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技術 磁気素子のスピンバルブ構造およびCCP−GMRスピンバルブ構造、ならびに磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法

出願人 ヘッドウェイテクノロジーズインコーポレイテッド
発明者 張坤亮李民モリスドベク劉越
出願日 2008年5月12日 (12年7ヶ月経過) 出願番号 2008-124797
公開日 2008年11月20日 (12年1ヶ月経過) 公開番号 2008-283194
状態 特許登録済
技術分野 ホール/MR素子 磁気ヘッド5(磁束感知ヘッド)
主要キーワード 増幅特性曲線 鉄リッチ 半金属層 位置決めアーム 面直交 金属スペーサ 膜層構造 スパッタシステム
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年11月20日)のものです。
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図面 (3)

課題

高いMR比を確保しつつ、許容し得る均一性と良好なEM性能とが得られるスピンバルブ構造およびその製造方法を提供する。

解決手段

基体10の上に、シード層11、AFM層12、ピンド層20、複合スペーサ層21、フリー層22およびキャップ層23を順次成膜し、CPP−GMRスピンバルブ構造を形成する。ピンド層20は、AP2層/結合層/AP1層というSyAP構造とする。AP2層は、鉄リッチ合金よりなる中間層をCoFeからなる上層および下層によって上下から挟み込むFCC三層構造とする。複合スペーサ層21は、1層以上の金属層(M層)と、1層以上の半導体または半金属層(S層)とを含み、M/S、S/M、M/S/M、S/M/S、M/S/M/S/M、または(M/S/M)n という積層構造を有する。例えば、M層はCu層、S層はZnO層である。

概要

背景

磁気ディスク装置は、円状のデータトラックを有し回転する磁気ディスクと、位置決めアーム上のスライダに形成された一体型磁気記録再生ヘッドとを備える。この磁気記録再生ヘッドは、磁気記録ヘッドおよび磁気再生ヘッドが一体に形成された磁気ヘッドである。記録再生をしている間、磁気記録再生ヘッドは、そのエアベアリング面(ABS)が磁気ディスク面に対向するように、磁気ディスクの上方に懸架配置される。再生ヘッドにおけるセンサは、電気抵抗の変化によって磁界信号を検出するのに用いられるものなので、重要な部品である。この電気抵抗の変化は、2つの強磁性層非磁性導電層によって分離するように構成したセンサ積層構造に基づいて発現するGMR作用によって生ずるものである。2つの強磁性層のうちの一方は、隣接する反強磁性AFM)層、すなわちピンニング層との交換結合によって磁化方向が固定されたピンド層である。他方の強磁性層は、外部磁界に応じて磁化ベクトルが回転し得るように構成されたフリー層である。ピンド層の磁化方向に対するフリー層の磁化方向の回転角によって電気抵抗の変化が生じる。この電気抵抗の変化は、センサ積層構造にセンス電流を流すことにより、電圧変化として検出される。CPP−GMR素子の場合には、センサ積層構造の層面と直交する方向にセンス電流を流すように構成する。これとは異なり、センサ積層構造の層面と平行な方向にセンス電流を流すように構成されたCIP(current-in-plane)型のGMR素子もある。CPP−GMRヘッドは、例えば特許文献1,2に開示されている。

CPP−GMRヘッドは、200Gb(ギガビット)/平方インチを越える記録密度を実現するのに有力な候補と見られている。CPP構造は、超高密度用途にとって、より好ましいものである。センササイズが小さくなっても、より強い出力信号が得られ、磁気抵抗効果率抵抗変化率もしくはMR比)がCIP構造に比べて大きいからである。CPP構造およびCIP構造のいずれのヘッドにおいても、より高い性能を得るために、CoFe(コバルト鉄)/NiFe(ニッケル鉄)という複合構造のフリー層が利用されることが多い。ここで、「/」の左側がより下側の層、「/」の右側がより上側の層であることを示す。以下、本明細書において同様である。CPP構造のヘッドにおいては、バイアスのし易さという理由から、トップスピンバルブ型ではなくボトムスピンバルブ型の積層構造が採用されることが多い。なお、トップスピンバルブ型とは、銅スペーサ層の下側にフリー層が配置され、銅スペーサ層の上側にピンド層が配置されるタイプである。

GMRヘッドの重要な特性の一つに、MR比(dR/R)がある。ここで、dRはスピンバルブセンサ抵抗変化量であり、Rは、その変化前のスピンバルブセンサの抵抗値である。素子感度の向上のためには、より高いMR比が望ましい。そのためには、センス電流中の電子が、センサの磁気的に活性化した層内にできるだけ長く留まる必要がある。センサ積層の層間における電子の正反射である界面反射によって、MR比が高められ、感度を向上させることができる。残念ながら、金属スペーサを含む多くのCPP−GMRスピンバルブ構造においては、MR比が非常に低く、5%以下である場合が多い。先進の用途においては、10%を越えるMR比と、0.5[Ω・μm2 ]を下回る面積抵抗値(RA)とを有することが望ましい。

単一層からなるピンド層に比べて、AP2層/結合層/AP1層で表されるシンセティック反平行(SyAP)ピンド層構造が好ましい。SyAP層の場合には、より小さい正味磁気モーメントが得られる結果、AFM層と、これに隣接するAP2層と間の交換結合がより大きくなるからである。CPP−GMRヘッドにおいて、CoFeとCu薄膜とを交互に積層してなるAP1層によりMR比が向上することが、非特許文献1において開示されている。CPP−GMRボトム型スピンバルブ構造の一例として、シード層/AFM層/ピンド層/スペーサ層/フリー層/キャップ層という構造がある。ここで、ピンド層は[AP2層/結合層/AP1層]シンセティック構造である。結合層はルテニウム(Ru)であり、AP1層は[CoFe/Cu/CoFe]という積層構造である。フリー層は、[CoFe/NiFe]複合層である。通常、AP1層およびAP2層はそれぞれ2nm〜5nm、フリー層は3nm〜6nmの膜厚である。再生ヘッド用途においては、フリー層は、応力により生ずる異方性を低減するために、104 /4π[A/m](=10[Oe])を下回る保磁力(Hc)と、10-8〜10-6程度の低い磁歪を有することが好ましい。

CPP−GMRヘッドにおいて考慮すべき他の重要な問題として、エレクトロマイグレーションEM)がある。[AP2層/結合層/AP1層]という構造を有するCPPスピンバルブ構造の場合、AP1層中の鉄リッチCoFe合金(例えば、Fe50Co50やFe70Co30)がMR比の向上に有効であることが知られている。しかしながら、鉄リッチなCoFe合金は、EM現象による性能劣化を起こしやすい。このため、スペーサ層およびAP2層を適切に選定することによってEM性能をコントロールすることが重要である。

特許文献3に記載されているように、CPP−GMRヘッドの性能は、銅スペーサ層の中にCCP(confining current path;狭窄電流パスもしくは電流制限パス)構造を導入することにより向上させることができる。CCP銅スペーサ構造は、[Cu/CCP層/Cu]と表記される。ここで、CCP層は、例えば、酸化アルミニウム(Al2 O3 )および銅を同時成膜することによって形成可能である。特許文献4は、他のCCPスペーサ構造について開示している。このCCPスペーサ構造では、柱状の金属パス(電流路)が絶縁層を垂直に貫通している。この絶縁層はスペーサ層の50%以上を占めている。このようなCCP−CPP構造では、比較的大きなMR比が得られるものの、CCP技術が製品レベルで実用化されるためには、均一性およびEM現象という2つの障害について解決が図られなければならない。

