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技術 追記型光記録媒体

出願人 株式会社リコー
発明者 笹登藤原将行林嘉隆藤井俊茂佐々木俊英関口洋義安福秀幸田中かをり牧田憲吾岩田周行
出願日 2007年5月22日 (12年11ヶ月経過) 出願番号 2007-135903
公開日 2008年11月13日 (11年5ヶ月経過) 公開番号 2008-276900
状態 拒絶査定
技術分野 光学的記録担体およびその製造
主要キーワード 固体元素 低酸化物 出発原材料 結晶析出量 オージェ電子分光分析法 グロー放電発光分析 三元酸化物 平均溝幅
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年11月13日)のものです。
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図面 (8)

課題

青色波長領域(350〜500nm)、特に405nm近傍レーザ光で良好な記録再生特性を示し、高密度記録可能で、記録感度が従来品よりも高い、金属又は半金属酸化物を主成分として含有する記録層を有する追記型光記録媒体の提供。

解決手段

支持基板上に、少なくとも、 イ)金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体において、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能である追記型光記録媒体。

概要

背景

青色波長領域(350〜500nm)のレーザ光による記録再生が可能な追記型光記録媒体に関しては、超高密度記録が可能となる青色レーザの開発が急速に進んでおり、それに対応した追記型光記録媒体の開発が行われている。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、主に有機材料の分解・変質による屈折率変化を生じさせて記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機材料の光学定数分解挙動が、良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
従って、青色波長レーザ対応の追記型光記録媒体の記録層に用いる有機材料としては、青色波長レーザに対する光学的性質や分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。
即ち、従来のHigh to Low極性を有する追記型光記録媒体では、未記録時反射率を高め、またレーザの照射によって有機材料が分解し、大きな屈折率変化が生じるようにするため(これによって大きな変調度が得られる)、記録再生波長は大きな吸収帯長波長側の裾に位置するように選択される。
何故ならば、有機材料の大きな吸収帯の長波長側の裾は、適度な吸収係数を有し、且つ大きな屈折率が得られる波長領域となるためである。

しかしながら、青色波長レーザに対する光学的性質が、従来の赤色波長レーザ対応の記録材料並みの値を有する記録材料は見出されていない。何故ならば、有機材料の吸収帯を青色波長近傍に持たせるには、分子骨格を小さくするか、或いは共役系を短くする必要があるが、そうすると吸収係数の低下、即ち屈折率の低下を招くためである。
つまり、青色波長近傍に吸収帯を持つ有機材料は多数存在し、吸収係数を制御することは可能であるが、大きな屈折率を持たないので、大きな変調度を得ることができないのである。
また、有機色素は、無機材料に比べ安定性が劣るため、保存性耐光性に問題がある。そこで、青色波長レーザに対応する追記型光記録媒体では、無機材料を記録層に用いることが検討されている。
青色波長レーザに対応する追記型光記録媒体用の無機材料を用いた記録層としては、例えば、特許文献1に、書き換え型光記録媒体と同様の相変化材料を用いたものが提案されているが、追記型光記録媒体は長期保存が求められるため、相変化材料では保存特性が不十分である。
また、特許文献2のように無機材料を複数層積層し、その反応を利用して記録を行う方法も提案されているが、複数層の反応を利用したものは時間と共に反応が進むため長期保存には適していない。

一方、金属又は半金属を記録層として利用する技術としては、特許文献3、4が挙げられる。特許文献3ではTe、Oと更に他の元素を添加した記録層が開示されており、特許文献4では遷移金属不完全酸化物を用いたものも開示されている。また、特許文献4では、遷移金属以外の元素を含むものも発明に含まれるとしているが、Al以外に具体的な元素の記述はなく、遷移金属の定義としては、Zn、Yなどを含む場合と含まない場合があって不明確であり、W、Mo以外は詳細な記述はない。
これらの特許文献3、4では、本発明が解決しようとする課題、即ち高感度化についての具体的な記載はない。
ところで、酸化物を記録層とする追記型光記録媒体は、記録層の熱伝導率が低く、記録マーク間熱干渉を抑制できるため、高密度化に適していると言える。
この酸化物を記録層とする場合、更に記録特性を改善する方法として、酸化物の酸化度を落とす(酸素欠損量を増やす)ことが提案されている。

化学量論組成よりも酸素が少ない材料を、赤色や赤外の波長領域で用いた技術については、例えば、TeOx(0<x<2)を用いたもの(特許文献5)、TeOx、GeOx、SnOx、BiOx、SbOx、TlOxの中から選ばれた少なくとも1つとS、Seのうちの少なくとも1つを含むもの(特許文献6)、低酸化物GeOx中にTeとSbを含有するか、SbOxにTeとGeを含有するもの(特許文献7)、NiOxで表されるNiの低酸化物を用いたもの(特許文献8)、Inの低酸化物にレーザ光を照射して画像を形成する情報記録方式(特許文献9)などがある。
更に、特許文献10には、赤色波長領域での低酸化物に関し、TeOxにSn、In、Bi、Zn、Al、Cu、Ge、Sbから選ばれる元素を添加した発明が開示されている。その本文中にはBiOxに関する記述もあり、Te、Sb、Geを添加した場合に効果的であると記載されている。但し、この発明は、光照射により光の透過率が変化する、いわゆる黒化現象を利用した発明であり、黒化により記録したものが光照射により再び元の透過率に戻るという可逆性がある膜についての発明である。
しかし、上記特許文献5〜10は、赤色や赤外の波長領域で記録再生を行う媒体に関するものであり、青色波長レーザに対応する技術ではない。

そこで、青色波長レーザでも高密度の記録が可能な追記型光記録媒体として、本発明者らは先願(特許文献11〜12参照)において、金属又は半金属の酸化物、とりわけ酸化ビスマスを主成分とする記録層の有用性を提案している。
これらの追記型光記録媒体は、記録層の熱伝導率が低く、記録マーク間の熱干渉を抑制できるため、高密度化に適していると言える。
金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層を有する追記型光記録媒体では、次のような変化が主たる記録原理になっており、核生成及びその成長による相分離が記録の根源と考えられる。
・金属又は半金属の酸化物が記録光の照射による光又は熱によって分解し、金属又は
半金属単体が生成する。
・金属又は半金属単体が微結晶化を起こす。
・金属又は半金属の酸化物が微結晶化を起こす。
・金属又は半金属単体と、金属又は半金属の酸化物が相分離を起こす。
・複数の金属又は半金属の酸化物が混合している場合、異なる酸化物同士が相分離す
る。

ところで、青色波長レーザ対応の追記型光記録媒体に用いられる記録材料に関しては、今後更なる高速記録が望まれることは容易に想像でき、更なる高記録感度化が必要不可欠である。しかし、金属又は半金属の酸化物単独では、例えば特許文献1に示されているような相変化材料や、特許文献2に示されているような金属材料に比べて、記録再生光に対する吸収係数がやや小さく、今後要求される更なる高記録感度化に対して記録感度が不足するという問題がある。
本発明者等は、この金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層の感度を、記録再生特性劣化させずに更に向上させる方法として、金属又は半金属の酸化物の酸化度を落とす(酸素欠損量を増やす)ことが有効であることを確認し出願している(特許文献13)。この先願発明では、ビスマスの酸化物に他の酸化物を含有させ、該酸化物の酸素含有量を化学量論組成より少なくしている。この場合も、記録原理は上記と同様であるが、金属ビスマスの存在によって、記録光に対する記録層の吸収係数を増加させることができるため、記録感度が改善される。また、ビスマスの酸化物において、化学量論組成よりも酸素含有量を少なくすると、金属ビスマスの結晶析出し易くなり、青色波長領域においても大きな変調度が得られる。

更に、金属ビスマスの存在比率を高めても、金属ビスマスの凝集が起こらないようにするため、ビスマスの酸化物に他の酸化物を含有させる方法が有効である。この方法では、金属ビスマスの存在比率が増えて、マトリックスであるビスマスの酸化物が減少した分を、他の酸化物を含有させることにより補い、金属ビスマスに対するマトリックスの比率を減少させないようにすることで、金属ビスマスの凝集を防ぐことができる。
この方法によって、記録層がビスマスの酸化物だけから構成される場合よりも、ビスマスの酸化物における酸素含有量を、更に化学量論組成より少なくすることができ、感度改善に効果がある。
また、ビスマスの酸化物に他の酸化物を添加して結晶析出量の拡大を抑制すると、小さいマークの形成が良好になり、高密度化が容易になる。更に、他の酸化物の添加により、記録マークが安定化し保存安定性が向上する。

ビスマスの酸化物に他の酸化物を含有させた記録層を有する追記型光記録媒体の、主たる記録原理は、次のような変化によると考えられる。
・ビスマスの酸化物が、記録光の照射による光又は熱によって分解し、金属ビスマス
が生成する。
・金属ビスマスが微結晶化を起こす。
・ビスマスの酸化物が微結晶化を起こす。
・他の酸化物が微結晶化を起こす。
・金属ビスマスと、ビスマスの酸化物及び/又は他の酸化物が相分離を起こす。
ビスマス酸化物と、他の酸化物が相分離を起こす。

上記金属又は半金属の酸化度を落とす方法の例としては、金属又は半金属の酸化物をスパッタ法等により成膜する際に、酸素量を制御したり、スパッタリングターゲット組成を制御したりする方法(金属又は半金属の酸化物を主成分とするスパッタリングターゲット中に、該酸化物を形成する金属又は半金属を添加する方法)が挙げられる。
しかしながら、この方法では、次のような課題がある。
・記録層中又はスパッタリングターゲット中の、金属又は半金属の酸化物の酸素欠損
量が増加すると、記録再生特性や記録感度が逆に悪化する。
・スパッタリングターゲット中の、金属又は半金属の酸化物の酸素欠損量が増加する
とスパッタリングターゲットが作製しづらくなったり、耐久性が悪くなる。
・酸化度の膜厚方向均一性を制御することが困難である。

記録層中の、金属又は半金属の酸化物の酸化度が落ちすぎると、金属又は半金属の融点が低い場合、記録によって金属又は半金属が溶融するため、本来の記録原理である相分離が起こりづらくなる。
また、金属又は半金属単体の熱伝導率は、金属又は半金属の酸化物に比べて非常に高いため、金属又は半金属単体の含有量がある程度以上多くなると、記録感度が悪化したり、変調度が小さくなったりする等、記録再生特性が悪化する。
更に、金属又は半金属の酸化物において、化学量論組成に比べて酸素含有量を少なくするほど(即ち金属又は半金属の存在比率を高めるほど)、析出する結晶が大きくなり小さいマークを記録することが難しくなる。
また、記録層が1種類の金属又は半金属の酸化物のみから形成される場合、金属又は半金属の酸化物における酸素含有量を化学量論組成よりも少なくしようとすると、マトリックスである金属又は半金属の酸化物が減少するため、金属又は半金属が凝集し易くなり、酸化度の膜厚方向の均一性が悪化してしまう。

したがって、金属又は半金属の酸化物における酸素含有量を化学量論組成よりも少なくして、金属又は半金属の含有量を増加させる場合、金属又は半金属の酸化物をマトリックスとしてその中に金属又は半金属を分散させること、或いは、金属又は半金属と、金属又は半金属の酸化物を均一に混合させることが重要となる。
金属又は半金属が均一でなく、局所的に多く存在する箇所があると、その場所では溶融モードが記録原理の主体となってしまうため、好ましくなく、また、その場所では、再生光の照射によっても溶融を起こす可能性があり、再生安定性が著しく低下する場合があるので、好ましくない。
つまり、記録原理の根幹をなす金属又は半金属の酸化物の酸化度を落とすことは、有効な手段ではあるものの、酸化度を落とし過ぎると、記録原理の根幹である物質を失い、かつ主体となる記録原理を阻害する記録原理を発生させることになるため、記録再生特性や記録感度の悪化を招く恐れがある。

