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技術 自動注湯制御方法、自動注湯装置のサーボモータの制御システムおよび取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体

出願人 新東工業株式会社国立大学法人豊橋技術科学大学
発明者 野田善之寺嶋一彦三好孝典太田和弘鈴木薪雄
出願日 2007年9月17日 (13年3ヶ月経過) 出願番号 2007-240321
公開日 2008年12月4日 (12年0ヶ月経過) 公開番号 2008-290148
状態 特許登録済
技術分野 鋳造用とりべ
主要キーワード 記憶演算装置 傾動角度θ FF制御器 重心変動 仮想回転軸 面積変化量 ゲインスケジュール 重量計測器
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年12月4日)のものです。
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図面 (15)

課題

コンピュータにより、熟練作業者による注湯作業に可及的に近づけることが可能な、取鍋傾動による自動注湯の制御方法を提供する。

解決手段

注湯プロセスを遂行するプログラムで制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて鋳型に注湯するに当たり、所望の注湯流量パターンによって鋳型に注湯すべくサーボモータを制御する方法であって、サーボモータに印加する入力電圧から取鍋による注湯流量までの数理モデル逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量とサーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定し、この注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールPI制御器で処理し、これにより、サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、この獲得した入力電圧に基づきサーボモータを制御することを特徴とする。

概要

背景

鋳造工場における注湯のように極めて危険でかつ最悪の作業から労働者解放すべく、注湯プロセスの機械化・自動化が、近年行われるようになってきている。そして、従来、このための装置としては、取鍋と、取鍋を駆動する駆動手段と、取鍋の重量を検出する検出手段と、予め取鍋が傾動されたときの取鍋内の重量の変動割合を記憶しておき、前記検出手段からの信号に対応して取鍋の傾動速度補正し、前記駆動手段に補正後の傾動速度信号を送信する記憶演算装置とを具備したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平6-7919号

概要

コンピュータにより、熟練作業者による注湯作業に可及的に近づけることが可能な、取鍋の傾動による自動注湯の制御方法を提供する。注湯プロセスを遂行するプログラムで制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて鋳型に注湯するに当たり、所望の注湯流量パターンによって鋳型に注湯すべくサーボモータを制御する方法であって、サーボモータに印加する入力電圧から取鍋による注湯流量までの数理モデル逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量とサーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定し、この注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールPI制御器で処理し、これにより、サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、この獲得した入力電圧に基づきサーボモータを制御することを特徴とする。

目的

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、予めプログラムを設定されたコンピュータにより、熟練作業者による注湯作業に可及的に近づけることが可能な、取鍋の傾動による自動注湯の制御方法、自動注湯装置のサーボモータの制御システムおよび取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
1件

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請求項1

注湯プロセスを遂行するプログラムを予め設定したコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋傾動させて鋳型に注湯するに当たり、前記取鍋による所望の注湯流量パターンによって鋳型に注湯すべく前記サーボモータを制御する方法であって、前記サーボモータに印加する入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定し、この注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールPI制御器で処理し、これにより、前記サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、この獲得した入力電圧に基づき前記サーボモータを制御することを特徴とする自動注制御方法

請求項2

請求項1に記載の自動注湯制御方法において、前記注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理したのち、前記サーボモータに印加する入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、目標注湯流量をFF制御器で処理し、ゲインスケジュールドPI制御器で処理した結果とFF制御器で処理した結果を足し合わせることにより、前記サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、この獲得した入力電圧に基づき前記サーボモータを制御することを特徴とする自動注湯制御方法。

請求項3

請求項1または2に記載の自動注湯制御方法において、前記取鍋の傾動中に溶湯金属を含めた取鍋の重心が変動し、その重力方向の加速度が前記重量計測器の計測データに重畳される問題に対して、重心変動による加速度を打ち消し、重量計測器の計測データから重心変動の影響を取り除いて溶湯金属の鋳込み重量を計測することを特徴とする自動注湯制御方法。

請求項4

請求項1または2に記載の自動注湯制御方法において、前記サーボモータへの入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属の鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて、前記取鍋から流出する単位時間あたりの溶湯金属の重量を実時間で推定することを特徴とする自動注湯制御方法。

