実体を共有結合的またはイオン的に結合するために使用される官能基を有する電解重合可能なモノマーを提供することによって、活性な医薬成分を、電解重合可能なモノマーを使用して表面に結合することを教示する。

0013

従って、医療用金属構造体の表面を修飾すること、その結果、そのような構造体生体適合性を高め、かつ、さらなる治療特性をそのような構造体に与えるようにすることは非常に好都合であることが広く認識されている。先行技術では、様々な方策が、金属の埋め込み可能なデバイスに関連する制限を克服するために教示されるが、これらは、典型的には、活性物質を直接的または間接的のいずれかで金属表面に結合することを伴う。後者には、活性物質を様々な化学的相互作用(例えば、共有結合性の結合またはイオン結合の形成、封入など)によってリンカー分子またはポリマーに結合することが含まれる。しかしながら、現在知られている方策は、活性物質、活性物質が結合するリンカーまたはポリマーの、金属表面への不良な付着によって制限される。

0014

従って、上記の制限を有さない、有機分子(例えば、活性物質および/または有機膜)が表面に結合している金属表面が必要であることが広く認識されており、また、そのような金属表面を有することは非常に好都合である。

0015

本発明の1つの態様によれば、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質とを有する物体を含む製造物品が提供され、この場合、導電性表面は、この少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、および/または、この少なくとも1つの活性物質は導電性表面に電気化学的に結合している。

0016

下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、この物体は医療用デバイスであり、具体的には、埋め込み可能なデバイスであり、例えば、ペースメーカー、移植片、ステント、ワイヤ、整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプ、注入口および心臓弁などである。好ましくは、埋め込み可能なデバイスはステントである。

0017

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は少なくとも1つの金属またはその合金を含む。金属は、例えば、鉄、ステンレス鋼チタンニッケルタンタル白金、金、銀、銅、および、これらの任意の組合せが可能である。好ましくは、導電性表面はステンレス鋼を含む。

0018

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、生物活性剤が結合している複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せからなる群から選択される。

0019

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この生物活性剤は治療活性剤および/または標識薬剤である。

0020

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この治療活性剤は、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、増殖因子、スタチン毒素、抗菌剤、鎮痛剤代謝拮抗剤血管作用剤血管拡張剤プロスタグランジンホルモントロンビン阻害剤酵素オリゴヌクレオチド核酸アンチセンス、タンパク質、抗体、抗原ビタミン免疫グロブリンサイトカイン心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質化学療法剤抗酸化剤リン脂質抗増殖剤コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイドアルブミンガンマ−グロブリンパクリタキセルヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される。

0021

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、少なくとも1つの有機物質を表面に電気化学的および/または非電気化学的に結合することによって修飾される。

0022

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つの有機物質は、導電性表面における自己集合した単層を形成する。

0023

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する電気化学的に修飾された導電性表面である。

0024

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する非電気化学的に修飾された導電性表面である。

0025

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この相互作用は、共有結合性の結合、生分解可能な結合、イオン結合、水素結合ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用膨潤および吸収によって行われる。

0026

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つの機能的成分は、アミンアンモニウムイオンカルボキシラートチオカルボキシラート、アミドカルバミルヒドロキシルチオヒドロキシル、アルコキシドチオアルコキシド、ニトラート、シアナート、ピロール、イソシアナートハロゲン化物アジド不飽和成分疎水性成分ホスファートホスホナートスルファートスルホナートスルホンアミド、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される。

0027

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、電気的結合可能な基と、活性物質と相互作用することができる機能的成分とを含む少なくとも1つの有機物質を表面に電気化学的に結合することによって電気化学的に修飾される。

0028

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電気的結合可能な基は、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスホナートおよびホスファートからなる群から選択される。

0029

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この有機物質はさらに、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基を含む。

0030

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この有機物質は、脂肪酸、および、官能基により誘導体化された脂肪酸からなる群から選択される。

0031

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、導電性表面は、有機シランを表面に結合することによって非電気化学的に修飾される。

0032

好ましくは、この有機シランは、一般式:XmSiR(4−m)(式中、mは1〜3の整数であり、Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である)を有する。好ましくは、炭化水素残基は1個〜10個の炭素原子を有する。

0033

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は導電性表面に電気化学的に結合する。

0034

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は電解重合ポリマーである。

0035

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電解重合ポリマーは、それに結合した本明細書中に記載されるような生物活性剤を含む。

0036

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電解重合ポリマーは、それに結合した複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子を含む。

0037

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この複数のマイクロ粒子および/またはナノ粒子は、それに結合している本明細書中に記載されるような生物活性剤を含む。

0038

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電解重合ポリマーは、それに結合した共重合体を含む。

0039

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この共重合体は、それに結合している本明細書中に記載されるような生物活性剤を含む。

0040

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この電解重合ポリマーは、ポリピロールポリチオフェンポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンスルフィドポリアニリン、ポリ(2,5−チエニレン)、フルオロアルミニウム、フルオロガリウムフタロシアニン、その誘導体、および、これらの任意の組合せからなる群から選択される。

0041

本発明による好ましい製造物品は、導電性表面と、この導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの有機物質の自己集合した単層とを有する物体を含み、この場合、有機物質は電気的結合可能な基を含み、かつ、自己集合した単層は導電性表面に電気化学的に形成される。

0042

本発明の別の態様によれば、本明細書中上記に記載されるように、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質とを有する物体を調製する方法が提供される。この方法は、導電性表面を有する物質を提供すること;導電性表面を電気化学的または非電気化学的に修飾し、それにより、この少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面を有する物体を提供すること;および、この活性物質と、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面とを接触させることを含む。

0043

下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、修飾は、本明細書中上記に記載されるように、電気的結合可能な基と、活性物質と相互作用することができる機能的成分とを含む少なくとも1つの有機物質を導電性表面に電気化学的に結合することによって行われる。

0044

下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、修飾は、本明細書中上記に記載されるように、活性物質と相互作用することができる機能的成分を含む本明細書中に詳述されるような少なくとも1つの有機シランを導電性表面に結合することによって行われる。

0045

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、接触は、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面を有する物体と、活性物質とを反応させることによって行われる。

0046

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、接触は、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面の内部において活性物質を膨潤することによって行われる。

0047

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質はポリマーであり、かつ、接触が、ポリマーに対応するモノマーを、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面に重合することによって行われる。

0048

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は電解重合可能なポリマーであり、かつ、接触が、ポリマーに対応する電解重合可能なモノマーを、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面に重合することによって行われる。

0049

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、接触は、活性物質を、少なくとも1つの機能的成分が表面に結合している導電性表面に吸収することによって行われる。

0050

本発明のさらに別の態様によれば、本明細書中上記に記載されるように、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している少なくとも1つの活性物質とを有する物体を調製する別の方法が提供される。この方法は、導電性表面を有する物質を提供すること;および、電気的結合可能な基を有する少なくとも1つの活性物質を導電性表面に電気化学的に結合することを含む。

0051

下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、この方法はさらに、本明細書中上記に記載されるように、電気化学的に結合する前に、導電性表面を修飾し、それにより、この少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する導電性表面を有する物体を提供することを含む。

0052

本発明のなおさらに別の態様によれば、医療デバイスを埋め込むことが有益である医学的状態を有する対象を治療する方法が提供される。この方法は、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している活性物質とを有する医療デバイス(この場合、導電性表面は、本明細書中上記で記載されるように、少なくとも1つの活性物質と相互作用することができる少なくとも1つの機能的成分を有する修飾された導電性表面であり、および/または、少なくとも1つの活性物質が導電性表面に電気化学的に結合している)を提供すること、および、医療デバイスを対象の体内に埋め込み、それにより、医学的状態を治療することを含む。

0053

下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、医学的状態は、心臓血管疾患アテローム性動脈硬化血栓症狭窄症再狭窄心臓学的疾患、末梢血管疾患整形外科的状態、増殖性疾患感染性疾患移植関連疾患、変性疾患脳血管疾患胃腸疾患肝臓疾患神経学的疾患自己免疫疾患およびインプラント関連疾患からなる群から選択される。

0054

本発明のさらなる態様によれば、導電性表面を有する少なくとも1つの医療デバイスを被覆するためのシステムが提供され、この場合、このシステムは、稼動可能な配置において、医療デバイスを保持するための少なくとも1つの保持デバイスと、運搬装置と、運搬装置に沿って配置された第1および第2の浴とを含み、運搬装置は、この少なくとも1つの保持デバイスが、所定の期間、所定の順序で第1および第2の浴のそれぞれの中に置かれるように、この少なくとも1つの保持デバイスを運搬するように設計および構築されており、また、さらに、第1の浴は修飾用の浴であり、かつ、第2の浴は活性物質溶液の浴である。

0055

下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、修飾用の浴は、活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機物質を含む。

0056

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この活性物質は電解重合ポリマーであり、かつ、第2の浴は電解重合浴である。

0057

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つの医療デバイスは少なくとも1つのステントアセンブリーである。

0058

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、このシステムはさらに、運搬装置に沿って配置された少なくとも1つのさらなる浴を含み、この場合、運搬装置は、所定の期間、この少なくとも1つのさらなる処理浴の中にこの少なくとも1つの保持デバイスを置くように設計および構築されている。

0059

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つのさらなる処理浴は、前処理浴洗浄浴すすぎ洗浄浴、電解重合浴、化学重合浴および第2の活性物質溶液浴からなる群から選択される。

0060

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、このシステムはさらに、この少なくとも1つの保持デバイスがカートリッジ本体に固定されることを可能にするために適合したカートリッジ本体を有するカートリッジを含む。

0061

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、この少なくとも1つの保持デバイスは、この少なくとも1つの医療デバイスを収容するために適合した穴あき封入体と、電極構造体が穴あき封入体と係合し、従って、電場を穴あき封入体の内部に生じさせることを可能にするために適合した少なくとも2つのカップとを含む。

0062

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、穴あき封入体は、流体および化学物質がその中を流れることを可能にするように設計および構築されている。

0063

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、電解重合浴は、電解重合浴の底部に取り付けられ、かつ、外部電源に接続される少なくとも1つの電極構造体を含む。

0064

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、運搬装置は、この少なくとも1つの保持デバイスをこの少なくとも1つの電極構造体に取り付け、それにより、この少なくとも1つの電極構造体を穴あき封入体の第1の面と係合するように操作可能である。

0065

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、このシステムはさらに、少なくとも1つの電極構造体を運び、かつ、その少なくとも1つの電極構造体を穴あき封入体の第2の面と係合するように操作可能であるアームを含む。

0066

本発明は、安定かつ一様な付着性の被覆をもたらす、金属表面を被覆するための新規なプロセスを提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。

0067

別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。

0068

本明細書中で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、最終結果に影響しない他の工程および成分が加えられ得ることを意味する。この用語は、用語「からなる(consisting of)」および用語「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。