ところで、本発明と類似の層構成、即ち、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層と、硫化物と酸化物の混合体を主成分とする隣接層が積層された層構成は、例えば本出願人の出願に係る特許文献14、及び特願2006−038514に開示されている。
特許文献14には、(1)レーザ光照射側から、基板、(下引層)、ビスマス及び/又はビスマス酸化物を主成分として含有する記録層、上引層反射層が順次積層された追記型光記録媒体であって、該基板の平坦部にレーザを照射した時の反射率が35%以下であることを特徴とする追記型光記録媒体、(2)記録層の膜厚が3〜20nm、上引層の膜厚が5〜60nm、又は70〜150nmであることを特徴とする(1)記載の追記型光記録媒体が開示されている。
特願2006−038514には、レーザ光入射側から、少なくとも第一情報層、中間層、第二情報層をこの順に有し、第一情報層及び第二情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜Re層)と、ZnSとSiO2を主成分とするZnS・SiO2層が積層形成されており、第一情報層のZnS・SiO2層の膜厚t1と第二情報層のZnS・SiO2層の膜厚t2とが、t2/t1=0.7〜1.5の範囲にあることを特徴とする追記型2層構成光記録媒体、及び、レーザ光入射側から、少なくとも第一情報層、中間層、第二情報層をこの順に有し、第一情報層及び第二情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(Re層)と、ZnSとSiO2を主成分とするZnS・SiO2層が積層形成されており、第一情報層のZnS・SiO2層の膜厚t1と第二情報層のZnS・SiO2層の膜厚t2とが、t2/t1=4.5〜6.0の範囲にあることを特徴とする追記型2層構成光記録媒体が開示されている。

上述のように、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層、及び、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層に、酸化物、窒化物炭化物弗化物、硫化物から選択された1種以上の化合物を主成分とする層が隣接して積層された構成は、先行技術において多数提案されている。
しかしながら、ジッタ、PRSNR、エラーレート、変調度、再生安定性、保存信頼性等で代表される記録再生特性の改良、及び記録感度の更なる向上を目的として、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層中に、本発明のような特定隣接層構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を形成させることを提案している先行技術は見当たらない。

特開平09−286174号公報
特開2004−79020号公報
特開2002−133712号公報
特開2003−237242号公報
特開昭50−46317号公報
特許第1444471号公報
特許第1849839号公報
特許第2656296号公報
特開昭51−21780号公報
特公平7−25209号公報
特開2005−108396号公報
特開2005−161831号公報
特開2006−248177号公報
特開2006−192885号公報

概要

青色波長領域(350〜500nm)、特に405nm近傍のレーザ光で良好な記録再生特性を示し、高密度記録可能で、記録感度が従来品よりも高い、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層を有する追記型光記録媒体の提供。支持基板上に、少なくとも、 イ)金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層 ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体において、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能である追記型光記録媒体。

目的

上記特許文献13に係る発明は非常に有効であるが、高速化、高感度化の要求は留まることを知らない。そこで、本発明は、青色波長領域(350〜500nm)、特に405nm近傍のレーザ光で良好な記録再生特性を示し、高密度記録可能で、記録感度が従来品よりも高い、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層を有する追記型光記録媒体の提供を目的とする。
なお、本発明を説明する際に用いる、金属又は半金属の酸化物の酸化度を落とす(酸素欠損量を増やす)という表現と、金属又は半金属の酸化物の酸素含有量を化学量論組成よりも少なくするという表現は、同じ内容を意味するものとする。
また、金属又は半金属の酸化物の酸化度が低い、或いは金属又は半金属の酸化物の酸素含有量が化学量論組成よりも少ないと表現する場合には、下記のa)〜b)の場合だけでなく、c)の場合も含むものとする。即ち、酸化物の酸素含有量自体は化学量論組成であるが、酸化物を形成する金属又は半金属を添加したことにより、記録層中の金属又は半金属の量が増えたため、金属又は半金属の原子数を中心にして酸化物の組成を見た場合には、酸素含有量が化学量論組成よりも少ないという場合も含むものとする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属酸化物を主成分として含有する記録層ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域レーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。

請求項2

支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合している元素単体とを主成分として含有する記録層ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。

請求項3

支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体とを主成分として含有する記録層ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。

請求項4

支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する記録層ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。

請求項5

支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合している元素の単体と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する記録層ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。

請求項6

追記型光記録媒体の膜厚方向組成分析した時、前記記録層の主成分である酸化物を構成する金属又は半金属の原子数が、記録層における最大値の半分になる位置を、記録層とその両側の隣接層との界面と規定した場合に、該界面により定まる記録層の中心において、特定隣接層の構成元素の占める割合が、記録層中の元素の5原子%以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の追記型光記録媒体。

請求項7

支持基板側から記録再生が行われる追記型光記録媒体であって、記録再生が行われる側から見て、記録層より奥側に特定隣接層が配置されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の追記型光記録媒体。

請求項8

支持基板と反対側から記録再生が行われる追記型光記録媒体であって、記録再生が行われる側から見て、記録層より手前側に特定隣接層が配置されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の追記型光記録媒体。

請求項9

特定隣接層が酸化物、窒化物炭化物弗化物硫化物の何れかを含有し、特定隣接層元素分散領域に分散している特定隣接層の構成元素が、該酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物の何れかにおいて、それぞれ酸素、窒素炭素弗素硫黄の何れかと結合していた元素であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の追記型光記録媒体。

請求項10

特定隣接層がZnSを主成分とし、特定隣接層元素分散領域に分散している特定隣接層の構成元素がZnであることを特徴とする請求項9記載の追記型光記録媒体。

請求項11

記録層、特定隣接層、保護層が順に積層され、該特定隣接層が、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素M′の単体を主成分とすることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の追記型光記録媒体。

請求項12

支持基板上に少なくとも記録層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層が、次のイ−1)〜イ−5)の何れかであり、且つ該記録層中に、該記録層製膜後に新たに打ち込まれた、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体からなるM元素分散領域を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。イ−1)金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層イ−2)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合している元素の単体とを主成分として含有する記録層イ−3)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体とを主成分として含有する記録層イ−4)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する記録層イ−5)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合している元素の単体と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する記録層

請求項13

金属又は半金属がビスマスであることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の追記型光記録媒体。

請求項14

記録層に記録再生レーザ光を照射したときの複素屈折率虚部の値が0.30以上、実部の値が2.20以上であることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の追記型光記録媒体。

技術分野

0001

本発明は、追記型(WORM:Write Once Read Many)光記録媒体係り、特に青色波長領域(350〜500nm)のレーザ光による高密度記録が可能で、記録感度の優れた追記型光記録媒体に関する。

背景技術

0002

青色波長領域(350〜500nm)のレーザ光による記録再生が可能な追記型光記録媒体に関しては、超高密度記録が可能となる青色レーザの開発が急速に進んでおり、それに対応した追記型光記録媒体の開発が行われている。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、主に有機材料の分解・変質による屈折率変化を生じさせて記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機材料の光学定数分解挙動が、良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
従って、青色波長レーザ対応の追記型光記録媒体の記録層に用いる有機材料としては、青色波長レーザに対する光学的性質や分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。
即ち、従来のHigh to Low極性を有する追記型光記録媒体では、未記録時反射率を高め、またレーザの照射によって有機材料が分解し、大きな屈折率変化が生じるようにするため(これによって大きな変調度が得られる)、記録再生波長は大きな吸収帯長波長側の裾に位置するように選択される。
何故ならば、有機材料の大きな吸収帯の長波長側の裾は、適度な吸収係数を有し、且つ大きな屈折率が得られる波長領域となるためである。

0003

しかしながら、青色波長レーザに対する光学的性質が、従来の赤色波長レーザ対応の記録材料並みの値を有する記録材料は見出されていない。何故ならば、有機材料の吸収帯を青色波長近傍に持たせるには、分子骨格を小さくするか、或いは共役系を短くする必要があるが、そうすると吸収係数の低下、即ち屈折率の低下を招くためである。
つまり、青色波長近傍に吸収帯を持つ有機材料は多数存在し、吸収係数を制御することは可能であるが、大きな屈折率を持たないので、大きな変調度を得ることができないのである。
また、有機色素は、無機材料に比べ安定性が劣るため、保存性耐光性に問題がある。そこで、青色波長レーザに対応する追記型光記録媒体では、無機材料を記録層に用いることが検討されている。
青色波長レーザに対応する追記型光記録媒体用の無機材料を用いた記録層としては、例えば、特許文献1に、書き換え型の光記録媒体と同様の相変化材料を用いたものが提案されているが、追記型光記録媒体は長期保存が求められるため、相変化材料では保存特性が不十分である。
また、特許文献2のように無機材料を複数層積層し、その反応を利用して記録を行う方法も提案されているが、複数層の反応を利用したものは時間と共に反応が進むため長期保存には適していない。

0004

一方、金属又は半金属を記録層として利用する技術としては、特許文献3、4が挙げられる。特許文献3ではTe、Oと更に他の元素を添加した記録層が開示されており、特許文献4では遷移金属不完全酸化物を用いたものも開示されている。また、特許文献4では、遷移金属以外の元素を含むものも発明に含まれるとしているが、Al以外に具体的な元素の記述はなく、遷移金属の定義としては、Zn、Yなどを含む場合と含まない場合があって不明確であり、W、Mo以外は詳細な記述はない。
これらの特許文献3、4では、本発明が解決しようとする課題、即ち高感度化についての具体的な記載はない。
ところで、酸化物を記録層とする追記型光記録媒体は、記録層の熱伝導率が低く、記録マーク間熱干渉を抑制できるため、高密度化に適していると言える。
この酸化物を記録層とする場合、更に記録特性を改善する方法として、酸化物の酸化度を落とす(酸素欠損量を増やす)ことが提案されている。

0005

化学量論組成よりも酸素が少ない材料を、赤色や赤外の波長領域で用いた技術については、例えば、TeOx(0<x<2)を用いたもの(特許文献5)、TeOx、GeOx、SnOx、BiOx、SbOx、TlOxの中から選ばれた少なくとも1つとS、Seのうちの少なくとも1つを含むもの(特許文献6)、低酸化物GeOx中にTeとSbを含有するか、SbOxにTeとGeを含有するもの(特許文献7)、NiOxで表されるNiの低酸化物を用いたもの(特許文献8)、Inの低酸化物にレーザ光を照射して画像を形成する情報記録方式(特許文献9)などがある。
更に、特許文献10には、赤色波長領域での低酸化物に関し、TeOxにSn、In、Bi、Zn、Al、Cu、Ge、Sbから選ばれる元素を添加した発明が開示されている。その本文中にはBiOxに関する記述もあり、Te、Sb、Geを添加した場合に効果的であると記載されている。但し、この発明は、光照射により光の透過率が変化する、いわゆる黒化現象を利用した発明であり、黒化により記録したものが光照射により再び元の透過率に戻るという可逆性がある膜についての発明である。
しかし、上記特許文献5〜10は、赤色や赤外の波長領域で記録再生を行う媒体に関するものであり、青色波長レーザに対応する技術ではない。