請求項5

請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の自動注湯制御方法において、前記取鍋は、円筒形状のもの、または扇形のものであることを特徴とする自動注湯制御方法。

請求項6

注湯プロセスを遂行するプログラムを予め設定したコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて鋳型に注湯するに当たり、前記取鍋による所望の注湯流量パターンによって鋳型に注湯すべく前記サーボモータを制御するシステムであって、前記サーボモータへの入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成する数理モデル作成手段と、作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属の鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定する注湯流量推定手段と、この注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理するゲインスケジュールドPI制御器処理手段と、を含むことを特徴とする自動注湯装置のサーボモータの制御システム。

請求項7

注湯プロセスを遂行するプログラムを予め設定したコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて鋳型に注湯するに当たり、前記取鍋による所望の注湯流量パターンによって鋳型に注湯すべく前記サーボモータを制御するための制御プログラムを記憶した記憶媒体であって、前記サーボモータに印加する入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属の鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定し、この注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理し、これにより、前記サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、この獲得した入力電圧に基づき前記サーボモータを制御することを特徴とする取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体。

請求項8

請求項7に記載の取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体において、注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理したのち、前記サーボモータに印加する入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、目標注湯流量をFF制御器で処理し、ゲインスケジュールドPI制御器で処理した結果とFF制御器で処理した結果を足し合わせることにより、前記サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、この獲得した入力電圧に基づき前記サーボモータを制御することを特徴とする取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体。

技術分野

0001

本発明は、自動注制御方法、自動注湯装置サーボモータの制御システムおよび取鍋傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体係り、より詳しくは、注湯プロセスを遂行するために予めプログラムを設定されたコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて鋳型溶湯注入するに当たり、所望の注湯流量パターンによって溶湯を鋳型に注入すべく前記サーボモータを制御する方法、自動注湯装置のサーボモータの制御システムおよび取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体に関する。

背景技術

0002

鋳造工場における注湯のように極めて危険でかつ最悪の作業から労働者解放すべく、注湯プロセスの機械化・自動化が、近年行われるようになってきている。そして、従来、このための装置としては、取鍋と、取鍋を駆動する駆動手段と、取鍋の重量を検出する検出手段と、予め取鍋が傾動されたときの取鍋内の重量の変動割合を記憶しておき、前記検出手段からの信号に対応して取鍋の傾動速度補正し、前記駆動手段に補正後の傾動速度信号を送信する記憶演算装置とを具備したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平6-7919号

発明が解決しようとする課題

0003

しかし、このように構成された従来の自動注湯装置においては、駆動手段等に係る情報の記憶演算装置への入力が、現実的にはティーチングプレイバック方式により行われているため、不適切な取鍋傾動速度や注湯状況の変化に対応できず、この結果、鋳型に注入される溶湯が流量不足になったり、注湯時にほこり・のろなどの不純物が鋳型内に飲み込まれたりして、鋳物品質低下を招くなどの問題があった。

0004

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、予めプログラムを設定されたコンピュータにより、熟練作業者による注湯作業に可及的に近づけることが可能な、取鍋の傾動による自動注湯の制御方法、自動注湯装置のサーボモータの制御システムおよび取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

上記の目的を達成するため、本発明における自動注湯制御方法は、注湯プロセスを遂行するプログラムを予め設定したコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて鋳型に注湯するに当たり、前記取鍋による所望の注湯流量パターンによって鋳型に注湯すべく前記サーボモータを制御する方法であって、前記サーボモータに印加する入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定し、この注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールPI制御器で処理し、これにより、前記サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、この獲得した入力電圧に基づき前記サーボモータを制御することを特徴とする。

0006

なお、本発明に利用する数理モデル法とは、プロセスの熱収支物質収支化学反応制限条件などの式を解いて、利益・コストなどコンピュータ制御の目的とする関数をだし、その最大・最小を求めてそれが達成できるように制御を行う方法である。
またなお、取鍋は重心付近で支持してある。

発明の効果

0007

上記の説明から明らかなように本発明によれば、プログラムを予め設定されたコンピュータにより、熟練作業者による注湯作業に可及的に近づけた状態で取鍋によって自動注湯を行うことが可能になるうえに、注湯流量を推定してフィードバックするため,目標注湯流量が変動する場合や,注湯工程で外乱要素が存在する場合においても所望の注湯流量を精度良く実現できるなどの優れた実用的効果を奏する。