0069

表現「から本質的になる」は、さらなる成分および/または工程が、主張される組成物または方法の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物または方法がさらなる成分および/または工程を含み得ることを意味する。

0070

用語「方法(method)」又は「プロセス(process)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学薬理学生物学、生化学および医学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。

0071

本明細書中で使用される場合、単数形態(“a”、“an”および“the”)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。

0072

本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。

0073

数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲にある/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。

0074

図面の説明
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1は100mV・sec−1の適応された走査速度を用いた、0.1mMのデカン酸および0.1MのTBATFBのアセトニトリル溶液における316Lステンレス鋼の1回目および2回目のサイクリックボルタンモグラムを示す。
図2の316Lステンレス鋼電極(a)、0.1mMのパルミチン酸および0.1MのTBATFBのACN溶液において電気化学的に修飾された、1サイクル後の316Lステンレス鋼電極(b)、5サイクル後の316Lステンレス鋼電極(c)、および、10サイクル後の316Lステンレス鋼電極(d)を用いて、100mV・sec−1の走査速度を加えながら記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)63+のサイクリックボルタンメトリーを示す。
図3は裸の316Lステンレス鋼電極(a)、0.1MのTBATFB/ACNおよび0.1mMのデカン酸(b)、ミリスチン酸(c)およびパルミチン酸(d)において10サイクルにわたって電気化学的に修飾された316Lステンレス鋼電極を用いて記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)63+のサイクリックボルタンメトリー(100mV・sec−1の走査速度)を示す。
図4研磨されたばかりの316Lステンレス鋼電極(a)、0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(b)、および、研磨され、周囲条件下で1日間放置された316Lステンレス鋼電極(c)を用いて記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)63+のサイクリックボルタンメトリー(100mV・sec−1の走査速度)を示す。
図5は10mV・sec−1(a)、100mV・sec−1(b)、200mV・sec−1(c)、500mV・sec−1(d)、1000mV・sec−1(e)および2000mV・sec−1(f)の走査速度で、0.1mMのデカン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極を用いて記録された、0.1MのNaClにおける1mMのRu(NH3)63+のサイクリックボルタンメトリー(挿入図には、走査速度の平方根関数としてのピーク電流依存性が示される)(図5a)、および、走査速度の対数の関数としての陽極ピーク電位図5b)を示す。
図6は研磨されたばかりの裸の316Lステンレス鋼電極(左向き三角)、0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(四角)、0.1mMのデカン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(丸)、0.1mMのミリスチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(上向き三角)、0.1mMのパルミチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(下向き三角)、および、0.1mMのステアリン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(菱形)についての、0.1MのNaNO3溶液において測定された電位の関数としての二重層静電容量を示す。
図7は酸(デカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸)の長さの関数としての、図6に例示される二重層静電容量の逆数の依存性を示す。
図8は0.1mMのデカン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(実線)、0.1mMのミリスチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(二点鎖線)、および、0.1mMのパルミチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(破線)のC−H伸縮領域反射吸収FTIRスペクトルを示す。
図9はパルミチン酸により処理された316Lステンレス鋼表面カルボニル伸縮領域の反射吸収FTIRスペクトルを示す。
図10は研磨されたばかりの裸の316Lステンレス鋼電極(1として示される)、0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(2として示される)、および、0.1mMのパルミチン酸を含有する0.1MのTBATFB/ACN溶液において10サイクルにわたって電気化学的に処理された316Lステンレス鋼電極(3として示される)のFe2p3/2およびFe2p1/2の高分解能XPSスペクトル図10a)ならびにO1sの高分解能XPSスペクトル(図10b)を示す。
図11はピロールの電解重合を行った後の裸の316Lステンレス鋼プレート図11a、右側)、および、それを用いた碁盤テープ接着試験の後で得られたパーマセル(permacel)99テープ(図11a、左側)、ならびに、デカン酸の存在下でのSAM形成、その後、ピロールの電解重合に供された316Lステンレス鋼電極(図11b、右側)、および、それを用いた碁盤目テープ接着試験の後で得られたパーマセル99テープ(図11b、左側)を示す写真である。
図12は裸の316Lステンレス鋼プレート(図12a)、アセトニトリルにおける0.1Mのピロールにおいて100mV・s−1の走査速度でAg|AgBrに対して−0.8V〜1.25Vの間で10回電位を走査することによってポリピロールにより電気被覆された316Lステンレス鋼プレート(図12b)、および、デカン酸の存在下でのSAM形成に供され、洗浄され、その後、ポリピロールが電気被覆された316Lステンレス鋼プレート(図12c)のSEM顕微鏡写真を示す。
図13は316Lステンレス鋼プレート上に形成された12−アミノドデカン酸SAMの概略的例示(図13a)、および、12−アミノドデカン酸により処置された316Lステンレス鋼プレートのXPSスペクトル(図13b)を示す。
図14は本発明の好ましい実施形態に従って表面官能基化ナノ粒子の調製において使用されたピロール官能基化共重合体の1H−NMRスペクトルを示す。
図15はデカン酸で前処理され、かつ、ピロール置換ナノ粒子によって電気被覆された316LステンレスプレートのSEM顕微鏡写真を示す(図15a〜図15c)。
図16はデカン酸SAMおよびピロール置換ナノ粒子が電気被覆されたステンレス鋼316LMステント(STI、イスラエル、12×1mm)のSEM顕微鏡写真を示す(図16a〜図16d)。
図17は12−アミノドデカン酸で前処理され、PL粒子静電的に結合している316Lステンレスプレート(これは、分散された粒子を含有する緩衝液溶液との室温での前処理プレートインキュベーションによって調製された)のSEM顕微鏡写真を示す(図17a〜図17d)。
図18はポリ(ブチルエステル)ピロールがデカン酸の上に被覆されたステンレス鋼デバイス(20×10mm2)(青色)、および、ポリ(エチルエステル)ピロールがデカン酸の上に被覆されたステンレス鋼デバイス(20×10mm2)(紫色)からのタキソールの放出を明らかにする比較プロットを示す。
図19は本発明の好ましい実施形態に従った金属表面上でのビオチンアビジン複合体の形成の概略的例示を示す。
図20は本発明の好ましい実施形態に従ってステンレス鋼表面に形成された例示的な有機シランのSAMの形成の概略的例示を示す。
図21は本発明による例示的な保持デバイスの概略図である。
図22は本発明による例示的なカートリッジの概略図である。
図23は本発明による例示的なシステムの概略図である。

発明を実施するための最良の形態

0075

本発明は、表面への被覆の高まった接着によって特徴づけられ、従って、表面の生体適合性を効率的に高め、それ故、医療デバイス(特に、埋め込み可能なデバイス)の被覆として有益に使用することができる、導電性表面の新規な被覆に関する。

0076

本発明の原理および操作は、図面および添付された説明を参照してより良く理解することができる。

0077

本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部または実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施することができ、または様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、従って限定として見なされるべきではないことを理解しなければならない。

0078

本明細書中上記で議論されるように、金属表面を有する医療デバイスは、多くの場合、その親水性的性質に起因する不良な生体適合性によって特徴づけられる。そのようなデバイスの生体適合性を高めるために開発された方策には、所望によりさらに生物活性剤(例えば、薬物)を含む場合がある疎水性の層によって金属表面を被覆することが含まれる。先行技術では、疎水性成分を金属表面に結合する様々な方法が教示されているが、これらの方法は、典型的には、被覆の不良な接着および/または被覆からの生物活性剤の制御されない放出によって制限されている。

0079

従って、相当の努力が、金属下地有機被覆との間での連結を改善する「分子的接着促進剤」の開発に向けられている[1〜4]。疎水性の有機膜と親水性の金属表面との間での接着は、様々な適用(例えば、その生体適合性を増大させるという目的のために埋め込み可能な医療デバイスを被覆することなど)のためには不十分であることが予想される。金属のなかでも、ステンレス鋼は、その耐食性および優れた機械的性質[5]のために整形外科用インプラントおよび他の埋め込み可能な医療デバイスにおいて使用されるので特に重要である。ステンレス鋼製インプラントの生体適合性は、その表面を有機分子またはポリマーにより修飾することによって著しく改善することができる[6〜9]。金属表面が薬物負荷ポリマーにより被覆される、一般には薬物溶出医療デバイス、具体的にはステント[10]における関心が増大しているので、接着性かつ一様な薄い被覆(1μm〜2μm)が望まれる。ポリマー溶液によるデバイスの被覆では、浸漬または噴霧のいずれかによっても、典型的には、限定された均一性および接着性を有する厚い被覆(約15μm)がもたらされる。

0080

本発明を考えているとき、(i)フリーの官能基が結合している表面をもたらす金属表面の電気化学的官能基化は、そのような表面に対する疎水的層のその後の結合を制御可能な様式で劇的に改善することができること;および(ii)そのような官能基化は、有機物質の自己集合した単層を表面に形成することによって都合良く行うことができることが想定された。

0081

自己集合した単層(SAM)の付着は、化学的に十分に規定された表面を固体支持体(具体的には金属表面)に作製するための好都合な方法であると見なされる[7〜9]。増大する関心、および、近年における自己集合技術に集中した努力にもかかわらず、ステンレス鋼でのSAMを取り扱う報告はほんの少数発表されているだけである[2〜5、10〜13]。一例において、電気化学的に還元されたステンレス鋼表面におけるn−アルカンチオールSAMの形成および特徴づけが、ステンレス鋼の自然酸化物層を除くために負の電位を加え、その後、チオール電解質溶液に加えることによって行われていた[4、5]。他のカルボン酸単層が、表面の衝突阻害および増大する潤滑の手段としてラングミュアブロジェット(LB)を使用して鉄[14]およびスチール[15]の表面に組み立てられている。これらの研究はすべてが、電気化学的手段によるステンレス鋼表面の予備活性化を伴い、その後、単層を表面に付着させている。

0082

一般に、2つの主要な可能な相互作用がn−アルカン酸単層と金属表面との間に存在する(イオン性および共有結合性)[18]。これに関して行われたいくつかの研究では、金属表面での酸単層の形成は、金属のカルボン酸塩をもたらす酸−塩基相互作用を伴うことが主に結論されていた[16〜17]。自然酸化物のオーバーレイ層を有する反応性金属における長鎖n−アルカン酸の付着を伴う他の研究(例えば、アルミニウム[20〜22]、銀[22〜25]および銅[22〜23、25]など)では、酸が、おそらくは、イオン結合を形成するための表面酸素原子へのプロトン移動を介して化学吸着されることが示唆される。

0083

モノ官能シリル化剤もまた、単層表面被覆を形成するために使用されており、その一方で、二官能性および三官能性のシリル化剤が、重合した被覆をシリカ表面に形成するために使用されている。しかしながら、多くのシリル化剤が、加水分解に対する不安定性、および、残留する酸性シラノールを含有する場合があるシリカ表面を遮蔽する不十分な能力をはじめとする望ましくない性質を有する被覆をもたらしている。