特許文献5には、電流制限作用を得るためのCu/AlCuO/Cuという構造の非磁性スペーサが開示されている。このスペーサでは、酸化層は0.5〜5nmの膜厚を有する。

特許文献6は、銅スペーサよりもMR比を向上させるために、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Au、Ag等の新規な金属からなるスペーサを開示している。

特許文献7には、金スペーサを、フェルミ面にd電子を有する酸化物半導体スペーサに置き換えることが開示されている。そのような酸化物半導体の例として2つの例、すなわち、ペロブスカイト型酸化物としてのストロンチウムチタン酸化物(SrTiO)と、ルーティル(rutile)型酸化物としてのチタン酸化物(TiO2 )とが例示されている。

特許文献8は、低抵抗材料(Cu、Au、Ag、Al等)からなるスペーサ層、または、高抵抗材料(Al、Ti、Ta、Co、Ni、Si、Mg、Feの酸化物、窒化物またはフッ化物等の絶縁体)からなるスペーサ層を開示している。

なお、本出願に関連して、本出願人は、2005年7月13日付けの米国出願(出願番号11/180,808)および2005年9月23日付けの米国出願(出願番号11/234,719)を提出している。

TMRC2001 presentation by M.Takagishi (Toshiba)
米国特許第5,627,704号
米国特許第5,668,688号
米国特許第5,715,121号
米国特許出願第2006/0209472号
米国特許第7,116,529号
米国特許第6,876,523号
米国特許第6,917,088号
米国特許出願第2006/0060901号

概要

高いMR比を確保しつつ、許容し得る均一性と良好なEM性能とが得られるスピンバルブ構造およびその製造方法を提供する。基体10の上に、シード層11、AFM層12、ピンド層20、複合スペーサ層21、フリー層22およびキャップ層23を順次成膜し、CPP−GMRスピンバルブ構造を形成する。ピンド層20は、AP2層/結合層/AP1層というSyAP構造とする。AP2層は、鉄リッチ合金よりなる中間層をCoFeからなる上層および下層によって上下から挟み込むFCC三層構造とする。複合スペーサ層21は、1層以上の金属層(M層)と、1層以上の半導体または半金属層(S層)とを含み、M/S、S/M、M/S/M、S/M/S、M/S/M/S/M、または(M/S/M)n という積層構造を有する。例えば、M層はCu層、S層はZnO層である。

目的

本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、従来の磁気再生ヘッドに比べて高いMR比を得ることを可能とする複合スペーサ層を有する磁気素子のスピンバルブ構造およびCPP−GMRスピンバルブ構造、ならびに磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
4件

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請求項1

鉄リッチ合金よりなる中間層をコバルト鉄(CoFe)からなる上層および下層によって上下から挟み込むように構成されたFCC面心立方格子三層構造を有する反平行層AP2層)と、結合層と、他の反平行層(AP1層)とを順次積層してなる構造(AP2層/結合層/AP1層)を有するピンド層と、フリー層と、前記ピンド層と前記フリー層との間に、1層以上の金属層M層)と1層以上の半導体または半金属層(S層)とを含むように形成された複合スペーサとを備えたことを特徴とする磁気素子スピンバルブ構造

請求項2

前記磁気素子が、第1の磁気シールドを有するCCP−GMR(面直交電流巨大磁気抵抗効果素子)として構成されたものであり、前記第1の磁気シールドの上に形成されたシード層と、前記シード層の上に形成された反強磁性AFM)層と、前記フリー層の上に形成されたキャップ層とを備え、前記AP2層が前記AFM層に接し、前記AP1層が前記複合スペーサに接していることを特徴とする請求項1に記載の磁気素子のスピンバルブ構造。

請求項3

前記AP2層が、Coz Fe(100-z) /Coy Fe(100-y) /Coz Fe(100-z) という複合構造を有する(但し、y=0〜60原子%、z=75〜100原子%)ことを特徴とする請求項1に記載の磁気素子のスピンバルブ構造。

請求項4

前記複合スペーサが、M/S、S/M、M/S/M、S/M/S、M/S/M/S/M、または(M/S/M)n という積層構造を有する(但し、nは1より大きい整数)ことを特徴とする請求項1に記載の磁気素子のスピンバルブ構造。

請求項5

M層が0.1nm〜5nmの膜厚の銅(Cu)層であり、S層が0.1nm〜5nmの膜厚の酸化亜鉛(ZnO)層であることを特徴とする請求項4に記載の磁気素子のスピンバルブ構造。

請求項6

前記S層が、MgO、ZnX Mg(100-X) O(但し、x=0〜99原子%)、ZnCuO、ZnCdO、ZnAlO、ZnSe、ZnTe、Si、Ge、TiO2 、AlN、GaN、InN、AlP、AlAs、AlSb、GaPGaAs、GaSb、InPInAs、ZnS、CdS、CdTe、HgTe、PbS、PbSe、PbTe、SnTe、Cu2 O、FeSi2 、CrMnSi、Mg2 Si、RuSi3 およびIr3 Si5 よりなる群から選ばれる半導体、または、Sb、Bi、CoSi、CoX Fe(100-X) Si、CoX Ni(100-X) Si、CoX Mn(100-X) Si、CoX Cr(100-X) SiおよびFeSiよりなる群から選ばれる半金属によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気素子のスピンバルブ構造。

請求項7

前記M層が、Ag、Au、Cr、AlおよびMgよりなる群から選ばれる元素で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気素子のスピンバルブ構造。

請求項8

前記S層のうちの1以上の層に、Si、B、Mg、Mn、Al、Cu、Cd、Cr、Ti、Zr、Hf、Ru、Mo、Nb、Co、Fe およびNiよりなる群から選ばれる1以上の元素が、0〜20原子%という出来上がり濃度でドープされていることを特徴とする請求項4に記載の磁気素子のスピンバルブ構造。

請求項9

基板上に形成されたシード層と、前記シード層上に形成されたAFM層と、前記AFM層上に形成された、AP2層/結合層/AP1層なる3層構造を有するピンド層と、前記ピンド層のAP1層上に形成された、1層以上の金属層(M層)と1層以上の半導体または半金属層(S層)とを含む複合スペーサと前記複合スペーサ上に形成されたフリー層と、前記フリー層上に形成されたキャップ層とを備えたことを特徴とするCCP−GMRスピンバルブ構造。

請求項10

前記シード層は、タンタル(Ta)からなる下層と、ルテニウム(Ru)からなる上層との複合層であり、前記AFM層は、イリジウムマンガン(IrMn)からなり、前記AP2層は、CoZFe(100-Z) /CoYFe(100-Y) /CoZFe(100-Z) なる組成を有し(但し、yは0ないし60原子%、zは75ないし100原子%)、前記結合層は、ルテニウム(Ru)からなり、前記AP1層は、[CoFe/Cu]k /CoFeなる積層構造を有する(但し、k=1, 2, または3)ことを特徴とする請求項9に記載のCCP−GMRスピンバルブ構造。

請求項11

前記複合スペーサが、M/S、S/M、M/S/M、S/M/S、M/S/M/S/M、または(M/S/M)n という積層構造を有する(但し、nは1より大きい整数)ことを特徴とする請求項9に記載のCCP−GMRスピンバルブ構造。