発明の実施の形態

0008

以下、本発明を適用した自動注湯装置の実施例について図1図14に基づき詳細に説明する。図1に示すように、本自動注湯装置は、円筒形状の取鍋1と、この取鍋1を傾動させるサーボモータ2と、サーボモータの出力軸回転運動直線運動に変換する2組のボールねじ機構3・4により前記取鍋1および前記サーボモータ2を垂直方向および水平方へそれぞれ移動させる移動手段5と、前記取鍋1内の溶湯の重量を検出するロードセル(図示せず)と、コンピュータを利用して前記サーボモータ2および前記2組のボールねじ機構3・4の動作を演算しかつ制御するコントロールシステム6と、で構成してある。

0009

そして、前記取鍋1は、これの重心位置に前記サーボモータ2の出力軸を連結させてその重心位置で傾動可能に支持してあって、重心位置を中心にして鋳型の湯口に対して傾動・反傾動するようになっている。
なお、重心位置を中心にして傾動するようにすることにより、前記サーボモータ2にかかる負荷が大きくなることを防ぐことができる。

0010

また、前記移動手段5は、鋳型の湯口に正確に注湯すべく前記取鍋1を傾動に連動させて前後移動および昇降させ、その出湯口先端仮想回転軸として固定出湯点を得ることができるよう作動する。

0011

このように構成したものは、サーボモータ2に印加する入力電圧による取鍋1の傾動と、取鍋1の傾動によって取鍋1から流出する溶湯の流量に関する数理モデルを作成し、この作成した数理モデルの逆問題を解くことにより前記サーボモータ2に印加する入力電圧を獲得し、かつ、重量計測器としてのロードセルによって計測される鋳込み重量から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定し、この推定した注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理して前記サーボモータ2に印加する入力電圧を獲得し、この獲得した入力電圧に基づきコントロールシステム6を介して取鍋1の傾動を制御する。

0012

すなわち、取鍋1の注湯時の縦断面図である図2において、取鍋1の傾動角度をθ[deg]、取鍋1の傾動中心である出湯口より下部の溶湯体積(濃い網掛け部)をVs(θ)[m3]、出湯口に対する水平面の面積(濃い網掛け部と薄い網掛け部の境界上の面積)をA(θ)[m2]、出湯口より上部の溶湯体積(薄い網掛け部)をVr[m3]、上部溶湯の高さをh[m]、取鍋1から流出する溶湯の流量をq[m3/s]とすると、注湯時における時刻t[s]からΔt[s]後の取鍋内溶湯の収支式は下記の式(1)のようになる。
Vr(t)+Vs(θ(t))
=Vr(t+Δt)+Vs(θ(t+Δt))+q(t)Δt (1)

0013

式(1)を溶湯体積Vr[m3]についてまとめ、Δt→0とすると下記の式(2)となる。

0014

0015

また、取鍋1の傾動角速度ω[deg/s]を下記の式(3)とする。
ω(t)=dθ(t)/dt (3)
よって、式(3)を式(2)に代入すると、下記の式(4)が得られる。

0016

0017

また、出湯口より上部の溶湯体積Vr[m3]は下記の式(5)で表すことができる。

0018

ここで、面積As[m2]は、図3に示す出湯口水平面からの高さhs[m]における溶湯水平面積を示す。

0019

また、面積As[m2]を出湯口水平面の面積A[m2]と面積A[m2]に対する面積変化量ΔAs[m2]に分割すると、溶湯体積Vr[m3]は下記の式(6)となる。

0020

0021

また、取鍋1を含む一般的な取鍋においては、面積変化量ΔAs[m2]は出湯口水平面の面積A[m2]に対して微小であるから、下記の式(7)が得られる。

0022

したがって、式(6)は下記の式(8)と示すことができる。
Vr(t)≒A(θ(t))h(t) (8)
よって、式(8)より下記の式(9)が得られる。
h(t)≒Vr(t)/A(θ(t)) (9)

0023

また、ベルヌーイの定理を用いて、出湯口より上部の溶湯高さh[m]から溶湯流量q[m3/s]までを下記の式(10)で示す。

0024

ここで、hb[m]は図4に示すように取鍋1内の溶湯の上面からの溶湯深さ、Lf[m]は溶湯深さhb[m]における出湯口の幅、cは流量係数、gは重力加速度をそれぞれ示す。