0006

そこで、青色波長レーザでも高密度の記録が可能な追記型光記録媒体として、本発明者らは先願(特許文献11〜12参照)において、金属又は半金属の酸化物、とりわけ酸化ビスマスを主成分とする記録層の有用性を提案している。
これらの追記型光記録媒体は、記録層の熱伝導率が低く、記録マーク間の熱干渉を抑制できるため、高密度化に適していると言える。
金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層を有する追記型光記録媒体では、次のような変化が主たる記録原理になっており、核生成及びその成長による相分離が記録の根源と考えられる。
・金属又は半金属の酸化物が記録光の照射による光又は熱によって分解し、金属又は
半金属単体が生成する。
・金属又は半金属単体が微結晶化を起こす。
・金属又は半金属の酸化物が微結晶化を起こす。
・金属又は半金属単体と、金属又は半金属の酸化物が相分離を起こす。
・複数の金属又は半金属の酸化物が混合している場合、異なる酸化物同士が相分離す
る。

0007

ところで、青色波長レーザ対応の追記型光記録媒体に用いられる記録材料に関しては、今後更なる高速記録が望まれることは容易に想像でき、更なる高記録感度化が必要不可欠である。しかし、金属又は半金属の酸化物単独では、例えば特許文献1に示されているような相変化材料や、特許文献2に示されているような金属材料に比べて、記録再生光に対する吸収係数がやや小さく、今後要求される更なる高記録感度化に対して記録感度が不足するという問題がある。
本発明者等は、この金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層の感度を、記録再生特性劣化させずに更に向上させる方法として、金属又は半金属の酸化物の酸化度を落とす(酸素欠損量を増やす)ことが有効であることを確認し出願している(特許文献13)。この先願発明では、ビスマスの酸化物に他の酸化物を含有させ、該酸化物の酸素含有量を化学量論組成より少なくしている。この場合も、記録原理は上記と同様であるが、金属ビスマスの存在によって、記録光に対する記録層の吸収係数を増加させることができるため、記録感度が改善される。また、ビスマスの酸化物において、化学量論組成よりも酸素含有量を少なくすると、金属ビスマスの結晶析出し易くなり、青色波長領域においても大きな変調度が得られる。

0008

更に、金属ビスマスの存在比率を高めても、金属ビスマスの凝集が起こらないようにするため、ビスマスの酸化物に他の酸化物を含有させる方法が有効である。この方法では、金属ビスマスの存在比率が増えて、マトリックスであるビスマスの酸化物が減少した分を、他の酸化物を含有させることにより補い、金属ビスマスに対するマトリックスの比率を減少させないようにすることで、金属ビスマスの凝集を防ぐことができる。
この方法によって、記録層がビスマスの酸化物だけから構成される場合よりも、ビスマスの酸化物における酸素含有量を、更に化学量論組成より少なくすることができ、感度改善に効果がある。
また、ビスマスの酸化物に他の酸化物を添加して結晶析出量の拡大を抑制すると、小さいマークの形成が良好になり、高密度化が容易になる。更に、他の酸化物の添加により、記録マークが安定化し保存安定性が向上する。

0009

ビスマスの酸化物に他の酸化物を含有させた記録層を有する追記型光記録媒体の、主たる記録原理は、次のような変化によると考えられる。
・ビスマスの酸化物が、記録光の照射による光又は熱によって分解し、金属ビスマス
が生成する。
・金属ビスマスが微結晶化を起こす。
・ビスマスの酸化物が微結晶化を起こす。
・他の酸化物が微結晶化を起こす。
・金属ビスマスと、ビスマスの酸化物及び/又は他の酸化物が相分離を起こす。
ビスマス酸化物と、他の酸化物が相分離を起こす。

0010

上記金属又は半金属の酸化度を落とす方法の例としては、金属又は半金属の酸化物をスパッタ法等により成膜する際に、酸素量を制御したり、スパッタリングターゲット組成を制御したりする方法(金属又は半金属の酸化物を主成分とするスパッタリングターゲット中に、該酸化物を形成する金属又は半金属を添加する方法)が挙げられる。
しかしながら、この方法では、次のような課題がある。
・記録層中又はスパッタリングターゲット中の、金属又は半金属の酸化物の酸素欠損
量が増加すると、記録再生特性や記録感度が逆に悪化する。
・スパッタリングターゲット中の、金属又は半金属の酸化物の酸素欠損量が増加する
とスパッタリングターゲットが作製しづらくなったり、耐久性が悪くなる。
・酸化度の膜厚方向均一性を制御することが困難である。

0011

記録層中の、金属又は半金属の酸化物の酸化度が落ちすぎると、金属又は半金属の融点が低い場合、記録によって金属又は半金属が溶融するため、本来の記録原理である相分離が起こりづらくなる。
また、金属又は半金属単体の熱伝導率は、金属又は半金属の酸化物に比べて非常に高いため、金属又は半金属単体の含有量がある程度以上多くなると、記録感度が悪化したり、変調度が小さくなったりする等、記録再生特性が悪化する。
更に、金属又は半金属の酸化物において、化学量論組成に比べて酸素含有量を少なくするほど(即ち金属又は半金属の存在比率を高めるほど)、析出する結晶が大きくなり小さいマークを記録することが難しくなる。
また、記録層が1種類の金属又は半金属の酸化物のみから形成される場合、金属又は半金属の酸化物における酸素含有量を化学量論組成よりも少なくしようとすると、マトリックスである金属又は半金属の酸化物が減少するため、金属又は半金属が凝集し易くなり、酸化度の膜厚方向の均一性が悪化してしまう。

0012

したがって、金属又は半金属の酸化物における酸素含有量を化学量論組成よりも少なくして、金属又は半金属の含有量を増加させる場合、金属又は半金属の酸化物をマトリックスとしてその中に金属又は半金属を分散させること、或いは、金属又は半金属と、金属又は半金属の酸化物を均一に混合させることが重要となる。
金属又は半金属が均一でなく、局所的に多く存在する箇所があると、その場所では溶融モードが記録原理の主体となってしまうため、好ましくなく、また、その場所では、再生光の照射によっても溶融を起こす可能性があり、再生安定性が著しく低下する場合があるので、好ましくない。
つまり、記録原理の根幹をなす金属又は半金属の酸化物の酸化度を落とすことは、有効な手段ではあるものの、酸化度を落とし過ぎると、記録原理の根幹である物質を失い、かつ主体となる記録原理を阻害する記録原理を発生させることになるため、記録再生特性や記録感度の悪化を招く恐れがある。

0013

ところで、本発明と類似の層構成、即ち、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層と、硫化物と酸化物の混合体を主成分とする隣接層が積層された層構成は、例えば本出願人の出願に係る特許文献14、及び特願2006−038514に開示されている。
特許文献14には、(1)レーザ光照射側から、基板、(下引層)、ビスマス及び/又はビスマス酸化物を主成分として含有する記録層、上引層反射層が順次積層された追記型光記録媒体であって、該基板の平坦部にレーザを照射した時の反射率が35%以下であることを特徴とする追記型光記録媒体、(2)記録層の膜厚が3〜20nm、上引層の膜厚が5〜60nm、又は70〜150nmであることを特徴とする(1)記載の追記型光記録媒体が開示されている。
特願2006−038514には、レーザ光入射側から、少なくとも第一情報層、中間層、第二情報層をこの順に有し、第一情報層及び第二情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜Re層)と、ZnSとSiO2を主成分とするZnS・SiO2層が積層形成されており、第一情報層のZnS・SiO2層の膜厚t1と第二情報層のZnS・SiO2層の膜厚t2とが、t2/t1=0.7〜1.5の範囲にあることを特徴とする追記型2層構成光記録媒体、及び、レーザ光入射側から、少なくとも第一情報層、中間層、第二情報層をこの順に有し、第一情報層及び第二情報層は、レーザ光照射側から順に、少なくとも、Biを主成分として含有する薄膜(Re層)と、ZnSとSiO2を主成分とするZnS・SiO2層が積層形成されており、第一情報層のZnS・SiO2層の膜厚t1と第二情報層のZnS・SiO2層の膜厚t2とが、t2/t1=4.5〜6.0の範囲にあることを特徴とする追記型2層構成光記録媒体が開示されている。

0014

上述のように、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層、及び、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層に、酸化物、窒化物炭化物弗化物、硫化物から選択された1種以上の化合物を主成分とする層が隣接して積層された構成は、先行技術において多数提案されている。
しかしながら、ジッタ、PRSNR、エラーレート、変調度、再生安定性、保存信頼性等で代表される記録再生特性の改良、及び記録感度の更なる向上を目的として、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層中に、本発明のような特定隣接層構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を形成させることを提案している先行技術は見当たらない。

0015

特開平09−286174号公報
特開2004−79020号公報
特開2002−133712号公報
特開2003−237242号公報
特開昭50−46317号公報
特許第1444471号公報
特許第1849839号公報
特許第2656296号公報
特開昭51−21780号公報
特公平7−25209号公報
特開2005−108396号公報
特開2005−161831号公報
特開2006−248177号公報
特開2006−192885号公報

発明が解決しようとする課題

0016

上記特許文献13に係る発明は非常に有効であるが、高速化、高感度化の要求は留まることを知らない。そこで、本発明は、青色波長領域(350〜500nm)、特に405nm近傍のレーザ光で良好な記録再生特性を示し、高密度記録可能で、記録感度が従来品よりも高い、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層を有する追記型光記録媒体の提供を目的とする。
なお、本発明を説明する際に用いる、金属又は半金属の酸化物の酸化度を落とす(酸素欠損量を増やす)という表現と、金属又は半金属の酸化物の酸素含有量を化学量論組成よりも少なくするという表現は、同じ内容を意味するものとする。
また、金属又は半金属の酸化物の酸化度が低い、或いは金属又は半金属の酸化物の酸素含有量が化学量論組成よりも少ないと表現する場合には、下記のa)〜b)の場合だけでなく、c)の場合も含むものとする。即ち、酸化物の酸素含有量自体は化学量論組成であるが、酸化物を形成する金属又は半金属を添加したことにより、記録層中の金属又は半金属の量が増えたため、金属又は半金属の原子数を中心にして酸化物の組成を見た場合には、酸素含有量が化学量論組成よりも少ないという場合も含むものとする。

0017

a)スパッタリングターゲットは、酸素含有量が化学量論組成である金属又は半金属
の酸化物から形成されているが、スパッタリングされた記録層中では、金属又は半
金属の酸化物の酸素含有量が化学量論組成よりも少ない場合
b) スパッタリングターゲットが、酸素含有量が化学量論組成よりも少ない金属又は
半金属の酸化物から形成されており、スパッタリングされた記録層中でも、金属又
は半金属の酸化物の酸素含有量が化学量論組成よりも少ない場合
c) スパッタリングターゲットが、酸素含有量が化学量論組成である金属又は半金属
の酸化物と、その酸化物を形成する金属又は半金属の単体から形成されており、ス
パッタリングされた記録層中にも、金属又は半金属の酸化物と、その酸化物を形成
する金属又は半金属の単体が含まれる場合