請求項12

M層が0.1nm〜5nmの膜厚の銅層であり、S層が0.1nm〜5nmの膜厚の酸化亜鉛層であることを特徴とする請求項11に記載のCCP−GMRスピンバルブ構造。

請求項13

前記S層が、MgO、ZnX Mg(100-X) O(但し、x=0〜99原子%)、ZnCuO、ZnCdO、ZnAlO、ZnSe、ZnTe、Si、Ge、TiO2 、AlN、GaN、InN、AlP、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、ZnS、CdS、CdTe、HgTe、PbS、PbSe、PbTe、SnTe、Cu2 O、FeSi2 、CrMnSi、Mg2 Si、RuSi3 およびIr3 Si5 よりなる群から選ばれる半導体、または、Sb、Bi、CoSi、CoX Fe(100-X) Si、CoX Ni(100-X) Si、CoX Mn(100-X) Si、CoX Cr(100-X) SiおよびFeSiよりなる群から選ばれる半金属によって構成されていることを特徴とする請求項11に記載のCCP−GMRスピンバルブ構造。

請求項14

前記M層が、Ag、Au、Cr、AlおよびMgよりなる群から選ばれる元素で構成されていることを特徴とする請求項11に記載のCCP−GMRスピンバルブ構造。

請求項15

前記S層のうちの1以上の層に、Si、B、Mg、Mn、Al、Cu、Cd、Cr、Ti、Zr、Hf、Ru、Mo、Nb、Co、Fe およびNiよりなる群から選ばれる1以上の元素が、0〜20原子%という出来上がり濃度でドープされていることを特徴とする請求項11に記載のCCP−GMRスピンバルブ構造。

請求項16

基板上にシード層を形成するステップと、前記シード層上にAFM層を形成するステップと、前記AFM層上に、AP2層/結合層/AP1層なる3層構造を有するピンド層を形成するステップと、前記ピンド層のAP1層上に、1層以上の金属層(M層)と1層以上の半導体または半金属層(S層)とを含む複合スペーサを形成するステップと前記複合スペーサ上にフリー層を形成するステップと、前記フリー層上にキャップ層を形成するステップとを含むことを特徴とする磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法

請求項17

前記スピンバルブ構造をCCP−GMR用の構造とし、すべての層をスパッタ成膜装置によって形成することを特徴とする請求項16に記載の磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法。

請求項18

前記複合スペーサを、M/S、S/M、M/S/M、S/M/S、M/S/M/S/M、または(M/S/M)n という積層構造を有する(但し、nは1より大きい整数)ように形成することを特徴とする請求項17に記載の磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法。

請求項19

前記M層を0.1nm〜5nmの膜厚の銅層として形成し、前記S層を0.1nm〜5nmの膜厚の酸化亜鉛層として形成することを特徴とする請求項18に記載の磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法。

請求項20

前記S層が、ZnO、MgO、ZnX Mg(100-X) O(但し、x=0〜99原子%)、ZnCuO、ZnCdO、ZnAlO、ZnSe、ZnTe、Si、Ge、TiO2 、AlN、GaN、InN、AlP、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、ZnS、CdS、CdTe、HgTe、PbS、PbSe、PbTe、SnTe、Cu2 O、FeSi2 、CrMnSi、Mg2 Si、RuSi3 およびIr3 Si5 よりなる群から選ばれる半導体、または、Sb、Bi、CoSi、CoX Fe(100-X) Si、CoX Ni(100-X) Si、CoX Mn(100-X) Si、CoX Cr(100-X) SiおよびFeSiよりなる群から選ばれる半金属によって構成されていることを特徴とする請求項18に記載の磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法。

請求項21

前記S層を構成する基本材料不純物とを含むターゲットスパッタすることにより、前記S層のうちの1以上の層に、Si、B、Mg、Mn、Al、Cu、Cd、Cr、Ti、Zr、Hf、Ru、Mo、Nb、Co、Fe およびNiよりなる群から選ばれる1以上の元素を、0〜20原子%という出来上がり濃度でドープすることを特徴とする請求項18に記載の磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法。

請求項22

金属層または金属合金層AB(但し、AおよびBは金属元素)を成膜したのち、前記スパッタ成膜装置内酸化室において、プラズマ酸化自然酸化またはラジカル酸化のプロセスを行なって前記金属層または金属合金層ABを酸化することにより、前記S層を、金属酸化物層または三成分酸化物(ternary oxide) 層ABOとして形成することを特徴とする請求項18に記載の磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法。

技術分野

0001

本発明は、広く磁気再生ヘッド磁気センサ等に用いられるGMR(giant magnetoresistive;巨大磁気抵抗効果素子等の磁気素子スピンバルブ構造に係わり、特に、CPP(current perpendicular to plane;面直交電流)型のGMR素子に採用されるCPP−GMRスピンバルブ構造、ならびにそのようなスピンバルブ構造を有する磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法に関する。

背景技術

0002

磁気ディスク装置は、円状のデータトラックを有し回転する磁気ディスクと、位置決めアーム上のスライダに形成された一体型磁気記録再生ヘッドとを備える。この磁気記録再生ヘッドは、磁気記録ヘッドおよび磁気再生ヘッドが一体に形成された磁気ヘッドである。記録再生をしている間、磁気記録再生ヘッドは、そのエアベアリング面(ABS)が磁気ディスク面に対向するように、磁気ディスクの上方に懸架配置される。再生ヘッドにおけるセンサは、電気抵抗の変化によって磁界信号を検出するのに用いられるものなので、重要な部品である。この電気抵抗の変化は、2つの強磁性層非磁性導電層によって分離するように構成したセンサ積層構造に基づいて発現するGMR作用によって生ずるものである。2つの強磁性層のうちの一方は、隣接する反強磁性AFM)層、すなわちピンニング層との交換結合によって磁化方向が固定されたピンド層である。他方の強磁性層は、外部磁界に応じて磁化ベクトルが回転し得るように構成されたフリー層である。ピンド層の磁化方向に対するフリー層の磁化方向の回転角によって電気抵抗の変化が生じる。この電気抵抗の変化は、センサ積層構造にセンス電流を流すことにより、電圧変化として検出される。CPP−GMR素子の場合には、センサ積層構造の層面と直交する方向にセンス電流を流すように構成する。これとは異なり、センサ積層構造の層面と平行な方向にセンス電流を流すように構成されたCIP(current-in-plane)型のGMR素子もある。CPP−GMRヘッドは、例えば特許文献1,2に開示されている。

0003

CPP−GMRヘッドは、200Gb(ギガビット)/平方インチを越える記録密度を実現するのに有力な候補と見られている。CPP構造は、超高密度用途にとって、より好ましいものである。センササイズが小さくなっても、より強い出力信号が得られ、磁気抵抗効果率抵抗変化率もしくはMR比)がCIP構造に比べて大きいからである。CPP構造およびCIP構造のいずれのヘッドにおいても、より高い性能を得るために、CoFe(コバルト鉄)/NiFe(ニッケル鉄)という複合構造のフリー層が利用されることが多い。ここで、「/」の左側がより下側の層、「/」の右側がより上側の層であることを示す。以下、本明細書において同様である。CPP構造のヘッドにおいては、バイアスのし易さという理由から、トップスピンバルブ型ではなくボトムスピンバルブ型の積層構造が採用されることが多い。なお、トップスピンバルブ型とは、銅スペーサ層の下側にフリー層が配置され、銅スペーサ層の上側にピンド層が配置されるタイプである。

0004

GMRヘッドの重要な特性の一つに、MR比(dR/R)がある。ここで、dRはスピンバルブセンサ抵抗変化量であり、Rは、その変化前のスピンバルブセンサの抵抗値である。素子感度の向上のためには、より高いMR比が望ましい。そのためには、センス電流中の電子が、センサの磁気的に活性化した層内にできるだけ長く留まる必要がある。センサ積層の層間における電子の正反射である界面反射によって、MR比が高められ、感度を向上させることができる。残念ながら、金属スペーサを含む多くのCPP−GMRスピンバルブ構造においては、MR比が非常に低く、5%以下である場合が多い。先進の用途においては、10%を越えるMR比と、0.5[Ω・μm2 ]を下回る面積抵抗値(RA)とを有することが望ましい。