0025

また、式(4)、式(9)および式(10)より注湯流量モデル基礎式は下記の式(11)および式(12)となる。

0026

0027

0028

また、出湯口に対する水平面の面積A(θ)[m2]は取鍋1の傾動角度θ[deg]に対して変動する。したがって、式(11)および式(12)の注湯流量モデルは、システム行列入力行列および出力行列が取鍋1の傾動角度に依存して変動する非線形パラメータ変動モデルとなる。

0029

図5は本自動注湯装置の第1実施例における注湯プロセスのブロック線図を示し、図5において、モータモデルは下記の式(16)の1次遅れ系で示される。
dω(t)/dt=−ω(t)/Tm+Kmu(t)/Tm (16)
ここで、Tm[s]は時定数、Km[deg/sV]はゲイン定数をそれぞれ示す。本自動注湯装置ではTm=0.006[s]、Km=24.58[deg/sV]である。

0030

また、ロードセルの動特性を考慮してロードセルPLを下記の式(17)で示す。
dwL/dt=−wL(t)/TL+w(t)/TL (17)
ここで、w[Kg]は取鍋1から流出した液体の流出重量、wL[Kg]はロードセルで計測される計測重量、TL[s]はロードセルの応答遅れを示す時定数である。本自動注湯装置ではステップ応答法により時定数を同定した結果、TL=0.10[s]となった。

0031

式(11)および式(12)に示す注湯流量モデルにおいて、図6は取鍋1の各傾動角度θ[deg]に対する出湯口面積水平A(θ)[m2]と出湯口下部の溶湯(液体)体積Vs(θ)[m3]を示す。図6において、(a)は取鍋1の傾動角度θ[deg]に対する出湯口面積水平A(θ)[m2]、(b)は取鍋1の傾動角度θ[deg]に対する出湯口下部の溶湯(液体)体積Vs(θ)[m3]を示す。

0032

次に、上述のようにして求めた注湯流量モデルを用いて、逆モデルによる注湯流量フィードフォワード制御構築する。
なお、フィードフォワード制御とは、制御対象に加える操作量を予め決められた値に調節することにより、出力が目標値になるようにする制御法であって、制御対象の入出力関係外乱の影響などが明確な場合には性能の良い制御を行うことができる。

0033

図7は、所望の注湯流量パターンqref[m3/s]を実現するためサーボモータ2へ印加する制御入力u[V]を導出するシステムにおける制御系のブロック線図を示す。ここで、サーボモータ2の逆モデルPm-1は下記の式(18)により示される。

0034

0035

式(11)および式(12)に示す注湯流量モデルの基礎式に対する逆モデルを導出する。ベルヌーイの定理である式(10)より出湯口上部の溶湯高さh[m]に対する注湯流量q[m3/s]を求めることができる。取鍋1の形状から考えられる出湯口上部の最大溶湯高さhmax[m]をn分割したときの分割幅をΔh[m]とし、各々の溶湯高さをhi=iΔh(i=0、…n)で示す。したがって、溶湯高さh=[h0h1…hn]Tに対する注湯流量q=[q0q1…qn]Tを下記の式(19)に示す。
q=f(h) (19)
ここで、関数f(h)は式(10)に示すベルヌーイの定理である。したがって、式(19)の逆関数は下記の式(20)となる。
h=f−1(q) (20)

0036

この式(20)は式(19)をLookup Tableで表現し、入出力関係を逆にすることで表すことができる。
ここで、分割間隔qi→qi+1、hi→hi+1は線形補間により近似する。分割幅が小さいほど、高精度に注湯流量q[m3/s]と出湯口上部の溶湯高さh[m]の関係を表現できる。実装可能な範囲で分割幅を小さくすることが望まれる。

0037

所望の注湯流量パターンqref[m3/s]を実現する出湯口上部の溶湯高さhref[m]は式(20)より下記の式(21)となる。
href(t)=f−1(qref(t)) (21)

0038

また、出湯口上部の溶湯高さhref[m]における出湯口上部の溶湯体積Vref[m3]は、式(9)を用い下記の式(22)で示す。
Vref(t)=A((θ(t))href(t) (22)

