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技術 コーヒーの淹れたて感賦与剤

出願人 長谷川香料株式会社
発明者 櫻井毅彦天池正康藤堂邦夫高久寛康
出願日 2007年4月13日 (11年11ヶ月経過) 出願番号 2007-106083
公開日 2008年10月30日 (10年4ヶ月経過) 公開番号 2008-259472
状態 特許登録済
技術分野 茶・コーヒー
主要キーワード 飲みもの 水蒸気抽出 香気化合物 ペーパーフィルター 殺菌条件下 香気バランス 缶コーヒー ホットベンダー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2008年10月30日)のものです。
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課題

加熱殺菌後コーヒー飲食物においてもコーヒーの淹れたて感を保存・持続するコーヒーの淹れたて感賦与剤を提供すること。

解決手段

2−フルフリルメチルスルフィド、2−フルフリルメチルジスルフィドメチル(5−メチル−2−フリル)スルフィド、メチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−メチル−3−(メチルチオフラン、2,5−ジメチル−3−フリルメチルスルフィド、2,5−ジメチル−3−フリルメチルジスルフィド、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテートおよび4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオールよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有することを特徴とするコーヒーの淹れたて感賦与剤。

概要

背景

家庭飲食店飲用されるコーヒーは、一般に、焙煎コーヒー豆粉砕し、熱水ドリップ抽出器やサイフォン抽出器を使用して淹れて、抽出後、短時間の内に飲用に供される。このようなコーヒーには「淹れたて」または「挽きたて」と呼ばれる独特の良い香りがあることはよく知られている。上質な良いコーヒーには、「挽きたて」または「淹れたて」という鮮度感がきわめて重要である。コーヒーはこのように一般的に「香り」を楽しむ飲みものであり、挽きたて感、淹れたて感が重要であるにもかかわらず、これらの香りは、抽出後、短時間のうちに変化し、消失してしまうことも知られている(非特許文献1)。

香りが変化するのは、コーヒーを淹れてからの時間経過に伴い、香気成分の一部が減少し、全体としての香気バランスが変化することにその一因があるとの報告がある(非特許文献2)。

コーヒーの淹れたての香りに特に寄与していると考えられている成分として、2−フルフリルチオール、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメート、3−メチル−2−ブテン−1チオール等が挙げられるが(非特許文献3)、これらの成分は、コーヒーを淹れた後、急速に消失することが知られている。また、2−フルフリルチオールは、これらの中でも淹れたて感に関して特に重要な香気成分であるが、コーヒーの水溶性成分であるメラノイジンと結合することにより急速に消失することが知られている(非特許文献4)。

缶コーヒー飲料において通常施される加熱殺菌によっても、2−フルフリルチオールや3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートは、大きく影響を受け、残存量が低下することが報告されており、特に、2−フルフリルチオールは通常の缶コーヒー飲料のpH(6前後)において大きく損なわれることが知られている(非特許文献5)。

これらの欠点を解決する方法として、例えば、コーヒー飲料に2−フルフリルチオールを残存させるため、コーヒー飲料に、焙煎コーヒー豆を水蒸気抽出して得られた揮発性成分を添加する方法(特許文献1)や、コーヒー飲料のpHを3.0〜5.5に下げて加熱殺菌を行う方法(特許文献2)等が提案されているが、特許文献1に記載の方法では、前述の通り、コーヒーの水溶性成分であるメラノイジンとの反応を抑制することはできず、その結果、殺菌後の飲料においては十分な効果が得られない。また、特許文献2に記載の方法では、飲料に酸味が付与されるため、風味的に偏ったものとなるという欠点がある。

したがって、缶コーヒーのように、製品中にコーヒーの水溶性成分そのものが使用され(コーヒーの水溶性成分由来のメラノイジンが含まれる)、且つ、製造工程中に加熱殺菌が必要とされる飲食物中に、2−フルフリルチオール、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメート、3−メチル−2−ブテン−1−チオール等のコーヒーの淹れたての香りを有する香気成分を残存させることによりコーヒー飲食物にコーヒーの淹れたて感を賦与
、保持することは、実際上ほとんど不可能に近いと言わざるを得ない。

特開2005−137269
特開2004−73071
フードケミカル,17(3),32−35,(2001)
European Food Research and Technology,211,272−276,(2000)
Journal of Agricultural and Food Chemistry,49(5),2382−2386,(2001)
Journal of Agricultural and Food Chemistry,50(2),319−326,(2002)
Journal of Agricultural and Food Chemistry,51(9),2674−2678,(2003)