0084

従って、様々な物質とさらに相互作用することができる有機物質を使用してSAMを金属表面に付着させることにより、種々の薬剤および/または薄膜を金属表面に結合するための効率的な接着層として作用することができる、十分に整列し、かつ、十分に規定された薄い層がもたらされることが本発明者らによって想定された。

0085

本発明を実施に移しているとき、SAMを金属表面(具体的にはステンレス鋼表面)に形成することにより、種々の物質の結合が可能になり、従って、表面の高密度かつ非常に接着性の被覆がもたらされることが実際に見出された。そのような方法を使用して、万能的な特徴を有する万能的な被覆が制御可能に調製できることがさらに見出された。SAMをステンレス鋼表面に形成するための新規な方法もまた開発された。

0086

下記の実施例の節において例示されるように、様々な脂肪酸の自己集合した単層、および、316Lステンレス鋼の自然酸化物表面に付着した有機シランの自己集合した単層が調製され、特徴づけられた。脂肪酸SAMを、ステンレス鋼表面を修飾するための新規な方法を使用して調製した。この方法では、n−アルカン酸の自己集合が、ある電位を有機電解質溶液においてステンレス鋼に加えることによって促進される。この新規な方法は、現在知られている集合プロセスよりも短い時間で付着する再現性の高い単層をもたらす。

0087

有機シランSAMを、ステンレス鋼表面を薄い有機シラン溶液に単に浸漬することによって調製した。

0088

下記の実施例の節においてさらに例示されるように、このように修飾されたステンレス鋼表面は様々な活性物質(例えば、電解重合可能なモノマー、ならびに/または、様々な官能基化されたナノ粒子およびポリマーなど)とさらに相互作用し、表面の一様で、高密度かつ非常に接着性の被覆をもたらした。生物活性物質が、本明細書中下記で詳しく記載されるように、そのような表面と直接的に、または、そのような表面の生じた被覆のいずれかを介して、そのいずれでも相互作用した。

0089

従って、本発明の1つの態様によれば、導電性表面と、導電性表面の少なくとも一部分に結合している活性物質とを有する物体を含む製造物品が提供される。導電性表面は、本発明によれば、活性物質と相互作用することができる1つまたは複数の機能的成分を有する電気化学的に修飾された導電性表面が可能であり、それにより、活性物質を、表面を予備修飾することによって、直接的または間接的のいずれかであっても、金属表面に電気化学的に結合することができる。

0090

本明細書中上記で議論されるように、物体の親水性金属表面を修飾することは医療デバイス(具体的には、埋め込み可能な医療デバイス)において非常に有益であると同時に、そのような物体は好ましくは医療デバイスである。医療デバイスは、金属表面を含み、かつ、例えば、体外デバイス(例えば、アフェレーシス機材、血液取り扱い機材、血液酸素供給器血液ポンプ血液センサーおよび流体輸送配管など)を包含する任意の医療デバイスが可能である。しかしながら、親水性金属表面を修飾することは、医療デバイスが体内デバイス(例えば、大動脈グラフト動脈管類、人工関節、血液酸素供給器膜、血液酸素供給器管類身体インプラントカテーテル透析膜薬物送達システム体内プロテーゼ気管内チューブガイドワイヤ、心臓弁、大動脈内バルーン医療用インプラント、ペースメーカー、ペースメーカーリード線、ステント、限外ろ過膜血管グラフト、血管管類、静脈管類、ワイヤ、整形外科用インプラント、埋め込み可能な拡散ポンプ、および、注入口など、これらに限定されない)であり得るような埋め込み可能な医療バイスにおいて特に有用である。

0091

本発明による特に好ましい医療デバイスはステントであり、より具体的には、拡張可能なステントである。そのようなステントは、様々なタイプ、形状、用途および金属組成のものが可能であり、任意の知られているステントを包含し得る。代表的な例には、Zステント、Palmazステント、Mediventステント、Streckerステント、TantalumステントおよびNitinolステントが含まれる。

0092

表現「埋め込み可能なデバイス」は、長期間にわたって体腔内に置かれる任意の医療デバイスを記載するために本明細書中では使用される。

0093

本発明の関連で使用される好適な導電性表面には、限定されないが、1つまたは複数の金属あるいは金属合金から作製された表面が含まれる。金属は、例えば、鉄、スチール、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、タンタル、白金、金、銀、銅、これらの任意の合金、および、これらの任意の組合せが可能であり得る。他の好適な導電性表面には、例えば、形状記憶合金超弾性合金酸化アルミニウム、MP35N、エルギロイ(elgiloy)、ハイネス(haynes)25、ステライト(stellite)、熱分解炭素および銀炭素が含まれる。

0094

特に有用な物体は埋め込み可能な医療デバイスであるので、また、さらに、そのようなデバイスは典型的にはステンレス鋼から作製されるので、導電性表面は、好ましくは、ステンレス鋼を含む。

0095

本明細書中上記で詳しく議論されるように、一般には金属表面を有し、具体的にはステンレス鋼表面を有する医療デバイスは、ほとんどがそのような表面の不良な血液生体適合性および/または組織生体適合性に起因する多くの欠点を受ける。本明細書中上記でさらに議論されるように、不良な血液生体適合性は、典型的には、凝固タンパク質および血小板の活性化をもたらし、不良な組織生体適合性は、典型的には、過度な細胞増殖および炎症をもたらす。その生体適合性を高めるように表面を修飾することは、電荷濡れ性およびトポグラフィーに関して表面特性を改善することを目指す化学的手段および/または物理的手段によって行うことができる。これらは、ポリマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)、Teflonおよびポリウレタン)などの物質の薄い層(薄膜)を表面に結合することによって達成することができる。あるいは、表面を修飾することは、不良な生体適合性に関連する有害な作用を低下させることができるか、または、さらなる有益な効果を誘導することができる生物活性剤を表面に結合することによって行うことができる。

0096

従って、導電性表面は、本発明によれば、1つまたは複数の活性物質がその少なくとも一部分に結合している。

0097

表現「活性物質」は、表面の化学的特性および/または物理的特性に影響を及ぼし得る任意の物質を記載するために本明細書中では使用され、これには、例えば、表面の電荷、濡れ性およびトポグラフィーに影響を及ぼす物質、表面によって誘導される有害な副作用を低下させる物質、ならびに/または、さらなる治療効果を物体に提供し得る医薬的に活性な成分が含まれる。

0098

従って、好ましい活性物質には、本発明によれば、限定されないが、生物活性剤、ポリマー、生物活性剤が結合しているポリマー、マイクロ粒子、ナノ粒子、生物活性剤が結合しているマイクロ粒子および/またはナノ粒子、ならびに、これらの任意の組合せが含まれる。

0099

表現「生物活性剤」は、対象において有益な活性を発揮することができる薬剤を記載するために本明細書中では使用される。そのような有益な活性には、本明細書中上記で議論されるように、医療デバイスによって処置されている状態に依存して、表面によって誘導される有害な副作用を低下させること、および/または、任意の他の治療的活性が含まれる。

0100

従って、生物活性剤は、治療活性な薬剤(これはまた、医薬的に活性な薬剤または活性な薬学的薬剤として本明細書中では交換可能に示される)であり得る。

0101

生物活性剤はさらに標識薬剤が可能であり、標識薬剤は、生物活性剤が結合する物質を体内で検出するために、および/または、生物活性剤が結合する物質の所在を体内で突き止めるために役立つ場合があり、また、例えば、診断目的および追跡調査目的のために使用される場合がある。

0102

従って、表現「標識薬剤」は、検出可能な成分またはプローブを記載するために本明細書中では使用され、これには、例えば、発色団蛍光性化合物リン光性化合物重金属クラスターおよび放射性標識化化合物、ならびに、任意の他の知られている検出可能な成分が含まれる。

0103

一部の場合において、治療活性な薬剤は標識される場合があり、従って、標識薬剤としてさらに役立ち得る。同様に、一部の標識薬剤(例えば、放射性同位体など)もまた、治療活性な薬剤として役立つ。

0104

ポリマーおよび粒子(例えば、ナノ粒子およびマイクロ粒子など)は、それ自体を、本明細書中上記で議論されるように、その物理的特性、機械的特性および化学的特性に影響を及ぼすように表面に適用することができ、それにより、生物活性剤が、表面の生物学的特性に影響を及ぼすように適用される。生物活性剤が結合しているポリマーおよび粒子は、典型的には、その物理的特性および化学的特性に影響を及ぼすように、また、同時に、1つまたは複数の生物活性剤のキャリアとして作用するように表面に適用される。

0105

生物活性剤のキャリアとして役立つポリマーおよび粒子は、適用されたとき、安定的または生分解可能のいずれかが可能である。用語「生分解可能」は、酵素(ヒドロラーゼおよびアミダーゼなど)と反応したときに分解し得るそのような物質を記載するために使用され、用語「安定的」は、少なくとも長期間にわたって適用されたとき、無傷であり続けるそのような物質を記載するために使用される。安定的なキャリアからの生物活性剤の放出は、典型的には、薬剤の拡散によって行われる。

0106

物体には、本発明によれば、ポリマーによってさらに被覆される表面に生分解的に結合した生物活性剤の組合せが含まれ得る。生物活性剤は、必要ならば、ポリマーを介した拡散によって物体から放出され得る。場合により、物体には、本発明によれば、ポリマーによってさらに被覆され得る表面被覆またはSAMのいずれかに生分解的に結合した生物活性剤の組合せが含まれ得る。

0107

表現「生物活性剤が結合している」は、本明細書中で言及されるポリマー、粒子および任意の他の成分に関しては、生物活性剤が成分に結合する任意の形態を記載するために本明細書中では使用され、従って、共有結合性の結合(生分解可能な結合または安定的な結合のいずれかによるものであっても)、静電的相互作用による結合(例えば、イオン結合)、封入、膨潤、吸収、および、他の任意の許容され得る結合形態を包含する。

0108

表面に結合している生物活性剤は、医療デバイスによって処置されている状態に従って選択することができる。本発明の関連で有用である生物活性剤の代表的な例には、限定されないが、血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、スタチン、毒素、増殖因子、抗菌剤、鎮痛剤、代謝拮抗剤、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、ホルモン、トロンビン阻害剤、酵素、オリゴヌクレオチド、核酸、アンチセンス、タンパク質(例えば、血漿タンパク質、アルブミン、細胞付着タンパク質およびビオチンなど)、抗体、抗原、ビタミン、免疫グロブリン、サイトカイン、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤(これには、ステロイド系および非ステロイド系が含まれる)、抗生物質(これには、抗ウイルス剤および抗真菌剤などが含まれる)、化学療法剤、抗酸化剤、リン脂質、抗増殖剤、コルチコステロイド、ヘパリン、ヘパリノイド、アルブミン、ガンマ−グロブリン、パクリタキセル、ヒアルロン酸、および、これらの任意の組合せが含まれる。