0039

次に、式(22)で得られた出湯口上部の溶湯体積Vref[m3]と所望の注湯流量パターンqref[m3/s]を、式(11)の注湯流量モデルの基礎式に代入して、下記の式(23)に示す所望の注湯流量パターンを実現する取鍋1の傾動角速度ωref[deg/s]を導出する。

0040

0041

まず、式(19)から式(23)を順に解き、得られた取鍋1の傾動角速度ωref[deg/s]を式(18)に代入することにより、所望の注湯流量パターンqref[m3/s]を実現すべくサーボモータ2へ印加する制御入力u[V]を得ることができる。

0042

式(22)より得られた出湯口上部の溶湯体積Vref[m3]と所望の注湯流量パターンqref[m3/s]を式(23)に代入すると、所望の注湯流量パターンを実現する取鍋1の傾動角速度ωref[deg/s]が得られる。そして、得られた取鍋1の傾動角速度ωref[deg/s]を、式(18)のサーボモータ2の逆モデルに代入すると、サーボモータ2へ印加する制御入力u[V]を得ることができる。

0043

式(11)、式(12)および式(17)に示す取鍋傾動式注湯装置の注湯プロセスに対して、図5は、注湯流量数理モデルの逆モデルによる注湯流量フィードフォワード制御と、ゲインスケジュールドPI制御による注湯流量フィードバック制御併合した2自由度制御システムを示す。
そして,フィードバック部は,ロードセルによって計測される鋳込み重量から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて,注湯流量を推定し,この推定した注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理することで、外乱要素が存在する環境下でも所望の注湯流量パターンに追従させる注湯流量制御システムを構築する。

0044

フィードフォワード部は目標値追従を良好にし、フィードバック部は定常誤差および外乱の影響を除去する役割をもつ。また、(11)、(12)式の注湯流量モデルは、注湯流量に対して非線形特性を持つため,非線形特性にも対応できるよう,フィードバックコントローラに,注湯流量に応じて、比例ゲイン積分ゲインが変動するゲインスケジュールドPI制御系を用いている。

0045

上述の注湯流量2自由度制御システムを、対象液体を水とした取鍋傾動式自動注水装置に適用した際の実験結果を図8に示す。ここで,本実験における外乱要素は,事前に取鍋内液体容量から求めた出湯開始角度より,+2[deg]傾動した際に取鍋内の液体が流出を開始する角度誤差とした。

0046

図8において,破線は目標注水流量パターンであり,実線は,本発明による注湯流量2自由度制御システムにて実験を行った注水流量の結果であり,一点鎖線は,注湯流量フィードフォワード制御の注水流量の結果である。この結果より,注湯流量2自由度制御システムでは,目標注水流量パターンが変動した際にも実際の注水流量が追従でき,また,外乱要素が存在した際にも,精度良く追従できていることが確認された。

0047

次に、本自動注湯装置の第2実施例として、前記取鍋1の傾動時の重心変動に対するロードセル補償法を適用した傾動式自動注湯装置について述べる。上述の第1実施例の傾動式自動注湯装置は,溶湯落下位置を安定化させるために,取鍋1を出湯口中心に回転するように取鍋1を傾動に合わせて上下,前後に動作している。この取鍋1の上下動による取鍋1の重心変動により,上下方向に力が生じ,ロードセルによって計測される鋳込み重量へ影響を与える。これにより,真の鋳込み重量を得ることができなくなる。そこで、本第2実施例の傾動式自動注湯装置では、ロードセルによる計測注湯鋳込み重量を用いて注湯流量推定を行なうが,取鍋1の重心変動によって推定精度が低下する。そこで,高精度推定を可能とするために,取鍋1の重心変動によるロードセルへの影響を除去するロードセル補償法を構築する。図9にロードセル補償法のブロック線図を示す。ここで,GMvは取鍋重力方向動作のモータモデル,GLvは重力方向加速度からロードセルへの影響までを表したロードセルモデルである。