概要

加熱殺菌後のコーヒー飲食物においてもコーヒーの淹れたて感を保存・持続するコーヒーの淹れたて感賦与剤を提供すること。2−フルフリルメチルスルフィド、2−フルフリルメチルジスルフィド、メチル(5−メチル−2−フリル)スルフィド、メチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−メチル−3−(メチルチオフラン、2,5−ジメチル−3−フリルメチルスルフィド、2,5−ジメチル−3−フリルメチルジスルフィド、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテートおよび4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオールよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有することを特徴とするコーヒーの淹れたて感賦与剤。なし

目的

本発明の目的は、コーヒー飲食物にコーヒーの淹れたて感を想起させる香りを賦与し、さらに、その香気が、加熱殺菌や時間の経過によっても失われることなく保持される素材および方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

下記式(1)(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは0または1であり、pは1または2である)で表されるフラン誘導体、下記式(2)(式中、R3およびR5はそれぞれ水素原子またはメチル基を示し、R4は炭素数1〜3のアルキル基を示し、qは1または2である)で表されるフラン誘導体、および下記式(3)(式中、Rはアセチル基プロピオニル基ブチリル基イソブチリル基または炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有することを特徴とするコーヒーの淹れたて感賦与剤。

請求項2

式(1)のフラン誘導体が2−フルフリルメチルスルフィド、2−フルフリルメチルジスルフィドまたはメチル(5−メチル−2−フリル)スルフィドであり、式(2)のフラン誘導体がメチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−メチル−3−(メチルチオフラン、2,5−ジメチル−3−フリルメチルスルフィドまたは2,5−ジメチル−3−フリルメチルジスルフィドであり、式(3)の化合物が3−メルカプト−3−メチルブチルアセテートまたは4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオールである請求項1に記載のコーヒーの淹れたて感賦与剤。

請求項3

2−フルフリルメチルスルフィドおよび2−フルフリルメチルジスルフィドを有効成分として含有することを特徴とするコーヒーの淹れたて感賦与剤。

請求項4

2−フルフリルメチルスルフィド、2−フルフリルメチルジスルフィドおよび4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオールを有効成分として含有することを特徴とするコーヒーの淹れたて感賦与剤。

請求項5

さらに、メチル(5−メチル−2−フリル)スルフィド、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテート、メチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィドおよび2−メチル−3−(メチルチオ)フランよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する請求項3または4に記載のコーヒーの淹れたて感賦与剤。

請求項6

請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のコーヒーの淹れたて感賦与剤を1〜1000ppmの範囲内の量で添加したことを特徴とするコーヒー用香味料組成物

請求項7

請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のコーヒーの淹れたて感賦与剤を1〜1000ppbの範囲内の量で添加したことを特徴とするコーヒー飲食物

請求項8

請求項6に記載のコーヒー用香味料組成物を0.01〜1重量%添加したことを特徴とするコーヒー飲食物。

請求項9

請求項6に記載のコーヒー用香味料組成物を0.01〜1重量%添加することを特徴とする飲食物へのコーヒーの淹れたて感の賦与方法。

請求項10

請求項6に記載のコーヒー用香味料組成物が0.01〜1重量%添加されていることを特徴とするコーヒーの淹れたて感が賦与された飲食物。

技術分野

0001

本発明は、コーヒー飲食物コーヒーの淹れたて感を賦与する香料化合物、該香料化合物を用いたコーヒーの淹れたて感賦与剤、該コーヒーの淹れたて感賦与剤を添加した香味料組成物、該コーヒーの淹れたて感賦与剤を添加したコーヒー飲食物および該コーヒーの淹れたて感賦与剤を飲食物に添加することによるコーヒーの淹れたて感の賦与方法に関する。

背景技術

0002

家庭飲食店飲用されるコーヒーは、一般に、焙煎コーヒー豆粉砕し、熱水ドリップ抽出器やサイフォン抽出器を使用して淹れて、抽出後、短時間の内に飲用に供される。このようなコーヒーには「淹れたて」または「挽きたて」と呼ばれる独特の良い香りがあることはよく知られている。上質な良いコーヒーには、「挽きたて」または「淹れたて」という鮮度感がきわめて重要である。コーヒーはこのように一般的に「香り」を楽しむ飲みものであり、挽きたて感、淹れたて感が重要であるにもかかわらず、これらの香りは、抽出後、短時間のうちに変化し、消失してしまうことも知られている(非特許文献1)。