0109

血栓形成防止剤、抗血小板剤、抗凝固剤、スタチン、血管作用剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、トロンビン阻害剤、血漿タンパク質、心臓血管剤、内皮細胞、抗炎症剤、抗生物質、抗酸化剤、リン脂質、ヘパリンおよびヘパリノイドなどの生物活性剤は、医療デバイスがステントであるときには特に有用である。鎮痛剤、代謝拮抗剤、抗生物質および増殖因子などの生物活性剤は、医療デバイスが整形外科用インプラントであるときには特に有用である。

0110

一般に使用されるスタチンの非限定的な例には、アトルバスタチンフルバスタチンロバスタチンプラバスタチンおよびシンバスタチンが含まれる。

0111

非ステロイド系抗炎症薬物の非限定的な例には、オキシカム系、例えば、ピロキシカムイソシカム、テノキシカム、スドキシカムおよびCP−14,304など;サリチル酸系、例えば、アスピリン、ジサルシド、ベノリラート、トリリサート、サファプリン、ソルプリンジフルニサールおよびフェンドサールなど;酢酸誘導体、例えば、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシンスリンダクトルメチンイソキセパクフロフェナク、チオピナク、ジドメシン、アセマタシン、フェンチアザク、ゾメピラク、クリンダナク、オキセピナク、フェルビナクおよびケトロラクなど;フェナム酸系、例えば、メフェナム酸メクロフェナム酸フルフェナム酸ニフルム酸およびトルフェナム酸など;プロピオン酸誘導体、例えば、イブプロフェンナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェンケトプロフェンフェノプロフェンフェンブフェンインドプロフェンピルプロフェンカルプロフェンオキサプロジンプラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェンアルミノプロフェンおよびチアプロフェニクなど;ピロゾール系、例えば、フェニルブタゾンオキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾンおよびトリメタゾンなどが含まれる。

0112

ステロイド系抗炎症薬物の非限定的な例には、限定されないが、コルチコステロイド系、例えば、ヒドロコルチゾンヒドロキシトリアムシノロンアルファメチルデキサメタゾンリン酸デキサメタゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン吉草酸クロベタゾールデソニドデスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアレノロン、フルクロロロンアセトニドフルドロコルチゾンピバル酸フルメタゾンフルオシノロンアセトニドフルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルアンドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン酪酸ヒドロコルチゾンメチルプレドニゾロントリアムシノロンアセトニドコルチゾンコルトドソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルアンドレノロン、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルアドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびそのエステルの残り、クロロプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタマート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロン、および、これらの混合物が含まれる。

0113

鎮痛剤(鎮痛薬)の非限定的な例には、アスピリンおよび他のサリチル酸系薬剤(例えば、サリチル酸コリンまたはサリチル酸マグネシウムなど)、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンナトリウムおよびアセトアミノフェンが含まれる。

0114

増殖因子は、数多くの機能(これには、接着分子産生の調節、細胞増殖を変化させること、血管化を増大させること、コラーゲン合成を高めること、骨代謝を調節すること、および、所与の領域への細胞遊走を変化させることが含まれる)を有するホルモンである。増殖因子の非限定的な例には、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)、トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)および骨形態形成タンパク質(BMP)などが含まれる。

0115

毒素の非限定的な例には、アジュバントとしてもまた役立つコレラ毒素が含まれる。

0116

抗増殖剤の非限定的な例には、アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタードエチレンイミンおよびメチルメラミンアルキルスルホナートニトロソウレアおよびトリアゼンなど;代謝拮抗剤、例えば、葉酸アナログピリミジンアナログおよびプリンアナログなど;天然物、例えば、ビンカアルカロイドエピポドフィロトキシン、抗生物質、酵素、タキサンおよび生物学的応答修飾剤など;その他の薬剤、例えば、白金配位錯体アントラセンジオン系薬剤、アントラサイクリン系薬剤置換ウレアメチルヒドラジン誘導体または副腎皮質抑制剤など;あるいは、ホルモンまたはアンタゴニスト、例えば、アドレノコルチコステロイド、プロゲスチン類、エストロゲン類、抗エストロゲン類アンドロゲン類、抗アンドロゲン類または性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログなどが含まれる。化学療法剤の具体的な例には、例えば、ナイトロジェンマスタード、エピポドフィロトキシン、抗生物質、白金配位錯体、ブレオマイシンドキソルビシン、パクリタキセル、エトポシド、4−OHシクロホスファミドおよびシス白金が含まれる。

0117

本発明の1つの実施形態において、導電性表面は、活性物質と相互作用することができる1つまたは複数の機能的成分を有する電気化学的に修飾された導電性表面である。

0118

この実施形態によれば、導電性表面は、典型的には化学的に不活性であるので、様々な活性物質とのその相互作用を可能にするように官能基化される。

0119

表現「機能的成分」は、別の物質と、例えば、それとの化学結合の形成、化学的相互作用または物理的相互作用を介して相互作用することができる物質(好ましくは、有機物質)の残基を記載するために本明細書中では使用される。物質間の相互作用は、物質の主要な部分(疎水性相互作用、吸収および膨潤などの場合のように)、または、物質内の特定の官能基(好ましくは、物質に関してその遠位側末端における特定の官能基)(例えば、共有結合性の結合および静電的結合の場合でのように)のいずれかが伴い得る。相互作用は、共有結合性の結合(安定的または生分解可能のいずれかであっても)の形成、イオン結合の形成、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、および、疎水性相互作用を介して、ならびに/あるいは、任意の化学的相互作用または物理的相互作用を介する膨潤または吸収によって可能である。

0120

機能的成分の代表的な例には、アミン、アンモニウムイオン、カルボキシラート、チオカルボキシラート、アミド、カルバミル、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、アルコキシド、チオアルコキシド、ニトラート、シアナート、アジド、イソシアナート、ハロゲン化物、アジド、不飽和成分、疎水性成分、ホスファート、ホスホナート、スルファート、スルホナート、スルホンアミド、および、これらの任意の組合せが含まれる。

0121

本明細書中で使用される用語「アミン」は−NR’R’’を有するか又は−NR’R’’を末端に有する物質を示し、ここでR’及びR’’はそれぞれ独立して本明細書中に定義されるような水素アルキルシクロアルキル又はアリールであるか、又はR’及びR’’は共に5員、6員又はそれ以上の炭素環又は複素環を形成することができる。

0122

用語「アンモニウムイオン」は正に帯電した−N+R’R’’R’’’基を有するか又は正に帯電した−N+R’R’’R’’’基を末端に有する物質を示し、ここでR’及びR’’は上述した通りであり、R’’’はR’及びR’’に対して記載される通りである。

0123

用語「カルボキシラート」は−C(=O)Y基を有するか又は−C(=O)Y基を末端に有する物質を示し、ここでYは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、ハリド、アジド、アルコキシド、チオアルコキシドであることができる。この用語は従ってアルデヒドケトン、エステル、アシルハリド、アミド、カルボン酸及びそのチオ誘導体を包含する。

0124

用語「チオカルボキシラート」は−C(=S)Y基を有するか又は−C(=S)Y基を末端に有する物質を示し、ここでYは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヒドロキシル、チオヒドロキシル、ハリド、アジド、アミン、アルコキシド、チオアルコキシドであることができる。この用語は従ってチオアルデヒドチオケトンチオエステル、チオアシルハリド、チオアミドチオカルボン酸を包含する。

0125

用語「アミド」は−C(=O)NR’R’’基を有するか又は−C(=O)NR’R’’基を末端に有する物質を示し、ここでR’及びR’’は本明細書中に定義される通りである。

0126

用語「カルバミル」は−OC(=O)−NR’R’’基又はR’’OC(=O)−NR’−基を示し、ここでR’及びR’’は本明細書中に定義される通りである。

0127

用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を示す。好ましくは、アルキル基は1個〜30個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個〜30個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの30個までの炭素原子を含むということを意味する。

0128

「シクロアルキル」基は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有さない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。シクロアルキル基の非限定な例には、シクロプロパンシクロブタンシクロペンタンシクロペンテンシクロヘキサンシクロヘキサジエンシクロヘプタンシクロヘプタトリエンおよびアダマンタンがある。

0129

「アリール」基は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。アリール基の非限定的な例には、フェニルナフタレニルおよびアントラニルがある。

0130

用語「ヒドロキシル」は−OH基を有するか又は−OH基を末端に有する物質を示すか、又は−OH基自体を示す。

0131

用語「アジド」は−N=NR’基を有するか又は−N=NR’基を末端に有する物質を示し、ここでR’は本明細書中に規定される通りである。

0132

用語「アルコキシド」は、本明細書中に定義されるような−O−アルキル、O−アリール又は−O−シクロアルキル基を有するか又は本明細書中に定義されるような−O−アルキル、O−アリール又は−O−シクロアルキル基を末端に有する物質を示すか、又は−O−アルキル、O−アリール及びO−シクロアルキル基自体を示す。

0133

用語「チオヒドロキシル」は−SH基を有するか又は−SH基を末端に有する物質を示すか、又は−SH基自体を示す。

0134

用語「チオアルコキシド」は、本明細書中に定義されるような−S−アルキル基、−S−シクロアルキル基又はS−アリール基を有するか又は本明細書中に定義されるような−S−アルキル基、−S−シクロアルキル基又はS−アリール基を末端に有する物質を示すか、又は−S−アルキル、S−アリール及びS−シクロアルキル基自体を示す。

0135

用語「ハロゲン化物」は、フッ素塩素臭素又はヨウ素原子を有するか又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を末端に有する物質を示すか、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子自体を示す。

0136

用語「スルファート」基は−OS(=O)2OR’基を有するか又は−OS(=O)2OR’基を末端に有する物質(ここでR’は本明細書中に定義される通りである)を示すか、又はOS(=O)2OR’基自体を示す。

0137

用語「スルホナート」は−S(=O)2−OR’基を有するか又は−S(=O)2−OR’基を末端に有する物質(ここでR’は本明細書中に定義される通りである)を示すか、又は−S(=O)2OR’基自体を示す。

0138

用語「スルホンアミド」基は−S(=O)2NR’R’’又はR’S(=O)2−NR’−基を有するか又は−S(=O)2NR’R’’又はR’S(=O)2−NR’−基を末端に有する物質を示し、ここでR’及びR’’は本明細書中に定義される通りである。

0139

用語「ニトラート」は−NO2基を有するか又は−NO2基を末端に有する物質を示す。

0140

「シアナート」は−C≡N基を有するか又は−C≡N基を末端に有する物質を示す。

0141

「イソシアナート」は−N≡CR’基を有するか又−N≡CR’基を末端に有する物質を示し、ここでR’は本明細書中に定義される通りである。

0142

用語「ホスホナート」は−O−P(=O)(OR’)2基を有するか又は−O−P(=O)(OR’)2基を末端に有する物質(ここで、R’は本明細書中に定義される通りである)を示すか、又は−O−P(=O)(OR’)2基自体である。