0018

上記a)は、金属又は半金属元素をXとして、酸化物の化学量論組成がXαOβである場合に、スパッタリングターゲット作製時や記録膜の成膜(スパッタ)中に酸素が抜け、XαOγ(但しγ<β)となる場合である。
上記c)は、例えば、元素Xとその酸化物XαOβがn:mのモル比で混合されている場合において、X原子数と酸素原子数の比は、(n+mα):mβとなり、X原子の数である(n+mα)を基準にXの酸化物を考えると、酸素含有量を化学量論組成とするには、酸素原子の数が(n+mα)×(β/α)個必要であるが、実際はnβ/α個少ないので、酸素含有量が化学量論組成よりも少ないと考える。
この例では、二元酸化物を考えたが、三元酸化物(3つの原子が互いに化学的に結合している酸化物)、四元酸化物(4つの原子が互いに化学的に結合している酸化物)であっても考え方は同じである。
更に、記録層が、複数の酸化物の混合体(異なる酸化物を形成する原子同士には化学的結合がない)から形成されている場合も、考え方は同じである。

課題を解決するための手段

0019

上記課題は、次の1)〜14)の発明(以下、本発明1〜14という)によって解決される。
1)支持基板上に、少なくとも、
イ)金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層
ロ)該記録層に隣接した特定隣接層
を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
2) 支持基板上に、少なくとも、
イ)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合して
いる元素の単体とを主成分として含有する記録層
ロ)該記録層に隣接した特定隣接層
を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
3) 支持基板上に、少なくとも、
イ)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する
1種以上の元素Mの単体とを主成分として含有する記録層
ロ)該記録層に隣接した特定隣接層
を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
4) 支持基板上に、少なくとも、
イ)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する
1種以上の元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する記録層
ロ)該記録層に隣接した特定隣接層
を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
5) 支持基板上に、少なくとも、
イ)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合して
いる元素の単体と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の
元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する記録層
ロ)該記録層に隣接した特定隣接層
を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
6) 追記型光記録媒体の膜厚方向の組成を分析した時、前記記録層の主成分である酸化物を構成する金属又は半金属の原子数が、記録層における最大値の半分になる位置を、記録層とその両側の隣接層との界面と規定した場合に、該界面により定まる記録層の中心において、特定隣接層の構成元素の占める割合が、記録層中の元素の5原子%以上であることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
7)支持基板側から記録再生が行われる追記型光記録媒体であって、記録再生が行われる側から見て、記録層より奥側に特定隣接層が配置されていることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
8) 支持基板と反対側から記録再生が行われる追記型光記録媒体であって、記録再生が行われる側から見て、記録層より手前側に特定隣接層が配置されていることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
9) 特定隣接層が酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物の何れかを含有し、特定隣接層元素分散領域に分散している特定隣接層の構成元素が、該酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物の何れかにおいて、それぞれ酸素、窒素炭素弗素硫黄の何れかと結合していた元素であることを特徴とする1)〜8)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
10) 特定隣接層がZnSを主成分とし、特定隣接層元素分散領域に分散している特定隣接層の構成元素がZnであることを特徴とする9)記載の追記型光記録媒体。
11) 記録層、特定隣接層、保護層が順に積層され、該特定隣接層が、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素M′の単体を主成分とすることを特徴とする1)〜8)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
12) 支持基板上に少なくとも記録層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層が、次のイ−1)〜イ−5)の何れかであり、且つ該記録層中に、該記録層製膜後に新たに打ち込まれた、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体からなるM元素分散領域を有し、青色波長領域のレーザ光により記録再生可能であることを特徴とする追記型光記録媒体。
イ−1)金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層
イ−2)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合
している元素の単体とを主成分として含有する記録層
イ−3)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強す
る1種以上の元素Mの単体とを主成分として含有する記録層
イ−4)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強す
る1種以上の元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する
記録層
イ−5)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合
している元素の単体と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1
種以上の元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する記録

13) 金属又は半金属がビスマスであることを特徴とする1)〜12)の何れかに記載の追記型光記録媒体。
14) 記録層に記録再生レーザ光を照射したときの複素屈折率虚部の値が0.30以上、実部の値が2.20以上であることを特徴とする1)〜13)の何れかに記載の追記型光記録媒体。

0020

以下、上記本発明について詳しく説明する。
金属又は半金属の酸化物は、概ね、青色波長領域の光をよく吸収するため良好な記録をし易いが、今後予測される高速化には更なる記録感度の改善が必要である。
本発明のポイントは、記録再生特性を悪化させることなく記録感度を高めるため、記録層中に、特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を設け、記録層の組成を特定隣接層により制御する点にある。即ち、本発明では、少なくとも金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層の記録感度を改善するため、従来のように記録層の組成や酸化度を直接制御するのではなく、記録層に隣接した特定隣接層を設けることにより間接的に記録層の組成を制御する。これは、先行技術にはない全く新しい技術思想である。記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成することにより、該領域に存在する特定隣接層の元素が記録再生レーザ光に対する吸収係数を増加させるので、記録感度が改善される。上記の説明から分かるように、本発明における特定隣接層とは、記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成するための隣接層ということになるが、後述するように、通常の層構成の場合には、上部保護層又は下部保護層が特定隣接層となる。

0021

記録層中に、特定隣接層元素分散領域を形成するには、次のような方法がある。
・記録層に隣接して特定隣接層を設けた上で媒体に熱を加え、特定隣接層の構成元素
を記録層中に拡散させる。
・記録層に隣接して特定隣接層を設けた上で媒体に光を照射し、特定隣接層の構成元
素を記録層中に拡散させる。
真空プロセスにより記録層上に特定隣接層を成膜する最中に、特定隣接層の構成元
素を記録層中に打ち込む
真空プロセスとしては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のPVD法(Physical Vapor Deposition法)、プラズマ重合等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)等があるが、スパッタリングが非常に簡便で効果が高いことから最も好ましい。

0022

また、特定隣接層をスパッタリングする最中に、特定隣接層の構成元素が記録層中に打ち込まれ易くするため、記録層の充填密度(密度)を下げることが好ましい。そのために記録層にボイド等を発生させても構わない。これにより、特定隣接層の構成元素を記録層中に効率良く打ち込むことができる。記録層の充填密度が高いと、特定隣接層による間接的な記録層組成の制御が困難になる場合がある。
記録層の充填密度を下げるには、記録層を形成するスパッタリングターゲットの充填密度を下げる方法や、スパッタリング条件を制御する方法がある。
スパッタリング条件としては、スパッタパワー真空度スパッタガスの流量が挙げられるが、スパッタガスの流量を制御する手段が好ましい。この手段により記録層の充填密度を下げるには、スパッタガスの流量を高めることが最も好ましい。
スパッタガスとしては、N2、He、Kr、Ne、Ar、Xe、O2、H2、NH3、CH4、H2S等を用いることができるが、その中でもArが好ましい。
例えばAr流量を高めることにより、記録層中にAr粒子が取り込まれ、記録層の充填密度を下げることができる。
また、記録層上に特定隣接層をスパッタリングした後に、記録層と特定隣接層の界面で反応が短時間に起こり、特定隣接層の構成元素が記録層中に拡散・浸入する材料を、特定隣接層の材料として選択することもできる。

0023

本発明の記録層の組成は、記録層上に成膜する特定隣接層により制御されるから、記録層の形成時に酸素流量を細かく制御するとか、スパッタリングターゲットの組成を細かく制御する必要がない。同様に特定隣接層の成膜時にも成膜条件を細かく制御する必要がない。したがって、本発明の記録層は非常に簡単で生産性の高い方法で形成できる。
要するに、本発明の記録層を形成するには、記録層の充填密度をある程度低下させ、特定隣接層の材料を適宜選択するだけでよい。
なお、従来から提案されている技術の中に、酸化物からなる記録層に隣接して、硫化物を含有する層が設けられた追記型光記録媒体が多数見受けられるが、前述したように記録層の密度を制御しないと、本発明のような高感度化のための特定隣接層元素分散領域を有する記録層は形成できない。即ち、本発明は、記録層中の組成分布に関して、従来にはない特徴を有するものである。
また、本発明では、記録層に隣接して設ける特定隣接層によって、間接的に記録層の記録感度を改善させることができるので、例えば、記録感度を高めた組成の記録層用スパッタリングターゲットを作製しにくい場合、或いは、記録感度を高めた組成の記録層用スパッタリングターゲットの耐久性が悪い場合等に応用すれば、記録層用スパッタリングターゲットを無理に高感度の組成とする必要がなく、生産性を高めることができる。

0024

記録層を構成する金属又は半金属の酸化物は、複数の金属又は半金属の酸化物から形成されていても良い。例えば、化学量論組成がXαOβの酸化物と化学量論組成がZγOδの混合体によって形成されていても良い。
但し、記録感度を高めるために、少なくとも一方の酸化物の酸素含有量が化学量論組成よりも少ないことが好ましく、更に、記録原理に強く関わる酸化物でない酸化物の酸素含有量を化学量論組成よりも少なくすることが好ましい。
つまり、前述したように、記録原理に強く関わる金属又は半金属の酸化物の酸素含有量を化学量論組成よりも少なくし過ぎると、記録再生特性や記録感度が逆に悪化する場合があるため、記録原理に強く関わる酸化物でない酸化物の酸素含有量を化学量論組成よりも少なくすることにより、記録感度を向上させることが有効である。
なお、記録層に対しても、次のような高感度化対策を施すことがより効果的である。
・金属又は半金属の酸化物における酸素含有量を化学量論組成よりも少なくする。
・金属又は半金属の酸化物に、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種
以上の元素Mの単体を含有させる。

0025

本発明の追記型光記録媒体では、記録原理の源は金属又は半金属の酸化物である。したがって、金属又は半金属の酸化物の吸収係数が大きくなる波長が記録再生波長として適しており、その波長範囲は350〜500nmである。したがって、本発明の追記型光記録媒体は、青色波長領域(350〜500nm)のレーザ光により記録再生が可能である。好ましいのは波長450nm以下のレーザ光であり、特に405nm近傍のレーザ光により良好な記録再生を行なうことができる。
しかし、金属又は半金属の酸化物に、記録再生レーザ光に対する吸収機能を増強する化合物や元素を適宜選択して添加すれば、500nmを超える記録再生波長にも対応可能である。更に、今後半導体レーザ短波長化が更に進み、支持基板材料やカバー層の透過率が十分確保できるようになれば、350nm未満の記録再生波長にも対応可能である。

0026

特定隣接元素分散領域が記録層中に形成されていることを確認するには、次のような方法を用いることができる。
ラザフォード後方散乱分析法(RBS;Rutherford Backscat
tering Spectrometry)
二次イオン質量分析法SIMS;Secondary Ion Mass Sp
ectrometry)
オージェ電子分光分析法AES;Auger Electron Spectr
oscopy)
X線光電子分光分析法(XPS;X−ray Photoelectron Sp
ectroscopy)
グロー放電発光分析
本発明者らが比較検討を重ねた結果、上記の中でもラザフォード後方散乱分析法、X線光電子分光分析法が好ましいことが分かった。

0027

記録層に添加する元素M群としては、高融点(融点600℃以上)で、かつ低熱伝導率(100W/m・K以下)を有する元素が好適である。
高融点の元素を記録層中に含有させると、記録によって溶融が生じず、記録再生特性の劣化を招く恐れがないため好ましい。また、低熱伝導率を有する元素は、記録マーク間の熱干渉が少なく、記録再生特性の劣化を招く恐れがないため好ましい。
但し、低融点、及び高熱伝導率を有する元素も好ましく利用できる。
何故なら、これらの添加元素は、金属又は半金属のマトリックス中に分散させて微粒子として存在するため、バルク状態に比べて、溶融による特性悪化への寄与も少なく、また熱伝導率も十分小さくなるためである。
記録層の膜厚は、5〜30nmの範囲が好ましく、5〜15nmが更に好ましい。膜厚が5nmを下回ると、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を高めた記録層であっても、十分な記録感度を確保しにくくなる。また、膜厚が30nmを超えると、追記型光記録媒体としての反射率が急激に低下し、熱伝導率が高くなりすぎ、記録再生特性が劣化する恐れがある。