0003

香りが変化するのは、コーヒーを淹れてからの時間経過に伴い、香気成分の一部が減少し、全体としての香気バランスが変化することにその一因があるとの報告がある(非特許文献2)。

0004

コーヒーの淹れたての香りに特に寄与していると考えられている成分として、2−フルフリルチオール、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメート、3−メチル−2−ブテン−1チオール等が挙げられるが(非特許文献3)、これらの成分は、コーヒーを淹れた後、急速に消失することが知られている。また、2−フルフリルチオールは、これらの中でも淹れたて感に関して特に重要な香気成分であるが、コーヒーの水溶性成分であるメラノイジンと結合することにより急速に消失することが知られている(非特許文献4)。

0005

缶コーヒー飲料において通常施される加熱殺菌によっても、2−フルフリルチオールや3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメートは、大きく影響を受け、残存量が低下することが報告されており、特に、2−フルフリルチオールは通常の缶コーヒー飲料のpH(6前後)において大きく損なわれることが知られている(非特許文献5)。

0006

これらの欠点を解決する方法として、例えば、コーヒー飲料に2−フルフリルチオールを残存させるため、コーヒー飲料に、焙煎コーヒー豆を水蒸気抽出して得られた揮発性成分を添加する方法(特許文献1)や、コーヒー飲料のpHを3.0〜5.5に下げて加熱殺菌を行う方法(特許文献2)等が提案されているが、特許文献1に記載の方法では、前述の通り、コーヒーの水溶性成分であるメラノイジンとの反応を抑制することはできず、その結果、殺菌後の飲料においては十分な効果が得られない。また、特許文献2に記載の方法では、飲料に酸味が付与されるため、風味的に偏ったものとなるという欠点がある。

0007

したがって、缶コーヒーのように、製品中にコーヒーの水溶性成分そのものが使用され(コーヒーの水溶性成分由来のメラノイジンが含まれる)、且つ、製造工程中に加熱殺菌が必要とされる飲食物中に、2−フルフリルチオール、3−メルカプト−3−メチルブチルフォーメート、3−メチル−2−ブテン−1−チオール等のコーヒーの淹れたての香りを有する香気成分を残存させることによりコーヒー飲食物にコーヒーの淹れたて感を賦与
、保持することは、実際上ほとんど不可能に近いと言わざるを得ない。

0008

特開2005−137269
特開2004−73071
フードケミカル,17(3),32−35,(2001)
European Food Research and Technology,211,272−276,(2000)
Journal of Agricultural and Food Chemistry,49(5),2382−2386,(2001)
Journal of Agricultural and Food Chemistry,50(2),319−326,(2002)
Journal of Agricultural and Food Chemistry,51(9),2674−2678,(2003)

発明が解決しようとする課題

0009

本発明の目的は、コーヒー飲食物にコーヒーの淹れたて感を想起させる香りを賦与し、さらに、その香気が、加熱殺菌や時間の経過によっても失われることなく保持される素材および方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、今回、驚くべきことに、
下記式(1)

0011

(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは0または1であり、pは1または2である)
で表されるフラン誘導体、下記式(2)

0012

(式中、R3およびR5はそれぞれ水素原子またはメチル基を示し、R4は炭素数1〜3のアルキル基を示し、qは1または2である)
で表されるフラン誘導体、または下記式(3)

0013

(式中、Rはアセチル基プロピオニル基ブチリル基イソブチリル基または炭素数1
〜3のアルキル基を示す)
で表される化合物をコーヒー飲食物に添加すると、コーヒーの淹れたての香りを想起させる香りが賦与され、かつ、その香りが加熱殺菌や時間の経過によっても失われないことを見出し、本発明を完成するに至った。

0014

かくして、本発明は、下記式(1)

0015

(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは0または1であり、pは1または2である)
で表されるフラン誘導体、および下記式(2)

0016

(式中、R3およびR5はそれぞれ水素原子またはメチル基を示し、R4は炭素数1〜3のアルキル基を示し、qは1または2である)
で表されるフラン誘導体、および下記式(3)

0017

(式中、Rはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基または炭素数1〜3のアルキル基を示す)
で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「香料化合物」という)を有効成分として含有することを特徴とするコーヒーの淹れたて感賦与剤を提供するものである。