0143

用語「ホスファート」はP(=O)(OR’)2基を有するか又はP(=O)(OR’)2基を末端に有する物質(ここで、R’は本明細書中に定義される通りである)を示すか、又は−P(=O)(OR’)2基自体である。

0144

「不飽和成分」は、本明細書中に定義されるようなアルケニル基アルキニル基又はアリール基を有するか又は本明細書中に定義されるようなアルケニル基、アルキニル基又はアリール基を末端に有する物質を示し、ビニルアリル及びその類似物を包含する。

0145

アルケニル」基は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合からなるアルキル基を示す。

0146

アルキニル」基は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合からなるアルキル基を示す。

0147

用語「疎水性成分」は、実質的な疎水性によって特徴づけられる物質を示し、典型的には、場合により互いに結合した多数のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基および/またはアリール基から構成される物質、あるいは、場合により互いに結合した多数のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基および/またはアリール基を有する物質を包含する。

0148

本発明の好ましい実施形態において、導電性表面は、上記で記載された官能基に加えて、1つまたは複数の電気的結合可能な基をさらに含む1つまたは複数の有機物質を電気化学的に表面に結合することによって電気化学的に修飾される。

0149

表現「電気的結合可能な基」は、電気的電位を加えたとき、酸化または還元を受けることができ、従って、導電性物質(本明細書中では、導電性表面)とのイオン結合、共有結合性の結合または有機金属結合を形成することができる基を記載するために本明細書中では使用される。

0150

本発明による好ましい電気的結合可能な基には、例えば、カルボン酸基スルホナート基、スルファート基、ホスホナート基およびホスファート基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)が含まれる。そのような基は、典型的には、電気化学的プロセス時に酸化されて、イオン結合の形成により金属表面(具体的には、表面の自然酸化物層)と結合することができるそのアニオンをもたらす。

0151

有機物質は、好ましくは、3個〜30個の炭素原子を有する有機残基をさらに含む。電気的結合可能な末端基および有機残基を有する有機物質は、本明細書中上記で議論されるように、導電性表面に付着したとき、SAMを形成することができ、従って、非常に有益である。

0152

本発明の好ましい実施形態において、有機物質は脂肪酸である。様々な脂肪酸が、SAMを金属表面に形成することが示されている。しかしながら、有益なステンレス鋼表面での脂肪酸SAMの形成は今までに一度も研究されていない。

0153

本発明の関連で使用可能な脂肪酸の代表的な例には、限定されないが、飽和脂肪酸、例えば、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸ドデカン酸ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、エイコサン酸アラキジン酸)、ドコサン酸ベヘン酸)、テトラコサン酸リグノセリン酸)など、ならびに、不飽和脂肪酸、例えば、アラキドン酸リノール酸およびリノレイン酸などが含まれる。

0154

脂肪酸はそのまま使用することができ、または、本明細書中上記で記載されるような機能的成分が結合している誘導体化された脂肪酸として使用することができる。

0155

下記の実施例の節において例示および詳述されるように、ステンレス鋼表面への様々な脂肪酸の電気化学的結合はSAMの形成をもたらし、それにより、SAMの秩序度ならびにSAMの他の特徴が鎖の長さに依存することが見出され、従って、これにより、所望する特徴に従って脂肪酸を事前に選択することによってこれらの特徴を制御することが可能であった。

0156

別の好ましい実施形態において、電気化学的修飾は、導電性表面を、脂肪酸を含有する電解質溶液と接触させ、表面の電位を、使用された陰極に依存して、例えば、−0.5Vから1.5Vまで、好ましくは、約−0.8Vから約1.2Vまで掃引することによって行われる。この自己集合技術は、典型的には3時間〜数日間にわたる開路電位下での表面の修飾を伴い、また、修飾プロセスの途中で電位を加えることによって、金属表面に酸を付着させるための現在知られている方法と比較した場合、容易に行われ、かつ、容易に制御される。

0157

本発明のこの態様の別の好ましい実施形態において、導電性表面は、活性物質と相互作用することができる1つまたは複数の機能的成分を有する非電気化学的に修飾された導電性表面である。

0158

本明細書中で使用される表現「非電気化学的に修飾された表面」は、電気化学的プロセスを伴わない、表面を修飾する任意の形態を示す。

0159

非電気化学的に修飾された表面は、本発明によれば、好ましくは、表面に非電気化学的に結合する1つまたは複数の有機物質を含み、かつ、その有機物質と相互作用することができる機能的成分を有する。

0160

従って、そのような有機物質の結合は、有機物質と表面との間での強い相互作用の形成を伴い、それにより、相互作用は、例えば、静電的結合、配位的結合または共有結合性の結合が可能であり、あるいは、そうでない場合には、化学吸着の結果として、大きい親和性などが可能である。金属表面に非電気化学的に結合させることができる好適な有機物質には、例えば、有機シランおよび有機ホウ素などが含まれる。

0161

本発明の好ましい実施形態において、有機物質は有機シランである。有機シランは、SAMを金属表面に形成することが示されている。しかしながら、有益なステンレス鋼表面での有機シランSAMの形成は今までに一度も研究されていない。

0162

本明細書中で使用される用語「有機シラン」は、少なくとも1個のケイ素原子および少なくとも1個の炭素原子を有する有機化合物を記載する。好ましくは、有機シランは下記の一般式を有する:
XmSiR(4−m)
式中、mは1〜3の整数であり、Xは、ハロゲン化物、アルコキシおよびチオアルコキシからなる群から選択され、Rは置換または非置換の飽和または不飽和の炭化水素残基である。

0163

従って、この実施形態による好ましい有機シランは、本明細書中上記で記載されるように表面と相互作用することができる1つまたは複数個反応基により置換された1個または複数個のケイ素原子を含む。そのような反応基には、典型的には、ヒドロキシ基が含まれる。ヒドロキシシランは非常に反応性であり、典型的にはシリカの形態で存在するので、好ましい有機シランは、その場でヒドロキシ基に容易に変換することができる官能基を有するケイ素含有化合物である。このような官能基には、例えば、ハロゲン化物(例えば、クロリドなど)およびアルコキシ基またはアリールオキシ基が含まれる。これらの基は、微量の水の存在下で反応性のヒドロキシ基に容易に変換される。

0164

この実施形態による好ましい有機シランはさらに、本明細書中で定義されるような1つまたは複数の炭化水素残基を含む。

0165

炭化水素は、置換または非置換で、かつ、飽和または不飽和であることが可能であり、また、場合により、1個または複数個のヘテロ原子(例えば、O、Nおよび/またはS)によって中断され得る。非置換であるとき、炭化水素は、活性物質と疎水的に相互作用するための、かつ/あるいは、活性物質を吸収または膨潤するための、本明細書中上記で記載されるような機能的成分として役立ち得る。あるいは、活性物質との共有結合性の結合または静電的な結合を形成することができる官能基を含む置換された炭化水素を使用することができる。

0166

下記の実施例の節において例示および詳細に記載されるように、ステンレス鋼表面への様々な有機シランの結合はSAMの形成をもたらし、それにより、SAMの秩序度ならびにSAMの他の特徴が鎖の長さに依存することが見出され、従って、これにより、所望する特徴に従って有機シランを事前に選択することによってこれらの特徴を制御することが可能であった。

0167

本発明のこの関連での使用のために好適な有機シランの代表的な例が下記の実施例の節において示される。

0168

本発明のこの態様の別の実施形態において、活性物質が導電性表面に電気化学的に直接的に結合させられる。これは、本明細書中上記で記載されるような電気的結合可能な基を有する本明細書中上記で記載されるような活性物質を使用して行うことができる。医療デバイスへの生物活性物質のそのような直接的な結合は医療デバイスの極近傍での治療活性な薬剤の放出を可能にする。さらに、生物活性剤が標識薬剤であるならば、埋め込み可能なデバイスへのその直接的な結合は、例えば、体内における埋め込み可能なデバイスの位置を追跡することによって、体内における埋め込み可能なデバイスのモニターリングを可能にする。

0169

従って、活性物質は、本発明によれば、例えば、カルボン酸、ホスファートおよびスルホナートなどを末端基として有する生物活性剤であり得るか、または、そのような基をその表面に有するポリマーおよび粒子であり得る。後者の調製が、下記の実施例の節において記載および例示される。

0170

本発明のこの態様の別の実施形態において、導電性表面は、本明細書中上記で記載されるように活性物質と相互作用することができる機能的成分を有するように電気化学的に修飾され、かつ、その活性物質もまた、修飾された表面に電気化学的手段によって結合させられる。表面の修飾および活性物質の電気的結合を、同時に、または、連続して、そのいずれであっても行うことができる。

0171

この実施形態の代わりの一例において、活性物質は電解重合可能なポリマーである。

0172

表現「電解重合可能なポリマー」は、その対応するモノマー(1つまたは複数)の溶液に電位を加えることによって形成され得るポリマーを記載するために本明細書中では使用される。そのようなモノマーは本明細書中では「電解重合可能なモノマー」と呼ばれ、従って、電解重合プロセスはまた、「電気化学的重合」、および、場合により、「電気被覆」と交換可能に本明細書中では示される。

0173

電解重合ポリマーは、表面特性を改善するようにそれ自体が表面に適用され得るか、あるいは、表面に直接的または間接的に結合させられる生物活性剤のキャリアとして表面に適用され得る。従って、電解重合ポリマーは、生物活性剤を、場合により、また、好ましくは含有するマイクロ粒子およびナノ粒子、あるいは、生物活性剤を、場合により、また、好ましくは含有する共重合体を含むことができる。

0174

あるいは、電解重合ポリマーは、生物活性剤が吸収され得るか、または、膨潤させられ得るか、または、そうでない場合には埋め込まれ得るポリマー薄膜を形成することができる。

0175

生物活性剤および他の物質を電解重合ポリマーに結合するための様々な方法論の詳しい説明が、下記の実施例の節において、また、代理人文書番号28166を有し、本出願と同時に出願されている本発明の頭発明者による米国特許出願(発明の名称:電解重合可能なモノマーおよびそれらから得られる埋め込み可能なデバイスにおけるポリマー被覆)(これは、本明細書中に全体が示されるかのように参考として組み込まれる)において見出され得る。

0176

電解重合可能なポリマーは、修飾された表面の機能的成分と様々な相互作用によって相互作用することができるが、好ましい実施形態では、電解重合可能なポリマーは、表面に存在する疎水性成分との疎水的相互作用を形成する。そのような疎水的相互作用により、表面に対するポリマーの接着が実質的に強化される。