0028

次に、上記本発明の概要ふまえ、各請求項について説明する。
本発明1は、支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層、ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有する。なお、主成分とは、金属又は半金属の酸化物の含有量(モル%)が、記録層中で最も多いことを意味する。
本発明2は、支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合している元素の単体を主成分として含有する記録層、ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有する。なお、主成分とは、金属又は半金属の酸化物と、前記元素の単体を併せた含有量(モル%)が、記録層中で最も多いことを意味する。また、前記元素の単体とは、元素が他の元素と化学的に結合していない状態を指す。
本発明2では、記録層に、金属又は半金属元素の単体を含有するので、記録層自体でも記録再生レーザ光に対する吸収係数が増加し、記録感度が改善される。

0029

本発明3は、支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体を主成分として含有する記録層、ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有する。なお、主成分とは、金属又は半金属の酸化物と、前記元素Mの単体を併せた含有量(モル%)が、記録層中で最も多いことを意味する。元素の単体の定義は前記と同様である。
本発明3では、記録層に、上記元素Mの単体を含有するので、記録層自体でも記録再生レーザ光に対する吸収係数が増加し、記録感度が改善される。
また、記録層をスパッタリングするとき、上記元素Mの単体が記録層に存在するようにするため、記録層のスパッタリングターゲットに元素Mを含むことが好ましい。但し、元素Mは、スパッタリングターゲット中では、単体で存在していても化合物を形成していてもよく、両者の混合体であっても構わない。
元素Mが化合物を形成している場合は、スパッタリング中に、元素Mの化合物の結合が一部壊れて、元素Mの単体が記録層に存在するように、元素Mとその化合物を選択すればよい。また、元素Mの化合物は、化学量論組成に対して、元素Mが過剰に添加されていることが好ましい。

0030

本発明4は、支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属の酸化物と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する記録層、ロ)該記録層に隣接した特定隣接層を有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有する。なお、主成分とは、金属又は半金属の酸化物と、前記元素Mの単体と、該元素Mの酸化物を併せた含有量(モル%)が、記録層中で最も多いことを意味する。元素の単体の定義は前記と同様である。
本発明4では、本発明3と同様に、元素Mの単体の存在により、記録層自体でも記録再生レーザ光に対する吸収係数が増加し、記録感度が改善される。
また、本発明3に比べて、更に元素Mの酸化物を含有させたため、記録層の熱伝導率が低くなり、記録マーク間の熱干渉を低減でき、記録再生特性を改善できる。

0031

本発明5は、支持基板上に、少なくとも、イ)金属又は半金属の酸化物と、該金属又は半金属の酸化物において酸素と結合している元素の単体と、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体と、該元素Mの酸化物とを主成分として含有する追記型光記録媒体であって、該記録層中に、該特定隣接層の構成元素が分散した領域(特定隣接層元素分散領域)を有する。なお、主成分とは、金属又は半金属の酸化物と、前記元素の単体と、前記元素Mの単体と、該元素Mの酸化物を併せた含有量(モル%)が、記録層中で最も多いことを意味する。元素の単体の定義は前記と同様である。
本発明5では、金属又は半金属元素の単体と元素Mの単体の存在により、本発明2〜4と同様に、或いはそれ以上に、記録層自体でも記録再生レーザ光に対する吸収係数が増加し、記録感度が改善される。
また、元素Mの酸化物を含有させた効果は本発明4の場合と同様である。

0032

本発明6は、追記型光記録媒体の膜厚方向の組成を分析した時、前記記録層の主成分である酸化物を構成する金属又は半金属の原子数が、記録層における最大値の半分になる位置を、記録層とその両側の隣接層との界面と規定した場合に、該界面により定まる記録層の中心において、特定隣接層の構成元素の占める割合が、記録層中の元素の5原子%以上であることを特徴とする。
本発明6は、本発明の特定隣接層元素分散領域が、特定隣接層の構成元素を、どのような状態でどの程度含有すればよいかについて規定したものである。但し、この規定は一つの見方であって、切り口を変えれば他の規定の仕方もあると考えられる。

0033

本発明7は、支持基板側から記録再生が行われる追記型光記録媒体であって、記録再生が行われる側から見て記録層より奥側に特定隣接層が配置されていることを特徴とする。
記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成するには前述したような方法があるが、最も好ましいのは、記録層形成後に、スパッタリング法等の真空プロセスにより特定隣接層を成膜する方法である。その際、成膜後の機械特性を確保するため、ある程度の厚さを持つ支持基板上に成膜しなければならない。したがって、支持基板と、記録再生が行われる方向によって、特定隣接層の位置が決まる。
即ち、支持基板側から記録再生が行われる追記型光記録媒体の場合、記録層形成後に成膜されるのは、記録再生が行われる側から見て、該記録層より奥側の隣接層であるから、この奥側の隣接層を特定隣接層として記録層中に特定隣接層元素分散領域が形成される。したがって、この特定隣接層の材料を適宜選択することにより、記録層の記録感度を向上させることができる。
一方、記録層の隣接層であっても、記録再生が行われる側から見て、記録層より手前側の隣接層は、記録層よりも先に成膜されてしまうため、記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成することができず、本発明の特定隣接層にはならない。

0034

本発明8は、支持基板の反対側から記録再生が行われる追記型光記録媒体であって、記録再生が行われる側から見て、記録層より手前側に特定隣接層が配置されていることを特徴とする。
前述したように、記録層形成後に、スパッタリング法等の真空プロセスにより特定隣接層を成膜する際には、支持基板と、記録再生が行われる方向によって、特定隣接層の位置が決まる。
即ち、支持基板の反対側から記録再生が行われる追記型光記録媒体の場合、記録層形成後に成膜されるのは、記録再生が行われる側から見て、該記録層より手前側の隣接層であるから、この手前側の隣接層を特定隣接層として記録層中に特定隣接層元素分散領域が形成される。したがって、この特定隣接層の材料を適宜選択することにより、記録層の記録感度を向上させることができる。
一方、記録層の隣接層であっても、記録再生が行われる側から見て、記録層より奥側の隣接層は、記録層よりも先に成膜されてしまうため、記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成することができできず、本発明の特定隣接層にはならない。

0035

本発明9は、特定隣接層が、酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物の何れかを含有し、特定隣接層元素分散領域に分散している特定隣接層の構成元素が、該酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物の何れかにおいて、それぞれ酸素、窒素、炭素、弗素、硫黄の何れかと結合していた元素であることを特徴とする。
特定隣接層は、次のような機能を要求されるが、好ましい材料としては、酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物が挙げられる。
・記録層で発生する熱の出入りを制御する(記録感度や変調度に影響を与える)
・反射率を制御する(記録感度に影響を与える)
・記録層を、外部から浸入する水分や酸素等のガスから保護する(保存信頼性に影響
を与える)

0036

特定隣接層の酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物の構成元素を記録層に浸入させるには、前述したように、スパッタリング法等の真空プロセスにより特定隣接層を記録層上に成膜する際に、特定隣接層の構成元素を記録層に打ち込むのが、最も簡便で有効な方法である。
その際、次のような方法を用いるとよい。
・特定隣接層の、酸化物の酸素含有量、窒化物の窒素含有量、炭化物の炭素含有量、
弗化物の弗素含有量、硫化物の硫黄含有量が化学量論組成であり、特定隣接層の成
膜中に、該酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物の結合が壊れる材料を選択す
るか、或いは該酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物の結合が壊れる成膜条件
で成膜を行う。
・特定隣接層の、酸化物の酸素含有量、窒化物の窒素含有量、炭化物の炭素含有量、
弗化物の弗素含有量、硫化物の硫黄含有量が化学量論組成であり、特定隣接層の成
膜直後でも、該酸素含有量、窒素含有量、炭素含有量、弗素含有量、硫黄含有量は
化学量論組成のままであるが、記録層材料との反応により、該酸化物、窒化物、炭
化物、弗化物、硫化物の構成元素が記録層中に拡散する材料を選択する。

0037

上記の他に、特定隣接層用のスパッタリングターゲットである酸化物の酸素含有量、窒化物の窒素含有量、炭化物の炭素含有量、弗化物の弗素含有量、硫化物の硫黄含有量を化学量論組成よりも少なくすることも有効である。
これらの方法により、前記特定隣接層としての本来の機能を損なわずに、効率よく記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成させることができる。
なお、特定隣接層の酸化物、窒化物、炭化物、弗化物、硫化物として、酸素、窒素、炭素、弗素、硫黄と結合させる元素は任意に選択することが可能である。何故ならば、記録層中に、特定隣接層の構成元素を単体で存在させれば、ほぼ全ての固体元素において、記録層の金属又は半金属の酸化物以上の光吸収機能を有し、記録感度を向上させることができるからである。

0038

本発明10は、特定隣接層がZnSを主成分とし、記録層中の特定隣接層元素分散領域に分散している特定隣接層の構成元素がZnであることを特徴とする。ここでいう主成分とは、材料全体の50モル%以上を占めることを意味する。
ZnSを主成分とするスパッタリングターゲットは、硫化物の中で最も一般的であり、安定性、コスト等の面から好ましい材料である。
なお、ZnSは他の材料と混合して用いてもよく、例えば、ZnS・SiO2は好ましい材料である。

0039

本発明11では、特定隣接層が、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素M′の単体を主成分とすることを特徴とする。
本発明9〜10では、特定隣接層元素分散領域を形成する特定隣接層の構成元素を、特定隣接層中及び特定隣接層のスパッタリングターゲット中で、化合物として存在させる。
これに対して、本発明11では、特定隣接層元素分散領域を形成する特定隣接層の構成元素を、特定隣接層中及び特定隣接層のスパッタリングターゲット中で、元素単体が主成分となるように存在させる。
ところで、追記型光記録媒体が、例えば、支持基板上に、下部保護層、記録層、上部保護層、反射層を順次積層した層構成をとる場合、上部保護層は特定隣接層に相当するが、同時に、記録層で発生した熱を適度に閉じ込め、かつ記録マーク間の干渉を低減させるために、記録層で発生した熱を適度に反射層から放熱する機能と、反射率を制御する機能を担っている。従って、上記層構成では、上部保護層は、熱の出入りを制御する機能、反射率を制御する機能、及び記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成する機能を担わなければいけないため、次のような問題が発生する場合がある。
材料選択の幅が狭くなる。
・膜厚選択の幅が狭くなる。
・上記3つの機能の全てを最良にする材料や膜厚がない。