発明の効果

0018

本発明の香料化合物をコーヒー飲食物に添加することにより、従来は加工食品等に賦与することがきわめて困難とされてきた、コーヒーの淹れたて感を飲食物に賦与することができる。しかも、本発明により賦与されたコーヒーの淹れたて感を有する香気は、加熱殺菌後も安定に残存し、さらに、飲食物が保存により時間が経過した後も安定に保存され持続する。また、本発明の香料化合物の添加量は任意に調整することができるため、淹れたて感の強弱を簡便且つ任意に調節することもできる。

0019

以下、本発明についてさらに詳細に説明する。

0020

本発明においてコーヒーの淹れたて感賦与剤として使用される前記式(1)の化合物としては、例えば、2−フルフリルメチルスルフィド、2−フルフリルメチルジスルフィド、メチル(5−メチル−2−フリル)スルフィド等が挙げられ、前記式(2)の化合物と
しては、例えば、メチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−メチル−3−(メチルチオフラン、2,5−ジメチル−3−フリルメチルスルフィド、2,5−ジメチル−3−フリルメチルジスルフィド等が挙げられ、前記式(3)の化合物としては、例えば、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテート、4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオール等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。

0021

なお、これらの化合物のうち、2−フルフリルメチルジスルフィド、メチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−フルフリルメチルスルフィドおよびメチル(5−メチル−2−フリル)ジスルフィドはコーヒーの香気成分として既に知られている(BASIS Volatile Compoundsin Foods 2006参照)。また、これらの化合物のうち、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテート(特公昭56−41630号公報参照)、4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオール(特開2001−128620号公報参照)およびメチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド(米国特許第3931246号明細書参照)は、コーヒー用の香味料組成物において使用することが提案されている。しかしながら、これらの香気化合物が、コーヒーの淹れたて感に貢献しているとの報告は見当たらず、また、飲食物に添加した場合に、加熱殺菌後も安定に残存し、さらに、飲食物が保存により時間が経過した際にも安定に淹れたて感が賦与された状態を維持するという報告も見当らない。

0022

上記式(1)、(2)および(3)で表される香料化合物は、天然物から抽出し、減圧条件下での精密蒸留カラムクロマトグラフィー液体クロマトグラフィー等の手段で単離するか、或いは文献記載のそれ自体既知合成方法によって容易に入手することができる。

0023

本発明に従うこれらの含硫黄香料化合物は香気が極めて強く、多量では不快臭感じるものであるが、飲食物に対し一般に1〜1000ppb、好ましくは10〜1000ppbの範囲内で添加されたとき、コーヒーの淹れたて感を有する優れた香気を発現する。飲食物における含有量が1ppb未満の場合には、コーヒーの淹れたて感を有する香気は得られず、また、含有量が1000ppbを越えると、不快臭が強くなり良質な香味は得られない。したがって、本発明に従うこれらの含硫黄香料化合物をコーヒー用香味料組成物に添加する場合、該香味料組成物は一般に飲食物に対して0.01〜1重量%の範囲内で添加することができ、この添加量において、含硫黄香料化合物は香味料組成物の重量を基準にして一般に1〜1000ppm、特に、5〜200ppmの範囲内の量で添加するのが好適である。

0024

また、コーヒー飲食物における本発明に従う含硫黄香料化合物の添加量は、コーヒー飲食物の重量を基準にして、一般に1〜1000ppb、特に5〜200ppbの範囲内が適当である。

0025

本発明に従うこれらの含硫黄化合物の香味料組成物または飲食物に対する添加量は、上記のとおり極めて微量であるので、該含硫黄香料化合物は、一般的にはエタノールプロピレングリコール等の可食性溶剤希釈して添加することが望ましい。

0026

かくして、本発明によれば、前記式(1)、(2)または(3)で表される含硫黄香料化合物をコーヒーの淹れたて感賦与剤として1〜1000ppm添加したことを特徴とするコーヒー用香味料組成物が提供される。

0027

本発明によれば、また、前記式(1)、(2)または(3)で表される含硫黄化合物をコーヒーの淹れたて感賦与剤として1ppb〜1000ppb添加したことを特徴とする
コーヒー飲食物が提供される。