0177

表面の修飾が分子的大きさの疎水性SAMの形成を伴う場合、表面に付着したポリマー薄膜は表面モルフォロジーを獲得することができる。この発見は、電解重合の考えられる利用、それにより、医療デバイスの一様かつ薄い接着性の被覆を提供するために非常に重要である。

0178

従って、本発明の好ましい実施形態によれば、導電性表面が、SAMを表面に形成する有機物質を表面に結合することによって修飾され、この場合、SAMは、表面での電解重合の実施を可能にするように選択される。従って、修飾された表面への電解重合ポリマーの調製が、それを介した電子移動を可能にする有機物質の薄い層を結合することによって可能になる。

0179

そのような目的のために使用することができる例示的な有機物質には、本明細書中上記で記載された脂肪酸および有機シランが含まれる。例えば、3個〜30個の炭素原子を有する脂肪酸、および、炭素原子が1個〜10個の炭化水素残基を有する有機シランが、この関連での使用に好適であることが見出された。あるいは、脂肪酸、または、有機シランの炭化水素残基は、SAMの付着および電解重合が1つだけの有機物質を用いて同時に行われるように、それ自体を置換することができ、また、好ましくは、電解重合可能なモノマーを末端に存在させることができる。

0180

本発明のこの実施形態の関連で使用可能な電解重合ポリマーの代表的な例には、限定されないが、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリ(2,5−チエニレン)、フルオロアルミナム、フルオロガリウム、フタロシアニン、および、これらの任意の組合せが含まれ、それにより、これらのポリマーはそのままで使用することができるか、または、骨格ユニットが、所望の特徴を表面に提供することができる様々な物質(例えば、ポリマー、炭化水素、カルボキシラートおよびアミンなど)によって置換されるその誘導体として使用することができる。

0181

ポリピロール誘導体の代表的な例および対応するモノマーの調製が、例えば、国際特許出願公開WO01/39813(これは、本明細書中に全体が示されるかのように参考として組み込まれる)および上記の米国特許出願に記載される。本発明の好ましい実施形態に従って電解重合可能な置換ポリピロールを修飾された表面に結合するために使用することができるピロール誘導体の代表的な例もまた、下記の実施例の節に記載される。

0182

従って、本発明による製造物品は、表面への活性物質の結合を可能にする修飾された表面を含む。1つの実施形態において、表面は電気化学的または非電気化学的のいずれかで修飾することができ、好ましくは、活性物質を結合するための機能的成分を含む有機物質の表面での結合を伴う。さらに好ましくは、そのような有機物質はSAMを表面に形成する。

0183

別の実施形態において、表面は、活性物質が表面に電気化学的に直接的に結合するように修飾される。

0184

本発明の別の態様によれば、本明細書中上記に記載される製造物品を調製する方法が提供される。本発明の方法は、典型的には、本明細書中上記に記載されるように、物体の導電性表面を電気化学的に修飾し、それにより、表面を機能的成分によって官能基化すること、および、表面における官能基と、活性物質との間での相互作用を可能にするように、本明細書中上記に記載されるように、修飾された表面を活性物質と接触させることによって行われる。そのような相互作用の代表的な例が、下記の実施例の節に記載される。

0185

場合により、本発明の方法はさらに、表面を修飾することに続いて、または、表面を修飾することと同時に、活性物質を修飾された表面に電気化学的に結合することを含むことができる。

0186

あるいは、本発明の方法は、本明細書中上記に記載されるように、また、下記の実施例の節においてさらに例示されるように、活性物質を電気化学的手段によって表面に直接的に結合することによって行われる。

0187

活性物質が表面に結合している導電性表面の調製および提供について本明細書中に記載される万能的な方法論は、金属表面における、用途に合わせた、十分に規定された被覆を提供するために使用することができ、かつ、下記の実施例の節において例示および詳述されるように、改善された機械的特性、化学的特性および物理的特性を埋め込み可能なデバイスに提供するために特に好都合である。

0188

従って、本発明は、様々な活性かつ有益な活性物質によって被覆された物体をもたらし、それにより、被覆が、現在知られている被覆と比較した場合、高まった接着性、活性物質の高まった密度、および、改善された表面特性によって特徴づけられる、制御された、それにもかかわらず、万能的なプロセスによって調製され得る様々な製造物品を提供する。

0189

上記の方法を使用して、活性物質を表面に直接的または間接的に結合させることができる。間接的に結合させられるとき、活性物質は、好ましくは、表面に付着したSAMに結合させられる。生物活性剤もまた、表面に直接的または間接的に結合させることができ、また、制御された様式で生物活性剤が拡散して通り抜けることができる1つまたは複数の薄膜によってさらに被覆することができる。

0190

これらの製造物品が、被覆された埋め込み可能なデバイスであるとき、デバイスは、医療デバイス(具体的には、生物活性剤が負荷されたそのようなデバイス)を埋め込むことが有益である状態の処置において有益に使用することができる。

0191

そのような状態には、例えば、心臓血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化、血栓症、狭窄症、再狭窄およびステント内再狭窄(これらに限定されない)など、心臓学的疾患、末梢血管疾患、整形外科的状態、増殖性疾患、感染性疾患、移植関連疾患、変性疾患、脳血管疾患、胃腸疾患、肝臓疾患、神経学的疾患、自己免疫疾患およびインプラント関連疾患が含まれる。

0192

本明細書中上記で言及された米国特許出願(発明の名称:電解重合可能なモノマーおよびそれらから得られる埋め込み可能なデバイスにおけるポリマー被覆)に詳しく記載されるように、本明細書中に記載される被覆された医療デバイスの効率的な調製を可能にする特別なシステムが設計された。

0193

本発明のシステムは、稼動可能な配置において、医療デバイスを保持するための少なくとも1つの保持デバイスと、運搬装置と、運搬装置に沿って配置された第1および第2の浴とを含み、この場合、運搬装置は、少なくとも1つの保持デバイスが、所定の期間、所定の順序で第1および第2の浴のそれぞれの中に置かれるように、少なくとも1つの保持デバイスを運搬するように設計および構築されており、また、さらに、第1の浴は修飾用の浴であり、かつ、第2の浴は活性物質溶液の浴である。従って、医療デバイスを、第1の浴で処理されている間に、上記で記載されるように、修飾することができ、そして、活性物質が表面に結合する第2の浴に運搬することができる。活性物質が表面に電気化学的に直接的に結合させられる場合には、第1の浴および第2の浴は1つの浴に含まれる。

0194

あるいは、修飾用の浴は、電気化学的または非電気化学的のいずれかであっても表面に付着する本明細書中上記に記載されるような活性物質と相互作用することができる機能的成分を有する有機物質を含む。

0195

修飾された表面は、その後、活性物質を表面に結合するために第2の浴に運搬される。活性物質が電解重合ポリマーである場合には、第2の浴は電解重合浴である。

0196

記載された好ましい実施形態におけるなおさらにさらなる特徴によれば、電解重合浴は、電解重合浴の底部に取り付けられ、かつ外部電源に接続される少なくとも1つの電極構造体を含む。

0197

本発明のシステムは、デバイスを被覆するために使用された方法論および活性物質に依存して、例えば、デバイス表面が(下記の実施例の節において例示されるように)修飾に先立って処理される前処理浴、残留する反応物が除かれる洗浄浴およびすすぎ洗浄浴、さらなる電解重合浴および化学的重合浴をはじめとする他の浴を介して医療デバイスをさらに運搬するために使用することができる。

0198

これらのさらなる浴は運搬装置に沿って配置され、この場合、運搬装置は、保持デバイスを所定の期間、浴の内部に置くように設計および構築されている。

0199

本発明のシステムは、好ましくは、少なくとも1つの保持デバイスがカートリッジ本体に固定されることを可能にするために適合したカートリッジ本体を有するカートリッジをさらに含む。

0200

保持デバイス自体は、少なくとも1つの医療デバイスを収容するために適合した穴あき封入体と、電極構造体が穴あき封入体と係合し、従って、電場を穴あき封入体の内部に生じさせることを可能にするために適合した少なくとも2つのカップとを含む。

0201

穴あき封入体は、好ましくは、流体および化学物質がその中を流れることを可能にするように設計および構築されている。

0202

運搬装置は、好ましくは、少なくとも1つの保持デバイスを少なくとも1つの電極構造体に取り付け、それにより、その少なくとも1つの電極構造体を穴あき封入体の第1の面と係合するように操作可能である。

0203

本発明のシステムはさらに、少なくとも1つの電極構造体を運び、かつ、その少なくとも1つの電極構造体を穴あき封入体の第2の面と係合するように操作可能であるアームを含むことができる。

0204

本発明のこの態様による例示的な保持デバイス、カートリッジおよびシステム(これらは、電気被覆されたステントを提供するように設計されている)が図21図23に示される。

0205

図21は、本発明の好ましい実施形態に従って、被覆されている間、ステントアセンブリー12を保持するためのデバイス10を例示する。保持デバイス10は、ステントアセンブリー12を収容する穴あき封入体14を含む。アセンブリー12が、その被覆前の拡張可能な管状支持エレメント16として図21に示される。好ましくは、絶対的ではないが、封入体14は管状である(例えば、円筒形状)。デバイス10は、好ましくは、アセンブリー12の全処理を通してステントアセンブリー12を保持する。従って、デバイス10は、例えば、化学的処理浴、電気化学的処理浴、超音波浴乾燥域および薬物負荷浴などにおいて処理されている間、アセンブリー12を保持することができる。

0206

穴あき封入体14は、様々な化学物質溶液30がそれぞれの処理浴から封入体14の壁26を通って内側体積部28の中に流れ、それにより、ステントアセンブリー12および/または支持エレメント16と相互作用することを可能にするようにその壁26に形成された多数の穴24を含む。加えて、穴24は、好ましくは、例えば、デバイス10がそれぞれの処理浴から引き出されるとき、化学物質溶液が内側体積部28から流れ出ることを可能にする。

0207

デバイス10はさらに、封入体14の第1の端部20および第2の端部22を覆う2つ以上のカップ18を含む。カップ18は、例えば、ステンレス鋼から作製することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、カップ18は、様々な電極構造体(これらは、31および32の数字によって図1に示される)が封入体14と係合することを可能にするために適合する。この実施形態は、アセンブリー12が電気化学的重合に供されるときには特に有用である。従って、参照電極を一方の側から挿入することができ、対向電極を反対側から挿入することができる。加えて、作用電極を、カップ18の近くに、例えば、カップ18から数ミリメートル離して配置することができ、その結果、これらの電極が、例えば、連絡線36によって電源(示さず)に接続されたとき、電場が生じ、レドックス反応が作用電極40において行われるようにすることができる。従って、重合プロセスが体積部28の内部で開始され、部材16がポリマー薄膜によって被覆される。