0040

これらの問題を解決するため、本発明11では、特定隣接層に、特定隣接層元素分散領域を形成する機能だけを担わせるようにする。そして、例えば、支持基板上に、下部保護層、記録層、特定隣接層元素分散領域を形成する特定隣接層、上部保護層、反射層を順次積層した層構成とする。これにより、特定隣接層は、断熱放熱機能反射率制御機能を担う必要がなくなるため、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素を化合物として存在させる必要がなくなる。
その結果、本発明11の特定隣接層では、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素M′の単体を主成分とすることができ、特定隣接層元素分散領域を形成する特定隣接層の構成元素を直接記録層に打ち込むことができるため、記録層の記録再生レーザ光に対する吸収係数を更に増加させることができ、記録感度の向上が図られる。
但し、反射率の大幅な低下を防ぐため、或いは、熱伝導率の向上による記録再生特性の悪化を抑制するため、特定隣接層の膜厚は10nm以下、好ましくは5nm以下にする。
また、本発明11の特定隣接層は、断熱・放熱機能や反射率制御機能が必要なくなるため、該特定隣接層材料が全て記録層に打ち込まれても構わないため、実質上、膜厚がゼロであってもよい。なお、膜厚がゼロの場合には、特定隣接層元素分散領域がないことになるが、このような場合は本発明12に包含される。即ち、記録層中に、特定隣接層元素分散領域の代りに、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素M′の単体からなるM′元素分散領域が形成されることになる。M′元素分散領域の機能などは、前述した特定隣接層元素分散領域の場合と同様である。
元素M′としては、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強するものであれば特に限定されず、前述した元素Mと同一でも異なっていてもよい。

0041

本発明13では、金属又は半金属としてビスマスを用いる。ビスマスが有効であることは、前述した本発明者等の先願で開示したとおりである。
本発明14では、記録層に記録再生レーザ光を照射したときの、複素屈折率虚部の値が0.30以上、実部の値が2.20以上であることを特徴とする。
これにより、単層式、或いは多層式の追記型光記録媒体の何れにおいても、該媒体の反射率を大きく下げることなく、記録感度を向上させることができる。また、多層式の追記型光記録媒体においては、実部の値を2.20以上とすることにより、記録再生光が透過する記録層(記録再生光から見て最奥に位置する記録層以外の記録層)の透過率を高めることができ、奥側の記録層の記録再生特性を向上させることができる。また、記録層の複素屈折率の値が上記範囲であれば、記録再生レーザ光の波長によらず高感度化が実現できる。

0042

本発明の追記型光記録媒体は、下記のような構成とすることが好ましいが、これに限定される訳ではない。
(a)支持基板/記録層/上部保護層/反射層
(b) 支持基板/下部保護層/記録層/上部保護層
(c) 支持基板/下部保護層/記録層/上部保護層/反射層
(d) 支持基板/上部保護層/記録層/下部保護層/カバー層
(e) 支持基板/反射層/上部保護層/記録層/下部保護層/カバー層
また、下部保護層や上部保護層を複数の層で構成しても構わない。更に、上記(a)〜(e)の構成を基本として、多層化されても構わない。例えば、(a)の構成を基本として二層化する場合、基板/記録層/上部保護層/反射層(半透明層)/接着層/記録層/上部保護層/反射層/基板という構成とすることができる。
真空プロセスで各層を成膜する場合、記録再生が支持基板を通して行われる上記(a)〜(c)の構成では、記録層に次いで成膜される層は上部保護層であるから、特定隣接層は上部保護層となる。
他方、記録再生がカバー層を通して行われる上記(d)〜(e)の構成では、記録層に次いで成膜される層は下部保護層であるから、特定隣接層は下部保護層となる。

0043

(a)〜(c)及び(e)の構成においては、上部保護層は、記録層と反射層の間に設けられる層であって、主に記録感度、反射層の制御を行う機能を担う。
そして、上部保護層の膜厚が薄くなり過ぎると、記録層で発生した熱が必要以上に反射層から放熱されるため、膜厚は10nm以上に設定することが好ましい。また、上部保護層の膜厚が厚くなると、記録層で発生した熱が反射層から放熱されにくくなり、記録マーク間の熱干渉が大きくなるため、膜厚は100nm以下に設定することが好ましい。
(b)〜(c)及び(d)〜(e)の何れの構成においても、下部保護層は、記録層の保存信頼性を確保するために用いられる。即ち、下部保護層は、基板やカバー層を透過してくる酸素、水分、その他のガスから記録層を守る働きをする。
よって、基板やカバー層を透過してくる酸素、水分、その他のガスから記録層を十分に守るためには、下部保護層の膜厚は、15nm以上とすることが好ましい。また、生産性の観点から、下部保護層の膜厚は100nm以下に設定することが好ましい。

0044

上部保護層及び下部保護層に用いることができる材料としては、B2O5、Sm2O3、Ce2O3、Al2O3、MgO、BeO、ZrO2、UO2、ThO2などの単純酸化物系の酸化物;SiO2、2MgO・SiO2、MgO・SiO2、CaO・SiO2、ZrO2・SiO2、3Al2O3・2SiO2、2MgO・2Al2O3・5SiO2、Li2O・Al2O3・4SiO2などのケイ酸塩系の酸化物;Al2TiO5、MgAl2O4、Ca10(PO4)6(OH)2、BaTiO3、LiNbO3、PZT〔Pb(Zr,Ti)O3〕、PLZT〔(Pb,La)(Zr,Ti)O3〕、フェライトなどの複酸化物系の酸化物;Si3N4、AlN、BN、TiNなどの窒化物系非酸化物;SiC、B4C、TiC、WCなどの炭化物系の非酸化物;LaB6、TiB2、ZrB2などのホウ化物系の非酸化物;ZnS、CdS、MoS2などの硫化物系の非酸化物;MoSi2などのケイ化物系の非酸化物;アモルファス炭素黒鉛ダイアモンド等の炭素系の非酸化物等が挙げられる。

0045

また、上部保護層及び下部保護層には、色素樹脂などの有機材料を使用することも可能である。
色素としては、ポリメチン系、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノンインダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系、アゾ系、ホルマザン系各色素、及びこれらの金属錯体化合物などが挙げられる。
樹脂としては、ポリビニルアルコールポリビニルピロリドンニトロセルロース酢酸セルロースケトン樹脂アクリル樹脂ポリスチレン樹脂ウレタン樹脂ポリビニルブチラールポリカーボネートポリオレフィンなどが挙げられ、これらを単独で又は2種以上混合して用いることができる。

0046

有機材料層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD、溶剤塗布などの通常の手段によって行なうことができる。塗布法を用いる場合には、上記有機材料などを有機溶剤に溶解して、スプレーローラーコーティングディッピングスピンコーティングなどの慣用コーティング法で行なうことができる。
用いられる有機溶剤としては、一般にメタノールエタノールイソプロパノールなどアルコール類アセトンメチルエチルケトンシクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類テトラヒドロフランジオキサンジエチルエーテルエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類酢酸メチル酢酸エチルなどのエステル類クロロホルム塩化メチレンジクロルエタン四塩化炭素トリクロルエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭素類;ベンゼンキシレンモノクロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族類メトキシエタノールエトキシエタノールなどのセロソルブ類;ヘキサンペンタンシクロヘキサンメチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。

0047

反射層は、蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングにより基板上に形成することができる。中でも、スパッタリングにより形成することが好ましい。以下に、スパッタリングを用いた反射層形成方法について詳細に説明する。
スパッタリングに用いる放電用ガスとしてはArが好ましい。また、スパッタリングの条件としては、Ar流量1〜50sccm、パワー0.5〜10kW、成膜時間0.1〜30秒の範囲が好ましく、より好ましいのは、Ar流量3〜20sccm、パワー1〜7kW、成膜時間0.5〜15秒の範囲であり、更に好ましいのは、Ar流量4〜10sccm、パワー2〜6kW、成膜時間1〜5秒の範囲である。
なお、スパッタリングの条件は、Ar流量、パワー、及び成膜時間の少なくとも1つが上記範囲にあることが好ましく、2つ以上が上記範囲にあることがより好ましく、全ての条件が上記範囲にあることが更に好ましい。
このようなスパッタリング条件で反射層を形成することにより、反射率の向上や耐腐食性の更なる向上が図られ、優れた記録特性を有する光記録媒体を得ることができる。

0048

反射層の膜厚は、20〜200nmの範囲が好ましく、25〜180nmの範囲がより好ましく、30〜160nmの範囲が特に好ましい。但し、本発明の反射層が多層型光記録媒体に適用される場合には、反射層膜厚の下限は、この限りではない。
膜厚が20nmより薄いと、所望の反射率が得られない問題や保存時に反射率が低下する問題、更に、記録振幅が十分にとれない問題を生じることがある。膜厚が200nmより厚いと、成膜面が粗面になり、反射率が低下することがある。また、生産性の観点からも好ましくない。
反射層の成膜速度は、6〜95nm/sの範囲が好ましく、7〜90nm/sの範囲がより好ましく、8〜80nm/sの範囲が特に好ましい。成膜速度が6nm/sより遅いと、スパッタ中に酸素が入りやすくなり、酸化により反射率が低下したり、反射層の耐腐食性が低下する場合がある。成膜速度が95nm/sより速いと、温度上昇が大きく、基板に反りが発生することがある。

0049

基板の素材としては、熱的、機械的に優れた特性を有し、基板側から(基板を通して)記録再生が行われる場合には光透過特性にも優れたものであれば、特別な制限はない。
具体例としては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル非晶質ポリオレフィンセルロースアセテートポリエチレンテレフタレートなどが挙げられるが、ポリカーボネートや非晶質ポリオレフィンが好ましい。
基板の厚さは用途により異なり、特に制限はない。

0050

反射層や光透過層等の上に形成する保護層(環境保護層)の材料としては、反射層や光透過層等を外力から保護するものであれば特に限定されない。有機材料としては、熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂電子線硬化性樹脂UV硬化性樹脂等が挙げられる。また、無機材料としては、SiO2、Si3N4、MgF2、SnO2等が挙げられる。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂は適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し乾燥することによって形成することができる。
紫外線硬化性樹脂は、そのまま又は適当な溶剤に溶解した塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレートエポキシアクリレートポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることができる。
これらの材料は単独で用いても混合して用いても良いし、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
保護層の形成方法としては、記録層と同様にスピンコート法キャスト法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法等が用いられるが、中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般に0.1〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3〜30μmが好ましい。

0051

また、反射層或いは光透過層面に更に基板を貼り合わせてもよく、反射層や光透過層面相互を内面として対向させ、光学記録媒体2枚を貼り合わせても良い。
基板鏡面側に、表面保護ゴミ等の付着防止のために紫外線硬化樹脂層無機系材料層等を成膜してもよい。
光透過層(カバー層)は、高密度化を図るため高NAのレンズを用いる場合に必要となる。例えば高NA化すると再生光が透過する部分の厚さを薄くする必要がある。これは、高NA化に伴い、光学ピックアップ光軸に対してディスク面が垂直からズレる角度(いわゆるチルト角光源の波長の逆数対物レンズ開口数の積の2乗に比例する)により発生する収差許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差の影響を受け易いためである。従って、基板の厚さを薄くしてチルト角に対する収差の影響をなるべく小さくするようにしている。
そこで、例えば基板上に凹凸を形成して記録層とし、その上に反射層を設け、更にその上に光を透過する層である光透過性の光透過層(カバー層)を設けるようにし、カバー層から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体や、基板上に反射層を設け、その上に記録層を設け、更にこの上に光透過性を有する光透過層を設けるようにし、カバー層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体が提案されている(Blu−ray規格)。
このようにすれば、光透過層を薄型化していくことで対物レンズの高NA化に対応可能である。つまり、薄い光透過層を設け、この光透過層側から記録再生することで、更なる高記録密度化を図ることができる。
なお、このような光透過層は、ポリカーボネートシート紫外線硬化型樹脂により形成されるのが一般的である。
また、本発明で言う光透過層には、光透過層を接着するための層を含めてもよい。