0028

さらに、本発明によれば上記のコーヒー用香味料組成物を0.01〜1重量%添加したことを特徴とするコーヒー飲食物が提供される。

0029

本発明によれば、また、上記のコーヒー用香味料組成物を0.01〜1重量%添加することを特徴とするコーヒー飲食物へのコーヒーの淹れたて感の賦与方法が提供される。

0030

さらにまた、本発明によれば、上記のコーヒー用香味料組成物が0.01〜1重量%添加されていることを特徴とするコーヒーの淹れたて感が賦与されたコーヒー飲食物が提供される。

0031

前記式(1)、(2)または(3)で表される含硫黄香料化合物を、本発明に従い、コーヒーの淹れたて感賦与剤として使用する場合、2−フルフリルメチルスルフィド(a)と2−フルフリルメチルジスルフィド(b)を組み合わせて添加することにより、それぞれを単独で添加した場合よりも良好なコーヒーの淹れたて感を飲食物に賦与することができる。この組み合わせにおいて、両者は(a)/(b)の重量比で一般に1/9〜9/1、好ましくは2/8〜8/2の範囲内で使用することができる。

0032

また、上記(a)、(b)2成分に加え、さらに4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオール(c)を組み合わせて使用することにより、さらに自然で新鮮なコーヒーの淹れたて感を飲食物に賦与することができる。この組み合わせにおいて(c)成分は、(a)、(b)2成分の合計量/(c)の重量比で一般に1/9〜9/1、好ましくは2/8〜8/2の範囲内で使用することができる。

0033

さらに、上記の(a)、(b)2成分または(a)、(b),(c)3成分の組み合わせに対し、メチル(5−メチル−2−フリル)スルフィド、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテート、メチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−メチル−3−(メチルチオ)フランよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物を組み合わせて使用することにより、さらに良好で自然で新鮮なコーヒーの淹れたて感をコーヒー飲食物に賦与することができる。

0034

本発明に従う前記式(1)、(2)および(3)で表される含硫黄香料化合物は熱安定性が比較的良好であり、容器詰めコーヒー飲料における通常の殺菌条件下において約40〜約90%が残存する。また、本発明に従う前記式(1)、(2)および(3)で表される含硫黄香料化合物は、経時変化に対する安定性が比較的良好であり、容器詰めコーヒー飲料において、55℃、2週間保存後で約10〜約60%も残存する。したがって、本発明のコーヒーの淹れたて感賦与剤またはコーヒー用香味料組成物を容器詰めコーヒー飲料に使用し、それをホットベンダーにて販売した場合においても、あたかも、淹れたてのコーヒーが提供されたかと間違うほどに新鮮なコーヒーの淹れたて感を有するコーヒー飲料を提供することができる。

0035

本発明のコーヒーの淹れたて感賦与剤又は香味料組成物を添加することができる飲食物としては、コーヒーの淹れたて感を賦与することに適した飲食物であれば特に制限はなく、例えば、無糖、有糖あるいはミルク入りのコーヒー飲料類、アイスクリームシャーベット等の冷菓類、ゼリープリン羊羹等のデザート類クッキー、ケーキ、チョコレートチューインガム饅頭等の菓子類菓子パン食パン等のパン類ジャム類ラムネ、タブレット錠菓類などが挙げられる。また、香味料組成物の調合に使用される他の香味成分には特に制限はなく、公知の香味成分が目的に応じて適宜混合して用いられる。

0036

以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。

0037

実施例1
各種香料化合物を下記表1に示す処方で調合し、コーヒーの淹れたて感賦与剤を調製した。

0038

0039

比較例1
コーヒーの鮮度感に係わる重要香気成分であるとされている各種香料化合物を下記表2に示す処方で調合し、コーヒー鮮度感賦与剤を調製した。

0040

0041

実施例2
L値22の焙煎豆500gをコーヒーミルにて粉砕し、ペーパーフィルターを用いて熱水5000gで抽出し、コーヒー抽出液3500g(Bx5.0°)を得た。これとは別に、砂糖500g、シュガーエステルP−1570(三菱化学フーズ株式会社製)5.0gおよび水3000gを混合し、加熱溶解した。これに、先に得られたコーヒー抽出液および牛乳1000gを加え、さらに水を加えて全量を20Kgとし、10%炭酸水素ナトリウム水溶液にてpHを6.8に調整した。この調製物にコーヒーの淹れたて感賦与剤として本発明品または比較品を0.1重量%添加し、200mlに190gずつ充填し、ヘッドスペース窒素置換密封し、121℃で20分間加熱殺菌を行い、缶コーヒー飲料とした。10名のよく訓練されたパネラーにより、缶コーヒー飲料の香味評価を行った。評価基準はコーヒーの淹れたて感について5段階とし、また、香調については10名のパネラーの評価を総合する。10名のパネラーの平均点を算出する。