0005

単一層からなるピンド層に比べて、AP2層/結合層/AP1層で表されるシンセティック反平行(SyAP)ピンド層構造が好ましい。SyAP層の場合には、より小さい正味磁気モーメントが得られる結果、AFM層と、これに隣接するAP2層と間の交換結合がより大きくなるからである。CPP−GMRヘッドにおいて、CoFeとCu薄膜とを交互に積層してなるAP1層によりMR比が向上することが、非特許文献1において開示されている。CPP−GMRボトム型スピンバルブ構造の一例として、シード層/AFM層/ピンド層/スペーサ層/フリー層/キャップ層という構造がある。ここで、ピンド層は[AP2層/結合層/AP1層]シンセティック構造である。結合層はルテニウム(Ru)であり、AP1層は[CoFe/Cu/CoFe]という積層構造である。フリー層は、[CoFe/NiFe]複合層である。通常、AP1層およびAP2層はそれぞれ2nm〜5nm、フリー層は3nm〜6nmの膜厚である。再生ヘッド用途においては、フリー層は、応力により生ずる異方性を低減するために、104 /4π[A/m](=10[Oe])を下回る保磁力(Hc)と、10-8〜10-6程度の低い磁歪を有することが好ましい。

0006

CPP−GMRヘッドにおいて考慮すべき他の重要な問題として、エレクトロマイグレーションEM)がある。[AP2層/結合層/AP1層]という構造を有するCPPスピンバルブ構造の場合、AP1層中の鉄リッチCoFe合金(例えば、Fe50Co50やFe70Co30)がMR比の向上に有効であることが知られている。しかしながら、鉄リッチなCoFe合金は、EM現象による性能劣化を起こしやすい。このため、スペーサ層およびAP2層を適切に選定することによってEM性能をコントロールすることが重要である。

0007

特許文献3に記載されているように、CPP−GMRヘッドの性能は、銅スペーサ層の中にCCP(confining current path;狭窄電流パスもしくは電流制限パス)構造を導入することにより向上させることができる。CCP銅スペーサ構造は、[Cu/CCP層/Cu]と表記される。ここで、CCP層は、例えば、酸化アルミニウム(Al2 O3 )および銅を同時成膜することによって形成可能である。特許文献4は、他のCCPスペーサ構造について開示している。このCCPスペーサ構造では、柱状の金属パス(電流路)が絶縁層を垂直に貫通している。この絶縁層はスペーサ層の50%以上を占めている。このようなCCP−CPP構造では、比較的大きなMR比が得られるものの、CCP技術が製品レベルで実用化されるためには、均一性およびEM現象という2つの障害について解決が図られなければならない。

0008

特許文献5には、電流制限作用を得るためのCu/AlCuO/Cuという構造の非磁性スペーサが開示されている。このスペーサでは、酸化層は0.5〜5nmの膜厚を有する。

0009

特許文献6は、銅スペーサよりもMR比を向上させるために、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Au、Ag等の新規な金属からなるスペーサを開示している。

0010

特許文献7には、金スペーサを、フェルミ面にd電子を有する酸化物半導体スペーサに置き換えることが開示されている。そのような酸化物半導体の例として2つの例、すなわち、ペロブスカイト型酸化物としてのストロンチウムチタン酸化物(SrTiO)と、ルーティル(rutile)型酸化物としてのチタン酸化物(TiO2 )とが例示されている。

0011

特許文献8は、低抵抗材料(Cu、Au、Ag、Al等)からなるスペーサ層、または、高抵抗材料(Al、Ti、Ta、Co、Ni、Si、Mg、Feの酸化物、窒化物またはフッ化物等の絶縁体)からなるスペーサ層を開示している。

0012

なお、本出願に関連して、本出願人は、2005年7月13日付けの米国出願(出願番号11/180,808)および2005年9月23日付けの米国出願(出願番号11/234,719)を提出している。

0013

TMRC2001 presentation by M.Takagishi (Toshiba)
米国特許第5,627,704号
米国特許第5,668,688号
米国特許第5,715,121号
米国特許出願第2006/0209472号
米国特許第7,116,529号
米国特許第6,876,523号
米国特許第6,917,088号
米国特許出願第2006/0060901号

発明が解決しようとする課題

0014

上記したように、従来のCCP−CPP構造では、比較的大きなMR比が得られるものの、この構造が実用化されるためには、均一性およびEM現象という2つの障害がある。しかしながら、現在までのところ、これらの問題を解決するための効果的な方法は提案されていなかった。

0015

本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、従来の磁気再生ヘッドに比べて高いMR比を得ることを可能とする複合スペーサ層を有する磁気素子のスピンバルブ構造およびCPP−GMRスピンバルブ構造、ならびに磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法を提供することにある。

0016

本発明のさらなる目的は、上記目的に加え、複合スペーサ層のすべての層を薄膜で構成する全層薄膜(full film layer )構造を採用することにより、許容し得る均一性と良好なEM性能とを確実に得ることが可能な磁気素子のスピンバルブ構造およびCPP−GMRスピンバルブ構造、ならびに磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0017

これらの目的は、以下に述べるようなボトム型CPP−GMRスピンバルブ構造のセンサを磁気再生ヘッドに作り込むことで達成可能である。そのようなボトム型CPP−GMRスピンバルブ構造は、例えば、下部磁気シールド(S1)等として機能する基体の上に、シード層と、AFM層と、ピンド層と、複合スペーサ層と、フリー層と、キャップ層とを順次成膜することにより形成可能である。

0018

シード層は、例えば、タンタル(Ta)からなる下層と、ルテニウム(Ru)からなる上層との複合層として形成可能である。AFM層は、例えば、イリジウムマンガン(IrMn)により構成可能である。ピンド層は、AP2層/結合層/AP1層というシンセティック反平行(SyAP)構造として形成する。AP2層は、鉄リッチな合金よりなる中間層をコバルト鉄(CoFe)からなる上層および下層によって上下から挟み込むFCC面心立方格子三層構造を有するように形成する。具体的には、AP2層は、例えば、Coz Fe(100-z) /Coy Fe(100-y) /Coz Fe(100-z) (y=0〜60原子%、z=75〜100原子%)という構造をもつように形成可能である。結合層は、例えばRu、Rh(ロジウム)およびIrのいずれかにより構成可能である。AP1層は、例えば、[CoFe/Cu]k /CoFe(但し、k=1, 2, または3)という積層構造を有するように構成可能である。フリー層は、例えば、[CoS Fe(100-S) /CoFeB/NiFe](但し、s=0〜100原子%)という複合構造を有するように構成してもよいが、単一層として構成してもよい。

0019

本発明の主要な特徴である複合スペーサは、1層以上の金属層(M層)と、1層以上の半導体または半金属層(S層)とを含むように構成する。そのバリエーションとしては、M/S、S/M、M/S/M、S/M/S、M/S/M/S/M、または(M/S/M)n という積層構造(但し、nは1より大きい整数)が考えられる。

0020

一つの例では、M層をCu、S層をZnOとする。M層およびS層は、ともに、0.1〜5nm程度の膜厚とするのが好ましい。この場合、複合スペーサ層は、1層以上のCu層と1層以上のZnOとを含むように構成される。その第1の例として、例えばCu/ZnOまたはZnO/Cuという構造が可能である。