発明の効果

0052

本発明によれば、青色波長領域(350〜500nm)、特に405nm近傍のレーザ光で良好な記録再生特性を示し、高密度記録可能で、記録感度が従来品よりも高い、金属又は半金属の酸化物を主成分として含有する記録層を有する追記型光記録媒体を提供できる。

0053

以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。また、実施例として、波長が405nmのレーザ光を用いた例を示したが、本発明の記録層は、350〜500nmの範囲では複素屈折率が正常分散を示し、複素屈折率に急激な変化が起きないため、同様に記録再生が可能である。即ち、350〜500nmの範囲で記録再生波長が変化すると、追記型光記録媒体としての反射率や記録感度は変化するが、記録原理が変化することはないため、同様の記録再生が可能である。

0054

実施例1〜7
案内溝(溝深さ20nm、トラックピッチ0.32μm、平均溝幅0.155μm)を有する厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート製支持基板上に、スパッタリング法により、銀合金からなる反射層(膜厚40nm)、上部保護層(膜厚13〜20nm)、記録層(膜厚7〜10nm)、下部保護層(膜厚40〜60nm)を順次積層した。上部保護層、記録層、下部保護層は、それぞれ、表1記載のスパッタリングターゲットを用い、反射層は、AgBi(Bi:1.0重量%)からなるスパッタリングターゲットを用いて成膜した。なお、スパッタリング装置は、Oerlikon(エリコン)社製DVD Sprinterを用い、Arをスパッタガスとし、その流量を30sccmとした。
次いで、下部保護層上に紫外線硬化樹脂(三菱レイヨン社製)からなる厚さ0.1mmのカバー層をスピンコーティング法により形成し、追記型光記録媒体を得た。
上部保護層、記録層、下部保護層の膜厚は、追記型光記録媒体としての反射率が16%になるように上記膜厚範囲微調整を行った。

0055

上記各追記型光記録媒体の各層の材料及び評価結果を表1に纏めて示す。
表1の「記録層中の特定隣接層元素分散領域の有無」の欄は、下記(イ)(ロ)の何れかの方法により測定した結果を示すものであり、記録層に含有される金属又は半金属の原子数が記録層の最大値の半分になる位置を、記録層とその両側の隣接層の界面と規定した場合に、該界面により定まる記録層の中心において、特定隣接層の構成元素の占める割合が、記録層中の元素の5原子%以上である場合を「○」、5原子%未満である場合を「×」とした。
(イ)カーボン基板上に、表1に示すスパッタリングターゲットを用いた上部保護層、記録層、特定隣接層(下部保護層)を順次成膜した試料に対し、RBS法により膜厚方向の組成分布を定量分析する方法。
なお、カーボン基板と記録層間の上部保護層は省いても良い(成膜しなくても良い)。また、RBS法による分析の精度を高めるには、分析しようとする薄膜をカーボン基板上に成膜することが好ましい。
(ロ)ポリカーボネート製支持基板上に、反射層、表1に示すスパッタリングターゲットを用いた上部保護層、記録層、特定隣接層(下部保護層)を順次成膜した試料に対し、X線光電子分光分析法(XPS;X−ray Photoelectron Spectroscopy)により、記録層の膜厚方向の組成を定量分析する方法。

0056

記録層中の特定隣接層元素分散領域の有無の判定について、具体例により更に詳しく説明する。
図1は、実施例7で作製した追記型光記録媒体について、XPS法で膜厚方向の組成を定量分析した結果を示す図である。分析は、下部保護層側からArイオンによりエッチングしながら行った。図1横軸はエッチング時間で膜厚に相当し、縦軸は、原子数比(原子%)を表す。分析条件は以下のとおりである。
<XPS測定条件
測定装置:Kratos社製 AXIS−ULTR
・光源:Al Kα単色化光源(hν=1486.4eV)
・Pass Energy:80eV
・Energy Step:0.5eV
中和:使用
図から分るように、Si3N4からなる下部保護層(特定隣接層)材料中のSi元素が記録層中心で5原子%以上(約16原子%)となっている。また、SiとNの比が、下部保護層中と記録層中で明らかに異なる。一方、上部保護層材料ZnS・SiO2中のZn元素は、記録層中心で5原子%未満であり、上部保護層の成膜順序が記録層よりも前のため、上部保護層材料は、記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成できないことが確認できる。
別の例として、図2に、実施例6で作製した追記型光記録媒体について、図1の場合と同様にして、XPS法で膜厚方向の組成を定量分析した結果を示す。分析手法及び縦軸、横軸は図1の場合と同様である。
図から分るように、ZnS・SiO2からなる下部保護層(特定隣接層)材料中のZn元素が、記録層中心で5原子%以上(約25原子%)となっている。また、下部保護層材料のZnとSの比が、下部保護層中と記録層中で明らかに異なる。一方、上部保護層材料Si3N4中のSi元素は、記録層中心で5原子%未満であり、上部保護層の成膜順序が記録層よりも前のため、上部保護層材料は、記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成できないことが確認できる。

0057

表1の「記録感度」は、各実施例の追記型光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置ODU−1000(波長:405nm、NA:0.85)を用いて、BD−R規格(System Description Blu−ray Disc Recordable Format Part1 Basic Format Specifications)に準拠した記録を、記録速度19.67m/s(4x記録)で行った時の最適記録パワーである。
なお、表1に記載の記録感度で記録した時のジッタは、実施例1〜7の全てにおいて、7.0%以下(BD−R規格を満足する記録品質)であった。
このように、本発明の追記型光記録媒体では、BD−R規格を満足する良好な品質の記録を高感度で行えることが確認された。

0058

また、XPS法により記録層の膜厚方向の組成を定量分析したところ、実施例1では、ビスマスがほぼ酸化物として存在しており、実施例2では、ビスマスが酸化物と金属ビスマスとして存在していることを確認した。
なお、実施例1と実施例2は同じスパッタリングターゲットを使用したが、実施例1では、スパッタリングの最中に酸素を導入した。その結果、実施例2、6、7では、スパッタリングされた記録層中でBi2O3の酸素欠損が発生するのに対し、実施例1の記録層中ではBi2O3の酸素欠損が非常に少ない状態となっている。
以上の分析結果から、主として、
・実施例1は、本発明1を満足する記録層
・実施例2、6、7は、本発明2を満足する記録層
・実施例3は、本発明3を満足する記録層
・実施例4は、本発明4を満足する記録層
・実施例5は、本発明5を満足する記録層
となっている。
更に、記録層の複素屈折率の値は、実施例1〜7の全てにおいて実部が2.20以上、虚部が0.30以上を満足していることを確認した。
後述する比較例1〜2の結果との対比から、記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成すると、記録感度を大きく改善できることが明らかであり、本発明は非常に有効であることが確認された。

0059

比較例1〜2
スパッタリングターゲットを表1の比較例1〜2の欄に示したものに変え、スパッタリング装置を浦製CFS−8EPに変えた点以外は、実施例1〜7と同様にして追記型光記録媒体を作製し、同様にして評価を行った。
その結果、比較例1〜2の追記型光記録媒体では、実施例1〜7に比べて、記録感度が悪化することが確認された。そこで、この記録感度劣化の原因を調査した。
カーボン基板上に、比較例1と同じスパッタリングターゲットを用いて記録層と下部保護層(特定隣接層)を順次積層したサンプルを作成し、RBS法により膜厚方向の組成を定量分析した結果を図3に示す。図3の横軸は表面からの深さ(膜厚に相当)、縦軸は原子数比(原子%)を表す。また、図3における、記録層とその両側の隣接層の界面位置の定義、及び記録層の中心位置の定義は、図1図2の場合と同じである。
図3から、ZnSからなる下部保護層(特定隣接層)材料中のZn元素が、記録層中心で5原子%未満であり、記録層中に特定隣接層元素分散領域が形成されていないことが確認できる。比較例1では、実施例1〜7に比べて記録感度が明らかに悪化しているが、記録層中に特定隣接層元素分散領域が存在しないことが、感度悪化の原因と考えられる。
図3の場合と同様にして、カーボン基板上に、比較例2と同じスパッタリングターゲットを用いて記録層と下部保護層(特定隣接層)を順次積層したサンプルを作成し、RBS法により膜厚方向の組成を定量分析した結果を図4に示す。縦軸、横軸、記録層とその両側の隣接層の界面位置、記録層の中心位置の定義は、図1図2の場合と同じである。
図4から、ZnS・SiO2からなる下部保護層(特定隣接層)材料中のZn元素が、記録層中心で5%未満であり、記録層中に特定隣接層元素分散領域が形成されていなことが確認できる。比較例2では、実施例1〜7に比べて記録感度が明らかに悪化しているが、記録層中に特定隣接層元素分散領域が存在しないことが、感度悪化の原因であると考えられる。

0060

実施例2と比較例2を対比すると、同じ下部保護層材料を使用しているにも拘わらず、記録層中の特定隣接層元素分散領域の有無の点で相違しているが、これは下部保護層を成膜したスパッタリング装置が異なること(スパッタリング条件が異なる)、及びスパッタリングターゲットのロットが異なることが原因と考えられる。
特にスパッタリング条件が異なると、その差異が殆どないよう見えても(例えば同型のスパッタリング装置を用いても)、成膜した膜の組成ずれが起きる場合は非常に多い。
また、名目上同一組成のスパッタリングターゲットを用いても、特定隣接層元素分散領域の有無に違いが出る場合があるのは、出発原材料、混合の仕方、焼結の仕方等のスパッタリングターゲット作製条件が微妙に異なるためと考えられる。
したがって、本発明により記録感度の改善を行う場合、スパッタリング条件の微調整やスパッタリングターゲットの選別が必要になる場合がある。

0061

0062

実施例8〜21
案内溝(溝深さ28nm、トラックピッチ0.40μm、平均溝幅0.20μm)を有するポリカーボネート製支持基板上に、スパッタリング法を用いて、ZnS・SiO2(80:20モル%)からなる下部保護層(膜厚40〜60nm)、記録層(膜厚7〜10nm)、上部保護層(膜厚13〜20nm)を順次積層した。下部保護層、記録層、上部保護層は、それぞれ、表2記載のスパッタリングターゲットを用いて成膜した。
次いで、上部保護層上に、スパッタリング法により、AgBi(Bi:1.0重量%)からなる反射層(膜厚60nm)を設けた。
スパッタリング装置は、Oerlikon(エリコン)社製DVD Sprinterを用い、Arをスパッタガスとし、その流量を30sccmとした。
更に反射層上に、スピンコート法で紫外線硬化型樹脂(サンノプコ社製:ノプコキュア134)からなる膜厚約5μmの有機保護層を設けて本発明の追記型光記録媒体を得た。
下部保護層、記録層、上部保護層の膜厚は、追記型光記録媒体としての反射率が16%になるように上記膜厚範囲で微調整を行った。

0063

上記各追記型光記録媒体の各層の材料と評価結果を表2に纏めて示すが、「記録感度」以外の項目の意味は、表1の場合と同じである。なお、「記録感度」は、各追記型光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置ODU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、HD DVD−R規格〔DVD Specifications for High Density Recordable Disc(HD DVD−R) Version1.0)〕に準拠した記録を、記録速度:6.61m/sで行った時の最適記録パワーである。
また、表2に記載の記録感度で記録した時のPRSNR(Partial Response Signal to Noise Ratio)は、実施例8〜21の全てにおいて15以上(HD DVD−R規格を満足する記録品質)であった。
このように、本実施例の追記型光記録媒体は、HD DVD−R規格を満足する良好な品質の記録を高感度で行えることが確認された。