0042

0043

表3から明らかなとおり、香料化合物無添加の缶コーヒー飲料はレトルト殺菌により、淹れたて香気はほとんど感じられなくなってしまったが、本発明品1〜6を添加した缶コーヒー飲料は淹れたての香味を維持していた。また、従来の研究においてコーヒーの鮮度感に係わる重要香気成分とされている香料化合物(比較品1)を添加した缶コーヒー飲料はレトルト殺菌後においては淹れたて香が感じられず、無添加と大差がなかった。

0044

実施例3
各種香料化合物を下記表4に示す処方で調合し、コーヒーの淹れたて感賦与剤を調製した。

0045

0046

実施例4
実施例2において、添加するコーヒーの淹れたて感賦与剤として表1に記載の本発明品に代えて表4に記載の本発明品を使用する以外は、実施例2と全く同様の操作により、缶コーヒー飲料を得た。なお、比較のため本発明品1を添加した缶コーヒーも調製した。これらの缶コーヒー飲料を実施例2と同様に官能評価した。その結果を表5に示す。

0047

0048

表5に示したとおり、2−フルフリルメチルスルフィド単独よりも、2−フルフリルメチルスルフィドを本発明に従う他の香料化合物を組み合わせて使用した方が、より自然な
淹れたて香味が感じられた。

0049

実施例5
脱臭コーヒーエキスの調製)
L値22の焙煎豆500gをコーヒーミルにて粉砕し、ペーパーフィルターを用いて熱水5000gで抽出し、コーヒー抽出液3500g(Bx5.0°)を得た。抽出液ロータリーエバポレーターにてBx50°まで濃縮し、濃縮コーヒーエキス325gを得た。濃縮物を2L三径フラスコに移し、外温度を100℃に維持しながら、片方の径から水蒸気供給を導入し、濃縮物に水蒸気送り込み、中央の径から香気を含んだ水蒸気を外部に留出させ、水蒸気蒸留法にて濃縮物を2時間脱臭し、脱臭コーヒーエキス670g(Bx25°)を得た。脱臭後のコーヒーエキスはほぼ無臭であった。

0050

(本発明品および比較品の安定性評価
脱臭コーヒーエキスをBx0.6°に希釈し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液にてpH6.8に調整した後、本発明に従う含硫黄香料化合物として2−フルフリルメチルスルフィド、2−フルフリルメチルジスルフィド、メチル(5−メチル−2−フリル)スルフィド、メチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−メチル−3−(メチルチオ)フラン、2,5−ジメチル−3−フリルメチルスルフィド、2,5−ジメチル−3−フリルメチルジスルフィド、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテートまたは4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオールをそれぞれ0.5ppm(500ppb)ずつ、また、比較品として2−フルフリルチオール、3−メルカプトメチルブチルフォーメートまたは3−メチル−2−ブテン−1−チオールをそれぞれ0.5ppm(500ppb)ずつ添加後、200ml缶に190gずつ充填し、ヘッドスペースを窒素置換後、密封し、121℃、20分間加熱殺菌を行った。

0051

また、殺菌後の缶詰を55℃、2週間保存を行った。殺菌前、殺菌後および保存後の缶飲料から塩化メチレンで香気成分を回収し、メチルオクタノエート内部標準物質としたガスクロマトグラフィー測定により各成分を定量し、各成分の残存率を算出した。その結果を表6に示す。

0052

0053

比較品の2−フルフリルチオール、3−メルカプトメチルブチルフォーメートまたは3−メチル−2−ブテン−1−チオールに比べ、本発明品の2−フルフリルメチルスルフィド、2−フルフリルメチルジスルフィド、メチル(5−メチル−2−フリル)スルフィド、メチル(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−メチル−3−(メチルチオ)フラン、2,5−ジメチル−3−フリルメチルスルフィド、2,5−ジメチル−3−フリル
メチルジスルフィド、3−メルカプト−3−メチルブチルアセテートまたは4−メトキシ−2−メチル−2−ブタンチオールは有意に残存率が高かった。

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