0021

第2の例では、Cu層およびZnO層を交互に繰り返すように積層して構成する。例えば、Cu/ZnO/CuまたはCu/ZnO/Cu/ZnO/Cuという構造となる。また、複合スペーサ層を、[Cu/ZnO/Cu]n (nは1以上の整数)という多重構造として構成してもよい。ZnO層のうちの1以上の層に、Si(シリコン)、B(ボロン)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、Al、Cu、Cd(カドミウム)、Cr(クロム)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Ru、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)、Co、FeおよびNiよりなる群から選ばれる1以上の元素またはその他の元素をドープするようにしてもよい。これらのドープ元素は、ZnO半導体層の内部の粒界コントロールを助けるように作用し、スピンバルブ構造の性能を向上させると考えられる。

0022

一つの変形例として、上記のS層(ZnO層)のうちの1以上の層を、MgO、ZnX Mg(100-X) O(但し、x=0〜99原子%)、ZnCuO、ZnCdO、ZnAlO、ZnSe(亜鉛セレニウム)、ZnTe(亜鉛テルリウム)、Si、Ge(ゲルマニウム)、TiO2 、AlN、GaN(窒化ガリウム)、InN(窒化インジウム)、AlP(アルミニウム燐)、AlAs(アルミニウム砒素)、AlSb(アルミニウムアンチモン)、GaPGaAs、GaSb、InPInAs、ZnS、CdS、CdTe、HgTe(水銀テルリウム)、PbS(硫化鉛)、PbSe、PbTe、SnTe(錫テルリウム)、Cu2 O、FeSi2 、CrMnSi、Mg2 Si、RuSi3 およびIr3 Si5 よりなる群から選ばれる半導体、または、Sb、Bi(ビスマス)、CoSi、CoX Fe(100-X) Si、CoX Ni(100-X) Si、CoX Mn(100-X) Si、CoX Cr(100-X) SiおよびFeSiよりなる群から選ばれる半金属によって置き換えるようにしてもよい。

0023

また、S層のうちの1以上の層に、Si、B、Mg、Mn、Al、Cu、Cd、Cr、Ti、Zr、Hf、Ru、Mo、Nb、Co、Fe およびNiよりなる群から選ばれる1以上の元素を不純物ドーパント)としてドープするようにしてもよい。この場合のドープ濃度は、0〜20原子%という出来上がり濃度とするのが好ましい。この場合、S層の主材料(半導体または半金属)と不純物(ドーパント)とを含むターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、上記のドーパントがドープされたS層の成膜が可能である。

0024

さらに、他の変形例として、上記のM層(Cu層)のうちの1以上の層を、Ag、Au、Cr、AlおよびMgよりなる群から選ばれる元素によって置き換えるようにしてもよい。

0025

このような複合スペーサ層を含むスピンバルブ構造は、例えば、超高真空を達成可能なスパッタリングシステムの中でArガスを用いてスパッタ成膜することにより得ることができる。S層が、例えばZnOのような金属酸化物層である場合、Znをスパッタ成膜して金属層を形成したのち、この金属層に対して、プラズマ酸化自然酸化(NOX)またはラジカル酸化(ROX)により酸化処理を行うことにより、ZnO膜の成膜が可能である。必要に応じて、金属酸化層を直接スパッタ成膜するようにしてもよい。

0026

また、S層が、例えばZnCuOのように、ABO(AおよびBは金属)という形で表される三成分酸化物(ternary oxide) 層である場合には、まず合金ABを成膜したのち、この膜をROX、NOXまたはプラズマ酸化プロセスによって酸化することにより、ABO層を形成することができる。必要に応じて、ABOという形を含む金属酸化物からなるターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、ABO型金属酸化膜直接成膜するようにしてもよい。

0027

キャップ層を形成したのち、CPP−GMR積層体アニールし、通常の方法によってパターニングすることにより、上面および側壁面を有するCPP−GMRセンサが得られる。続いて、よく知られたプロセスにより、上記の両側壁面に隣接するように絶縁層を形成したのち、キャップ層の上に第2の磁気シールド(S2)を形成する。なお、上記の両側壁面に隣接するようにハードバイアス層を形成するようにしてもよい。この場合には、フリー層内の磁化方向を揃えることができるので、好ましからざるバルクハウゼンノイズを抑制可能である。

発明の効果

0028

本発明に係る磁気素子のスピンバルブ構造およびCCP−GMRスピンバルブ構造、ならびに磁気再生ヘッドにおけるスピンバルブ構造の形成方法によれば、SyAP型ピンド層におけるAP2層を、鉄リッチな合金よりなる中間層と、この中間層を上下から挟み込むCoFeからなる上層および下層とにより構成されたFCC(面心立方格子)三層構造として形成すると共に、ピンド層とフリー層との間に配設する複合スペーサが1層以上の金属層(M層)と1層以上の半導体または半金属層(S層)とを含むようにしたので、従来の磁気再生ヘッドに比べて高いMR比を得ることができると共に、高い均一性と良好なEM性能とを確実に得ることが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0029

以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。

0030

本発明の実施の形態は、磁気記録装置における再生ヘッドのセンサとして用いられるCPP−GMRスピンバルブ構造に関するものである。この再生ヘッドは、一体型記録再生ヘッドの一部をなすものである。このようなCPP−GMRスピンバルブ構造は、200ギガビット/平方インチを越えるような記録密度に対応しうる超高密度磁気記録装置に特に適している。なお、本実施の形態で用いる図面は、あくまで例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。ここでは、ボトム型スピンバルブ構造について例示するが、本発明の複合スペーサ層をトップ型スピンバルブ構造のSyAPピンド層や多重スピンバルブ構造にも適用できることはいうまでもない。

0031

従来のCPP−GMRヘッドでは、銅スペーサが、金属CPP構造における全層薄膜(full film layer )構造、あるいはCCP−CPP構造における狭窄金属パス(confinedmetal path)として構成されていた。銅金属の抵抗は非常に小さいので、金属CPP構造では、抵抗変化率dR/Rが小さい値になることを余儀なくされていた。CCP−CPP構造の場合は、銅金属パスがAl2 O3 やMgO等の絶縁テンプレートを貫通するように制限的に形成されていることから、デルタRA(面積抵抗)値が著しく改善される。このような電流パスの狭窄構造により抵抗変化率dR/Rの向上は可能なのであるが、一方、不均一な銅金属パスに起因して特性が不均一になるという問題があることがわかった。このような不均一な銅金属パスは、スペーサの形成工程で用いられるプラズマイオン処理(plasma ion treatment;PIT)やイオンアシスト酸化(ion assisted oxidation;IAO)プロセスに因るものである。このスペーサ形成方法については、本出願人による特許出願(整理番号HT05- 015;特願2006−191899)において詳述されている。さらに、CCP−CPP構造では、銅金属パスのサイズが非常に微小であるため、必然的に電流密度が大きくなり、重大なEM問題が生じやすい。そこで、本出願人は、従来のスペーサ構造における上記課題を克服するため、新規な全層薄膜構造を用いるアプローチ見出すに至った。

0032

図1は、本発明の一実施の形態に係るボトム型スピンバルブ構造を有するCPP−GMRセンサを表すものである。この図は、再生ヘッドのエアベアリング面(ABS)に沿った断面を示している。本出願人は、以下に述べる複合スペーサ層の採用により、許容しうるEM性能を維持しつつMR比を著しく向上させることができるという驚くべき事実を見出した。