0208

数個の保持デバイスを、数個のステントアセンブリーを同時に被覆するために用いることができる。図22は保持デバイスのカートリッジ50の概略的例示である。カートリッジ50における保持デバイスのそれぞれの原理および操作は、本明細書中上記でさらに詳述されたように、デバイス10の原理および操作に類似する。カートリッジ50は、数個の保持デバイスを一緒に処置浴に入れるために役立つ。図2の例示された形態において、カートリッジ50は10個のデバイスを保持するが、このことは必ずしも当てはまる必要はなく、任意の数の保持デバイスをカートリッジ50の本体52に取り付けることができる。カートリッジ50の本体は、好ましくは、本明細書中下記でさらに詳述されるように、カートリッジ50を処置浴に入れる運搬装置に取り付けられるように設計されている。

0209

次に図23を参照する。図23は、本発明の好ましい実施形態に従って1個または複数個のステントアセンブリーを被覆するためのシステム60の概略的例示である。システム60は、好ましくは、稼動可能な配置で、1つまたは複数の保持デバイス(例えば、デバイス10)を含む。数個の保持デバイスが使用されるとき、これらのデバイスは、好ましくは、カートリッジ(例えば、カートリッジ50)に取り付けられる。

0210

システム60はさらに、運搬装置62と、運搬装置62に沿って配置された多数の処理浴とを含む。図23に示される代表的な一例において、システム60は、64、65、66、67および68として示される5つの処理浴を含む。従って、例えば、浴64を、ステントアセンブリーを均一かつ接着性の被覆に調製するようにステントアセンブリーが化学的処理および機械的処理に供される前処理浴として使用することができる。浴65を洗浄のために使用することができ、浴66を電気化学的重合のために使用することができ、浴67を清浄化のために使用することができ、浴68を薬物負荷のために使用することができる。他の浴または処理域もまた意図される。

0211

運搬装置62は、デバイスがそれぞれの処理浴の内部に所定の順序で置かれるように保持デバイスを運搬する。従って、例えば、図23の例示された実施形態では、運搬装置62はデバイスを最初に浴64に入れ、次いで浴65に入れ、次いで次の浴に入れる。加えて、運搬装置62は、デバイスがそれぞれの浴において費やす期間を制御する。これは、デバイスをそれぞれの浴から所定の期間の後で引き出し、並んでいる次の浴に入れるように運搬装置62を設計することによって達成することができる。運搬装置62は、好ましくは、デバイスを処理前に浴に入れ、そして、デバイスを処理後に引き出すためのレバー72または任意の他の機構とともに製造される。

0212

本発明の好ましい実施形態によれば、電気化学的重合浴は、底部70に取り付けられた電極構造体(例えば、対向電極32および作用電極40)を含み、従って、下部の電気化学的重合ユニットを形成する。電極構造体は、好ましくは、隔離材74(図1もまた参照のこと)から突き出ており、電源(示さず)に接続される。操作において、運搬装置62は保持デバイスを電極構造体に取り付け、その後、電極構造体はデバイスの一方の面と係合する。システム60はまた、隔離材78から突き出ることが好ましい、1つまたは複数の電極構造体(例えば、参照電極構造体31)を運ぶアーム76を含むことができる。従って、アーム76および電極31は上部の電気化学的重合ユニットを形成する。

0213

保持デバイスが電極32および/または電極40に取り付けられると、アーム76は電極31を保持デバイスの反対側(この実施形態では上部)と係合させる。電極と電気的に連結すると、保持デバイス内のステントアセンブリーを、この分野では知られているような電気化学的重合に供することができる。

0214

本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。

0215

上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。

0216

材料および実験方法
材料:
デカン酸(DA、99+%)、ミリスチン酸(MA、99.5%)、ステアリン酸(SA、99+%)、トリブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBATFB、99%)、ヘキサアミンルテニウム(III)トリクロリド(Ru(NH3)6Cl3、98%)、NaNO3(99.9%)およびNaCl(99.5%)をAldrichから購入した。アセトニトリル(ACN、>99.8%)をJ.T Bakerから得た。パルミチン酸(PA、99%)をBDH Technologies(英国)から得た。ピロール(99%)をSigma−Aldrichから得て、使用前にアルミナカラムクロマトグラフィーによって新たに精製した。カラムクロマトグラフィー用のアルミナおよびシリカゲルをMerck(ドイツ)から購入した。有機シランをSigma−AldrichおよびMerckから購入した。

0217

316Lステンレス鋼板およびロッド(これらはまた、本明細書中ではまとめて電極として示される)をMashaf Co.(Jerusalem、イスラエル)から購入した。ステンレス鋼板(9×40mm)を赤外分光法および接触角測定のために使用し、一方、ロッドを電気化学的測定のために適用した。ステンレス鋼製ロッド(3mmの直径)を、電極表面として役立った円板部のみを露出させるTeflon製シースにはめ込んだ。

0218

器具
電気化学:電気化学的測定を、単区画3電極のガラス製セルを使用して、AUTOLABPGTAT10ポテンシオスタット(EcoChemie、Utrecht、オランダ)およびBAS−100B/W電気化学アナライザー(Bioanalytical Systems、Lafayette、IN)を用いて行った。参照電極は、水溶液が用いられたときの飽和Hg|Hg2SO4|K2SO4(飽和)電極、または、有機媒体で使用されたAg|AgBrワイヤのいずれかであった。後者はフェロセンフェロセニウム(Fc/Fc+)に対して0.448Vの電位を有する[26]。直径6mmのグラファイトロッド補助電極として使用した。

0219

IRスペクトルフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを、2cm−1の分解能で、窒素冷却のMCT検出器を備えるEquinox55(Bruker)分光計を使用して記録した。通常、サンプルの1500回の走査を、裸のステンレス鋼表面である参照物に対して集めた。

0220

接触角:接触角を、Rame−Hartモデル100接触角ゴニオメーターを使用して測定した。前進接触角および後退接触角を、一定量の脱イオン化水を液滴に加え、また、液滴から抜き取ることによってそれぞれ求めた。この測定を各サンプルについて3回繰り返した。平均値が報告される。

0221

XPS測定:X線光電子スペクトル(XPS)を、Axis Ultra分光計(Kratos)および1486.71eVのMgKα線を使用して記録した。データを集め、画像処理プログラムによって分析した。

0222

EM測定:非修飾電極および修飾電極の表面モルフォロジーを、shottky型電場放射源を備えたシリオ走査顕微鏡(FEICompany、オランダ)を10kVの加速電圧で使用する高分解能走査電子顕微鏡(HR SEM)によって測定した。サンプルを、分析に供する前にアセトニトリルにより洗浄し、室温で乾燥した。

0223

すべての水溶液は脱イオン水(Mili−Q、Milipore)から調製された。

0224

実験方法:
脂肪酸によるステンレス鋼表面の修飾:ステンレス鋼製ロッドを最初に、240番、600番および2000番のエメリー研磨紙(Buehler)で研磨し、その後、ミクロクロス研磨パッドでのアルミナペースト(1μmおよび0.05μm)によって仕上げ研磨した。ステンレス鋼板は、供給者から研磨された状態で受け取り、2000番のエメリー研磨紙で処理しただけであった。その後、修飾に先立って、電極をアセトニトリルにより洗浄し、アセトニトリル中で超音波処理し(約15分間)、室温で窒素流のもとで乾燥した。清浄な電極を、0.1mMの長鎖カルボン酸(DA、MA、PAまたはSA)および0.1MのTBATFBをアセトニトリルに含有する脱気された修飾溶液に室温で浸漬した。典型的には、Ag|AgBrに対して−0.8Vから1.2Vまでの10サイクルの電位掃引を(別途示されない場合には)加えた。修飾された表面を純アセトニトリルにより洗浄し、穏やかな窒素流により乾燥した。

0225

Ag|AgBr参照電極を、研磨された銀線電極の電位を50%HBr溶液においてAg|AgClに対して−0.3Vから1Vまで、10mV・sec−2の走査速度で掃引することによって調製した。電位を1Vで2分間保持し、その後、電位をかけたまま、電極を溶液から取り出し、水により洗浄し、風乾した。得られたAg|AgBrワイヤの電位をFc/Fc+[26]に対して頻繁に調べた。グラファイトロッドを補助電極として使用した。

0226

同様な手順を使用して、ステンレス鋼表面を様々な置換基により置換された下記の脂肪酸によって電気化学的に修飾した:12−アミノドデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、10−ヒドロキシデカン酸およびデカン二酸。代表的な一例において、修飾溶液は、10mlのACNにおける0.1MのTBATFB、1MのHClO4溶液の50μL、および、1mMの12−アミノドデカン酸を含有した。HClO4を、修飾溶液における脂肪酸の溶解性を増大させるために加えた。溶液を、修飾プロセスが行われる前の約10分間、窒素流のもとで脱気した。

0227

316Lステンレス鋼板を、2000番のエメリー研磨紙(Buehler)を使用して修飾前にさらに研磨し、本明細書中上記で記載されたように前処理し、修飾溶液に浸漬した。Ag|AgBr対して−0.8V〜1.25Vの間での電位掃引を100mV・sec−1の走査速度で典型的には加えた(別途言及されない限り5サイクル)。修飾された表面を純ACNにより洗浄し、穏やかな窒素流により乾燥した。

0228

静電容量:二重層静電容量Cdlを0.1MのNaNO3の10mlの脱気水溶液において測定した。電極を10分間平衡化させ、その後、7mV(ピーク〜ピーク)および320Hzのac電圧を、dc電位(Hg|Hg2SO4|K2SO4(飽和)に対して0〜0.3V)に重ねた。ac電流実数部および虚数部を、周波数アナライザー(FRA)を備えたEcoChemieポテンシオスタットを使用して検出した。すべての測定を室温(21±2℃)で行った。

0229

電解重合:ピロールまたはその誘導体の電解重合を、0.1Mの蒸留ピロールモノマーおよび0.1Mのテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBATFB)をアセトニトリルに含有する重合溶液に浸漬された、作用電極としてのステンレス鋼板(40×9mm2)のサイクリックボルタンメトリー(CV)を使用して行った。Ag|AgBrを参照電極として使用し、その一方で、グラファイト電極を補助電極として使用した。

0230

電解重合を、裸のステンレス鋼電極、または、本明細書中上記で記載されたように長鎖カルボン酸で前処理されたステンレス鋼電極を使用して行った。あるいは、電解重合を、0.1mMの長鎖カルボン酸をさらに含有する上記で記載されたような重合溶液を使用して行った。

0231

接着性測定:ステンレス鋼板へのポリマー薄膜の接着を、D−3359−02のASTM基準(試験方法B)に従った碁盤目テープ試験を使用して推定した。薄膜被覆を小さい正方形(それぞれが約5×5mm2)に切り、テープ(Permacel99、Permacel、New−Jersey)を被覆に張り付け、その後、剥がした。ステンレス鋼板に残っている接着性薄膜正方形の数と、正方形の総数との比率を、接着係数として求めた。