0048

ロードセル補償法で用いるロードセルモデルは式(27)に示すような二次遅れ系,垂直方向のモータモデルは式(26)に示す一次遅れ系のモデルを用いる。Kmz[mV/s]はモータゲイン,Tmzs[s]はモータ時定数,Kl[kgs2/m]はロードセルゲイン,ωnl[rad/s]はロードセル固有振動数ζlはロードセル減衰係数である。ここで,同定実験の結果Kmz=0.0828[m/sV]、Tmz=0.007[s]となった。
GMv(s)=Kmz/(1+Tmzs) (26)
GLv(s)=Klωnls/(s2+2ζlωnl+ω2nl) (27)

0049

また,ロードセルモデルのパラメータは,Kl=0.184,ωnl=0.750,ζl=7.44となった。ロードセル補償法を用いてロードセルにより計測された計測鋳込み重量から,取鍋1の上下動加速度により励起された力の除去したときの結果を図10に示す。実験結果より,シミュレーションの鋳込み重量と補償結果が一致している。したがって,このロードセル補償法を流量推定システムに適用することにより,より高性能な注湯流量推定が可能となる。

0050

次に、注湯流量推定方法について述べる。
拡張カルマンフィルタに基づいた指数減衰型オブザーバについて説明すると、離散時間系の拡張カルマンフィルタ[文献:K.Reif,R.Unbehauen,The Extended Kalman Filteras an Exponential Obserber for Nonlinear Systems,IEEE,Transactions on Signal Processing,Vol.47,No.8,(1999),pp.2324−2328.]を用いて,指数減衰型オブザーバの構築を行なう。以下にアルゴリズムを示す。対象とするシステムを式(28),(29)に示す。
zn+1=f(zn,xn) (28)
yn=h(zn) (29)
ここで,n∈N0は離散時間,zn∈Rq,xn∈Rq,yn∈Rmはそれぞれ,状態変数,入力,出力である。また,関数f,hはC1関数であると仮定する。式(28),(29)により,オブザーバは式(30),(31)となる。ここで,オブザーバゲインKnは時変のq×m行列である。

0051

0052

また,推定された状態量

0053

はそれぞれ,priori estimate,posteriori estimate と呼ばれる。

0054

このとき,オブザーバゲインKnを拡張カルマンフィルタのカルマンゲイン更新アルゴリズムを用いて更新する。拡張カルマンフィルタのカルマンゲインの更新アルゴリズムを式(32)〜(38)に示す。ここで,Qはq×q正定対称行列,Rはm×m正定対称行列,α≧1の実数である。

0055

0056

Q,Rはそれぞれ拡張カルマンフィルタでは,システムノイズ観測ノイズ共分散行列を意味している。また,αは収束度合いを調節するパラメータである。α=1のとき,拡張カルマンフィルタとなる。
以上の拡張カルマンフィルタの更新アルゴリズムを用いたオブザーバは,指数減衰型オブザーバとなることが文献[K.Reif,R.Unbehauen,The Extended Kalman Filteras an Exponential Obserber for Nonlinear Systems,IEEE,Transactions on Signal Processing,Vol.47,No.8,(1999),pp.2324−2328.]により証明されている。

0057

次に、この離散時間型拡張カルマンフィルタを用い,注湯流量推定システムの構築を行う。
前記取鍋1の傾動角速度からロードセルによる計測注湯鋳込み重量までのシステムを考える。まず,連続時間系の注湯システムである式(11)、(12)、(16)、(17)の微分方程式差分方程式へと変換する。求めた差分方程式を式(39),(40)に示す。
ここで,t=nks,ts[s]はサンプリング時間,nはサンプリング番号n=1,2,3,・ ・ ・とする。

0058

0059

y(n)=wl(n) (40)
af、bfは式(41)、式(42)で示される。

0060

0061

bf(n)=−∂Vs(θ(n))/∂θ(n) (42)
である。

0062

式(39)、式(40)のシステムモデルに対して、指数減衰型オブザーバーを構築する。
式(39)、式(40)を式(30)、式(31)で表現すると式(43)〜式(46)となる。
zn=[Vr(n) w(n) wl(n)]T (43)
x(n)=ω(n) (44)

0063

0064

h(zn)=wl(n) (46)