0033

図1において、スピンバルブ構造1は、基体10を基礎として形成される。基体10は、通常、再生ヘッドにおける第1の磁気シールド(S1)として構成される。具体的には、基体10は例えば、2μm程度の膜厚のNiFeめっき層である。第1の磁気シールドは、アルティック(AlTiC)等の下地構造(図示せず)の上に形成される。また、基体10の最上層として、例えばAl2 O3 等からなるギャップ層(図示せず)を形成するようにしてもよい。基体10上には、シード層11が形成されている。シード層11は、下側Ta層と上側Ru層(いずれも図示せず)とを積層して構成するのが好ましい。この場合、下側Ta層は1nm〜6nm(より好ましくは、5nm程度)の膜厚に形成し、上側Ru層は、0.5nm〜4nm(より好ましくは、2nm程度)の膜厚に形成するのが好ましい。但し、シード層はそれ以外の公知の構成にしてもよい。シード層11は、その上に形成される層が滑らかで均質結晶構造となるのを促進するので、スピンバルブ構造1におけるMR比を高めることができる。

0034

シード層11上にはAFM層12が形成されている。このAFM層12は、その上に形成される強磁性のピンド層20(後述)におけるAP2層の磁化方向を固定するのに用いられる。AFM層12は、イリジウム(Ir)を18〜22原子%程度含有するイリジウムマンガン(IrMn)により5nm〜7.5nm程度の膜厚に形成するのが好ましい。これに代えて、AFM層12を、マンガンを55〜65原子%程度含有する白金マンガン(MnPt)により12.5nm〜17.5nm程度の膜厚に形成するようにしてもよい。但し、AFM層12は、例えばNiMn、OsMn(オスミウムマンガン)、RuMn、RhMn(ロジウムマンガン)、PdMn(パラジウムマンガン)、RuRhMnまたはPtPdMn等の他の材料により構成してもよい。

0035

AFM層12の上には、シンセティック反平行(SyAP)構造を有するピンド層20が形成されている。このピンド層20は、AP2層16/結合層17/AP1層18という積層構造を有することが好ましい。結合層17は、例えばルテニウムにより構成される。AP2層16は、下層13と、中間層14と、上層15とを順に積層してなるFCC(面心立方格子)三層構造を有し、その組成は、例えば、CoZ Fe(100-Z) /CoY Fe(100-Y) /CoZ Fe(100-Z) で表される。ここで、yは0〜60原子%、zは75〜100原子%である。本出願人は、このFCC三層構造について、他の出願(整理番号HT05- 038;特願2006−257930)において詳述している。CoY Fe(100-Y) という組成の結中間層14は、FeCr、FeV(鉄バナジウム)、FeW(鉄タングステン)、FeZr、FeNb、FeHf、およびFeMo等の鉄リッチな合金によって置き換えてもよい。ここで、鉄リッチな合金とは、鉄の含有量が約40%以上(より好ましくは約70%以上)である合金をいう。下層13および上層15の組成CoZ Fe(100-Z) において、zは90原子%程度とするのが好ましい。Co90Fe10という組成は、容易にFCC構造をとるからである。本出願人は、Ta/Ru/IrMnという構成の[シード層11/AFM層12]積層構造の上にCo90Fe10(下層13)を成長させたところ、CoFe層(上層15)の[111]面がAP2層16と結合層17との界面に現れることを見出した。[111]面は、FCC構造に最も近い充填面(packed planes )であることから、他のタイプの結晶面の場合よりもエレクトロマングレーション現象がより抑制される。

0036

本実施の形態において、FCC三層構造という用語は、AP2層16における主要層がFCC材料からなり(好ましくは、下層13および上層15がCo90Fe10という組成をもち)、下層13および上層15の間に鉄リッチな合金が中間層14として挿入されていることを意味する。ここで注意すべきは、中間層14がFCC材料ではないということである。下層13は0.6nm〜1.5nm程度の膜厚を有するが、1nm〜5nm程度の膜厚の上層15よりも薄く形成することが好ましい。従来のAP2層/結合層/AP1層構造においては、AP2層がAP1層よりも薄く形成されていたが、本実施の形態では、AP2層16がAP1層18よりも厚く形成されており、これにより、実素子の増幅特性曲線(transfer curve of the real device )が非対称性をもつように平均調整(asymmetry mean adjustment )される。さらに、下層13は上層15よりも薄いことから、AFM層12との交換結合強度が増加する。鉄リッチな中間層14は、0.5nm〜2nm程度の膜厚であり、これもまた、AP2層16とAFM層12との交換結合強度を増加させるように作用する。3層構造のAP2層16は、従来のCo75Fe25またはCo50Fe50からなる単層AP2層よりも有利である。3層構造のAP2層16は、従来の単層AP2層と同等の交換結合強度を有する一方、そのFCC構造によってEM特性がかなり改善されるからである。

0037

AP2層16の磁気モーメントは、AP1層18の磁気モーメントと反平行になるように固定されている。具体的には、例えばAP2層16が+x方向の磁気モーメントをもつ一方、AP1層18は−x方向の磁気モーメントを有する。ここで注意すべきは、AP2層16を構成する下層13、中間層14および上層15はすべて同じ方向の磁気モーメントを有するということである。AP2層がAP1層とは異なる膜厚を有することから、小さな正味磁気モーメントがピンド層20に生ずる。AP2層16とAP1層18との間の交換結合は、結合層17によって助長される。この結合層17は、ルテニウムにより0.75nm程度の膜厚で形成することが好ましい。但し、必要に応じ、結合層17をロジウム(Rh)やイリジウム(Ir)により構成してもよい。

0038

AP1層18は、例えば、[CoFe/Cu]k /CoFeという積層構造を有するように構成可能である。ここで、kは1、2または3である。一つの例として、kが1の場合には、AP1層18はCoFe/Cu/CoFeという3層構造となる。第1層および第3層(図示せず)はそれぞれ、鉄含有量が50〜90原子%で膜厚が1nm〜2nm程度(より好ましくは1.8nm)のCoFe層とし、第2層は、膜厚が0.05nm〜0.4nm程度(より好ましくは0.2nm)の銅層とするのが好ましい。このような複合構造のAP1層18におけるCoFe層は、AP2層16を構成する下層13および上層15と同じCoZ Fe(100-Z) という組成をもつようにするのが好ましい。なお、CPP−GMR特性を向上させるためにAP1層18を積層構造とすることは従来より知られていることである。AP1層18が−x方向の磁気モーメントをもつ場合には、AP1層18のすべてのCoFe層およびCu層が−x方向の磁気モーメントをもつ。

0039

本実施の形態の重要な特徴は、複合スペーサ層21が、1層以上の金属層(M層)と1層以上の半導体または半金属層(S層)とを含むようにすることである。

0040

第1シリーズの具体例では、金属Mとして銅(Cu)を用い、半導体Sとして酸化亜鉛(ZnO)を用いる。この場合、複合スペーサ層21は、例えばCu/ZnOまたはZnO/Cuという構造になる。他の例として、複合スペーサ層21は、M層およびS層を交互に複数層積層して、Cu/ZnO/Cu、ZnO/Cu/ZnO、またはCu/ZnO/Cu/ZnO/Cuという構造にしてもよい。あるいは、複合スペーサ層21が(M/S/M) n という多重フォーマット構造を有するようにしてもよい。ここで、nは1以上の整数である。この第1シリーズの具体例では、Cu層の膜厚を0.05nm〜5nm程度とし、ZnO層の膜厚を0.1nm〜5nm程度にするのが好ましい。

0041

第2シリーズの具体例では、金属MとしてのCuの代わりに、0.05nm〜5nm程度の膜厚のAg、Au、Cr、AlまたはMgを用いる。この場合もまた、複合スペーサ層21は、M/S、S/M、M/S/M、S/M/S、M/S/M/S/M、または(M/S/M)n [nは1以上の整数]という構造となる。ここで、MはAg、Au、Cr、AlまたはMgのいずれかであり、Sは半導体または半金属である。