0232

ステンレス鋼表面に対するナノ粒子の結合:PLAナノ粒子を含有する10mMのACN懸濁物に0.1MのTBATFBにおけるPLAナノ粒子の懸濁物を含有する修飾溶液を超音波処理し、窒素流のもとで約10分間脱気した。316Lステンレス鋼板を上記で記載されたように処理して、修飾溶液に入れ、Ag|AgBrに対して−0.8V〜1.25Vの間での電位掃引を100mV・sec−1の走査速度で典型的には加えた(別途言及されない限り、10サイクル)。修飾された表面を純ACNにより洗浄し、穏やかな窒素流により乾燥した。

0233

あるいは、9mlの純H2Oおよび約1mlのポリ(ラクチド−co−グリコリド)粒子懸濁物における0.1MのOxAと、0.01Mのピロールモノマーとを含有する修飾溶液を調製した。溶液を、修飾プロセスが行われる前の約10分間、窒素流のもとで脱気した。

0234

316Lステンレス鋼板を本明細書中上記で記載されたように前処理し、Hg|Hg2SO4|K2SO4(飽和)に対して−0.8V〜約1.3Vの間での電位掃引を100mV・sec−1の走査速度で典型的には加えた(別途言及されない限り、10サイクル)。修飾された表面を純H2Oにより洗浄し、穏やかな窒素流により乾燥した。

0235

実験結果
(実施例1)
ステンレス鋼表面における脂肪酸の自己集合単層の電気化学的誘導による形成および特徴づけ
電気化学的測定:
反応性金属(例えば、ステンレス鋼など)における自己集合単層(SAM)の形成は、両親媒性成分と自然酸化物層との間での相互作用によって典型的には影響される重要なプロセスであると見なされる。後者は、疎水性分子に対する表面の接着特性に著しい影響を与える。ステンレス鋼表面でのSAMの形成は、SAMの遠位側末端に接着することができる有機生体適合性物質の増大した表面接着をもたらすので非常に好都合である。そのような物質を結合させるための1つの注目される方法が電解重合によるものである。従って、酸化物層についての最も重要な要件の1つは、その中を通り抜ける電子移動を可能にするその制御された厚さである。様々な方法が、化学的処理、熱処理および電気化学的酸化を含めて、制御された酸化物層を成長させるためにこの分野では記載されている[27〜31]。金表面が自己集合プロセス前に酸化されたが、電位制御下でのSAMの形成もまた記載されている[32〜34]。

0236

今回、驚くべきことに、316Lステンレス鋼における長鎖カルボン酸の十分に整列したSAMの形成が、上記の方法の節において一般的に記載されるように、酸含有溶液の存在下で表面の電位を掃引することによって効率的に行われることが見出された。

0237

0.1mMのデカン酸を含有するアセトニトリル(ACN)溶液におけるステンレス鋼電極のサイクリックボルタンメトリー(CV)を図1に示す。図1には、最初の2サイクルが示されており、この場合、陽極の不可逆波が最初の走査においてだけ明瞭に観測される。類似する電気化学的挙動が酸の非存在下で見られる。このことは、陽極波が表面の酸化から生じていることを示唆する。その後のサイクルは2回目の走査と重なったことには留意しなければならない。さらに、酸化波が、乾燥ACNが使用されたときには検出されなかった。

0238

本明細書中上記で記載されたようにデカン酸で処理された電極の水接触角を、酸の非存在下でサイクル処理されたステンレス鋼表面の水接触角、および、酸含有溶液に浸された非サイクル処理ステンレス鋼表面(裸として示される)の水接触角と比較した。得られたデータを表1に示す。興味深いことに、デカン酸で処理された電極の水接触角は、酸の非存在下でステンレス鋼電極をサイクル処理した場合よりも著しく大きいことが見出された。同時に、サイクル処理されないが、修飾溶液に浸漬された電極の接触角は顕著に変化しなかった。

0239

表1においてさらに示されるように、Ag|AgBrに対して−0.8Vから1.2Vの間で10サイクルにわたって電極を処理することによって得られたデカン酸SAMの接触角は、87°であった。鎖長を増大することにより、ほとんど下地にかかわらず、より高度に整列したSAMが生じることが知られているので[20〜25]、その長さが異なる様々な脂肪酸から作製されたSAMの前進接触角および後退接触角が測定されている。従って、デカン酸(C10)、ミリスチン酸(C14)およびパルミチン酸(C16)のSAMが、同じ条件のもとでステンレス鋼電極において形成された。表1に示されるように、前進接触角が増大することにおける明らかな傾向が観測された。このことはSM充填の高まりを示している。ミリスチン酸SAMおよびパルミチン酸SAMについての前進接触角の値は、n−アルキル鎖の高密度充填アレイについて典型的であり、匹敵する構造について以前に報告された値と一致している[16、20、23および25]。

0240

得られたデータはさらに、接触角が、行われた電位走査回数によってもまた影響されることを示していた。表1に示されるように、接触角が、パルミチン酸の存在下でステンレス鋼表面をサイクル処理したときには109°にまで増大した。10サイクルを超えて電位をサイクル処理したとき、接触角のさらなる増大は観測されなかった。このことは、層がその最終的な組成に達したことを示唆している。ステンレス鋼電極が酸の非存在下でサイクル処理されたコントロール実験では、59°の接触角をもたらした。これは、おそらくは、酸化物層の形成に起因すると考えられる。明らかに、酸の非存在下で形成された酸化物層は、有機単層を組み立てる途中で形成された層よりも厚い。この点については、これらの系における二重層静電容量および電子移動速度に関して下記でさらに論じられる。

0241

アルカンチオールおよびアルキルアミンを使用したステンレス鋼におけるSAMの接触角データが以前に研究されており、ヘキサデカンアミンおよびヘキサデカンチオールについてそれぞれ104°および105°であることが見出されていた[5]。

0242

薄膜の整列化が増大するとき、ヒステリシスが低下することが知られているので、SAMの整列化を薄膜のヒステリシスによってさらに評価することができる。表1に示されるように、ヒステリシスの低下した値が、より整列したパルミチン酸処理の表面について観測された。従って、このことは、予想された結果に従う一致した傾向を示している。

0243

レドックスプローブの存在下での電気化学的測定:
ステンレス鋼表面における薄い薄膜の形成をレドックスカップルの存在下での修飾電極のサイクリックボルタンメトリーによってさらに評価し、表した。Ru(NH3)63+をレドックスプローブとして選択し、評価を、上記で記載されたように0.1mMのパルミチン酸を含有するACN溶液においてステンレス鋼電極を最初に修飾し、その後、修飾電極を、レドックスプローブを含有する水溶液に移すことによって行った。Ru(NH3)63+のCVに対する電位サイクルの回数の影響が図2に示され、結果は、Ru(NH3)63+の還元波および酸化波が、サイクル数が増大するにつれて低下し、それにより、10サイクル後では、Ru(NH3)63+の完全の阻止が得られることを明瞭に示している。図2においてさらに示されるように、ステンレス鋼電極が酸非含有ACN溶液で10サイクルにわたって掃引されたコントロール実験(裸として示される)では、サイクル数は酸化波のみに影響を与えただけであり、それにもかかわらず、本明細書中下記でさらに議論されるように、電気化学的可逆性には影響を及ぼさなかった。これらの結果は、阻止が、酸化物の成長によるのではなく、電位によって誘導される酸SAMの付着のためであることを明瞭に示している。

0244

デカン酸、ミリスチン酸およびパルミチン酸により修飾されたステンレス鋼電極の阻止特性が、水溶液においてRu(NH3)63+を使用して、酸非含有アセトニトリル溶液において掃引された裸の電極(コントロール)と比較して下記の表2および図3に示される。得られたデータは、デカン酸の薄膜が結合している電極では、コントロールの裸のステンレス鋼電極と比較して、還元ピーク電位がわずかに63mV負側でしかなく、その電流がわずかに33%しか低下しなかったことを示している。レドックスに対するデカン酸薄膜のこの比較的低い影響は驚くほどのことではない。これは、この分野では知られているように、密に充填された自己集合単層は典型的には、鎖長がC11以上のときに形成されるからである[20〜21]。ミリスチン酸により修飾された電極では、コントロールのステンレス鋼電極と比較して、ピーク電位が175mVほど負側の電位に変化し、電流が66%低下し、これに対して、パルミチン酸により修飾された電極はほぼ完全な阻止を示した。

0245

Ru(NH3)63+を使用する電子移動の速度論を、裸のステンレス鋼電極、および、デカン酸により修飾された電極を比較することによってさらに調べた。得られたデータを図4および図5に示す。図4は、非修飾(裸)のステンレス鋼電極を使用するRu(NH3)63+のボルタンメトリー挙動に対する研磨および電気化学的サイクル処理の影響を示しており、研磨されたばかりの電極が、160mVの電位ピーク差および1に近い還元・酸化電流比を伴う準可逆的挙動を示すことを明らかにしている。他方で、新しく研磨され、かつ、電気化学的にサイクル処理された修飾電極のCVは、酸化波がほとんどない化学的に不可逆的な挙動を示している。類似するCV挙動が、周囲条件下で1日間放置された研磨電極を用いてもまた観測された(図4)。このことは、酸化物層の形成がRu(NH3)63+の酸化に対して顕著な影響を有することを示している。

0246

図5a〜図5bは、デカン酸修飾の電極を使用するRu(NH3)63+のCVに対する走査速度の影響を示す。測定を、IR補償を使用して行った。図5aに示されるように、陰極ピーク電流と走査速度の平方根との間での直線的依存性が得られた。このことは、レドックス化学種の還元が拡散支配であることを示している。

0247

さらに、速度論的パラメーター、すなわち、移動係数(α)および標準不均一速度定数(k0)を、下記の式1(式中、Ec,pは陰極ピーク電位であり、E0’、R、TおよびFはこれらの通常の意味を有する)に従って走査速度vの対数の関数としてピーク電位をプロットすることによって求めた[35]:

0248

図5bに示されるように、直線的依存性が実際に得られ、これにより、α(0.3)およびk0monolayer(1.6・10−3cm・sec−1)を傾きおよび切片からそれぞれ得ることができる。

0249

同じ実験およびデータ処理を、酸の非存在下での電気化学的サイクル処理(2サイクルおよび10サイクル)に供された電極に関して行った。この場合、移動係数は両方の場合において約0.5であり、k0bareは2サイクルおよび10サイクルについてそれぞれ約4.0・10−3cm・sec−1および2.3・10−3cm・sec−1であった。電位走査の回数を増大させたときの電子移動速度の低下は、明らかに、酸化物層が厚くなったためである。

0250

Amatoreの方法[38]に従って、θ(これは被覆率である)を、裸の電極および修飾電極の不均一速度定数を比較することによって導くことができる(式2)。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