0064

また、本実施例8〜21においても、図1図2で示したのと同様にしてXPS法により調べたところ、何れも記録層中に特定隣接層元素分散領域が形成されていることが確認された。
また、XPS法により記録層の膜厚方向の組成を定量分析したところ、実施例8では、ビスマスがほぼ酸化物として存在しており、実施例9では、ビスマスが酸化物と金属ビスマスとして存在していることを確認した。
なお、実施例8と実施例9では同じスパッタリングターゲットを使用したが、実施例8では、スパッタリングの最中に酸素を導入した。その結果、実施例9では、スパッタリングされた記録層中でBi2O3の酸素欠損が発生するのに対し、実施例8の記録層中ではBi2O3の酸素欠損が非常に少ない状態となっている。
同様に、XPS法により、記録層の膜厚方向の組成を定量分析したところ、実施例20では、アンチモンが酸化物と半金属アンチモンとして存在していること、及び実施例21では、テルルが酸化物と半金属テルルとして存在していることを確認した。
以上の分析結果から、
・実施例8は、本発明1を満足する記録層
・実施例9、20、21は、本発明2を満足する記録層
・実施例10は、本発明3を満足する記録層
・実施例11、及び実施例13〜19は、本発明4を満足する記録層
・実施例12は、本発明5を満足する記録層
となっている。
更に、記録層の複素屈折率の値は、実施例8〜21の全てにおいて、実部が2.20以上、虚部が0.30以上を満足していることを確認した。
後述する比較例3〜6の結果とお対比から、記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成すると、記録感度が大きく改善できることが明らかであり、本発明は非常に有効であることが確認された。

0065

比較例3〜6
スパッタリングターゲットを表2の比較例3〜6の欄に示したものに変え、比較例3〜4では、スパッタリング装置も芝浦製CFS−8EPに変えた点以外は、実施例8〜21と同様にして追記型光記録媒体を作製し、同様にして評価を行った。
結果を表2に示すが、比較例3〜6では、実施例8〜21に比べて、記録感度が悪化することが確認された。
そこで、比較例1〜2の場合と同様にして、RBS法により記録感度劣化の原因を調査した結果、比較例3〜6でも、記録層中に特定隣接層元素分散領域が形成されていないことが確認できた。つまり、比較例3〜6の記録感度が、実施例8〜21に比べて悪化したのは、記録層中に特定隣接層元素分散領域が存在しないことが原因であると考えられる。
また、実施例9と比較例4、実施例13と比較例3を対比すると、同じ上部保護層材料を使用しているにも拘わらず、記録層中における特定隣接層元素分散領域の有無の点で相違するが、その原因は、比較例1〜2で説明したのと同様と考えられる。

0066

0067

実施例22〜23、比較例7
スパッタリングターゲットを表3記載のものに変え、Ar流量を変化させた点以外は、実施例8〜21と同様にして追記型光記録媒体を作製し、評価を行った。
本実施例22〜23及び比較例7は、記録層を成膜する際のAr流量と記録感度の関係を調べたものである。結果を表3に示すが、Ar流量が30sccmの場合として、表2の実施例11の結果を表3に転記した。
実施例8〜21と同様にして、XPS法及びRBS法により、記録層中の特定隣接層元素分散領域の有無を評価した。
その結果、Ar流量が低下すると、記録層中の特定隣接層元素分散領域が形成されにくくなり、記録感度が低下することが確認された。
この結果は、記録層成膜中にスパッタガスの流量を増やすと、その成膜中に記録層内にスパッタガスが取り込まれたり、スパッタリングターゲットから叩き出される粒子が大きくなるため、成膜された記録層の充填密度が下がり、これによって、上部保護層(特定隣接層)材料が記録層中に、より打ち込まれ易くなることを示していると考えられる。
また、上記の結果は、記録層成膜中にスパッタガスの流量を増やすと、記録層材料の主成分である、金属又は半金属の酸化物の酸素が欠損しやすく、記録感度が向上するという結果も同時に示している。

0068

0069

実施例24〜28
スパッタリングターゲットを表4記載のものに変えるとともに、記録層と上部保護層の間に、記録再生レーザ光に対する光吸収機能を増強する1種以上の元素Mの単体からなる特定隣接層を設けた点以外は、実施例8〜21と同様にして追記型光記録媒体を作製し、評価を行った。本実施例24〜28は、本発明12の効果を検証したものである。
即ち、実施例8〜23の追記型光記録媒体では、上部保護層が、記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成させる機能と、本文中で説明した断熱及び反射率調整機能の両方を担っていたが、本実施例24〜28では、上記2つの機能を上部保護層と特定隣接層に振り分けた層構成とした。
即ち、本実施例24〜28では、支持基板/下部保護層/記録層/記録層中に特定隣接層元素分散領域を形成させる特定隣接層/断熱及び反射率調整機能を担う上部保護層/反射層という層構成とした。
なお、特定隣接層の膜厚は、2〜4nmとし、下部保護層、記録層、上部保護層の膜厚調整を含めて、追記型光記録媒体としての反射率が14〜18%になるように膜厚の微調整を行った。
実施例8〜23と同様にして、XPS法及びRBS法により、記録層中の特定隣接層元素分散領域の有無を評価した。
その結果、何れの追記型光記録媒体でも、記録層中に特定隣接層元素分散領域が形成されており、これによって記録感度が大きく改善できることが明らかとなった。

0070

0071

実施例29
案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.32μm、平均溝幅0.155μm)を有する、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート製支持基板上に、スパッタ法で、AlTi合金(Ti:1.0重量%)からなる膜厚35nmの反射層、SiNからなる膜厚10nmの上部保護層、ターゲットにBi2O3:B2O3=3:2(重量比)を用いた膜厚16nmの記録層、ZnS−SiO2(80:20モル%)からなる膜厚8nmの下部保護層(特定隣接層)を順に成膜した。なお、スパッタリング装置は、Oerlikon(エリコン)社製DVD Sprinterを用い、Arをスパッタガスとし、その流量を30sccmとした。
次いで、下部保護層上に紫外線硬化樹脂(三菱レイヨン社製)からなる厚さ0.1mmのカバー層をスピンコーティング法により形成し、追記型光記録媒体を得た。
この追記型光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置ODU−1000(波長:405nm、NA:0.85)を用いて、追記型BD−Rディスクの規格に合わせた条件で記録を行い、記録特性を評価したところ、良好な記録再生特性を有することが確認できた。

0072

次に、記録マーク部の化学状態を確認するためカバー層を剥がし、XPS法による分析を行った。結果を図5に示す。分析条件は以下のとおりである。
<XPS測定条件>
・測定装置:GAMMADATA−SCIENTA製R−4000
・光源:放射光(SR)(hν=7935eV)@SPring−8BL47XU(課題番号2006B1511)
・Pass Energy:200eV
・Energy Step:0.05eV
・中和銃:使用
図5実線は記録マーク部、点線未記録領域XPSスペクトルである。
図5から、記録膜中のBiは、酸化物及び僅かな金属として存在し、Bi oxideピークとBi metalピークの強度比の変化から、未記録領域に対して記録マーク部では、金属Biの割合が増加することが確認できる。また、記録マークの書き込みによって、Bi oxideピークが検出される束縛エネルギーの位置が変化しないことから、Biはケミカルシフトを起こさず、Bi酸化状態の変化(Biの価数変化)を伴わないことが確認できる。
なお、本実施例では、上部保護層材料としてSiNを使用したが、ZnS−SiO2を用いると更に記録特性が向上し、好ましいことが確認できた。

0073

実施例30
案内溝(溝深さ21nm、トラックピッチ0.46μm)を有する厚さ0.6mm、直径120mmのポリカーボネート製支持基板上に、スパッタ法で、ZnS−SiO2(80:20モル%)からなる膜厚60nmの下部保護層、ターゲットにBi2O3:B2O3=3:2(重量比)を用いた膜厚16nmの記録層、ZnS−SiO2(80:20モル%)からなる膜厚16nmの上部保護層(特定隣接層)、AlTi合金(Ti:1.0重量%)からなる膜厚30nmの反射層を順に設け、更に、紫外線硬化樹脂からなる厚さ0.5mmのカバー層を設けて、追記型光記録媒体を得た。
この追記型光記録媒体に対し、パルステック工業(株)製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、追記型HDDVDディスクの規格に合わせた条件で記録を行い、記録特性を評価したところ、良好な記録再生特性を有することが確認できた。

0074

次に、記録層の平面及び断面の状態を確認するためTEM分析を行った。記録層断面をTEMで観測した結果を図6に、記録層平面をTEMで観察した結果を図7に示す。分析条件は以下のとおりである。
<TEM測定条件>
・測定装置:JEF−2100F(JEOL社製)
加速電圧:200kV
絞り径 :1(CL)、2(OL)
スポット径:1
図6(b)、(c)は記録状態の例を示したものであり、これらの図から、記録層の記録マーク部における膜厚方向の中央付近が、未記録状態の記録層よりも、電子線をより多く透過する相に変化する(即ち、TEMの像で白いコントラストを呈する)ことが判る。軽元素を多く含む相は電子線を透過し易くなることから、中央付近は軽元素を多く含む相であることが分かる。これらの相は、Biの酸化物、硼素の酸化物、Znの酸化物、あるいはこれらの混合比の変化した相と考えられる。また、図6(c)で示した記録マークからは、記録マーク部の膜の厚さが中心付近で増え、厚さが変化していることも判る。
また、図7に示す平面TEMでは、基板、反射層、カバー層を取除いて観察した。
図7の白の波線で囲んだ記録マーク部では、数nm〜10nm程度の粒状の形態が形成されていることが分かる。黒いコントラストの粒状部分は、重元素Biを含む化合物が相分離したものであり、特に黒い部分はBiが凝集していると考えられる。これらは、図6(b)では記録層の界面付近分布している。白いコントラストの粒状部分は、軽元素を多く含む相が分離したものである。これは、先述したように、図6(b)から記録層の中央付近に分布している。このように図7観察結果から、記録マーク部では、記録層成分の重元素であるBiの相又はBiを多く含む相と、軽元素を多く含む相とに分離していることが確認できる。

図面の簡単な説明

0075

実施例7で作製した追記型光記録媒体について、X線光電子分光分析法で膜厚方向の組成を定量分析した結果を示す図。
実施例6で作製した追記型光記録媒体について、X線光電子分光分析法で膜厚方向の組成を定量分析した結果を示す図。
カーボン基板上に、比較例1と同じスパッタリングターゲットを用いて記録層と下部保護層(特定隣接層)を順次積層したサンプルを作成し、RBS法により膜厚方向の組成を定量分析した結果を示す図。
カーボン基板上に、比較例2と同じスパッタリングターゲットを用いて記録層と下部保護層(特定隣接層)を順次積層したサンプルを作成し、RBS法により膜厚方向の組成を定量分析した結果を示す図。
実施例29の記録マーク部のXPS法による分析結果を示す図。
実施例30の記録層断面をTEMで観測した結果を示す図。(a)未記録状態、(b)記録状態の例1、(c)記録状態の例2。
実施例30の記録層平面をTEMで観察した結果を示す図。

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