0042

第3シリーズの具体例では、複合スペーサ層21は、M/S、S/M、M/S/M、S/M/S、M/S/M/S/M、または(M/S/M)n [nは1以上の整数]という構造を有する。ここで、Mは金属であり、Sは半導体または半金属である。半導体としては、MgO、ZnX Mg(100-X) O[xは0〜99原子%], ZnCuO、ZnCdO、ZnAlO、ZnSe、ZnTe、Si、Ge、TiO2、AlN、GaN、InN、AlP、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、ZnS、CdS、CdTe、HgTe、PbS、PbSe、PbTe、SnTe、Cu2 O、FeSi2 、CrMnSi、Mg2 Si、RuSi3、Ir3 Si5 等があげられる。半金属としては、Sb、Bi、CoSi、CoX Fe(100-X) Si、CoX Ni(100-X) Si、CoX Mn(100-X) Si、CoX Cr (100-X) Si、FeSi等があげられる。

0043

必要に応じて、複合スペーサ層21のうちの1種以上のS層に1以上のドーパントを0〜20原子%の濃度でドープするようにしてもよい。ドーパントとしては、Si、B、Mg、Mn、Al、Cu、Cd、Cr、Ti、Zr、Hf、Ru、Mo、Nb、Co、Fe 、Ni等があげられる。それらのドーパントのS層への導入は、半導体または半金属中にドーパントを既に含有しているターゲットを用いたスパッタリングによって行うことができる。必要に応じて、半導体または半金属からなるターゲットと、ドーパント物質からなる第2のターゲットとを用意し、これらの2つのターゲットを用いて同時スパッタリングを行うことによりドーパントをS層に導入するようにしてもよい。このようなドーピングによって性能が向上する。その理由は完全にはわかっていないが、半導体または半金属層Sの内部における粒界がコントロールされることと関連しているものと考えられる。

0044

複合スペーサ層21の上にはフリー層22が形成されている。このフリー層22は、膜厚が0.5nm〜3nm程度の下側FeCo層(図示せず)と、膜厚が1nm〜6nm程度の上側NiFe層(図示せず)とを積層してなる複合構造を有する。本出願人の上記特許出願(整理番号HT05−015;特願2006−191899)で開示したように、下側FeCo層は、FeV Co(100-V) という組成を有するように構成し、上側NiFe層はNiW Fe(100-W) という組成を有するように構成可能である。ここで、vは20〜70原子%、wは85〜100原子%である。他の例として、下側FeCo層と上側NiFe層との間にCoFeB層を挿入して、3層構造のフリー層としてもよい。フリー層22の磁化モーメントは、非動作状態においてy軸に沿って配列するのが好ましい。フリー層22の磁化モーメントは、スピンバルブ構造1が磁気ディスク(図示せず)の上方をABS面に沿ってz方向に移動した際に適切なサイズの磁界印加されると、x軸方向に回転する。

0045

フリー層22の上には、このスピンバルブ構造1の最上層であるキャップ層23が形成されている。キャップ層23は、例えばCu/Ru/Ta/Ruという複合構造を有する。ここで、Cu層は1nm〜4nm程度の膜厚を有し、下側のRu層は1nm〜3nm程度の膜厚を有し、Ta層は4nm〜8nm程度の膜厚を有し、上側のRu層は1nm〜3nm程度の膜厚を有する。必要に応じて、上記以外の材料を用いてキャップ層23を構成するようにしてもよい。

0046

次に、図2を参照して、図1に示したスピンバルブ構造1を含む磁気再生ヘッド30の製造方法を説明する。まず、上記した基体10を形成する。この基体10は、通常、従来からの磁気再生ヘッドの製造方法において形成される第1の磁気シールドに相当するものである。次に、基体10の上に、シード層11、AFM層12、ピンド層20、複合スペーサ層21、フリー層22およびキャップ層23を順に成膜することにより、上記したスピンバルブ構造1を形成する。これらの層の成膜は、ベース圧力が133×10-8[Pa](≒1×10-8[Torr])、より好ましくは、665×10-9[Pa](≒5×10-9[Torr])以下であるようなスパッタシステム(例えば、アネルバ社製の直流マグネトロンスパッタステム)を用いて行う。ベース圧力が低いほど、より均一性の高いスパッタ膜を高い再現性で得ることができる。スパッタチャンバには、低圧放電カソードとしての複数のターゲットを配置する。スパッタガスにはアルゴン(Ar)を用いるのが好ましい。上記のすべてのスパッタ膜を同一のチャンバ内で成膜してもよいし、あるいは、同じ装置本体(メインフレーム)内の異なるチャンバ内で成膜するようにしてもよい。例えば、シード層11、AFM層12、ピンド層20、および複合スペーサ層21の下側のM層(図示せず)までを同一チャンバ内で成膜することが可能である。

0047

複合スペーサ層21のS層を、金属酸化物(例えばZnO)により構成する場合には、金属元素(Zn)をまず薄膜として成膜したのち、この薄膜を、スパッタ成膜装置酸化チャンバ内において、ラジカル酸化(ROX)、自然酸化(NOX)、またはプラズマ酸化プロセスによって酸化する。これにより、ZnO層を得る。あるいは、S層が、例えばZnCuOのように、ABO(AおよびBは金属)という形で表される三成分酸化物(ternary oxide) 層である場合には、まず合金ABを成膜したのち、この膜をROX、NOXまたはプラズマ酸化プロセスによって酸化することにより、ABO層を形成することができる。必要に応じて、ABOという形を含む金属酸化物からなるターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、ABOタイプの金属酸化膜を直接成膜するようにしてもよい。なお、Mg層のプラズマ酸化によりMgO層を形成する方法が、R.Daveによる「MgO-based tunnel junction material for high speed ToggleMRAM 」,IEEE Trans.Magn.,V42,P.1935-39(2006) 」に開示されている。

0048

スピンバルブ積層体のすべての層を基体10上に成膜したのち、所定の軸方向に沿って107 /4π[A/m](=10000[Oe])の磁界を印加した状態で、280°Cで5時間にわたってアニール処理を行う。こののち、例えば、フォトレジスト層(図示せず)と、イオンビームエッチング(IBE)または反応性イオンエッチングRIE)とを用いた公知の方法により、スピンバルブ積層体を選択的にエッチングしてパターニングする。このエッチングステップにより、上面23aと側壁面20sとを有するスピンバルブ構造1が画定される。続いて、通常は、側壁面20sを覆う厚さまで絶縁層24を形成する。このとき、絶縁層24の内部に、スピンバルブ構造1の側壁面20sに近接するようにバイアス層(図示せず)を形成することにより、フリー層22に縦バイアスを印加するようにしてもよい。続いて、リフトオフ法によりフォトレジスト層を除去したのち、化学機械研磨(CMP)等の平坦化手法によって絶縁層24を平坦化することにより、スピンバルブ構造1の上面23aと絶縁層24の上面とを共面にする。

0049

磁気再生ヘッド30の残りの部分は、従来と同様の方法によって形成可能である。例えば、スピンバルブ構造1の上面23aおよび絶縁層24の上面を覆うように第2の磁気シールド25を形成する。よく知られているように、CPPスピンバルブ構造においては、第2の磁気シールド25(S2)が上部導電リード層として兼用され、第1の磁気シールド10(S1)が下部導電リード層として兼用される。