0065

0066

式(47)を用いてシミュレーションより求めたwlと実際の実験結果を比較し,vの分散を求める。傾動開始角度と流出開始角度が3[deg]ずれていたときまでの推定が可能であることを目標とする。そこで,3[deg]の初期角度のずれをシステムノイズとすることで,初期角度のずれを考慮した注湯流量推定システムを設計する。図10に3[deg]ずれた時の実験結果とシステムノイズを考慮した式(47)より得られるwlを示す。各システムノイズの分散は,3[deg]ずれた時の流出重量の結果に近づくように,Σvq=1.0×10−10[m6/s2],Σvw=1.0×10−12[m6],Σvwl=1.0×10-12[m6]とした。図11に示すように,システムノイズを付加することにより,シミュレーションでの鋳込み重量が,3[deg]の初期角度ずれが生じた時の実験結果に近づいていることが確認できる。

0067

これより,システムノイズの共分散行列Q を式(48)とする。

0068

0069

構築した離散時間系拡張カルマンフィルタを用いた指数減衰拡張オブザーバにより注湯流量を推定する。推定シミュレーション,および推定実験結果を図12に示す。このときのオブザーバゲインを図13に示す。ここで,オブザーバゲインをKn=[Kq Kw Kwl]Tとする。推定シミュレーションおよび実験結果より,精度の高い推定が可能であることが確認できる。

0070

また,鋳造工場において,取鍋1内に溶湯を供給する場合,手作業により行なわれている。そのため,所望の容量だけ正確に注ぐことは非常に困難である。よって,取鍋1から溶湯が出始めるときの取鍋1の角度にばらつきが生じてしまう。ここで,取鍋1の内重量と取鍋1の形状が既知であれば,この溶湯が出始めるときの角度は計算により求めることができるが,取鍋1の内部は手作業で成形されており,正確な形状を得ることができず,溶湯流出開始角度は得ることは困難である。そこで,所望の注湯流出開始角度と実際の注湯流出開始角度がずれてしまう。したがって,取鍋傾動開始角度と注湯流出開始角度にずれが生じた場合の注湯流量推定実験を行う。

0071

それぞれ初期角度26[deg]から1,3,5[deg]のずれが生じた場合の注湯流量推定結果を図14に示す。図14に示すように,3[deg]以上のずれが生じた場合,初期推定誤差は大きくなるが,それ以降の注湯流量推定は可能であることが確認され,高精度に注湯流量を推定可能であることが確認される。実際の鋳造工場では,計算された取鍋の出湯開始角度と実際の出湯開始角度との誤差は2[deg]程度であることから,実際の運用においても注湯流量の推定精度は高いことが確認された。拡張カルマンフィルタを用いたオブザーバはシステムノイズ,観測ノイズを設定するだけで,オブザーバゲインをシステマチックに得ることが可能である。また,システムノイズの共分散行列を操作することにより,ある程度外乱が生じた場合でも所望の状態量を推定することが可能である。

0072

なお、本自動注湯装置の第2実施例においては、取鍋1の重心変動によるロードセルへの影響を除去するロードセル補償法を構築するとしてあるが、このロードセルは、溶湯および取鍋の静止重量と、これらの上下動による加速度によって励起される力と、を同時に測定可能ならどの場所に設けても良く、例えば、取鍋を搭載して上下方向および水平方向へ移動させる移動部材に設けてもよい。

図面の簡単な説明

0073

本発明を適用した自動注湯装置の一実施例を示す模式図である。
図1の自動注湯装置における取鍋の縦断面図である。
図2における要部拡大詳細図である。
取鍋の注湯口先端の斜視図である。
本自動注湯装置の第1実施例における注湯プロセスのブロック線図である。
取鍋1の各傾動角度θ[deg]に対する出湯口面積水平A(θ)[m2]と出湯口下部の溶湯(液体)体積Vs(θ)[m3]を示すグラフである。
注湯流量フィードフォワード制御系ブロック図である。
注湯流量2自由度制御システムを対象液体を水とした取鍋傾動式自動注水装置へ適用した際の実験結果を示すグラフである。
ロードセル補償法のブロック線図である。
ロードセル補償法を用いた計量鋳込み重量を示すグラフである。
システムノイズを伴う注湯シミュレーションを示すグラフである。
離散時間系拡張カルマンフィルタを用いた指数減衰型拡張オブザーバにより流量を推定した推定シミュレーション,および推定実験結果を示すグラフである。
図12におけるオブザーバゲインを示すグラフである。
注湯出湯開始初期角度の誤差が生じた場合の注湯流量推定結果を示すグラフである。

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