0050

本実施の形態の複合スペーサ層をスピンバルブ構造に採用することによって達成される性能向上を明示すべく、一連のCPP−GMR素子サンプルを作製し、テストを行った。これに先立って、従来型のCuスペーサをもつこと以外は同様の構造を有するCPP−GMR素子を比較例サンプルとして作製し、テストしたところ、1.5%〜2%程度のMR比(dR/R)と、0.05[Ω・μm2 ]程度の面積抵抗値(RA値)を得た。

0051

[実施例1]
本実施例では、次のような構成のボトム型スピンバルブ構造のサンプルを作製した。

0052

Ta1/Ru1/IrMn7/Fe10Co901/Fe70Co301.4/Fe10Co902/Ru0.75/Fe70Co301.5/Cu0.2/Fe70Co301.5/Cu0.3/ZnO1.5/Cu0.3/Fe70Co300.8/CoFeB1.2/Ni90Fe106/Cu3/Ru1/Ta6/Ru3

0053

ここで、元素の右下添字は含有量(原子%)を意味し、各層の後ろ全角数値は膜厚(nm)を意味する。例えば、Fe10Co901は、鉄含有量が10原子%でコバルト含有量が90原子%のFeCo層を1nmの膜厚に形成することを示している。以下の実施例においても同様である。この構造をより詳細に説明すると、以下のようになる。
シード層:Ta1/Ru1
AFM層:IrMn7
AP2層 :Fe10Co901/Fe70Co301.4/Fe10Co902
結合層:Ru0.75
AP1層 :Fe70Co301.5/Cu0.2/Fe70Co301.5
複合スペーサ層:Cu0.3/ZnO1.5/Cu0.3
フリー層:Fe70Co300.8/CoFeB1.2/Ni90Fe106
キャップ層:Cu3/Ru1/Ta6/Ru3

0054

このような構造のCPP−GMR素子の特性を測定したところ、dR/R=10%、RA=0.092[Ω・μm2 ]という値を得た。このdR/Rの値は、全膜層構造を有する従来のCPP−GMR素子に比べてかなり改善された値である。なお、本実施例のサンプルは、複合スペーサ層がM/S/M(M=Cu、S=ZnO)という構造をもつようにした一例である。

0055

[実施例2]
本実施例では、次のような構成のボトム型スピンバルブ構造のサンプルを作製した。

0056

Ta1/Ru1/IrMn7/Fe10Co901/Fe70Co301.4/Fe10Co902/Ru0.75/Fe70Co301.5/Cu0.2/Fe70Co301.5/ZnO0.8/Cu0.2/ZnO0.8/Fe70Co300.8/CoFeB1.2/Ni90Fe106/Cu3/Ru1/Ta6/Ru 3

0057

本実施例のサンプルは、複合スペーサ層がS/M/S(M=Cu、S=ZnO)という構造をもつようにした一例である。この構造のCPP−GMR素子の特性を測定したところ、dR/R=17%、RA=0.342[Ω・μm2 ]という値を得た。これらの値は、全膜層構造を有する従来のCPP−GMR素子に比べてかなり改善された値である。

0058

[実施例3]
本実施例では、次のような構成のボトム型スピンバルブ構造のサンプルを作製した。

0059

Ta1/Ru1/IrMn7/Fe10Co901/Fe70Co301.4/Fe10Co902/Ru0.75/Fe70Co301.5/Cu0.2/Fe70Co300.5/Cu0.2/ZnO0.8/Cu0.2/ZnO0.8/Cu0.2/Fe70Co300.8/CoFeB1.2/Ni90Fe106/Cu3/Ru1/Ta6/Ru3

0060

本実施例のサンプルは、複合スペーサ層がM/S/M/S/M(M=Cu、S=ZnO)という構造をもつようにした一例である。この構造のCPP−GMR素子の特性については測定しなかったが、上記実施例1,2の結果から、Cuスペーサを有する従来のCPP−GMR素子に比べて改善された特性が得られるであろうことが予測される。

0061

[実施例4]
本実施例では、次のような構成のボトム型スピンバルブ構造のサンプルを作製した。

0062

Ta1/Ru1/IrMn7/Fe10Co901/Fe70Co301.4/Fe10Co902/Ru0.75/Fe70Co301.5/Cu0.2/Fe70Co300.5/Cu0.5/ZnO1.5/Fe70Co300.8/CoFeB1.2/Ni90Fe106/Cu3/Ru1/Ta6/Ru3

0063

本実施例のサンプルは、複合スペーサ層がM/S(M=Cu、S=ZnO)という構造をもつようにした一例である。この構造のCPP−GMR素子の特性については測定しなかったが、上記実施例1,2の結果から、Cuスペーサを有する従来のCPP−GMR素子に比べて改善された特性が得られるであろうことが予測される。

0064

[実施例5]
本実施例では、次のような構成のボトム型スピンバルブ構造のサンプルを作製した。

0065

Ta1/Ru1/IrMn7/Fe10Co901/Fe70Co301.4/Fe10Co902/Ru0.75/Fe70Co301.5/Cu0.2/Fe70Co300.5/ZnO1.5/Cu0.5/Fe70Co300.8/CoFeB1.2/Ni90Fe106/Cu3/Ru1/Ta6/Ru3

0066

本実施例のサンプルは、複合スペーサ層がS/M(M=Cu、S=ZnO)という構造をもつようにした一例である。この構造のCPP−GMR素子の特性については測定しなかったが、上記実施例1,2の結果から、Cuスペーサを有する従来のCPP−GMR素子に比べて改善された特性が得られるであろうことが予測される。

0067

特定の理論に拘するわけではないが、本発明の複合スペーサ層に起因してdR/Rが向上するメカニズムは、ZnO等の半導体の粒界が複数の導電チャネルを形作ることによって電流が制限されることに関係していると考えられる。そのような複数の導電チャネルが絶縁性粒子間に分散的に存在し、これらが、銅層(M層)を通してスピン分極電流を伝える電流制限チャネルのように振る舞う結果、優れた磁気抵抗効果が発現するのである。そのメカニズムは、半導体(または半金属)の粒界による導電チャネルが関与しているという点を除き、従来のCCP−CPP構造の電流制限作用に似ている。

0068

ここに開示したCCP−GMRスピンバルブ構造は、小さなRA値と許容し得るEM特性とを確保しつつ、そのユニークな複合スペーサ構造によって、従来のCPP−GMR素子に比べてかなり優れたdR/Rを発現するという効果をもたらすものである。そのような許容し得るEM特性が得られるのは、AP2層をFCC三層構造として構成したことに起因する。

0069

以上、実施の形態およびいくつかの実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、複合スペーサ層を備えたCPPスピンバルブ構造を磁気再生ヘッドに適用する場合について説明したが、これに限られず、CPP−GMR素子を用いた各種の磁気素子、例えば電流センサ磁気方位センサ磁性微粒子検出センサおよび加速度センサ等の各種の磁気センサや、MRAM(magnetic random access memory )等の磁気メモリにも適用可能である。

図面の簡単な説明

0070

本発明の一実施の形態におけるCPP−GMR再生ヘッドのスピンバルブ構造を表す断面図である。
第1のシールド層と第2のシールドとの間にCPP−GMRスピンバルブ構造を配してなるCPP−GMR再生ヘッドの要部構造を示す断面図である。

符号の説明

0071

1…スピンバルブ構造、10…基体(第1の磁気シールド兼下部導電リード)、11…シード層、12…AFM層、13…下層、14…中間層、15…上層、16…AP2層、17…結合層、18…AP1層、20…ピンド層、21…複合スペーサ層、22…フリー層、23…キャップ層、24…絶縁層、25…第2の磁気シールド(兼上部導電リード)、30…磁気再生ヘッド。

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